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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20241010BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241010BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/86
A61Q19/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020090681
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021187738
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】目野 高嗣
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-542199(JP,A)
【文献】特開2019-019077(JP,A)
【文献】特表2015-516408(JP,A)
【文献】特開2015-117209(JP,A)
【文献】特開2003-113023(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189719(WO,A1)
【文献】特開2017-186311(JP,A)
【文献】特開2005-272389(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143663(WO,A1)
【文献】特開2005-145874(JP,A)
【文献】特開2006-193484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0077510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00- 1/94
C11D 3/00- 3/60
C11D 7/00- 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)デキストリン、
(B)キサンタンガム又はサクシノグルカン、および
(C)(アクロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー又は(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマーを含む化粧料であり、
前記化粧料は洗浄料であり、
(A)成分の配合量が、前記化粧料の全量に対して、0.1~18質量%であり、かつ(B)成分の配合量が、前記化粧料の全量に対して、0.01~0.9質量%であり、かつ、(C)成分の配合量が、化粧料の全量に対し、0.1~10質量%である、化粧料。
【請求項2】
(A)成分の配合量が、前記化粧料の全量に対して、2~15質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(B)成分の配合量が、前記化粧料の全量に対して、0.15~0.8質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
アルキレンオキシド誘導体を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記アルキレンオキシド誘導体が下記式(I)で表される化合物である、請求項に記載の化粧料:
【化1】
(式中、
AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、pおよびqはそれぞれ炭素数3~4のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦p≦70、1≦q≦70であり、オキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20~80質量%であり、
オキシアルキレン基とオキシエチレン基とがブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、
およびRは同一もしくは異なっていてもよい炭素数1~4の炭化水素基または水素原子であり、RおよびRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である)。
【請求項6】
前記アルキレンオキシド誘導体において、オキシアルキレン基とオキシエチレン基とがランダム状に付加しているものである、請求項に記載の化粧料。
【請求項7】
界面活性剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
保湿剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項9】
スクラブ剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項10】
ジェル状洗浄料である、請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項11】
皮膚洗浄料である、請求項1~1のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定量のデキストリンおよび多糖系増粘剤と、特定のポリアクリルアミド化合物とを含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
増粘剤を多く含む洗浄料などの化粧料を用いて肌を洗浄する場合には、延びが重くなり角栓や毛穴などのざらつきに吸着して洗浄後の肌のなめらかさが実現できるものの、増粘剤を化粧料に含有させることにより洗い流しやサラサラ感に問題が生じる場合があり、洗浄後にべたつき等が感じられ、洗浄後のスッキリ感が不足する場合があった。一方、洗浄後のスッキリ感を担保するために、化粧料に増粘剤を含有させないと洗浄後の肌のなめらかさが低下する。
