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特許7569481電池、装置、電池の製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電池、装置、電池の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20241010BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20241010BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241010BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M10/658
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/613
H01M10/615
H01M50/342 101
H01M50/204 401H
H01M50/342 201
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022542009
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2020119738
(87)【国際公開番号】W WO2022067810
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 全国
(72)【発明者】
【氏名】叶 永煌
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲海▼族
(72)【発明者】
【氏名】梁 成都
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲倩▼
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111668408(CN,A)
【文献】国際公開第2009/113281(WO,A1)
【文献】特開2011-065906(JP,A)
【文献】特開2005-071917(JP,A)
【文献】国際公開第2013/069308(WO,A1)
【文献】特開2010-250984(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014418(WO,A1)
【文献】特開2015-133169(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060031(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/099293(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111106277(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0351219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-392
H01M 10/60-667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
少なくとも2つの電池セルであって、少なくとも2つの前記電池セルはいずれも放圧機構を含み、前記放圧機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで前記内部圧力を解放することに用いられ、前記放圧機構は前記電池セルの底部に位置する少なくとも2つの電池セルと、
少なくとも2つの排出通路であって、各前記排出通路は相互に隔離され、前記放圧機構と対向して設置され、且つ少なくとも2つの前記排出通路は前記放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する前記電池セルからの排出物を収集するように構成される少なくとも2つの排出通路と、を含み、
前記電池は筐体をさらに含み、前記筐体は底壁を含み、前記底壁は中空内腔を有し、前記中空内腔は前記排出通路を形成することに用いられ
前記電池は、流体を収容することで前記電池セルに対して温度調節を行うための熱管理部材をさらに含み、前記熱管理部材は前記電池セルと前記底壁との間に設置され、前記熱管理部材は、前記放圧機構が作動するときに破壊されて、前記流体を流出させるように構成される、電池。
【請求項2】
少なくとも2つの前記電池セルは隣接して設置される第1電池セルと第2電池セルを含み、前記第1電池セルの放圧機構及び前記第2電池セルの放圧機構はそれぞれ異なる前記排出通路と対向して設置される請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1電池セルのエネルギー密度は前記第2電池セルのエネルギー密度よりも大きい請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1電池セルと前記第2電池セルはn個の第1電池セル、m個の第2電池セルの配列方式で交互に配列され、n≧1、m≧1である請求項2又は3に記載の電池。
【請求項5】
前記第1電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの前記第1電池セルの放圧機構はそれぞれ異なる前記排出通路と対向して設置され、及び/又は、
前記第2電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの前記第2電池セルの放圧機構はそれぞれ異なる前記排出通路と対向して設置される請求項2~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
隣接する2つの前記第1電池セルの間に第1断熱部材が設置され、及び/又は、隣接する前記第2電池セルの間に第2断熱部材が設置される請求項5に記載の電池。
【請求項7】
隣接する前記第1電池セルと前記第2電池セルとの間に第3断熱部材が設置される請求項2~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記第1電池セルの放圧機構の面積は前記第2電池セルの放圧機構の面積よりも大きい請求項2~7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記筐体は複数の壁を有し、前記複数の壁は前記電池セルを収容する収容キャビティを囲んで形成することに用いられ、前記複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は中空内腔を有し、前記中空内腔は前記排出通路を形成することに用いられる請求項1~8のいずれか
1項に記載の電池。
【請求項10】
前記複数の壁は前記底壁を含み、前記底壁は前記電池セルを支持することに用いられる請求項9に記載の電池。
【請求項11】
少なくとも1つの前記壁は、前記放圧機構が作動するときに破壊されて、前記電池セルからの排出物が少なくとも1つの前記壁を通過して前記排出通路に入るように構成される請求項9又は10に記載の電池。
【請求項12】
少なくとも1つの前記壁に第1貫通穴が設けられ、前記第1貫通穴は、前記排出通路と連通して、前記放圧機構が作動するときに前記電池セルからの排出物が前記第1貫通穴を経由して前記排出通路に入るように構成される請求項9又は10に記載の電池。
【請求項13】
前記熱管理部材に第2貫通穴が設けられ、前記第2貫通穴は、前記排出通路と連通して、前記放圧機構が作動するときに前記電池セルからの排出物が前記第2貫通穴を経由して前記排出通路に入るように構成される請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記第2貫通穴は前記第1貫通穴を経由して前記排出通路と連通する請求項13に記載の電池。
【請求項15】
装置であって、請求項1~14のいずれか1項に記載の電池を含み、前記電池は電気エネルギーを提供することに用いられる装置。
【請求項16】
電池の製造方法であって、
少なくとも2つの電池セルを配置するステップであって、少なくとも2つの前記電池セルはいずれも放圧機構を含み、前記放圧機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで前記内部圧力を解放することに用いられ、前記放圧機構は前記電池セルの底部に位置するステップと、
