(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】アラインメントカプラを用いた光学コネクタおよび光学ベンチベースコネクタの取外し可能な接続
(51)【国際特許分類】
G02B 6/26 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
G02B6/26 301
(21)【出願番号】P 2021547653
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 US2019057744
(87)【国際公開番号】W WO2020086779
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516183185
【氏名又は名称】センコー アドバンスド コンポーネンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランス,ロバート ライアン
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-296449(JP,A)
【文献】国際公開第2018/035389(WO,A1)
【文献】特開2017-044844(JP,A)
【文献】特開平09-090159(JP,A)
【文献】特開平08-129117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26- 6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/42- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学コネクタおよび光学ベンチの取外し可能な接続方法であって、
カプラを提供する工程であって、該カプラは、前記光学ベンチの少なくとも一部を受容するようサイズ決めされた開口を有し、アラインメントを促進するために前記光学ベンチと前記カプラとの間で相対移動するためのクリアランスがあり、前記カプラは、前記コネクタに取外し可能に結合するよう構成された受動的なアラインメント構造を備える、工程;
前記コネクタに前記カプラを取外し可能に結合する工程;
前記カプラの開口中に前記光学ベンチを配置する工程であって、前記光学ベンチは、光ファイバのアレイを支持するベース、および前記ベース上に規定される反射表面のアレイを含み、各反射表面は、前記光ファイバのアレイ中の光ファイバに対応する、工程;
前記光学ベンチと前記コネクタとの間で光路を能動的にアラインメントし、前記カプラの開口のクリアランス内で前記光学ベンチの位置を調整することにより、前記光学ベンチと前記コネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する、工程;
前記所望の光学アラインメントにおいて前記カプラに対して前記光学ベンチの位置を固定する工程、
を含み、
前記光学ベンチが前記カプラを用いて前記コネクタに光学的にアラインメントされ、それにより、前記カプラの取外し可能な結合によって前記コネクタへの前記光学ベンチのその後の取外し可能な結合が可能となる、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記反射表面のアレイが、
前記ベース上に規定されたミラーのアレイであって、各ミラーが前記光ファイバのアレイ中の光ファイバに対応し、各ミラーが、前記ベースの上面に実質的に平行な平面における第1の方向に沿った第1の光路と前記平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光の向きを変える構造反射表面プロファイルを含む、アレイ
を含み、
前記光学ベンチがさらに、前記第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされた光ファイバのセクションをそれぞれ受容する溝のアレイを含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コネクタが、光ファイバのアレイの端部セクションを保持し、前記光学ベンチと前記コネクタとの間で前記光路を能動的にアラインメントする工程が、対応するミラーと前記コネクタ中の光ファイバとの間の前記第2の光路を能動的にアラインメントし、前記光学ベンチと前記コネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する工程を含む、ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ベースが金属で作製され、前記溝および前記ミラーの第1のアレイが、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことにより前記ベース上に一体的に規定される、ことを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ミラーの構造反射表面プロファイルが、前記光学ベンチ中の前記光ファイバのモードフィールドを前記コネクタ中の前記光ファイバに一致させるために光を再整形するよう構成されることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記構造反射表面プロファイルが、以下のプロファイル:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状の光学表面の1つを含むことを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コネクタが、コリメート光ビームを受容および出力するよう構成された拡張型ビームコネクタであり、各ミラーの前記構造反射表面プロファイルが、前記光学ベンチ中の対応する光ファイバからの入射光ビームを拡張およびコリメートし、反対に、拡張型ビームコネクタから受容されたコリメート光ビームを前記光学ベンチ中の対応する光ファイバに集光するよう形成される、ことを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コネクタが前記カプラに結合された状態で、前記コネクタが、該コネクタの前記光ファイバを支持して、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力する構造を含み、前記コネクタの前記光ファイバと前記光学ベンチとの間の光が、前記光学ベンチ内の前記ミラーの第1のアレイを介して、前記第1の光路および前記第2の光路によって規定される光路をたどる、ことを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コネクタが、前記カプラ上の受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、前記コネクタが、前記コネクタおよび前記カプラ上の前記相補的な受動的アラインメント構造に基づいて受動的アラインメントによって前記カプラに取外し可能に結合され、前記カプラを介して前記コネクタを前記光学ベンチに光学的に結合する、ことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記カプラ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供し、前記コネクタ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、前記カプラの対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合を提供する、ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コネクタが、(a)フォトニック回路基板の端面、(b)前記フォトニック回路基板の上部、(c)前記フォトニック回路基板の支持体の端面、および(d)前記フォトニック回路基板の支持体の上部、の少なくとも1つに提供され、前記カプラを備えた光学ベンチが、配置された前記コネクタに結合されうる、ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記カプラを備えた光学ベンチが、(a)フォトニック回路基板の端面、(b)前記フォトニック回路基板の上部、(c)前記フォトニック回路基板の支持体の端面、および(d)前記フォトニック回路基板の支持体の上部の少なくとも1つに提供され、前記コネクタが、配置された前記光学ベンチおよび前記カプラに結合されうる、ことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コネクタが、前記カプラが前記コネクタに結合されているときに、前記カプラの表面と向かい合う表面を有し、前記コネクタの表面が角度付けされ、前記カプラの表面が前記コネクタの表面の角度に一致するように角度付けされる、ことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コネクタが、フォトニック装置に結合された別の終端を有する光ファイバアレイの終端に位置し、前記カプラが、外部接続点に結合された別の終端を有する別の光ファイバアレイの終端に位置する、あるいは、前記コネクタと前記カプラとが逆である、ことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記カプラおよび前記光学ベンチが共に、取外し可能な直角コネクタを形成することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記カプラに対する前記光学ベンチの位置が、エポキシ、はんだ付けおよび溶接の少なくとも1つによって、前記所望の光学アラインメントにおいて固定されることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
光学ベンチを備える取外し可能な直角コネクタであって、前記光学ベンチが、
光ファイバのアレイを支持するベース;
前記ベース上に規定されたミラーのアレイであって、各ミラーが前記光ファイバのアレイ中の光ファイバに対応し、各ミラーが、前記ベースの上面に実質的に平行な平面における第1の方向に沿った第1の光路と前記平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光の向きを変える構造反射表面プロファイルを含む、アレイ;
前記第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされた光ファイバのセクションをそれぞれ受容する溝のアレイ;
カプラであって、該カプラは、前記光学ベンチの少なくとも一部を受容するようサイズ決めされた開口を有し、アラインメントを促進するために前記光学ベンチと前記カプラとの間で相対移動するためのクリアランスがあり、前記カプラは、
第2のコネクタに取外し可能に結合するよう構成された受動的なアラインメント構造を備える、カプラ
を含み、
前記カプラに対する前記光学ベンチの位置が、以下:
前記
第2のコネクタに前記カプラを取外し可能に結合する工程;
前記カプラの開口中に前記光学ベンチを配置する工程;
前記カプラの開口のクリアランス内で前記光学ベンチの位置を調整し、前記光学ベンチと前記
第2のコネクタとの間で光路を能動的にアラインメントして、前記光学ベンチと前記
第2のコネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する、工程;
前記所望の光学アラインメントにおいて前記カプラに対して前記光学ベンチの位置を固定する工程
を含む方法によって
前記第2のコネクタに関して固定され、
前記光学ベンチが前記カプラを用いて前記
第2のコネクタに光学的にアラインメントされ、それにより、
前記第2のコネクタへの前記カプラの取外し可能な結合によって前記
第2のコネクタへの前記光学ベンチのその後の取外し可能な結合が可能となる
ことを特徴とする、取外し可能な直角コネクタ。
【請求項18】
前記各ミラーの構造反射表面プロファイルが、前記光学ベンチ内の対応する光ファイバからの入射光ビームを拡張およびコリメートし、反対に、コリメート光ビームを前記光学ベンチ内の前記対応する光ファイバに集光するよう形成されることを特徴とする、請求項17に記載の取外し可能な直角コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本願は、(a)2018年10月23日出願の米国仮特許出願第62/749616号、および(b)2018年10月23日出願の米国仮特許出願第62/749618号に基づく優先権を主張するものである。これらの出願は、参照により、それらの内容が本明細書に完全に記載されているかのように、完全に組み込まれているものとする。以下で言及するすべての刊行物は、参照により、それらの内容が本明細書に完全に記載されているかのように、完全に組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、取外し可能な光接続に関するものであり、より詳細には、光学ベンチベースコネクタへの光学コネクタの光接続に関するものであり、さらに、フォトニック回路基板(photonic circuit board)のための光接続に関する。
【背景技術】
【0003】
フォトニック集積回路(photonic integrated circuit;PIC)または光集積回路は、動作の基礎として電流ではなく光を用いるエマージング技術の一部である。PICデバイスは、複数(少なくとも2つ)のフォトニック機能を統合し、したがって、電子集積回路に類似する。上記の2つの主な違いは、フォトニック集積回路は、通常は可視スペクトルまたは近赤外の850nm~1650nmにおける光学波長に与えられる情報信号のための機能を提供することである。
【0004】
