(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/37 20220101AFI20241010BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20241010BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20241010BHJP
F24H 9/1818 20220101ALI20241010BHJP
F24H 15/128 20220101ALI20241010BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20241010BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20241010BHJP
【FI】
F24H15/37
F24H1/00 631A
F24H1/18 D
F24H1/18 J
F24H9/1818
F24H15/128
F24H15/219
F24H15/335
(21)【出願番号】P 2021131746
(22)【出願日】2021-08-12
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
(72)【発明者】
【氏名】小形 武史
(72)【発明者】
【氏名】志賀 広貴
(72)【発明者】
【氏名】大平 晃寛
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聡
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴幸
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-168441(JP,A)
【文献】特開2010-153146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部に接続され、当該貯湯タンク内の湯水を導出する第1往き管と、
前記貯湯タンクの上部に接続され、加熱後の湯水を当該貯湯タンク内へ戻す第1戻り管と、
湯水を循環させる循環ポンプを有し、湯水流入側が前記第1往き管に接続されるとともに湯水流出側が前記第1戻り管へ接続された、第1加熱回路と、
前記第1加熱回路における前記循環ポンプの下流側に設けられ、湯水を加熱可能な電熱ヒータを備えたヒータ装置と、
前記第1加熱回路における前記ヒータ装置の下流側に設けられ、当該ヒータ装置による加熱後の温水温度を検出する検出手段と、
を有する貯湯式給湯装置において、
前記検出手段により検出される前記温水温度が所定値未満であるか否かを判定する判定手段と、
前記貯湯タンク内の湯水の加熱要求の有無を判断する判断手段と、
前記判断手段により前記加熱要求が有ると判断されている際に、前記判定手段により前記温水温度が前記所定値以上であると判定された場合には前記循環ポンプ及び前記電熱ヒータを起動することなく、前記判定手段により前記温水温度が前記所定値未満であると判定された場合には前記循環ポンプ及び前記電熱ヒータを起動する、制御手段と、
前記第1戻り管に設けられ、前記所定値よりも高い所定の第1動作温度以上で動作して前記電熱ヒータへの通電を遮断する第1通電遮断手段と、
を有することを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記ヒータ装置は、
内側に前記温水が流通する流通配管と前記電熱ヒータとが金属カバー内に配設されたヒータユニットと、
前記ヒータユニットが取り付けられるヒータ取付板と、
前記ヒータユニットと前記ヒータ取付板とを固定する取付脚と、
を備えることを特徴とする
請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記ヒータ装置は、
前記ヒータ取付板に設けられ、前記第1動作温度よりも高い所定の第2動作温度以上で動作して前記電熱ヒータへの通電を遮断する第2通電遮断手段をさらに備えることを特徴とする
請求項2記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記貯湯タンクの下部に接続され、当該貯湯タンク内の湯水を導出する第2往き管と、
前記貯湯タンクの上部に接続され、加熱後の湯水を当該貯湯タンク内へ戻す第2戻り管と、
湯水を加熱可能な加熱手段を有し、湯水流入側が前記第2往き管に接続されるとともに湯水流出側が前記第2戻り管へ接続された、第2加熱回路と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至