少なくとも2つの排出通路を配置するステップであって、各前記排出通路は相互に隔離され、前記放圧機構と対向して設置され、且つ少なくとも2つの前記排出通路は前記放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する前記電池セルからの排出物を収集するように構成されるステップと、
底壁を含む筐体を配置するステップであって、前記底壁は中空内腔を有し、前記中空内腔は前記排出通路を形成することに用いられるステップと、
流体を収容することで前記電池セルに対して温度調節を行うための熱管理部材を配置するステップであって、前記熱管理部材は前記電池セルと前記底壁との間に設置され、前記熱管理部材は、前記放圧機構が作動するときに破壊されて、前記流体を流出させるように構成されるステップと、を含む電池の製造方法。
【請求項17】
電池の製造装置であって、
少なくとも2つの電池セルを配置するための電池セル配置モジュールであって、少なくとも2つの前記電池セルはいずれも放圧機構を含み、前記放圧機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで前記内部圧力を解放することに用いられ、前記放圧機構は前記電池セルの底部に位置する電池セル配置モジュールと、
少なくとも2つの排出通路を配置するための排出通路配置モジュールであって、各前記排出通路は相互に隔離され、前記放圧機構と対向して設置され、且つ少なくとも2つの前記排出通路は前記放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する前記電池セルからの排出物を収集するように構成される排出通路配置モジュールと、
底壁を含む筐体を配置するための筐体配置モジュールであって、前記底壁は中空内腔を有し、前記中空内腔は前記排出通路を形成することに用いられる筐体配置モジュールと、
流体を収容することで前記電池セルに対して温度調節を行うための熱管理部材を配置するための熱管理部材配置モジュールであって、前記熱管理部材は前記電池セルと前記底壁との間に設置され、前記熱管理部材は、前記放圧機構が作動するときに破壊されて、前記流体を流出させるように構成される熱管理部材配置モジュールと、を含む電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はエネルギー貯蔵の技術分野に関し、特に電池、装置、電池の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ及び排出削減は自動車産業の持続可能な発展の重要なポイントである。この場合、電動車両は、省エネであり、環境に優しいという優位性のため、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展の重要な要素である。電池技術の発展において、電池の性能の向上に加えて、安全上の問題も無視できない問題である。電池の安全を確保できなければ、該電池は使用できない。従って、如何に電池の安全性を高めるかは、電池技術において解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記問題に鑑みて、本願の実施例は電池、装置、電池の製造方法及び電池の製造装置を提供することで、電池の使用安全性を向上させる。
【0004】
上記目的を実現するために、本願の実施例は以下の技術的解決手段を提供する。
【0005】
本願の実施例の第1態様は電池を提供し、
少なくとも2つの電池セルであって、少なくとも2つの電池セルはいずれも放圧機構を含み、放圧機構は電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる少なくとも2つの電池セルと、
少なくとも2つの排出通路であって、各排出通路は相互に隔離され、放圧機構と対向して設置され、且つ少なくとも2つの排出通路は放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する電池セルからの排出物を収集するように構成される少なくとも2つの排出通路と、を含む。
【0006】
従来技術に比べて、本願の実施例に提供される電池は以下の利点を有する。
【0007】
本願の実施例に提供される電池は、少なくとも2つの電池セルにいずれも放圧機構を設置することによって、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに内部圧力を解放することを実現し、少なくとも2つの電池セルの放圧機構をそれぞれ相互に隔離される各排出通路と対向して設置することによって、各電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル内部の排出物を異なる排出通路から排出することを実現し、電池セル内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池セルから放出された固体物質が排出通路を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの電池セルは隣接して設置される第1電池セルと第2電池セルを含み、第1電池セルの放圧機構及び第2電池セルの放圧機構はそれぞれ異なる排出通路と対向して設置され、このようにして、隣接する第1電池セルと第2電池セルがそれぞれ異なる排出通路によって排出物を放出することを実現することができ、さらに、第1電池セル及び第2電池セルは排出物をケースの外部にタイムリーで且つ効果的に放出し、電池の使用安全性を向上させる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1電池セルのエネルギー密度は第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、このようにして、電池の使用安全性を確保すると共に、電池の容量を向上させることができ、また、第1電池セルの熱故障反応はより深刻であり、第1電池セルと第2電池セルは隣接することで、熱故障の連鎖反応を低減させることに有益であり、即ち、熱拡散の広がりを緩和することに有益であり、電池の使用安全性をさらに向上させる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1電池セルと第2電池セルはn個の第1電池セル、m個の第2電池セルの配列方式で交互に配列され、n≧1、m≧1である、このようにして、エネルギー密度が異なる第1電池セルと第2電池セルを、間隔を置いて設置することで、熱拡散の広がりを緩和することに有益であり、電池の使用安全性をさらに向上させる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第1電池セルの放圧機構はそれぞれ異なる排出通路と対向して設置され、このようにして、異なる第1電池セルがそれぞれ異なる排出通路によって排出物を放出することを実現することができ、さらに、第1電池セルの排出物を電池の外部にタイムリーで且つ効果的に排出し、そして、第1電池セルの熱故障が第2電池セルの熱故障を引き起こす確率を効果的に低減させることができ、さらに熱故障の連鎖反応を緩和することに有益であり、電池の使用安全性を向上させる。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第2電池セルの放圧機構はそれぞれ異なる排出通路と対向して設置され、このようにして、異なる第2電池セルがそれぞれ異なる排出通路によって排出物を放出することを実現することができ、さらに、第2電池セルの排出物を電池の外部にタイムリーで且つ効果的に排出し、そして、第2電池セルの熱故障が第1電池セルの熱故障を引き起こす確率を効果的に低減させることができ、さらに熱故障の連鎖反応を緩和することに有益であり、電池の使用安全性を向上させる。
【0013】
いくつかの実施形態では、隣接する2つの第1電池セルの間に第1断熱部材が設置され、このようにして、そのうち一方の第1電池セルに熱故障が発生するときに、第1断熱部材によって熱故障が発生した第1電池セルに隣接する第1電池セルに熱故障が発生することを効果的に阻止することができ、さらに電池の使用安全性を向上させる。
【0014】
いくつかの実施形態では、隣接する第2電池セルの間に第2断熱部材が設置され、このようにして、そのうち一方の第2電池セルに熱故障が発生するときに、第2断熱部材によって熱故障が発生した第2電池セルに隣接する第2電池セルに熱故障が発生することを効果的に阻止することができ、さらに電池の使用安全性を向上させる。
【0015】
