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特許7569491ラテックスフリーかつホルムアルデヒドフリーの不織布
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ラテックスフリーかつホルムアルデヒドフリーの不織布
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/587 20120101AFI20241010BHJP
   D04H 1/732 20120101ALI20241010BHJP
【FI】
D04H1/587
D04H1/732
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021516949
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019016041
(87)【国際公開番号】W WO2020068151
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】62/736,760
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522052244
【氏名又は名称】グラットフェルター・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラム アブダス
(72)【発明者】
【氏名】キステメーカー ティモシー
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0308551(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02309059(EP,A1)
【文献】特開平09-158024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04、
D21B1/00-1/38、D21C1/00-11/14、D21D1/00-99/00、
D21F1/00-13/12、D21G1/00-9/00、D21H11/00-27/42、
D21J1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布であって、前記不織布の総重量に基づいて、85重量%~99.99重量%の量の繊維ウェブと、前記不織布の総重量に基づいて、0.01重量%~15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、前記繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、前記天然繊維は、前記不織布の総重量に基づいて、70重量%~90重量%の量で前記不織布中に存在し、前記合成繊維は、前記不織布の総重量に基づいて、10重量%~30重量%の量で前記不織布中に存在し、前記硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、1:2~1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、前記改質セルロースは、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び/又はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)を含み、前記強化剤は、架橋剤及び湿潤強度剤を含み、前記架橋剤は、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸およびリンゴ酸からなる群から選択され、前記湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含み、
前記天然繊維はセルロース系繊維を含み、前記合成繊維は生分解性合成繊維を含み、前記不織布は、生分解性度が99%以上であり、前記生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指し、前記不織布がラテックス及びホルムアルデヒドを含まない、不織布。
【請求項2】
前記架橋剤はクエン酸を含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記湿潤強度剤はポリアミドエピクロロヒドリンを含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
前記不織布が、前記不織布の表面積に基づいて、0.005g/m~10g/mの量の前記硬化天然結合剤を含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
ワイプ、ウェットワイプ、ベビーワイプ、消毒用ワイプ、ティッシュ、タオル、ダブルリクレープ(DRC)物品、医療用ドレープ、包帯、キャップ、フェイスマスク、外科用スクラブ、医療用ガウン、フィルタ、おむつ、パッド、包装材、断熱材、カーペット、内装材、布地乾燥機用シート、使い捨て織物、イヤホン保護カバー、断熱材、壁紙、シードブランケット、農業用ラップ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、物品に使用するための請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記不織布は多層不織布を含み、前記繊維ウェブが、第1の外層と、第2の外層とを含み、前記第1の外層、前記第2の外層、又は前記第1の外層及び前記第2の外層の両方が前記硬化天然結合剤を含み、前記繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
前記第1の外層が前記硬化天然結合剤を含み、前記第2の外層は前記硬化天然結合剤を含めておらず、前記第1の外層内の天然繊維の量は、前記第2の外層内の天然繊維の量よりも多い、請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
前記不織布は、前記多層不織布の総重量に基づいて、98重量%の量の繊維ウェブと、前記多層不織布の総重量に基づいて、2重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、前記繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、前記天然繊維は、前記不織布の総重量に基づいて、80重量%の量で前記不織布中に存在し、前記合成繊維は、前記不織布の総重量に基づいて18質量%の量で前記不織布中に存在する、請求項6に記載の不織布。
【請求項9】
不織布を製造する方法であって、
(a)複数の繊維を繊維ウェブに形成する工程であって、前記繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、前記天然繊維は、前記繊維ウェブの総重量に基づいて、70重量%~90重量%の量で前記繊維ウェブ中に存在し、前記合成繊維は、前記繊維ウェブの総重量に基づいて、10重量%~30重量%の量で繊維ウェブ中に存在する、工程と、
(b)前記繊維ウェブの少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、前記水性天然結合剤が、改質セルロース、強化剤及び水を含み、前記改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、前記強化剤は、架橋剤及び湿潤強度剤を含み、前記架橋剤は、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸およびリンゴ酸からなる群から選択され、前記湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、
(c)前記結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて前記不織布を形成する工程であって、前記不織布が、前記不織布の総重量に基づいて、85重量%~99.99重量%の量の前記繊維ウェブを含み、前記不織布は、前記不織布の総重量に基づいて、0.01重量%~15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、
を含み、
前記天然繊維はセルロース系繊維を含み、前記合成繊維は生分解性合成繊維を含み、前記不織布は、生分解性度が99%以上であり、前記生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指し、前記不織布がラテックス及びホルムアルデヒドを含まない、方法。
【請求項10】
工程(a)が、エアレイドプロセス、スパンレイドプロセス及びウェットレイドプロセスからなる群から選択されるプロセスを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)が、前記結合剤含浸繊維ウェブを110℃~220℃の温度に加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程(c)が熱結合及び化学結合を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記不織布が多層不織布を含み、前記繊維ウェブを形成する工程が、ドライレイドプロセスによって前記複数の繊維を多層繊維ウェブに形成する工程を含み、
前記多層繊維ウェブが、第1の外層と、第2の外層とを含み、前記多層繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、
前記繊維ウェブの少なくとも一部を接触させる工程は、前記第1の外層の少なくとも一部及び/又は前記第2の外層の少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
単層不織布であって、前記単層不織布の総重量に基づいて、85重量%~99.99重量%の量の繊維ウェブと、前記単層不織布の総重量に基づいて、0.01重量%~15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、前記繊維ウェブが天然繊維を含み、前記天然繊維は、前記単層不織布の総重量に基づいて、85重量%~99.99重量%の量で前記単層不織布中に存在し、前記硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、1:2~1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、前記改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、前記強化剤は、架橋剤及び湿潤強度剤を含み、前記架橋剤は、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸およびリンゴ酸からなる群から選択され、前記湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含み、
前記天然繊維はセルロース系繊維を含み、前記不織布は、生分解性度が99%以上であり、前記生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指し、前記不織布がラテックス及びホルムアルデヒドを含まない、
単層不織布。
【請求項15】
前記多層繊維ウェブは、さらに、前記第1の外層と前記第2の外層との間に配置された1つ以上の中間層を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記不織布は、さらに、前記第1の外層と前記第2の外層との間に配置された1つ以上の中間層を含む、請求項6に記載の不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不織布のための結合剤組成物、より具体的には、ラテックスフリーかつホルムアルデヒドフリーの不織布材料のための結合剤組成物、並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、全般に、ヘルスケア及び外科用布地、ワイプ、吸収性衛生製品、衣料品、家具、建築、濾過、及びエンジニアリングを含む、多様な特性を有する広範な消費者向け製品及び工業製品に使用される。不織布材料は、任意の手段によってウェブに形成され、製織又は編成を除く任意の手段によって相互に結合された、任意の性質又は由来の繊維、連続フィラメント(例えば、繊維前駆体)、又はチョップドヤーンのシートである。
【0003】
いくつかの不織布は、例えば、スパンボンド不織布及びメルトブロー不織布のように、結合(ボンド)工程がウェブ形成プロセスの不可欠な部分である場合に、それらがその後更に結合された場合であっても、処理されるのに十分な成形後ウェブ強度を有する。他のほとんどのウェブは、成形時の強度が比較的低く、不織布ウェブをその意図された最終用途に適したものにするために、追加の結合工程(例えば、化学結合(ケミカルボンド))を必要とする場合がある。
【0004】
不織布製品における化学結合は通常、ラテックス結合剤の使用を指し、ラテックス結合剤は、少なくとも最新の不織布自体と同じほど長い間存在している。ラテックス結合剤の利点は、その全体的な汎用性及び実用性である。しかしながら、ラテックス結合剤は高価であり、最低限の目標品質を達成するために大量の結合剤を使用する必要がある。更に、ラテックス結合剤は、非生分解性、揮発性有機化合物の放出及びホルムアルデヒドの形成に関係した環境及び健康上の問題を引き起こす可能性がある。不織布製造における別の問題は、高い塵埃濃度であり、ラテックス結合剤ではその制御が困難になることがあり、場合により、健康、安全及び環境への影響が懸念される。
【0005】
熱結合(サーマルボンド)エアレイド(thermal-bonded airlaid:TBAL)不織布は、概して結合剤を使用せずに製造され、したがって木材パルプ及び比較的多量(例えば、31重量%)の二成分繊維のみを含有するために、原材料の製造コストは、マルチボンドエアレイド(multi-bonded airlaid:MBAL)不織布の生産コストよりも大幅に高くなる。概して、MBAL不織布は、パルプ繊維、二成分繊維(例えば、20重量%)及びラテックス結合剤(例えば、6重量%)で製造することができる。しかしながら、MBAL不織布は、TBAL不織布と同じ所望の物理的特性を発揮するためには比較的高い目付重量を必要とする。更に、従来のMBAL不織布は、環境上及び健康上の問題を引き起こす恐れのあるラテックス結合剤を使用する。TBAL不織布及びMBAL不織布は、多層不織布を指す(例えば表す)が、単層の化学結合された不織布も、ラテックスを含有し得る(例えば、ラテックス結合エアレイド(latex-bonded airlaid:LBAL))。したがって、ラテックスフリーかつホルムアルデヒドフリーの結合剤で結合された不織布(例えば、多層不織布、単層不織布)の開発が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に、不織布であって、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、不織布の総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で不織布中に存在し、合成繊維は、不織布の総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose:CMC)及び/又はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)を含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、不織布が開示される。
【0007】
本明細書に、多層不織布であって、多層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、多層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、第1の外層、第2の外層、又は第1の外層及び第2の外層の両方が硬化天然結合剤を含み、繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、多層不織布も開示される。
【0008】
本明細書に、不織布を製造する方法が更に開示され、この方法は、(a)複数の繊維を繊維ウェブに形成する工程であって、繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で繊維ウェブ中に存在し、合成繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で繊維ウェブ中に存在する、工程と、(b)繊維ウェブの少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、水性天然結合剤が、改質セルロース、強化剤及び水を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、(c)結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて不織布を形成する工程であって、不織布が、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブを含み、不織布は、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、を含む。
【0009】
本明細書に、多層不織布を製造する方法が更に開示され、この方法は、(a)ドライレイドプロセスによって複数の繊維を多層繊維ウェブに形成する工程であって、多層繊維ウェブが、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、多層繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含む、工程と、(b)第1の外層の少なくとも一部及び/又は第2の外層の少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、水性天然結合剤が、改質セルロース、強化剤及び水を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、(c)結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて多層不織布を形成する工程であって、多層不織布が、多層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の多層繊維ウェブを含み、多層不織布は、多層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、を含む。
【0010】
本明細書に、多層不織布であって、多層不織布の総重量に基づいて、約98重量%の量の繊維ウェブと、多層不織布の総重量に基づいて、約2重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、第1の外層、第2の外層、又は第1の外層及び第2の外層の両方が硬化天然結合剤を含み、繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、不織布の総重量に基づいて、約80重量%の量で不織布中に存在し、合成繊維は、不織布の総重量に基づいて、約18重量%の量で不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を含み、硬化天然結合剤は、強化剤対改質セルロースの重量比が約1:2~約1:1,000であることを特徴とし、改質セルロースはCMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、多層不織布を更に開示する。
【0011】
本明細書に、単層不織布であって、単層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、単層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが天然繊維を含み、天然繊維は、単層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量で単層不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、単層不織布を更に開示する。
【0012】
本開示の方法の好適な実施形態の詳細な説明のために、ここで添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】それぞれ、クエン酸又は湿潤強度剤を含有する天然結合剤と、セルロース系パルプ繊維(CMC及び/又はCMCナトリウム)との提案される反応機構を示す。
図1B】それぞれ、クエン酸又は湿潤強度剤を含有する天然結合剤と、セルロース系パルプ繊維(CMC及び/又はCMCナトリウム)との提案される反応機構を示す。
図2】多層不織布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、不織布並びにその製造方法及び使用方法が開示される。一態様では、不織布は、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み得、繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、不織布の総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で不織布中に存在し、合成繊維は、不織布の総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む。いくつかの態様では、不織布は、多層不織布であってもよい。
【0015】
本明細書では、単層不織布並びにその製造方法及び使用方法が更に開示される。一態様では、本明細書に開示される単層不織布は、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み得、繊維ウェブが天然繊維を含み、天然繊維は、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量で不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む。一態様では、単層不織布を製造する方法は、例えば、天然結合エアレイド(natural-bonded airlaid:NBAL)技術及び/又はセルロース結合エアレイド(cellulose-bonded airlaid:CBAL)技術を含み得る。
【0016】
一態様では、本明細書に開示される不織布の製造方法は、全般に、(a)複数の繊維を繊維ウェブに形成する工程であって、繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で繊維ウェブ中に存在し、合成繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で繊維ウェブ中に存在する、工程と、(b)繊維ウェブの少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、水性天然結合剤が、改質セルロース、強化剤及び水を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、(c)結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて不織布を形成する工程であって、不織布が、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブを含み、不織布は、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、を含み得る。
