(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】充電装置および充電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20241010BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241010BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241010BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241010BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/04 A
H02J7/10 H
(21)【出願番号】P 2021073202
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 奏一朗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼口 良輔
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/039212(WO,A1)
【文献】特開2013-009539(JP,A)
【文献】特開2000-209788(JP,A)
【文献】特開2011-239559(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129248(WO,A1)
【文献】特開2015-115980(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111463856(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを充電するための複数の電力供給ユニットと、
前記複数の電力供給ユニットと前記バッテリとの接続態様を切り替える接続切替部と、
前記バッテリの定電流充電が行われた後に定電圧充電が行われるように前記電力供給ユニットを制御する充電制御部と、
前記複数の電力供給ユニットから前記バッテリに供給される供給電流が、前記バッテリと接続される前記電力供給ユニットの数に応じて設定された所定電流値以下であるか否かを判定する電流低下判定部と、
前記バッテリに印加されているバッテリ電圧に基づいて、前記定電圧充電が行われているか否かを判定するCV充電判定部とを備え、
前記充電制御部は、
前記接続切替部を制御することで、前記バッテリの充電に使用する前記電力供給ユニットの使用ユニット数を変化させるように構成されており、
前記供給電流が前記所定電流値以下であると判定され、かつ、前記定電圧充電が行われていると判定されたとき、前記使用ユニット数を減らして前記バッテリの充電を継続させ、
前記供給電流が前記所定電流値以下で
あると判定され、かつ、前記定電圧充電が行われていないと判定されたとき、前記使用ユニット数を
維持して前記バッテリの充電を継続させる
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記バッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
前記バッテリ電圧の上限値に係る情報を予め記憶する情報記憶部とを備え、
前記CV充電判定部は、
前記バッテリ電圧が前記上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、前記定電圧充電が行われていると判定し、
前記バッテリ電圧が前記所定範囲内に含まれない場合は、前記定電圧充電が行われていないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記バッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
前記バッテリを備える電動車両から前記バッテリ電圧の上限値に係る信号を受信する信号受信部と、
受信した前記上限値に係る情報を記憶する情報記憶部とを備え、
前記CV充電判定部は、
前記バッテリ電圧が前記上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、前記定電圧充電が行われていると判定し、
前記バッテリ電圧が前記所定範囲内に含まれない場合は、前記定電圧充電が行われていないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記バッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
繰り返し検出された前記バッテリ電圧をバッテリ電圧値として記憶する電圧値記憶部とを備え、
前記CV充電判定部は、
所定時間当たりの前記バッテリ電圧値の変動量が所定判定量以下である場合は、前記定電圧充電が行われていると判定し、