PICは、遠距離通信、計測、および信号処理の分野において様々な用途に使用される。PICデバイス(フォトニックチップパッケージの形態で)は通常、光導波路を用いて、様々のオンチップ(on-chip)素子、例えば、導波路、オプティカルスイッチ、カプラ、ルータ、スプリッタ、マルチプレクサ/デマルチプレクサ、モジュレータ、増幅器、波長変換器、光-電気(O/E)および電気-光(E/O)信号変換器(例えば、フォトダイオード、レーザ)等を、実装および/または相互接続する。PICデバイス中の導波路は通常、導波路のコアとクラッディングとの間の屈折率コントラストにより光をガイドするオンチップソリッド導光体である。
【0005】
PICデバイスはしばしば、光通信の組織化ネットワークの形態で、他のPICデバイスへの光接続を有することが必要とされる。接続距離は、チップ間接続の場合の数ミリメートルから、最大で長距離用途の場合の数キロメートルまでの範囲でありうる。低損失光ファイバによって長距離に亘って非常に高いデータ転送速度(>25Gbps)で光ファイバ内を光が通過できるので、光ファイバは、有効な接続方法を提供できる。適切な動作のために、PICデバイスは、外部光ファイバと1つまたは複数のオンチップ導波路との間で光を効率よく接続する必要がある。PICデバイスにおいて回路動作の基礎として光を用いる利点は、高速信号伝達のためのエネルギー費が、電子チップのものよりも実質的に低いということである。したがって、この利点を維持する、PICデバイスと光ファイバのような他の光学デバイスとの間の有効な接続が、PICの重要な態様である。
【0006】
現行技術水準は、ポリマーコネクタ要素を用いて厳しいアラインメント許容誤差を達成しようとするが、ポリマーにはいくつかの根本的な不利点がある。第1に、ポリマーは伸縮自在であり、外部の印加された負荷の下で容易に変形する。第2に、ポリマーは寸法安定性ではなく、特にコンピューティングおよびネットワーキングハードウェアで見られるような高温にさらされるとサイズおよび形状を変え得る。第3に、ポリマーの熱膨張率(CTE)は、PICデバイスで通常使用される物質のCTEよりもはるかに大きい。したがって、温度サイクルによって、光ファイバとPICデバイス上の光学要素との間にアラインメントずれが生じる。場合によっては、ポリマーは、PICデバイスをプリント回路基板上にはんだ付けする間に用いられる処理温度に耐えることができない。
【0007】
光ファイバをPICデバイス(またはPICチップパッケージ)に結合する1つのアプローチは、光ファイバアレイをPICチップに直接取り付けることである。従来、光ファイバアレイは、能動的なアラインメントアプローチを用いてPIC上の光学要素とアラインメントされ、このアプローチにおいて、光ファイバアレイの位置および配向は、光ファイバとPICとの間で伝達される光の量が最大となるまで機械的に調整される。接続は一旦行われると恒久的であり、接続の完全性を破壊する可能性やPICチップへ光ファイバを再び取り付ける希望なしに、取り外し、分離しまたは着脱することができない。言い換えれば、光ファイバは、PICデバイスに取外し可能に取り付けることができず、ファイバ接続および分離は、破壊的であり可逆的でない(すなわち、再接続可能でない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要とされるのは、光学コネクタを正確に接続するための改善されたアプローチであって、許容誤差、製造性、使用容易性、機能性および信頼性をより低いコストで改善するアプローチである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光学コネクタと光学ベンチとの間に取外し可能/分離可能かつ再接続可能な接続を提供することにより、従来技術の欠点を克服する。光学コネクタへの光学ベンチの能動的なアラインメントを促進するために、アラインメントカプラが提供される。光学ベンチおよびカプラは共に、光学ベンチベースコネクタを形成する。光学コネクタは、フォトニック装置に結合された別の端部において別の終端を有する光ファイバアレイの終端に位置してもよく、光学ベンチのためのカプラは、外部接続点に結合された別の端部において別の終端を有する別の光ファイバアレイの終端に位置してもよく、あるいは、コネクタとカプラとが逆でもよい。
【0010】
コネクタは、(a)フォトニック回路基板の端面、(b)フォトニック回路基板の上部、(c)フォトニック回路基板の支持体の端面、および(d)フォトニック回路基板の支持体の上部、の少なくとも1つを備えてもよい。カプラを備えた光学ベンチは、配置されたコネクタに結合されうる。あるいは、カプラを備えた光学ベンチは、(a)フォトニック回路基板の端面、(b)フォトニック回路基板の上部、(c)フォトニック回路基板の支持体の端面、および(d)フォトニック回路基板の支持体の上部の少なくとも1つを備えてもよい。コネクタは、配置された光学ベンチおよびカプラに結合されうる。
【0011】
本発明の1つの態様は、光学コネクタ(光学ベンチを伴うまたは伴わない)および光学ベンチベースのコネクタの取外し可能な接続方法を提供し、この方法は、以下の工程を含む:カプラを提供する工程であって、カプラは、光学ベンチを受容するようサイズ決めされた開口を有し、アラインメントを促進するために光学ベンチとカプラとの間で相対移動するためのクリアランスがあり、カプラは、コネクタに取外し可能に結合するよう構成された受動的なアラインメント構造を備える、工程;コネクタにカプラを取外し可能に結合する工程;カプラの開口中に光学ベンチを配置する工程;光学ベンチとコネクタとの間で光路を能動的にアラインメントし、カプラの開口のクリアランス内で光学ベンチの位置を調整することにより、光学ベンチとコネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する、工程;所望の光学アラインメントにおいてカプラに対して光学ベンチの位置を固定し、光学ベンチがカプラを用いてコネクタに光学的にアラインメントされ、それにより、カプラの取外し可能な結合によってコネクタへの光学ベンチのその後の取外し可能な結合が可能となる、工程。カプラに対する光学ベンチの位置は、例えば、エポキシ、はんだ付けおよび溶接によって、所望の光学アラインメントにおいて固定されてもよい。
【0012】
カプラ中の開口は、光学ベンチの少なくとも一部を受容するようにサイズ決めおよび構成され、所望の光学アラインメントを達成するために光学ベンチの位置の予想される調整のための十分なクリアランスがある。開口は、溝、スルーホール、部分的な孔、チャネルの形態でもよい。一実施形態において、カプラは、光学ベンチの側面の少なくとも一部を囲むように馬蹄(すなわちU字形状)のように形成されてもよい。一実施形態において、光学ベンチは、以下を含む:ベース;ベース上に規定されたミラーのアレイであって、各ミラーがアレイ中で光ファイバに対応し、各ミラーが、ベースの上面に実質的に平行な平面における第1の方向に沿った第1の光路と当該平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光の向きを変える構造反射表面プロファイルを含む、アレイ;第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされた光ファイバのセクションをそれぞれ受容する溝のアレイ。一実施形態において、コネクタは、光ファイバのアレイの端部セクションを保持し、光学ベンチ間で光路を能動的にアラインメントする工程が、対応するミラーと光ファイバとの間の第2の光路を能動的にアラインメントし、光学ベンチとコネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する工程を含む。