【0017】
本明細書で使用される用語は、概して、本開示の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈において、当該技術分野における通常の意味を有する。いくつかの用語を、本開示の組成物及び方法、並びにそれらを製造する方法及び使用する方法について、説明する際の更なる指針を提供するために以下に定義する。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から別途明確に規定されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの組成物(a compound)」への言及は、複数の組成物を含む。
【0019】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって測定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、値がどのように測定されるか、すなわち測定システムの制約に部分的に左右される。例えば、「約」は、当技術分野の慣行に従って、3以内又は3を超える誤差を意味してもよい。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、あるいは最大10%、あるいは最大5%、あるいは最大1%の範囲を意味してもよい。あるいは、特にシステム又はプロセスに関して、この用語は、ある値の同じ桁内、5倍以内、及び2倍以内の大きさの範囲内を意味してもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「重量パーセント」(重量%)は、(i)材料中の構成要素又は成分の重量を材料の重量のパーセンテージとして言及すること、又は(ii)材料中の構成要素又は成分の重量を最終的な不織布材料又は製品の重量のパーセンテージとして言及することのいずれかを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「目付重量」は、所与の面積当たりの配合物の重量を指す。測定単位の例としては、頭字語(gsm)で表されるグラム毎平方メートル(g/m)が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「gli」、「g/in」、及び「G/in」は、「グラム毎リニアインチ」又は「グラム力毎インチ」を指す。これは、引張強度試験用の試験サンプルの、長さではなく幅を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「水性」は、水及び実質的に水から構成される混合物を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「繊維」、「繊維状」及び類似の用語は、約100超、あるいは約500超、あるいは約1,000超、あるいは約10,000超のアスペクト比(長さ対厚さ)を呈する細長い形態を有する材料を包含することが意図される。
【0025】
本明細書に開示される不織布は、任意の好適な方法を使用して製造することができる。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に開示される不織布の製造方法が、複数の繊維を繊維ウェブに形成する工程であって、繊維ウェブは、天然繊維及び合成繊維を含む、工程を含み得る。そのような態様では、不織布は、本明細書に開示される多層不織布であってもよく、多層不織布は多層繊維ウェブを含む。天然繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約50重量%~約99重量%、あるいは約60重量%~約95重量%、あるいは約70重量%~約90重量%、あるいは約75重量%~約85重量%、あるいは約77.5重量%~約82.5重量%の量で繊維ウェブ(例えば、多層繊維ウェブ)中に存在してもよい。合成繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%、あるいは約5重量%~約40重量%、あるいは約10重量%~約30重量%、あるいは約15重量%~約25重量%、あるいは約17.5重量%~約22.5重量%の量で繊維ウェブ(例えば、多層繊維ウェブ)中に存在してもよい。
【0027】
他の態様では、本明細書に開示される不織布の製造方法が、複数の繊維を繊維ウェブに形成する工程であって、繊維ウェブは、(合成繊維を含まず)天然繊維を含む工程を含み得る。そのような態様では、不織布は、単層不織布であってもよく、単層不織布は単層繊維ウェブを含む。天然繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、100重量%の量で繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)中に存在してもよい。繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、合成繊維を実質的に含まなくてもよい。そのような態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、天然繊維を含むか、天然繊維からなるか、又は本質的に天然繊維からなってもよい。そのような態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、合成繊維を含めていなくてもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「不織布」又は「不織布材料」は、任意の手段によってウェブに形成され、少なくとも本明細書に記載される天然結合剤によって相互に結合され、ウェブの形成及び/又は結合に製織又は編成が関与しない、任意の性質又は由来の繊維、連続フィラメント、又はチョップドヤーンのシートを指す。更に、本明細書の開示の目的のために、「不織布」又は「不織布材料」は、少なくとも化学結合された(例えば、本明細書に開示される天然結合剤などの接合媒体又は結合剤を使用した結合など)繊維、フィラメント、溶融プラスチック又はプラスチックフィルム製のシート構造又はウェブ構造を指すが、熱結合(例えば、熱可塑性繊維の場合の繊維の溶融)、機械的結合(例えば、ランダムウェブ又はランダムマットの場合の繊維の機械的結合)などの他の種類の結合を使用して不織布を製造してもよい。ウェブ結合プロセスは、ウェブに完全性を付与し、得られる材料は、多くの場合、布地と呼ばれる。多くの場合、特性及び外観を向上させるために、布地に更なる機械的仕上げ加工及び/若しくは化学的仕上げ加工又はその両方を施すことができる。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、繊維の選択と共にこれら全てのプロセスは、不織布の構造及び特性を決定する。
【0029】
本明細書に記載される不織布を作り上げるために、従来の湿式積層(ウェットレイド)プロセス、エアレイイング及びカーディングなどの乾式成形プロセス、又はスパンレース若しくはエアレイドなどの任意の他の好適な形成技術が挙げられるがこれらに限定されない、様々なプロセスを使用することができる。一態様では、不織布はエアレイドプロセスによって調製することができる。不織布材料の製造に好適なプロセス及び装置は、米国特許第4,335,066号;同第4,732,552号;同第4,375,448号;同第4,366,111号;同第4,375,447号;同第4,640,810号;同第206,632号;同第2,543,870号;同第2,588,533号;同第5,234,550号;同第4,351,793号;同第4,264,289号;同第4,666,390号;同第4,582,666号;同第5,076,774号;同第874,418号;同第5,566,611号;同第6,284,145号;同第6,363,580号及び同第6,726,461号にてより詳細に記載され、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
一態様では、繊維ウェブは、任意の好適な方法を使用して製造することができる。全般に、ウェブ形成プロセスは、繊維又はフィラメントを分散させて、シート又はウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)を形成するプロセスであり、また、ウェブを積み重ねて、バットとも呼ばれる多層ウェブを形成することもできる。一態様では、多層繊維ウェブは、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み得、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置される。
【0031】
一態様では、多層ウェブは、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み得、各層は、その隣接する層の組成とは異なる組成を有する。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書でより詳細に記載されるように、繊維は、多層ウェブの厚さにわたって合成繊維濃度勾配を有する多層ウェブ中に配置されてもよい。例えば、繊維を1つ以上の成形ヘッドに搬送して、そのような繊維を所望の順序で堆積させ、別々の層を有する多層ウェブ(例えば、多層ウェブの厚さにわたって合成繊維濃度勾配を有する多層ウェブ)を製造することができる。
【0033】
他の態様では、1つ以上の層は、多層ウェブを製造するために組み合わせることの可能な別々のシート又はウェブに形成することができ、多層ウェブは、多層ウェブの厚さにわたって合成繊維濃度勾配を有する。例えば、1つ以上の層又はウェブを予め製造し、その後更なる層と組み合わせてもよい。所望の量及び種類の繊維を搬送する1つ以上の成形ヘッドを各層に使用して、所望の層組成物を製造してもよい。
【0034】
多層ウェブを形成する方法は、米国特許公開第No.20180001591(A)号に更に詳細に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
いくつかの態様では、複数の繊維を繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)に形成する工程は、ウェットレイドプロセスであり得る。他の態様では、複数の繊維を繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)に形成する工程は、ドライレイドプロセスであり得る。更に他の態様では、複数の繊維を繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)に形成する工程は、スパンレイドプロセスであり得る。
【0036】
概して、繊維状材料を湿式積層して乾燥ラップ及び紙などのシートを形成するための技術は、当該技術分野において周知である。好適な湿式積層技術としては、ハンドシート製造(hand sheeting)、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,301,746号に開示されているような紙製造機による湿式積層が非限定的に挙げられる。湿式積層の原理は、紙の製造と同様である。違いは、ウェットレイド不織布材料中に存在する合成繊維の量にある。水と繊維との希釈スラリーを移動ワイヤスクリーン上に堆積させ、水気を切ってウェブを形成することができる。ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)をローラ間でプレスすることにより、更に脱水及び固化させ、乾燥させてもよい。ウェブ形成プロセスに続いて、結合剤(例えば、天然結合剤)を含浸させてもよい。ランダムに配向されたウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)の強度は、ウェットレイド不織布の布地の平面内の全ての方向で類似している。
【0037】
ドライレイドプロセスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第797,749号にてより詳細に記載されている、カーディングとして知られる機械的プロセスを含み得る。カーディングプロセスは、繊維を形成ワイヤ上に集める際に繊維の配向をランダム化するための気流構成要素を含み得る。典型的には、機械的カーディングプロセスでは、繊維長は38~60mmの範囲内であってもよい。カードの設定によっては、繊維長がより長くてもよい。Truzschler-Fliessner EWK-413カードなどのいくつかの機械的カードでは、繊維の長さが38mmよりも大幅に短くても実行することができる。
【0038】
一態様では、ドライレイドプロセスは、エアレイドプロセス(例えば、空気成形プロセス)を含み得る。エアレイドプロセスは、空気流、重力、及び求心力のみを使用して、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)をウェブ結合プロセス(例えば、天然結合剤による化学結合)に搬送する移動成形ワイヤ上に繊維の流れを堆積させる。エアレイドプロセスは、例えば、典型的には長さ6mm未満であり、繊維間の結合力が低く、静電気を発生させる可能性が低い短繊維の均一なウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)を形成するのに有効である。これらの空気駆動式のプロセスで利用される主繊維は木材パルプであり、長さが3mm以下であるため、高スループットで加工することができる。典型的には、12mmを超える繊維長は、エアレイドプロセスでは商業上実用的ではない。パルプ由来の空気成形不織布ウェブは、例えばオーブンを通過させることによって空気成形ウェブが加熱されると、エアレイドウェブが溶融して更に結合することの可能な熱可塑性繊維を組み込むことができる。理論に束縛されるものではないが、100%熱可塑性繊維の層を空気成形することが可能である。しかしながら、繊維スループット率は、典型的には、繊維が長くなると大幅に低下する。エアレイドプロセスは、米国特許第4,014,635号及び同第4,640,810号にてより詳細に記載されている。これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
概して、スパンレイド(スパンボンドとしても知られる)プロセス及びメルトブロープロセスは、スパンメルトプロセスの一種であり、「スパンメルト」は、熱可塑性ポリマーから直接に不織布繊維ウェブを製造することを説明する包括的な用語である。スパンレイドプロセス中に、ポリマー顆粒を溶融させ、溶融したポリマーを紡糸口金から押し出すことで、連続的なポリマーフィラメントを形成し、これらを次いで冷却し、コンベヤ上に堆積させて繊維ウェブを形成することができる。ポリマーフィラメントは、自身の温度によってコンベヤ上で相互に接着することができるが、そのような結合は概して不十分であり、スパンレイド繊維ウェブは、例えば本明細書に開示される天然結合剤を使用することによる更なる結合を必要とする。
【0040】
一態様では、複数の繊維は、天然繊維(例えば、セルロース系繊維又はセルロース繊維)、合成繊維、又はこれらの両方を含み得る。木材パルプ由来のものなどの任意の天然由来のセルロース繊維を含む、当該技術分野において既知の任意のセルロース系繊維を、ウェブを形成するために使用することができる。ウェブを形成するための本開示での使用に好適な天然繊維の非限定的な例としては、木材セルロース;コットンリンターパルプ;セルロース系繊維;改質セルロース(例えば、改質セルロース系繊維);架橋セルロース系繊維などの化学的に改質されたセルロース(例えば、化学処理セルロース系繊維);高度に精製されたセルロース系繊維;クラフト蒸解繊維、前加水分解クラフト蒸解セルロース系繊維、ソーダ蒸解セルロース系繊維、亜硫酸塩蒸解セルロース系繊維などの蒸解セルロース系繊維;熱化学処理されたセルロース系繊維、機械的に処理されたセルロース系繊維、熱機械処理されたセルロース系繊維;松、モミ、トウヒなどの針葉樹由来のセルロース系繊維;ユーカリなどの広葉樹由来のセルロース系繊維;エスパルト、バガス、ケンプ、亜麻、麻、ケナフ、及び他の木質繊維源及びセルロース系繊維源などに由来するセルロース系繊維など;又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ウェブを形成するための本開示での使用に好適な天然繊維の非限定的な例としては、Georgia-Pacificから入手可能な漂白クラフト(Kraft)サザンパイン繊維であるFOLEY FLUFFS繊維;Georgia-Pacificから入手可能な南部針葉樹フラッフパルプであるセルロースパルプ繊維;Georgia-Pacificから入手可能な高度に精製されたセルロース繊維であるHPF;Georgia-Pacificから入手可能な漂白及び剥脱処理された南部針葉樹クラフトであるFFLE繊維;再生セルロース繊維から製造されるビスコース繊維又はレーヨン繊維;乾湿式紡糸を使用してパルプ(漂白木材パルプ)を溶解して形成されたレーヨンの形態であるリヨセル繊維;木材から製造されるリヨセル繊維の一種である、Lenzingから入手可能なTENCELセルロール繊維;及び、Weyerhaeuserから入手可能なユーカリパルプであるT 730広葉樹パルプが挙げられる。
【0041】
一態様では、セルロース系繊維は、化学処理されたセルロース系繊維を含む。いくつかの態様では、化学的に処理されたセルロース繊維は、架橋セルロース系繊維;ポリヒドロキシ化合物処理セルロース系繊維;多価カチオン含有化合物(例えば、多価金属イオン塩)で処理されたセルロース系繊維など、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0042】
セルロース系繊維の処理に好適なポリヒドロキシ化合物の非限定的な例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、完全加水分解ポリ酢酸ビニルなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
セルロース系繊維を処理するために、任意の好適な多価金属イオンを使用することができる。セルロース系繊維の処理に適した多価金属イオンの非限定的な例としては、遷移金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、スズなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
セルロース系繊維を処理するために、任意の好適な多価金属イオン塩を使用することができる。セルロース系繊維の処理に適した多価金属イオン塩は、多価金属イオン(例えば、遷移金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、スズなど、又はこれらの組み合わせ)の塩(例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、窒化物、過塩素酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、アルコキシド、フェノキシド、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、酪酸塩、ヘキサン酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、グリシン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、グルタミン酸塩、オクタン酸塩、安息香酸塩、グルコン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、4,5-ジヒドロキシベンゼン-1,3-ジスルホン酸塩など、又はこれらの組み合わせ)を含む。多価金属イオン塩と任意の好適な錯化剤(例えば、アミン、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetra-acetic acid:EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(diethylenetriaminepenta-acetic acid:DIPA)、ニトリロ三酢酸(nitrilotri-acetic acid:NTA)、2,4-ペンタンジオン、アンモニアなど、又はこれらの組み合わせ)との錯体を、セルロース系繊維の処理に使用することもできる。
【0045】
化学処理されたセルロース系繊維及びその製造方法は、米国特許第5,492,759号;同第5,601,921号及び同第6,159,335号にてより詳細に記載され、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
繊維ウェブが天然繊維を含む態様では、不織布(例えば、単層不織布)は、生分解性度が約99%以上、あるいは約99.5%以上、あるいは約99.9%以上であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。このような態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、天然繊維を含むか、天然繊維からなるか、又は天然繊維から本質的になることができる。そのような態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、合成繊維を含めていなくてもよい。全般に、用語「生分解性」は、細菌、真菌などの生物の作用によって分解又は腐敗することができる材料を指す。一態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。
【0047】
一態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は天然繊維を含み得、天然繊維は生分解性セルロース系繊維を含む。そのような態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、生分解性セルロース系繊維を含むか、生分解性セルロース系繊維からなるか、又は生分解性セルロース系繊維から本質的になることができる。
【0048】
