(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241010BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241010BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241010BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241010BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20241010BHJP
H01M 10/6552 20140101ALI20241010BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20241010BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/291
H01M50/342 101
H01M10/613
H01M10/653
H01M10/6552
H01M10/6567
(21)【出願番号】P 2023506041
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2021109128
(87)【国際公開番号】W WO2023004660
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲飄▼▲飄▼
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 明光
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲賢▼▲達▼
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026973(WO,A1)
【文献】特開2017-147128(JP,A)
【文献】特表2018-526772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/30-50/392
H01M 10/613
H01M 10/6567
H01M 10/653
H01M 10/6552
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
複数の電池セ
ルであって、前記電池セ
ルの第1の
壁に前記電池セ
ルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すための放圧機
構が設置される複数の電池セ
ルと、
前記電池セ
ルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部
品とを含み、
ここで、前記熱管理部
品の第1の表面は、前記第1の
壁に付設され、前記第1の表面上に前記放圧機
構に対応する退避領
域が設置され、前記退避領
域は、前記放圧機
構が作動する時に、前記放圧機
構に変形空間を提供するためのものであり、前記退避領
域内に破壊補助物
質が設置され、前記破壊補助物
質は、前記放圧機
構が作動する時に、前記流体を前記熱管理部
品の内部から排出するように、前記熱管理部
品の破壊を補助するためのものである、
電池。
【請求項2】
前記破壊補助物
質は、前記放圧機
構が作動する時に、前記電池セ
ルの排出物の作用で酸素を放出するためのものである、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記破壊補助物
質は、硫酸亜鉛、過マンガン酸カリウムと塩素酸カリウムのうちの少なくとも一つを含む、
請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記破壊補助物
質は、前記放圧機
構が作動する時に、前記電池セ
ルの排出物の作用で熱を放出するためのものである
請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記破壊補助物
質は、酸化鉄、四酸化三鉄、二酸化マンガン、五酸化バナジウムと酸化クロムのうちの少なくとも一つを含む、
請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記退避領
域は、前記熱管理部
品上の貫通孔である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記破壊補助物
質は、前記貫通孔の側壁に設置される、
請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記退避領
域は、前記熱管理部
品上の第1の凹
溝である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記破壊補助物
質は、前記第1の凹
溝の側壁に設置される、
請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記破壊補助物
質の厚さの範囲は、3mm~10mmである、
請求項7又は9に記載の電池。
【請求項11】
前記破壊補助物
質は、前記第1の凹
溝の底壁に設置される、
請求項8に記載の電池。
【請求項12】
前記破壊補助物
質の厚さは、2mm以下である、
請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記第1の凹
溝の底壁上に第2の凹
溝が設置され、前記破壊補助物
質は、前記第2の凹
溝の底壁に設置される、
請求項11又は12に記載の電池。
【請求項14】
前記破壊補助物
質の厚さは、前記第2の凹
溝の深さ以下である、
請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記破壊補助物
質は、パッケージングフィルムに包まれる、
請求項1~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
前記パッケージングフィルムは、前記退避領
域内に貼り付けて固定される、
請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記破壊補助物
質は、粉末状である、
請求項15又は16に記載の電池。
【請求項18】
前記パッケージングフィルムは、アルミニウムプラスチックフィルム、PPフィルム又はPCフィルムである、
請求項15~17のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
前記熱管理部
品の材料は、アルミニウムである、
請求項1~18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
前記熱管理部
品は、第1の熱伝導
板と第2の熱伝導
板を含み、前記第1の熱伝導
板は、前記第1の
壁と前記第2の熱伝導
板との間に位置し且つ前記第1の
壁に付設され、前記第1の熱伝導
板の第1の領域は、貫通孔を有し、前記第2の熱伝導
板の第2の領域は、前記第1の領域に対応し、前記第2の領域は、前記第1の熱伝導
板から離れる方向に突出して前記退避領
域を形成する、
請求項8~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項21】
前記熱管理部
品は、第1の熱伝導
板と第2の熱伝導
板を含み、前記第1の熱伝導
板は、前記第1の
壁と前記第2の熱伝導
板との間に位置し且つ前記第1の
壁に付設され、前記第1の熱伝導
板の第1の領域に第3の凹
溝が設置され、前記第3の凹
溝は、前記退避領
域であり、前記第2の熱伝導
板の第2の領域は、前記第1の領域に対応し、前記第2の領域に第4の凹
溝が設置され、前記第3の凹
溝は、前記第4の凹
溝内に位置し、前記第3の凹
溝の側壁と前記第4の凹
溝の側壁との間に、前記流体を収容するために、流路が形成される、
請求項8~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項22】
電力消費装置であって、請求項1~21のいずれか一項に記載の電池を含み、前記電池は、前記電力消費装置に電気エネルギーを提供するためのものである、電力消費装置。
