(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】配送計画立案システム、配送計画立案装置および配送計画立案方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20241010BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2021010351
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-05-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 太
(72)【発明者】
【氏名】細田 順子
(72)【発明者】
【氏名】岸川 直子
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 明嶺
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】川上明敏,ロジスティクスソリューションの裏側(2),月刊自動認識,日本,日本工業出版株式会社,2007年08月02日,第20巻, 第9号,ISSN: 0915-1060
【文献】NECソリューションイノベータ製品ガイド 卸・物流ソリューション,ロジスティクスソリューションフェア2019 ,2019年08月27日,1-8ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送車の種類と、前記配送車にて配送した荷物の種類と、前記荷物の種類の前記配送車内の荷室における積載位置の記録を含む配送実績データを用いて、前記配送車内の荷室における積載位置に対応する複数の前記荷物の種類を前記配送車の種類ごとに関連付けた積付ルールを生成し積付ルール記憶部に格納する積付ルール生成部と、
前記配送車に積載する荷物の案として、前記配送車と、該配送車内の荷室における積載位置に対応する前記荷物の種類を試算し、該案における前記配送車ごとに積載する荷物の種類および積載位置が前記積付ルールのいずれかに一致する場合に該案を用いて配送計画を作成する配送計画計算部と、
前記配送計画を表示する表示部と、
前記積付ルール間の類似を判定して類似する荷物の属性を定義する類似属性定義を生成する属性類似判定および積付ルール生成部と、
を備え、
前記配送計画計算部は、前記案における前記配送車ごとに積載する荷物の種類が前記積付ルールのいずれかに一致する場合、あるいは一致しない場合であっても
前記積付ルールおよび前記類似属性定義に基づき類似する前記積付ルールがある場合には前記案を用いて前記配送計画を作成する、
ことを特徴とする配送計画立案システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配送計画立案システムであって、
前記積付ルール生成部は、前記表示部において、前記配送車の荷室の形状を模した画像と、前記荷物の形状を模した画像と、を組み合わせて編集した結果が、前記積付ルールとして前記積付ルール記憶部に記憶されていない場合には、新たな前記積付ルールとして前記積付ルール記憶部に格納する、
ことを特徴とする配送計画立案システム。
【請求項3】
請求項1に記載の配送計画立案システムであって、
前記表示部には、前記配送計画において前記配送車のいずれにも積載されない荷物が表示される、
ことを特徴とする配送計画立案システム。
【請求項4】
プロセッサと、記憶装置と、表示装置と、を備え、
前記プロセッサは、配送車の種類と、前記配送車にて配送した荷物の種類と、前記荷物の種類の前記配送車内の荷室における積載位置の記録を含む配送実績データを用いて、前記配送車内の荷室における積載位置に対応する複数の前記荷物の種類を前記配送車の種類ごとに関連付けた積付ルールを生成し前記記憶装置の積付ルール記憶部に格納する積付ルール生成ステップと、
前記配送車に積載する荷物の案として、前記配送車と、該配送車内の荷室における積載位置に対応する前記荷物の種類の組み合わせを試算し、該案における前記配送車ごとに積載する荷物の種類および積載位置が前記積付ルールのいずれかに一致する場合に該案を用いて配送計画を作成する配送計画計算ステップと、
前記積付ルール間の類似を判定して類似する荷物の属性を定義する類似属性定義を生成する属性類似判定および積付ルール生成ステップと、
前記配送計画を前記表示装置に表示する表示ステップと、
を実施し、
前記配送計画計算ステップでは、前記案における前記配送車ごとに積載する荷物の種類が前記積付ルールのいずれかに一致する場合、あるいは一致しない場合であっても
前記積付ルールおよび前記類似属性定義に基づき類似する前記積付ルールがある場合には前記案を用いて前記配送計画を作成する、
ことを特徴とする配送計画立案装置。
【請求項5】
配送計画立案システムを用いた配送計画立案方法であって、
前記配送計画立案システムは、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
配送車の種類と、前記配送車にて配送した荷物の種類と、前記荷物の種類の前記配送車内の荷室における積載位置の記録を含む配送実績データを用いて、前記配送車内の荷室における積載位置に対応する複数の前記荷物の種類を前記配送車の種類ごとに関連付けた積付ルールを生成し積付ルール記憶部に格納する積付ルール生成ステップと、
前記配送車に積載する荷物の案として、前記配送車と、該配送車内の荷室における積載位置に対応する前記荷物の種類の組み合わせを試算し、該案における前記配送車ごとに積載する荷物の種類および積載位置が前記積付ルールのいずれかに一致する場合に該案を用いて配送計画を作成する配送計画計算ステップと、
前記積付ルール間の類似を判定して類似する荷物の属性を定義する類似属性定義を生成する属性類似判定および積付ルール生成ステップと、
前記配送計画を表示する表示ステップと、
を実施し、
前記配送計画計算ステップでは、前記案における前記配送車ごとに積載する荷物の種類が前記積付ルールのいずれかに一致する場合、あるいは一致しない場合であっても
前記積付ルールおよび前記類似属性定義に基づき類似する前記積付ルールがある場合には前記案を用いて前記配送計画を作成する、
