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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/20 20090101AFI20241010BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20241010BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20241010BHJP
   H04W 84/22 20090101ALI20241010BHJP
【FI】
H04W16/20
H04W4/38
H04W84/18 110
H04W84/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020170519
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062485
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕亮
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184898(JP,A)
【文献】特開2019-102992(JP,A)
【文献】特開2015-109596(JP,A)
【文献】特開2010-045701(JP,A)
【文献】特開2016-052061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ機と、
前記サーバ機とマルチホップ形式の無線通信が可能な複数の無線機と、
前記無線機の位置データに基づいて、前記無線機から前記サーバ機までの通信が可能であるか否かの指標を示す接続可能性データを予測する予測実行部と、
前記無線機の前記位置データ、地図データおよび前記接続可能性データを教師データとして機械学習を行い、前記無線機の前記位置データおよび前記地図データの入力に応じて前記接続可能性データを予測する機械学習モデルを生成するモデル生成部と、
を備え
前記予測実行部は、前記機械学習モデルに、前記無線機として新設を試みる新設無線機の前記位置データおよび前記地図データを入力して、前記新設無線機についての前記接続可能性データを予測する、無線通信システム。
【請求項2】
記予測実行部によって予測された前記新設無線機についての前記接続可能性データに基づいて、前記新設無線機の設置位置の適否を推定する設置推定部をさらに備える請求項1に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線機が近距離で通信を行う無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、無線機を含むスマートメータのネットワークの構成例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5683755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ガスの検針に利用されるスマートメータには、無線機が併設される。各々の無線機は、マルチホップ形式の無線通信を行って、スマートメータで検針した検針データをサーバ機に送信することができる。しかし、無線機の設置位置または無線機の周囲の環境によっては、無線機とサーバ機との間の無線通信が有効に機能しないことがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、無線機の無線通信が可能であるか否かを容易に認識させることが可能な無線通信システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の無線通信システムは、サーバ機と、サーバ機とマルチホップ形式の無線通信が可能な複数の無線機と、無線機の位置データに基づいて、無線機からサーバ機までの通信が可能であるか否かの指標を示す接続可能性データを予測する予測実行部と、無線機の位置データ、地図データおよび接続可能性データを教師データとして機械学習を行い、無線機の位置データおよび地図データの入力に応じて接続可能性データを予測する機械学習モデルを生成するモデル生成部と、を備え、予測実行部は、機械学習モデルに、無線機として新設を試みる新設無線機の位置データおよび地図データを入力して、新設無線機についての接続可能性データを予測する
【0007】
また、予測実行部によって予測された新設無線機についての接続可能性データに基づいて、新設無線機の設置位置の適否を推定する設置推定部をさらに備えるとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線機の無線通信が可能であるか否かを容易に認識させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態にかかる無線通信システムの構成を示す概略図である。
図2図2は、メータおよび無線機の一例を示す概略図である。
図3図3は、サーバ機の構成を説明する概略図である。
図4図4は、モデル生成部、予測実行部および設置推定部を説明する概念図である。
図5図5は、第1実施形態の適用例を説明する概念図である。
図6図6は、サーバ機制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態の無線通信システムの一部を示す概略図である。
図8図8は、第2実施形態の適用例を説明する概念図である。
図9図9は、故障診断の前半の流れを説明するフローチャートである。
