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特許7569693布地への3D印刷のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】布地への3D印刷のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20241010BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20241010BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20241010BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/295
B29C64/245
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021000539
(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2021120212
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】16/776,650
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・マイケル・フェラーラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ダグラス・アルウッド
【審査官】浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0020191(US,A1)
【文献】国際公開第2017/136436(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246496(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0192741(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0120523(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176118(US,A1)
【文献】米国特許第06298800(US,B1)
【文献】国際公開第2021/149418(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/106
B29C 64/295
B29C 64/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地に印刷する方法であって、前記方法は、
熱可塑性材料を押出機のノズルに充填することと、
支持構造体を使用して張力を加えて、繊維を有する布地を伸張させることと、
前記ノズルに近接して繊維を有する布地を位置付けながら、前記布地を伸張状態に保持することと、
前記熱可塑性材料を、前記布地の融点温度以上の温度に加熱することと、
前記布地を、周囲温度より高くかつ前記布地の前記融点温度未満の温度に加熱することと、
前記支持構造体を使用して前記布地を伸張状態に保持しながら、前記加熱された熱可塑性材料を前記ノズルからフィラメントとして前記布地上に押し出して、前記布地中の前記繊維の少なくとも一部を少なくとも部分的に溶融して、前記加熱された熱可塑性材料と前記布地との間を固定結合し、前記布地上に印刷パターンをもたらすことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記支持構造体は、同心リング構造体を含み、
前記支持構造体を使用して張力を加えて、前記布地を伸張させることは、前記同心リング構造体の内側リングの周囲に前記布地を配置することと、前記同心リング構造体の外側リングを使用して、前記内側リングと前記外側リングとの間に前記布地を固定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記布地を、周囲温度より高くかつ前記布地の前記融点温度未満の温度に加熱することは、前記布地を前記布地の前記融点の50%~95%の温度まで加熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記布地を予熱することは、
前記布地を熱伝導性プレート上に配置することと、
