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特許7569645モジュール型冷蔵装置、及びモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板
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  • 特許-モジュール型冷蔵装置、及びモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板 図1
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  • 特許-モジュール型冷蔵装置、及びモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板 図11
  • 特許-モジュール型冷蔵装置、及びモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】モジュール型冷蔵装置、及びモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板
(51)【国際特許分類】
   F25D 13/02 20060101AFI20241010BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F25D13/02
F25D19/00 532A
F25D19/00 552D
F25D19/00 550C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020151996
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046115
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉川 政志
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】塩野 謙治
(72)【発明者】
【氏名】三上 佳朗
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-106961(JP,A)
【文献】特開2013-019599(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108571846(CN,A)
【文献】特開2011-196611(JP,A)
【文献】実開昭63-005693(JP,U)
【文献】特開2016-205673(JP,A)
【文献】特開2013-253755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 13/02
F25D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位冷蔵庫を、上下方向、或いは左右方向、或いは上下左右方向に配置したモジュール型冷蔵装置において、
前記単位冷蔵庫は、開閉扉を備えた前面部と、前記前面部に対向するように配置された背面板と、前記背面板及び前記前面部を繋ぐ側面板と、を備え、
前記単位冷蔵庫の前記側面板の内側に設置された冷媒配管によって形成される放熱領域の上側の位置で、前記側面板の前面側端面と背面側端面に亘って、前記側面板から庫外側に向かって突き出し、前記側面板の前記放熱領域で温められて上昇する空気の流れを変更する側面風向制御板が設けられている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記単位冷蔵庫は、同じ体格形状に形成されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記側面風向制御板は、前記前面部から前記背面板に至る間に亘って直線状に形成され、天地方向と直交する方向に配置されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項4】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記側面風向制御板は、前記前面部から前記背面板に至る間に亘って直線状に形成され、前記前面部の側の方が前記背面板の側よりも下側に向かって傾斜するように配置されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項5】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記側面風向制御板は、前記前面部から前記背面板に至る間に亘って湾曲して形成され、前記前面部の側の方が前記背面板の側よりも下側に向かって傾斜し、しかも天地方向で上側に凸となるように配置されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項6】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記単位冷蔵庫の前記背面板には、前記単位冷蔵庫に配置された圧縮機の上側の位置に、前記背面板から庫外側に向かって突き出す背面風向制御板が設けられている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項7】
請求項6に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記背面風向制御板には、前記圧縮機の配置位置に対応する位置で前記背面風向制御板よりも更に庫外側に向かって突き出すサブ背面風向制御板が設けられている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項8】
