(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】反転流装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/431 20220101AFI20241010BHJP
B01F 23/41 20220101ALI20241010BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20241010BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20241010BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B01F25/431
B01F23/41
B01F23/45
B01F23/50
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2022530663
(86)(22)【出願日】2020-12-05
(86)【国際出願番号】 CA2020000132
(87)【国際公開番号】W WO2021108888
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-12-04
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522204658
【氏名又は名称】バウアー,ウォルター,ジェイコブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,ウォルター,ジェイコブ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516172(JP,A)
【文献】特表2016-536139(JP,A)
【文献】特許第4882024(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0175254(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0021868(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0008857(US,A1)
【文献】米国特許第04008072(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 17/04
B01F 23/00-80
B01F 25/00-90
B01F 35/50-53
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
そこを通って軸方向に延在するシャフト上に装着された一連の2つ以上の連続的なリングを有するチャンバーを備えた反転流装置であって、前記リングは空間によって分離されており、各リングは外周と、前記外周の1つの点から前記外周の別の点まで前記リングの中心を横切って延在する1つ以上のS字形状の部材とを備え、前記2つ以上の連続的なリングは、前記
反転流装置内の少なくとも1つ
のリングが前向き位置にそのS字形状の部材を有し、かつ前記
反転流装置内の少なくとも1つのリングが逆向き位置にそのS字形状の部材を有するようにツイスト構成で前記シャフトに沿って装着されている反転流装置。
【請求項2】
前記反転流装置は、1種以上の流体を受け取るための流入部と、前記1種以上の流体を処理するための前記チャンバーを含む処理部と、前記1種以上の流体を放出するための流出部とを有するハウジングを備える、請求項1に記載の反転流装置。
【請求項3】
前記
2つ以上のリングは金属または金属の組み合わせで作られている、請求項1および2のいずれか1項に記載の反転流装置。
【請求項4】
前記
2つ以上のリングはモリブデン(Mo)を含有するステンレス鋼で作られている、請求項3に記載の反転流装置。
【請求項5】
前記
2つ以上のリングは0.5重量%以上のモリブデン、1.0重量%以上のモリブデン、1.5重量%以上のモリブデンまたは3.0重量%~4.0重量%のモリブデンを含む合金で作られている、請求項1~4のいずれか1項に記載の反転流装置。
【請求項6】
流体溶液またはエマルションを処理するためのシステムであって、前記流体溶液またはエマルションの供給源と、請求項1~5のいずれか1項に記載の反転流装置とを備え、前記反転流装置
の流入部は前記供給源に動作可能に接続されているシステム。
【請求項7】
濾過装置、UV滅菌装置およびゼータ電位結晶発生装置のうちの少なくとも1つをさらに備え、前記反転流装置と、前記供給源と、前記濾過装置、前記UV滅菌装置および前記ゼータ電位結晶発生装置のうちの少なくとも1つとは互いに液体連通している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の複数の反転流装置を備える、請求項6~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
2種以上の流体の混合溶液または1種以上の流体と1種以上の固体との混合溶液を生成する方法であって、混合される前記2種以上の流体または混合される前記1種以上の流体および前記1種以上の固体を請求項1~5のいずれか1項に記載の反転流装置に通し、それにより前記混合溶液を生成する工程を含む方法。
【請求項10】
前記1種以上の流体は気体を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上の流体を任意に前記反転流装置の前または後に少なくとも1つの濾過システムに通す、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記気体は、窒素、酸素、二酸化炭素、オゾン、エタノール、メタノール、水素またはそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
層流を乱流に変換する方法であって、層流を有する流体を請求項1~5のいずれか1項に記載の反転流装置に通す工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は2種以上の溶液を混合するため、または1種以上の溶液と1種以上の溶質とを混合するための反転流装置ならびに混合された液体溶液を生成するシステムおよび方法に関する。本開示は、本開示の反転流装置によりエマルションを処理することにも関する。
【背景技術】
【0002】
現在市場にある静的ミキサーは、液体溶液の流れを切断して層流から乱流に変えるものではない。液体は部分的に層状のままであり、従ってそれらは真の新しい均質な混合物を生成する上で非効率的である。それらはデブリを回収するのを可能にする流れをほとんど有しないか全く有しないデッドスポットもそれらの中に有する。
【0003】
油エマルションは溶媒、超音波および/または熱蒸留抽出を用いて破壊される。分子間および分子内結合を破壊して水を油エマルションから分離するために熱、超音波または溶媒を必要としない装置を有することが有利である。
【発明の概要】
【0004】
本開示には2種以上の液体の混合物を得るため、あるいは1種以上の液体と1種以上の固体との混合物または1種以上の液体と1種以上の気体との混合物を得るための装置ならびに前記混合物の生成を可能にするシステムおよび方法が含まれる。
【0005】
一実施形態では、本開示は、そこを通って軸方向に延在するシャフト上に装着された一連の2つ以上の連続的なリングを有するチャンバーを備えた反転流装置であって、リングは空間によって分離されており、各リングは外周と、外周の1つの点から外周の別の点までリングの中心を横切って延在する1つ以上のS字形状の部材とを備え、2つ以上の連続的なリングは、本装置内の少なくとも1つリングが前向き位置にそのS字形状の部材を有し、かつ本装置内の少なくとも1つのリングが逆向き位置にそのS字形状の部材を有するようにツイスト構成でシャフトに沿って装着されている反転流装置を提供する。
【0006】
本開示の反転流装置の実施形態では、螺旋状装置は、1種以上の未処理の液体を受け取るための流入部と、1種以上の未処理の液体を処理するためのチャンバーを含む処理部と、処理された1種以上の液体を放出するための流出部とを有するハウジングを備える。
