(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】微細気泡水生成器を備えた洗濯機用ホース及びシャワー用ホース
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20241010BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20241010BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20241010BHJP
【FI】
D06F39/08 301
A47K3/28
B01F25/40
(21)【出願番号】P 2021099501
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154233
【氏名又は名称】株式会社富士計器
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134587(JP,A)
【文献】特開2010-240592(JP,A)
【文献】特開2007-050341(JP,A)
【文献】特開2020-015018(JP,A)
【文献】特開2016-047517(JP,A)
【文献】特表2021-504133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0304782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F39/00-39/40
B01F25/00-25/90
A47K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道蛇口に取り付けられたアダプタと直結される洗濯機用給水ホースであって、
前記アダプタと着脱自在に接続可能な接続部と、
前記接続部に連結され、水道水に含まれる気泡を微細化する微細気泡水生成器と、
洗濯機の給水口に接続されるホース接続部と、を備え、
前記微細気泡水生成器は、水道水を取り入れる取水機構部と、微細気泡水を放出する給水機構部と、から構成され、
前記取水機構部は、
水道水の流入方向に対して鉛直面状に配置され、その外周面が前記接続部の内径に沿って嵌め込まれた円板部材を有し、
当該円板部材の周縁部には、水道水を前記給水機構部に供給するための複数の切欠が形成され、当該切欠は、水道水の水流軸の方向に対して傾斜し、その内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝が形成され、
前記給水機構部は、
前記取水機構部における前記複数の切欠から流れ出た水道水をその円錐状の内面に受け入れて水流方向に沿って当該円錐状の内面の径が漸次縮小し、その後その水路径が一定の円筒状水路を形成する第1通水路と、
前記第1通水路から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円柱部材の衝突面に衝突し、当該円柱部材の周縁に設けられた隙間に流れ込むように形成された第2通水路と、
を有することを特徴とする微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホース。
【請求項2】
前記アダプタには内周壁に球体が設けられ、
前記接続部は、外周に前記球体が嵌合する貫通孔が形成されており、前記アダプタを前記接続部に被せて前記球体と前記貫通孔が嵌合することで、前記接続部が前記水道蛇口に連結する請求項1に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホース。
【請求項3】
その少なくとも一端が接続金具を介してシャワーヘッド又は給水栓に着脱可能に接続されるシャワー用ホースであって、
水道水に含まれる気泡を微細化する微細気泡水生成器を備え、
前記微細気泡水生成器は、水道水を取り入れる取水機構部と、微細気泡水を放出する給水機構部と、から構成され、
前記取水機構部は、
水道水の流入方向に対して鉛直面状に配置され、その外周面が前記
給水栓に接続される給水栓取付部の内径に沿って嵌め込まれた円板部材を有し、
当該円板部材の周縁部には、水道水を前記給水機構部に供給するための複数の切欠が形成され、当該切欠は、水道水の水流軸の方向に対して傾斜し、その内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝が形成され、
前記給水機構部は、
前記取水機構部における前記複数の切欠から流れ出た水道水をその円錐状の内面に受け入れて水流方向に沿って当該円錐状の内面の径が漸次縮小し、その後その水路径が一定の円筒状水路を形成する第1通水路と、
前記第1通水路から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円柱部材の衝突面に衝突し、当該円柱部材の周縁に設けられた隙間に流れ込むように形成された第2通水路と、
を有することを特徴とする微細気泡水生成器を備えたシャワー用ホース。
【請求項4】
前記第2通水路における前記円柱部材の表面と前記円柱部材を取り囲む当該水路の内面表面には、ねじ切り状の凹凸が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたは請求項3に記載のシャワー用ホース。
【請求項5】
前記取水機構部に設けられた切欠は、前記円板部材の同じ周方向で順次隣の前記切欠に向け水流軸の方向に対して傾斜するよう設けられたことを特徴とする請求項4に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項6】
前記取水機構部に設けられた切欠の前記水流軸の方向に対する傾斜角度は、15度乃至20度の範囲で最適には17度で形成したことを特徴とする請求項5に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項7】
前記取水機構部に設けられた切欠は、直線状の一組の側壁と該側壁に挟まれた底壁とで構成されて、
前記溝は一方の前記側壁の先端から前記底壁を通って他方の前記側壁の先端まで連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかの項に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項8】