一態様では、複数の繊維は、合成繊維を含み得る。ウェブを形成するための本開示での使用に好適な合成繊維の非限定的な例としては、アクリル系ポリマー、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン12、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸など)、ポリアミン、ポリイミド、ポリアクリル酸(例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、メタクリル酸とアクリル酸とのエステルなど)、ポリカーボネート(例えば、ポリビスフェノールAカーボネート、ポリプロピレンカーボネートなど)、ポリジエン(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリノルボルネンなど)、ポリエポキシド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレンサクシネートなど)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン(パラホルムアルデヒド)、ポリテトラメチレンエーテル(ポリテトラヒドロフラン)、ポリエピクロロヒドリンなど)、ポリフルオロカーボン、ホルムアルデヒドポリマー(例えば、尿素ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド)、天然ポリマー(例えば、セルロース誘導体、キトサン、リグニン、ワックスなど)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリオクテンなど)、ポリフェニレン(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテルスルホンなど)、ケイ素含有ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリカルボメチルシランなど)、ポリウレタン、ポリビニル(例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのエステル及びエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリビニルメチルケトンなど)、ポリアセタール、ポリアリレート、及びコポリマー(例えば、ポリエチレン-コ-ビニルアセテート、ポリエチレン-コ-アクリル酸、ポリブチレンテレフタレート-コ-ポリエチレンテレフタレート、ポリラウリルラクタム-ブロック-ポリテトラヒドロフランなど)、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)系ポリマー、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)系ポリマー、これらの誘導体、これらのコポリマーなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
いくつかの態様では、繊維ウェブは(生分解性の)天然繊維及び生分解性合成繊維、例えばPLA系ポリマー繊維及び/又はPBS系ポリマー繊維を含み得る。一態様では、生分解性合成繊維(例えば、PLA系ポリマー繊維及び/又はPBS系ポリマー繊維)は、生分解性度が約99%以上、あるいは約99.5%以上、あるいは約99.9%以上であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。このような態様では、生分解性合成繊維(例えば、PLA系ポリマー繊維及び/又はPBS系ポリマー繊維)は、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。繊維ウェブが天然繊維及び生分解性合成繊維を含む態様(例えば、PLA系ポリマー繊維及び/又はPBS系ポリマー繊維)では、不織布(例えば、多層不織布)及び繊維ウェブ(例えば、多層繊維ウェブ)は、生分解性度が約99%以上、あるいは約99.5%以上、あるいは約99.9%以上であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。このような態様では、不織布(例えば、多層不織布)及び繊維ウェブ(例えば、多層繊維ウェブは、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。
【0050】
繊維ウェブが天然繊維及び非生分解性合成繊維を含む態様では、不織布(例えば、多層不織布)は非生分解性であり得る。このような態様では、非生分解性合成繊維は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)及び/又はポリエチレン(polyethylene:PE)を含み得る。例えば、非生分解性合成繊維は、本明細書に開示されるPET及び/又はPEを含む二成分繊維を含み得る。全般に、用語「非生分解性」は、細菌、真菌などの生物の作用によって分解又は腐敗することができない材料を指す。
【0051】
一態様では、合成繊維は、単成分繊維(すなわち、繊維中に単一の合成ポリマー又はコポリマー成分)、二成分繊維(すなわち、繊維中に2つの合成ポリマー又はコポリマー成分)、多成分繊維(すなわち、繊維中に2つを超える合成ポリマー又はコポリマー成分)、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0052】
いくつかの態様では、合成繊維は、単成分繊維を含み得、単成分繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸など、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0053】
いくつかの態様では、合成繊維は、多成分繊維、例えば、可逆熱特性を向上させた多成分繊維を含み得る。概して、多成分繊維は、熱エネルギーを吸収又は放出して熱流を低減又は除去する能力を有する、相変化材料などの温度調節材料を含有する。概して、相変化材料は、熱エネルギーを吸収又は放出して、温度安定化範囲で、又は温度安定化範囲内で熱流を低減又は除去する能力を有する、任意の物質又は物質の混合物を含み得る。温度安定化範囲は、特定の転移温度又は転移温度範囲を含み得る。本明細書に開示される不織布に使用される相変化材料は、典型的には、相変化材料が、例えば、液体状態と固体状態、液体状態と気体状態、固体状態と気体状態、又は2つの固体状態などの2つの状態間で転移するのに伴って相変化材料が熱を吸収又は放出している間、熱エネルギーの流動を妨げることができる。相変化は、典型的には一時的なものであり、相変化材料の潜熱が加熱又は冷却プロセス中に吸収又は放出されるまで生じる。熱エネルギーは相変化材料に貯蔵されるか、又は相変化材料から除去されることができ、相変化材料に、典型的には熱源又は冷熱源によって効果的に再投入することができる。適切な相変化材料を選択することにより、多成分繊維を、数多くの製品のうちのいずれか1つでの使用向けに設計することができる。可逆的な熱特性を向上させた多成分繊維は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,855,422号に更に詳細に記載されている。
【0054】
いくつかの態様では、合成繊維は、二成分繊維を含み得る。概して、二成分繊維は、芯と、芯を取り囲む鞘とを有することができ、芯及び鞘は異なるポリマーを含む。例えば、芯は第1のポリマーを含み、鞘は第2のポリマーを含み、第1のポリマーと第2のポリマーとは異なる(例えば、第1のポリマーと第2のポリマーとは溶融温度が異なる)。二成分繊維は、典型的には、エアレイド技術によって不織布材料を製造するために使用される。
【0055】
二成分繊維は、それらの芯成分及び鞘成分として様々なポリマーを組み込むことができる。PE鞘又は改質PE鞘を有する二成分繊維は、典型的にはPET芯又はポリプロピレン(polypropylene:PP)芯を有する。一態様では、二成分繊維は、ポリエステル製の芯と、ポリエチレン製の鞘とを有することができる。
【0056】
一態様では、二成分繊維は、約6mm以上、あるいは約8mm以上、あるいは約10mm以上、あるいは約12mm以上、あるいは約3mm~約36mm、あるいは約4mm~約24mm、あるいは約5mm~約18mm、あるいは約6mm~約12mmの長さを有することができる。本開示での使用に好適な二成分繊維は、同心型、偏心型、サイドバイサイド型、海島型、分割パイ型及び他の変形などの任意の好適な形状を有することができる。
【0057】
部分的に延伸された、及び高度に延伸された二成分繊維及びホモポリマーを含む、本開示での使用に好適な二成分繊維に、様々な程度の伸張、延伸又は延伸比を使用することができる。これらの繊維は、様々なポリマーを含み得、部分的に延伸された芯、部分的に延伸された鞘、又は部分的に延伸された芯及び鞘を有してもよく、又は部分的に延伸されたホモポリマーであってもよい。いくつかの態様では、二成分繊維は、部分的に延伸された芯を有することができる。高度に延伸された二成分繊維は、本明細書で以下により詳細に記載される。
【0058】
本開示での使用に好適な二成分繊維は、部分的に延伸されたポリエステル芯を、特にポリエチレン鞘を含む様々な鞘材料と共に利用する繊維を含み得る。部分的に延伸された二成分繊維と高度に延伸された二成分繊維との両方を同じ構造内で使用することで、これらの繊維がどのように構造に組み込まれるかに基づいて、特定の物理的特性及び性能特性を満たすのに活用することができる。部分的に延伸された二成分繊維が延伸される程度は、異なる延伸度が異なる性能の向上をもたらすため、範囲が限定されない。部分的に延伸された二成分繊維の範囲は、同心型、偏心型、サイドバイサイド型、海島型、分割パイ型、及び他の変形を含むがこれらに限定されない、様々な芯鞘構成を有する繊維を包含する。加えて、二成分繊維は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、及び他の溶融紡糸可能なポリマーなどの部分的に延伸されたホモポリマーを含み得る。本開示での使用に好適な部分的に延伸された芯による二成分繊維の非限定的な例としては、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate:PBT)製の芯を含む部分的に延伸された芯及びポリエチレン製の鞘による、Trevira(Bobingen,Germany)から入手可能なTREVIRA T265二成分繊維が挙げられる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「部分的に延伸された芯」又は「部分的に延伸された繊維」は、その繊維形態において可能な限り高い強度又は強さを達成するまでは延伸又は伸張されていないが、繊維にある程度の配向又は結晶化度及び強度をもたらす程度まで延伸又は伸張されている、二成分繊維を含む繊維などの繊維の全体又は一部分を指す。したがって、部分的に延伸された芯による二成分繊維又は部分的に延伸されたホモポリマーは、物品に組み込まれた後でも更に伸張又は延伸させることが可能であり得る。これにより、部分的に延伸された芯による二成分繊維又は部分的に延伸されたホモポリマーは、物品内に組み込まれた状態でも、更に延伸されたとき、物品に更なる強度及び伸びを付与することが可能である。ホモポリマー又は二成分繊維は、典型的には、破損点近くまで伸張させて、その繊維形態に高レベルの結晶化度及び強度をもたらすことができる。フィラメントが繊維に切断される前のフィラメントの延伸又は伸張は、紡糸工程及び延伸工程の両方で起こり得る。「ドローダウン」としても知られる紡糸工程中の延伸は、溶融繊維が紡糸口金の面から引っ張られて紡糸フィラメントが延伸されるときに起こる。紡糸されたままのフィラメントが経年劣化によって脆化すると、延伸工程中に破断などの壊滅的な破損を引き起こす可能性があり、これを防止するために、ある程度の延伸が必要である。ホモポリマー及び二成分繊維の紡糸及び延伸は、米国特許第4,115,989号;同第4,217,321号;同第4,529,368号;同第4,687,610号;同第5,185,199号;同第5,372,885号及び同第6,841,245号にてより詳細に開示され、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの繊維、糸、及び他の溶融紡糸又は押出材料は、未延伸と呼ばれる場合があるが、ポリマーが紡糸口金面から引き離される溶融紡糸段階の間にある程度延伸される。紡糸口金面から離れる際に繊維に張力が加えられない、いくつかの他の繊維、糸、及び他の溶融紡糸材料又は押出材料、例えば接着ポリマーもまた、未延伸と呼ばれ得る。本開示での使用に好適な未延伸ポリマー繊維は、米国特許第3,931,386号、同第4,021,410号、同第4,237,187号、同第4,434,204号、同第4,609,710号、同第5,229,060号、同第5,336,709号、同第5,634,249号、同第5,660,804号、同第5,773,825号、同第5,811,186号、同第5,849,232号、同第5,972,463号及び同第6,080,482号にてより詳細に開示されており、これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
一態様では、二成分繊維は、高度に延伸された二成分繊維を含み得る。本明細書で使用される場合、「高度に延伸された」は、繊維に高度の分子配向をもたらし、繊維形態における強度を高めるような延伸又は伸張の最大レベル近くまで延伸又は伸張されているが、繊維に壊滅的な破損を発生させ、場合によっては破断させる程度まで過度に延伸又は過度に伸張はされていないものとして定義される。一態様では、二成分繊維は、様々な延伸又は伸張の程度で部分的に延伸された二成分繊維;高度に延伸された二成分繊維;及びこれらの混合物を含み得る。本開示での使用に好適な高度に延伸された二成分繊維の非限定的な例としては、特にポリエチレン鞘を含む様々な鞘材料を有する高度に延伸されたポリエステル芯による二成分繊維であり、それぞれInvista(Salisbury,NC)から入手可能な及びTrevira(Bobingen,Germany)から入手可能なINVISTA T255二成分繊維及びTREVIRA T255二成分繊維;並びに、様々な鞘材料を有し、特にES FiberVisions(Varde,Denmark)から入手可能なポリエチレン鞘を含む高度に延伸されたポリプロピレン芯による二成分繊維であるAL-Adhesion-C二成分繊維が挙げられる。
【0061】
本開示での使用に好適な二成分繊維は、米国特許第5,372,885号及び同第5,456,982号に更に詳細に記載されており、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。二成分繊維を製造するためのプロセスは、米国特許第4,950,541号、同第5,082,899号、同第5,126,199号、同第5,372,885号、同第5,456,982号、同第5,705,565号、同第2,861,319号、同第2,931,091号、同第2,989,798号、同第3,038,235号、同第3,081,490号、同第3,117,362号、同第3,121,254号、同第3,188,689号、同第3,237,245号、同第3,249,669号、同第3,457,342号、同第3,466,703号、同第3,469,279号、同第3,500,498,号、同第3,585,685号、同第3,163,170号、同第3,692,423号、同第3,716,317号、同第3,778,208号、同第3,787,162号、同第3,814,561号、同第3,963,406号、同第3,992,499号、同第4,052,146号、同第4,251,200号、同第4,350,006号、同第4,370,114号、同第4,406,850号、同第4,445,833号、同第4,717,325号、同第4,743,189号、同第5,162,074号、同第5,256,050号、同第5,505,889号、同第5,582,913号及び同第6,670,035号にてより詳細に記載され、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
一態様では、本明細書に開示される不織布の製造方法は、繊維ウェブの少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程を含み得る。繊維ウェブは、任意の好適な方法を使用して水性天然結合剤と接触させることができる。一態様では、水性天然結合剤は、飽和による結合法、発泡体結合法、噴霧結合法、印刷結合法など、又はこれらの組み合わせによって繊維ウェブに接触させる(例えば、適用する)ことができる。水性天然結合剤は「水性セルロース系結合剤」と呼ばれてもよく、用語「水性天然結合剤」及び「水性セルロース系結合剤」は、本明細書の開示の目的のために互換的に使用することができる。更に、用語「天然結合剤」及び「セルロース系結合剤」は、本明細書の開示の目的のために互換的に使用することができる。
【0063】
一態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース、強化剤及び水を含み得、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む。
【0064】
一態様では、水性天然結合剤は、改質セルロースを含み得、改質セルロースはCMC及び/又はCMCナトリウムを含む。CMC及びCMCナトリウムはセルロース誘導体(すなわち、改質セルロース)である。セルロースは、植物に見られる繊維状の炭水化物であり、植物細胞壁の構造成分である。セルロースは、地球上の最も豊富な天然に存在する有機ポリマーと考えられ、植物界に見出される全ての炭素の半分を占める。セルロースは多糖類であり、β-1,4-グリコシド結合によって連結された数百~数千のD-グルコース単位の直鎖からなるグルコースの直鎖ポリマーである。CMCは、セルロースの化学改質誘導体であり、概して、セルロースとアルカリ及びクロロ酢酸との反応によって形成される。CMC中の繰り返しグルコース単位はそれぞれ、3つのヒドロキシル基(-OH)を有し、これらはそれぞれ、理論に束縛されるものではないが、カルボキシメチル基(-CH-COOH)で置換されて、対応するカルボキシメチルエーテル(-O-CH-COOH)を形成することができる。しかしながら、セルロースの出発材料及び反応条件に基づいて、セルロースポリマー鎖のヒドロキシル基の一部のみが最終的にカルボキシメチル基で置換され、グルコースモノマー単位当たりの置換されたヒドロキシル基の平均数は置換度として知られている。CMCの特性(例えば、溶解度、粘度)は、ポリマー鎖の長さ及び置換度に依存する。概して、CMCは、約0.3~約2、最も一般的には約0.6~約0.9の置換度で市販されている。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、理論に束縛されるものではないが、CMCのpKaは置換度に依存し、最も一般的に利用可能なCMC(例えば、約0.6~約0.9の置換度)の場合、pKaは約4-5であり、酢酸のpKaと類似している。更に、当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、理論に束縛されるものではないが、CMCは、カルボキシメチルセルロースを得るために使用される溶液のpHに応じて、完全にプロトン化される(例えば、pH1~2などのpKa未満のpH値)か、CMCが完全に脱プロトン化され、したがって、CMCはCMCナトリウム(例えば、pH7などのpKaを超えるpH値)であるか、又は、CMCがpKa近傍のpH値で部分的にプロトン化及び部分的に脱プロトン化されてもよい(例えばナトリウム塩)。CMCナトリウムは、ナトリウム塩形態(-O-CH-COONa)のカルボキシメチルエーテル基の少なくとも一部を含む。
【0065】
CMC及びCMCナトリウムは、生体適合性、生分解性、及び非毒性であることにより、食品、化粧品、更には医薬品においても使用することができる。
【0066】
理論に束縛されるものではないが、改質セルロース(例えば、CMC及び/又はCMCナトリウム)は、不織布繊維(例えば、セルロース系繊維)との水素結合及びエステル型結合などの共有結合を形成することによって、不織布の強度を高めることができる。
【0067】
本開示での使用に好適な市販のCMC及びCMCナトリウムの非限定的な例としては、Ashlandから入手可能なAQUALON CMCナトリウム;Amtexから入手可能なGELYCEL CMC;Dowから入手可能なWALOCEL CMC;など;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
一態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約50重量%、あるいは約1重量%~約40重量%、あるいは約2.5重量%~約25重量%の量の改質セルロースを含み得る。
【0069】
一態様では、水性天然結合剤は強化剤を含み得、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含む。本明細書の開示の目的のために、用語「強化剤」は、不織布材料の強度(例えば、引張強度)特性を改善することができる化合物を指す。強化剤は、「結合剤改質剤」と呼ばれてもよく、用語「強化剤」及び「結合剤改質剤」は、本明細書の開示の目的のために互換的に使用することができる。
【0070】
一態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、あるいは約0.5重量%~約5重量%、あるいは約1重量%~約2.5重量%の量の強化剤を含み得る。
【0071】
一態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1,000、あるいは約1:3~約1:750、あるいは約1:4~約1:500、あるいは約1:5~約1:100の強化剤対改質セルロースの重量比で含み得る。
【0072】
一態様では、強化剤は架橋剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含む。本開示における架橋剤としての使用に好適な2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸の非限定的な例としては、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、ポリアクリル酸など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、架橋剤はクエン酸を含む。当業者よって、また本開示の助けを借りて理解されるように、本明細書に開示される架橋剤は、生体適合性、生分解性、及び非毒性であることにより、食品、化粧品、更には医薬品においても使用することができる。
【0073】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される種類の架橋剤は、両方の不織布繊維(例えば、セルロース系繊維、天然繊維)との、及び改質セルロースとの、共有結合(例えば、エステル型結合)、並びに水素結合及び/又はイオン結合を形成し得るカルボキシル基を含むことにより、湿潤強度及び/又は乾燥強度が向上した不織布を提供する。
【0074】
一態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、あるいは約0.5重量%~約5重量%、あるいは約1重量%~約2.5重量%の量の架橋剤を含み得る。
【0075】
一態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース及び架橋剤を、約1:2~約1:1,000、あるいは約1:3~約1:750、あるいは約1:4~約1:500、あるいは約1:5~約1:100の架橋剤対改質セルロースの重量比で含み得る。いくつかの態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース及び架橋剤を、約1:2.5の架橋剤対改質セルロースの重量比で含み得る。
【0076】
一態様では、強化剤は湿潤強度剤を含む。一態様では、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含み得る。概して、不織布材料の強度特性を改善するために、湿潤強度剤を不織布に使用することができる。理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される種類の湿潤強度剤は、例えば少なくとも1つの反応性官能基を介して、改質セルロース及び/又は不織布繊維との化学結合(例えば、共有結合、イオン結合)を形成することができ、それによって不織布の強度を改善する。本明細書の開示の目的のために、用語「反応性官能基」は、例えば、天然結合剤で繊維ウェブを処理する、結合剤を硬化させるなどの条件下で、改質セルロース及び/又は不織布繊維との化学結合(例えば、共有結合、イオン結合)を形成するように反応可能な官能基を指す。