【0007】
本開示の反転流装置の実施形態では、1種以上のリングは金属または金属の組み合わせで作られている。
【0008】
本開示の反転流装置の実施形態では、リングはモリブデン(Mo)を含有するステンレス鋼で作られている。
【0009】
本開示の反転流装置の実施形態では、リングは、約0.5重量%以上のモリブデン、約1.0重量%以上のモリブデン、約1.5重量%以上のモリブデンまたは約3.0重量%~約4.0重量%のモリブデンを含む合金で作られている。
【0010】
本開示の反転流装置の実施形態では、その空間は15cm以下である。
【0011】
別の実施形態では、本開示は、液体溶液またはエマルションを処理するためのシステムであって、液体溶液またはエマルションの供給源と本開示の一実施形態に係る反転流装置とを備え、本反転流装置の流入部は供給源に動作可能に接続されているシステムを提供する。
【0012】
複数の実施形態では、本システムは濾過装置、UV滅菌装置およびゼータ電位結晶発生装置のうちの少なくとも1つをさらに備え、ここでは本反転流装置と、供給源と、濾過装置、UV滅菌装置およびゼータ電位結晶発生装置のうちの少なくとも1つとは互いに液体連通している。
【0013】
複数の実施形態では、本システムは濾過装置、UV滅菌装置およびゼータ電位結晶発生装置をさらに備え、ここでは本反転流装置、供給源、濾過装置、UV滅菌装置およびゼータ電位結晶発生装置は互いに液体連通している。
【0014】
複数の実施形態では、本システムは本開示の実施形態に係る複数の反転流装置を備える。
【0015】
別の実施形態では、本開示は、2種以上の液体の混合溶液または1種以上の液体と1種以上の固体との混合溶液を生成する方法であって、混合される2種以上の液体、または混合される1種以上の液体と1種以上の固体とを本開示の一実施形態に係る反転流装置に通し、それにより混合溶液を生成する工程を含む方法に関する。
【0016】
混合溶液を生成する方法の実施形態では、1種以上の液体は気体を含む。
【0017】
混合溶液を生成する方法の実施形態では、1種以上の液体を任意に本装置の前または後で少なくとも1つの濾過システムに通す。
【0018】
混合溶液を生成する方法の実施形態では、気体は、窒素、酸素、二酸化炭素、オゾン、エタノール、メタノール、水素またはそれらの組み合わせを含む。
【0019】
別の実施形態では、本開示は、層流を乱流に変換する方法であって、層流を有する液体を本開示の一実施形態に係る反転流装置に通す工程を含む方法に関する。
【0020】
別の実施形態では、本開示は、本開示の装置により処理された液体またはエマルションを提供する。
【0021】
別の実施形態では、本開示は、水中油型エマルションを破壊する方法であって、水中油型エマルションを本開示の反転流装置に通して処理された材料を得、それにより分離した水相および油相を生成する工程を含む方法に関する。
【0022】
水中油型エマルションを破壊する方法の一実施形態では、本方法は水中油型エマルションを熱分解して誘導体を得る工程をさらに含み、かつ本方法は水中油型エマルションの代わりにその誘導体を本反転流装置に通す工程を含む。
【0023】
水中油型エマルションを破壊する方法の別の実施形態では、水中油型エマルションは、油性廃水、石油原料または二次油回収系の一部である。
【0024】
別の実施形態では、本開示は、油を含有する液体溶液またはエマルションの粘度を下げる方法であって、油を含有する液体溶液またはエマルションを本開示の反転流装置に通して油を含有する液体溶液またはエマルションよりも低い粘度を有する処理された材料を得、それにより油を含有する液体溶液またはエマルションの粘度を下げる工程を含む方法に関する。
【0025】
別の実施形態では、本開示は、ケロゲン、長鎖炭化水素またはそれらの混合物を有する元の液体供給源の沸点を下げる方法であって、元の液体供給源を本開示の反転流装置に通して処理された材料を得る工程を含み、元の液体供給源の沸点は処理された液体の沸点よりも高いことを特徴とする方法に関する。
【0026】
別の実施形態では、本開示は、液体を分解する方法であって、液体を本開示の反転流装置に通して分解された液体を得る工程を含む方法に関する。
【0027】
液体を分解する方法の実施形態では、分解された液体は、その液体に対してより短い炭素鎖種を有するより多くの炭化水素を含有する。
【0028】
液体を分解する方法の実施形態では、本方法は溶媒を含んでいない。
【0029】
液体を分解する方法の実施形態では、液体はエマルション、石油原料または二次油回収系の一部である。
【0030】
別の実施形態では、本開示は、対象においてクローン病や神経障害を治療するか膝関節の炎症を軽減する方法であって、対象に本開示の反転流装置に通して処理された液体を投与する工程を含む方法に関する。
【0031】
別の実施形態では、本開示は、クローン病や神経障害の治療または関節の炎症の軽減のための、本開示の反転流装置に通して処理された液体の使用に関する。
【0032】
以下の図は、本開示の各種態様ならびに好ましい実施形態および他の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示の一実施形態に係る反転流装置の外側の斜視図。
【
図2】本開示の一実施形態に係る反転流装置の処理部の内部の斜視図。
【
図3】本開示の一実施形態に係る反転流装置のリング要素およびシャフトの斜視図。
【
図4】本開示の一実施形態に係る反転流装置のリング要素の正面図。
【
図5A】一実施形態に係る反転流装置内の7つのリングのセットアップの図。
【
図5B】
図5Aに示されている同じ反転流装置内の7つのリングのセットアップの一実施形態。
【
図6】本開示の一実施形態に係る反転流装置の側面図。
【
図7】本開示の一実施形態に係る反転流装置を備えたシステムを示す図。
【
図8】本開示の反転流装置により処理されたエマルションを含有する遠心管の写真。エマルションは廃棄物タンクの異なるレベルから採取された。左から1つ目の管の中の試料は廃棄物タンクの底にある円錐部分から採取され、左から4番目の管の中の試料は廃棄物タンクの上部から採取された。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される同じ意味を有する。また特に明記しない限り、特許請求の範囲以外での「または」の使用は「および」を含み、かつその逆もまた同様である。非限定的な用語は、明示的に定められているか文脈が明らかにそうでないことを示していない限り限定するものとして解釈されるべきではない(例えば、「~を含有する(含む)(containing)」、「~を含む(備える)(including)」、「~を有する(having)」および「~を含む(備える)(comprising)」は、典型的には「~を含むがそれらに限定されない」ことを示す)。限定用語の例としては、「~からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」が挙げられる。特許請求の範囲における「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(その)(the)」などの単数形は、特に明示的に指定しない限り複数の指示対象を含む。
【0035】
「流体」という用語は液体および/または気体を含む。
【0036】
「液体」という用語は、液体溶液および/またはエマルション(水中油型もしくは油中水型エマルション)および/または単一成分を含有する液体を含めるために使用される。
【0037】
本明細書で使用される「廃油」という用語は、化石燃料廃油、廃食用油およびそれらの混合物ならびに廃油を含有する溶液およびエマルションを含む。
【0038】
「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、疾患を治療することに関連して使用される場合、疾患および/またはそれに付随する症状を軽減または寛解する方法を指す。
【0039】
本開示の範囲を理解および準備するのを助けるために、以下の例示的かつ非限定的な例が提供されている。
【0040】
a.概略
