(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】定量吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20241010BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20241010BHJP
B65D 47/42 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B65D47/20 200
B65D47/24 110
B65D47/42
(21)【出願番号】P 2018102990
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2017225390
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 精一
(72)【発明者】
【氏名】京極 悠佑
【合議体】
【審判長】岩谷 一臣
【審判官】長清 吉範
【審判官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197264(JP,A)
【文献】特開2014-69866(JP,A)
【文献】特開2011-178421(JP,A)
【文献】特開平10-218209(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175187(WO,A1)
【文献】特開2007-302309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を収容する液体容器と、前記液体容器の開口に対し進退移動により開閉動作する可動栓と、前記液体容器から供給された塗布液を計量する計量室と、前記可動栓の先端側に設けられ、前記計量室により計量された塗布液を塗布する塗布部とを備える定量吐出容器であって、
前記可動栓は、前記液体容器と前記計量室の間を閉塞可能な隔壁と、該隔壁から前記液体容器の液体室に向かって延びる板リブが形成され
ることで、液体容器と前記計量室の間を閉塞可能な前記隔壁よりも、液体容器の液体室側に位置するリブ部とを有し、前記リブ部は、前記液体容器の開口から該液体容器側に挿入され、開口部内に進退自在に設けられているとともに、周方向に略分割された流路を形成
し、
前記可動栓を覆う状態で前記液体容器に装着可能なキャップを備え、
前記キャップは、内部に筒状の蓋部を有し、
前記キャップを閉めた際、前記可動栓により前記液体容器の開口が密封され、前記蓋部により前記可動栓の全体が密封されるとともに、前記キャップは、内部に係止爪を有し、
前記キャップを締めた際、前記可動栓の周面に形成された係止溝に前記係止爪が係止し、前記キャップを外すことにより、前記係止爪が前記可動栓を引き出すことを特徴とする定量吐出容器。
【請求項2】
前記可動栓が内部を進退移動するとともに、前記可動栓の周りを覆って該可動栓の外周面との間で前記計量室を形成するシェル部を備え、
前記シェル部は、前記液体容器の外周面に周方向に沿って形成されたリング状突起に対し乗り越えて係合する複数の突起爪を有し、
前記突起爪は、該突起爪よりも肉薄に形成されたヒンジ部に支持され、前記ヒンジ部とともに前記液体容器のリング状突起を乗り越えた状態で、シェル部に形成された複数の窓部に、前記リング状突起が係止することを特徴とする請求項
1に記載された定量吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定量吐出容器に関し、特に容器に貯留された塗布液から所定量を計量し、計量した塗布液を吐出する定量吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、毛髪剤や化粧液、もしくは洗浄液などの塗布液を容器本体に収容し、容器本体の開口部に装着された中栓の構造を工夫することにより、塗布液の吐出量を制御できるようにした吐出容器が提供されている。
例えば特許文献1には、容器本体の開口部にバネ弁が装着され、前記開口部を覆う塗布部に加わる圧力に応じて、前記バネ弁の開弁量が制御されるようにした吐出容器が開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された吐出容器によると、被供給箇所(被塗布部)に対する前記塗布部の押し当て力を使い分けることで、塗布液の吐出量を調整することができる。
しかしながら、前記したバネ弁による液量の吐出制御は必ずしも安定せず、時には想定以上の過剰な塗布液の吐出を招くなど、使い勝手が悪いという課題がある。
【0004】
このような課題を解決するものとして特許文献2には、容器中で予め計量した塗布液を被供給箇所(被塗布部)に注出することのできる計量注出容器が開示されている。
図31に、特許文献2に開示された計量注出容器の側面図(キャップを締めた状態)を一部断面にして示し、
図32にキャップを外した状態の断面図を示す。
図31に示す計量注出容器60は、塗布液を収容する容器部61と、前記容器部61に収容された塗布液を注出する注出ユニット62と、注出ユニット62を覆うように前記容器部61に装着可能なキャップ63とを備える。
【0005】
前記注出ユニット62は、
図32に示すように、容器部61の上部開口の内側に嵌入されるとともに先端側が弾性体により形成された弾性弁部材64と、弾性弁部材64の先端側周囲を覆うとともに、弾性弁部材64の後部側に設けられた凹部流入孔64aを後端部の進退により開閉可能な筒型の可動栓65と、可動栓65の後部側周囲を覆うように設けられ、所定量の塗布液を収容可能なシェル部66とを有する。シェル部66の下端部は、容器部61の上部開口に対し、その外側を覆うように嵌合している。