【0077】
本開示での使用に好適な湿潤強度剤の非限定的な例としては、N-メチロールアクリルアミド(N-methylolacrylamide:NMA)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide:PAM)、グリオキシル化ポリアクリルアミド(glyoxylated polyacrylamide:GPAM)、ポリアミドエピクロロヒドリン(polyamide epichlorohydrin:PAE)、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(polyamidoamine epichlorohydrin:PAAE)など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
本開示での使用に好適な市販の湿潤強度剤の非限定的な例としては、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオール官能基と反応性であり、かつホルムアルデヒドを含まない水性樹脂である、Solenisから入手可能なPOLYCUP架橋樹脂;Kemiraから入手可能なFENNOBOND結合剤など;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
一態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、あるいは約0.5重量%~約5重量%、あるいは約1重量%~約2.5重量%の量の湿潤強度剤を含み得る。
【0080】
いくつかの態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約0.5重量%、あるいは約0.2重量%~約0.3重量%の量のPOLYCUP架橋樹脂を含み得る。
【0081】
一態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース及び湿潤強度剤を、約1:2~約1:1,000、あるいは約1:3~約1:750、あるいは約1:4~約1:500、あるいは約1:5~約1:100の湿潤強度剤対改質セルロースの重量比で含み得る。いくつかの態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース及び湿潤強度剤を、約1:2.5の湿潤強度剤対改質セルロースの重量比で含み得る。
【0082】
一態様では、水性天然結合剤は、柔軟化剤、電解質など、又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な結合剤添加剤を含み得る。
【0083】
一態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、あるいは約0.5重量%~約5重量%、あるいは約1重量%~約2.5重量%の量の柔軟化剤を更に含み得る。
【0084】
概して、柔軟化剤は、特定の柔軟性、親水性、帯電防止特性などを提供するために不織布に使用することができる。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、柔軟化剤はまた、不織布の吸水度を低減することができる。
【0085】
本開示での使用に好適な柔軟化剤の非限定的な例としては、アニオン性界面活性剤、グリセロール、ポリエチレンエマルジョン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、脂肪族アルコールエトキシレート、ラウリル硫酸ナトリウム、シリコーン系柔軟化剤、ナノ材料系柔軟化剤など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0086】
一態様では、本明細書に開示される水性天然結合剤は、改質セルロース、強化剤、及び柔軟化剤を含み得る。いくつかの態様では、本明細書に開示される水性天然結合剤は、改質セルロース、架橋剤、及び柔軟化剤を含み得る。他の態様では、本明細書に開示される水性天然結合剤は、改質セルロース、湿潤強度剤、及び柔軟化剤を含み得る。更に他の態様では、本明細書に開示される水性天然結合剤は、改質セルロース、架橋剤、湿潤強度剤、及び柔軟化剤を含み得る。
【0087】
一態様では、水性天然結合剤は、強化剤及び柔軟化剤を、約1:10~約2:1、あるいは約1:5~約1.5:1、あるいは約1:2~約1:1の柔軟化剤対強化剤の重量比で含み得る。いくつかの態様では、天然結合剤は、強化剤及び柔軟化剤を、約1:1の柔軟化剤対強化剤の重量比で含み得る。
【0088】
いくつかの態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース、強化剤及び柔軟化剤を、約2.5:1:1の改質セルロース対強化剤対柔軟化剤の重量比で含み得、強化剤は、架橋剤、湿潤強度剤、又は架橋剤と湿潤強度剤との両方を含む。いくつかの態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース、架橋剤及び柔軟化剤を、約2.5:1:1の改質セルロース対架橋剤対柔軟化剤の重量比で含み得る。他の態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース、湿潤強度剤及び柔軟化剤を、約2.5:1:1の改質セルロース対湿潤強度剤対柔軟化剤の重量比で含み得る。
【0089】
一態様では、水性天然結合剤は、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.01重量%~約0.5重量%、あるいは約0.02重量%~約0.3重量%、あるいは約0.05重量%~約0.1重量%の量の電解質を更に含み得る。概して、電解質は、改質セルロースの水溶液の粘度を低下させ得る。
【0090】
本開示での使用に好適な電解質の非限定的な例としては、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、AlCl、NaSO、AlSO、KSO、CaSO、ミョウバン(KAl(SO・12HO)など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
一態様では、水性天然結合剤は、改質セルロース、強化剤、及び水を含む。一態様では、水性天然結合剤は、噴霧可能な水溶液であり得る。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、水性天然結合剤を調製するために使用される成分のいずれかが水を含有する(例えば、改質セルロース溶液、強化剤水溶液など)場合、そのような水は水性天然結合剤中に存在し、最終的な水性天然結合剤組成物中の水の総量に寄与する。
【0092】
一態様では、水性天然結合剤は、約99.9:0.1~約1,000:500(すなわち、約999:1~約2:1)、あるいは約99:1~約500:100(すなわち、約99:1~約5:1)、あるいは約50:1~約100:10(すなわち、約50:1~約10:1)の水対改質セルロースの重量比を特徴とすることができる。
【0093】
一態様では、水性天然結合剤は、約2~約8、あるいは約3~約6、あるいは約4~約5のpHを有し得る。
【0094】
一態様では、本明細書に開示される水性天然結合剤は生分解性であり得る。
【0095】
いくつかの態様では、水性天然結合剤は、生分解性度が約99%以上、あるいは約99.5%以上、あるいは約99.9%以上であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。一態様では、水性天然結合剤は、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。
【0096】
一態様では、水性天然結合剤は、任意の好適な方法を使用して製造することができる。
【0097】
一態様では、水性天然結合剤を製造する方法は、改質セルロース(例えば、CMC及び/又はCMCナトリウム)を水と接触させて、改質セルロース溶液を形成する工程を含み得る。改質セルロース溶液は、改質セルロースと水とを任意の好適な順序で組み合わせることによって調製することができる。改質セルロース溶液は、約4~約8、あるいは約5~約7、あるいは約6~約7のpHを有し得る。
【0098】
一態様では、改質セルロース溶液は、改質セルロース溶液の総重量に基づいて、約0.1重量%~約50重量%、あるいは約1重量%~約40重量%、あるいは約2.5重量%~約25重量%の量の改質セルロースを含み得る。
【0099】
一態様では、水性天然結合剤の製造方法は、改質セルロース(例えば、改質セルロース溶液)の少なくとも一部を強化剤と接触させて、水性天然結合剤を形成する工程を含み得る。水性天然結合剤は、改質セルロースを強化剤と任意の好適な順序で組み合わせることによって調製することができる。
【0100】
一態様では、水性天然結合剤の製造方法は、水性天然結合剤を、柔軟化剤、電解質、顔料着色剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤と接触させることを更に含み得る。水性天然結合剤並びにその製造方法及び使用方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Modified Cellulose Based Natural Binder for Nonwoven Fabrics」と題する2018年1月31日出願の米国仮特許出願第62/624,377号にてより詳細に記載されている。
【0101】
一態様では、水性天然結合剤は、繊維ウェブの強化に加えて、本明細書で以下により詳細に記載されるように、発塵の抑制のために繊維ウェブの外表面の一方又は両方に使用(例えば、適用)されてもよい。水性天然結合剤が基材(例えば、繊維ウェブ)の外表面上にのみ適用されることが望ましい態様では、水性天然結合剤は、繊維ウェブ上に軽く噴霧、印刷、発泡処理、又はロール処理されてもよい。
【0102】
繊維ウェブが多層繊維ウェブである一態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、第1の外層の少なくとも一部及び/又は第2の外層の少なくとも一部を、例えば、発泡体結合プロセス、印刷結合プロセス、噴霧結合プロセス、ロール結合プロセスなどにおいて、水性天然結合剤と接触させることを含み得る。
【0103】
いくつかの態様では、水性天然結合剤は、繊維ウェブの両方の外表面(例えば、第1の外層及び第2の外層)上に使用(例えば、適用)されてもよい。
【0104】
水性天然結合剤が第1の外層上に適用されるいくつかの態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、水性天然結合剤を第2の外層上に適用することを更に含み得る。
【0105】
他の態様では、水性天然結合剤は、繊維ウェブ(例えば、第1の外層)の外表面のうちの一方のみに使用(例えば、適用)されてもよい。このような態様では、本明細書に開示される不織布の製造方法は、繊維ウェブの両方の外表面を水性天然結合剤と接触させることを含めなくてもよい(例えば、第2の外層を水性天然結合剤と接触させることを含めなくてもよい)。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、水性天然結合剤は、繊維ウェブの外層(例えば、第1の外層、第2の外層、又は第1の外層及び第2の外層の両方)の一方のみ又は双方に適用されてもよいが、水性天然結合剤は、水性天然結合剤が接触する層に隣接する1つ以上の層に浸透してもよい。
【0106】
水性天然結合剤が第1の外層上に適用される他の態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、水性天然結合剤を第2の外層上に適用することを更に含めなくてもよい。
【0107】
一態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、水性天然結合剤を希釈するために、また結合剤を繊維に運ぶ手段として空気又は水を使用する発泡体結合プロセスを含み得る。水ではなく空気による結合剤の希釈は、乾燥がより速く、エネルギーコストが大幅に少ないという利点を有する。結合剤発泡体は機械的に生成可能であり、繊維ウェブへの適用中の崩壊を防止するために安定化剤で安定化させることができる。発泡体を、繊維ウェブの表面に留まるように適用してもよく、繊維ウェブ断面を貫通して浸透するように適用してもよい。ウェブ/布地の幅にわたって発泡体を分散させるために、少なくとも1つの往復式の発泡体分散装置が一般的に使用される。余分な発泡体を、ウェブの多孔質部分(例えば、繊維間の空間)を通して、例えば、繊維ウェブの発泡体が適用される側とは反対の側に配置された真空脱水器によって除去してもよい。概して、発泡体結合は、乾燥がより効率的であり、布地の柔軟性を制御することが可能である。しかしながら、適切な発泡と均一な結合剤分散を実現するのは難しい場合がある。
【0108】
一態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、印刷結合プロセスを含み得る。概して、印刷結合の場合、繊維ウェブは乾燥している必要がある。印刷結合プロセスは、印刷表面のパターンによって規定される所定の領域にのみ水性天然結合剤を適用する。水性天然結合剤は、フィードロール及び彫刻ロールによって繊維ウェブに転写されてもよい。繊維ウェブが彫刻ロールを通過する際に、繊維ウェブの表面にゴムロールが押し付けられ、それによって水性天然結合剤が所定の領域内の布地に転写される。余分な水性天然結合剤が、ドクターブレードによって除去されてもよい。印刷結合プロセスは、低濃度の結合剤を繊維ウェブの表面に適用するのに適している。
【0109】
一態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、水性天然結合剤を繊維ウェブ上に噴霧することができる噴霧結合プロセスを含み得る。水性天然結合剤は、移動する繊維ウェブ上に、ノズルシステムを介して微細な液滴の形で噴霧することができる。噴霧結合プロセスは、繊維ウェブがニップローラ間を通過する必要がない、高度に多孔質で嵩高な製品の製造に使用することができる。結合剤を噴霧することにより、水性天然結合剤溶液は、噴霧される繊維ウェブの表面の直下の繊維材料に浸透することができる。液体結合剤(例えば、水性天然結合剤)は、空気圧、水圧、及び/又は遠心力によって噴霧することができ、概して繊維ウェブの上面に適用される。基材への結合剤の浸透の深さは、繊維の湿潤性、ウェブの透過性、及び結合剤の量などの様々な要因に依存する。噴霧結合プロセスにより、不織布を圧縮しないことが可能になり、それにより、不織布が元の嵩及び構造を実質的に保持することが可能になる。いくつかの態様では、水性天然結合剤は、乾燥繊維ウェブ上に噴霧されてもよい。他の態様では、水性天然結合剤は、予め湿潤させたウェブなどの湿潤繊維ウェブ上に噴霧されてもよい。
【0110】
いくつかの態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤で含浸又は飽和させてもよく、水性天然結合剤は、例えば飽和による結合プロセスで、繊維ウェブにその厚さ全体にわたって浸透する(例えば、水性天然結合剤は、多層繊維ウェブの全ての層に実質的に浸透する)。
【0111】
一態様では、繊維ウェブを水性天然結合剤と接触させる工程は、飽和による結合プロセスを含み得る。飽和による化学結合は、結合剤(例えば、水性天然結合剤)を含有する浴中に不織布ウェブ(例えば、繊維ウェブ)を完全に浸漬し、続いて余分な結合剤を一対のニップロール(例えば、ピンチロール)によって除去することを伴う。繊維ウェブは、ローラによって飽和浴を通って導かれ、次いで一対のニップロールの間でプレスされて余分な液体(例えば、水性天然結合剤)が絞り出される。不織布によって取り込まれる水性天然結合剤の量は、不織布の目付重量、浴に費やす時間の長さ、繊維の湿潤性、及びニップ圧などの様々な要因に依存する。飽和による結合プロセスは、比較的高い結合剤対繊維濃度を不織布全体にわたって均一に提供することができる。ただし、飽和による結合プロセスは含む湿潤時間が短いため、軽量で透過性の高い不織布により適している。
【0112】
一態様では、繊維ウェブと水性天然結合剤とは、約1:0.01~約1:20、あるいは約1:0.02~約1:18、あるいは約1:0.05~約1:15、あるいは約1:0.07~約1:10の布地対液比で接触してもよく、布地対液比は、kg繊維ウェブ対水性天然結合剤リットルで表される質量対体積比である。例えば、1:0.01の布地対液比は、1kgの繊維ウェブ対0.01リットルの水性天然結合剤の比を指し、1:20の布地対液比は、1kgの繊維ウェブ対20リットルの水性セルロース系の比を指す。本明細書の開示の目的のために、用語「液」は、水性天然結合剤を指す。更に、本明細書の開示の目的のために、用語「布地対液比」は、kg繊維ウェブ対水性天然結合剤リットルで表される布地対水性天然結合剤の比を指す。
【0113】
一態様では、本明細書に開示される不織布の製造方法は、結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて不織布を形成する工程を含み得、不織布は硬化天然結合剤を含み、硬化天然結合剤は、水性天然結合剤の改質セルロースの少なくとも一部と、水性天然結合剤の強化剤の少なくとも一部とを含む。
【0114】
本明細書で使用される場合、「硬化」、「硬化された」、及び同様の用語は、本開示の結合剤組成物(例えば、水性結合剤組成物)において、例えば、結合剤組成物を乾燥させ、加熱して結合剤を硬化させる場合の共有結合性化学反応(架橋)、イオン相互作用又はクラスタリング、繊維ウェブ基材への改善された結合、相転移又は反転、及び水素結合などによって生じる、構造的及び/又は形態的変化を包含することを意図する。本明細書で使用される場合、用語「硬化結合剤」は、天然結合剤の硬化生成物を指し、この硬化生成物は、繊維状製品(例えば、繊維ウェブ)の繊維を相互に結合させる。概して、結合は、重なり合う繊維の交点で生じる。
【0115】
例えば、理論に束縛されるものではないが、図1Aは、クエン酸共有架橋を介したセルロース分子間の共有結合の形成をもたらす、改質セルロースとクエン酸(例えば、架橋剤)との提案した架橋反応機構を示す。図1Bは、湿潤強度剤共有結合架橋を介したセルロース分子間の共有結合の形成をもたらす、改質セルロースと湿潤強度剤との提案した架橋反応機構を示す。理論に束縛されるものではないが、架橋剤及び/又は湿潤強度剤は、乾燥状態で(すなわち、結合剤の硬化後に)、セルロース繊維間に共有結合/エステル結合を形成することができる。
【0116】
一態様では、結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて不織布を形成する工程は、例えば、結合剤含浸繊維ウェブを約110℃~約220℃、あるいは約115℃~約215℃、あるいは約120℃~約210℃、あるいは約130℃~約200℃、あるいは約140℃~約170℃の温度に加熱することによって、結合剤含浸繊維ウェブを乾燥させる工程を含み得る。結合剤含浸繊維ウェブは、任意の好適な方法によって加熱することができる。
【0117】
結合剤を適用した後に、結合剤含浸繊維ウェブを、例えば、任意の好適な乾燥機又はオーブン内で乾燥させて、結合剤担体(例えば、水)を蒸発させ、天然結合剤が、例えば、(本明細書に前述した架橋剤を介した共有結合などの)化学結合によって不織布を結合させてもよい。本開示での使用に好適な乾燥機の非限定的な例としては、ドラム乾燥機、加熱ドラム、蒸気加熱乾燥缶(steam-heated drying cans)、フラットベルト乾燥機、幅出乾燥機、スルーエアオーブン、穿孔ドラム乾燥機、赤外線乾燥機など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ドラム乾燥又はベルト乾燥では、繊維ウェブを、例えば、約110℃~約220℃の温度に加熱された空気などの熱風が通過する穿孔コンベヤ表面上に案内してもよい。次いで、空気をドラムの内側から、又はベルトの穿孔を通して引き出し、再利用してもよい。幅出乾燥機は、結合剤含浸繊維ウェブの両面に熱風流を供給することができる。赤外線乾燥機では、結合剤からの水が赤外線エネルギーを吸収して蒸発する。
【0118】
一態様では、結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて不織布を形成する工程は、熱結合を更に含み得る。本明細書で使用される場合、用語「熱結合」は、圧力の有無にかかわらず、熱処理及び/又は超音波処理が感熱材料の活性化に使用される、繊維ウェブを結合させるための技術を指す。感熱材料は、繊維、二成分繊維、及び可融性粉末をウェブの一部分として含む形態であり得る。結合は、全体的に(例えば、スルー結合又は領域結合によって)施されてもよいが、所定の別々の部位(例えば、点結合)に限定されてもよい。本開示での使用に好適な熱結合の非限定的な例としては、カレンダ加工、スルーエア熱結合、放射熱結合、音波結合など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カレンダ加工では、加熱及びローラによって加えられる高圧を使用して、繊維ウェブを相互に融着させる。スルーエア熱結合では、低融点繊維を含有する繊維ウェブを全体的に結合させることによって、より嵩高な製品を製造し、繊維の溶融は慎重に温度制御された熱風流内で行われる。ドラムシステム及びブランケットシステムでは、圧力及び熱を加えて平均的な嵩の製品を製造する。放射加熱結合は、繊維ウェブを赤外線範囲内の放射エネルギー源に曝露してウェブの温度を上昇させることによって達成され得る。音波結合は、パターン化されたローラの下に保持された繊維の分子が高周波エネルギーによって励起されて内部発熱すると起こる。
【0119】
一態様では、不織布材料の繊維は、天然結合剤によって相互に結合されてもよく、又は、天然結合剤と、二成分繊維などの溶融した、若しくは部分的に溶融した合成繊維とによって相互に結合されてもよい。いくつかの態様では、繊維ウェブは、二成分繊維を含み得、二成分繊維は、芯と、芯を取り囲む鞘と、を含む。そのような態様では、結合剤含浸繊維ウェブの熱結合中に、鞘の少なくとも一部が熱結合中に溶融し、繊維ウェブを更に結合させてもよい。
【0120】
不織布材料の繊維が天然結合剤によって相互に保持される態様では、不織布材料は、「天然結合不織布」と称され得る。不織布材料の繊維がセルロース型材料(例えば、セルロース系繊維、セルロース系結合剤)によって相互に保持される態様では、不織布材料は、「セルロース結合不織布」と称され得る。
【0121】
不織布材料の繊維がエアレイドされ、天然結合剤によって相互に保持される態様では、不織布材料は、「天然結合エアレイド(NBAL)不織布」と称され得る。不織布材料の繊維がエアレイドされ、セルロース型材料(例えば、セルロース系繊維、セルロース系結合剤)によって相互に保持される態様では、不織布材料は、「セルロース結合エアレイド(CBAL)不織布」と称され得る。
【0122】
一態様では、単層不織布は、単層CBAL不織布であってもよい。一態様では、単層不織布は、単層NBAL不織布であってもよい。
【0123】
一態様では、多層不織布は、多層CBAL不織布であってもよい。一態様では、多層不織布は、多層NBAL不織布であってもよい。
【0124】