前記所定時間当たりの前記バッテリ電圧値の変動量が前記所定判定量以下でない場合は、前記定電圧充電が行われていないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項5】
複数の電力供給ユニットを用いたバッテリの充電を制御する充電制御方法であって、
前記複数の電力供給ユニットを用いて定電流充電を開始する定電流充電開始ステップと、
前記定電流充電が行われた後に定電圧充電を開始する定電圧充電開始ステップと、
前記複数の電力供給ユニットから前記バッテリに供給される供給電流が、前記バッテリと接続される前記電力供給ユニットの数に応じて設定された所定電流値以下であるか否かを判定する電流低下判定ステップと、
前記バッテリに印加されているバッテリ電圧に基づいて、前記定電圧充電が行われているか否かを判定するCV充電判定ステップと、
前記供給電流が前記所定電流値以下であると判定され、かつ、前記定電圧充電が行われていると判定されたとき、前記バッテリの充電に使用する前記電力供給ユニットの使用ユニット数を減らして当該バッテリの充電を継続させる第1充電制御ステップと、
前記供給電流が前記所定電流値以下で
あると判定され、かつ、前記定電圧充電が行われていないと判定されたとき、前記バッテリの充電に使用する前記電力供給ユニットの使用ユニット数を
維持して当該バッテリの充電を継続させる第2充電制御ステップとを備える
ことを特徴とする充電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを充電する充電装置および充電制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複数の電力供給ユニットを用いて電動車両が備えるバッテリを充電する充電装置が知られており、電動車両のバッテリの充電方法としては、定電流充電(CC充電)を行った後に定電圧充電(CV充電)を行う定電流定電圧充電(CC-CV充電)が知られている。
【0003】
また、充電装置は、外部(電動車両)からの信号に基づいて、バッテリの異常発生時には供給電流を低減させるように構成されている。具体的には、例えば、電動車両は、バッテリの温度を検出する温度センサを備えるとともに、当該バッテリの温度が所定値以上であるときに電流低減要求信号を送信するように構成されており、充電装置は、当該電流低減要求信号を受信したときに、バッテリに供給される供給電流を低減させるように複数の電力供給ユニットを制御する。
【0004】
特許文献1には、バッテリを充電する電力供給ユニットの余剰電力を利用するために、バッテリの充電中に当該バッテリの充電に使用する電力供給ユニットの使用ユニット数を減らす充電装置が記載されている。具体的には、当該充電装置は、第1バッテリの充電率の上昇に応じて当該第1バッテリに供給する供給電流が低下したとき、第1バッテリの充電に使用している電力供給ユニットを第2バッテリの充電に使用するために、第1バッテリの充電に使用する電力供給ユニットの使用ユニット数を減らし、第2バッテリの充電に使用する電力供給ユニットの使用ユニット数を増やすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、充電装置は、電流低減要求信号の受信に基づいてバッテリに供給される供給電流を低減させた後に、電流低減要求信号を取り消す信号を受信したとき、すなわち、電流増加要求信号を受信したとき、バッテリに供給される供給電流を再び増加させる必要がある。このような場合、特許文献1の構成では、第1バッテリに供給する供給電流の低減に伴って第1バッテリの充電に使用していた電力供給ユニットが第2バッテリの充電に使用されるため、第1バッテリに供給される供給電流を再び増加させることができず、充電中の第1バッテリに対する電力供給能力が不足するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、定電流定電圧充電を行う際に、充電電力の需要に応じて電力供給ユニットを効率良く運用でき、かつ、充電中のバッテリに対する電力供給能力の不足を解消できる充電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る充電装置は、
バッテリを充電するための複数の電力供給ユニットと、
前記複数の電力供給ユニットと前記バッテリとの接続態様を切り替える接続切替部と、
前記バッテリの定電流充電が行われた後に定電圧充電が行われるように前記電力供給ユニットを制御する充電制御部と、
前記複数の電力供給ユニットから前記バッテリに供給される供給電流が、前記バッテリと接続される前記電力供給ユニットの数に応じて設定された所定電流値以下であるか否かを判定する電流低下判定部と、
前記バッテリに印加されているバッテリ電圧に基づいて、前記定電圧充電が行われているか否かを判定するCV充電判定部とを備え、
前記充電制御部は、
前記接続切替部を制御することで、前記バッテリの充電に使用する前記電力供給ユニットの使用ユニット数を変化させるように構成されており、