【0006】
前記弾性弁部材64は、前記凹部流入孔64aより先端側に設けられた固定ピストン部64bと、前記固定ピストン部64b先端に設けられ、容器軸方向に伸縮自在な樹脂バネ部64cと、樹脂バネ部64c先端に設けられた弁部64dとを有する。これらは図示するように前記筒状の可動栓65によって周囲を覆われている。
【0007】
また、前記筒状の可動栓65は、その内周面が前記固定ピストン部64bの外周面に摺接しながら容器軸方向に沿って移動可能とされている。また、前記可動栓65の側面には、前記シェル部66内の塗布液を可動栓65内に移動させるための流入孔65aが形成されている。この流入孔65aは、可動栓65の移動位置によって開閉され、
図32の状態にあっては、閉状態を示している。
【0008】
また、可動栓65の先端は外界に露出するとともに、塗布液の注出口65bが形成され、この注出口65bに対し前記弁部64dが進退移動することにより開閉可能となされている。前記弁部64dの側部には、塗布液を注出するための溝部64d1が形成されており、注出口65bの開時には前記溝部64d1を介して塗布液が注出されるようになっている。
また、
図31に示すように、キャップ63の内側には、可動栓65のリップ65dに係合するリブ63aが設けられている。
【0009】
このように構成された計量注出容器60において、
図31に示すようにキャップ63を装着した状態からキャップ63を取り外すと、
図32に示すように可動栓65が引き上げられ、塗布液を収容する容器部61と、シェル部66内とを繋ぐ流入孔64aが形成される。この状態で計量注出容器60の先端側を下方に向けると、シェル部66内に塗布液が所定量供給される。即ち、塗布液がシェル部材66内に収容されることによって計量される。
【0010】
次いで、計量注出容器60の先端側を下方に向け、可動栓65を被供給部(被塗布面)に当てて押し込むと、
図33(a)に示すように可動栓65の後端部により流入孔64aが閉じられ、可動栓65の流入孔65aが開いて、シェル部66内の塗布液が可動栓65内に移動する。また、このとき弁部64dは、可動栓65の先端の注出口65bを閉じた状態となっている。
さらに突出した弁部64dを被供給部(被塗布面)に当てて押し込むと、
図33(b)に示すように可動栓65に対し弁部64dが押し込まれ、弁部64dの溝部64d1を介して可動栓65内の塗布液が注出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2006-123305号公報
【文献】特開2013-67436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2に開示された計量注出容器60にあっては、塗布液を収容する容器部61と、シェル部66内とを繋ぐ流路(流入孔64a)が開かれたとき、その流路は周方向に一続きとなっている部分があるため、流路を完全に塞ぐ液膜が形成されやすく、液膜が形成された場合には、容器を逆さにしても、前記液膜によって塗布液が計量室に流入しないという課題があった。
【0013】
また、特許文献2に開示された計量抽出容器60にあっては、キャップ63を閉めた際、容器部61の密閉を可動栓65のみで行っており、気密信頼性が高いとは言い難かった。
【0014】
また、特許文献2に開示された計量注出容器60にあっては、樹脂バネ64cの形状が軸方向に波線状に延びる形状であり、荷重の調整が難しいという課題があった。また、樹脂バネ64cは軸線上に配置されるため、塗布液の通過がスムーズにならないという課題があった。
【0015】
さらには、キャップ63での可動栓65の持ち上げを、アンダーカットにより形成されたリブ突起同士の係合、即ちキャップ側周縁部に形成された内側リブ突起と、可動栓の周面に形成された外側リブ突起とを係合させていたが、係合力及びアンダーカット位置の要求精度が高く、量産性が下がってしまうといった課題があった。
【0016】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、液体容器内から塗布液を計量室で計量し、計量した塗布液を吐出する定量吐出容器において、前記液体容器から前記計量室への液の流れを確実にするとともに、キャップを締めた際の容器内の気密性を向上し、信頼性を向上することのできる定量吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記した課題を解決するために、本発明に係る定量吐出容器は、塗布液を収容する液体容器と、前記液体容器の開口に対し進退移動により開閉動作する可動栓と、前記液体容器から供給された塗布液を計量する計量室と、前記可動栓の先端側に設けられ、前記計量室により計量された塗布液を塗布する塗布部とを備える定量吐出容器であって、前記可動栓は、前記液体容器と前記計量室の間を閉塞可能な隔壁と、前記隔壁から液体容器の液体室に向かって延びる板リブが形成されることで、液体容器と前記計量室の間を閉塞可能な前記隔壁よりも、液体容器の液体室側に位置するリブ部とを有し、前記リブ部は、前記液体容器の開口から該液体容器側に挿入され、開口部内に進退自在に設けられているとともに、周方向に略分割された流路を形成することに特徴を有する。