結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて不織布を形成する工程が熱結合及び化学結合の両方を含む態様では、不織布は「マルチボンド不織布」と称され得る。全般に、マルチボンド不織布は、例えば、熱結合及び化学結合などの2つ以上の異なる結合技術を使用して製造される不織布を指す。
【0125】
一態様では、不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、本明細書に開示される繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)、及び本明細書に開示される硬化天然結合剤を含み得る。繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ、多層繊維ウェブ)は、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%、あるいは約87重量%~約99.5重量%、あるいは約90重量%~約99重量%の量で不織布中に存在し得る。硬化天然結合剤は、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%、あるいは約0.5重量%~約13重量%、あるいは約1重量%~約10重量%の量で不織布中に存在し得る。不織布は、所望の特性を不織布に付与するために、天然繊維(例えば、セルロース系繊維)及び合成繊維を任意の好適な量で含み得る。本明細書の開示の目的のために、硬化天然結合剤は、「天然結合剤」と呼ばれてもよく、用語「硬化天然結合剤」及び「天然結合剤」は、互換的に使用することができる。
【0126】
いくつかの態様では、天然結合剤及び/又は水性天然結合剤は、生分解性度が約99%以上、あるいは約99.5%以上、あるいは約99.9%以上であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。一態様では、天然結合剤及び/又は水性天然結合剤は、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。
【0127】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、不織布の表面積に基づいて、約0.005g/m~約10g/m、あるいは約0.01g/m~約9g/m、あるいは約0.1g/m~約8g/m、あるいは約1g/m~約7g/mの量の硬化天然結合剤を含み得る。
【0128】
一態様では、不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)中の硬化天然結合剤の量は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布中のラテックス結合剤の量よりも少なくてもよい。
【0129】
一態様では、不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)中の結合剤の量は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布中の結合剤の量と比較して、約70%以上、あるいは約75%以上、あるいは約80%以上少なくてもよい。
【0130】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1,000、あるいは約1:3~約1:750、あるいは約1:4~約1:500、あるいは約1:5~約1:100の強化剤対改質セルロースの重量比で含み得る。
【0131】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、硬化天然結合剤の総重量に基づいて、約50重量%~約99重量%、あるいは約55重量%~約94重量%、あるいは約60重量%~約89重量%の量の改質セルロースを含み得る。
【0132】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、硬化天然結合剤の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%、あるいは約6重量%~約45重量%、あるいは約11重量%~約40重量%の量の強化剤を含み得、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み得る。
【0133】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、硬化天然結合剤の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%、あるいは約6重量%~約45重量%、あるいは約11重量%~約40重量%の量の架橋剤を含み得る。
【0134】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、硬化天然結合剤の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%、あるいは約6重量%~約45重量%、あるいは約11重量%~約40重量%の量の湿潤強度剤を含み得る。
【0135】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、硬化天然結合剤の総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%、あるいは約2重量%~約20重量%、あるいは約3重量%~約10重量%の量の柔軟化剤を更に含み得る。
【0136】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤は、硬化天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約1重量%、あるいは約0.2重量%~約0.9重量%、あるいは約0.3重量%~約0.8重量%の量の電解質を更に含み得る。
【0137】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、ラテックスを含めていなくてもよい。一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、実質的にラテックスフリーであってもよい。一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、本質的にラテックスフリーであってもよい。一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、不織布の総重量に基づいて、0重量%のラテックスを含み得る。
【0138】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、ホルムアルデヒドを含めていなくてもよい。一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、実質的にホルムアルデヒドフリーであってもよい。一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、本質的にホルムアルデヒドフリーであってもよい。一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、不織布の総重量に基づいて、0重量%のホルムアルデヒドを含み得る。
【0139】
一態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、不織布の総重量に基づいて、約50重量%~約99重量%、あるいは約60重量%~約95重量%、あるいは約70重量%~約90重量%、あるいは約75重量%~約85重量%、あるいは約77.5重量%~約82.5重量%の量の天然繊維(例えば、セルロース系繊維)を含み得る。
【0140】
一態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、不織布の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%、あるいは約5重量%約40重量%、あるいは約10重量%~約30重量%、あるいは約15重量%~約25重量%、あるいは約17.5重量%~約22.5重量%の量の合成繊維(例えば、二成分繊維)を含み得る。
【0141】
一態様では、熱結合及び化学結合の両方を介して硬化された不織布(例えば、多層不織布)中の合成繊維の量は、化学結合を伴わない熱結合によって硬化された他の点では同様の不織布中の合成繊維の量よりも少なくてもよい。
【0142】
一態様では、熱結合及び化学結合の両方を介して硬化された不織布(例えば、多層不織布)中の合成繊維の量は、化学結合を伴わない熱結合によって硬化された他の点では同様の不織布中の合成繊維の量と比較して、約25%以上、あるいは約30%以上、あるいは約35%以上少なくてもよい。
【0143】
いくつかの態様では、不織布(例えば、単層不織布)は、合成繊維を含まずに天然繊維(例えば、セルロース系繊維)を含み得る。このような態様では、繊維ウェブ(例えば、単層繊維ウェブ)は、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%、あるいは約87重量%~約99.5重量%、あるいは約90重量%~約99重量%の量で不織布(例えば、単層不織布)中に存在し得る。このような態様では、硬化天然結合剤は、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%、あるいは約0.5重量%~約13重量%、あるいは約1重量%~約10重量%の量で不織布(例えば、単層不織布)中に存在し得る。
【0144】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、不織布の意図される用途によって規定される任意の適切な添加剤を含み得る。本開示での使用に適した添加剤の非限定的な例としては、抗菌剤、染料、不透明度向上剤、つや消し剤、増白剤、スキンケア添加剤、臭気制御剤、粘着防止剤、微粒子、防腐剤、湿潤剤、洗浄剤、洗剤、界面活性剤、シリコーン、皮膚柔軟化剤、潤滑剤、芳香剤、芳香剤可溶化剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、医薬品、pH制御剤など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0145】
一態様では、不織布(例えば、多層不織布)は生分解性であってもよく、繊維ウェブは、天然繊維(例えば、セルロース系繊維)、及び生分解性合成繊維(例えば、PLA系ポリマー、PBS系ポリマー、PLA/PBS繊維)を含む。このような態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、天然結合剤を更に含み得る。
【0146】
一態様では、不織布(例えば、単層不織布)は生分解性であってもよく、繊維ウェブは、天然繊維(例えば、セルロース系繊維、生分解性セルロース系繊維)を含む。このような態様では、不織布(例えば、単層不織布)は、天然結合剤(例えば、生分解性天然結合剤)を更に含み得る。天然結合剤(例えば、硬化天然結合剤)は、改質セルロース(例えば、生分解性改質セルロース)を含み得る。
【0147】
一態様では、不織布(例えば、多層不織布)は非生分解性であってもよく、繊維ウェブは、天然繊維(例えば、セルロース系繊維)、及び非生分解性合成繊維(例えば、PET及び/又はPE繊維)を含む。このような態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、天然結合剤を更に含み得る。
【0148】
繊維ウェブが生分解性繊維(例えば、セルロース系繊維、及び任意選択的に生分解性合成繊維)を含む態様では、不織布は、生分解性度が約99%以上、あるいは約99.5%以上、あるいは約99.9%以上であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。このような態様では、繊維ウェブは、生分解性天然繊維(例えば、セルロース系繊維)及び任意選択的に生分解性合成繊維(例えば、PLA系繊維、PBS系繊維、PLA/PBS系繊維)などの、生分解性繊維を含むか、そのような生分解性繊維からなるか、又はそのような生分解性繊維から本質的になることができる。いくつかの態様では、生分解性合成繊維は、PLA系ポリマー及びPBS系ポリマー(例えば、PLA/PBS二成分繊維)を含む二成分繊維を含む。このような態様では、繊維ウェブは、非生分解性合成繊維を含めていなくてもよい。
【0149】
一態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。このような態様では、繊維ウェブは、生分解性天然繊維(例えば、セルロース系繊維)、及び生分解性合成繊維(例えば、PLA系繊維、PBS系繊維、PLA/PBS系繊維)などの、生分解性繊維を含むか、そのような生分解性繊維からなるか、又はそのような生分解性繊維から本質的になることができる。そのような態様では、繊維ウェブは、非生分解性合成繊維を含めていなくてもよい。
【0150】
一態様では、不織布(例えば、単層不織布)は、生分解性度が100%であることを特徴とすることができ、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す。このような態様では、繊維ウェブは、生分解性繊維を含むか、生分解性繊維からなるか、又は生分解性繊維から本質的になることができる。このような態様では、繊維ウェブは合成繊維を含めていなくてもよい。
【0151】
繊維ウェブ(例えば、多層繊維ウェブ)が非生分解性繊維を含む態様では、不織布(例えば、多層不織布)は非生分解性であり得る。このような態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、天然繊維(例えば、セルロース系繊維)及び天然結合剤を更に含み得る。
【0152】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、多層不織布であってもよい。多層不織布は、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置される。本明細書の開示の目的のために、第1の外層は「底層」と呼ばれてもよく、用語「第1の外層」及び「底層」は互換的に使用することができる。更に、本明細書の開示の目的のために、第2の外層は「上部層」と呼ばれてもよく、用語「第2の外層」及び「上部層」は互換的に使用することができる。
【0153】
いくつかの態様では、多層不織布は中間層を有しておらず、すなわち、多層不織布は、第1の外層及び第2の外層を含む二層不織布である。他の態様では、多層不織布は、1~約10の中間層、あるいは約2~約9の中間層、あるいは約3~約7の中間層を含み得る。
【0154】
多層不織布の層は互いに実質的に平行であり、任意の2つの隣接する層は、互いに物理的に(例えば触れるなど)接触している。例えば、多層不織布の層は、多層不織布の任意の1μmの表面積、あるいは任意の100μmの表面積、あるいは任意の1mmの表面積にわたって互いに実質的に平行である。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、多層不織布の層は、(例えば、多層不織布の任意の1μmの表面積、あるいは任意の100μmの表面積、あるいは任意の1mmの表面積にわたって)互いに実質的に平行であり、多層不織布は、平面構成を有しても、又は非平面構成を有してもよい。多層不織布は、平面シート、ロールシート、折り畳まれたシート、捲縮シートなどであってもよく、多層不織布の層は、(例えば、多層不織布の任意の1μm、あるいは任意の100μm、あるいは任意の1mmの表面積にわたって)互いに実質的に平行である。
【0155】
例えば、底層及び底層に隣接する中間層は、互いに実質的に平行であり、底層は、底層に隣接する中間層と物理的に接触している。別の一例として、上部層及び上部層に隣接する中間層は、互いに実質的に平行であり、上部層は、上部層に隣接する中間層と物理的に接触している。更に別の一例として、内側中間層は、内側中間層に隣接する2つの中間層と物理的に接触している(例えば、内側中間層は、内側中間層に隣接する2つの中間層の間に配置され、内側中間層は、内側中間層に隣接する2つの中間層の間に挟まれ)、3つの中間層(すなわち、内側中間層及び内側中間層に隣接する2つの中間層)は全て、互いに実質的に平行である。
【0156】
本明細書の開示の目的のために、多層不織布は、布地の厚さを特徴としてもよく、布地の厚さは、不織布の一方の外表面(例えば、上部面又は上面)から不織布の他方の外表面(例えば、底面又は下面)までの、不織布の断面全体にわたる距離であり、断面は不織布の層と実質的に直交する。本明細書の開示の目的のために、布地の厚さは「キャリパ」と呼ばれてもよく、用語「布地の厚さ」及び「キャリパ」は互換的に使用することができる。布地のキャリパ又は厚さを、特定の圧力下で測定してもよい。
【0157】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、EDANA 30.5-99に従って測定された場合に、キャリパが約0.1mm以上、あるいは約0.5mm以上、あるいは約1mm以上、あるいは約0.1mm~約18mm、あるいは約0.1mm~約15mm、あるいは約0.1mm~約10mm、あるいは約0.5mm~約4mm、あるいは約0.5mm~約2.5mmであることを特徴としてもよい。
【0158】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布のキャリパと比較して、キャリパが約10%以上、あるいは約15%以上、あるいは約20%以上多いことを特徴としてもよく、キャリパはEDANA 30.5-99に従って測定される。
【0159】
一態様では、第1の外層及び/又は第2の外層は、硬化天然結合剤を含む。いくつかの態様では、多層不織布の各層は、硬化天然結合剤を含む。他の態様では、1つ以上の中間層は、硬化天然結合剤を含めていない。更に他の態様では、第2の外層は、硬化天然結合剤を含めていない。
【0160】
いくつかの態様では、第1の外層及び第2の外層は、硬化天然結合剤を含む。
【0161】
他の態様では、第1の外層は硬化天然結合剤を含み、第2の外層は硬化天然結合剤を含めていない。
【0162】
当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、硬化天然結合剤は、不織布(例えば、多層不織布)の厚さを増加させる。理論に束縛されるものではないが、天然結合剤は、不織布に浸透することができ(例えば、天然結合剤は、多層不織布の層のうちの1つ以上に浸透することができ)、天然結合剤は、繊維ウェブの繊維上及び/又は繊維間に存在することによって、繊維ウェブの厚さを増加させ、その結果、不織布(例えば、多層不織布)の厚さを増加させ得る。更に、理論に束縛されるものではないが、天然結合剤は、不織布の外表面上に堆積させることができ(例えば、天然結合剤は、多層不織布の外層の一方又は両方をコーティングすることができ)、それによって不織布(例えば、多層不織布)の厚さを増加させ得る。例えば、不織布のキャリパ又は厚さがtである場合、不織布の外表面の一方又は両方にコーティングされた硬化天然結合剤は、tの約5%以上、あるいは約10%以上、あるいは約25%以上となる(例えば、占める)ことができ、すなわち、不織布の外表面の一方又は両方にコーティングされた硬化天然結合剤は、繊維ウェブの繊維から、tの約5%以上、あるいは約10%以上、あるいは約15%以上、あるいは約20%以上、あるいは約25%以上、あるいは約30%以上にわたって延びる。例えば、結合剤で処理されていない繊維ウェブ(例えば、多層繊維ウェブ)の厚さは約0.9mmであってもよく、天然結合剤で処理された不織布(例えば、多層不織布)の厚さは約1.3mmであってもよく、硬化天然結合剤は、繊維ウェブの繊維から約0.4mm延び、これは不織布の厚さの約31%である。
【0163】
合成繊維は、層の総重量に基づいて、約0重量%~約100重量%、あるいは約0.5重量%~約50重量%、あるいは約1重量%~約40重量%、あるいは約1重量%~約20重量%の量で、多層不織布の各層に存在することができる。天然繊維は、層の総重量に基づいて、約0重量%~約100重量%、あるいは約50重量%~約99.5重量%、あるいは約60重量%~約99重量%、あるいは約80重量%~約99重量%の量で、多層不織布の各層に存在することができる。
【0164】
いくつかの態様では、多層不織布の少なくとも1つの層は、(i)天然繊維を含み、(ii)合成繊維を含めていない。
【0165】
他の態様では、多層不織布の少なくとも1つの層は、(iii)合成繊維を含み、(iv)天然繊維を含めていない。
【0166】
更に他の態様では、多層不織布の各層は、天然繊維及び合成繊維を含む。
【0167】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、不織布の断面にわたって(例えば、tにわたって)不均一な合成繊維濃度を有し、不織布の層は互いに実質的に平行であり、断面は不織布の層と実質的に直交する。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、結合前の繊維ウェブは、本明細書に前述したように、区別可能な層を有し得るが、結合プロセス後の多層不織布は、互いに区別可能な層を有する場合もあれば、有していない場合もある(例えば、目視で区別可能である場合もあれば、光学顕微鏡を介して区別可能である場合もある)。しかしながら、本明細書の開示の目的のために、tにわたって不均一な合成繊維濃度を有する不織布は、「多層不織布」と呼ばれてもよく、多層不織布は、互いに区別可能な層を有しても、又は有していなくてもよい。更に、本明細書の開示の目的のために、互いに区別可能な層を有いていない多層不織布の場合、多層不織布の層は、不織布の外表面に実質的に平行な、布地を通る任意の好適な断面によって画定され得る。
【0168】
いくつかの態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、不織布の断面にわたって(例えば、tに沿って)均一な合成繊維濃度勾配を有し、不織布の層は互いに実質的に平行であり、断面は不織布の層と実質的に直交する。例えば、合成繊維濃度は、tに沿って実質的に連続的に増加又は減少してもよい。別の例として、合成繊維濃度は、tに沿って段階的に増加又は減少してもよい。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、多層不織布の任意の所与の層内の合成繊維濃度は実質的に一定であってもよいが、合成繊維濃度は、ある層から別の層まで連続的に変化してもよく、したがって、不織布の断面にわたって、合成繊維濃度勾配が段階的に均一であってもよい。概して、濃度勾配は、濃度の変動を指し、均一(すなわち、実質的に一定の率で変化する)、又は不均一(すなわち、可変率で変化する)のいずれかであり得る。
【0169】
他の態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、不織布の断面にわたって(例えば、tに沿って)不均一な合成繊維濃度勾配を有し、不織布の層は互いに実質的に平行であり、断面は不織布の層と実質的に直交する。例えば、合成繊維の濃度がtの一部に沿って(例えば、多層不織布の1つ以上の層に沿って)増加するか、合成繊維の濃度がtの一部に沿って(例えば、多層不織布の1つ以上の層に沿って)減少するか、合成繊維の濃度がtの一部に沿って(例えば、多層不織布の1つ以上の層に沿って)実質的に同じままであるか、又はこれらの組み合わせであってもよい。濃度の増加又は減少は、連続的であっても、段階的であってもよい。合成繊維の量は、所望の合成繊維濃度勾配プロファイルを提供するために、t又はその一部にわたって調節するか又は変化させることができる。