前記底壁はその中央が前記円板部材の中心に向けて凹む円弧状であることを特徴とする請求項7に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項9】
前記溝は中央の尖頭から左右が斜めに下がる山型に形成されて、山の角度が40度乃至80度の範囲であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか項に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項10】
前記給水機構部において、前記第1通水路から流れ出た水道水が衝突する前記衝突面の表面は、先端が平面状に形成されたことを特徴とする請求項1または3に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項11】
前記給水機構部において、前記第1通水路から流れ出た水道水が衝突する前記衝突面の表面は、先端が前記第1水路側に突き出た円錐状に形成されたことを特徴とする請求項1又は3に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項12】
前記給水機構部を構成する前記第1通水路を形成する略円錐形状を成す部材は、水流方向に対して前後に移動調整可能に設けられることを特徴とする請求項11に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項13】
前記給水機構部を構成する前記第2通水路を形成する衝突面を有する部材は、前記第1通水路の出口面に対して前後に移動調整可能に設けられることを特徴とする請求項12に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【請求項14】
前記第2通水路における前記円柱部材の表面と前記円柱部材を取り囲む当該水路径は、水道管の径よりも小さいことを特徴とする請求項13に記載の微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水内により多くの微細気泡を含有させるための微細気泡水生成器を備えた洗濯機用ホース及びシャワー用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
本願において「微細気泡」とは、その気泡径が1乃至100マイクロメートル(μm)のマイクロバブルと、その気泡径が1乃至999ナノメートル(nm)のウルトラファインバブルの両方を意味し、従って、水中の微細気泡水とはマイクロバブル及びウルトラファインバブルの微細気泡(バブル)を多く含むバブル水を意味する。
【0003】
また、本願で用いられている用語「水道水」は、主に、地方自治体の水道局や地方自治体から業務委託を受けた水道事業会社や第3セクター等の水道事業体が運営する公的な「水道水」のみならず、企業や団体が、特定の区域内において、例えば、事業所用や工業用の水として、またそのための地下水、河川水、湧き水、精製水等を給水する供給水を含む。
【0004】
そして、微細気泡を多く含む水を洗濯機用水に使用した場合、粉状または液状の洗剤(及び漂白剤)の微粒子が水中の微細気泡の表面に取り付いた状態で選択物の繊維の間にきめ細かく浸透することになるので洗浄力が大幅に向上することが知られている。さらに、洗濯水における泡立ちが良く、洗剤が塊りのダマ状にならないのでので、すすぎの際には洗剤がきれいに流れ落ちる。
【0005】
また、微細気泡を多く含む水をシャワー水に使用した場合のも、人体の顔や肌の毛穴径よりも微小な気泡水が皮膚表面に心地よく浸透し、上述の洗濯水と同様に、固形石鹸、液状ソープまたはシャンプーの微粒子が水中の微細気泡の表面に取り付いた状態で皮膚の細胞や毛穴内にきめ細かく浸透することになるので洗浄力が向上し、さらには、石鹸、ソープ又はシャンプーのすすぎ流れや水切れが良くなり、使用感が大幅に向上することが実感されることになる。
【0006】
この他にも、微細気泡を多く含む水を食器洗いに使用した場合、水切れ良くなり、油汚れ等をきれいに洗い流す等の効果が確認されている。このため、微細気泡を多く含む水を飲料水は、入浴、美容、健康、洗濯、食器洗い等の様々な用途で有効利用されている。
【0007】
また、水道水中に微細気泡が多く含まれると、微細気泡内の酸素が水道水に含まれる細菌を死滅させ(嫌気性細菌に対して特に有効)、さらには、水中のウイルスを不活性化させる等の効果も知られている。
【0008】
このため、従来から、水中に人為的に多くの微細気泡を含有させる手法として、例えば、高速せん断方式、加圧圧壊方式、キャビテーション方式などが知られているが、その多くが、アスピレータ方式などで、外部から空気を吸引させたり、或いは、強制注入させる機構を利用している。
【0009】
このような従来技術の例として、例えば、特許文献1には、加速手段にて加速される液体、及び気液混合手段によりケーシングに導入される気体(直径が数ミリ程度の気泡)から成る混合流体をケーシング内でキャビテーションを起こさせて、マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、入口から出口に向かいその中心軸に直交する断面積を漸減する通水用入口側の第1ノズルと、第1ノズルの出口から連通して設けられた連通路を介して連続して配設され、入口から出口に向かってその中心軸に直交する断面積を漸増する通水用出口側の第2ノズルと、前記連通路にのみ開口した隙間又は側室と、を有するマイクロバブル発生装置が開示されている。
【0011】
この特許文献2のマイクロバブル発生装置は、外部から空気を吸入することを必要とすることなく、水の中の溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2007-21343号公報
【文献】特開2009-136864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1によるマイクロバブル発生装置は、タンクに貯留した水を加速して行う気液混合タイプであり、水道直結型の簡易なタイプと異なり装置が大型化する。また、水流加速機構、キャビテーション機構等を必要として、構造が複雑で大型化して高コストであり、一般家庭の水道水用途には適していない。
【0014】
一方、特許文献2によるマイクロバブル発生装置は水道官直結型であり、一般家庭の水道水に用いるのに適してはいるが、装置内の側室を備える連通路で急膨張した水流を第2ノズルで絞りによる減圧するために、水道供給圧が通常よりもかなり高い場所においては使用することも可能であるが、これを通常の水道供給圧で受水する一般家庭で使用するのには十分な量の水が供給できなくなることになる。