前記供給電流が前記所定電流値以下であると判定され、かつ、前記定電圧充電が行われていると判定されたとき、前記使用ユニット数を減らして前記バッテリの充電を継続させ、
前記供給電流が前記所定電流値以下でないと判定されたとき、または、前記定電圧充電が行われていないと判定されたとき、前記使用ユニット数を減らすことなく前記バッテリの充電を継続させることを特徴とする。
【0009】
この構成では、供給電流が所定電流値以下であると判定され、かつ、定電圧充電が行われていると判定されたとき、電力供給ユニットの使用ユニット数を減らしてバッテリの充電が継続される。このため、バッテリの定電流定電圧充電において、充電電力の需要が小さく、かつ、充電電力の需要が大きくならないときには、電力供給ユニットの使用ユニット数を減らすことで、電力供給ユニットを効率良く運用できる。また、供給電流が所定電流値以下でないと判定されたとき、または、定電圧充電が行われていないと判定されたとき、電力供給ユニットの使用ユニット数を減らすことなくバッテリの充電が継続される。このため、バッテリの定電流定電圧充電において、充電電力の需要が大きいとき、または、充電電力の需要が大きくなる可能性があるときには、電力供給ユニットの使用ユニット数を維持することで、充電中のバッテリに対する電力供給能力の不足を解消できる。
【0010】
上記充電装置において、
前記バッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
前記バッテリ電圧の上限値に係る情報を予め記憶する情報記憶部とを備え、
前記CV充電判定部は、
前記バッテリ電圧が前記上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、前記定電圧充電が行われていると判定し、
前記バッテリ電圧が前記所定範囲内に含まれない場合は、前記定電圧充電が行われていないと判定するように構成することができる。
【0011】
上記充電装置において、
前記バッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
前記バッテリを備える電動車両から前記バッテリ電圧の上限値に係る信号を受信する信号受信部と、
受信した前記上限値に係る情報を記憶する情報記憶部とを備え、
前記CV充電判定部は、
前記バッテリ電圧が前記上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、前記定電圧充電が行われていると判定し、
前記バッテリ電圧が前記所定範囲内に含まれない場合は、前記定電圧充電が行われていないと判定するように構成することができる。
【0012】
上記充電装置において、
前記バッテリ電圧を検出する電圧検出部と、
繰り返し検出された前記バッテリ電圧をバッテリ電圧値として記憶する電圧値記憶部とを備え、
前記CV充電判定部は、
所定時間当たりの前記バッテリ電圧値の変動量が所定判定量以下である場合は、前記定電圧充電が行われていると判定し、
前記所定時間当たりの前記バッテリ電圧値の変動量が前記所定判定量以下でない場合は、前記定電圧充電が行われていないと判定するように構成することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る充電制御方法は、
複数の電力供給ユニットを用いたバッテリの充電を制御する充電制御方法であって、
前記複数の電力供給ユニットを用いて定電流充電を開始する定電流充電開始ステップと、
前記定電流充電が行われた後に定電圧充電を開始する定電圧充電開始ステップと、
前記複数の電力供給ユニットから前記バッテリに供給される供給電流が、前記バッテリと接続される前記電力供給ユニットの数に応じて設定された所定電流値以下であるか否かを判定する電流低下判定ステップと、
前記バッテリに印加されているバッテリ電圧に基づいて、前記定電圧充電が行われているか否かを判定するCV充電判定ステップと、
前記供給電流が前記所定電流値以下であると判定され、かつ、前記定電圧充電が行われていると判定されたとき、前記バッテリの充電に使用する前記電力供給ユニットの使用ユニット数を減らして当該バッテリの充電を継続させる第1充電制御ステップと、
前記供給電流が前記所定電流値以下でないと判定されたとき、または、前記定電圧充電が行われていないと判定されたとき、前記バッテリの充電に使用する前記電力供給ユニットの使用ユニット数を減らすことなく当該バッテリの充電を継続させる第2充電制御ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、定電流定電圧充電を行う際に、充電電力の需要に応じて電力供給ユニットを効率良く運用でき、かつ、充電中のバッテリに対する電力供給能力の不足を解消できる充電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る充電装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係るメイン制御処