図10図10は、故障診断の後半の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の態様について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかる無線通信システム1の構成を示す概略図である。無線通信システム1は、複数のメータ10と、複数の無線機12と、複数の中継機14と、基地局16と、サーバ機18とを含む。
【0019】
メータ10は、例えば、スマートメータであり、需要者単位で設置される。具体的には、メータ10は、ガス事業者から需要者にガスを供給する際に、需要者におけるガスの使用量を自動的に検針するガスメータである。なお、メータは、電力事業者から需要者に電力を供給する際に、需要者における電力の使用量を自動的に検針する電力メータであってもよい。
【0020】
無線機12は、メータ10それぞれに対し1対1に対応付けられて設置される。無線機12は、他の無線機12と無線通信することができる。中継機14は、複数の無線機12のいずれかに対応付けられて設置され、その対応付けられた無線機12と有線通信することができる。中継機14は、基地局16を通じてサーバ機18と無線通信することができる。
【0021】
無線機12は、例えば、バッテリで駆動される。無線機12は、バッテリの消費電力を抑えるため、無線通信を比較的近距離で行う。そうすると、すべての無線機12が、中継機14に対応付けられた無線機12と直接に無線通信することができるとは限らない。そこで、無線機12は、無線通信が可能な他の無線機12を1または複数回ホップして、中継機14に対応付けられた無線機12と無線通信する。そして、中継機14に対応付けられた無線機12は、中継機14と有線通信し、中継機14は、基地局16を通じてサーバ機18と無線通信する。こうして、それぞれの無線機12は、サーバ機18とマルチホップ形式の無線通信が可能となっている。
【0022】
ここで、無線機12は、近距離無線通信を前提としているため、無線機12の設置位置あるいは無線機12の周囲の環境によっては、サーバ機18との間の無線通信が有効に機能しないことがある。例えば、無線機12同士の距離が離れすぎているような場合、あるいは、通信を阻害する障壁などが無線機12間に存在するような場合、無線通信が有効に機能しないことがある。また、無線機12は、メータ10の検満タイミングに合わせてメータ10とともに設置されるが、他の無線機12から孤立した位置に設置されると、サーバ機18との間の無線通信が有効に機能しないことがある。
【0023】
そこで、第1実施形態の無線通信システム1は、無線機12として新設を試みる新設無線機の設置位置を検討する際に適用される。
【0024】
図2は、メータ10および無線機12の一例を示す概略図である。メータ10は、計測部20および記憶部22を含む。計測部20は、メータ10における計測対象の検針を行う。計測対象は、メータ10がガスメータであればガス使用量であり、メータ10が電力メータであれば、電力使用量である。計測部20は、検針結果を示す検針データを記憶部22に蓄積させる。
【0025】
無線機12は、無線機通信部24を含む。無線機通信部24は、上述のように、他の無線機12、中継機14および基地局16を通じてサーバ機18と無線通信を確立する。無線機通信部24は、メータ10の記憶部22に蓄積された検針データを、所定のタイミングでサーバ機18に送信する。例えば、無線機通信部24は、24時間中の予め設定された時刻となると検針データを送信する。
【0026】
なお、無線機通信部24は、1日1回検針データを送信する態様に限らず、例えば、検針データの検針値が更新されたタイミングで検針データを送信してもよい。また、無線機通信部24は、サーバ機18から検針データの送信指令の受信に応じて検針データを送信してもよい。また、無線機通信部24およびサーバ機18は、検針データの送受信に限らず、例えば、無線機12を一意に特定する識別子、または、無線機12の位置を示す位置データなど、各種のデータの送受信を行ってもよい。
【0027】
図3は、サーバ機18の構成を説明する概略図である。サーバ機18は、コンピュータ等で構成され、無線通信システム1の管理者側に属する。サーバ機18は、サーバ機通信部30、データベース32およびサーバ機制御部34を含む。
【0028】
サーバ機通信部30は、上述のように、基地局16および中継機14を通じて、それぞれの無線機12と無線通信を確立する。サーバ機通信部30は、それぞれの無線機12から検針データなどの各種のデータを受信する。つまり、サーバ機18は、それぞれの無線機12から各種のデータを収集することができる。また、サーバ機通信部30は、それぞれの無線機12に対して各種の指令を送信することができる。
【0029】
データベース32は、不揮発性の記憶素子で構成される。データベース32に記憶されるデータについては、後に詳述する。
【0030】
サーバ機制御部34は、中央処理装置、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。サーバ機制御部34は、プログラムを実行することで、データ取得部40、前処理部42、モデル生成部44、予測実行部46および設置推定部48として機能する。
【0031】
データ取得部40は、サーバ機通信部30に無線通信を確立させて、それぞれの無線機12から検針データなどの各種のデータを取得する。データ取得部40は、無線機12から取得したデータをデータベース32に蓄積させる。
【0032】