尚、前記可動栓を覆う状態で前記液体容器に装着可能なキャップを備え、前記キャップは、内部に筒状の蓋部を有し、前記キャップを閉めた際、前記可動栓により前記液体容器の開口が密封され、前記蓋部により前記可動栓の全体が密封されるとともに、前記キャップは、内部に係止爪を有し、前記キャップを締めた際、前記可動栓の周面に形成された係止溝に前記係止爪が係止し、前記キャップを外すことにより、前記係止爪が前記可動栓を引き出すことが望ましい。
また、前記可動栓が内部を進退移動するとともに、前記可動栓の周りを覆って該可動栓の外周面との間で前記計量室を形成するシェル部を備え、前記シェル部は、前記液体容器の外周面に周方向に沿って形成されたリング状突起に対し乗り越えて係合する複数の突起爪を有し、前記突起爪は、該突起爪よりも肉薄に形成されたヒンジ部に支持され、前記ヒンジ部とともに前記液体容器のリング状突起を乗り越えた状態で、シェル部に形成された複数の窓部に、前記リング状突起が係止することが望ましい。
【0018】
このように本発明の構成によれば、液体容器の開口部側へ、可動部材が有するリブ部が入り込み、液体室から計量室への流路が形成されるとともに、該流路は板リブによって周方向に略分割される。これにより、該流路に液膜が形成されにくくなり、例え液膜が形成されるとしても、流路が複数に分割されているため、液膜形成領域を一部に留め、流路を確保することができる。
また、キャップ内に蓋部材を設け、キャップを閉めた際、蓋部材により可動栓を密封する構成としたため、可動栓による液体容器の密封に加えて二重のシール構造とすることにより、気密信頼性を向上し、塗布部における内容液の揮発による結晶発生を抑制することができる。
更には、キャップ内に係止爪を設け、キャップを閉めた際、係止爪が可動栓の先端側外周面に形成された係止溝に係止するスナップフィット構造としたことによりキャップを外した際に、確実に可動栓を引き出すことができる。また、係止爪による係止構造であるため、アンダーカットによる係止構造よりも、製造時の嵌合調整を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液体容器内から塗布液を計量室で計量し、計量した塗布液を吐出する定量吐出容器において、前記液体容器から前記計量室への液の流れを確実にするとともに、キャップを締めた際の容器内の気密性を向上し、信頼性を向上することのできる定量吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明に係る定量吐出容器の第1の実施の形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の定量吐出容器において、キャップを外した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の定量吐出容器のキャップを外した状態の断面図である。
【
図5】
図5(a)は栓部材の斜視図であり、
図5(b)は栓部材の断面図である。
【
図6】
図6(a)は、第1可動栓を後端側から見た斜視図であり、
図6(b)は、第1可動栓を先端側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、吐出ユニットを一部破断して示す斜視図である。
【
図8】
図8(a)はシェル部の斜視図であり、
図8(b)はシェル部の断面図である。
【
図9】
図9(a)は、第2可動栓の斜視図であり、
図9(b)は、第2可動栓の断面図である。
【
図11】
図11(a)は、キャップ側に取り付けられるスナップ部材の斜視図であり、
図11(b)は、スナップ部材の断面図である。
【
図12】
図12(a)は、第2の蓋部材の斜視図であり、
図12(b)は、第2の蓋部材の断面図である。
【
図13】
図13(a)、(b)は、定量吐出容器の動作を説明するための断面図である。
【
図14】
図14(a)は、キャップ側に取り付けられるスナップ部材の変形例を示す斜視図であり、
図14(b)は、そのスナップ部材の断面図である。
【
図16】
図16は、
図15のキャップを取り付けた定量吐出容器を一部拡大して示す断面図である。
【
図17】
図17は、本発明に係る定量吐出容器の第2の実施の形態の斜視図である。
【
図22】
図22(a)は、第1可動栓を後端側から見た斜視図であり、
図22(b)は、第1可動栓を先端側から見た斜視図である。
【
図23】
図23は、吐出ユニットを一部破断して示す斜視図である。
【
図25】
図25(a)、(b)は、シェル部の一部拡大断面図である。
【
図26】
図26(a)は、第2可動栓の斜視図であり、
図26(b)は、第2可動栓の断面図である。
【
図28】
図28(a)は、キャップ側に取り付けられるスナップ部材の斜視図であり、
図28(b)は、スナップ部材の断面図である。
【
図29】
図29(a)は、第2の蓋部材の斜視図であり、
図29(b)は、第2の蓋部材の断面図である。
【
図30】
図30(a)、(b)は、定量吐出容器の動作を説明するための断面図である。
【
図31】
図31は、従来の計量注出容器の側面図(キャップを締めた状態)を一部断面にして示す図である。
【
図33】
図33(a)、(b)は、
図17の計量注出容器の動作状態を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る定量吐出容器の第1の実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1の定量吐出容器において、キャップを外した状態の斜視図を示している。また、
図3は、
図1の定量吐出容器の断面図であり、
図4は、キャップを外した状態の断面図である。