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】同実施形態に係るサブ制御処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】同実施形態に係るバッテリ電圧、供給電流、充電電力、電流低下判定値、CV充電判定値、および、電力供給ユニットの使用ユニット数の変化を示すタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る充電装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る充電装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る充電装置C1を説明する。
図1は、充電装置C1の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、充電装置C1は、充電ケーブルCBを介して、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)や電気自動車(EV)等の電動車両Vに接続され、当該電動車両Vが備えるバッテリBを充電する。充電装置C1は、複数の電力供給ユニット10と、接続切替部20と、複数の充電口30と、出力検出装置40と、制御装置50とを備えている。
【0018】
電力供給ユニット10は、それぞれ、外部の交流電源PSから得られた交流電力を所望の直流電力に変換して出力する。すなわち、電力供給ユニット10は、バッテリBを充電するための電力を出力する。電力供給ユニット10は、それぞれ、50[A]を出力できるように構成されている。
【0019】
接続切替部20は、複数の電力供給ユニット10と充電口30との接続態様を切り替えることで、複数の電力供給ユニット10とバッテリBとの接続態様を切り替える。例えば、接続切替部20は、電力供給ユニット10と充電口30とを接続するリレーを含み、リレーをオン/オフすることで、充電口30に対して接続されている電力供給ユニット10のユニット数、すなわちバッテリBの充電に使用する電力供給ユニット10の使用ユニット数を変化させる。したがって、例えば、接続切替部20が4つの電力供給ユニット10と1つの充電口30との接続をオン状態としているとき、4つの電力供給ユニット10がバッテリBに接続されるため、バッテリBの充電に使用する電力供給ユニット10の使用ユニット数は4[ユニット]である。
【0020】
充電口30は、1ユニット以上の電力供給ユニット10から入力された電力を電動車両Vに出力する電力出力部である。また、充電口30は、電動車両Vから充電要求信号、電流低減要求信号、および、電流増加要求信号が入力される信号入力部でもある。充電要求信号は、バッテリBの充電を要求する信号であり、電流低減要求信号は、バッテリBに供給される供給電流の低減を要求する信号であり、電流増加要求信号は、バッテリBに供給される供給電流の増加を要求する信号である。
【0021】
出力検出装置40は、1ユニット以上の電力供給ユニット10から充電口30の各々に供給される電流を検出する電流検出部41と、1ユニット以上の電力供給ユニット10から充電口30の各々に供給される電圧を検出する電圧検出部42とを含んでいる。
【0022】
電流検出部41は、充電口30に供給される電流を検出することで、充電口30から電動車両Vに出力される電流、すなわちバッテリBに供給されている供給電流を検出する。
【0023】
電圧検出部42は、充電口30に供給される電圧を検出することで、充電口30から電動車両Vに出力される電圧、すなわちバッテリBに印加されているバッテリ電圧を検出する。
【0024】
制御装置50は、信号受信部51と、記憶部52と、電流低下判定部53と、CV充電判定部54と、充電制御部55とを含んでいる。
【0025】
信号受信部51は、電動車両Vからの信号を受信する。具体的には、信号受信部51は、充電口30を介して、電動車両Vから充電要求信号、電流低減要求信号、および、電流増加要求信号を受信する。
【0026】
記憶部52は、種々の情報やプログラムを記憶する。記憶部52は、電流低下判定部53での判定に使用される所定電流値に係る情報、および、CV充電判定部54での判定に使用されるバッテリ電圧の上限値に係る情報を予め記憶する情報記憶部として機能する。
【0027】
電流低下判定部53は、複数の電力供給ユニット10からバッテリBに供給される供給電流が、バッテリBと接続される電力供給ユニット10の数に応じて設定された所定電流値以下であるか否かを判定する。所定電流値は、バッテリBの充電に使用している電力供給ユニット10の使用ユニット数に応じて変化する値であって、より少ない電力供給ユニット10で供給電流を維持できるか否かを判定するための値である。具体的には、電力供給ユニット10の各々の最大出力電流が50[A]である場合は、4ユニットの電力供給ユニット10をバッテリBの充電に使用しているときの所定電流値は150[A](50[A]×3)であり、3ユニットの電力供給ユニット10をバッテリBの充電に使用しているときの所定電流値は100[A](50[A]×2)であり、2ユニットの電力供給ユニット10をバッテリBの充電に使用しているときの所定電流値は50[A]である。