請求項3の何れか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンクに給湯する貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置においては、特許文献1記載のように、加熱回路に備えられたポンプを駆動することにより貯湯タンク内の湯水を加熱回路に流入させ、ポンプの下流側の加熱手段(小型追い焚きボイラ等)により加熱した後、貯湯タンク内に戻すものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものにおいて、前記の流れで加熱回路へ湯水が循環し加熱が行われている最中に、例えば落雷その他の何らかの事情により停電が生じる場合がありうる。このような場合、それまでの通電により駆動されていたポンプ及び加熱手段が停止することになり、加熱回路内の湯水の流動が停止するとともに加熱手段による湯水への加熱も停止する。その際、前記流動停止により当該加熱手段の近傍に滞留している湯水が、加熱手段の余熱で加温され、過熱状態となる。
【0005】
このような滞留湯水の高温状態で前記停電が比較的短時間のうちに解消し、通電が再開されると、ポンプ及び加熱手段の駆動が再開され、ポンプの駆動再開により加熱回路内の湯水の流動が再開される。この場合、前記のように過熱状態となって加熱手段近傍に滞留していた湯水がそのまま加熱手段の下流側に流れることから、加熱回路内に思わぬ悪影響が生じる可能性がある。特に加熱手段として電熱ヒータを用いる場合には、余熱が大きいことから前記の問題が顕著であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部に接続され、当該貯湯タンク内の湯水を導出する第1往き管と、前記貯湯タンクの上部に接続され、加熱後の湯水を当該貯湯タンク内へ戻す第1戻り管と、湯水を循環させる循環ポンプを有し、湯水流入側が前記第1往き管に接続されるとともに湯水流出側が前記第1戻り管へ接続された、第1加熱回路と、前記第1加熱回路における前記循環ポンプの下流側に設けられ、湯水を加熱可能な電熱ヒータを備えたヒータ装置と、前記第1加熱回路における前記ヒータ装置の下流側に設けられ、当該ヒータ装置による加熱後の温水温度を検出する検出手段と、を有する貯湯式給湯装置において、前記検出手段により検出される前記温水温度が所定値未満であるか否かを判定する判定手段と、前記貯湯タンク内の湯水の加熱要求の有無を判断する判断手段と、前記判断手段により前記加熱要求が有ると判断されている際に、前記判定手段により前記温水温度が前記所定値以上であると判定された場合には前記循環ポンプ及び前記電熱ヒータを起動することなく、前記判定手段により前記温水温度が前記所定値未満であると判定された場合には前記循環ポンプ及び前記電熱ヒータを起動する、制御手段と、前記第1戻り管に設けられ、前記所定値よりも高い所定の第1動作温度以上で動作して前記電熱ヒータへの通電を遮断する第1通電遮断手段と、を有するものである。
【0008】
また、請求項2では、前記ヒータ装置は、内側に前記温水が流通する流通配管と前記電熱ヒータとが金属カバー内に配設されたヒータユニットと、前記ヒータユニットが取り付けられるヒータ取付板と、前記ヒータユニットと前記ヒータ取付板とを固定する取付脚と、を備えるものである。
【0009】
また、請求項3では、前記ヒータ装置は、前記ヒータ取付板に設けられ、前記第1動作温度よりも高い所定の第2動作温度以上で動作して前記電熱ヒータへの通電を遮断する第2通電遮断手段をさらに備えるものである。
【0010】
また、請求項4では、前記貯湯タンクの下部に接続され、当該貯湯タンク内の湯水を導出する第2往き管と、前記貯湯タンクの上部に接続され、加熱後の湯水を当該貯湯タンク内へ戻す第2戻り管と、湯水を加熱可能な加熱手段を有し、湯水流入側が前記第2往き管に接続されるとともに湯水流出側が前記第2戻り管へ接続された、第2加熱回路と、をさらに有するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の請求項1によれば、貯湯タンク内から導入された湯水に対する加熱が、第1加熱回路によって行われる。すなわち、第1加熱回路に備えられた循環ポンプが駆動されることにより、貯湯タンク内の湯水が第1往き管から第1加熱回路に流入し、循環ポンプの下流側に位置するヒータ装置に電熱ヒータにより加熱された後、加熱後の湯水が第1戻り管を経て貯湯タンク内に戻される。
【0012】
このような流れで第1加熱回路へ湯水が循環し加熱が行われている最中に、例えば落雷その他の何らかの事情により停電が生じる場合がありうる。このような場合、それまでの通電により駆動されていた循環ポンプ及び電熱ヒータが停止することになり、第1加熱回路内の湯水の流動が停止するとともに電熱ヒータによる湯水への加熱も停止する。その際、前記流動停止により当該電熱ヒータの近傍に滞留している湯水が、電熱ヒータの余熱で加温され、過熱状態となる。
このような滞留湯水の高温状態で前記停電が比較的短時間のうちに解消し、通電が再開されると、そのままでは、循環ポンプ及び電熱ヒータの駆動が再開され、循環ポンプの駆動再開により第1加熱回路内の湯水の流動が再開される。この場合、前記のように過熱状態となって電熱ヒータ近傍に滞留していた湯水がそのままヒータ装置の下流側に流れることから、第1加熱回路内に思わぬ悪影響が生じる可能性がある。
