(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】原稿取込み装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/56 20060101AFI20241010BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20241010BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B65H3/56 330S
B65H3/06 350Z
H04N1/00 519
H04N1/00 567Q
(21)【出願番号】P 2021141609
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅史
(72)【発明者】
【氏名】池崎 繁
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-026425(JP,A)
【文献】特開2015-160688(JP,A)
【文献】特開2008-207944(JP,A)
【文献】特開平02-261739(JP,A)
【文献】特開2012-101892(JP,A)
【文献】特開2020-83547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/56
B65H 3/06
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿を積載可能な積載トレイから装置本体内に原稿を取り込むための取込み口部と、
前記取込み口部に原稿を取込み可能となるように前記取込み口部の近傍に設けられた給送ローラと、
原稿の取込みを抑制する第1姿勢と該取込みを許容する第2姿勢との間で回動可能な原稿ストッパと、
前記原稿ストッパを
回動させて前記第1姿勢から前記第2姿勢にし、前記取込み口部から原稿を取り込ませる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記原稿ストッパを、前記給送ローラによる原稿の搬送速度よりも遅い回動速度で前記第1姿勢から前記第2姿勢にし、
前記原稿ストッパが前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の中間姿勢の
際に、複数の原稿の下流側端部を
該原稿ストッパに当接させる
ように前記給送ローラを制御する
ことを特徴とする原稿取込み装置。
【請求項2】
前記原稿ストッパの回動軸は前記給送ローラ側とは反対側に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の原稿取込み装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の原稿のうち前記給送ローラに近いものから順に下流側端部が下流側に位置するように、前記中間姿勢の前記原稿ストッパに前記複数の原稿を当接させる
ことを特徴とする請求項2記載の原稿取込み装置。
【請求項4】
前記原稿ストッパは、前記給送ローラ側の先端部において回動可能な回動式先端部を含む
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の原稿取込み装置。
【請求項5】
複数の原稿を積載可能な積載トレイを更に備え、
前記積載トレイは、前記取込み口部側が下方となり且つその反対側が上方となるように傾斜した姿勢で設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項
4の何れか1項記載の原稿取込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に原稿取込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやスキャナ等に搭載されうる原稿取込み装置のなかには、装置本体内への原稿の取込みの許容および該取込みの抑制を制御するように、回動式のストッパが設けられたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿取込み装置の積載トレイに積載された複数の原稿は積載方向の一方側から順に装置本体内に取り込まれるとよい。この観点で特許文献1の構成には改善の余地があった。
【0005】
本発明は、装置本体内への原稿の適切な取込みを比較的簡素な構成で実現可能とすることを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は原稿取込み装置に係り、前記原稿取込み装置は、
