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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6466 20110101AFI20241010BHJP
   H01R 12/71 20110101ALN20241010BHJP
【FI】
H01R13/6466
H01R12/71
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022012599
(22)【出願日】2022-01-31
(65)【公開番号】P2023111001
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 和也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 宣仁
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和也
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-356067(JP,A)
【文献】特開2014-232595(JP,A)
【文献】特開2009-277544(JP,A)
【文献】特開2020-140789(JP,A)
【文献】特開2021-158050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6466
H01R 12/71
H01R 24/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体と、前記内導体を包囲する外導体と、前記内導体と前記外導体との間に配置される誘電体と、を備え、
前記外導体は、外導体チューブと、外殻体と、を有し、
前記外殻体は、通し孔を有し、
前記外導体チューブは、前記通し孔を貫通し、前端部を前記通し孔から前記外殻体の前方に突出させる円筒状の筒状接続部と、前記筒状接続部の後端部から外側に突出する突出部と、を有し、
前記外殻体は、前記通し孔の後側の開口縁部に、前記突出部に対して前方から対向するストッパ部を有している、シールドコネクタ。
【請求項2】
前記外殻体の後端部は、前記ストッパ部と交差して連なる面に、前記突出部に対して前記筒状接続部の周方向から対向する規制部を有している、請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記規制部は、前記外殻体の後端部において、前記ストッパ部の両側に対をなして配置され、
前記突出部は、前記外導体チューブにおいて、前記周方向に間隔を置いて対をなし、前記規制部に対して弾性変形した状態で接触している、請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記突出部は、前記規制部に向けて突出する接触突部を有し、
前記突出部は、前記接触突部を前記規制部に接触させている、請求項3に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたシールドコネクタは、外導体(外導体端子)と、外導体を保持するハウジング(コネクタハウジング)と、を備えている。外導体は、円筒状の筒状接続部を有している。筒状接続部は、ハウジングの端子収容部に挿入されて保持される。ハウジングに対する外導体の保持構造は、特許文献2および特許文献3にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-48048号公報
【文献】特開2009-252379号公報
【文献】特開平7-14646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、シールドコネクタが回路基板に設置される場合に、内導体の回路基板側の周囲をも外導体で覆うことにより、シールド性能の低下を防止した構造をとることがある。内導体の回路基板側の周囲を覆う部分には、ダイキャスト製等の外殻体を用いることができる。ここで、外殻体と筒状接続部とを一体に成形することは容易ではない。このため、筒状接続部が外殻体の前方に突出するように、外殻体に、前方から筒状接続部を含む別体の外導体チューブを組み付けることがある。しかし、この場合、外導体チューブの前抜けを防止する構造が複雑化するといった問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、外導体チューブの前抜けを簡単な構造で防止することが可能なシールドコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールドコネクタは、内導体と、前記内導体を包囲する外導体と、前記内導体と前記外導体との間に配置される誘電体と、を備え、前記外導体は、外導体チューブと、外殻体と、を有し、前記外殻体は、通し孔を有し、前記外導体チューブは、前記通し孔を貫通し、前端部を前記通し孔から前記外殻体の前方に突出させる円筒状の筒状接続部と、前記筒状接続部の後端部から外側に突出する突出部と、を有し、前記外殻体は、前記通し孔の後側の開口縁部に、前記突出部に対して前方から対向するストッパ部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、外導体チューブの前抜けを簡単な構造で防止することが可能なシールドコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態1に係るシールドコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、シールドコネクタと相手側コネクタとの嵌合状態を示す側断面図である。