【請求項23】
電池を製造する方法であって、
複数の電池セ
ルであって、前記電池セ
ルの第1の
壁に前記電池セ
ルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すための放圧機
構が設置される複数の電池セ
ルを提供することと、
前記電池セ
ルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部
品を提供することとを含み、
ここで、前記熱管理部
品の第1の表面は、前記第1の
壁に付設され、前記第1の表面上に、前記放圧機
構に対応する退避領
域が設置され、前記退避領
域は、前記放圧機
構が作動する時に、前記放圧機
構に変形空間を提供するためのものであり、前記退避領
域内に破壊補助物
質が設置され、前記破壊補助物
質は、前記放圧機
構が作動する時に、前記流体を前記熱管理部
品の内部から排出するように、前記熱管理部
品の破壊を補助するためのものである、
電池を製造する方法。
【請求項24】
電池を製造する装置であって、提供モジュールを含み、前記提供モジュールは、
複数の電池セ
ルであって、前記電池セ
ルの第1の
壁に前記電池セ
ルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すための放圧機
構が設置される複数の電池セ
ルを提供し、
前記電池セ
ルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部
品を提供するためのものであり、
ここで、前記熱管理部
品の第1の表面は、前記第1の
壁に付設され、前記第1の表面上に、前記放圧機
構に対応する退避領
域が設置され、前記退避領
域は、前記放圧機
構が作動する時に、前記放圧機
構に変形空間を提供するためのものであり、前記退避領
域内に破壊補助物
質が設置され、前記破壊補助物
質は、前記放圧機
構が作動する時に、前記流体を前記熱管理部
品の内部から排出するように、前記熱管理部
品の破壊を補助するためのものである、
電池を製造する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に、電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展のカギである。このような場合、電動車両は、その省エネと環境保護の優位性のため、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術は、その開発に関わる重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能の向上に加えて、安全性の問題も無視できない問題となっている。電池の安全性を確保できなければ、その電池を使用することはできない。そのため、どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術において早急な解決が待たれる技術課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、電池の安全性を補強することができる電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、電池を提供し、該電池は、複数の電池セルであって、前記電池セルの第1の壁に前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すための放圧機構が設置される複数の電池セルと、前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品とを含み、ここで、前記熱管理部品の第1の表面は、前記第1の壁に付設され、前記第1の表面上に、前記放圧機構に対応する退避領域が設置され、前記退避領域は、前記放圧機構が作動する時に、前記放圧機構に変形空間を提供するためのものであり、前記退避領域内に破壊補助物質が設置され、前記破壊補助物質は、前記放圧機構が作動する時に、前記流体を前記熱管理部品の内部から排出するように、前記熱管理部品の破壊を補助するためのものである。
【0006】
そのため、本出願の実施例の電池は、複数の電池セルの下方に熱管理部品を設置し、該熱管理部品の第1の表面上に放圧機構に対応する退避領域が設置され、該退避領域内に破壊補助物質が設置され、このように、電池セルに熱暴走が発生する時、放圧機構が作動し、破壊補助物質は、電池セル内から排出される排出物による熱管理部品の破壊を補助することができ、それにより、熱管理部品がより容易に破壊されることができ、さらに内部流体が熱管理部品内からタイムリに排出され、タイムリに降温され、特に熱暴走した電池セルの温度をタイムリに低減させ、さらに電池の内部の熱拡散リスクを低減させ、これは、経済的損失を減少するだけでなく、人々の生命の安全を保障することができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、前記放圧機構が作動する時に、前記電池セルの排出物の作用で酸素を放出するためのものである。
【0008】
破壊補助物質は、排出物の作用で酸素を放出し、さらに熱暴走した電池セルの燃焼を促進し、熱管理部品の溶断温度に迅速に達するとともに、該熱管理部品を最大程度に突き破ることができ、それにより、タイムリに降温することができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、硫酸亜鉛、過マンガン酸カリウムと塩素酸カリウムのうちの少なくとも一つを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、前記放圧機構が作動する時に、前記電池セルの排出物の作用で熱を放出するためのものである。
【0011】
破壊補助物質が排出物の作用で熱を放出する時、熱管理部品の溶断を加速し、さらに熱管理部品をより大きい面積で破壊できることにより、降温の効果を果たすことができる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、酸化鉄、四酸化三鉄、二酸化マンガン、五酸化バナジウムと酸化クロムのうちの少なくとも一つを含む。
【0013】
熱管理部品の材料がアルミニウムを採用できることを考慮するため、テルミット反応に基づいて該破壊補助物質を設置することができる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記退避領域は、前記熱管理部品上の貫通孔である。
【0015】
退避領域が貫通孔である場合、放圧機構によって排出される排出物を該貫通孔を通して迅速に排出し、熱暴走した電池セルの内圧をより迅速に放出することができる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、前記貫通孔の側壁に設置される。
【0017】
いくつかの実施例では、前記退避領域は、前記熱管理部品上の第1の凹溝である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、前記第1の凹溝の側壁に設置される。
【0019】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質の厚さの範囲は、3mm~10mmである。
【0020】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、前記第1の凹溝の底壁に設置される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質の厚さは、2mm以下である。
【0022】
いくつかの実施例では、前記第1の凹溝の底壁上に第2の凹溝が設置され、前記破壊補助物質は、前記第2の凹溝の底壁に設置される。
【0023】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質の厚さは、前記第2の凹溝の深さ以下である。
【0024】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、パッケージングフィルムに包まれる。
【0025】
