(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241010BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241010BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G06F3/12 359
G06F3/12 303
G06F3/12 345
G06F3/12 374
B41J29/00 Z
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2021008068
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義一
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-047988(JP,A)
【文献】特開2004-005586(JP,A)
【文献】特開2002-178566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 29/00 -29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理を組み合わせて1つの画像形成に係るジョブを実行する画像形成装置であって、
ネットワークを介して外部のアプリケーションとデータを送受信する通信部と、
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成に係る一時的な中間データを記憶する記憶部と、
ユーザーへのメッセージを表示する表示部と、
前記通信部、前記画像データ取得部、前記画像形成部、前記記憶部および前記表示部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の処理のうち、ある処理を行ったとき、次の処理があるか否かを判定し、次の処理がある場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行し、一方、次の処理がない場合、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させ
、
前記制御部は、ある処理を行った後、次の処理がある場合は、中間データの引き継ぎがあるか否かを判定し、前記中間データの引き継ぎがない場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行し、一方、前記中間データの引き継ぎがある場合、予め定められた待機時間の経過後に前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行する場合、予め定められた待機時間の経過後に前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、次の処理がある場合に前記中間データを消去した後、ユーザーによって予め指定されたメッセージが前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、前記メッセージが記憶されている場合、前記メッセージを前記表示部に表示させ、一方、前記メッセージが記憶されていない場合、前記メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行する請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の処理を組み合わせて1つの画像形成に係るジョブを実行する画像形成方法であって、
ネットワークを介して外部のアプリケーションとデータを送受信する通信ステップと、
画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記画像データに基づき画像を形成する画像形成ステップと、
前記画像形成に係る一時的な中間データを記憶する記憶ステップと、
ユーザーへのメッセージを表示する表示ステップとを有し、
前記複数の処理のうち、ある処理を行ったとき、次の処理がある場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを表示せずに次の処理に移行し、一方、次の処理がない場合、前記中間データを消去した後、前記表示ステップにおいて、前記中間データを表示した旨の消去メッセージを表示
し、
ある処理を行った後、次の処理がある場合は、中間データの引き継ぎがあるか否かを判定し、前記中間データの引き継ぎがない場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示ステップにおいて表示せずに次の処理に移行し、一方、前記中間データの引き継ぎがある場合、予め定められた待機時間の経過後に前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示ステップにおいて表示することを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置および画像形成方法に関し、より詳細には、複数の処理を組み合わせて1つの画像形成に係るジョブを実行する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)等の画像形成装置において、コピーやスキャン、印刷等のジョブの処理を行う際にスキャンしたデータや印刷データ等の中間データ(または内部データ)が情報漏洩すると重大なセキュリティインシデントとなりうるため、ジョブの終了時にMFP内の不揮発性メモリから削除することにしている。
【0003】
また、これらの中間データを再利用できないように消去したり、消去したことをメッセージとしてユーザーに知らせたりする高度なセキュリティ機能を有する画像形成装置も知られている。
【0004】
このような画像形成装置は、中間データを削除する際にユーザーに消去メッセージを表示するが、例えば、複数の部数の印刷を行う場合、一部ずつ印刷を終了するたびに中間データの消去メッセージを表示すると、ユーザーの利便性がかえって悪くなることがあった。
【0005】
このような問題に関連して、特定のアプリケーションデータを印刷出力する場合に、出力部数分の複数の出力終了通知をユーザーに知らせることなく、全てのジョブが終了した時点でジョブ終了通知をユーザーに知らしめることを可能とした出力終了通知方式の発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の画像形成装置では、組み込んだファームウェアでのみコピー等の機能が使えるだけでなく、オープンAPI(Application Programming Interface)などユーザーが作成したアプリケーション等を登録し、当該アプリケーションを利用してコピー等をする装置も知られている。
【0008】
このような画像形成装置は、オープンアーキテクチャとして外部に公開している機能を組合せ、一連の流れを組み立ててコピー等のジョブを実行するが、1つの機能を完了するごとに装置が使用した中間データが削除される。
【0009】
しかしながら、設定されたセキュリティレベルによっては、1つの機能を完了するごとに中間データを削除した旨の消去メッセージを表示すると、装置を使用中のユーザーに、ジョブが完了していないのに想定外のタイミングでデータ消去されたと認識されることがあり、ユーザーが混乱するおそれがあった。
