(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】パネル収納容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20241010BHJP
B65D 85/42 20060101ALI20241010BHJP
B65D 85/48 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/42 500
B65D85/48
(21)【出願番号】P 2021064186
(22)【出願日】2021-04-05
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和正
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0015972(KR,A)
【文献】特開2019-127272(JP,A)
【文献】特開2019-031297(JP,A)
【文献】特開2004-250084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/42
B65D 85/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを収納するための容器本体と、
前記容器本体の内部に設けられ、前記複数のパネルを支持するパネル支持部と、
を備え、
前記パネル支持部は、前記複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向に延びる第1シャフトを備え、
前記容器本体は、前記第1シャフトを固定するための第1支柱を備え、
前記第1シャフトは、前記第1方向における両端部である第1端部及び第2端部を有し、
前記第1支柱には、前記第1端部が嵌め合わされる第1嵌合穴が設けられ、
前記第1嵌合穴は、前記第1方向において前記容器本体の内部に向かうにつれて上方に傾斜している、パネル収納容器。
【請求項2】
前記第1嵌合穴は、前記第2端部の高さが前記第1端部の高さと同じか前記第1端部の高さよりも高くなるように傾斜している、請求項1に記載のパネル収納容器。
【請求項3】
前記第1嵌合穴が水平方向に対して傾斜する傾斜角は、前記第1シャフトの長さ、直径、及びヤング率に基づいて決定される、請求項1又は請求項2に記載のパネル収納容器。
【請求項4】
前記第1嵌合穴が水平方向に対して傾斜する傾斜角は、0.05度以上1.00度以下である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項5】
前記パネル支持部は、前記パネルを支持するための前記第1方向に延びる第2シャフトと、前記第2シャフトを支持する支持体と、を更に備え、
前記容器本体は、前記第2シャフトを固定するための第2支柱を更に備え、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとは、前記第1方向と交差する第2方向に配列されており、
前記第2シャフトは、前記第1方向における両端部である第3端部及び第4端部を有し、
前記第2支柱には、前記第3端部が嵌め合わされる第2嵌合穴が設けられ、
前記第1嵌合穴は、前記第2嵌合穴よりも上方に傾斜している、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項6】
前記第1嵌合穴は、前記第2端部の高さが、前記第4端部の高さと同じか前記第4端部の高さよりも高くなるように傾斜している、請求項5に記載のパネル収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル用ガラス基板等のパネルを扱う製造工程において、矩形形状のパネルを製造装置から別工程の製造装置に移送する際、及びパネルを一時的に保管する際に、複数のパネルを収納するパネル収納容器が用いられる。例えば、特許文献1には、パネルを収納する容器本体と、容器本体に設けられた開口部を開閉自在に覆う蓋体と、を備えるパネル収納容器が記載されている。このパネル収納容器の内部には、1枚のパネルの中央下面を支持する長尺のサポート部材(シャフト)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパネル収納容器では、シャフトの後端部のみが支柱に固定されている。このため、シャフトの自重によりシャフトの先端が設計上の高さよりも下がることがある。この場合、シャフトの下の収納段にパネルを搬入する際、又は下の収納段からパネルを搬出する際に、パネルがシャフトと干渉し、パネルが破損するおそれがある。
【0005】
本開示は、パネルの破損を抑制可能なパネル収納容器を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るパネル収納容器は、複数のパネルを収納するための容器本体と、容器本体の内部に設けられ、複数のパネルを支持するパネル支持部と、を備える。パネル支持部は、複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向に延びる第1シャフトを備える。容器本体は、第1シャフトを固定するための第1支柱を備える。第1シャフトは、第1方向における両端部である第1端部及び第2端部を有する。第1支柱には、第1端部が嵌め合わされる第1嵌合穴が設けられる。第1嵌合穴は、第1方向において容器本体の内部に向かうにつれて上方に傾斜している。
【0007】
このパネル収納容器では、第1シャフトの第1端部が嵌め合わされる第1嵌合穴は、第1方向において容器本体の内部に向かうにつれて上方に傾斜している。このため、第1シャフトの自重が加わらないと仮定した場合の第2端部の高さは、第1端部の高さよりも高くなる。したがって、第1シャフトの自重により第2端部が垂れ下がったとしても、第1シャフトの第2端部が、第1シャフトの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性を低減することができる。その結果、パネルの破損を抑制することが可能となる。