【0003】
特許文献1には、多糖類粉末が配合された皮膚洗浄用組成物が開示されており、この皮膚洗浄用組成物は低刺激性で安全性が高く、角栓除去機能が優れることが開示されているが、増粘剤を含有させることによるべたつき等のスッキリ感の改善については何ら開示されていない。
【0004】
また、特許文献2にも、美白成分、増粘剤、およびヒダントイン骨格を有する化合物を含有する皮膚外用組成物が開示されており、この皮膚外用組成物を用いることにより、酸素、光および/または熱による美白成分の着色が抑制できることが開示されているが、増粘剤を含有させることによるべたつき等のスッキリ感の改善については何ら開示されていない。
【0005】
従って、洗浄料などの化粧料において、洗浄後の肌のなめらかさと、洗浄後のスッキリ感とを両立できる化粧料が希求されているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-342162号公報
【文献】特開2016-204307号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、特定量のデキストリンおよび多糖系増粘剤と、特定のポリアクリルアミド化合物とを含む化粧料を用いることにより、洗浄後の肌のなめらかさと、洗浄後のスッキリ感とを両立できる化粧料が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0008】
従って、本発明は、特定量のデキストリンおよび多糖系増粘剤と、特定のポリアクリルアミド化合物とを含む化粧料を開示する。
【0009】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)(A)デキストリン、
(B)多糖系増粘剤、および
(C)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、およびそれらの誘導体から選択される1種または2種以上を構成単位として含むホモポリマーもしくはコポリマーまたはこれらのポリマーのクロスポリマーからなるポリアクリルアミド化合物
を含む化粧料であり、(A)デキストリンの配合量が、化粧料の全量に対して、0.1~18質量%であり、かつ(B)多糖系増粘剤の配合量が、化粧料の全量に対して、0.01~0.9質量%である、化粧料。
(2)(A)デキストリンの配合量が、化粧料の全量に対して、2~15質量%である、(1)に記載の化粧料。
(3)(B)多糖系増粘剤の配合量が、化粧料の全量に対して、0.15~0.8質量%である、(1)または(2)に記載の化粧料。
(4)(B)多糖系増粘剤がキサンタンガムまたはサクシノグルカンである、(1)~(3)のいずれかに記載の化粧料。
(5)(C)ポリアクリルアミド化合物が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ビニルピロリドンのコポリマー、または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ジメチルアクリルアミドのコポリマーである、(1)~(4)のいずれかに記載の化粧料。
(6)(C)ポリアクリルアミド化合物が、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドンのコポリマーまたは(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマーである、(1)~(5)のいずれかに記載の化粧料。
(7)アルキレンオキシド誘導体を更に含む、(1)~(6)のいずれかに記載の化粧料。
(8)アルキレンオキシド誘導体が下記式(I)で表される化合物である、(7)に記載の化粧料:
【化1】
(式中、
AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、pおよびqはそれぞれ炭素数3~4のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦p≦70、1≦q≦70であり、オキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20~80質量%であり、
オキシアルキレン基とオキシエチレン基とがブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、
およびRは同一もしくは異なっていてもよい炭素数1~4の炭化水素基または水素原子であり、RおよびRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である)。
(9)アルキレンオキシド誘導体において、オキシアルキレン基とオキシエチレン基とがランダム状に付加しているものである、(8)に記載の化粧料。
(10)界面活性剤を更に含む、(1)~(9)のいずれかに記載の化粧料。
(11)保湿剤を更に含む、(1)~(10)のいずれかに記載の化粧料。
(12)スクラブ剤を更に含む、(1)~(11)のいずれかに記載の化粧料。
(13)洗浄料である、(1)~(12)のいずれかに記載の化粧料。
(14)ジェル状洗浄料である、(1)~(13)のいずれかに記載の化粧料。
(15)皮膚洗浄料である、(1)~(14)のいずれかに記載の化粧料。
【0010】
本発明の化粧料を用いることにより、洗浄後の肌のなめらかさと、洗浄後のスッキリ感とを両立できる点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0011】
本発明は、
(A)デキストリン、
(B)多糖系増粘剤、および
(C)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、およびそれらの誘導体から選択される1種または2種以上を構成単位として含むホモポリマーもしくはコポリマーまたはこれらのポリマーのクロスポリマーからなるポリアクリルアミド化合物