【0028】
CV充電判定部54は、バッテリBに印加されているバッテリ電圧に基づいて、定電圧充電が行われているか否かを判定する。本実施形態に係るCV充電判定部54は、電圧検出部42によるバッテリ電圧の検出結果と、記憶部52が予め記憶しているバッテリ電圧の上限値とに基づいて、定電圧充電が行われているか否かを判定する。具体的には、CV充電判定部54は、バッテリ電圧が上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、定電圧充電が行われていると判定し、バッテリ電圧がその所定範囲内から外れている(すなわちその所定範囲内に含まれない)場合は、定電圧充電が行われていないと判定する。バッテリ電圧の上限値は、定電流充電から定電圧充電に切り替わる際の電圧値である。バッテリ電圧の上限値が400[V]であるとき、CV充電判定部54は、例えば、バッテリ電圧が400±1[V](399~401[V])の範囲内で変動している場合は定電圧充電が行われていると判定し、そうでない場合は定電圧充電が行われていないと判定する。
【0029】
充電制御部55は、電力供給ユニット10を制御することで、1ユニット以上の電力供給ユニット10からバッテリBに供給される電力を変化させるように構成されている。具体的には、充電制御部55は、バッテリBの定電流充電が行われるように電力供給ユニット10を制御するとともに、バッテリBの定電流充電が行われた後に定電圧充電が行われるように電力供給ユニット10を制御する(メイン制御処理)。
【0030】
また、充電制御部55は、接続切替部20を制御することで、バッテリBの充電に使用する電力供給ユニット10の使用ユニット数を変化させるように構成されている。具体的には、充電制御部55は、供給電流が所定電流値以下であると判定され、かつ、定電圧充電が行われていると判定されたとき、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らしてバッテリBの充電を継続させ、供給電流が所定電流値以下でないと判定されたとき、または、定電圧充電が行われていないと判定されたとき、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らすことなくバッテリBの充電を継続させる(サブ制御処理)。
【0031】
図2および
図3を参照して、本発明に係る充電制御方法の一例を説明する。
図2は、定電流定電圧充電を行うためのメイン制御処理のフローチャートであり、
図3は、電力供給ユニット10の使用ユニット数を調整するためのサブ制御処理のフローチャートである。
【0032】
図2に示すメイン制御処理は、電動車両Vからの充電要求信号を信号受信部51が受信することで行われるように構成されている。
図2に示すように、メイン制御処理では、充電制御部55が、複数の電力供給ユニット10を用いて定電流充電を開始するように電力供給ユニット10および接続切替部20を制御する(定電流充電開始ステップS1)。具体的には、充電制御部55は、例えば、4ユニットの電力供給ユニット10がバッテリBに接続されるように接続切替部20を制御するとともに、供給電流が200[A]となるように電力供給ユニット10を制御する。
【0033】
定電流充電が行われているとき、充電制御部55は、信号受信部51で電流低減要求信号を受信したか否かを判定する(電流低減要求判定ステップS2)。
【0034】
電流低減要求信号を受信したと電流低減要求判定ステップS2で判定された場合、充電制御部55は、電力供給ユニット10を制御することで、バッテリBに供給される供給電流を低減させる(供給電流低減ステップS3)。
【0035】
定電流充電が中断されて供給電流が低減されているとき、充電制御部55は、信号受信部51で電流増加要求信号を受信したか否かを判定する(電流増加要求判定ステップS4)。すなわち、充電制御部55は、信号受信部51で電流低減要求信号を取り消す信号を受信したか否かを判定する。
【0036】
電流増加要求信号を受信したと電流増加要求判定ステップS4で判定されない場合、供給電流低減ステップS3および電流増加要求判定ステップS4が繰り返され、その間は供給電流が低減される。
【0037】
一方、電流増加要求信号を受信したと電流増加要求判定ステップS4で判定された場合、充電制御部55は、電力供給ユニット10を制御することで、電流低減要求判定ステップS2以前に行っていた定電流充電を再開するために、電力供給ユニット10を制御することで、バッテリBに供給される供給電流を増加させる(供給電流増加ステップS5)。
【0038】
