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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/06 20060101AFI20241010BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
E06B7/06
E06B3/46
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021011799
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115274
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】森 俊明
(72)【発明者】
【氏名】白石 英樹
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-144495(JP,A)
【文献】特開2019-167737(JP,A)
【文献】特開2017-089203(JP,A)
【文献】特開2001-020637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00- 7/36
E06B 3/04- 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に移動可能な戸体を備える建具であって、
前記戸体又は袖部には、回転軸を中心に回転して開閉可能な開き窓が設けられ
前記開き窓が前記戸体に設けられる場合において、前記戸体の移動時に、袖部、壁部、若しくは、前記戸体に対して引き違いで移動可能な引違い戸体に、前記開き窓が衝突することを防止し、又は、前記開き窓が前記袖部に設けられる場合において、前記戸体の移動時に、前記戸体に前記開き窓が衝突することを防止する衝突防止機構を備え、
前記衝突防止機構は、前記戸体の移動に連動して、前記開き窓を直接的又は間接的に押圧すること、又は、前記開き窓を直接的又は間接的に引くことにより、前記開き窓を閉めることで前記開き窓の衝突を防止する建具。
【請求項2】
横方向に移動可能な戸体を備える建具であって、
前記戸体又は袖部には、回転軸を中心に回転して開閉可能な開き窓が設けられ
前記開き窓が前記戸体に設けられる場合において、前記戸体の移動時に、袖部、壁部、若しくは、前記戸体に対して引き違いで移動可能な引違い戸体に、前記開き窓が衝突することを防止し、又は、前記開き窓が前記袖部に設けられる場合において、前記戸体の移動時に、前記戸体に前記開き窓が衝突することを防止する衝突防止機構を備え、
前記衝突防止機構は、前記開き窓が開いている場合に、前記戸体が、前記袖部、前記壁部又は前記引き違い戸体が配置される側へ移動することを規制する規制部を有する建具。
【請求項3】
前記戸体は、袖部の屋外側、壁部の屋外側、又は、前記戸体に対して引き違いで移動可能な引き違い戸体の屋外側において、横方向に移動可能である、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記戸体は、袖部の屋内側、壁部の屋内側、又は、前記戸体に対して引き違いで移動可能な引き違い戸体の屋内側において、横方向に移動可能である、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項5】
前記開き窓は、縦方向に延びる前記回転軸を中心に回転可能であると共に前記回転軸が横方向にスライド移動可能な縦辷り出し窓、又は、横方向に延びる前記回転軸を中心に回転可能であると共に前記回転軸が縦方向にスライド移動可能な横辷り出し窓である、請求項1~のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記衝突防止機構は、前記袖部、前記壁部又は前記引き違い戸体から、前記戸体を経由して、前記開き窓まで連続して設けられた操作部材を備え、
前記操作部材は、前記戸体の移動に連動して、前記開き窓を引くことにより、前記開き窓を閉めるように動作する、請求項に記載の建具。
【請求項7】
前記衝突防止機構は、前記戸体の移動に連動して、前記開き窓を閉める側に前記開き窓を直接的又は間接的に押圧する押圧部材を備え、
前記押圧部材は、回転可能なローラーを有して構成される、請求項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、横方向に移動可能な戸体を備える建具であって、戸体又は袖部に回転軸を中心に回転して開閉可能な開き窓が設けられた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横方向に移動する引戸(戸体)を備え、引戸(戸体)に採光窓が設けられた建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-86525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、横方向に移動可能な戸体に上げ下げ窓を設けることが考えられる。横方向に移動可能な戸体に上げ下げ窓が設けられた建具は、上げ下げ窓の部品点数が多いため、構造が複雑である。更に、戸体に上げ下げ窓を設けた場合、上げ下げ窓の屋外側への出幅が大きくなりがちであるため、意匠性の観点から改善される余地がある。
