(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】バスバーアッセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/14 20060101AFI20241010BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20241010BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20241010BHJP
B05D 5/12 20060101ALI20241010BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20241010BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20241010BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L23/14 M
B05D3/06 Z
B05D3/12 D
B05D5/12 D
B05D7/14 P
H01L23/02 F
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2020171749
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】龍見 翔太
(72)【発明者】
【氏名】足立 佑介
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035824(JP,A)
【文献】特許第6637002(JP,B2)
【文献】特開2020-068261(JP,A)
【文献】特開2010-021374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/26
H01L23/48
H01L33/00
H01L33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記複数のバスバーの下面に配置されるように前記間隙充填部から一体的に延びる下面側積層部を含むバスバー側絶縁層とを備え、前記バスバーの上面は、少なくとも一部が露出されて上面側接続部を形成し、前記バスバーの下面は、前記間隙の下端と厚み方向同一位置に位置して前記下面側積層部が設けられる第1下面領域と、前記第1下面領域より前記上面とは反対側へ突出された位置において外部に露出されて下面側接続部を形成する第2下面領域とを有しているバスバーアッセンブリの製造方法であって、
前記複数のバスバーが前記バスバー側絶縁層によって連結されてなるバスバー連結体に対応した平面視外形状を有し、且つ、前記上面及び前記第2下面領域の間の厚みと同一厚みを有するバスバーアッセンブリ形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、
前記バスバーアッセンブリ形成領域の下面のうち前記第1下面領域に対応した第1下面形成領域の厚みを前記バスバーの上面及び第1下面領域の間の厚みと一致させるように、前記バスバーアッセンブリ形成領域の厚みを調整する厚み調整工程と、
前記厚み調整工程の前又は後に実行されるスリット形成工程であって、前記バスバーアッセンブリ形成領域に厚み方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位を画するスリット形成工程と、
少なくとも前記スリット内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域の下面の全域に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させてバスバー側絶縁層を設けるバスバー側絶縁層形成工程と、
レーザー光照射工程と、
前記バスバーアッセンブリ形成領域を前記バスバー用平板から切断する切断工程とを含
み、
前記バスバーアッセンブリ形成領域は、一のバスバーを形成する一のバスバー形成部位の下面の周縁のうち、少なくとも隣接する他のバスバーを形成する他のバスバー形成部位に接する部分が前記第1下面形成領域とされており、
前記レーザー光照射工程は、一のバスバー形成部位の周縁のうち隣接する他のバスバー形成部位に接する部分の幅に基づいて設定された大きさの照射スポットを有するレーザー光を用い、当該レーザー光を、少なくとも前記第2下面領域に対応した第2下面形成領域の全域並びに前記第1及び第2下面形成領域の境界に照射して、前記スリット内には照射されない範囲内において前記第2下面形成領域の全域を露出させるように構成されていることを特徴とするバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項2】
前記バスバー側絶縁層形成工程は、前記スリット内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域の下面の全域に加えて、前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面の全域にも絶縁層を設けるものとされ、
前記レーザー光照射工程は、前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面のうち前記上面側接続部に対応した上面側接続部形成領域にレーザー光を照射して、当該上面側接続部形成領域を露出させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項3】
前記バスバー用平板は、前記スリットの長手方向に沿った第1方向に直列配置された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域と、隣接する前記バスバーアッセンブリ形成領域を連結する連結領域とを一体的に有しており、
一のバスバーアッセンブリ形成領域に形成されたスリットは、長手方向一端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向一方側に連接された連結領域内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向他方側に連接された連結領域内へ延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項4】
前記バスバー用平板を用意する工程から前記レーザー光照射工程までの処理の前又は後、若しくは、並行して行う枠体形成処理と、前記枠体形成処理後及び前記バスバー側絶縁層形成工程後に行う平板固着工程とを含み、
前記枠体形成処理は、
前記バスバーアッセンブリ形成領域に対応した平面視形状を有する枠体形成領域を含む導電性金属製の枠体用平板を用意する工程と、
前記枠体形成領域を前記バスバーアッセンブリ形成領域に重合させた際に、少なくとも前記上面側接続部に対応した上面側接続部形成領域が平面視において囲まれた状態で上方へ露出されるように、前記枠体形成領域の中央を打ち抜く打ち抜き工程と、
中央が打ち抜かれた状態の前記枠体形成領域のうち少なくとも下面に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させて枠体側絶縁層を設ける枠体側絶縁層形成工程とを含み、
前記平板固着工程は、前記枠体形成処理後の前記枠体形成領域の下面を前記バスバー側絶縁層形成工程後の前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面に固着させるように構成され、
前記切断工程は、前記平板固着工程後において、固着状態の前記バスバーアッセンブリ形成領域及び前記枠体形成領域を前記バスバー用平板及び前記枠体用平板から切断するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項5】