請求項6に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記背面板に沿った前記背面風向制御板の両端には、前記背面風向制御板よりも更に庫外側に向かって突き出す通風路形成部材が設けられている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項9】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記単位冷蔵庫の底面部の四隅には、通風路を形成する脚部が設けられている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項10】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記単位冷蔵庫の底面部の四隅には、通風路を形成するための一対の脚部と一対の転動機構が設けられ、一対の前記脚部は前記前面部の側に位置し、一対の前記転動機構は前記背面板の側に位置している
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項11】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記単位冷蔵庫の前記背面板には、前記単位冷蔵庫に配置された圧縮機からの熱を奪った空気を前記側面板の方向に流す導出通路が設けられている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項12】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記側面風向制御板は、前記単位冷蔵庫を形成する天面板、或いは前記側面板に一体的に形成されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項13】
請求項6に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記背面風向制御板は、前記単位冷蔵庫を形成する天面板、或いは前記背面板に一体的に形成されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項14】
請求項2に記載のモジュール型冷蔵装置において、
前記側面風向制御板は、前記単位冷蔵庫を形成する天面板の上から被せられ、少なくとも前記側面板の側の辺が前記天面板よりも庫外側に突き出るように長くした略矩形に形成されている
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置。
【請求項15】
開閉扉を備えた前面部と、前記前面部に対向するように配置された背面板と、前記背面板及び前記前面部を繋ぐ側面板と、を備え、
前記側面板の内側に設置された冷媒配管によって形成される放熱領域の上側の位置で、前記側面板の前面側端面と背面側端面に亘って、前記側面板から庫外側に向かって突き出し、前記側面板の前記放熱領域で温められて上昇する空気の流れを変更する側面風向制御板が取付可能である
ことを特徴とするモジュール型冷蔵装置
【請求項16】
開閉扉を備えた前面部と、前記前面部に対向するように配置された背面板と、前記背面板及び前記前面部を繋ぐ側面板と、を備えるモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫における前記側面板の内側に設置された冷媒配管によって形成される放熱領域の上側の位置で、前記側面板の前面側端面と背面側端面に亘って、前記側面板の前記放熱領域で温められて上昇する空気の流れを変更する、前記側面板から庫外側に向かって突き出して取付けられることが可能なモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵装置に係り、特に複数の冷蔵庫を上下方向、或いは左右方向、或いは上下左右方向に配置したモジュール型冷蔵装置、並びに、これの一部を構成する冷蔵庫及び風向制御板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、同じ体格、或いは同じ構成の複数の冷蔵庫を、上下方向、或いは左右方向、或いは上下左右方向に配置したモジュール型冷蔵装置が提案されている。このように、複数台の冷蔵庫を組み合わせて設置する構成とすると、屋内への搬入、設置の容易性を向上できる、冷蔵庫の使い方の応用性を向上できる、システムキッチンのようなフロアキャビネット類との整合性を向上できる、といった多くの長所を得ることができる。
【0003】
モジュール型冷蔵装置として、例えば、特開平5-106961号公報(特許文献1)に記載されているように、3台の冷蔵庫を左右方向に並べて組み合わせて設置する構成や、特開2005-83666号公報(特許文献2)に記載されているように、2台の冷蔵庫を上下方向に並べて組み合わせて設置する構成のモジュール型冷蔵装置が提案されている。
【0004】
そして、特許文献1においては、冷蔵庫を複数台並設した場合でも隣接された各冷蔵庫の放熱を効率良く行なうために、冷蔵庫の凝縮器として機能する冷媒配管(放熱パイプ)を各冷蔵庫が隣接する部位を避けて配設することが示されている。
【0005】
また、特許文献2においては、送風機によって吸気口から吸い込んだ空気を、上側に位置する収納庫(冷蔵庫の一種)の底面と、下側に位置する冷蔵庫の上面との間に形成された風路と収納庫の背面部の風路を経て、収納庫の上面の排気口から前方に排出することが示されている。また、冷蔵庫と収納庫の間には仕切板が設置され、更には冷蔵庫の背面にはガイド板を設置して、送風機による圧力差を利用して冷蔵庫上部空間から収納庫背面へ空気を排出することで、冷蔵庫の冷却性能の低下を防止することが示されている。
【0006】
尚、以下の説明ではモジュール型冷蔵装置を形成する個別の冷蔵庫を単位冷蔵庫と表記して説明を進める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平5-106961号公報
【文献】特開2005-83666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、冷蔵庫の側面板、及び/または背面板には、冷媒の熱を放熱するために冷媒配管が設置されており、冷媒の熱は冷蔵庫の側面板、及び/または背面板から放熱される。特に、左右方向に隣り合うようにして、単位冷蔵庫の側面板が接触するように配置されていると、側面板からの放熱が阻害される恐れがある。また、上下方向に隣り合うようにして、単位冷蔵庫が配置されていると、下側の単位冷蔵庫の側面板から上昇する温められた空気が、上側の単位冷蔵庫の側面板に到達するので、上側の単位冷蔵庫の放熱が阻害される恐れがある。