【0013】
一実施形態によれば、光学ベンチのベースは金属で作製されてもよく、溝およびミラーの第1のアレイは、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことによりベース上に一体的に規定される。ミラーの構造反射正面プロファイルは、光学ベンチ中の光ファイバのモードフィールドをコネクタ中の光ファイバに一致させるために光を再整形するよう構成される。一実施形態において、構造反射表面プロファイルまたはミラーは、以下のプロファイル:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状の光学表面の1つを含む。
【0014】
一実施形態において、コネクタは、コリメート光ビームを受容および出力するよう構成された拡張型ビームコネクタであり、各ミラーの構造反射表面プロファイルは、光学ベンチ中の対応する光ファイバからの入射光ビームを拡張およびコリメートし、反対に、拡張型ビームコネクタから受容されたコリメート光ビームを光学ベンチ中の対応する光ファイバに集光するよう形成される。
【0015】
一実施形態において、コネクタがカプラに結合された状態で、コネクタは、コネクタの光ファイバを支持して、第2の光路に沿って第2の方向に光を入力/出力する構造を含み、コネクタの光ファイバと光学ベンチとの間の光は、光学ベンチ内のミラーの第1のアレイを介して、第1の光路および第2の光路によって規定される光路をたどる。したがって、カプラおよび光学ベンチは、取外し可能な直角コネクタを形成することができる。
【0016】
コネクタは、カプラがコネクタに結合されているときに、カプラの表面と向かい合う表面を有する。コネクタの端面は、後方反射を防ぐためにある角度(通常は8度)で研磨することができ、次いでカプラの表面を同様に角度付けてコネクタの端面の角度に一致させる。
【0017】
コネクタは、カプラ上の受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、コネクタは、コネクタおよびカプラ上の相補的な受動的アラインメント構造に基づいて受動的アラインメントによってカプラに取外し可能に結合され、カプラを介してコネクタを光学ベンチに光学的に結合する。一実施形態では、カプラ上の受動的アラインメント構造は、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供し、コネクタ上の受動的アラインメント構造は、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、カプラの対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合を提供する。
【0018】
別の態様では、取外し可能な直角コネクタは、カプラを介して光学ベンチをコネクタにアラインメントすることによって形成することができ、カプラに対する光学ベンチの位置は、上記の方法に従って固定される。
【0019】
好ましい使用態様に加え、本発明の特性および利点のより完全な理解のために、添付の図面と共に読まれる以下の詳細な説明を参照されたい。以下の図面においては、図面全体に亘り、類似の参照文字および/または参照番号は、同様または類似の部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の1つの実施形態に従うPICチップを支持する回路基板の端面における直角コネクタを概略的に示す図
【
図1B】本発明の1つの実施形態に従うPICチップを支持する回路基板の上部における直角コネクタを概略的に示す図
【
図2A】本発明の1つの実施形態に従うカプラおよび光学ベンチを含む直角コネクタを示す図
【
図2B】本発明の1つの実施形態に従うカプラおよび光学ベンチを含む直角コネクタを示す図
【
図2C】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図2D】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図2E】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図2F】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図3A】本発明の1つの実施形態に従うカプラおよび光学ベンチを含む直角コネクタを示す図
【
図3B】本発明の1つの実施形態に従うカプラおよび光学ベンチを含む直角コネクタを示す図
【
図3C】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図3D】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図3E】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図3F】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび光学コネクタの結合を示す図
【
図4】本発明の1つの実施形態に従う複数の光学ベンチを支持するカプラを備えた直角コネクタを示す図
【
図5A】本発明の別の実施形態に従う複数の光学ベンチを支持する直角コネクタカプラを示す図
【
図5B】本発明の1つの実施形態に従う直角コネクタおよび複数の光学コネクタの結合を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、様々な実施形態を参照しながら本発明を説明する。本発明は、本発明の目的を達成するための最良の態様(ベストモード)に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの教示内容を考慮して複数のバリエーションを実現できることを理解できるであろう。
【0022】
本発明は、光学ベンチOBの光学コネクタCに対する能動的なアラインメントを促進するためにアラインメントカプラAを用いて光学コネクタCと光学ベンチOBとの間に取外し可能/分離可能かつ再接続可能な接続を提供することにより、従来技術の欠点を克服する。
【0023】
図1Aおよび1Bを参照すると、光学ベンチおよびカプラは共に、光学ベンチベースのコネクタBCを形成する。