【0008】
第1嵌合穴は、第2端部の高さが第1端部の高さと同じか第1端部の高さよりも高くなるように傾斜してもよい。この場合、第1シャフトの第2端部が、第1シャフトの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性を更に低減することができる。その結果、パネルの破損を更に抑制することが可能となる。
【0009】
第1嵌合穴が水平方向に対して傾斜する傾斜角は、第1シャフトの長さ、直径、及びヤング率に基づいて決定されてもよい。第1シャフトの自重によるたわみ量は、第1シャフトの長さ、直径、及びヤング率に影響を受ける。したがって、第1シャフトの長さ、直径、及びヤング率を考慮することによって、第1嵌合穴の傾斜角を適切に定めることができる。
【0010】
第1嵌合穴が水平方向に対して傾斜する傾斜角は、0.05度以上1.00度以下であってもよい。第1嵌合穴の傾斜角を上記範囲に設定することで、第1シャフトの第2端部が、第1シャフトの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性をより一層低減することができる。その結果、パネルの破損をより一層抑制することが可能となる。
【0011】
パネル支持部は、パネルを支持するための第1方向に延びる第2シャフトと、第2シャフトを支持する支持体と、を更に備えてもよい。容器本体は、第2シャフトを固定するための第2支柱を更に備えてもよい。第1シャフトと第2シャフトとは、第1方向と交差する第2方向に配列されてもよい。第2シャフトは、第1方向における両端部である第3端部及び第4端部を有してもよい。第2支柱には、第3端部が嵌め合わされる第2嵌合穴が設けられてもよい。第1嵌合穴は、第2嵌合穴よりも上方に傾斜してもよい。第2シャフトは、第2支柱だけでなく、支持体によっても支持されている。このため、第2シャフトの自重により第4端部が垂れ下がる量は、第1シャフトの自重により第2端部が垂れ下がる量よりも小さい。したがって、第1嵌合穴が、第2嵌合穴よりも上方に傾斜することによって、第2端部の高さと第4端部の高さとの差を低減することができる。その結果、パネルを安定して支持することが可能となる。
【0012】
第1嵌合穴は、第2端部の高さが、第4端部の高さと同じか第4端部の高さよりも高くなるように傾斜してもよい。この場合、第1シャフトの第2端部が、第1シャフトの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性を更に低減することができる。その結果、パネルの破損を更に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、パネルの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるパネル収納容器の背面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されるパネル収納容器の底面図である。
【
図7】
図7(a)は、
図5のVIIa-VIIa線に沿った断面図である。
図7(b)は、
図5のVIIb-VIIb線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向;第2方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向;第1方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向)である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0016】
図1及び
図2を参照して、一実施形態に係るパネル収納容器を説明する。
図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
図2は、
図1に示されるパネル収納容器の背面斜視図である。
図1及び
図2に示されるパネル収納容器1は、複数のパネルを収納するための容器である。パネル収納容器1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。パネルの例としては、液晶パネル用のガラス基板、及び電子部品を搭載したパネルが挙げられる。パネルは、矩形形状を有する。パネルのサイズの例としては、510mm×515mm及び600mm×600mmが挙げられる。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数は、任意に定められており、例えば、6枚でもよく、12枚でもよい。
【0017】
パネル収納容器1は、例えば、電子部品を製造する製造装置に使用される。電子部品は、例えば、ガラス板及びステンレス板といった大型のキャリアパネル上に多数の電子部品を搭載する工程、これらの電子部品をエポキシ樹脂等で封止する工程、封止された電子部品をパネル形態でキャリアパネルから剥がす工程、及びパネル形態の電子部品を個別に切り出す工程等を経て製造される。パネル収納容器1は、これらの工程間でパネルを移送するために用いられる。
【0018】
パネル収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、を備えている。
【0019】
容器本体2は、正面(前面)が開放された直方体形状の容器である。言い換えると、容器本体2は、前面に開口2aが設けられたフロントオープンボックス型の容器である。容器本体2は、複数のパネルを収納する。開口2aを介してパネルが容器本体2に出し入れされる。容器本体2の詳細は後述する。
【0020】
蓋体3は、容器本体2の開口2aを閉塞するための部材である。蓋体3は、ガスケット等の封止部材を介して容器本体2の開口2aを気密に閉塞する。蓋体3は、開口2aを画定するフランジ25に着脱自在に取り付けられる。蓋体3は、蓋本体31と、施錠機構32と、を備えている。蓋本体31は、蓋体3の本体部分である。蓋本体31は、矩形状の板材である。蓋本体31は、例えば、金属材料で構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム、及びマグネシウム合金が挙げられる。蓋本体31の前面には、鍵穴33が設けられている。鍵穴33には、不図示の鍵が挿入される。