いくつかの実施形態では、隣接する第1電池セルと第2電池セルとの間に第3断熱部材が設置され、このようにして、そのうちの第1電池セルに熱故障が発生するときに、第3断熱部材によって熱故障が発生した第1電池セルに隣接する第2電池セルに熱故障が発生することを効果的に阻止することができ、逆も同様である。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1電池セルの放圧機構の面積は第2電池セルの放圧機構の面積よりも大きく、このようにして、第1電池セルの熱故障反応がより深刻であっても、第1電池セルは面積がより大きい第1電池セルの放圧機構によって電池の外部にタイムリーに排出することができ、このとき、第2電池セルは第2電池セルの放圧機構によって電池の外部にタイムリーに排出することもでき、電池の使用安全性を向上させる。
【0017】
いくつかの実施形態では、電池は筐体をさらに含み、筐体は複数の壁を有し、複数の壁は電池セルを収容する収容キャビティを囲んで形成することに用いられ、複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は中空内腔を有し、中空内腔は排出通路を形成することに用いられる。筐体は収容キャビティ内に置かれた電池セルを保護することに用いられ、筐体の複数の壁のうちの少なくとも1つの壁に、排出通路を形成する中空内腔を設置することで、電池セルの放圧機構と中空内腔を対向して設置しやすくすることができ、さらに電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに、電池セルの排出物を中空内腔に排出することができ、このようにして、電池セルの熱故障ときに排出物を電池の外部にタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池の使用安全性を向上させる。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数の壁は底壁を含み、底壁は電池セルを支持することに用いられ、底壁は中空内腔を有し、このようにして、電池セル内の排出物は下向きに放出され、放圧機構を通過して底部に位置する中空内腔に入り、電池のこの設置形態によって、電池が車両の電池室に置かれた後、電池は、電池室の上方に位置する乗員室ではなく、車両の底部に排出物を放出し、さらに、電池の使用安全性をさらに増加する。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの壁は、放圧機構が作動するときに破壊されて、電池セルからの排出物が少なくとも1つの壁を通過して排出通路に入るように構成され、このようにして、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達し、電池セルの放圧機構を作動させ、且つ電池セル内部の排出物を放出するときに、電池セルから放出された排出物は筐体の少なくとも1つの壁に作用でき、筐体の電池セルの放圧機構と対向する部分を破壊し、筐体の中空内腔は放圧機構と連通し、電池セル内部の排出物を排出通路にタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現し、さらに、電池の使用安全性をさらに増加する。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの壁に第1貫通穴が設けられ、第1貫通穴は排出通路と連通して、放圧機構が作動するときに電池セルからの排出物が第1貫通穴を経由して排出通路に入るように構成され、このようにして、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達し、電池セルの放圧機構を作動させ、且つ電池セル内部の排出物を放出するときに、電池セルから放出された排出物は第1貫通穴を通過して筐体の中空内腔に入り、電池セル内部の排出物を排出通路にタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現し、さらに、電池の使用安全性をさらに増加する。
【0021】
いくつかの実施形態では、電池は、流体を収容することで電池セルに対して温度調節を行うための熱管理部材をさらに含み、熱管理部材は電池セルと少なくとも1つの壁との間に設置され、熱管理部材は放圧機構が作動するときに破壊されて、流体を流出させるように構成され、このようにして、電池セルの排出物は破壊された熱管理部材を通過して排出通路内に入ることができ、且つ熱管理部材が破壊されるため、流体が流出し、さらに流体によって電池内部の温度を迅速に下げ、熱故障の連鎖反応を緩和することに有益であり、電池の使用安全性を向上させる。
【0022】
いくつかの実施形態では、熱管理部材に第2貫通穴が設けられ、第2貫通穴は排出通路と連通して、放圧機構が作動するときに電池セルからの排出物が第2貫通穴を経由して排出通路に入るように構成され、このようにして、電池セルから放出された排出物は第2貫通穴を通過して排気通路内に迅速で且つスムーズに入ることができ、電池の使用安全性を向上させる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2貫通穴は第1貫通穴を経由して排出通路と連通し、このようにして、電池セルから放出された排出物は第2貫通穴を通過して第1貫通穴に迅速で且つスムーズに入ることができ、さらに排気通路内に入り、電池の使用安全性を向上させる。
【0024】
本願の実施例の第2態様は装置を提供し、上記電池を含み、電池は電気エネルギーを提供することに用いられる。
【0025】
本願の装置は、上記電池を利用して電気エネルギーを提供し、従って、各電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル内部の排出物を異なる排出通路から排出することができ、電池セル内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池セルから放出された固体物質が排出通路を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0026】
本願の実施例の第3態様は電池の製造方法を提供し、
少なくとも2つの電池セルを配置するステップであって、少なくとも2つの電池セルはいずれも放圧機構を含み、放圧機構は電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられるステップと、
少なくとも2つの排出通路を配置するステップであって、各排出通路は相互に隔離され、放圧機構と対向して設置され、且つ少なくとも2つの排出通路は放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する電池セルからの排出物を収集するように構成されるステップと、を含む。
【0027】
本願に提供される電池の製造方法は、少なくとも2つの電池セル及び少なくとも2つの排出通路を配置し、且つ少なくとも2つの排出通路を、電池セルの放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する電池セルからの排出物を収集するように構成することによって、各電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル内部の排出物を異なる排出通路から排出することができ、電池セル内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現し、電池セルから放出された固体物質が排出通路を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0028】
本願の実施例の第4態様は電池の製造装置を提供し、
少なくとも2つの電池セルを配置するための電池セル配置モジュールであって、少なくとも2つの電池セルはいずれも放圧機構を含み、放圧機構は電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる電池セル配置モジュールと、
少なくとも2つの排出通路を配置するための排出通路配置モジュールであって、各排出通路は相互に隔離され、放圧機構と対向して設置され、且つ少なくとも2つの排出通路は放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する電池セルからの排出物を収集するように構成される排出通路配置モジュールと、を含む。
【0029】
本実施例に提供される電池の製造装置は、電池セル配置モジュールによって少なくとも2つの電池セルを配置し、排出通路配置モジュールによって少なくとも2つの排出通路を配置し、且つ少なくとも2つの排出通路を、電池セルの放圧機構が作動するときにそれぞれ対応する電池セルからの排出物を収集するように構成し、それによって、各電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル内部の排出物を異なる排出通路から排出することができ、電池セル内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現し、電池セルから放出された固体物質が排出通路を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本願の車両の構造模式図である。