また、定電流充電が行われているとき、充電制御部55は、定電流充電の終了条件が成立したか否かを判定する(第1終了条件成立判定ステップS6)。具体的には、例えば、充電制御部55は、電圧検出部42で検出したバッテリ電圧が所定の上限値である400[V]に達したとき、定電流充電の終了条件が成立したと判定する。
【0039】
第1終了条件成立判定ステップS6で定電流充電の終了条件が成立しないと判定された場合、電流低減要求判定ステップS2および第1終了条件成立判定ステップS6が繰り返される。
【0040】
一方、第1終了条件成立判定ステップS6で定電流充電の終了条件が成立すると判定された場合、充電制御部55は、定電圧充電を開始するように電力供給ユニット10を制御する(定電圧充電開始ステップS7)。具体的には、充電制御部55は、例えば、バッテリ電圧が400[V]となるように電力供給ユニット10を制御する。
【0041】
定電圧充電が行われているとき、充電制御部55は、定電圧充電の終了条件が成立したか否かを判定する(第2終了条件成立判定ステップS8)。具体的には、例えば、充電制御部55は、電流検出部41で検出した供給電流が所定の下限値である0[A]に達したとき、定電圧充電の終了条件が成立したと判定する。
【0042】
第2終了条件成立判定ステップS8で定電圧充電の終了条件が成立しないと判定された場合、第2終了条件成立判定ステップS8が繰り返される。
一方、第2終了条件成立判定ステップS8で定電圧充電の終了条件が成立すると判定された場合、充電制御部55は、充電を終了するように電力供給ユニット10および接続切替部20を制御する(充電終了ステップS9)。
【0043】
図3に示すサブ制御処理は、定電流定電圧充電が開始されてから終了するまでの間(すなわちメイン制御処理の実行中)において随時繰り返し行われるように構成されている。
図3に示すように、サブ制御処理では、電流低下判定部53が、電流検出部41で検出した供給電流と、記憶部52が予め記憶している所定電流値とに基づいて、複数の電力供給ユニット10からバッテリBに供給される供給電流が所定電流値以下であるか否かを判定する(電流低下判定ステップS11)。本実施例では、バッテリBと接続可能な電力供給ユニット(最大出力電流:50[A])の数は4つであるので、所定電流値として、電力供給ユニット3つ分の最大出力電流である150[A]、電力供給ユニット2つ分の最大出力電流である100[A]および電力供給ユニット1つ分の最大出力電流である50[A]が設定され、記憶部52に記憶されている。
【0044】
また、CV充電判定部54が、電圧検出部42で検出したバッテリ電圧と、記憶部52が予め記憶しているバッテリ電圧の上限値とに基づいて、定電圧充電が行われているか否かを判定する(CV充電判定ステップS12)。
【0045】
供給電流が所定電流値以下であると電流低下判定ステップS11で判定され、かつ、定電圧充電が行われているとCV充電判定ステップS12で判定された場合は、充電制御部55が、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らしてバッテリBの充電を継続させるように電力供給ユニット10および接続切替部20を制御する(第1充電制御ステップS13)。
【0046】
一方で、電流低下判定ステップS11で供給電流が所定電流値以下ではない(供給電流が所定電流値を超えている)と判定された場合、または、CV充電判定ステップS12で定電圧充電が行われていないと判定された場合は、充電制御部55が、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らすことなくバッテリBの充電を継続させるように電力供給ユニット10および接続切替部20を制御する(第2充電制御ステップS14)。
【0047】
図4を参照して、充電装置C1の動作の一例を説明する。
図4は、充電装置C1がバッテリBの充電を開始してから終了するまでの、バッテリ電圧、供給電流、充電電力、電流低下判定値、CV充電判定値、および、電力供給ユニット10の使用ユニット数の変化を示している。充電電力は、バッテリ電圧と供給電流の積である。また、電流低下判定値は、電流低下判定部53による判定結果を示しており、バッテリBに供給される供給電流が所定電流値以下であると判定された場合を「1」で示し、それ以外を「0」で示している。また、CV充電判定値は、CV充電判定部54による判定結果を示しており、定電圧充電が行われていると判定された場合を「1」で示し、それ以外を「0」で示している。
【0048】
まず、時刻T0で、充電装置C1は、4ユニットの電力供給ユニット10を使用し、供給電流を200[A]で維持するようにしてバッテリBの定電流充電を開始する。そして、バッテリBが充電されることによってバッテリ電圧が上昇する。
【0049】
定電流充電中である時刻T1で、充電装置C1が電動車両Vから送信された電流低減要求信号を受信すると、定電流充電が中断され、供給電流が低減される。供給電流を低減するとき、充電制御部55は、予め設定されている使用優先順位に基づいて、使用優先順位の低い電力供給ユニット10から出力される電流を低減することにより、バッテリBに供給される供給電流を低減する。