前記熱伝導性プレートを加熱することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性材料を前記押出機の前記ノズルに充填する前に、前記熱可塑性材料を加熱チャンバ内で予熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記布地の前記融点温度は、200℃~250℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性材料を加熱することは、前記熱可塑性材料を200℃~260℃の温度に加熱することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記布地は、熱可塑性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記布地の材料は、以下のアクリル、アセテート、ポリエステル、ポリオレフィン、オレフィン、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、モダクリル、スパンデックス若しくはエラスタン、又はレーヨンのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記押出機は、三次元(3D)プリンタの構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
布地に印刷する方法であって、前記方法は、
熱可塑性材料を三次元(3D)プリンタの押出機のノズルに充填することと、
前記3Dプリンタの印刷領域内の支持構造体上に繊維を有する布地を位置付けることであって、前記支持構造体は、前記布地を伸張状態に保持する、ことと、
前記熱可塑性材料を、前記布地の融点温度以上の温度に加熱することと、
前記布地を、周囲温度より高くかつ前記布地の前記融点温度未満の温度に加熱することと、
前記加熱された熱可塑性材料を前記ノズルからフィラメントとして前記印刷領域内の前記布地上に押し出して、前記布地中の前記繊維の少なくとも一部を少なくとも部分的に溶融して、前記加熱された熱可塑性材料と前記布地との間を固定結合し、前記布地上に印刷パターンをもたらすことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記布地は、熱可塑性材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記布地の前記融点温度は、200℃~250℃であり、
前記熱可塑性材料を加熱することは、前記熱可塑性材料を200℃~260℃の温度に加熱することを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
刺繍は、衣類、かぶり物、標識、及び布地材料を組み込む他の製品上にロゴ、グラフィック素材、及び他の物品を付けるとき、三次元(three-dimensional、3D)の奥行きを提供するために、一般的に使用される技術である。印刷された材料に奥行きを加えるために、発泡体又は他の材料で作製されたインサートが布地上に配置され、次いで刺繍される。複数のインサート層を使用して、様々な積み重ね高さの効果を与えることができる。安定化材(裏地シートなど)を、付けられた縫い目とは反対側の布地の側面に追加して、縫い目を定位置に保持し、安定化材が使用されていなかった場合に縫い目によって弱められる恐れがある布地を引き裂く危険性を低減することができる。
【0002】
しかしながら、刺繍は、費用のかかる、時間がかかる作業である場合がある。帽子などの物品上の小さいロゴは、付けるために最大30分要する場合がある。また、刺繍を付けるために使用されるボビンは、破損しやすい。これに対処するために、縫製又は、布地にアイロンがけされた、縫い付けられた、若しくは糊付けされた予め印刷されたパッチの形態の、3Dグラフィック素材を作成することが、他者により提案されてきた。しかしながら、これらの解決策もまた、通常は安定化材を必要とし、布地が洗浄されるときに、特に布地が複数回(衣類と一緒に)洗浄される場合に、その有効性を失う可能性がある接着剤を必要とする。
【0003】
本明細書は、上述の問題の一部又は全てに対処する、3Dグラフィック素材を布地に付けるための改善された方法及びシステムを記載している。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態において、布地に印刷する方法は、(a)熱可塑性材料を押出機のノズルに充填することと、(b)布地を含む基材をノズルに近接して位置付けることと、(c)ノズル内の熱可塑性材料を、布地の融点温度以上の温度まで加熱することと、(d)加熱された熱可塑性材料をノズルからフィラメントとして布地上に押し出して、布地上に印刷パターンをもたらすことと、を含む。
【0005】
任意選択的に、布地をノズルに近接して位置付ける前に、支持構造体を使用して張力を加えて、布地を伸張させてもよい。支持構造体は、例えば、同心リング構造体を含んでもよい。そのような場合、加熱された熱可塑性材料を布地上に押し出すとき、支持構造体は、布地を伸張状態に保持することができる。これを行うために、布地は、同心リング構造体の内側リングの周囲に配置され得る。同心リング構造体の外側リングは、内側リングと外側リングとの間に布地を固定することができる。