【0005】
そのため、横方向に移動可能な戸体に開閉可能な窓が設けられた建具において、簡易な構成で、意匠性を向上できることが求められている。また、横方向に移動可能な戸体に開閉可能な窓が設けられた構成ではなくて、袖部に開閉可能な窓が設けられた構成においても同様のことがいえる。
【0006】
本開示は、横方向に移動可能な戸体を備え、戸体又は袖部に開閉可能な窓が設けられた建具において、簡易な構成で、意匠性を向上できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、横方向に移動可能な戸体を備える建具であって、前記戸体又は袖部には、回転軸を中心に回転して開閉可能な開き窓が設けられた建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の建具を屋内側から見た場合の正面図である。
図2A】第1実施形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図2B】第1実施形態の建具が閉位置から開位置に移動している途中を示す横断面図である。
図3A】第2実施形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図3B】第2実施形態の建具が閉位置から開位置に移動している途中を示す横断面図である。
図4A】第3実施形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図4B】第3実施形態の建具が閉位置から開位置に移動している途中を示す横断面図である。
図5】第4実施形態の建具が閉位置に位置する場合の屋内側から見た場合の正面図である。
図6】第4実施形態の建具の衝突防止機構の連動バーの動作を示す図である。
図7】第4実施形態の建具が閉位置から開位置に移動している途中を示す横断面図である。
図8】第1変形形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図9】第2変形形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図10】第3実施形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図11】第4変形形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
図12】第5変形形態の建具が閉位置に位置する場合の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1実施形態の建具1について説明する。図1図2Bに示すように、第1実施形態の建具1は、建物(図示せず)に形成された開口部に配置される枠体2と、枠体2の内側に納められる戸体3と、袖部4と、衝突防止機構5(図2A及び図2B参照)と、を備える。
【0010】
枠体2は、上枠21、下枠22及び一対の縦枠23を有する。枠体2は、上枠21、下枠22及び一対の縦枠23により矩形に枠組みされる。
【0011】
上枠21は、枠体2の上側に配置され、左右方向(横方向)に延びる。下枠22は、枠体2の下側に配置され、上枠21に平行に左右方向(横方向)に延びる。
【0012】
一対の縦枠23は、上枠21の左右方向の両端部それぞれと下枠22の左右方向の両端部それぞれとを繋いで上下方向(縦方向)に延びる。
【0013】
袖部4は、枠体2の内側の左右方向の一方側の略半分を覆うように配置される。袖部4は、枠体2内の左右方向の中間に配置される方立41と、方立41の左右方向の一方側に固定して配置される袖部パネル42と、を有する。
【0014】
袖部パネル42は、枠体2の左右方向の一方側の内側部分と方立41との内側部分に固定されたFIXパネルである。枠体2の内側において、袖部4が配置されていない左右方向の他方側の部分は、戸体3により開閉される開口部となる。袖部パネル42は、例えば、ガラスパネルで構成してもよいし、非透光性のパネルで構成してもよい。
【0015】
戸体3は、図2A及び図2Bに示すように、袖部4の屋外側に配置され、袖部4の屋外側において左右方向(横方向)に移動可能に配置される。
【0016】
戸体3は、枠体2内の左右方向において、袖部4が配置されていない枠体2の左右方向の他方側の開口部に位置する場合に、閉位置に位置し、袖部4が配置される枠体の左右方向の一方側において袖部4の屋外側に袖部4と重なる位置に位置する場合に、閉位置に位置する。本実施形態においては、戸体3は、枠体2内を左右方向に移動可能な片引きの引戸を構成する。