図3図3は、外導体チューブの圧入刃が外殻体の通し孔の内周面に係止される状態を拡大して示す平断面図である。
図4図4は、外導体チューブの保持突部が外殻体の通し孔の内周面に接触する状態を拡大して示す横断面図である。
図5図5は、ハウジングのハウジング側保持突部が外導体チューブの外周面に接触する状態を拡大して示す横断面図である。
図6図6は、外導体チューブの突出部の接触突部が規制部に接触する状態を拡大して示す横断面図である。
図7図7は、図6のA-A線断面図である。
図8図8は、シールドコネクタの後部における外導体の内部構造を拡大して示す側断面図である。
図9図9は、シールドコネクタの背面図である。
図10図10は、凹陥部を通して確認可能な実装部と回路基板との半田接合状態を拡大して示す背面図である。
図11図11は、ハウジングに対する外殻体の組み付け工程を説明するための斜視図である。
図12図12は、外殻体に対する基板側外殻体の組み付け工程を説明するための斜視図である。
図13図13は、シールドコネクタの斜視図である。
図14図14は、ハウジングの正面図である。
図15図15は、ハウジングの背面図である。
図16図16は、ハウジングの底面図である。
図17図17は、外殻体の斜視図である。
図18図18は、外殻体の背面図である。
図19図19は、外殻体の通し孔を拡大して示す斜視図である。
図20図20は、基板側外殻体の斜視図である。
図21図21は、基板側外殻体を別角度から見た斜視図である。
図22図22は、外導体チューブの斜視図である。
図23図23は、外導体チューブの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のシールドコネクタは、
(1)内導体と、前記内導体を包囲する外導体と、前記内導体と前記外導体との間に配置される誘電体と、を備え、前記外導体は、外導体チューブと、外殻体と、を有し、前記外殻体は、通し孔を有し、前記外導体チューブは、前記通し孔を貫通し、前端部を前記通し孔から前記外殻体の前方に突出させる円筒状の筒状接続部と、前記筒状接続部の後端部から外側に突出する突出部と、を有し、前記外殻体は、前記通し孔の後側の開口縁部に、前記突出部に対して前方から対向するストッパ部を有している。
【0010】
上記構成は、外導体チューブの筒状接続部を外殻体の後方から通し孔に挿入することにより、突出部がストッパ部に当たり、外導体チューブの前進を停止させることができる。よって、上記構成によれば、外導体チューブの前抜けを簡単な構造で防止することができる。
【0011】
(2)前記外殻体の後端部は、前記ストッパ部と交差して連なる面に、前記突出部に対して前記筒状接続部の周方向から対向する規制部を有しているのが好ましい。
【0012】
上記構成は、突出部が規制部に当たることにより、筒状接続部が通し孔内で回転するのを防止することができる。特に、突出部が外導体チューブの前抜けと回転規制の両機能を果たすことができるので、外導体の構造をより簡素化することができる。
【0013】
(3)前記規制部は、前記外殻体の後端部において、前記ストッパ部の両側に対をなして配置され、前記突出部は、前記外導体チューブにおいて、前記周方向に間隔を置いて対をなし、前記規制部に対して弾性変形した状態で接触していると良い。
【0014】
上記構成は、突出部が規制部に対して弾性力(付勢力)を付与した状態で接触することができるので、突出部と規制部との接触状態を維持することができる。その結果、外導体チューブと外殻体との間のガタ付きを抑制することができる。
【0015】
(4)前記突出部は、前記規制部に向けて突出する接触突部を有し、前記突出部は、前記接触突部を前記規制部に接触させていると良い。
【0016】
上記構成は、突出部が接触突部によって規制部に接触する状態を維持することができるので、接触突部を介して、外導体チューブと外殻体との間の電気的な接続をとることができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
実施形態1に係るシールドコネクタ10は、回路基板200に設置される基板用のシールドコネクタである。図1および図2に示すように、シールドコネクタ10は、内導体11,12と、内導体11,12の外周を包囲する外導体13,14,15と、内導体11,12と外導体13,14,15との間に配置される誘電体16,17と、外導体13,14,15が連結されるハウジング18と、を備えている。
【0019】
外導体13,14,15および内導体11,12は、金属等の導電性部材である。誘電体16,17およびハウジング18は、合成樹脂等の絶縁性部材である。ハウジング18は、相手側コネクタ300に嵌合される。なお、以下の説明において、前後方向については、ハウジング18が嵌合時に相手側コネクタ300に対向する側を前側とする。上下方向は、回路基板200に対してシールドコネクタ10が設置される側を上側とする。図1および図2の上側が上側になる。図1および図2において、上側を符号「U」で示し、前側を符号「F」で示す。また、以下の説明において、上下方向は、高さ方向と同義であり、前後方向は、軸方向と同義である。また、左右方向は、前後方向および上下方向と交差する方向であって、幅方向と同義である。
【0020】
(ハウジング)
ハウジング18は、図11に示すように、全体として矩形の外形形状をなし、ハウジング本体19と、ハウジング本体19から前方に突出するフード21と、を有している。ハウジング本体19は、図14および図15に示すように、前後方向に貫通する複数、本実施形態1の場合は4つの挿入孔22を有している。各挿入孔22は、断面円形をなし、上下一対で且つ幅方向に並んで配置されている。
【0021】