本発明の静的反転流装置、本開示のシステムおよび方法は、液体の流れを層状から乱流に効率的に変換する。本発明の装置、本開示のシステムおよび方法は2種以上の液体の混合物または液体と固体との混合物または液体と気体との混合物を効率的に、かつ有毒な触媒または有害な添加剤または化学物質の使用を必要とすることなく生成する。いくつかの実施形態では、「混合物」という用語は、本開示の装置の生成物を指すために使用される。本システムおよびプロセスは、固定すなわち設置されたユニットまたは持ち運び可能なユニットに実装されていてもよい。また本発明のシステムは、水分配システムなどの既存の液体溶液分配システムに組み込まれていてもよい。いくつかの具体的な実施形態が記載されているが、本開示は図示されている実施形態に限定されず、かつさらなる実施形態も使用できることは明らかであろう。本開示の方法によって生成された液体混合物は、本明細書において以下に記載されているように様々な用途で非常に有効である。本開示の装置、システムおよび方法は、当該混合物を生成するために外部の空気または気体を必要としない。
【0041】
b.反転流装置
図1~
図6に示されている実施形態を参照すると、本開示の装置すなわち装置100は、1種以上の固体または気体を含むか含まない1種以上の液体(未処理の液体)を受け取るための流入部140と、当該混合物(1種類以上の処理された液体)を放出するための流出部150と、1種以上の固体を含むか含まない1種以上の液体を処理するため、または水中油型もしくは油中水型エマルションなどのエマルションを処理するための流入部140と流出部150との間にある処理部115とを有する装置100のハウジングまたは本体110を備える。例えば水道水は塩化物およびフッ化物を含有している可能性があり、廃棄物は水および油などを含有している可能性がある。本開示の装置すなわち装置100は可動部を有しないため、静的装置と呼ぶこともできる。
【0042】
複数の実施形態では、ハウジング110は実質的に管状の形態をなしている。入口部140および流出部150は各端部にねじ山のあるボス120および130を備えていてもよい。ハウジング110ならびにボス120および130は、好ましくは実質的に不活性材料で作られている。複数の実施形態では、そのような不活性材料の例としてポリ塩化ビニル(pvc)などのポリマーが挙げられる。
【0043】
本装置の処理部115は、ハウジング110の長手軸に沿って連続的に配置された一連のリング要素160を備え、かつ
図2、
図5A、
図5Bおよび
図6に示されているように螺旋状装置100の流入部と流出部との間に挟まれている。螺旋状装置100におけるリングの数はハウジング110の長さによって決まる。複数の実施形態では、2~30個の離間されたリング160を使用することができる。より長いハウジングでは30個超の離間されたリング160を使用することができる。各リング要素160はディスクの形態をなしていてもよい。複数の実施形態では、リング要素160は中心ロッドまたはシャフト190上に支持または装着されている。リング要素160は対向する側面または壁161、162と、リング要素160の外周163に沿った周壁または側壁とを備えていてもよい。リング要素160の1つの側面161は流入部に面しており、対向する側面162は本装置の流出部に面している。周壁163は、対向する剪断壁161と162との間に延在している。リング状要素160は互いに対して離間された関係で保持されていてもよい。要素160は空間170によって互いから分離されていてもよい。複数の実施形態では、要素160を分離する空間170は、ハウジング110の長さおよび/または直径によって異なってもよい。直径が大きくなるほど、および/または長さが長くなるほど、空間170をさらに長くすることができる。例えば8インチ(約20.32cm)以下の直径を有するハウジング110の場合、空間170は例えば約0.1インチ(約0.25cm)~約12インチ(約30.5cm)であってもよい。複数の実施形態では、この空間は約30cm以下である。複数の実施形態では、この空間は15cmまたは15cm未満である。60インチ(約152.4cm)の直径のハウジング110は8インチ(約20.32cm)を超える空間170を備えていてもよい。
図5Aおよび
図5Bは、同じ装置100におけるリング160の異なるセットアップを示す。
【0044】
複数の実施形態では、各要素160は、S字形状または蛇行形状をなしていてもよい少なくとも1つの湾曲した部材310を備えるか受け入れる。S字形状の部材310は、リング要素160の中心169を横切りながら要素160の外周163の1つの点から外周163の別の点まで延在しており、それにより1つのリング160のS字形状の部材310間に開口部311を作り出す。複数の実施形態では、各S字形状の部材310はエッジ167を備える。複数の実施形態では、複数の実施形態においてスカラップ設計を有するエッジ167は鋭い。各要素160は少なくとも1つのS字形状の部材310を備えていてもよい。複数の実施形態では、要素160は2つの共平面のS字形状の部材310を備える。また複数の実施形態では、要素160は3つ以上(すなわち、3、4および5つなど)のS字形状の部材を備えていてもよい。好ましくはS字形状の部材310を備えるディスク状要素はレーザー切断で作られている。
【0045】
各要素160は幅「a」を有する。複数の実施形態では、各ディスク状要素160の幅「a」は、2つの連続したリング要素160間の距離「b」の約半分またはそれ以下である。複数の実施形態では、各要素160の中心169は、シャフト180を受け入れるための開口部168を備える。
図3に示されているリング要素はシャフト180を受け入れるための開口部を示していないが、この例示は単なる例であり、シャフトを受け入れるために開口部は存在しなければならない。
【0046】
軸方向に連続的なリング160はロッド180に沿って配置されている。一実施形態では要素160は、少なくとも1つのリング160が前向き位置(310a)にそのS字形状の部材310を有し、かつ少なくとも1つのリングが逆向き位置(310b)にそのS字形状の部材を有する(すなわち少なくとも1つのリング要素は、本装置において別のリング要素に対して反転されている、すなわち逆さまになっている)ように、ツイストすなわち螺旋状構成でロッド180上に配置されている。
図2は、前向き位置(310a)にS字形状の部材310を有するリングの後に逆向き位置(310b)にS字形状の部材を有するリングが続いている交互パターンを示す。螺旋状構成で配置された部材310を有することは、入ってくる液体の流れを回転させ、かつ処理されている液体、溶液またはエマルションの流れを反転させることにより剪断力を増加させるのに役立ち、故に本開示の装置100を反転流装置と呼ぶことができる。但し当然のことながら、本開示はハウジング110内の少なくとも1つのリングが逆方向のS字形状の部材310を有する限り、同じ方向のS字形状の部材310を有する2つ以上のリングが互いに隣り合っている状況も包含する。
【0047】
複数の実施形態では、各リング160はハウジング110内の未処理の液体または流体の流れに実質的に垂直に配置されており、従って要素160は、ハウジング110を通るあらゆる直接的な液体または流体の流れを実質的に減少させ、その結果、液体または流体の流れはリング160のそれぞれにある開口部311を通過する。S字形状の部材310のツイスト構成により、リング160間の液体/流体の流れは乱流となり、各リング160にある開口部311の異なる断面積、リング160の幅およびリング160間の空間170により液体/流体をハウジング110を通るその通過時に加速および減速させて、ディスク160の表面を超える乱流を保証する。
【0048】
複数の実施形態では、リング160は単一の金属から製造されている。好ましくはリング要素160は耐食性金属で作られている。好ましくはリング要素は、316L、317Lまたは904Lなどの非磁性ステンレス鋼300シリーズあるいはモリブデン(Mo)を含有するあらゆるステンレス鋼から作られている。好ましくは要素160は、冶金の特性を最大化するのを助けるために、¥レーザー切断または機械切断されているか、あるいはウォータージェット切断などの非イオンプロセスで切断されている。