【0017】
戸体3は、戸体本体31と、屋内側手掛け部32と、屋外側手掛け部33と、採風窓34と、を有する。戸体本体31は、長方形の板状に形成される。戸体本体31には、採風窓34が配置される長方形状の開口部311が形成される。
【0018】
屋内側手掛け部32は、戸体本体31の屋内側の表面において、戸体本体31の戸先側に配置される。屋外側手掛け部33は、戸体本体31の屋外側の表面において、戸体本体の戸先側に配置される。屋内側手掛け部32又は屋外側手掛け部33に使用者が手を掛けて戸体3を左右方向に移動させることで、戸体3を開位置又は閉位置に移動させることができる。
【0019】
採風窓34は、戸体3の開口部311に配置される。採風窓34は、戸体3の開口部311に取り付けられる採風窓枠341と、採風窓枠341の内側に配置される縦辷り出し障子342(開き窓、縦辷り出し窓)と、を有する。採風窓枠341は、矩形に枠組みされて構成される。
【0020】
縦辷り出し障子342は、図1に示すように、吊元側に配置される上下方向(縦方向)に延びる回転軸Jを中心に回転可能して開閉可能であると共に回転軸Jが横方向にスライド移動可能な縦辷り出しタイプの障子である。本実施形態においては、縦辷り出し障子342は、屋内側に開く内開きの窓として構成される。採風窓34において、縦辷り出し障子342を開くことで、戸体3が閉位置に位置している場合においても、屋内への通気及び換気が行われ、採風が可能となる。
【0021】
図1に示すように、縦辷り出し障子342は、框体343と、ガラスパネル344と、ロック機構35と、を有する。框体343は、矩形に框組みされる。ガラスパネル344は、框体343内に嵌め込まれる。ロック機構35は、框体343の戸先側の屋内側の面に設けられる。
【0022】
衝突防止機構5は、戸体3の移動時に、袖部4に縦辷り出し障子342が衝突することを防止する機構である。衝突防止機構5は、図2A及び図2Bに示すように、ワイヤー51(操作部材)を備える。ワイヤー51は、線状に延びる線状部材である。
【0023】
ワイヤー51は、袖部4の方立41から、戸体3を経由して、採風窓34の縦辷り出し障子342まで連続して設けられている。ワイヤー51は、一端部が袖部4の方立41に接続され、途中において戸体3の左右方向に沿って配置され、他端部が縦辷り出し障子342の戸先側の端部に接続される。
【0024】
図2Aに示すように、ワイヤー51は、戸体3が閉位置に位置すると共に縦辷り出し障子342が開状態の場合、縦辷り出し障子342が開く側へ位置することで屋内側に引き出されている。図2Bに示すように、戸体3が閉位置から開位置に移動する途中において、ワイヤー51は、戸体3の移動に伴って左右方向の戸体3を閉める側に引っ張られることで、戸体3の移動に連動して、縦辷り出し障子342を閉めるように動作する。
【0025】
このように、衝突防止機構5は、戸体3が閉位置から開位置に移動する場合に、戸体3の移動に連動させて、縦辷り出し障子342をワイヤー51で引くことにより、縦辷り出し障子342を閉めるように動作させることができる。これにより、衝突防止機構5は、戸体3が閉位置から開位置に移動する場合に、戸体3の移動に連動させて、ワイヤー51により、縦辷り出し障子342を閉めることで、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0026】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の建具1は、横方向に移動可能な戸体3を備え、戸体3には、回転軸Jを中心に回転して開閉可能な縦辷り出し障子342が設けられている。そのため、横方向に移動可能な戸体3に、上げ下げ窓を設けるよりも簡易な構成で、回転軸Jを中心に回転して開閉可能な縦辷り出し障子342を設けることができる。よって、戸体3に縦辷り出し障子342が設けられた建具1において、簡易な構成で、意匠性を向上させることができる。
【0027】
また、前記実施形態においては、戸体3の移動時に、袖部4に、縦辷り出し障子342が衝突することを防止する衝突防止機構5を備える。これにより、戸体3に縦辷り出し障子342を設けていても、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。よって、縦辷り出し障子342や戸体3の破損を抑制できる。
【0028】
また、前記実施形態においては、衝突防止機構5は、袖部4から、戸体3を経由して、縦辷り出し障子342まで連続して設けられたワイヤー51を備え、ワイヤー51は、戸体3の移動に連動して、縦辷り出し障子342を引くことにより、縦辷り出し障子342を閉めるように動作する。これにより、ワイヤー51により縦辷り出し障子342を引くだけの簡易な構成で、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを容易に防止できる。