いくつかの実施例では、前記パッケージングフィルムは、前記退避領域内に貼り付けて固定される。
【0026】
いくつかの実施例では、前記破壊補助物質は、粉末状である。
【0027】
いくつかの実施例では、前記パッケージングフィルムは、アルミニウムプラスチックフィルム、PPフィルム又はPCフィルムである。
【0028】
いくつかの実施例では、前記熱管理部品の材料は、アルミニウムである。
【0029】
いくつかの実施例では、前記熱管理部品は、第1の熱伝導板と第2の熱伝導板を含み、前記第1の熱伝導板は、前記第1の壁と前記第2の熱伝導板との間に位置し且つ前記第1の壁に付設され、前記第1の熱伝導板の第1の領域は、貫通孔を有し、前記第2の熱伝導板の第2の領域は、前記第1の領域に対応し、前記第2の領域は、前記第1の熱伝導板から離れる方向に突出して前記退避領域を形成する。
【0030】
いくつかの実施例では、前記熱管理部品は、第1の熱伝導板と第2の熱伝導板を含み、前記第1の熱伝導板は、前記第1の壁と前記第2の熱伝導板との間に位置し且つ前記第1の壁に付設され、前記第1の熱伝導板の第1の領域に第3の凹溝が設置され、前記第3の凹溝は、前記退避領域であり、前記第2の熱伝導板の第2の領域は、前記第1の領域に対応し、前記第2の領域に第4の凹溝が設置され、前記第3の凹溝は、前記第4の凹溝内に位置し、前記第3の凹溝の側壁と前記第4の凹溝の側壁との間に、前記流体を収容するために、流路が形成される。
【0031】
第2の態様によれば、電力消費装置を提供し、該電力消費装置は、電気エネルギーを提供するための第1の態様における電池を含む。
【0032】
いくつかの実施例では、前記電力消費装置は、車両、船舶又は宇宙航空機である。
【0033】
第3の態様によれば、電池を製造する方法を提供し、該方法は、複数の電池セルであって、前記電池セルの第1の壁に前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すための放圧機構が設置される複数の電池セルを提供することと、前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品を提供することとを含み、ここで、前記熱管理部品の第1の表面は、前記第1の壁に付設され、前記第1の表面上に、前記放圧機構に対応する退避領域が設置され、前記退避領域は、前記放圧機構が作動する時に、前記放圧機構に変形空間を提供するためのものであり、前記退避領域内に破壊補助物質が設置され、前記破壊補助物質は、前記放圧機構が作動する時に、前記流体を前記熱管理部品の内部から排出するように、前記熱管理部品の破壊を補助するためのものである。
【0034】
第4の態様によれば、電池を製造する装置を提供し、該装置は、上記第3の態様の方法を実行するモジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本出願の一実施例が開示した車両の構造概略図である。
【
図2】本出願の一実施例が開示した電池の分解構造概略図である。
【
図3】本出願の一実施例が開示した電池モジュールの局所構造概略図である。
【
図4】本出願の一実施例が開示した電池セルの分解図である。
【
図5】本出願の一実施例が開示した別の電池の分解構造概略図である。
【
図6】本出願の一実施例が開示した電池セルと熱管理部品の側面図である。
【
図7】本出願の一実施例が開示した熱管理部品の分解図である。
【
図8】本出願の一実施例が開示した別の熱管理部品の分解図である。
【
図9】本出願の一実施例が開示した熱管理部品の断面図である。
【
図10】本出願の一実施例が開示したさらに別の熱管理部品の分解図である。
【
図11】本出願の一実施例が開示した電池セルと熱管理部品の断面図である。
【
図13】本出願の一実施例が開示した別の電池セルと熱管理部品の断面図である。
【
図15】本出願の一実施例が開示したさらに別の電池セルと熱管理部品の断面図である。
【
図17】本出願の一実施例が開示した電池を製造する方法の概略的フローチャートである。
【
図18】本出願の一実施例が開示した電池を製造する装置の概略的ブロック図である。
【0036】
図面において、図面は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面と実施例を参照して本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明と図面は、本出願の原理を例示的に説明するために使用されるが、本出願の範囲を限定するために使用されるべきではなく、すなわち、本出願は、説明された実施例に限定されない。
【0038】
なお、本出願の説明において、特に説明がない限り、「複数」の意味は、2つ以上であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を単純化するためだけのものであるため、本出願の限定として理解されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、記述する目的にのみ用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解されるべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではないが、誤差の許容範囲内である。「平行」は、厳密な意味での平行ではないが、誤差の許容範囲内である。
【0039】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも、図に示されている方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。なお、本出願の説明において、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付ける」、「接続される」、「接続する」という用語は、広義に理解されるべきであり、たとえば、固定接続されることであってもよいし、取り外し可能に接続されることであってもよいし、一体的に接続されることであってもよいし、直接接続されることであってもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0040】
本出願において、電池セルは、一次電池、二次電池を含んでもよく、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などであってもよく、本出願の実施例は、それを限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などを有してもよく、本出願の実施例ではこれについても限定しない。電池セルは、パッケージングの形態によって、一般的には、柱形電池セル、四角形電池セルと軟質パウチ電池セルの3つの種類に分けられ、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0041】
本出願の実施例で言及した電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本出願に言及される電池には、電池モジュール又は電池パックなどが含まれてもよい。電池パックは、一般的には、1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0042】
電池セルは、電極アセンブリと電解質を含み、電極アセンブリは正極板、負極板とセパレータを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することにより作動する。正極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布された集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極活物質層が塗布された集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は複数で積層されており、負極タブの数は複数で積層されている。セパレータの材質は、PP又はPEなどであってもよい。また、電極アセンブリは、捲回型構造であってもよいし、積層型構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。電池技術の発展は、多岐にわたる設計因子、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮しなければならず、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0043】