【0010】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、オープンAPI等の外部に公開されている機能を使用する場合、中間データの消去メッセージを適切なタイミングで通知することにより、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置および画像形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明による画像形成装置は、複数の処理を組み合わせて1つの画像形成に係るジョブを実行する画像形成装置であって、ネットワークを介して外部のアプリケーションとデータを送受信する通信部と、画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、前記画像形成に係る一時的な中間データを記憶する記憶部と、ユーザーへのメッセージを表示する表示部と、前記通信部、前記画像データ取得部、前記画像形成部、前記記憶部および前記表示部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記複数の処理のうち、ある処理を行ったとき、次の処理があるか否かを判定し、次の処理がある場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行し、一方、次の処理がない場合、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させることを特徴とする。
また、この発明による画像形成方法は、複数の処理を組み合わせて1つの画像形成に係るジョブを実行する画像形成方法であって、ネットワークを介して外部のアプリケーションとデータを送受信する通信ステップと、画像データを取得する画像データ取得ステップと、前記画像データに基づき画像を形成する画像形成ステップと、前記画像形成に係る一時的な中間データを記憶する記憶ステップと、ユーザーへのメッセージを表示する表示ステップとを有し、前記複数の処理のうち、ある処理を行ったとき、次の処理がある場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを表示せずに次の処理に移行し、一方、次の処理がない場合、前記中間データを消去した後、前記表示ステップにおいて、前記中間データを表示した旨の消去メッセージを表示することを特徴とする。
【0012】
この発明において、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、オープンAPI等の外部に公開されている機能を用い、複数の処理を組み合わせて1つの画像形成に係るジョブを実行する場合、中間データの消去メッセージを適切なタイミングで通知することにより、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置および画像形成方法が実現される。
【0014】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0015】
(2)前記制御部は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行する場合、予め定められた待機時間の経過後に前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させるものであってもよい。
【0016】
このようにすれば、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、所定の待機時間の経過後に当該中間データを消去した旨の消去メッセージを表示できるようにすることで、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【0017】
(3)前記制御部は、ある処理を行った後、次の処理がある場合は、中間データの引き継ぎがあるか否かを判定し、前記中間データの引き継ぎがない場合は、前記中間データを消去した後、前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行し、一方、前記中間データの引き継ぎがある場合、予め定められた待機時間の経過後に前記中間データを消去した旨の消去メッセージを前記表示部に表示させるものであってもよい。
【0018】
このようにすれば、次の処理がある場合、中間データの引き継ぎの有無に応じて、中間データの消去メッセージを適切なタイミングで通知し、また、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、中間データを確実に消去できるようにすることで、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【0019】
(4)前記制御部は、次の処理がある場合に前記中間データを消去した後、ユーザーによって予め指定されたメッセージが前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、前記メッセージが記憶されている場合、前記メッセージを前記表示部に表示させ、一方、前記メッセージが記憶されていない場合、前記メッセージを前記表示部に表示させずに次の処理に移行するものであってもよい。
【0020】
このようにすれば、予め指定されたメッセージの有無に応じて、ユーザーが指定した消去メッセージを適切なタイミングで通知し、また、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、中間データを確実に消去できるようにすることで、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の画像形成システムの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図1のデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のサーバーの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のデジタル複合機の消去メッセージの表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図4の読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図1のデジタル複合機の表示部に表示された内部データの消去メッセージの一例である。
【
図7】