【0170】
一態様では、多層不織布の少なくとも2つの隣接する層が、互いに比較して異なる量の合成繊維を有する。
【0171】
いくつかの態様では、第1の外層内の天然繊維の量は、第2の外層内の天然繊維の量よりも多い。他の態様では、第2の外層内の天然繊維の量は、第1の外層内の天然繊維の量よりも多い。更に他の態様では、第1の外層内の天然繊維の量は、第2の外層内の天然繊維の量と実質的に同じである。
【0172】
一態様では、合成繊維は、第1の外層の総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%、あるいは約5重量%~約17.5重量%、あるいは約10重量%~約15重量%の量で第1の外層内に存在し得る。
【0173】
一態様では、合成繊維は、第2の外層の総重量に基づいて、約20重量%~約40重量%、あるいは約22.5重量%~約35重量%、あるいは約25重量%~約30重量%の量で第2の外層内に存在し得る。
【0174】
いくつかの態様では、合成繊維は、中間層の総重量に基づいて、約10重量%~約40重量%、あるいは約12.5重量%~約37.5重量%、あるいは約15重量%~約35重量%の量で、1つ以上の中間層の各層に存在する。
【0175】
いくつかの態様では、第1の外層内の合成繊維の量は、中間層のいずれにおける合成繊維の量よりも少ない。他の態様では、第1の外層内の合成繊維の量は、中間層のうちの少なくとも1つにおける合成繊維の量よりも多い。
【0176】
いくつかの態様では、1つ以上の中間層のうちの少なくとも1つにおける合成繊維の量は、第2の外層内の合成繊維の量よりも少ない。他の態様では、1つ以上の中間層のうちの少なくとも1つにおける合成繊維の量は、第2の外層内の合成繊維の量よりも多い。
【0177】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤を含む不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布と比較して強化された引張特性を特徴とすることができる。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、不織布の引張特性は、ウェブ中の繊維の種類、ウェブを形成するために使用される方法、使用される結合剤の種類、結合剤をウェブに適用するために使用される方法、結合剤の硬化方法、結合剤の硬化時間などの様々な要因に依存する。概して、不織布の完全性は、引張試験によって、例えば、機械方向(machine direction:MD)で測定される乾燥引張強度、幅方向(cross direction:CD)で測定される湿潤引張強度など、又はこれらの組み合わせで評価することができる。典型的には、不織布の引張強度は、幅方向湿潤強度及び機械方向乾燥強度で測定されるが、幅方向乾燥強度及び機械方向湿潤強度で測定することもできる。
【0178】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、EDANA 20.2-89に従って測定された場合に、機械方向で測定された乾燥引張強度が、約670グラム毎リニアインチ(gli)以上、あるいは約750gli以上、あるいは約1,000gli以上であることを特徴としてもよい。
【0179】
いくつかの態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、EDANA 20.2-89に従って測定された場合に、幅方向で測定された湿潤引張強度が、約315gli以上、あるいは約400gli以上、あるいは約600gli以上であることを特徴としてもよい。このような態様では、不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)を含む天然結合剤を含み得る。
【0180】
いくつかの態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布の幅方向で測定された湿潤引張強度と比較して、幅方向で測定された湿潤引張強度が、約15%以上、あるいは約20%以上、あるいは約25%以上高いことを特徴とすることができ、引張強度はEDANA 20.2-89に従って測定される。このような態様では、不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)を含む天然結合剤を含み得る。
【0181】
他の態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布)は、EDANA 20.2-89に従って測定された場合に、幅方向で測定された湿潤引張強度が、約250gli未満、あるいは約200gli未満、あるいは約150gli未満、あるいは約100gli未満、あるいは約50gli未満であることを特徴としてもよい。このような態様では、単層不織布は、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)を含まない天然結合剤を含み得る。このような態様では、単層不織布は、湿潤強度剤を含めていない。
【0182】
一態様では、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)を含まない天然結合剤を含む単層不織布は、EDANA 20.2-89に従って幅方向で測定された場合に、湿潤引張強度が、約250gli未満、あるいは約200gli未満、あるいは約150gli未満、あるいは約100gli未満、あるいは約50gli未満であることを特徴としてもよい。このような態様では、単層不織布は、湿潤強度剤を含めていない。
【0183】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布)は、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)を含まない天然結合剤で処理された、他の点では同様の不織布の幅方向で測定された湿潤引張強度と比較して、幅方向で測定された湿潤引張強度が、約25%以上、あるいは約40%以上、あるいは約50%以上低いことを特徴とすることができ、引張強度はEDANA 20.2-89に従って測定される。
【0184】
一態様では、本明細書に開示される単層不織布は、湿潤強度剤を含まない天然結合剤で処理された、他の点では同様の単層不織布の幅方向で測定された湿潤引張強度と比較して、幅方向で測定された湿潤引張強度が約25%以上、あるいは約40%以上、あるいは約50%以上低いことを特徴とすることができ、引張強度はEDANA 20.2-89に従って測定される。
【0185】
当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、湿潤引張強度が低下した不織布は、分散性が向上されていることを特徴とすることができ、この分散性は、いくつかの不織布で望ましい特徴であってもよい。本明細書の開示の目的のために、用語「分散性」は、不織布をより小さな断片に物理的に分離することを指す。いくつかの態様では、不織布は、外科用フラッシャブル不織布及び/又は分散性不織布(フラッシャブルワイプ、分散性ワイプ)などの多種多様な吸収性構造体の構成要素として使用されてもよい。このような態様では、不織布は、例えば、分散時間の短縮などの向上した分散性を有するのに望ましいものであり得る。本明細書の開示の目的のために、用語「分散時間」は、不織布の分散性の尺度を指す。
【0186】
一態様では、本明細書に開示される単層不織布は、水中での分散時間が約10秒未満、あるいは約5秒未満、あるいは約1秒未満であることを特徴とすることができ、分散時間は、GD3 INDA/EDANAに従ってスロッシュボックス試験機により測定される。このような態様では、単層不織布は、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)を含まない天然結合剤を含み得る。このような態様では、単層不織布は、湿潤強度剤を含めていない。水中での分散時間は、天然結合剤中の強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)の量の増加に伴って増加する。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、理論に束縛されるものではないが、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)の量が増加すると、強化剤(例えば、湿潤強度剤、架橋剤)と、天然結合剤中の改質セルロース及び繊維ウェブ(例えば、繊維ウェブのセルロース系繊維)の両方との間の共有結合の数が増加し得、これにより、不織布の分解が遅くなる。
【0187】
概して、不織布材料は、比較的高い塵埃濃度を示す場合があり、典型的には、これをラテックス結合剤組成物などの従来の結合剤組成物で抑制することは困難である。塵埃濃度の上昇は、健康上の懸念だけでなく、環境上の懸念にもなり得る。
【0188】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、不織布の総重量に基づいて、塵埃濃度が、約12重量%未満、あるいは約10重量%未満、あるいは約7重量%未満、あるいは約5重量%未満、あるいは約4重量%未満、あるいは約3重量%未満であることを特徴とすることができる。塵埃濃度は、以下のように求めることができる。不織布を、大きさ11インチ×8インチのシートに切断してから、更に幅方向に平行に1/2インチ毎に細長く切断し、次いでこれらの細片を再び長さ1/2インチに切断してもよい。長さ1/2インチの不織布試験片の重さを量り、次いで、米国標準試験ふるい14番内に入れてもよい。長さ1/2インチの不織布試験片を入れたふるいを、不織布試験片を撹拌ノズルで約7分間撹拌しながら、30mmHgの真空下に維持してもよい。7分間の撹拌時間の終了時に、撹拌ノズルを停止させ、不織布試験片の重さを再度量ってもよい。不織布試験片の初期重量と最終重量との差は、不織布の塵埃濃度を示す。
【0189】
いくつかの態様では、不織布は、外科用ドレープ及び関連する材料、おむつ、女性用衛生材料、ワイプ、モップなどの多種多様な吸収性構造体の構成要素として使用されてもよい。このような態様では、不織布は、向上した吸水度を有するのに望ましいものであり得る。
【0190】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、EDANA 10.3-99に従って測定された場合に、吸水度が不織布1グラム当たり約15グラム(g/gm)以上、約17.5g/gm以上、又は約20g/gm以上であることを特徴としてもよい。
【0191】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布の吸水度と比較して、吸水度が約30%以上、あるいは約40%以上、あるいは約50%以上高いことを特徴としてもよく、吸収度はEDANA 10.3-99に従って測定される。
【0192】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、不織布の表面積に基づいて、目付重量が約30g/m~約300g/m、あるいは約35g/m~約200g/m、あるいは約40g/m~約100g/m、あるいは約40g/m~約60g/m、あるいは約100g/m未満、あるいは約75g/m未満、あるいは約60g/m未満、あるいは約50g/m未満であることを特徴としてもよく、目付重量はTAPPI/ANSI T 410 om-08に従って測定される。
【0193】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布の目付重量と比較して、目付重量が約16%以上、あるいは約20%以上、あるいは約25%以上少ないことを特徴としてもよく、目付重量はTAPPI/ANSI T 410 om-08に従って測定される。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、より低い目付重量で所望の特性を維持することができる不織布は、製造に使用される繊維及び結合剤などの原材料がより少量であり、したがって、コストが有利に節約される。
【0194】
一態様では、本明細書に開示される硬化天然結合剤を含む不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、任意の好適な方法を使用して、任意の好適な製品に形成することができる。本開示の不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)から形成され得る物品の非限定的な例としては、ワイプ、ウェットワイプ、ベビーワイプ、消毒用ワイプ、ティッシュ、タオル、ダブルリクレープ(double re-creped:DRC)物品、医療用ドレープ、包帯、キャップ、フェイスマスク、外科用スクラブ、医療用ガウン、フィルタ、おむつ、パッド、包装材、断熱材、カーペット、内装材、布地乾燥機用シート、使い捨て織物、イヤホン保護カバー、断熱材、壁紙、シードブランケット、農業用ラップなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0195】
一態様では、本明細書に開示される多層不織布の製造方法は、(a)エアレイドプロセスによって複数の繊維を多層繊維ウェブに形成する工程であって、多層繊維ウェブは、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、多層繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含む、工程と、(b)第1の外層の少なくとも一部及び/又は第2の外層の少なくとも一部に水性天然結合剤を噴霧して結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、水性天然結合剤は、改質セルロース、強化剤及び水を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、(c)結合剤含浸繊維ウェブを約110℃~約220℃の温度で硬化させて不織布を形成する工程であって、多層不織布は、多層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の多層繊維ウェブを含み、多層不織布は、多層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、を含み得る。このような態様では、多層不織布は、マルチボンドエアレイド不織布であってもよい。
【0196】
一態様では、本明細書に開示されるマルチボンドエアレイド多層不織布は、多層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、多層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み得、繊維ウェブは、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、第1の外層及び/又は第2の外層は、硬化天然結合剤を含み、繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を含み、改質セルロースはCMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含み、硬化天然結合剤は、強化剤対改質セルロースの重量比が約1:2~約1:1,000であることを特徴とする。そのような態様では、多層不織布は、不織布の断面にわたって不均一な合成繊維濃度勾配を有し、不織布の層は互いに実質的に平行であり、断面は不織布の層と実質的に直交する。いくつかの態様では、第1の外層は、硬化天然結合剤を含み、第2の外層は硬化天然結合剤を含めておらず、第1の外層内の天然繊維の量は、第2の外層内の天然繊維の量よりも多い。
【0197】
一態様では、本明細書に開示されるマルチボンドエアレイド不織布(例えば、マルチボンドエアレイド多層不織布)は、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み得、繊維ウェブは、天然繊維及び非生分解性合成繊維を含み、非生分解性合成繊維は、PET及び/又はPEを含み得る。このような態様では、不織布(例えば、多層不織布)は、非生分解性であってもよい。
【0198】
一態様では、単層不織布が、単層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、単層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み得、繊維ウェブは天然繊維を含み、天然繊維は、単層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量で単層不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む。このような態様では、単層不織布は、単層CBAL不織布であってもよい。このような態様では、単層不織布は、単層NBAL不織布であってもよい。このような態様では、単層不織布は生分解性であってもよい。
【0199】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)、並びにその製造方法及び使用方法は、有利には、ラテックス結合剤を使用した従来の不織布並びにその製造方法及び使用方法とそれぞれ比較して、1つ以上の組成物特性を改善することができる。従来のラテックス結合剤は、多くの場合、不織布に年間約百万トン適用される。従来の不織布製造プロセスでは、不織布の所望の特性を達成するために、約15%~26%のラテックス結合剤が必要である。従来のラテックス結合剤はかなり高価であり(約3,000ドル/MT)、また環境問題の一因となるおそれがある。本明細書に開示される天然結合剤は、ラテックス結合剤よりもはるかに安価であり、著しく少ない量(約1%~2%)で適用することができ、したがって製造コストを大幅に節減することができる。また、ラテックス結合剤は不織布の最低限の品質目標を達成するために大量に必要であることが、ラテックス系結合剤の使用コストをより高くしている。
【0200】
一態様では、ラテックス結合剤の揮発性副生成物に関連する排出物が環境上及び健康上の問題を引き起こすおそれがあることから、ラテックス系結合剤の使用を低減又は排除することによる環境への影響は有利である可能性がある。
【0201】
一態様では、本明細書に開示される天然結合剤は、有利には、生分解性かつホルムアルデヒドフリーの両方の(例えば、環境に優しい)天然結合剤である。
【0202】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、有利には、ラテックス結合剤を使用した従来の不織布に使用される結合剤の量と比較して少ない量の結合剤を含み得る。そのような態様では、天然結合剤で処理された不織布は、ラテックス結合剤で処理された不織布と比較して、環境上及び健康上の問題を低減することができる。
【0203】
一態様では、本明細書に開示される天然結合剤は、有利には、従来の合成ラテックス結合剤で一般的に使用されるラテックス、アクリルアミド、ホルムアルデヒド、及び他の合成成分を含めていなくてもよい天然製品である。改質セルロース(例えば、CMC及び/又はCMCナトリウム)及び架橋剤(例えば、クエン酸)は、最小限に改質された天然由来の製品である。本明細書に開示される天然結合剤は、有利には、CMC及び/又はCMCナトリウム、クエン酸、並びに便秘を緩和するために人の飲食用に使用される化合物であるポリエチレングリコールであってもよい柔軟化剤などの食品用成分から製造することができる。更に、合成繊維は、PLA系繊維、PBS系繊維、又はPLA/PBS系繊維など、天然由来のものであってもよい。本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)における天然由来成分の使用は、有利には、不織布が生分解性であることを可能にすることができる。
【0204】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)は、有利には、従来のラテックス系結合剤を含む不織布と比較して、強度の増加及び塵埃濃度の低下を示すことができる。塵埃濃度を改善することで、不織布製造プロセスの環境上及び健康上の有害な影響を軽減することができる。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、従来の不織布は全般に、不織布製造において懸念事項となる高い塵埃濃度を特徴とする。
【0205】
一態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)は、有利には、所望の特性(例えば、引張強度、塵埃濃度、キャリパなど)を不織布に付与するために、各層に所望の量の合成繊維を用いて設計することができる。
【0206】
いくつかの態様では、本明細書に開示される不織布(例えば、多層不織布)の上部層は、例えばベビーワイプの場合に、花、アヒル、玩具などの任意の好適な模様であってもよいエンボスパターンを表示することができる。
【0207】
一態様では、マルチボンド不織布(例えば、多層不織布)における2つ以上の異なる結合技術の使用は、有利には、不織布に使用される合成繊維の量を減少させることができる。本明細書に開示される不織布(例えば、単層不織布、多層不織布)並びにその製造方法及び使用方法の更なる利点は、本開示を読む当業者に明らかとなろう。
【実施例1】
【0208】
本開示の主題について概略的に記載してきたが、以下の実施例を、本開示の特定の実施形態として、その実施及び利点を実証するために提示する。実施例は例示として提示されるものであり、特許請求の範囲の細部をいかなる形においても限定することを意図するものではないことが理解される。本明細書において別途記載のない限り、全ての組成%は重量%である。
【0209】
実施例1
天然結合剤組成物を調製し、以下のように使用した。改質セルロース(例えば、CMC及び/又はCMCナトリウム)を水に溶解させて、改質セルロース溶液を製造した。クエン酸及びポリエチレングリコールを改質セルロース溶液に添加して、水性天然結合剤組成物を形成した。30gのCMC、15gのクエン酸、15gのポリエチレングリコール、及び950gの水を使用して、1リットルの天然結合剤を調製した。改質セルロース、クエン酸、及びポリエチレングリコールを別々に水に溶解させて、改質セルロース溶液、クエン酸溶液、及びポリエチレングリコール溶液をそれぞれ得た。更に、クエン酸溶液とポリエチレングリコール溶液との両方を改質セルロース溶液に配合し、次いで、配合物を室温で30分間撹拌して水性天然結合剤組成物を形成した。
【0210】
実施例2
天然結合剤組成物を調製し、以下のように使用した。改質セルロース(例えば、CMC及び/又はCMCナトリウム)を水に溶解させて、改質セルロース溶液を製造した。湿潤強度剤及びポリエチレンエマルジョン溶液を改質セルロース溶液に添加して、水性天然結合剤組成物を形成した。湿潤強度剤は、POLYCUP架橋樹脂であった。30gのCMC、3.6gの湿潤強度剤、10gのポリエチレンエマルジョン、及び956.4gの水を使用して、1リットルの天然結合剤を調製した。改質セルロース、湿潤強度剤、及びポリエチレンエマルジョンを別々に水に混合して、改質セルロース溶液、湿潤強度剤溶液、及びポリエチレンエマルジョン溶液をそれぞれ得た。更に、湿潤強度剤溶液とポリエチレンエマルジョン溶液との両方を改質セルロース溶液に配合し、次いで、配合物を室温で30分間撹拌して水性天然結合剤組成物を形成した。