電池にとって、主な安全上の危険は、充電と放電プロセスからであり、電池の安全性能を向上させるために、電池セルには、一般的に放圧機構が設置される。放圧機構は、電池セルの内圧又は温度が予め設定された閾値に達したときに作動して内圧又は温度を逃がす素子又は部材である。該所定の閾値は、設計ニーズの異なりに応じて調整を行うことができる。前記所定の閾値は、電池セルにおける正極板、負極板、電解質とセパレータのうちの一つ又は複数の材料に依存することができる。放圧機構は、圧力に敏感又は温度に敏感な素子又は部品などを採用してもよく、すなわち、電池セルの内圧又は温度が所定の閾値に達した時、放圧機構が作動することにより、内圧又は温度を逃すための通路を形成する。
【0044】
本出願に言及された「作動」は、放圧機構が動作して、電池セルの内圧及び温度が逃されることを指す。放圧機構に発生する動作は、放圧機構のうちの少なくとも一つの部分の破裂、引き裂かれ又は溶融等を含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構が作動した後、電池セルの内部の高温高圧物質は、排出物として放圧機構から外に排出する。この方式で、圧力又は温度が制御可能である場合には、電池セルの圧力を逃がすことができ、それによって潜在的なより深刻な事故の発生を回避する。
【0045】
本出願で言及した電池セルからの排出物は、電解質、溶解又は分裂された正負極板、セパレータの破片、反応して発生した高温高圧気体、火炎等を含むが、それらに限らない。
【0046】
電池セルにおける放圧機構は、電池の安全性に対して重要な影響を及ぼす。例えば、電池セルに短絡、過充電等の現象が発生する時、電池セルの内部に熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇する可能性がある。このような場合には、放圧機構の作動によって内圧又は温度を外へ放出し、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0047】
現在の放圧機構の設計案において、電池セル内部の高圧と高熱を放出すること、即ち前記排出物を電池セルの外部に排出することに主に着目する。しかしながら、電池の出力電圧又は電流を確保するために、往々にして、複数の電池セルを必要とし、且つ複数の電池セルの間は、バスバー部品によって電気的に接続される。具体的には、該バスバー部品は、複数の電池セルの間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するためのものである。バスバー部品は、電池セルの電極端子を接続することによって電池セル間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例では、バスバー部品は、溶接によって電池セルの電極端子に固定することができる。「高圧キャビティ」に対応して、バスバー部品から形成される電気的接続は、「高圧接続」と呼ばれてもよい。
【0048】
電池セルの内部から排出された排出物は、残りの電池セルに短絡現象を引き起こす可能性があり、例えば、排出された金属屑が二つのバスバー部品に電気的に接続される時に、電池に短絡を引き起こすため、安全上の懸念が存在する。そして、高温高圧の排出物は、電池セルに放圧機構が設置される方向に向けて排出され、且つより具体的には、放圧機構が作動する領域に向ける方向に沿って排出されることができ、このような排出物の威力と破壊力は、大きい可能性があり、ひいては、該方向上の一つ又は複数の構造を突き破るのに十分であり、さらなる安全上の問題を引き起こす可能性がある。
【0049】
これに鑑みて、電池内に熱管理部品を設置することができ、該熱管理部品の表面は、放圧機構が設置される電池セルの表面に付設され、且つ、該熱管理部品上に退避領域が設置されてもよく、該退避領域は、放圧機構が作動する時に、放圧機構に変形空間を提供することができる。
【0050】
一方では、該熱管理部品は、複数の電池セルの温度を調節するように流体を収容するために用いられる。ここで、流体は、液体又は気体であってもよく、温度を調節することは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合、該熱管理部品は、複数の電池セルの温度を低下させるように冷却流体を収容するために用いられ、このとき、熱管理部品は、冷却部品、冷却システム又は冷却板等と呼ばれてもよく、収容される流体は、冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却気体と呼ばれてもよい。また、熱管理部品は、複数の電池セルを昇温するように加熱するためにも用いられてもよく、本出願の実施例は、これを限定しない。任意選択的に、前記流体は、より高い温度調節効果を達成することができるように、循環して流れるものである。任意選択的に、流体は、水、水とエチレングリコールの混合液、又は空気などであってもよい。
【0051】
他方、放圧機構が作動する時に、退避領域は、放圧機構に変形空間を提供し、電池セル内の排出物を放出するように、放圧機構を順調に開けることができ、且つ、該熱管理部品に流体が収容されるため、該流体は、電池セルの爆発の発生を避けるように、電池セルを降温することもでき、例えば、電池セル内の排出物は、熱管理部品を破壊する可能性があり、それによって、その内部の流体が流出し、電池セルを降温する。
【0052】
そのため、熱暴走した電池セルの放圧機構が作動した後、電池セル内から排出される排出物が熱管理部品を破壊でき、それによって熱管理部品内の流体が流出し、消火降温の効果に達することを確保するために、本出願の実施例における熱管理部品の退避領域内に破壊補助物質が設置され、該破壊補助物質は、放圧機構が作動する時に、熱管理部品の破壊を補助することができる。
【0053】
本出願の実施例で説明された技術案はいずれも電池を使用する様々な装置、例えば、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、バッテリ車、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙航空機などに適用でき、宇宙航空機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0054】
理解すべきこととして、本出願の実施例で説明された技術案は、上記で説明された機器のみに適用できるだけではなく、電池を使用する全ての機器に適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例では、電動車両を例にして説明する。
【0055】
例えば、
図1では、本出願の一実施例による車両1の構造概略図が示されている。車両1は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40と、コントローラ30と、電池10とが設置されてもよく、コントローラ30は、電池10がモータ40に給電するように制御するためのものである。例えば、車両1の底部又は先頭又は後尾に電池10を設置してもよい。電池10は、車両1への給電に用いられてもよい。例えば、電池10を車両1の操作電源とすることができ、車両1の電気回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本出願の別の実施例では、電池10は、車両1の操作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0056】
