(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】レンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20241010BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F16K37/00 C
F17C13/04 301Z
(21)【出願番号】P 2020187341
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591038602
【氏名又は名称】株式会社ネリキ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和幸
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110375111(CN,A)
【文献】特開2020-046007(JP,A)
【文献】特開2006-336819(JP,A)
【文献】特開2005-188744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0180608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
F17C 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器であって、
前記弁棒に外嵌されて当該弁棒とともに回転する筐体と、
前記筐体の下部内側に少なくとも一部が収容される環状体とが備えられ、
前記筐体と、前記環状体とで前記筐体の回転軸方向に前記環状体を螺動可能とする螺動機構が構成され、
前記環状体と、前記バルブ本体のハウジング又は前記バルブ本体に固定される台座体とで前記筐体の回転軸方向に前記環状体を摺動可能とする摺動機構が構成され、
前記筐体の下方に配置された前記環状体が前記弁棒の外部操作に応じて前記筐体の内側に送り込まれたり、前記筐体の外側に送り出される
レンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項2】
前記螺動機構は、前記筐体に当該筐体の回転軸を中心として形成された雌ネジ部と、前記環状体に同じく回転軸を中心として形成された雄ネジ部とで構成され、
前記雌ネジ部と前記雄ネジ部が螺動自在に螺合された
請求項1に記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項3】
前記摺動機構は、前記環状体に前記筐体の回転軸に対して平行に形成された被案内部と、前記ハウジング又は前記台座体に同じく回転軸に対して平行に形成された案内部とで構成され、
前記被案内部と前記案内部が摺動自在に嵌合された
請求項1又は請求項2に記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項4】
前記環状体を第一環状体とし、
前記第一環状体の内側に少なくとも一部が収容される第二環状体が備えられ、前記第二環状体が前記ハウジング又は前記台座体に固定され、あるいは前記第二環状体が前記ハウジング又は前記台座体に塗布又は貼付によって形成された
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項5】
前記第一環状体と前記第二環状体の色彩が異なる
請求項4に記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項6】
前記台座体によって回転自在に支持される自転歯車と、
前記筐体の上部内側に収容されて内歯歯車を有する回転表示体とが備えられ、
前記筐体が前記回転表示体に付された前記開閉弁の開閉状態を表す内容について所要部分以外の視認を規制する視認規制体と、前記回転表示体の内歯歯車と歯数が異なる内歯歯車を有する外側円筒体とで構成されており、
前記自転歯車に噛合する前記外側円筒体の内歯歯車と、前記自転歯車に噛合する前記回転表示体の内歯歯車と、前記自転歯車とで差動回転機構が構成された
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項7】
前記回転表示体における内周側が上方へ突出したテーパ状の上板部に前記開閉弁の開閉状態を表す内容が付され、
前記視認規制体における同じくテーパ状の上壁部に設けられた開口孔を通して前記内容が目視可能である
請求項6に記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項8】
バルブ本体の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置であって、
前記開閉弁の開閉状態を表示する開閉表示機器が備えられ、
前記開閉表示機器は、
前記弁棒に外嵌されて当該弁棒とともに回転する筐体と、
前記筐体の下部内側に少なくとも一部が収容される環状体とが備えられ、
前記筐体と、前記環状体とで前記筐体の回転軸方向に前記環状体を螺動可能とする螺動機構が構成され、
前記環状体と、前記バルブ本体のハウジング又は前記バルブ本体に固定される台座体とで前記筐体の回転軸方向に前記環状体を摺動可能とする摺動機構が構成され、
前記筐体の下方に配置された前記環状体が前記弁棒の外部操作に応じて前記筐体の内側に送り込まれたり、前記筐体の外側に送り出される
レンチ式開閉バルブ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のレンチ式開閉バルブ装置が備えられた
バルブ付きボンベ容器。
【請求項10】
上部に前記弁棒を外部操作可能とする開口孔が設けられ、
側部に前記環状体を目視可能とする開口窓が設けられたボンベキャップを有する
請求項9に記載のバルブ付きボンベ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブ本体の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レンチを用いて弁棒を外部操作することで、開閉弁の開閉状態を規制でき、結果として流動体の流量を規制できるレンチ式開閉バルブ装置が知られている。また、このようなレンチ式開閉バルブ装置に備えられ、開閉弁の開閉状態を表示する開閉表示機器も知られている。
