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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20241010BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20241010BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F28F1/02 A
F28F9/26
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021105025
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003759
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】320014857
【氏名又は名称】ハイリマレリジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中所 和生
(72)【発明者】
【氏名】岡田 武人
(72)【発明者】
【氏名】丹野 良城
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-177546(JP,A)
【文献】特開平07-012491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0011637(US,A1)
【文献】特開2010-230252(JP,A)
【文献】特開2001-133172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 1/00-11/00
F28D 1/00-21/00
F28F 1/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相と気相との相変化を生じる冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器であって、
対向して一対設けられるヘッダタンクと、前記ヘッダタンクどうしを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブと、を有し、空気の流れ方向に複数重ねて設けられるコア部と、
単一の部材によって形成され、一つの前記コア部の前記ヘッダタンクの端部と当該ヘッダタンクと空気の流れ方向に重なる他の前記コア部の前記ヘッダタンクの端部との間を接続し、連続して冷媒を流通させるターンブロックと、
を備え、
前記ターンブロックは、各々の前記ヘッダタンクとの各々の接続部から内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路の先端どうしが連通してV字状になるV字通路を有
前記V字通路における最狭部の有効通路面積は、前記ヘッダタンク内の最低通路面積以上である、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
液相と気相との相変化を生じる冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器であって、
対向して一対設けられるヘッダタンクと、前記ヘッダタンクどうしを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブと、を有し、空気の流れ方向に複数重ねて設けられるコア部と、
単一の部材によって形成され、一つの前記コア部の前記ヘッダタンクの端部と当該ヘッダタンクと空気の流れ方向に重なる他の前記コア部の前記ヘッダタンクの端部との間を接続し、連続して冷媒を流通させるターンブロックと、
を備え、
前記ターンブロックは、各々の前記ヘッダタンクとの各々の接続部から内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路の先端どうしが連通してV字状になるV字通路を有
前記ヘッダタンクの中心線に対する前記内部通路の角度は、30度から45度である、
ことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下のタンク間に冷媒が流れるチューブが設けられる熱交換ユニットが、風流れ方向に前後2層に設けられる熱交換器が開示されている。この熱交換器は、一端部から供給される冷媒が同じ端部から排出される構造である。この熱交換器の他端部には、前後2層のタンク間で冷媒を流通させる連通部形成部材(ターンブロック)が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-177546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷媒が流通する熱交換器においては、内部で冷媒が液相と気相との相変化を生じて高圧となる。そのため、熱交換器全体で内部圧に対する高い耐圧性能が要求される。
【0005】