【0021】
施錠機構32は、鍵穴33に挿入された鍵が操作されることによって、蓋体3を施錠又は解錠する。施錠機構32は、不図示のラッチを備えている。蓋体3がフランジ25に取り付けられた状態で、鍵の操作によりラッチがフランジ25に設けられた施錠穴25hに嵌入されることによって蓋体3が施錠される。蓋体3が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴25hから引き抜かれることよって蓋体3が解錠される。
【0022】
容器本体2及び蓋体3は、金属材料又は樹脂材料で成形される複数の部品を組み合わせることによって構成される。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂として、これらのアロイが用いられてもよい。
【0023】
これらの樹脂には、導電物質、及び各種帯電防止剤が添加されてもよい。導電物質は、例えば、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、又は導電性ポリマー等からなる。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系等の帯電防止剤が用いられ得る。ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されてもよい。剛性を向上させるガラス繊維又は炭素繊維等も選択的に添加されてもよい。
【0024】
次に、
図3を更に参照して、容器本体2を詳細に説明する。
図3は、
図1に示される枠体の正面図である。
図1~
図3に示されるように、容器本体2は、天板21と、底板22と、一対の側壁23と、背面壁24と、フランジ25と、枠体26と、台座部27と、一対のレール部材28と、サイドプレート29と、一対のカバー部材C1と、一対のカバー部材C2と、一対のカバー部材C3と、を備えている。
【0025】
天板21、底板22、側壁23、及び背面壁24は、略矩形状の板材である。天板21と底板22とは、上下方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。一対の側壁23は、左右方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。左側の側壁23は、天板21の左端と底板22の左端とを連結している。右側の側壁23は、天板21の右端と底板22の右端とを連結している。背面壁24は、天板21の後端と底板22の後端とを連結するとともに、一対の側壁23の後端を連結している。天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24によって、収容空間20が画定される。
【0026】
天板21、底板22、及び側壁23は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。背面壁24は、例えば、容器本体2の外部から収容空間20を目視可能な透明の樹脂材料によって構成される。背面壁24の一部が透明の樹脂材料で構成されてもよい。透明な樹脂材料の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0027】
フランジ25は、矩形状の枠体であって、天板21の前端、底板22の前端、及び一対の側壁23の前端に亘って設けられている。フランジ25によって、開口2aが画定される。フランジ25は、例えば、上述の樹脂材料によって構成される。フランジ25の上枠部及び下枠部のそれぞれには、左右方向に離間して配列された2つの施錠穴25hが設けられている。上枠部の施錠穴25hと下枠部の施錠穴25hとは上下方向において互いに向かい合う位置に設けられている。
【0028】
枠体26は、天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24を固定するために用いられる。枠体26は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム、及びステンレスが挙げられる。枠体26は、背面壁24の前面に設けられる。枠体26は、上枠材26aと、下枠材26bと、一対の側枠材26cと、支柱26d(第1支柱)と、一対の支柱26e(第2支柱)と、を有している。上枠材26a及び下枠材26bは、左右方向に延びる柱状部材である。上枠材26a及び下枠材26bは、上下方向において互いに離間するとともに、略平行に配置されている。
【0029】
一対の側枠材26cは、上下方向に延びる柱状部材である。一対の側枠材26cは、左右方向において互いに離間するとともに、略平行に配置されている。上枠材26a及び下枠材26bの左端は、ネジによって左側の側枠材26cに固定されている。上枠材26a及び下枠材26bの右端は、ネジによって右側の側枠材26cに固定されている。つまり、上枠材26aの左端と下枠材26bの左端とが左側の側枠材26cによって連結され、上枠材26aの右端と下枠材26bの右端とが右側の側枠材26cによって連結されている。
【0030】
支柱26d及び一対の支柱26eは、上下方向に延びる柱状部材である。一方の支柱26e、支柱26d、及び他方の支柱26eは、左右方向においてその順に配列され、互いに略平行に配置されている。支柱26d及び一対の支柱26eの上端は、ネジによって上枠材26aに固定されている。支柱26d及び一対の支柱26eの下端は、ネジによって下枠材26bに固定されている。支柱26dは、枠体26の左右方向における中心に設けられ、一対の支柱26eは、枠体26の左右方向における両端近傍に設けられる。
【0031】
支柱26dは、後述するシャフト61a(第1シャフト)を固定するための部材である。支柱26dには、シャフト61aを取り付けるための複数の嵌合穴26g(第1嵌合穴)が設けられている。これらの嵌合穴26gは、支柱26dの前面から後方に向けて窪んでいる。支柱26eは、後述するシャフト62a(第2シャフト)を固定するための部材である。支柱26eには、シャフト62aを取り付けるための複数の嵌合穴26h(第2嵌合穴)が設けられている。これらの嵌合穴26hは、支柱26eの前面から後方に向けて窪んでいる。
