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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】可変電子素子、および回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241010BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20241010BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20241010BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20241010BHJP
   H03H 5/12 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L29/78 613Z
H01G4/30 541
H01G4/33 102
H01G4/38 B
H03H5/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022556910
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2021037331
(87)【国際公開番号】W WO2022080253
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020172070
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮迫 毅明
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼光 永輔
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173497(WO,A1)
【文献】特開2015-144266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0140528(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102570839(CN,A)
【文献】特開2010-272815(JP,A)
【文献】特開2009-147204(JP,A)
【文献】特開2007-013116(JP,A)
【文献】特開2013-012730(JP,A)
【文献】特開2012-256878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 29/78
H01L 29/786
H01G 4/30
H01G 4/33
H01G 4/38
H03H 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタを構成するスイッチ部と、
前記スイッチ部と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部と、を備え、
前記スイッチ部は、
ソース電極と、
ドレイン電極と、
少なくとも前記ソース電極の一部と前記ドレイン電極の一部とに重ねて形成されたチャネル形成膜と、
前記チャネル形成膜に重ねて形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜に重ねて形成されたゲート電極と、を有し、
前記素子部は、
前記ソース電極と電気的に接続される第1端子電極と、
前記ソース電極との間で第1受動素子を構成し、少なくとも前記ドレイン電極との間で第2受動素子を構成する第2端子電極と、を有し、
前記ドレイン電極に代えて、前記ゲート電極と前記チャネル形成膜とが平面視で重なる部分を用い、
当該部分と前記第2端子電極との間で前記第2受動素子を構成する、可変電子素子。
【請求項2】
電界効果トランジスタを構成するスイッチ部と、
前記スイッチ部と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部と、を備え、
前記スイッチ部は、
ソース電極と、
ドレイン電極と、
少なくとも前記ソース電極の一部と前記ドレイン電極の一部とに重ねて形成されたチャネル形成膜と、
前記チャネル形成膜に重ねて形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜に重ねて形成されたゲート電極と、を有し、
前記素子部は、
前記ソース電極と電気的に接続される第1端子電極と、
前記ソース電極との間で第1受動素子を構成し、少なくとも前記ドレイン電極との間で第2受動素子を構成する第2端子電極と、を有し、
前記第2端子電極は、
前記ソース電極と平面視で重なる第1領域と、前記ドレイン電極と平面視で重なる第2領域とを有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を迂回して電気的に接続されている、可変電子素子。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記素子部の上部または下部に設けられる、請求項1または請求項2に記載の可変電子素子。
【請求項4】
前記受動素子は、キャパシタ、インダクタ、レジスタのいずれかである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の可変電子素子。
【請求項5】
前記受動素子は、キャパシタであって、
前記素子部は、
前記ソース電極および前記ドレイン電極に重ねて設けられる誘電体をさらに有し、
前記ソース電極と前記第2端子電極との間の前記誘電体で前記第1受動素子となる第1キャパシタを構成し、
少なくとも前記ドレイン電極と前記第2端子電極との間の前記誘電体で前記第2受動素子となる第2キャパシタを構成する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の可変電子素子。
【請求項6】
電界効果トランジスタを構成するスイッチ部と、
前記スイッチ部と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部と、を備え、
前記スイッチ部は、
ソース電極と、
ドレイン電極と、
少なくとも前記ソース電極の一部と前記ドレイン電極の一部とに重ねて形成されたチャネル形成膜と、
前記チャネル形成膜に重ねて形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜に重ねて形成されたゲート電極と、を有し、
前記素子部は、
前記ソース電極と電気的に接続される第1端子電極と、
前記ソース電極との間で第1受動素子を構成し、少なくとも前記ドレイン電極との間で第2受動素子を構成する第2端子電極と、を有し、
前記受動素子は、キャパシタであって、
前記素子部は、
前記ソース電極および前記ドレイン電極に重ねて設けられる誘電体をさらに有し、
前記ソース電極と前記第2端子電極との間の前記誘電体で前記第1受動素子となる第1キャパシタを構成し、
少なくとも前記ドレイン電極と前記第2端子電極との間の前記誘電体で前記第2受動素子となる第2キャパシタを構成し、
前記第2端子電極は、
前記ソース電極と平面視で重なる第1領域と、前記ドレイン電極と平面視で重なる第2領域とを有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を迂回して電気的に接続され、
前記誘電体は、前記第2端子電極のパターンにあわせて、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を避けて形成される、可変電子素子。
【請求項7】
前記ゲート電極は、半導体基板上に形成され、
前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極および前記半導体基板上に形成され、
前記チャネル形成膜は、前記ゲート絶縁膜上に形成され、
前記ソース電極および前記ドレイン電極は、前記チャネル形成膜上に形成され、
前記誘電体は、前記ソース電極および前記ドレイン電極上に形成され、
前記第2端子電極は、前記誘電体上に形成される、請求項5または請求項6に記載の可変電子素子。
【請求項8】
前記受動素子は、インダクタであって、
前記素子部は、
前記ソース電極と前記第2端子電極との間に電気的に接続され、前記第1受動素子となる第1インダクタと、
前記ドレイン電極と前記第2端子電極との間に電気的に接続され、前記第2受動素子となる第2インダクタとを有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の可変電子素子。
【請求項9】
回路配線と、
前記回路配線に電気的に接続される、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の前記可変電子素子と、を備える回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動素子の物理量を可変する可変電子素子、および当該可変電子素子を備える回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容量(キャパシタ)を可変することができる可変容量素子が開発されている。容量を可変する方法として、特許文献1では、マイクロマシニング技術を用いて板状の可動櫛歯電極と、当該可動櫛歯電極と微少空隙を介して面対向するように板状の固定櫛歯電極とを設けた可変容量素子が開示されている。
【0003】