【0029】
次に、第2実施形態の建具1Aについて説明する。第2実施形態で説明しない点については、第1実施形態の説明を援用できる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付けて、その説明を省略する。
【0030】
図3A及び図3Bに示すように、第2実施形態の建具1Aは、第1実施形態の衝突防止機構5に代えて、衝突防止機構5Aを備える。衝突防止機構5Aは、押圧ローラー部材521(ローラー部材)と、ローラー支持アーム522と、を備える。
【0031】
ローラー支持アーム522は、袖部4の方立41から縦辷り出し障子342側に所定長さ延びる。ローラー支持アーム522の基端は、袖部4の方立41に接続され、先端には、押圧ローラー部材521が設けられる。
【0032】
押圧ローラー部材521は、縦辷り出し障子342が開いた状態で戸体3が閉位置から開位置側に移動された場合に、縦辷り出し障子342の屋内側の面に当接する位置に設けられる。押圧ローラー部材521は、戸体3の移動に連動して、縦辷り出し障子342を閉める側に縦辷り出し障子342を直接的に押圧する。
【0033】
押圧ローラー部材521は、回転可能なローラーを有して構成される。押圧ローラー部材521は、縦辷り出し障子342を押圧する場合に、ローラーを回転させながら、縦辷り出し障子342を閉める側に押圧できる。
【0034】
図3Aに示すように、押圧ローラー部材521は、戸体3が閉位置に位置すると共に縦辷り出し障子342が開状態の場合、縦辷り出し障子342の左右方向の袖部4側に位置している。図3Bに示すように、戸体3が閉位置から開位置に移動する途中において、押圧ローラー部材521は、戸体3の移動に連動して、縦辷り出し障子342を閉める側に押圧する。
【0035】
これにより、縦辷り出し障子342が開いた状態で、戸体3が開位置から閉位置に移動されても、縦辷り出し障子342が袖部4の方立41に衝突する前に、戸体3の移動に連動して、押圧ローラー部材521により、縦辷り出し障子342を閉める側に押圧して、縦辷り出し障子342を閉める側に移動させることができる。よって、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0036】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏すると共に、以下の効果が奏される。本実施形態の建具1においては、衝突防止機構5Aは、戸体3の移動に連動して、縦辷り出し障子342を閉める側に縦辷り出し障子342を直接的に押圧する押圧ローラー部材521を備える。これにより、押圧ローラー部材521により、縦辷り出し障子342を直接的に押圧することで、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0037】
また、本実施形態においては、押圧ローラー部材521は、縦辷り出し障子342を押圧する。押圧ローラー部材521は、回転可能なローラーを有して構成される。これにより、押圧ローラー部材521は、ローラーを回転させながら、縦辷り出し障子342を閉める側に押圧できる。よって、縦辷り出し障子342をスムーズに閉めることができる。
【0038】
次に、第3実施形態の建具1Bについて説明する。第3実施形態で説明しない点については、第1実施形態の説明を援用できる。第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付けて、その説明を省略する。
【0039】
図4A及び図4Bに示すように、第3実施形態の建具1Bは、縦辷り出し障子342にフリクションステー36が取り付けられると共に、第1実施形態の衝突防止機構5に代えて、衝突防止機構5Bを備える。
【0040】
フリクションステー36は、縦辷り出し障子342の開口角度を任意な角度で保持可能である。フリクションステー36は、図4Aに示すように、第1バー部材361と、第2バー部材362と、第1バー部材361の一端部及び第2バー部材362の一端部を連結する軸部材363と、を有して構成される。
【0041】
第1バー部材361は、採風窓枠341に連結される。第2バー部材362は、縦辷り出し障子342に連結される。第2バー部材362は、後述するスライダー53のスライド押圧部材531により押された状態で、縦辷り出し障子342に近づく側又は縦辷り出し障子342から離れる側に移動することで、軸部材363を中心に回転して、縦辷り出し障子342を閉める側又は開く側に移動させる。
【0042】
衝突防止機構5Bは、フリクションステー36の第2バー部材362を移動させることが可能なスライダー53を備える。スライダー53は、縦辷り出し障子342に取り付けられる。スライダー53は、スライド押圧部材531(押圧部材)と、スライド押圧部材531を左右方向に移動可能に支持するスライド支持部材532と、を有する。
