IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特許-灯具ユニット 図1
  • 特許-灯具ユニット 図2
  • 特許-灯具ユニット 図3
  • 特許-灯具ユニット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241010BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20241010BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20241010BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20241010BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241010BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241010BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20241010BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241010BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20241010BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20241010BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241010BHJP
【FI】
F21S2/00 311
F21S2/00 100
F21S2/00 375
F21S41/141
F21S41/19
F21S45/47
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V29/503
F21V29/70
F21V23/00 150
F21V23/00 200
F21V23/06
F21W102:13
F21Y115:10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021109305
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006609
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲也
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/010461(WO,A1)
【文献】特開2011-134677(JP,A)
【文献】特開2007-059894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 41/141
F21S 41/19
F21S 45/47
F21V 19/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 23/00
F21V 23/06
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子、点灯回路、基板及び放熱部材を備える灯具ユニットにおいて、
前記基板は、基板本体、外部コネクタ差込部、及び発光素子設置部を有するとともに前記基板本体に前記放熱部材を設けられ、
前記点灯回路は、前記基板本体に搭載されると共に前記発光素子に電気的に接続され、
前記発光素子が、前記発光素子設置部を介して前記放熱部材に接触した状態で搭載され
前記発光素子設置部が、前記基板の表裏に貫通する貫通孔であって、
前記発光素子が、
前記基板本体の表面と面一になるように、または前記発光素子設置部の内側に凹んだ位置に形成されるように、
前記発光素子設置部の内側に設けられることを特徴とする、灯具ユニット。
【請求項2】
前記外部コネクタ差込部は、前記基板本体の外周縁部に突出形成され、
前記放熱部材が前記基板本体の裏面にのみ設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発光素子と点灯回路を備えた放熱部材付基板を有する低コスト灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属板に発光素子とフレキシブルプリント基板を搭載し、フレキシブルプリント基板の一部を雄コネクタとして電源側コネクタ(雌側)に接続する光源ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-12867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光源ユニットには、光源ユニットと点灯回路を別体形成してあるためにLEDユニットが大型化すると共に複雑化する問題がある。また、特許文献1の光源ユニットには、コネクタ形成部位を電源側コネクタから抜き差しすることによってフレキシブルプリント基板や、LEDが金属板から剥がれやすいという問題がある。
【0005】
本願は、上記問題に鑑みて、発光素子、点灯回路及び放熱用の金属部材を有する灯具ユニットの小型化、簡素化を実現するとともに、放熱用の金属部材からコネクタ付搭載基板や実装部品を剥がれにくくした灯具ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発光素子、点灯回路、基板及び放熱部材を備える灯具ユニットにおいて、前記基板は、基板本体、外部コネクタ差込部、及び発光素子設置部を有するとともに前記基板本体に前記放熱部材を設けられ、前記点灯回路は、前記基板本体に搭載されると共に、前記発光素子に電気的に接続され、前記発光素子が、前記発光素子設置部を介して前記放熱部材に接触した状態で搭載されるようにした。
【0007】