図1Aにおいて、コネクタCは、光ファイバアレイFA1の終端にありフォトニック装置PA(例えば、支持フォトニック回路基板PCBおよびバックプレーン(backplane)支持体S上に支持された、インターポーザI上に支持されたフォトニック集積回路(PIC)P)に結合された別の端部で別の終端を有してもよく、コネクタBCは、別の光ファイバアレイFA2の終端にあり外部接続点(
図1Aに図示せず)に結合された別の端部で別の終端を有してもよい。
図1Bにおいて、コネクタBCおよびコネクタCの役割が入れ替わる。
図1Bにおいて、コネクタBCは、光ファイバアレイFA2の終端にありフォトニック装置PA(例えば、フォトニック集積回路(PIC))に結合された別の端部で別の終端を有してもよく、コネクタOは、別の光ファイバアレイFA1の終端にあり外部接続点(
図1Bに図示せず)に結合された別の端部で別の終端を有してもよい。
【0024】
図1Aおよび1Bに示されるように、コネクタCおよびコネクタBCは、以下の少なくとも1つを備えうる:(a)フォトニック回路基板PCBの端面(
図1A)、(b)フォトニック回路基板PCBの上部(
図1B)、(c)フォトニック回路基板PCBのバックプレーン支持体Sの端面(図示せず)、および(d)フォトニック回路基板のバックプレーン支持体Sの上部。光学ベンチOBは、配置されたコネクタCに結合されうる。
【0025】
本発明の1つの態様は、光学コネクタC(光学ベンチを伴うまたは伴わない)および光学ベンチベースのコネクタBCの取外し可能な接続方法を提供する。
図2および3の実施形態を参照すると、コネクタBCは、光学ベンチOBおよびアラインメントカプラAを含む。(2つの実施形態が多くの共通の特徴を共有することを考えると、
図2におけるカプラA1およびコネクタC1と
図3におけるカプラA2およびコネクタC2とは、これらの実施形態に共通の特徴を称する際にカプラAおよびコネクタCと集合的に称されてもよい。)
【0026】
図2Aおよび2Bを参照すると、カプラA1は、開口Oを有する本体Dを含み、開口Oは、光学ベンチOBを受容するようサイズ決めされ、アラインメントを促進するために光学ベンチOBとカプラA1との間で相対移動(例えば、開口O内での3並進および3回転の移動)をするためのクリアランスがある。これに関して、カプラA1の開口は、光学ベンチOBの少なくとも一部を受容するようにサイズ決めおよび構成されており、所望の光学アラインメントを達成するために光学ベンチOBの位置の予想される調整のための十分なクリアランスがある。開口Oにおけるクリアランスは、光学ベンチOBおよびカプラCの寸法変化を構成するのに十分な大きさである必要がある。例えば、開口Oは、カプラCの最大実体状態、光学ベンチOBの最大実体状態、および光学ベンチOBおよびカプラC内のファイバの位置許容誤差を構成するのに十分なスペースを確保する必要がある。開口Oは、溝、スルーホール、部分的な孔、またはチャネルの形態でもよい。説明される実施形態において、カプラA1の本体Dは、光学ベンチOBの側面および後側の一部を囲むように馬蹄(すなわちU字形状)のように形成されてもよい。コネクタCは、カプラAがコネクタCに結合されたときに、カプラAの表面に対向する表面を有する。この実施形態(
図2)において、
図2Aおよび2Bに図示されるカプラA1の上面Tは、結合されたときにコネクタC1の相補的な傾斜した/角度のある対向面と一致するように、ある角度(例えば、8度)で傾斜している。
【0027】
図3の実施形態では、コネクタC2は、コリメート光ビームを受信および出力するよう構成された拡張型ビームコネクタである。このコネクタC2に適応するために、各ミラーMの構造反射表面プロファイルは、光学ベンチOB中の対応する光ファイバOFからの入射光ビームを拡張およびコリメートし、反対に、拡張型ビームコネクタC2から受け取ったコリメート光ビームを光学ベンチOB中の対応する光ファイバOFに集光するよう形成される。
図3Aおよび3Bに図示される実施形態において、カプラA2の上面T2は、傾斜/角度付けされていない。拡張型ビームタイプのフェルールコネクタには、傾斜/角度付けは必要ない。
【0028】
説明される実施形態において、光学ベンチOBは、ベンチまたはベースB(例えば、シリコン、ガラス、コバール、インバー、アルミニウム、ステンレス鋼などの可鍛性金属で作製される)、およびベース上に規定されたミラーMのアレイを含む。さらに、溝VのアレイがベースB上に規定されている。各溝Vは、光ファイバOFの端部セクションを受容し、第1の光路L1に沿って対応するミラーと光学的アラインメントをとる。透明なガラス、石英、またはサファイアプレートGは、ベースB上の露出面を覆う。一実施形態では、光学ベンチOBは、ミラー表面MとガラスプレートGとの間において屈折率整合エポキシで満たされてもよい。各ミラーMは、ベースBの上面に実質的に平行な平面内(または光ファイバOFの光軸に沿った方向)の第1の(水平)方向に沿った第1の光路L1と当該平面の外側の第2の(垂直)方向に沿った第2の光路L2との間で、光を(例えば、90度だけ)回転させる構造反射表面プロファイルを含む。
【0029】
一実施形態によれば、光学ベンチOBのベースBは金属製でもよく、表面特徴(ミラーMおよび溝V)は、可鍛性金属材料の単一のモノリシックブロック(例えば、ストック金属材料または金属ブランク)をスタンピングすることによってベースB上に一体的に規定されうる。ミラーMの構造反射表面プロファイルは、光学ベンチOB内の光ファイバのモードフィールドをコネクタC内の光ファイバFに一致させるように光を再整形するように構成されてもよい。
【0030】
一実施形態では、各ミラーMは、ベースBの露出した自由表面(すなわち、空気に露出した表面、または光学ベンチのベースの本体の内部ではない表面)であり、光学ベンチOBのベースB上で対応する光ファイバOFに面する露出した反射自由側を有する。露出した反射自由側は、光が光学ベンチ内の対応する光ファイバOFに出入りするよう方向付けられる構造反射表面プロファイルを含む。各ミラーMは、入射光を曲げ、反射し、および/または再整形する。構造反射表面プロファイルの構成および形状(例えば、曲率)に応じて、ミラーMは、入射光ビームを、コリメート、拡張、または集光しうる。例えば、構造反射表面プロファイルは、以下の幾何学的形状/プロファイルのうちの1つを含み得る:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状光学表面。例えば、ミラー表面は、光パワーを提供するために、次のいずれかの表面幾何学的曲率関数を個別に、または重ね合わせて有してもよい:楕円体または双曲線円錐焦点、さまざまな数の偶数または奇数の非球面項を持つトロイダル非球面、さまざまな数の偶数または奇数項を持つX-Y非球面曲線、さまざまな次数のゼルニケ多項式、およびこれらの関数に含まれるより単純な表面のさまざまなファミリ。表面はまた、任意の平面またはベクトルに沿って対称性のない自由形状の表面であってもよい。
【0031】