図4の保存処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図4の加工処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図4の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機のコピージョブの読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機のコピージョブの保存処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機のコピージョブの加工処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機のコピージョブの印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機のタイマによるメッセージ消去処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機のコピージョブの読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機のコピージョブの保存処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機のコピージョブの加工処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機のコピージョブの印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】この発明の実施形態4に係るデジタル複合機のコピージョブの読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】この発明の実施形態4に係るデジタル複合機のコピージョブの保存処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】この発明の実施形態4に係るデジタル複合機のコピージョブの加工処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】この発明の実施形態4に係るデジタル複合機のコピージョブの印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0023】
〔実施形態1〕
図1~
図3に基づき、この発明の画像形成装置の一実施形態であるデジタル複合機1について説明する。
【0024】
図1は、この発明の画像形成システム100の構成の一例を示す説明図である。
図2は、
図1のデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
図3は、
図1のサーバー2の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、この発明の画像形成システム100は、ネットワーク3を通じて接続されたデジタル複合機1およびサーバー2から構成される。
【0026】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、コピー機能やプリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などの装置である。
【0027】
サーバー2は、ネットワーク3を通じて、デジタル複合機1と画像データを送受信する。
【0028】
図2に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像データ取得部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、タイマ16および操作パネル17を備える。
【0029】
以下、デジタル複合機1の各構成要素について説明する。
【0030】
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read only memory)、各種のインターフェース回路等からなる。
【0031】
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、操作パネル17等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0032】
画像データ取得部11は、原稿台に置かれた原稿や原稿トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
【0033】
画像形成部12は、画像データ取得部11によって取得され、画像処理部14によって処理された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU121を備える。
【0034】
LSU121は、デジタル信号からなる画像データの情報に対応するレーザー光を帯電状態にある図示しない感光体ドラムの表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
【0035】
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体が用いられる。
【0036】
記憶部13は、印刷等のジョブに関する情報や画像データなどジョブの実行に必要な内部データ(ワークメモリ)等の中間データを記憶する。
【0037】
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0038】
画像処理部14は、通信部15を通じてサーバー2等から取得された印刷等のジョブの指令の解析結果に基づき、画像データ取得部11から入力された画像データを適正な電気信号に変換して拡大・縮小等の出力に適するように処理を行う部分である。
【0039】
通信部15は、ネットワーク3を介して、サーバー2や他の画像形成装置、携帯情報端末、情報処理装置、ファクシミリ装置等との通信をおこない、外部に公開されているオープンAPIに係るデータを送受信する部分である。
【0040】
タイマ16は、時間を計測してカウントする部分であり、例えば、内蔵時計やネットワーク3を通じて時刻を取得する。
【0041】
操作パネル17は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、指がタッチされた位置を検出する静電容量方式等のタッチパネルとから構成され、表示部171および操作部172を備える。
【0042】
表示部171は、各種情報の表示を行う部分である。
表示部171は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
【0043】
制御部10は、表示部171を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0044】
操作部172は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェースであり、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0045】
<サーバー2の概略構成>
次に、
図3に基づき、サーバー2の概略構成を説明する。
【0046】
図3に示すように、サーバー2は、制御部20、記憶部21、画像処理部22、通信部23、表示部24および操作部25を備える。
【0047】
なお、制御部20、記憶部21、画像処理部22、通信部23、表示部24および操作部25はそれぞれ、
図2の制御部10、記憶部13、画像処理部14、通信部15、表示部171および操作部172と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0048】
<この発明の実施形態1のデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の一例>