【0006】
任意選択的に、加熱された熱可塑性材料を布地に押し出す前に、布地は、布地の融点の50%~95%の温度まで予熱されてもよい。予熱は、いくつかの方法のうちのいずれかで行われてもよい。例えば、布地を熱伝導性プレート上に配置してもよく、加熱要素は、熱伝導性プレートを加熱してもよい。
【0007】
任意選択的に、熱可塑性材料を押出機のノズルに充填する前に、材料を加熱チャンバ内で予熱してもよい。
【0008】
様々な実施形態において、布地の融点温度が約200℃~約250℃である場合、熱可塑性材料を加熱することは、熱可塑性材料を約200℃~約260℃の温度に加熱することを含む。他の温度範囲が可能である。
【0009】
様々な実施形態では、布地材料は、熱可塑性材料を含んでもよい。布地材料は、以下の、アクリル、アセテート、ポリエステル、ポリオレフィン、オレフィン、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、モダクリル、スパンデックス若しくはエラスタン、レーヨン、又は他の材料のうちの1つ以上を含んでもよい。布地上に押し出される熱可塑性材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)が挙げられる。
【0010】
押出機は、三次元(3D)プリンタの構成要素であってもよい。例えば、3Dプリンタは、熱可塑性材料を含有する押出機を含んでもよく、押出機は、ノズルを含む。ノズルの下の印刷領域は、ノズルを介して押出機から射出されるとき、熱可塑性材料のフィラメントを受容するように位置付けられてもよい。3Dプリンタは、熱可塑性材料がノズルから射出される前に熱可塑性材料に熱を加えるように位置付けられている第1の加熱要素を含む液化器を備えてもよい。3Dプリンタはまた、布地が印刷領域内に配置されたときに布地に熱を加えるように位置付けられている第2の加熱要素を備えてもよい。同心リング構造体などの支持構造体は、布地が印刷領域内に位置付けられたときに、布地を伸張状態に保持するために、印刷領域内に位置付けられてもよい。印刷領域は、熱伝導性プレートを含んでもよく、第2の加熱要素は、熱伝導性プレートと接触しているか、又は熱伝導性プレートと一体である。第1の加熱要素は、印刷領域内に配置された布地の融点以上の温度に熱可塑性材料を加熱するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】布地物品上に3Dコンテンツを印刷するための例示的なシステム及びプロセスの特定の要素を示す図である。
【0012】
図2】例示的なシステムが含んでもよい追加の要素を示す図である。
【0013】
図3】3Dコンテンツを布地に印刷するためのプロセスの様々な要素を示す図である。
【0014】
図4】3Dプリンタ押出機システムの例示的な構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本文書で使用される際、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の指示内容を含む。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される際、用語「備える(comprising又はcomprises)」は、「限定するものではないが、含む(including又はincludes)」を意味する。本明細書で使用するとき、用語「例示的な」は、「例として」を意味することを意図するものであり、特定の例示的な項目が好ましいか又は必要であることを示すことを意図するものではない。
【0016】
本明細書では、そのような「第1の」及び「第2の」という用語が名詞を修飾するために使用される場合、そのような使用は、単に1つの項目を別の項目と区別することを意図するものであり、具体的に記載されない限り、連続的な順序を必要とすることを意図するものではない。「およそ」という用語は、数値に関連して使用されるとき、その数字に近いが正確にはその数字ではない値を含むことが意図される。例えば、いくつかの実施形態では、用語「およそ」は、値の+/-10パーセント以内の値を含んでもよい。「実質的に」という用語は、数値に関連して使用される場合、値の少なくとも90%を意味する。
【0017】
本明細書において、2つの物理的構造体を指すとき、用語「接続された」は、2つの物理的構造体が互いに接触していることを意味する。接続されたデバイスは、互いに固定されてもよく、又はそれらは単純に互いに接触して、固定されなくてもよい。
【0018】