図2】本願の実施例の電池モジュールの構造模式図である。
図3】本願の実施例の電池パックの構造模式図である。
図4】本願の実施例の電池の構造模式図1である。
図5】本願の実施例の電池の分解図1である。
図6】本願の実施例の電池セルの構造模式図である。
図7】本願の実施例の電池セルの正面図である。
図8】本願の実施例の電池セルの右側面図である。
図9】本願の実施例の電池セルの平面図である。
図10】本願の実施例の電池の分解図2である。
図11】本願の実施例の第1電池セルの構造模式図である。
図12】本願の実施例の第2電池セルの構造模式図である。
図13】本願の実施例の底壁の構造模式図1である。
図14】本願の実施例の底壁の構造模式図2である。
図15】本願の実施例の熱管理部材の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
電池は化学エネルギーを電気エネルギーに転化する装置であり、新エネルギー自動車、エネルギー貯蔵発電所等の分野に広く適用される。
【0032】
従来の一種の電池は筐体、及び筐体内に設置される複数の電池セルを含み、複数の電池セルは直列接続及び/又は並列接続によって接続される。筐体に1つの排出通路が設置され、複数の電池セルに放圧機構が設置され、複数の電池セルの放圧機構は上記排出通路と連通する。電池セルに熱故障が発生するときに、電池セルは放圧機構によって電池セル内部の高温高圧気体を排出通路に放出することができ、さらに排出通路によって電池の外部に放出し、それによって使用安全性を向上させる。
【0033】
しかし、本願の発明者は研究した結果、電池内部の電池セル数が多いときに、電池セルの熱故障が通常、連鎖反応を引き起こし、具体的に、単一の電池セルの熱故障により、局所温度が急激に高くなり、さらに複数の電池セルの熱故障を引き起こし、複数の電池セルが同時に高温高圧気体を同一の排出通路内に放出し、排出通路内の温度がさらに高くなり、さらに、熱故障をさらに深刻にし、この熱故障の連鎖反応は燃焼、爆発の危険発生率を向上させ、電池の使用安全性を低減させる。また、電池セルの熱故障時に、放圧機構によって高温高圧気体を放出するだけでなく、電極シート等の固体物質を放出し、これらの固体物質は気流に伴って排出通路に入り、排出通路を塞ぎ、排出通路内の熱をさらに蓄積し、さらに、連鎖反応をさらに深刻にし、電池の使用安全性を低減させる。
【0034】
複数の電池セルが同時に高温高圧気体を同一の排出通路内に放出し、且つ電池セルから放出された固体物質が排出通路を塞ぎやすく、電池の燃焼及び爆発の危険発生率が高く、電池の安全性が低いという問題を解決するために、本願は電池、装置、電池の製造装置及び電池の製造方法を提供し、電池に少なくとも2つの排出通路を配置することによって、少なくとも2つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セルの排出物を、相互に隔離される少なくとも2つの排出通路から排出することができ、さらに、電池セル内部の排出物を電池セルの内部からタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池セルの燃焼及び爆発の発生率を低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0035】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術的解決手段を明確で、完全に説明することで、本願の実施例の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくする。明らかなように、説明される実施例は単に本願の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0036】
本願の実施例は装置及び電池を提供し、本願に提供される装置は電池を含み、電池は電気エネルギーを提供することに用いられ、本願に提供される装置は、例えば携帯電話、ポータブル機器、ノートパソコン、電動車両、電気自動車、汽船、宇宙船、電動玩具及び電動工具等であり、宇宙船は、例えば、飛行機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等であり、電動玩具は、例えば、固定式又は移動式の電動玩具を含み、具体的に、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具及び電動飛行機玩具等であり、電動工具は、例えば、金属切削電動工具、粉砕電動工具、組立用電動工具及び鉄道用電動工具を含み、具体的に、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマー、電動インパクトドリル、コンクリートバイブレーター及び電動かんなである。
【0037】
本願で説明される電池は、上記で説明された電力消費装置に適用することに限定されないが、説明を簡潔にするために、下記の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0038】
図1は本実施例の車両1の簡単な模式図である。車両1は燃料自動車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型電気自動車等であってもよい。車両1の内部に電池11が設置されてもよく、具体的に、例えば、車両の底部又は車両の前部又は後部に電池11が設置されてもよい。電池11は車両1の給電に用いることができ、例えば、電池11は車両1の操作電源として機能できる。車両1はコントローラ12及びモータ13をさらに含んでもよく、コントローラ12は、例えば、電池11がモータ13に給電することを制御することに用いられる。電池11は、車両1のブート、ナビゲーション等に用いることができ、当然ながら、電池11は、車両1を走行させるように駆動し、燃料又は天然ガスを替代し又は部分的に替代して車両1に駆動動力を提供することに用いることもできる。
【0039】
本実施例で言及される電池11は図2に示される電池モジュール又は図3に示される電池パック等であってもよく、電池モジュール及び電池パックの基本的な構造ユニットは電池セル111であり、複数の電池セル111は、電極端子を介して一体に直列接続及び/又は並列接続されることで、様々な電力消費装置に適用される。電池モジュールは外部衝撃、熱、振動等から電池セル111を保護するためのものであり、電池モジュールは所定の数の電池セル111を一体に電気的に接続して1つのフレームに入れることによって形成されるものである。電池パックは電気自動車の電池システムに組み込まれた最終状態である。従来の大部分の電池パックは、1つ又は複数の電池モジュールに電池管理システム、熱管理部材等の様々な制御及び保護システムを組み立てることによって製造される。技術の発展に伴って、電池モジュールそのものは省略でき、即ち、直接電池セル111により電池パックを形成する。この改良によって、電池システムの重量エネルギー密度、体積エネルギー密度を向上させると共に部品数を著しく低下させる。
【0040】
図4及び図5に示すように、本願の電池11は、少なくとも2つの電池セル111及び少なくとも2つの排出通路112を含み、少なくとも2つの電池セル111はいずれも放圧機構1111を含み(図11及び図12を参照できる)、放圧機構1111は電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられ、各排出通路112は相互に隔離され、放圧機構1111と対向して設置され、且つ少なくとも2つの排出通路112は放圧機構1111が作動するときにそれぞれ対応する電池セル111からの排出物を収集するように構成される。
【0041】
放圧機構1111とは電池セル111の内部圧力又は内部温度が所定の閾値に達するときに作動することで内部圧力及び/又は内部物質を解放することができる素子又は部材を指す。放圧機構1111は、具体的に、例えば、防爆弁、空気弁、リリーフ弁又は安全弁等の形態を用いることができ、具体的に、感圧又は感温の素子又は構造を用いることができ、即ち、電池セル111の内部圧力又は温度が所定の閾値に達するときに、放圧機構1111が動作し又は放圧機構1111に設けられた弱い構造が破壊され、それにより内部圧力を解放するための開口又は通路が形成される。本願に記載の閾値は圧力閾値又は温度閾値であってもよく、該閾値の設計は異なる設計ニーズに応じて異なり、例えば、危険又は制御不能リスクが存在すると考えられる電池セル111の内部圧力又は内部温度値に基づいて該閾値を設計又は特定することができる。且つ、該閾値は、例えば、電池セル111の正極板、負極板、電解液及びセパレータの一種又は複数種が用いる材料により決まる可能性がある。