異なる電力消費需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、ここで、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続との混合を指す。電池は、電池パックと呼ばれてもよい。任意選択的に、複数の電池セルをまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成する。つまり、複数の電池セルは直接的に電池を構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成してから、電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0057】
例えば、
図2に示すように、本出願の一実施例による電池10の構造概略図である。電池10は、少なくとも一つの電池モジュール200を含んでもよい。電池モジュール200は、複数の電池セル20を含む。電池10は、筐体をさらに含んでもよく、筐体内部が中空構造であり、複数の電池セル20が筐体内に収容される。
図2に示すように、筐体は2つの部分を含んでもよく、ここではそれぞれ第1の部分111と第2の部分112と呼び、第1の部分111と第2の部分112は、互いに係合される。第1の部分111と第2の部分112の形状は、電池モジュール200を組み合わせた形状に応じて決定でき、第1の部分111と第2の部分112のうちの少なくとも一つは1つの開口を有する。例えば、
図2に示すように、該第1の部分111と第2の部分112は、いずれも中空長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1の部分111の開口と第2の部分112の開口とが対向して設置され、且つ第1の部分111と第2の部分112とが互いに係合して、閉鎖されたキャビティを有する筐体を形成する。また、例えば、
図2に示されるものと異なり、第1の部分111と第2の部分112のうち、一方のみが開口を有する中空長方体であり、他方が開口をカバーする板状であってもよい。例えば、ここで第2の部分112が中空長方体であり、且つ一面のみが開口面であり、第1の部分111が板状である場合を例にすると、第1の部分111は、第2の部分112の開口をカバーすることにより、閉塞されたキャビティを有する筐体を形成し、該キャビティは、複数の電池セル20を収容するために用いることができる。複数の電池セル20は、互いに並列又は直列又は直並列接続されて組み合わせた後、第1の部分111と第2の部分112とが互いに係合して形成した筐体内に置かれる。
【0058】
任意選択的に、電池10は他の構造をさらに含んでもよいが、ここでは説明を省略する。例えば、この電池10は、複数の電池セル20同士の電気的接続、例えば、並列又は直列又は直並列接続を実現するためのバスバー部品をさらに含んでもよい。具体的に、バスバー部品は、電池セル20の電極端子に接続されることで電池セル20同士の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバー部品は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定することができる。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構により筐体を貫通して引き出されることができる。
【0059】
様々な電力需要に応じて、電池モジュール200における電池セル20の数は、任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20を直列、並列、又は直並列接続することにより、比較的大きい容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数は多い場合があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ化して設置し、各グループの電池セル20が電池モジュール200を構成してもよい。電池モジュール200に含まれる電池セル20の数は限定されず、需要に応じて設置すればよい。例えば、
図3は電池モジュール200の一例である。電池は、複数の電池モジュール200を含んでもよく、これら電池モジュール200は、直列、並列、又は直並列に接続することができる。
【0060】
図4は、本出願の一実施例による電池セル20の構造概略図である。電池セル20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ケース211と、蓋板212とを含む。ケース211と蓋板212は、ハウジング21を形成する。ケース211の壁及び蓋板212は、いずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み立てた後の形状に基づいて決定され、例えば、ケース211は、中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、かつケース211における1つの面は、1つ又は複数の電極アセンブリ22がケース211内に置くことが可能であるように、開口を有する。例えば、ケース211が中空長方体又は立方体である場合、ケース211のうちの1つの平面が開口面である。即ち、この平面は壁体を有さず、ケース211の内外を連通させる。ケース211が中空の円柱体である場合、ケース211の端面が開口面である。即ち、この端面は壁体を有さず、ケース211の内外を連通させる。蓋板212は開口を覆い、かつケース211に接続されることによって、電極アセンブリ22を配置するための密閉のキャビティを形成する。ケース211内には、電解質、例えば、電解液が充填されている。
【0061】
該電池セル20は2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214は蓋板212上に設置されてもよい。蓋板212は、一般的には平板形状であり、2つの電極端子214は、蓋板212の平板表面上に固定され、2つの電極端子214は、それぞれ第1の電極端子214aと第2の電極端子214bである。二つの電極端子214の極性は逆である。例えば、第1の電極端子214aが正電極端子であれば、第2の電極端子214bは、負電極端子である。各電極端子214に対応してそれぞれ1つの接続部材23が設置され、それは蓋板212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するためのものである。
【0062】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1のタブ221aと第2のタブ222aを有する。第1のタブ221aと第2のタブ222aとは、極性が逆である。例えば、第1のタブ221aが正極タブであれば、第2のタブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1のタブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2のタブ222aはもう1つの接続部材23を介してもう1つの電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bはもう1つの接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0063】
該電池セル20において、実際の使用上の需要に応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置されてもよいが、
図4に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置されている。
【0064】
図4に示すように、電池セル20の一つの壁上に放圧機構213が設置されてもよく、例えば、電池セル20の第1の壁21a上に放圧機構213を設置してもよい。
図4における第1の壁21aとケース211とは離間し、すなわちケース211の底側は、開口を有し、第1の壁21aは、底側の開口を被覆し且つケース211に接続され、接続方式は、溶接又は接着等であってもよい。或いは、第1の壁21aとケース211とは、一体型構造であってもよい。放圧機構213は、電池セル20の内圧又は温度が閾値に達したときに作動して内圧又は温度を逃がすためのものである。
【0065】