また、容量を可変する方法として、非特許文献1では、FET(Field Effect Transistor)のON/OFF動作を利用した2端子構造の可変容量素子が開示されている。当該可変容量素子では、ON状態にしてゲート電極に電圧が印加されることで、ゲート絶縁膜(誘電体)の+分極によってチャネル領域の電子が界面に蓄積され電極として機能するので、ソース電極側の電極面積がゲート電極と同じ面積まで広がる。そのため、ソース電極とゲート電極との間で生じる容量が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-373829号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Tokumitsu Eisuke, Kikuchi Kazuya, "Evaluation of Channel Modulation in In2O3/(Bi,La)4Ti3O12Ferroelectric-Gate Thin Film Transistors by Capacitance-Voltage Measurements", Ferroelectrics, 429, p.15-21, Jun 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で開示された可変容量素子では、可変できる容量の幅は可変前の容量のせいぜい数倍程度と小さく、周波数を大幅に変調することが要求されるワイドバンドの通信システムや電源回路等の用途に用いるには可変できる容量の幅が不十分であった。
【0007】
また、非特許文献1で開示された可変容量素子では、耐電圧を上げるためにゲート絶縁膜(誘電体)の膜厚を厚くすると、容量値が膜厚に対して反比例して減少することになる。さらに、非特許文献1で開示された可変容量素子では、ゲート絶縁膜(誘電体)の膜厚を厚くすると、膜厚に比例してゲート電極に印加する制御電圧が大きくなるため消費電力が増大することになる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、受動素子の物理量(例えば、可変できる容量)を可変することができる幅を広くでき、受動素子の物理量を減少させずに十分な耐電圧を得ることが可能な可変電子素子、および回路装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一形態に係る可変電子素子は、電界効果トランジスタを構成するスイッチ部と、スイッチ部と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部と、を備え、スイッチ部は、ソース電極と、ドレイン電極と、少なくともソース電極の一部とドレイン電極の一部とに重ねて形成されたチャネル形成膜と、チャネル形成膜に重ねて形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜に重ねて形成されたゲート電極と、を有し、素子部は、ソース電極と電気的に接続される第1端子電極と、ソース電極との間で第1受動素子を構成し、少なくともドレイン電極との間で第2受動素子を構成する第2端子電極と、を有し、ドレイン電極に代えて、ゲート電極とチャネル形成膜とが平面視で重なる部分を用い、当該部分と第2端子電極との間で第2受動素子を構成する
【0010】
本開示の一形態に係る回路装置は、回路配線と、回路配線に電気的に接続される、上記の可変電子素子と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ソース電極と第2端子電極との間で第1受動素子を構成し、ドレイン電極と第2端子電極との間で第2受動素子を構成するので、受動素子の物理量を可変することができる幅を広くでき、受動素子の物理量を減少させずに十分な耐電圧を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る可変容量素子の構成を説明するための断面図である。
図2】実施の形態1に係る可変容量素子の構成を説明するための平面図である。
図3】実施の形態1に係る可変容量素子の回路図である。
図4】実施の形態1に係る可変容量素子の可変容量の幅を説明するためのグラフである。
図5】実施の形態1に係る可変容量素子の製造方法を説明するための断面図である。
図6】実施の形態1に係る多値化の可変容量素子の回路図である。
図7】実施の形態1の変形例に係る可変容量素子の構成を説明するための断面図である。
図8】実施の形態2に係る可変インダクタンス素子の構成を説明するための断面図である。
図9】実施の形態2に係る可変インダクタンス素子の回路図である。
図10】実施の形態3に係る回路装置の回路図である。
図11】実施の形態3に係る回路装置の周波数特性を説明するためのグラフである。
図12】実施の形態4に係る回路装置のブロック図である。
図13】実施の形態4に係る回路装置のスイッチングのタイミングを示すタイミングチャートである。
図14】実施の形態5に係る回路装置のブロック図である。
図15】実施の形態6に係る回路装置の回路図である。
図16】実施の形態6に係る回路装置のスイッチング特性を説明するためのグラフである。
図17】実施の形態7に係る可変容量素子の構成を説明するための断面図である。
図18】実施の形態7に係る可変容量素子の構成を説明するための平面図である。
図19】実施の形態8に係る可変容量素子の構成を説明するための断面図である。
図20】実施の形態8に係る可変容量素子の構成を説明するための平面図である。
図21】実施の形態8の変形例に係る可変容量素子の構成を説明するための断面図である。
図22】変形例に係る可変容量素子の構成を説明するための断面図である。
図23】可変容量素子の容量と保持電圧との関係を説明するための図である。
図24】可変容量素子の容量と保持時間との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態に係る可変電子素子について図面を参照して詳しく説明する。可変電子素子とは、含まれる受動素子の物理量を可変することができる素子であり、含まれる受動素子には、キャパシタ、インダクタ、レジスタなどがある。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1では、含まれる受動素子がキャパシタで、容量を可変することができる可変容量素子について図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る可変容量素子100の構成を説明するための断面図である。図2は、実施の形態1に係る可変容量素子100の構成を説明するための平面図である。図3は、実施の形態1に係る可変容量素子100の回路図である。
【0015】
図1に示す可変容量素子100は、半導体基板1上に形成した電界効果トランジスタを構成するスイッチ部10と、スイッチ部10と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部20とを含んでいる。素子部20は、スイッチ部10の上部に設けられている。
【0016】
スイッチ部10は、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、チャネル形成膜4、ソース電極5、およびドレイン電極6を有している。図1に示すスイッチ部10では、半導体基板1上にゲート電極2を形成し、ゲート電極2に重ねてゲート絶縁膜3およびチャネル形成膜4を順に形成し、それらの上にソース電極5およびドレイン電極6をそれぞれ形成している。
【0017】
より具体的に、スイッチ部10は、酸化物FET(Field Effect Transistor)である。半導体基板1には、例えば、アルミン酸ランタン(LAO)を用い、その上に白金(Pt)でゲート電極2を図2に示す所定のパターンで形成する。ゲート絶縁膜3には、例えば、膜厚が70nmのLa-HfO膜を用い、チャネル形成膜4には、例えば、膜厚が25nmのIZO膜を用いる。IZO膜のチャネル形成膜4の上に、白金(Pt)でソース電極5およびドレイン電極6を図2に示す所定のパターンで形成する。なお、図2に示すソース電極5の上には、端子電極5a(第1端子電極)が設けられているが、ソース電極5自体を端子電極5aとして用いてもよい。スイッチ部10では、例えばチャネル幅Wを100μm、チャネル長Lを10μmとする。
【0018】
素子部20は、スイッチ部10の上部に設けられ、誘電体21のAl膜と、誘電体21に重ねて形成される白金(Pt)の端子電極22(第2端子電極)とを含む。端子電極22は、図2に示す所定のパターンで形成される。なお、ゲート電極2は、図2に示すようにソース電極5とドレイン電極6とが重なる領域から引き出され、ゲート電極2の上に制御電極端子2aが設けられている。
【0019】
素子部20は、ソース電極5と端子電極22との間で第1キャパシタ(第1受動素子)を構成し、少なくともドレイン電極6と端子電極22との間で第2キャパシタ(第2受動素子)を構成する。第1キャパシタは、図2に示すようにソース電極5と端子電極22とが平面視で重なる部分C1である。第2キャパシタは、チャネル形成膜4を含むドレイン電極6と端子電極22とが平面視で重なる部分C2である。
【0020】
可変容量素子100は、スイッチ部10がOFF状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧が印加されないので、平面視でゲート電極2と重なるチャネル形成膜4の位置に電子空乏層があり、ソース電極5とドレイン電極6とは導通しない。そのため、可変容量素子100は、ソース電極5と当該ソース電極5と対向する端子電極22の部分との間にのみ電圧が印加されるので第1キャパシタのみの容量となる。
【0021】
しかし、可変容量素子100は、スイッチ部10がON状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧を印加することでチャネルが形成されソース電極5とドレイン電極6とが導通する。そのため、可変容量素子100は、ソース電極5およびドレイン電極6(その間のチャネル形成膜4を含む)と、対向する端子電極22との間に電圧が印加されるので、第1キャパシタおよび第2キャパシタの合成容量となる。
【0022】
つまり、可変容量素子100では、スイッチ部10をON/OFF動作することで、第1キャパシタ素子を素子部20する場合と、第1キャパシタおよび第2キャパシタ素子を素子部20する場合とを切り替え、キャパシタの容量を可変している。可変容量素子100では、ゲート電極2(制御電極端子2a)への印加電圧によりON/OFF動作するスイッチ部10と、端子電極5a(第1端子電極)と、端子電極22(第2端子電極)とで動作する素子部20とを分け、3端子で動作する可変容量素子である。そのため、可変容量素子100は、ゲート電極とソース電極との2端子で容量を可変する非特許文献1で開示された可変容量素子と構造が異なる。