ことを特徴とする配送計画立案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送計画立案システム、配送計画立案装置および配送計画立案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「車両(積載物)をその形状と大きさによりクラス分けして車種(種別)のデータを形成し、各車種を代表する車両毎に、外形特徴を数種のベクトルで表し、外形をそのベクトルの包絡線で近似して外形データを形成する。次に、車両運搬車(台車)の各車載(積載)エリアに車種データを割り当て、各エリアの条件及び割り当てられた車種の車両の外形データによりエリア内に車種データの車両が積載可能かをチェックする。」という技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の技術では、クラス分け毎に測定箇所を設定することで、荷物の形状の測定を行えば配送車への積載可能性を判断することができるが、新たな形状の荷物が生じる場合や配送過程で形状が変化する荷物についての積載可能性の判断は簡単ではない。
【0005】
本発明の目的は、新たな形状の荷物が生じる場合や配送過程で形状が変化する荷物についての積載可能性を考慮して配送計画を立案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の手段を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、配送計画立案システムであって、配送車の種類と、前記配送車にて配送した荷物の種類と、の記録を含む配送実績データを用いて積付ルールを生成し積付ルール記憶部に格納する積付ルール生成部と、前記配送車に積載する荷物の案を試算し、該案における前記配送車ごとに積載する荷物が前記積付ルールのいずれかに一致する場合に該案を用いて配送計画を作成する配送計画計算部と、前記配送計画を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新たな形状の荷物が生じる場合や配送過程で形状が変化する荷物についての積載可能性を考慮して配送計画を立案する技術を提供することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】配送計画立案システムの構成例を示す図である。
【
図2】配送実績データのデータ構造の例を示す図である。
【
図3】荷物属性記憶部のデータ構造の例を示す図である。
【
図4】配送車属性記憶部のデータ構造の例を示す図である。
【
図5】積付ルール記憶部のデータ構造の例を示す図である。
【
図6】配送計画立案装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図7】配送計画立案処理のフローチャートの例を示す図である。
【
図8】積付ルール作成処理のフローチャートの例を示す図である。
【
図10】積付ルール手動生成処理のフローチャートの例を示す図である。
【
図12】別の配送計画立案システムの構成例を示す図である。
【
図13】類似属性定義のデータ構造の例を示す図である。
【
図15】類似属性定義追加処理のフローチャートの例を示す図である。
【
図16】配送計画立案処理のフローチャート例の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0011】
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0012】
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0013】
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。ただし、同一の部材であっても環境変更等により変更前の部材と称呼を共有すると混乱を生ぜしめるおそれが高い場合、別の異なる符号や名称を付すことがある。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
一般的に、荷物を配送車の荷室に積載するためには、荷物の総重量が配送車の積載重量範囲内であることに加え、荷物の形状が荷室に収まるよう配置することが必要となる。小型の荷物は直方体の梱包材等に収納されることが多いため、荷室の形状に応じて荷物を積み重ねることで比較的容易に積載を行うことができる。他方で、大型で形状が複雑な荷物は全体を梱包することが難しく、そのため荷物の一部を保護した上で荷室の構造を考慮した積載が必要になる。また、荷物の形状と積載位置によっては荷物同士の干渉も考慮する必要があり、異なる形状をもつ複数の荷物の積載は困難なものとなりやすい。
【0016】
加えて、荷物が配送過程で複数の工場を経由し各工場で何らかの加工がなされる場合がある。このような場合、機能追加などによる荷物自身の形状の変化や、精密部品追加による配送部材の追加などを理由として荷物の形状が都度変化していくことがあり、積付けのための荷物の形状データの管理さえも困難なものとなりうる。
【0017】
なお、以下の実施形態においては、荷物や配送手段が配送に影響を与える諸要因を「属性」として表現する。荷物や配送手段に関する要因(以下において、荷物属性と称呼)は、荷物の形状や重量といった荷物の物理的な特徴を示す要因と、これに限られず、配送の過程で実施される加工の種類や積載された配送車種別、および配送車内での積載位置など、配送業務において荷物に関連する要因と、のいずれも含む。
【0018】
以下の説明では、「入力部」、「表示部」、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/Oインターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0020】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0021】
また、以下の説明では、「記憶部」または「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置のうちメモリかまたは両方であればよい。
【0022】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0023】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0024】