【0009】
本発明の目的は、隣接する単位冷蔵庫の間で冷媒配管からの放熱が阻害されるのを抑制することができるモジュール型冷蔵装置、及びモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫の風向制御板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、モジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫において、単位冷蔵庫の側面板の内側に設置された冷媒配管によって形成される放熱領域の上側の位置に、側面板から庫外側に向かって突き出す側面風向制御板が設けられている、ところにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、左右方向に隣り合うように単位冷蔵庫が配置されていても、側面風向制御板によって、隣り合う単位冷蔵庫の側面板の間に通風空間が形成されるので、互いの側面板からの放熱が阻害されるのを抑制できる。
【0012】
また、上下方向に隣り合うように単位冷蔵庫が配置されていても、下側の単位冷蔵庫の側面板から上昇する温められた空気が、側面風向制御板に沿って単位冷蔵庫の背面側に流れるので、上側の単位冷蔵庫の側面板からの放熱が阻害されるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態になるモジュール型冷蔵装置の正面図である。
図2図1に示すモジュール型冷蔵装置のA-A断面を示す断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態になるモジュール型冷蔵装置であり、図2に対応する断面図である。
図4図3に示すモジュール型冷蔵装置の変形例であり、図2に対応する断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態になるモジュール型冷蔵装置の正面図である。
図6図5に示すモジュール型冷蔵装置のB-B断面を示す断面図である。
図7図5に示すモジュール型冷蔵装置のC-C断面を示す断面図である。
図8図5に示すモジュール型冷蔵装置の第1の変形例であり、図7に対応する断面図である。
図9図5に示すモジュール型冷蔵装置の第2の変形例であり、図7に対応する断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態になるモジュール型冷蔵装置の断面を示す断面図である。
図11】本発明の第5の実施形態になるモジュール型冷蔵装置の背面側か見た背面図である。
図12】本発明の第6の実施形態になるモジュール型冷蔵装置の制御方法を示す制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態になるモジュール型冷蔵装置を正面から見たものである。モジュール型冷蔵装置は、実質的に同じ体格形状に形成された単位冷蔵庫10Uの集合から構成されている。本実施形態では、左右上下方向に4個の単位冷蔵庫10U1~10U4からモジュール型冷蔵装置が形成されている。
【0016】
したがって、単位冷蔵庫10U1と単位冷蔵庫10U2、及び単位冷蔵庫10U3と単位冷蔵庫10U4とは左右方向に隣り合うように並べて配置されている。また、単位冷蔵庫10U1と単位冷蔵庫10U3、及び単位冷蔵庫10U2と単位冷蔵庫10U4とは上下方向に隣り合うように並べて配置されている。尚、本実施形態では上下左右方向に単位冷蔵庫10Uを並べているが、上下方向、或いは左右方向に並べることも可能である。
【0017】
単位冷蔵庫10U1~10U4は、断熱箱体と、この断熱箱体を外側から覆うように金属板を折り曲げた筐体とから構成され、この単位冷蔵庫は後述するように、開閉扉を備えた前面部と、前面部に対向するように配置された背面板と、背面板の両端に位置し、前面部の側に延びる側面板を備えている。
【0018】
周知の通り筐体の内部に、冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮機からの高温の冷媒を庫外の空気と熱交換する凝縮器、凝縮された冷媒を膨張させる膨張部(キャピラリチューブ)、膨張された冷媒を庫内空気と熱交換する蒸発器、及び蒸発器に庫内空気を送る送風ファン、冷媒を圧縮機から凝縮器、膨張部、蒸発器へ送り、再び圧縮機へ戻す冷媒配管等が配置されている。
【0019】
ここで、単位冷蔵庫10U1~10U4の筐体の左右(両側)の側面板11L、11Rの内側に、冷媒配管が蛇行するように取り付けられて凝縮器が形成されており、側面板11L、11Rには、側面板11L、11Rから庫外の外気に冷媒の熱を放熱する放熱領域(図2参照)が形成とされている。
【0020】
更に、単位冷蔵庫10U1~10U4の筐体の背面板11B(図2参照)にも冷媒配管が設けられることもあり、この場合は、背面板11Bの内側に、冷媒配管が蛇行するように取り付けられて凝縮器が形成されることになる。本実施形態では背面板11Bにも冷媒配管が取り付けられている。
【0021】
また、単位冷蔵庫10U1~10U4の正面には、開閉扉12U1~12U4が備えられ、更に、単位冷蔵庫10U1~10U4の背面側の下部には、圧縮機13U1~13U4が配置されている。そして、単位冷蔵庫10U1~10U1の左右(両側)の側面板11L、11Rの庫外側には、側面風向制御板14L、14Rが形成されている。
【0022】
図2に示すように、側面板11L、11Rの内側に取り付けられた冷媒配管15によって、側面板11L、11Rに放熱領域HAが形成されている。この放熱領域HAは、少なくとも冷媒配管15が位置する領域に形成されている。すなわち、冷媒配管15の内、側面板11L、11Rの内側で蛇行する領域と、蛇行を終えて側面板11L、11Rから天面板16や背面板11Bに向かう領域に放熱領域HAは形成される。図2等では放熱領域HAを広めに描いているが、蛇行する冷媒配管15の折り返しの頂点それぞれに概ね外接する仮想閉曲線で囲まれた領域と考えることができる。そして、側面風向制御板14L、14Rは、重力方向(いわゆる天地方向)で見て、少なくとも放熱領域HAの範囲の上側に設けられている。
【0023】
