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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】基板搬送装置および検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241010BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20241010BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/06 Z
G02F1/13 101
H01L21/68 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020178850
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069906
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 賢俊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昇悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-062363(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159475(WO,A1)
【文献】特開2009-027099(JP,A)
【文献】特開2020-170059(JP,A)
【文献】特開2010-058869(JP,A)
【文献】特開2003-020112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/68
B65G 49/06
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル用の基板を水平姿勢に維持しながら水平に搬送する基板搬送装置であって、
前記基板の搬送方向および前記搬送方向に対して直交する幅方向の各々に沿って配置され、前記幅方向に沿う方向に回転中心軸線を向けた複数の支持ローラと、
前記搬送方向に沿って前記基板を前記複数の支持ローラ上を走行させる搬送機構と、
を有し、
前記複数の支持ローラは各々、前記基板に下方から接するローラ面が樹脂製であり、
前記搬送機構は、前記基板が載置される載置面を備えた矩形枠状のホルダと、前記ホルダに設けられ、前記基板を前記載置面上に固定する基板保持機構と、前記ホルダを下方から支持するとともに、前記ホルダを前記搬送方向に直線的にガイドする直線ガイド機構と、前記ホルダを前記搬送方向に沿って直線駆動する直線駆動機構と、を備え、
前記載置面は、前記ホルダの4つの辺のうち、前記幅方向で対向する一対の第1辺は、前記搬送方向で対向する一対の第2辺より低い位置にあり、
前記一対の第1辺の上面に前記載置面が設けられていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板搬送装置において、
前記支持ローラは、前記ローラ面に樹脂層が設けられたベアリングローラであることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板搬送装置において、
前記一対の第2辺のうちの少なくとも一方には、前記基板より下方に突出した突部が設けられ、
前記複数の支持ローラは、前記搬送方向からみたとき、前記突部と重ならない位置に配置されていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の基板搬送装置において、
前記基板保持機構は、前記載置面で吸引穴が開口する真空チャック機構を含むことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の基板搬送装置において、
前記基板保持機構は、前記載置面に向けて前記基板を押し付け固定するクランプ機構を含むことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の基板搬送装置において、
前記ホルダには、前記基板の側面に当接して前記基板の位置決めを行う位置決めローラが設けられていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の基板搬送装置において、
前記基板は、表示パネルを構成した状態で前記ホルダに保持されることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項8】