【0003】
特許文献1には、弁棒の外部操作に応じて互いに差動回転する回転表示体と視認規制体とを備えた開閉表示機器が開示されている。特許文献1に開示された開閉表示機器は、回転表示体に付された開閉弁の開閉状態を表す内容について視認規制体が所要部分以外の視認を規制するように構成したものであって、当該品の使用者等が開閉弁の開閉状態を主に上方から視認できることを特徴としている。
【0004】
ところで、このような開閉表示機器を備えたレンチ式開閉バルブ装置は、次のような問題があった。すなわち、レンチ式開閉バルブ装置が取り付けられるボンベ容器は、通常立てたままで使用される。そのため、ボンベ容器の全高が高い場合は、開閉弁の開閉状態を上方から視認することが困難であるという問題があった。また、ボンベ容器を天井が低い狭小な空間に収めた場合も、開閉弁の開閉状態を上方から視認することが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、開閉弁の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認できるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、バルブ本体の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器であって、前記弁棒に外嵌されて当該弁棒とともに回転する筐体と、前記筐体の下部内側に少なくとも一部が収容される環状体とが備えられ、前記筐体と、前記環状体とで前記筐体の回転軸方向に前記環状体を螺動可能とする螺動機構が構成され、前記環状体と、前記バルブ本体のハウジング又は前記バルブ本体に固定される台座体とで前記筐体の回転軸方向に前記環状体を摺動可能とする摺動機構が構成され、前記筐体の下方に配置された前記環状体が前記弁棒の外部操作に応じて前記筐体の内側に送り込まれたり、前記筐体の外側に送り出されることを特徴としている。
またこの発明は、前述の開閉表示機器が備えられたレンチ式開閉バルブ装置である。
またこの発明は、前述のレンチ式開閉バルブ装置が備えられたバルブ付きボンベ容器である。
【0008】
この発明により、開閉弁の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認できる。
詳述すると、本願発明に係る開閉表示機器は、外形を形成する筐体の下方に環状体が配置されている。そして、レンチを用いて弁棒を外部操作すると、弁棒とともに筐体が回転し、螺動機構及び摺動機構によって環状体が上下方向に移動する。すなわち、螺動機構は、筐体の回転運動を環状体の上下方向への直線運動に変換するものであり、摺動機構は、環状体を上下方向に摺動可能かつ左右方向に回転規制するものであるので、筐体の回転によって環状体は回転することなく上下方向に移動することとなる。具体的には、筐体が一方へ回転すると、環状体は回転することなく上方へ移動し、筐体が他方へ回転すると、環状体は回転することなく下方へ移動することとなる。このため、本願発明の開閉表示機器においては、筐体の下方に配置された環状体が弁棒の外部操作に応じて筐体の内側に送り込まれたり筐体の外側に送り出されたりする。したがって、使用者等は、環状体を側方及び斜め下方から容易に目視でき、さらには環状体の露出量に基づいて開閉弁の開閉状態を認識することができる。換言すると、使用者等が開閉弁の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認することができる。
【0009】
この発明の態様として、前記螺動機構は、前記筐体に当該筐体の回転軸を中心として形成された雌ネジ部と、前記環状体に同じく回転軸を中心として形成された雄ネジ部とで構成され、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部が螺動自在に螺合されていてもよい。
【0010】
この発明により、簡素な構成でありながら確実に、筐体の回転運動を環状体の上下方向への直線運動に変換できる。つまり、螺動機構は、筐体の雌ネジ部と環状体の雄ネジ部のみで構成されており、雌ネジ部が回転すると雄ネジ部がネジの送り作用によって上下方向に移動する単純な機構であるため、簡素な構成でありながら確実に、筐体の回転運動を環状体の上下方向への直線運動に変換することができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記摺動機構は、前記環状体に前記筐体の回転軸に対して平行に形成された被案内部と、前記ハウジング又は前記台座体に同じく回転軸に対して平行に形成された案内部とで構成され、前記被案内部と前記案内部が摺動自在に嵌合されていてもよい。
【0012】
この発明により、簡素な構成でありながら確実に、環状体を上下方向に摺動可能かつ左右方向に回転規制できる。つまり、摺動機構は、環状体の被案内部とハウジング又は台座体の案内部のみで構成されており、被案内部が案内部に沿う上下方向にのみ移動を許される単純な機構であるため、簡素な構成でありながら確実に、環状体を上下方向に摺動可能かつ左右方向に回転規制することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記環状体を第一環状体とし、前記第一環状体の内側に少なくとも一部が収容される第二環状体が備えられ、前記第二環状体が前記ハウジング又は前記台座体に固定され、あるいは前記第二環状体が前記ハウジング又は前記台座体に塗布又は貼付によって形成されてもよい。
【0014】