また、以下の説明では、「プログラム」や「処理部」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0025】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0026】
また、以下の説明では、「配送計画立案システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。配送計画立案システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0027】
[実施例1]本実施例では、配送車と荷物の積付の組み合わせの案を複数求め、既に実績のある積付と一致する案を配送計画に採用する例を説明する。
【0028】
図1は、配送計画立案システムの構成例を示す図である。配送計画立案システム1は、配送計画立案装置100と、配送計画立案装置100と通信可能に接続される外部の動態管理システム109と、を含んで構成される。動態管理システム109には、配送実績データ102として配送実績のある積付の情報が格納されている。動態管理システム109は、配送車に搭載された車載機器により配送車の配送状態の監視・収集を行い、配送実績データ102を作成する。動態管理システム109の構成やソフトウェア処理の内容は、既存の技術により構成されている。
【0029】
図2は、配送実績データのデータ構造の例を示す図である。配送実績データ102は、配送車毎の配送の記録情報である。配送実績データ102は表形式により実現され得る。配送実績データ102には、縦軸に配送実績の属性が、横軸に各属性の値が一つ又は複数対応付けられて格納される。縦軸の配送実績の属性は、配送形態に応じて利用者が追加・変更することもでき、横軸の属性値は、属性値が複数ある場合には、値1、値2、値3、・・・のように複数個の異なる値を設定することができる。また、必要に応じて、例えば「_」(アンダーバー)などの記号と組み合わせることで、複数の意味を持つ属性値を一つの属性にまとめることもできる。
【0030】
例えば、配送実績データ102の配送実績の属性は、個々の配送実績を識別するために付与された実績ID102aごとに、起点・行先を示す拠点102bと、各拠点の出発時刻102c、及び到着時刻102dと、配送に使用された配送車102eと、配送対象となる荷物102f、102gを備える。荷物102f、102gは、荷物を識別するための荷物名称、起点、行先、配送時の積載位置をそれぞれ値1~値4として持つ。配送実績データ102の各属性値は、荷物の積載時及び荷卸し時に配送車(トラック)の車載装置などを通じて収集し、記録される。
【0031】
図1の説明に戻る。配送計画立案装置100は、処理部101と、記憶部103と、表示部107と、入力部108と、を有する。記憶部103には、荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202と、積付ルール記憶部203と、が含まれる。
【0032】
配送計画立案装置100は、通信ネットワーク(例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)又はインターネット)を介して、動態管理システム109と接続される。この通信ネットワークは、他にも例えば、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部または全部に用いた通信網、携帯電話通信網等、のいずれかまたはこれらの複合したネットワークであってもよい。なお、通信ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)や5G(Generation)等の無線による通信網であってもよい。
【0033】
図3は、荷物属性記憶部のデータ構造の例を示す図である。荷物属性記憶部201のデータ構造は、1つの荷物に対し、1つの表形式で表現され得る。荷物属性記憶部201には、縦軸に荷物の属性が、横軸に各属性の値が一つ又は複数対応付けられて格納される。
【0034】
縦軸の荷物の属性は、荷物に応じて利用者が追加・変更することもでき、横軸の属性値は、属性値が複数ある場合には、値1、値2、値3、・・・のように複数個の異なる値を設定することができる。また、必要に応じて、例えば「_」(アンダーバー)などの記号と組み合わせることで、複数の意味を持つ属性値を一つの属性にまとめることもできる。
【0035】
例えば、荷物属性記憶部201の荷物の属性は、荷物の名称を示す名称201aと、荷物の大まかな寸法を示す寸法201bと、荷物の重量を示す重量201cと、荷物の形状を模して図形化した画像情報を示す画像情報201dと、荷物の持つ形状の特性を示す荷物特性201eと、荷物の加工の過程において立ち寄り先となる拠点201fと、各拠点での作業内容を示す作業内容201gと、荷物の納品先を示す納品先201hと、荷物の配送時に対応すべき指示を示す配送指示201iと、を含んで構成される。
【0036】
ここで、寸法201bは、荷物の幅、高さ、奥行きの最大値を測定した属性値を有するものとする。荷物によっては突起物や左右の形状が異なるものがあり、正確な大きさを示す場合には測定方法が複雑となるが、ここでは、上記のバウンディングボックスを属性値として扱うに留め、後述する属性値を総合的に解釈して荷物の積載方法を決定するものとする。荷物の具体的な形状は、画像情報201dにて画像情報として視覚的に表現されうる。画像情報201dの属性値は、外部の画像ファイルへのリンク情報としてもよい。
【0037】
荷物特性201eは、荷物の特徴的な形状を表現したものである。荷物特性201eの属性値となる表現形式は、対象となる全ての荷物に対し予め特徴を示す属性値が有限に列挙された値から択一で選択されるものとする。例えば、荷物特性201eの属性値には、「前面突起あり」、「側面突起」などの値が列挙されうる。また、ある荷物が配送過程で何らかの加工が行われて形状が変化することも考慮して、その加工を行う作業内容も属性値として設定する。例えば、作業内容とその作業による形状変化の2つの属性をアンダーバー「_」で連結し、「X部品追加_側面突起」などと表現される。
【0038】