【0050】
供給電流の低減中である時刻T2で所定電流値(電力供給ユニット3つ分の最大出力電流である150[A]以下)になると、電流低下判定値は「0」から「1」になる。一方で、CV充電判定値は「0」であるため(すなわち、バッテリ電圧が変動しており、定電圧充電が行われていると判定されないため)、時刻T2以後も電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らすことなく(すなわち接続切替部20が4ユニットの電力供給ユニット10とバッテリBとを接続したまま)充電が継続される。
【0051】
定電流充電中断中である時刻T3で、充電装置C1が電動車両Vから送信された電流増加要求信号を受信すると、供給電流が増加され、供給電流を200[A]としてバッテリBの定電流充電が再開される。また、供給電流が増加することで、電流低下判定値は「1」から「0」になる。
【0052】
定電流充電中である時刻T4でバッテリ電圧が400[V]に達すると、定電流充電の終了条件が成立し、充電装置C1は、バッテリ電圧が400[V]を維持するようにしてバッテリBの定電圧充電を開始し、CV充電判定値は「0」から「1」になる。
【0053】
4ユニットの電力供給ユニット10を使用した定電圧充電の開始後、使用優先順位の低い電力供給ユニット10から出力される電流が低減されることで、供給電流が低減される。1つの電力供給ユニット10が出力する電流が50[A]から0[A]に低下して、供給電流が時刻T5で所定電流値(電力供給ユニット3つ分の最大出力電流である150[A]以下)になると、電流低下判定値は再び「0」から「1」になる。このとき、電流低下判定値およびCV充電判定値の両方が「1」であるため(すなわち、供給電流が所定電流値以下であると判定され、かつ、定電圧充電が行われていると判定されるため)、電力供給ユニット10の使用ユニット数が減らされ、3ユニットの電力供給ユニット10を用いて定電圧充電が継続される。電力供給ユニット10の使用ユニット数が減らされると、供給電流と比較される所定電流値が低くなるため、電流低下判定値は「1」から「0」になる。
【0054】
3ユニットの電力供給ユニット10を使用した定電圧充電の開始後、同様に供給電流が低下して時刻T6で所定電流値(電力供給ユニット2つ分の最大出力電流である100[A]以下)になると、電流低下判定値は再び「0」から「1」になり、電力供給ユニット10の使用ユニット数が減らされ、2ユニットの電力供給ユニット10を用いて定電圧充電が継続される。また、電流低下判定値は「1」から「0」になる。
【0055】
2ユニットの電力供給ユニット10を使用した定電圧充電の開始後、同様に供給電流が低下して時刻T7で所定電流値(電力供給ユニット1つ分の最大出力電流である50[A]以下)になると、電流低下判定値は再び「0」から「1」になり、電力供給ユニット10の使用ユニット数が減らされ、1ユニットの電力供給ユニット10を用いて定電圧充電が継続される。また、電流低下判定値は「1」から「0」になる。
【0056】
そして、定電圧充電中である時刻T8で供給電流が0[A]に達すると、定電圧充電の終了条件が成立し、充電装置C1は、バッテリBの充電を終了する。
以上のようにして、充電装置C1は、時刻T0-T1および時刻T3-T4で定電流充電を行い、時刻T1-T3で定電流充電を中断して供給電流を低減させ、時刻T4-T8で定電圧充電を行う。
【0057】
本実施形態では次の効果が得られる。
(1)供給電流が所定電流値以下であると判定され、かつ、定電圧充電が行われていると判定されたとき、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らしてバッテリBの充電が継続される。このため、バッテリBの定電流定電圧充電において、充電電力の需要が小さく、かつ、充電電力の需要が大きくならないときには、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らすことで、電力供給ユニット10を効率良く運用できる。また、供給電流が所定電流値以下でないと判定されたとき、または、定電圧充電が行われていないと判定されたとき、電力供給ユニット10の使用ユニット数を減らすことなくバッテリBの充電が継続される。このため、バッテリBの定電流定電圧充電において、充電電力の需要が大きいとき、または、充電電力の需要が大きくなる可能性があるときには、電力供給ユニット10の使用ユニット数を維持することで、充電中のバッテリBに対する電力供給能力の不足を解消できる。
【0058】
(2)バッテリ電圧が上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、定電圧充電が行われていると判定され、バッテリ電圧がその所定範囲内に含まれない場合は、定電圧充電が行われていないと判定される。このため、電圧検出部42によるバッテリ電圧の検出結果と、バッテリ電圧の上限値に係る情報とに基づいて、定電圧充電が行われているか否かを簡単に判定できる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る充電装置C2を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成を備えており、当該同様の構成についての説明は省略する。