表示パネル用の基板を水平姿勢に維持しながら水平に搬送する基板搬送装置を備えた検査装置であって、
前記基板搬送装置は、
前記基板の搬送方向および前記搬送方向に対して直交する幅方向の各々に沿って配置され、前記幅方向に沿う方向に回転中心軸線を向けた複数の支持ローラと、
前記搬送方向に沿って前記基板を前記複数の支持ローラ上を走行させる搬送機構と、
を有し、
前記複数の支持ローラは各々、前記基板に下方から接するローラ面が樹脂製であり、
前記搬送方向の途中位置には、前記基板を撮像するカメラユニットが設けられ、
前記搬送方向における前記支持ローラのピッチが最も狭くなっている領域に前記カメラユニットが設けられていることを特徴とする検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検査装置であって、
前記カメラユニットを前記幅方向に移動させるカメラ駆動機構が設けられていることを特徴とする検査装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の検査装置において、
前記支持ローラは、前記ローラ面に樹脂層が設けられたベアリングローラであることを特徴とする検査装置
【請求項11】
請求項8から10までの何れか一項に記載の検査装置において、
前記搬送機構は、前記基板が載置される載置面を備えた矩形枠状のホルダと、前記ホルダに設けられ、前記基板を前記載置面上に固定する基板保持機構と、前記ホルダを下方から支持するとともに、前記ホルダを前記搬送方向に直線的にガイドする直線ガイド機構と、前記ホルダを前記搬送方向に沿って直線駆動する直線駆動機構と、を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の検査装置において、
前記載置面は、前記ホルダの4つの辺のうち、前記幅方向で対向する一対の第1辺は、前記搬送方向で対向する一対の第2辺より低い位置にあり、
前記一対の第1辺の上面に前記載置面が設けられていることを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル等を構成する基板を搬送する基板搬送装置、および基板の検査を行う検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示パネルの製造工程では、表示パネルに用いる基板を、表示パネルを構成する前の状態、あるいは表示パネルを構成した状態で検査することがある。かかる検査工程では、例えば、基板の搬送方向に沿って配置されたローラコンベアによって基板を搬送しながら、基板を連続的に検査する(特許文献1参照)。また、特許文献1に記載の検査装置では、基板にエアを吹き付けることによって、基板をローラコンベアから浮かせ、基板と検査部との距離を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-22160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の基板搬送装置のように、ローラコンベアによって基板を搬送する構造では、搬送中、基板が振動するため、ローラコンベアからの基板の部分的な浮きが発生する。また、基板にエアを吹き付けることによって基板全体をローラコンベアから浮かせる機構は、多大なコストが嵩むとともに、大型基板の場合、基板に撓み等が発生する。それ故、特許文献1に記載の基板搬送装置では、基板の高さ位置や姿勢を適正に維持することが困難である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、基板の高さ位置や姿勢を適正に維持することのできる基板搬送装置、および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、表示パネル用の基板を水平姿勢に維持しながら水平に搬送する基板搬送装置であって、前記基板の搬送方向および前記搬送方向に対して直交する幅方向の各々に沿って配置され、前記幅方向に沿う方向に回転中心軸線を向けた複数の支持ローラと、前記搬送方向に沿って前記基板を前記複数の支持ローラ上を走行させる搬送機構と、を有し、前記複数の支持ローラは各々、前記基板に下方から接するローラ面が樹脂製であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る基板搬送装置では、基板の搬送方向および幅方向の各々に沿って配置された複数の支持ローラのローラ面で基板を支持した状態で搬送機構によって基板を搬送し、基板を複数の支持ローラ上を走行させる。また、複数の支持ローラのローラ面が樹脂製である。このため、ローラコンベアで基板と搬送する場合と違って、基板を搬送した際、基板が振動しにくい。従って、基板の支持ローラからの部分的な浮きを抑制することができる。それ故、基板の高さ位置および姿勢を適正に維持することができる。また、基板にエアを吹き付けることによって、基板をローラから浮かせる機構のようなコストが嵩む機構を用いる必要がない。