【0049】
複数の実施形態では、要素160は耐食性金属または約0.5重量%~約4重量%またはそれ以上のモリブデンを含有する合金で作られている。特定の実施形態では、当該要素は最大5重量%のモリブデンまたは最大10重量%のモリブデンを含有することができると考えられる。要素160は、316Lまたは317Lなどのステンレス鋼300シリーズ合金から作られていてもよく、また904Lから作られていてもよい。本教示の特定の態様によれば、300シリーズ合金は最小量のモリブデンを含む。特定の実施形態では、最小量のモリブデンは当該合金の総重量の約0.5重量%である。さらなる実施形態では、最小量のモリブデンは当該合金の総重量の3重量%または約4重量%超である。さらなる実施形態では、最小量のモリブデンは当該合金の総重量の4重量%超である。特定の実施形態では、要素160はステンレス鋼317Lまたは904Lから作られている。
【0050】
要素160の表面の少なくとも1つは、鋳造プロセスからの鍛造スケールを除去するために機械加工または研磨加工されていてもよい。特定の実施形態では、その表面は鍛造スケールを除去するために機械加工または研磨加工されていてもよく、他の実施形態では、その表面は鋳造プロセスからの鍛造スケールを除去するために機械加工または研磨加工されている。例えば特定の事例では、当該要素の厚さは機械加工および/または研磨加工により5/8インチから1/4インチ(約1.6cmから約0.6cmに)減少されており、それによりディスク状の金属のベアメタルが露出されている。
【0051】
モリブデンで活性化された液体生成システム
モリブデンは牛乳、チーズ、穀物、豆果、堅果、葉物野菜および内臓肉などの食物中に存在する必須微量ミネラルである。
【0052】
モリブデンはモリブデン欠乏のために最も使用されている。それは食道癌、他の種類の癌、ウィルソン病および他の病気のためにも使用されているが、これらの使用を支持するための良好な科学的証拠は存在しない。
【0053】
本開示のモリブデンで活性化された処理された液体は、液体中の油、酵素、フェノールおよび他の不純物を除去することにより表面を改良することができる。モリブデンで活性化された液体は、液体の溶解力を向上させ、かつバイオフィルムが表面に付着するのを防止するように働く新しい種類の滑剤を生成する。上記それらの効果の組み合わせは衛生化された表面/システムを作り出す。
【0054】
c.システム
本開示のシステムは様々な異なる実施形態で構築されていてもよく、2種以上の液体の混合物または1種以上の液体と1種以上の固体との混合物ならびに処理された液体の混合物を生成することに関連して用いてもよい。
【0055】
複数の実施形態では、本発明のシステムは本開示の少なくとも1つの装置100を備える。本システムは1つ、2つ、3つまたはそれ以上の本開示の装置100を備えていてもよい。2つ以上の装置100が含められている場合、装置100は隣り合わせで直列に配置されていてもよく、あるいは本システムの他の構成要素の間に交互になっていてもよい。別の実施形態では、本システムは液体供給源と、本開示の装置100を備えた治療モジュールとを備える。
【0056】
溶液およびエマルションを含む極性および非極性液体、親水性および親油性液体を本発明のシステムのための供給用液体または流体として使用し、かつ処理して混合物を生成するか処理された液体/エマルションまたは液体溶液またはエマルションを生成してもよい。従って供給源としては油、アルコール、水、溶媒、燃料、界面活性剤、ゲル、炭水化物、油廃棄物、石油、二次油回収物の一部および廃水など、あるいは油、アルコール、水、溶媒、燃料、界面活性剤、ゲル、炭水化物、油廃棄物、廃水のうちのいずれかの組み合わせの1つが挙げられる。
【0057】
図7を参照すると、システム600は複数の実施形態では任意の供給用液体前処理システム(図示せず)、本開示の装置100、任意に少なくとも1つの濾過装置660および任意のUV滅菌装置650を備える。装置100、フィルタ660およびUV滅菌装置650は互いに液体連通しており、かつ導管システムによって接続されている。導管システムとしては、例えばパイプ、ホース、管およびチャネルなどが挙げられる。
【0058】
水もしくは水道水、溶液、エマルション、油、アルコールおよび液体廃棄物などの供給用液体または供給用流体は、任意の好適な供給源(例えば蛇口、タンクまたは容器)から供給され、液体/流体は貯蔵所に貯蔵されていてもよく、あるいは任意の供給源から連続的または断続的に供給されてもよい。供給用液体の組成を試験してもよく、必要であればさらなるミネラルおよび他の成分を添加してもよい。また供給用液体は貯蔵所に保持する前または後に前処理システムにおいて処理して、デブリおよび油含有成分などの処理プロセスを妨害し得る望ましくない夾雑物を実質的に除去してもよい。
【0059】
供給用液体は液体貯蔵所に連続的または断続的に添加されてもよい。液体は混合プロセスを開始するのに十分な力および圧力で装置100を通って流すことができる。必要に応じてポンプを使用して前記力および圧力を生成してもよい。本実施形態では、液体は本開示のシステム600の装置100に向かって能動的にポンプで汲み出されてもよい。また液体は、水タービンまたはプロペラの前に水を処理するためのプルーム中に位置しているような受動システムを用いて放出されてもよい。
【0060】
別の実施形態では、次に処理された供給用液体を少なくとも1つの濾過装置660に通す。好ましい実施形態では、濾過装置660は細菌、ウイルスおよびシストなどを減少させるか実質的に排除する。当該技術分野で知られているあらゆる濾過装置を使用してもよい。濾過装置660としては限定されるものではないが、粒子フィルタ、チャコールフィルタ、逆浸透フィルタ、活性炭フィルタ、セラミック炭素フィルタ、蒸留器フィルタ、イオン化フィルタ、イオン交換フィルタ、紫外線フィルタ、バックフラッシュフィルタ、磁気フィルタ、エネルギーフィルタ、ボルテックスフィルタ、化学的酸化フィルタ、化学添加剤フィルタ、パイウォーターフィルタ、樹脂フィルタ、メンブレンディスクフィルタ、精密ろ過膜フィルタ、硝酸セルロース膜フィルタ、スクリーンフィルタ、篩フィルタまたは微多孔性フィルタおよびそれらの組み合わせが挙げられる。処理および濾過した液体は、使用および消費のために貯蔵または分配してもよい。
【0061】
少なくとも1つの濾過装置660に到達する前に、処理された液体を任意にゼータ電位結晶発生装置(図示せず)に通すことができる。高ゼータ電位結晶発生装置が当該技術分野で知られており、一般にスケール形成の防止または減少のために有用である。1つの公知の高ゼータ電位結晶発生装置はZeta Rod(商標)システムである。Zeta Rod(商標)システムは、細菌およびミネラルコロイドを液体システムにおいて電子的に分散させることによりに結晶のゼータ電位を上昇させ、生物付着およびスケールの脅威を排除し、かつ化学添加剤の使用を著しく減少させる。液体システム中のコロイドはコンデンサの構成要素となり、それらの自然な表面電荷の強力なブーストを受け、粒子相互作用を支配する二重層状態を変える。Zeta Rod(商標)システムはコロイド状材料および浮遊物質の分散を安定化させ、核形成および湿った表面へのスケールの付着を防止するため、ミネラルスケール形成が防止される。細菌は表面に付着するのではなくバルク流体中に分散されたままであり、栄養を吸収したり、粘液を形成するために複製したり、腐敗臭を生じさせたりすることができない。既存のバイオフィルムは過剰に水和し、結合強度を失い、かつ分散する。また生物付着、生物腐食およびスケール形成はZeta Rod(商標)システムによって阻止される。
【0062】
別の公知の高ゼータ電位結晶発生装置は、Porta Via Water Company社の子会社であるSterling Water Systems社によって製造されているSterling Water Anti-Scale Applianceである。水がSterling Water Anti-Scale Applianceを通過すると電流が水の中に放出され、それが水の表面張力を低下させ、スケールの形成および硬水スポットが現れるのを阻止する。スケール形成の阻止は処理された水のゼータ電位の上昇によるものであり、これはミネラル粒子が互いに遭遇するのを防止する。