【0015】
そのため、特許文献2によるマイクロバブル発生装置においては、その時々の水道供給圧力の状況に応じて装置内における側室の軸流方向での幅サイズを調整しなければならない煩わしさがある。さらには、当該マイクロバブル発生装置には調整機構を備える必要があるノズル全体の構成が複雑となっている。
【0016】
本発明は、上述したような従来のマイクロバブル発生装置が有していた課題に鑑みて、家庭用水道水等の水道供給管に直結され、外部から空気を導入する機構等を備えることなく、また、水道管からの供給水圧の変動にも拘らず、簡単な構造により効果的にウルトラファインバブルを発生することが可能な微細気泡水生成器を備えた洗濯機用ホース及びシャワー用ホース提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明は、その第1の態様として、水道蛇口に取り付けられたアダプタと直結される洗濯機用給水ホースであって、前記アダプタと着脱自在に接続可能な接続部と、前記接続部に連結され、水道水に含まれる気泡を微細化する微細気泡水生成器と、洗濯機の給水口に接続されるホース接続部と、を備え、
前記微細気泡水生成器は、水道水を取り入れる取水機構部と、微細気泡水を放出する給水機構部と、から構成され、前記取水機構部は、水道水の流入方向に対して鉛直面状に配置され、その外周面が前記接続部の内径に沿って嵌め込まれた円板部材を有し、当該円板部材の周縁部には、水道水を前記給水機構部に供給するための複数の切欠が形成され、当該切欠は、水道水の水流軸の方向に対して傾斜し、その内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝が形成され、
前記給水機構部は、前記取水機構部における前記複数の切欠から流れ出た水道水をその円錐状の内面に受け入れて水流方向に沿って当該円錐状の内面の径が漸次縮小し、その後その水路径が一定の円筒状水路を形成する第1通水路と、
前記第1通水路から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円柱部材の衝突面に衝突し、当該円柱部材の周縁に設けられた隙間に流れ込むように形成された第2通水路と、を有することを特徴とする。
【0018】
ここで、前記アダプタには内周壁に球体が設けられ、前記接続部は、外周に前記球体が嵌合する貫通孔が形成されており、前記アダプタを前記接続部に被せて前記球体と前記貫通孔が嵌合することで、前記接続部が前記水道蛇口に連結される。
【0019】
さらに、本発明は、その第2の態様として、その少なくとも一端が接続金具を介してシャワーヘッド又は給水栓に着脱可能に接続されるシャワー用ホースであって、水道水に含まれる気泡を微細化する微細気泡水生成器を備え、前記微細気泡水生成器は、水道水を取り入れる取水機構部と、微細気泡水を放出する給水機構部と、から構成され、
前記取水機構部は、水道水の流入方向に対して鉛直面状に配置され、その外周面が前記給水栓に接続される給水栓取付部の内径に沿って嵌め込まれた円板部材を有し、当該円板部材の周縁部には、水道水を前記給水機構部に供給するための複数の切欠が形成され、当該切欠は、水道水の水流軸の方向に対して傾斜し、その内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝が形成され、
前記給水機構部は、前記取水機構部における前記複数の切欠から流れ出た水道水をその円錐状の内面に受け入れて水流方向に沿って当該円錐状の内面の径が漸次縮小し、その後その水路径が一定の円筒状水路を形成する第1通水路と、
前記第1通水路から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円柱部材の衝突面に衝突し、当該円柱部材の周縁に設けられた隙間に流れ込むように形成された第2通水路と、を有することを特徴とする。
【0020】
このように、洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース内に配置される微細気泡水生成器の取水機構部は、その取水面が前記水道供給管から供給される水流方向に対する鉛直面状に配置され、その外周面が水道管の内径に沿って嵌め込まれた状態に設けられた円板部材内に、水道水を前記給水機構部側に供給するための複数の切欠が形成され、前記切欠は、水道水が流れる方向が前記水道供給管の軸方向に対して傾斜するよう設けられ、且つこの切欠の内面には前記水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝が形成されていることのよって、水道供給管から供給された水道水が、その給水速度と水圧を高めた状態で、連続的に切欠に衝突するので、水道水中の空気が粉々に細分化されることになるのである。
【0021】
そして、取水機構部に設けられた切欠は、前記円板部材の同じ周方向で順次隣の前記切欠に向け前記水道供給管の軸方向に対して傾斜するよう設けられる。
【0022】
さらには、この切欠は円板部材の同じ周方向で順次隣の切欠に向け前水道供給管の軸方向に対して傾斜するよう設けて水道水の流れを変更させていることから、下流側の給水機構部に流れ出す水道水は、強烈な旋回水流となる。
【0023】
そして、この旋回水流は、給水機構部の円錐状内面の鉛直方向に対して大きな角度(例えば、60度)で当たった後に当該円錐状内面の径が漸次縮小していくことから、再び流速と水圧を増すことになる。
【0024】
その後、その水路径が一定の円筒状水路を形成する第1通水路と、第1通水路から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円柱部材の衝突面に衝突し、当該円柱部材の周縁に設けられた隙間に流れ込むようにした形成され、ここで、第2通水路における円柱部材の表面と前記円柱部材を取り囲む当該水路の内面表面には、ねじ切り状の凹凸が形成されていることによって、再度、水道水が粉々状態に粉砕され、水道水中に含まれる気泡が微細化されるのである。
【0025】
ここで、取水機構部に設けられた切欠の水道供給管の軸方向に対する傾斜角度は、15度乃至20度の範囲であり、最適には17度程度である。
【0026】
ところで、取水機構部に設けられた切欠は、直線状の一組の側壁と該側壁に挟まれた底壁とで構成され、溝は一方の前記側壁の先端から前記底壁を通って他方の前記側壁の先端まで連続して形成されている。
【0027】
