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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】抗原特異的Tリンパ球の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20241010BHJP
【FI】
C12N5/0783
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022510078
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 PL2020000073
(87)【国際公開番号】W WO2021034208
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P.430932
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】522059461
【氏名又は名称】グダニスキ ウニバルステット メディッチニー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】トゥロンコフスキー、ピオット
(72)【発明者】
【氏名】イバスキビッツ-グゼーッシュ、ドロタ
(72)【発明者】
【氏名】グリビーンスキ、マテウス
【審査官】松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-544760(JP,A)
【文献】特表2018-537964(JP,A)
【文献】国際公開第2019/104875(WO,A1)
【文献】Frontiers in Immunology,2017年,vol.8,article no.1870
【文献】Cytotherapy,2020年,vol.22,p.629-641
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/0783
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体で標識され、選別された抗原特異的Tリンパ球の製造方法であって、
前記リンパ球は、
a)前記抗原を搭載した自己由来の単球の使用によって生成され、
b)生成されたT調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球をPBSに懸濁し、蛍光色素で細胞内を染色し、
c)続いて、前記リンパ球を暗所で培養し、
d)続いて、前記リンパ球細胞を培養液で数回集中的に洗浄し、
e)細胞内蛍光色素で染色したT調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球を、前記抗原を搭載したガンマ線照射した自己由来のCD14+単球と一緒に前記培養液に懸濁し、
f)T調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球とCD14+単球の共培養に、抗CD154抗体および抗CD28抗体を添加し、
g)前記添加された共培養物を培養液中で培養し、および
h)培養後の抗原特異的Tリンパ球は、細胞内色素の低強度に基づいて選別され、蛍光の前記低強度は抗原特異性のマーカーであり、蛍光の消失は増殖の強度と相関する、製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記T調節性またはTエフェクターリンパ球が以下の濃度:1x10細胞/ml PBSで懸濁される工程を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記リンパ球を以下の蛍光色素:最終濃度1~5μMのCFSEまたはバイオレットブルーのいずれかで染色する工程を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記工程c)において、前記リンパ球を室温37℃で20分インキュベートする工程を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記自己由来の単球を、最終的な単球:リンパ球の比率が1:1になるように共培養に加える工程を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記工程e)において、前記単球にガンマ線照射する工程を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記単球とリンパ球の共培養物を、最終濃度5μg/mlの抗CD154抗体および最終濃度5μg/mlの抗CD28抗体とともにインキュベートする工程を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記工程g)において、前記共培養物を37℃で5%COでインキュベートする工程を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記抗原に対する特異性は、抗原特異的Tリンパ球が非特異的Tリンパ球よりも活性が高い機能試験で評価され、T調節リンパ球の場合の活性は、機能Tエフェクターリンパ球の抑制として定義され、Tエフェクターリンパ球の場合の活性は、増殖の強度の増加、サイトカインおよび細胞障害性因子の産生強度の増加として定義される工程を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記抗原特異的Tリンパ球は、前記細胞内色素の低い蛍光に基づいて選別されたTリンパ球である工程を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、前記非特異的Tリンパ球は、保存された前記細胞内色素の高い蛍光に基づいて選別されたTリンパ球である工程を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫療法における臨床使用のための抗原特異的Tリンパ球(CellTrAg)の製造プロセスに関するものである。このようにして製造されたCellTrAgは、例えば多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病などの自己免疫疾患の治療や、移植片拒絶反応、アレルギー反応、移植片対宿主病GVHDなどの有害な免疫反応の抑制に適する。
【背景技術】
【0002】
Tregリンパ球は、末梢血リンパ球全体の約1%を占めるが、自分の組織の寛容性を維持するために重要な役割を果たす(Trzonkowski P 2009)(Vignali DA 2008)(Yi S 2012)。制御性T細胞が不足すると、X連鎖性免疫不全症候群・多内分泌・腸管症(IPEX)の患者に見られるように、多くの自己免疫疾患や過敏症を引き起こす(Gambineri E 2003)。Tregリンパ球は、ステロイドのように炎症反応を抑制し、免疫抑制的に作用することから、「インテリジェント・ステロイド」と呼び得るが、一方で、Treg細胞の生理的抑制作用は、病理組織的な反応(例えば、自分の組織に向けられた反応)にのみ関係する。私たちの観察結果を含む臨床試験の結果から、Tregリンパ球を用いた治療は安全であり、異物や危険な抗原(ウイルス、細菌、がん細胞)に対する免疫反応を損なうことはないことが知られている(Marek-Trzonkowska N 2012)(Marek-Trzonkowska N 2014)(Martelli MF 2014)(Bluestone JA 2015)。