この発明により、開閉弁の開閉状態を容易に認識できる。つまり、弁棒の外部操作に応じて第一環状体の露出量と第二環状体の露出量が変化するため、使用者等が第一環状体と第二環状体の露出量の差に基づいて開閉弁の開閉状態を容易に認識することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記第一環状体と前記第二環状体の色彩が異なってもよい。なお、前述の色彩は、色相、明度、彩度の3つの属性によって特定されるものであり、色相とは波長による区分を指し、明度とは鮮やかさによる区分を指し、明度とは明るさによる区分を指す。色相、明度、彩度のうちいずれかが違えば、色彩が異なっているといえる。
【0016】
この発明により、開閉弁の開閉状態を即座に認識できる。つまり、第一環状体の色彩と第二環状体の色彩が異なるため、使用者等が第一環状体と第二環状体の露出量の差を即座に認識することができる。そして、第一環状体と第二環状体の露出量の差に基づいて開閉弁の開閉状態を即座に認識することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記台座体によって回転自在に支持される自転歯車と、前記筐体の上部内側に収容されて内歯歯車を有する回転表示体とが備えられ、前記筐体が前記回転表示体に付された前記開閉弁の開閉状態を表す内容について所要部分以外の視認を規制する視認規制体と、前記回転表示体の内歯歯車と歯数が異なる内歯歯車を有する外側円筒体とで構成されており、前記自転歯車に噛合する前記外側円筒体の内歯歯車と、前記自転歯車に噛合する前記回転表示体の内歯歯車と、前記自転歯車とで差動回転機構が構成されてもよい。
【0018】
この発明により、開閉弁の開閉状態を明確に認識できる。つまり、回転表示体に付された開閉弁の開閉状態を表す内容について所要部分のみが目視可能となるため、使用者等が開閉状態に関する内容を明確に認識することができる。そして、開閉状態に関する内容に基づいて開閉弁の開閉状態を明確に認識することができる。
【0019】
加えて、前述の螺動機構及び摺動機構を用いた構成と差動回転機構を用いた構成とは、それぞれ異なる構成で独立して作動する。そのため、差動回転機構を用いた構成を加えることで、開閉弁の開閉状態について正確に示すことができる。つまり、弁棒の外部操作に応じて環状体の露出量が変わる構成と、回転表示体に付された開閉弁の開閉状態を表す内容について所要部分のみが目視可能となる構成とを両立することにより、それぞれの構成による開閉弁18の開閉状態に関する内容が等しい場合に、使用者等に開閉弁18の開閉状態について正確に示すことができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記回転表示体における内周側が上方へ突出したテーパ状の上板部に前記開閉弁の開閉状態を表す内容が付され、前記視認規制体における同じくテーパ状の上壁部に設けられた開口孔を通して前記内容が目視可能であってもよい。
【0021】
この発明により、開閉弁の開閉状態を上方及び斜め上方からも容易に視認できる。つまり、内周側が上方へ突出したテーパ状の上板部に付された開閉弁の開閉状態を表す内容について同じくテーパ状の上壁部に設けられた開口孔を通じて目視可能となるため、使用者等が開閉弁の開閉状態を上方及び斜め上方からも視認することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、上部に前記弁棒を外部操作可能とする開口孔が設けられ、側部に前記環状体を目視可能とする開口窓が設けられたボンベキャップを有するバルブ付きボンベ容器でもよい。
【0023】
この発明により、レンチ式開閉バルブ装置を保護するボンベキャップを装着した状態で、弁棒を開口孔から外部操作できる。また、開閉弁の開閉状態を開口窓から容易に視認できる。つまり、弁棒の外部操作に応じて露出量が変化する環状体についてボンベキャップの側部に設けられた開口窓を通じて目視可能となるため、使用者等が開閉弁の開閉状態をボンベキャップの開口窓から容易に視認することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明により、開閉弁の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認できるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】レンチ式開閉バルブ装置とその開閉表示機器の断面図。
【
図2】レンチ式開閉バルブ装置とその開閉表示機器の拡大断面図。
【
図4】弁棒を一方へ回転したときの動作態様の説明図。
【
図5】弁棒を他方へ回転したときの動作態様の説明図。
【
図6】開閉弁が全閉状態に近い状態であるときの表示態様の説明図。
【
図7】開閉弁が全開状態に近い状態であるときの表示態様の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
図1はレンチ式開閉バルブ装置とその開閉表示機器の断面図であり、
図2はレンチ式開閉バルブ装置とその開閉表示機器の拡大断面図であり、
図3は開閉表示機器の分解図を示している。
【0027】
また、
図4は弁棒を一方へ回転したときの動作態様の説明図であり、
図5は弁棒を他方へ回転したときの動作態様の説明図であり、
図6は開閉弁が全閉状態に近い状態であるときの表示態様の説明図であり、
図7は開閉弁が全開状態に近い状態であるときの表示態様の説明図である。なお、
図6(a)及び
図7(a)は開閉表示機器の側面図であり、
図6(b)及び
図7(b)は開閉表示機器の上面図である。
【0028】
図1に示すように、ボンベ容器1の上端にはネック部2が一体形成されている。ネック部2の外周には、雄ネジ部2aが設けられており、この雄ネジ部2aにボンベキャップ4が螺合されている。ボンベキャップ4は、ボンベ容器1に装着された状態でレンチ式開閉バルブ装置6の開閉操作ができる、いわゆる固定式キャップである。ボンベキャップ4の上部には、後述する開閉表示機器7が収まる開口孔4aが形成されており、ボンベキャップ4の側部には、後述する第一環状体50を外部から目視可能とする開口窓4bが形成されている。
【0029】
また、ネック部2の中央には、雌ネジ部2bが設けられており、この雌ネジ部2bにレンチ式開閉バルブ装置6が螺合されている。この実施例において、レンチ式開閉バルブ装置6(以下、単にバルブ装置6と略記する)は、容器用バルブ装置であるが、ガス配管等においては、配管用バルブ装置とすることができる。