また、底壁はその中央が前記円板部材の中心に向けて凹む円弧状である。
【0028】
そして、溝は、中央の尖頭から左右が斜めに下がる山型に形成されて、山の角度が40度乃至80度の範囲である。
【0029】
さらには、給水機構部において、第1通水路から流れ出た水道水が衝突する衝突面の表面は、先端が平面状に形成するか、または、先端が第1水路側に突き出た円錐状に形成される。
【0030】
先端が平面上に形成されている場合は、水流が当該平面にまともに衝突することになり、先端が円錐状に形成された場合は、流速を低下させることなく第2通水路に流れ込むことになる。従って、水道水の供給圧が高い場合には、給水機構部において、第1通水路から流れ出た水道水が衝突する衝突面の表面は、平面状に形成し、水道水の供給圧が低い場合は、衝突面の表面を円錐状に形成すると良い。
【0031】
ところで、給水機構部を構成する第1通水路を形成する略円錐形状を成す部材は、水流方向に対して前後に移動調整可能に設けるようにすると良い。これによって、水道水の供給圧に適した距離とすることができる。
【0032】
また、給水機構部を構成する前記第2通水路を形成する衝突面を有する部材は、前記第1通水路の出口面に対して前後に移動調整可能に設けられるようにすると良い。これによって、水道水の供給圧に適した距離に設定することができる。
【0033】
また、第2通水路における円柱部材の表面と円柱部材を取り囲む水路管の外径は、水道管の径よりも小さい。これによって、本微細気泡水生成器を水道管の外形内に収めると共に、本微細気泡水生成器の内部通路を流れる水道水の流速を高速にしている。
【発明の効果】
【0034】
上述した微細気泡水生成器においては、水道水受水側に設けられた取水機構部において、水道圧で給送される水道水は切欠内を通過するとき乱流を生じながら、取水部から水道供給管の軸方向に対し傾けて放出された水道水が、給水機構部において、前記取水機構部からの水道水がその内壁を旋回して流速を上げながら下流側へ進み、流水速を高めた状態で、さらに水道水中の気泡を粉砕溶解させるので、マイクロバブル水又はウルトラファインバブル水を簡易な構造で生成すること可能としたのである。
【0035】
従って、本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機用給水ホースにおいては、洗剤の微粒子が微細気泡水生成器によって生じる多くの微細気泡の表面に取り付いた状態で洗濯物の繊維の間にきめ細かく浸透することになるので、洗浄力が大幅に向上し、洗濯水における泡立ちが良く、すすぎの際には洗剤がきれいに流れ落ちる洗濯機用水の生成を可能にしたのである。
【0036】
そして、本発明の第2の実施の形態に係るシャワー用ホースにおいては、シャワー水中の多くの微細気泡が、人体の顔や肌の毛穴径よりも微小であることから、気泡水が皮膚表面に心地よく浸透し、固形石鹸、液状ソープまたはシャンプーの微粒子が水中の微細気泡の表面に取り付いた状態で皮膚の細胞や毛穴内にきめ細かく浸透することになるので洗浄力が向上し、さらには、石鹸、ソープ又はシャンプーのすすぎ流れが良くなり、良好な使用感を奏するシャワー水の生成を可能にしたのである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本洗濯機用給水ホースまたは本シャワー用ホース内に配置される微細気泡水生成器の側面断面図を示す。
【
図2】(a)は、微細気泡水生成器の上流側からの外観斜視図を示し、(b)は、微細気泡水生成器の下流側からの外観斜視図を示す。
【
図3】微細気泡水生成器の取水機構部を構成する円板部材の外観斜視図を示す。
【
図4】(a)部は、微細気泡水生成器の取水機構部への水道水の入口側から見た正面図を示し、(b)部は、(a)部における取水機構部の右からの側面断面図を示し、(c)部は、(a)部における上からの取水部の平面断面図を示す。
【
図5】
図4(c)の矢印A方向から見た取水機構部の正面図を示す。
【
図6】取水機構部における円板部材の切欠部分の側面断面図を示す。
【
図7】(a)部は、微細気泡水生成器を構成する給水機構部20における水流を説明するための模式図を示し、(b)部及び(C)部は、給水機構部20の組み立て構成図を示す。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機用給水ホースの全体構成図を示す。
【
図10】本洗濯機用給水ホースに関し、水道蛇口にアダプタを介して微細気泡水生成部の接手部を連結した状態を断面図で示す。
【
図11】接手部の一部を断面で示す微細気泡水生成部の側面図を示す。
【
図12】本微細気泡水生成機能付き洗濯機用ホースを水道蛇口及び洗濯機に取り付ける説明図を示す。
【
図13】本洗濯機用給水ホースに関し、取水孔に開口面積を可変する開口調節機構を備える取水プレートの外観斜視図を示す。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係るシャワー用ホースに関し、一般的な家庭用シャワー設備の構成図を示す。
【
図15】本微細気泡水生成器付きシャワーホースの外観図を示す。
【
図16】本微細気泡水生成器付きシャワーホースをシャワーヘッドとシャワーホースとの間に取り付けた状態の説明図を示す。
【
図17】本発明に係る微細気泡水生成器付きシャワーホースを給水栓とシャワーホースとの間に取り付けた状態の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、先ず、本洗濯機用給水ホースまたは本シャワー用ホース内に設置される微細気泡水生成器について、その後に、この微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホース及び本シャワー用ホースについて、図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0039】
図1は、本発明に係る微細気泡水生成器1の構成を側断面図で示し、例えば、水道局からの水道供給管や高架水槽等から供給される水を家庭内へ供給する根元の水道供給管の間に配置される。
【0040】
図1は、本発明に係る微細気泡水生成器1の構成を側断面図で示し、例えば、水道局からの水道供給管や高架水槽等から供給される水を家庭内へ供給する根元の水道供給管の間に配置される。
【0041】
本微細気泡水生成器1は、取水機構部10と給水機構部20により構成される。
ここで、
図1に示す取水機構部10の左側面に、水道供給管や高架水槽等から水を供給する水道供給管(図示せず)が接続される。