図示するように、定量吐出容器1は、塗布液を収容する液体容器2と、その先端側に設けられた吐出ユニット3と、吐出ユニット3を覆うとともに前記液体容器2に対し着脱自在に装着可能なキャップ4とを備える。本発明において、キャップ4の係合方式は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては螺合式としている。即ち、図示するように液体容器2の先端側周面には、ねじ溝2aが形成され、対するキャップ4の内周面には、前記ねじ溝2aに係合する突条部4aが形成されている。
【0022】
図3、
図4に示すように、前記液体容器2は、塗布液を多量に収容可能な液体室R1を有し、その先端には開口部2bが形成されている。
前記開口部2bには、栓部材5が嵌入される。
図5(a)は栓部材5の斜視図であり、
図5(b)は栓部材5の断面図である。栓部材5は、外周面が液体容器2の開口部2bの内周面に密着し嵌合する外筒部5aと、外筒部5aの内側に設けられ、
図3、
図4に示すように第1可動栓6が進退自在に挿入される内筒部5bとを有する。
【0023】
ここで、
図6(a)は、前記第1可動栓6を後端側から見た斜視図であり、
図6(b)は、第1可動栓6を先端側から見た斜視図である。この第1可動栓6は、液体容器2内の液体を吐出ユニット3側へ流すか否かを制御するためのバルブである。前記第1可動栓6は、一端に開口6a1を有し他端に底部6a2を有する筒部6a(隔壁)と、前記底部6a2の裏側に形成された十字状のリブ部材6bとを有する。また、前記筒部6aの外周面には周方向に沿ってリング状突起6a3が形成されている。
【0024】
前記リブ部材6bは、液体容器2の開口部2b内に挿入された状態で配置される。また、容器軸6b1から四方に放射状に板リブ6b2、6b3、6b4、6b5が立設されており、これにより液体容器2からの液の流路を周方向に略4分割するようになっている。
【0025】
即ち、
図7の一部破断した斜視図に示すように、(液体容器2の開口部2bの内周面に密着し嵌合する)内筒部5b内に前記リブ部材6bが進退自在に設けられており、板リブ6b2~6b5によって仕切られた空間が液体容器2から吐出ユニット3側(後述する計量室R2側)への液体流路となる。
ここで、液体流路は十字状のリブ部材6bによって周方向に略分割されているため、液膜が形成され難く、液体の流れをスムーズに保つことができる。また、例え、1つの分割された流路に液膜が張られても、他の流路により塗布液を流すことができる。
【0026】
図8(a)はシェル部8の斜視図であり、
図8(b)はシェル部8の断面図である。シェル部8は、液体容器2の先端開口周囲を覆うようにして液体容器2の先端に取り付けられる。また、その内部には所定量の塗布液を収容可能な計量室R2となる空間が形成される。計量室R2は、シェル部8に形成されたドーム部8bの内側に設けられる。また、シェル部8の先端側は筒状部8cが形成され、その内周面により前記第1可動栓6に連結される第2可動栓7を摺動自在に支持するようになっている。
図8(b)の一部拡大図に示すように筒状部8cの内周側下端には、第2可動栓7を係止するためのリング状突起8dが形成されている。
【0027】
図3、
図4に示すように、前記シェル部8の段差部8a内側には、栓部材5の外筒部5aの先端5a1が嵌合する。また、シェル部8の後端側内周部が液体容器2の先端側外周部に嵌合しているため、シェル部8と栓部材5と液体容器2との位置関係は固定されている。
【0028】
図9(a)は、第2可動栓7の斜視図であり、
図9(b)は、第2可動栓7の断面図である。第2可動栓7は、後端側に設けられた第1筒部7aと、前記第1筒部7aよりも小径に形成された第2筒部7bとを有する。前記第1筒部7aは第1可動栓6との連結部となり、その先端側は小径の第2筒部7bが続くため段差部7cが形成されている。前記段差部7cの外周縁にはリング状突起7c1が形成されている。
【0029】
また、前記第1筒部7aの内周面には、
図9(b)に示すように、第1可動栓6側と係合するためのリング状突起7a1が形成されている。即ち、前記第1可動栓6の筒部6aは、前記第1筒部7aに挿入され、前記筒部6aの外周面に形成されたリング状突起6a3が、前記リング状突起7a1を乗り越えて嵌合するようになっている。また、このとき、前記筒部6aの先端部が、前記段差部7cに係止し、第1可動栓6と第2可動栓7とが連結されるようになっている。
【0030】
また、前記第2可動栓7の第2筒部7bにおいて、その周面には、周方向に沿って複数(図示するように例えば4つ)の液体流入孔7b1が形成されている。
また、前記第2筒部7bの先端部には、液体吐出孔7b2が設けられている。この液体吐出孔7b2を含む第2筒部7bの先端側は、シェル部8における筒状部8cの内周面により容器軸方向に摺動自在に支持される。即ち、可動栓6、7は、前記筒状部8cによって容器軸方向に進退可能であって、最も先端側に移動した際には、
図4に示すように段差部7cが筒状部8c下端に係止した状態(リング状突起7c1が
図8(b)に示すリング状突起8dを越えて係止)となり、最も後退した際には、
図3に示すように筒部6a下端が内筒部5bの縮径した下端部に係止した状態となる。
【0031】
また、
図3、
図4に示すように、連結された第1可動栓6と第2可動栓7とにより形成された内部空間には、コイルスプリング9が配置されている。このコイルスプリング9の後端9bは、筒部6aの底部6a2に係止している。一方、コイルスプリング9の先端側には塗布部となる弁部9aが形成され、バネの付勢力により前記第2筒部7bの液体吐出孔7b2から外側に露出する状態に保持されている。