【0008】
本発明において、前記支持ローラは、前記ローラ面に樹脂層が設けられたベアリングローラである態様を採用することができる。かかる態様によれば、基板を安定した状態で搬
送することができる。
【0009】
本発明に係る基板搬送装置において、前記搬送機構は、前記基板が載置される載置面を備えた矩形枠状のホルダと、前記ホルダに設けられ、前記基板を前記載置面上に固定する基板保持機構と、前記ホルダを下方から支持するとともに、前記ホルダを前記搬送方向に直線的にガイドする直線ガイド機構と、前記ホルダを前記搬送方向に沿って直線駆動する直線駆動機構と、を備える態様を採用することができる。かかる態様によれば、基板には、基板の質量およびホルダの質量が加わる。従って、基板を支持ローラと確実に接する状態とすることができる。それ故、表示パネルの高さ位置および姿勢を適正に維持することができる。
【0010】
本発明に係る基板搬送装置において、前記載置面は、前記ホルダの4つの辺のうち、前記幅方向で対向する一対の第1辺は、前記搬送方向で対向する一対の第2辺より低い位置にあり、前記一対の第1辺の上面に前記載置面が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、基板の搬送方向に位置する第2辺と干渉しないように支持ローラを設けるのが容易である。
【0011】
本発明に係る基板搬送装置において、前記一対の第2辺のうちの少なくとも一方には、前記基板より下方に突出した突部が設けられ、前記複数の支持ローラは、前記搬送方向からみたとき、前記突部と重ならない位置に配置されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2辺から下方に突出した突部が設けられている場合でも、突部と干渉しないように支持ローラを設けることができる。
【0012】
本発明に係る基板搬送装置において、前記基板保持機構は、前記載置面で吸引穴が開口する真空チャック機構を含む態様を採用することができる。
【0013】
本発明に係る基板搬送装置において、前記基板保持機構は、前記載置面に向けて前記基板を押し付け固定するクランプ機構を含む態様を採用することができる。
【0014】
本発明に係る基板搬送装置において、前記ホルダには、前記基板の側面に当接して前記基板の位置決めを行う位置決めローラが設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、ホルダの所定位置に基板を配置することができる。
【0015】
本発明に係る基板搬送装置において、前記基板は、表示パネルを構成した状態で前記ホルダに保持される態様を採用することができる。
【0016】
本発明に係る基板搬送装置を備えた検査装置では、前記搬送方向の途中位置には、前記基板を撮像するカメラユニットが設けられている態様を採用することができる。
【0017】
本発明に係る検査装置において、前記カメラユニットを前記幅方向に移動させるカメラ駆動機構が設けられている態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、基板の搬送方向および幅方向の各々に沿って配置された複数の支持ローラのローラ面で基板を支持した状態で搬送機構によって基板を搬送し、基板を複数の支持ローラ上を走行させる。また、複数の支持ローラのローラ面が樹脂製である。このため、ローラコンベアで基板と搬送する場合と違って、基板を搬送した際、基板が振動しにくい。従って、基板の支持ローラからの部分的な浮きを抑制することができる。それ故、基板の高さ位置および姿勢を適正に維持することができる。また、基板にエアを吹き付けることによって、基板をローラから浮かせる機構のようなコストが嵩む機構を用いる必要がない
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用した検査装置を搬送方向の上流側からみた斜視図。
図2図1に示す検査装置に表示パネルを設置した様子を示す斜視図。
図3図1に示す検査装置を搬送方向の下流側からみた斜視図。
図4図1に示す検査装置のXZ断面図。
図5図1に示す検査装置のホルダ付近を拡大して示す斜視図。
図6図5に示すホルダの斜視図。
図7図6に示すホルダに表示パネルを配置した様子を示す斜視図。