【0042】
図1に示す本微細気泡水生成器1の実施の例では、取水機構部10の外周面に水道供給管(図示せず)が接続されためのねじ切り(例えば雄ネジの切込み)14が施されている。そして、これに接続される水道供給管の内周面には、この取水機構部の外周面に施されたねじ切り14に接合するねじ切り(例えば、雌ねじの切込み)が施され、防水テープや防水パッキン17等を介して本微細機構生成器1を所定の回転方向に回転させることにより水道供給管に接続されることになる。
【0043】
取水機構部10には、その取水面16を有し、水道水はこの取水面16を通過して取水機構部10内に流入する。この取水機構部10内には、水道水の流入方向に対して鉛直面状に配置される円板部材13が設けられ、この円板部材13の外周面が水道管部材15の内径に沿って水漏れしないようにするためにパッキン17を介して嵌め込まれた状態に配置されている。
【0044】
そして、この円板部材13には、外部からの水道供給管から供給されてくる水道水を流通させるための複数の切欠11(
図3の例では、4本の切欠貫通穴)が形成されており、この複数の切欠11は、水道水が流れる方向が前記水道供給管の軸方向に対して傾斜するよう設けられる。そして、切欠13の内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝12(
図3を参照)が形成されている。
【0045】
ここで、取水機構部10に設けられた円板部材13の複数の切欠11はそれぞれ、円板部材13の同じ周方向で順次隣の切欠11に向け水道供給管の軸方向に対して傾斜するよう設けられる。
【0046】
また、取水機構部10に設けられた切欠11は、直線状の一組の側壁と該側壁に挟まれた底壁とで構成され、溝12は一方の前記側壁の先端から前記底壁を通って他方の前記側壁の先端まで連続して形成されている。
【0047】
そして、取水機構部10に設けられた切欠11の水道供給管の軸方向に対する傾斜角度は、15度乃至20度の範囲であり、水圧によって異なるものの通常の家庭に供給される水道水の水圧では17度程度である。
【0048】
そして、この切欠11は、円板部材13の同じ周方向で順次隣の切欠11に向け水道供給管の軸方向に対して傾斜するよう設けて水道水の流れを変更させていることから、下流側の給水機構部20に流れ出す水道水は、強烈な旋回水流となる。
【0049】
さらに、切欠11の内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝12(
図3を参照)が形成されているので、この切欠11を通過する水に含まれる気泡は粉砕されるのである。
【0050】
そして、このように水中に含まれる気泡が粉砕されつつ切欠11を通過する旋回水流は、給水機構部20の円錐状内面22の鉛直方向に対して大きな角度で突き当たった後に円錐状内面20の径が下流側に向かって漸次縮小していくことから、再び水道水の流速と水圧を増すことになる。
【0051】
そして、水道水は、水路径が一定の円筒状水路29を形成する第1通水路30と、この第1通水路30から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円筒部材25の衝突面に衝突し、円筒部材25の周縁に設けられた隙間に流れ込むようになる。
【0052】
ここで、この隙間によって形成される第2通水路31における円筒部材25の表面と円筒部材25を取り囲む当該第2通水路の外周側面には、ねじ切り状の凹凸29が形成されている。これによって、再度、水道水内の気泡は粉砕され、水道水中に含まれる気泡がさらに微細化されるのである。
【0053】
尚、給水機構部21において、第1通水路30から流れ出た水道水が衝突する円柱体25の衝突面28は、先端が平面状に形成するか、または、流水方向にその頂部が突き出た円錐状に形成される。
【0054】
先端が平面上に形成されている場合は、水流が平面にまともに衝突することになり、先端が円錐状に形成された場合は、流速を低下させることなく第2通水路31に流れ込むことになる。従って、水道水の供給圧力が高い場合には、給水機構部20において、第1通水路30から流れ出た水道水が衝突する衝突面の表面は、平面状に形成し、水道水の供給圧が低い場合は、衝突面の表面を円錐状に形成すると良い。
【0055】
ところで、給水機構部を構成する第1通水路30を形成する略円錐形状を成す部材は、水流方向に対して前後に移動調整可能に設けるようにすると良い。これによって、水道水の供給圧に適した距離とすることができる。
【0056】
また、給水機構部を構成する前記第2通水路を形成する衝突面を有する部材は、第1通水路30の出口面に対して前後に移動調整可能に設けられるようにすると良い。これによって、水道水の供給圧に適した距離に設定することができる。
【0057】
また、第2通水路31における円筒部材25の表面と円筒部材24を取り囲む水路管32の外径は、水道供給管の径よりも小さい。これにより、本微細気泡水生成器1を水道供給管の外形内に収めると共に、本微細気泡水生成器1の内部通路を流れる水道水の流速を高速にしている。
【0058】
そして、給水機構部20においては、取水機構部10における複数の切欠11から流れ出た水道水を、円錐状の内面22に受け入れ、そしてこの内面22は、水流方向に沿ってその内面径が漸次縮小していき、その後、その水路径が一定の円筒状水路29を形成する第1通水路30と、この第1通水路30から流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円筒部材25の衝突面に衝突し、当該円筒部材25の周縁に設けられた隙間に流れ込むようにした形成された第2通水路31を形成しているのである。
【0059】
さらに、第2通水路31における円筒部材25の表面とこの円筒部材25を取り囲む水路の表面には、ねじ切り状の凹凸が形成されていて、水道水中の気泡をマイクロサイズ又はナノサイズに微細化するのである。
【0060】
このように、本微細気泡水生成器1を構成する取水機構部10は、その取水面16が水道供給管から供給される水流方向に対する鉛直面状に配置され、その外周面が水道管の内径に沿って嵌め込まれた状態に設けられた円板部材13内に、水道水を給水機構部20側に供給するための複数の切欠11が形成され、この切欠11は、水道水が流れる方向が水流方向に対して傾斜するよう設けられ、且つこの切欠11の内面には水道水が流れる方向と衝突するように略直交する方向に複数の溝12が形成されているので、水道供給管から供給された水道水が、その給水速度と水圧を高めた状態で、連続的に切欠11に衝突することになり、水道水中の空気が微細分化された状態で給水機構部20の給水面33から家庭内の各給水箇所に水道水が供給されることになるのである。