複数の原稿を積載可能な積載トレイから装置本体内に原稿を取り込むための取込み口部と、
前記取込み口部に原稿を取込み可能となるように前記取込み口部の近傍に設けられた給送ローラと、
原稿の取込みを抑制する第1姿勢と該取込みを許容する第2姿勢との間で回動可能な原稿ストッパと、
前記原稿ストッパを回動させて前記第1姿勢から前記第2姿勢にし、前記取込み口部から原稿を取り込ませる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記原稿ストッパを、前記給送ローラによる原稿の搬送速度よりも遅い回動速度で前記第1姿勢から前記第2姿勢にし、
前記原稿ストッパが前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の中間姿勢の際に、複数の原稿の下流側端部を該原稿ストッパに当接させるように前記給送ローラを制御する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置本体内に原稿を適切に取込み可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】取込み口部およびその周辺部の内部構造を示す拡大模式図。
【
図4】取込み口部およびその周辺部の内部構造を示す拡大模式図。
【
図5】取込み口部およびその周辺部の内部構造を示す拡大模式図。
【
図6】画像読取装置のシステム構成を示すブロック図。
【
図7】原稿の画像読取を実行するための方法を示すフローチャート。
【
図12】原稿取込み機構の動作態様を示す側面模式図。
【
図13】原稿取込み機構の動作態様を示す側面模式図。
【
図14】原稿取込み機構の動作態様を示す側面模式図。
【
図15】原稿取込み機構の動作態様を示す側面模式図。
【
図16】原稿取込み機構の動作態様を示す側面模式図。
【
図17】原稿の取込みの際の原稿ストッパの動作態様を示す側面模式図。
【
図18】原稿の取込みの際の原稿ストッパの動作態様を示す側面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像読取装置1の構成例を示す。詳細については後述とするが、画像読取装置1は、画像読取の対象となる原稿Shを装置本体(筐体10の内部)内に取り込み、該取り込まれた原稿Shの画像を読み取る。画像の読み取りが完了した原稿Shは排出口部11から排出トレイ12上に排出され、原稿Shが2枚以上の場合、其れらは排出トレイ12上に積載される。
【0011】
ここで、原稿Shはシート状の部材(典型的には紙材等)であり、原稿Shの一方面及び他方面には画像が形成されているものとする。画像の概念には、文字、記号、図形、写真等、視認可能なものの他、其れ/其れらの周辺ないし其れらの間に形成されうるスペースをも含まれるものとする。
【0012】
画像読取装置1は、本実施形態ではスキャナ機能を備えるものとして説明されるが、他の実施形態として付随的/代替的に他の機能を備えてもよい。この観点で、画像読取装置1は、原稿取込み装置、原稿送り装置、給送装置、給紙装置などと表現されてもよい。
【0013】
画像読取装置1は、排出トレイ12を備える他、積載トレイ13、取込み口部14、搬送機構15、読取ユニット16、原稿取込み機構17、動力源18a及び18b、並びに、動力伝達機構19を備える。
【0014】
積載トレイ13は、原稿Shを載置可能とし、原稿Shが2以上の場合には其れらを積載可能とする。積載トレイ13は、積載部などと表現されてもよいが、原稿Shが紙材の場合には給紙トレイ、給紙部などとも表現されうる。積載トレイ13は、装置本体側の一端部が下方となり且つ他端部が上方となるように傾斜して延設されるとよい。
【0015】
取込み口部14は、積載トレイ13から原稿Shを装置本体内に取り込むための開口を形成する部位であり、筐体10を構成する1以上の部材が枠形状を呈して成る。
【0016】
図2は、取込み口部14側から見た画像読取装置1の斜視図である。また、詳細については後述とするが、
図3~5は、取込み口部14およびその周辺部の内部構造を示す拡大模式図である。
【0017】
図1に示されるように、搬送機構15は、積載トレイ13から排出トレイ12までの原稿Shの搬送経路を形成するように構成され、本実施形態では給送ローラ151、分離ユニット152、ローラ対(搬送ローラ)159aおよびローラ対(排出ローラ)159bを含む。尚、
図1において、原稿Shの搬送経路は破線で示され、また、その搬送方向は方向D0と示される。
【0018】