を含む化粧料であり、(A)デキストリンの配合量が、化粧料の全量に対して、0.1~18質量%であり、かつ(B)多糖系増粘剤の配合量が、化粧料の全量に対して、0.01~0.9質量%である化粧料である。
【0012】
本発明の化粧料に含まれるデキストリンは、デンプンを酸、熱、または酵素により加水分解する際に生じる中間生成物であれば特に限定されるものではなく、加水分解の方法によって種々の種類があり、例えば、可溶性デンプン、薄手ノリデンプン、アミロデキストリン、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリティッシュガム、エリトロデキストリン、アクロデキストリン等が挙げられ、任意の一種または二種以上を選択して用いることができる。本発明の化粧料に含まれるデキストリンは、好ましくは、加水分解コーンスターチ、加水分解キャッサバ、加水分解バレイショ、または加水分解カンショが挙げられ、加水分解コーンスターチが特に好ましい。加水分解コーンスターチの市販品の商品名としては、「パインデックス#1(松谷化学工業株式会社製)」、「パインデックス#2(松谷化学工業株式会社製)」、「パインデックス#3(松谷化学工業株式会社製)」、「パインデックス#4(松谷化学工業株式会社製)」、「パインデックス#6(松谷化学工業株式会社製)」、「パインデックス#100(松谷化学工業株式会社製)」が挙げられる。
【0013】
本発明の化粧料に含まれるデキストリンのDE(Dextrose Equivalent)は、好ましくは、1~35であり、より好ましくは、10~30である。ここで、DEとは、一般にデンプンの分解程度を示す指標であり、総量に対する還元糖の割合に100を乗じたものである。
【0014】
本発明の化粧料に含まれるデキストリンの配合量は、化粧量の全量に対して、0.1~18質量%であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧量の全量に対して、0.5~15質量%であり、より好ましくは、化粧量の全量に対して、1~10質量%である。
【0015】
本発明の化粧料に含まれる多糖系増粘剤は、植物由来、海藻由来、微生物由来およびその他のいずれの多糖系増粘剤を用いてもよい。
【0016】
本発明の化粧料に含まれる多糖系増粘剤は、特に限定されるものではないが、キサンタンガム、ジェランガム、サクシノグルカン、スクレロチウムガム、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、チューベロース多糖体、シロキクラゲ多糖体、ローカストビーンガム、酸化セルロース等が挙げられ、これらの多糖系増粘剤の一種または二種以上を用いてもよく、これらの中でも、好ましくは、キサンタンガムおよび/またはサクシノグルカンであり、より好ましくはキサンタンガムまたはサクシノグルカンであり、特に好ましくは、キサンタンガムである。
【0017】
本発明の化粧料に含まれる多糖系増粘剤の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧量の全量に対して、0.01~0.9質量%であり、より好ましくは、化粧量の全量に対して、0.15~0.8質量%であり、さらに好ましくは、化粧量の全量に対して、0.15~0.5質量%である。
【0018】
本発明の化粧料に含まれるポリアクリルアミド化合物は、特に限定されるものではないが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、およびそれらの誘導体から選択される1種または2種以上を構成単位として含むホモポリマーもしくはコポリマーまたはこれらのポリマーのクロスポリマーである。このようなポリアクリルアミド化合物の具体例としては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ビニルピロリドンのコポリマー、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ジメチルアクリルアミドのコポリマー、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/アクリルアミドのコポリマー、メチレンビスアクリルアミドでクロスリンクさせたジメチルアクリルアミド/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のクロスポリマー、ポリアクリルアミドとポリアクリル酸ナトリウムとの混合物、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/アクリル酸ナトリウムのコポリマー、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/アクリル酸ヒドロキシエチルのコポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、アクリル酸アンモニウム/ポリアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドのコポリマー等が挙げられ、好ましくは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ビニルピロリドンのコポリマー、または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ジメチルアクリルアミドのコポリマーであり、より好ましくは、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドンのコポリマー、または(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマーである。
【0019】
本発明の化粧料に含まれるポリアクリルアミド化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧量の全量に対して、0.1~10質量%であり、より好ましくは、化粧量の全量に対して、0.1~5質量%であり、さらに好ましくは、化粧量の全量に対して、0.5~2質量%である。
【0020】