図8図6に示すホルダに表示パネルを配置した様子を示す平面図。
図9図6に示す真空チャック機構およびクランプ機構の説明図。
図10図6に示す位置決めローラの説明図。
図11図1に示す検査装置のホルダ付近のYZ断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る基板搬送装置200を備えた検査装置100を説明する。以下の説明において、互いに直交する方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向とし、基板10の搬送方向、基板10の幅方向、および上下方向を各々、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向とする。従って、基板10の搬送方向にXを付し、上流側にX1を付し、下流側にX2を付して説明する。また、基板10の幅方向にYを付し、搬送方向Xに向かって右側にY1を付し、左側にY2を付して説明する。また、上下方向にZを付し、下側にZ1を付し、上側にZ2を付して説明する。
【0021】
本発明に係る検査装置100では、表示パネル用の基板が表示パネル1を構成する前の状態、あるいは表示パネル1を構成した状態で搬送される。以下の説明では、基板10が表示パネル1を構成した状態で搬送される場合を中心に説明する。従って、以下の説明では、基板10と表示パネル1とを区別せずに表示パネル1として説明する。
【0022】
表示パネル1が有機エレクトロルミネッセンス表示パネルである場合、表示パネル1は、1枚の基板10、あるいは互いに対向するように貼り合わせた2枚の基板10からなる。また、表示パネル1が液晶表示パネルである場合、表示パネル1は、互いに対向するように貼り合わせた2枚の基板10の間に液晶層が設けられた構造となる。本発明に係る検査装置100および基板搬送装置200は、表示パネル1が有機エレクトロルミネッセンス表示パネルである場合、および液晶表示パネルのいずれにも適用できるが、以下の説明では、表示パネル1が液晶表示パネルである場合を中心に説明する。また、以下に参照する図面において、複数のクランプ部材643のうち、搬送方向Xに向かって左側Y2のクランプ部材643は表示パネル1を保持する姿勢で示し、右側Y1のクランプ部材643は表示パネル1を解放する姿勢で示してある。
【0023】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した検査装置100を搬送方向Xの上流側X1からみた斜視図である。図2は、図1に示す検査装置100に表示パネル1を設置した様子を示す斜視図である。図3は、図1に示す検査装置100を搬送方向Xの下流側X2からみた斜視図である。図4は、図1に示す検査装置100のXZ断面図である。
【0024】
図1図2図3図4および図5において、本形態の検査装置100は、機台110と、機台110の上方位置で水平姿勢の表示パネル1を上流側X1から下流側X2に向けて水平に直線的に搬送する基板搬送装置200とを有している。表示パネル1は液晶表示パネルであり、2枚の基板10の間に液晶層が設けられている。検査装置100では、搬
送方向Xの上流側X1から下流側X2に向かって、表示パネル1の投入領域111、表示パネル1の検査領域112、および表示パネル1の排出領域113が配置されている。検査領域112には、表示パネル1に通電した際の発光状態を撮像して検査する検査カメラを備えたカメラユニット30が下向きに設けられている。この場合、カメラユニット30が配置されている検査領域112を暗室状態とすることがある。
【0025】
基板搬送装置200は、表示パネル1の搬送方向Xおよび搬送方向Xに対して直交する幅方向Yの各々に沿って回転中心軸線を幅方向Yに沿う方向に向けた複数の支持ローラ50と、搬送方向Xに沿って表示パネル1を複数の支持ローラ50上を走行させる搬送機構60とを有している。複数の支持ローラ50は各々、支柱116によって支持された格子状のフレーム59によって、回転中心軸線を幅方向Yに沿う方向に向けて回転可能に支持されている。
【0026】
本形態において、フレーム59は、搬送方向Xに複数配置されており、複数の支持ローラ50は、搬送方向Xに配置されたフレーム59に対応して複数のブロックに分けて配置されている。本形態において、複数の支持ローラ50は、搬送方向Xに沿って5つのブロック51、52、53、54、55に分けて配置されており、5つのブロック51、52、52、54、55のいずれにおいても、支持ローラ50は幅方向において4列に配置されている。5つのブロック51、52、53、54、55のうち、最も上流側に位置する第1番目のブロック51では、1列に4つあるいは5つの支持ローラ50が設けられている。従って、支持ローラ50は、広い領域にわたって配置されている。