【0042】
本願で言及される「作動」とは放圧機構1111が動作し又は所定の状態にアクティブ化されることを指し、それにより電池セル111の内部圧力を解放する。放圧機構1111の動作は、放圧機構1111の少なくとも一部が破裂し、破砕し、引き裂かれ又は開くこと等を含んでもよいが、それらに制限されない。放圧機構1111が作動するときに、電池セル111の内部の高温高圧物質は排出物として作動部位から外へ排出される。この方式によって圧力又は温度が制御可能な状況下で電池セル111を放圧することができ、それにより、潜んでいるより深刻な事故を回避する。本願で言及される電池セル111からの排出物は、電解液、溶解又は分割された正負極板、セパレータの破片、反応に生じた高温高圧気体、炎等を含むが、それらに制限されない。高温高圧の排出物は電池セル111の放圧機構1111が設置された方向に向かって排出され、より具体的に、放圧機構1111が作動する領域に向かう方向に沿って排出され、この排出物の威力及び破壊力は強い可能性があり、ひいては、該方向における1つ又は複数の部品を破るのに十分である可能性がある。
【0043】
本願の電池セル111は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セル111は円筒体、偏平体、直方体又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれも限定しない。電池セル111は、包装方法に応じて、一般的に柱形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルに分けられ、本願の実施例はこれも限定しない。
【0044】
図6図9に示すように、電池セル111は、通常、電極組立体(図示せず)及び電解液(図示せず)を含み、電極組立体は、正極板、負極板、正極板と負極板との間に設置されるセパレータからなり、電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することによって動作する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとされる。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコン等であってもよい。大電流が流れても溶断しないことを確保するために、正極タブは複数あり且つ一体に積層され、負極タブは複数あり且つ一体に積層される。セパレータの材質はポリプロピレン(PPと略称)又はポリエチレン(PEと略称)等であってもよい。また、電極組立体は巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、電極組立体の数は1つ又は複数であってもよく、本願の実施例はこれを具体的に制限しない。電池セル111はケース1114をさらに含み、電極組立体及び電解液はいずれもケース1114内に包装され、ケース1114は中空の直方体、立方体又は円筒体であってもよく、ケース1114の材質はアルミニウム又は鋼及びその合金であってもよく、プラスチック材質又はアルミプラスチックフィルムであってもよい。ケース1114に正電極端子1112及び負電極端子1113がさらに設置され、正極タブは正電極端子1112に電気的に接続され、負極タブは負電極端子1113に電気的に接続され、それによって電気エネルギーを出力する。ケース1114に上記放圧機構1111がさらに設置され、放圧機構1111はケース1114の任意の位置に設置されてもよく、例えば、放圧機構1111はケース1114の最上部、底部又は側部に設置されてもよく、放圧機構1111は正電極端子1112と負電極端子1113との間に設置されてもよく、本願はこれを具体的に制限せず、電池セル111の内部圧力の放出を実現できればよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、図5に示すように、電池11は筐体113をさらに含み、筐体113は複数の壁を有し、複数の壁は電池セル111を収容する収容キャビティを囲んで形成することに用いられ、複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は中空内腔を有し、中空内腔は排出通路112を形成することに用いられる。筐体113はシール又は非シールのものであってもよい。具体的に、例えば、筐体113は最上部に位置する頂壁(図示せず)、下部に位置する底壁1131、及び底壁1131の四周に位置する側壁1132を含み、頂壁及び底壁1131はそれぞれ側壁1132の両端の開口箇所に蓋合され、さらに側壁1132と共に収容キャビティを囲んで形成する。当然ながら、側壁1132は4つのサブ側壁により首尾囲んで形成されてもよく、一体部材であってもよい。筐体113は収容キャビティ内に置かれた電池セル111を保護することに用いられ、筐体113の複数の壁のうちの少なくとも1つの壁に、排出通路112を形成する中空内腔を設置することで、電池セル111の放圧機構1111と中空内腔を対向して設置しやすくすることができ、さらに電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに、電池セル111の排出物を中空内腔に排出することができる。
【0046】
さらに、底壁1131は電池セル111を支持することに用いられ、底壁1131は中空内腔を有し、それに対応して、電池セル111の放圧機構1111もケース1114の底部に設置される。このようにして、電池セル111内の排出物は下向きに放出され、放圧機構1111を通過して底部に位置する中空内腔に入る。電池11のこの設置形態によって、電池11が車両1の電池室に置かれた後、電池11は、電池室の上方に位置する乗員室ではなく、車両1の底部に排出物を放出し、さらに、電池11の使用安全性をさらに増加する。
【0047】
いくつかの実施形態では、電池セル111の排出物を排出通路112にタイムリーで且つ効果的に排出しやすくするために、電池セル111の放圧機構1111は排出通路112と連通できるように構成される。電池セル111の放圧機構1111と筐体113の排出通路112を形成する中空内腔との連通方式は、下記の2つの実施形態によって説明され、なお、以下の2つの実施形態は2つの実行可能な実施形態を例示的に与えるものに過ぎず、電池セル111の放圧機構1111と中空内腔との連通方式を限定するものではない。
【0048】
一方の実施形態では、電池11の筐体113の少なくとも1つの壁は、放圧機構1111が作動するときに破壊されて、電池セル111からの排出物が少なくとも1つの壁を通過して排出通路112に入るように構成される。換言すれば、筐体113の少なくとも1つの壁に中空内腔が設置され、上記の頂壁、底壁1131又は側壁1132であってもよく、且つ筐体113の電池セル111の放圧機構1111と対向する部分は放圧機構1111が作動していないときに完全な壁面を有し、即ち、筐体113の電池セル111の放圧機構1111と対向する部分は放圧機構1111が作動していないときに中空内腔と連通する穴構造を有さない。しかし、電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達し、電池セル111の放圧機構1111を作動させ、且つ電池セル111内部の排出物を放出するときに、電池セル111から放出された排出物は筐体113の少なくとも1つの壁に作用でき、筐体113の電池セル111の放圧機構1111と対向する部分を破壊し(破損又は破裂を発生させる)、筐体113の中空内腔は放圧機構1111と連通し、このようにして、電池セル111内部の排出物を排出通路112にタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現する。
【0049】
他方の実施形態では、図5に示すように、電池11の筐体113の少なくとも1つの壁に第1貫通穴1133が設けられ、上記の頂壁、底壁1131又は側壁1132であってもよく、第1貫通穴1133は、排出通路112と連通して、放圧機構1111が作動するときに電池セル111からの排出物が第1貫通穴1133を経由して排出通路112に入るように構成される。電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達し、電池セル111の放圧機構を作動させ、且つ電池セル111内部の排出物を放出するときに、電池セル111から放出された排出物は、第1貫通穴1133を通過して筐体113の中空内腔に入り、このようにして、電池セル111内部の排出物を排出通路112にタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現する。