【0032】
台座部27は、容器本体2のベースとなる部分である。台座部27は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。台座部27は、底板22の下面に設けられる。台座部27は、複数の柱状の支持部材を組み合わせることによって構成されている。
【0033】
一対のレール部材28は、容器本体2を載置するための部分である。一対のレール部材28は、例えば、パネル収納容器1がコンベアによって搬送される際にコンベアに載置される。各レール部材28は、前後方向に延びる板状部材である。レール部材28は、例えば、上述の樹脂材料によって構成されている。
【0034】
サイドプレート29は、後述の支持体65(保持部材)を取り付けるための部材である。サイドプレート29は、上下方向に延びる板状部材である。サイドプレート29は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。サイドプレート29は、側壁23の本体部23aの外面に設けられる。本実施形態では、各側壁23に2つのサイドプレート29が設けられる。2つのサイドプレート29は、前後方向に配列され、互いに略平行に配置されている。1つのサイドプレート29は、側壁23の前後方向における中心付近に設けられ、もう1つのサイドプレート29は、側壁23の前後方向における前端近傍に設けられる。各サイドプレート29の上端は、ネジによって側壁23の上端部23bに固定されている。各サイドプレート29の下端は、ネジによって側壁23の下端部23cに固定されている。
【0035】
カバー部材C1~C3は、収容空間20へのパーティクル(粒子)の侵入を防止するための部材である。カバー部材C1~C3は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。一対のカバー部材C1は、天板21と側壁23とフランジ25とによって形成される角部に設けられる。一対のカバー部材C2は、天板21と側壁23と背面壁24とによって形成される角部に設けられる。一対のカバー部材C3は、底板22と側壁23と背面壁24とによって形成される角部に設けられる。
【0036】
次に、
図4を参照して、容器本体2の底部に設けられる部材を説明する。
図4は、
図1に示されるパネル収納容器の底面図である。
図4に示されるように、パネル収納容器1は、ベース基板51と、取付プレート52と、取付プレート53と、位置決め部材54と、給排気機構55と、を更に備えている。
【0037】
ベース基板51は、位置決め部材54、及び給排気機構55を取り付けるための基板である。ベース基板51は、矩形状の板材である。ベース基板51は、台座部27の下方に設けられている。ベース基板51には、位置決め部材54を取り付けるための取付孔(不図示)と、給排気機構55を取り付けるための貫通孔51hと、が設けられている。本実施形態では、位置決め部材54を取り付けるための取付孔(以下、「取付孔」と称する場合がある。)の数は、3つであり、当該3つの取付孔は、ベース基板51の中心から放射状に延びている。ベース基板51の前部分の両端付近に2つの取付孔が設けられ、ベース基板51の後部分の左右方向における中心付近に1つの取付孔が設けられている。本実施形態では、4つの貫通孔51hが設けられている。4つの貫通孔51hは、ベース基板51の四隅付近に設けられている。
【0038】
取付プレート52,53は、位置決め部材54をベース基板51に取り付けるための部材である。取付プレート52,53は、板状部材である。取付プレート52,53は、例えば、上述の樹脂材料によって構成されている。取付プレート52は、ベース基板51の前部分の下面に設けられる。取付プレート52には、位置決め部材54を露出させるための2つの貫通孔52gが設けられている。取付プレート52には、2つの貫通孔52gの間に、パネル収納容器1を固定するために用いられる貫通孔が更に設けられている。取付プレート53は、ベース基板51の後部分の下面に設けられる。取付プレート53には、位置決め部材54を露出させるための貫通孔53gが設けられている。
【0039】
位置決め部材54は、搬送装置又は加工装置等の外部装置がパネル収納容器1(容器本体2)の位置決めを行うために用いられる部材である。位置決め部材54は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。位置決め部材54は、V字状の板材である。位置決め部材54は、底板22に向かって(上方に)窪むように、ベース基板51の取付孔に嵌め合わされている。位置決め部材54のV字面によってV字状の溝が画定される。V字面には、耐摩耗性の表面処理が施されている。本実施形態では、容器本体2は、3つの位置決め部材54を備えている。
【0040】
ベース基板51の前部分に設けられた2つの取付孔に、2つの位置決め部材54が嵌め合わされており、位置決め部材54のV字面が貫通孔52gから露出するように取付プレート52がベース基板51の下面に取り付けられている。位置決め部材54の両端がベース基板51と取付プレート52とによって挟持されている。同様に、ベース基板51の後部分に設けられた1つの取付孔に、1つの位置決め部材54が嵌め合わされており、位置決め部材54のV字面が貫通孔53gから露出するように取付プレート53がベース基板51の下面に取り付けられている。位置決め部材54の両端がベース基板51と取付プレート53とによって挟持されている。
【0041】
外部装置が有するピンが各位置決め部材54のV字面に当接することによって、パネル収納容器1が位置決めされる。具体的には、V字面によってV字状の溝にピンが誘導される。パネル収納容器1は3つの位置決め部材54を備えているので、パネル収納容器1は3点で支持される。したがって、パネル収納容器1の位置が精度良く定まる。位置決め部材54の数及び配置は、適宜変更されてもよい。