前記バスバー用平板は、前記スリットの長手方向に沿った第1方向に直列配置された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域と、隣接する前記バスバーアッセンブリ形成領域を連結する連結領域とを一体的に有しており、
一のバスバーアッセンブリ形成領域に形成されたスリットは、長手方向一端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向一方側に連接された連結領域内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向他方側に連接された連結領域内へ延びており、
前記枠体用平板は、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域と同一ピッチで前
記第1方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域と、前記第1方向に隣接する前記枠体形成領域を連結する連結領域とを一体的に有していることを特徴とする請求項4に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項6】
前記平板固着工程は、前記レーザー光照射工程後に行われることを特徴とする請求項4又は5に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項7】
前記レーザー光照射工程は、前記平板固着工程後に行われることを特徴とする請求項4又は5に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバスバーが電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されてなるバスバーアッセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対して電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されている複数のバスバーを備えたバスバーアッセンブリが提案され、種々の分野において利用されている。
【0003】
例えば、一の平板状バスバーと他の平板状バスバーとが互いに対して平行状態で上下に積層されてなる積層型のバスバーアッセンブリが提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0004】
前記積層型バスバーアッセンブリは、一の平板状バスバーの対向平面と他の平板状バスバーの対向平面とが絶縁層を挟んで全面的に対向配置されている為、絶縁性に関する信頼性を十分には確保し難いという問題がある。
特に、上下方向に関し小型化を図る為に前記一の平板状バスバーと前記他の平板状バスバーとの間の絶縁層の厚みを薄くすると、両バスバー間にリーク電流が流れる恐れがある。
【0005】
前記積層型バスバーアッセンブリの問題点を解決する為に、本願出願人は、導電性金属平板の第1及び第2バスバーが同一平面内で並列配置されている平面型バスバーアッセンブリに関する出願を行い、特許を受けている(下記特許文献3及び4参照)。
【0006】
ところで、バスバーアッセンブリにLED等の半導体素子が装着されてなる半導体モジュールにおいては、前記半導体素子及び前記半導体素子に接続されるワイヤを囲繞する封止樹脂体が設けられる(下記特許文献5参照)。
【0007】
図17(a)に、本願出願人が提案しているバスバーアッセンブリ500を用いた半導体モジュール600の縦断面図を、
図17(b)に、
図17(a)におけるXVII(b)-XVII(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0008】
図17(a)及び(b)に示す前記半導体モジュール600は、平面型バスバーアッセンブリ500と、前記平面型バスバーアッセンブリ500に装着されたLED110と、前記LED110を囲繞するように設けられた封止樹脂体130とを備えている。
【0009】
前記平面型バスバーアッセンブリ500は、間隙519を存しつつ、同一平面内に並列配置された第1及び第2バスバー510(1)、510(2)と、前記間隙519内に充填された間隙充填部529並びに前記間隙充填部529から一体的に延びて前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の上面及び下面をそれぞれ覆う上面側積層部521及び下面側積層部525を有する絶縁層520とを有している。
【0010】
前記上面側積層部521には、前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の上面の所定部位をそれぞれ露出させる第1及び第2上面側中央開口522(1)、522(2)と、平面視において前記第1及び第2上面側中央開口522(1)、522(2)を囲む上面側周縁開口523とが設けられている。
【0011】
前記第1バスバー510(1)の上面511のうち前記第1上面側中央開口522(1)を介して露出する領域が第1バスバー510(1)における上面側接続部512を形成し、前記第2バスバー510(2)の上面511のうち前記第2上面側中央開口522(2)を介して露出する領域が第2バスバー510(2)における上面側接続部512を形成している。
【0012】
前記LED110は、素子本体115と、前記素子本体115の厚み方向一方側及び他方側にそれぞれ配設された上側電極層111及び下側電極層112とを有しており、下側電極層112が前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の一方(
図17(a)及び(b)においては前記第1バスバー510(1))における上面側接続部512に、例えば、メッキ層(図示せず)を介して機械的且つ電気的に接続され、且つ、上側電極層111が前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の他方(
図17(a)及び(b)においては前記第2バスバー510(2))にワイヤ120を介して電気的に接続される。
【0013】
前記封止樹脂体130は、前記LED110及びワイヤ120を保護する為の部材であり、前記LED110及びワイヤ120を囲繞するように絶縁性樹脂を塗布して硬化させることによって形成される。
【0014】
前記バスバーアッセンブリ500においては、前記上面側周縁開口523の外側エッジが前記封止樹脂体130の流出を防止する堰き止め部として作用している。
【0015】
前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の下面513は、前記間隙519の下端部と厚み方向同一位置に位置する第1下面領域513aと、前記第1下面領域513aより下方(前記上面511から離間される方向)に位置された第2下面領域513bとを有している。
【0016】
前記下面側積層部525は前記第1下面領域513aに設けられている。
前記第2下面領域513bは前記下面側積層部513aより下方へ延在されて外部に露出されており、前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)を外部に電気的に接続する為の下面側接続部として作用する。
【0017】
前記構成によれば、前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の第2下面領域513bを、前記バスバーアッセンブリ500(前記半導体モジュール600)を基板等の設置部材に固着させる際の載置面として利用でき、前記第1及び第2バスバー510(1)、510(2)の平行度を良好に維持した状態で前記バスバーアッセンブリ500(前記半導体モジュール600)の固着を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特許第4432913号公報