該放圧機構213は、第1の壁21aの一部であってもよく、第1の壁21aとは別体型構造であってもよく、例えば溶接の方式によって第1の壁21a上に固定されてもよい。放圧機構213が第1の壁21aの一部である場合、例えば、放圧機構213は、第1の壁21a上に切り込みを設置する方式で形成することができ、該切り込みに対応する第1の壁21aの厚さは、放圧機構213の切り込み以外の他の領域の厚さよりも小さい。切り込みは、放圧機構213の最も弱い位置である。電池セル20から発生した気体が多すぎて、ケース211の内圧が上昇して閾値に達したか、又は電池セル20の内部が反応して熱が発生して電池セル20の内部温度が上昇して閾値に達した時、放圧機構213は、切り込みで破裂が発生してケース211の内外が連通し、気体圧力及び温度は、放圧機構213の裂開によって外にリリースし、さらに電池セル20の爆発の発生を避けることができる。
【0066】
任意選択的に、本出願の一実施例では、
図4に示すように、放圧機構213が電池セル20の第1の壁21aに設置される場合、電池セル20の第2の壁に電極端子214が設置され、第2の壁は、第1の壁21aと異なる。
【0067】
任意選択的に、第2の壁は、第1の壁21aに対向して設置される。例えば、第1の壁21aは、電池セル20の底壁であってもよく、第2の壁は、電池セル20の蓋板212であってもよい。
【0068】
放圧機構213と電極端子214を電池セル20の異なる壁上に設置することによって、放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物が電極端子214からより離すことを可能にすることにより、排出物の電極端子214とバスバー部品に対する影響を減少し、そのため電池の安全性を補強することができる。
【0069】
さらに、電極端子214が電池セル20の蓋板212上に設置される時、放圧機構213を電池セル20の底壁に設置することによって、放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物は、電池10の底部に向かって排出することができる。このように、一方では、電池10の底部の熱管理部品を利用して排出物の危険性を低減させることができ、他方では、電池10が車両内に設置される時、電池10の底部は、通常乗客から離れることにより、乗客への危害を低減させることができる。
【0070】
放圧機構213はいかなる可能な放圧構造であってもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。例えば、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池セル20の内部温度が閾値に達する時に溶融できるように構成されている感温性放圧機構であってもよく、及び/又は、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池セル20の内部気圧が閾値に達する時に破裂できるように構成されている感圧性放圧機構であってもよい。
【0071】
電池セル20の温度を調節するために、電池セル20の下方に熱管理部品を設置することができる。具体的には、該熱管理部品は、電池セル20の温度を調節するように流体を収容するために用いることができ、放圧機構213が作動する時に、該熱管理部品は、放圧機構213が設けられる電池セル20の排出物を降温することができる。
【0072】
図5は、本出願の実施例の電池10の別の分解図を示す。
図5に示すように、該電池10は、複数の電池セル20を含み、ここで、該複数の電池セル20のうちのいずれかの電池セルに対して、該電池セル20の第1の壁21aに電池セル20の内圧又は温度が閾値に達した時に作動して内圧を逃すための放圧機構213が設置される。任意選択的に、該複数の電池セル20のうちのいずれかの電池セルは、
図4に示される電池セルであってもよく、それに対応して、該電池セル20の第1の壁21aは、放圧機構213が位置するケース211の底壁であるが、本出願の実施例は、それに限らない。
【0073】
図5に示すように、該電池10は、電池セル20の温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品13をさらに含む。具体的には、熱管理部品13の第1の表面は、第1の壁21aに付設され、第1の表面上に、放圧機構213に対応する退避領域131が設置され、退避領域131は、放圧機構213が作動する時に、放圧機構213に変形空間を提供するためのものである。また、該退避領域131内に破壊補助物質1311がさらに設置され、破壊補助物質1311は、放圧機構213が作動する時に、流体を熱管理部品13の内部から排出するように、熱管理部品13の破壊を補助するためのものである。
【0074】
そのため、本出願の実施例の電池10は、複数の電池セル20の下方に熱管理部品13が設置される。該熱管理部品13の第1の表面上に放圧機構213に対応する退避領域131が設置され、該退避領域131内に破壊補助物質1311が設置される。このように、電池セル20に熱暴走が発生する時、放圧機構213が作動し、破壊補助物質1311は、電池セル20内から排出される排出物が熱管理部品13を破壊するのを補助することができ、それにより、熱管理部品13がより容易に破壊されることができ、さらに内部流体が熱管理部品13内からタイムリに排出され、タイムリに降温する。特に熱暴走した電池セル20の温度をタイムリに低減させ、さらに電池10の内部の熱拡散リスクを低減させ、これは、経済的損失を減少するだけでなく、人々の生命の安全を保障することができる。
【0075】
本出願の実施例の破壊補助物質1311は、実際の応用に応じて選択を行うことができる。任意選択的に、該破壊補助物質1311は、放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物の作用で酸素を放出できる物質を選択することができる。具体的には、電池セル20に熱暴走が発生する時、放圧機構213が作動し、大量の熱を放出するとともに、燃焼も発生できることを考慮すると、高温の場合に反応が発生して酸素を放出できる物質を選択することができ、それによって該放出される酸素は、熱暴走した電池セル20の燃焼を促進し、さらに熱管理部品13の温度を向上させる。特に破壊補助物質1311が位置する退避領域131の局所温度を向上させ、さらに熱管理部品13上に突き破って溶融される領域の面積を増大することができ、それによって、その内部の流体がタイムリに流出し、それにより、降温の効果に達する。
【0076】
例えば、該破壊補助物質1311は、硫酸亜鉛、過マンガン酸カリウムと塩素酸カリウムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。ここで、硫酸亜鉛について、高温の場合、硫酸亜鉛は、反応が発生する:2ZnSO4=2ZnO+2SO2+O2、それにより、酸素を放出する。過マンガン酸カリウムについて、高温の場合、過マンガン酸カリウムは、反応が発生する:2KMnO4=K2MnO4+MnO2+O2。塩素酸カリウムについて、高温の場合、塩素酸カリウムは、反応が発生する:2KClO3=2KCl+3O2。
【0077】
任意選択的に、該破壊補助物質1311は、放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物の作用で熱を放出できる物質を選択することもできる。例えば、熱管理部品13の材料が通常でアルミニウムを選択できることを考慮すると、テルミット反応に基づいて該破壊補助物質1311を選択することができる。例えば、該破壊補助物質1311は、酸化鉄、四酸化三鉄、二酸化マンガン、五酸化バナジウムと酸化クロムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。このように、テルミット反応(酸化還元反応)によって、アルミニウムは、アルミナに酸化され且つ大量の熱を放出することができ、それにより、高温を利用して大面積の熱管理部品13を瞬間的に溶融することにより、流出した内部流体が電池10を局所的に迅速に降温するという目的を達成することができる。
【0078】