【0042】
給排気機構55は、パネル収納容器1の内部(収容空間20)の清浄性及び低湿度を保つために、収容空間20内にガスを供給し、収容空間20からガスを排出するための機構である。収容空間20内に供給されるガスの例としては、不活性ガスが挙げられる。本実施形態では、容器本体2は、4つの給排気機構55を備えている。各給排気機構55は、底板22とベース基板51との間に設けられている。各給排気機構55は、底板22に設けられた貫通孔22h(
図5参照)及びベース基板51に設けられた貫通孔51hを介して、ガスを収容空間20に供給し、又はガスを収容空間20から排出する。本実施形態では、前方に設けられた2つの給排気機構55が、収容空間20からガスを排出し、後方に設けられた2つの給排気機構55が、収容空間20にガスを供給する。なお、給排気機構55の数、配置、及び機能は、任意に変更され得る。
【0043】
次に、
図5及び
図6を参照して、収容空間20内の構成を説明する。
図5は、
図2のV-V線に沿った断面図である。
図6は、
図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図5に示されるように、パネル収納容器1は、パネル支持部60を更に備えている。パネル支持部60は、複数のパネルを支持するための部分である。パネル支持部60は、容器本体2の内部(収容空間20)に設けられている。パネル支持部60は、複数の支持部61と、複数の支持部62と、複数のストッパ63と、複数のストッパ64(保持部材)と、を備えている。
【0044】
支持部61、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64の数は、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数に応じて変更される。本実施形態では、パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64と、を備えている。言い換えると、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64とによって、1枚のパネルを収納する収納段が形成される。
【0045】
支持部61は、パネルの左右方向における中央部を支持するための部分である。支持部61は、シャフト61aと、複数の弾性体61bと、を有している。シャフト61aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト61aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト61aは、シャフト61aの延在方向(前後方向)における両端部である端部61c(第1端部;
図7(a)参照)及び端部61d(第2端部)を有している。端部61cが支柱26dの嵌合穴26gに嵌入され、ネジによって支柱26dに固定される。シャフト61aが支柱26dに固定される態様については、後述する。シャフト61aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト61aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。
【0046】
弾性体61bは、シャフト61aの外周面に設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体61bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。パネルの滑り防止の観点から、弾性体61bは、シャフト61aよりも高い摩擦力を有してもよい。パネルの損傷防止の観点から、弾性体61bは、シャフト61aよりも高い弾力性(クッション性)を有してもよい。弾性体61bは、例えば、ゴム材によって構成される。ゴム材の例としては、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、シリコンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。弾性体61bは、例えばOリングである。複数の弾性体61bは、シャフト61aの延在方向に一定の間隔で配列されている。位置決め精度向上の観点から、互いに隣り合う2つの弾性体61bの間隔は、50mm~100mmの範囲であってもよい。
【0047】
支持部62は、パネルの左右方向の両端部を支持するための部分である。支持部62は、シャフト62aと、複数の弾性体62bと、複数の支持体65と、を有している。シャフト62aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト62aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト62aは、シャフト62aの延在方向(前後方向)における両端部である端部62c(第3端部;
図7(b)参照)及び端部62d(第4端部)を有している。シャフト62aの端部62cが支柱26eの嵌合穴26hに嵌入され、ネジによって支柱26eに固定される。シャフト62aが支柱26eに固定される態様については、後述する。
【0048】
シャフト62aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト62aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト62aの前後方向における長さは、パネルの前後方向における長さよりも僅かに長く、シャフト61aの前後方向における長さよりも長い。シャフト61aと一対のシャフト62aとは、左右方向に配列されている。一対のシャフト62aの間に、シャフト61aが配置されている。
【0049】
弾性体62bは、シャフト62aの外周面に設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体62bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。弾性体62bの構成材料及び配列は、弾性体61bの構成材料及び配列と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0050】