【0063】
処理された液体または処理された流体は消費者に分配したり、貯蔵所などの貯蔵容器に貯蔵したりしてもよい。本実施形態では、貯蔵されていた処理された液体の分配前に、貯蔵されていた処理された液体を本開示の第2の装置に通してもよい。次いで1回または2回または3回などで処理された液体を使用および消費のために分配する。当然のことながら、本システムは1つ、2つまたは3つまたはそれ以上の装置(すなわち3、4、5、6、7、8、9、10個などの装置)を備えていてもよく、従って次いで3回またはそれ以上の回数で処理された液体を消費のために分配してもよい。
【0064】
c.乱流溶液を生成する方法
一実施形態では、本開示は、2種以上の液体を混合するか1種以上の液体と1種以上の固体とを混合して混合物を形成する方法に関する。本方法は一実施形態では、1種以上の供給用液体および/または1種以上の固体を本開示の装置に通し、それにより混合された液体を生成する工程を含んでもよい。
【0065】
本方法の1つの工程では、供給用液体を装置100に通してもよい。供給用液体は約3.2バールなどの好適な圧力で通してもよい。この圧力は約4バールであってもよく、最大圧力はおよそ20バールであってもよい。本開示の装置が有効となるための最小圧力は約1バールである。
【0066】
当該要素のための重要材料は、単一の金属、好ましくは耐食性金属、例えばステンレス鋼300シリーズ(例えば316Lおよび317Lなど)、またはステンレス鋼904L、好ましくMoを含有するはステンレス鋼から製造されていてもよい。
【0067】
本開示の装置には少なくとも2つの要素が存在してもよい。一実施形態では、小型装置では最低でも2つの要素が存在してもよい。
【0068】
その適用としては、全ての極性および非極性溶液の均質な混合が挙げられる。消毒のための水および列挙されている化学物質から、ガソリン、ディーゼル燃料、海洋油田までを含み、かつ全ての潤滑および燃焼油までも含む。
【0069】
本開示は、乱流を有する液体を生成する方法または層流を乱流に変換する方法にも関する。本方法は、層流を有し得る液体を本開示の装置に通し、それにより乱流を有する液体を生成する工程を含む。
【0070】
本開示は、本開示の装置により生成された液体、および本開示の装置により生成された乱流を有する液体にも関する。
【0071】
f.用途
本開示の本発明の装置および本開示のシステムを使用して細菌および微生物を排除し、かついくつかの液体システムにおける液体の全体的品質を高める。以下により詳細に説明されているこれらの液体システムとしては、限定されるものではないが、温水加熱機、冷水冷却機、飲料水システム、食品加工設備、分子精製、家庭用水濾過システム、衛生設備、軟水器、イオン交換体ならびに医療、歯科および産業用水供給ライン、蒸気支援重力排水(SAGD)および廃棄物管理などが挙げられる。
【0072】
温水加熱システム
複数の実施形態では、本開示の静的装置は各種温水加熱システムと一体化されている。予期せぬことに、本開示の静的装置と共に設けられた温水加熱システムによって処理された水は水中の細菌および微生物を排除し、それにより温水加熱システムの伝熱効率を高めることができるということを発見した。本発明のシステムから利益を享受する液体加熱システムとしては、限定されるものではないが、連続温水加熱機、ガス燃料式温水タンク型加熱機、電気式温水タンク型加熱機、温水タンクのための再循環式温水加熱システム、連続温水加熱機、地域暖房システム、床暖房システム、温水および/または蒸気を利用するか天然もしくは合成の熱油などの伝熱液体と組み合わせた熱交換器が挙げられる。
【0073】
冷水冷却システム
複数の実施形態では、本開示の静的装置は各種冷水冷却システムと一体化されている。予期せぬことに、本開示の静的装置と共に設けられた冷水冷却システムによって処理された水が冷却伝達効率を高めるということを発見した。冷水冷却システムとしては、限定されるものではないが、連続冷水冷却機、冷蔵庫、ガスおよび電気式蒸発器、冷却パッド、湿式膜蒸発器、蒸発冷却システム、地中熱冷却システム、湖もしくは河川水冷却システム、湖、地面、河川または海水のための熱交換冷却システム、地域冷房システム、再循環式冷却システム、床冷房システム、全ての型、構成およびモデルの冷却塔、ボイラの工業用冷却のための真空印加、製糖工場調理鍋、製紙工場、石油精製プラント、採掘プラント、石炭、ガス、油、バイオマスおよび原子力を含む発電所が挙げられる。
【0074】
本開示の静的装置は液体の物理的性質を変え、ゼータ電位を下げ、かつ水の粘度を下げる。
【0075】
飲料水システム
複数の実施形態では、本開示の静的装置は各種飲料水システムと一体化されている。本開示の静的装置が組み込まれているシステムにおいて処理された水は水の品質を高め、かつ水の味を向上させることができるということを発見した。飲料水システムとしては、限定されるものではないが、井戸、泉、池、湖および河川などが挙げられる。本開示の静的装置は液体の物理的性質を変え、ゼータ電位を下げ、かつ水の粘度を下げる。
【0076】
本開示の静的装置は水中の細菌および微生物を排除し、それにより各種配管システムにおけるバイオフィルムの形成を防止し、かつ水の味を向上させる。
【0077】
食品加工産業
予期せぬことに、本開示の静的装置によって処理された水が生鮮食品の貯蔵のために最小量の塩素(5ppm以下)の添加により消毒薬として機能することができるということを発見した。処理された水はバイオフィルムの形成を排除することが発見されたので、食品衛生および生産コストはより低くなり、貯蔵寿命はより短くなる。さらに、より低い水表面張力は処理された水の溶解力を高めるので、本開示の静的装置が組み込まれているシステムにおいて処理された水は、紅茶およびコーヒーからの油の収率を大きく高める。
【0078】
衛生用途
本開示の静的装置は、水泳プール、高圧洗浄機、洗車場、家庭用洗濯機、業務用洗濯設備、家庭用および業務用食器洗浄設備などの衛生システムと一体化させることができる。
【0079】
水処理用途
複数の実施形態では、本開示の静的装置は軟水器、イオン交換体、塩素、二酸化塩素、過酸化水素およびオゾンなどを利用する全ての膜およびフィルタシステムなどの水処理用途と一体化させることができる。
【0080】
医療産業
本開示の静的装置は医療システムと一体化させることができ、本システムはヒトおよび動物における体液の乱流を増加させるのに有用であり、かつ一般に入浴、スパおよび毎日の使用による皮膚治療、カルシウム取込みの向上、歯および病気の改善ならびに医療、歯科および工業用の送水管に関連する用途でも有用である。
【0081】
濾過なしに本開示の装置に通して処理された水は、ヒトの対象によって使用された場合に以下の結果:クローン病症状の50%超の減少、膝関節および筋肉関節の炎症の50%超の減少を示した。驚くべきことに、深刻な神経障害の50%超の減少および乾癬の改善は、本開示の装置により処理された水を対象が飲んでから14日以内に認められた。これは、ミネラルによる水の結晶化の変化が存在し、かつそれが動脈プラークの堆積も長期間減少させることを示している。より柔らかい保湿された皮膚ならびに湿疹および乾癬の減少が当該水でシャワーを浴びたり入浴したりした全ての人によって100%の確率で認められた。
【0082】
さらに組織の瘢痕が減少し、かつ皮膚の治癒が促進されたという文書化された追跡が存在する。
【0083】
家庭用水濾過システム
本開示の静的装置は一般家庭で使用することができ、かつ上に記載されているように当該技術分野で知られているあらゆる濾過装置と一体化させることができる。
【0084】
本開示の静的装置が組み込まれている装置、本開示のシステムおよび方法