【0003】
私たちの研究チームは、10年以上にわたってTregリンパ球の生物学と臨床利用に関する研究を行ってきた。私たちは、成人の移植片対宿主病(GvHD)の治療にインビトロで増幅されたTreg細胞を使用した最初の研究者であり(NKEBN/458-310/2008)(Trzonkowski P 2009)、その後、小児の1型糖尿病(T1D)に使用した(TregVAC ISRCTN06128462;TregVAC2.0EudraCT:2014-004319-35)(Marek-Trzonkowska N 2012)(Marek-Trzonkowska N 2014)、多発性硬化症(TregSM EudraCT:2014-004320-22)(Trzonkowski P 2015)などの研究が行われる。現在、Treg細胞を用いた臨床試験は、以下のようにも行われる。
【0004】
世界の他の施設では、GVHDの治療/予防(Di Ianni M 2011)、成人のT1D治療(NCT01210664)の他、腎移植(i.a.NCT02091232 and NCT02129881)や肝臓(ThRIL NCT02166177 and NCT01624077)における寛容性の誘導などに関連する。近年、Tregリンパ球を治療ツールとして用いる細胞療法のダイナミックな開発が始まっている。現在、これらの細胞を用いた臨床試験が世界で約40件行われる。これらのプロジェクトはすべて、生理的な免疫反応を損なわずに不要な免疫反応を抑制するという、インテリジェントな免疫抑制という1つの目標に導かれる(Trzonkowski P 2015,Gliwi?ski M 2017)。
【0005】
上記の研究では、Tregリンパ球は患者の末梢血または臍帯血ユニットから採取された。Tregリンパ球の分離には、ソーターを使用するのが最良の方法で、これにより非常に純度の高い(97~100%)集団が得られる。典型的には、CD3+CD4+CD25high表現型またはCD3+CD4+CD25highCD127-またはCD3+CD4+CD25highCD127lowを有するリンパ球が単離される(出願P.399447)(Trzonkowski P 2009)(Marek-Trzonkowska N 2012)(Marek-Trzonkowska N 2014)(Trzonkowska P 2015)。分離した細胞は、患者に投与するのに十分な量を得るために、10~14日間、高度の増殖のために活性化される。効果的な拡大は、特定の実験的手法によって決定される、特にFoxP3因子の高い発現を含む完全な表現型を維持しながらの条件で実施されなければならない(Marek N 2011,Go?ab K 2013,Marek-Trzonkowska N 2017)。また、Tregリンパ球製剤は先進治療薬(ATMP)に分類され、薬事法および「先進治療薬に関する」欧州議会規則No.1394/2007の適用を受けるため、臨床応用のためのこのようなスキームでの拡大は、GMPの基準に従って実施されなければならない。
【0006】
上記のスキームに従って製造された細胞を使用することは、その多特異性を意味し、それは多くの異なる抗原に対して特異性を持つ一連のリンパ球であり、したがって投与後の効果は限定的である。もちろん、すべてのTregリンパ球が炎症部位へのトロピズムを持っていること、「バイスタンダー」タイプを調節する能力と感染寛容性に基づいて他の細胞を制御表現型に変換する能力は、多特異性(ポリクローナル)製品の高い効率性に影響を与える。それにもかかわらず、そのような製品の有効性は、細胞を特定の抗原に標的化することによって高めることができる。このようにして、そのような抗原特異的Tregsリンパ球は、そのような抗原の発現が起こる部位にのみ移動し、そのような抗原の刺激によって誘発される炎症反応の部位でのみそのような抗原を認識する病的エフェクター細胞の活動を選択的に阻害することができる。自己免疫疾患の場合には、罹患した臓器(1型糖尿病のインスリン産生膵島や多発性硬化症のミエリン鞘など)の破壊を抑制することができる。同時に、Tregsリンパ球は、リンパ系全体を回るのではなく、感作された特定の抗原を発現している部位にのみトロピズムを示すので、全身的な副作用を抑えることができる。
【0007】
Treg細胞を治療ツールとして用いる臨床試験を開発し成功させるためには、特異的な抗原性と高いサプレッサー能を持つ安定したTregリンパ球を、安全かつ簡単に使用でき、同時に経済的にも実現可能な方法を開発することが重要である。
【0008】
また、アレルゲンに対する過敏症として知られる、過剰な免疫反応も問題となるようである。これらの疾患のほとんどは、市販の薬を使って対症療法を行うことができる。しかし、過敏症の中には、重度の障害や、死に至る合併症を引き起こすものもある。疾患のプロセスはしばしば時間とともに進行し、炎症が激化して気道に恒久的な構造的変化をもたらし、使用した薬剤が効かなくなる(Panettieri RA Jr 2008)(Barbaro MP 2014)。このような状況では、同じく抗原特異的Tregリンパ球が現代の抗アレルギー薬になる可能性がある。
【0009】
結論として、自己免疫疾患、アレルギー、移植患者の治療の両方に使用される効果的で安全な薬剤は、望ましくない免疫反応(例えば、自己免疫疾患やアレルギー、拒絶器官、移植片対宿主病)の原因となる明確に定義された抗原に対する免疫システムの反応を最大限に選択的に調節し、同時に異物、そして危険な抗原に対する生理的な免疫反応を損なわないものである。このような知的な免疫抑制のきっかけとなるのが、まさに抗原特異的Tregリンパ球である。しかし、Treg細胞を用いた臨床治療を成功させるための条件は、これらのリンパ球を増殖させるための患者に安全なプロトコルを開発することであり、これにより、抗原特異的な細胞の数を多く保証しつつ、その安定性と抑制活性を培養期間中維持することができる(Tang Q 2013)。本特許出願に記載される方法は、上述の要件を満たす。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2019/161728号明細書
(特許文献2) 国際公開第2018/106885号
(特許文献3) 国際公開第2013/131045号
(非特許文献)
(非特許文献1) HANS J.P.M.KOENEN ET AL,"CD27/CFSE-Based Ex Vivo Selection of Highly Suppressive Alloantigen-Specific Human Regulatory T Cells",THE JOURNAL OF IMMUNOLOGY,Vol.174,No.12,15 June 2005 (2005-06-15),page 7573-7583