【0050】
本願の実施例に提供される電池11は、少なくとも2つの電池セル111にいずれも放圧機構1111を設置することによって、電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに内部圧力を解放することを実現し、少なくとも2つの電池セル111の放圧機構1111をそれぞれ相互に隔離される各排出通路112と対向して設置することによって、各電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル111内部の排出物を異なる排出通路112から排出することを実現し、電池セル111内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池セル111から放出された固体物質が排出通路112を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0051】
いくつかの実施形態では、図4図5及び10に示すように、電池11の少なくとも2つの電池セル111は隣接して設置される第1電池セル1115と第2電池セル1116を含み、第1電池セル1115の放圧機構1111及び第2電池セル1116の放圧機構1111はそれぞれ異なる排出通路112と対向して設置され、このようにして、隣接する第1電池セル1115と第2電池セル1116がそれぞれ異なる排出通路112によって排出物を放出することを実現することができ、さらに、第1電池セル1115及び第2電池セル1116は排出物をケースの外部にタイムリーで且つ効果的に放出し、第1電池セル1115から放出された高温高圧気体がそれに隣接する第2電池セル1116に熱故障を速く発生させることを効果的に低減させ、即ち、放圧機構が作動するときに、連鎖反応、即ち熱拡散が発生することを効果的に低減させ、さらに、隣接する第1電池セル1115と第2電池セル1116が短時間内にいずれも熱故障が発生し、且つ排出物が同一の排出通路112に入るため、排出通路112を塞ぐ確率ことを効果的に低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0052】
第1電池セル1115と第2電池セル1116は同じ電池セル111であってもよく、異なる電池セル111であってもよい。ここでの「同じ」とは第1電池セル1115と第2電池セル1116が化学体系、形状、サイズ、体積、質量、エネルギー密度等の面で基本的に一致することを指すが、ここでの「異なる」とは第1電池セル1115と第2電池セル1116が化学体系、形状、サイズ、体積、質量、エネルギー密度等の面の少なくとも1つにおいて著しく異なることを指す。いくつかの実施形態では、第1電池セル1115のエネルギー密度は第2電池セル1116のエネルギー密度よりも大きく、エネルギー密度とは、単位質量又は単位体積の電池11が放出するエネルギーを指し、即ち、重量エネルギー密度又は体積エネルギー密度である。いくつかの実施形態では、第1電池セル1115のエネルギー密度E1と第2電池セル1116のエネルギー密度E2との比は1.26≦E1/E2≦2.14を満たす。いくつかの実施形態では、第1電池セル1115は、例えば三元系リチウム電池セルであり、具体的に、例えば、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム電池セル又はニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム電池セルであり、第2電池セル1116は、例えば、リン酸鉄リチウム電池セル又はコバルト酸リチウム電池セルである。説明に値する点としては、第1電池セル1115のエネルギー密度が第2電池セル1116のエネルギー密度よりも大きく、且つ第1電池セル1115と第2電池セル1116が隣接して設置されるときに、通常、第1電池セル1115の熱故障反応がより深刻であり、第1電池セル1115と第2電池セル1116が隣接するため、熱故障の連鎖反応を低減させることに有益であり、即ち、熱拡散の広がりを緩和することに有益であり、電池11の使用安全性をさらに向上させる。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1電池セル1115と第2電池セル1116が同じ電池セル111であるか、異なる電池セル111であるかに関わらず、第1電池セル1115と第2電池セル1116の配列方式は以下のとおりであってもよい。第1電池セル1115と第2電池セル1116はn個の第1電池セル1115、m個の第2電池セル1116の配列方式で交互に配列され、n≧1、m≧1であり、且つn、mはいずれも整数である。
【0054】
nとmの値は同じ値を取ってもよく、異なる値を取ってもよく、例えば、いくつかの実施形態では、図2図4及び図5に示すように、nとmの値はいずれも1であり、即ち、n=1、m=1であり、このとき、第1電池セル1115と第2電池セル1116は一行又は一列に1つずつ間隔を置いて配列され、即ち、隣接する2つの第1電池セル1115の間に1つの第2電池セル1116が設置され、且つ隣接する2つの第2電池セル1116の間に1つの第1電池セル1115が設置され、また例えば、いくつかの実施形態では、図3に示すように、nとmの値はいずれも6であり、即ち、n=6、m=6であり、このとき、6つの第1電池セル1115と6つの第2電池セル1116は配列ユニットを構成し、配列ユニットは3つあり、3つの配列ユニットの配列方向は図3に示されるY軸方向に沿い、各配列ユニット内部の6つの第1電池セル1115と6つの第2電池セル1116は図3に示されるX方向に沿って配列され、且つ隣接する2つの配列ユニットにおいて、第1電池セル1115と第2電池セル116は相互にずらして配列され、また例えば、別のいくつかの実施形態では、図10に示すように、nの値は2であり、mの値は2であり、即ち、n=2、m=2であり、このとき、第1電池セル1115と第2電池セル1116は2つの第1電池セル1115、2つの第2電池セル1116を一行又は一列に2つずつ間隔的に置いて配列し、即ち、2つの第1電池セル1115、2つの第2電池セル1116からなる配列ユニットを一行又は一列にサイクル配列する。理解できるように、nの値及びmの値は別の値であってもよく、ここで列挙しない。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1電池セル1115は少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第1電池セル1115の放圧機構1111はそれぞれ異なる排出通路112と対向して設置され、このようにして、異なる第1電池セル1115がそれぞれ異なる排出通路112によって排出物を放出することを実現することができ、さらに、第1電池セル1115の排出物を電池11の外部にタイムリーで且つ効果的に排出し、そして、第1電池セル1115の熱故障が第2電池セル1116の熱故障を引き起こす確率を効果的に低減させることができ、さらに熱故障の連鎖反応を緩和することに有益であり、電池11の使用安全性を向上させる。
【0056】
別のいくつかの実施形態では、第2電池セル1116は少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第2電池セル1116の放圧機構1111はそれぞれ異なる排出通路112と対向して設置され、このようにして、異なる第2電池セル1116がそれぞれ異なる排出通路112によって排出物を放出することを実現することができ、さらに、第2電池セル1116の排出物を電池11の外部にタイムリーで且つ効果的に排出する。
【0057】