【文献】特許第6487769号公報
【文献】特許第6637002号公報
【文献】特許第6637003号公報
【文献】特開2020-035824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、同一平面内に並列配置された複数のバスバーと、隣接する前記バスバーの間の間隙内に充填された間隙充填部及び前記複数のバスバーの下面に配置されるように前記間隙充填部から一体的に延びる下面側積層部を含む絶縁層とを備え、前記バスバーの上面は、少なくとも一部が露出されて上面側接続部を形成し、前記バスバーの下面は、前記間隙の下端と厚み方向同一位置に位置して前記下面側積層部が設けられる第1下面領域と、前記第1下面領域より前記上面とは反対側へ突出された位置において外部に露出されて下面側接続部を形成する第2下面領域とを有しているバスバーアッセンブリを効率よく製造可能な製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記複数のバスバーの下面に配置されるように前記間隙充填部から一体的に延びる下面側積層部を含むバスバー側絶縁層とを備え、前記バスバーの上面は、少なくとも一部が露出されて上面側接続部を形成し、前記バスバーの下面は、前記間隙の下端と厚み方向同一位置に位置して前記下面側積層部が設けられる第1下面領域と、前記第1下面領域より前記上面とは反対側へ突出された位置において外部に露出されて下面側接続部を形成する第2下面領域とを有しているバスバーアッセンブリの製造方法であって、前記複数のバスバーが前記バスバー側絶縁層によって連結されてなるバスバー連結体に対応した平面視外形状を有し、且つ、前記上面及び前記第2下面領域の間の厚みと同一厚みを有するバスバーアッセンブリ形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域の下面のうち前記第1下面領域に対応した第1下面形成領域の厚みを前記バスバーの上面及び第1下面領域の間の厚みと一致させるように、前記バスバーアッセンブリ形成領域の厚みを調整する厚み調整工程と、前記厚み調整工程の前又は後に実行されるスリット形成工程であって、前記バスバーアッセンブリ形成領域に厚み方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位を画するスリット形成工程と、少なくとも前記スリット内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域の下面の全域に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させてバスバー側絶縁層を設けるバスバー側絶縁層形成工程と、レーザー光照射工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域を前記バスバー用平板から切断する切断工程とを含み、前記バスバーアッセンブリ形成領域は、一のバスバーを形成する一のバスバー形成部位の下面の周縁のうち、少なくとも隣接する他のバスバーを形成する他のバスバー形成部位に接する部分が前記第1下面形成領域とされており、
前記レーザー光照射工程は、一のバスバー形成部位の周縁のうち隣接する他のバスバー形成部位に接する部分の幅に基づいて設定された大きさの照射スポットを有するレーザー光を用い、当該レーザー光を、少なくとも前記第2下面領域に対応した第2下面形成領域の全域並びに前記第1及び第2下面形成領域の境界に照射して、前記スリット内には照射されない範囲内において前記第2下面形成領域の全域を露出させるように構成されているバスバーアッセンブリの製造方法を提供する。
【0021】
例えば、前記バスバー側絶縁層形成工程は、前記スリット内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域の下面の全域に加えて、前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面の全域にも絶縁層を設けるものとされる。
【0022】
この場合、前記レーザー光照射工程は、前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面のうち前記上面側接続部に対応した上面側接続部形成領域にレーザー光を照射して、当該上面側接続部形成領域を露出させるように構成される。
【0023】
好ましくは、前記バスバー用平板は、前記スリットの長手方向に沿った第1方向に直列配置された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域と、隣接する前記バスバーアッセンブリ形成領域を連結する連結領域とを一体的に有するものとされる。
【0024】
この場合、一のバスバーアッセンブリ形成領域に形成されたスリットは、長手方向一端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向一方側に連接された連結領域内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向他方側に連接された連結領域内へ延びるものとされる。
【0025】
一形態においては、本発明に係る前記製造方法は、前記バスバー用平板を用意する工程から前記レーザー光照射工程までの処理の前又は後、若しくは、並行して行う枠体形成処理と、前記枠体形成処理後及び前記バスバー側絶縁層形成工程後に行う平板固着工程とを含み得る。
【0026】
前記枠体形成処理は、前記バスバーアッセンブリ形成領域に対応した平面視形状を有する枠体形成領域を含む導電性金属製の枠体用平板を用意する工程と、前記枠体形成領域を前記バスバーアッセンブリ形成領域に重合させた際に、少なくとも前記上面側接続部に対応した上面側接続部形成領域が平面視において囲まれた状態で上方へ露出されるように、前記枠体形成領域の中央を打ち抜く打ち抜き工程と、中央が打ち抜かれた状態の前記枠体形成領域のうち少なくとも下面に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させて枠体側絶縁層を設ける枠体側絶縁層形成工程とを含むものとされる。
【0027】
前記平板固着工程は、前記枠体形成処理後の前記枠体形成領域の下面を前記バスバー側絶縁層形成工程後の前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面に固着させるように構成される。
【0028】
前記切断工程は、前記平板固着工程後において、固着状態の前記バスバーアッセンブリ形成領域及び前記枠体形成領域を前記バスバー用平板及び前記枠体用平板から切断するように構成される。
【0029】
前記一形態において、好ましくは、前記バスバー用平板は、前記スリットの長手方向に沿った第1方向に直列配置された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域と、隣接する前記バスバーアッセンブリ形成領域を連結する連結領域とを一体的に有するものとされ、一のバスバーアッセンブリ形成領域に形成されたスリットは、長手方向一端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向一方側に連接された連結領域内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域の第1方向他方側に連接された連結領域内へ延びるものとされる。そして、前記枠体用平板は、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域と同一ピッチで前記第1方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域と、前記第1方向に隣接する前記枠体形成領域を連結する連結領域とを一体的に有するものとされる。