(非特許文献2) DOROTA IWASZKIEWICZ-GRZES ET AL,"Antigen-reactive regulatory T cells can be expanded in vitro with monocytes and anti-CD28 and anti-CD154 antibodies", CYTOTHERAPY,Vol. 22, No. 11, 01 November 2020 (2020-11-01), page 629-641
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
特に本発明では、モノクローナル抗体で標識され、選別された抗原特異的なTリンパ球を製造するための工程を提供するものであり、
前記リンパ球は、
a)前記抗原を搭載した自己由来の単球の使用によって生成され、
b)生成されたT調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球をPBSに懸濁し、蛍光色素で細胞内を染色し、
c)続いて、前記リンパ球を暗所で培養し、
d)続いて、前記リンパ球細胞を培養液で数回集中的に洗浄し、
e)細胞内蛍光色素で染色したT調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球を、前記抗原を搭載したガンマ線照射した自己由来のCD14+単球と一緒に前記培養液に懸濁し、
f)T調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球とCD14+単球の共培養に、抗CD154抗体および抗CD28抗体を共培養し、
g)前記共培養物を培養液中で培養し、および
h)培養後の抗原特異的Tリンパ球は、細胞内色素の低強度に基づいて選別され、蛍光の前記低強度は抗原特異性のマーカーであり、蛍光の消失は増殖の強度と相関する。
【0011】
上記で定義したプロセスでは、T調節性リンパ球またはTエフェクターリンパ球を以下:1x10cells/ml PBSの濃度で懸濁することが好ましい。
【0012】
上記で定義した工程において、リンパ球を以下の蛍光色素:CFSEまたはバイオレットブルーのいずれかを最終濃度1~5μMの1つで染色することが好ましい。
【0013】
上記のプロセスでは、リンパ球を室温または37℃で20分間インキュベートすることが好ましい。
【0014】
上記で定義したプロセスでは、自己単球を、最終的な単球:リンパ球の比率が1:1になるように共培養に加えることが好ましい。
【0015】
上記で定義したプロセスにおいて、単球をガンマ線照射することが好ましい。
【0016】
上記で定義したプロセスにおいて、単球とリンパ球の共培養は、5μg/mlの最終濃度の抗CD154抗体および5μg/mlの最終濃度の抗CD28抗体とともにインキュベートすることが好ましい。
【0017】
上記のプロセスでは、共培養物を37℃にて5%COでインキュベートすることが好ましい。
【0018】
上記のプロセスにおいて、抗原に対する特異性は、抗原特異的なTリンパ球、特に細胞内色素の低い蛍光に基づいて選別されたTリンパ球が、非特異的なTリンパ球、特に細胞内色素の高い蛍光が維持されることに基づいて選別されたTリンパ球よりも活性が高いという機能試験で評価されることが好ましい。ここで、T調節性リンパ球の場合の活性は、機能Tエフェクターリンパ球の抑制として定義され、一方、Tエフェクターリンパ球の場合の活性は、増殖の強度の増加、サイトカインおよび細胞傷害性因子の産生の強度の増加として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実験の流れを示す。バフィーコートは単球とリンパ球に分離された。リンパ球をT調節細胞(Treg)とTエフェクター細胞(Eff)に選別し、CFSEで染色した後、ペプチド(インスリンまたはペプチド9-23)を負荷した放射線照射単球で刺激した。ポリクローナルTregとEffは、antiCD3/antiCD28ビーズを用いて作製した。培養7日後、図2Cおよび2Dに示したプロトコールを用いて、CFSEの希釈蛍光に基づいて細胞を抗原特異的細胞と非特異的細胞に選別した。次に、得られたポリクローナル(Tregpoly)、抗原特異的(Tregspec)および非特異的(Tregunspec)のサブセットのTregsを、ポリクローナル(Effpoly)または抗原特異的(Effspec)のバイオレット染色された自己T細胞エフェクターをレスポンダーとする機能試験でテストした。Effspecは、あらかじめ抗原を負荷した照射単球で刺激して調製した。
図2図2は、抗原特異的レギュラトリーT細胞のソーティング法。Tregsを他の細胞(A)、特に刺激時に使用した抗原提示単球と区別するために、蛍光色素で染色する(B)。共培養終了後、蛍光が減少した領域(P1ゲート)で抗原の配列を認識したTregsリンパ球を、別の抗原特異的集団として選別した。
図3図3は、単球との共培養で抗原に反応したTregsの割合を示す。解析対象となったのは、インスリンまたはペプチド9-23という抗原を提示した単球と共培養したTreg細胞である。いくつかの培養では、モノクローナル抗体である抗CD28および抗CD154(mabs28/154)を加えて第2のシグナルとした。増殖している(抗原特異的な)Tregsの割合(A)と、FoxP3の発現強度が高く(high)、増殖している(水色)か、増殖していない(紺色)かのTregsの割合(B)を評価した。結果は平均値+/-SDで示した。解析の例は、インスリンを負荷した単球で刺激した共培養のC図と、ペプチド9-23を負荷した単球で刺激した共培養のD図のドットプロットに示される。ドットプロットのCD4vs.Violetのゲートは、左が増殖中の(SPEC)抗原特異的Tregs、右が非増殖中の(UNSPEC)非特異的Tregsを示す。矢印は、FoxP3の発現を示す対応するドットプロットを結ぶ。上段のゲートはFoxP3high、下段はFoxPlow3のサブセットを示す。
図4図4は、Tregリンパ球のクローナリティを示す。TCR受容体の各クラス(Vβ鎖)の発現によって測定されたTregリンパ球のクローナリティ。培養前(「Treg POLY」)と、抗原(インスリンまたは9-23ペプチド)を提示した単球との共培養後のTregリンパ球のクローン解析の例で、増殖能力に基づいて、増殖する細胞(「Treg SPECIFIC」)と増殖しない細胞(「Treg UNSPECIFIC」)に分類される。矢印の部分は、共培養中に優先的に増殖が促されたと同定されたクローン(「Treg POLY」と比較して共培養後に目に見えて増加した割合)。実施した各培養では、Vβの発現が異なるクローンが存在し、各培養では1~2個以上のクローンが優先的に増加することはなく、増加率は数%を超えなかった。