【0061】
図2の(a)部は、本微細気泡水生成器の上流側からの外観斜視図を示し、(b)部は、本微細気泡水生成器の下流側からの外観斜視図を示している。
【0062】
図2(a)において、本微細気泡水生成器1の筒体21は、水道供給管側に接続される受水面16側の外周に例えば雄ネジ14が形成され、水道供給管(図示せず)に挿入されて螺合により接続される。この場合、水道供給管の内周には、雌ネジが施される。
【0063】
図2の(b)部において、上述した給水機構部20を構成する円柱体25とこの円柱体25を取り囲む水路管24の間は第2通水路31を形成し、この第2通水路31から微細化された気泡水が外径は、水道供給管の径よりも小さい。これにより、本微細気泡水生成器1を水道供給管の外形内に収めると共に、本微細気泡水生成器1の内部通路を流れる水道水の流速を高速にしている。
【0064】
そして、給水機構部20においては、取水機構部10における上述した複数の切欠11から流れ出た水道水を、円錐状の内面22に受け入れ、そしてこの内面22は、水流方向に沿ってその内面径が漸次縮小していき、その後、その水路径が一定の円筒状水路29を形成する第1通水路30と、この第1通水路30を通過して流れ出た水道水が、水流方向に鉛直状に形成された円筒部材25の衝突面28に衝突し、当該円筒部材25の周縁に設けられた隙間に流れ込むようにした形成された第2通水路31から給水面34を通って家庭内へ給水管(図示せず)に微細化された気泡を多く含む水が供給されて行くのである。
【0065】
図3は、取水機構部10を構成する円板部材11の外観斜視図を示し、
図4の(a)部は、円板部材11の水道供給管側から見た円板部材11の正面図、
図4の(b)部は、
図4(a)に示す円板部材11の右から見た側面図、
図4の(c)部は、
図4(a)における円板部材11の上からの平面図、そして、
図5は、
図4(c)の矢印A方向から見た円板部材11の正面図をそれぞれ示している。
【0066】
取水機構部10においては、相応の厚みを有する円板部材11は、例えば、径(R)が13.5mmで厚さ(T)が5乃至10mmの部材で構成され、
図2に示す筒体21が、水道供給管に嵌め込まれて螺合又は接着等で保持されている。
【0067】
ここで、円板部材11の周囲には、等間隔で複数の例えば4個の切欠11が形成されている。
【0068】
この切欠11は、一対の側壁11b,11cと、この側壁に挟まれた底壁11aとから成り、底壁11aは円板部材の中心に向けて円弧状に窪んでいる。そして、切欠11は、水道水が流れる方向Cが水道供給管の軸方向Wに対して傾斜するよう設けられている。この場合、切欠11の水道水が流れる方向Cの水道供給管の軸方向Wに対しての傾斜角度Pは、15度乃至20度の範囲で最適には17度が好ましい。
【0069】
そして、切欠11は、円板部材13の同じ周方向で順次隣の切欠11に向けて概ね17度で傾斜するよう設けられている。したがって、水道供給管の軸方向Wに沿って流れてきた水道水が切欠11を通過することで、水の流れが、
図4の(b)部及び(c)部で示されているようにC方向へ偏向した流れとなる。
【0070】
この水の流れの偏向は、図示しないが、他の二つの切欠11でも行われるため、水道水が取水部10を通過することで各切欠11において水道供給管2の軸方向Wに対して左方向に偏向して流出するため、水道水は軸方向Wに対して反時計方向に渦巻いた流れとなって下流の給水機構部20側に流れ込む。
【0071】
さらに、切欠11には、両側壁11b,11cと底壁11aとにかけて連続して、水道水が切欠11を流れる方向Cと略直交する方向にねじ切り状の複数の溝12が設けられている。
【0072】
図6は、取水部10の側面から見た円板部材13における切欠11を示しており、溝12は、中央の頂点から左右が斜めに下がる山型に形成されている。山の角度Q(山の両斜面の開放角度)は例えば60度、山の頂点どうしのピッチの間隔は1.1mm、山の頂点の幅は0.1mmで概ね形成されている。
【0073】
このような溝12を設けることにより、切欠11の内面には水道水が衝突する方向に凹凸形状または円錐形状の水12が形成されるために、水道水の流れに乱流を生じることになる。そして、水全体の流れとしては上記したように左方向17度に偏向して流出する。
【0074】
そして、本微細気泡水生成器1に流れ込む水道水は、入口の取水部の切欠11を通過することにより軸方向Wより偏向されて給水機構部20の円錐内面22,29により形成される第1通水路30内に流れ込むのである。
【0075】
第1通水路30では偏向した流れの水道水は、第1通水路30の内壁に斜めから突き当たるため、水道スは、螺旋状に渦巻きながら、給水機構部20における円筒部材25に頭部に形成された面(平面又は
図1に示すような円錐頂部面)に衝突して第2通水路31に向かって進む。
【0076】
第1通水路において流水路の径が漸次絞られて行って水は速度を増した状態で、円筒部材25に頭部に形成された面(平面又は円錐状頂部面)に衝突すると同時に第2通水路31に流入する前に拡散されるので、急激な圧力低下が生じて、沸騰現象により水道水中には無数の微細なキャビテーション気泡が発生するのである。加えて、第2通水路に侵入した水は。第2通水路の壁24,29に形成された凹凸に突き当たることで生じる乱流によって、水中に溶け込んでいる空気の分離が進んでいるため、キャビテーション気泡が一層効果的に発生することになるのである。
【0077】
一般的な水道水圧は1.5kgf/cm2から3kgf/cm2(0.15MPa0.3)が下限とされており、ノズル6は、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気をこの水道水圧だけで、キャビテーションにより微細化された気泡を含む水にする。この場合の理想的な水道水圧は、2.0乃至4.0kgf/cm2(0.2乃至0.39MPa)である。
【0078】
上記の実施形態においては、第1通水路30の最大口径を第2通水路31の最大口径より大きくしても、同一口径の形状で構成してもよい。また、第1通水路30から吹き出される水道水の圧力と、第2通水路31での拡散による低下する圧力との関係で、適切なキャビテーション気泡を生成するように調整する。
【0079】