給送ローラ151は、取込み口部14近傍に設けられた駆動ローラであり、本実施形態では後述の動力源18aの動力を受けて方向D1に回転する。尚、給送ローラ151は、ワンウェイクラッチを内蔵しており、ローラ対159aなどにより原稿Shが給送ローラ151の周速より速い速度で移動する際に原稿Shに連れ回る。
【0019】
図1に示される分離ユニット152は、分離ローラ153およびホルダ部材154を含む(
図3参照)。分離ローラ153は、取込み口部14から取り込まれた原稿Shを給送ローラ151と共に挟持可能とする。分離ローラ153は、トルクリミッタを内蔵しており、動力源18aの動力を受けて方向D2(
図3参照)に回転するのに対し、給送ローラ151や原稿Shから基準以上のトルクが加わった場合には方向D2’に回転可能とする。これにより、取込み口部14から取り込まれた原稿Shが2以上の場合、該2以上の原稿Shのうち分離ローラ153側のものは取込み口部14から積載トレイ13上に戻され、或いは取込み口部14からの進入が妨げられる。即ち、原稿Shは、1枚ずつ下流に向けて装置本体内に取り込まれ、後述の読取ユニット16に向けて適切に搬送される。
【0020】
尚、本明細書でいう下流とは、搬送方向D0と同じ方向を示す。また、搬送方向D0とは反対側の方向は上流と表現されるものとする。
【0021】
ここで、
図2は、取込み口部14側から見た画像読取装置1の斜視図である。また、詳細については後述とするが、
図3~5は、取込み口部14およびその周辺部の内部構造を示す拡大模式図である。
【0022】
図3に示されるホルダ部材154は、分離ローラ153を回転可能に保持する。ここで、分離ユニット152は、軸部Ax1を回転軸として回動可能に、筐体10に固定され、付勢部20aにより給送ローラ151側に押圧されている。これにより、分離ローラ153は、給送ローラ151に当接し、給送ローラ151と共に原稿Shを挟持可能とする。
【0023】
図1に戻り、ローラ対159aは、搬送中の原稿Shを駆動ローラおよび従動ローラにより挟持可能とし、読取ユニット16の上流側に配され、本実施形態では給送ローラ151と読取ユニット16との間に配される。また、ローラ対159bは、搬送中の原稿Shを駆動ローラおよび従動ローラにより挟持可能とし、読取ユニット16の下流側に配され、本実施形態では排出口部11と読取ユニット16との間に配される。本実施形態では、ローラ対159a及び159bの駆動ローラは動力源18bの動力に基づいて駆動される。
【0024】
読取ユニット16は、原稿Shの搬送経路におけるローラ対159a及び159bの間に設置される。読取ユニット16は、本実施形態では一対設置されるものとし、一方の読取ユニット16は原稿Shの一方面の画像を読み取り、また、他方の読取ユニット16は、原稿Shの他方面の画像を読み取る。読取ユニット16には、公知のイメージコンタクトセンサが用いられればよく、例えばCCD/CMOSイメージセンサで構成された撮像装置が用いられればよい。
【0025】
図3~5に示される拡大模式図は、原稿Shの取込みまたは該取込みの抑制を行うための原稿取込み機構17の駆動態様を示す。
【0026】
原稿取込み機構17は、アーム部171、押圧部172、原稿ストッパ173および保持部174を含む。アーム部171は、軸部Ax2を回転軸として回動可能に筐体10内に設置され、給送ローラ151に近接する方向に付勢部20bにより付勢されている。アーム部171は、動力源18bの動力を受けて、給送ローラ151から離間する方向に回動可能とする。
【0027】
押圧部172は、アーム部171により支持され、取り込まれるべき原稿Shに対して給送ローラ151とは反対側に位置する。押圧部172には、本実施形態では従動ローラが用いられるものとするが、原稿Shに対し摺動自在に押圧可能もしくは原稿Shの動きに従動しながら押圧可能なものが用いられればよい。アーム部171は、押圧部172が原稿Shから離間する第1位置である位置P1(
図3参照)と、押圧部172が原稿Shを押圧する第2位置である位置P2(
図5参照)との間で回動可能となっており(
図3~5参照)、押圧部172は、アーム部171の回動によって原稿Shを押圧する。
【0028】
原稿ストッパ173は、軸部Ax3を回転軸として回動可能にアーム部171により支持され、また、方向D3に回動するように付勢部20cにより付勢されている。
【0029】
保持部174は、アーム部171が位置P1に位置している間、原稿ストッパ173が起立姿勢を維持するように原稿ストッパ173を保持する(
図3参照)。本実施形態では、原稿ストッパ173は、保持部174に係止する係止部1731を含み、それにより起立姿勢に保持される。