ハウジング本体19の後面には、図15に示すように、ハウジング本体19の中心部分を残して凹む形状の嵌合凹部23が形成されている。嵌合凹部23の内周面には、複数の凹内リブ24が形成されている。
【0022】
ハウジング本体19は、各挿入孔22の内周面に、複数のハウジング側保持突部108を有している。各ハウジング側保持突部108は、断面弧状をなし、各挿入孔22の全長に亘って延びるように形成されている。各ハウジング側保持突部108は、それぞれの挿入孔22の内周面において、軸方向から見て右上、右下、左上、左下の4か所に、周方向に等間隔を置いて突設されている。
【0023】
図2に示すように、ハウジング本体19の挿入孔22には、後述する外導体チューブ15の前端部が挿入される。図5に示すように、各ハウジング側保持突部108は、外導体チューブ15の外周面に接触する。
【0024】
図15に示すように、ハウジング本体19の上端部には、型抜凹部26が形成されている。型抜凹部26は、後述するハウジングロック部36を成形する図示しない金型の引き抜きに起因して形成されている。また、ハウジング本体19の上端部には、型抜凹部26の左右両側に、一対の嵌合孔27が形成されている。図2に示すように、嵌合孔27は、ハウジング本体19の上端部を前後方向に貫通し、フード21内と連通している。
【0025】
図15に示すように、ハウジング本体19の後端には、各嵌合孔27に突出する一対の第1係止突起28が形成されている。各第1係止突起28は、ハウジング本体19の後面に臨み、嵌合凹部23側に突出している。図2に示すように、第1係止突起28の前面には、後述する外殻体13の第1連結突部43が接触して係止される。
【0026】
ハウジング本体19は、図15および図16に示すように、嵌合凹部23の左右両側を仕切る一対のハウジング側部31を有している。各ハウジング側部31の下端側の内面(互いに対向する面)には、一対の第2係止突起32が嵌合凹部23側に突出して形成されている。
【0027】
図16に示すように、各第2係止突起32と、嵌合凹部23の奥面との間には、一対の嵌合溝34が形成されている。各嵌合溝34は、各第2係止突起32と嵌合凹部23の奥面との間において、上下方向および幅方向内側(ハウジング18の幅方向中央側)に開放されている。
【0028】
図13に示すように、ハウジング本体19の嵌合溝34には、後述する基板側外殻体14の第2連結突部76が下方から挿入される。第2係止突起32の前面には、後述する基板側外殻体14の第2連結突部76が押し付け状態で接触する。
【0029】
フード21は、角筒状をなしている。図2に示すように、フード21には、相手側コネクタ300が挿入されて嵌合される。図14に示すように、フード21には、ハウジング本体19の前面から前方に突出する一対の突片部35が形成されている。各突片部35は、相手側コネクタ300に形成された空間部301(図1を参照)に挿入される。フード21の上壁には、相手側コネクタ300を係止するハウジングロック部36が形成されている。ハウジングロック部36が相手側コネクタ300を係止することにより、ハウジング18と相手側コネクタ300とが嵌合状態に保持される。
【0030】
(外導体)
外導体は、図2に示すように、外殻体13と、基板側外殻体14と、複数の外導体チューブ15と、により構成される。外殻体13および基板側外殻体14は、鋳造に由来する亜鉛合金、アルミ合金等のダイキャスト製の導電性剛体であって、互いに同一材料から成形されている。外殻体13および基板側外殻体14は、互いに組み付けられて一つの筐体を構成する。外導体チューブ15は、黄銅等の、外殻体13および基板側外殻体14よりも高硬度の材料からなる金属製の板材を曲げ加工してなるプレス成形体である。
【0031】
図17および図18に示すように、外殻体13は、平面視矩形状の上部37と、上部37の左右両端から下方に突出する一対の側部38と、を有している。上部37と各側部38との間には、嵌合受部39が形成されている。嵌合受部39は、外殻体13において、下方および後方に開放されている。
【0032】
また、外殻体13は、図18に示すように、上部37および各側部38にそれぞれ連なって嵌合受部39側に肉盛りされた形状の装着部41を有している。装着部41は、外殻体13の前面を閉塞している。外殻体13の前面には、図17に示すように、複数の筒部42が突出して形成されている。各筒部42は、上下両側で且つ幅方向に並んで配置されている。各筒部42は、上下左右で互いに連結され、嵌合凹部23に適合可能な形状をなしている。
【0033】
外殻体13は、上側の各筒部42から上方に突出する一対の第1連結突部43を有している。各第1連結突部43の上端側は、上部37よりも上方に突出している。
【0034】
外殻体13の前面の下端部には、圧入凹部45が形成されている。圧入凹部45は、下側の各筒部42間に配置されている。具体的には、圧入凹部45は、下側の各筒部42と、下側の各筒部42を幅方向につなぐ連結部分と、によって区画され、前方および下方に開放されている。圧入凹部45の後方は、外殻体13の前面によって閉塞されている。圧入凹部45は、開口側の下端から奥側の上端に向けて次第に幅寸法を大きくするアリ溝形状をなしている。圧入凹部45には、基板側外殻体14の後述する圧入突部75が圧入される(図8を参照)。
【0035】
図18に示すように、装着部41は、前後方向に貫通する複数の通し孔46を有している。各通し孔46は、断面円形をなし、図17に示すように、前端部分が各筒部42の内側に形成されている。外殻体13とハウジング18との連結状態においては、各筒部42がハウジング18の嵌合凹部23に嵌まり込み、図2に示すように、装着部41の通し孔46とハウジング本体19の挿入孔22とが前後方向に連通する。
【0036】