また、データベース32には、無線機12の設置位置を示す位置データ50が、それぞれの無線機12について記憶されている。無線機12の位置データ50は、例えば、無線機12の設置に伴って記憶され、無線機12の数が増減するごとに更新される。なお、無線機12はメータ10に設置されるため、無線機12の位置データ50は、無線機12が設置されるメータ10の設置位置を示すメータ位置データと同じとしてもよい。
【0033】
無線機12の位置データ50は、無線機12の水平位置を示す2次元位置データを含む。2次元位置データは、例えば、緯度および経度の座標データであってもよいし、無線機12およびメータ10が設置される構造物の住所であってもよい。また、無線機12の位置データ50は、2次元位置データに加え、無線機12の高さ位置を示す高さデータが追加されて、3次元位置データとされてもよい。無線機12の高さ位置は、例えば、無線機12の位置する、建物の階数、建物内の部屋番号、標高、または、地下の階数などであってもよい。
【0034】
データベース32には、地図データ52が記憶されている。地図データ52は、少なくとも無線機12の位置を含む周囲の構造物の配置を示すデータが含まれる。地図データ52は、衛星写真のデータであってもよいし、航空写真のデータであってもよいし、建物を示すデータであってもよい。地図データ52は、例えば、1年ごとなどの定期的に、更新されてもよい。
【0035】
データベース32には、通信状況データ54が記憶されている。通信状況データ54は、サーバ機通信部30と無線機12との間の通信状況の履歴を示す。具体的には、通信状況データ54は、無線通信の試行日時の履歴、および、無線機12がサーバ機18と無線通信ができたか否かを示す通信の成否の履歴を含む。データ取得部40は、サーバ機通信部30から、それぞれの無線機12についての通信状況データ54を取得し、無線機12ごとの通信状況データ54をデータベース32に蓄積させる。なお、サーバ機通信部30は、無線機12との無線通信が失敗した場合、無線通信が可能となるまで、あるいは、所定時間が経過するまで、繰り返し無線通信をリトライしてもよい。このような場合、無線通信の試行回数が増える。
【0036】
データベース32には、接続可能性データ56が記憶されている。接続可能性データ56は、無線機12とサーバ機18との間の無線通信が可能であるか否かの指標を示す。接続可能性データ56は、例えば、無線通信が可能な確率が百分率で示される。
【0037】
前処理部42は、データベース32に蓄積された通信状況データ54に基づいて、無線機12ごとに接続可能性データ56を導出する。例えば、前処理部42は、1か月などの所定期間における通信試行回数に対する通信が成功した回数の比を百分率として導出し、接続可能性データ56とする。なお、リトライで無線通信の試行回数が増えた場合、接続可能性データ56は低下する。前処理部42は、導出した無線機12ごとの接続可能性データ56を、その無線機12の位置データ50に関連付けてデータベース32に蓄積させる。前処理部42は、例えば、1か月ごとなどの定期的に、接続可能性データ56を更新してもよい。なお、前処理部42で導出された接続可能性データ56は、実測された通信状況データ54から導出されたものであるため、実測値に相当し、既知の値である。
【0038】
このようにして、データベース32には、位置データ、地図データおよび接続可能性データを含む既知の組み合わせが、無線機12の数だけ蓄積される。
【0039】
図4は、モデル生成部44、予測実行部46および設置推定部48を説明する概念図である。前処理部42は、図4の細破線で囲まれた範囲の処理を行う。モデル生成部44は、図4の太破線で囲まれた範囲の処理を行う。予測実行部46は、図4の一点鎖線で囲まれた範囲の処理を行う。設置推定部48は、図4の二点鎖線で囲まれた範囲の処理を行う。
【0040】
前処理部42は、上述のように、無線機12の実測された通信状況データ54に基づいて、その無線機12についての接続可能性データ56を導出し、データベース32に蓄積させる。
【0041】
モデル生成部44は、データベース32に蓄積された既知の、無線機12の位置データ50、地図データ52、および、無線機12の接続可能性データ56を教師データ60として機械学習を行い、機械学習モデル62を生成する。つまり、モデル生成部44によって学習済の機械学習モデル62が生成される。
【0042】
モデル生成部44で生成される機械学習モデル62は、予測の元データとなる入力データ64の入力に応じて、その入力データ64に対応する出力データ66の予測値を導出するものである。入力データ64は、無線機12の位置データ50および地図データ52とする。出力データ66は、無線機12の接続可能性データ56とする。すなわち、機械学習モデル62は、無線機12の位置データ50および地図データ52の入力に応じて、その無線機12についての未知の接続可能性データ56を予測するものとする。
【0043】
モデル生成部44は、既存の学習アルゴリズムを利用して機械学習を行うことができる。学習アルゴリズムとしては、例えば、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシンなどを用いてもよい。
【0044】
また、モデル生成部44は、例えば、1か月などの定期的に、機械学習モデル62の更新を行ってもよい。また、モデル生成部44は、無線機12の設置または撤去があったときに機械学習モデル62の更新を行ってもよい。また、モデル生成部44は、地図データ52または接続可能性データ56の更新があったときに機械学習モデル62の更新を行ってもよい。
【0045】