【0030】
前記一形態において、前記平板固着工程は、前記レーザー光照射工程後に行われ得る。
これに代えて、前記レーザー光照射工程を、前記平板固着工程後に行うことも可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るバスバーアッセンブリの製造方法によれば、同一平面内に並列配置された複数のバスバーと、隣接する前記バスバーの間の間隙内に充填された間隙充填部及び前記複数のバスバーの下面に配置されるように前記間隙充填部から一体的に延びる下面側積層部を含む絶縁層とを備え、前記バスバーの上面は、少なくとも一部が露出されて上面側接続部を形成し、前記バスバーの下面は、前記間隙の下端と厚み方向同一位置に位置して前記下面側積層部が設けられる第1下面領域と、前記第1下面領域より前記上面とは反対側へ突出された位置において外部に露出されて下面側接続部を形成する第2下面領域とを有しているバスバーアッセンブリを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1(a)~(c)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る製造方法によって製造されるバスバーアッセンブリの平面図、
図1(a)におけるI(b)-I(b)線に沿った断面図及び前記バスバーアッセンブリの底面図である。
【
図2】
図2は、前記バスバーアッセンブリにLED等の半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの縦断面図である。
【
図3】
図3(a)及び(b)は、それぞれ、前記製造方法において用いられるバスバー用平板の平面図及び
図3(a)におけるIII(b)-III(b)線に沿った拡大断面図である。
【
図4】
図4(a)及び(b)は、それぞれ、前記バスバー用平板におけるバスバーアッセンブリ形成領域の縦断面図及び底面図であり、前記製造方法における厚み調整工程後の状態を示している。
【
図5】
図5は、前記製造方法におけるスリット形成工程後のバスバー用平板の平面図である。
【
図6】
図6(a)~(c)は、それぞれ、
図5におけるVI(a)部拡大図、
図6(a)におけるVI(b)-VI(b)線に沿った断面図及び
図6(b)の底面図である。
【
図7】
図7(a)及び(b)は、それぞれ、前記製造方法におけるバスバー側絶縁層形成工程後の前記バスバー用平板の平面図及び
図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った拡大断面図である。
【
図8】
図8(a)は、前記製造方法におけるレーザー光照射工程における前記バスバーアッセンブリ形成領域の縦断面図であり、
図8(b)は、
図8(a)におけるVIII(b)線に沿って視た、前記バスバーアッセンブリ形成領域の部分拡大底面図である。
【
図9】
図9(a)及び(b)は、それぞれ、前記レーザー光照射工程後の前記バスバー用平板の平面図及び底面図である。
【
図11】
図11は、前記製造方法における枠体形成処理において用いられる枠体用平板の平面図である。
【
図12】
図12は、前記製造方法における枠体側絶縁層形成工程後の前記枠体用平板の平面図である。
【
図13】
図13は、前記製造方法における平板固着工程後の前記バスバー用平板及び前記枠体用平板の平面図である。
【
図14】
図14(a)~(c)は、それぞれ、第1変形例に係るバスバーアッセンブリの平面図、
図14(a)におけるXIV(b)-XIV(b)線に沿った断面図及び前記第1変形例に係るバスバーアッセンブリの底面図である。
【
図15】
図15(a)~(c)は、それぞれ、第2変形例に係るバスバーアッセンブリの平面図、
図15(a)におけるXV(b)-XV(b)線に沿った断面図及び前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリの底面図である。
【
図16】
図16(a)~(c)は、それぞれ、第3変形例に係るバスバーアッセンブリの平面図、
図16(a)におけるXVI(b)-XVI(b)線に沿った断面図及び前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリの底面図である。
【
図17】
図17(a)及び(b)は、それぞれ、従来のバスバーアッセンブリを用いた半導体モジュールの縦断面図及び
図17(a)におけるXVII(b)-XVII(b)線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係るバスバーアッセンブリの製造方法の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1(a)~(c)に、それぞれ、本実施の形態に係る製造方法によって製造されたバスバーアッセンブリ1の平面図、
図1(a)におけるI(b)-I(b)線に沿った断面図及び底面図を示す。
【0034】
図1(a)~(c)に示すように、前記バスバーアッセンブリ1は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面15の間に間隙19が存する状態で同一平面内に並列配置された複数のバスバー10と、前記間隙19内に充填された間隙充填部29及び前記複数のバスバー10が前記間隙充填部29によって連結されてなるバスバー連結体の下面に配置されるように前記間隙充填部29から一体的に延びる下面側積層部23を含むバスバー側絶縁層20とを備えている。
【0035】
前記バスバー10は、Cu等の導電性金属によって形成される。
本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1は、前記複数のバスバー10として、第1~第3バスバー10(1)~10(3)の3つのバスバーを有しており、前記間隙19として、第1及び第2間隙19(1)、19(2)を有している。
【0036】
即ち、前記バスバーアッセンブリ1は、前記第1バスバー10(1)と、第1間隙19(1)を介して前記第1バスバー10(1)に隣接配置された第2バスバー10(2)と、第2間隙19(2)を介して前記第2バスバー10(2)に隣接配置された第3バスバー10(3)とを有している。
【0037】
前記バスバー10(1)~10(3)の各々は、厚み方向一方側及び他方側をそれぞれ向く上面11及び下面12と、前記上面11及び下面13を連結する側面15とを有しており、隣接するバスバー10の側面15が前記間隙19を介して対向されている。
【0038】
前記バスバー10の上面11の少なくとも一部が露出されて上面側接続部12を形成している。
前記上面側接続部12は、前記バスバーアッセンブリ1に装着されるLED等の半導体素子110(下記
図2参照)が装着又は電気的に接続される素子用接続部として作用する。
【0039】
一方、
図1(b)に示すように、各バスバー10(1)~10(3)の下面13は、前記間隙19の厚み方向他方側の下端部と厚み方向同一位置に位置し、前記下面側積層部23が設けられた第1下面領域13aと、前記第1下面領域13aに設けられた前記下面側積層部23よりも厚み方向他方側(即ち、前記上面11から離間する側)において外方に露出された第2下面領域13bとを有している。
【0040】
前記第2下面領域13bは、対応するバスバー10を外部に電気的に接続する外部用接続部14として作用すると共に、前記バスバーアッセンブリ1を基板等の設置面に固着する際の載置面としても作用する。
【0041】