側面風向制御板14L、14Rは、本実施形態では単位冷蔵庫10Uの側面板11L、11Rの前面側端面と背面側端面に亘って、直線状の形状に形成されて設けられている。これによって、側面風向制御板14L、14Rを、放熱領域HAの範囲を超えて延びる形状とすることができ、また、側面風向制御板14L、14Rは天地方向に直交する方向に配置されている。
【0024】
更に、側面風向制御板14L、14Rは、単位冷蔵庫10U1~10U4の筐体の上面を形成する天面板16、或いは側面板11L、11Rに一体的に形成されている。そして、側面風向制御板14L、14Rは、側面板11L、11Rの表面を基準として、庫外側に突き出す形状となっている。
【0025】
例えば、(1)天面板16に側面風向制御板14L、14Rを形成する場合は、天面板16の側面板11R、11Lの側の辺が、側面板11L、11Rの表面から外側(庫外側)に向けて突き出すように天面板16を形成すれば良く、(2)側面板11R、11Lに側面風向制御板14L、14Rを形成する場合は、側面板11R、11Lの表面から外側(庫外側)に向けて突き出すように、側面板11L、11Rに側面風向制御板14L、14Rを形成すれば良いものである。
【0026】
このように、本実施形態の側面風向制御板14L、14Rは、単位冷蔵庫10の側面板11L、11Rの内側に設置された冷媒配管15によって形成される放熱領域HAの上側の位置に、側面板11L、11Rから外側(庫外側)に向かって突き出す形態とされている。この時、側面板11L、11Rの表面と、突き出した側面風向制御板14L、14Rの間のなす角度は略90°に設定されている。
【0027】
尚、本実施形態では、側面風向制御板14L、14Rは天面板16、或いは側面板11L、11Rを形成する金属板によって同時に、しかも一体的に形成したものであるが、例えば、断面を「L」字型に形成した長尺の側面風向制御板14L、14Rを別体に形成して、後付けで側面板11L、11Rに取り付けることもできる。取り付け方法としては、固定ボルトや、永久磁石を使用して取り付けることが可能である。後付けの側面風向制御板14L、14Rの材料としては、金属や合成樹脂を使用することができる。
【0028】
また、側面風向制御板14L、14Rは、板状の金属や合成樹脂により一体で形成し、かつ、少なくとも側面板11L、11Rの側の辺が天面板16よりも庫外側に突き出るように長くした略矩形に形成してもよい。これによれば、略矩形の側面風向制御板14L、14Rを天面板16の上から被せるように固定できるため、脱落を防止しやすく、部品点数も少なくなる。
【0029】
また、固定ボルトにより側面板11L、11Rに側面風向制御板14L、14Rを固定する場合は、固定ボルト用の孔を側面板11L、11Rに設けてもよい。更に、側面板11L、11Rの内側に配置される真空断熱材や発泡ウレタン等の断熱材は孔が開くと断熱性能が悪化するため、側面板11L、11Rの垂直方向から見て、側面板11L、11Rに設けられた固定ボルト用の孔以外の位置に真空断熱材や発泡ウレタン等の断熱材を配置する構成としてもよい。 また、単位冷蔵庫10U1~10U4の底面部の四隅には、空気の流れを確保するための通風路AFBを形成する脚部17が取り付けられている。図1図2にあるように、単位冷蔵庫10U1~10U4を上下左右方向に並べて設置する場合において、単位冷蔵庫10U3、10U4は、床面Fとの間に通風路AFBを確保し、また、単位冷蔵庫10U3、10U4と単位冷蔵庫10U1、10U2との間に通風路AFBを確保することができる。
【0030】
また、図1に示すように、単位冷蔵庫10U1と単位冷蔵庫10U2の間、及び単位冷蔵庫10U3と単位冷蔵庫10U4の間は、単位冷蔵庫10U1及び単位冷蔵庫10U3に設けた側面風向制御板14Rと、単位冷蔵庫10U2及び単位冷蔵庫10U4に設けた側面風向制御板14Lとが突き合わされているので、これによって、単位冷蔵庫10U1と単位冷蔵庫10U2の間、及び単位冷蔵庫10U3と単位冷蔵庫10U4の間に通風路(通風空間)AFMが形成されている。
【0031】
更に、図2に示すように、単位冷蔵庫10U1~10U4の背面板11Bと壁面Wの間は、壁面Wに沿って通風路AFWが形成されるように、単位冷蔵庫10U1~10U4は隙間を確保できる形態で配置されている。例えば、システムキッチンにモジュール型冷蔵装置を組み込む場合は、システムキッチンの背面側に通風路を確保する形状を設けるように設計すれば良いものである。尚、通風路AFWを形成する通風路形成部材を利用することもでき、これについては後述する。
【0032】
図2に示す通り、下側の単位冷蔵庫10U4においては、実線矢印で示す空気流AF4に示すように、通風路AFBを通過した温度が低い空気は、通風路AFMに流れていき、この通風空間において、単位冷蔵庫10U4の側面板11Lの冷却領域HAで加熱されて温度が高くなり、温度が高い空気は浮力により上昇する。
【0033】
そして、空気流AF4は、圧縮機13U4と背面板11Bからの放熱により生じる上昇気流(図示無し)に供給されるように、単位冷蔵庫10U4の背面側に向かう。この結果、空気流AF4は、紙面上で右斜め上方向に流れることになる。圧縮機13U4から発生する熱は、冷媒の圧力変化やエネルギーの損失に起因する。
【0034】
更に、紙面上で右斜め上方向に流れる空気流AF4は、側面風向制御板14Lに衝突して上側に流れるのが阻害され、空気流AF4は右方向に曲がり、壁面Wとの間に形成された通風路AFWを通って上方空間へ流出するようになる。
【0035】
同様に、上側の単位冷蔵庫10U2においても、実線矢印で示す空気流AF2に示すように、通風路AFBを通過した温度が低い空気は、通風路AFMに流れていき、この通風空間において、単位冷蔵庫10U2の側面板11Lの冷却領域HAで加熱され、温度が高い空気は浮力により上昇する。
【0036】
また、空気流AF2は、圧縮機13U4と背面板11Bからの放熱により生じる上昇気流(図示無し)に供給されるように、単位冷蔵庫10U4の背面側に向かい、この結果、空気流AF2は、紙面上で右斜め上方向に流れることになる。
【0037】
そして、紙面上で右斜め上方向に流れる空気流AF2は、側面風向制御板14Lに衝突して上側に流れるのが阻害され、空気流AF2は右方向に曲がり、壁面Wとの間に形成された通風路AFWを通って上方空間へ流出するようになる。
【0038】