本微細気泡水生成器1は、一般家庭に供給されている水道に直結されて、水道水の中に含まれている空気を水道水の圧力だけで、キャビテーション作用でマイクロバブル化又はウルトラファインバブル化させてる。そして、微細気泡水生成器1は、水道メーターの下流側に配置されるが、水道メーターから蛇口までの配管距離は平均で15メートル程度とされている。この場合、ウルトラファインバブルの目視は不可能であるが、暗所におけるレーザーポインターによって被処理水にレーザーを当てて気泡からの反射光を検出することで、15メートルの配管の末端でもウルトラファインバブルが形成されていることが確認される。
【0080】
また、本微細気泡水生成器においては、給水機構部10を構成する第1通水路30を形成する略円錐形状の水路を形成させる部材は、水流方向に対して前後に移動調整可能に設けるようにしているので、水道水の供給圧に適した距離とすることができる。
【0081】
さらに、給水機構部20における第2通水路31を形成する衝突面を有する円筒部材25は、第1通水路30の出口面に対して前後に移動調整可能に設けられるようにしたので、水道水の供給圧に適した距離に設定することを可能としたのである。
【0082】
図7の(a)部は、本微細気泡水生成器を構成する給水機構部20における水流を説明するための模式図を示す。
【0083】
図7(a)に示すように、水道給水管側から供給された水道水は、取水機構部10の円板13内に設けられた切欠11を通過して、第1通水路30を形成する内円錐状の内面22に所定の角度で当たって、その流径を徐々に狭めながら円筒面28に出て、第2通水路31を形成する円筒部材の第1通水路側の面28(
図7(a)では円錐状突起面)に当たって円筒状の第2通水路32に導かれ、この第2通水路面に施された凹凸状の溝12の中をその流水速度を増して通過し、水道水中の気泡の微細化がきめ細かく行われた状態で給水面33側から家庭内の給水管内に供給されるのである。
【0084】
図7の(b)部及び(C)部は、給水機構部20の組み立て構成図を示すものであり、円筒部材25が給水機構部20の内菅32にねじ込み式に挿入されて容易に組み立てられることができるのである。
【0085】
このように、本洗濯機用給水ホースまたは本シャワー用ホース内に配置される微細気泡水生成器においては、水道水受水側に設けられた取水機構部10において、水道圧で給送される水道水は切欠内を通過するとき乱流を生じながら、水道供給管の軸方向に対し傾けて放出された水道水が、給水機構部20において、取水機構部10からの水道水がその内壁を旋回して流速を上げながら下流側へ進み、流水速を高めた状態で、さらに水道水中の気泡を粉砕溶解させるので、マイクロバブル水又はウルトラファインバブル水を簡易な構造で生成すること可能としたのである。
【0086】
次に、上述した微細気泡水生成器を備える本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機用給水ホース41について詳しく説明する。
【0087】
図8は、微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホース41についての全体構成図を示すものである。
図8に示すように、微細気泡水生成器付き洗濯機用給水ホース41は、ホース44と、このホース44の取水端に取り付けられる微細気泡水生成部43と、微細気泡水生成部43の取水側端に被せられるカプラー45と、洗濯機ホース44の排水端に取り付けられる洗濯機側接続部45と、から構成されている。
【0088】
図9は、微細気泡水生成部43の側面図を示す。微細気泡水生成部43は、水道栓55(
図10)との接手部46と、ホース44と接続されるホース接続部48とが一体で構成された機能部品である。微細気泡水生成部43をホース44と結合することで、微細気泡水を容易に洗濯機へ供給するホース44とすることができ、以下の説明で明らかとなる。
【0089】
図10は、洗濯機用給水用のホースに関し、水道蛇口55にアダプタ49を介して微細気泡水生成部43の接手部を連結した状態を断面図で示す。
【0090】
図10及び
図11に示すように、接手部46は、水道蛇口55に取り付けられるアダプタ49が着脱自在に被さる。アダプタ49が接続されたとき、アダプタ49の先端は接手部46の後端(下流側)の周囲に突出形成された凸部46aに係止される。接手部46の先端部には、径方向の貫通孔46bが周方向に等間隔で4個設けられている。
【0091】
貫通孔46bは、アダプタ49に組み込まれた球体49aの受部となっている。これらの球体49aは、アダプタ49の内側に周方向に等間隔で4個設けられており、接手部46をアダプタ49内に嵌め込むとき、球体49aが貫通孔46bに嵌るまで挿入することで、接手部46とアダプタ49とがワンタッチで接続される。接手部46の水道水の導入口の周囲には環状のパッキンが嵌り込む凹部46cが形成されている。
【0092】
アダプタ49は、上端部の水道蛇口55に固定するための例えば2乃至4本のビス51が設けられており、ビスガイド52を通して径方向に水道蛇口55の側面に締め付けることで水道蛇口55に固定される。アダプタ49の内部には、ゴム等からなる筒状のパッキン53が組み込まれており、パッキン53の上端は水道蛇口55の先端と圧接して水漏れを防止している。そして、パッキン53の下端は、アダプタ49内に嵌め込まれた微細気泡水生成部43の接手部46の上端と圧接している。
【0093】
カプラー45は、可撓性の材料で形成される有底筒の部材であり、底部には接手部46の周囲に設けられた凸部46aの外径よりは小さい径の孔部が形成されており、微細気泡水生成部43はこの孔部に嵌め込まれたとき、凸部46aに係止して接手部46に被さる状態となる。
【0094】
カプラー45の側方には、一体形成された係止アーム54が延出している。係止アーム54の先端にはフック54aが形成され、アダプタ49の外周に形成されたフランジ56との係合によって、アダプタ49と接手部46との連結が簡単には外れることはない。なお、アダプタ49から微細気泡水生成部43を外すときには、係止アーム54を図示の状態から外側に拡げて係止を外して、微細気泡水生成部43をアダプタ49から引き抜き、接手部46の貫通孔46bと球体49aとの嵌合を解除する。
【0095】
図12は、本微細気泡水生成機能付き洗濯機用ホースを水道蛇口及び洗濯機に取り付ける説明図を示す。
【0096】