また、熱交換器が車両内に配置される場合には、小型化が要求される一方で、配置空間の限られたスペース内で熱交換効率を上げるために、熱交換部の有効面積をできるだけ大きく確保する必要がある。タンク間で冷媒を流通させるターンブロックは、熱交換に直接寄与しないため、冷媒の流通における圧損を小さくすると共に、必要な耐圧性能を確保した上で、できるだけ小型であることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、冷媒の流通における圧損が小さく、小型で耐圧性能の高いターンブロックを備える熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、液相と気相との相変化を生じる冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器は、対向して一対設けられるヘッダタンクと、前記ヘッダタンクどうしを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブと、を有し、空気の流れ方向に複数重ねて設けられるコア部と、単一の部材によって形成され、一つの前記コア部の前記ヘッダタンクの端部と当該ヘッダタンクと空気の流れ方向に重なる他の前記コア部の前記ヘッダタンクの端部との間を接続し、連続して冷媒を流通させるターンブロックと、を備え、前記ターンブロックは、各々の前記ヘッダタンクとの各々の接続部から内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路の先端どうしが連通してV字状になるV字通路を有V字通路における最狭部の有効通路面積は、ヘッダタンク内の最低通路面積以上である
【発明の効果】
【0008】
上記態様では、各々のヘッダタンクとの接続部から内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路の先端どうしが連通してV字通路を形成する。そのため、冷媒の流通に必要な通路面積を確保し、冷媒の流通における圧損を小さくすることができる。また、ターンブロックは単一の部材によって形成されるので、ターンブロックを小型にすることができ、耐圧性能を高くすることができる。したがって、冷媒の流通における圧損が小さく、小型で耐圧性能の高いターンブロックを備える熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器の分解斜視図である。
図2図2は、ターンブロックの斜視図である。
図3図3は、図2におけるIII-III断面図である。
図4図4は、ヘッダタンクの中心線に対する内部通路の角度について説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る熱交換器100について説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、熱交換器100の全体構成について説明する。図1は、熱交換器100の分解斜視図である。
【0012】
熱交換器100は、車両(図示省略)に搭載される。熱交換器100は、空調装置(図示省略)において冷凍サイクル(図示省略)を循環して液相と気相との相変化を生じる冷媒と、空調に用いられる空気との間で熱交換を行う。
【0013】
具体的には、熱交換器100は、空調に用いられる空気が通過するHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)ユニット(図示省略)内に設けられる。熱交換器100は、空調装置が暖房運転を行う際に、空調に用いられる空気との熱交換を行い、冷媒を凝縮させて空気を加熱する凝縮器である。これに限らず、熱交換器100は、空調装置が冷房運転を行う際に、空調に用いられる空気との間での熱交換を行い、冷媒を蒸発させて空気を冷却及び除湿する蒸発器であってもよい。
【0014】
熱交換器100は、複数のコア部10と、ターンブロック30と、補強部材20と、を有する。コア部10は、複数のチューブ1と、一対のヘッダタンク2と、複数のフィン(図示省略)と、を備える。チューブ1,ヘッダタンク2,及びフィンは、アルミニウムなどの金属によって形成され、ろう付け等によって互いに接合されて一体になる。
【0015】
熱交換器100は、配管50によって冷凍サイクルの他の構成部品と冷媒が循環可能なように接続される。配管50は、中継部材51とシールリング52とを介してヘッダタンク2に接続される。配管50は、一方のコア部10のヘッダタンク2と、当該ヘッダタンク2と隣接する他方のコア部10のヘッダタンク2と、に各々接続される。熱交換器100に供給される冷媒は、一方の配管50aを通じて一方のコア部10に流入し、他方のコア部10から他方の配管50bを通じて流出する。
【0016】
コア部10は、各々のチューブ1の間を空気が通過するように、空気の流れ方向に対して交差するように設けられる。複数のコア部10は、連続して空気が通過するように、空気の流れ方向に重ねて設けられる。コア部10は、熱交換器100では二つ並べて設けられ前後2層になっているが、二つに限らず複数設けられればよい。
【0017】
チューブ1は、平行に並べて設けられ、間隔を空けて積層される。チューブ1は、扁平な形状に形成され、厚さ方向に積層される。隣り合うチューブ1どうしの間隔には、フィンが設けられる。チューブ1は、空気の流れ方向に対して交差する方向に積層される。チューブ1内には、冷媒が流通する流路が形成される。チューブ1は、各々のコア部10にてヘッダタンク2どうしを接続し、内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う。
【0018】
ヘッダタンク2は、各々のコア部10にて対向するように一対ずつ設けられる。ヘッダタンク2は、複数のチューブ1の長手方向の両端部が各々挿入されるように配置される。ヘッダタンク2は、冷媒を一時的に貯蔵する。ヘッダタンク2は、中継部材51若しくはターンブロック30が設けられない端部を閉塞する閉塞部材2aを有する。
【0019】