【0030】
バルブ装置6は、ハウジング8とグランドナット9とを備えている。ハウジング8の上端には、雌ネジ部8aが設けられており、雌ネジ部8aにグランドナット9が螺合されている。こうして、ハウジング8とグランドナット9とでバルブ本体10が構成されている。
【0031】
また、ハウジング8には、上下方向に貫通する孔部8bが設けられており、グランドナット9にも、上下方向に貫通する孔部9bが設けられている。そして、これらの孔部8b,9bの内側に弁棒であるスピンドル11が挿通されている。グランドナット9とスピンドル11との間には,0リング等のシール部材9dが介設されている。
【0032】
図2に示すように、スピンドル11には、その上端部から下端部にかけて上部角柱部11a、上部円柱部11b、フランジ部11c、下部角柱部11dが形成されている。そして、スピンドル11の下部角柱部11dがハウジング8の孔部8bに収容された中間伝導具12に挿入されている。
【0033】
中間伝導具12は、ハウジング8の孔部8bに設けられた雌ネジ部8cに螺合されている。そのため、中間伝導具12は、スピンドル11の回転によって上下方向に螺動(ネジの送り作用による移動)することとなる。具体的には、スピンドル11が一方へ回転すると中間伝導具12が下方へ螺動し、スピンドル11が他方へ回転すると中間伝導具12が上方へ螺動することとなる。なお、中間伝導具12の下端部に形成された凹部12aには、閉止部材13が嵌合されている。閉止部材13は、円筒形状の弾性部材であり、中間伝導具12が下方位置にあるときに後述する開閉弁18の開口弁座8dを閉塞する。
【0034】
また、ハウジング8には、孔部8bの底面から下方に延びる一次側流路としての入口流路8eと、孔部8bの下端部に対して直交する二次側流路としての出口流路8fとが形成されている。さらに、入口流路8eの上下方向中途部には、分岐路8gが連通している。分岐路8gの末端部は、ハウジング8に設けられた穴部8hにつながっており、ハウジング8には、穴部8hを塞ぐようにガスケット14を介して安全弁15が螺合されている。安全弁15は、破裂板(図示せず)と、押圧プラグ16と、可溶栓17とを有する。
【0035】
ところで、バルブ本体10においては、スピンドル11と、中間伝導具12と、閉止部材13とで前述の開口弁座8dを閉塞又は開放する開閉弁18が構成されている。開閉弁18を構成するスピンドル11は、レンチ5(角筒形状の穴部を有するソケットレンチ:
図1参照)にて外部操作される。なお、レンチ5を用いてスピンドル11を一方へ回転させると、中間伝導具12が螺動して閉止部材13が上昇するので、開口弁座8dが開放される。これにより、ボンベ容器1に貯留された流動体が入口流路8eを通り、出口流路8fへ流れることとなる。
【0036】
バルブ装置6の上部には、開閉表示機器7が備えられている。
図2及び
図3に示すように、開閉表示機器7は、スピンドル11に外嵌されてスピンドル11とともに回転する筐体20と、筐体20の下部内側に収容可能とされる第一環状体50と、バルブ本体10のグランドナット9に固定される台座体60と、第一環状体50の内側に収容可能とされる第二環状体70とを備えている。なお、筐体20は、視認規制体30と外側円筒体40とで構成されている。
【0037】
視認規制体30は、スピンドル11の上部角柱部11aと嵌合される四角穴31aが設けられた円壁部31と、円壁部31の外端から上方へ延びる内壁部32と、内壁部32の上端から外側斜め下方へ延びる上壁部33と、上壁部33の外端から下方に延びる外壁部34とを有する。そして、上壁部33の一部には、開口孔35が形成されている。外壁部34の下端には、凹凸形状36が形成されている。
【0038】
外側円筒体40は、視認規制体30の外壁部34に内嵌される内嵌部41と、内嵌部41の外端を拡径して下方へ延びる外筒部42とを有する。内嵌部41の内周面には、内歯歯車40Dが形成されている。また、外筒部42の内周面には、雌ネジ部40Mが形成されている。そして、内嵌部41の外周面であって外筒部42の上端には、凹凸形状46が形成されている。そのため、外側円筒体40は、視認規制体30の凹凸形状36に対して凹凸形状46を噛み合わせることにより、視認規制体30と一体化することができる。
【0039】
第一環状体50は、外側円筒体40の外筒部42に収容される外環部51と、外環部51の上下方向中途部から下側を縮径した内環部52とを有する。外環部51の外周面には、雄ネジ部50Mが形成されている。また、内環部52の周方向の一部には、被案内部50Sが形成されている。被案内部50Sは、位相角が120°ごとの互いに等しい間隔となる3箇所に形成されている。
【0040】
台座体60は、バルブ本体10のグランドナット9と嵌合される六角穴61aが設けられた円柱部61を有する。円柱部61の上端面には、後述する自転歯車80の軸部82が挿通される軸孔部62が形成されている。また、円柱部61の下端面には、案内部60Sが形成されている。案内部60Sは、位相角が120°ごとの互いに等しい間隔となる3箇所に形成されている。そのため、台座体60は、第一環状体50の被案内部50Sに対して案内部60Sを挿通させることにより、第一環状体50と組み合わせることができる。
【0041】
第二環状体70は、バルブ本体10のハウジング8と嵌合される円環形状となっている。第二環状体70は、台座体60に隣接するようにハウジング8に固定される。ただし、第二環状体70は、ハウジング8ではなく台座体60に固定されていてもよい。また、第二環状体70は、ハウジング8又は台座体60に塗布されて形成されたペイント層であってもよい。あるいは貼付されて形成されたシール層であってもよい。
【0042】
さらに、開閉表示機器7においては、第一環状体50と第二環状体70の色彩が異なるという特徴を有している。開閉表示機器7においては、第一環状体50が緑色で第二環状体70が赤色となっている。これらの色彩は、色相を環状に配置した、いわゆる色相環において、対向する二色を採用するのが好ましい。色相環上における対向する二色は、補色又は反対色と呼ばれ、互いの色を目立たせる効果を奏する。なお、一般的にバルブ装置においては、赤色が閉弁側を表し、緑色が開弁側を表す。