図12に示すように、洗濯機側接続部45は、洗濯機66の給水口67に接続される。給水口67は、洗濯機66の本体面から凹ませた給水部の底面から突出形成された円筒体で構成されており、外周にはオネジ67aが形成されている。洗濯機側接続部45は、内周に切られたメネジ47aを洗濯機66の給水口67のオネジ627aと螺合して洗濯機66と接続される。
【0097】
図13は、本洗濯機用給水ホース41に関し、取水孔に開口面積を可変する開口調節機構を備える取水プレートの外観斜視図を示す。
【0098】
本洗濯機用給水ホース41において、一般家庭に供給される水道水の中に含まれている空気を利用して、キャビテーションにより微細気泡を効果的に発生させることができる。水道直結の場合に、一般的な水道水圧は1.5kgf/cm2から3kgf/cm2(0.15乃至0.3MPa)が下限とされており、ノズル部22では、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気をこの水道水圧だけで、キャビテーションにより微細化された気泡を含む水道水にすることができる。この場合の水道水圧は、2.0乃至4.0kgf/cm2(0.2乃至0.39MPa)で供給されるのが好ましい。
【0099】
また、本洗濯機用給水ホース41においては、水道水の供給圧力や流量に応じてより多くの微細気泡を発生させることができる。また、
図13に示すように、前記した取水機構部10の取水面側16(
図1)において、開口調節機構である可変オリフィス68を備えることも可能である。この可変オリフィス68は、虹彩絞り機構を備え、取水機構部10における取水孔60の開口面積を変化させることができるように構成されたオリフィスである。虹彩絞り機構は、カメラレンズの絞り等で一般に知られている。
【0100】
このような可変オリフィス68を設けることで、水道水の送給圧力が低い場合には、取水孔60の開口面積を大きくすることで水道の流入量を高めたり、水道水の送給圧力が高い場合には、取水孔60の開口面積を小さくすることにより水道の流入量を低めたりすることができる。
【0101】
次に、上述した微細気泡水生成器を備える本発明の第2の実施の形態に係るシャワー用ホース70について詳しく説明する。
【0102】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るシャワー用ホース70に関し、一般的な家庭用シャワー設備の構成図を示す。
【0103】
図14は、微細気泡水生成器付きシャワーホース70の外観斜視図を示し、可撓性のホース部72の両端にシャワーヘッド71側に着脱自在に接続可能なシャワーヘッド取付部75と、給水栓77に着脱自在に接続可能な給水栓取付部74とを設けて構成され、ホース72の中に微細気泡発生器75が配設されている。
【0104】
図15は、微細気泡水生成器付きシャワーホース70におけるホース部72の外観図を示す。
【0105】
図14及び
図15において、シャワーヘッド取付部75と給水栓取付部74のそれぞれには、外周にオネジが形成された円筒の放水口や給水口と螺合するメネジが形成されている。すなわち、シャワーホース70の接続金具と同じ構造となっている。
【0106】
そして、微細気泡水生成器付きシャワーホース70は、取付具76(
図15)を備えており、この取付具76は、一端にシャワーヘッド取付部73に接続可能な接続部75を有している。
【0107】
図16は、微細気泡水生成器75を、シャワーヘッド71とホース部72との間に取り付けた状態の例を示す。
【0108】
また、
図17は、微細気泡水生成器75を、給水栓72に直接的に接続する例を示す。
【0109】
上述したように、洗濯機用給水ホースまたはシャワー用ホース内に組み込まれた微細気泡水生成器においては、水道水受水側に設けられた取水機構部において、水道圧で給送される水道水は切欠内を通過するとき乱流を生じながら、取水部から水道供給管の軸方向に対し傾けて放出された水道水が、給水機構部において、前記取水機構部からの水道水がその内壁を旋回して流速を上げながら下流側へ進み、流水速を高めた状態で、さらに水道水中の気泡を粉砕溶解させるので、マイクロバブル水及びウルトラファインバブル水を簡易な構造で生成すること可能とし得たのである。
【0110】
そして、本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機用給水ホースにおいては、洗剤の微粒子が微細気泡水生成器によって生じる多くの微細気泡の表面に取り付いた状態で洗濯物の繊維の間にきめ細かく浸透することになるので、洗浄力が大幅に向上し、洗濯水における泡立ちが良く、すすぎの際には洗剤がきれいに流れ落ちることを可能にしたのである。
【0111】
また、本発明の第2の実施の形態に係るシャワー用ホースにおいては、シャワー水中の多くの微細気泡が、人体の顔や肌の毛穴径よりも微小であることから、気泡水が皮膚表面に心地よく浸透し、固形石鹸、液状ソープまたはシャンプーの微粒子が水中の微細気泡の表面に取り付いた状態で皮膚の細胞や毛穴内にきめ細かく浸透することになるので洗浄力が向上し、さらには、石鹸、ソープ又はシャンプーのすすぎ流れが良くなり、良好な使用感を奏するシャワー水の供給を可能としたのである。
【符号の説明】
【0112】
1 微細気泡水生成部
10 取水機構部
20 給水機構部
13 取水機構部を構成する円板部材
11 円板部材の切欠
12 切欠の内周面に施された溝
14 水道蛇口に取り付けられたアダプタとの接続部の外周雄ネジ
15 取水機構部の管体
16 取水機構部の受水面
21 給水機構部の外側管体
22 給水機構部における第1通水路を形成する円錐斜面
23 給水機構部と取水機構部間の距離を調整するための調整手段
(ネジ切り調整機構)
24 第2通水路を形成する筒体
25 第2通水路を形成させる円筒部材
26 第1通水路と第2通水路間の距離を調整するための調整手段
(ネジ切り調整機構)
27 取水機構部の内周雌ネジ
28 第2通水路を形成させる円筒部材の第1通水路側の面
(平面又は円錐状突起面)
29 第2通水路に形成される溝(凹凸面)
30 第1通水路
31 第2通水路
32 給水機構部における第2通水路を形成させるための管体
33 給水機構部の放水面
41 微細気泡水生成部を備えた洗濯機用給水ホース
43 微細気泡水生成部
42 洗濯機用のホース(ホース部)
44 接続部
46 接手部
46b 貫通孔
49 水道蛇口に取り付けられたアダプタ
49a 球体
66 洗濯機
68 開口調節機構
70 微細気泡水生成器付きシャワー用ホース
71 シャワーヘッドの放水口
72 シャワー用のホース(ホース部)
74 給水栓取付部
75 微細気泡発生器
76 給水栓