また、別のいくつかの実施形態では、少なくとも2つの排出通路112の数は2つであり、あらゆる第1電池セル1115の放圧機構1111は一方の排出通路112と連通し、あらゆる第2電池セル1116の放圧機構1111は他方の排出通路112と連通し、このとき、例えば、底壁1131に相互に隔離される2つの排出通路112を設置することができ、例示的に、第1電池セル1115と第2電池セル1116は一列に配列され、第1電池セル1115と第2電池セル1116の長さ及び幅はほぼ同じであってもよく、厚さは同じであってもよく、同じでなくてもよく、且つ第1電池セル1115の放圧機構1111とその一側辺との距離は第1電池セル1115の幅の4分の1であり、第2電池セル1116の放圧機構1111とその一側辺との距離は第2電池セル1116の幅の4分の1であり、且つ第1電池セル1115の放圧機構1111と第2電池セル1116の放圧機構1111は一直線上に設置されず、即ち、第1電池セル1115の放圧機構1111と第2電池セル1116の放圧機構1111とは第1電池セル1115と第2電池セル1116の配列方向において交互に設置される。このようにして、第1電池セル1115の放圧機構1111は底壁1131の一方の排出通路112と対向して設置され、第2電池セル1116の放圧機構1111は底壁1131の他方の排出通路112と対向して設置され、それによって、第1電池セル1115の内部圧力又は温度が閾値に達するときに、第1電池セル1115内部の排出物を一方の排出通路112から放出し、第2電池セル1116の内部圧力又は温度が閾値に達するときに、第2電池セル1116内部の排出物を他方の排出通路112から放出することを実現し、さらに、第1電池セル1115及び第2電池セル1116の排出物を電池11の外部にタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0058】
当然ながら、上記実施形態の代替の実施形態では、図11及び図12に示すように、第1電池セル1115の放圧機構1111とその一側辺との距離は第1電池セル1115の幅の4分の1であってもよく、第2電池セル1116の放圧機構1111とその一側辺との距離は第2電池セル1116の幅の2分の1であってもよく、このときも、第1電池セル1115の放圧機構1111と第2電池セル1116の放圧機構1111は一直線上に設置されない。
【0059】
当然ながら、別のいくつかの実施形態では、第1電池セル1115の総数は2つ以上であってもよく、少なくとも2つの排出通路112の数は3つであり、1つの排出通路112は他の2つの排出通路112の間に位置し、任意の隣接する2つの第1電池セル1115の放圧機構1111はそれぞれそのうちの2つの排出通路112と連通でき、第2電池セル1116の放圧機構1111は別の1つの排出通路112と連通できる。さらに、任意の隣接する2つの第1電池セル1115は両側に位置する排出通路112と連通でき、第2電池セル1116の放圧機構1111は中間に位置する排出通路112と連通できる。
【0060】
又は、いくつかの実施形態では、設置される少なくとも2つの排出通路112はいずれも第1電池セル1115と連通でき、且つ隣接する2つの第1電池セル1115の放圧機構1111はそれぞれ異なる排出通路112と連通でき、第2電池セル1116はそれと対向する排出通路112が設置されない。
【0061】
図10に示すように、本願の電池11において、いくつかの実施形態では、隣接する2つの第1電池セル1115の間に第1断熱部材114がさらに設置され、そのうち一方の第1電池セル1115に熱故障が発生するときに、第1断熱部材114によって熱故障が発生した第1電池セル1115に隣接する第1電池セル1115に熱故障が発生することを効果的に阻止することができる。いくつかの実施形態では、隣接する第2電池セル1116の間に第2断熱部材115がさらに設置され、そのうち一方の第2電池セル1116に熱故障が発生するときに、第2断熱部材115によって熱故障が発生した第2電池セル1116に隣接する第2電池セル1116に熱故障が発生することを効果的に阻止することができる。いくつかの実施形態では、隣接する第1電池セル1115と第2電池セル1116との間に第3断熱部材116がさらに設置され、そのうちの第1電池セル1115に熱故障が発生するときに、第3断熱部材116によって熱故障が発生した第1電池セル1115に隣接する第2電池セル1116に熱故障が発生することを効果的に阻止することができ、逆も同様である。いくつかの実施形態では、電池11は第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116は発泡体、ゴム、断熱綿、エアロゲル断熱パッドのうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116は口字型フレーム構造として構成されてもよく、さらに、第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116は口字型フレームの中空部を充填するための充填部材をさらに含み、充填部材は弾性を有し、充填部材は発泡体、ゴム、断熱綿、エアロゲル断熱パッドから選ばれる少なくとも1つである。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1電池セル1115の放圧機構1111の面積は第2電池セル1116の放圧機構1111の面積よりも大きい。説明に値する点としては、この実施形態では、通常、第1電池セル1115のエネルギー密度は第2電池セル1116のエネルギー密度よりも大きく、このようにして、第1電池セル1115の熱故障反応がより深刻であっても、第1電池セル1115は面積がより大きい第1電池セル1115の放圧機構1111によって電池11の外部にタイムリーに排出することができ、このとき、第2電池セル1116は第2電池セル1116の放圧機構1111によって電池11の外部にタイムリーに排出することができ、電池11の使用安全性を向上させる。いくつかの実施形態では、第1放圧機構1111の面積Aと第2放圧機構1111の面積Aとの比は1.5≦A/A≦4を満たす。
【0063】
なお、いくつかの実施形態では、電池11は、流体を収容することで電池セル111に対して温度調節を行うための熱管理部材117をさらに含み、熱管理部材117は電池セル111と少なくとも1つの壁との間に設置される。熱管理部材117を設置し、且つ熱管理部材117を電池セル111と少なくとも1つの壁との間に設置するように限定することによって、電池セル111の温度に対する調節を実現することができ、さらに、電池セル111はより効率的で安全に充放電することができる。ここでの流体は液体又はガスであってもよく、温度調節とは電池セル111を加熱又は冷却することを指す。電池セル111を冷却又は降温する場合、該熱管理部材117は冷却流体を収容することで電池セル111の温度を下げることに用いられ、このとき、熱管理部材117は冷却部材、冷却システム又は冷却板等と呼ばれてもよく、それに収容される流体は冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的に、クーラント又は冷却ガスと呼ばれてもよい。また、熱管理部材117は加熱流体を収容することで電池セル111を昇温することに用いられてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。選択的に、流体は循環するものであってもよく、それによって、よりよい温度調節効果を達成する。選択的に、流体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよい。
【0064】
熱管理部材117は放圧機構1111が作動するときに破壊されて(破損又は破裂が発生する)、流体を流出させるように構成される。即ち、熱管理部材117は電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達し高温高圧気体を放出する必要があるときに、電池セル111から放出された排出物を利用して熱管理部材117に作用し、さらに熱管理部材117を破壊し、電池セル111の排出物は破壊された熱管理部材117を通過して排出通路112(即ち、筐体113の中空内腔)内に入ることができる。且つ、熱管理部材117が破壊されるため、流出する流体、例えばクーラントが、大量の熱を吸収してガス化し、電池11内部の温度を迅速に下げることができ、熱故障の連鎖反応を緩和することに有益であり、電池11の使用安全性を向上させる。
【0065】
例示的に、図5に示すように、熱管理部材117は、例えば水冷却板であり、水冷却板内に流体通路が設置され、流体通路の一端に入水口が形成され、水流通路の他端に排水口が形成され、電池セル111が正常に動作するときに、水冷却板内の水温を調節することによって、さらに電池セル111の温度を調節し、さらに電池セル111の充放電を比較的に合理的な温度範囲内に動作させ、電池11の充電効率及び放電効率を向上させる。電池セル111に熱故障が発生する場合、電池セル111から放出された内部圧力が水冷却板を破損し、さらに水冷却板内部の水をガス化し、さらに電池セル111から放出された高温ガスの熱を吸収し、電池セル111に燃焼及び爆発が発生する確率をさらに低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0066】