本発明の化粧料の好ましい態様によれば、アルキレンオキシド誘導体を更に含んでもよい。
【0021】
本発明の化粧料に含まれてもよいアルキレンオキシド誘導体としては、好ましくは、下記式(I)で表される化合物である。
【化2】
(式中、
AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、pおよびqはそれぞれ炭素数3~4のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦p≦70、1≦q≦70であり、オキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20~80質量%であり、
オキシアルキレン基とオキシエチレン基とがブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、
およびRは同一もしくは異なっていてもよい炭素数1~4の炭化水素基または水素原子であり、RおよびRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である)。
【0022】
上記式(I)で表される化合物において、AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基であり、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などが挙げられ、好ましくは、オキシプロピレン基またはオキシブチレン基が挙げられる。pは炭素数3~4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦p≦70、好ましくは2≦p≦20である。qはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦q≦70、好ましくは2≦q≦20である。また、(p+q)として、好ましくは8~100である。
【0023】
また、上記式(I)で表される化合物において、炭素数3~4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20~80質量%であることが好ましい。エチレンオキシドおよび炭素数3~4のアルキレンオキシドの付加する順序は特に限定されない。また、オキシエチレン基と炭素数3~4のオキシアルキレン基とはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、好ましくはランダム状に付加しているものである。ここで、ブロック状とは、2段ブロックのみならず、3段ブロックも含まれる。
【0024】
およびRはそれぞれ同種のものを用いても、炭素原子数1~4の炭化水素基と水素原子とが混在しても、異種の炭素原子数1~4の炭化水素基が混在してもよい。但し、RおよびRの炭化水素基のうち、炭化水素基と水素原子の存在割合は、炭化水素基の数(X)に対する水素原子の数(Y)の割合Y/Xが0.15以下であり、好ましくは0.06以下である。
【0025】
具体的なアルキレンオキシド誘導体としては、例えば、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(2モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(14モル)ポリオキシプロピレン(7モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(6モル)ポリオキシプロピレン(14モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(15モル)ポリオキシプロピレン(5モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(25モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシブチレン(2モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(14モル)ポリオキシブチレン(7モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジエチルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジプロピルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジブチルエーテル、ポリオキシエチレン(36モル)ポリオキシプロピレン(41モル)ジメチルエーテル等が挙げられ、これらの中でも、ポリオキシエチレン(14モル)ポリオキシプロピレン(7モル)ジメチルエーテルが特に好ましい。
【0026】
本発明のアルキレンオキシド誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよび炭素数3~4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得ることができる。
【0027】
本発明の化粧料に含まれていてもよいアルキレンオキシド誘導体の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、0.01~70質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、0.1~30質量%であり、さらに好ましくは、化粧料の全量に対して、1~10質量%であり、さらに好ましくは、化粧料の全量に対して、1~7質量%であり、特に好ましくは、化粧料の全量に対して、4~6質量%である。
【0028】
本発明の化粧料の好ましい態様によれば、界面活性剤を更に含んでもよい。
【0029】
本発明の化粧料に含まれてもよい界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0030】