作業内容201gは、荷物に対する作業の内容を示し、荷物特性201eにおいて設定された作業内容に一致する。この作業内容がどの拠点で実施されたかは、拠点201fの属性値の設定位置と対応付けられている。配送指示201iは、精密機器配送向け特殊梱包を実施するなど、荷物に対する配送方法を設定するものである。配送指示201iも、予め配送方法を示す属性が列挙されうる。また、加工によって配送方法が変化することも考慮し、例えば、作業内容とその作業による配送方法の変化の2つの属性をアンダーバー「_」で連結し、「X部品追加_精密対応」なとど表現される。荷物属性記憶部201は、配送計画立案のための入力情報となるため,配送計画立案までに定義されている必要がある。
【0039】
図4は、配送車属性記憶部のデータ構造の例を示す図である。配送車属性記憶部202のデータ構造は、1つの配送車に対し、1つの表形式で表現され得る。配送車属性記憶部202には、縦軸の配送車の属性が、横軸に各属性の値が一つ又は複数対応付けられて格納される。
【0040】
縦軸の配送車の属性は、配送車に応じて利用者が追加・変更することもでき、横軸の属性値は、属性値が複数ある場合には、値1、値2、値3、・・・のように複数個の異なる値を設定することができる。また、必要に応じて、例えば「_」(アンダーバー)などの記号と組み合わせることで、複数の意味を持つ属性値を一つの属性にまとめることもできる。
【0041】
例えば、配送車属性記憶部202の配送車の属性は、配送車の名称を示す名称202aと、配送車の車格を示す車格202bと、配送車の積載重量を示す積載重量202cと、配送車が積載可能な荷物の数を示す積載数202dと、荷室の形状を模して図形化した画像情報を示す画像情報202eと、配送車の大きさなどを考慮して立ち寄り可能な拠点を列挙した配送可能拠点202fと、配送車が積載可能な荷物を列挙した積載可能荷物202gと、配送車の積載位置毎に積載荷物の制約を表現した積載制約_1(202h)、積載制約_2(202i)を含んで構成される。
【0042】
荷室の具体的な形状は、画像情報202eにて画像情報として視覚的に表現される。画像情報202eは、外部ファイルへのリンク情報としてもよい。積載制約_1(202h)、積載制約_2(202i)は、配送車の荷室の形状によっては特定の荷物が積載できない積載位置がある場合に、積載位置(積載制約_1は、荷室内の「1」と識別される位置であり、積載制約_2は、荷室内の「2」と識別される位置)ごとに積載できる荷物を属性値として対応付けたものである。積載制約の各属性値は、荷物と配送車の荷室構造をもとに予め定義がされているものとする。この配送車属性記憶部202は、配送計画立案のための入力情報となるため、配送計画立案までに定義されている必要がある。
【0043】
図5は、積付ルール記憶部のデータ構造の例を示す図である。積付ルール記憶部203は、各配送車における荷物の積付のパターンのバリエーションのうち、実施可能なパターンをルールとしたものである。積付ルール記憶部203には、ルールの名前を表すルール203aと、ルールごとに値1(203b)、値2(203c)、値3(203d)とが対応付けられて格納される。ルール203aは、配送車名(トラックA)と、配送車個別に付与された番号(1、2、3、・・・)とを「_」(アンダーバー)で連結して表現される名称である。値1(203b)には、荷室の積載位置の先頭に積む荷物を特定する属性値が格納され、値2(203c)には、荷室の積載位置の先頭から2つめに積む荷物を特定する属性値が格納され、値3(203d)には、荷室の積載位置の先頭から3つめに積む荷物を特定する属性値が格納される。
【0044】
図1の説明に戻る。処理部101には、積付ルール生成部104と、属性判定部105と、配送計画計算部106と、が含まれる。
【0045】
積付ルール生成部104は、配送実績データ102、荷物属性記憶部201、配送車属性記憶部202を入力として受け付け、積付ルール記憶部203を作成する。すなわち、積付ルール生成部104は、配送車の種類と、配送車にて配送した荷物の種類と、の記録を含む配送実績データ102を用いて積付ルールを生成し、積付ルール記憶部203に格納する。
【0046】
属性判定部105は、荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202と、積付ルール記憶部203と、に格納されるデータをその構造に合わせてオブジェクトデータとして取り扱ういわゆるパーサーに相当する処理部である。
【0047】
配送計画計算部106は、配送車に積載する荷物の案を試算し、該案における配送車ごとに積載する荷物が積付ルールの少なくともいずれかに一致する場合に該案を用いて配送計画を立案する。
【0048】
表示部107は、配送計画等の処理結果をユーザに表示する情報を作成する。
【0049】
入力部108は、キーボード、マウスおよびタッチパネル等にて入力された入力情報を受け付ける。
【0050】
図6は、配送計画立案装置のハードウェア構成の例を示す図である。配送計画立案装置100は、プロセッサ401と、メモリ402と、外部記憶装置403と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体404に対して情報を読む読取装置405と、キーボードやマウス、バーコードリーダなどの入力装置406と、ディスプレイなどの出力装置407と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置408とを備えた一般的なコンピュータ400、あるいはこのコンピュータ400を複数備えたネットワークシステムにより実現できる。なお、読取装置405は、可搬性を有する記憶媒体404の読取だけでなく、書き込みも可能なものであっても良いことは言うまでもない。
【0051】
例えば、処理部101に含まれる積付ルール生成部104と、属性判定部105と、配送計画計算部106とは、外部記憶装置403に記憶されている所定のプログラムをメモリ402にロードしてプロセッサ401で実行することで実現可能であり、表示部107と、入力部108は、プロセッサ401が入力装置406および出力装置407を利用することで実現可能であり、記憶部103は、プロセッサ401がメモリ402または外部記憶装置403を利用することにより実現可能である。
【0052】