【0043】
また、開閉表示機器7には、筐体20と第一環状体50とで螺動機構7M(
図2参照)が構成されている。螺動機構7Mは、筐体20の回転軸方向に第一環状体50を螺動可能とするものである。ここで、筐体20の回転軸方向とは、スピンドル11の回転軸方向と同義であり、換言すると、筐体20又はスピンドル11の中心軸CLに対して平行となる方向である。
【0044】
螺動機構7Mについて具体的に説明すると、筐体20の内周面(詳細には外筒部42の内周面)には、筐体20の回転軸(中心軸CL)を中心に、前述した雌ネジ部40Mが形成されている。雌ネジ部40Mは、ネジ山の断面形状が台形の、いわゆる台形ネジである。他方、第一環状体50の外周面(詳細には外環部51の外周面)には、筐体20の回転軸(中心軸CL)を中心に、前述した雄ネジ部50Mが形成されている。雄ネジ部50Mも、ネジ山の断面形状が台形の、いわゆる台形ネジである。そして、雌ネジ部40Mと雄ネジ部50Mが螺動自在に螺合されている。なお、雌ネジ部40Mと雄ネジ部50Mは、三角ネジや角ネジであってもよい。あるいはボールネジであってもよい。
【0045】
さらに、開閉表示機器7には、第一環状体50と台座体60とで摺動機構7S(
図2参照)が構成されている。摺動機構7Sは、筐体20の回転軸方向に第一環状体50を摺動可能とするものである。ここでも、筐体20の回転軸方向とは、スピンドル11の回転軸方向と同義であり、換言すると、筐体20又はスピンドル11の中心軸CLに対して平行となる方向である。
【0046】
摺動機構7Sについて具体的に説明すると、第一環状体50の内周面(詳細には内環部52の周方向の一部)には、筐体20の回転軸(中心軸CL)に対して平行に、前述の被案内部50Sが形成されている。被案内部50Sは、内環部52の内周面から外環部51の内周面まで断面円弧状に窪んだ部分である。他方、台座体60の下端面(詳細には円柱部61の下周面)には、筐体20の回転軸(中心軸CL)に対して平行に、前述の案内部60Sが形成されている。案内部60Sは、円柱部61の下端面から所定の長さまで下方に延びる断面円弧状の突出した部分である。そして、被案内部50Sと案内部60Sが摺動自在に嵌合されている。なお、台座体60の外周面(詳細には円柱部61の外周面)に断面円弧状に突出した部分を設け、これを案内部60Sとしてもよい。あるいはハウジング8の外周面に断面円弧状に突出した部分を設け、これを案内部60Sとしてもよい。
【0047】
このような構成により、
図4に示すように、レンチ5を用いてスピンドル11を一方へ回転させると(上方から見て時計方向:矢印A参照)、スピンドル11とともに筐体20も一方へ回転する(矢印B参照)。すると、螺動機構7Mと摺動機構7Sによって第一環状体50が上方へ移動し、徐々に筐体20の内側に送り込まれるので(矢印C参照)、第一環状体50による緑色の領域が減り、第二環状体70による赤色の領域が増えることとなる。反対に、
図5に示すように、レンチ5を用いてスピンドル11を他方へ回転させると(上方から見て反時計方向:矢印A参照)、スピンドル11とともに筐体20も他方へ回転する(矢印B参照)。すると、螺動機構7Mと摺動機構7Sによって第一環状体50が下方へ移動し、徐々に筐体20の外側に送り出されるので(矢印C参照)、第一環状体50による緑色の領域が増え、第二環状体70による赤色の領域が減ることとなる。
【0048】
そのため、使用者等は、第一環状体50と第二環状体70の露出量の差を即座に認識することができる。そして、第一環状体50と第二環状体70の露出量の差に基づいて開閉弁18の開閉状態を即座に認識することができる。すなわち、
図6(a)に示すように、第一環状体50による緑色の領域と第二環状体70による赤色の領域を比較して緑色の領域がかなり少なければ、第一環状体50の露出量Xと第二環状体70の露出量Yが数式:X<<Yの関係を満たすことを即座に認識できる。そして、この関係に基づいて開閉弁18が全閉状態あるいは全閉状態に近い状態であると即座に認識することができる。また、
図7(a)に示すように、第一環状体50による緑色の領域と第二環状体70による赤色の領域を比較して緑色の領域がかなり多ければ、第一環状体50の露出量Xと第二環状体70の露出量Yが数式:X>>Yの関係を満たすことを即座に認識できる。そして、この関係に基づいて開閉弁18が全開状態あるいは全開状態に近い状態であると即座に認識することができる。
【0049】
加えて、
図2及び
図3に示すように、開閉表示機器7は、台座体60によって回転自在に支持される自転歯車80と、筐体20の上部内側(詳細には視認規制体30の内側)に収容されて内歯歯車90Dを有する回転表示体90とを備えている。なお、回転表示体90の内歯歯車90Dと前述の外側円筒体40の内歯歯車40Dとは、互いに対して歯数が異なっている。
【0050】
自転歯車80は、外周面に歯体が形成された歯車部81と、歯車部81の中心から下方へ延びる軸部82とを有する。自転歯車80は、軸部82が台座体60の軸孔部62に挿通されることで、回転自在に支持される。自転歯車80は、位相角が120°ごとの互いに等しい間隔となる3箇所に配置されている。
【0051】
回転表示体90は、外側円筒体40の内嵌部41上に載置される側板部91と、側板部91の上端から内側斜め上方に延びる上板部92とを有する。側板部91の内周面には、内歯歯車90Dが形成されている。また、上板部92の上面には、開閉弁18の開閉状態を表す内容が付されている。開閉表示機器7においては、赤色の下地に『閉』の文字が表れた閉表示部92aと、緑色の下地に『開』の文字が表れた開表示部92bとが付されている(
図6及び
図7参照)。
【0052】
また、開閉表示機器7には、自転歯車80に噛合する外側円筒体40の内歯歯車40Dと、自転歯車80に噛合する回転表示体90の内歯歯車90Dと、自転歯車80とで差動回転機構7D(