図5図5は、機能試験である-Tエフェクターリンパ球の増殖抑制を示す。ポリクローナル(Tregs POLY)、インスリンやペプチド9-23に対する抗原特異的(Tregs SPEC)、非特異的(Treg UNSPEC)細胞など、生成されたTregs(Treg)のサブセットを、図の下部に示す割合で自己のTエフェクター細胞(Effector)と共役させた。エフェクターは、ポリクローナル(A上図)または抗原特異的(B下図)のいずれかのレスポンダーとして処理した。続いて、この共培養体を、インスリンまたはペプチド9-23をプレロードした放射線照射単球で刺激した。その結果、反応者の増殖が抑制されたことが読み取れた。結果は、増殖を常に100%とみなした反応者のみの培養を指標とした。結果は平均値±最小値-最大値で示した。有意差は/*とp値で示した。
図6図6は、機能試験-Tエフェクターリンパ球によるIFNγ産生の抑制(ELISA)を示す。ポリクローナル(Tregs POLY)、インスリンやペプチド9-23に対する抗原特異的(Tregs SPEC)、非特異的(Treg UNSPEC)細胞などの生成されたTregs(Tregs)のサブセットを、図の下部に示された割合で自己のTエフェクター細胞(Effector)と共役させた。エフェクターは、ポリクローナル(A上図)または抗原特異的(B下図)のいずれかのレスポンダーとして処理した。次に、この共培養物を、インスリンまたはペプチド9-23をプレロードした放射線照射単球で刺激した。その結果、レスポンダーによるIFNγの産生が抑制された。結果は、増殖を常に100%とみなした反応者の培養物のみを指標とした。結果は平均値+/-最小値-最大値で示される。有意な差がある場合は/*とp値で示した。
図7図7は、機能試験-Tエフェクターリンパ球によるIFNγ産生の抑制-ELISPOTを示す。ポリクローナル(Tregs POLYclonal)、インスリンやペプチド9-23に対する抗原特異的(Tregs SPECific)、非特異的(Treg UNSPECific)など、生成したTregs(Treg)のサブセットを、ポリクローナルまたは抗原特異的なレスポンダーとしての自己Tエフェクター細胞と共培養した。Tregsとエフェクターは、図の上部に示した割合で共培養した。この共培養細胞を、インスリンまたはペプチド9-23を負荷した放射線照射単球で刺激した。その結果、レスポンダーによるIFNγの産生が抑制された。結果は、培養物の写真と、特定のウェルにおけるスポットの数として示される。
【0020】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、これらはその限定ではない。
【0021】
材料と方法
図1に手法と機能解析の概要を示す。
献血者
バフィーコートは、グダニスクのRegional Centre for Blood Donation and Treatmentから入手した。
B:9-23インスリンペプチドとインスリン
B:9-23インスリンペプチドはLipopharm社(ポーランド、グダニスク)で合成された白色粉末で、HPLC法により90%以上の純度で製造された。ペプチドはオートクレーブ滅菌した脱イオン水に溶解し、最終濃度を0.5μg/μlとし、-70oCで3ヶ月以内に保存。
試験に使用したインスリンは、市販のもの(Actrapid(登録商標)Penfill(登録商標),Novo Nordisk A/S)を使用し、2~8℃の冷蔵庫で保存した。
【0022】
細胞の分離と選別
T制御細胞とTエフェクター細胞
細胞の調製とソーティングの概要を図2に示す。末梢血単核細胞(PBMC)は、健康なボランティア血液提供者から得たバフィーコートから、フィコール・ハイパーク勾配遠心法により分離し、新鮮な状態で使用した。TregsとTeffは、我々が以前に記述したプロトコルに従って新たに分離した。CD4T細胞は、EasySep Human CD4+TCell Enrichment Kit(Stemcell Technologies)を用いて、メーカーの指示に従い、ネガティブセレクションにより分離した。その後、CD4T細胞を、以下の抗原に特異的なモノクローナル抗体(mAb)で染色した。CD3、CD4、CD25およびCD127に特異的なモノクローナル抗体(mAb)で染色した。その後、FACS AriaIIu sorter(BD Biosciences, USA)を用いて、以下の表現型のTregsに分類した。CD3CD4CD25HighCD127-/LowlindoubletとTeffsに分類した。CD3CD4CD25CD127Highlindoubletとした。分離したTregリンパ球とTef細胞を別々のプレートで培養し、GMP基準を満たす培養液X-VIVO20(Lonza社)で37℃で培養した。この培地に、熱不活化ヒトAB型血清(10%)、インターロイキン2(IL-2;2000U/ml;Proleukin;Chiron,San Diego,CA)、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100mg/ml)を加え、24時間培養した。
【0023】
単球
自己由来のCD14+細胞は、メーカーの指示に従ってEasySep(登録商標)Human CD14 Positive Selection Kit II(StemCell Technologies社)を用いてポジティブセレクションを行い、95%以上の純度で分離した。その後、分離した単球を培養し(10細胞/ウェル)、GMP基準を満たす培養液X-VIVO20(Lonza社)を用いて37℃で培養した。あらかじめ調製したペプチド溶液(25μg/well/ml)またはインスリン(100μl/well/ml)を添加して24時間培養した。単球をB:9-23インスリンペプチドで刺激した場合(Mo9-23)、インスリンで刺激した場合(MoINS)、刺激しない場合(Mo)の3条件を用意した。
【0024】
色素標識と細胞拡張
単球
24時間培養後、ウェルから単球を回収し、ガンマ線照射(血液製剤への照射と同様の標準的な条件)した後、計数し、新鮮な培地(X-VIVO20)に最終濃度1×10細胞/mlで再懸濁した。
【0025】
Treg細胞とTeff細胞
選別から24時間後、T調節性リンパ球をウェルから回収し、PBSで洗浄して染色に影響する血清を除去した。その後、1x10cells/mlの濃度でPBSに再懸濁し、CFSE(Cell Trace CFSE Cell Proliferation Kit,Life Technologies)を用いて、CFSEの最終濃度が1~5μMとなるように染色した。細胞を37℃の暗所で20分間培養した後、PBSで数回集中的に洗浄し、次に培養液(X-VIVO20+10%血清+ペニシリン/ストレプトマイシン)で洗浄した。Tエフェクター細胞も同様の方法で染色した。
【0026】
あるいは、両方のリンパ球集団をバイオレット(Cell Trace Violet Cell Proliferation Kit,Life Technologies社)で、1~5μMの最終濃度で上記の方法で染色した。染色のコントロールはフローサイトメーター(Fortessa, BDBioscience)で行った。
ポリクローナル・スティミュレーション