【0027】
また、第1番目のブロック51では、上流側から第3番目および第4番目のブロック53、54よりローラ径の大きな支持ローラ50が設けられている。また、上流側から第2番目および第5番目のブロック52、55には、上流側から第3番目および第4番目のブロック53、54と同様のローラ径の小さな支持ローラ50と、最も上流側に位置する第1番目のブロック51と同様のローラ径の大きな支持ローラ50とが設けられている。
【0028】
但し、5つのブロック51、52、53、54、55に配置された複数の支持ローラ50はいずれも、同一の高さ位置にローラ面の上部が位置するように配置されている。より具体的には、支持ローラ50は、ブロック51、52、53、54、55毎にローラ面の高さ位置を調整した後、各ブロック51、52、53、54、55の高さ位置を調整することによって、複数の支持ローラ50の全ての高さ位置が調整されている。
【0029】
本形態において、複数の支持ローラ50はいずれも、表示パネル1を下方から支持するローラ面501が樹脂製である。より具体的には、複数の支持ローラ50は各々、ローラ面が樹脂層からなるベアリングローラである。樹脂層は、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、シリコーン等からなる。かかる支持ローラ50は、例えば、内輪に対して複数の転動部材を介して径方向外側に対向する外輪にインサート成形を行うことによって構成される。また、支持ローラ50は、外輪の外周面に樹脂層を貼付することによって構成される。
【0030】
(搬送機構60の構成)
図5は、図1に示す検査装置100のホルダ20付近を拡大して示す斜視図である。図6は、図5に示すホルダ20の斜視図である。図7は、図6に示すホルダ20に表示パネル1を配置した様子を示す斜視図である。図8は、図6に示すホルダ20に表示パネル1を配置した様子を示す平面図である。図9は、図6に示す真空チャック機構およびクランプ機構の説明図である。図10は、図6に示す位置決めローラの説明図である。図11は、図1に示す検査装置100のホルダ20付近のYZ断面図である。
【0031】
図5図6図7、および図8に示すように、搬送機構60は、表示パネル1が載置される載置面21を備えた矩形枠状のホルダ20と、ホルダ20を幅方向Yの両側でホルダ20を下方から支持するとともに、ホルダ20を搬送方向Xに直線的にガイドとする直線ガイド機構65と、ホルダ20を搬送方向Xに沿って直線駆動する直線駆動機構61とを備えている。また、ホルダ20には、表示パネル1を載置面21上に固定する基板保持機構62が設けられている。
【0032】
ホルダ20は、4つの辺のうち、幅方向Yで対向する一対の第1辺26、27は、搬送方向Xで対向する一対の第2辺28、29より低い位置にあり、一対の第1辺26、27の上面に載置面21が設けられている。より具体的には、ホルダ20において、上流側X1の第2辺28を構成する支持板280、および下流側X2の第2辺29を構成する支持板290は各々、右側Y1の第1辺26を構成する支持板260、および左側Y2の第1辺27を構成する支持板270の上に固定されているため、支持板260、270は支持板280、290より低い位置にある。
【0033】
また、支持板260の上面のうち、支持板270の側の端部には載置面21が構成され、支持板270の上面のうち、支持板260の側の端部には載置面21が構成されている。本形態において、載置面21は、支持板260、270の端部に対して長手方向を搬送方向Xに沿うように配置された複数の直方体形状のブロック片22の上面からなる。
【0034】
また、ホルダ20には、表示パネル1の側面に当接して表示パネル1の位置決めを行う位置決めローラ24が設けられている。本形態においては、支持板270には、搬送方向Xで離間する2か所に位置決めローラ24が設けられ、支持板280には、幅方向Yの中央に位置決めローラ24が設けられている。
【0035】
図9および図10において、基板保持機構62は、載置面21で吸引穴630が開口する真空チャック機構63を含んでおり、吸引穴630は、ブロック片22および支持板260、270を貫通する流路を介して真空ポンプ(図示せず)等に接続されている。本形態において、吸引穴630は、搬送方向Xに長軸を向けた長孔からなる。
【0036】