【0023】
なお、スイッチ部10において、消費電力の観点からゲート絶縁膜3は膜厚を薄くすることが望ましく、膜厚を薄くすることで耐電圧は低下するが、駆動電圧が下がるので低電圧駆動が可能になる。そこで、可変容量素子100では、スイッチ部10のゲート電極2と素子部20とが電気的に分離されている構造を利用して、ゲート絶縁膜3の膜厚を薄くして低電圧駆動および低耐電圧化することとは別に、誘電体21を厚膜にするとともに誘電体21を積層構造にすることで大容量化でき、耐電圧化と大容量化とを両立することが可能である。
【0024】
また、可変容量素子100では、スイッチ部10のゲート電極2(制御電極端子2a)と、素子部20の端子電極5a(第1端子電極)および端子電極22(第2端子電極)とが電気的に分離されているため、素子部20側の信号によってスイッチ部10の動作に影響を与えることがない。図3に示す回路図からも分かるように、可変容量素子100の端子電極5a(第1端子電極)および端子電極22(第2端子電極)の端子22aがコンバータ回路などに接続される一方、容量を可変するための制御電極端子2aは当該コンバータ回路とは別の回路と接続される。そのため、コンバータ回路の信号によって制御電極端子2aに印加される信号が影響される可能性が低い。
【0025】
さらに、可変容量素子100では、スイッチ部10のチャネル長Lを短くすることで、ソース電極5とドレイン電極6との間のチャネル形成膜4の電気抵抗を下げることができる。そのため、可変容量素子100では、容量を高速に可変させるために、スイッチ部10のスイッチング速度(時定数)を改善することで対応することができる。
【0026】
次に、可変容量素子100が可変できる容量の幅について説明する。図4は、実施の形態1に係る可変容量素子100の可変容量の幅を説明するためのグラフである。可変容量素子100が可変できる容量の幅は、上述したように第2キャパシタの容量に依存する。つまり、ドレイン電極6と端子電極22とが平面視で重なる部分C2が広くなるほど第2キャパシタの容量が大きくなり、可変容量素子100が可変できる容量の幅も広くできる。
【0027】
図4に示すグラフでは、ドレイン電極6と端子電極22とが平面視で重なる部分C2の面積を、ソース電極5と端子電極22とが平面視で重なる部分C1の面積の1000倍(面積比1000倍)にした可変容量素子100の実測値である。なお、図4では、横軸をゲート電極2の印加電圧(単位はV)、縦軸を可変容量素子100の容量(単位はpF)としている。
【0028】
第1キャパシタのみの容量が0.048pF、第1キャパシタおよび第2キャパシタの容量が48pFとなるように設計した可変容量素子100を実測すると、図4のようにゲート電極2の印加電圧が閾値未満の場合の容量が0.052pF、閾値以上の場合の容量が41pFとなった。可変容量素子100では、容量の変調率が41/0.052=788.5と約800倍となった。
【0029】
次に、可変容量素子100の製造方法について図を用いて説明する。図5は、実施の形態1に係る可変容量素子の製造方法を説明するための断面図である。まず、図5(a)では、準備したアルミン酸ランタン(LAO)の半導体基板1の(100)面に、膜厚80nmの白金(Pt)のゲート電極2を形成する。具体的に、ゲート電極2は、半導体基板1の(100)面にフォトリソグラフィ技術を用いて所定のパターンのフォトレジストを形成し、その後、高周波(RF)スパッタリングで白金(Pt)を成膜して、リフトオフでフォトレジストを取り去ることで形成される。
【0030】
図5(b)では、ゲート電極2を形成した半導体基板1の面に重ねて膜厚70nmのゲート絶縁膜3を形成する。具体的に、ゲート絶縁膜3は、化学溶液堆積法(CSD:Chemical Solution Deposition)を用いゲート電極2を形成した半導体基板1の面にLa-HfO溶液をスピンコートして成膜し、150℃で乾燥させた後、酸素雰囲気下、800℃で焼成して結晶化することで形成される。
【0031】
図5(c)では、ゲート絶縁膜3に重ねて膜厚25nmのチャネル形成膜4を形成する。具体的に、チャネル形成膜4は、化学溶液堆積法(CSD)を用い、ゲート絶縁膜3に重ねてIZO溶液をスピンコートして成膜し、150℃で乾燥させた後、酸素雰囲気下、500℃で焼成して結晶化することで形成される。
【0032】
図5(d)では、チャネル形成膜4の上に、膜厚80nmの白金(Pt)のソース電極5およびドレイン電極6を形成する。具体的に、ソース電極5およびドレイン電極6は、チャネル形成膜4の上にフォトリソグラフィ技術を用いて所定のパターンのフォトレジストを形成し、その後、高周波(RF)スパッタリングで白金(Pt)を成膜して、リフトオフでフォトレジストを取り去ることで形成される。
【0033】
図5(e)では、ソース電極5およびドレイン電極6の上に、膜厚500nmのAl膜で誘電体21を形成する。具体的に、誘電体21は、ソース電極5およびドレイン電極6の上にフォトリソグラフィ技術を用いて所定のパターンのフォトレジストを形成し、その後、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリングでAl膜を成膜して、リフトオフでフォトレジストを取り去ることで形成される。
【0034】
図5(f)では、誘電体21の上に、膜厚80nmの白金(Pt)の端子電極22を形成する。具体的に、端子電極22は、誘電体21の上にフォトリソグラフィ技術を用いて所定のパターンのフォトレジストを形成し、その後、高周波(RF)スパッタリングで白金(Pt)を成膜して、リフトオフでフォトレジストを取り去ることで形成される。
【0035】
これまで説明した可変容量素子100は、第1キャパシタのみの容量と、第1キャパシタおよび第2キャパシタの合成容量との2値で容量を可変する素子について説明した。しかし、半導体基板1上に、複数の可変容量素子100をマトリクス状に形成することで、多値化の可変容量素子を構成することができる。図6は、実施の形態1に係る多値化の可変容量素子100aの回路図である。なお、含まれる受動素子がキャパシタ以外の、インダクタ、レジスタなどの可変電子素子をマトリクス状に複数形成することで、同様に多値化の可変電子素子を構成することができる。
【0036】
図6では、図3に示した1つの可変容量素子100をマトリクス状にn×n個接続した可変容量素子100aの回路図が図示されている。図6に示す可変容量素子100aでは、端子電極5a(第1端子電極)および端子電極22(第2端子電極)の端子22aがn×n個の可変容量素子100に対して共通である。しかし、n×n個の可変容量素子100の各々の制御電極端子2aは、別々に設けられており、端子G11~端子Gnnと図6では図示されている。これら端子G11~端子Gnnに信号を供給することで、必要な数の可変容量素子100をON状態にして必要な容量を得ることができるので、可変容量素子100aは可変する容量を多値化することができる。
【0037】
さらに、可変容量素子100では、図1に示すようにスイッチ部10の上に素子部20を設ける構成について説明したが、素子部20をスイッチ部10の下に設けてもよい。具体的に、素子部20をスイッチ部10の下に設けた可変容量素子について説明する。図7は、実施の形態1の変形例に係る可変容量素子100b,100cの構成を説明するための断面図である。なお、図7に示す可変容量素子100b,100cにおいて、図1に示す可変容量素子100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0038】
図7(a)は、素子部20bに積層セラミックコンデンサ(MLCC:multi-layer ceramic capacitor)を用いた可変容量素子100bである。可変容量素子100bでは、素子部20bの積層セラミックコンデンサの上面にソース電極5およびドレイン電極6を形成し、その上にチャネル形成膜4、ゲート絶縁膜3、ゲート電極2の順に形成してスイッチ部10を構成している。
【0039】
素子部20bの積層セラミックコンデンサには、ソース電極5に接続される第1キャパシタの部分と、ドレイン電極6に接続される第2キャパシタの部分とを含んでいる。第1キャパシタの部分は、ソース電極5に接続される電極25bと、積層セラミックコンデンサの外部電極である端子電極22bに接続される電極24bとを、例えばチタン酸バリウムの誘電体21bを挟んで複数積層した構成である。また、第2キャパシタの部分は、ドレイン電極6に接続される電極23bと、端子電極22bに接続される電極24bとを、誘電体21bを挟んで複数積層した構成である。
【0040】
可変容量素子100bは、可変容量素子100と同様に、スイッチ部10がOFF状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧が印加されないので、平面視でゲート電極2と重なるチャネル形成膜4の位置に電子空乏層があり、ソース電極5とドレイン電極6とは導通しない。そのため、可変容量素子100bは、ソース電極5に接続される電極25bと端子電極22bに接続される電極24bとの間の誘電体21bにのみ電圧が印加されるので第1キャパシタのみの容量となる。
【0041】
一方、可変容量素子100bは、スイッチ部10がON状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧を印加することでチャネルが形成されソース電極5とドレイン電極6とが導通する。そのため、可変容量素子100bは、ソース電極5に接続される電極25bおよびドレイン電極6に接続される電極23bと、端子電極22bに接続される電極24bとの間の誘電体21bに電圧が印加されるので、第1キャパシタおよび第2キャパシタの合成容量となる。
【0042】
素子部20bの積層セラミックコンデンサの部分には、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)やHTCC(High Temperature Co-Fired Ceramics)など様々な構成を適用することが可能である。