前述の通り、前記第2下面領域13bは、前記下面側積層部23よりも下方へ突出されており、従って、前記第2下面領域13bを載置面として利用することにより、前記バスバーアッセンブリの固着姿勢の安定化を図ることができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、
図1(c)に示すように、前記第1下面領域13aは、前記バスバー10の下面の周縁の全周に亘っており、前記バスバー10の下面のうち前記第1下面領域13aに囲まれた中央領域が前記第2下面領域13bとされている。
【0043】
前記バスバー側絶縁層20は、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の耐熱性及び絶縁性を有する絶縁性樹脂塗膜によって形成され、好ましくは、好適には、インシュリード(登録商標)を用いて形成される。
【0044】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施の形態においては、前記バスバー側絶縁層20は、前記間隙充填部29及び前記下面積層部23に加えて、上面側積層部21を有している。
【0045】
前記上面側積層部21は、前記間隙充填部29によって前記複数のバスバー10(1)~10(3)が連結されてなるバスバー連結体の上面に位置するように前記間隙充填部29から一体的に延びている。
この場合、前記上面側積層部21には、前記上面側接続部12を露出させる為の開口22が設けられる。
【0046】
本実施の形態においては、前記バスバー側絶縁層20は、さらに、前記バスバー連結体の側面を覆う側面側積層部25を備えている。
【0047】
前述の通り、本実施の形態においては、前記下面側積層部23が設けられる前記第1下面領域13aが各バスバー10の下面の周縁の全周に亘っており、前記側面側積層部25は前記下面側積層部23のうち前記バスバー連結体の下面の周縁に位置する部分から一体的に延びている。
【0048】
斯かる構成によれば、前記バスバー側絶縁層20の前記バスバー連結体からの脱離を有効に防止することができる。
なお、本実施の形態においては、前記側面側積層部25は前記上面側積層部21とも一体化されている。
【0049】
図1(a)及び(b)に示すように、前記バスバーアッセンブリ1は、さらに、枠体30を有している。
前記枠体30は、前記上面側接続部12に搭載されるLED等の半導体素子110(下記
図2参照)及び前記半導体素子110に接続されるワイヤ120(下記
図2参照)を保護する封止樹脂体130(下記
図2参照)を保持する為の部材である。
【0050】
詳しくは、前記枠体30は、平面視において少なくとも前記バスバー10(1)~10(3)の前記上面側接続部12を一体的に囲むように、前記バスバー連結体の周縁に固着される。
【0051】
即ち、前記枠体30は、平面視において前記バスバー連結体と同一外形状を有し、且つ、前記複数のバスバー10(1)~10(3)の上面側接続部12を上方に開放する中央孔が設けられ環状体とされている。
【0052】
前記枠体30は、前記複数のバスバー10(1)~10(3)に対して絶縁状態で前記バスバー連結体に固着される。
本実施の形態においては、前記枠体30は、導電性金属部材(好ましくは前記バスバー10と同一部材)によって形成されており、外周面に枠体側絶縁層40が設けられている。
【0053】
即ち、本実施の形態においては、導電性金属部材の前記枠体30は、前記枠体側絶縁層40及び前記バスバー側絶縁層20の上面側積層部21を介して前記複数のバスバー10(1)~10(3)に対して絶縁された状態で、前記バスバー連結体の上面の周縁に固着されている。
【0054】
これに代えて、前記枠体30をセラミック等の絶縁性部材によって形成することも可能である。
また、本実施の形態におけるように、前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部21が設けられる構成においては、前記枠体30を導電性部材によって形成しつつ、前記枠体側絶縁層40を削除することも可能である。
【0055】
さらに、前記上面側積層部21が設けられていない構成において、前記枠体30を導電性部材によって形成しつつ、前記枠体30の下面にのみ前記枠体側絶縁層40を設けることも可能である。
【0056】
図2に、前記バスバーアッセンブリ1に、LED等の半導体素子110が装着されてなる半導体モジュール101の一例の縦断面図を示す。
前記半導体モジュール101においては、前記半導体素子110として、第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)が装着されている。
【0057】
前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の各々は、厚み方向一方側の上面及び厚み方向他方側の下面にそれぞれ上側電極層111及び下側電極層112を有し、前記上側電極層及び下側電極層111、112の間に素子本体115を有している。
【0058】
前記半導体モジュール101においては、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)が陽極及び陰極の一方(例えば、陽極)である第1電極として作用し、前記第3バスバー10(3)が陽極及び陰極の他方(例えば、陰極)である第2電極として作用する。
【0059】
即ち、前記第1半導体素子110(1)は、前記下側電極層112が、第1電極として作用する前記第1バスバー10(1)の前記上面側接続部12に電気的に接続状態で固着され、且つ、上側電極層111が、第2電極として作用する前記第3バスバー10(3)の前記上面側接続部12にワイヤ120(1)を介して電気的に接続される。
【0060】
前記第2半導体素子110(2)は、前記下側電極層112が、第1電極として作用する前記第2バスバー10(2)の前記上面側接続部12に電気的に接続状態で固着され、且つ、上側電極層111が、第2電極として作用する前記第3バスバー10(3)の前記上面側接続部12にワイヤ120(2)を介して電気的に接続される。
【0061】
好ましくは、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の上面にはメッキ層(図示せず)が設けられる。
【0062】
この場合、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の下側電極層112は、それぞれ、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)の上面のメッキ層に電気的に接続されるようにダイボンディングされ、且つ、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の上側電極層111は、それぞれ、前記第3バスバー10(3)の上面に設けられたメッキ層(図示せず)に前記第1及び第2ワイヤ120(1)、120(2)によってワイヤボンディングされる。
【0063】
前記封止樹脂体130は、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)並びに前記第1及び第2ワイヤ120(1)、120(2)を囲繞するように前記バスバーアッセンブリ1の上面に設けられる。
【0064】
前記枠体30は、前記封止樹脂層130を設ける際に前記封止樹脂層130を形成する絶縁性樹脂材料が硬化前に流れ出ること、及び、硬化後の前記封止樹脂層130が前記バスバーアッセンブリ1から脱離することを防止する。
前記封止樹脂層130は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の透明樹脂材料によって形成される。
【0065】
以下、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1の製造方法について説明する。