【0060】
図5は、第2実施形態に係る充電装置C2の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態では、信号受信部51は、電動車両Vからバッテリ電圧の上限値に係る信号を受信し、記憶部52は、信号受信部51で受信したバッテリ電圧の上限値に係る情報を記憶する。すなわち、本実施形態に係るCV充電判定部54は、信号受信部51で受信したバッテリ電圧の上限値に係る情報に基づいて、バッテリ電圧が上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、定電圧充電が行われていると判定し、バッテリ電圧がその所定範囲内から外れている(すなわちその所定範囲内に含まれない)場合は、定電圧充電が行われていないと判定する。
【0061】
本実施形態では上記(1)の効果に加えて次の効果が得られる。
(3)充電装置C2は、バッテリ電圧の上限値に係る信号を受信する信号受信部51を備え、バッテリ電圧が上限値を含んだ所定範囲内に含まれる場合は、定電圧充電が行われていると判定され、バッテリ電圧がその所定範囲内に含まれない場合は、定電圧充電が行われていないと判定される。このため、記憶部52がバッテリ電圧の上限値を予め記憶していない場合であっても、電圧検出部42によるバッテリ電圧の検出結果と、電動車両Vから送信されたバッテリ電圧の上限値に係る情報とに基づいて、定電圧充電が行われているか否かを簡単に判定できる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る充電装置C3を説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成を備えており、当該同様の構成についての説明は省略する。
【0063】
図6は、第3実施形態に係る充電装置C3の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態では、記憶部52は、電圧検出部42で繰り返し検出されたバッテリ電圧をバッテリ電圧値として上書きせずに記憶する電圧値記憶部として機能し、CV充電判定部54は、所定時間当たりのバッテリ電圧値の変動量を算出し、当該変動量に基づいて定電圧充電が行われているか否かを判定する。具体的には、CV充電判定部54は、所定時間当たりのバッテリ電圧値の変動量が所定判定量以下である場合は、定電圧充電が行われていると判定し、所定時間当たりのバッテリ電圧値の変動量が所定判定量以下でない場合は、定電圧充電が行われていないと判定する。所定判定量は、0または0に近い値であり、所定電流値と同様に記憶部52に予め記憶させておくことができる。CV充電判定部54は、1秒間当たりのバッテリ電圧値の変動量[V/秒]に基づいて定電圧充電が行われているか否かを判定するとき、例えばバッテリ電圧値の変動量が0.1以下である場合は定電圧充電が行われていると判定し、そうでない場合は定電圧充電が行われていないと判定する。
【0064】
本実施形態では上記(1)の効果に加えて次の効果が得られる。
(4)所定時間当たりのバッテリ電圧値の変動量が所定判定量以下である場合は、定電圧充電が行われていると判定され、所定時間当たりのバッテリ電圧値の変動量が所定判定量以下でない場合は、定電圧充電が行われていないと判定される。このため、バッテリ電圧の上限値に係る情報に依拠せずに、電圧検出部42により検出されたバッテリ電圧の所定時間当たりの変動量に基づいて、定電圧充電が行われているか否かを判定できる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0066】
・定電流充電の終了条件を変更してもよい。すなわち、例えば、バッテリ電圧の所定時間当たりの変動量が所定量以下になったとき、定電流充電の終了条件が成立したと判定するように構成してもよい。
【0067】
・定電圧充電の終了条件を変更してもよい。すなわち、例えば、定電圧充電の開始から所定時間経過したとき、定電圧充電の終了条件が成立したと判定するように構成してもよい。
【0068】
・充電装置は、充電ケーブルCBが接続される充電口30に代えて、電動車両Vに接続される充電ケーブルを備えるように構成してもよい。この場合、充電ケーブルが備えるプラグが、電力出力部として機能する。
【符号の説明】
【0069】
B バッテリ
C1,C2,C3 充電装置
V 電動車両
10 電力供給ユニット
20 接続切替部
30 充電口
40 出力検出装置
41 電流検出部
42 電圧検出部
50 制御装置
51 信号受信部
52 記憶部(情報記憶部、電圧値記憶部)
53 電流低下判定部
54 CV充電判定部
55 充電制御部