本開示の方法、発生器およびシステムは、限定されるものではないが連続温水加熱機、ガス燃料式温水タンク型加熱機、電気式温水タンク型加熱機、温水タンクのための再循環式温水加熱システム、連続温水加熱機、地域暖房システム、床暖房システム、温水および/または蒸気を利用するか天然もしくは合成の熱油などの伝熱液体と組み合わせた熱交換器などの温水加熱システム;限定されるものではないが、連続冷水冷却機、冷蔵庫、ガスおよび電気燃料式蒸発器、冷却パッド、湿式膜蒸発器、蒸発冷却システム、地中熱冷却システム、湖もしくは河川水冷却システム、湖、地面、河川または海水のための熱交換冷却システム、地域冷房システム、再循環式冷却システム、床冷房システム、全ての型、構成およびモデルの冷却塔、ボイラの工業用冷却のための真空印加、製糖工場調理鍋、製紙工場、石油精製プラント、採掘プラント、石炭、ガス、油、バイオマスおよび原子力を含む発電所などの冷水冷却システム;限定されるものではないが、井戸、泉、池、湖および河川などの飲料水システム;コーヒーおよび紅茶などの食品加工用途;限定されるものではないが、水泳プール、高圧洗浄機、洗車場、家庭用洗濯機、業務用洗濯設備、家庭用食器洗浄機および業務用食器洗浄設備などの衛生システム;軟水器;イオン交換体;塩素、二酸化塩素、過酸化水素およびオゾンなどを利用する全ての膜およびフィルタシステム;入浴、スパおよび毎日の使用による皮膚治療システム;カルシウム取込みの向上;歯および病気の改善;ならびに医療、歯科および工業用の送水管;ならびにあらゆる家庭用水濾過システムなどの既存の装置および液体分配システムと共に使用するか、あるいはそれらに組み込むことができる。
【0085】
農場:
本開示の静的装置により処理された水を飲む乳畜および家禽などの動物は、より少ないアンモニアを含む(アンモニアが有機窒素に変換された)糞便を生成することができる。肥料は変化して安定化し、メタンまたは硫化水素を生成しない。
【0086】
水性塗料:
本開示の静的装置により製造された塗料は、より速い乾燥時間を示し、より少ない揮発性有機化合物を有し、より良好な接着により塗料消費が40%減少し、塗料は防カビ性を示し、塗料はより明るくなり、より滑らかに乾燥した。
【0087】
飲料工場:
本開示の静的装置を備えたシステムにより処理された液体は、飲料設備ボトル冷却トンネルにおいて1年超にわたってCIP(定置洗浄)の必要性にとって代わることができ、処理された水をコンベヤーに噴霧することにより数日中にバイオフィルムも除去した。
【0088】
鶏肉加工工場:
熱湯消毒器に本開示の静的装置を有するシステムにより処理された水を使用することにより、華氏3~5度の温度の低下を可能にした。鳥は注目すべきほどにより綺麗な状態で出てきた。
【0089】
鶏肉冷蔵装置に本開示に従って処理された水を使用することにより、鳥が同じ量の冷蔵よりも3度低い温度に達するのを可能にした。
【0090】
化学物質
本開示の装置を通して処理された化学物質は、測定可能な酸化還元電位(ORP)、持続性および測定可能な凝固および消毒においてより有効である。
【0091】
タンパク質粉末からの重金属の除去:
本開示の装置により処理された水は接触することで鉄、鉛、マンガンおよびヒ素などの重金属をタンパク質から分離する。その反応は実質的に瞬間的であり、清澄器または遠心分離器のいずれかにおいて使用することができる。
【0092】
得られる乾燥タンパク質材料は、処理水法に添加される場合、紅茶、コーヒー、果実濃縮物、薬剤、医薬品、澱粉、糖類、チョコレート混合物、全ての香料混合物およびひき肉を含む全ての食品などの、全ての乾燥飲料材料のために使用することができる。
【0093】
従って本開示の別の実施形態は、重金属をタンパク質粉末から除去/分離する方法であり、本方法は、タンパク質粉末を本開示のシステムにより処理された水のような液体と接触させ、それにより重金属をタンパク質粉末から除去/分離する工程を含む。
【0094】
また重金属をタンパク質粉末から除去/分離する本方法は、未粉砕のタンパク質含有材料を水のような本開示の装置を備えたシステムにより処理された好適な液体中に予浸する工程と、予浸した材料を乾燥させる工程と、タンパク質含有材料を粉砕する工程、例えば当該材料を70~100メッシュサイズに粉砕する工程と、粉砕したタンパク質含有材料を処理された液体中で再洗浄し、それにより粉砕したタンパク質含有材料から重金属を分離する工程とを含んでもよい。また本方法は、湿ったタンパク質含有材料を噴霧乾燥する工程と、乾燥させたタンパク質含有材料を再粉砕する工程と、乾燥させたタンパク質含有材料を再洗浄してより細かい重金属を分離する工程と、タンパク質含有材料を噴霧乾燥するか他の乾燥方法を使用する工程とを含んでもよい。ここに記載されている方法により得られたタンパク質は実質的に重金属を含んでいない。次いでそれにより分離した重金属を販売するか他の用途で使用してもよい。
【0095】
超消毒:
本開示の処理された水は、化学物質を添加するか添加することなくバイオフィルムの形成を防止し、かつ/またはそれを溶解することができる。
【0096】
空気消毒および濾過:
男性の小便器は、本開示の装置により処理された水で洗い流すか洗浄することができる。化粧室における尿のアンモニアは、男性の小便器において処理された水と接触させて有機窒素に変換し、従ってアンモニア蒸気を排除することができる。
【0097】
そこの水道水が本開示の装置により処理される建物において、ガラス、木材、タイル、金属などの全ての表面に付着するバイオフィルムを含む粉塵を減少させることができる。埃っぽく、かつクリーンな環境において屋内で、静電気を目に見えて大きく減少させる。ペットの毛は全く空気中に容易に浮遊することができないことが認められ、粉塵は常に均一なパターンで全ての空気フィルタ上に凝固した。
【0098】
アルコール製造:
ワインの発酵時間は、本開示の静的装置により処理された水の使用により50%超で減少させることができる。
【0099】
エタノールおよび/またはメタノールの生成のために必要とされるエネルギーを少なくすることができる。エタノールの生成に必要とされるエネルギーを最大約17%減らすことができる。
【0100】
本開示の処理された水をアルコールの希釈において使用する場合、それはアルコールの化学的特性を変化させ、より洗練されたより滑らかな味を生み出す。
【0101】
本開示の処理された液体溶液生成システムを使用して、酒、ウォッカ、スコッチ、ラム、ライウイスキー、ジン、ブランデー、コニャック、テキーラ、メスカル、ワインおよびビールなどのアルコール飲料を製造してもよい。
【0102】
製氷:
市販の製氷器Vogt(商標)は、より短い期間でより固い氷を作った。この機械は約17%より多くの氷を作った。
【0103】
水の加熱:
水はより少ないエネルギーで加熱されて乾燥し、最大約30%より速く表面から蒸発する。
【0104】
発電所用途:
蒸気もしくは火力発電所では、伝熱の向上、膜の生物付着防止および本開示の装置により処理された水のより高い潤滑性により、効率の向上を期待することができる。
【0105】
冷却水を用いた蒸気タービンを検討すると、それは冷却塔を用いた閉ループ式であってもよく、効率も大きく高められる。
【0106】
海上輸送:
本発明者らの水を用いて、本開示の処理された液体により船の船体での摩擦を減らすことができる。
【0107】
クリーニング装置:
本開示の静的装置は、高圧洗浄機、洗車場、洗濯屋、カーペットクリーニング、蒸気クリーニング、温水クリーニングに使用してもよい。
【0108】
他の用途としては、触媒を減らし、かつ油品質を高めるための植物油への水素ガスの注入、メタン生成のためのバイオリアクターにおける使用、廃水の好気条件による廃水中の塩化鉄(III)の除去および廃水の中性pH(現在これは肥溜めにおいて実証されており、食品製造設備において検証されている。それは再利用水による冷却トンネルにおいても検証された)が挙げられる。
【0109】
本開示の混合物は以下の商品に使用することができる:
【0110】
1)ボトル入りの水、炭酸水、オーデコロン、飲料水、発泡水、普通の水、フレーバーウォーター、氷河水、氷山水、ミネラルウォーター、スパークリングウォーター、化粧水、ビタミン強化水、ウォーターベッド、スパのための水、浴槽、渦流浴および水泳プール、家畜およびペット用の餌に使用するための水、野菜、植物、樹木、作物の灌漑に使用するための水、溶媒の製造に使用するための水、塗料の製造に使用するための水、タンパク質の精製に使用するための水、および洗剤の製造に使用するための水などの水および水関連の商品。
【0111】