【0013】
そこで本発明の請求項1によれば、ヒータ装置の下流側に温水温度を検出する検出手段が設けられ、判定手段によってその検出された温水温度が所定値(例えば80[℃])未満であるか否かが判定される。そして、判断手段により前記貯湯タンク内の湯水の加熱要求が有ると判断されている際に、温水温度が所定値以上である間は、制御手段の制御により循環ポンプ及び電熱ヒータが起動されず、温水温度が所定値未満であると判定されたら循環ポンプ及び前記電熱ヒータが起動される。
【0014】
これにより、前述のように過熱状態となっている温水温度が所定値以上である間は循環ポンプが起動されず、ある程度冷却が進んで温水温度が所定値未満になった後に起動されるので、前記のような悪影響が生じるのを防止することができる。
【0015】
また、請求項1によれば、第1戻り管に対し第1通電遮断手段が設けられている。この第1通電遮断手段が設けられる場合、前記のような短時間の停電→その後通電復帰が生じた場合に、前記過熱状態の湯水が流れることで、第1通電遮断手段が作動してしまい(この例における前記悪影響に相当)、復帰のための手動操作が必要になる煩雑さが生じる。そこで請求項1によれば、前記のような制御手段の制御によって、ある程度冷却が進んで温水温度が所定値未満になった後に循環ポンプが起動されるため、過熱状態の温水が第1戻り管を流通することがない。その結果、前述の第1通電遮断手段の作動を回避し、前記煩雑さを防止することができる。
【0016】
また、請求項2によれば、金属カバー内に流通配管と電熱ヒータとを内蔵してヒータユニットを構成し、そのヒータユニットを取付脚を介してヒータ取付板に固定することにより、ヒータ装置の具体的な構成を実現することができる。
【0017】
また、請求項3によれば、ヒータ取付板に対し第2通電遮断手段が設けられている。第2通電遮断手段は、所定の第2動作温度以上において動作して電熱ヒータへの通電を遮断することにより、例えば何らかの不具合によりヒータ装置自体の温度が高温になり過ぎるのを防止するものである。このとき、請求項3によれば、第2通電遮断手段の動作温度(第2動作温度)が前記第1通電遮断手段の動作温度よりも高く設定されている。これにより、停電発生により通電停止して温水流通・ヒータ加熱停止→給電復帰により通電再開→温水が冷却された後に温水流通・ヒータ加熱再開、という流れの中で第1通電遮断手段が非作動であるとともに第2通電遮断手段も作動せず、円滑な運転が可能である。
【0018】
また、請求項4によれば、前述したように第2往き管及び第2戻り管を介して第2加熱回路が貯湯タンクに接続されている。これにより、貯湯タンク内の湯水が第2往き管から第2加熱回路に流入し加熱手段で加熱された後に第2戻り管を経て貯湯タンク内に戻る。すなわち、第1加熱回路による湯水の加熱と第2加熱回路による湯水の加熱を同時並行して行うことができる。この結果、例えば、第1加熱回路による加熱能力では貯湯タンク内の湯水に必要な加熱が十分に行えない場面において、第2加熱回路による湯水の加熱を追加で行うことで加熱能力不足を補い、前記の十分な加熱を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置の全体概略構成を表す回路図
【
図3】サーモスタットによる通電遮断機能を表す回路図
【
図8】給湯制御部が実行する制御手順を表すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態を
図1~
図8に基づいて説明する。
【0021】
<全体構成>
本実施形態の貯湯式給湯装置の全体概略構成を
図1に示す。
図1において、この貯湯式給湯装置1は、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、台所や洗面所等にそれぞれ設けられた給湯栓4と、を有する。
【0022】
<貯湯タンク及び出湯管路系>
前記貯湯タンク2は、例えば370リットル容量の大容量タンクであり、上端に出湯管8が接続され、下端に給水管9が接続されている。
それら出湯管8及び給水管9とは別に、貯湯タンク2の下部に往き管410(第2往き管に相当)が接続され、上部に戻り管411(第2戻り管に相当)が接続されている。前記往き管410を介し導出された貯湯タンク2内の湯水は、主加熱回路400(第2加熱回路に相当。詳細は後述)によって沸き上げられ加熱された後、前記戻り管411から貯湯タンク2内に戻されて貯湯される。
さらに、上記往き管410及び戻り管411とは別に、貯湯タンク2の下部に往き管10(第1往き管に相当)が接続され、上部に戻り管11(第1戻り管に相当)が接続されている。前記往き管10を介し導出された貯湯タンク2内の湯水は、補助加熱回路300(第1加熱回路に相当。詳細は後述)によって沸き上げられ加熱された後、前記戻り管11から貯湯タンク2内に戻されて貯湯される。すなわち補助加熱回路300の湯水流入側が往き菅10に接続され、湯水流出側が戻り管11に接続されている。なお、補助加熱回路300から戻り管11へ合流した直後の湯水温度に対応し、所定の動作温度(第1動作温度に相当。この例では90[℃]。)以上で遮断動作する回路サーモスタット345(第1通電遮断手段に相当)が、戻り管11に設けられている(詳細機能は後述)。