染色後、細胞の一部を10%の不活性ヒト血清と抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含む新鮮な培地(X-VIVO20,Lonza)で懸濁した。次に、96ウェルプレートに細胞を播種し(1×10細胞/well)、抗CD3抗体および抗CD28抗体をコーティングした磁気ビーズ(Treg Expansion Kit,Miltenyi Biotech)を1:1の比率(ビーズ:細胞)で刺激し、7日間培養した。ポリクローナル細胞はTregPOLYとTeffPOLYの2条件を用意した。
【0027】
抗原の刺激
染色後、細胞の一部を10%の不活性ヒト血清と抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含む新鮮な培地(X-VIVO20,Lonza)で懸濁した。次に、96ウェルプレートに細胞を播種し(1×10細胞/ウェル)、抗原:B:9-23インスリンペプチド(Mo9-23)またはインスリン(MoINS)を1:1の比率(Mo:細胞)で負荷した単球で刺激した。その後、滅菌した抗CD154(Purified NA/LE Mouse Anti-Human CD154;BD Biosciences)および抗CD28(Purified NA/LE Mouse Anti-Human CD28;BD Biosciences)を最終濃度5μg/mlになるように共培養液に添加した。準備した共培養液は、培養液(X-VIVO20+10%血清+ペニシリン/ストレプトマイシン、37℃、5%COで培養した。Treg9-23/INS+CD28CD154とTeff9-23/INS+CD28CD154の2つの条件の細胞を用意した。同時に、抗原を負荷した単球で刺激したが、抗CD28および抗CD154を含まない細胞、Treg9-23/INSおよびTeff9-23/INSを用意した。ネガティブコントロールとして、単球を添加していない細胞(刺激を受けていない、増殖していない)を使用した。ポジティブコントロールとして、ポリクローナル細胞(index POLY)を使用。細胞は7日間培養した。
【0028】
抗原特異的細胞のソーティング
増殖7日目に細胞を回収し、新鮮な培地(X-VIVO)で洗浄した。FACS AriaIIu sorter (BD Biosciences, USA)を用いて、Cell Trace CFSE Cell Proliferation Kit (Life Technologies)の488nmチャンネルに対するSSC-Aのドットプロット(側方散乱)、またはCell Trace Violet Cell Proliferation Kit (Life Technologies)の450nmチャンネルに対するSSC-Aのドットプロット(側方散乱)から細胞を選別した。単球が提示した抗原に反応して増殖する細胞(index PRO)は、ネガティブコントロールの細胞よりも低い蛍光を示す細胞として同定された(ソーティングゲートのカットオフは、ネガティブコントロールのピークよりも低い蛍光強度を想定し、ゴールには最も低い蛍光を持つネガティブコントロールのピークが5%以上含まれないようにした)。ネガティブコントロール(ネガティブコントロールのピークの蛍光強度を想定したソーティングゲートのカットオフ、ネガティブコントロールのピークのイベントが80%以上含まれることを目標とする)から、蛍光が細胞の蛍光と同等のものを非増殖細胞(インデックスNON)とした。得られた細胞は、品質管理(表現型のコントロール、増殖やインターフェロンγの産生を抑制する機能テスト)を行い、または、抗CD3抗体と抗CD28抗体(Miltenyi Biotec社)を1:1の比率(細胞:ビーズ)でコーティングした磁気マイクロスフィアを加えてさらに培養し、できるだけ多くの抗原特異的T制御リンパ球を得た。
【0029】
品質管理
表現型チェック
展開7日目に、TregsとTeffのサンプルを以下の抗原(Ag)に対するAbsで標識した。CD4,CD25,CD127,CD45RA(BD Biosciences,USA),CD62L(Life Technologies,USA),FoxP3(Foxp3 Staining Buffer Set(eBioscience,USA))に対するAbsで標識し、フローサイトメトリー(Fortessa,BD Biosciences,USA)で解析した。
【0030】
増殖抑制アッセイ
培養7日目には、インターフェロン-γ(IFN-γ)の産生を抑制する機能的なアッセイを行った。Treg細胞とTeff細胞をPBSバッファーで洗浄し、磁石で刺激したマイクロスフィアから精製してカウントした。その後、抗生物質とヒト熱不活化ヒトAB型血清(10%)を含む新鮮な培養液に細胞を再懸濁した。次の2日間、やはり個々の条件の細胞を別々に培養した。この間、IL-2と活性化マイクロスフェアは加えなかった。48時間後、Teff細胞をPBSバッファーで洗浄し、カウントした。Teff細胞をCFSE(Cell Trace CFSE Cell Proliferation Kit,Life Technologies,1μM,15分,37℃)またはバイオレット(Cell Trace Violet Cell Proliferation Kit,Life Technologies,1μM,15分,37℃)で染色し、Tregリンパ球の存在下での増殖を解析した。色素の選択は、前回のTregリンパ球の染色によって決定した。TregsがCFSEで染色された場合、Teff細胞はバイオレットで染色され、その逆も同様である。
【0031】
マーキングされた自己のTeff細胞(レスポンダー)を、Treg細胞(特異的、非特異的、ポリクローナル)と以下:1:1、1:1/2、1:1/4、1:1/8の割合で混合した。Teff細胞の数は毎回一定で、Tregリンパ球の数は変動させた。細胞は、熱不活化ヒトAB型血清(10%)、インターロイキン2(IL-2;100U/ml)および抗生物質:ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100mg/ml)を含む新鮮な培養液に懸濁した。刺激剤として、抗原(Mo9-23またはMoINS)を担持した照射済みの自己単球をTeffと1:1の割合で添加した。陽性対照として、抗CD3抗体および抗CD28抗体でコーティングした単球(Mo9-23またはMoINS)またはミクロスフェアで刺激したTeff(Treg細胞なし)を使用した。陰性対象として、刺激を加えていないTeff細胞を使用した(サイトメーターでの読み取り値を参照)。追加のコントロールとして、Teff細胞を用いずに培養した染色されていないTreg細胞を用いた。
【0032】
培養液(X-VIVO20+10%血清+p/s)を用いて、5%CO、37℃で6日間培養した。この後、細胞を採取し、フローサイトメーター(Fortessa,BD Biosciences)を用いて解析した。Treg細胞を添加せずに培養した刺激なしのTeff細胞をバックグラウンドとし、100%の細胞が分裂しなかったことを100%とした。Treg細胞を入れずに培養した刺激したTeff細胞は0%として、増殖が抑制されていないことを意味した。
【0033】
Treg細胞と培養したTeff細胞によるINF-γ産生の抑制