【0030】
アーム部171が位置P1から位置P2に向けて回動した場合、原稿ストッパ173は、保持部174による保持が解除され、付勢部20cによる付勢により方向D3に回動して起立姿勢から傾倒姿勢となる(
図4参照)。その後、アーム部171は、積載トレイ13上の原稿Shの全部が取り込まれるまで其れらを押圧部172により押圧しながら、位置P2に回動した状態に維持されることとなる(
図5参照)。
【0031】
このような構成により、原稿ストッパ173は、起立姿勢(第1姿勢)においては原稿Shの取込みを抑制し、また、傾倒姿勢(第2姿勢)においては原稿Shの取込みを許容する。尚、保持部174は、筐体10の上部に一体に固定されてもよいし別体で固定されてもよい。
【0032】
ここで、
図4~5に示されるように、付勢部20cに付勢された原稿ストッパ173は、ホルダ部材154との当接により係止される。よって、原稿ストッパ173は、アーム部171が位置P1から離間するほど傾倒姿勢となる。一方、
図3に示されるように、原稿ストッパ173は、アーム部171が位置P1に近接するほど起立姿勢となり、アーム部171が位置P1まで回動すると保持部174により保持され起立姿勢に維持される。
【0033】
動力伝達機構19は、本実施形態では動力源18aの動力を給送ローラ151に伝達可能に構成されるものとするが(
図1参照)、他の実施形態として、該動力を付随的/代替的にアーム部171に伝達可能に構成されてもよい。よって、動力伝達機構19は、アーム部171及び/又は給送ローラ151と、動力源18との間の経路に配される。
【0034】
また、動力源18aから給送ローラ151及びアーム部171への動力の伝達のタイミングはそれぞれ調整可能とする。このことは、動力伝達機構19の駆動制御により実現されてもよいし、付随的/代替的に、例えばクラッチ機構、ロック機構等、他の要素によって実現されてもよい。
【0035】
動力源18a及び18bには、公知の電動モータが用いられればよい。本実施形態では、給送ローラ151およびアーム部171に対応する動力源18aと、ローラ対159a及び159bの駆動ローラに対応する動力源18bとを別体で設ける構造としたが、他の実施形態として単一の動力源が共用されてもよい。或いは、更に他の実施形態として、給送ローラ151、アーム部171、ローラ対159aの駆動ローラ、及び、ローラ対159bの駆動ローラのそれぞれに対して動力源が個別に設けられてもよい。
【0036】
また、
図2に示されるように、給送ローラ151の搬送路側には、給送ローラカバー130が設けられている。給送ローラカバー130にはガイド部材131が設けられる。ガイド部材131は、取込み口部14に取り込まれるべき原稿Sh(本実施形態では下流側端部)を載置可能な載置面f1を形成する。本実施形態においては、ガイド部材131は、載置面f1が給送ローラ151表面より搬送路中央側に突出した位置(
図8参照)から給送ローラ151表面より搬送路中央側から離れた位置(
図10参照)まで回動可能となるように給送ローラカバー130に支持される。
【0037】
本実施形態においては、ガイド部材131は、側面視(給送ローラ151の軸方向で見た場合の視点)において、付勢部20d(
図8参照)によって搬送路中央側に付勢され、不図示の突き当て部に突き当たっている(
図8参照)。原稿Shの数量が比較的小さい場合には、原稿Shの下流側端部が給送ローラ151の表面よりも搬送路中央側(上方)に位置しており、給送ローラ151と分離ローラ153との間に指向する。これにより、原稿Shを積載トレイ13に積載する際に、原稿Shが少ない場合などに、原稿Shが給送ローラ151に引っ掛かってしまい所定のセット位置にセットできないということを防ぐことができる。また、原稿Shの数量が比較的大きい場合には、その重量によりガイド部材131が回動して載置面f1が給送ローラ151より搬送路中央から離れる方向(下方)に位置する。これにより、ガイド部材131は、原稿Shの取込みの際、原稿Shが押圧部172に押圧されながら給送ローラ151に当接して適切に取り込まれるように、原稿Shを案内可能とする。
【0038】
図6は、画像読取装置1のシステム構成を示すブロック図である。画像読取装置1は、原稿積載センサ部21a、重送検出センサ部21b、第1原稿検出センサ部21c、第2原稿検出センサ部21d、操作入力部22および制御部23を更に備える。
【0039】
原稿積載センサ部21a~第2原稿検出センサ部21dは、原稿Shの搬送経路の幾つかの位置に設置されうる。