2)牛乳、乳製品、無糖練乳、タンパク質強化牛乳、牛乳を含むココア飲料、果物を含有する牛乳飲料、チーズ、サワークリーム、粉ミルク、バター、クリーム、チーズスプレッド、大豆ベースのチーズ代替品、乳脂、ホイップクリーム、アイスクリーム、アイスクリームメーカー、大豆ベースのアイスクリーム代替品などの酪農製品。
【0112】
3)アルコール入りカクテル、アルコール入りコーヒー系飲料、アルコール入りクーラー、アルコール入り果実飲料、アルコール入りレモネード、アルコール入り麦芽系クーラー、ビール、アルコール入り紅茶系飲料、酒、ウォッカ、スコッチ、ラム、ライウイスキー、ジン、ブランデー、コニャック、テキーラ、メスカル、ワインなどのアルコール飲料。
【0113】
4)氷、角氷メーカー、アイスパック、工業用氷などの氷関連の製品。
【0114】
5)牛肉、豚肉、魚、鶏肉、凍結肉、燻製肉、缶詰め肉などの肉。
【0115】
6)処理済歯磨き粉、洗口液、歯科用フロス、歯科用ゲル、デンタルリンスおよび義歯洗浄剤などの歯科産業。
【0116】
7)洗眼剤、化粧品の製造に使用するための水、医薬品および薬用製品の製造に使用するための水などの製薬/化粧品産業。
【0117】
8)蒸気発生器、蒸気の製造に使用するための水、石油埋蔵地からの油の抽出に使用するための蒸気、蒸気支援重力排水サービスに使用するための蒸気などの蒸気。
【0118】
9)多目的クリーニング製剤、カーペットクリーニング製剤、蒸気滅菌および蒸気クリーニングのための水、衛生のための水、水性塗料などのクリーニング。
【0119】
10)防錆油、油井産業のために研磨剤と共に使用するための補助流体、ベビーオイル、バスオイル、植物油、鉱油および動物油、油処理に使用するための触媒、油井掘穿泥水のための化学添加剤、調理用油、油井およびガス井のための掘穿泥水、石油採掘のための掘穿泥水、食用油、燃料油、暖房用油、ガスおよび油産業のための高圧ウォータージェットシステム、工業用油、変圧器のための絶縁油、モーター油、モーター油添加剤、蝋燭の製造に使用するための油、化粧品の製造に使用するための油、塗料の製造に使用するための油、木材のための研ぎ油、ワセリン、ディーゼル燃料、航空燃料、燃料添加剤および家庭用暖房のための燃料などの油。
【0120】
11)タンパク質、食品添加剤として使用するためのタンパク質、食品充填剤として使用するためのタンパク質、栄養補助食品、水で処理された動物性および植物性タンパク質。
【0121】
本開示の混合物は、食品のための風味およびエキスを保存することができる。風味および香気などのカプセル化は、食品および飲料の外観を向上または変化させるように働くことができる。防腐剤として使用された場合、ビタミン、ミネラルおよびタンパク質の添加により天然の栄養価を復活させる。
【0122】
本開示の混合物を使用して、燕巣に存在する汚染物質を清掃および排除してもよく、例えば羽毛、真菌類、硝酸塩および亜硝酸塩などを除去してもよい。本開示の混合物は、燕巣の元の外観を維持しながらそのような夾雑物の手作業でより多くの燕巣を可能にし、かつその栄養およびエキスを保持することができる。
【0123】
本開示の装置は、廃水処理、水および下水道管理、水処理、食品衛生、カーペットクリーニング、建物クリーニング、おむつクリーニング、ドライクリーニング、毛皮クリーニング、宝石クリーニング、革クリーニング、ラグクリーニング、窓クリーニング、プールクリーニング、自動車(乗用車、トラック、バス、自転車およびオートバイなど)洗浄、列車洗浄、船洗浄、飛行機洗浄、油井およびガス井処理、石油精製、燃料処理および蒸気支援重力排水などのプロセスにも使用してもよい。
【0124】
本開示の静的螺旋状装置は、水を激しく剪断することにより背景技術において言及されている問題に対する洗練された新規な解決法を提供し、かつ連続的な混合ディスクの反転により物凄い乱れを生成し、デッドゾーンおよびデブリが混合装置それ自体の中に集まるのを防止する。
【0125】
13)廃棄物管理
複数の実施形態では、本開示の装置を使用して廃油の汚泥からの分離を容易にし、かつ再循環のために廃油および潤滑剤材料を回収する。本開示の装置により様々な水中油型エマルションを処理して油を回収することができる。本開示の装置により炭化水素および/または食用油を処理することができる。エマルション中の油および油汚染材料としては、工業用潤滑剤、汚染された油および水、自動車/モーター油、潤滑油および作動油が挙げられる。複数の実施形態では、回収された油は政府および環境規制された排出認可を満たしている。
【0126】
ポンプを使用して廃棄物タンクから得られた水中油型エマルションを1つまたは一連の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個から30個の本開示の装置に送ってもよく、またそれらは平行であってもよい。処理された油は水から分離された状態になり、再循環させるか廃棄物タンクに戻すことができる。複数の態様では、処理された油は油中水型エマルションである。
【0127】
この構成の目的は、連続的な流れで再循環させることなく処理して、それが最終目的地に到達するか再びタンクに配置されるまで懸濁液中に流体を維持することであり、そこではそれは比重に従って、底の沈泥、重油、水、最頂部の軽油に自己分離する。
【0128】
他の装置が必要とされなくてもよく、あるいは螺旋状静的ミキサーによる流体の激しい剪断による分離機能を行うことができる他の装置は存在しない。
【0129】
水中油型エマルションのポンプでの汲み出し前に、エマルションを加熱してその処理を助けてもよい。
【0130】
複数の実施形態では、必要であれば油水エマルションに応じて化学物質を使用して分離を支援してもよい。
【0131】
全ての油は多少の水を含有しており、故にこれは精製油、燃料、アルコール、エタノール、ディーゼルおよびバンカーC重油型燃料を含む全ての油の流れのためのものである。
【0132】
当該プロセスは油および燃料の脱硫にも使用することができる。
【0133】
14)粘度低下、水中油型エマルションの破壊および油の分解
油砂中のビチューメンなどの重油および油汚染溶液などの油の粘度を低下させることができる多くの方法が存在する。これは、油井から製油所までのビチューメンの輸送または油汚染溶液中の油の再循環を可能にするために必要であり得る。
【0134】
複数の実施形態では本開示の装置を使用して、液体材料中の油と液体材料中の他の成分との分子間結合を破壊することにより水中油型エマルションなどの油含有液体材料の粘度を低下させる。当該材料中の油と他の物質との結合を破壊することにより、液体材料は低い粘性になる。また当該材料中の油が経験し得る分解により、より小さい炭化水素鎖はより低い粘度を有する。
【0135】
複数の実施形態では、本開示は水中油型エマルションを破壊する方法に関する。本方法はあらゆる一般的な種類のあらゆる水中油型エマルションに適用してもよい。水中油型エマルションの例としては油含有廃水が挙げられる。また水中油型エマルションは二次油回収系の一部であってもよい。例えばプラントからの油性廃水を本開示の方法を用いて破壊して、油状廃棄物中の油を水から除去することができる。エマルションを破壊し、かつ油を水から除去するために、タンクに貯蔵されているエマルションを例えば容積式ポンプなどのポンプを使用して本開示の装置に送る。エマルションがあまりに密度が高い場合には、本装置に送る前に、あまり密度の高くないエマルション誘導体を得てもよい。水中油型エマルション誘導体を得るために元の水中油型エマルションを最初に熱分解してもよい(酸素が少ない環境において)。発生したフュームを水で失活させて乳化流体を得る。次いで、エマルション誘導体ともいう乳化流体を容積式ポンプなどのポンプにより本開示の装置に送る。次いでエマルションまたはエマルション誘導体を場合に応じて本開示の装置に通すかそれにより処理して処理された材料を得、それにより分離した水相および油含有相を生成する(
図8を参照)。処理された材料中の全てまたは実質的に全ての油が水から分離し、油を水から除去することができ、綺麗な水を廃棄し、油を再循環させるか油材料にとって環境に優しい方法で廃棄するのを可能にする。処理された材料は分離した別個の油相および水相を含む。処理された材料中の油相は純粋な油(すなわち約100%油)からなるか、実質的に油中水型エマルションの形態の純粋な油からなる。
【0136】