各培養条件からTregリンパ球のサンプルを採取して機能試験を行い、自己のTeff細胞によるIFN-γの分泌に対するTreg細胞の抑制効果を確認した。並行して、Treg細胞と同じ条件で増殖させたTeffリンパ球を、増殖抑制試験のレスポンダーとして採取した。このようにして、ポリクローナルTeff(TeffPOLY)と抗原特異的(増殖)Teff(Teff9-23_PROまたはTeffINS_PRO)という2つのシリーズのテストをレスポンダーとして実施することができた。
【0034】
検査対象となる細胞(TregsおよびTef)をPBSで洗浄し、刺激に用いたマイクロスフィアから精製して計数した。次に、熱不活性化したヒトAB型血清(10%)と抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を含む新鮮な培地に細胞を懸濁した。次の2日間、個々の条件の細胞をやはり別々に培養した。この間、IL-2と活性化マイクロスフェアは加えなかった。
【0035】
マークを付けた自己のTeff細胞(レスポンダー)を、Treg細胞と以下:1:1、1:1/2、1:1/4、1:1/8の割合で混合した。Teff細胞の数は毎回一定で、Tregリンパ球の数は変動させた。細胞は、熱不活化ヒトAB型血清(10%)、インターロイキン2(IL-2;100U/ml)および抗生物質:ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100mg/ml)を含む新鮮な培養液に懸濁した。刺激剤として、抗原(Mo9-23またはMoINS)を担持した照射済みの自己単球をTeffと1:1の割合で添加した。陽性対照として、抗CD3抗体および抗CD28抗体でコーティングした単球(Mo9-23またはMoINS)またはミクロスフェアで刺激したTeff(Treg細胞なし)を使用した。陰性対象として、刺激を加えていないTeff細胞を使用した(サイトメーターでの読み取り値を参照)。追加のコントロールとして、Teff細胞を用いずに培養した染色されていないTreg細胞を用いた。
【0036】
培養液(X-VIVO20+10%血清+p/s)を用いて、37℃で5%COの環境下で6日間培養した。この時間の後、培養下から上清を採取し、製造者の指示に従ってELISAによりIFN-γレベルを測定した(Human IFN-gamma OptEIA Kit II,BD Biosciences)。
【0037】
INF-γ-ELISpot
Teffリンパ球(レスポンダー)とTregリンパ球の共培養を、特殊なELISpotプレート上で48時間繁殖させた。この方法では、サイトカイン(INF-γ)を産生した細胞の数を正確に特定することができる。培養後、プレートを細胞から洗浄し、製造者の指示(MABtech社)に従ってプレートを染色した。ELISPOTプレートリーダー(Immunospot 5,CTL)で読み取りを行った。
【0038】
結果
抗原、抗CD28抗体、抗CD154抗体を提示した単球で刺激して抗原特異的T制御細胞を得る効果
自己の抗原提示単球によって生成されたTregs、すなわち抗原特異的制御T細胞の割合を解析したところ、抗CD28抗体および抗CD154抗体を添加した共培養では、特にインスリンとの共培養でこれらの細胞の増殖が高くなることがわかった(t-testによる抗体なし/抗体添加ありの差:インスリン p=0.041、ペプチド9-23 p=0.044)。(図3A)。
自己抗原提示単球から発生したTregsの増殖に対する使用したペプチドの効果を比較したところ、提示したペプチド9-23は、抗CD28抗体および抗CD154抗体を使用しない培養において、インスリンと比較してTregsの割合を有意に増加させた(t-test p=0.032)。また、抗CD28抗体および抗CD154抗体を用いて共培養した場合、増殖したTregリンパ球の割合は両群で同程度であった(t-test p=0.54)。
【0039】
ドットプロットの例と解析方法を図3C、3Dに示す。
単球提示抗原、抗CD28抗体、抗CD154抗体で刺激した抗原特異的T制御リンパ球によるFoxP3転写因子の発現
実験全体を通してすべての培養で、FoxP3を発現しているリンパ球の割合が90%以下になることはなかった。
【0040】
自己抗原提示単球によって刺激されたFoxP3転写因子の高発現を示すTreg細胞(すなわち、CD3+CD4+CD25highCD127-FoxP3high表現型)の割合は、抗原特異的/増殖的な集団では、対応する非特異的/非増殖的なTregリンパ球に比べて有意に高かった(すべてのt-test p<0.05)(図3B-D)。
FoxP3転写因子の高発現を示すTreg細胞の割合は、抗CD28抗体および抗CD154抗体を添加した共培養では、抗原特異的/増殖性Treg細胞(抗体なし/ありのt-testの差異:インスリン p=0.002、ペプチド9-23 p=0.042)、非特異的/非増殖性Tregリンパ球の場合(抗体なし/ありのt-testの差異:インスリンp=0.034、ペプチド9-23の傾向のみp=0.063)と同様であった。
【0041】
Tregsリンパ球のTCRのレパートリーに基づくクローン性の解析
抗原特異的/増殖中のTregリンパ球集団におけるTCRレシーバーのクローン性の変化を分析したところ、各培養において、毎回異なるTCRβ特異性を持つ1-2個のクローンの割合が増加していた。とはいえ、これらの増加は、全増殖細胞の数十パーセントを超えるものではない(図4)。
【0042】
機能性試験-Tエフェクターリンパ球の増殖の抑制
増殖抑制アッセイで免疫反応を分析したところ、調べたすべてのTregリンパ球亜集団の抑制効果が確認された(ANOVA,p<0.05)(図5)。
【0043】
ペプチドの有効性
比較解析の結果、ペプチド9-23に対する特異的Tregsは、インスリンに対する特異的Tregsと比較して、実験で阻害されたレスポンダーがポリクローナルエフェクターT細胞の場合(ANOVA,F=8.03 p=0.047)(図5A)、試験抗原に特異的なエフェクターT細胞の場合(ANOVA,F=20.40 p=0.045)(図5B)、統計的に有意に高いパフォーマンスを示した。
【0044】
ポリクローナル 対 特異的
増殖抑制効果は、ポリクローナルTregsに比べて特異的Tregsを用いた試験で高かったが、いずれの試験でも統計的有意性は認められなかった(ANOVA,p<0.05)。
【0045】
それにもかかわらず、試験における抑制効果には、主に特異的Tregs成分が関与していることが示される。特異的Tregs(増殖中)と非特異的Tregs(非増殖中)を分離したところ、特異的Tregsは非特異的Tregsと比較して有意に多くのTエフェクター細胞の反応を抑制した。この有意性は、レスポンダーがポリクローナルエフェクターT細胞である両方のテストに関係していた(ペプチド9-23でのみ有意。ANOVA,F=8.21 p=0.028,インスリンの場合。ANOVA,F=1.31 p=0.33)、および特異的なTエフェクターリンパ球(ペプチド9-23の場合。ANOVA,F=186.32 p=0.005,インスリンの場合。ANOVA,F=22.47 p=0.041)。
【0046】