図18に示すように、外殻体13の幅方向中央部には、嵌合受部39側に突出する係合突部47が形成されている。係合突部47は、装着部41において、上下方向に沿った板状をなし、幅方向に隣接する通し孔46間に配置されている。係合突部47の下端は、段付き形状をなしている(図8を参照)。装着部41における上側の各通し孔46は、係合突部47の下端の段付き形状に対応し、下側の各通し孔46よりも後方に長く形成されている(図2を参照)。
【0037】
各通し孔46は、図18に示すように、嵌合受部39内において後方を向いて配置される端面109に開口している。図19に示すように、上側の各通し孔46が開口する端面109は、下側の各通し孔46が開口する端面109よりも後方に位置している。
【0038】
図19に示すように、装着部41の端面109には、通し孔46の後側の開口縁における下側の左右側縁から前方に切り込まれた形状の一対の切り溝111が形成されている。各切り溝111間には、後述する溝部51が配置されている。外殻体13は、各通し孔46において、各切り溝111の前端を閉塞するストッパ部112を有している。ストッパ部112は、各切り溝111の前面であって、端面109と同様、上下方向に沿って配置されている。また、外殻体13は、各通し孔46において、各切り溝111の幅方向外側を閉塞する規制部113を有している。規制部113は、側部38の内面の一部であって、前後方向に沿って配置され、前端がストッパ部112と交差している。ストッパ部112は、外導体チューブ15の後述する突出部95を当て止め可能とされ(図7を参照)、規制部113は、通し孔46内における外導体チューブ15の回転を規制可能とされている(図6を参照)。
【0039】
外殻体13には、図18に示すように、複数の溝部51が形成されている。各溝部51は、装着部41において各通し孔46を包囲する周壁の下部(段付き形状の部分を含む)を切り欠くように形成され、さらに、上部37の後端部の内面に凹設されている。各溝部51は、それぞれの通し孔46毎に配置され、嵌合受部39側である下方および後方に開放されている。周壁の下部の各溝部51は、端面109に開口している。
【0040】
図12および図13に示すように、各側部38の下端の前後端部には、4つの脚部54が下方に突出して形成されている。各脚部54は、外殻体13の下端四隅部に対応して配置されている。図2および図9に示すように、各脚部54は、回路基板200の固定孔201に位置決めして挿入される。
【0041】
図18に示すように、各側部38の内面(嵌合受部39の内面でもある)の後側下端部には、一対の凹部56が形成されている。各凹部56は、幅方向内側(各側部38が互いに対向する側)および後方に開放されている。図9に示すように、各凹部56には、基板側外殻体14の後述する各突部72が嵌合される。
【0042】
図12および図13に示すように、基板側外殻体14は、外殻体13に下方から組み付けられる。図21に示すように、基板側外殻体14は、底面視矩形状の底部59と、底部59の後端部から立ち上がる背部61と、底部59の後端部寄りの位置から立ち上がる立上部62と、底部59の幅方向中央部において背部61と立上部62とをつなぐ仕切部63と、を有している。背部61、立上部62および仕切部63は、外殻体13の嵌合受部39に嵌合可能な嵌合部として構成される。
【0043】
背部61および立上部62は、背面視矩形の縦壁状をなしている。図9に示すように、背部61は、外殻体13の後面を閉塞する。図20および図21に示すように、立上部62の突出寸法は、背部61の突出寸法よりも小さくされている。立上部62の上端面と背部61の上端面との間の高低差は、装着部41の段付き形状の高低差に対応している。立上部62の上端面と仕切部63の上端面とは同じ高さで連なっている。
【0044】
図21に示すように、基板側外殻体14の幅方向中央部には、溝部52が形成されている。溝部52は、背部61、仕切部63、立上部62および底部59のそれぞれの上面および前面に、段付き状に連続して凹設されている。
【0045】
溝部52は、幅方向で互いに対向する両側面に、上下方向に延びる複数の接触リブ65を有している。各接触リブ65は、断面弧状をなしている。各接触リブ65は、背部61、仕切部63、立上部62および底部59のそれぞれに対応する溝部52の両側面に、前後方向に間隔を置いて多数形成されている。
【0046】
背部61、立上部62および底部59のそれぞれの上面には、溝部52を挟んだ左右両側の部位に、一対ずつの係合突部49が形成されている。各係合突部49の両側面にも、上下方向に延びる接触リブ66が形成されている。
【0047】
外殻体13および基板側外殻体14の組み付け状態において、基板側外殻体14の溝部52には外殻体13の係合突部47の下端部が嵌まり込む(図8を参照)。また、図9に一部を示すように、基板側外殻体14の各係合突部49は外殻体13の各溝部51に嵌まり込む。基板側外殻体14の各接触リブ65,66は、外殻体13の係合突部47の外面および各溝部51の内面に接触する。さらに、図20および図21に示すように、背部61および立上部62のそれぞれの両側面にも、上下方向に長く延びる接触リブ67が形成されている。この接触リブ67は、外殻体13の各側部38の内面に接触する(図9を参照)。
【0048】
図20に示すように、基板側外殻体14は、両側面の下側後端部に、一対の突部72を有している。各突部72は、底部59の両側面において、前後方向に延びる断面弧状の形態である。各突部72の前端側は、背部61の両側面に形成された各接触リブ67の下端に一体に連なっている。外殻体13および基板側外殻体14の組み付け状態において、図9に示すように、突部72は、凹部56の下側部分に嵌まり込み、突部72の下面が凹部56の下面に圧縮または圧潰状態で接触する。
【0049】