コア部10における一方のヘッダタンク2には、冷凍サイクルを循環して空調に用いられる冷媒が流入する。ヘッダタンク2に流入した冷媒は、複数のチューブ1内をそれぞれ流通する。冷媒は、チューブ1を流通する際に空気との間で熱交換を行う。コア部10における他方のヘッダタンク2には、チューブ1内を流通した冷媒が流れ込む。ヘッダタンク2に流れ込んだ冷媒は、再び冷凍サイクルを循環する。
【0020】
フィンは、隣り合うチューブ1の間に設けられ、チューブ1と交互に積層される。フィンは、チューブ1の長手方向に沿って波状に形成され、隣接する2つのチューブ1と接合される。複数のチューブ1とフィンの周囲には、空調装置のブロワ(図示省略)によって供給される空気が通過する。そのため、チューブ1の内部を流通する冷媒は、チューブ1の表面とフィンとを介して、空気との間で熱交換を行うことができる。このように、フィンは、冷媒と空気との間の熱交換を促進させる。
【0021】
補強部材20は、コア部10における積層方向の両端部に各々設けられる。補強部材20は、コア部10における積層方向の両端部に設けられるフィンに当接する。補強部材20は、長手方向の端部が各々のヘッダタンク2にそれぞれ係止され、一対のヘッダタンク2の間を連結して補強する。補強部材20は、チューブ1とフィンとをろう付けしてコア部10を形成する際に、フィンにろう付けされてコア部10と一体になる。
【0022】
ターンブロック30は、一方のコア部10のヘッダタンク2の端部と当該ヘッダタンク2と空気の流れ方向に重なる他方のコア部10のヘッダタンク2の端部との間を接続し、連続して冷媒を流通させる。即ち、ターンブロック30は、前側のコア部10から後側のコア部10に冷媒を移動させる。ターンブロック30は、チューブ1とフィンとをろう付けしてコア部10を形成する際に、ヘッダタンク2にろう付けされてコア部10と一体になる。
【0023】
一方のコア部10を流通した冷媒は、ターンブロック30を通過して方向転換し、他方のコア部10を流通する。即ち、一方のコア部10のチューブ1と他方のコア部10のチューブ1とでは、冷媒の流通方向は反対向きである。
【0024】
ここで、冷媒が流通する熱交換器100においては、内部で冷媒が液相と気相との相変化を生じて高圧となる。そのため、熱交換器100全体で内部圧に対する高い耐圧性能が要求される。また、ターンブロック30は、コア部10の外側に突出する。そのため、HVACユニット内にターンブロック30を収容すると、その分だけコア部10における有効面積(熱交換に寄与する面積)が小さくなるおそれがある。一方、HVACユニット外にターンブロック30を配置する場合には、HVACユニットの風路を形成するケースに、ターンブロック30を突出させるための貫通孔を設ける必要がある。
【0025】
このように、ターンブロック30には小型化が要求される一方で、配置空間の限られたスペース内で熱交換効率を上げるために、コア部10の有効面積をできるだけ大きく確保する必要がある。ヘッダタンク2間で冷媒を流通させるターンブロック30は、熱交換に直接寄与しないため、冷媒の流通における圧損を小さくすると共に、必要な耐圧性能を確保した上で、できるだけ小型であることが望ましい。そこで、熱交換器100には、以下の構造のターンブロック30が適用される。
【0026】
以下、図2及び図3を参照して、ターンブロック30の構造について説明する。図2は、ターンブロック30の斜視図である。図3は、図2におけるIII-III断面図である。
【0027】
図2に示すように、ターンブロック30は、単一の部材によって形成される。具体的には、ターンブロック30は、アルミニウムなどの金属のブロックを切削して形成される。ターンブロック30は、一対の接続部30aと、V字状のV字通路31と、を有する。
【0028】
接続部30aは、ターンブロック30の端部に、深座ぐり形状に切削して形成される。接続部30aは、ヘッダタンク2の外形と同じ形状に形成される。各々の接続部30aには、ヘッダタンク2の端部が嵌合する。
【0029】
図3に示すように、V字通路31は、一方のコア部10から流入する冷媒を、他方のコア部10に向けて流出させるために方向転換させる。V字通路31は、一対の内部通路32を有する。
【0030】
V字通路31における最狭部の有効通路面積は、ヘッダタンク2内の最低通路面積以上である。これにより、ターンブロック30によって冷媒が流れる際の流路抵抗を増加させることを防止できる。なお、V字通路31における最狭部は、内部通路32どうしが接続される接続部に形成される。
【0031】
内部通路32は、各々のヘッダタンク2との各々の接続部30aから内部に向けて斜めの直線状に形成される。内部通路32は、ドリルを用いた切削加工によって形成される。そのため、内部通路32は、円形の流路断面を有する。一対の内部通路32は、先端どうしが連通してV字状に形成される。よって、V字通路31を形成する際には、単一の部材に一対の内部通路32を切削するだけでよいので、加工を容易にすると共に耐圧性能を向上させることができる。
【0032】
以上のように、各々のヘッダタンク2との接続部30aから内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路32の先端どうしが連通してV字通路31を形成する。そのため、冷媒の流通に必要な通路面積を確保し、冷媒の流通における圧損を小さくすることができる。また、ターンブロック30は単一の部材によって形成されるので、ターンブロック30を小型にすることができ、耐圧性能を高くすることができる。したがって、冷媒の流通における圧損が小さく、小型で耐圧性能の高いターンブロック30を備える熱交換器100を提供することができる。
【0033】