選択的に、熱管理部材117に第2貫通穴1171が設けられ、第2貫通穴1171は排出通路112と連通でき、放圧機構1111が作動するときに電池セル111からの排出物が第2貫通穴1171を経由して排出通路112に入るように構成される。選択的に、第2貫通穴1171は電池セル111に設置された放圧機構1111の面積以上であるように設置されてもよい。このようにして、電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達し、電池セル111の放圧機構1111を作動させ、且つ電池セル111内部の排出物を放出するときに、電池セル111から放出された排出物は、第2貫通穴1171を通過して排気通路112(即ち筐体113の中空内腔)内に迅速で且つスムーズに入り、電池セル111内部の排出物を排出通路112にタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現する。さらに、筐体113の少なくとも1つの壁に第1貫通穴1133が設けられ、第1貫通穴1133は排出通路112と連通するように構成されるときに、このとき、第2貫通穴1171は第1貫通穴1133を経由して排出通路112と連通し、電池セル111から放出された排出物は、順に第2貫通穴1171及び第1貫通穴1133を通過して排気通路112(即ち筐体113の中空内腔)に入り、このようにして、電池セル111内部の排出物を排出通路112にタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現する。
【0067】
説明に値する点としては、上記の実施形態では、第2貫通穴1171は第1貫通穴1133と一対一で対応する必要があり、例示的に、図13の底壁1131に2つの排出通路112が設置され、図14の底壁1131に2つの排出通路112と連通する複数の第1貫通穴1133が設置され、それに対応して、図15の熱管理部材117に第1貫通穴1133と一対一で対応する複数の第2貫通穴1171が設置される。
【0068】
以上は図1図15を参照しながら本願の実施例の電池11を説明し、以下、本願の実施例の電池11の製造方法及び装置を説明し、詳細に説明していない部分は上記の各実施例を参照すればよい。
【0069】
本願の実施例は電池11の製造方法を提供し、以下のステップを含む。
【0070】
少なくとも2つの電池セル111を配置し、少なくとも2つの電池セル111はいずれも放圧機構1111を含み、放圧機構1111は電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる。
【0071】
少なくとも2つの排出通路112を配置し、各排出通路112は相互に隔離され、放圧機構1111と対向して設置され、且つ少なくとも2つの排出通路112は放圧機構1111が作動するときにそれぞれ対応する電池セル111からの排出物を収集するように構成される。
【0072】
本実施例に提供される電池の製造方法は、少なくとも2つの電池セル111及び少なくとも2つの排出通路112を配置し、且つ少なくとも2つの排出通路112を、電池セル111の放圧機構1111が作動するときにそれぞれ対応する電池セル111からの排出物を収集するように構成することによって、各電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル111内部の排出物を異なる排出通路112から排出することができ、電池セル111内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出できることを実現し、電池セル111から放出された固体物質が排出通路112を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0073】
本願の実施例は電池11の製造装置を提供し、電池セル配置モジュールと、排出通路配置モジュールとを含む。
【0074】
電池セル配置モジュールは少なくとも2つの電池セル111を配置することに用いられ、少なくとも2つの電池セル111はいずれも放圧機構1111を含み、放圧機構1111は電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる。
【0075】
排出通路配置モジュールは少なくとも2つの排出通路112を配置することに用いられ、各排出通路112は相互に隔離され、放圧機構1111と対向して設置され、且つ少なくとも2つの排出通路112は放圧機構1111が作動するときにそれぞれ対応する電池セル111からの排出物を収集するように構成される。
【0076】
本実施例に提供される電池11の製造装置は、電池セル配置モジュールによって少なくとも2つの電池セル111を配置し、排出通路配置モジュールによって少なくとも2つの排出通路112を配置し、且つ少なくとも2つの排出通路112を、電池セル111の放圧機構1111が作動するときにそれぞれ対応する電池セル111からの排出物を収集するように構成し、それによって、各電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達するときに、少なくとも2つの電池セル111内部の排出物を異なる排出通路112から排出できることを実現し、電池セル111内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池セル111から放出された固体物質が排出通路112を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0077】
本実施例に提供される電池の製造装置は、上記実施例の電池11の製造方法に適用でき、即ち、上記実施例の電池の製造方法は本実施例の電池11の製造装置によって具体的に実施することができる。
【0078】
以上より、本願に提供される電池11、装置、電池の製造方法及び電池の製造装置は、電池セル111の放圧機構1111作動するときに、少なくとも2つの排出通路112がそれぞれ対応する電池セル111からの排出物を収集するように構成されることによって、少なくとも2つの電池セル111内部の排出物を異なる排出通路112から排出することができ、電池セル111内部の排出物をタイムリーで且つ効果的に排出することができ、電池セル111から放出された固体物質が排出通路112を塞ぐ可能性を効果的に低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0079】
本明細書の各実施例又は実施形態は進歩的な方式で説明され、各実施例の説明の焦点はいずれも他の実施例との相違点であり、各実施例間の同じ又は類似の部分は相互に参照すればよい。
【0080】
本明細書の説明において、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示的な実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」等の参照用語の説明は、実施形態又は例と合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は必ずしも同じ実施形態又は例を指さない。そして、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性を適当な方式で組み合わせることができる。
【0081】
最後に、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。上記の各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、依然として上記の各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又は技術的特徴の一部又は全部に対して均等置換を行うことができ、これらの修正又は置換によって、対応する技術的解決手段の本質が本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しない。
【符号の説明】
【0082】
1-車両
11-電池
111-電池セル
1111-放圧機構
1112-正電極端子
1113-負電極端子
1114-ケース
1115-第1電池セル
1116-第2電池セル
112-排出通路
113-筐体
1131-底壁
1132-側壁
1133-第1貫通穴
114-第1断熱部材
115-第2断熱部材
116-第3断熱部材
117-熱管理部材
1171-第2貫通穴
12-コントローラ
13-モータ
図1
図2
図3
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図5
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