【0023】
また、前記給水管9からの給水により貯湯タンク2内の湯水が押し上げられることで、貯湯タンク2内上部の高温水が前記出湯管8から押し出され、給湯される。このとき、前記給水管9には、給水の圧力を減圧する減圧弁46と、給水の温度を検出する給水温度センサ49とが設けられ、前記出湯管8には、貯湯タンク2の過圧を逃す過圧逃し弁45が設けられている。
【0024】
貯湯タンク2には、上下方向に沿って複数個の貯湯温度センサ39が配置されている。本実施形態では、上から下へ向かって5つの貯湯温度センサ39a,39b,39c,39d,39eが配置されており、これらの貯湯温度センサ39a~eが検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけの熱量が残っているかが検知され、さらに貯湯タンク2内の上下方向の温度分布が検知される。
【0025】
一方、前記貯湯タンク2内には、前記浴槽6の湯水を加熱するための、例えばステンレス製の蛇管よりなる熱交換器19が設けられている。この熱交換器19にはふろ往き管20とふろ循環ポンプ21を備えたふろ戻り管22とが接続されており、浴槽6の湯水が循環可能となっている。すなわち、ふろ戻り管22を介して導かれた浴槽6内の湯水が熱交換器19内において貯湯タンク2内の高温水により加熱された後、ふろ往き管20を介し浴槽6に戻されることで保温あるいは追焚きが行われる。なお、ふろ戻り管22には、循環する浴槽6の湯水の温度を検出するふろ温度センサ23が設けられている。
【0026】
また、前記貯湯タンク2の中間位置(上下方向の略中央位置には限られない)には、中間出湯管24が接続されている。この中間出湯管24は、前記熱交換器19で浴槽6からの湯水と熱交換して温度低下した中温水や、湯と水の境界層付近で温度低下した(あるいは温度上昇した)中温水などの、貯湯タンク2の中間位置(上下方向の略中央位置には限られない)に貯められている湯水を貯湯タンク2から出湯する。
【0027】
さらに、前記中間出湯管24と前記出湯管8との下流側合流位置には、貯湯タンク2の前記中間位置付近から中間出湯管24を介し導かれる中温水と貯湯タンク2の上端に接続された出湯管8を介し導かれる高温水とを混合する、電動ミキシング弁からなる中間混合弁25が設けられている。この中間混合弁25の下流側には中間給湯管27が接続されており、中間温度センサ26が設けられている。中間混合弁25における前記中温水と前記高温水との混合比率は、前記中間温度センサ26の検出湯温が、例えば給湯栓4の近傍に設けられた給湯リモコンや例えば浴室に設けられたふろリモコンでユーザが設定した給湯設定温度よりも所定温度高い混合目標温度となるように制御される。
【0028】
さらに、前記中間給湯管27と前記給水管9から分岐された給水バイパス管29との下流側合流位置には、中間混合弁25から中間給湯管27を介し導かれる湯水と前記給水バイパス管29から導かれる低温水とを混合する、電動ミキシング弁からなる給湯混合弁28が設けられている。この給湯混合弁28の下流側には給湯管30が接続されており、給湯温度センサ31が設けられている。給湯混合弁28における前記湯水と前記低温水との混合比率は、前記給湯温度センサ31の検出湯温が前記給湯リモコンや前記ふろリモコンでユーザが設定した給湯設定温度となるように制御される。なお、給湯管30にはさらに、給湯する湯水の量を検出する給湯流量センサ47が設けられている。
【0029】
また、前記中間給湯管27から分岐された分岐中間給湯管33と前記給水管9から分岐された分岐給水バイパス管34との下流側合流位置には、分岐中間給湯管33を介し導かれる湯水と分岐給水バイパス管34から導かれる低温水とを混合する、電動ミキシング弁からなるふろ混合弁32が設けられている。このふろ混合弁32の下流側には、ふろ戻り管22に連通する湯張り管35が接続されており、湯張り温度センサ36が設けられている。ふろ混合弁32における前記湯水と前記低温水との混合比率は、前記湯張り温度センサ36の検出湯温が前記給湯リモコンや前記ふろリモコンでユーザが設定したふろ設定温度となるように制御される。なお、前記湯張り管35には、浴槽6への湯張りの開始/停止を行う湯張り弁37と、浴槽6への湯張り量を検出するふろ流量センサ38と、浴槽6の湯水が逆流するのを防止する二重の逆止弁48とが設けられている。
【0030】
<主加熱回路>
主加熱回路400は、主熱源401(加熱手段に相当)を備えている。主熱源401は、例えば屋外空気と熱交換可能な室外熱交換器を備えた空気熱源ヒートポンプ装置、あるいは、地中と熱交換可能な地中熱交換器を備えた地中熱源ヒートポンプ装置、あるいは、燃料電池の発熱部からの熱(言い換えれば燃料電池の排熱)を受熱可能な熱交換器を備えた排熱回収装置、等である。
【0031】