この所定のプログラムは、読取装置405を介して可搬性を有する記憶媒体404から、あるいは、通信装置408を介してネットワークから、外部記憶装置403にダウンロードされ、それから、メモリ402上にロードされてプロセッサ401により実行されるようにしてもよい。また、読取装置405を介して可搬性を有する記憶媒体404から、あるいは、通信装置408を介してネットワークから、メモリ402上に直接ロードされ、プロセッサ401により実行されるようにしてもよい。
【0053】
図7は、配送計画立案処理のフローチャートの例を示す図である。配送計画立案処理は、配送計画立案装置100において入力部108から入力を受け付けると、あるいはスケジュールされた所定の時刻になると、開始される。
【0054】
まず、配送計画計算部106は、荷物属性、配送車属性、積付ルールを入力に設定する(ステップS001)。具体的には、配送計画計算部106は、荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202と、積付ルール記憶部203をメモリ402に読み込む。
【0055】
そして、配送計画計算部106は、配送計画を試算する(ステップS002)。具体的には、配送計画計算部106は、既存の製品等のアルゴリズムを用いて、配送する荷物を配送車に割り付ける案(積付案)を複数算出する。
【0056】
そして、配送計画計算部106は、各配送車の積付案ごとに、後述するステップS004~ステップS006を実施する(ステップS003、ステップS007)。
【0057】
そして、配送計画計算部106は、該積付案について、一致する積付ルールがあるか否か判定する(ステップS004)。具体的には、配送計画計算部106は、対象の配送車の該積付案が、荷物の種類およびその荷物を積載する荷室内の位置に着目し、ルールが積付ルール記憶部203に格納されているルールのいずれかと一致するか判定する。
【0058】
一致する積付ルールがある場合(ステップS004において「Yes」)には、配送計画計算部106は、当該案を配送計画の解とする(ステップS005)。
【0059】
一致する積付ルールが無い場合(ステップS004において「No」)には、配送計画計算部106は、積付案を変更し配送計画を再試算する(ステップS006)。そして、配送計画計算部106は、制御をステップS003に戻す。
【0060】
そして、配送計画計算部106は、積載できない荷物があるか判定する(ステップS008)。具体的には、配送計画計算部106は、全配送車の積付案が採用された状態でいずれの配送車にも積載されない荷物があるか否か判定する。積載できない荷物がある場合(ステップS008にて「Yes」の場合)には、配送計画計算部106は、表示部107に積載できない荷物を表示させる(ステップS009)。
【0061】
積載できない荷物がない場合(ステップS008にて「No」の場合)には、配送計画計算部106は、配送計画を表示する(ステップS010)。
【0062】
以上が、配送計画立案処理のフローの例である。配送計画立案処理によれば、実績に基づく積付ルールに合致するように荷物を配送車に割り付ける配送計画を立案することができる。つまり、配送計画立案処理によれば、新たな形状の荷物が生じる場合や配送過程で形状が変化する荷物についての積載可能性を考慮して配送計画を立案することができる。
【0063】
図8は、積付ルール作成処理のフローチャートの例を示す図である。積付ルール作成処理は、配送計画立案装置100において入力部108から入力を受け付けると、あるいはスケジュールされた所定の時刻になると、開始される。
【0064】
まず、積付ルール生成部104は、配送実績データ102から配送実績の各属性を抽出する(ステップS101)。そして、積付ルール生成部104は、抽出した配送実績ごとに、後述するステップS103~ステップS108を実施する(ステップS102、ステップS109)。
【0065】
積付ルール生成部104は、配送実績に含まれる荷物ごとに、後述するステップS104~ステップS107を実施する(ステップS103、ステップS108)。
【0066】
そして、積付ルール生成部104は、各荷物に対する配送車積載位置を特定する(ステップS104)。そして、積付ルール生成部104は、荷物と配送車の積載位置をキーとして積付ルールを積付ルール記憶部203から検索する(ステップS105)。
【0067】
積付ルール生成部104は、検索の結果、一致する積付ルールがあるか否か判定する(ステップS106)。一致する積付ルールが無い場合(ステップS106において「No」の場合)には、積付ルール生成部104は、キーとした属性値を新規積付ルールとして積付ルール記憶部203に追加する(ステップS107)。
【0068】
一致する積付ルールがある場合(ステップS106において「Yes」の場合)には、積付ルール生成部104は、制御をステップS108へ進める。
【0069】
以上が、積付ルール作成処理のフローチャートの例である。積付ルール作成処理によれば、配送計画立案処理にて用いる積付ルールを、配送実績から抽出することができる。これにより、新たな形状や加工により変化する形状の荷物を具体的に特定することなく、実績があれば積み付け可能であるとして扱うことができるようになる。
【0070】
図9は、配送計画の出力例を示す図である。表示画面501は,積付表示領域502と、配送計画表示領域503と、残荷物表示領域504とを含んで表示される。積付表示領域502と、配送計画表示領域503と、残荷物表示領域504とは、一つのウィンドウ内に示されてもよいし、各画面が異なるウィンドウにより表示されてもよい。
【0071】
積付表示領域502には、配送車別の積付結果が表示される。積付表示領域502は、例えば画面左上にある配送車タブをクリックされると、対象となる配送車の積付状態が表示される。積付表示領域502には、配送車の上部、側面、後方のそれぞれから、積付された荷物の形状が表示される。荷物形状、荷室形状は、各々荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202の画像情報201d、202eに基づき作成される。
【0072】
配送計画表示領域503には、積付表示領域502で示される配送車に対する配送計画が表示される。配送計画表示領域503には、該当配送車に対する配送順序、各拠点の発着時刻、各拠点での積み降ろし対象となる荷物の一覧がタイムチャート形式で表示される。残荷物表示領域504には、配送計画全体において積付ができなかった荷物が表示される。
【0073】