図20および図21に示すように、底部59の前端部の上面における幅方向中央部には、圧入突部75が突出して形成されている。圧入突部75は、柱状をなし、上端部を除いて上下方向に一定の断面形状で形成されている。圧入突部75の両側面にも、上下方向に延びる一対の接触リブ68が形成されている。各接触リブ68は、圧入凹部45の内面に接触する。
【0050】
基板側外殻体14は、底部59の両側面の前端から幅方向外側に突出する一対の第2連結突部76を有している。各第2連結突部76の後面には、上下方向に延びる断面弧状の押し付けリブ78が形成されている。第2連結突部76の押し付けリブ78は、第2係止突起32の前面に押し付け状態で接触する(図13を参照)。
【0051】
図21に示すように、基板側外殻体14には、複数の開口部81が形成されている。各開口部81は、断面矩形状をなし、基板側外殻体14において、溝部52を挟んだ左右両側で、且つ前後それぞれの位置に配置されている。前側の各開口部81は、立上部62の前方で且つ底部59に形成された係合突部49の後方に位置し、底部59を貫通して底面92(下方を向く面であって、図12を参照)に開口している。後側の各開口部81は、背部61、立上部62および仕切部63で区画され、同じく底部59を貫通して底面92に開口している。仕切部63は、幅方向で隣接する後側の開口部81間を仕切っている。
【0052】
各開口部81には、図2に示すように、誘電体16,17が嵌合される。誘電体16,17に装着された内導体11,12は、後述する基板接続部107を、底部59の底面92から開口部81を通して下方に突出させる。基板接続部107は、回路基板200に形成された接続孔202に挿入され、図示しない導電部に電気的に接続される。
【0053】
図13に示すように、底部59の底面92には、各開口部81の周辺を取り囲むようにして複数の実装部84~87が形成されている。各実装部84~87は、底部59の底面92から下方に小さく突出している。各実装部84~87の下端面は、平坦状をなし、回路基板200のグランド用の導電部に半田付けして電気的に接続される。
【0054】
具体的には、各実装部は、前側の各開口部81の前側において左右方向に延びる前方実装部84と、各開口部81の左右両側において前後方向に延びる側方実装部85と、前側の開口部81と後側の開口部81との間において左右方向に延びる共用実装部86と、を有している。また、後述する凹陥部91の左右両側にも、実装部としての補完実装部87が形成されている。
【0055】
底部59の底面92の後端部には、退避凹部88が凹設されている。退避凹部88の後端は、基板側外殻体14における底面92と交差する背面93に開口している。退避凹部88は、断面矩形状をなし、前方で開口部81に連通し、後方および下方に開放される一方、上方を背部61によって閉塞されている。
【0056】
退避凹部88は、回路基板200の図示しない表層配線の上方に配置される。基板側外殻体14は、退避凹部88によって表層配線との電気的な接続が回避される。
【0057】
補完実装部87は、各退避凹部88に対応し、各退避凹部88のそれぞれの両側縁のうち、底部59の幅方向中央側に位置する内側の側縁に沿って前後方向に延びるように形成されている。
【0058】
図13に示すように、基板側外殻体14の背面93の幅方向中央部には、凹陥部91が凹設されている。図9に示すように、凹陥部91は、基板側外殻体14の背面93において、底部59から背部61にかけて上下方向に延びるように形成されている。凹陥部91は、基板側外殻体14の底面92と背面93とに亘って凹設され、後方および下方に開放されている。
【0059】
凹陥部91は、背部61を貫通し、仕切部63の内部で区画されている。つまり、凹陥部91は、仕切部63の厚み範囲に形成されている。図8に示すように、凹陥部91の内奥面126および内上面127は、溝部52の内側において溝部52と平行に配置されている。仕切部63における凹陥部91と溝部52との間の部分(図8の符号aを参照)は、背部61から底部59にかけて均一な厚みまたは均一に近い厚みで形成されている。仕切部63の肉厚は、凹陥部91に対応する部位で減少させられる。図13に示すように、補完実装部87は、底部59の底面92において、退避凹部88と凹陥部91との間に幅方向に挟まるようにして配置されている。幅方向内側(幅方向中央側)に位置する側方実装部85は、図9および図10に示すように、基板側外殻体14の背面視において、凹陥部91を通して視認可能に配置されている。
【0060】
外導体チューブ15は、導電性の金属板を曲げ加工等して一体に形成され、外殻体13および基板側外殻体14のそれぞれよりも薄肉に形成されている。外導体チューブ15は、図22に示すように、前後方向に延びる円筒状の筒状接続部94と、筒状接続部94の後端部の左右両側から下方に突出する一対の突出部95と、を有している。筒状接続部94は、板材を円形に曲げ加工して形成され、図23に示すように、下端に、周方向両端を突き合せた突き合わせ縁116を有している。
【0061】
各突出部95は、筒状接続部94の後端部における上半分の左右両端から下方に広がるテーパ形状をなしている。また、突出部95は、側面視矩形状をなしている。各突出部95の下端寄りの部位には、外側に膨出するエンボス状の接触突部117が形成されている。接触突部117は、断面弧状をなしている。
【0062】
また、筒状接続部94の前後中間部には、圧入刃118が形成されている。圧入刃118は、筒状接続部94の左右両端(径方向両端)に対をなし、上下方向(筒状接続部94の周方向でもある)に沿ったスリット119の前側に、外側に膨出する形状で形成されている。具体的には、図22に示すように、圧入刃118は、断面弧状をなし、側面視において前方へ向けて上下寸法を小さくする三角形状をなしている。図3に示すように、各圧入刃118は、外殻体13の通し孔46の内周面に圧入して係止される。