次に、
図4~
図9に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の一例について説明する。
【0049】
図4は、
図1のデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
実施形態1において、
図4に示すように、デジタル複合機1の制御部10は、「読取処理」(ステップS1)、「保存処理」(ステップS2)、「加工処理」(ステップS3)および「印刷処理」(ステップS4)の各処理を組み合わせて順に処理することでコピージョブを実現する。
【0051】
ステップS1の「読取処理」において、制御部10は、例えば、原稿載置台に載置されたA4原稿をスキャンして画像データを読み取る(ステップS1)。
【0052】
次に、ステップS2の「保存処理」において、制御部10は、読み取った画像データをデジタル複合機1の記憶部13に保存する(ステップS2)。
【0053】
次に、ステップS3の「加工処理」において、制御部10は、記憶部13に保存された画像データを読み出して、例えば50%に縮小する処理を画像処理部14にさせる(ステップS3)。
【0054】
最後に、ステップS4の「印刷処理」において、制御部10は、加工したデータを印刷データとして画像形成部12にA5用紙に印刷させる(ステップS4)。
【0055】
このように一連の処理を組み合わせることによって、制御部10は、A4の原稿用紙をA5の用紙に縮小コピーすることができる。
【0056】
ここで、上記の一連の処理において、各処理の作業で中間データ(ワークメモリ)が発生する。
セキュリティレベルが低く設定されているデジタル複合機1の場合、これらの中間データは、コピージョブを終了した後も消去されずにそのまま記憶部13内に残っていることがある。
【0057】
一方、オープンAPIを用いてこれらの処理を行う場合、中間データが残っていると、外部に機密情報が漏洩するおそれがある。
【0058】
このような問題を防ぐには、オープンAPIを用いてこれらの処理を行う場合、セキュリティレベルを高く設定して、1つの処理が完了するごとに中間データを消去するのが望ましい。
【0059】
また、中間データを消去するたびにその旨の消去メッセージを表示部171に表示することもあるが、このような各処理ごとの表示は、データの消失などの誤解をユーザーに与えることが多く、ユーザーの利便性をかえって悪くする。
【0060】
実施形態1においては、ユーザーからみて1つのジョブであっても、当該ジョブがオープンAPIを用いた複数の処理からなる場合、ユーザーの利便性の高い中間データの処理を実現する。
【0061】
図5は、
図4の読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0062】
図5のステップS11において、制御部10は、画像データ取得部11に原稿載置台に載置された原稿用紙をスキャンして読み取らせる(ステップS11)。
【0063】
次に、ステップS12において、制御部10は、読取中の画像データをワークメモリに保存する(ステップS12)。
【0064】
次に、ステップS13において、制御部10は、読取が完了した画像データを記憶部13に保存する(ステップS13)。
【0065】
次に、ステップS14において、制御部10は、継続処理があるか否かを判定する(ステップS14)。
【0066】
継続処理がない場合(ステップS14の判定がNoの場合)、ステップS15において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、その旨を通知する消去メッセージを表示部171に表示させる(ステップS15)。
【0067】
図6は、
図1のデジタル複合機1の表示部171に表示された内部データの消去メッセージの一例である。
【0068】
図6に示すように、「内部データを消去しました。」というメッセージが表示部171にポップアップ表示される。
ユーザーはメッセージを確認した後、「OK」キーを押下してメッセージを閉じる。
【0069】
一方、継続処理がある場合(ステップS14の判定がYesの場合)、ステップS16において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示部171に表示させずに処理を終了する(ステップS16)。
【0070】
図7は、
図4の保存処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図7のステップS21において、制御部10は、記憶部13に保存されている画像データをワークメモリにロードする(ステップS21)。
【0072】
次に、ステップS22において、制御部10は、通信部15を介してワークメモリの画像データをサーバー2へ送信させる(ステップS22)。
【0073】
次に、ステップS23において、制御部10は、継続処理があるか否かを判定する(ステップS23)。
【0074】
継続処理がない場合(ステップS23の判定がNoの場合)、ステップS24において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、その旨を通知する消去メッセージを表示部171に表示させる(ステップS24)。
【0075】
一方、継続処理がある場合(ステップS23の判定がYesの場合)、ステップS25において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示部171に表示させずに処理を終了する(ステップS25)。
【0076】
図8は、
図4の加工処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図8のステップS31において、制御部10は、サーバー2からの画像データを通信部15に受信させる(ステップS31)。
【0078】
次に、ステップS32において、制御部10は、受信した画像データをワークメモリにロードする(ステップS32)。
【0079】
次に、ステップS33において、制御部10は、画像処理部14に画像データを加工させる(ステップS33)。
【0080】
次に、ステップS34において、制御部10は、通信部15を介してワークメモリの画像データをサーバー2へ送信させる(ステップS34)。
【0081】
次に、ステップS35において、制御部10は、継続処理があるか否かを判定する(ステップS35)。
【0082】
継続処理がない場合(ステップS35の判定がNoの場合)、ステップS36において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、その旨を通知する消去メッセージを表示部171に表示させずに処理を終了する(ステップS36)。
【0083】
一方、継続処理がある場合(ステップS35の判定がYesの場合)、ステップS37において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示部171に表示させない(ステップS37)。
【0084】
図9は、
図4の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0085】