【0032】
ここで、
図10(a)は、コイルスプリング9の斜視図であり、
図10(b)は、断面図である。このコイルスプリング9は樹脂により形成される。図示するように、スプリングはコイル形状であるため、寸法安定した成形が可能であり、部材管理を簡易化することができる。また、先端の弁部9aにかかる荷重の調整幅を大きくすることができ、さらにバネ部分に幅広の部材がないため、液の流れを妨げることがないというメリットがある。
また、弁部9aは、先端が曲面となっており、頭皮などの被塗布面に対しダメージを与えない形状となされている。
【0033】
また、
図11(a)は、キャップ4側に取り付けられるスナップ部材11の斜視図であり、
図11(b)は、スナップ部材11の断面図である。このスナップ部材11は、円筒状の台座部11aに、前記弁部9aを覆うための筒状の第1の蓋11bと、その左右両側に立設された係止爪11cとが設けられたものである。前記係止爪11cは内側に向けられており、キャップ4を閉めた際、第1の蓋11bが第2可動栓7を押し込み、係止爪11cが第2可動栓7の先端側外周面に形成された周方向に沿った係止溝7dに係止するようになっている。このように(アンダーカットではなく)スナップフィットによる係止構造とすることにより、製造時の嵌合調整を容易にすることができる。
【0034】
このスナップ部材11は、
図4に示すようにキャップ4内の天井部中央に配置され、さらに筒状の第2の蓋部材12がキャップ4内に嵌合されることによって固定されている。
図12(a)は、前記第2の蓋部材12の斜視図であり、
図12(b)は、第2の蓋部材12の断面図である。
図12(a)に示すように、第2の蓋部材12は、円筒状であり、その外周面には、キャップ4に係止するために周方向に沿ってリング状突起12aが形成されている。また、
図12(b)に示すように、一端側(後端側)の内周面はテーパ面12bが形成されている。これにより、キャップ4を閉めた際、第2の蓋部材12の内周面(テーパ面12b)とシェル部8に形成されたドーム部8bとの接触面積が大きくなりシール性能が向上する。即ち、キャップ4を閉じた際に、第1の可動栓6及び第2の可動栓7による密封だけでなく、第2の蓋部12による閉鎖が加わるため、気密信頼性がより向上し、また、塗布部への結晶の発生を抑制することができる。
【0035】
このように構成された計量吐出容器1を使用する場合、
図3の状態から
図4のようにキャップ4を外すと、キャップ4側に係止していた可動栓6,7が引き上げられる。
これにより、塗布液を収容する液体容器2の液体室R1と、計量室R2とを繋ぐ流路が形成される。この状態で計量吐出容器1の先端側を下方に向けると、計量室R2に塗布液が所定量供給される。即ち、塗布液が計量室R2内に収容される。
【0036】
また、計量吐出容器1の先端側を下方に向けた状態で、可動栓6、7とともに弁部9aを被供給部(被塗布面)に当てて押し込むと、
図13(a)に示すように第1可動栓6によって液体容器2からの流路が閉じられ、計量室R2によって塗布液が計量される。
さらに可動栓6、7とともに弁部9aを被供給部(被塗布面)に当てて押し込むと、
図13(b)に示すように、計量室R2内の塗布液が、液体流入孔7b1を介して可動栓6、7内に流入する。
そして、可動栓6、7に対し弁部9aを押し込むことにより、可動栓6、7内の塗布液が吐出される。
【0037】
尚、可動栓6、7内の塗布液の吐出が完了し、再びキャップ4を被せて閉じると、キャップ4側の係止爪11cが第2可動栓7の係止溝7dに係止する。そして、再びキャップ4を外すと、可動栓6,7が引き上げられ、液体容器2の液体室R1から計量室R2への流路が開かれて、計量室R2へ塗布液を供給可能な状態となる。
【0038】
以上のように、本発明に係る第1の実施の形態によれば、液体容器2の開口部2b側へ、第1可動部材6が有する十字状のリブ部材6bが入り込み、液体室R1から計量室R2への流路が形成されるとともに、該流路は板リブ6b2~6b5によって周方向に分割される。これにより、該流路に液膜が形成されにくくなり、例え液膜が形成されるとしても、流路が複数に分割されているため、液膜形成領域を一部に留め、流路を確保することができる。
また、キャップ4内に第2の蓋部材12を設け、キャップ4を閉めた際、第2の蓋部材12によりシェル部8に対しシールする構成としたため、可動栓6、7によるシールに加えて二重のシール構造とすることにより、気密信頼性を向上し、塗布部における結晶発生を抑制することができる。
更には、キャップ4内にスナップ部材11を設け、キャップ4を閉めた際、係止爪11cが第2可動栓7の先端側外周面に形成された係止溝7dに係止するスナップフィット構造とした。これによりキャップ4を外した際に、確実に可動栓6、7を引き出すことができる。また、係止爪11cによる係止構造であるため、アンダーカットによる係止構造よりも、製造時の嵌合調整を容易にすることができる。
【0039】
尚、前記第1の実施の形態においては、リブ部材6bを4枚の板リブ6b2~6b5により構成し、流路を略4分割するものとしたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、少なくとも流路を2分割とすることにより効果が得られる。或いは、より多くの板リブを用いて流路をより多分割した構成としてもよい。
【0040】
また、前記第1の実施の形態においては、