従って一実施形態では、本開示は水中油型エマルションを破壊する方法であって、水中油型エマルションまたは水中油型エマルションの誘導体を本開示の装置に通して処理された材料を得、それにより分離した別個の水相および油相を生成する工程を含む方法である。複数の実施形態では、本方法は処理された材料の油相を水相から分離する工程をさらに含んでもよい。
【0137】
分解または精製は、炭化水素鎖の長さの全体的減少、すなわちより重いより高沸点の石油画分をガソリン、燃料油およびガス油などのより高価値の製品に破壊または分解するプロセスである。複数の実施形態では、本開示の装置を使用して供給源に含有されている炭化水素を分解する。処理された油溶液またはエマルションは、プロセスを開始する前ならび対照試料に対してより長い炭素鎖を有する炭化水素の喪失前に、未処理の対照油溶液またはエマルションに対してより短い炭素鎖種を有するより多くの炭化水素を含有する。元の未処理の液体供給源の沸点は処理された液体の沸点よりも高く、それにより未処理の液体供給源の分解を示す。
【0138】
大部分の静的ミキサー設計は、分割または均質化のいずれかにより2種類以上の流体を混合するためのものである。本開示の装置は、主として分子剪断装置として設計されている。その設計は、分子間結合(弱い分子結合)および分子内結合(強い分子結合)の両方を破壊するのに十分な剪断強度をそれに与える。本開示の装置は、水油エマルションにより分子間および分子内結合の両方を破壊するための能力をはっきりと実証した。エマルション成分とは無関係に、分子間および分子内結合分離の両方が常に存在する。この分離により流体は首尾一貫して、比重によりその分離した成分になるか濾過可能な懸濁液になる。さらに、十分な処理時間および圧力を前提として、流体を比重流体タンク分離またはガスクロマトグラフ分析によって所望の分離まで処理することができる。例えば処理時間の長さおよび流体圧力によって、C40油をより小さい鎖に分解することができる。これにより当該混合物の粘度および化学組成の変化が生じる。これは、従来の静的ミキサーがこれまで達成できると思われてきたことをはるかに上回る。
【0139】
本開示の装置は、溶媒および/または熱蒸留抽出のいずれかを用いて油エマルションを破壊する既存のパラダイムを変える。この装置は、分子間および分子内結合を破壊し、かつ水を油エマルションから分離するために熱、超音波または溶媒を必要としない。本開示の装置は、従来の石油産業における炭素フットプリントを劇的に減少させることができるような油を水から分離する超低エネルギー方法である。それは低エネルギー精製と呼ぶことができる。エマルションを分離する際の温度は、周囲条件であった15℃~21℃の範囲であった。油水エマルションをポンプで汲み出すために、より少ないエネルギーが必要とされる。本発明者らの試験において本発明者らは、流体の粘度の低下によりポンピングエネルギーにおける50%超の減少を実証した。
【0140】
また、炭化水素またはフルオロカーボンあるいはまたペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)などのより難しい化合物により汚染されている水の処理では、この別個の水油エマルション分離なしでは、これらの複雑な化学物質を濾過または機械的に分離することは極めて難しい。
【実施例】
【0141】
この実施例は例示のために記載されており、本開示の範囲を限定するためのものではない。
【0142】
実施例1
これまでの実験において、この新しい静的装置は流れを層流から乱流に変換することにより、配管システムにおいてバイオフィルムを溶解することができた。水は濾過後であっても(9枚のフィルタの後であっても)乱流のままであり、これまでの水システム試験においてより速く流れる。本システム中の気体は流れ、すなわち流れの速度を促進し、かつ圧力を上昇させるより小さい気体構造に変換されているので、濾過において生物付着が完全に排除され、濾材全体が利用される。
【0143】
実施例2
ボトル入りの水および本開示の装置に通して処理されたボトル入りの水を、Breville(登録商標)電気ポットで沸騰させた。沸騰後に水を廃棄した。未処理のボトル入りの水ではミネラル堆積物をポットの底に認めることができる。処理済のボトル入りの水ではポットの底にミネラル堆積物は認められない。
【0144】
本開示の装置はゼータ電位を下げることにより結晶の形成を防止し、それにより結晶化を排除する。
【0145】
実施例3
石油精製産業は、廃棄物としてかなりの量の汚泥および釜残を生成する。原油貯蔵タンクは石油産業における全ての主要な作業において必須部分である。石油製油所は、乳化水および固体を含有する原油を受け取る。原油貯蔵タンクは繰り返し充填されて空にされるので、水および固体は汚泥として底に向かって沈殿する。数年間使用中であったタンクでは汚泥蓄積が数フィートの深さになり、製油所の原油貯蔵タンクにおいて空槽部容積が失われる結果となる。製油所汚泥廃棄物は有害廃棄物として分類されている。
【0146】
原油の固体含有量により、それらのタンクは原油から沈殿した固体でゆっくりと満たされるにつれて、長い年月の間に貯蔵容量を失う。従ってそれらのタンクは、それらの貯蔵容量を維持するために定期的なクリーニングを必要とする。タンクから原油を除去して空にし、次いで残留する堆積物およびタンクの壁に付着している残留物を高圧ウォータージェットで除去する。生じる生成物は、かなりの量の水含有量(30~60体積%のオーダー)、かなり高い粘度を有する油相、典型的には乳化相の存在、および高い固体含有量(10~40体積%のオーダー)を含有することを特徴とする。
【0147】
本開示の装置を使用して、汚泥および釜残からの廃油回収を最大化し、かつ有害廃棄物の体積を最小化することができる。
【0148】
方法論
釜残汚泥を熱分解する(酸素が少ない環境において)。発生したフュームを水で失活させて乳化流体を得る。
【0149】
乳化流体(約20,000ガロン)を容積式ポンプにより、1.5インチ(約3.81cm)の入口および出口取付サイズならびに2インチ(約5.08cm)の直径の本開示の本体装置に送る(25~30GPM)。次いで処理された油を乳化タンクに戻す。
【0150】
処理:
処理は以下の3つ、すなわち(1)流れ/圧力、(2)粘度修正、および(3)以下:
最上層:軽油および炭素鎖
(2)第2の層:水
(3)第3の層:より重い油
(4)第4の層:最も重い油
(5)第5の層:無機物(灰や沈泥など)
の比重重量の流体への分子間および分子内結合シフトの結果としての流体の分離を含む。5グラムの汚泥はフード下で燃焼することができなかった。他方、5グラムの処理された油は換気フード下で約2分燃焼した。燃焼後に3.4グラムが残り、それにより少なくとも1.6グラムの処理された油が揮発性物質を含んでいることを示した。
【0151】
図8の写真は水相からの油の分離を示す。図から分かるように本開示の装置は、タンクの最も粘性の汚泥である釜残における円錐部分から採取された試料であっても油を水から分離する。
【0152】
また油の粘度は、C40またはC20である炭素長とは無関係に低下した。ポンプの流れは15~21℃の温度で2倍以上であった。
【0153】
実施例4
神経障害および乾癬に罹患している対象は、家庭の全ての水道水が本装置によって処理されるように本開示の装置を自身の家に設置してもらった。これらの対象は2週間にわたって本開示の装置により処理された水を飲み、その水でシャワーを浴びた。2週間後、対象の神経障害および乾癬は改善した。これらの対象は現在では足の指に感覚があり(それらは麻痺していた)、自信の足指をコントロールできる。当該水でシャワーを浴びることにより、乾癬は2週間の治療後に60%超で減少した。
【0154】
上記開示は一般に本開示について説明している。状況が好都合であることを示唆するかを示し得る場合には、形態の変化および均等物の置換が考えられる。特定の用語が本明細書において用いられているが、そのような用語は記述的な意味で使用されることが意図されており、限定のためのものではない。本開示の他の変形および修正が可能である。従って修正または変形は、本明細書に添付されている特許請求の範囲によって定められている場合には、本開示の領域および範囲内であると考えられる。