本明細書に記載のすべての実施形態において、構造反射表面は、平坦、凹面または凸面、またはそれらの組み合わせであるように構成されて、複合反射表面を構成しうる。一実施形態では、構造反射表面は、滑らかな(研磨仕上げに似た仕上げを有する)鏡面を有する。代わりに、反射型のテクスチャ表面でもよい。構造反射表面は、均一な表面特性、または表面に亘って滑らかさおよび/またはテクスチャの程度が変化するような変動表面特性、あるいは、構造反射表面を構成する滑らかかつテクスチャ加工の表面の様々な領域の組み合わせを有してもよい。構造反射表面は、以下の同等の光学要素のうちの少なくとも1つに対応する表面プロファイルおよび/または光学特性を有し得る:ミラー、集束レンズ、発散レンズ、回折格子、または前述の組み合わせ。構造反射表面は、異なる同等の光学要素に対応する複数の領域(例えば、発散している環状領域に囲まれた集束している中央領域)を規定する複合プロファイルを有し得る。一実施形態では、構造反射表面は、表面を通して光を透過しない不透明な材料上に規定される。
【0032】
ミラーMは、可鍛性金属材料をスタンピングすることによってベースB上に規定され得る。工具鋼または炭化タングステン工具でスタンピング可能なさまざまの可鍛性金属は、ミラーの本体を構成することができ、任意の300または400シリーズのステンレス鋼、コバールの任意の組成、任意の沈殿または固溶硬化金属、およびAg、Al、Au、Cuの任意の合金を含む。1310nmを超える長波長では、アルミニウムは反射率が高く(>98%)、スタンピングによって経済的に成形される。ミラーを構成する金属の部分の反射表面は、上記の金属のいずれか、または、スパッタリング、蒸着、またはめっきプロセスによって適用される反射率の高い金属の任意のコーティングであり得る。
【0033】
本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許第7,343,770号明細書は、許容誤差の小さい部品を製造するための、新規な精密スタンピングシステムを開示している。その米国特許第7,343,770号明細書に開示されているようなエッジカプラの構造(上述の光学ベンチBのための構造、並びに以下に論じる構造を含む)を生成するため、そのような新規なスタンピングシステムを実装することができる。これらのスタンピング処理は、最終的な表面特徴(他の規定された表面特徴形状と精密なアラインメントが取られる所望の幾何学形状を有する反射表面を含む)を、厳しい(すなわち小さな)許容誤差で形成するために、可鍛性バルク金属材料(例えば、金属ブランクまたはストック)をスタンピングする処理を包含する。本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許出願公開第2016/0016218号明細書は、異種の金属材料の主要部分と補助部分とを有するベースを含む、複合構造をさらに開示している。ベースおよび補助部分は、スタンピングにより成形される。補助部分がスタンピング形成されると、補助部分はベースとインターロックし、それと同時に補助部分上に所望の構造特徴形状(たとえば、構造反射面や、光ファイバのアラインメントのための特徴形状等)を形成する。このアプローチにより、比較的重要性の低い構造特徴形状は、比較的大きな許容誤差を維持する少ない労力により、ベースのバルク上に成形され得る一方、補助部分上に存在するより重要性の高い構造特徴形状は、より小さな許容誤差で寸法、幾何学形状および/または仕上げ状態を規定するさらなる考察をもって、より精密に成形される。補助部分は、異なる構造特徴形状をスタンピング形成するための異なる特性を伴う2つの異種の金属材料の、さらなる複合構造を含むものとされてもよい。このスタンピング形成のアプローチは、それより前の米国特許第7343770号明細書における、スタンピングに供されるバルク材料が均質材料(例えば、コバールやアルミニウム等の、金属のストリップ)であるスタンピング形成のアプローチに対し、改良をもたらすものである。スタンピング処理は、単一の均質材料から構造特徴形状を生成する。したがって、異なる複数の特徴形状がその材料の特性を共有することとなり、その特性は、1つ以上の特徴形状にとって最適な特性ではないかもしれない。例えば、アラインメントのための特徴形状をスタンピング形成するのに適した特性を有する材料は、光信号の損失を低減するのに最適な光反射効率を有する反射性の表面特徴形状をスタンピング形成するのに適した特性を、有していないかもしれない。本明細書に記載されるように、開示された複合構造を採用して、光学ベンチOBおよび/またはカプラA(例えば、
図2および3における)および光学ベンチOBを有する光ファイバコネクタBCを生成しうる。
【0034】
カプラAの本体Dは、上述の光学ベンチOB内のベースBの表面特徴(溝VおよびミラーM)の形成に関して論じたのと同様の方法で、スタンピングにより形成しうる。
【0035】
ミラーMの構造反射表面プロファイルは、光学ベンチOB内の光ファイバOFからの光ビームを再整形して、光ファイバコネクタC(例えば、MTフェルール)内の光ファイバFのモードフィールドにより厳密に一致するモードフィールドを生成するように構成され得る。さらに、以下でさらに説明するように、コネクタCが拡張型ビームタイプである場合、光学ベンチOB内のミラーMは、例えば、コネクタCに保持された光ファイバFの先端/端面のコアに光ビームを集束させることにより、光ファイバFからの光ビームを拡張またはコリメートし、コネクタC内のファイバFに出力するための、反射表面プロファイルを備えて構成されうる。この拡張されたビーム結合構成によって、ミラーMと拡張型ビーム光ファイバコネクタCに保持された光ファイバとの間の光学アラインメント許容誤差の要求が低減される。
【0036】
図2Fおよび3Fに示されるように、光ファイバアレイFA1は、光学ベンチを伴わないフェルールコネクタFC(図示せず;例えば、MTPおよびMPOファイバ-光学コネクタ内で使用されるようなMTフェルール)を有し、光学ベンチを有する光学コネクタBCに結合するための露出したむき出しの端面を備えた光ファイバを保持するために使用される。この実施形態では、ミラーMの構造反射表面プロファイルは、光ファイバOFからの光ビームを再整形して、光学ベンチからの光ビームを、光ファイバフェルールコネクタC内に保持された光ファイバの露出した先端/端面のコアに直接集束させるように構成することができる。光ファイバコネクタCは、光ファイバFを支持して、第2の(光学ベンチOB内の光ファイバOFに対して実質的に垂直)光路L2に沿って第2の方向に光を入力/出力する構造を備え、光ファイバコネクタCはカプラAに取外し可能に結合された状態で、光ファイバアレイFA1と光学ベンチOBの光ファイバOFとの間の光は、カプラAによって支持される光学ベンチOB内の第1のアレイのミラーMを介して第1の光路L1および第2の光路L2によって規定される光路をたどる。
【0037】