【0063】
また、筒状接続部94の前後中間部には、内側突起120が形成されている。図23に示すように、各内側突起120は、筒状接続部94の左右両端に対をなし、上下方向(筒状接続部94の周方向でもある)に沿ったスリット119の後側に、内側に膨出する形状で形成されている。各内側突起120は、筒状接続部94内に配置された誘電体16,17の外面に係止される(図3を参照)。
【0064】
図22に示すように、筒状接続部94には、圧入刃118よりも後方で且つ突出部95よりも前方の部位に、複数の保持突部121が形成されている。各保持突部121は、筒状接続部94の外側に膨出するエンボス状をなし、前後方向に一定の断面形状(弧状)で延びるように形成されている。
【0065】
また、図23に示すように、各保持突部121は、筒状接続部94の外周面において、周方向に一定の間隔を置いて4つ突設されている。筒状接続部94の外周面からの突出寸法は、圧入刃118のほうが保持突部121よりも大きい。筒状接続部94を軸方向(前方または後方であって、図23の紙面厚み方向)から見たときに、各保持突部121は、各圧入刃118と周方向にずれて配置されている。具体的には、各保持突部121は、筒状接続部94を前方から見たときに、上下左右の各部位となる、右上、右下、左上、左下の4か所に配置されている。図23の右下の保持突部121は、筒状接続部94を突き合わせ縁116の近傍に配置されている。図4に示すように、各保持突部121は、外殻体13の通し孔46の内周面に接触する。
【0066】
外導体チューブ15は、外殻体13の通し孔46に後方から挿入される。外導体チューブ15は、各通し孔46に対応して複数、本実施形態1の場合は4つ設けられ、図1に示すように、それぞれ同一形状に形成されている。外導体チューブ15は、各突出部95がストッパ部112に当て止めされ、且つ各圧入刃118が通し孔46の内周面に係止されることにより、外殻体13に抜け止め状態に保持される(図7を参照)。外導体チューブ15の筒状接続部94の前端部は、シールドコネクタ10において、外殻体13の筒部42からフード21内に突出して配置される(図2を参照)。
【0067】
(誘電体)
誘電体16,17は、図1に示すように、前後方向に延びる円筒状の本体部101と、本体部101の後端部から下方に突出する引出部102と、を有し、側面視L字形に形成されている。本体部101には、内導体11,12の後述する水平部104が挿入される。引出部102の後面には、上下方向に延びるガイド溝103が形成されている。ガイド溝103は、後方に開放されている。ガイド溝103には、後方から内導体11,12の後述する延出部105が嵌め込まれる(図2および図7を参照)。
【0068】
誘電体16,17の本体部101は、外導体チューブ15の筒状接続部94に挿入された状態で、外殻体13の通し孔46に配置される。誘電体16,17の引出部102は、基板側外殻体14の開口部81に挿入される。
【0069】
誘電体は、図1に示すように、長寸および短寸の2種類の誘電体16,17で構成される。長寸の誘電体16は、本体部101を上側の通し孔46に配置させ、引出部102を後側の開口部81に挿入させた状態で、外導体13,14,15に保持される。短寸の誘電体17は、本体部101を下側の通し孔46に配置させ、引出部102を前側の開口部81に挿入させた状態で、外導体13,14,15に保持される。
【0070】
(内導体)
内導体11,12は、図1に示すように、ピン状の端子であって、前後方向に延びる水平部104と、水平部104の後端部から下方に延びる延出部105と、を有し、側面視L字形に形成されている。水平部104は、誘電体16,17の本体部101に挿入された状態で、本体部101から前方に突出する相手側接続部106を有している。相手側接続部106は、図2に示すように、フード21内に突出し、ハウジング18と相手側コネクタ300との嵌合状態で、相手側内導体303に電気的に接続される。延出部105は、誘電体16,17の引出部102のガイド溝103に挿入された状態で、引出部102から下方に突出する基板接続部107を有している。基板接続部107は、延出部105の上側部分よりも細径に形成されている。
【0071】
内導体は、図1に示すように、長寸および短寸の2種類の内導体11,12で構成される。長寸の内導体11は、長寸の誘電体16に保持される。短寸の内導体12は、短寸の誘電体17に保持される。
【0072】
(シールドコネクタの組み付け方法および作用)
まず、各内導体11,12の水平部104が対応する誘電体16,17の本体部101に後方から挿入されて保持される。内導体11,12の延出部105は、ガイド溝103に挿入された状態で、引出部102の後面側に露出して配置される。次いで、各誘電体16,17の本体部101が対応する外導体チューブ15の筒状接続部94に後方から挿入されて保持される。そして、各外導体チューブ15の筒状接続部94が対応する外殻体13の通し孔46に後方から挿入されて保持される。
【0073】
筒状接続部94の挿入過程の終盤において、各突出部95が各切り溝111に後方から進入し、各突出部95の接触突部117が規制部113に沿って摺動する。このとき、各突出部95が筒状接続部94との連結部位を支点として幅方向内側(外導体チューブ15の幅方向中央側)に弾性変形させられる。
【0074】
筒状接続部94が外殻体13の通し孔46に正規に挿入されると、各突出部95の前端(板厚部分)が外殻体13のストッパ部112に突き当たり(図7を参照)、外導体チューブ15のそれ以上の挿入動作が規制される。各突出部95は弾性変形した状態のまま各接触突部117を規制部113に強固に接触させる(図6を参照)。外導体チューブ15は、外殻体13に対する突出部95の係止作用と、後述する圧入刃118および各保持突部121の保持作用とによって、外殻体13にガタ付きを規制された状態で組み付けられる。