【0066】
前記製造方法は、導電性金属製のバスバー用平板200を用意する工程を備えている。
図3(a)及び(b)に、それぞれ、前記バスバー用平板200の平面図及び
図3(a)におけるIII(b)-III(b)線に沿った拡大断面図を示す。
【0067】
前記バスバー用平板200は、前記バスバー側絶縁層20によって複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))が連結されてなる前記バスバー連結体に対応した平面形状のバスバーアッセンブリ形成領域210を有している。
【0068】
即ち、前記バスバーアッセンブリ形成領域210は、前記バスバー用平板200が位置する平面内の第1方向(
図3(a)中のY方向)の長さが前記バスバーアッセンブリ1の前記間隙19に平行な方向の長さと同一とされ、且つ、前記平面内において第1平面方向とは直交する第2方向(
図3(a)中のX方向長さ)が前記バスバーアッセンブリ1の前記間隙19の長手方向とは直交する方向の長さと同一とされている。
【0069】
また、
図1(b)及び
図3(b)に示すように、前記バスバーアッセンブリ形成領域210は、前記バスバー10の上面11及び第2下面領域13bの間の厚みT2と同一厚みを有するものとされている。
【0070】
図3(a)に示すように、本実施の形態においては、前記バスバー用平板200は、当該平板200が位置する平面内の第1方向(Y方向)に沿って直列配列された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、Y方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有しており、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210に対して加工処理を同時に行えるようになっている。
【0071】
本実施においては、前記バスバー用平板200は、前記バスバー列205の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
【0072】
なお、複数の前記バスバー列205を前記平面内の第2方向(X方向)に並列配置させ、X方向に並列配置された複数のバスバー列205を前記一対の把持片207、207によって一体的に保持することも可能である。
かかる変形構成によれば、より多くのバスバーアッセンブリ1を同時に製造することができる。
【0073】
前記製造方法は、さらに、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の厚みを調整する厚み調整工程を有している。
【0074】
図4(a)に、前記厚み調整工程後における前記バスバーアッセンブリ形成領域210の縦断面図を示す。
さらに、
図4(b)に、前記厚み調整工程後における前記バスバーアッセンブリ形成領域210の底面図を示す。
【0075】
図4(a)及び(b)に示すように、前記厚み調整工程は、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の下面213のうち前記第1下面領域13aに対応した第1下面形成領域213aの厚みを、前記バスバー10の上面11及び第1下面領域13aの間の厚みT1と一致させるように構成されている。
前記厚み調整工程は、例えば、レーザートリミング又はエッチング等により行うことができる。
【0076】
その結果、前記下面213のうち前記1下面形成領域213a以外の領域は、厚みがT2のまま維持されて、前記第2下面領域13bに対応した第2下面形成領域213bとなる。
【0077】
前記製造方法は、さらに、スリット形成工程を有している。
図5に、前記スリット形成工程後の前記バスバー用平板200の平面図を示す。
また、
図6(a)~(c)に、それぞれ、
図5におけるVI(a)部拡大図、
図6(a)におけるVI(b)-VI(b)線に沿った断面図及び
図6(b)の底面図を示す。
【0078】
なお、本実施の形態においては、前記スリット形成工程は前記厚み調整工程の後に行われているが、これに代えて、前記スリット形成工程を前記厚み調整工程の前に行うことも可能である。
【0079】
前記スリット形成工程は、前記バスバーアッセンブリ形成領域210に厚み方向に貫通し且つ前記間隙19(前記第1及び第2間隙19(1)、19(2))と同一幅を有する一又は複数のスリット219(第1及び第2スリット219(1)、219(2))を形成して、前記バスバーアッセンブリ形成領域210を前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))に対応した複数のバスバー形成部位220(第1~第3バスバー形成部位220(1)~220(3))に区画するように構成されている。
【0080】
前記バスバーアッセンブリ1においては、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)の間に位置する前記第1間隙19(1)と前記第2及び第3バスバー10(2)、10(3)の間に位置する第2間隙19(2)とが設けられており、従って、前記スリット形成工程は、前記第1及び第2間隙19(1)、19(2)と同一幅の第1及び第2スリット219(1)、219(2))を形成するように構成されている。
【0081】
図6(a)~(c)に示すように、本実施の形態においては、一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aに形成された第1及び第2スリット219(1)、219(2)は、長手方向(Y方向)一方側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aの長手方向(Y方向)一方側に連結された一の連結領域230A内へ延び、且つ、長手方向(Y方向)他方側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域230の長手方向(Y方向)他方側に連結された他の連結領域230B内へ延びている。
【0082】
そして、前記スリット形成工程後の状態において、前記一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aに形成された第1及び第2スリット219(1)、219(2)を介して隣接する第1~第3バスバー形成部位220(1)~220(3)は、前記一の連結領域230A及び前記他の連結領域230Bを介して、互いに対して繋がった状態に維持されるように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記第1及び第2スリット219(1)、219(2)(前記第1及び第2間隙19(1)、19(2))を精度良く形成することができる。
【0083】
前記製造方法は、前記厚み調整工程及び前記スリット形成工程後に行うバスバー側絶縁層形成工程を有している。
【0084】
図7(a)及び(b)に、それぞれ、前記バスバー側絶縁層形成工程後の前記バスバー用平板200の平面図及び
図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った拡大断面図を示す。
【0085】
前記バスバー側絶縁層形成工程は、少なくとも前記スリット219(1)、219(2)内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域210の下面213の全域に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させて前記バスバー側絶縁層20を形成するように構成されている。
【0086】
絶縁性樹脂塗料の塗布は、例えば、電着塗装、静電粉体塗装又はスプレー塗装によって行うことができる。