このように、下側の単位冷蔵庫10U4においては、下側の単位冷蔵庫10U4の側面板11Lからの放熱より、温度が上昇した空気を含む空気流AF4が、側面風向制御板14Lによって、上側の単位冷蔵庫10U2の側面板11Lに到達することを抑制できるので、上側の単位冷蔵庫10U2の側面板11Lからの放熱量が低下することを抑制することが可能となる。
【0039】
例えば、従来のように側面風向制御板14Lが存在しない場合においては、下側の単位冷蔵庫10U4から上昇してくる空気流AF4は、上側の単位冷蔵庫10U2の側面板11Lに到達し、放熱領域HAでの放熱効率が低下するので、上側の単位冷蔵庫10U2の側面板11Lからの放熱量が低下するという課題を生じる。これは、上側の単位冷蔵庫10U2と下側の単位冷蔵庫10U4が実質的に同じ体格であり、放熱量も実質的に同じであるために発生する課題である。すなわち、上側の単位冷蔵庫10U2と下側の単位冷蔵庫10U4の放熱量の差を小さくする問題に帰着する。
【0040】
また、側面板11L、11Rに設けた側面風向制御板14L、14Rは、左右方向に並べて配置した単位冷蔵庫10U1と単位冷蔵庫10U2との間、及び単位冷蔵庫10U3と単位冷蔵庫10U4との間に通風路AFMを形成することができるため、隣り合う単位冷蔵庫の側面板11Lと側面板11Rとが密着することを防止できる。これによって、側面板11L、11Rからの放熱量の低下を抑制することができる。
【0041】
このように、側面風向制御板14L、11Rは、左右方向に隣り合うように単位冷蔵庫10Uが配置されていても、側面風向制御板14L、14Rによって、隣り合う単位冷蔵庫10Uの側面板11L、11Rの間に通風路AFMが形成されるので、互いの側面板11L、11Rからの放熱が阻害されるのを抑制できる。
【0042】
また、上下方向に隣り合うように単位冷蔵庫10Uが配置されていても、下側の単位冷蔵庫10Uの側面板11L、11Rから上昇する温められた空気が、側面風向制御板14L、14Rによって単位冷蔵庫10Uの背面側に流れるので、上側の単位冷蔵庫10Uの側面板11L、11Rからの放熱が阻害されるのを抑制できる。
【0043】
尚、単位冷蔵庫10Uを1台で使用する場合には、側面風向制御板14L、14Rは不要となるため、側面風向制御板14L、14Rは取り外すこともできる。更に、上下に隣り合うように単位冷蔵庫が配置される場合は、上側の単位冷蔵庫の側面風向制御板14L、14Rを省略することもできる。
【0044】
また、本実施例では放熱領域HAが側面板11L並びに/又は11Rに形成されているが、冷媒配管15を含む、熱交換器の高温側部材が配される位置に形成される。すなわち、冷媒配管15が背面板11B並びに/又は天面板16に設けられている場合、放熱領域HAは、少なくとも背面板11B並びに/又は天面板16の冷媒配管15を含むように形成される。熱交換システムに圧縮機13U4を使用せずペルチェ素子やスターリング冷凍機を使用する場合は、熱交換器の高温側部材は冷媒配管15ではなくペルチェ素子やスターリング冷凍機の放熱フィンとなる。
【0045】
このため、放熱領域HAは、放熱フィンが配されている外箱の板の正面視において、放熱フィンを含む領域として形成される。例えば放熱フィンが側面板11Lに配されている場合、側面板11Lの正面視(冷蔵庫の側面視)で放熱フィンを概ね丁度包含する大きさの領域が放熱領域として形成される。また、前記ペルチェ素子とスターリング冷凍機の場合、圧縮機13U4に相当する熱源は、電子部品や駆動部である。
【0046】
なお、側面風向制御14L、14Rは上から見て放熱領域HAを覆う位置の一部を最も突出させてもよい。言い換えると、上から見て少なくとも放熱領域HAの一部を覆う位置以外の箇所は側面風向制御板14L、14Rを切り欠いてもよい。これにより、側面板11L、11Rからの放熱により加熱された気流が煙突効果により、切り欠いた箇所から上側に流れ、左右または/かつ上下に隣り合うように単位冷蔵庫10Uが複数配置された場合においても、側面板11L、11Rからの放熱を促進することが可能になる。
【実施例2】
【0047】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、側面風向制御板14L、14Rを形成する角度が、背面側が重力方向(天地方向)で高くなるように傾けて設けられている点で、第1の実施形態と異なっている。尚、側面風向制御板14L、14R以外は同じ構成なので、同じ参照番号を付している。ただ、説明は既に第1の実施形態で行っているので、ここでは省略する。
【0048】
図3において、側面板11Lの内側に取り付けられた冷媒配管15によって、側面板11Lに放熱領域HAが形成されている。この放熱領域HAは、少なくとも冷媒配管15が位置する領域に形成されている。そして、風向制御板18Lは、重力方向(天地方向)で見て、少なくとも放熱領域HAの範囲の上側に設けられている。
【0049】
更に、下側の単位冷蔵庫10U4と上側の単位冷蔵庫10U2の風向制御板18Lは、本実施形態では単位冷蔵庫10の側面板11Lの前面側端面と背面側端面に亘って、直線状の形態に形成され、しかも傾斜を有して設けられている。これによって、放熱領域HAの範囲を超えて延びる形状とすることができる。
【0050】
図3に示す通り、風向制御板18Lは、単位冷蔵庫10の側面板11Lの前面側端面から背面側端面に向かって、重力方向で上側に向かって傾斜されている。つまり、風向制御板18Lは、浮力が大きい空気を単位冷蔵庫10U4、10U2の背面側に向かって流れ易くしている。
【0051】
これによって、空気流AF4、AF2で示すように、第1の実施形態に比べて、円滑に空気流AF4、AF2を壁面W側に曲げることができる。これによって、空気流AF4、AF2の流動損失が低下して流速が増加することで、側面板11Lの放熱領域HAからの放熱量を増加することが可能になる。
【0052】
また、風向制御板18Lが前面側(開閉扉側)に下向きで傾斜していることによって、空気流AF4、AF21には紙面上で右方向の力が働くため、前面側に空気流が流出することを抑制ができ、これにより使用者に不快な熱風が当たることを抑制できる。
【0053】