図2参照)が構成されている。差動回転機構7Dは、スピンドル11の外部操作に応じて筐体20と回転表示体90とを差動回転可能とするものである。換言すると、筐体20を構成する視認規制体30と回転表示体90とを差動回転可能とするものである。
【0053】
差動回転機構7Dについて具体的に説明すると、外側円筒体40の内周面(詳細には内嵌部41の内周面)には、筐体20の回転軸(中心軸CL)を中心に、前述した内歯歯車40Dが形成されている。他方、回転表示体90の内周面(詳細には側板部91の内周面)には、筐体20の回転軸(中心軸CL)を中心に、前述した内歯歯車90Dが形成されている。内歯歯車40Dと内歯歯車90Dと自転歯車80は、歯筋が直線状の、いわゆる平歯車である。そして、外側円筒体40の内歯歯車40Dと自転歯車80が噛合され、回転表示体90の内歯歯車90Dと自転歯車80が噛合されている。
【0054】
差動回転機構7Dを有することにより、筐体20が回転すると、同じ方向ではあるものの筐体20の回転よりも速く回転表示体90が回転することとなる。つまり、差動回転機構7Dは、筐体20の回転運動を増速させて回転表示体90の回転運動に変換することができる(
図4及び
図5の矢印E参照)。
【0055】
このような構成により、
図4に示すように、レンチ5を用いてスピンドル11を一方へ回転させると(上方から見て時計方向:矢印A参照)、スピンドル11とともに筐体20も一方へ回転する(矢印B参照)。すると、筐体20を構成する外側円筒体40の内歯歯車40Dによって自転歯車80が回転し(矢印D参照)、自転歯車80を介して回転表示体90の内歯歯車90Dに回転動力が伝達される。そのため、回転表示体90が増速されて筐体20と同じ方向に回転することとなる(矢印E参照)。反対に、
図5に示すように、レンチ5を用いてスピンドル11を他方へ回転させると(上方から見て反時計方向:矢印A参照)、スピンドル11とともに筐体20も他方へ回転する(矢印B参照)。すると、筐体20を構成する外側円筒体40の内歯歯車40Dによって自転歯車80が回転し(矢印D参照)、自転歯車80を介して回転表示体90の内歯歯車90Dに回転動力が伝達される。そのため、回転表示体90が増速されて筐体20と同じ方向に回転することとなる(矢印E参照)。
【0056】
そのため、使用者等は、視認規制体30の開口孔35から目視可能な内容に基づいて開閉弁18の開閉状態を明確に認識することができる。すなわち、
図6(b)に示すように、視認規制体30の開口孔35に前述の閉表示部92aが表れた場合は、開閉弁18が全閉状態あるいは全閉状態に近い状態であると明確に認識することができる。また、
図7(b)に示すように、視認規制体30の開口孔35に前述の開表示部92bが表れた場合は、開閉弁18が全開状態あるいは全開状態に近い状態であると明確に認識することができる。
【0057】
加えて、
図6(a)に示すように、第一環状体50による緑色の領域と第二環状体70による赤色の領域を比較して緑色の領域がかなり少なく、かつ
図6(b)に示すように、視認規制体30の開口孔35に前述の閉表示部92aが表れた場合は、開閉弁18が全閉状態あるいは全閉状態に近い状態であることの明示について正確であるとの信頼感を付与することができる。また、
図7(a)に示すように、第一環状体50による緑色の領域と第二環状体70による赤色の領域を比較して緑色の領域がかなり多く、かつ
図7(b)に示すように、視認規制体30の開口孔35に前述の開表示部92bが表れた場合は、開閉弁18が全開状態あるいは全開状態に近い状態であることの明示について正確であるとの信頼感を付与することができる。
【0058】
さらに、開閉表示機器7においては、回転表示体90における内周側が突出したテーパ状の上板部92に開閉弁18の開閉状態を表す内容が付されており、視認規制体30における同じくテーパ状の上壁部33に設けられた開口孔35を通してその内容が目視可能となっているという特徴を有している。
【0059】
そのため、使用者等は、開口孔35に表れる開閉弁18の開閉状態を上方及び斜め上方からも容易に視認することができる。すなわち、
図6(a)(b)及び
図7(a)(b)に示すように、内周側が突出したテーパ状の上板部92に前述の閉表示部92a又は開表示部92bが付され、同じくテーパ状の上壁部33に設けられた開口孔35を通して閉表示部92a又は開表示部92bが目視可能となるので、使用者等が開口孔35に表れる開閉弁18の開閉状態を上方及び斜め上方から容易に視認することができる。
【0060】
最後に、開閉表示機器7は、透明カバー100を備えている。透明カバー100は、視認規制体30の内壁部32に内嵌される内蓋部101と、視認規制体30の上壁部33を覆う上蓋部102と、視認規制体30の外壁部34に外嵌される外蓋部103とを有する。このような透明カバー100により、視認規制体30の開口孔35から異物等が侵入することを防止できる。もちろん透明カバー100ごしに開口孔35に表れる開閉弁18の開閉状態を読み取ることができる。
【0061】
以上のように、バルブ本体10の開閉弁18におけるスピンドル11がレンチ5にて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置6用の開閉表示機器7は、スピンドル11に外嵌されてスピンドル11とともに回転する筐体20と、筐体20の下部内側に少なくとも一部が収容される第一環状体50とが備えられている。また、開閉表示機器7には、筐体20と、第一環状体50とで筐体20の回転軸(中心軸CL)方向に第一環状体50を螺動可能とする螺動機構7Mが構成され、第一環状体50と、バルブ本体10に固定される台座体60とで筐体20の回転軸(中心軸CL)方向に第一環状体50を摺動可能とする摺動機構7Sが構成されている。
【0062】
このような開閉表示機器7によれば、開閉弁18の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認できる。