機能性試験-インターフェロン分泌抑制作用
インターフェロンガンマ抑制アッセイで免疫反応を分析すると、調べたすべてのTregsリンパ球亜集団の抑制作用が確認された(ANOVA,p<0.05)(図6および図7)。
【0047】
ペプチドの有効性
比較分析の結果、ポリクローナルTエフェクター細胞を用いた実験では、9-23ペプチド特異的Tregsが完全インスリン特異的Tregsよりも高い性能を示した(ANOVA,F=5.78 p=0.025)(図6Aおよび7)。実験で抑制されたレスポンダーがテストされた抗原に対する特異的なTエフェクター細胞であった場合も同様の差が見られたが、その差は統計的に有意ではなかった(ANOVA,F=1.86 p=0.22)(図6Bおよび7)。
【0048】
ポリクローナル 対 特異的
反応阻害効率は、ポリクローナルなものに比べて特異的なTregsを用いた試験で高かったが、いずれの試験でも統計的有意性は認められなかった(ANOVA,p<0.05)。
【0049】
しかし、ペプチド9-23刺激の場合は、主に特異的Tregs成分がアッセイにおける抑制効果に関与していることが示された。特異的Tregs(増殖)と非特異的Tregs(非増殖)を分離した後、9-23ペプチドに対する特異的Tregsは、非特異的Tregsと比較して統計的に有意にTエフェクター細胞の反応を抑制することが示された。この有意性は、ポリクローナルTエフェクター細胞を反応対象とした試験(ANOVA,F=5.3 p=0.031)と、9-23ペプチドに対する特異的Tエフェクターを反応対象とした試験(ANOVA,F=111.84 p=0.0004)の両方に関係している。
【0050】
また、インスリンに特異的なエフェクターT細胞が応答した場合、非特異的T細胞と比較して、インスリン特異的T細胞の方が強い抑制効果が認められた。この効果の統計的有意性は、一部の実験とポストホック分析でのみ認められたが、全体的な分析では統計的に有意でないことが判明した(ANOVA,F=0.31 p=0.56)。また、ポリクローナル・レスポンダーに対するインスリン特異的Tregsと非特異的Tregsの間には差がなかった(ANOVA,F=0.0004 p=0.94)。
【0051】
議論
この記事の主題は、抗原特異的T調節細胞をインビトロで得る方法であり、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病などの自己免疫疾患の治療や、移植拒絶反応、アレルギー反応、移植片対宿主病(GVHD)などの望ましくない免疫反応の抑制に、これらの細胞を臨床的に使用することができる。今日、治療に使用されるT制御細胞はポリクローナルであり、つまり、多くの異なる抗原を認識するため、その有効性が制限される可能性がある(Marek-Trzonkowska N 2014)(Trzonkowski P 2013)(Marek-Trzonkowska N 2013)(Marek-Trzonkowska N 2012)(Hoffmann P 2009)(Trzonkowski P 2009)(Di Ianni M 2011)(Bluestone JA 2015)(Stelmaszczyk-Emmel A 2015)(Vignali DA 2008)(Geem D 2015)。この方法により、Tregリンパ球を特定の抗原を発現している組織や、特定の抗原に対する炎症反応を担う特定の自己反応性リンパ球に対してターゲティングすることができる。抗原特異的Tregリンパ球を使用することで、より正確な治療が可能になり、Tregリンパ球の投与量を減らすことができる。その結果、治療効果を高め、起こりうる副作用を軽減することができる。
【0052】
このような抗原特異的Tregリンパ球の有用性は動物モデルで説明されており、数年前にはヒトでこのような細胞を入手する最初の試みが行われた。当初は、誘導型Tregリンパ球やTr1細胞を用いていたが、その後、自然型Tregリンパ球を用いるようになった。Tregsの場合は、天然の抗原提示細胞や、特定の抗原を提示する細胞株から適切に調製された細胞を用いる方法が基本となっている。最近では、制御受容体を挿入した遺伝子を改変して、特定の抗原に特異的なリンパ球を人工的に作ることも試みられている(いわゆるTreg CARリンパ球)。
【0053】
免疫反応を抗原特異的に制御する可能性は、治療上の観点からも重要である。生理学的には、免疫系は外来の危険な抗原を認識して破壊する一方で、自分自身の織りなすものには寛容である。それにもかかわらず、例えば多発性硬化症(MS)、1型糖尿病(DM1)、乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患の場合、このメカニズムが損なわれる(Senecal V 2015)(Trzonkowski P 2015)(Marek-Trzonkowska N 2012)(Pujol-Autonell I 2013)(Lima XT 2015)(Mu Q 2015)(Orent W 2015)。エフェクターリンパ球は、自分の組織を構築する自己抗原を異物として扱い、自分の臓器を破壊し始める。このプロセスは不可逆的な変化をもたらす。現在、自己免疫疾患の治療は、薬理学的な免疫抑制と炎症反応の抑制に還元されることがほとんどである。しかし、このような治療は、時間が経つにつれて効果がなくなることがわかっている。初期の改善にもかかわらず、病気の進行を完全に止めることはできず、その中断は通常、病気の増悪を伴うことになる。また、この治療は、免疫力の大幅な低下を伴う(Gupta S 2012)。そのため、患者は感染症にかかりやすくなり、免疫抑制剤を投与される患者では、健康な人よりも重篤な経過をたどることになる。非特異的な免疫抑制は、がん発症のリスクを高めることにもなる(免疫抑制剤を投与されている患者さんでは症例の割合が高い)(Andres A 2005)(Rama I 2010)。
【0054】
免疫反応の抗原特異的制御は、移植学の観点からも重要な課題である。臓器移植は通常、命を救う治療法であるが、強力な免疫抑制剤を常に服用する必要がある。治療を中断すると、移植された臓器の組織に対する免疫反応が増大し、短時間で破壊される。免疫抑制剤の使用は、自己免疫疾患の場合と同様に、重篤で望ましくない副作用の発生を伴う。また、このグループの薬剤の中には、患者の免疫系の破壊的な作用から移植臓器を保護するものの、同時に移植臓器や他の組織に毒性を及ぼすものもある。ここでの例としては、腎移植に使用されるカルシニューリンの阻害剤(シクロスポリン、タクロリムス)(Prokai A1 2015)や、膵島のレシピエントに使用されるラパマイシンは、移植細胞の作用を損なう(Zhang N1 2006)(Berney T 2009)などが挙げられる。また、免疫抑制と免疫反応の調節の問題は、骨髄移植と密接に関係する。臓器移植と骨髄移植の主な違いは、前者では移植された臓器をレシピエントの免疫系の破壊的な影響から守ろうとする医学であり、後者では移植拒絶のリスクはないが、この移植された骨髄がレシピエントの体を攻撃する細胞の源となり、彼の死につながる可能性があるということである(Di Ianni M 2011)(Zhao K 2015)。患者の体を攻撃する免疫系細胞の起源にかかわらず、過剰な免疫反応との戦いは、非特異的な免疫抑制剤の使用にも還元される。同種固体臓器移植と骨髄造血細胞のいずれの場合も、免疫系反応を刺激する同種抗原が厳密に定義されており、その作用は抗原特異的Tregリンパ球によって制御することができる。