図6において原稿積載センサ部21a~第2原稿検出センサ部21dは、センサ群21として示される。原稿積載センサ部21aは、左右方向(水平方向であって、搬送方向と実質的に直交する方向。装置の幅方向。)において原稿ストッパ173と並ぶように且つ搬送方向で原稿ストッパ173よりも僅かに上流側に位置するように筐体10上部に回動可能に設けられ(
図2参照)、原稿Shが当接すると回動して所定の検出信号を出力する。
【0040】
重送検出センサ部21bは、分離ローラ153による分離が適切に行われなかったことを検出可能とし、筐体10内で分離ローラ153下流側に設置され、それにより、2以上の原稿Shが検出された場合(いわゆる重送が発生した場合)には所定の検出信号を出力する。本実施形態においては、超音波の発信素子と受信素子を備えたセンサを用い、原稿Shによる超音波の減衰を利用して重送を検出している。
【0041】
第1原稿検出センサ部21cは、筐体10内でローラ対159aの上流側かつ重送検出センサ部21bの下流側に設置され、原稿Shの先端が給送ローラ151に到達したことを検出可能とし、原稿Shが検出された場合には所定の検出信号を出力する。本実施形態においては、光学式センサを用い、原稿Shによって光が遮蔽されることによって原稿Shの到達を検出している。
【0042】
第2原稿検出センサ部21dは、筐体10内でローラ対159aの下流側かつ読取ユニット16の上流側に設置され、原稿Shの先端がローラ対159aに到達したことや、原稿Shの後端がローラ対159aを通過したことを検出可能とし、原稿Shが検出された場合には所定の検出信号を出力する。本実施形態においては、光学式センサを用い、原稿Shによって光が遮蔽されることによって原稿Shの到達を検出している。
【0043】
尚、上述したものに限らず、原稿積載センサ部21a~第2原稿検出センサ部21dの其々には公知のセンサが用いられればよい。例えば、原稿積載センサ部21aにはレバー式センサが用いられうる。例えば、重送検出センサ部21b~第2原稿検出センサ部21dには光学式センサ、超音波センサ等が用いられうる。重送検出センサ部21b~第2原稿検出センサ部21dの其々は、送信用センサおよび受信用センサで構成されてもよい。
【0044】
操作入力部22は、ユーザが画像の読み取りの指示を入力するための操作パネルであり、筐体10外装の何れの部位に設置されてもよい。操作入力部22は、表示部としての機能を更に備えてもよく、本実施形態では典型例としてタッチパネル型ディスプレイが操作入力部22として用いられうる。
【0045】
制御部23は、CPU(中央演算装置)231、メモリ232および通信インタフェース233を含む。CPU231は、所定のプログラムを不図示の他のメモリ(ROMなどの不揮発性メモリ)から読み出してメモリ232(RAMなどの揮発性メモリ)上に展開し、後述の各ステップ(
図7参照)を実行することにより画像の読み取りを実現する。また、CPU231は、通信インタフェース233を介して、操作入力部22の入力信号や原稿積載センサ部21a等の検出信号を受け取ることも可能であるし、また、不図示の外部装置から他の入力信号を受け取ることも可能である。
【0046】
制御部23は、他の実施形態としてASIC(特定用途向け集積回路)等の半導体装置で構成されてもよく、即ち、制御部23の機能はハードウェア及びソフトウェアの何れによって実現されてもよい。また、制御部23は、その機能に応じて駆動制御部、画像読取制御部、原稿取込み制御部などとも表現されてもよいし、個々の機能に応じて個別に設けられてもよい。
【0047】
このような構成により、制御部23は、操作入力部22の入力信号、原稿積載センサ部21a等の検出信号等に基づいて、原稿Shの画像読取(並びに、それに伴う原稿Shの取込み及び排出)が実現されるように上述の要素の個々について駆動制御を行う。詳細については後述するが、例えば、制御部23は、アーム部171の位置P1からの回動の開始後に給送ローラ151が駆動するように動力伝達機構19を制御することができる。
【0048】
また、
図2に示されるように、原稿ストッパ173と給送ローラ151とは並設され、其れらのそれぞれは複数並設されるとよい。本実施形態では、中央部、左側方部および右側方部の計3箇所に原稿ストッパ173が一体にアーム部171に対して回動可能に設けられ、また、中央部および左側方部の間と、中央部および右側方部の間との計2箇所に給送ローラ151が設けられる。このような構成によれば、
