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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】射出成形品
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/37 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
B29C45/37
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021039442
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022139178
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓司
(72)【発明者】
【氏名】木幡 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】久野 修平
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-240911(JP,A)
【文献】特開2007-324042(JP,A)
【文献】特開2013-114756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に窪んだ所定の形状で、所要の見栄えまたは機能を構成する意匠部と、前記意匠部の周縁から連続して折り返されることで、狭小空間を隔てて前記意匠部に隣設された非意匠部とを備え、
前記狭小空間にはリブが設けられており、
前記リブは、隣接方向に横断して、前記意匠部と前記非意匠部とを連結する第1リブと、
前記第1リブに一体的に形成され、前記非意匠部の延出端部まで、前記非意匠部に立壁状に形成された第2リブとを含む、
ことを特徴とする射出成形品。
【請求項2】
前記第2リブは、高さ3mmを超えずに形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形品。
【請求項3】
前記第2リブは、前記非意匠部の延出端部まで、略一定の高さで形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出成形品。
【請求項4】
前記第2リブは、前記非意匠部の延出端部に向かって、減高して形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出成形品。
【請求項5】
前記第2リブの最大高さは、前記第1リブの最大高さ以下である、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の射出成形品。
【請求項6】
構成部材は、ポリカーボネイト樹脂である、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の射出成形品。
【請求項7】
前記非意匠部の延出端部は、前記意匠部の背面側端部よりも、より背面に向かって延出して形成されている、
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の射出成形品。
【請求項8】
前記非意匠部の延出距離は、100mm以上である、
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の射出成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、射出成形品、特にリブが設けられた射出成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形品においては、折り返し部に、成形変形防止のためにリブが設けられることがある。例えば、特許文献1では、ランプボディの開口部端部から取付脚部が突出形成されており、ランプボディと取付脚部との間の狭小空間に、補強リブが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-241408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、ランプボディと取付脚部に連結される補強リブが、取付脚部の延出端部まで、狭小空間の全面に形成されているため、射出成形時の熱収縮量が多くなるという問題がある。これはランプボディに限らず、例えば、リブが設けられている箇所が、緻密なエンブレムが施されている意匠面、あるいは配光を形成する光学部材等、所定の意匠や機能を構成する場合、成形寸法はより厳格に求められるため、成形時の熱収縮による変形は深刻な問題である。
【0005】
本発明は、これに鑑みてなされたものであり、補強機能を確保しつつ、成形時の変形を抑制可能なリブが設けられた射出成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本開示の構成のある態様においては、背面に窪んだ所定の形状で、所要の見栄えまたは機能を構成する意匠部と、前記意匠部の周縁から連続して折り返されることで、狭小空間を隔てて前記意匠部に隣設された非意匠部とを備え、前記狭小空間にはリブが設けられており、前記リブは、隣接方向に横断して、前記意匠部と前記非意匠部とを連結する第1リブと、前記第1リブに一体的に形成され、前記非意匠部の延出端部まで、前記非意匠部に立壁状に形成された第2リブとを含むように射出成形品を構成した。この態様によれば、延出端部まで設けられた僅かに突出した立壁状のリブは、射出成形時の冷却時に金型に張り付いて変形を抑える効果があることから、第1リブにより射出成形品の剛性が向上し、第2リブにより成形時の変形が抑制される。剛性の向上と、成形時の変形の抑制を、バランスよく確保できる。