また、ターンブロック30が複数部品からなる場合は、複数の部品どうしの接合強度の低下に起因する冷媒漏れ等が発生するリスクがあるため、製造工程や検査工程が複雑化するおそれがある。これに対して、熱交換器100では、ターンブロック30が単一の部材によって形成されるので、製造工程や検査工程が複雑化することを抑制できる。
【0034】
次に、図4を参照して、ヘッダタンク2の中心線Pに対する内部通路32の中心線Qの角度θについて説明する。図4は、ヘッダタンク2の中心線Pに対する内部通路32の中心線Qの角度θについて説明するグラフである。図4の横軸は、ターンブロック30の幅W[mm]であり、縦軸は、ターンブロック30の長さL[mm]である。
【0035】
ターンブロック30は、幅W及び長さLが小さいほど小型化が可能である。そのため、幅Wも長さLも小さい方が望ましい。具体的には、ターンブロック30の大きさは、幅Wが45[mm]以下であり、長さLが20[mm]以下であることが望ましい。即ち、図4における太実線で囲われた範囲内であることが望ましい。
【0036】
図4のグラフは、例として、内部通路32の大きさをφ9.6[mm]とし、V字通路31における最狭部の通路面積をφ9.6[mm]に相当する72.4[mm]以上としたときに形成されるV字通路31をプロットしたものである。
【0037】
プロットAでは、角度θは10度である。プロットBでは、角度θは20度である。プロットCでは、角度θは33度である。プロットDでは、角度θは45度である。プロットEでは、角度θは60度である。
【0038】
図4のグラフから、角度θが33度の場合(プロットC)と45度の場合(プロットD)とに、幅Wが45[mm]以下であり長さLが20[mm]以下であるターンブロック30にV字通路31を形成可能であることが分かる。よって、ヘッダタンク2の中心線Pに対する内部通路32の中心線Qの角度θは、30度から45度であることが望ましいことが分かる。なお、角度θの下限は、角度θが33度のときのターンブロック30の長さLから、長さLが20[mm]のときの角度θを推定して30度とした。
【0039】
このように、角度θを30度から45度とすることで、ターンブロック30の幅を冷媒が流れる両ヘッダタンク2の幅以上に広げることなく、長さ方向の大きさを小さくすることができる。
【0040】
なお、ここでは、ターンブロック30の大きさは、幅Wが45[mm]以下、長さLが20[mm]以下であり、内部通路32の大きさをφ9.6[mm]とし、V字通路31における最狭部の通路面積をφ9.6[mm]に相当する72.4[mm]以上である場合を例示した。しかしながら、これらの大きさが異なっていても、ターンブロック30の幅を冷媒が流れる両ヘッダタンク2の幅以上に広げることなく、長さ方向の大きさを小さくするための角度θの範囲は変わらない。
【0041】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0042】
液相と気相との相変化を生じる冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器100は、対向して一対設けられるヘッダタンク2と、ヘッダタンク2どうしを接続し内部を流通する冷媒と周囲を流れる空気との間で熱交換を行う複数のチューブ1と、を有し、空気の流れ方向に複数重ねて設けられるコア部10と、単一の部材によって形成され、一つのコア部10のヘッダタンク2の端部と当該ヘッダタンク2と空気の流れ方向に重なる他のコア部10のヘッダタンク2の端部との間を接続し、連続して冷媒を流通させるターンブロック30と、を備え、ターンブロック30は、各々のヘッダタンク2との各々の接続部30aから内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路32の先端どうしが連通してV字状になるV字通路31を有する。
【0043】
この構成によれば、各々のヘッダタンク2との接続部30aから内部に向けて斜めの直線状に形成される内部通路32の先端どうしが連通してV字通路31を形成する。そのため、冷媒の流通に必要な通路面積を確保し、冷媒の流通における圧損を小さくすることができる。また、ターンブロック30は単一の部材によって形成されるので、ターンブロック30を小型にすることができ、耐圧性能を高くすることができる。したがって、冷媒の流通における圧損が小さく、小型で耐圧性能の高いターンブロック30を備える熱交換器100を提供することができる。
【0044】
ターンブロック30が複数部品からなる場合は、複数の部品どうしの接合強度の低下に起因する冷媒漏れ等が発生するリスクがあるため、製造工程や検査工程が複雑化するおそれがある。これに対して、熱交換器100では、ターンブロック30が単一の部材によって形成されるので、製造工程や検査工程が複雑化することを抑制できる。
【0045】
また、V字通路31における最狭部の有効通路面積は、ヘッダタンク2内の最低通路面積以上である。
【0046】
この構成によれば、ターンブロック30によって冷媒が流通する際の流路抵抗を増加させることを防止できる。
【0047】
また、ヘッダタンク2の中心線Pに対する内部通路32の角度θは、30度から45度である。
【0048】
この構成によれば、ターンブロック30の幅を冷媒が流れる両ヘッダタンク2の幅以上に広げることなく、長さ方向の大きさを小さくすることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0050】
100 熱交換器
1 チューブ
2 ヘッダタンク
10 コア部
30 ターンブロック
30a 接続部
31 V字通路
32 内部通路
図1
図2
図3
図4