(作用)点灯回路が基板本体を介して放熱部材に搭載され、基板の点灯回路に電気的に接続された発光素子が、発光素子設置部を介して、放熱部材に直接搭載される。放熱部材は、基板本体に設けられ、放熱部材を持たない外部コネクタ差込部のみが図示しない電源型コネクタに抜き差しされる。
【0008】
また、灯具ユニットにおいて、前記外部コネクタ差込部は、前記基板本体の外周縁部に突出形成され、前記放熱部材が前記基板本体の裏面にのみ設けられるようにすることが望ましい。
【0009】
(作用)基板本体の外周縁部に突出形成された外部コネクタ差込部のみが電源側コネクタに抜き差しされ、基板本体の裏面にのみ設けられた放熱部材は、電源側コネクタに接触しない。
【0010】
また、灯具ユニットにおいて、前記発光素子設置部が、前記基板の表裏に貫通する貫通孔であって、前記発光素子が、前記発光素子設置部の内側に設けられるようにすることが望ましい。
【0011】
(作用)発光素子が、発光素子設置部の内側に窪んで設置されると共に、発光素子に発生した発光時の熱が、放熱部材に直接伝達される。
【発明の効果】
【0012】
発光素子、点灯回路及び基板を一体化することで、灯具ユニットの小型化及び簡素化が実現される。また、外部コネクタ差込部のみを電源側コネクタから抜き差しすることで、抜き差しの際に放熱部材からコネクタ付基板や実装部品が剥がれにくくなる。
【0013】
放熱部材が電源側コネクタに抜き差しされず、電源側コネクタとの間に摩擦を生じないため、放熱部材からコネクタ付基板や実装部品が剥がれにくくなる。
【0014】
発光素子設置部の貫通孔の内周に周囲を囲まれた発光素子は、基板の外部コネクタ差込部を電源側コネクタに抜き差しする際に、何かに接触しにくくなるため、放熱部材から剥がれにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の灯具ユニットをガラスエポキシ基板の表面側からみた斜視図。
図2】本実施形態の灯具ユニットの左側面図を反時計回りに90°回転して表した図。
図3】本実施形態の発光素子をガラスエポキシ基板の表面側からみた拡大斜視図
図4】本実施形態のLED及び点灯回路に関する回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を図1図2に基づいて説明する。各図においては、プリント基板の各方向を(表面側:裏面側:左端側:右端側:先端側:基端側=Fr:Re:Le:Ri:Lo:Up)として説明する。
【0017】
図1及び図2に示す、灯具ユニット1は、複数の発光素子群からなるLED2、点灯回路3,ガラスエポキシ基板4及び放熱部材であるアルミ板5を有する。
【0018】
図1に示すLED2は、ロービーム用LED2aと、ハイ/ロー兼用LED2bと、ハイビーム用LED2cによって構成される。ロービーム用LED2aは、灯具ユニット1を搭載した車両(図示せず)の、ロービーム配光パターンにおける集光領域を表示する。ハイ/ロー兼用LED2bは、ロービーム配光パターンにおける拡散領域と、ハイビーム配光パターンの双方を表示する。ハイビーム用LED2cは、ハイ/ロー兼用LED2bと共にハイビーム用配光パターンを表示する。尚、発光素子は、LEDに限らず、レーザーダイオード等でもよく、LED2を構成する発光素子は、単数の発光素子、2つの発光素子、または4以上の発光素子群から構成しても良い。
【0019】
図1及び図2に示す、点灯回路3は、金属製の導電パターン3bを介して電気的に接続された、多数の電子部品3aによって構成される。ガラスエポキシ基板4は、基板本体6、及びカードエッジコネクタとして形成された、外部コネクタ差込部7によって形成される。外部コネクタ差込部7は、一例として、矩形板状の基板本体6の先端側外周縁部6bの左右の中央から先端方向に突出形成される。
【0020】
図1及び図2に示すように、点灯回路3は、ガラスエポキシ基板4の基板本体6の表面6aに搭載され、外部コネクタ差込部7の表面7aに形成された金属製の端子部7bは、導電パターン3bを介して点灯回路3に接続される。外部コネクタ差込部7は、図示しない外部コネクタに接続されることにより、電源からの電力供給、及びLED2に対する点灯制御信号(ハイビームとロービームとの間の点灯切替信号等)を入力される。
【0021】
このように、外部コネクタ差込部7のみを図示しない外部コネクタから抜き差しすることで、抜き差しの際に点灯回路3等の実装部品が、基板本体6から剥がれにくくなる。
【0022】
図1及び図2に示すように、ガラスエポキシ基板4の基板本体6の裏面6cには、放熱部材である矩形のアルミ板5が一体化される。アルミ板5は、表面6a側に熱源となる点灯回路3を有する基板本体6の裏面6cにのみ設けられ、外部コネクタ差込部7の裏面7cには設けられない。
【0023】
このように、アルミ板5が、外部コネクタ差込部7に設けられないことにより、アルミ板5そのものが、電源側コネクタ(図示せず)に抜き差しされず、電源側コネクタとの間に摩擦を生じないため、外部コネクタ差込部7を設けたガラスエポキシ基板4が、アルミ板5から剥がれにくくなる。
【0024】
尚、本実施形態においては、アルミ板5の表面5aの面積を基板本体6の裏面6cの面積よりも大きく形成している。また、アルミ板5は、先端側外周縁部5bを基板本体6の先端側外周縁部6bと面一にして基板本体6の裏面6cに一体化している。このようにアルミ板5を基板本体6の外周縁部から左右及び基端側に突出させることにより、アルミ板5の総表面積が大きくなることで、放熱効果が向上する。尚、アルミ板5の表面5aの面積を基板本体6の裏面6cの表面積と同一に形成し、アルミ板5が、基板本体6の裏面6cの全域にのみ形成されるようにすることも出来る。その場合、アルミ板5が、基板本体6の外周縁部の内側に収まることにより、灯具ユニット1のサイズを最もコンパクトにしつつ、同時に基板本体6の裏面6cの全域に設けられることにより、基板本体6に対する最大限の冷却効果を発揮出来る。
【0025】