【0211】
不織布を、ハンドシート(hand sheet)成形機及び製造機で製造した。
【0212】
ハンドシート(不織布)をハンドシート成形機で調製し、これらのハンドシートに対し、引張強度特性、吸水度、キャリパ、及び塵埃濃度などの特性の測定試験を実施した。それぞれの天然結合剤試料を、噴霧機で繊維ウェブの表面上に噴霧した。
【0213】
ラテックスフリーのマルチボンドエアレイド(MBAL)不織布の目付重量目標は、熱結合エアレイド(TBAL)不織布の目付重量目標と同じ50gsmであった。ラテックスフリーMBAL不織布に使用された二成分繊維の量は、不織布の総重量に基づいて、従来のMBAL不織布の場合と同じ20重量%であった。
【0214】
ラテックスフリーMBAL不織布(例えば、本明細書に開示される多層不織布)を、図2に示すように、2つの外層及び4つの中間層の6つの層を用いて製造した。第1の外層(層番号1又は底層)の原材料組成は、層の総重量に基づいて、88.2重量%の木材パルプ及び11.8重量%の二成分繊維(それぞれ13.8g/m及び1.8g/m)であった。層番号2(中間層)の組成は、層の総重量に基づいて、50.9重量%の木材パルプ及び25.5重量%の二成分繊維(それぞれ2.4g/m及び0.9g/m)であった。層番号3(中間層)の組成は、層の総重量に基づいて、65.7重量%の木材パルプ及び34.3重量%の二成分繊維(それぞれ1.8g/m及び0.9g/m)であった。層番号4(中間層)の組成は、層の総重量に基づいて、86.3重量%の木材パルプ及び13.7重量%の二成分繊維(それぞれ5.8g/m及び0.9g/m)であった。層番号5(中間層)の組成は、層の総重量に基づいて、72.8重量%の木材パルプ及び27.2重量%の二成分繊維(それぞれ7.5g/m及び2.8g/m)であった。第2の外層(層番号6又は上部層)の組成は、層の総重量に基づいて、73.2重量%の木材パルプ及び26.8重量%の二成分繊維(それぞれ7.7g/m及び2.8g/m)であった。
【0215】
多層繊維ウェブの形成後、(不織布の総重量に基づいて)約1重量%のCMC系天然結合剤(結合剤がクエン酸を含有する)を第1の外層(層番号1又は底層)上に噴霧し、次いで、結合剤含浸ウェブを150℃で5分間硬化させてハンドシートを得た。加えて、約2%のCMC系天然結合剤(結合剤が湿潤強度剤を含有する)も、両方の外層上に噴霧し、次いで、150℃で5分間硬化させてハンドシートを得た。製造機の場合は、結合剤で処理された布地を、220℃、180メートル/分で機械乾燥機にかけた。
【0216】
表1及び表2に、それぞれ、ハンドシート不織布及び機械試験不織布の物理的特性を示す。
【0217】
【表1】
【0218】
【表2】
【0219】
表1から、ラテックスフリーMBALハンドシートのCD湿潤強度は、従来のMBAL及びTBALのCD湿潤強度よりも大幅に高かったが、MD乾燥強度はおよそ同じであった。加えて、天然結合剤が約2%の湿潤強度剤を含有し、天然結合剤がハンドシートの両方の外層上に噴霧された場合、ハンドシートのCD湿潤強度及びMD乾燥強度は大幅に増加し、ハンドシートのCD湿潤強度及びMD乾燥強度は、従来のMBAL(ラテックス結合剤)ハンドシート及びTBALハンドシートの対応する値のほぼ2倍であった。更に、表2から、ラテックスフリーMBAL機械試験不織布のCD湿潤強度及びMD乾燥強度は、従来のMBAL不織布及びTBAL不織布よりもわずかに低いことが観察された;ただし、引張強度は要件範囲(仕様)を下回っていた。更に、ラテックスフリーMBAL不織布の組成は、引張強度及び他の物理的特性の目標を達成するために、必要に応じて(例えば、二成分繊維及び/又は天然結合剤の量を調整することによって)調整することができる。
【0220】
ラテックスフリーMBAL不織布は、TBAL不織布の代用品として使用することができる。ラテックスフリーMBAL不織布は、不織布の総重量に基づいて、20重量%の二成分繊維及び79重量%のパルプ繊維を含有し、一方、TBAL不織布は、不織布の総重量に基づいて、31重量%の二成分繊維及び69重量%のパルプ繊維を含有する。当業者によって、また本開示の助けを借りて理解されるように、二成分繊維は、不織布製造において最も高価な原材料であり、二成分繊維のコストは、パルプ繊維のコストの約4倍である。ラテックスフリーMBAL不織布は、TBAL不織布と比較して、含有する二成分繊維が約35重量%少なく、使用する二成分繊維がより少ないことにより、コストを有利に節減することができる。
【0221】
更に、従来のMBAL不織布は、不織布の総重量に基づいて、約6重量%のラテックス結合剤、20重量%の二成分繊維、及び74重量%のパルプ繊維を含有する。しかしながら、ラテックス結合剤は、ラテックスが揮発性物質を放出し、またホルムアルデヒドを含有するために、環境上及び健康上の問題を引き起こすおそれがあり、ラテックスフリーMBAL不織布は、これらの潜在的な問題を克服することができる。加えて、従来のMBAL不織布の目付重量が58gsmであるのに対し、ラテックスフリーMBAL不織布の目付重量は50gsmであるため、約16重量%の原材料を節約することが可能である。
【0222】
実施例3
天然結合剤組成物を調製し、以下のように使用した。改質セルロース(例えば、CMC及び/又はCMCナトリウム)を水に溶解させて、改質セルロース溶液を製造した。改質セルロース溶液に湿潤強度剤を添加して、水性天然結合剤組成物を形成した。湿潤強度剤は、POLYCUP 2000架橋樹脂であった。30kgのCMC(固体)、4.5kgの湿潤強度剤(固体)、及び965.5kgの水を使用して、1,000kgの天然結合剤を調製した。改質セルロース及び湿潤強度剤を別々に水に混合して、改質セルロース溶液及び湿潤強度剤溶液をそれぞれ得た。また、改質セルロース溶液に湿潤強度剤溶液を配合し、次いで、配合物を室温で30分間撹拌して水性天然結合剤組成物を形成した。
【0223】
不織布を、実施例2に記載のように、ハンドシート成形機及び製造機で製造した。
【0224】
不織布の生分解性を、ハンドシート製品の各々及び機械試験不織布(製造マシンで得られたもの)の各々について調査し、データを表3及び表4に示す。表3及び表4は、それぞれ、ハンドシート不織布及び機械試験不織布の物理的特性及び生分解性を示す。表3の不織布は、MBALシート製品であり、不織布に使用される原材料は、二成分(PLA/PBS)繊維、パルプ繊維(例えば、セルロース系繊維)、及び天然結合剤であった。表4の不織布は、CBAL機械試験不織布であった。
【0225】
【表3】
【0226】
【表4】
【0227】
表4のデータから分かり得るように、単層CBAL機械試験不織布は、生分解性成分を含むため、生分解性である。対照LBAL不織布でラテックスを結合剤として使用した場合、生分解性試験は陰性であった。
【0228】
更に、表4のデータから分かるように、湿潤強度剤を使用せずに得られた単層CBAL機械試験不織布は、CD湿潤強度が30gli未満とかなり低く、これは、湿潤強度剤を使用せずに得られた単層CBAL機械試験不織布が分散性であることを示し、これにより更に分散性ワイプ又はフラッシャブルワイプとして使用することができることを示している。
【0229】
本出願からの米国国内段階出願を目的として、本開示で言及されている全ての刊行物及び特許は、本開示の方法に関連して使用される可能性のあるこれらの刊行物に記載の構成物及び方法を説明及び開示する目的で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の刊行物及び特許は、本出願の出願日より前の開示についてのみに提供されている。本明細書のいかなるものも、発明者が先行発明のためにそのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0230】
米国特許商標庁への出願において、本出願の要約は、米国特許規則§1.72の要件を満たす目的及び米国特許規則§1.72(b)に記載の「概略的に、合衆国特許商標庁及び公衆が一読することによって、技術開示の内容及び要旨を、迅速に判断することができるようにする」目的で提供される。したがって、本出願の要約は、特許請求の範囲を解釈するため、又は本明細書に開示される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。更に、本明細書で用いることができる見出しは、特許請求の範囲を解釈するため、又は本明細書に開示される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。建設的又は予測的なものとして示されている例を説明するための過去形の使用は、建設的又は予測的な例が実際に実行されたことを反映することを意図するものではない。
【0231】
本開示は、以下の実施例によって更に説明されるが、これらは、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。反対に、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の精神又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者が様々な他の態様、実施形態、修正、及びこれらの等価物を有し得ることが明確に理解されるべきである。
【0232】
追加の開示
第1の態様:不織布であって、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、不織布の総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で不織布中に存在し、合成繊維は、不織布の総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、不織布。
【0233】
第2の態様:不織布がラテックスを含めていない、第1の態様に記載の不織布。
【0234】
第3の態様:不織布がホルムアルデヒドを含めていない、第1の態様又は第2の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0235】
第4の態様:合成繊維が、単成分繊維、二成分繊維、多成分繊維、又はこれらの組み合わせを含む、第1の態様から第3の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0236】
第5の態様:二成分繊維が、部分的に延伸された芯を有する、第4の態様に記載の不織布。
【0237】
第6の態様:天然繊維が、セルロース系繊維、改質セルロース系繊維、化学処理されたセルロース系繊維、熱化学処理されたセルロース系繊維、機械処理されたセルロース系繊維、熱機械処理されたセルロース系繊維、又はこれらの組み合わせを含む、第1の態様から第5の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0238】
第7の態様:2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、ポリアクリル酸、又はこれらの組み合わせを含む、第1の態様から第6の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0239】
第8の態様:湿潤強度剤が、N-メチロールアクリルアミド(NMA)、ポリアクリルアミド(PAM)、グリオキシル化ポリアクリルアミド(GPAM)、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(PAAE)、又はこれらの組み合わせを含む、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0240】
第9の態様:不織布が多層不織布である、第1の態様から第8の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0241】
第10の態様:合成繊維が、多層不織布の各層内に、層の総重量に基づいて、約0重量%~約100重量%の量で存在する、第9の態様に記載の不織布。
【0242】
第11の態様:天然繊維が、多層不織布の各層内に、層の総重量に基づいて、約0重量%~約100重量%の量で存在する、第1の態様から第10の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0243】
第12の態様:多層不織布の少なくとも1つの層が、(i)天然繊維を含み、(ii)合成繊維を含めておらず、かつ/又は、多層不織布の少なくとも1つの層が、(iii)合成繊維を含み、(iv)天然繊維を含めていない、第1の態様から第11の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0244】
第13の態様:多層不織布の各層が、天然繊維及び合成繊維を含む、第1の態様から第12の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0245】
第14の態様:多層不織布が、第1の外層と、第2の外層と、任意選択的に1つ以上の中間層とを含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置されている、第1の態様から第13の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0246】
第15の態様:第1の外層及び/又は第2の外層が、硬化天然結合剤を含む、第14の態様に記載の不織布。
【0247】
第16の態様:第1の外層が硬化天然結合剤を含む、第1の態様から第15の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0248】
第17の態様:第2の外層が硬化天然結合剤を含めていない、第16の態様に記載の不織布。
【0249】
第18の態様:第1の外層及び第2の外層が、硬化天然結合剤を含む、第1の態様から第16の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0250】
第19の態様:第1の外層内の天然繊維の量が、第2の外層内の天然繊維の量よりも多い、第1の態様から第18の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0251】
第20の態様:合成繊維が、第1の外層の総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の量で第1の外層内に存在し、合成繊維は、第2の外層の総重量に基づいて、約20重量%~約40重量%の量で第2の外層内に存在する、第19の態様に記載の不織布。
【0252】
第21の態様:合成繊維が、中間層の総重量に基づいて、約10重量%~約40重量%の量で1つ以上の中間層の各層内に存在する、第20の態様に記載の不織布。
【0253】
第22の態様:第1の外層内の合成繊維の量が、第2の外層内の合成繊維の量よりも少なく、第1の外層内の合成繊維の量は、中間層のいずれにおける合成繊維の量よりも少ない、第1の態様から第21の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0254】
第23の態様:1つ以上の中間層のうちの少なくとも1つにおける合成繊維の量が、第2の外層内の合成繊維の量よりも少ない、第1の態様から第22の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0255】
第24の態様:多層不織布の少なくとも2つの隣接する層が、互いに比較して異なる量の合成繊維を有する、第1の態様から第23の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0256】
第25の態様:多層不織布が、不織布の断面にわたって不均一な合成繊維濃度勾配を有し、不織布の層は互いに実質的に平行であり、断面は不織布の層と実質的に直交する、第1の態様から第24の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0257】
第26の態様:不織布が、不織布の表面積に基づいて、約0.005g/m~約10g/mの量の硬化天然結合剤を含む、第1の態様から第25の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0258】
第27の態様:不織布がマルチボンド不織布である、第1の態様から第26の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0259】
第28の態様:不織布がエアレイド不織布である、第1の態様から第27の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0260】
第29の態様:不織布が、EDANA 20.2-89に従って測定した場合に、機械方向で測定された乾燥引張強度が約670グラム毎リニアインチ(gli)以上であることを特徴とする、第1の態様から第28の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0261】
第30の態様:不織布が、EDANA 20.2-89に従って測定した場合に、幅方向で測定された湿潤引張強度が約315グラム毎リニアインチ(gli)以上であることを特徴とする、第1の態様から第29の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0262】
第31の態様:不織布が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布の幅方向で測定された湿潤引張強度と比較すると、幅方向で測定された湿潤引張強度が約15%以上高いことを特徴とし、引張強度はEDANA 20.2-89に従って測定される、第1の態様から第30の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0263】
第32の態様:不織布が、不織布の総重量に基づいて、塵埃濃度が約10重量%未満であることを特徴とする、第1の態様から第31の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0264】
第33の態様:不織布が、EDANA 30.5-99に従って測定した場合に、キャリパが約0.1mm以上であることを特徴とする、第1の態様から第32の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0265】
第34の態様:不織布が、EDANA 30.5-99に従って測定した場合に、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布のキャリパと比較すると、キャリパが約10%以上高いことを特徴とする、第1の態様から第33の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0266】
第35の態様:不織布が、EDANA 10.3-99に従って測定した場合に、吸水度が不織布1グラム当たり約15グラム(g/gm)以上であることを特徴とする、第1の態様から第34の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0267】
第36の態様:不織布が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布の吸水度と比較すると、吸水度が約30%以上高いことを特徴とし、吸水度はEDANA 10.3-99に従って測定される、第1の態様から第35の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0268】
第37の態様:不織布が、目付重量が不織布の表面積に基づいて約30g/m~約300g/mであることを特徴とし、目付重量はTAPPI/ANSI T 410 om-08に従って測定される、第1の態様から第36の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0269】
第38の態様:不織布が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布の目付重量と比較すると、目付重量が約16%以上少ないことを特徴とし、目付重量はTAPPI/ANSI T 410 om-08に従って測定される、第1の態様から第37の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0270】
第39の態様:不織布中の硬化天然結合剤の量が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布中のラテックス結合剤の量よりも少ない、第1の態様から第38の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0271】
第40の態様:不織布中の結合剤の量が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の不織布中の結合剤の量と比較して約70%以上少ない、第1の態様から第39の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0272】
第41の態様:天然繊維がセルロース系繊維を含み、合成繊維は天然由来の繊維を含み、不織布は生分解性である、第1の態様から第40の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0273】
第42の態様:天然繊維がセルロース系繊維を含み、合成繊維は生分解性合成繊維を含み、不織布は、生分解性度が約99%以上であることを特徴とし、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す、第1の態様から第41の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0274】
第43の態様:生分解性合成繊維が、PLA系ポリマー、PBS系ポリマー、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含む、第42の態様に記載の不織布。
【0275】
第44の態様:生分解性合成繊維が、PLA系ポリマー及びPBS系ポリマーを含む二成分繊維である、第43の態様に記載の不織布。
【0276】
第45の態様:合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、又はこれらの組み合わせを含み、不織布が非生分解性である、第1の態様から第40の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0277】
第46の態様:不織布がラテックスを含めていない、第45の態様に記載の不織布。
【0278】
第47の態様:不織布がマルチボンドエアレイド不織布である、第45の態様及び第46の態様のいずれか1つに記載の不織布。
【0279】
第48の態様:第1の態様から第47の態様のいずれか1つに記載の不織布から形成された物品。
【0280】
第49の態様:第48の態様に記載の物品であって、ワイプ、ウェットワイプ、ベビーワイプ、消毒用ワイプ、ティッシュ、タオル、ダブルリクレープ(DRC)物品、医療用ドレープ、包帯、キャップ、フェイスマスク、外科用スクラブ、医療用ガウン、フィルタ、おむつ、パッド、包装材、断熱材、カーペット、内装材、布地乾燥機用シート、使い捨て織物、イヤホン保護カバー、断熱材、壁紙、シードブランケット、農業用ラップ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、物品。