【0043】
スライド支持部材532は、左右方向に延びて形成され、戸体3の屋内側の面に配置される。スライド押圧部材531は、縦辷り出し障子342が開いた状態で戸体3が閉位置から開位置側に移動された場合に、袖部4の方立41に当接すると共に、袖部4の方立41に押されることで縦辷り出し障子342側に移動された場合に、フリクションステー36の第2バー部材362を押圧可能な位置に設けられる。
【0044】
図4Aに示すように、スライダー53のスライド押圧部材531は、戸体3が閉位置に位置すると共に縦辷り出し障子342が開状態の場合、縦辷り出し障子342の左右方向の袖部4側に位置している。図4Bに示すように、戸体3が閉位置から開位置に移動する途中において、スライド押圧部材531は、戸体3の移動に連動して、袖部4の方立41に押圧されることで、フリクションステー36の第2バー部材362を押圧する。
【0045】
これにより、縦辷り出し障子342が開いた状態で、戸体3が開位置から閉位置に移動されても、縦辷り出し障子342が袖部4の方立41に衝突する前に、戸体3の移動に連動して、スライド押圧部材531により、フリクションステー36を介して縦辷り出し障子342を閉める側に押圧して、縦辷り出し障子342を閉める側に移動させることができる。よって、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0046】
第3実施形態によれば、袖部4の方立41に押圧されるスライド押圧部材531によりフリクションステー36を押圧することで、縦辷り出し障子342を閉める側に縦辷り出し障子342を間接的に押圧できる。よって、スライド押圧部材531によりフリクションステー36を押圧することで、縦辷り出し障子342を間接的に押圧するだけの簡易な構成で、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0047】
次に、第4実施形態の建具1Cについて説明する。第4実施形態で説明しない点については、第1実施形態の説明を援用できる。第4実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付けて、その説明を省略する。
【0048】
図5に示すように、第4実施形態の建具1Cは、第1実施形態の衝突防止機構5に代えて、衝突防止機構5Dを備える。衝突防止機構5Dは、縦辷り出し障子342の開閉状態をロックするロック機構35に連動して移動する連動バー56と、ストッパ57(規制部)と、を備える。
【0049】
ロック機構35は、図6に示すように、ロック部材本体351と、ロック操作部352と、ロックバー353と、を有する。ロック部材本体351は、縦辷り出し障子342の戸先側の屋内側の面に固定される。ロック操作部352は、ロック部材本体351を回転可能に、ロック部材本体351に接続される。
【0050】
ロックバー353は、ロック部材本体351に接続され、ロック操作部352の操作によりロック部材本体351が回転することで、上方側に位置するロック位置(図6の上側の図参照)、又は、下方側に位置する非ロック位置(図6の下側の図参照)に移動される。
【0051】
ロックバー353が上方側のロック位置に位置する場合には、採風窓34が開かないように採風窓34の閉位置においてロックされた状態である。ロックバー353が下方側の非ロック位置に位置する場合には、採風窓34の開閉が可能な状態である。
【0052】
連動バー56は、上下方向に延びて形成され、戸体3の内部において、採風窓枠341における縦辷り出し障子342の戸先側の縦枠に沿って配置される。連動バー56は、図6に示すように、上端がロックバー353に接続され、ロックバー353の移動に連動して、上下方向に移動可能である。
【0053】
連動バー56は、ロック機構35のロックバー353の上下方向の移動に連動して、図6の上側の図に示すように、ロックバー353が上方側のロック位置に位置する場合には、図5に示すように、下端部が下枠22の上方側に配置される非規制位置に位置する。連動バー56は、図6の下側の図に示すように、ロックバー353が下方側の非ロック位置に位置する場合には、図7に示すように、下端部が下枠22の内部に配置される規制位置に位置する。
【0054】
ストッパ57は、下枠22の内部に配置される。ストッパ57は、連動バー56が規制位置に位置する場合には、戸体3が閉位置から開位置に移動した場合に、連動バー56の下端部に当接する位置に設けられる。ストッパ57は、連動バー56が非規制位置に位置する場合には、戸体3が閉位置から開位置に移動しても、連動バー56の下端部に当接しない位置に設けられる。
【0055】
縦辷り出し障子342が開いた非ロック状態で戸体3が閉位置から開位置に移動すると、戸体3が閉位置から開位置に移動する途中において、図7に示すように、規制位置に位置する連動バー56の下端部は、ストッパ57に当接する。これにより、ストッパ57は、縦辷り出し障子342が開いている場合に、戸体3が閉位置から開位置に移動しても、戸体3が、袖部4が配置される側へ移動することを規制する。