図1図3により、LED2と、ガラスエポキシ基板4の発光素子設置部8を説明する。まず、本実施形態においてLED2を構成する、ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cは、いずれも同じ構成を有する。尚、LED2aから2cは、発光部の大きさ等、異なるように構成して異なる出力を発揮するようにしてもよい。
【0026】
図3により、一例としてロービーム用LED2aを説明する。ロービーム用LED2aは、本体部2a1、発光部2a2、段差状の端子設置部2a3、金属製の端子部2a4を有する。本体部2a1と、端子設置部2a3は、セラミック等によって形成され、本体部2a1の先端側には、発光部2a2が露出する。
【0027】
図1に示すように、ガラスエポキシ基板4の基板本体6には、左右に配列された、3箇所の発光素子設置部8が設けられている。図3に示すように、発光素子設置部8は、ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cの外形に倣う形状を有し、かつ先端側から基端側に貫通する貫通孔として形成される。発光素子設置部8の基端部には、アルミ板5の表面5aが露出し、アルミ板5の表面5aは、発光素子設置部8の底面を構成する。
【0028】
図1及び図3に示すように、3箇所の発光素子設置部8の内側には、それぞれ左から順にロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cが設置される。ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cは、それぞれ、裏面2dを接触させた状態でアルミ板5の表面に設置される。ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cは、それぞれ、ワイヤボンド9によって端子部2a4を導電パターン3bに電気的に接続され、電力供給、及び点灯回路3からの点灯制御信号を受ける。
【0029】
図3に示すように、ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cは、それぞれ、基板本体6の表面6aではなく、放熱部材でアルミ板5の表面に直接設置されることにより、各LEDに発生した熱を速やかにアルミ板5に放熱する。
【0030】
また、図3に示す、ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cの発光部2a2は、それぞれ、基板本体6の表面6aと面一になるように、または、発光素子設置部8の内側に凹んだ位置に形成されるようにすることが望ましい。このように設置されることにより、ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cの発光部2a2は、それぞれ、発光素子設置部8の内周壁8aに周囲を囲まれることによって、ガラスエポキシ基板4の外部コネクタ差込部7を電源側コネクタに抜き差しする際に、何かと接触しにくくなるため、アルミ板5の表面5aから剥がれにくくなる。
【0031】
次に図4の回路図により、前照灯用として車両(図示せず)搭載された場合における、本実施形態の灯具ユニット1によるLED2の点灯態様を説明する。ロービーム用LED2a、ハイ/ロー兼用LED2b、及びハイビーム用LED2cと、点灯回路3は、図4のような回路構成により、導電パターン3bを介して、点灯スイッチ10,ハイビーム/ロービーム切替スイッチ11、バッテリー12、抵抗13、MOS(metal-oxide-semiconductor)14,MOS15に接続されている。
【0032】
点灯スイッチ10をONにすると、バッテリー12から点灯回路3に電力供給が行われ、ハイビーム/ロービーム切替スイッチ11の態様に基づいて、LED2が発光する。点灯回路3は、点灯スイッチ10がONであり、かつハイビーム/ロービーム切替スイッチ11がOFFのとき、ロービーム用配光パターンを表示する態様(ロービーム用設定)で、LED2を点消灯制御する。具体的には、ロービーム用設定において、MOS14は、OFFになり、MOS15は、ONになるため、ロービーム用LED2a及びハイ/ロー兼用LED2bが点灯し、ハイビーム用LED2cが消灯する。結果、LED2は、ロービーム用の集光と拡散光によるロービーム用配光パターン(図示せず)を表示する。
【0033】
一方点灯回路3は、点灯スイッチ10がONであり、かつハイビーム/ロービーム切替スイッチ11がONのとき、ハイビーム用配光パターンを表示する態様(ハイビーム用設定)で、LED2を点消灯制御する。具体的には、ハイビーム用設定において、MOS14は、ONとなり、MOS15は、OFFになる。この場合、ハイ/ロー兼用LED2bし及びハイビーム用LED2cが点灯することのみならず、ロービーム用LED2aが、抵抗13を介して全灯用の点灯電流よりも微弱な電流を受け、全灯時よりもやや明るさを低減された状態で点灯し、ロービーム用集光を発生させる。
【0034】
このように、ハイビーム点灯時にロービーム用LED2aも僅かに点灯させることにより、本実施形態の灯具ユニット1によれば、従来、回路上の信号入力部のコネクタに酸化防止用の微弱電流を流す必要があり、当該微弱電流は、前照灯の点灯に何ら寄与出来ない無駄な電流となっていた。しかし、図4の回路構成によれば、酸化防止用の微弱電流が、ハイビーム点灯時において、ロービーム用LED2aの微弱点灯に兼用されることで、車両の前方から見たLED2の一部が消灯することによる見栄えの悪さを改善するという効果を奏する。
【0035】
本実施形態の灯具ユニット1は、LED2、点灯回路3及びガラスエポキシ基板4を一体化することで、灯具ユニット1の小型化及び簡素化が実現されるのみならず、上述した効果を奏する点で優れている。
【符号の説明】
【0036】
1 灯具ユニット
2 LED(発光素子)
2a ロービーム用LED
2b ハイ/ロー兼用LED
2c ハイビーム用LED
3 点灯回路
4 ガラスエポキシ基板
5 アルミ板(放熱部材)
6 基板本体
6b 先端側外周縁部
6c 裏面
7 外部コネクタ差込部
8 発光素子設置部
図1
図2
図3
図4