本発明の化粧料に含まれてもよい非イオン性界面活性剤としては、親油性非イオン界面活性剤および親水性非イオン界面活性剤が挙げられ、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等)、グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等)、POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等)、POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等)、POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等)、プルロニック型類(例えば、プルロニック等)、POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等)、テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等)、POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等)、POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE-アルキルアミン、POE-脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド-トリオレイルリン酸等が例示され、これらの中でも好ましくは、POE・POP-デシルテトラデシルエーテルが挙げられる。POE・POP-デシルテトラデシルエーテルの市販品としては、「エスセーフ1324」(日油(株)製)が挙げられる。
【0031】
本発明の化粧料に含まれてもよいアニオン性界面活性剤としては、具体的には、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、例えば、ココイルグルタミン酸カリウム等のN-アシルグルタミン酸塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルサルコシネート塩、N-ココイルタウリンナトリウム、N-ココイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸-N-メチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸-N-メチルタウリントリエタノールアミン、N-パーム油脂肪酸-N-エチルタウリントリエタノールアミン、N-ココイルタウリンマグネシウム、N-ココイル-N-メチルタウリンマグネシウム、N-ラウロイル-N-タウリンマグネシウム、N-ラウロイル-N-メチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸-N-メチルタウリンマグネシウム等が例示され、これらの中でも好ましくは、N-ヤシ油脂肪酸-N-メチルタウリンナトリウムが挙げられる。N-ヤシ油脂肪酸-N-メチルタウリンナトリウムの具体的な市販品の商品名としては、「ST-SFスーパー」(日油株式会社製)等が挙げられる。
【0032】
本発明の化粧料に含まれていてもよい界面活性剤の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、0.01~5質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、0.1~3質量%であり、さらに好ましくは、化粧料の全量に対して、0.2~1質量%である。
【0033】
本発明の化粧料の好ましい態様によれば、保湿剤を更に含んでもよい。
【0034】
本発明の化粧料に含まれてもよい保湿剤としては、例えば、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルジオール、グリセリン、ジグリセリン、デカグリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、加水分解コーンスターチ、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられ、好ましくは、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、および/またはビスPEG-18メチルエーテルジメチルシランが挙げられる。ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシランの具体的な市販品の商品名としては、「2501 Cosmetic Wax(東レ・ダウコーニング社製)」、「SM4110P(KCC Corporation社製)」等が挙げられる。
【0035】
本発明の化粧料に含まれていてもよい保湿剤の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、化粧料の全量に対して、1~60質量%であり、より好ましくは、化粧料の全量に対して、5~50質量%であり、さらに好ましくは、化粧料の全量に対して、10~40質量%である。
【0036】
本発明の化粧料の好ましい態様によれば、スクラブ剤を更に含んでもよい。
【0037】
本発明の化粧料に含まれてもよいスクラブ剤は、顆粒状物質を含み、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系高分子粉末、ナイロン等のポリアミド系高分子粉末、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ弗化ビニリデン等のビニル系高分子粉末やポリウレタン系高分子粉末、およびこれらの共重合体等の汎用高分子材料、タルク、チタン等に代表される無機粉末等が挙げられ、これらを1種もしくは2種以上を用いてもよい。
【0038】
スクラブ剤の平均粒径は、洗浄効果のみを期待する場合には20μm以上の平均粒径を有するものが応用できる。さらに感覚的な洗浄効果をも期待する場合には50μm以上の平均粒径を有するものが用いられる。平均粒径の上限は通常感覚上違和感を生じない程度すなわち1mmφである。好ましい平均粒径は50~500μm程度であり、さらに好適には100~300μmである。平均粒径は、レーザー回折・散乱法に準拠して測定することができる。