上述のように、接続可能性データ56は、無線機12の通信状況データに基づいて導出され、無線機12の無線通信は、無線機12の設置位置および無線機12の周囲の環境に影響を受ける。そして、位置データ50は、無線機12の設置位置を反映しており、地図データ52は、無線機12の周囲の環境を反映している。このため、出力データ66である接続可能性データ56は、入力データ64である位置データ50および地図データ52と相関関係がある。したがって、機械学習モデル62を用いれば、位置データ50および地図データ52から接続可能性データ56の予測値を導出可能である。
【0046】
予測実行部46は、予測の元データとなる入力データ64を機械学習モデル62に入力して、その入力データ64に対応する出力データ66の予測値を導出する。具体的には、予測実行部46は、無線機12として新設を試みる新設無線機の位置データ50、および、地図データ52を入力データ64として機械学習モデル62に入力して、新設無線機についての接続可能性データ56を予測する。新設無線機の位置データ50は、例えば、管理者によって設定される。また、新設無線機は実際に設置される前であるため、新設無線機の通信状況データ54が取得されておらず、新設無線機の接続可能性データ56は未知である。つまり、予測実行部46は、機械学習モデル62を利用して既設の無線機12の接続可能性データ56の傾向を反映して、新設無線機の未知の接続可能性データ56を予測する。
【0047】
設置推定部48は、予測実行部46によって予測された新設無線機についての接続可能性データ56に基づいて、新設無線機の設置位置の適否を推定する。設置推定部48については、後に詳述する。
【0048】
図5は、第1実施形態の適用例を説明する概念図である。図5(A)は、新設無線機の設置前を示し、図5(B)は、新設無線機の設置後を示す。図5(A)では、実線の丸印で示すように、複数の無線機12として、4個の無線機12A、12B、12C、12Dが既設であるとする。つまり、無線機12A、12B、12C、12Dのそれぞれの位置データ50、地図データ52、および、無線機12A、12B、12C、12Dのそれぞれの接続可能性データ56が既知としてデータベース32に記憶されているとする。
【0049】
モデル生成部44は、無線機12A、12B、12C、12Dのそれぞれの位置データ50、地図データ52、および、無線機12A、12B、12C、12Dのそれぞれの接続可能性データ56を反映した機械学習モデル62を生成済であるとする。この状態におおいて、図5(A)で示すように、無線機12として新たな無線機12Eを破線の丸印で示す位置に新設することを検討する。すなわち、無線機12Eが、新設を試みる新設無線機である。
【0050】
予測実行部46は、破線の丸印の位置を示す位置データ50と地図データ52とを機械学習モデル62に入力する。そうすると、機械学習モデル62からは、破線の丸印で示す位置に無線機12Eを新設すると仮定した場合の、無線機12Eとサーバ機18との間の無線通信の接続可能性データ56の予測値が出力される。
【0051】
これにより、無線機12Eを破線の丸印の位置に実際に設置する前に、破線の丸印の位置に新設される無線機12Eの無線通信が可能であるか否か、すなわち、無線機12Eの無線通信の有効性を推認することができる。
【0052】
図6は、サーバ機制御部34の動作の流れを説明するフローチャートである。なお、機械学習モデル62は生成済であるとする。例えば、無線通信システム1の管理者は、新設無線機の位置データ50、および、新設の模擬の開始を示す模擬開始指示をサーバ機制御部34に入力したとする。サーバ機制御部34は、この模擬開始指示に応じて、図6の一連の処理を開始する。
【0053】
まず、予測実行部46は、入力された新設無線機の位置データ50を取得する(S10)。次に、予測実行部46は、データベース32から地図データ52を取得し、新設無線機の位置データ50と地図データ52とを機械学習モデル62に入力して、新設無線機の接続可能性データ56の予測値を導出する(S11)。
【0054】
次に、設置推定部48は、導出された新設無線機の接続可能性データ56の予測値が、所定の閾値以上であるか否かを判断する(S12)。所定の閾値は、例えば、30%など、無線通信システム1の運用を考慮して適宜設定できる。
【0055】
新設無線機の接続可能性データ56の予測値が所定の閾値以上である場合(S12におけるYES)、設置推定部48は、新設無線機の設置位置が適切である旨を報知し(S13)、一連の処理を終了する。この場合、新設無線機を設置予定の位置に実際に設置すると、閾値以上の確率で新設無線機の無線通信が可能であり、新設無線機の無線通信を有効に機能させることができると推認されるため、新設無線機の設置位置が適切である。
【0056】
新設無線機の接続可能性データ56の予測値が所定の閾値未満である場合(S12におけるNO)、設置推定部48は、新設無線機の設置位置が不適切である旨を報知し(S14)、一連の処理を終了する。この場合、新設無線機を設置予定の位置に実際に設置すると、閾値未満の確率でしか新設無線機の無線通信ができず、新設無線機の無線通信を有効に機能させることができないと推認されため、新設無線機の設置位置が不適切である。
【0057】
なお、新設無線機の設置位置が不適切である旨が報知された後、管理者は、設置を試みる位置、すなわち、新設無線機の位置データ50を変更して、再度、模擬開始指示を行ってもよい。また、管理者は、新設無線機の設置位置が不適切であったとしても、その新設無線機の周囲に将来において他の無線機12が追加されて無線通信が有効に機能することを期待して、設置位置が不適切であると判断された新設無線機を敢えて設置してもよい。
【0058】