【0043】
図7(b)は、素子部20cにシリコンキャパシタを用いた可変容量素子100cである。可変容量素子100cでは、素子部20cのシリコンキャパシタの上面にソース電極5およびドレイン電極6を形成し、その上にチャネル形成膜4、ゲート絶縁膜3、ゲート電極2の順に形成してスイッチ部10を構成している。
【0044】
素子部20cのシリコンキャパシタは、半導体プロセスにより形成され、シリコン基板1aにn型不純物イオンを注入して形成したN+層24cと、その表面に形成された誘電体21cと、誘電体21cの表面に形成され、ソース電極5と接続されるポリシリコン層25cまたはドレイン電極6と接続されるポリシリコン層23cとで構成されている。誘電体21cは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などで形成した、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、アルミナ、チタン酸バリウムなどの無機材料からなる。なお、シリコン基板1aに複数のトレンチまたは複数のピラーを形成して凸凹形状となっている。
【0045】
素子部20cのシリコンキャパシタには、ソース電極5に接続される第1キャパシタの部分と、ドレイン電極6に接続される第2キャパシタの部分とを含んでいる。第1キャパシタの部分は、ソース電極5に接続されるポリシリコン層25cと、端子電極22cに接続されるN+層24cとの間に挟まれた誘電体21cの部分で構成される。また、第2キャパシタの部分は、ドレイン電極6に接続されるポリシリコン層23cと、端子電極22cに接続されるN+層24cとの間に挟まれた誘電体21cの部分で構成される。
【0046】
可変容量素子100cは、可変容量素子100と同様に、スイッチ部10がOFF状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧が印加されないので、平面視でゲート電極2と重なるチャネル形成膜4の位置に電子空乏層があり、ソース電極5とドレイン電極6とは導通しない。そのため、可変容量素子100cは、ソース電極5に接続されるポリシリコン層25cと、端子電極22cに接続されるN+層24cとの間に挟まれた誘電体21cの部分にのみ電圧が印加されるので第1キャパシタのみの容量となる。
【0047】
一方、可変容量素子100cは、スイッチ部10がON状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧を印加することでチャネルが形成されソース電極5とドレイン電極6とが導通する。そのため、可変容量素子100cは、ソース電極5と接続されるポリシリコン層25cおよびドレイン電極6に接続されるポリシリコン層23cと、端子電極22cに接続されるN+層24cとの間に挟まれた誘電体21cの部分に電圧が印加されるので、第1キャパシタおよび第2キャパシタの合成容量となる。
【0048】
なお、素子部20cのシリコンキャパシタでは、シリコン基板1aに凸凹形状の部分を設けることで素子部20cの容量を大きくしているが、必要な容量を確保できるのであれば、誘電体21cは平行平板の形状であってもよい。
【0049】
以上のように、実施の形態1に係る可変容量素子100は、電界効果トランジスタを構成するスイッチ部10と、スイッチ部10と電気的に接続され、キャパシタ(受動素子)を構成する素子部20と、を備えている。スイッチ部10は、ソース電極5と、ドレイン電極6と、少なくともソース電極5の一部とドレイン電極6の一部とに重ねて形成されたチャネル形成膜4と、チャネル形成膜4に重ねて形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3に重ねて形成されたゲート電極2と、を有している。素子部20は、ソース電極5と電気的に接続される端子電極5a(第1端子電極)と、ソース電極5との間で第1キャパシタ(第1受動素子)を構成し、少なくともドレイン電極6との間で第2キャパシタ(第2受動素子)を構成する端子電極22(第2端子電極)と、を有している。そのため、可変容量素子100は、スイッチ部10をON/OFF動作することで、第1キャパシタで素子部20を構成する場合と、第1キャパシタおよび第2キャパシタで素子部20を構成する場合とを切り替え、キャパシタの容量を可変できる。なお、スイッチ部10は、素子部20の上部または下部に設けられることが好ましい。
【0050】
これにより、実施の形態1に係る可変容量素子100は、ソース電極5と端子電極22との間で第1キャパシタを構成し、ドレイン電極6と端子電極22との間で第2キャパシタを構成するので、キャパシタの容量を可変することができる幅を広くでき、キャパシタの容量を減少させずに十分な耐電圧を得ることが可能となる。
【0051】
なお、素子部20は、ソース電極5およびドレイン電極6に重ねて設けられる誘電体21をさらに有し、ソース電極5と端子電極22との間の誘電体21で第1受動素子となる第1キャパシタを構成し、少なくともドレイン電極6と端子電極22との間の誘電体21で第2受動素子となる第2キャパシタを構成することが好ましい。
【0052】
また、ゲート電極2は、半導体基板1上に形成され、ゲート絶縁膜3は、ゲート電極2および半導体基板1上に形成され、チャネル形成膜4は、ゲート絶縁膜3上に形成され、ソース電極5およびドレイン電極6は、チャネル形成膜4上に形成され、誘電体21は、ソース電極5およびドレイン電極6上に形成され、端子電極22は、誘電体21上に形成されることが好ましい。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る可変電子素子は、含まれる受動素子がキャパシタで、容量を可変することができる可変容量素子について説明したが、含まれる受動素子はキャパシタに限定されない。本実施の形態2に係る可変電子素子は、含まれる受動素子がインダクタで、インダクタンスを可変することができる可変インダクタンス素子について図面を参照しながら説明する。図8は、実施の形態2に係る可変インダクタンス素子200の構成を説明するための断面図である。図9は、実施の形態2に係る可変インダクタンス素子200の回路図である。なお、図8図9に示す可変インダクタンス素子200において、図1図3に示す可変容量素子100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0054】
図8に示す可変インダクタンス素子200は、電界効果トランジスタを構成するスイッチ部10と、スイッチ部10と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部20Aとを含んでいる。素子部20Aは、スイッチ部10の下部に設けられている。
【0055】
スイッチ部10は、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、チャネル形成膜4、ソース電極5、およびドレイン電極6を有している。図8に示すスイッチ部10では、素子部20Aの上面にソース電極5およびドレイン電極6を形成し、その上にチャネル形成膜4、ゲート絶縁膜3、ゲート電極2の順に形成してスイッチ部10を構成している。
【0056】
図8に示すように可変インダクタンス素子200では、素子部20Aがインダクタであり、ソース電極5に接続される第1インダクタの部分と、ドレイン電極6に接続される第2インダクタの部分とを含んでいる。第1インダクタの部分は、ソース電極5とインダクタの外部電極である端子電極22Aとに接続されるコイル電極23で構成される。第2インダクタの部分は、ドレイン電極6とインダクタの外部電極である端子電極22Aとに接続されるコイル電極24で構成される。コイル電極23およびコイル電極24は、同じ非磁性セラミックス25の中に形成されている。なお、図8に示すソース電極5の上には、端子電極5a(第1端子電極)が設けられているが、ソース電極5自体を端子電極5aとして用いてもよい。また、図8に示すゲート電極2の上には、制御電極端子2aが設けられているが、ゲート電極2自体を制御電極端子2aとして用いてもよい。さらに、図8に示す端子電極22Aの上には、端子電極22Aの端子22aが設けられているが、端子電極22A自体を端子22aとして用いてもよい。
【0057】
可変インダクタンス素子200は、可変容量素子100と同様に、スイッチ部10がOFF状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧が印加されないので、平面視でゲート電極2と重なるチャネル形成膜4の位置に電子空乏層があり、ソース電極5とドレイン電極6とは導通しない。そのため、可変インダクタンス素子200は、ソース電極5と端子電極22Aとの間のコイル電極24にのみ電流が流れるので第1インダクタのみのインダクタンスとなる。
【0058】
一方、可変インダクタンス素子200は、スイッチ部10がON状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧を印加することでチャネルが形成されソース電極5とドレイン電極6とが導通する。そのため、可変インダクタンス素子200は、ソース電極5と端子電極22Aとの間のコイル電極23と、ドレイン電極6と端子電極22Aとの間のコイル電極24とに電流が流れるので第1インダクタおよび第2インダクタの合成インダクタンスとなる。
【0059】
可変インダクタンス素子200は、図9に示す回路図からも分かるように、端子電極5a(第1端子電極)および端子電極22A(第2端子電極)の端子22aがコンバータ回路などに接続される一方、インダクタンスを可変するための制御電極端子2aは当該コンバータ回路とは別の回路と接続される。そのため、コンバータ回路の信号によって制御電極端子2aに印加される信号が影響される可能性が低い。
【0060】
以上のように、実施の形態2に係る可変インダクタンス素子200は、受動素子は、インダクタであって、素子部20Aは、ソース電極5と端子電極22Aとの間に電気的に接続され、第1受動素子となる第1インダクタと、ドレイン電極6と端子電極22Aとの間に電気的に接続され、第2受動素子となる第2インダクタとを有する。
【0061】