支持体65は、シャフト62aを保持(支持)するとともに、パネルの左右方向における端部を支持するための部材である。
図6に示されるように、支持体65は、載置部65aと、取付部65bと、を有している。載置部65aは、パネルの左右方向における端部が載置される部分である。載置部65aは、左右方向に延びる略直方体形状を有している。載置部65aの上面にパネルの左右方向における端部が載置される。載置部65aの先端部分には、シャフト62aを挿通するための挿通孔65cが設けられている。挿通孔65cは、載置部65aを前後方向に貫通している。
【0051】
取付部65bは、支持体65をサイドプレート29に取り付けるための部分である。取付部65bは、載置部65aの基端に設けられている。取付部65bは、載置部65aの上面よりも上方に突出しており、支持体65の基端から先端に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面65dを有している。取付部65bには、取付部65bの端面から左右方向に延びるネジ穴が設けられている。取付部65bの先端部が本体部23aの貫通孔に挿通され、サイドプレート29の内面に設けられた凹部に嵌め合わされる。この状態で、サイドプレート29の外側からサイドプレート29に設けられた挿通孔にネジが挿通され、取付部65bに設けられたネジ穴にネジが螺合される。これにより、支持体65とサイドプレート29とによって側壁23(本体部23a)を挟み込んだ状態で、支持体65がサイドプレート29に固定される。
【0052】
ストッパ63は、パネルの飛び出しを防止するとともにパネルの前端の位置を決めるための部材である。ストッパ63は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ63は、シャフト62aの端部62dに設けられている。例えば、シャフト62aの端部62dをストッパ63に設けられた取付穴に嵌入することによって、ストッパ63がシャフト62aに取り付けられる。ストッパ63は、弾性体62bの外径よりも大きい外径を有する円板状の係止片63aを有している。係止片63aは、外周面から中心に向かうにつれて後方に傾斜する傾斜面を有している。
【0053】
ストッパ64は、パネルの後端の位置を決めるための部材である。ストッパ64は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ64は、シャフト62aの端部62cに設けられている。ストッパ64は、ブロック状の形状を有している。ストッパ64には、前後方向にシャフト62aを挿通するための挿通孔が設けられている。ストッパ64の挿通孔にシャフト62aが挿通された状態で、ストッパ64の後面が支柱26eの前面に当接され、ネジによってストッパ64が支柱26eに固定される。ストッパ64は、上面から下方に向かうにつれて前方に傾斜する傾斜面64aを有している。
【0054】
ストッパ63、ストッパ64、及び支持体65によって、パネルが載置される載置位置が規定される。具体的には、ストッパ63,64によってパネルの前後方向における載置位置が規定され、左右に設けられた4つの支持体65によってパネルの左右方向における載置位置が規定される。例えば、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、誤差等によってパネルの位置が僅かにずれることがある。例えば、パネルの前端がストッパ63の係止片63aの傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの後端がストッパ64の傾斜面64a上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって傾斜面64aに沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの側端が支持体65の傾斜面65d上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって傾斜面65dに沿って載置位置に誘導される。
【0055】
次に
図7(a)及び
図7(b)を参照して、シャフト61a,62aの固定態様を詳細に説明する。
図7(a)は、
図5のVIIa-VIIa線に沿った断面図である。
図7(b)は、
図5のVIIb-VIIb線に沿った断面図である。
【0056】
図7(a)に示されるように、嵌合穴26gは、支柱26dの前面から後方に向けて窪んでいる凹部である。嵌合穴26gは、前方に向かうにつれて上方に傾斜している。言い換えると、嵌合穴26gは、前後方向において容器本体2の内部に向かうにつれて上方に傾斜している。つまり、
図7(a)に示される傾斜角θは、0度よりも大きい。傾斜角θは、嵌合穴26gが水平方向H(Y軸方向)に対して傾斜する角度である。傾斜角θが正の値であることは、嵌合穴26gは、前方に向かうにつれて上方に向かうように傾斜していることを意味する。傾斜角θは、例えば、0.05度以上である。傾斜角θは、例えば、1.00度以下である。さらに、嵌合穴26gは、嵌合穴26hよりも上方に傾斜している。
【0057】
嵌合穴26gにシャフト61aの端部61cが嵌め合わされ、ネジによって端部61cが支柱26dに固定される。したがって、端部61cにおいて、シャフト61aの軸心AX1は、水平方向Hに対して傾斜角θだけ上方に傾いている。シャフト61aは、端部61cにおいてのみ支持(固定)されているので、端部61cから端部61dに向けて離れるほど、シャフト61aの自重が加わる。したがって、シャフト61aの自重が加わらないと仮定した場合の端部61dの高さよりも、端部61dの高さは下方に垂れ下がる。嵌合穴26gは、端部61dの高さ(上下方向における位置)が端部61cの高さ(上下方向における位置)と同じか、それよりも高くなるように傾斜している。嵌合穴26gは、端部61dの高さ(上下方向における位置)が端部62dの高さ(上下方向における位置)と同じか、それよりも高くなるように傾斜している。