【0087】
前記バスバーアッセンブリにおいては、前記バスバー側絶縁層20は、前記間隙19内に充填された間隙充填部29及び前記バスバー連結体の下面に設けられた下面側積層部23に加えて、前記バスバー連結体の上面及び側面にそれぞれ設けられた上面側積層部21及び側面側積層部25を有している。
【0088】
従って、前記バスバー側絶縁層形成工程は、
図7(a)及び(b)に示すように、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面211及び側面215にも絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させるように構成されている。
【0089】
前記製造方法は、さらに、前記バスバー側絶縁層形成工程後に行うレーザー光照射工程を有している。
【0090】
図8(a)に、前記レーザー光照射工程における前記バスバーアッセンブリ形成領域210の縦断面図を示す。
また、
図8(b)に、
図8(a)におけるVIII(b)線に沿って視た、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の部分拡大底面図を示す。
図8(b)中の符号291は、照射されるレーザー光290の照射スポットである。
【0091】
図8(a)及び(b)に示すように、前記レーザー光照射工程は、前記スリット219内には照射されない範囲内において、少なくとも前記第2下面形成領域213bの全域並びに前記第1及び第2下面形成領域213a、213bの境界213cにレーザー光290を照射して、前記第2下面形成領域213bの全域を露出させるように構成されている。
【0092】
前記スリット219内には照射されない範囲は、前記レーザー光290の照射スポット291の大きさと前記スリット219に隣接する前記第1下面形成領域213aの幅との関係から、容易に認識することができる。
【0093】
なお、前述の通り、前記バスバーアッセンブリ1においては、前記バスバー側絶縁層20は、前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部21を有している。
【0094】
この場合、前記レーザー光照射工程は、前記第2下面形成領域213bの全域を露出させる為の前記バスバーアッセンブリ形成領域210の下面213への前記レーザー光照射に加えて、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面211のうち前記上面側接続部12に対応した上面側接続部形成領域212にレーザー光を照射して、当該上面側接続部形成領域212を露出させる為の前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面へのレーザー光照射を含むものとされる。
【0095】
図9(a)及び(b)に、それぞれ、前記レーザー光照射工程後の前記バスバー用平板200の平面図及び底面図を示す。
また、
図10に、
図9(a)におけるX-X線に沿った断面図を示す。
【0096】
前記レーザー光照射工程を備えることにより、前記スリット219(即ち、前記間隙19)内に充填された前記間隙充填部29が削り取られることを有効に防止しつつ、前記第2下面形成領域213b(即ち、前記第2下面領域13b)に絶縁層20が残存することを防止することができる。
【0097】
前記製造方法によれば、前記複数のバスバー10(1)~10(3)の下面側接続部14を形成する前記第2下面領域13bの平行度を良好に維持した平面型バスバーアッセンブリ1を効率良く製造することができる。
【0098】
前記製造方法は、前記レーザー光照射工程の後に前記バスバーアッセンブリ形成領域210を前記バスバー用平板200から切断する切断工程を備えている。
【0099】
前記切断工程は、
図9(a)及び(b)に示すように、前記バスバーアッセンブリ形成領域210のY方向一方側及び他方側のエッジにそれぞれ沿った切断線C1、C2で切断するように構成される。
【0100】
なお、前述の通り、前記バスバーアッセンブリ1は、前記枠体30を有している(
図1(a)~(c)及び
図2参照)。
従って、前記製造方法には、前記枠体30を形成する枠体形成処理が備えられる。
【0101】
前記枠体形成処理は、前記バスバー用平板200を用意する工程から前記レーザー光照射工程までの処理の前又は後、若しくは、並行して実行される。
図11に、前記枠体形成処理において用いられる枠体用平板300の平面図を示す。
【0102】
前記枠体形成処理は、前記枠体30の厚みと同一厚みを有し且つ平面視において前記バスバーアッセンブリ形成領域210に対応した外形状を有する枠体形成領域310を含む導電性金属製の前記枠体用平板300を用意する工程と、前記枠体形成領域310を前記バスバーアッセンブリ形成領域210に重合させた際に、少なくとも前記上面側接続部形成領域212が平面視において囲まれた状態で上方へ露出されるように、前記枠体形成領域310の中央を打ち抜く打ち抜き工程と、中央が打ち抜かれた状態の前記枠体形成領域310のうち、少なくとも下面に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させて枠体側絶縁層40を設ける枠体側絶縁層形成工程とを含んでいる。
【0103】
なお、
図11は、前記打ち抜き工程後の状態を示している。
図12に、前記枠体側絶縁層形成工程後の前記枠体用平板300の平面図を示す。
本実施の形態においては、前記枠体側絶縁層形成工程は、中央が打ち抜かれた状態の前記枠体形成領域310の全周に絶縁性樹脂塗料を塗布して硬化させることにより、前記枠体形成領域310の全周に枠体側絶縁層40を形成するように構成されている。
【0104】
前記枠体用平板300は、剛性を有する種々の材料によって形成される。
好ましくは、前記枠体用平板300は、前記バスバー用平板200と同一材料によって形成される。
【0105】
前記枠体用平板300は、前記バスバー用平板200に重合させた際に、前記枠体形成領域310が前記バスバーアッセンブリ形成領域210に位置合わせされるように構成されている。
【0106】
詳しくは、前述の通り、前記バスバー用平板200は、Y方向に沿って直列配列された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、Y方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有している。
【0107】
従って、前記枠体用平板300は、
図11及び
図12に示すように、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210と同一ピッチでY方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域310と、Y方向に隣接する枠体形成領域310の間を連結する連結領域330とを含む枠体列305を有している。
【0108】
なお、前述の通り、前記バスバー用平板200は、前記バスバー列205の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
【0109】
これに応じて、
図11及び
図12に示すように、前記枠体用平板300にも、前記枠体列305の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片307が設けられ、前記一対の把持片307には前記位置合わせ孔208に対応した位置合わせ孔308が設けられている。
【0110】
前記製造方法は、さらに、前記枠体形成処理後及び前記バスバー側絶縁層形成工程後に、前記バスバー用平板300及び前記枠体用平板200を重合状態で固着する平板固着工程を有している。
【0111】