設置位置が適切である旨が示された場合、管理者は、その旨が示された設置位置に、無線機12として新設無線機を実際に設置する。実際に新設された後、データ取得部40は、新設後の無線機12の通信状況データ54を適宜取得してデータベース32に蓄積させてもよい。また、前処理部42は、新設後の無線機12の通信状況データ54に基づいて、新設後の無線機12の実際の接続可能性データ56を導出し、データベース32に記憶させてもよい。そして、モデル生成部44は、新設後の無線機12の位置データ50、地図データ52、および、新設後の実際の接続可能性データ56を教師データ60として追加して機械学習を再度行い、機械学習モデル62を更新してもよい。
【0059】
以上のように、第1実施形態の無線通信システム1では、新設を試みる新設無線機の位置データ50および地図データ52が機械学習モデル62に入力されて、新設無線機についての接続可能性データ56が予測される。そして、第1実施形態の無線通信システム1では、予測された接続可能性データ56に基づいて新設無線機の設置位置の適否が推定される。
【0060】
したがって、第1実施形態の無線通信システム1によれば、新設を試みる新設無線機の無線通信が可能であるか否かを容易に認識させることが可能となる。その結果、第1実施形態の無線通信システム1では、無線通信が有効に機能する適切な位置に、無線機12を新設することができる。
【0061】
また、第1実施形態の無線通信システム1では、無線機12を適切な位置に新設することができるため、新設した無線機12だけでなく、新設した無線機12の周囲の無線機12の無線通信をより有効に機能させることも可能となる。例えば、図5(A)で示すように、無線機12Eを設置する前、無線機12Aの接続可能性データ56が20%であり、無線機12Bの接続可能性データ56が30%であるとする。仮に、無線機12Eの設置位置が適切ではないとすると、無線機12Eを実際に設置しても、無線機12Aおよび無線機12Bの接続可能性データ56は向上されない。しかし、無線機12Eの設置位置が適切であると推定され、図5(B)で示すように、その適切な設置位置に無線機12Eを実際に設置し、無線機12Eの実際の接続可能性データ56が40%となったとする。この場合、無線機12Aおよび無線機12Bは、自機の近くに無線機12Eが適切に追加されたことで、無線機12Eを通じた無線通信も可能となる。そうすると、無線機12Aおよび無線機12Bは、ホップの選択肢が増えるため、無線機12Eを実際に設置する前と比べ、接続可能性データ56が改善される。例えば、図5(B)で示すように、無線機12Aの実際の接続可能性データ56が、20%から40%に上昇し、無線機12Bの実際の接続可能性データ56が、30%から60%に上昇する。このように、無線通信システム1では、無線機12Eを適切な設置位置に設置することができるため、既設の無線機12の無線通信を向上させることもできる。
【0062】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の無線通信システム100の一部を示す概略図である。第2実施形態の無線通信システム100は、図示を一部省略するが、第1実施形態と同様に、複数のメータ10と、複数の無線機12と、複数の中継機14と、基地局16と、サーバ機18とを含む。第2実施形態の無線通信システム100は、サーバ機18における機能の一部が第1実施形態と異なっている。
【0063】
上述のように、第1実施形態の無線通信システム1は、無線機12として新設を試みる新設無線機の設置位置を検討する際に適用されていた。これに対し、第2実施形態の無線通信システム100は、いずれかの無線機12についての故障診断の際に適用される。
【0064】
第2実施形態において、サーバ機18のサーバ機制御部34は、プログラムを実行することで、第1実施形態と同様の、データ取得部40、前処理部42、モデル生成部44および予測実行部46として機能する。さらに、第2実施形態のサーバ機制御部34は、プログラムを実行することで、故障推定部110としても機能する。
【0065】
故障推定部110は、故障診断の対象とされる無線機12である診断対象無線機の故障の有無を推定する。故障推定部110については、後に詳述する。
【0066】
図8は、第2実施形態の適用例を説明する概念図である。図8(A)は、無線機12Eの設置前を示す。図8(B)は、無線機12Eを設置すると仮定した予測時を示す。図8(C)は、無線機12Eの実際の設置後を示す。
【0067】
図8(A)では、複数の無線機12として、4個の無線機12A、12B、12C、12Dが既設であるとする。また、モデル生成部44は、無線機12A、12B、12C、12Dのそれぞれの位置データ50、地図データ52、および、無線機12A、12B、12C、12Dのそれぞれの接続可能性データ56を反映した機械学習モデル62を生成済であるとする。
【0068】
さらに、図8(A)で示すように、無線機12A、12B、12Cのそれぞれの接続可能性データ56は、40%、50%、60%であるとする。これに対し、無線機12Dの接続可能性データ56は、0%であるとする。このような場合、無線機12Dは、単に、通信環境が不十分なだけなのか、あるいは、故障しているのかが不明確となっている。
【0069】
そこで、第2実施形態では、無線機12Dのように故障しているのかが不明確な無線機12を診断対象無線機とし、その診断対象無線機の故障の有無が推定される。図8では、診断対象無線機である無線機12Dを実線の二重丸印で示している。
【0070】