フェルールコネクタFCが光学ベンチを伴わない拡張型ビームタイプである場合、ミラーMの構造反射表面プロファイルは、PICチップPからの光ビームを再整形し、ミラーMと拡張型ビーム光ファイバコネクタFC内に保持される光ファイバとの間の光学アラインメント許容誤差要件を低減するように構成することができる。この実施形態では、フェルールコネクタFC内の光ファイバOFの先端は、エッジカプラEのガラス板Gと物理的に接触する必要はないが、接触してもよい。この実施形態では、エッジカプラEのベースBは、フェルールコネクタFC上の相補的なアラインメントピンAを収容するために、アラインメントピンAの代わりにアラインメントホールAAを備える。
【0038】
光学ベンチOB内のミラーMの反射表面プロファイルの様々な設計または修正を行って、所望の光学効果のための所望のビーム形状/構成を得ることができる。
【0039】
コネクタCは、カプラA上の受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、コネクタCは、それぞれコネクタおよびカプラ上の相補的な受動的アラインメント構造HおよびHHに基づく受動的アラインメントによってカプラAに取外し可能に結合され、カプラAを介してコネクタCを光学ベンチOBと光学的に結合する。一実施形態では、カプラA上の受動的アラインメント構造は、アラインメントピンH、アラインメントピンホールHHおよび表面特徴(図示せず)の少なくとも1つを含み、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供し、コネクタ上の受動的アラインメント構造は、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、カプラの対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合を提供する。
【0040】
一実施形態では、コネクタCは、光ファイバFのアレイの端部セクションを保持し(
図2Fを参照)、光学ベンチOBとコネクタCとの間の光路を能動的にアライメントすることは、対応するミラーMとコネクタC内の光ファイバFとの間の第2の光路を能動的にアラインメントし、光学ベンチOBとコネクタCとの間の所望の光学アラインメントに達する工程を含む。
【0041】
本発明によれば、光学コネクタ(光学ベンチを伴うまたは伴わない)および光学ベンチベースのコネクタの取外し可能な接続方法は、以下の工程を含む:カプラAを提供する工程であって、カプラAは、光学ベンチOBを受容するようサイズ決めされた開口Oを有し、アラインメントを促進するために光学ベンチOBとカプラAとの間で相対移動するためのクリアランスがあり、カプラAは、コネクタCに取外し可能に結合するよう構成された受動的なアラインメント構造HまたはHHを備える、工程;コネクタCにカプラAを取外し可能に結合する工程;カプラAの開口中に光学ベンチOBを配置する工程;光学ベンチOBとコネクタCとの間で光路(L1+L2)を能動的にアラインメントし、カプラAの開口Oのクリアランス内で光学ベンチOBの位置を調整することにより、光学ベンチOBとコネクタCとの間で所望の光学アラインメントに達する、工程;所望の光学アラインメントにおいてカプラAに対して光学ベンチOBの位置を固定し、光学ベンチOBがカプラAを用いてコネクタCに光学的にアラインメントされ、それにより、カプラAの取外し可能な接続によってコネクタCへの光学ベンチOBのその後の取外し可能な結合が可能となる、工程。カプラAに対する光学ベンチOBの位置は、例えば、エポキシ、はんだ付けおよび溶接によって、所望の光学アラインメントにおいて固定されてもよい。
【0042】
コネクタCがカプラAに取外し可能に結合される場合、コネクタCは、ダイ2の光路L2に沿って第2の方向に光を入力/出力するようにコネクタCの光ファイバFを支持する構造を含み、コネクタCの光ファイバFと光学ベンチOBとの間の光は、光学ベンチ内のミラーMの第1のアレイを介して第1の光路および第2の光路によって規定される光路をたどり、したがって、カプラおよび光学ベンチは、取外し可能な直角の光学ベンチベースのコネクタBCを形成しうる。
【0043】
別の態様では、取外し可能な直角コネクタは、カプラを介して光学ベンチをコネクタにアラインメントすることによって形成することができ、カプラに対する光学ベンチの位置は、上記の方法に従って固定される。
【0044】
図4は、本発明の一実施形態による、複数の光学ベンチOBを支持するカプラA3を備えた直角コネクタBC3の実施形態を示す。
【0045】
図5Aは、本発明の別の実施形態による、複数の光学ベンチOBを保持するカプラA4を備えた直角コネクタBC4の別の実施形態を示す;
図5Bは、本発明の一実施形態による、直角コネクタBC4と複数の光学コネクタCとの結合を示している。
【0046】
上記のすべての実施形態について第1の光路L1および第2の光路L2は双方向である。
【0047】
以上、好ましい実施形態を参照して、本発明を具体的に示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神、範囲および教示内容から逸脱することなく、形態および詳細に関し様々な変更が可能であることを理解できるであろう。したがって、ここに開示された発明は単に説明目的のものと捉えられるべきであり、添付の請求項で規定されるとおりにのみ、範囲が限定されるべきである。
他の実施形態
1. 光学コネクタおよび光学ベンチの取外し可能な接続方法であって、
カプラを提供する工程であって、該カプラは、前記光学ベンチを受容するようサイズ決めされた開口を有し、アラインメントを促進するために前記光学ベンチと前記カプラとの間で相対移動するためのクリアランスがあり、前記カプラは、前記コネクタに取外し可能に結合するよう構成された受動的なアラインメント構造を備える、工程;
前記コネクタに前記カプラを取外し可能に結合する工程;
前記カプラの開口中に前記光学ベンチを配置する工程;
前記光学ベンチと前記コネクタとの間で光路を能動的にアラインメントし、前記カプラの開口のクリアランス内で前記光学ベンチの位置を調整することにより、前記光学ベンチと前記コネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する、工程;
前記所望の光学アラインメントにおいて前記カプラに対して前記光学ベンチの位置を固定する工程、
を含み、
前記光学ベンチが前記カプラを用いて前記コネクタに光学的にアラインメントされ、それにより、前記カプラの取外し可能な結合によって前記コネクタへの前記光学ベンチのその後の取外し可能な結合が可能となる、
ことを特徴とする、方法。
2. 前記カプラ中の開口が、前記光学ベンチの少なくとも一部を受容するようにサイズ決めおよび構成され、前記所望の光学アラインメントを達成するために前記光学ベンチの位置の予想される調整のための十分なクリアランスがあることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
3. 前記光学ベンチが、
ベース;
前記ベース上に規定されたミラーのアレイであって、各ミラーが前記アレイ中で光ファイバに対応し、各ミラーが、前記ベースの上面に実質的に平行な平面における第1の方向に沿った第1の光路と前記平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光の向きを変える構造反射表面プロファイルを含む、アレイ;