また、基板保持機構62は、載置面21に向けて表示パネル1を押し付け固定するクランプ機構64を含んでいる。本形態において、クランプ機構64は、支持板260、270の上で搬送方向Xに沿って延在する駆動軸641と、駆動軸641を駆動するシリンダ装置642と、駆動軸641に連結された複数のクランプ部材643とを有しており、複数のクランプ部材643は、駆動軸641を介して一括して姿勢が切り替えられる。本形態において、クランプ部材643において表示パネル1と接する当接部はバネ等の弾性部材644からなり、クランプ部材643は、弾性部材644を介して表示パネル1を載置面21に向けて押し付け固定する。
【0037】
位置決めローラ24は、支持ローラ50と同様、ローラ面241が樹脂製である。より具体的には、複数の位置決めローラ24は各々、ローラ面241が樹脂層からなるベアリングローラである。
【0038】
図11に示すように、ホルダ20において、一対の第2辺28、29を構成する支持板280、290のうち、少なくとも一方には、表示パネル1より下方に突出した突部が設けられているが、本形態においては、上流側X1の第2辺28を構成する支持板280からは、表示パネル1より下方に突出した突部281が設けられているが、支持ローラ50は、搬送方向Xからみたとき、突部281と重ならない位置に配置されている。このため、ホルダ20を介して表示パネル1を搬送する際、突部281がホルダ20と干渉するこ
とはない。
【0039】
図5および図11に示すように、搬送機構60において、直線ガイド機構65は、支持板260、270と平面視で重なる位置で搬送方向Xに沿って延在する一対のガイドレール66と、支持板260、270に固定された摺動部材67とを備えており、摺動部材67には、ガイドレール66を跨ぐように凹部68が形成されている。ガイドレール66は支柱117を介して機台110に固定されている。
【0040】
また、搬送機構60において、直線駆動機構61は、ホルダ20の右側で搬送方向Xに沿って延在するリニアモータ610からなり、リニアモータ610の直動部材とホルダ20とは連結部611を介して連結されている。
【0041】
(検査領域112等の構成)
図1および図4に示すように、搬送方向Xの途中位置において、支持ローラ50の搬送方向Xにおけるピッチが最も狭くなっている領域に検査領域112が設けられている。検査領域112において、下向きに配置されたカメラユニット30は、検査領域112を通過する表示パネル1を撮像する。その際、表示パネル1は全面点灯となるように給電される。本形態において、表示パネル1は、透過型液晶パネルである。従って、検査領域112において、表示パネル1の下方には第1偏光板(図示せず)を備えたバックライト70が設けられ、カメラユニット30には、第1偏光板に対してクロスニコルに配置された第2偏光板(図示せず)が設けられている。従って、カメラユニット30によって撮像された画像を解析すれば、表示パネル1の欠陥の数や位置を検出することができる。
【0042】
ここで、表示パネル1は、カメラユニット30による撮像範囲より広い。従って、検査装置100には、カメラユニット30を幅方向Yに駆動するカメラ駆動機構31が設けられている。それ故、カメラ駆動機構31による駆動と、基板搬送装置200による駆動とを組み合わせれば、表示パネル1の全面を撮像することができる。
【0043】
なお、カメラユニット30に対して上流側X1で隣り合う位置には静電気除去器40が設けられており、静電気除去器40は、表示パネル1の除電や除塵を行なう。本形態では、静電気除去器40にも、静電気除去器40を幅方向Yに駆動する静電気除去器駆動機構41が設けられている。
【0044】
(動作)
このように構成した検査装置100において、表示パネル1の検査を行うには、作業員は、真空チャック機構63およびクランプ機構64を休止状態とし、表示パネル1をホルダ20の上に配置する、その際、表示パネル1を位置決めローラ24のローラ面241に当接させて、表示パネル1の位置決めを行う。
【0045】
次に、真空チャック機構63およびクランプ機構64を作動させ、表示パネル1をホルダ20に固定した状態とする。この状態で、表示パネル1には下方から支持ローラ50のローラ面501が当接する。
次に、直線駆動機構61を作動させ、ホルダ20を下流側X2に搬送する。その際、表示パネル1は、支持ローラ50上を走行する。
【0046】
次に、表示パネル1が検査領域112に到達すると、直線駆動機構61が停止し、カメラユニット30によって、表示パネル1の表示領域の撮像を行う。その際、カメラ駆動機構31は、カメラユニット30を幅方向Yに駆動し、カメラユニット30は、前回より表示パネル1の幅方向Yにずれた領域を撮像する。かかる動作を繰り返し、表示パネル1の幅方向Yの全体をカメラユニット30によって撮像する。次に、直線駆動機構61は、表