【0039】
本発明の化粧料に含まれていてもよいスクラブ剤の配合量は、化粧料の全量に対して、0.01~6重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.1~5重量%である。
【0040】
本発明の化粧料は、上記成分の他、通常の化粧料や、化粧品や医薬品の洗浄料に用いられる成分を配合することができ常法に応じて製造される。係る成分としては下記のようなものが挙げられ、本発明の効果を奏する限り、下記成分の一種または二種以上を更に配合して製造することができる。
【0041】
本発明の化粧料には、上記必須成分以外に、化粧料に通常用いられる成分、例えば、粉末成分、油性成分、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、アルコール類、pH調整剤、分散剤、酸化防止剤、香料、防腐剤、安定化剤等を必要に応じて適宜配合してよい。
【0042】
本発明の化粧料は、上記の成分に加えて、更に水を含有することができる。水としては、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0043】
本発明の化粧料中の水の配合量は、好ましくは、化粧料の全量に対して、5質量%以上とすることができ、より好ましくは、化粧料の全量に対して、10質量%以上とすることができる。本発明の化粧料中の水の配合量は、好ましくは、化粧料の全量に対して、80質量%以下とすることができ、より好ましくは、化粧料の全量に対して、70質量%以下とすることができる。
【0044】
本発明の化粧料の好ましい態様によれば、洗浄料である。また、本発明の化粧料のより好ましい態様によれば、ジェル状洗浄料である。ジェル状洗浄料とは、流動性を有する液状~半固形の洗浄料を意味し、粘度は(B型粘度計、30℃)が1,000mPa・s以上であることが好ましい。また、ジェル状洗浄料は、用途に応じて透明または半透明とすることが好ましく、透明とすることがより好ましい。
【0045】
本発明の化粧料は、好ましくは、皮膚洗浄料であり、その剤形はローション状、ジェル状、またはクリーム状の形態をとることが好ましいが、特にジェル状の形態をとることがより好ましい。
【0046】
本発明の化粧料の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水-油二層系、水-油-粉末三層系等、どのような剤型であってもよい。
【実施例
【0047】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。配合量は特記しない限り、質量%で示す。
【0048】
試験例1:化粧料の使用性評価試験
下記表1~3に記載された各成分とその配合量に基づいて化粧料(実施例1~11および比較例1~7)を作成した。これらの化粧料について、(1)延びの重さ、(2)洗い流しの良さ、(3)洗浄後のサラサラ感、および(4)製造性の各評価を行った。各評価の評価方法は下記の通りに行った。各評価結果を下記表1~3に示す。
【0049】
(1)延びの重さ
10名の専門パネラーによる実使用性試験を行った。各化粧料を肌へ塗布した際の延びの重さについて下記の基準に基づいて評価した。
<評価基準>
A:パネラーの6名以上が、延びが重いと回答した。
B:パネラーの3~5名が、延びが重いと回答した。
C:パネラーの2名以下が、延びが重いと回答した。
【0050】
(2)洗い流しの良さ
10名の専門パネラーによる実使用性試験を行った。各化粧料を用いて洗浄した後の化粧料の洗い流しの良さについて下記の基準に基づいて評価した。
<評価基準>
A:パネラーの6名以上が、洗い流しが良いと回答した。
B:パネラーの3~5名が、洗い流しが良いと回答した。
C:パネラーの2名以下が、洗い流しが良いと回答した。
【0051】
(3)洗浄後のサラサラ感
10名の専門パネラーによる実使用性試験を行った。各化粧料を用いて洗浄した後の肌のサラサラ感について下記の基準に基づいて評価した。
<評価基準>
A:パネラーの6名以上が、洗浄後のサラサラ感が良いと回答した。
B:パネラーの3~5名が、洗浄後のサラサラ感が良いと回答した。
C:パネラーの2名以下が、洗浄後のサラサラ感が良いと回答した。
【0052】
(4)製造性
下記表1~3に示す組成を有する化粧料の製造をそれぞれ行い、化粧料の製造性について下記の基準に基づいて評価した。
<評価基準>
A:撹拌できる。
B:撹拌できない。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表1~3の結果から、本発明の範囲内に含まれる実施例1~11の化粧料はいずれの評価基準においても「A」または「B」であり、良好な評価結果を示すことが分かった。
一方、デキストリンまたはキサンタンガムを含まない化粧料は、延びの重さ、洗い流しの良さ、洗浄後のサラサラ感のいずれかの評価基準において「C」の評価となり、洗浄後の肌のなめらかさと、洗浄後のスッキリ感とが両立しないものであることが分かった。また、化粧料中にデキストリンが20質量%含む化粧料または化粧料中にキサンタンガムを1質量%含む化粧料は、洗い流しの良さおよび製造性において「B」の評価となり、洗浄後の肌のなめらかさと、洗浄後のスッキリ感とが両立せず、かつ化粧料の製造性の点で劣るものであった。
また、化粧料中に2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、およびそれらの誘導体から選択される1種または2種以上を構成単位として含むホモポリマーもしくはコポリマーまたはこれらのポリマーのクロスポリマーからなるポリアクリルアミド化合物を含まない化粧料は、延びの重さおよび/または洗浄後のサラサラ感の評価基準において「C」の評価となり、洗浄後の肌のなめらかさと、洗浄後のスッキリ感とが両立しないものであることが分かった。