以上が、第一の実施例に係る配送計画立案システムである。配送計画立案システム1によれば、荷物の採寸等の煩雑な作業なしに、新たな形状の荷物が生じる場合や配送過程で形状が変化する荷物についての積載可能性を考慮して配送計画を立案することができる。より具体的には、複雑な形状を持つ複数の荷物に荷物属性を定義し、配送車の積載制約に対する配送車属性を定義することで、積付のための荷物形状データの管理を容易化し、配送計画立案時に積付計算を縮小することで全体の計算時間を短縮することが可能となったといえる。
【0074】
上記技術においては、積付ルール記憶部203の積付ルールは、配送実績データ102、荷物属性記憶部201、配送車属性記憶部202に基づいて作成される。しかし、積付の実績が無く積付ルールとして格納されるに至らずとも実際には積載可能な積付方法は別途存在する可能性は残る。積付が可能か否かを判断する方法の一つとして、実際に荷物を配送車に試行錯誤で積載する方法があるが、実際の荷物が大型で重量が大きい場合には実物を用いて積付を試行錯誤することは困難である。
【0075】
そこで、本発明の第二の実施例として、配送計画立案システム1に、積付ルールの作成を補完する手段を備えるようにしてもよい。具体的には、配送計画立案装置100において、表示画面501を活用し、荷物、及び荷室の可視化情報に基づき利用者が手動入力により積付ルールを作成する手段を実現する。
【0076】
[実施例2]以下に、第二の実施例について説明する。第二の実施例に係る配送計画立案システムは、基本的に第一の実施例に係る配送計画立案システムと同様であるが、相違する点がある。以下においては、その相違点を中心に説明する。
【0077】
図10は、積付ルール手動生成処理のフローチャートの例を示す図である。積付ルール手動生成処理は、配送計画立案装置100において入力部108から入力を受け付けると、開始される。
【0078】
まず、積付ルール生成部104は、荷物属性、配送車属性、積付ルールを入力に設定する(ステップS201)。具体的には、積付ルール生成部104は、荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202と、積付ルール記憶部203をメモリ402に読み込む。
【0079】
そして、積付ルール生成部104は、荷物と配送車の各々の画像情報を読み込む(ステップS202)。具体的には、積付ルール生成部104は、荷物属性記憶部201の画像情報201dと、配送車属性記憶部202の画像情報202eとを読み込む。
【0080】
そして、積付ルール生成部104は、読み込んだ荷物と配送車の画像情報を表示画面の積付操作領域に表示させる(ステップS203)。
【0081】
そして、積付ルール生成部104は、積付ルール記憶部203から積付ルールを読み出し、表示画面の積付ルール表示領域に表示させる(ステップS204)。
【0082】
そして、積付ルール生成部104は、表示画面の積付操作領域において積付操作を受け付ける(ステップS205)。具体的には、積付ルール生成部104は、荷物を示す画像が積付操作領域において配送車の荷室の所定の位置にマウス等によるドラッグ操作がなされると、該位置へ荷物を配置した積付操作として受け付ける。
【0083】
そして、積付ルール生成部104は、表示画面の積付操作領域の操作結果と、配送車の積載制約とを比較する(ステップS206)。具体的には、積付ルール生成部104は、表示画面の積付操作領域の操作結果から得られる積載案を配送車属性記憶部202の積載制約_1(202h)、積載制約_2(202i)の位置および属性値と比較する。
【0084】
そして、積付ルール生成部104は、積付操作領域の積付操作結果が積載制約に違反しないか否か判定する(ステップS207)。具体的には、積付ルール生成部104は、積付操作領域の積付操作結果が対象の配送車において配送車属性記憶部202の積載制約_1(202h)、積載制約_2(202i)等の積載位置毎に積載可能な荷物とされていれば違反しないと判定する。違反する場合(ステップS207にて「No」の場合)には、積付ルール生成部104は、制御をステップS205に戻す。
【0085】
積付操作結果が積載制約に違反しない場合(ステップS207にて「Yes」の場合)には、積付ルール生成部104は、積付操作結果が積付ルールとして未登録か否か判定する(ステップS208)。具体的には、積付ルール生成部104は、積付操作領域の積付操作結果が対象の配送車における積付ルールとして積付ルール記憶部203に格納されていない場合には、未登録であると判定する。未登録ではない場合(ステップS208にて「No」の場合)には、積付ルール生成部104は、積付ルール手動生成処理を終了させる。
【0086】
未登録である場合(ステップS208にて「Yes」の場合)には、積付ルール生成部104は、積付ルールに新規ルールとして登録する(ステップS209)。具体的には、積付ルール生成部104は、積付操作結果を積付ルールとして積付ルール記憶部203に格納する。そして、格納した積付ルールを積付ルール表示領域に表示する(ステップS210)。
【0087】
以上が、積付ルール手動生成処理のフローチャートの例である。積付ルール手動生成処理によれば、手動で積付案を作成あるいは編集して、未登録の積付案であれば新規に積み付けルールとして登録することができる。
【0088】
図11は、積付操作の表示画面の例を示す図である。表示画面601は、積付操作領域604と、積付ルール表示領域603と、荷物表示領域602とを含んで表示される。積付操作領域604と、積付ルール表示領域603と、荷物表示領域602とは、一つのウィンドウ内に示されてもよいし、各画面が異なるウィンドウにより表示されてもよい。
【0089】
積付操作領域604には、配送車別に荷物605の積付レイアウトをドラッグ操作によりデザインする編集画面が表示される。積付操作領域604は、例えば画面左上にある配送車タブをクリックされると、対象となる配送車の積付状態が表示される。積付操作領域604には、配送車の上部、側面、後方のそれぞれから、積付する荷物の形状が表示される。荷物形状、荷室形状は、各々荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202の画像情報201d、202eに基づき作成される。
【0090】