これにより、実施の形態2に係る可変インダクタンス素子200は、ソース電極5と端子電極22Aとの間で第1インダクタを構成し、ドレイン電極6と端子電極22Aとの間で第2インダクタを構成するので、インダクタのインダクタンスを可変することができる幅を広くでき、インダクタのインダクタンスを減少させずに十分な耐電圧を得ることが可能となる。
【0062】
なお、複数の可変インダクタンス素子200をマトリクス状に形成することで、多値化の可変インダクタンス素子を構成してもよい。また、図8に示すコイル電極23,24を抵抗素子に変更することで、受動素子をレジスタとして可変レジスタ素子としてもよい。さらに、実施の形態1および実施の形態2で説明したスイッチ部10の構成は、説明した構成に限定されず、例えば、シリコンMOSFETやGaNFETなどであってもよい。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態1および実施の形態2で説明したように、可変容量素子100,100aおよび可変インダクタンス素子200は、その構成上、受動素子の物理量を可変することができる幅を広くでき、受動素子の物理量を減少させずに十分な耐電圧を得ることができる特性を有している。この特性を利用する可変容量素子100,100aや可変インダクタンス素子200を含む回路装置について以下に説明する。
【0064】
図10は、実施の形態3に係る回路装置の回路図である。図10(b)は、図10(a)の等価回路である。図10(a)に示す回路装置300は、負荷変動に応じて出力レベルを調整する回路で、LLC共振コンバータである。LLC共振コンバータである回路装置300は、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換することができる。回路装置300は、スイッチング素子Q1,Q2と、トランスTと、共振用コンデンサCrと、漏れインダクタLr,Lr1,Lr2、励磁インダクタLm、出力整流ダイオードD1,D2と、出力コンデンサC0と、を有する。出力コンデンサC0は、負荷抵抗R0に接続されている。
【0065】
LLC共振コンバータである回路装置300の入出力電圧比(|Vout/Vin|)は、(式1)と表すことができる。
【0066】
【数1】
【0067】
なお、(式1)のそれぞれの変数は、(式2)および(式3)と表される。
【0068】
【数2】
【0069】
【数3】
【0070】
LLC共振コンバータの入出力電圧比は、(式1)から分かるように、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数fを変調させることで調整できる。そして、LLC共振コンバータでは、通常、入出力電圧比が最大値となる周波数以上で動作させ、負荷変動に応じてスイッチング周波数を変えることで、LLC共振コンバータの出力電圧(Vout)を調整している。
【0071】
LLC共振コンバータは、例えば、出力電圧(Vout)を下げる場合、入出力電圧比が最大値となる周波数より高いスイッチング周波数にする必要があった。しかし、LLC共振コンバータの電力損失は、スイッチング周波数に依存するため、スイッチング周波数を高くして、LLC共振コンバータの出力電圧(Vout)を下げると電力損失が増大する問題があった。
【0072】
そこで、回路装置300では、スイッチング周波数を高くすることなく、LLC共振コンバータの出力電圧(Vout)を下げるために、共振用コンデンサCrに実施の形態1の可変容量素子100を用いる。回路装置300は、共振用コンデンサCrを可変容量素子100とすることで、スイッチング周波数を高くすることなく、出力電圧(Vout)を下げることができる。
【0073】
図11は、実施の形態3に係る回路装置300の周波数特性を説明するためのグラフである。図11(a)には、共振用コンデンサCr(例えば、0.02μF)に対して容量を1.5倍、10倍、100倍にした場合の入出力電圧比の周波数特性が示されている。図11(b)は、図11(a)のグラフの一部の拡大図である。図11(a)および図11(b)では、横軸を動作周波数(単位はHz)とし、縦軸を入出力電圧比としている。
【0074】
図11(a)および図11(b)では、共振用コンデンサCrの容量を100倍にした場合の入出力電圧比の周波数特性がグラフA、共振用コンデンサCrの容量を10倍にした場合がグラフBである。また、図11(a)および図11(b)では、共振用コンデンサCrの容量を1.5倍にした場合の入出力電圧比の周波数特性がグラフC、共振用コンデンサCrの容量のままとした場合がグラフDである。
【0075】
図11(b)で示すように、グラフA~グラフDが同じ動作周波数(破線で示す周波数)のとき示す入出力電圧比は大きく変化する。具体的に、グラフDの入出力電圧比は、|Vout/Vin|=4.0、グラフCの入出力電圧比は、|Vout/Vin|=2.2となる。また、グラフBの入出力電圧比は、|Vout/Vin|=0.9、グラフAの入出力電圧比は、|Vout/Vin|=0.8となる。つまり、共振用コンデンサCrの容量を10倍程度可変させることで、動作周波数を変更することなく入出力電圧比を4.0から0.9までの範囲で変更することができる。
【0076】
このように、回路装置300の共振用コンデンサCrに可変容量素子100を用いることで、電力損失が増大させることなく出力電圧(Vout)を下げることができる。特に、回路装置300の共振用コンデンサCrに多値化した可変容量素子100aを用いることで、共振用コンデンサCrの容量をダイナミックに可変させることができ、入出力電圧比を多段階に変更することができる。
【0077】
(実施の形態4)
次に、LLC共振コンバータのソフトスイッチング制御について説明する。LLC共振コンバータは、図10で示したようにLC共振を用いた回路構成であり、当該回路構成により低損失なソフトスイッチングを実現することができる。特に、共振用コンデンサCrに可変容量素子100を用いることで、例えば、スイッチングアンプ(PWM(Pulse Width Modulation)アンプなど)についても、共振用コンデンサCrの容量をダイナミックに可変させることで、スイッチング時の損失を大きく低減することができる。
【0078】
図12は、実施の形態4に係る回路装置のブロック図である。図12に示す回路装置は、スイッチングアンプであり、その中のD級出力段301に共振用コンデンサCrを可変容量素子100としたLLC共振コンバータを用いる。D級出力段301では、共振用コンデンサCr(可変容量素子100)の容量値をダイナミックに可変にすることで、D級出力段301以降の容量性インピーダンスを低減し、低損失なソフトスイッチングを実現できる。
【0079】
低損失なソフトスイッチングを実現するLLC共振コンバータについて、さらに図を用いて詳しく説明する。図13は、実施の形態4に係る回路装置のスイッチングのタイミングを示すタイミングチャートである。通常のスイッチングでは、図13(a)に示すように電圧VDSと電流Iとの切り替えが同時に発生し、PWMのOFF時に対して電流Iの立下りが遅れるため、電圧VDSと電流Iとが交差する部分でスイッチングロス(P=IV)が発生する。図13(a)に示すようなスイッチングをハードスイッチングという。
【0080】
一方、LLC共振コンバータでは、LC共振周波数で電圧および電流を振動させることで、図13(b)に示すように電圧VDSがゼロの状態でPWMをON状態(ZVS:Zero Voltage Switching)にすることが可能である。また、LLC共振コンバータでは、LC共振周波数で電圧および電流を振動させることで、電流Iがゼロの状態でPWMをON状態(ZCS:Zero Current Switching)が可能となる。そのため、LLC共振コンバータでは、スイッチング損失を低減することがでる。図13(b)に示すようなスイッチングをソフトスイッチングという。
【0081】
図10に示すようなLLC共振コンバータ(回路装置300)は、共振用コンデンサCrと漏れインダクタLrとの共振周波数frと、共振用コンデンサCrと漏れインダクタLrと励磁インダクタLmとの共振周波数fmとの2つの共振周波数を持っている。LLC共振コンバータである回路装置300において、ソフトスイッチングの状態が成立する条件は、共振周波数fr,fmとスイッチング周波数fとの関係で決まる。例えば、スイッチング周波数fが共振周波数fmよりも小さい場合(f<fm)、回路装置300は、ハードスイッチングの条件を満たす。ただし、ゲイン反転が生じるため通常使用されない条件である。
【0082】
また、スイッチング周波数fが共振周波数fmよりも大きく共振周波数frよりも小さい場合(fm<f<fr)、回路装置300は、ソフトスイッチングの条件を満たす。さらに、スイッチング周波数fが共振周波数frと等しい場合(f=fr)、回路装置300は、ハードスイッチングの条件を満たす。また、スイッチング周波数fが共振周波数frよりも大きい場合(fr<f)、回路装置300は、ソフトスイッチングの条件を満たす。
【0083】
LLC共振コンバータである回路装置300において、ソフトスイッチングの状態が成立する条件は、負荷条件によっても異なり、(式4)および(式5)に示す条件式により決定される。
【0084】
【数4】
【0085】
【数5】
【0086】
(式4)の条件式を満たす場合、出力整流ダイオードD2が導通しないので、回路装置300において、ソフトスイッチングの状態が成立する。一方、(式5)の条件式を満たす場合、出力整流ダイオードD2が導通するので、回路装置300において、ソフトスイッチングの状態が成立しない。
【0087】
例えば、Voutが一定の場合、Vinや共振用コンデンサCrの電圧Vcrの変動によってソフトスイッチングが成立する条件が変わるため、回路装置300では、スイッチング損失が増大する条件が発生する。ここで、電圧Vcrは負荷条件および共振用コンデンサCrの容量で変動する。そのため、回路装置300では、共振用コンデンサCrに可変容量素子100を用いて容量を可変することで、ソフトスイッチングが成立する条件に制御することが可能となる。
【0088】