故障診断をする際、まず、図8(A)の破線の丸印で示すように、無線機12として新たな無線機12Eを仮に新設することを検討する。以後、仮に新設を試みる無線機を、仮設無線機と呼ぶ場合がある。図8(A)では、無線機12Eが仮設無線機である。仮設無線機の位置は、診断対象無線機と、接続可能性データ56が所定の閾値以上の無線機12との間とする。所定の閾値は、例えば、30%など、適宜設定できる。図8(A)の例では、無線機12Dと無線機12Bとの間の破線の丸印で示す位置に、無線機12Eが設置されるとする。
【0071】
予測実行部46は、破線の丸印の位置を示す位置データ50と地図データ52とを機械学習モデル62に入力する。そうすると、機械学習モデル62からは、破線の丸印で示す位置に無線機12Eを仮に新設すると仮定した場合の、無線機12Eとサーバ機18との間の無線通信の接続可能性データ56の予測値が出力される。出力された無線機12Eの接続可能性データ56の予測値は、例えば、40%であるとし、無線機12Eの設置位置が適切であるとする。
【0072】
これを受け、仮設無線機である無線機12Eを実際に設置したと仮定すると、診断対象無線機である無線機12Dは、自機の近くに無線機12Eが追加されることで、無線機12Eを通じた無線通信も可能と推認される。そうすると、無線機12Eを実際に設置すれば、無線機12Eの設置前と比べ、無線機12Dの接続可能性データ56が向上するはずである。
【0073】
そこで、まず、破線の丸印で示す無線機12Eの位置が、無線機12Dの接続可能性データ56を適切に向上させることができる位置であるかを、無線機12Eを実際に設置する前に確認する。
【0074】
具体的には、先に出力された無線機12Eの接続可能性データ56の予測値が正しい値であるとみなす。そして、モデル生成部44は、無線機12Eの位置データ50、地図データ、無線機12Eの接続可能性データ56の予測値を教師データとして追加して機械学習を再度行い、機械学習モデル62を仮更新する。その後、図8(B)で示すように、予測実行部46は、予測の元となる、無線機12Dの位置データ50および地図データ52を、仮更新後の機械学習モデル62に入力し、無線機12Dの接続可能性データ56の予測値を導出する。無線機12Dの接続可能性データ56の予測値は、破線の丸印の位置に無線機12Eを設置したと仮定した場合の無線機12Eの存在を反映した値となる。
【0075】
この無線機12Dの接続可能性データ56の予測値が、例えば、40%などのように、所定の閾値以上となったとする。そうすると、破線の丸印で示す無線機12Eの位置が、無線機12Dの接続可能性データ56を適切に向上させることができる位置であることが推認できる。また、無線機12Eを実際に設置するならば、無線機12Dの無線通信を有効に機能させることが可能であると推認できる。
【0076】
その後、図8(C)で示すように、管理者は、破線の丸印で示す位置に無線機12Eを実際に設置する。そして、無線機12Dの接続可能性データ56が実際に向上したならば、無線機12Dの接続可能性データ56が低かった理由は、単に、通信環境が不十分だったものと推定できる。
【0077】
しかし、図8(C)では、無線機12Eを実際に設置した後も、無線機12Dの接続可能性データ56が、実際に0%のままとなっている。無線機12Eを設置することで無線機12Dの無線通信が有効に機能すると予測されたにも拘わらず、無線機12Eを設置しても無線機12Dの接続可能性データ56が向上していないため、無線機12Dが故障していると推定できる。こうして、無線機12Dの故障の有無を推定することができる。
【0078】
図9は、故障診断の前半の流れを説明するフローチャートである。なお、既設の無線機12を反映した機械学習モデル62は生成済であるとする。例えば、無線通信システム100の管理者は、診断対象無線機の位置データ50、および、故障診断の開始を示す診断開始指示をサーバ機制御部34に入力したとする。サーバ機制御部34は、この診断開始指示に応じて、図9の一連の処理を開始する。
【0079】
まず、予測実行部46は、入力された診断対象無線機の位置データ50を取得する(S20)。次に、予測実行部46は、診断対象無線機の周囲の無線機12の位置データ50をデータベース32から取得し、診断対象無線機の位置データ50と、診断対象無線機の周囲の無線機12の位置データ50とに基づいて、仮設無線機の位置データ50を設定する(S21)。
【0080】
次に、予測実行部46は、データベース32から地図データ52を取得し、仮設無線機の位置データ50と地図データ52とを機械学習モデル62に入力して、仮設無線機の接続可能性データ56の予測値を導出する(S22)。
【0081】
次に、予測実行部46は、ステップS22で導出された仮設無線機の接続可能性データ56の予測値が、所定の閾値以上であるか否かを判断する(S23)。所定の閾値は、例えば、30%など、適宜設定できる。
【0082】
仮設無線機の接続可能性データ56の予測値が閾値未満である場合(S23におけるNO)、仮設無線機の位置データが、仮設無線機の無線通信を有効に機能させることができない設置位置を示しているとみなし、ステップS24の処理に進む。そして、予測実行部46は、仮設無線機の設置位置の候補が他にあるか否かを判断する(S24)。仮設無線機の設置位置の候補が他にある場合(S24におけるYES)、予測実行部46は、ステップS21の処理に戻って仮設無線機の位置データ50を設定し直し、再度、仮設無線機の接続可能性データの予測値を導出する(S22)。仮設無線機の設置位置の候補が他にない場合(S24におけるNO)、故障推定部110は、診断不可を報知し(S25)、一連の処理を終了する。
【0083】