【0056】
このように、縦辷り出し障子342が開いた非ロック状態で戸体3が開位置から閉位置に移動されても、連動バー56が規制位置に位置するため、縦辷り出し障子342が方立41に衝突する前に、連動バー56の下端部がストッパ57に当接して、戸体3の袖部4側への移動が規制される。よって、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0057】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態においては、衝突防止機構5Dは、縦辷り出し障子342が開いている場合に、戸体3が、袖部4が配置される側へ移動することを規制するストッパ57を備える。これにより、縦辷り出し障子342が開いても、戸体3が袖部4側へ移動することが規制されるため、縦辷り出し障子342が袖部4に衝突することを防止できる。
【0058】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0059】
例えば、前記実施形態の建具の構成に限定されず、以下のような第1変形形態~第5変形形態の建具に適用できる。図8の第1変形形態の建具1Dに示すように、第1実施形態の方立41及び袖部パネル42を有する袖部4の屋外側を戸体3が移動する構成に代えて、方立61及び壁本体62を備える壁部6の屋外側を戸体3が移動する構成としてもよい。この場合に、第1実施形態~第4実施形態の衝突防止機構5~5Cを適用して、縦辷り出し障子342が壁部6に衝突することを防止できる。なお、壁部6の屋外側を戸体3が移動する構成に代えて、壁部6の屋内側を戸体3が移動する構成としてもよい。
【0060】
また、図9の第2変形形態の建具1Eに示すように、第1実施形態の戸体3を袖部4の屋外側を移動させる構成に代えて、戸体3を袖部4の屋内側を移動するように構成してもよい。この場合に、第1実施形態~第4実施形態の衝突防止機構5~5Cを適用して、採風窓34Aの縦辷り出し障子342Aが袖部4に衝突することを防止できる。
【0061】
また、図10の第3変形形態の建具1Fに示すように、内障子38(戸体)及び内障子38に対して引き違いで移動可能な外障子39(引き違い戸体)を備えて構成して、外障子39に縦辷り出し障子342を設けて、第1実施形態~第4実施形態の衝突防止機構5~5Cを適用してもよい。図11の第4変形形態の建具1Gに示すように、内障子38(戸体)及び内障子38に対して引き違いで移動可能な外障子39(引き違い戸体)を備えて構成して、内障子38に縦辷り出し障子342を設けて、第1実施形態~第4実施形態の衝突防止機構5~5Cを適用してもよい。
【0062】
また、図12の第5変形形態の建具1Hに示すように、第1実施形態の戸体3に縦辷り出し障子342を設ける構成に代えて、第1実施形態の袖部4に採風窓43を設けてもよい。この場合に、第1実施形態~第4実施形態の衝突防止機構5~5Cを適用して、戸体3が縦辷り出し障子342に衝突することを防止できる。
【0063】
前記実施形態においては、開き窓を、回転軸が縦方向に延びると共に回転軸が横方向にスライド移動可能な縦辷り出し障子(縦辷り出し窓)により構成したが、これに限定されない。開き窓を、回転軸が横方向に延びると共に回転軸が縦方向にスライド移動可能な縦辷り出し障子(横辷り出し窓)により構成してもよい。また、開き窓を、回転軸がスライド移動されずに固定された開き窓により構成してもよい。また、開き窓を、羽板の幅方向の中央に設けられる回転軸を中心に回転して開閉可能なルーバー窓などの回転窓により構成してもよい。また、開き窓の回転可能な角度は限定されず、例えば、開き窓を、回転軸を中心に360°回転可能な回転窓により構成してもよい。
【0064】
前記実施形態においては、戸体3の移動に連動して、縦辷り出し障子(開き窓)を直接的又は間接的に押圧する構成の例を記載したが、前記実施形態の構成に限定されない。戸体の移動に連動して、縦辷り出し障子(開き窓)を前記実施形態とは異なる部材を介して、押圧してもよい。また、前記実施形態においては、戸体3の移動に連動して、ワイヤー51(操作部材)を介して縦辷り出し障子(開き窓)を引いて閉めるように構成したが、これに限定されない。戸体の移動に連動して、縦辷り出し障子(開き窓)を前記実施形態とは異なる部材を介して、引いて閉めるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 建具、3 戸体、4 袖部、5 衝突防止機構、51 ワイヤー(操作部材)、57 ストッパ(規制部)、342 縦辷り出し障子(開き窓)、521 押圧ローラー部材(押圧部材)、J 回転軸
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12