積付ルール表示領域603には、積付ルール記憶部203に格納済みの積付ルールが表示される。荷物表示領域602には、積付操作領域604に配置する荷物の選択を受け付けるタブが表示され、選択された荷物の荷物属性が表示される。
【0091】
以上が、第二の実施例に係る配送計画立案システムである。第二の実施例に係る配送計画立案システムによれば、実績のない積付のバリエーションをシミュレートすることが可能となり、積載の可能性がある場合には新規の積付ルールとして登録し、配送計画の立案に利用することができるようになる。より具体的には、荷物及び荷室の可視化情報に基づき利用者が手動で積付ルールを作成する手段を実現できる。そのため、新規荷物や特注品の積付に対しても対応することが可能となる。
【0092】
上記技術においては、積付ルール記憶部203の積付ルールを逐一手動作成するが、新規の荷物が既存の荷物と類似すると推定できる場合、すなわち荷物間の属性が類似する場合には、積付ルールと異なる場合であっても同様に扱うことができる。
【0093】
[実施例3]そこで、本発明の第三の実施例として、配送計画立案システム1に、類似の定義を満たすのであれば積付ルールと完全一致しなくとも配送可能と判定する手段を備えるようにしてもよい。具体的には、配送計画立案装置100において、積付案が積付ルール間と一致しない場合であっても、類似する場合には配送計画の解として扱う手段を実現する。
【0094】
以下に、第三の実施例について説明する。第三の実施例に係る配送計画立案システムは、基本的に第一の実施例に係る配送計画立案システムと同様であるが、相違する点がある。以下においては、その相違点を中心に説明する。
【0095】
図12は、別の配送計画立案システムの構成例を示す図である。配送計画立案システム1´では、配送計画立案装置100´は、処理部101´に属性類似判定及び積付ルール生成部701を備え、記憶部103´に類似属性定義704を備える点で第一の実施形態とは相違する。
【0096】
図13は、類似属性定義のデータ構造の例を示す図である。類似属性定義704は、荷物属性記憶部201における作業内容201g、荷物特性201e、配送指示201iごとに表形式の構成を持つ。これら構成は同様の形式を持っている。
図13では、作業内容201gを例に説明する。類似属性定義704では、配送車の積載位置毎に類似する属性値が定義される。例えば、類似属性定義704に記載の作業内容704aには、「トラックA_1」があり、その属性値として「荷物A」704b、「荷物A_X部品追加」704c、「B部品_Z部品追加」704dの値が設定されている。これは、トラックAの積載位置1番に積載する場合には、これら「荷物A」704b、「荷物A_X部品追加」704c、「B部品_Z部品追加」704dの3つの属性値で示される部品は互いに類似、つまり積載に互換性があることを示す。
【0097】
図14は、類似属性の判定基準の例を示す図である。一般に、荷物の積付は、その形状だけでなく、配送車の荷室の構造や、積載時の荷物間の形状の干渉が影響する。配送実績データ102に基づき作成された積付ルール記憶部203は、実際に配送可能な積付方法であることから、これら荷物の形状、配送車の荷室の構造、積載時の荷物間の形状の干渉という制約を全て満たす。一方で、積付ルールに含まれる属性に対し、荷物の形状、配送車の荷室の構造、積載時の荷物間の形状等の干渉に関する荷物属性を比較すれば同一ではないが、同値とみなすことの可能な類似属性もあり得る。
【0098】
積付ルールの判定例1201では、属性の類似の一例を示す。積付ルールの判定例1201は、配送車の積載位置(値1~値3)毎に積載可能な荷物属性を記載したものである。ある積載位置の荷物は、配送車の荷室の構造及び前後の積載位置に積載された荷物の干渉を考慮したうえで積載可能であると判断できる。このことから、逆説的に、積載位置の前後が同じ荷物属性を持つ荷物は、属性値として同値とみなすことができる。
【0099】
積付ルールの判定例1201では、積載位置0番(前方)が「なし」、積載位置2番(後方)が「荷物A」である積載位置1番の「荷物A」および「荷物A_X部品追加」の荷物(それぞれ太線で囲ったルール)は、類似であると解釈でき、すなわち積載位置1番に配置する場合であって前後の荷物が同じ場合に、荷物A≒荷物A_X部品追加であるといえる(類似例1202)。
【0100】
更に、積付ルールの判定例1203では、積載位置1番(前方)が「荷物A_X部品追加」、積載位置3番(後方)が「荷物A」である積載位置2番の「荷物B_Z部品追加」および「荷物A」の荷物は、類似であると解釈できる。すなわち、積載位置2番に配置する場合であって前後の荷物が同じ場合に、荷物A≒荷物B_Z部品追加であるといえる(類似例1204)。
【0101】
なお、類似例1202、1204ともに、その要素に共通する荷物「荷物A」が含まれるが、このことから「荷物A_X部品追加」と「荷物B_Z部品追加」も類似するとは解釈しない。積載位置は配送車の荷室の構造も制約として考慮しているため、積載位置が異なる場合は、類似する属性とみなさない。
【0102】
図15は、類似属性定義追加処理のフローチャートの例を示す図である。類似属性定義追加処理は、配送計画立案装置100において入力部108から入力を受け付けると、あるいはスケジュールされた所定の時刻になると、開始される。なお、上述のように、類似属性定義704は、作業内容、荷物特性、配送指示ごとに表形式の構成を持つが、いずれの生成処理も同様のアルゴリズムを用いることで生成可能なため、ここでは作業内容を例として説明する。
【0103】
まず、積付ルール生成部104は、荷物属性記憶部201、積付ルール記憶部203を入力に設定する(ステップS301)。具体的には、積付ルール生成部104は、荷物属性記憶部201と、積付ルール記憶部203をメモリ402に読み込む。
【0104】
そして、積付ルール生成部104は、積付ルール記憶部203の配送車(厳密には、荷室レイアウトの種類)ごとに、後述するステップS303~ステップS306を実施する(ステップS302、ステップS307)。
【0105】
積付ルール生成部104は、配送車内の積載位置ごとに、後述するステップS304~ステップS305を実施する(ステップS303、ステップS306)。
【0106】