任意選択的に、本出願の実施例における破壊補助物質1311は、粉末状であってもよい。理解すべきこととして、破壊補助物質1311が粉末状物質を選択する時、それを退避領域内に設置しやすくするために、それが他の部品への影響を避けるために、該破壊補助物質1311をパッケージングフィルムに包んでもよい。具体的には、パッケージングフィルムは、アルミニウムプラスチックフィルム、PPフィルム又はPCフィルムを選択してもよく、又は他の低融点材料を選択してもよいが、パッケージングした後の破壊補助物質1311は、外部のパッケージングフィルムによって退避領域131内に貼り付けて固定されることにより、該破壊補助物質1311を固定することができる。
【0079】
以下では、図面を結び付けて、本出願の実施例の熱管理部品13の退避領域131と破壊補助物質1311について詳細に記述する。
【0080】
図6は、本出願の実施例の電池10における複数の電池セル20と熱管理部品13を取り付けた後の側面図を示す。
図7と
図8は、本出願の実施例の熱管理部品13の複数の可能な分解概略図である。具体的には、
図6~
図8に示すように、本出願の実施例の熱管理部品13は、第1の熱伝導板133と第2の熱伝導板134を含んでもよく、ここで、第1の熱伝導板133は、第1の壁21aと第2の熱伝導板134との間に位置し且つ第1の壁21aに付設される。
【0081】
理解すべきこととして、本出願の実施例の熱管理部品13は、流体を収容するために、流路132を設置することができる。任意選択的に、該流路132の設置位置は、実際の応用に応じて設置することができる。例えば、
図5~
図8に示すように、流路132は、退避領域131の周囲に設置されてもよく、例えば退避領域131の両側に設置されてもよく、且つ、該流路132は、複数の電池セル20の並び方向に沿って延びることもできる。さらに例えば、該流路132は、第2の熱伝導板134上に凹溝を設置することによって形成されてもよく、すなわち、流路132を形成するように、該第2の熱伝導板134上に開口が第1の熱伝導板133に向く凹溝が設置される。さらに例えば、該流路132のサイズは、熱管理部品13、電池10及び電池セル20のサイズに応じて設定されてもよく、本出願の実施例は、それに限らない。
【0082】
任意選択的に、本出願の実施例の熱管理部品13の退避領域131の数は、実際の応用に応じて設定されてもよい。例えば、該熱管理部品13のいずれか一つの退避領域131にとって、それは、一つ又は複数の放圧機構213に対応することができ、本出願の実施例は、それに限らない。
【0083】
任意選択的に、
図7を例として、本出願の実施例の退避領域131は、放圧機構213に一対一で対応することができ、すなわち各退避領域131は、一つの放圧機構213に対応する。具体的には、退避領域131のサイズと形状は、放圧機構213のサイズと形状に応じて設定されてもよい。例えば、退避領域131の形状は、放圧機構213の形状と一致してもよいが、退避領域131の面積は、通常で放圧機構213の面積よりも大きい。
図7を例として、放圧機構213が通常で楕円形と類似するトラック形として設置される可能であることを考慮すると、該退避領域131は、放圧機構213と一致し、同様に
図7に示されるトラック形に設置されてもよく、本出願の実施例は、それに限らない。
【0084】
任意選択的に、
図5又は
図8を例として、本出願の実施例の退避領域131は、複数の放圧機構213に対応することもできる。例えば、各退避領域131は、同一列に位置する複数の放圧機構213に対応することができる。具体的には、
図8に示すように、電池10に含まれる複数の電池セル20が複数列の電池セル20として並ぶことができることを考慮すると、同一列の複数の電池セル20は、同一の退避領域131に対応してもよく、該退避領域131は、長尺状であってもよい。例えば、該退避領域131の延び方向は、流路132の延び方向と一致してもよい。且つ、退避領域131の幅は、放圧機構213の幅以上であるが、本出願の実施例は、それに限らない。
【0085】
理解すべきこととして、本出願の実施例の退避領域131は、貫通孔又は凹溝であってもよい。具体的には、該退避領域131が貫通孔であれば、退避領域131を形成するように、第1の熱伝導板133上の放圧機構213に対応する第1の領域及び第2の熱伝導板134上の第1の領域に対応する第2の領域は、いずれも貫通孔を含む。
【0086】
任意選択的に、該退避領域131が凹溝であれば、退避領域131とする凹溝を複数の方式で形成することができる。例えば、
図7又は
図8に示すように、該第1の熱伝導板133上の放圧機構213に対応する第1の領域は、貫通孔1331を含んでもよく、第2の熱伝導板134の第2の領域は、第1の領域に対応し、該第2の領域は、第1の熱伝導板133から離れる方向に突出して凹溝を形成し、ここで第4の凹溝1341と呼ばれ、該第4の凹溝1341は、退避領域131である。
【0087】
さらに例えば、凹溝式の退避領域131を他の方式で形成することもできる。
図9は、本出願の実施例の熱管理部品13の断面図を示す。退避領域131を二つの凹溝を重ね合せる方式で形成することもできる。具体的には、
図9に示すように、第1の熱伝導板133の第1の領域に第3の凹溝1332が設置され、第3の凹溝1332は、退避領域131であり、第2の熱伝導板134の第2の領域は、第1の領域に対応し、第2の領域に第4の凹溝1341が設置され、第3の凹溝1332は、第4の凹溝1341内に位置し、すなわち第4の凹溝のサイズは、第3の凹溝1332のサイズよりも大きい。任意選択的に、退避領域131の底壁の面積を減少し、さらに該退避領域131の破壊をより容易にするように、該第3の凹溝1332の底壁に貫通孔が設置されてもよい。
【0088】
また、流体を収容するために、第3の凹溝1332の側壁と第4の凹溝1341の側壁との間に流路132を形成することもできる。このように、放圧機構213が作動する時に、第3の凹溝1332の側壁を破壊する方式で、流路132をより直接的に破壊することができ、それによって該流路132内の流体が流出し、降温の効果に達する。
【0089】
本出願の実施例では、退避領域131が貫通孔であれば、破壊補助物質1311は、貫通孔の側壁に設置されてもよい。退避領域131が凹溝であれば、破壊補助物質1311は、該凹溝の底壁又は側壁に設置されてもよい。説明しやすくするために、以下では、退避領域131が凹溝であることを例として説明し、すなわち該熱管理部品13上に第1の凹溝が設置され、該第1の凹溝は、退避領域131である。そして、退避領域131が貫通孔である場合、破壊補助物質1311が貫通孔の側壁に設置される方式は、凹溝の側壁に設置される方式と同じであってもよく、これ以上説明しない。
【0090】
また、説明しやすくするために、以下では、主に
図8に示される退避領域131を例として説明する。このとき、熱管理部品13の第1の熱伝導板133上の放圧機構213に対応する第1の領域は、貫通孔1331を含んでもよく、第2の熱伝導板134の第2の領域は、第1の領域に対応し、該第2の領域は、第1の熱伝導板133から離れる方向に突出して凹溝を形成し、これによって退避領域131の第1の凹溝、すなわち第2の熱伝導板134上の第4の凹溝1341を形成する。
【0091】
任意選択的に、一実施例として、該破壊補助物質1311は、第1の凹溝1341の側壁に設置されてもよい。具体的には、該破壊補助物質1311を該第1の凹溝1341の側壁の表面に直接的に設置してもよく、又は、破壊補助物質1311を該凹溝内に設置するように、第1の凹溝1341の側壁に凹溝を設置してもよい。
【0092】
任意選択的に、破壊補助物質1311を第1の凹溝1341の側壁上の凹溝内に設置する場合について、
図10は、熱管理部品13の分解図を示す。
図11は、電池セル20と熱管理部品13の断面図を示す。例えば、
図6に示されるA-A’方向の断面図であってもよい。
図12は、
図11における領域Aの局所拡大図である。
図10~
図12に示すように、退避領域131とする第1の凹溝1341の側壁上に凹溝が設置されてもよく、ここでそれを第5の凹溝と呼び、該第5の凹溝の開口が第1の凹溝1341の内部に向き、それによって破壊補助物質1311を収容するために用いられる。任意選択的に、いずれか一つの第1の凹溝1341内について、破壊補助物質1311を収容するために、一つ又は複数の第5の凹溝を設置してもよい。