回路装置300では、共振用コンデンサCrに可変容量素子100を用いている。可変容量素子100は、実施の形態1で説明したように、従来の可変容量素子に比べて、容量を可変できる幅が広いので入力電圧Vinや負荷条件の大きな変動に対応することが可能である。
【0089】
このように、回路装置300の共振用コンデンサCrに可変容量素子100を用いることで共振用コンデンサCrの容量を大きく可変することができ、ソフトスイッチングが成立する条件を広く確保することができる。特に、回路装置300の共振用コンデンサCrに多値化した可変容量素子100aを用いることで、共振用コンデンサCrの容量をダイナミックに可変させることができ、ソフトスイッチングが成立する条件の調整を多段階で行うことができる。
【0090】
なお、回路装置300の共振用コンデンサCrに可変容量素子100を用いる以外に、漏れインダクタLr、励磁インダクタLmに実施の形態2で説明した可変インダクタンス素子を用いても同様の効果が得られる。また、共振用コンデンサCr等を可変させることでソフトスイッチングが成立する条件を調整することができる回路装置は、LLC共振コンバータである回路装置300に限定されず、電流共振回路、電圧共振回路、複共振回路、直列共振回路、並列共振回路など様々な共振方式の回路装置にも適用することができる。
【0091】
(実施の形態5)
次に、マルチバンドの無線通信端末に、実施の形態1で説明した可変容量素子、実施の形態2で説明した可変インダクタンス素子を適用した回路構成について説明する。IoT(Internet of Things)の普及に伴い、無線通信システムでは、利用する場所、時間、利用可能な周波数、必要な信号伝送スピード等の各条件に応じて最適な通信特性を提供することが望まれている。例えば、大容量かつ高密集のデータを通信するために、無線通信システムでは、数10MHz~5GHz程度の非常に広い周波数帯域を1台の無線通信端末で利用することが要求されている。
【0092】
そのため、無線通信端末では、マルチバンド化が必要で各周波数に対応したRF回路を複数設け、適宜、使用するRF回路を切り替える必要がある。しかし、複数のRF回路を設けると、無線通信端末は、回路規模、部品点数が増大し、端末の小型化および低コスト化が困難になる。
【0093】
そこで、無線通信端末では、複数の周波数に対して回路ブロックを共有化して回路規模、部品点数を削減する必要がある。ただし、複数の周波数に対して回路ブロックを共有化すると、回路ブロック間での信号反射を抑制する必要があり各周波数に応じてインピーダンス整合を取る必要がある。また、無線通信端末の受信アンテナを共有化するには、アンテナの共振周波数を大幅に変調する必要がある。無線通信端末では、インピーダンス整合や共振周波数の変調を行うためにキャパシタの容量値を可変すれば、回路規模、部品点数を削減しつつ、複数の周波数帯域をカバーすることが可能となる。
【0094】
実施の形態1で説明した可変容量素子100は、従来の可変容量素子に比べて可変することができる容量の幅が広くできる。そのため、可変容量素子100を用いた無線通信端末では、広い周波数帯域をカバーすることができる。また、可変容量素子100は、制御電極端子2aに印加する電圧により容量値が切り替わるので、従来の可変容量素子のように電圧に対して容量値が非線形に(緩やかに)変化することがない。そのため、可変容量素子100を用いた無線通信端末では、ひずみ信号が発生せず、他の周波数に対して妨害信号を発生させることがない。
【0095】
図14は、実施の形態5に係る回路装置400のブロック図である。回路装置400は、無線通信端末に設けられる通信回路ブロックで、複数の周波数に対して共有に用いることができる。そのため、回路装置400では、インピーダンス整合や共振周波数の変調を行うために容量値を可変することが必要なキャパシタに可変容量素子100を適用している。
【0096】
回路装置400では、可変容量素子100が10倍~1000倍の範囲で容量を可変することができるため、インピーダンス整合や共振周波数の変調をより広い範囲で行うことができ、より広い受信周波数帯域をカバーできる。また、回路装置400では、可変容量素子100がデジタル的に容量を可変するので、ひずみ信号を抑制できる。そのため、回路装置400を用いることで、回路規模、部品点数を削減しつつ、複数の周波数帯域をカバーすることが可能なマルチバンドの無線通信端末を実現することができる。なお、回路装置400のキャパシタに多値化した可変容量素子100aを用いてもよい。
【0097】
(実施の形態6)
次に、直流遮断器に実施の形態1で説明した可変容量素子を用いて低損失化する構成について説明する。直流遮断器の構成は、各種電源回路の開閉器、接続装置、アーク抑制装置にも同様に適用することができる。また、直流遮断器は、例えば、太陽光発電等のエナジーハーベスティング装置、燃料電池、リチウムイオン電池、などの直流電源装置に用いることができる。
【0098】
直流遮断器では、金属接点に代えて、MOSFETに比べて高耐電圧、高温動作、高速動作が可能なSiC(シリコンカーバイト)やGaN(ガリウムナイトライド)を用いたパワー半導体スイッチが使用されることが期待されている。しかし、金属接点に代えてパワー半導体スイッチを直流遮断器に用いた場合、数100V~数10A程度のスイッチングが可能になるが、半導体の通電時の発熱による通電損失が非常に大きくなり、冷却装置を設けることが必要になるなどの課題がある。
【0099】
一方、直流遮断器に金属接点を使用した場合、通電損失を小さくできるが、遮断時にアーク放電が発生するためOFF時の損失が非常に大きくなる。そこで、ON時に通電損の小さい金属接点で通電し、OFF時のみMOSFETの半導体スイッチに電流を転流させてアーク放電を抑えるハイブリッドスイッチ回路を使用した直流遮断器が提案されている。なお、ハイブリッドスイッチ回路については、例えば、”嶋田隆一、「半導体デバイスによるスマートスイッチ(ハイブリッド開閉・接続装置)」、パワーエレクトロニクス学会誌、2017年3月、第42巻、p. 53―57”の文献に記載されている。
【0100】
図15は、実施の形態6に係る回路装置500の回路図である。回路装置500は、直流遮断器に用いるハイブリッドスイッチ回路であり、金属接点S1とMOSFETの半導体スイッチS2とを有している。回路装置500では、金属接点S1がアーク放電することなく開閉することができるので、接点消耗がなく長寿命で、高速な電流の遮断が可能となり、アーク放電によるノイズを発生させない利点がある。
【0101】
回路装置500では、金属接点S1がON時、金属接点S1に電流が流れ、金属接点S1がOFF時、MOSFETの閾値電圧Vthで半導体スイッチS2がON状態となり半導体スイッチS2に電流が流れる。金属接点S1がOFF状態になった後、金属接点S1の再起電圧Vは、(式6)で与えられる。なお、Vthは、MOSFETの閾値電圧、tは時間である。
【0102】
【数6】
【0103】
金属接点S1の再起電圧Vは、時間tに対して直線的に増加するが、この時に消費されるエネルギーが回路損失となる。図16は、実施の形態6に係る回路装置500のスイッチング特性を説明するためのグラフである。図16では、横軸を時間tとし、縦軸を再起電圧Vとしている。図16のグラフR1が示すように、金属接点S1のOFF状態になった後、金属接点S1の再起電圧Vは、時間tに対して直線的に増加している。
【0104】
そのため、金属接点S1の再起電圧Vは、回路損失を減らすため、金属接点S1のOFF状態になった後、できるだけ急峻に上昇することが望ましい。図16のグラフR2が示すように、金属接点S1の再起電圧Vが急峻に上昇することで回路損失を減らすことができる。(式6)から分かるように、キャパシタCの容量が小さいほど再起電圧Vが急峻に立ち上がり、回路損失を低減することができる。一方、金属接点S1がON時(および金属接点S1のOFF状態になった直後)は、アーク放電を発生させる電荷を吸収するため、キャパシタCの容量を比較的大きな容量(例えば、数10nF)にしておく必要がある。
【0105】
そこで、回路装置500では、図15に示すようにキャパシタCに実施の形態1で説明した可変容量素子を用いて、金属接点S1のON時とOFF時とでキャパシタCの容量を大きく可変することができるようにしてある。そのため、回路装置500では、アーク放電を抑えつつ、回路損失が非常に低損失な直流遮断器を実現している。実施の形態1で説明した可変容量素子では、従来の可変容量素子では実現が困難であった幅広い範囲で容量を可変しつつ、高い耐電圧を得ることが可能である。なお、回路装置500のキャパシタCに多値化した可変容量素子100aを用いてもよい。
【0106】
(実施の形態7)
実施の形態1では、スイッチ部10が、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、チャネル形成膜4、ソース電極5、およびドレイン電極6を有していると説明した。このうち、ドレイン電極6は、浮遊電極であり、当該ドレイン電極6を設けないスイッチ部を構成することが可能である。本実施の形態7に係る可変電子素子では、浮遊電極であるドレイン電極を設けない構成について図面を参照しながら説明する。図17は、実施の形態7に係る可変容量素子100dの構成を説明するための断面図である。図18は、実施の形態7に係る可変容量素子100dの構成を説明するための平面図である。なお、図17および図18に示す可変容量素子100dにおいて、図1および図2に示す可変容量素子100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0107】
図17に示す可変容量素子100dは、半導体基板1上に形成した電界効果トランジスタを構成するスイッチ部10dと、スイッチ部10dと電気的に接続され、受動素子を構成する素子部20とを含んでいる。素子部20は、スイッチ部10dの上部に設けられている。
【0108】
スイッチ部10dは、ゲート電極2d、ゲート絶縁膜3、チャネル形成膜4、およびソース電極5を有している。図17に示すスイッチ部10dでは、半導体基板1上にゲート電極2dを形成し、ゲート電極2dに重ねてゲート絶縁膜3およびチャネル形成膜4を順に形成し、それらの上にソース電極5を形成している。
【0109】