図11に示したようにスナップ部材11の第1の蓋11bは、単純な筒形状とし、キャップ4を閉めた際、この第1の蓋11bにより第2可動栓7を押し込むものとした。
しかしながら、本発明にあっては、前記筒状の第1の蓋11bの形状は、
図11に示したような構成に限定されるものではない。例えば
図14(a)の斜視図、
図14(b)の断面図に示すように、第1の蓋11bを硬い樹脂バネ状に形成してもよい。
図15は、この樹脂バネ状の第1の蓋11bを有するスナップ部材11をキャップ4に取り付けた状態の断面図、
図16は、そのキャップ4を取り付けた定量吐出容器を一部拡大して示す断面図である。
【0041】
このような構成によれば、キャップ4を締めると第1の蓋11bにより第2可動栓7が押し込まれるが、第1の蓋11bが硬い樹脂バネ状であることによって、成形品寸法や組み付けバラツキを吸収させることができる。また、第1の蓋11bが硬い樹脂バネ状であるため、第2可動栓7及び第1可動栓6を最奥まで押し込むことができ、栓部材5の内筒部5b内を第1可動栓6で確実にシールすることができる。
【0042】
続いて、本発明の第2の実施形態を図面に基づき説明する。
図17は、本発明に係る定量吐出容器の第2の実施形態を示す斜視図である。
図18は、
図17の定量吐出容器において、キャップを外した状態の斜視図を示している。また、
図19(a)、(b)は、
図17の定量吐出容器の断面図であり、
図19(a)は正面側から見た図、
図19(b)は側面側から見た図である。また、
図20は、キャップを外した状態の断面図である。
【0043】
図示するように、定量吐出容器21は、塗布液を収容する液体容器22と、その先端側に設けられた吐出ユニット23と、吐出ユニット23を覆うとともに前記液体容器22に対し着脱自在に装着可能なキャップ24とを備える。本発明において、キャップ24の係合方式は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては螺合式としている。即ち、図示するように液体容器22の先端側周面には、ねじ溝22aが形成され、対するキャップ24の内周面には、前記ねじ溝22aに係合する突条部24aが形成されている。
【0044】
図19、
図20に示すように、前記液体容器22は、塗布液を多量に収容可能な液体室Ro1を有し、その先端には開口部22bが形成されている。この開口部22bは、径方向外側に突出するリング状突起22cの内周縁部である。
前記開口部22bには、栓部材25が嵌入される。
図21(a)は栓部材25の斜視図であり、
図21(b)は栓部材25の断面図である。栓部材25は、外周面が液体容器22の開口部22bの内周面に密着し嵌合する外筒部25aと、外筒部25aの内側に設けられ、
図19、
図20に示すように第1可動栓26が進退自在に挿入される第1内筒部25bと、外筒部25aの径と第1内筒部25bの径の間の径を有し、先端側に突出する第2内筒部25cとを有する。前記第2内筒部25cは、
図19、
図20に示すように後述するシェル部28の内周面に係合する。そして、外筒部25aの先端部25a1が液体容器22の開口部22bの位置に係止し、外筒部25aの外周面が液体容器22の内周面に密着して嵌合するようになっている。
また、前記のように第1内筒部25b内には第1可動栓26が進退移動するが、
図21(b)に示すように第1内筒部25bの外周面を形成する溝部25b1が形成されているため、第1可動栓26の摺動を滑らかなものとすることができる。
【0045】
ここで、
図22(a)は、前記第1可動栓26を後端側から見た斜視図であり、
図22(b)は、第1可動栓26を先端側から見た斜視図である。この第1可動栓26は、液体容器22内の液体を吐出ユニット23側へ流すか否かを制御するためのバルブである。前記第1可動栓26は、一端(後端側)に開口26a1を有し他端(先端側)に底部26a2を有する筒部26a(隔壁)と、前記開口26a1の中から突出するように形成された十字状のリブ部材26bとを有する。
また、前記筒部26aの外周面には周方向に沿ってリング状突起26a3が形成されている。また、前記底部26a2の中央には、コイルスプリング受けとして機能する円突起状のスプリング挿入部26a4が形成されている。
【0046】
前記リブ部材26bは、液体容器22の開口部22b内に挿入された状態で配置される。また、容器軸26b1から四方に放射状に板リブ26b2、26b3、26b4、26b5が立設されており、これにより液体容器22からの液の流路を周方向に略4分割するようになっている。
【0047】
即ち、
図23の一部破断した斜視図に示すように、(液体容器22の開口部22bの内周面に密着し嵌合する)第1内筒部25b内に前記リブ部材26bが進退自在に設けられており、板リブ26b2~26b5によって仕切られた空間が液体容器22から吐出ユニット23側(後述する計量室Ro2側)への液体流路となる。
ここで、液体流路は十字状のリブ部材26bによって周方向に分割されているため、液膜が形成され難く、液体の流れをスムーズに保つことができる。また、例え、1つの分割された流路に液膜が張られても、他の流路により塗布液を流すことができる。
【0048】
図24(a)はシェル部28の斜視図であり、
図24(b)はシェル部8の断面図である。シェル部28は、液体容器22の先端開口周囲を覆うようにして液体容器22の先端に取り付けられる。また、その内部には所定量の塗布液を収容可能な計量室Ro2となる空間が形成される。計量室Ro2は、シェル部28に形成されたドーム部28bの内側に設けられる。また、シェル部28の先端側は筒状部28cが形成され、その後端には段差部28eが形成されている。前記第1可動栓26に連結される第2可動栓27が、前記筒状部28cの内周面により摺動自在に支持されるようになされている。