【0058】
図7(b)に示されるように、嵌合穴26hは、支柱26eの前面から後方に向けて窪んでいる凹部である。嵌合穴26hは、水平方向Hに延びている。言い換えると、嵌合穴26hが水平方向H(Y軸方向)に対して傾斜する角度は、略0度である。嵌合穴26hにシャフト62aの端部62cが嵌め合わされ、ネジによって端部62cが支柱26eに固定される。したがって、端部62cにおいて、シャフト62aの軸心AX2は、水平方向Hに延びている。シャフト62aは、端部62cだけでなく、シャフト62aの前後方向における中心付近及び端部62d付近においても支持体65によって支持(固定)されている。このため、シャフト62aは、シャフト62aの自重の影響を受けにくく、シャフト62aの全長に亘って略同じ高さに維持されている。
【0059】
次に、傾斜角θの決定方法の一例を説明する。傾斜角θは、例えば、シャフト61aの長さL、直径d、及びヤング率Εに基づいて決定される。具体的には、まずシャフト61aの自重によるたわみ量δが計算される。たわみ量δは、シャフト61aの先端におけるたわみ量である。式(1)に示されるように、たわみ量δは、等分布荷重wと、長さLと、ヤング率Εと、断面二次モーメントIと、に基づいて計算される。なお、長さLは、支柱26dに嵌入されている部分を除くシャフト61aの長さであり、シャフト61aのうちの支柱26dから露出している部分の長さである。
【数1】
【0060】
式(2)に示されるように、等分布荷重wは、シャフト61aの密度ρと、重力加速度gと、シャフト61aの断面積Aと、を乗算することによって計算される。
【数2】
【0061】
式(3)に示されるように、断面二次モーメントIは、シャフト61aの直径dに基づいて計算される。
【数3】
【0062】
そして、シャフト61aの自重が加わらないと仮定した場合におけるシャフト61aの先端(端部61d)の高さが、少なくともたわみ量δ分だけ上方に位置するように、傾斜角θが決定される。つまり、式(4)に示されるように、傾斜角θ
minは、たわみ量δと長さLとに基づいて計算される。傾斜角θ
minは、傾斜角θの下限値である。
【数4】
【0063】
具体的な計算例を説明する。ここでは、シャフト61aの構成材料(材質)がステンレス(SUS304)である場合、及びシャフト61aの構成材料(材質)がアルミニウム(A5052)である場合のそれぞれについて、パネル収納容器1に収容可能なパネルの枚数が6枚及び12枚である場合について、傾斜角θが計算される。シャフト61aの長さLは、パネル収納容器1に収納されるパネルのサイズに応じて変更される。ここでは、パネルのサイズが510mm×515mmであると仮定し、長さLは520mmに設定されている。シャフト61aの直径dは、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数に応じて変更され得る。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合、直径dは9mmに設定されている。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合、直径dは6mmに設定されている。ヤング率Ε及び密度ρとしては、シャフト61aの構成材料のヤング率及び密度が用いられている。表1に計算結果が示される。
【表1】
【0064】
パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合、傾斜角θminは約0.17度である。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合、傾斜角θminは約0.08度である。傾斜角θは、傾斜角θmin以上に設定される。なお、たわみ量δは、加工精度及び組立精度の影響を受けることがある。したがって、上記いずれの場合においても、傾斜角θは、例えば、0.25度に設定される。
【0065】
次に、パネル収納容器1の作用効果を説明する。上述のように、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、載置位置(シャフト61a及び一対のシャフト62a)の上方にパネルが搬入され、パネルが載置位置に降ろされる。したがって、シャフト61aの端部61dが設計上の高さよりも垂れ下がっていた場合には、シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬入時にロボット又はパネルと干渉し、パネルが破損するおそれがある。同様に、パネル収納容器1に収納されているパネルがロボットによって搬出される場合、載置位置に載置されているパネルがロボットによって上方に持ち上げられ、その後、収容空間20からパネル収納容器1の外部に搬出される。したがって、シャフト61aの端部61dが設計上の高さよりも垂れ下がっていた場合には、シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬出時にロボット又はパネルと干渉し、パネルが破損するおそれがある。
【0066】
一方、パネル収納容器1においては、シャフト61aの端部61cが嵌め合わされる嵌合穴26gは、前後方向において容器本体2の内部に向かうにつれて上方に傾斜している。このため、シャフト61aの自重が加わらないと仮定した場合の端部61dの高さは、端部61cの高さよりも高くなる。したがって、シャフト61aの自重により端部61dが垂れ下がったとしても、端部61dが、シャフト61aの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性を低減することができる。その結果、パネルの破損を抑制することが可能となる。
【0067】