【0093】
理解すべきこととして、退避領域131の幅を放圧機構213の幅よりも大きく設定することによって、多い破壊補助物質1311を設置する場合にも、放圧機構213の開きに影響を与えないようにすることができる。例えば、該破壊補助物質1311の厚さの範囲は、通常で3mm~10mmに設定されてもよいが、第1の凹溝1341の側壁に第5の凹溝が設置される時、該第5の凹溝の深さは、破壊補助物質1311の厚さに応じて設定されてもよく、例えば、該第5の凹溝の深さを破壊補助物質1311の厚さよりも大きく設定してもよい。
【0094】
任意選択的に、別の実施例として、該破壊補助物質1311は、第1の凹溝1341の底壁に設置されてもよい。具体的には、第1の凹溝1341に設置される側壁と類似しており、該破壊補助物質1311は、第1の凹溝1341の底壁の表面に設置されてもよく、又は、該第1の凹溝1341の底壁に、破壊補助物質1311を収容するために、凹溝が設置されてもよい。
【0095】
理解すべきこととして、破壊補助物質1311を第1の凹溝1341の底壁の表面に設置する場合について、
図13は、電池セル20と熱管理部品13の断面図を示す。例えば、
図6に示されるA-A’方向の断面図であってもよい。
図14は、
図13における領域Bの局所拡大図を示す。
図13と
図14に示すように、破壊補助物質1311を第1の凹溝1341の底壁の表面に設置してもよい。
【0096】
破壊補助物質1311を第1の凹溝1341の底壁の凹溝内に設置する場合について、
図15は、電池セル20と熱管理部品13の断面図を示す。例えば、
図6に示されるA-A’方向の断面図であってもよい。
図16は、
図15における領域Cの局所拡大図を示す。
図15と
図16に示すように、第1の凹溝1341の底壁に一つ又は複数の第2の凹溝1342が設置されてもよく、それにより、該破壊補助物質1311を該第2の凹溝1342内に設置し、例えば、第2の凹溝1342の底壁に設置してもよい。
【0097】
任意選択的に、破壊補助物質1311が粉末状であってもよいことを考慮すると、
図13~
図16に示すように、破壊補助物質1311をシールし、該破壊補助物質1311が他の領域に入り、他の部品に影響を与えることを避けるように、破壊補助物質1311の表面にパッケージングフィルム1312を設置することができる。任意選択的に、該パッケージングフィルムは、アルミニウムプラスチックフィルム、PPフィルム又はPCフィルムとして選択してもよく、又は他の低融点材料を選択してもよい。
【0098】
任意選択的に、第1の凹溝1341の深さが限られるが、破壊補助物質1311が第1の凹溝1341の底壁に設置される時、深さ方向の空間を占有することを考慮すると、放圧機構213が作動する時に必要とする変形空間に影響を与えないように、該破壊補助物質1311の厚さを合理的に設定すべきである。例えば、
図15~
図16に示すように、該破壊補助物質1311の厚さは、第2の凹溝1342の深さ以下に設定されてもよい。例えば第1の凹溝1341の底壁の厚さが通常で3mm以下であることを考慮すると、破壊補助物質1311の厚さを2mm以下として設定してもよい。又は、
図13~
図14に示すように、放圧機構213が作動する時に必要とする変形空間を考慮すると、該破壊補助物質1311の厚さを2mm以下として設定してもよい。
【0099】
本出願の実施例の電池10は、複数の電池セル20の下方に熱管理部品13が設置される。該熱管理部品13の第1の表面上に放圧機構213に対応する退避領域131が設置される。該退避領域131内に破壊補助物質1311が設置される。このように、電池セル20に熱暴走が発生する時、放圧機構213が作動し、破壊補助物質1311は、電池セル20内から排出される排出物によって励起されて燃焼に有利な気体を放出できるか、又はより多くの熱を放出でき、それによって破壊補助物質1311は、熱管理部品13の破壊を補助することができ、それにより、熱管理部品13がより容易且つより大きい面積で破壊されることができ、さらにその内部流体が熱管理部品13内からタイムリに排出され、タイムリに降温し、特に熱暴走した電池セル20の温度をタイムリに低減させ、火の延焼による電池10全体の爆発を避ける。なお、電池セル20が発火した後、火が弱まって消火された後、電池10がさらに燃焼して熱を放出することなく、電池10の降温に有利であり、最終的に電池10内の熱拡張リスクを低減させ、これらは、経済的損失を減少するだけでなく、人々の生命の安全を保障することができる。
【0100】
以上は、本出願の実施例による電池10を説明した。以下は、本出願の実施例による電池10を製造する方法と装置を説明する。ここで、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
【0101】
図17は、本出願の一実施例の電池を製造する方法300の概略的フローチャートを示す。
図17に示すように、該方法300は、複数の電池セルであって、該電池セルの第1の壁に該電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して該内圧を逃すための放圧機構が設置される複数の電池セルを提供するステップS310と、該電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品を提供するステップS320とを含んでもよく、ここで、該熱管理部品の第1の表面は、該第1の壁に付設され、該第1の表面上に、該放圧機構に対応する退避領域が設置され、該退避領域は、該放圧機構が作動する時に、該放圧機構に変形空間を提供するためのものであり、該退避領域内に破壊補助物質が設置され、該破壊補助物質は、該放圧機構が作動する時に、該流体を該熱管理部品の内部から排出するように、該熱管理部品の破壊を補助するためのものである。
【0102】
図18は、本出願の一実施例の電池を製造する装置400の概略的ブロック図を示す。
図18に示すように、該装置400は、提供モジュール410を含んでもよい。該提供モジュール410は、複数の電池セルであって、該電池セルの第1の壁に該電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して該内圧を逃すための放圧機構が設置される複数の電池セルを提供し、該電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品を提供するためのものであり、ここで、該熱管理部品の第1の表面は、該第1の壁に付設され、該第1の表面上に、該放圧機構に対応する退避領域が設置され、該退避領域は、該放圧機構が作動する時に、該放圧機構に変形空間を提供するためのものであり、該退避領域内に破壊補助物質が設置され、該破壊補助物質は、該放圧機構が作動する時に、該流体を該熱管理部品の内部から排出するように、該熱管理部品の破壊を補助するためのものである。
【0103】
理解すべきこととして、本出願の実施例の電池を製造する方法300と装置400は、本出願の実施例の電池10を製造するために用いることができ、簡潔にするために、これ以上説明しない。
【0104】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれるすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0105】
1 車両
10 電池
13 熱管理部品
20 電池セル
21 ハウジング
21a 第1の壁
22 電極アセンブリ
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
111 第1の部分
112 第2の部分
131 退避領域
132 流路
133 第1の熱伝導板
134 第2の熱伝導板
200 電池モジュール
211 ケース
212 蓋板
213 放圧機構
214 電極端子
214a 第1の電極端子、正電極端子
214b 第2の電極端子、負電極端子
221a 第1のタブ
222a 第2のタブ
400 装置
410 提供モジュール
1311 破壊補助物質
1312 パッケージングフィルム
1331 貫通孔
1341 第1の凹溝
1342 第2の凹溝