【0007】
また、ある態様においては、前記第2リブは、高さ3mmを超えずに形成されるように構成した。僅かに突出する立壁状のリブでも、金型に張り付いて成形時の変形を抑える効果があるため、高さを3mm以下とすることで、成形時の変形抑制効果を確保しつつ、成形熱量も抑えた。
【0008】
また、ある態様においては、前記第2リブは、前記非意匠部の延出端部まで、略一定の高さで形成されるように構成した。
【0009】
また、ある態様においては、前記第2リブは、前記非意匠部の延出端部に向かって、減高して形成されるように構成した。いずれも成形時の変形抑制の効果が確保される。
【0010】
また、ある態様においては、前記第2リブの最大高さは、前記第1リブの最大高さ以下であるように構成した。
【0011】
また、ある態様においては、構成部材は、ポリカーボネイト樹脂であるものとした。ポリカーボネイト樹脂は冷却変形量の大きい樹脂材料であるため、本開示の構成の効果が高い。
【0012】
また、ある態様においては、前記非意匠部の延出端部は、前記意匠部の背面側端部よりも、より背面に向かって延出して形成されているように構成した。
【0013】
また、ある態様においては、前記非意匠部の延出距離は、100mm以上であるものとした。延出距離が長い場合、成形時の変形も大きいことから、本開示の構成の効果が高い。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、補強機能を確保しつつ、成形時の変形を抑制可能なリブが設けられた射出成形品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る射出成形品(リフレクターユニット)を搭載した車両用灯具の正面図である。
図2図1のII-II線に沿った車両用灯具の縦断面図である。
図3】リフレクターユニットの正面斜視図である。
図4】リフレクターユニットの背面斜視図である。
図5】試験データのグラフである。立壁状のリブと、成形時の変形量の関係を示す。
図6】変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
(車両用灯具)
図1は、本発明の好適な実施形態に係る射出成形品であるリフレクターユニット40を備えた車両用灯具1の正面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
【0018】
図1および図2に示すように、車両用灯具1は、筐体として、ランプボディ2およびランプカバー4を備える。ランプボディ2は、前方に開口部を有する。ランプカバー4は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成され、ランプボディ2の開口部に取付けられることで、内側に灯室Sを画成する。
【0019】
画成された灯室S内には、正面視して、ロービームユニットLUおよびハイビームユニットHUが上下に並んで配置されている。ハイビームユニットHUは、ロービームユニットLUに、図示しない固定部材により、左右方向の位置や向きを調整されて、固定されている。
【0020】
(ハイビームユニット)
まず、灯室S内で下方配置されるハイビームユニットHUについて説明する。ハイビームユニットHUは、ハイビーム配光を形成するランプユニットであり、発光素子である第1光源10と、ハイビーム用リフレクター20とを備える。
【0021】
ハイビーム用リフレクター20は、複数の反射素子に区切られたステップ状のリフレクターであり、下方から上方前方へ向かって湾曲した形態となっている。下方に設けられた平板状の底面21に、発光面を上方鉛直に向けて、第1光源10が取り付けられている。
【0022】
第1光源10は、白色のLED(Light Emitting Diode)であり、これに限らず、LD(Laser Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの半導体発光素子や、電球、白熱灯(ハロゲンランプ)、放電灯(ディスチャージランプ)等を用いることができる。
【0023】
ハイビーム用リフレクター20は、内面が光を反射する反射面22となっており、第1光源10から出射した光を反射させて、ハイビーム用配光パターンを車両前方に向かって照射するように構成されている。
【0024】
ハイビーム用リフレクター20には、前方端部から上方に向かって延出するエクステンション部23が形成されている。ハイビーム用リフレクター20は、ロービームユニットの下方の前方に配置されており、エクステンション部23を含めたハイビームユニットHU全体で、ロービームユニットLUの支持部などの非光学部分(非意匠部)を外部から目隠ししている。
【0025】
(ロービームユニット)
次に、灯室S内で上方配置されるロービームユニットLUについて説明する。ロービームユニットLUは、ロービーム配光を形成するランプユニットであり、発光素子である第2光源30と、リフレクターユニット40とを備える。
【0026】
リフレクターユニット40は、ロービーム用のリフレクターとして機能するリフレクター部60と、自身が支持されるための支持部材(ブラケット)として機能する上ブラケット部50,下ブラケット部70とを有する。即ち、リフレクターユニット40は、リフレクターとブラケットの両方の機能を備える。
【0027】
リフレクターユニット40は、主として上から、上ブラケット部50、リフレクター部60、下ブラケット部70から構成され、全てが一体成形された射出成形品である。多機能な一部品を設けることで、部品数を削減でき、製造コストおよび組立コストを抑えることができる。
【0028】