図13に、前記平板固着工程後の前記バスバー用平板200及び前記枠体用平板300の平面図を示す。
【0112】
前記平板固着工程は、前記枠体形成処理後の前記枠体形成領域310の下面を前記バスバー側絶縁層形成工程後の前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面に固着させるように構成される。
【0113】
前記枠体形成領域310及び前記バスバーアッセンブリ形成領域210の固着は接着剤によって行うことができる。
若しくは、前記接着剤に代えて又は加えて、前記バスバー側絶縁層20を形成する絶縁性樹脂塗膜又は前記枠体側絶縁層40を形成する絶縁性樹脂塗膜の硬化作用を利用して行うことも可能である。
【0114】
即ち、前記バスバー側絶縁層20を形成する絶縁性樹脂塗膜及び前記枠体側絶縁層40を形成する絶縁性樹脂塗膜の一方が半硬化状態の際に前記両平板200、300を重合状態で圧着させ、当該半硬化状態の絶縁性樹脂塗膜を硬化させることにより、前記両平板200、300を固着させることができる。
【0115】
前記枠体30を備えた前記バスバーアッセンブリ1の製造方法においては、前記切断工程は、前記平板固着工程後において、固着状態の前記バスバーアッセンブリ形成領域210及び前記枠体形成領域310を切断線C1、C2で前記バスバー用平板200及び前記枠体用平板か300ら切断するように構成される(
図13参照)。
【0116】
なお、本実施の形態においては、前記平板固着工程は前記レーザー光照射工程後に行われている。
【0117】
即ち、前記枠体用平板300が固着される前の前記バスバー用平板200に対して前記レーザー光照射工程を行い、前記第2下面形成領域213b(及び本実施の形態においては前記上面側接続部形成領域212)を露出させ、その後に、前記第2下面形成領域領域213b(及び本実施の形態においては前記上面側接続部形成領域212)が露出された前記バスバー用平板200に、前記枠体形成処理後の前記枠体用平板300を固着させている。
【0118】
これに代えて、前記レーザー光照射工程を前記平板固着工程後に行うことも可能である。
即ち、前記バスバー側絶縁層形成工程後(
図7(a)及び(b)に示された状態)の前記バスバー用平板200に、前記枠体形成処理後(
図12に示された状態)の前記枠体用平板300を固着させ、その後に、前記枠体用平板300が固着された状態の前記バスバー用平板200に対して前記レーザー光照射工程を行うことも可能である。
【0119】
なお、本実施の形態においては、前記バスバーアッセンブリ1を製造する場合を例に説明したが、当然ながら、本発明は他の形態のバスバーアッセンブリの製造にも適用可能である。
【0120】
図14(a)~(c)に、それぞれ、第1変形例に係るバスバーアッセンブリ2Aの平面図、
図14(a)におけるXIV(b)-XIV(b)線に沿った断面図及び底面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材には同一符号を付している。
【0121】
前記第1変形例に係るバスバーアッセンブリ2Aは、前記上面側積層部21が削除されている点において、前記バスバーアッセンブリ1と相違している。
【0122】
前記第1変形例に係るバスバーアッセンブリの製造方法は本実施の形態に係る製造方法に比して下記点が変更される。
【0123】
即ち、前記バスバー側絶縁層形成工程は、前記スリット219内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域210の下面213の全域(及び、任意的に前記バスバーアッセンブリ形成領域210の側面)に絶縁性樹脂塗料を塗布し、硬化させるように変更される。
また、前記レーザー光照射工程は、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面211へのレーザー光照射が削除される。
【0124】
なお、前記バスバーアッセンブリ2Aにおいては、前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))の上面11のうち、前記枠体30によって囲まれる領域の全体が前記上面側接続部12として作用する。
【0125】
図15(a)~(c)に、それぞれ、第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bの平面図、
図15(a)におけるXV(b)-XV(b)線に沿った断面図及び底面図を示す。
なお、図中、本実施の形態及び前記第1変形例におけると同一部材には同一符号を付している。
【0126】
前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bは、前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))が複数のバスバー60(第1~第3バスバー60(1)~60(3))に変更されている点において、前記バスバーアッセンブリ1と相違している。
【0127】
即ち、前記バスバー10においては、前記第1下面領域13aは、前記バスバー60の下面の周縁の全周に亘って延びている(
図1(c)等参照)。
【0128】
これに対し、前記バスバー60においては、
図15(b)及び(c)に示すように、前記間隙19の厚み方向他方側の下端部と厚み方向同一位置に位置する前記第1下面領域13aが、前記バスバー60の下面13の周縁のうち前記間隙19に面する側面に沿った領域にのみ存在している。
【0129】
また、前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bにおいては、前記側面側積層部25が削除されている。
【0130】
図16(a)~(c)に、それぞれ、第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cの平面図、
図16(a)におけるXVI(b)-XVI(b)線に沿った断面図及び底面図を示す。
なお、図中、本実施の形態、前記第1変形例及び前記第2変形例におけると同一部材には同一符号を付している。
【0131】
前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cは、前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))が前記複数のバスバー60(前記第1~第3バスバー60(1)~60(3))に変更されている点、及び、前記上面側積層部21が削除されている点において、前記バスバーアッセンブリ1と相違している。
【0132】
即ち、前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cは、前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bに比して、前記上面側積層部21が削除されている。
【符号の説明】
【0133】
10(1)~10(3) 第1~第3バスバー
11 上面
12 上面側接続部
13 下面
13a 第1下面領域
13b 第2下面領域
14 下面側接続部
15 側面
19(1)、19(2) 第1及び第2間隙
20 バスバー側絶縁層
21 上面側積層部
22 上面側積層部の開口
23 下面側積層部
25 側面側積層部
29 間隙充填部
30 枠体
40 枠体側絶縁層
60(1)~60(3) 第1~第3バスバー
200 バスバー用平板
210 バスバーアッセンブリ形成領域
211 バスバーアッセンブリ形成領域の上面
212 上面側接続部形成領域
213 バスバーアッセンブリ形成領域の下面
213a 第1下面形成領域
213b 第2下面形成領域
213c 第1及び第2下面形成領域の境界
219(1)、219(2) 第1及び第2スリット
290 レーザー光
300 枠体用平板
310 枠体形成領域