本明細書において、2つの構成要素を指すとき、用語「熱的に接続された」は、2つの構成要素間に伝導路が存在することを意味する。経路は、(伝導体によってなどの)直接経路、又は他の要素及び/又は比較的小さいエアギャップを通る間接経路であってもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「上部」及び「下部」、「上方の」及び「下方の」、「上方に」及び「下方に」、又は「前方」及び「後方」などの用語は、絶対的な向きを有することを意図するものではなく、代わりに、互いに対する様々な構成要素の相対的位置を説明することを意図する。例えば、第1の構成要素は、構成要素を含む装置が第1の方向に配向されるとき、第2の構成要素の「上方」であり得、装置が逆さまにされた場合、第1の構成要素は、第2の構成要素の「下方」であり得る。構成要素の相対的な配向性は逆であってもよく、又は構成要素は、構成要素を含有する構造の配向性が変更される場合には、同じ平面上にあってもよい。請求項は、そのような構成要素を含有するデバイスの全ての配向性を含むことを意図する。
【0020】
本開示に関連する更なる用語は、本発明を実施するための形態の部分の最後に定義される。
【0021】
図1は、衣類又は布地を含む他の物品上に3Dコンテンツを印刷するためのシステム及びプロセスの特定の基本要素を示す。図1に示すように、布地10は、グラフィックス、テキスト、又は他のコンテンツ15が印刷されることとなる標的印刷領域11を含む。布地は、押出機20の出口に近接して位置付けられる。押出機20は、以下により詳細に記載されるように、溶融フィラメント製造用に構成された三次元(3D)プリンタの構成要素であってもよい。押出機20は、加熱された熱可塑性材料のフィラメント22が押し出される出口を提供するノズル21を含むため、フィラメントは、布地10の標的印刷領域11に接触してインプリント形成する。加熱された熱可塑性材料の温度は、布地の熱可塑性成分の融点温度と実質的に等しくてもよく、又は融点温度よりも更に高くてもよい。
【0022】
布地10は、支持構造体30によって伸張され、保持されてもよい。図示のように、支持構造体30は、刺繍枠として一般に既知のものなどの同心リング構造体を含む。布地10は、同心リング構造体30の内側リングの周りに配置されてもよく、次いで、同心リング構造体30の外側リングは、布地10の上に配置されて、標的領域11を伸張しながら(張力を生じさせながら)布地10を内側リングと外側リングとの間に固定する。
【0023】
上記のプロセスは、布地もまた溶融する材料で作製される状況に特に好適であるため、溶融フィラメントが溶融した構成要素の布地材料と相互作用し、結合し得る。例えば、布地は、熱可塑性材料を含有してもよく、かつ/又は、布地は、アクリル、アセテート、ポリエステル、ポリオレフィン、オレフィン、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、モダクリル、スパンデックス若しくはエラスタン、及び/若しくはレーヨンなどの合成布地材料を含んでもよい。そうである場合、布地は、布地が軟化するようにプレート上で予熱されてもよい。溶融フィラメントが軟化した布地と接触するとき、2つの材料は、互いに強い恒久的結合を形成することとなる。
【0024】
図2は、このような状況において、布地を加熱し、熱可塑性材料のフィラメント22を布地10に塗布するために使用され得るシステムの追加の構成要素を示す。布地の標的印刷領域は、加熱要素35によって加熱される印刷プラテンなどの熱伝導性プレート32上に配置される。伝導性プレート32は、セラミック、陶材コーティングされたステンレス鋼、圧延及び/若しくはコーティングされたアルミニウム、又は比較的迅速に加熱及び冷却することができる別の伝導性材料で作製されてもよい。加熱は、非接触加熱要素35からの対流若しくは放射によって、又は伝導性プレート32と直接接触するか若しくは伝導性プレート32の内部に埋め込まれた加熱要素34からの伝導によって提供することができる。加熱要素35又は加熱要素34は、電流供給源に接続されたニッケルクロム(ニクロム)ワイヤ、コイル若しくはチューブなどの任意の好適な加熱構造体、又は厚膜ヒータであり得る。伝導性プレート32及び加熱要素35又は加熱要素34は、十分な大きさであり、少なくとも、周囲温度よりも少なくとも高い温度まで、任意選択的に、布地の熱可塑性構成要素の融点に近いが、その融点以上ではない温度まで、布地を加熱するのに十分な電流供給源に接続される。例えば、布地用途に応じて、伝導性プレート32の温度は、適用可能な融点の50%~95%、又は、(それぞれの場合におよそ)50%、60%、70%、80%若しくは90%の下限及び(それぞれの場合におよそ)55%、65%、75%、85%又は95%の上限を有する任意の範囲などの、これらの範囲内の任意のサブレンジであってもよい。他の範囲が可能であり得る。例えば、低融点温度を有する布地は、ほとんど加熱されなくてもよい。温度は、布地中の繊維の少なくとも一部を少なくとも部分的に溶融するのに十分であるが、布地が完全に溶融し、視覚的に変形するほどではないであろう。