<補助加熱回路>
補助加熱回路300には、湯水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、補助加熱回路300内に湯水を循環させる循環ポンプ317と、湯水の流量を検出する流量センサ325と、後述するヒータ装置301へ流入する湯水の入口温度を検出する入口温度センサ315と、湯水を加熱するヒータ装置301と、ヒータ装置301から流出する湯水の出口温度を検出する出口温度センサ320(検出手段に相当)と、逆止弁340と、がこの順序で配置されている。なお、前記回路サーモスタット345を補助加熱回路300のうちの出口温度センサ320の下流側に設けてもよい。
【0032】
このとき、前記循環ポンプ317は、給湯制御部44によって制御される。具体的には、循環ポンプ317は、出口温度センサ320により検出される湯水の出口温度が、所定の目標温度となるように、給湯制御部44によって制御される。
【0033】
<ヒータ装置>
前記ヒータ装置301の詳細構造を
図2に示す。
図2において、ヒータ装置301は、ヒータユニット302と、ヒータユニット302が取り付けられるヒータ取付板303と、取付脚304と、を備えている。
【0034】
取付脚304には、ヒータユニット302とヒータ取付板303とを固定するための固定部材305が内包されている。固定部材305は、ボルト305a、ワッシャ305b、及び、スリーブ305cを有している。
【0035】
ヒータユニット302は、例えばステンレスパイプをU字状に折り曲げて形成され、内方を熱媒体である温水が流通する流通配管306と、同じくU字状に折り曲げられて構成され、例えばシーズヒータにより構成される電熱ヒータ307と、これらを熱的に接続する例えばアルミ製の金属カバー308と、を有している。詳細には、ヒータユニット302は、電熱ヒータ307の上記U字状の外周側に流通配管306が内部に配置された状態で金属カバー308がダイキャストで成型されることにより一体に構成されている。流通配管306の内径は、例えばこの例ではφ7.5[mm]となっている。電熱ヒータ307は、例えばこの例では作動電力300[V]、出力3.0[KW]程度となっている。
【0036】
取付脚304は、金属カバー308と同じ素材で構成されており、電熱ヒータ307からの熱が金属カバー308を介し取付脚304に伝えられる。なお、取付脚304は、金属カバー308と別体として構成してもよいし一体に構成してもよいが、熱を伝えやすい金属により構成することが好ましい。
【0037】
ヒータ取付板303には、過熱防止用のヒータサーモスタット309(第2通電遮断手段に相当)がネジ等の固定具によって取付けられる。ヒータサーモスタット309は、電熱ヒータ307の発熱がヒータ取付板303を介して伝わることで、電熱ヒータ307が過熱状態になったかどうかを検知し、何らかの不具合によりヒータ装置301自体の温度が高温になり過ぎるのを防止するものである。前記回路サーモスタット345の動作温度よりも高い所定の動作温度(第2動作温度に相当)以上になると、電熱ヒータ307が過熱状態になったとみなして遮断動作を行う(詳細機能は後述)。
【0038】
このとき、ヒータ取付板303には、例えば、長穴のスリットを開口した開口部や間隔を空けながら繰り返し開口した開口部からなる熱拡散防止部310が設けられる。熱拡散防止部310は、前記のように取付脚304から伝達される熱がヒータ取付板303上で拡散するのを抑制し、ヒータサーモスタット309の方向への熱の伝達を促進する。
【0039】
<サーモスタットによる通電遮断>
前記回路サーモスタット345及びヒータサーモスタット309による通電遮断機能を
図3の回路図により説明する。
【0040】
図3は、ヒータ装置301に備えられる前記電熱ヒータ307に対し通電を行う通電回路Cを概略的に表している。この通電回路Cには、本実施形態の貯湯式給湯装置外(例えば電力会社)の外部電源から給電を受ける電源Aが接続されている。この電源Aに対し、電源リレー94と、前記ヒータサーモスタット309と、前記回路サーモスタット345と、前記ヒータ装置301とが、直列に接続されている。
【0041】
すなわち、ヒータサーモスタット309はワンショット型の可動接点309aを備えており、電熱ヒータ307の発熱に基づき、前記第2動作温度以上で可動接点309aが開き動作し、電熱ヒータ307への通電を遮断してOFF状態とすることができる。
同様に、回路サーモスタット345は手動復帰型の可動接点345aを備えており、戻り管11内の温水の温度に基づき、前記第1動作温度以上で可動接点345aが開き動作し、電熱ヒータ307への通電を遮断してOFF状態とすることができる。
【0042】
また、電源リレー94は可動接点94aを備えており、この可動接点94aが前記給湯制御部44からの制御信号により開閉制御されることで、電熱ヒータ307への通電を開始したり停止したりすることができる。