図9のステップS41において、制御部10は、サーバー2からの画像データを通信部15に受信させる(ステップS41)。
【0086】
次に、ステップS42において、制御部10は、受信した画像データをワークメモリにロードする(ステップS42)。
【0087】
次に、ステップS43において、制御部10は、受信した画像データを画像形成部12に印刷させる(ステップS43)。
【0088】
次に、ステップS44において、制御部10は、継続処理があるか否かを判定する(ステップS44)。
【0089】
継続処理がない場合(ステップS44の判定がNoの場合)、ステップS45において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示部171に表示させる(ステップS45)。
【0090】
一方、継続処理がある場合(ステップS44の判定がYesの場合)、ステップS46において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、その旨を通知する消去メッセージを表示部171に表示させずに処理を終了する(ステップS46)。
【0091】
このようにして、継続処理がある場合は消去メッセージを表示部171に表示させず、継続処理がない場合にのみ消去メッセージを表示部171に表示させることにより、不必要な消去メッセージの表示を抑止することが可能となる。
【0092】
〔実施形態2〕
次に、
図10~
図14に基づき、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の一例について説明する。
【0093】
実施形態1において、内部データを継続して使用する場合、消去メッセージを表示させなかった。
しかしながら、このような処理は、継続する次の作業が実施されることが前提であるため、何らかの不具合が生じて一連の処理が途中で止まってしまって継続できなくなった場合、内部データが消去されなかったり、あるいは、消去されなかったと認識されたりするおそれがある。
【0094】
この場合、一連の処理の最後に消去メッセージを実行するような設定をしていたとしても、不具合によりそこまで到達できなかった場合は、消去メッセージが表示できなくなる。
【0095】
そこで、実施形態2では、このような状況を防止するためにタイムアウトを設け、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合であっても、内部データを確実に消去できるようにする。
【0096】
実施形態2に係るデジタル複合機1の概略構成は、実施形態1(
図2)と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
また、実施形態2に係るデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の流れも、実施形態1(
図4)と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
図10~
図13はそれぞれ、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のコピージョブの読取処理・保存処理・加工処理および印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
図10において、ステップS51~S56の処理は、それぞれ
図5のステップS11~S16の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、実施形態1に記載のない
図10のステップS57の処理について説明する。
【0100】
図10のステップS56において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示部171に表示させずに次のステップへ処理を進める(ステップS56)。
【0101】
制御部10は、続くステップS57において、タイマ16に消去メッセージタイマーを開始させる(ステップS57)。
【0102】
同様に、
図11の保存処理、
図12の加工処理、
図13の印刷処理においても、制御部10は、タイマ16に消去メッセージタイマーを開始させる(ステップS66,S78,S87)。
【0103】
図14は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のタイマ16によるメッセージ消去処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
図14のステップS91において、制御部10は、タイマ16によって開始された消去メッセージタイマーがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS91)。
【0105】
消去メッセージタイマーがタイムアウトしていない場合(ステップS91の判定がNoである場合)、制御部10は、ステップS91の判定を繰り返す(ステップS91)。
【0106】
一方、消去メッセージタイマーがタイムアウトした場合(ステップS91の判定がYesである場合)、制御部10は、ステップS92において、データが消去済みであるか否かを判定する(ステップS92)。
【0107】
画像データが消去済みである場合(ステップS92の判定がYesの場合)、制御部10は、記憶部13からワークメモリを消去する(ステップS93)。
【0108】
その後、ステップS94において、制御部10は、消去メッセージを表示部171に表示させる(ステップS94)。
【0109】
一方、ステップS92において、画像データが消去済みでない場合(ステップS92の判定がNoの場合)、ステップS94において、制御部10は、消去メッセージを表示部171に表示させる(ステップS94)。
【0110】
このようにして、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、所定の待機時間の経過後に当該内部データを消去した旨の消去メッセージを表示できるようにすることで、従来よりもユーザーの利便性の高いデジタル複合機1を実現できる。
【0111】
〔実施形態3〕
次に、
図15~
図18に基づき、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の一例について説明する。
【0112】
実施形態1において、継続処理の有無に応じて、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示すべきか否かを判定していた。
【0113】
一方、継続処理がある場合であっても、例えば、次のオープンAPIに引き渡すデータが前のオープンAPIで取得したデータと同じものではなく、一部加工したものや編集後のデータを引き渡すなど、それまで処理した内部データを使用できない場合がある。
【0114】
このように、次のオープンAPIに内部データを引き継がない場合も、内部データを消去するため、消去のたびに消去メッセージを表示させると、ユーザーに誤解を生じさせるおそれがあるため、消去メッセージの表示を抑制する。
【0115】
一方、次のオープンAPIに内部データを引き継ぐ場合は、内部データを消去しないが、セキュリティ上の観点から、実施形態2と同様に消去メッセージタイマーを開始するのが望ましい。
【0116】