リフレクター部60は、複数の反射素子に区切られたステップ状のリフレクターであり、おおむね下方前方へ向かって湾曲した形態となっている。上方に設けられた平板状の庇部61に、発光面を下方鉛直に向けて、第2光源30が取り付けられている。このように、リフレクター部60は、ハイビーム用リフレクター20とは、上下方向に対称な形態となっている。
【0029】
第2光源30は第1光源10と同じ白色のLEDである。リフレクター部60は、内面が光を反射する反射面62となっており、第2光源30から出射した光を反射させて、ロービーム用配光パターンを車両前方に向かって照射するように構成されている。
【0030】
エクステンションリフレクター90は、不要な部分を目隠しする目隠し材である。ロービームユニットLUおよびハイビームユニットHUの機構部分や固定部分などの非光学部(非意匠部)は、エクステンションリフレクター90により外部から隠蔽される。
【0031】
(リフレクターユニット40)
リフレクターユニット40について詳しく説明する。図3は、リフレクターユニット40の正面斜視図である。図4は、リフレクターユニット40の背面斜視図である。
【0032】
前述の通り、上ブラケット部50および下ブラケット部70は、リフレクターユニット40自身が支持されるための支持部材である。
【0033】
上ブラケット部50は、厚み方向を前後方向とした薄板形状であり、庇部61の背面側中央に、上方に突出して形成されている。上ブラケット部50中心には、前後方向に貫通する貫通孔51が形成されている。
【0034】
下ブラケット部70は、リフレクター部60の下方に隣接して設けられており、リフレクター部60の下方端部から連続して、背面に折り返された延出面71を備える。延出面71は、左右方向の全幅に所定距離だけ背面に延出した第1延出部71aと、第1延出部71aから連続して、より狭い所定幅で、さらに背面へと延出する第2延出部71bから成る。第2延出部71bは、左右の二か所に設けられており、下ブラケット部70は、左右方向に対称な形状となっている。
【0035】
それぞれの第2延出部71bの延出端部には、鉛直下方に連続して伸びる係合面72が設けられている。係合面72は、上ブラケット部50と略同形状となっており、厚み方向を前後方向とした板形状で、中央に貫通孔73が形成されている。係合面72と上ブラケット部50は、平行に設けられている。
【0036】
上ブラケット部50の貫通孔51、および下ブラケット部70の貫通孔73は、マウントMを装着するために形成されている。上方の貫通孔51,下方の左右に設けられた二つの貫通孔73には、それぞれマウントMが装着され、装着されたマウントMにねじ込まれたエイミングスクリューEがランプボディ2に取付けられる(図2参照)。
【0037】
ロービームユニットLUは、三つのエイミングスクリューEに支持されており、エイミングスクリューEを回転させることにより、ロービームユニットLUの光軸が、水平方向および鉛直方向に調整される。ハイビームユニットHUは、ロービームユニットLUに取付される段階でロービームユニットLUとの相対的な光軸調整がなされており、ハイビームユニットHUはロービームユニットLUに直接支持され、これと一体化して共に傾動する。
【0038】
係合面72の左右の側面74は、第2延出部71bの側縁部に接続されている。また、第1延出部71aの延出端部から下方へ延びる鉛直面75とも連結されており、各構成面が連続して一体化した箱状の構成となっている。このため、下ブラケット部70は、保持部材として、静的および動的な負荷に強い形態となっている。
【0039】
(リブ)
ここで図2に戻り説明すると、下ブラケット部70は、リフレクター部60と上下方向に隣接しており、背面側に窪んだ形状であるリフレクター部60の下部から連続して、背面に折り返されて構成されているため、リフレクター部60と下ブラケット部70(詳しくは延出面71)の間には、狭小空間SPが、リフレクターユニット40の背面側に形成されている。
【0040】
狭小空間SPには、リフレクター部60と下ブラケット部70とを強固に連結させて、リフレクターユニット40の剛性を向上させるために、リブ80が設けられている。
【0041】
図4に示すように、リブ80は上下方向に伸び、厚み方向を左右方向とした薄板形状で、左右方向に離間して複数個設けられている。リブ80は、第1リブ81と第2リブ82とを含む。
【0042】
第1リブ81は、第1延出部71aに設けられており、上下方向に横断して、第1延出部71aとリフレクター部60の前端部とに接続されて、リフレクター部60と延出面71とを連結している。
【0043】
第2リブ82は、第2延出部71bに設けられており、第1リブ81に一体的に形成され、第2延出部71bから上方向に突出した立壁状に設けられている。
【0044】
上下方向に接続された第1リブ81は、主として、リフレクターユニット40の剛性向上の役割を果たす。上下方向に横断して、リフレクター部60と下ブラケット部70とを連結させることで、強度が向上し、静的荷重または車両走行時の動的荷重による変形が抑制される。
【0045】
第2リブ82は、主として、成形時の変形を抑制する役割を果たす。第2リブ82が、長く延出する第2延出部71bに沿って、その延出端部まで設けられることで、金型への接触面積が増加するため、射出成形の冷却時に金型に張り付き、熱収縮による変形量を減少させる。
【0046】
剛性向上だけが目的ならば、リブが大きいほどに剛性を向上させることができるが、リブの体積が増加すると、成形時の熱量および成形時の変形量も増加し、シルバーストリークなども発生しやすいため、成形不良の原因となる。特に、折り返しからの延出距離が長い場合、剛性確保のためにリブが必須であるが、射出成形品の体積が大きいため、射出成形時の熱量が大きく、成形不具合が発生しやすい。従来は、上下連結されるリブのみ設けられていたため、成形変形が大きく、成形不具合が問題となっていた。