詳述すると、本願発明に係る開閉表示機器7は、外形を形成する筐体20の下方に第一環状体50が配置されている。そして、レンチ5を用いてスピンドル11を外部操作すると、スピンドル11とともに筐体20が回転し、螺動機構7M及び摺動機構7Sによって第一環状体50が上下方向に移動する。すなわち、螺動機構7Mは、筐体20の回転運動を第一環状体50の上下方向への直線運動に変換するものであり、摺動機構7Sは、第一環状体50を上下方向に摺動可能かつ左右方向に回転規制するものであるので、筐体20の回転によって第一環状体50は回転することなく上下方向のいずれかに移動することとなる。具体的には、筐体20が上方から見て時計方向へ回転すると、第一環状体50は回転することなく上方へ移動し、筐体20が上方から見て反時計方向へ回転すると、第一環状体50は回転することなく下方へ移動することとなる。このため、本願発明の開閉表示機器7においては、筐体20の下方に配置された第一環状体50がスピンドル11の外部操作に応じて筐体20の内側に送り込まれたり筐体20の外側に送り出されたりする。したがって、使用者等は、第一環状体50を側方及び斜め下方から容易に目視でき、さらには第一環状体50の露出量に基づいて開閉弁18の開閉状態を認識することができる。換言すると、使用者等が開閉弁18の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認することができる。
【0063】
また、開閉表示機器7の螺動機構7Mは、筐体20に筐体20の回転軸(中心軸CL)を中心として形成された雌ネジ部40Mと、第一環状体50に同じく回転軸(中心軸CL)を中心として形成された雄ネジ部50Mとで構成されている。そして、雌ネジ部40Mと雄ネジ部50Mが螺動自在に螺合されている。
【0064】
このような開閉表示機器7によれば、簡素な構成でありながら確実に、筐体20の回転運動を第一環状体50の上下方向への直線運動に変換できる。つまり、螺動機構7Mは、筐体20の雌ネジ部40Mと第一環状体50の雄ネジ部50Mのみで構成されており、雌ネジ部40Mが回転すると雄ネジ部50Mがネジの送り作用によって上下方向に移動する単純な機構であるため、簡素な構成でありながら確実に、筐体20の回転運動を第一環状体50の上下方向への直線運動に変換することができる。
【0065】
また、開閉表示機器7の摺動機構7Sは、第一環状体50に筐体20の回転軸(中心軸CL)に対して平行に形成された被案内部50Sと、台座体60に同じく回転軸(中心軸CL)に対して平行に形成された案内部60Sとで構成されている。そして、被案内部50Sと案内部60Sが摺動自在に嵌合されている。
【0066】
このような開閉表示機器7によれば、簡素な構成でありながら確実に、第一環状体50を上下方向に摺動可能かつ左右方向に回転規制できる。つまり、摺動機構7Sは、第一環状体50の被案内部50Sと台座体60の案内部60Sのみで構成されており、被案内部50Sが案内部60Sに沿う上下方向にのみ移動を許される単純な機構であるため、簡素な構成でありながら確実に、第一環状体50を上下方向に摺動可能かつ左右方向に回転規制することができる。
【0067】
また、開閉表示機器7においては、第一環状体50の内側に少なくとも一部が収容される第二環状体70が備えられている。
【0068】
このような開閉表示機器7によれば、開閉弁18の開閉状態を容易に認識できる。つまり、スピンドル11の外部操作に応じて第一環状体50の露出量と第二環状体70の露出量が変化するため、使用者等が第一環状体50と第二環状体70の露出量の差に基づいて開閉弁18の開閉状態を容易に認識することができる。
【0069】
また、開閉表示機器7においては、第一環状体50が緑色で第二環状体70が赤色となっている。
【0070】
このような開閉表示機器7によれば、開閉弁18の開閉状態を即座に認識できる。つまり、第一環状体50の色彩と第二環状体70の色彩が異なるため、使用者等が第一環状体50と第二環状体70の露出量の差を即座に認識することができる。そして、第一環状体50と第二環状体70の露出量の差に基づいて開閉弁18の開閉状態を即座に認識することができる。
【0071】
また、開閉表示機器7においては、台座体60によって回転自在に支持される自転歯車80と、筐体20の上部内側に収容されて内歯歯車90Dを有する回転表示体90とが備えられている。また、筐体20が回転表示体90に付された開閉弁18の開閉状態を表す内容について所要部分以外の視認を規制する視認規制体30と、回転表示体90の内歯歯車90Dと歯数が異なる内歯歯車40Dを有する外側円筒体40とで構成されている。そして、自転歯車80に噛合する外側円筒体40の内歯歯車40Dと、自転歯車80に噛合する回転表示体90の内歯歯車90Dと、自転歯車80とで差動回転機構7Dが構成されている。
【0072】
このような開閉表示機器7によれば、開閉弁18の開閉状態を明確に認識できる。つまり、回転表示体90に付された開閉弁18の開閉状態を表す内容について所要部分のみが目視可能となるため、使用者等が開閉状態に関する内容を明確に認識することができる。そして、開閉状態に関する内容に基づいて開閉弁18の開閉状態を明確に認識することができる。
【0073】
加えて、前述の螺動機構7M及び摺動機構7Sを用いた構成と差動回転機構7Dを用いた構成とは、それぞれ異なる構成で独立して作動する。そのため、差動回転機構7Dを用いた構成を加えることで、開閉弁18の開閉状態について正確に示すことができる。つまり、スピンドル11の外部操作に応じて第一環状体50の露出量が変わる構成と、回転表示体90に付された開閉弁18の開閉状態を表す内容について所要部分のみが目視可能となる構成とを両立することにより、それぞれの構成による開閉弁18の開閉状態に関する内容が等しい場合に、使用者等に開閉弁18の開閉状態について正確に示すことができる。
【0074】
また、開閉表示機器7においては、回転表示体90における内周側が上方へ突出したテーパ状の上板部92に開閉弁18の開閉状態を表す内容が付され、視認規制体30における同じくテーパ状の上壁部33に設けられた開口孔35を通して内容が目視可能である。
【0075】