示パネル1を下流側X2に移動させ、上記と同様な手順で、表示パネル1において前回より搬送方向Xにずれた位置で表示パネル1の幅方向Yの全体をカメラユニット30によって撮像する。かかる動作を繰り返し、表示パネル1の全体をカメラユニット30によって撮像する。
【0047】
次に、直線駆動機構61は、表示パネル1をさらに下流側X2に移動させ、表示パネル1が排出領域113に到達したタイミングで表示パネル1の搬送を停止する。次に、真空チャック機構63およびクランプ機構64を休止状態とした後、撮像を終えた表示パネル1を排出した後、直線駆動機構61は、空になったホルダ20を上流側X1の投入領域111まで戻す。以降、同様な動作を繰り返す。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の検査装置100では、表示パネル1の搬送方向Xおよび幅方向Yの各々に沿って配置された複数の支持ローラ50のローラ面501で表示パネル1を支持した状態で搬送機構60によって表示パネル1を搬送し、表示パネル1を複数の支持ローラ50上を走行させる。また、複数の支持ローラ50のローラ面501が樹脂製である。このため、ローラコンベアで表示パネル1と搬送する場合と違って、表示パネル1を搬送した際、表示パネル1が振動しにくい。従って、表示パネル1の支持ローラ50からの部分的な浮きを抑制することができる。それ故、表示パネル1が大型化した場合でも、表示パネル1の高さ位置および姿勢を適正に維持することができるので、表示パネル1の全体がカメラユニット30の被写体深度内に位置する。それ故、表示パネル1をカメラユニット30によって適正に撮像することができる。また、表示パネル1にエアを吹き付けることによって、表示パネル1をローラから浮かせる機構のようなコストが嵩む機構を用いる必要がない。
【0049】
また、検査装置100において、搬送機構60は、表示パネル1が保持されるホルダ20を用いるため、表示パネル1には、表示パネル1の質量およびホルダ20の質量が加わる。従って、表示パネル1を支持ローラ50と確実に接する状態とすることができる。それ故、表示パネル1の高さ位置および姿勢を精度よく制御することができる。
【0050】
また、ホルダ20の4つの辺のうち、幅方向Yで対向する一対の第1辺26、27は、搬送方向Xで対向する一対の第2辺28、29より低い位置にあるため、表示パネル1の搬送方向Xに位置する第2辺28、29と支持ローラ50とが干渉ないように支持ローラ50を設けるのが容易である。また、第2辺28から表示パネル1より下方に突出した突部281が設けられている場合でも、複数の支持ローラ50は、搬送方向Xからみたとき、突部281と重ならない位置に配置されている。このため、突部281が設けられている場合でも、突部281と干渉しないように支持ローラ50を設けることができる。
【0051】
また、ホルダ20には、表示パネル1の側面に当接して表示パネル1の位置決めを行う位置決めローラ24が設けられているため、ホルダ20の所定位置に表示パネル1を配置することができる。
【0052】
[他の実施の形態]
上記実施形態では、基板10が表示パネル1を構成した状態で搬送される場合を例示したが、基板10が表示パネル1を構成する前の状態で検査される場合に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態で説明した基板搬送装置200は、検査装置100以外の装置に用いられる場合に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…表示パネル、10…基板、20…ホルダ、21…載置面、22…ブロック片、24…
位置決めローラ、30…カメラユニット、31…カメラ駆動機構、40…静電気除去器、41…静電気除去器駆動機構、50…支持ローラ、51、52、53、54、55…ブロック、59…フレーム、60…搬送機構、61…直線駆動機構、62…基板保持機構、63…真空チャック機構、64…クランプ機構、65…直線ガイド機構、66…ガイドレール、67…摺動部材、68…凹部、70…バックライト、100…検査装置、110…機台、111…投入領域、112…検査領域、113…排出領域、116、117…支柱、200…基板搬送装置、241、501…ローラ面、260、270、280、290…支持板、281…突部、610…ねじ機構、611…連結部、630…吸引穴、641…駆動軸、642…シリンダ装置、643…クランプ部材、644…弾性部材、X…搬送方向、Y…幅方向
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