尚、風向制御板18Lの傾きを大きくすると、風向制御板18Lよりも上部に放熱領域がはみ出し、下側の単位冷蔵庫10U4の側面板11Lからの放熱によって、温度が高い空気流が、上側の単位冷蔵庫10U2の側面板11Lに到達することが懸念される。
【0054】
この場合は、風向制御板18Lよりも上側に位置する側面板11Lには、冷媒配管を取り付けない、或いは冷媒配管の本数を少なくすることで、このような懸念に対して対策を行うことができる。
【0055】
以上は、単位冷蔵庫10Uの左側の側面板11Lに設けた風向版18Lについて説明したが、単位冷蔵庫10Uの右側の側面板11Rに設けた風向版18Rについても同様である。
【0056】
次に、第2の実施形態の変形例を図4に基づいて説明する。この変形例は風向制御板19Lの断面が湾曲した形状に形成されている点で、第2の実施形態と異なっている。尚、風向制御板19L以外は同じ構成なので、第2の実施形態と同じ参照番号を付している。ただ、説明は既に第1の実施形態で行っているので、ここでは省略する。
【0057】
図4において、側面風向制御板14Lは側面板11Lの内側に取り付けられた冷媒配管15によって、側面板11Lに放熱領域HAが形成されている。この放熱領域HAは、少なくとも冷媒配管15が位置する領域に形成されている。そして、風向制御板19Lは、重力方向(天地方向)で見て、少なくとも放熱領域HAの範囲の上側に設けられている。
【0058】
更に、下側の単位冷蔵庫10U4と上側の単位冷蔵庫10U2の風向制御板19Lは、本実施形態では単位冷蔵庫10の側面板11Lの前面側端面と背面側端面に亘って、湾曲した形状に形成され、しかも傾斜を有して設けられている。これによって、放熱領域HAの範囲を超えて延びる形状とすることができる。
【0059】
風向制御板19Lは、単位冷蔵庫10の側面板11Lの前面側端面から背面側端面に向かって、重力方向で上側に向かって傾斜されている。つまり、風向制御板19Lは、浮力が大きい空気を単位冷蔵庫10U4、10U2の背面側に向かって流れ易くしている。更に、風向制御板19Lの断面形状(長手方向の断面)は、重力方向で「上側に凸」の形状に形成されている。
【0060】
このように、風向制御板19Lの形状を図4のように、重力方向で「上側に凸」の形状に湾曲させることで、空気流AF4、AF2の流れを更に円滑にすることが可能となる。
【実施例3】
【0061】
次に本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態においては、下側の単位冷蔵庫10U4に配置された圧縮機13U4から放熱された熱を含んだ空気が、上側の単位冷蔵庫10U2に配置された圧縮機13U2に流れることによって生じる放熱量の低下を抑制することを目的としている。
【0062】
この第3の実施形態は、風向制御板が単位冷蔵庫の背面板11Bにも設けられている点で、第1の実施形態と異なっている。尚、背面板11Bに設けた風向制御板以外は同じ構成なので、同じ参照番号を付している。ただ、説明は既に第1の実施形態で行っているので、ここでは省略する。
【0063】
図5は第3の実施形態になるモジュール型冷蔵装置を正面から見たものである。モジュール型冷蔵装置は、第1の実施形態と同様に、実質的に同じ体格に形成された単位冷蔵庫10Uの集合から構成されている。本実施形態では、左右上下方向に4個の単位冷蔵庫10U1~10U4からモジュール型冷蔵装置が形成されている。
【0064】
図6図5のB-B断面を示しており、図7図5のC-C断面を示している。背面板11Bには、壁面Wの方向に延びる背面風向制御板20が形成されている。背面風向制御板20は、単位冷蔵庫10Uの左右の側面板11L、11Rの端面を結ぶ背面板11Bに亘って、直線状の形状に形成されて設けられている。これによって、背面板11Bに形成された放熱領域(図示せず)の範囲を超えて延びる形状とすることができる。
【0065】
背面風向制御板20と壁面Wとの間には、第1の実施形態と同様に所定長の隙間が形成されており、これによって通風路AFWを確保するようにしている。
【0066】
また、背面風向制御板20は、単位冷蔵庫10U1~10U4の筐体の上面を形成する天面板16、或いは背面板11Bに一体的に形成されている。この背面風向制御板20の形成においては、(1)天面板16に背面風向制御板20を形成する場合は、天面板16の背面側(壁面wの側)の辺が、背面板11Bの表面から庫外側(壁面W側)に向けて突き出すように天面板16を形成すれば良く、(2)背面板11Bに背面風向制御板20を形成する場合は、背面板20の表面から庫外側(壁面W側)に向けて突き出すように背面板11Bに背面風向制御板20を形成すれば良いものである。
【0067】
そして図6に示すように、通風路AFBを通過した温度が低い空気は、圧縮機13U4からの放熱により加熱され、温度が高くなった空気は浮力により壁面Wに沿って通風路AFWを上方向に向かって流れるようになる。
【0068】
この時、下側の単位冷蔵庫10U4からの空気流AF4は、背面風向制御板20に沿って右方向に曲がって上昇する。このため、下側の単位冷蔵庫10U4からの空気流AF4は、上側の単位冷蔵庫10U2の圧縮機13U2の方に流れるのを抑制される。同様に、上側の単位冷蔵庫10U2の通風路AFBを通過した温度が低い空気は、圧縮機13U2からの放熱により加熱され、温度が高くなった空気は浮力により壁面Wに沿って通風路AFWを上方向に向かって流れるようになる。
【0069】
このように、下側の単位冷蔵庫10U4においては、圧縮機13U4からの放熱より、温度が上昇した空気を含む空気流AF4が、背面風向制御板20によって、上側の単位冷蔵庫10U2の圧縮機13U2に到達することを抑制できるので、上側の単位冷蔵庫10U2の圧縮機13U2からの放熱量が低下することを抑制することが可能となる。
【0070】
例えば、従来のように背面風向制御板20が存在しない場合においては、下側の単位冷蔵庫10U4の圧縮機13U4から上昇してくる空気流AF4は、上側の単位冷蔵庫10U2の圧縮機13U2に到達し、放熱効率が低下するので、上側の単位冷蔵庫10U2の圧縮機13U2からの放熱量が低下するという課題を生じる。
【0071】
更に、背面板11Bにも冷媒配管15が取り付けられていた場合も、下側の単位冷蔵庫10U4の背面板11Bで温められた、温度が高い空気流は、背面風向制御板20によって、上側の単位冷蔵庫10U2の背面板11Bに近づくのが抑制されるので、上側の単位冷蔵庫10U2の背面板11Bの放熱量が低下するのを抑制することができる。