また、仮設無線機の接続可能性データ56の予測値が閾値以上である場合(S23におけるYES)、仮設無線機の位置データ50が、仮設無線機の無線通信を有効に機能させることが可能な設置位置を示しているとみなし、ステップS26の処理に進む。そして、モデル生成部44は、ステップS21で設定された仮設無線機の位置データ50、地図データ52、および、ステップS22で導出された仮設無線機の接続可能性データ56の予測値を教師データとして追加して機械学習を再度行い、機械学習モデル62を仮更新する(S26)。これにより、仮設無線機を設置すると仮定して学習済とされた機械学習モデル62が生成される。
【0084】
次に、予測実行部46は、診断対象無線機の位置データ50と地図データ52とを、ステップS26で仮更新された機械学習モデル62に入力して、診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値を導出する(S27)。
【0085】
次に、故障推定部110は、ステップS27で導出された診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値が、所定の閾値以上であるか否かを判断する(S28)。所定の閾値は、例えば、30%など、適宜設定できる。
【0086】
診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値が閾値未満である場合(S28におけるNO)、仮設無線機の位置データ50が、診断対象無線機の接続可能性データ56を十分に向上させることができない不適切な設置位置を示しているとみなし、ステップS29の処理に進む。そして、モデル生成部44は、ステップS26で仮更新した機械学習モデル62をリセットし、機械学習モデル62を、診断開始直前の機械学習モデル62に戻す(S29)。
【0087】
その後、予測実行部46は、仮設無線機の設置位置の候補が他にあるか否かを判断し(S24)、設置位置の候補が他にあれば(S24におけるYES)、仮設無線機の位置データ50を設定し直し(S21)、以降の処理を繰り返す。一方、設置位置の候補が他になければ(S24におけるNO)、故障推定部110は、診断不可を報知し(S25)、一連の処理を終了する。
【0088】
また、診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値が閾値以上である場合(S25におけるYES)、仮設無線機の位置データ50が、診断対象無線機の接続可能性データ56を十分に向上させることが可能な適切な設置位置を示しているとみなし、ステップS30の処理に進む。そして、故障推定部110は、設定された仮設無線機の位置データ50が示す設置位置と、その設置位置に仮設無線機を設置することとを提示し(S30)、一連の処理を終了する。
【0089】
仮設無線機の設置が提示(S30)された後、管理者は、提示された仮設無線機の設置位置に、無線機12として仮設無線機を実際に設置する。その後、データ取得部40は、診断対象無線機の通信状況データ54を適宜取得し、データベース32に蓄積していく。
【0090】
図10は、故障診断の後半の流れを説明するフローチャートである。故障診断の後半は、仮設無線機が実際に設置された後、診断対象無線機の通信状況データ54のサンプルが所定数以上に蓄積された後に開始される。通信状況データ54のサンプルの所定数は、例えば、接続可能性データ56を適切に導出可能な数に設定される。
【0091】
まず、前処理部42は、仮設無線機が実際に設置された後に蓄積された診断対象無線機の通信状況データ54に基づいて、診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値を導出する(S40)。
【0092】
次に、故障推定部110は、診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値が、所定の閾値以上であるか否かを判断する(S41)。ここでの所定の閾値は、故障の有無の判断基準となるため、接続可能性データの予測値についての閾値とは異なり、例えば、5%などのように低い値が設定される。
【0093】
診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値が閾値以上である場合(S41におけるYES)、故障推定部110は、診断対象無線機に故障がない旨の推定結果を報知し(S42)、一連の処理を終了する。なお、故障推定部110は、診断対象無線機の接続可能性データの実測値が予測値と一致していなくとも、その実測値がステップS41の閾値以上であれば診断対象無線機に故障がないと判断する。
【0094】
診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値が閾値未満である場合(S41におけるNO)、故障推定部110は、診断対象無線機に故障がある旨の推定結果を報知し(S43)、一連の処理を終了する。
【0095】
以上のように、故障推定部110は、仮設無線機を設置すると仮定して予測された診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値と、仮設無線機を実際に設置した後における診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値とに基づいて、診断対象無線機の故障の有無を推定する。より詳細には、故障推定部110は、仮設無線機を設置すると仮定して予測された診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値が所定の第1閾値以上であり、かつ、仮設無線機を実際に設置した後における診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値が所定の第2閾値未満である場合、診断対象無線機に故障があると推定する。また、故障推定部110は、仮設無線機を設置すると仮定して予測された診断対象無線機の接続可能性データ56の予測値が所定の第1閾値以上であり、かつ、仮設無線機を実際に設置した後における診断対象無線機の接続可能性データ56の実測値が所定の第2閾値以上である場合、診断対象無線機に故障がないと推定する。