そこで、実施形態3では、内部データの引き継ぎの有無に応じて、内部データの消去メッセージを適切なタイミングで通知し、また、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、内部データを確実に消去できるようにする。
【0117】
実施形態3に係るデジタル複合機1の概略構成は、実施形態1(
図2)と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
また、実施形態3に係るデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の流れも、実施形態1(
図4)と同様であるため、説明を省略する。
【0119】
図15~
図18はそれぞれ、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1のコピージョブの読取処理・保存処理・加工処理および印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
図15において、ステップS101~S105の処理は、それぞれ
図5のステップS11~S15の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、実施形態1に記載のない
図15のステップS106~S108の処理について説明する。
【0121】
図15のステップS104において、継続処理がある場合(ステップS104の判定がYesの場合)、ステップS106において、制御部10は、内部データの引き継ぎがあるか否かを判定する(ステップS106)。
【0122】
内部データの引き継ぎがない場合(ステップS106の判定がNoの場合)、ステップS107において、制御部10は、ワークメモリを消去した後、消去メッセージを表示部171に表示させない(ステップS107)。
【0123】
その後、ステップS108において、制御部10は、タイマ16に消去メッセージタイマーを開始させる(ステップS108)。
【0124】
一方、内部データの引き継ぎがある場合(ステップS106の判定がYesの場合)、ステップS108において、制御部10は、タイマ16に消去メッセージタイマーを開始させる(ステップS108)。
【0125】
同様に、
図16の保存処理、
図17の加工処理、
図18の印刷処理においても、制御部10は、内部データの引き継ぎの有無に応じた処理を行う(ステップS115~S117,S127~S129,S136~S138)。
【0126】
このようにして、内部データの引き継ぎの有無に応じて、内部データの消去メッセージを適切なタイミングで通知し、また、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、内部データを確実に消去できるようにすることで、従来よりもユーザーの利便性の高いデジタル複合機1を実現できる。
【0127】
〔実施形態4〕
次に、
図19~
図22に基づき、この発明の実施形態4のデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の一例について説明する。
【0128】
内部データ(ワークデータ)を削除する際に消去メッセージを表示させないと、ユーザーに不安を感じさせるおそれがある。
そこで、実施形態4においては、内部データをどのように処理し、また、当該処理の内容をメッセージとして表示できるように、ユーザーがメッセージの内容を事前に指定できるようにする。
【0129】
実施形態4に係るデジタル複合機1の概略構成は、実施形態1(
図2)と同様であるため、説明を省略する。
【0130】
また、実施形態4に係るデジタル複合機1の消去メッセージの表示処理の流れも、実施形態1(
図4)と同様であるため、説明を省略する。
【0131】
図19~
図22はそれぞれ、この発明の実施形態4に係るデジタル複合機1のコピージョブの読取処理・保存処理・加工処理および印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0132】
図19において、ステップS141~S145の処理は、それぞれ
図5のステップS11~S15の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、実施形態1に記載のない
図15のステップS146~S151の処理について説明する。
【0133】
図19のステップS144において、継続処理がある場合(ステップS144の判定がYesの場合)、ステップS146において、制御部10は、内部データの引き継ぎがあるか否かを判定する(ステップS146)。
【0134】
内部データの引き継ぎがある場合(ステップS146の判定がYesの場合)、ステップS147において、制御部10は、タイマ16に消去メッセージタイマーを開始させる(ステップS147)。
【0135】
一方、内部データの引き継ぎがない場合(ステップS146の判定がNoの場合)、ステップS148において、制御部10は、ワークメモリを消去する(ステップS148)。
【0136】
続くステップS149において、制御部10は、ユーザーによって予め指定されたメッセージがあるか否かを判定する(ステップS149)。
【0137】
例えば、スキャンした後、次のデータを処理する場合は、
「読み込んだ原稿は暗号化されて保存されました。ワークメモリを消去します」
というメッセージを表示することでユーザーが処理の内容を明確に理解できるようになる。
また、ユーザーが指定した言語でメッセージを表示するようにしてもよい。
【0138】
ステップS149において、予め指定されたメッセージがある場合(ステップS149の判定がYesの場合)、ステップS150において、制御部10は、当該メッセージを表示部171に表示させる(ステップS150)。
【0139】
一方、予め指定されたメッセージがない場合(ステップS149の判定がNoの場合)、ステップS151において、制御部10は、当該メッセージを表示部171に表示させない(ステップS151)。
【0140】
同様に、
図20の保存処理、
図21の加工処理、
図22の印刷処理においても、制御部10は、予め指定されたメッセージの有無に応じた処理を行う(ステップS165~S170,S177~S182,S196~S201)。
【0141】
このようにして、予め指定されたメッセージの有無に応じて、ユーザーが指定した消去メッセージを適切なタイミングで通知し、また、何らかの不具合で一連の処理が最後まで継続できなかった場合も、内部データを確実に消去できるようにすることで、従来よりもユーザーの利便性の高いデジタル複合機1を実現できる。
【0142】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
【0143】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0144】
1:デジタル複合機、 2:サーバー、 3:ネットワーク、 10,20:制御部、 11:画像データ取得部、 12:画像形成部、 13,21:記憶部、 14,22:画像処理部、 15,23:通信部、 16:タイマ、 17:操作パネル、 24:表示部、 25:操作部、 100:画像形成システム、 121:LSU、 171:表示部、 172:操作部