【0072】
尚、単位冷蔵庫10Uを1台で使用する場合には、背面風向制御板20は不要となるため、背面風向制御板20は取り外すこともできる。更に、上下方向に隣り合うように単位冷蔵庫10Uが配置される場合は、上側の単位冷蔵庫10Uの背面風向制御板20を省略することもできる。
【0073】
次に、第3の実施形態の変形例を図8に基づいて説明する。この変形例は背面風向制御板20に加えてサブ背面風向制御板20Sを設けた点で、第3の実施形態と異なっている。尚、サブ背面風向制御板20S以外は同じ構成なので、第3の実施形態と同じ参照番号を付している。ただ、説明は既に第3の実施形態で行っているので、ここでは省略する。
【0074】
図8において、背面風向制御板20には重力方向(天地方向)で見て、圧縮機13U3、13U4の配置位置に対応した位置にサブ背面風向制御板20Sを設ける構成としている。サブ背面風向制御板20Sは、上から見たときに、少なくとも圧縮機13U3、13U4が覆われるように設けられている。言い換えると、上から見たときに、圧縮機13U3、13U4と側面板11L、11Rとの間において風向板制御板20と壁面Wに隙間が生じるように、サブ背面風向制御板20Sは背面風向制御板20よりも突出している。このサブ背面風向制御板20Sは壁面Wに接触する形状とされており、圧縮機13U3、13U4を通って流れてくる空気流AF3、AF4が、上側の圧圧縮機13U1、13U2に到達しづらくする機能を備えている。すなわち、圧縮機13U3、13U4を通って流れてくる温かい空気流AF3、AF4がサブ背面風向制御板20Sにより左右方向に分岐するため、上側の圧縮機13U1、13U2に空気流AF3、AF4が到達しづらくなる。
【0075】
このように、サブ背面風向制御板20Sを備えることによって、圧縮機13U3、13U4を通って流れてくる温かい空気流AF3、AF4が、上側の圧縮機13U1、13U2に到達することを抑制できるので、上側の圧縮機13U1、13U2からの放熱量が低下することを抑制することが可能となる。
【0076】
次に、第3の実施形態の第2の変形例を図9に基づいて説明する。この変形例は背面風向制御板20の両端に、通風路AFWを確保するための通風路形成部材21を設けた点で、第3の実施形態と異なっている。尚、通風路形成部材21以外は同じ構成なので、第3の実施形態と同じ参照番号を付している。ただ、説明は既に第3の実施形態で行っているので、ここでは省略する。
【0077】
図9において、背面風向制御板20の両端には通風路形成部材21が形成されており、この通風路形成部材21は、壁面Wに接触して背面風向制御板20の端面と壁面Wの間に所定の面積の通風路AFWを確保するように構成されている。このため、通風路AFWの開口面積を設計通りに十分確保することが可能となる。また、設置する場合も、通風路AFWの確保に特別な配慮をすることなく、単に通風路形成部材21が壁面Wに接触するまで押し込めば良いので、設置作業が容易となる。
【実施例4】
【0078】
次に本発明の第4の実施形態について説明する。この第4の実施形態においては、単位冷蔵庫10Uの設置作業を容易にすることを目的としている。単位冷蔵庫10Uにおいては、設置に際して室内を移動することが必要であるが、重い単位冷蔵庫10Uを持ち上げて移動させることは、多くの人員と作業時間が必要となる。
【0079】
このため、本実施形態では単位冷蔵庫10Uの背面側の一対の脚部17を転動機構(以下キャスターと表記する)に置き換えたものである。図10において、下側の単位冷蔵庫10U4、及び上側の単位冷蔵庫10U2の底面部における背面側の一対の脚部17は、キャスター22に置き換えられている。これによって、単位冷蔵庫10Uの開閉扉12U側を持ち上げるようにして傾斜させれば、単位冷蔵庫10Uを容易に移動することができ、設置作業が容易となる。
【0080】
ここで、キャスター22を使用して冷蔵庫を壁面Wに近づける際に、背面板11Bと壁面Wの間の隙間が把握しづらく、背面板11Bが壁面Wに近接してしまい、背面板11B、及び圧縮機13Uからの放熱量が低下することが懸念される。
【0081】
これに対して、図8に示すサブ背面風向制御板20Sや、図9に示す通風路形成部材21を形成していると、これらが壁面Wに接することで、単位冷蔵庫10Uの背面板11Bが壁面Wに接することを防止でき、確実に通風路AFWを確保することができる。したがって、背面板11、及び圧縮機13Uからの放熱量の低下を抑制することが可能になる。
【0082】
更に、上側の単位冷蔵庫10Uにおいては、キャスター22を設けていると、単位冷蔵庫10Uが移動しやすくなるので、下側の単位冷蔵庫10Uの天面板16には、キャスター22を固定する固定部23が設けられている。この固定部23によって、上側の単位冷蔵庫10Uは、移動し難くなり、開閉扉12Uを開けたときに、単位冷冷蔵庫10Uが移動したりするのを抑制することができる。
【実施例5】
【0083】
次に本発明の第5の実施形態について説明する。この第5の実施形態においては、単位冷蔵庫10Uの背面板11Bに、圧縮機13Uの熱を奪った温かい空気を側面板11L、11Rの側に導く2つの空気案内壁25を形成したことを特徴としている。これによって、2つの空気案内壁25の間には、温まった空気が流れる導出通路26が形成されることになる。尚、空気案内壁25以外は、第1の実施形態と同じ構成なので、同じ参照番号を付している。ただ、説明は既に第1の実施形態で行っているので、ここでは省略する。
【0084】
図11において、背面板11Bに形成された開口部24には、空気案内壁25の一方端が近接して配置されている。また、空気案内壁25の他方端は、左側、或いは右側の側面板11L、11Rの側に向けて配置されている。重要なことは、空気案内壁25の他方端が、上側に配置された圧縮機13Uを避ける形態で配置されていることである。
【0085】
したがって、図11にある下側の圧縮機13U3,13U4で発生した熱を奪った空気は、2つの空気案内壁25によって形成された導出通路26を流れて、上側の圧縮機13U1,13U2の側に流れることなく排出される。これによって、下側の圧縮機13U3、13U4を通って流れてくる温かい空気が、上側の圧縮機13U1、13U2に到達することを抑制できるので、上側の圧縮機13U1、13U2からの放熱量が低下することを抑制することが可能となる。