【0049】
また、
図24(a)、(b)に示すように、シェル部28の後端側は、液体容器22の開口部22bを覆うように被せられる円環状のリングカバー部28dが形成されている。このリングカバー部28dには、周方向に沿った複数箇所(本実施形態では4箇所)に窓部28d1が形成され、この窓部28d1内にヒンジ構造により屈曲自在な突起爪28d2が設けられている。より詳しくは、突起爪28d2は、厚さが薄く形成さされたヒンジ部28d3により支持され、ヒンジ部28d3の上に立設されている。
【0050】
前記突起爪28d2は、栓部材25とシェル部28とが一体にされた状態で、液体容器22の開口部22bから挿入される際、
図25(a)に示すように液体容器22のリング状突起22cを、その外周面を摺接しながら(ヒンジ部28d3とともに)乗り越え、
図25(b)に示すようにリング状突起22cの下面22c1に係合するようになっている。そのため、
図25(b)の状態から栓部材25を引き抜こうとすると、前記シェル部28の突起爪28d2が前記リング状突起22cの下面に係合しているため、ヒンジ部28d3が破損することになる。尚、この破損部分は、窓部28d1から目視により確認可能である。
【0051】
図26(a)は、第2可動栓27の斜視図であり、
図26(b)は、第2可動栓27の断面図である。第2可動栓27は、後端側に設けられた第1筒部27aと、前記第1筒部27aよりも小径に形成された第2筒部27bとを有する。この第2可動栓27の外周面と第1可動栓26とシェル部28と栓部材25との間の閉空間が計量室Ro2となり、第2可動栓27と第1可動栓26とは、シェル部28内を前後に進退移動することになる。
前記第1筒部27aは第1可動栓26との連結部となり、その先端側は小径の第2筒部27bが続くため段差部27cが形成されている。前記段差部27cの外周縁にはリング状突起27c1が形成されている。
【0052】
また、前記第1筒部27aの内周面には、
図26(b)に示すように、第1可動栓26側と係合するためのリング状突起27a1が形成されている。即ち、前記第1可動栓26の筒部26aは、前記第1筒部27aに挿入され、前記筒部26aの外周面に形成されたリング状突起26a3が、前記リング状突起27a1を乗り越えて嵌合するようになっている。また、このとき、前記筒部26aの先端部が、前記段差部27cに係止し、第1可動栓26と第2可動栓27とが連結されるようになっている。
【0053】
また、前記第2可動栓27の第2筒部27bにおいて、その周面には、周方向に沿って複数(図示するように例えば4つ)の液体流入孔27b1が形成されている。
また、前記第2筒部27bの先端部には、液体吐出孔27b2が設けられている。この液体吐出孔27b2を含む第2筒部27bの先端側は、シェル部28における筒状部28cの内周面により容器軸方向に摺動自在に支持される。即ち、可動栓26、27は、前記筒状部28cによって容器軸方向に進退可能であって、最も先端側に移動した際には、
図20に示すように段差部27cが筒状部28c下端に係止した状態(リング状突起27c1が
図24(b)に示す段差部28eに係止)となり、最も後退した際には、
図19(a)、(b)に示すように筒部26a下端が第1内筒部25bの縮径した下端部に係止した状態となる。
【0054】
また、
図19、
図20に示すように、第2可動栓27内には、コイルスプリング29が配置されている。このコイルスプリング29の後端29bは、第1可動栓26における筒部26aの底部26a2中央に形成された円突起状のスプリング挿入部26a4に係止している。ここで、本発明に係る第1の実施の形態とは異なり、第1可動栓におけるコイルスプリング受けの形状を凸形状としたことにより、第1可動栓内に塗布液が溜まるスペースがなくなり、使用後の残液が第1可動栓に残るという問題を解決することができる。また、これによりコイルスプリング29の長さが第1の実施形態よりも短くなるが、実用上問題はない。
一方、コイルスプリング29の先端側には塗布部となる弁部29aが形成され、バネの付勢力により前記第2筒部27bの液体吐出孔27b2から外側に露出する状態に保持されている。
【0055】
ここで、
図27(a)は、コイルスプリング29の斜視図であり、
図27(b)は、断面図である。このコイルスプリング29は樹脂により形成される。図示するように、スプリングはコイル形状であるため、寸法安定した成形が可能であり、部材管理を簡易化することができる。また、先端の弁部29aにかかる荷重の調整幅を大きくすることができ、さらにバネ部分に幅広の部材がないため、液の流れを妨げることがないというメリットがある。
また、弁部29aは、先端が曲面となっており、頭皮などの被塗布面に対しダメージを与えない形状となされている。
【0056】
また、
図28(a)は、キャップ24側に取り付けられるスナップ部材31の斜視図であり、
図28(b)は、スナップ部材31の断面図である。このスナップ部材31は、円筒状の台座部31aに、前記弁部29aを覆うための筒状の第1の蓋31bと、その左右両側に立設された係止爪31cとが設けられたものである。前記係止爪31cは内側に向けられており、キャップ24を閉めた際、第1の蓋31bが第2可動栓27を押し込み、係止爪31cが第2可動栓27の先端側外周面に形成された周方向に沿った係止溝27dに係止するようになっている。このように(アンダーカットではなく)スナップフィットによる係止構造とすることにより、製造時の嵌合調整を容易にすることができる。