【0075】
本実施形態1の場合、外導体チューブ15が外殻体13に対して後方から組み付けられるので、ストッパ部112による外導体チューブ15の前抜け規制構造を容易に形成することができる。特に、外導体チューブ15を外殻体13に挿入する方向、内導体11,12を誘電体16,17に挿入する方向、誘電体16,17を外導体チューブ15に挿入する方向、および、後述するように、外殻体13をハウジング18に連結する方向が、いずれも後方であって同一方向に統一されているため、組み付け性に優れる。
【0076】
また、筒状接続部94が外殻体13の通し孔46に正規に挿入された状態において、外導体チューブ15の各圧入刃118は、外殻体13の通し孔46の内周面における左右両端部位に圧入状態(圧縮または圧潰状態)で食い込むように係止される(図3を参照)。また、外導体チューブ15の各保持突部121は、各圧入刃118の係止位置よりも後方において、外殻体13の通し孔46の内周面における上下左右の各部位に強固に接触する(図4を参照)。
【0077】
図11に示すように、筒状接続部94の前端部は外殻体13の筒部42から前方に突出して配置される。仮に、各保持突部121が筒状接続部94に形成されていないと、筒状接続部94の前端部に対して上方または下方から外力が作用したときに、筒状接続部94が外力方向に押圧され、筒状接続部94の軸心がずれる懸念がある。その点、本実施形態1の場合、筒状接続部94に圧入刃118とは別に複数の保持突部121が形成され、各保持突部121が筒状接続部94の上下左右の各部位に周方向に間隔を置いて配置されている。そして、各保持突部121が外殻体13の通し孔46の内周面に接触して保持されるため、上方または下方からの外力に抗することができ、筒状接続部94の軸心がずれるのを防止することができる。
【0078】
続いて、外殻体13がハウジング18に対して後方から連結される(図11を参照)。外殻体13の連結過程において、第1連結突部43が第1係止突起28を乗り越えて嵌合孔27に篏合される。外殻体13の連結完了時には、筒部42が嵌合凹部23の奥面に接触して、外殻体13の連結動作が停止され、且つ、第1連結突部43の後面と第1係止突起28の前面とが互いに接触する(図2を参照)。
【0079】
筒状接続部94の前端部はハウジング18の挿入孔22に後方から挿入される。筒状接続部94の前部の外周面には、挿入孔22内において、各ハウジング側保持突部108が圧縮または圧潰状態で接触する(図5を参照)。各ハウジング側保持突部108は筒状接続部94の外周面に対して上下左右の各側から接触する。これにより、筒状接続部94は、各圧入刃118および各保持突部121によって外殻体13に保持されるのに加え、圧入刃118を挟んで各保持突部121とは反対側(前側)に位置する各ハウジング側保持突部108によってハウジング18に保持される。よって、本実施形態1においては、筒状接続部94の軸心がずれるのをより確実に防止することができる。その結果、筒状接続部94の軸心が相手側外導体311(図2を参照)の軸心と整合する状態を実現できる。
【0080】
続いて、基板側外殻体14が外殻体13に対して下方から組み付けられる(図12を参照)。基板側外殻体14の組み付け過程の終盤において、突部72が側部38と干渉し、側部38が上部37側を支点として幅方向外側に多少なりとも弾性変形する。基板側外殻体14の組み付け完了時には、外殻体13の係合突部47が基板側外殻体14の溝部52の底面92に接触等して、基板側外殻体14の組み付け動作が停止され、且つ、側部38に復元力が作用し、突部72が凹部56に嵌合される(図9を参照)。ここで、突部72と凹部56との間にはラップ代が設置されているので、突部72が凹部56の内面に接触してその接触状態を維持することができる。凹部56および突部72の嵌合状態は、背面視において視認可能である。
【0081】
また、基板側外殻体14の組み付け完了時に、圧入突部75が圧入凹部45に下方から嵌合され、圧入突部75の各接触リブ68が圧入凹部45の開口側の内面に圧縮または圧潰状態で接触する。このため、基板側外殻体14は、外殻体13に対して前後方向に傾くのを規制された状態で安定して保持される。
【0082】
また、基板側外殻体14の組み付け完了時に、第2連結突部76がハウジング18の嵌合溝34に嵌合され(図13を参照)、第2連結突部76の押し付けリブ78が第2係止突起32の前面に接触し、第2連結突部76がハウジング18に対して抜け止め状態に保持される。
【0083】
さらに、基板側外殻体14の組み付け完了時に、背部61、立上部62および仕切部63が外殻体13の嵌合受部39に嵌合され、基板側外殻体14の各係合突部49が外殻体13の各溝部51に嵌合されるとともに(図9を参照)、外殻体13の係合突部47が基板側外殻体14の溝部52に嵌合される。基板側外殻体14の各接触リブ65~68は、外殻体13の各溝部51の内面および係合突部47の外面等の対応面に圧縮または圧潰状態で接触する。これにより、外殻体13と基板側外殻体14との間には、各接触リブ65~68を介して電気的な接続構造(接点構造)が多数形成される。このため、外殻体13と基板側外殻体14との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0084】