スイッチ部10dでは、ドレイン電極が設けられていない代わりに、図18に示すようにゲート電極2dを広げて、端子電極22の大部分がゲート電極2dと平面視で重なっている。そのため、可変容量素子100dは、スイッチ部10dがON状態となるとゲート電極2dにゲート電圧が印加され、ゲート電極2dと平面視で重なるチャネル形成膜4の部分にチャネル電荷が生じる。可変容量素子100dは、ソース電極5およびチャネル形成膜4の部分と、当該部分と対向する端子電極22との間に電圧が印加されて容量が形成される。
【0110】
一方、スイッチ部10dがOFF状態の場合、可変容量素子100dは、ゲート電極2dにゲート電圧が印加されないので、チャネル形成膜4にチャネル電荷が生じない。そのため、可変容量素子100dは、ソース電極5と当該ソース電極5と対向する端子電極22との間にのみ電圧が印加されるので第1キャパシタのみの容量となる。
【0111】
なお、素子部20は、ソース電極5と端子電極22との間で第1キャパシタ(第1受動素子)を構成し、ゲート電極2dと端子電極22との間で第2キャパシタ(第2受動素子)を構成する。具体的に、第1キャパシタは、図18に示すようにソース電極5と端子電極22とが平面視で重なる部分C1である。第2キャパシタは、ゲート電極2dと端子電極22とが平面視で重なる部分C3である。
【0112】
可変容量素子100dであっても、スイッチ部10dをON/OFF動作することで、第1キャパシタ素子を素子部20する場合と、第1キャパシタ素子および第2キャパシタ素子を素子部20する場合とを切り替え、キャパシタの容量を可変することができる。可変容量素子100dであっても、ゲート電極2d(制御電極端子2a)への印加電圧によりON/OFF動作するスイッチ部10dと、端子電極5a(第1端子電極)と、端子電極22(第2端子電極)とで動作する素子部20とを分け、3端子で動作する可変容量素子である。
【0113】
しかし、可変容量素子100dでは、ドレイン電極を設けずに、チャネル形成膜4に生じるチャネル電荷により第2キャパシタ素子の容量を変化させることができるので、ゲート電極2dへの印加電圧により第2キャパシタ素子の容量を連続的に可変させることができる。また、可変容量素子100dでは、浮遊電極であるドレイン電極を設けない構成にすることで、スイッチ部10dのON/OFF動作時に当該浮遊電極への残留電荷が低減されるので、キャパシタの電位を安定化することやショートによる故障リスクを低減することができる。さらに、可変容量素子100dでは、浮遊電極であるドレイン電極を設けない構成にすることで、印加するゲート電圧のレベルに応じてチャネル形成膜4の広い領域で段階的に導電性を可変できるので、キャパシタの容量をより連続的に変化させることができる。
【0114】
以上のように、実施の形態7に係る可変容量素子100dは、ドレイン電極に代えて、ゲート電極2dとチャネル形成膜4とが平面視で重なる部分C3を用いる。当該部分C3と端子電極22との間で第2キャパシタ素子を構成する。これにより、可変容量素子100dは、第2キャパシタ素子の容量を連続的に可変させることができる。
【0115】
可変容量素子100dでは、図17に示すようにスイッチ部10dの上に素子部20を設ける構成について説明したが、素子部20をスイッチ部10dの下に設けてもよい。また、可変容量素子100dをマトリクス状に複数形成することで、同様に多値化の可変電子素子を構成してもよい。さらに、可変容量素子100dの構成をキャパシタ以外の、インダクタ、レジスタなどの可変電子素子に適用してもよい。
【0116】
(実施の形態8)
実施の形態1で説明した可変容量素子100では、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域の上部にも端子電極22が形成されている。そのため、可変容量素子100は、端子電極22の端子22aに印加される電圧によって、スイッチ部10のON/OFF状態に影響を与える場合があった。つまり、可変容量素子100は、端子電極5a(第1端子電極)と端子電極22(第2端子電極)の端子22aとの間の信号によって容量値が変動する虞があった。
【0117】
そこで、本実施の形態8に係る可変電子素子では、第1端子電極と第2端子電極との間の信号によって容量値が変動し難い構成について図面を参照しながら説明する。図19は、実施の形態8に係る可変容量素子100eの構成を説明するための断面図である。図20は、実施の形態8に係る可変容量素子100eの構成を説明するための平面図である。なお、図19および図20に示す可変容量素子100eにおいて、図1および図2に示す可変容量素子100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0118】
図19に示す可変容量素子100eは、半導体基板1上に形成した電界効果トランジスタを構成するスイッチ部10と、スイッチ部10と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部20eとを含んでいる。素子部20eは、スイッチ部10の上部に設けられている。
【0119】
素子部20eは、誘電体21のAl膜と、誘電体21に重ねて形成される白金(Pt)の端子電極22e(第2端子電極)とを含む。端子電極22eは、図20に示すようにソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域を避けたパターンで形成される。そのため、図19に示す断面図では、ソース電極5の上部に形成されている端子電極22e1と、ドレイン電極6の上部に形成されている端子電極22e2とに分離されて図示されている。
【0120】
素子部20eは、ソース電極5と端子電極22e1との間で第1キャパシタ(第1受動素子)を構成し、ドレイン電極6と端子電極22e2との間で第2キャパシタ(第2受動素子)を構成する。第1キャパシタは、図20に示すようにソース電極5と端子電極22e1とが平面視で重なる部分C1である。第2キャパシタは、ドレイン電極6と端子電極22e2とが平面視で重なる部分C4である。
【0121】
可変容量素子100eは、スイッチ部10がOFF状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧が印加されないので、平面視でゲート電極2と重なるチャネル形成膜4の位置に電子空乏層があり、ソース電極5とドレイン電極6とは導通しない。そのため、可変容量素子100eは、ソース電極5と当該ソース電極5と対向する端子電極22e1の部分(第1領域)との間にのみ電圧が印加されるので第1キャパシタのみの容量となる。
【0122】
しかし、可変容量素子100eは、スイッチ部10がON状態の場合、ゲート電極2に閾値以上のゲート電圧を印加することでチャネルが形成されソース電極5とドレイン電極6とが導通する。そのため、可変容量素子100eは、ソース電極5およびドレイン電極6と、対向する端子電極22e(第1領域+第2領域)との間に電圧が印加されるので、第1キャパシタおよび第2キャパシタの合成容量となる。ここで、端子電極22eのうち、ソース電極5と平面視で重なる部分を第1領域(端子電極22e1)と、ドレイン電極と平面視で重なる部分を第2領域(端子電極22e2)とする。
【0123】
可変容量素子100eは、端子電極22eが、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域と平面視で重ならないため、図1に示す可変容量素子100に比べてスイッチ部10がON状態の場合の容量は小さくなる。しかし、可変容量素子100eは、上述したように、端子電極5a(第1端子電極)と端子電極22(第2端子電極)の端子22aとの間の信号によって容量値が変動し難くなる。もちろん、可変容量素子100eは、図20に示したように端子電極22eが、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域の全ての部分を迂回するパターンで形成されなくても、チャネル領域の一部と重なるパターンでも第1端子電極と第2端子電極との間の信号による容量値の変動を抑制することができる。
【0124】
以上のように、可変容量素子100eは、端子電極22eが、ソース電極5と平面視で重なる第1領域と、ドレイン電極6と平面視で重なる第2領域とを有し、第1領域と第2領域とは、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を迂回して電気的に接続されている。ここで、端子電極22eが、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を迂回するとは、チャネル領域の少なくとも1部と平面視で重ならない部分を有することである。
【0125】
可変容量素子100eでは、図19に示すようにスイッチ部10の上に素子部20eを設ける構成について説明したが、素子部20eをスイッチ部10の下に設けてもよい。また、可変容量素子100eをマトリクス状に複数形成することで、同様に多値化の可変電子素子を構成してもよい。さらに、可変容量素子100eの構成をキャパシタ以外の、インダクタ、レジスタなどの可変電子素子に適用してもよい。
【0126】
実施の形態8に係る可変容量素子100では、端子電極22eがソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域を避けたパターンで形成されると説明した。しかし、端子電極のパターンにあわせて誘電体もチャネル領域を避けたパターンで形成してもよい。具体的に、図21は、実施の形態8の変形例に係る可変容量素子100fの構成を説明するための断面図である。なお、図21に示す可変容量素子100fにおいて、図19および図20に示す可変容量素子100eと同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0127】
図21に示す可変容量素子100fは、半導体基板1上に形成した電界効果トランジスタを構成するスイッチ部10と、スイッチ部10と電気的に接続され、受動素子を構成する素子部20fとを含んでいる。素子部20fは、スイッチ部10の上部に設けられている。
【0128】