【0281】
第50の態様:多層不織布であって、多層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、多層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、第1の外層、第2の外層、又は第1の外層及び第2の外層の両方が硬化天然結合剤を含み、繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、多層不織布。
【0282】
第51の態様:天然繊維が、多層不織布の総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で多層不織布中に存在する、第50の態様に記載の多層不織布。
【0283】
第52の態様:合成繊維が、多層不織布の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%の量で多層不織布中に存在する、第50の態様に記載の多層不織布。
【0284】
第53の態様:合成繊維が、多層不織布の総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で多層不織布中に存在する、第52の態様に記載の多層不織布。
【0285】
第54の態様:1つ以上の中間層のうちの少なくとも1つにおける合成繊維の量が、第1の外層内の合成繊維の量及び/又は第2の外層内の合成繊維の量よりも少ない、第50の態様から第53の態様にいずれか1つに記載の多層不織布。
【0286】
第55の態様:1つ以上の中間層のうちの少なくとも1つにおける合成繊維の量が、第1の外層内の合成繊維の量及び/又は第2の外層内の合成繊維の量以上である、第50の態様から第53の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0287】
第56の態様:多層不織布が、不織布の断面にわたって不均一な合成繊維濃度勾配を有し、不織布の層は互いに実質的に平行であり、断面は不織布の層と実質的に直交する、第50の態様から第55の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0288】
第57の態様:第1の外層が硬化天然結合剤を含み、第2の外層は硬化天然結合剤を含めておらず、第1の外層内の天然繊維の量は、第2の外層内の天然繊維の量よりも多い、第50の態様から第56の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0289】
第58の態様:多層不織布が1~約10の中間層を有する、第50の態様から第57の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0290】
第59の態様:多層不織布がマルチボンドエアレイド不織布である、第50の態様から第58の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0291】
第60の態様:硬化天然結合剤が、強化剤対改質セルロースの重量比が約1:2~約1:1,000であることを特徴とする、第50の態様から第59の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0292】
第61の態様:多層不織布中の結合剤の量が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の多層不織布中の結合剤の量と比較して約75%以上少ない、第50の態様から第60の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0293】
第62の態様:多層不織布が、改質セルロースを含まないラテックス系結合剤で処理された他の点では同様の多層不織布の目付重量と比較すると、目付重量が約16%以上少ないことを特徴とし、目付重量はTAPPI/ANSI T 410 om-08に従って測定される、第50の態様から第61の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0294】
第63の態様:不織布を製造する方法であって、(a)複数の繊維を繊維ウェブに形成する工程であって、繊維ウェブが、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で繊維ウェブ中に存在し、合成繊維は、繊維ウェブの総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で繊維ウェブ中に存在する、工程と、(b)繊維ウェブの少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、水性天然結合剤が、改質セルロース、強化剤及び水を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、(c)結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて多層不織布を形成する工程であって、不織布が、不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブを含み、不織布は、不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、を含む、方法。
【0295】
第64の態様:不織布が多層不織布である、第63の態様に記載の方法。
【0296】
第65の態様:繊維ウェブが、第1の外層と、第2の外層と、任意選択的に1つ以上の中間層とを含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置されている、第63の態様及び第64の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
第66の態様:工程(b)が、第1の外層の少なくとも一部及び/又は第2の外層の少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させることを含む、第65の態様に記載の方法。
【0298】
第67の態様:第1の外層内の天然繊維の量が、第2の外層内の天然繊維の量よりも多く、工程(b)は、第1の外層の少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させることを含む、第63の態様から第66の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
第68の態様:第2の外層を水性天然結合剤と接触させることを更に含めない、第67の態様に記載の方法。
【0300】
第69の態様:硬化天然結合剤が、水性天然結合剤の改質セルロースの少なくとも一部と、水性天然結合剤の強化剤の少なくとも一部とを含む、第63の態様から第68の態様のいずれか1つ記載の方法。
【0301】
第70の態様:水性天然結合剤が噴霧可能な水溶液である、第63の態様から第69の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
第71の態様:工程(b)が、水性天然結合剤を繊維ウェブ上に噴霧することを含む、第70の態様に記載の方法。
【0303】
第72の態様:繊維ウェブと水性天然結合剤とが、約1:0.01~約1:20の布地対液比で接触し、布地対液比は、kg繊維ウェブ対水性天然結合剤リットルで表される質量対体積比である、第63の態様から第71の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
第73の態様:水性天然結合剤が、水対改質セルロースの重量比が約99.9:0.1~約1,000:500であることを特徴とする、第63の態様から第72の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
第74の態様:水性天然結合剤が、強化剤対改質セルロースの重量比が約1:2~約1:1,000であることを特徴とする、第63の態様から第73の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
第75の態様:水性天然結合剤が、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約50重量%の量の改質セルロースを含む、第63の態様から第74の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
第76の態様:水性天然結合剤が、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%の量の強化剤を含む、第63の態様から第75の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
第77の態様:水性天然結合剤が、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の量の湿潤強度剤を含み、湿潤強度剤は、N-メチロールアクリルアミド(NMA)、ポリアクリルアミド(PAM)、グリオキシル化ポリアクリルアミド(GPAM)、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(PAAE)、又はこれらの組み合わせを含む、第63の態様から第76の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
第78の態様:水性天然結合剤が、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の量の柔軟化剤を更に含み、柔軟化剤は、アニオン性界面活性剤、グリセロール、ポリエチレンエマルジョン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、脂肪族アルコールエトキシレート、ラウリル硫酸ナトリウム、シリコーン系柔軟化剤、ナノ材料系柔軟化剤、又はこれらの組み合わせを含む、第63の態様から第77の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
第79の態様:水性天然結合剤が、水性天然結合剤の総重量に基づいて、約0.1重量%~約1重量%の量の電解質を更に含み、電解質は、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、AlCl、NaSO、AlSO、KSO、CaSO、ミョウバン、又はこれらの組み合わせを含む、第63の態様から第78の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
第80の態様:工程(a)がドライレイドプロセスを含む、第63の態様から第79の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0312】
第81の態様:ドライレイドプロセスがエアレイドプロセスを含む、第80の態様に記載の方法。
【0313】
第82の態様:工程(a)が、エアレイドプロセス、スパンレイドプロセス及びウェットレイドプロセスからなる群から選択されるプロセスを含む、第63の態様から第79の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
第83の態様:工程(c)が、結合剤含浸繊維ウェブを約110℃~約220℃の温度に加熱することを含む、第63の態様から第82の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
第84の態様:工程(c)が熱結合(サーマルボンド)及び化学結合(ケミカルボンド)を含む、第63の態様から第83の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
第85の態様:合成繊維が二成分繊維を含み、二成分繊維は、芯と、芯を取り囲む鞘と、を含み、鞘の少なくとも一部が、熱結合中に溶融して繊維ウェブを更に結合させる、第84の態様に記載の方法。
【0317】
第86の態様:熱結合が、カレンダ加工、スルーエア熱結合、放射熱結合、音波結合、又はこれらの組み合わせを含む、第63の態様から第85の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0318】
第87の態様:2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸の少なくとも一部が、天然繊維及び/又は改質セルロースと化学結合を形成する、第63の態様から第86の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0319】
第88の態様:化学結合が、共有結合及び/又はイオン結合を含む、第87の態様に記載の方法。
【0320】
第89の態様:水性天然結合剤が湿潤強度剤を含み、湿潤強度剤は繊維ウェブに化学結合する、第63の態様から第88の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
第90の態様:熱結合及び化学結合の両方によって硬化された不織布中の合成繊維の量が、化学結合を伴わない熱結合によって硬化された他の点では同様の不織布中の合成繊維の量よりも少ない、第63の態様から第89の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0322】
第91の態様:熱結合及び化学結合の両方によって硬化された不織布中の合成繊維の量が、化学結合を伴わない熱結合によって硬化された他の点では同様の不織布中の合成繊維の量と比較して約25%以上少ない、第63の態様から第90の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0323】
第92の態様:多層不織布を製造する方法であって、(a)ドライレイドプロセスによって複数の繊維を多層繊維ウェブに形成する工程であって、多層繊維ウェブが、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、多層繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含む、工程と、(b)第1の外層の少なくとも一部及び/又は第2の外層の少なくとも一部を水性天然結合剤と接触させて結合剤含浸繊維ウェブを形成する工程であって、水性天然結合剤が、改質セルロース、強化剤及び水を含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、工程と、(c)結合剤含浸繊維ウェブを硬化させて多層不織布を形成する工程であって、多層不織布が、多層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の多層繊維ウェブを含み、多層不織布は、多層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤を含む、工程と、を含む、方法。
【0324】
第93の態様:天然繊維がセルロース系繊維を含み、天然繊維は、多層不織布の総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の量で多層不織布中に存在する、第92の態様に記載の方法。
【0325】
第94の態様:天然繊維が、多層不織布の総重量に基づいて、約75重量%~約85重量%の量で多層不織布中に存在する、第93の態様に記載の方法。
【0326】
第95の態様:合成繊維が二成分繊維を含み、合成繊維は、多層不織布の総重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で多層不織布中に存在する、第92の態様から第94の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
第96の態様:合成繊維が、多層不織布の総重量に基づいて、約15重量%~約25重量%の量で多層不織布中に存在する、第92の態様から第95の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0328】
第97の態様:第1の外層内の天然繊維の量が、第2の外層内の天然繊維の量よりも多く、工程(b)は、水性天然結合剤を第1の外層上に噴霧することを含む、第92の態様から第96の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0329】
第98の態様:水性天然結合剤を第2の外層上に噴霧することを更に含めない、第92の態様から第97の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0330】
第99の態様:ドライレイドプロセスがエアレイドプロセスを含む、第92の態様から第98の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
第100の態様:多層不織布であって、多層不織布の総重量に基づいて、約98重量%の量の繊維ウェブと、多層不織布の総重量に基づいて、約2重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが、第1の外層、第2の外層、及び任意選択的に1つ以上の中間層を含み、1つ以上の中間層は、第1の外層と第2の外層との間に配置され、第1の外層、第2の外層、又は第1の外層及び第2の外層の両方が硬化天然結合剤を含み、繊維ウェブの各層は、天然繊維及び合成繊維を含み、天然繊維は、不織布の総重量に基づいて、約80重量%の量で不織布中に存在し、合成繊維は、不織布の総重量に基づいて、約18重量%の量で不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を含み、硬化天然結合剤は、強化剤対改質セルロースの重量比が約1:2~約1:1,000であることを特徴とし、改質セルロースはCMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、多層不織布。
【0332】
第101の態様:第1の外層及び第2の外層の両方が、硬化天然結合剤を含む、第100の態様に記載の多層不織布。
【0333】
第102の態様:合成繊維が二成分繊維を含む、第100の態様及び第101の態様のいずれか1つに記載の多層不織布。
【0334】
第103の態様:単層不織布であって、単層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量の繊維ウェブと、単層不織布の総重量に基づいて、約0.01重量%~約15重量%の量の硬化天然結合剤と、を含み、繊維ウェブが天然繊維を含み、天然繊維は、単層不織布の総重量に基づいて、約85重量%~約99.99重量%の量で単層不織布中に存在し、硬化天然結合剤は、改質セルロース及び強化剤を、約1:2~約1:1000の強化剤対改質セルロースの重量比で含み、改質セルロースは、CMC及び/又はCMCナトリウムを含み、強化剤は、架橋剤及び/又は湿潤強度剤を含み、架橋剤は、2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を含み、湿潤強度剤は、ハロゲン化物基、塩化物基、フッ化物基、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む、単層不織布。
【0335】
第104の態様:単層不織布がラテックスを含めていない、第103の態様に記載の単層不織布。
【0336】
第105の態様:不織布がホルムアルデヒドを含めていない、第103の態様及び第104の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0337】
第106の態様:天然繊維が、セルロース系繊維、改質セルロース系繊維、化学処理されたセルロース系繊維、熱化学処理されたセルロース系繊維、機械処理されたセルロース系繊維、熱機械処理されたセルロース系繊維、又はこれらの組み合わせを含む、第103の態様から第105の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0338】
第107の態様:2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、ポリアクリル酸、又はこれらの組み合わせを含む、第103の態様から第106の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0339】
第108の態様:湿潤強度剤が、N-メチロールアクリルアミド(NMA)、ポリアクリルアミド(PAM)、グリオキシル化ポリアクリルアミド(GPAM)、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(PAAE)、又はこれらの組み合わせを含む、第103の態様から第107の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0340】
第109の態様:単層不織布がCBAL不織布である、第103の態様から第108の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0341】
第110の態様:単層不織布がNBAL不織布である、第103の態様から第109の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0342】
第111の態様:天然繊維がセルロース系繊維を含み、単層不織布が生分解性である、第103の態様から第110の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0343】
第112の態様:天然繊維が生分解性セルロース系繊維を含み、硬化天然結合剤は生分解性改質セルロースを含み、不織布は、生分解性度が約99%以上であることを特徴とし、生分解性度は、ISO 17556:2003 Eに従って測定された土壌中の好気性生分解性を指す、第103の態様から第111の態様のいずれか1つに記載の単層不織布。
【0344】
第113の態様:第103の態様から第112の態様のいずれか1つに記載の単層不織布から形成された物品であって、ワイプ、ウェットワイプ、ベビーワイプ、消毒用ワイプ、フラッシャブルワイプ、分散性ワイプ、ティッシュ、タオル、ダブルリクレープ(DRC)物品、医療用ドレープ、包帯、キャップ、フェイスマスク、外科用スクラブ、医療用ガウン、フィルタ、おむつ、パッド、包装材、断熱材、カーペット、内装材、布地乾燥機用シート、使い捨て織物、イヤホン保護カバー、断熱材、壁紙、シードブランケット、農業用ラップ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、物品。
【0345】
本開示の実施形態を示し説明してきたが、本発明の精神及び教示から逸脱することなく本開示の修正を行うことができる。本明細書に記載の実施形態及び実施例は、単なる例示であり、限定するものであることは意図されていない。本明細書に開示される本発明の多くの変形及び修正が可能であり、そのような変形及び修正は本発明の範囲内である。
【0346】
したがって、保護の範囲は、上記の説明によってではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、特許請求の範囲は、請求項の主題の全ての等価物を含む。各々の及び全ての請求項は、本発明の一実施形態として本明細書に組み込まれる。したがって、特許請求の範囲は更なる説明であり、本発明の詳細な説明への付加である。本明細書に引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図2