【0047】
本実施形態においては、第1リブ81を設けることで、リフレクターユニット40の剛性を向上させ、第2リブ82を設けることで射出成形時の熱収縮による変形量を減少させた。これにより、補強性能と射出成形時の変形抑制の両者をバランスよく確保した。
【0048】
(試験データ)
第2リブ82のように、立壁状に形成されるリブは、上下連結されなくとも、熱変形を抑制する効果がある。
【0049】
図5は、試験データのグラフであり、リフレクター部の下方端部から折り返されて延出する延出面に立壁状リブを設けた際の、立壁状リブの長さ(成形距離)と射出成形時の熱収縮による変形量の関係を示す。立壁状のリブは、折り返し部から所定の高さで形成される。横軸は立壁状のリブの長さを示し、右へいくほど立壁状のリブの成形距離が長くなる。縦軸は射出成形時の変形量を示し、上にむかうほど変形量が大きくなる。比較のため、従来品の値を点線で示した。
【0050】
図5に示すように、延出面から突出する立壁状リブ、即ち、リフレクター部と連結されないリブであっても、成形時の変形を抑制する効果があり、さらに、立壁状リブは長く設けられるほど、成形時の熱変形量は小さくなり、変形抑制の効果が高くなる。立壁状のリブが延出端部まで設けられると、成形時の変形量が最も小さくなることから、本実施形態では、延出端部まで第2リブ82を設けて、成形変形量を抑制した。
【0051】
また、立壁状リブは、その高さ(突出高)が低くとも成形時の変形を抑制する効果がある。成形時の熱量を抑えて成形不良を抑制するためにも、その高さは所定値以下であることが好ましい。具体的には、第2リブ82の最大高さが0mm超~5mm以下であると、好ましく、最大高さが3mm以下であると、より好ましい。
【0052】
第1リブ81についても同様であり、第1リブ81の最大高さが3mm以下であると、狭小空間SPの成形熱を抑えることができるため、好ましい。
【0053】
本実施形態においては、第1リブ81は、第1延出部71aの先端から後端部に亘って、上下方向に横断して設けられていたが、これに限らず、第1リブ81が第1延出部71aの途中まで設けられ、第1延出部71aの途中から第2リブ82が連続して形成される構成であってもよい。また全ての第1リブ81が同じ形状であったが、第2リブ82と連結される第1リブ81は、成形時の熱量を抑えるために、他の第1リブ81よりも、短く低く、小さく構成されても問題ない。
【0054】
第1リブ81と第2リブ82とが曲線的、または階段状に連結される形態、もしくは第1リブ81と第2リブ82の間に、徐々に減高する中間リブが設けられる形態であってもよい。
【0055】
折り返し部となる延出面71においては、延出面71の延出端部はリフレクター部60の背面端部よりも、より背面側へ延出し、延出距離も100mm以上となっている。体積が大きいことから射出成形時の熱量も大きく、成形時に変形を起こしやすい形態であるが、第2リブ82により、成形時の変形を許容量以下に抑えられ、変形によるリフレクター部60の配光への悪影響も抑えられる。延出距離が長い場合、本開示の構成の効果も大きく、好適である。
【0056】
下ブラケット部70などの外部から視認されない非意匠部とともに一体成形される部品が、リフレクター部60などの配光を形成する光学部材や、緻密なエンブレムが施されている意匠面等、所定の機能や意匠を構成する意匠部である場合、求められる成形寸法も厳格であり、本開示の構成に好適である。
【0057】
リフレクターユニット40の構成部材が、ポリカーボネイト樹脂(polycarbonate)などの冷却変形量の大きな樹脂材料であると、本構成の効果が大きいため、より好適である。
【0058】
(変形例)
本開示の構成は、上記内容に限られない。変形例について、図6を用いて説明する。同等の構成を持つものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
図6(A)に示すように、リフレクターユニット140は、リブ180に第2リブ182を備える。第2リブ182は延出端部に向かって高さが減少する略三角形状となっている。立壁状のリブが略三角形状であっても、矩形の第2リブ82と同様に、成形変形を抑制でき、なおかつ金型からの抜け特性も向上させ、また、矩形よりも全体の重量が抑制でき、成形時の熱量も抑制できる。このため、立壁状のリブは、端部に向かって高さが減高する構成でもよい。端部に向かっての高さの減少は、直線的な減少のみならず、曲線的な減少、階段状の段階的な減少なども含まれる。
【0060】
図6(B)に示すように、リフレクターユニット240は、リブ280に第1リブ281を備える。第1リブ281は、その側端部に、矩形の切り欠き部281aが形成されいる。第1リブ281は、上下方向に下ブラケット部70とリフレクター部60とに連結されており、切り欠かれた下部の一端から第2リブ82が連続して形成されている。切り欠き部281aにより、狭小空間SPの成形時の熱量が減少し、成形時の変形量を抑制することができ、金型からの抜き特性も向上する。このように、第1リブには切り欠きが設けられた形状であってもよい。切り欠き形状は、矩形状に限らず、三角形状や半円形状などの曲線形状でも問題ない。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 :車両用灯具
40 :リフレクターユニット
60 :リフレクター部
70 :下ブラケット部
71 :延出面
80 :リブ
81 :第1リブ
82 :第2リブ
SP :狭小空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6