【0055】
本研究では、抗原提示細胞(APC)として抗原を負荷した単球を用いて、インビトロで抗原特異的T調節細胞をすべてのポリクローナルTレグから分離する。発表した実験の全体像を図1に示す。
【0056】
CD3+CD4+CD25highCD127表現型のポリクローナルTreg細胞は、特異的な抗原(例えば、インスリンやペプチド9-23インスリンβ鎖)を提示した自己のガンマ線照射単球と一緒に培養され、単球が提示した抗原に特異性を持つ場合にのみ増殖する。
【0057】
抗原の多くはTregリンパ球に親和性がない(これらの細胞はアネルギーを持っている)か、刺激中に表現型が変化して制御特性が失われる可能性がある。そのため、特定のTreg細胞を増殖させ、一方でその制御特性や抑制特性を維持するためには、どのような条件で共培養を行うかが重要となる。抗CD28抗体と抗CD154抗体を共培養液に添加すると、この2つの条件が満たされ、Treg細胞に不足していたセカンドシグナルがもたらされた。抗CD28抗体と抗CD154抗体の存在下で、提示された抗原に特異的なTregリンパ球は、FoxP3因子の発現(この因子の発現を増加させることさえあった)と機能的抑制の活性として定義される安定性を失うことなく、増殖の開始が見られた(図5-7)。
【0058】
純粋な抗原特異的Tregeneリンパ球集団の選別は、FACSセルソーターを用いて行った。ソーティングは、実験室条件(Aria IIu sorter,BDBiosciences)または先進的な治療製品の製造を認めるクリーンな実験室条件(INFLUX sorter qualified for good manufacturing practice conditions - GMP)で実施した。ソートは、ポリクローナルTregリンパ球をあらかじめ蛍光色素(CFSEまたはバイオレット)で染色しておくことで可能となった。存在する抗原に反応して増殖するTreg細胞、すなわち抗原特異的Tregsは、蛍光強度の希釈/消失が始まり、その後の細胞分裂ごとに約半分に減少する。このような蛍光の変化に基づいて、低蛍光性の増殖性細胞(抗原特異的Tregリンパ球)と高蛍光性の非増殖性細胞(非特異的Tregリンパ球)を分離・選別することができる(図2)。このようにして選別された細胞は、さらに増殖させて機能試験に用いることができる。
【0059】
この方法では、FoxP3転写因子の発現により制御細胞の表現型が維持され、機能的アッセイにおける活性(増殖抑制およびインターフェロンγ産生抑制)が開始時のポリクローナルT細胞集団の活性よりも高い抗原特異的Tregリンパ球を得ることができる。
【0060】
今回得られた結果は、得られた特異的な細胞の高いクローン性を示すものではないことを強調しておきたい。TCRレパートリーの解析では、特定のクラスのTCR受容体を発現するTregリンパ球の割合が有意に増加することはなかった(図5)。
【0061】
抗原特異的Tregリンパ球がポリクローナルTregリンパ球と比較して優れたサプレッサー特性を持つのは、FoxP3(フォックスP3High)の高発現によるものと考えられる。FoxP3細胞の免疫調節活性は、FoxP3因子の発現強度と正の相関があることから、FoxP3High細胞が最も活性の高いサプレッサーTreg細胞の画分であることはよく知られる(Marek N 2011)(Ryba M 2011)。抗原特異性によりFoxPHigh3細胞が高い割合で誘導されるという事実は、このような細胞を用いた治療の有効性が高いことを説明する。この細胞は、特定の抗原でのみ活性化され、その作用はその抗原が発現している組織に限定されるようである。機能試験では、Treg細胞が増殖やTエフェクターリンパ球によるインターフェロンγ(IFN-γ)の産生に及ぼす影響を分析した。その結果、抗原特異的Tregリンパ球は、ポリクローナルTregリンパ球と比較して、Tefリンパ球の増殖およびIFN-γの産生を阻害する傾向があることがわかった(図5-7)。この抑制は、ポリクローナルTregリンパ球(図5a、6a、7)と、試験に使用したTregsと同じ抗原を持つ抗原特異的Tregリンパ球(図5b、6b、7)の両方に見られる。このシステムは、抗原特異的なTeffリンパ球(自己反応性リンパ球)が主に自己免疫過程や臓器拒絶反応における組織の破壊に関与しているという、疾患中の生体内の状況を示唆しているため、特に重要である。
【0062】
私たちが作った抗原特異的Tregsリンパ球が、特異的なリンパ球を抑制することができるということは、治療効果に大きな影響を与えるはずである。
【0063】
備考
この方法では、抗原特異的なT制御細胞を作り出すことができる。プロトコルに使用される単球は、特定の抗原を搭載する。抗CD28抗体と抗CD154抗体の組み合わせを用いて、抗原を添加した自己単球で刺激した抗原特異的Tregリンパ球の増殖を活性化する。
【0064】
著者の貢献
DI-G、MG、およびPTが論文を執筆した。PTは、実験の設計と計画を行った。DI-G、MG、およびPTが実験を行い、分析した。
【0065】
資金調達
本研究は、National Centre for Research and Development,Poland:LIDER/160/L-6/14/NCBR/2015およびSTRATEGMED1/233368/1/NCBR/2014、ポーランドインフラクチャープログラムの省庁POIR.01.01.01-00-0769/15-01 for PolTreg S.A.からの支援を受領する。
【0066】
略語
A FACTT(a European network action to focus and accelerate cell-based tolerance-inducing therapies);Ag(抗原);APC(抗原提示細胞);CFSE(carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester);COST(European Cooperation in Science and Technology);ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay);ELISpot(enzyme-linked immunospot;IFN-γ(インターフェロンγ);INS(インスリン);Mo(単球);NON(非増殖性(非特異的));PBMC(末梢血単核細胞);POLY(ポリクローナル);p/s(ペニシリン-ストレプトマイシン);PRO(増殖性(抗原特異的));Tregs(T制御細胞);Teffs(Tエフェクター細胞(応答者));T1D(1型糖尿病)。
【0067】
参考文献
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