【0057】
このスナップ部材31は、
図20に示すようにキャップ24内の天井部中央に配置され、さらに筒状の第2の蓋部材32がキャップ24内に嵌合されることによって固定されている。
図29(a)は、前記第2の蓋部材32の斜視図であり、
図29(b)は、第2の蓋部材32の断面図である。
図29(a)、(b)に示すように、第2の蓋部材32は、一端が閉じられた円筒状であり、その外周面には、キャップ24に係止するために周方向に沿ってリング状突起32aが形成されている。また、
図29(a)、(b)に示すように、閉じられた一端側中央が内側に突起することにより、その周囲にスナップ部材31の一端が当接する円環状の支持部32bが形成されている。
【0058】
また、第2蓋部材32の内周面には、周方向に沿って内側に突起するリング状突起32cが形成され、このリング状突起32cがスナップ部材31の外周面を押さえることによって該スナップ部材31を保持している。
更に、第2の蓋部材32の開口する他端側の内周縁部には、リング状突起32dが形成され、キャップ24を閉じた際、第2の蓋部材32のリング状突起32dがシェル部28の外周面に密着しシールするように構成されている。
【0059】
このように構成された計量吐出容器21を使用する場合、
図19の状態から
図20のようにキャップ24を外すと、キャップ24側に係止していた可動栓26,27が引き上げられる。
これにより、塗布液を収容する液体容器22の液体室Ro1と、計量室Ro2とを繋ぐ流路が形成される。この状態で計量吐出容器21の先端側を下方に向けると、計量室Ro2に塗布液が所定量供給される。即ち、塗布液が計量室Ro2内に収容される。
【0060】
また、計量吐出容器21の先端側を下方に向けた状態で、可動栓26、27とともに弁部29aを被供給部(被塗布面)に当てて押し込むと、
図30(a)に示すように第1可動栓26によって液体容器22からの流路が閉じられ、計量室Ro2によって塗布液が計量される。
さらに可動栓26、27とともに弁部29aを被供給部(被塗布面)に当てて押し込むと、
図30(b)に示すように計量室Ro2内の塗布液が、液体流入孔27b1を介して可動栓26、27とシェル部28で囲まれた空間内に流入する。
そして、可動栓26、27に対し弁部29aを押し込むことにより、可動栓26、27とシェル部28で囲まれた空間内の塗布液が吐出される。
【0061】
尚、可動栓26、27とシェル部28で囲まれた空間内の塗布液の吐出が完了し、再びキャップ24を被せて閉じると、キャップ24側の係止爪31cが第2可動栓27の係止溝27dに係止する。そして、再びキャップ24を外すと、可動栓26,27が引き上げられ、液体容器22の液体室Ro1から計量室Ro2への流路が開かれて、計量室Ro2へ塗布液を供給可能な状態となる。
【0062】
以上のように、本発明に係る第2の実施の形態によれば、液体容器22の開口部22b側へ、液体室Ro1から計量室Ro2への流路が形成されるとともに、該流路は第1可動部材26が有する十字状のリブ部材26bによって周方向に略分割される。これにより、該流路に液膜が形成されにくくなり、例え栓部材25の第1内筒部25bに液膜が形成されるとしても、板リブ26b2~26b5により被膜を破ることができるため、液膜形成領域を一部に留め、流路を確保することができる。
また、キャップ24内に第2の蓋部材32を設け、キャップ24を閉めた際、第2の蓋部材32によりシェル部28に対しシールする構成としたため、可動栓26、27によるシールに加えた二重のシール構造とすることにより、気密信頼性を向上し、塗布部における内容液の揮発による結晶発生を抑制することができる。
更には、キャップ24内にスナップ部材31を設け、キャップ24を閉めた際、係止爪31cが第2可動栓27の先端側外周面に形成された係止溝27dに係止するスナップフィット構造とした。これによりキャップ24を外した際に、確実に可動栓26、27を引き出すことができる。また、係止爪31cによる係止構造であるため、アンダーカットによる係止構造よりも、製造時の嵌合調整を容易にすることができる。
【0063】
尚、前記第2の実施の形態においては、リブ部材26bを4枚の板リブ26b2~26b5により構成し、流路を略4分割するものとしたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、少なくとも流路を2分割とすることにより効果が得られる。或いは、より多くの板リブを用いて流路をより多分割した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 定量吐出容器
2 液体容器
3 吐出ユニット
4 キャップ
5 栓部材
6 第1可動栓(可動栓)
6a 筒部(隔壁)
6b リブ部材(リブ部)
6b2 板リブ
6b3 板リブ
6b4 板リブ
6b5 板リブ
7 第2可動栓(可動栓)
8 シェル部
9a 弁部(塗布部)
11 スナップ部材
11c 係止爪
12 第2の蓋部材(蓋部)
R2 計量室
21 定量吐出容器
22 液体容器
22c リング状突起
23 吐出ユニット
24 キャップ
25 栓部材
26 第1可動栓(可動栓)
26a 筒部(隔壁)
26b リブ部材(リブ部)
26b2 板リブ
26b3 板リブ
26b4 板リブ
26b5 板リブ
27 第2可動栓(可動栓)
28 シェル部
28d2 突起爪
28d3 ヒンジ部
29a 弁部(塗布部)
31 スナップ部材
31c 係止爪
32 第2の蓋部材(蓋部)
Ro2 計量室