前記第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされた光ファイバのセクションをそれぞれ受容する溝のアレイ
を含むことを特徴とする、実施形態1または2に記載の方法。
4. 前記コネクタが、光ファイバのアレイの端部セクションを保持し、前記光学ベンチ間で前記光路を能動的にアラインメントする工程が、対応するミラーと光ファイバとの間の前記第2の光路を能動的にアラインメントし、前記光学ベンチと前記コネクタとの間で所望の光学アラインメントに達する工程を含む、ことを特徴とする、実施形態3に記載の方法。
5. 前記ベースが金属で作製され、前記溝および前記ミラーの第1のアレイが、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことにより前記ベース上に一体的に規定される、ことを特徴とする、実施形態3または4に記載の方法。
6. 前記ミラーの構造反射正面プロファイルが、前記光学ベンチ中の前記光ファイバのモードフィールドを前記コネクタ中の前記光ファイバに一致させるために光を再整形するよう構成されることを特徴とする、実施形態3~5のいずれかに記載の方法。
7. 前記構造反射表面プロファイルが、以下のプロファイル:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状の光学表面の1つを含むことを特徴とする、実施形態3~6のいずれかに記載の方法。
8. 前記コネクタが、コリメート光ビームを受容および出力するよう構成された拡張型ビームコネクタであり、各ミラーの前記構造反射表面プロファイルが、前記光学ベンチ中の対応する光ファイバからの入射光ビームを拡張およびコリメートし、反対に、拡張型ビームコネクタから受容されたコリメート光ビームを前記光学ベンチ中の対応する光ファイバに集光するよう形成される、ことを特徴とする、実施形態3~7のいずれかに記載の方法。
9. 前記コネクタが前記カプラに結合された状態で、前記コネクタが、該コネクタの前記光ファイバを支持して、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力する構造を含み、前記コネクタの前記光ファイバと前記光学ベンチとの間の光が、前記光学ベンチ内の前記ミラーの第1のアレイを介して、前記第1の光路および前記第2の光路によって規定される光路をたどる、ことを特徴とする、実施形態3~8のいずれかに記載の方法。
10. 前記コネクタが、前記カプラ上の受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、前記コネクタが、前記コネクタおよび前記カプラ上の前記相補的な受動的アラインメント構造に基づいて受動的アラインメントによって前記カプラに取外し可能に結合され、前記カプラを介して前記コネクタを前記光学ベンチに光学的に結合する、ことを特徴とする、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
11. 前記カプラ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供し、前記コネクタ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、前記カプラの対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合を提供する、ことを特徴とする、実施形態10に記載の方法。
12. 前記コネクタが、(a)フォトニック回路基板の端面、(b)前記フォトニック回路基板の上部、(c)前記フォトニック回路基板の支持体の端面、および(d)前記フォトニック回路基板の支持体の上部、の少なくとも1つに提供され、前記カプラを備えた光学ベンチが、配置された前記コネクタに結合されうる、ことを特徴とする、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
13. 前記カプラを備えた光学ベンチが、(a)フォトニック回路基板の端面、(b)前記フォトニック回路基板の上部、(c)前記フォトニック回路基板の支持体の端面、および(d)前記フォトニック回路基板の支持体の上部の少なくとも1つに提供され、前記コネクタが、配置された前記光学ベンチおよび前記カプラに結合されうる、ことを特徴とする、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
14. 前記コネクタが、前記カプラが前記コネクタに結合されているときに、前記カプラの表面と向かい合う表面を有し、前記コネクタの表面が角度付けされ、前記カプラの表面が前記コネクタの表面の角度に一致するように角度付けされる、ことを特徴とする、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
15. 前記コネクタが、フォトニック装置に結合された別の終端を有する光ファイバアレイの終端に位置し、前記カプラが、外部接続点に結合された別の終端を有する別の光ファイバアレイの終端に位置する、あるいは、前記コネクタと前記カプラとが逆である、ことを特徴とする、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
16. 前記カプラおよび前記光学ベンチが共に、取外し可能な直角コネクタを形成することを特徴とする、実施形態1~15のいずれかに記載の方法。
17. 前記カプラに対する前記光学ベンチの位置が、エポキシ、はんだ付けおよび溶接によって、前記所望の光学アラインメントにおいて固定されることを特徴とする、実施形態1~16のいずれかに記載の方法。
18. カプラおよび光学ベンチを含み、前記カプラに対する前記光学ベンチの位置が、実施形態1に記載の方法によって固定されることを特徴とする、取外し可能な直角コネクタ。
19. 前記光学ベンチが、
ベース;
前記ベース上に規定されたミラーのアレイであって、各ミラーが前記アレイ中で光ファイバに対応し、各ミラーが、前記ベースの上面に実質的に平行な平面における第1の方向に沿った第1の光路と前記平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光の向きを変える構造反射表面プロファイルを含む、アレイ;
前記第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされた光ファイバのセクションをそれぞれ受容する溝のアレイ
を含むことを特徴とする、実施形態18に記載の直角コネクタ。
20. 前記各ミラーの構造反射表面プロファイルが、前記光学ベンチ内の対応する光ファイバからの入射光ビームを拡張およびコリメートし、反対に、前記コリメート光ビームを前記光学ベンチ内の前記対応する光ファイバに集光するよう形成されることを特徴とする、実施形態19に記載の直角コネクタ。