素子部20fは、誘電体21fのAl膜と、誘電体21fに重ねて形成される白金(Pt)の端子電極22e(第2端子電極)とを含む。端子電極22eは、図20に示すようにソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域を避けたパターンで形成される。なお、誘電体21fは、端子電極22eのパターンにあわせてソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域を避けたパターンで形成される。そのため、図21に示す断面図では、ソース電極5の上部に形成されている誘電体21f1および端子電極22e1と、ドレイン電極6の上部に形成されている誘電体21f2および端子電極22e2とに分離されて図示されている。なお、端子電極22eが、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を迂回する場合、誘電体21fは、端子電極22eのパターンにあわせて、ソース電極5とドレイン電極6との間に形成されるチャネル領域の少なくとも1部を避けて形成される。
【0129】
(変形例)
前述の実施の形態で説明した可変容量素子100,100a~100d、および可変インダクタンス素子200において、可変させる速度、つまりスイッチングスピードを改善するには、スイッチ部10のQ値(Q=1/ωCR)を向上する必要がある。ここで、ωは、各周波数である。すなわち、寄生抵抗RとキャパシタC(寄生容量)を低減することでスイッチングスピードを改善することができる。
【0130】
寄生抵抗Rは、チャネル形成膜4の直列抵抗に相当し、R=ρ(L/(Wt))で与えられる。ここで、ρはチャネル形成膜4の材料固有の抵抗率、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、tはチャネル形成膜4の膜厚である。
【0131】
寄生抵抗Rは、上述したように、チャネル長L/チャネル幅Wの値に依存している。そのため、Q値は、チャネル長Lに対してチャネル幅Wを大きくすることで改善することができる。スイッチ部10が、図2に示すようにチャネル形成膜4上にソース電極5とドレイン電極6とを設けているため、チャネル長Lおよびチャネル幅Wは、デバイス設計により容易に変更することができる。
【0132】
一方、キャパシタC(寄生容量)は、スイッチ部10のゲート絶縁膜3の容量に相当し、当該ゲート絶縁膜3の比誘電率に比例し、膜厚に反比例する。そのため、スイッチ部10は、素子部20と分離した構造であるため、キャパシタC(寄生容量)を個別に調整することが可能である。
【0133】
例えば、実施の形態1で説明した可変容量素子100では、チャネル長Lが10μm、チャネル幅Wが100μm、寄生抵抗Rが1kΩ、キャパシタC(寄生容量)が10pFとすると、1MHzでQ値が0.02となる。ここで、チャネル長Lを微細化して1μmとし、チャネル幅Wを1000μmとし、ゲート絶縁膜3の膜厚を10倍(7000μm)、ゲート絶縁膜3の比誘電率を5分の1(40~50程度)にすると、Q値が100となる。そのため、スイッチ部10は、5000倍のスイッチングスピードに改善することができる。
【0134】
前述の実施の形態では、チャネル形成膜4にIZO膜を用いると説明したが、これは一例でありITO膜など他の膜を用いてもよい。また、前述の実施の形態では、ゲート絶縁膜3にLa-HfO膜を用いると説明したが、これは一例でありCe-HfO膜など他の膜を用いてもよい。
【0135】
前述の実施の形態で説明した可変電子素子では、例えば、可変容量素子100においてチャネル形成膜4を、図1に示すようにソース電極5およびドレイン電極6の下側に形成してある(トップコンタクト構造)。トップコンタクト構造は、ゲート電極2側から見てチャネル形成膜4の上側でソース電極5およびドレイン電極6とコンタクトする構造である。しかし、これに限定されず、可変電子素子は、例えば、可変容量素子100においてチャネル形成膜4を、ソース電極5およびドレイン電極6の上側に形成してもよい(ボトムコンタクト構造)。ボトムコンタクト構造は、ゲート電極2側から見てチャネル形成膜4の下側でソース電極5およびドレイン電極6とコンタクトする構造である。
【0136】
前述の実施の形態で説明した可変電子素子では、例えば、可変容量素子100において、図1に示すように半導体基板1上にゲート電極2を形成し、ゲート電極2に重ねてゲート絶縁膜3およびチャネル形成膜4を順に形成し、それらの上にソース電極5およびドレイン電極6をそれぞれ形成しているボトムゲート構造を採用している。しかし、これに限定されず、可変電子素子は、トップゲート構造を採用してもよい。図22は、変形例に係る可変容量素子100gの構成を説明するための断面図である。可変容量素子100gでは、図22に示すように素子部20は、スイッチ部10の下部に設けられている。スイッチ部10は、誘電体21上にソース電極5およびドレイン電極6をそれぞれ形成し、ソース電極5およびドレイン電極6に重ねてチャネル形成膜4およびゲート絶縁膜3を順に形成し、ゲート絶縁膜3の上にゲート電極2を形成しているトップゲート構造を採用している。なお、図22に示す可変容量素子100gにおいて、図1に示す可変容量素子100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0137】
トップゲート構造の可変容量素子100gでは、図22に示すようにゲート電極2側から見てチャネル形成膜4の上側でソース電極5およびドレイン電極6とコンタクトするトップコンタクト構造を採用している。しかし、これに限定されず、トップゲート構造の可変容量素子100gであっても、ゲート電極2側から見てチャネル形成膜4の下側でソース電極5およびドレイン電極6とコンタクトするボトムコンタクト構造を採用してもよい。
【0138】
ゲート絶縁膜3および誘電体21に採用することが可能な材料を、以下にまとめて列記する。もちろん、当該材料は、以下の記載に限定されない。
【0139】
・SiO,Al,HfO,ZrO,La,Taなどのアモルファスまたは多結晶金属酸化物
・SiN,Si,SiON等の窒化膜
・強誘電体HfO,およびHfOにSi,Ce,Y,Zr,Bi,Ni,Ta,La等の3価または4価または5価金属原子を少なくとも1種類以上ドーピングした強誘電体膜、PbTiOを母結晶とした強誘電体材料、BaTiOを母結晶とした強誘電体材料、Bi層状構造を有する強誘電体材料、その他ペロブスカイト型結晶を有する金属酸化物、パイロクロア型結晶を有する金属酸化物、有機強誘電体材料、その他樹脂材料(ポリイミド、アクリル、エポキシ、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリ乳酸など
チャネル形成膜4に採用することが可能な材料を、以下にまとめて列記する。もちろん、当該材料は、以下の記載に限定されない。
【0140】
・In-O,In-Sn-O,In-Zn-O,In-Sn-Zn-O,In-Ga-Zn-O,In-Ga-O,Ga-O,Zn-O,Al-Zn-O,Sn-O,Ti-O系のn型酸化物半導体
・Cu-O,Sn-O,Zn-O系のp型酸化物半導体
・Cu-Sn-I系アモルファスp型酸化物半導体
・n型Si、p型Si、SiC等のSi半導体
・GaNなどの窒化物半導体
・グラフェン、遷移金属カルコゲナイド系の2次元導電材料
・LaNiO,BaSnO,SrTiO等のペロブスカイト型導電材料
前述の実施の形態で説明した可変容量素子100~100gにおいて、ゲート絶縁膜3にLa-HfO膜などの強誘電体膜を用いた場合、強誘電体ゲートトランジスタの構成を含むことになる。そのため、可変容量素子100~100gは、強誘電体ゲートトランジスタの構成に由来するメモリ特性を有することになる。具体的に、図1に示す可変容量素子100において、ゲート電極2にON電圧(例えば+10V)を印加して端子電極22とドレイン電極6との間でキャパシタが構成された場合に生じる容量値Conを、0(ゼロ)Vまたは小さな一定値(例えば、-1.0V)の保持電圧をゲート電極2に印加するだけで保持することができる。同様に、可変容量素子100において、ゲート電極2にOFF電圧(例えば-10V)を印加して端子電極22とドレイン電極6との間でキャパシタを構成しない場合に生じる容量値Coffを、0(ゼロ)Vまたは小さな一定値(例えば、-1.0V)の保持電圧をゲート電極2に印加するだけで保持することができる。
【0141】
図23は、可変容量素子の容量と保持電圧との関係を説明するための図である。図23において、横軸はゲート電圧、縦軸は容量である。ゲート絶縁膜3にLa-HfO膜などの強誘電体膜を用いて強誘電体ゲートトランジスタを構成した場合、図23に示すように、ゲート電極2に印加するゲート電圧Vgに対して端子電極22とドレイン電極6との間で生じる容量値Cの変化がヒステリシス曲線となる。図23では、ゲート電極2に-1.0Vの保持電圧を印加することで容量値Conおよび容量値Coffが維持できることが分かる。
【0142】
図24は、可変容量素子の容量と保持時間との関係を説明するための図である。図24において、横軸は時間、縦軸は容量である。図24に示すように、ゲート電極2に-1.0Vの保持電圧を印加した状態で、1.0×10sec程度(27時間)の間、容量値Conおよび容量値Coffを変化させずに維持できる。そのため、可変容量素子100~100gにおいて、強誘電体ゲートトランジスタの構成を採用した場合、容量を保持するために高いゲート電圧を印加させる必要がないので省電力化できるとともに、素子の劣化を抑制することができる。
【0143】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
1 半導体基板、1a シリコン基板、2 ゲート電極、2a 制御電極端子、3 ゲート絶縁膜、4 チャネル形成膜、5 ソース電極、5a,22 端子電極、6 ドレイン電極、10 スイッチ部、20 素子部、21 誘電体、22a 端子、23,24 コイル電極、25 非磁性セラミックス、100,100a~g 可変容量素子、200 可変インダクタンス素子、300,400,500 回路装置。
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