このような開閉表示機器7によれば、開閉弁18の開閉状態を上方及び斜め上方からも容易に視認できる。つまり、内周側が上方へ突出したテーパ状の上板部92に付された開閉弁18の開閉状態を表す内容について同じくテーパ状の上壁部33に設けられた開口孔35を通じて目視可能となるため、使用者等が開閉弁18の開閉状態を上方及び斜め上方からも視認することができる。
【0076】
また、バルブ本体10の開閉弁18におけるスピンドル11がレンチ5にて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置6は、開閉弁18の開閉状態を表示する開閉表示機器7が備えられている。開閉表示機器7は、スピンドル11に外嵌されてスピンドル11とともに回転する筐体20と、筐体20の下部内側に少なくとも一部が収容される第一環状体50とが備えられている。また、筐体20と、第一環状体50とで筐体20の回転軸(中心軸CL)方向に第一環状体50を螺動可能とする螺動機構7Mが構成され、第一環状体50と、バルブ本体10に固定される台座体60とで筐体20の回転軸(中心軸CL)方向に第一環状体50を摺動可能とする摺動機構7Sが構成されている。
【0077】
このようなレンチ式開閉バルブ装置6によれば、前述の開閉表示機器7に関する同様の効果を奏する。すなわち、使用者等は、第一環状体50を側方及び斜め下方から容易に目視でき、さらには第一環状体50の露出量に基づいて開閉弁18の開閉状態を認識することができる。換言すると、使用者等が開閉弁18の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認することができる。
【0078】
また、前述のレンチ式開閉バルブ装置6が備えられたバルブ付きボンベ容器1である。なお、前述のバルブ付きボンベ容器1は、流動体である気体や液体を貯蔵、運搬する際に用いられる密閉可能な中空体であり、工業用、医療用、燃料用等の用途を問わない。
【0079】
このようなバルブ付きボンベ容器1によれば、前述のレンチ式開閉バルブ装置6に関する同様の効果を奏する。すなわち、使用者等は、第一環状体50を側方及び斜め下方から容易に目視でき、さらには第一環状体50の露出量に基づいて開閉弁18の開閉状態を認識することができる。換言すると、使用者等が開閉弁18の開閉状態を側方及び斜め下方から容易に視認することができる。
【0080】
また、上部にスピンドル11を外部操作可能とする開口孔4aが設けられ、側部に第一環状体50を目視可能とする開口窓4bが設けられたボンベキャップ4を有する前述のバルブ付きボンベ容器1である。
【0081】
このようなバルブ付きボンベ容器1によれば、レンチ式開閉バルブ装置6を保護するボンベキャップ4を装着した状態で、スピンドル11を開口孔4aから外部操作できる。また、開閉弁18の開閉状態を開口窓4bから容易に視認できる。つまり、スピンドル11の外部操作に応じて露出量が変化する第一環状体50についてボンベキャップ4の側部に設けられた開口窓4bを通じて目視可能となるため、使用者等が開閉弁18の開閉状態をボンベキャップ4の開口窓4bから容易に視認することができる。
【0082】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明のバルブ付きボンベ容器はボンベ容器1に対応し、
以下同様に、
レンチ式開閉バルブ装置はバルブ装置6に対応し、
開閉表示機器は開閉表示機器7に対応し、
ハウジングはハウジング8に対応し、
バルブ本体はバルブ本体10に対応し、
筐体は筐体20に対応し、
視認規制体は視認規制体30に対応し、
外側円筒体は外側円筒体40に対応し、
第一環状体は第一環状体50に対応し、
台座体は台座体60に対応し、
第二環状体は第二環状体70に対応し、
自転歯車は自転歯車80に対応し、
回転表示体は回転表示体90に対応し、
螺動機構は螺動機構7Mに対応し、
雌ネジ部は雌ネジ部40Mに対応し、
雄ネジ部は雄ネジ部50Mに対応し、
摺動機構は摺動機構7Sに対応し、
被案内部は被案内部50Sに対応し、
案内部は案内部60Sに対応し、
差動回転機構は差動回転機構7Dに対応し、
外側円筒体の内歯歯車は内歯歯車40Dに対応し、
回転表示体の内歯歯車は内歯歯車90Dに対応するも、この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0083】
例えば、スピンドル11を上方から見て時計方向に回転させると、第一環状体50が下方へ移動し、スピンドル11を上方から見て反時計方向に回転させると、第一環状体50が上方へ移動してもよい。これは、筐体20の雌ネジ部40Mと第一環状体の雄ネジ部50Mを逆ネジとすれば実現できる。また、第一環状体50と第二環状体70の色彩は、緑及び赤に限定されなくてもよい。例えば、色相が異なる他の色彩であってもよいし、色相が同じであっても明度又は彩度が異なる色彩であってもよい。
【0084】
このような構成であったとしても、使用者等は、第一環状体50と第二環状体70の露出量の差を即座に認識することができる。そして、第一環状体50と第二環状体70の露出量の差に基づいて開閉弁18の開閉状態を認識することができる。
【0085】
さらに、第二環状体70を備えない構成であってもよい。
このような構成であったとしても、使用者等は、第一環状体50の露出量に基づいて開閉弁18の開閉状態を認識することができる。
【0086】
加えて、視認規制体30や回転表示体90、差動回転機構7Dを備えない構成であってもよい。
【0087】
このような構成であったとしても、使用者等は、前述の螺動機構7M及び摺動機構7Sを用いた構成によって開閉弁18の開閉状態を認識することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…ボンベ容器1
6…バルブ装置
7…開閉表示機器
8…ハウジング
10…バルブ本体
20…筐体
30…視認規制体
40…外側円筒体
50…第一環状体
60…台座体
70…第二環状体
80…自転歯車
90…回転表示体
7M…螺動機構
40M…雌ネジ部
50M…雄ネジ部
7S…摺動機構
50S…被案内部
60S…案内部
7D…差動回転機構
40D…内歯歯車
90D…内歯歯車