なお、図示を省略しているが、前記循環ポンプ317を駆動する電動モータも、外部電源から給電を受ける前記電源Aに対して別回路により接続されており、給湯制御部44はこの別回路へ供給される電力に基づき、循環ポンプ317の駆動を制御する。
【0043】
<各種作動>
次に、
図4~
図7を用いて、本実施形態の各種作動を説明する。なお、各管路の矢印は湯水の流れ方向を示す。
【0044】
<給湯運転>
まず
図4を用いて、給湯運転について説明する。例えばユーザが洗顔や台所仕事やシャワー等に湯水を用いるために前記給湯栓4を開くと、給水管9からの給水が貯湯タンク2内に流れ込む。そして貯湯タンク2の中間部に貯められた高温水が中間出湯管24を介して中間混合弁25側へ押し出されるとともに出湯管8を介しても中間混合弁25側へと押し出される。そして、中間混合弁25から流出した湯は中間給湯管27を介して給湯混合弁28へ流入し、給湯混合弁28において給水バイパス管29からの低温水と混合され、給湯栓4へと給湯される。そして、ユーザが給湯栓4を閉止することで、給湯が終了する。
【0045】
<湯張り運転>
次に、
図5を用いて、浴槽6への湯張り運転について説明する。例えばユーザが湯張りを意図して前記給湯リモコン(またはふろリモコン)を適宜に操作すると、給湯制御部44が湯張り弁37を開弁する。そして、給水管9からの給水が貯湯タンク2内に流れ込む。この結果、前述と同様、貯湯タンク2内の湯水が中間出湯管24を介して中間混合弁25側へ押し出されるとともに出湯管8を介しても中間混合弁25側へと押し出される。
【0046】
そして、中間混合弁25から流出した湯は中間給湯管27から分岐する分岐中間給湯管33へと出湯される。そして分岐中間給湯管33からの高温水はふろ混合弁32へ流入して、分岐給水バイパス管34からの低温水と混合され、湯張り管35からふろ戻り管22を介して浴槽6へと湯張りされる。そして、湯張り管35途中に設けられたふろ流量センサ38が所定の湯張り量をカウントしたとき、給湯制御部44が湯張り弁37を閉弁し湯張り運転が終了する。
【0047】
<追焚き運転>
次に、
図6を用いて、ふろの追焚き運転について説明する。例えばユーザが追焚きを意図して給湯リモコン(またはふろリモコン)を適宜に操作すると、給湯制御部44はふろ循環ポンプ21を駆動し、浴槽6内の浴槽水をふろ戻り管22を介して熱交換器19に流入させる。そして、熱交換器19において貯湯タンク2内の上部に貯められた高温水と熱交換して加熱された浴槽水は、ふろ往き管20を介して再び浴槽6へと流入する(追焚き運転)。このような運転中に、ふろ温度センサ23で検出する温度が前記ふろ設定温度に達すると、給湯制御部44はふろ循環ポンプ21を駆動停止し、これによって追焚き運転が終了する。
【0048】
<実施形態の特徴>
上記構成及び動作である本実施形態の貯湯式給湯装置1における最大の特徴は、補助加熱回路300を用いて行うヒータ補助沸上運転時のヒータ装置301及び循環ポンプ317の制御態様にある。
【0049】
<ヒータ補助沸き上げ運転>
図7を用いて、前記ヒータ補助沸き上げ運転について説明する。ヒータ補助沸き上げ運転が行われる場合、給湯制御部44の制御により前述のように循環ポンプ317が駆動開始される。これにより、貯湯タンク2下部に接続された往き管10から取り出された低温水は、往き管10に接続される補助加熱回路300に導入される。補助加熱回路300へ流入した温水は、ヒータ装置301により加熱された後、戻り管11から貯湯タンク2内に戻される。なお、このとき例えば、加熱回路400側でも同様に、往き管410→加熱回路400→戻り管411の流れで温水の加熱が行われる(図示省略)。
【0050】
<停電発生時に生じうる課題>
前記のような流れで補助加熱回路300へ湯水が循環し加熱が行われている最中に、例えば落雷その他の何らかの事情により停電が生じる場合がありうる。このような場合、前記外部電源から電源Aを介して行われていたそれまでの通電により駆動されていた循環ポンプ317及び電熱ヒータ307が停止する(
図3参照)ことになり、補助加熱回路300内の湯水の流動が停止するとともに電熱ヒータ307による湯水への加熱も停止する。その際、前記流動停止により当該電熱ヒータ307の近傍に滞留している湯水が、電熱ヒータ307の余熱で加温され、過熱状態となる。これは特にヒータ装置301において、前記したように電熱ヒータ307及び流通配管306が隣接配置され金属カバー308内に埋設されていることから金属カバー308の余熱も加わり、顕著に起こり得るものである。
【0051】
そして、このような滞留湯水の高温状態で前記停電が比較的短時間のうちに解消し、通電が再開されると、前記循環ポンプ317の駆動及び電熱ヒータ307への通電が再開され、循環ポンプ317の駆動再開により補助加熱回路300内の湯水の流動が再開される。この場合、前記のように過熱状態となって電熱ヒータ307近傍に滞留していた湯水がそのままヒータ装置301の下流側に流れることから、補助加熱回路300内に思わぬ悪影響が生じる可能性がある。
【0052】