嵌合穴26gは、端部61dの高さが端部61cの高さと同じか端部61cの高さよりも高くなるように傾斜している。このため、シャフト61aの全長に亘って、シャフト61aの高さは、端部61cの高さと同じかそれよりも高い。したがって、端部61dが、シャフト61aの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性を更に低減することができる。その結果、パネルの破損を更に抑制することが可能となる。
【0068】
なお、上述のように、パネルが収納段に搬入される場合、載置位置(シャフト61a及び一対のシャフト62a)の上方にパネルが搬入され、パネルが載置位置に降ろされる。したがって、端部61dの高さが端部61cの高さよりも高くても、パネルの搬入時にシャフト61aがロボット又はパネルと干渉する可能性は低い。さらに、パネルの重量によって、シャフト61aがシャフト62aと同じ高さまで押さえられるので、パネルは安定して支持される。同様に、パネル収納容器1に収納されているパネルがロボットによって搬出される場合、載置位置に載置されているパネルがロボットによって上方に持ち上げられ、その後、収容空間20からパネル収納容器1の外部に搬出される。したがって、端部61dの高さが端部61cの高さよりも高くても、パネルの搬出時にシャフト61aがロボット又はパネルと干渉する可能性は低い。
【0069】
シャフト61aの自重によるたわみ量は、シャフト61aの長さL、直径d、及びヤング率Εに影響を受ける。したがって、長さL、直径d、及びヤング率Εを考慮することによって、嵌合穴26gの傾斜角θを適切に定めることができる。
【0070】
傾斜角θは、0.05度以上1.00度以下である。傾斜角θをこの範囲に設定することで、端部61dが、シャフト61aの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性をより一層低減することができる。その結果、パネルの破損をより一層抑制することが可能となる。
【0071】
シャフト62aは、支柱26eだけでなく、2つの支持体65によっても支持されている。このため、シャフト62aの自重により端部62dが垂れ下がる量(たわみ量)は、シャフト61aの自重により端部61dが垂れ下がる量(たわみ量)よりも小さい。したがって、嵌合穴26gが、嵌合穴26hよりも上方に傾斜することによって、シャフト61aの先端(端部61d)の高さとシャフト62aの先端(端部62d)の高さとの差を低減することができる。その結果、パネルを安定して支持することが可能となる。
【0072】
嵌合穴26gは、シャフト61aの先端(端部61d)の高さが、シャフト62aの先端(端部62d)の高さと同じかシャフト62aの先端(端部62d)の高さよりも高くなるように傾斜している。このため、シャフト61aの全長に亘って、シャフト62aの先端(端部62d)の高さと同じかそれよりも高くなる。したがって、端部61dが、シャフト61aの下の収納段に搬入又は搬出されるパネルと干渉する可能性を更に低減することができる。その結果、パネルの破損を更に抑制することが可能となる。
【0073】
なお、本開示に係るパネル収納容器は上記実施形態に限定されない。
【0074】
上記実施形態では、固定部材の一例としてネジが用いられているが、ネジに代えて別の固定部材が用いられてもよい。
【0075】
容器本体2の各部材の連結方法は、上記実施形態と異なっていてもよい。上記実施形態では、容器本体2は、複数の部品を組み合わせることによって構成されているが、一体成形品であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、嵌合穴26g,26hは、凹部であるが、貫通孔であってもよい。嵌合穴26hは、嵌合穴26gと同様、前方に向かうにつれて(収容空間20に向かうにつれて)上方に傾斜していてもよい。この場合、嵌合穴26gの傾斜角θは、嵌合穴26hの傾斜角よりも大きくてもよい。
【0077】
パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、2以上の支持部61を備えてもよい。この場合、パネル支持部60は、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64を備えていなくてもよい。枠体26は、支柱26eを備えていなくてもよい。ストッパ64は、シャフト61aの端部61cに設けられてもよい。
【0078】
上記実施形態では、支持部62は、シャフト62a、複数の弾性体62b、及び複数の支持体65と、を有している。この構成に代えて、支持部62は、パネルの左右方向における端部を支持するための、前後方向に延びる板状の支持体を有してもよい。
【0079】
上記実施形態では、シャフト61aの自重により端部61dが垂れ下がった場合に、端部61d(シャフト61aの先端)がたわみ量δ分だけ上方に位置するように、傾斜角θminが計算されているが、傾斜角θminの計算方法はこれに限られない。シャフト61aの自重により端部61dが垂れ下がった場合に、端部61d(シャフト61aの先端)が、当該シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬入出エリアよりも上に位置するように、傾斜角θminは計算されてもよい。パネルの搬入出エリアとは、収納段にパネルが搬入又は搬出される際に、パネルが通過するエリアである。
【0080】
なお、シャフト61aの自重により端部61dが垂れ下がった場合に、端部61d(シャフト61aの先端)が、当該シャフト61aによって規定される収納段におけるパネルの搬入出エリアよりも下に位置するように、傾斜角θmaxが計算されてもよい。傾斜角θmaxは、傾斜角θの上限値である。この場合、傾斜角θは、傾斜角θmin以上、傾斜角θmax以下に設定される。
【符号の説明】
【0081】
1…パネル収納容器、2…容器本体、20…収容空間、26d…支柱(第1支柱)、26e…支柱(第2支柱)、26g…嵌合穴(第1嵌合穴)、26h…嵌合穴(第2嵌合穴)、60…パネル支持部、61a…シャフト(第1シャフト)、61c…端部(第1端部)、61d…端部(第2端部)、62a…シャフト(第2シャフト)、62c…端部(第3端部)、62d…端部(第4端部)、65…支持体、H…水平方向、θ…傾斜角。