【実施例6】
【0086】
次に、モジュール型冷蔵装置の制御方法の一例について図12を用いて簡単に説明する。以下に説明する例は、単位冷蔵庫10Uを上下方向に並べて配置した時の制御方法である。ここでの説明においては、図1に示す上側の単位冷蔵庫10U1と、下側の単位冷蔵庫10U3を対象とする。
【0087】
≪ステップS10≫
先ずステップS10においては、上側単位冷蔵庫10U1と下側単位冷蔵庫10U3の連結情報を取得する。この連結情報とは、或る冷蔵庫(ここでは上側単位冷蔵庫)に連結される冷蔵庫(ここでは下側単位冷蔵庫)が存在するか否かを判定する。つまり、上下方向に単位冷蔵庫が配置されているかどうかを判定する情報を取得する。尚、ここでは判定処理を省略している。また、連結情報の取得は、ネットワークを介して取得しても良く、使用者が冷蔵庫に設けられた入力装置に入力し取得しても良く、更にはセンサで検知して取得しても良い。連結情報から上下方向に単位冷蔵庫10U1,10U3が配置されていると判断されるとステップS11に移行する。
【0088】
≪ステップS11≫
ステップS11においては、上側単位冷蔵庫10U1と下側単位冷蔵庫10U3の夫々の庫内温度を取得する。庫内温度は、夫々の単位冷蔵庫10U1、10U2に設けてある温度センサから取得される。庫内温度が取得されるとステップS12に移行する。
【0089】
≪ステップS12≫
ステップS12においては、上側単位冷蔵庫10U1の庫内温度が閾値以上かどうかを判定する。閾値未満であれば、ステップS11に戻り、同じ動作を繰り返す。一方、閾値以上であれば、上側単位冷蔵庫10U1の冷却能力を高めることが要請されている。したがって、ステップS12で庫内温度が閾値以上と判断されるステップS13に移行する。
【0090】
≪ステップS13≫
ステップS13においては、上側単位冷蔵庫10U1の放熱能力が上限かどうかを判断する。放熱能力が上限に達していなく、放熱能力を高めることができる場合はステップS14に移行する。一方、上側単位冷蔵庫10U1の放熱能力が上限に達している場合は、上側単位冷蔵庫10U1だけでは庫内温度を下げることができないと判断してステップS15に移行する。
【0091】
≪ステップS14≫
ステップS13で上側単位冷蔵庫10U1の放熱能力が上限でないと判断されているので、ステップS14においては、上側単位冷蔵庫10U1の放熱能力を増加することで、上側単位冷蔵庫10U1の庫内温度が閾値以下になるように制御する。ここで、放熱能力を制御するパラメータとしては、圧縮機回転数、ファン回転数等があげられる。尚、冷却手段としてペルチェ素子を使用している場合は、印加電圧を制御することができる。ステップS14を実行すると再びステップ12に戻る。
【0092】
≪ステップS15≫
ステップS13で上側単位冷蔵庫10U1の放熱能力が上限に達していると判断されているので、ステップS15においては、下側単位冷蔵庫10U3の庫内温度が閾値以上かどうかを判断する。
【0093】
ここで、下側単位冷蔵庫10U3の庫内温度が閾値未満の場合は、下側単位冷蔵庫10U3の放熱能力を低下しても、庫内温度を十分な低温に保持できることを意味し、そうでない場合は、放熱能力を低下すると庫内温度を十分な低温に保持できないことを意味している。したがって、庫内温度が閾値未満の場合はステップS16に移行し、庫内温度が閾値以上の場合はステップS17に移行する。
【0094】
≪ステップS16≫
ステップS15では下側単位冷蔵庫10U3の庫内温度が閾値未満と判断されているので、ステップS16においては、下側単位冷蔵庫10U3の放熱能力を低下する。ステップ16では、下側単位冷蔵庫10U3の放熱量を調整して、上側単位冷蔵庫10U1の放熱量を間接的に多くすることを目的としている。放熱能力を制御するパラメータとしては、上述の通り圧縮機回転数、ファン回転数等があげられる。
【0095】
放熱能力が低下すると、下側単位冷蔵庫10U3から放熱される熱量が減少して、放熱用の庫外の空気温度が低下する。このため、上側に位置する上側単位冷蔵庫10U1の放熱に利用される庫外の空気温度も低くなるので、放熱効率が向上して上側単位冷蔵庫10U1の庫内温度を低下することが可能となる。ステップS16を実行すると再びステップ12に戻る。
【0096】
≪ステップS17≫
ステップS17においては、下側単位冷蔵庫10U3の放熱能力が低下できないので、上側単位冷蔵庫10U1の庫内温度を低下させることができない。このため、上側単位冷蔵庫10U1の庫内温度が異常であることを使用者に報知する。このステップS17が完了すると、エンドに抜けて処理を終了する。
【0097】
以上に説明した制御フローは一例であり、これ以外の種々の制御フローが実施できることは言うまでもない。
【0098】
以上の通り、本発明によればモジュール型冷蔵装置を構成する単位冷蔵庫において、単位冷蔵庫の側面板の内側に設置された冷媒配管によって形成される放熱領域の上側の位置に、側面板から庫外側に向かって突き出す風向制御板が設けられている、ことを特徴としている。
【0099】
これによれば、左右方向に隣り合うように単位冷蔵庫が配置されていても、風向制御板によって、隣り合う単位冷蔵庫の側面板の間に通風空間が形成されるので、互いの側面板からの放熱が阻害されるのを抑制できる。
【0100】
また、上下方向に隣り合うように単位冷蔵庫が配置されていても、下側の単位冷蔵庫の側面板から上昇する温められた空気が、風向制御板に沿って単位冷蔵庫の背面側に流れるので、上側の単位冷蔵庫の側面板からの放熱が阻害されるのを抑制できる。
【0101】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0102】
10U…単位冷蔵庫、11L、11R…側面板、11B…背面板、12U…開閉扉、13U…圧縮機、14L、14R…側面風向制御板、15…冷媒配管、16…天板、17…脚部、18L、18R…側面風向制御板、19L、19R…側面風向制御板、20…背面風向制御板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12