具体的には、例えば、過熱状態の湯水が回路サーモスタット345の位置まで到達することで回路サーモスタット345が前記第1動作温度になって動作し、電熱ヒータ307への通電が遮断される可能性がある。
ここで、回路サーモスタット345は、前記第1動作温度以上において動作して電熱ヒータ307への通電を遮断することにより、例えば何らかの制御上の不具合が生じて補助加熱回路300による貯湯タンク2内の湯水の温度が高温になり過ぎるのを防止するものである。そのため、通常は、前記のようにして遮断された電熱ヒータ307への通電を復帰するには、操作者による手動操作が必要となる場合が多い。そのため、前記のように過熱状態の湯水が流れて回路サーモスタット345が作動してしまうと、復帰のための前記手動操作が必要になる煩雑さが生じる。
【0053】
<ヒータ補助沸き上げ運転時の制御>
前記の弊害を回避するために、本実施形態では、前記のように短期停電が解消しても直ちに循環ポンプ317及び電熱ヒータ307を起動せず、冷却が進んだころを見計らって起動を行う。この手法を実現するために、ヒータ補助沸き上げ運転の実行の際に給湯制御部44が実行する制御手順を、
図8のフローチャートにより説明する。
【0054】
図8において、まず、前記貯湯温度センサ39a~39eの検出結果、すなわち貯湯タンク2内にどれだけの熱量が残っているか、を表す貯湯信号が取得される(S10)。
【0055】
その後、S20で、前記S10で受信した貯湯信号の表す熱量に基づき、補助加熱回路300のヒータ装置301の運転による温水の加熱(以下適宜、単に「補助加熱」という)が必要か否か、言い換えると加熱要求の有無が公知の手法により判断される。貯湯タンク2内の熱量が十分でなくヒータ装置301の運転が必要である場合にはYes判定され、S30へ移行する。
【0056】
S30では、前記出口温度センサ320により検出される、ヒータ装置301から流出する湯水の前記出口温度が所定温度(この例では80[℃]。以下同様)未満になったか否かが判定される。前記出口温度が80[℃]以上である間はNo判定されてループ待機し、前記出口温度が80[℃]未満となったらYes判定されてS40へ移行する。
【0057】
S40では、循環ポンプ317を駆動する電動モータへ駆動信号が出力されることで循環ポンプ317の駆動が行われる(言い換えれば、S30がNo判定されている間は循環ポンプ317は駆動停止されている)。
その後、S50で、電源リレー94へ制御信号が出力されることで可動接点94aが閉じられ、電熱ヒータ307への通電を開始されONされる(言い換えれば、S30がNo判定されている間は可動接点94aが開かれて通電は遮断されている)。この結果、前記補助加熱回路300のヒータ装置301により加熱された温水の前記貯湯タンク2への供給が行われることとなる。
S50の後は、前記S10に処理が戻り、同様の手順が繰り返される。
【0058】
一方、S20において、貯湯タンク2内の熱量が十分でありヒータ装置301の運転が必要でない場合にはNo判定され、S60へ移行する。S60では、電源リレー94への制御信号に基づき可動接点94aが開き状態とされて電熱ヒータ307が通電停止状態(OFF状態)とされる。その後、S70では、循環ポンプ317を駆動する電動モータへの信号出力により、循環ポンプ317が駆動停止状態とされる。
【0059】
これにより、例えば前記S40,S50での補助加熱回路300からの温水の供給によって貯湯タンク2内の熱量が十分となりヒータ装置301の運転が不要となった場合には、前記電熱ヒータ307も循環ポンプ317も駆動停止される。この結果、前記補助加熱回路300のヒータ装置301により加熱された温水の前記貯湯タンク2への供給が停止されることとなる。
S70の後は、前記S10に処理が戻り、同様の手順が繰り返される。
【0060】
なお、
図8に示されるフローにおいて、前記S20を実行する給湯制御部44の機能が各請求項記載の判断手段に相当し、前記S30を実行する給湯制御部44の機能が各請求項記載の判定手段に相当し、S30の後のS40,S50を実行する給湯制御部44の機能が各請求項記載の制御手段に相当する。
【0061】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の貯湯式給湯装置1においては、貯湯タンク2内から導入された湯水に対する加熱が、補助加熱回路300によって行われる。すなわち、補助加熱回路300に備えられた循環ポンプ317が駆動されることにより、貯湯タンク2内の湯水が往き管10から補助加熱回路300に流入し、循環ポンプ317の下流側に位置するヒータ装置301の電熱ヒータ307により加熱された後、加熱後の湯水が戻り管11を経て貯湯タンク2内に戻される。
【0062】
このような流れで補助加熱回路300へ湯水が循環し加熱が行われている最中に、例えば落雷その他の何らかの事情により停電が生じる場合がありうる。このような場合、それまでの通電により駆動されていた循環ポンプ317及び電熱ヒータ307が停止することになり、補助加熱回路300内の湯水の流動が停止するとともに電熱ヒータ307による湯水への加熱も停止する。その際、前記流動停止により当該電熱ヒータ307の近傍に滞留している湯水が、電熱ヒータ307の余熱で加温され、過熱状態となる。