そして、積付ルール生成部104は、前後の積載位置の荷物属性が同等の積付ルールが他にあるか否か判定する(ステップS304)。前後の積載位置の荷物属性が同等の積み付けルールがある場合(ステップS304にて「Yes」の場合)には、積付ルール生成部104は、当該類似関係を類似属性定義704に追記する(ステップS305)。前後の積載位置の荷物属性が同等の積み付けルールが無い場合(ステップS304にて「No」の場合)には、積付ルール生成部104は、制御をステップS306へ進める。
【0107】
以上が、類似属性定義追加処理のフローチャートの例である。類似属性定義追加処理によれば、積付ルールと完全一致しなくとも類似する積付ルールであれば配送可能と判定するための類似の定義を自動生成することができる。
【0108】
図16は、配送計画立案処理のフローチャート例の一部を示す図である。第三実施例における配送計画立案処理は、第一実施例における配送計画立案処理と基本的に同様であるが、ステップS004の処理が異なり(ステップS004´)、類似の積付ルールに合致する場合においても配送計画の解として採用する。以下、詳細を説明する。
【0109】
配送計画計算部106は、各配送車の対象となる積付案について、一致する積付ルールがあるか否か判定する(ステップS004)。具体的には、配送計画計算部106は、対象の配送車の該積付案が、荷物の種類およびその荷物を積載する荷室内の位置に着目し、ルールが積付ルール記憶部203に格納されているルールのいずれかと一致するか判定する。
【0110】
一致する積付ルールがある場合(ステップS004において「Yes」)には、配送計画計算部106は、当該案を配送計画の解とする(ステップS005)。
【0111】
一致する積付ルールが無い場合(ステップS004において「No」)には、配送計画計算部106は、配送車の各車載位置についてステップS406~ステップS409を繰り返し実施する(ステップS405、ステップS410)。
【0112】
そして、配送計画計算部106は、類似属性定義704の各類似属性についてステップS407~ステップS408を繰り返し実施する(ステップS406、ステップS409)。
【0113】
配送計画計算部106は、当該案の属性を類似属性定義704の類似属性と比較する(ステップS407)。そして、類似する積付ルールがあるか否か判定する(ステップS408)。類似する積付ルールがある場合(ステップS408において「Yes」)には、配送計画計算部106は、制御をステップS409に進める。
【0114】
類似の積付ルールが無い場合(ステップS408において「No」)には、配送計画計算部106は、積付案を変更し配送計画を再試算する(ステップS006)。そして、配送計画計算部106は、制御をステップS003に戻す。
【0115】
以上が、第三実施例の配送計画立案処理のフローチャートの例である。第三実施例の配送計画立案処理によれば、積付ルールと完全一致しなくとも類似する積付ルールであれば配送可能と判定して配送計画を立案することができる。
【0116】
図17は、配送計画の出力例を示す図である。表示画面1501は、積付表示領域1502と、配送計画表示領域1503と、属性類似情報表示領域1504とを含んで表示される。積付表示領域1502と、配送計画表示領域1503と、属性類似情報表示領域1504とは、一つのウィンドウ内に示されてもよいし、各画面が異なるウィンドウにより表示されてもよい。
【0117】
積付表示領域1502には、配送車別の積付結果が表示される。積付表示領域1502は、例えば画面左上にある配送車タブをクリックされると、対象となる配送車の積付状態が表示される。積付表示領域1502には、配送車の上部、側面、後方のそれぞれから、積付された荷物の形状が表示される。荷物形状、荷室形状は、各々荷物属性記憶部201と、配送車属性記憶部202の画像情報201d、202eに基づき作成される。
【0118】
配送計画表示領域1503には、積付表示領域1502で示される配送車に対する配送計画が表示される。配送計画表示領域1503には、該当配送車に対する配送順序、各拠点の発着時刻、各拠点での積み降ろし対象となる荷物の一覧がタイムチャート形式で表示される。そして、ある荷物が属性類似判断によって積載される場合、対象の荷物が例えば太字やハイライトにより強調表示される。これにより、利用者により認識されやすくなる。
【0119】
属性類似情報表示領域1504には、配送計画において類似のため積付可能と判断された荷物が表示される。例えば、類似表示1505では、作業内容_45及び作業内容53の類似項目から積載位置1に「荷物A_X部品追加」と「荷物D」のいずれが積載されても、後の積載位置2に荷物Bが配置可能であることから、積載位置1における「荷物A_X部品追加」と「荷物D」は積載位置2に「荷物B」が配置される限りにおいて類似することが示されている。
【0120】
そして、類似表示1506には、「荷物D」が「トラックA_1」の積載位置1に積載できるものと判断した根拠となる類似属性情報が表示される。具体的には、「トラックA_1」の積載位置1に「荷物A_X部品追加」、積載位置2に「荷物B」が積載されていることから、「荷物D」は「荷物A_X部品追加」と類似する属性を持つことが示される。
【0121】
以上が、第三の実施例に係る配送計画立案システムである。第三の実施例に係る配送計画立案システムによれば、実績のない積付であってもバリエーションを類推してシミュレートすることが可能となり、積載の可能性がある場合には新規の積付ルールとして登録し、配送計画の立案に利用することができるようになる。より具体的には、同一の積載位置に異なる荷物を配置する実績について、前後に積載した荷物が一致する場合には積付可能とみなして自動で積付ルールとして追加する手段を実現できる。そのため、新規荷物や特注品の積付に対しても対応することが可能となる。
【0122】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0123】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0124】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1:配送計画立案システム、100:配送計画立案装置、101:処理部、102:配送実績データ、103:記憶部、104:積付ルール生成部、105:属性判定部、106:配送計画計算部、107:表示部、108:入力部、109:動態管理システム、201:荷物属性記憶部、202:配送車属性記憶部、203:積付ルール記憶部。