各接触リブ65~68は、外殻体13の対応面に上下方向に沿って接触している。このため、仮に、外殻体13および基板側外殻体14に上下方向の振動力が加わっても、各接触リブ65~68の接触状態を維持することができる。特に、本実施形態1の場合、各接触リブ65~68が基板側外殻体14の各溝部52の内面および各係合突部49の外面に多数形成され、基板側外殻体14の各係合突部49が外殻体13の各溝部51に嵌合され、基板側外殻体14の溝部52に外殻体13の係合突部47が嵌合されるので、各接触リブ65~68が外殻体13の対応面に確実に接触することができる。
【0085】
外殻体13および基板側外殻体14の組み付け状態において、図2に示すように、立上部62は、下側の通し孔46に配置された外導体チューブ15、短寸の誘電体16および短寸の内導体12を後方から覆うように配置される。また、背部61は、上側の通し孔46に配置された外導体チューブ15、長寸の誘電体17および長寸の内導体11を後方から覆うように配置される。内導体11,12の引出部102は、基板接続部107を除いて、外導体13,14,15によって全周を包囲された状態になる。以上によりシールドコネクタ10の組み付けが完了する。
【0086】
続いて、シールドコネクタ10は、回路基板200の表面に設置される(図2図8図10を参照)。各内導体11,12の基板接続部107は、回路基板200の接続孔202に挿入され、外殻体13の各脚部54は、回路基板200の固定孔201に挿入され、各実装部84~87は、回路基板200の導電部のランド上に載せられる。その状態で、リフロー半田が行われることにより、各内導体11,12の基板接続部107は回路基板200の接続孔202における信号用の導電部分に半田接続される。また、各脚部54は固定孔201に半田固定され、各実装部84~87はグランド用の導電部に半田接続される。
【0087】
各内導体11,12は基板側外殻体14の底面92において周囲を複数の実装部84~87で囲まれている。このため、幅方向および前後方向で隣接する内導体11,12間のクロストークが抑制される。また、基板側外殻体14には回路基板200の表層配線から離れるように凹む退避凹部88が形成されているため、基板側外殻体14が表層配線に電磁界結合するのを防止することができる。
【0088】
ところで、リフロー半田が行われる際には、リフロー熱が基板側外殻体14の外表面から実装部84~87に伝熱され、実装部84~87に対応する半田(ペースト半田)が溶融される。本実施形態1の場合、基板側外殻体14には背部61の背面93から底面92にかけて凹陥部91が凹設され、仕切部63の肉厚が減少しているので、熱伝導抵抗を低下させることができ、実装部84~87への伝熱性に優れる。特に、凹陥部91が基板側外殻体14の底面92における側方実装部85の近傍まで延びているので、側方実装部85が未半田状態になるのを効果的に防止することができる。
【0089】
また、本実施形態1においては、図10に示すように、回路基板200の導電部に対する側方実装部85の半田接合状態(図10の符号bで示す半田フィレットを参照)を凹陥部91の背面93の開口を通して確認することができる。
【0090】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、外殻体は、基板側外殻体とは別体で構成されていた。しかし、他の実施形態によれば、外殻体は、基板側外殻体と一体に形成されていても良い。
上記実施形態1の場合、外導体チューブの突出部は接触突部を有していた。しかし、他の実施形態によれば、突出部は接触突部を有していなくても良い。この場合は、突出部の側面(板面)を外殻体の規制部に接触させることができる。
上記実施形態1の場合、ハウジングにハウジング側保持突部が形成されていた。しかし、他の実施形態によれば、ハウジングにハウジング側保持突部が形成されていなくても良い。この場合は、外導体チューブの外周面にハウジング側保持突部と対応する保持突部を形成すると良い。
【符号の説明】
【0091】
10…シールドコネクタ
11…長寸の内導体(内導体)
12…短寸の内導体(内導体)
13…外殻体(外導体)
14…基板側外殻体(外導体)
15…外導体チューブ(外導体)
16…長寸の誘電体(誘電体)
17…短寸の誘電体(誘電体)
18…ハウジング
19…ハウジング本体
21…フード
22…挿入孔
23…嵌合凹部
24…凹内リブ
26…型抜凹部
27…嵌合孔
28…第1係止突起
31…ハウジング側部
32…第2係止突起
34…嵌合溝
35…突片部
36…ハウジングロック部
37…上部
38…側部
39…嵌合受部
41…装着部
42…筒部
43…第1連結突部
45…圧入凹部
46…通し孔
47…外殻体の係合突部(係合突部)
49…基板側外殻体の係合突部(係合突部)
51…外殻体の溝部(溝部)
52…基板側外殻体の溝部(溝部)
54…脚部
56…凹部
59…底部
61…背部(嵌合部)
62…立上部(嵌合部)
63…仕切部(嵌合部)
65,66,67,68…接触リブ
72…突部
75…圧入突部
76…第2連結突部
78…押し付けリブ
81…開口部
84…前方実装部(実装部)
85…側方実装部(実装部)
86…共用実装部(実装部)
87…補完実装部(実装部)
88…退避凹部
91…凹陥部
92…底面
93…背面
94…筒状接続部
95…突出部
101…本体部
102…引出部
103…ガイド溝
104…水平部
105…延出部
106…相手側接続部
107…基板接続部
108…ハウジング側保持突部
109…端面
111…切り溝
112…ストッパ部
113…規制部
116…突き合わせ縁
117…接触突部
118…圧入刃
119…スリット
120…内側突起
121…保持突部
126…内奥面
127…内上面
200…回路基板
201…固定孔
202…接続孔
300…相手側コネクタ
301…空間部
303…相手側内導体
311…相手側外導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23