このような滞留湯水の高温状態で前記停電が比較的短時間のうちに解消し、通電が再開されると、そのままでは、循環ポンプ317及び電熱ヒータ307の駆動が再開され、循環ポンプ317の駆動再開により補助加熱回路300内の湯水の流動が再開される。この場合、前記のように過熱状態となって電熱ヒータ307近傍に滞留していた湯水がそのままヒータ装置301の下流側に流れることから、補助加熱回路300内に思わぬ悪影響が生じる可能性がある。
【0063】
そこで本実施形態によれば、ヒータ装置301の下流側に温水温度を検出する出口温度センサ320が設けられ、給湯制御部44が実行する
図8に示すフローのS20において貯湯タンク2内の湯水に対する前記加熱要求があると判断されたら、S30においてその検出された温水温度が所定値(例えば80[℃])未満であるか否かが判定される。そして、
図8のS40,S50での制御により、温水温度が所定値以上である間は循環ポンプ317及び電熱ヒータ307が起動されず、温水温度が所定値未満であると判定されたら循環ポンプ317及び前記電熱ヒータ307が起動される。
これにより、前述のように過熱状態となっている温水温度が所定値以上である間は循環ポンプ317が起動されず、ある程度冷却が進んで温水温度が所定値未満になった後に起動されるので、前記のような悪影響が生じるのを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態では、戻り管11に対し回路サーモスタット345が設けられている。前記のような短時間の停電→その後通電復帰が生じた場合に、前記過熱状態の湯水が流れることで、回路サーモスタット345が作動してしまい、復帰のための手動操作が必要になる煩雑さが生じる。
そこで本実施形態では特に、前記のS40,S50での給湯制御部44による制御によって、ある程度冷却が進んで温水温度が所定値未満になった後に循環ポンプ317が起動されるため、過熱状態の温水が戻り管11を流通することがない。その結果、前述の回路サーモスタット345の作動を回避し、前記煩雑さを防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では特に、金属カバー308内に流通配管と電熱ヒータ307とを内蔵してヒータユニット302を構成し、そのヒータユニット302を取付脚304を介してヒータ取付板303に固定することにより、ヒータ装置301の具体的な構成を実現することができる。
【0066】
また、本実施形態では特に、ヒータ取付板303に対しヒータサーモスタット309が設けられ、ヒータサーモスタット309の動作温度(第2動作温度)が前記第1通電手段の動作温度よりも高く設定されている。これにより、停電発生により通電停止して温水流通・ヒータ加熱停止→給電復帰により通電再開→温水が冷却された後に温水流通・ヒータ加熱再開、という流れの中で回路サーモスタット345が非作動であるとともにヒータサーモスタット309も作動せず、円滑な運転が可能である。
【0067】
また、本実施形態では特に、前述したように補助加熱回路300とは別に、往き管410及び戻り管411を介して加熱回路400が貯湯タンク2に接続されている。これにより、前述の補助加熱回路300による湯水の加熱とは別経路で、貯湯タンク2内の湯水が往き管410から加熱回路400に流入し主熱源401で加熱された後に戻り管411を経て貯湯タンク2内に戻る。すなわち、補助加熱回路300による湯水の加熱と加熱回路400による湯水の加熱を同時並行して行うことができる。この結果、例えば、補助加熱回路300による加熱能力では貯湯タンク2内の湯水に必要な加熱が十分に行えない場面において、加熱回路400による湯水の加熱を追加で行うことで加熱能力不足を補い、前記の十分な加熱を確保することができる。
【0068】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜構成を変更することができる。例えば、前記実施形態に記載した構成を適宜に組み合わせ又は選択したり、前記実施形態の構成の一部について追加・削除・置換することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 貯湯式給湯装置
2 貯湯タンク
10 往き管(第1往き管)
11 戻り管(第2往き管)
44 給湯制御部(判定手段、判断手段、制御手段)
300 補助加熱回路(第1加熱回路)
301 ヒータ装置
302 ヒータユニット
303 ヒータ取付板
304 取付脚
306 流通配管
307 電熱ヒータ
309 ヒータサーモスタット(第2通電遮断手段)
308 金属カバー
317 循環ポンプ
320 出口温度センサ(検出手段)
345 回路サーモスタット(第1通電遮断手段)
400 加熱回路(第2加熱回路)
401 主熱源(加熱手段)
410 往き管(第1往き管)
411 戻り管(第2往き管)