【0025】
図3は、3Dコンテンツを布地に印刷するプロセスを示す。302において、熱可塑性材料は、押出機に充填され得る。上述のように、押出機は、3Dプリンタの構成要素であってもよく、溶融フィラメントが押し出され得るノズルを有してもよい。熱可塑性材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer、TPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、高衝撃ポリスチレン(high-impact polystyrene、HIPS)、脂肪族ポリアミド(ナイロン)、ポリエテレン(polyethelene、PE)、又はポリカーボネート(polycarbonate、PC)であってもよい。熱可塑性材料は、ブロック、チップ、ペレット、削り屑、より大きなフィラメント若しくはロッドの形態、又は別の固体形態であってもよい。システムは、押出機内の材料を加熱してもよい。押出機での加熱に加えて、又は代替として、301において、熱可塑性材料は、加熱容器内で予熱され、液体形態で押出機に移送されてもよい。ノズル内の予熱及び/又は加熱は、熱可塑性フィラメント材料の温度を、布地の融点温度の少なくとも50%のレベルまで上昇させる。いくつかの状況では、熱可塑性材料の温度は、押出機のノズルを出るときに布地の融点温度より高くてもよい。
【0026】
304において、布地の標的領域を含む基材は、ノズルからの溶融フィラメントが先の図に記載されたとおりに布地に移動することとなるように十分に近接して、押出機のノズルの近くに位置付けられる。ノズルは、プログラミング命令及び/又は設計データファイルによって定義されるようなパターンを塗布するために、布地の様々な領域に移動され得る。また上記に述べたように、303において、標的領域は、支持構造体によって伸張されてもよい。溶融熱可塑性材料を塗布する前に布地を伸張することは、溶融フィラメントが布地の標的領域の細孔を貫通して、布地を浸し、フィラメントが冷却されると固定結合するのに役立ち得る。加えて、306において、布地の標的領域は、加熱プレート又は他の加熱構造体を使用して、押し出し前に、かつ/又は押し出し中に加熱されてもよい。
【0027】
フィラメント材料が所望の温度にあるとき、308において、押出機は、フィラメントを布地上に押し出し、フィラメントを層に堆積させて3D構造体をもたらし得る。任意選択的に、様々な色のフィラメント、又は様々な種類の材料のフィラメント(硬質プラスチックと可撓性フィラメントTPU/TPEとの組み合わせなど)を堆積させるように、複数の押出機が使用されてもよい。そのような状況では、様々な色及び/又は様々な種類の材料を含む複数の押出機が共に作動し得る。又は、システムは、ジョブの間中、どのフィラメントを途中まで充填するかを変更すること、又は押出機への投入として2つ以上の色を有するフィラメントを使用することを含む工程において動作してもよい。上記のプロセスでは、印刷されたコンテンツを布地に固定するために、裏地材は必要とされない。加えて、従来技術の布地印刷プロセスにおいて必要な紫外線硬化プロセスなどの硬化プロセスはない。
【0028】
例として、TPU材料がおよそ220~250℃の融点を有する熱可塑性布地上に押し出されるとき、熱可塑性材料は、およそ230~260℃のレベルまで加熱されてもよい。布地がおよそ200~240℃の融点を有する場合、押し出されたフィラメントは、約200~250℃に加熱されてもよく、布地は、およそ180~195℃に予熱されてもよい。
【0029】
上述のように、押出機は、3Dプリンタの構成要素であってもよい。図4は、融合フィラメント製造用に構成された3Dプリンタの様々な要素を説明する。押出機20は、ロッド形状であるが任意選択的に他の形態で示される熱可塑性材料60を受容する。押出機20は、熱可塑性材料60に圧力を加えて、熱可塑性材料60を軟化させ、かつ/又は加熱用の熱電対を有する容器などの液化器51に向かわせるローラ52を含み得る。任意選択的に、熱可塑性材料は、液化器51に入る前に、加熱チャンバ54内で予熱されてもよい。液化材料は、液化器61から出て、ノズル21に入り、ノズル21からフィラメント22として押し出される。任意選択的に、ノズル21の下の印刷領域28は、層接着を増大させるのを助けるために、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを含有するチャンバであってもよい。
【0030】
上記の特徴及び機能、並びに代替物は、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされてもよい。様々な代替物、修正、変形、又は改善が当業者によって行われてもよく、これらのそれぞれはまた、開示される実施形態によって包含されることを意図される。
図1
図2
図3
図4