【0096】
したがって、第2実施形態の無線通信システム100によれば、診断対象無線機に故障があるか否かを容易に認識させることが可能となる。その結果、第2実施形態の無線通信システム100では、診断対象無線機の無線通信が可能であるか否かを容易に認識させることが可能となる。また、第2実施形態の無線通信システム100では、診断対象無線機について、通信環境が不十分であるか、または、故障しているかを明確に区別することができる。
【0097】
なお、第2実施形態では、仮設無線機の設置位置が適切であるか否かを確認していた。しかし、仮設無線機の設置位置が適切であるか否かの確認は、省略されてもよい。ただし、仮設無線機の設置位置が適切であるかの確認を行うことで、故障診断の信頼性を向上させることができる。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、上記各実施形態のモデル生成部44は、無線機12の位置データ50、地図データ52、および、無線機12の接続可能性データ56を教師データ60として機械学習を行っていた。しかし、モデル生成部44は、教師データ60として利用するデータの種類をさらに増やしてもよい。例えば、教師データ60として、建物の材質などの地図データ52を補完する設置環境データを追加してもよいし、無線機12のメンテナンスの履歴などの保守状況データなどを追加してもよい。
【0100】
また、上記各実施形態のモデル生成部44は、地図データを省略して、位置データ50および接続可能性データ56を教師データとして機械学習を行って機械学習モデル62を生成してもよい。この場合、予測実行部46は、予測の元データとなる位置データを機械学習モデル62に入力して、接続可能性データの予測値を導出してもよい。位置データ50は、接続可能性データと相関があるため、少なくとも位置データを機械学習モデル62に入力することで接続可能性データ56を予測することができる。ただし、地図データ52も用いて、機械学習モデル62の生成および接続可能性データ56の予測を行うことで、接続可能性データ56の予測値の精度をより向上させることができる。
【0101】
また、上記各実施形態では、モデル生成部44、予測実行部46、設置推定部48、故障推定部110の各機能が、各種のデータを収集するサーバ機18で実現されていた。しかし、モデル生成部44、予測実行部46、設置推定部48、故障推定部110の各機能は、各種のデータを収集するサーバ機18とは別のコンピュータで実現されてもよい。また、モデル生成部44、予測実行部46、設置推定部48、故障推定部110の各機能が複数のコンピュータに分散されて実現されてもよい。この場合、モデル生成部44、予測実行部46、設置推定部48、故障推定部110の各機能を有するコンピュータは、サーバ機18のデータベース32から必要なデータを取得して各処理を行ってもよい。
【0102】
また、モデル生成部44の機能を備える事業者と、予測実行部46、設置推定部48または故障推定部110の機能を備える事業者とが異なっていてもよい。つまり、予め生成された機械学習モデル62が提供され、提供された機械学習モデル62を用いて接続可能性データ56の予測、設置位置の適否の推定、または、故障診断を行う態様としてもよい。
【0103】
また、上記各実施形態の予測実行部46は、機械学習モデル62を用いて接続可能性データ56を予測していた。しかし、予測実行部46は、機械学習モデル62を用いて接続可能性データ56を予測する態様に限らない。予測実行部46は、少なくとも無線機12の位置データ50に基づいて接続可能性データ56を予測してもよい。なお、第2実施形態では、予測実行部46は、仮設無線機を設置すると仮定した状態で、診断対象無線機の位置データから診断対象無線機についての接続可能性データの予測値を導出してもよい。例えば、予測実行部46は、無線機12の位置データ50と接続可能性データ56とが関連付けられたテーブルまたはマップを予め準備しておき、予測の元データとなる無線機12の位置データ50をそのテーブルまたはマップに当てはめて接続可能性データ56を予測してもよい。ただし、機械学習モデル62を用いて接続可能性データ56を導出する態様の方が、無線機12の増減に柔軟に対応することができ、より好ましい。
【0104】
なお、上記第1実施形態では、予測実行部46で接続可能性データが予測された後に設置推定部48によって新設無線機の設置位置の適否が推定されていた。しかし、設置推定部48による新設無線機の設置位置の適否の推定を省略してもよい。また、上記第2実施形態では、故障推定部110によって診断対象無線機の故障の有無が推定されていた。しかし、診断対象無線機の故障の有無の推定を省略してもよい。これらは、少なくとも予測実行部46によって接続可能性データが予測されることで、無線機の無線通信が可能であるか否かを容易に認識させることができるからである。
【符号の説明】
【0105】
1、100 無線通信システム
12 無線機
18 サーバ機
44 モデル生成部
46 予測実行部
48 設置推定部
50 位置データ
52 地図データ
56 接続可能性データ
60 教師データ
62 機械学習モデル
110 故障推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10