図3に示されるように、側面視において、起立姿勢の原稿ストッパ173と給送ローラ151とが互いに重なる位置を移動可能にすることができる。これにより、起立姿勢の原稿ストッパ173は給送ローラ151のすぐ上流側に位置し、原稿Shの給紙開始前の原稿Shが含まれる原稿束の先端を原稿ストッパ173に倣わせて先端揃いさせ、原稿Shの取り込み時の原稿の動きを安定させることができ、原稿Shの取込みを適切に抑制可能となる。
【0049】
図7は、原稿Shの画像読取を実行するための方法を示すフローチャートである。本フローチャートは主に制御部23により実行され、その概要は、アーム部171の位置P1からの回動の開始後に給送ローラ151が駆動することにより原稿Shに発生しうる損傷を防止する、というものである。
【0050】
ステップS1010(以下、単に「S1010」とする。後述の他のステップについても同様とする。)では、画像読取の開始の指示の有無を判定する。画像読取の開始の指示があった場合にはS1020に進み、そうでない場合にはS1010に戻る。
【0051】
S1020では、原稿積載センサ部21aの検出信号に基づいて積載トレイ13上における原稿Shの有無を判定する。積載トレイ13上に原稿Shが存在する場合にはS1040に進み、そうでない場合にはS1030に進む。なお、原稿Shが存在しない場合に、所定時間経過するまでS1020の判定を繰り返し、所定時間経過後にS1030に進むように構成してもよい。
【0052】
S1030では、積載トレイ13上に原稿Shが存在しないことを示す通知を出力して、本フローチャートを終了とする。この通知は、操作入力部22であるタッチパネル型ディスプレイにより行われればよい。
【0053】
S1040以降では、積載トレイ13上に原稿Shが存在するものとして原稿Shの取込みが開始され、S1040では、ローラ対159aなどを駆動する動力源18bの駆動が開始され、それに伴って、アーム部171が位置P1から位置P2へ回動する。これに伴い、原稿ストッパ173が起立姿勢から傾倒姿勢となる。このとき、前述のとおり、原稿ストッパ173は、付勢部20cに付勢されながらホルダ部材154により係止されるため、適切に起立姿勢から傾倒姿勢となる。これにより、取込み口部14が閉塞された状態から開放された状態となり、原稿Shの取込みが可能となる。
【0054】
なお、位置P1から位置P2に向けて押圧部172が移動した状態では、原稿ストッパ173が原稿Shの搬送面として機能する。このときの原稿ストッパ173の姿勢はホルダ部材154に設けられた係止部に原稿ストッパ173が摺接することによって決まるが、この係止部の摺接面は、分離ローラ153の回動軸と同軸の円弧状に形成されている。これによって、分離ローラ153の表面が原稿ストッパ173の搬送面から突出する突出量を、位置P1から位置P2に向けて押圧部172が移動する過程において、一定に保つことができ、安定した給紙状態を維持することができる。
【0055】
ここで、前述のとおり、積載トレイ13は傾斜して延設されている。また、アーム部171の上記回動により、積載トレイ13上の原稿Shは押圧部172により押圧される。また、自重により該原稿Shは給送ローラ151に当接する位置まで移動し、押圧部172によって給送ローラ151に対して押圧される。
【0056】
S1050では、動力源18aを駆動することにより給送ローラ151の駆動を開始する。これにより、開放された取込み口部14から積載トレイ13上の原稿Shが取り込まれる。
【0057】
S1060では、第2原稿検出センサ部21dから出力される原稿Shの先端が到達したことを示す検出信号に基づいて、原稿Shを搬送しながら読取ユニット16により原稿Shの画像読取が開始される。なお、このとき、第1原稿検出センサ部21cによって、給送ローラ151の駆動を開始してから所定の時間内で原稿Shが第2原稿検出センサ部21dなどに到達したかなどのジャム検知なども同時に実行されている。
【0058】
S1070では、S1060同様に、第2原稿検出センサ部21dから出力される原稿Shの先端が到達したことを示す検出信号に基づいて動力源18aの駆動を停止して給送ローラ151の駆動を中断する(一時的に停止する。)。即ち、原稿Shの下流側端部(先端)が第2原稿検出センサ部21dに到達した場合には、単一の原稿Shが適切に取り込まれたこととなるため、該原稿Shの画像読取および排出が完了するまでは、次の原稿Shの取込みの開始が抑制される。なお、
図7においては、S1060とS1070とが順次実行されるように示しているが、実際には前後しても良いし、同時に実行されても良い。
【0059】
S1080では、原稿Shの上流側端部(後端)が第2原稿検出センサ部21dを通過したことを示す検出信号に基づいて画像読取を停止すると共に、原稿積載センサ部21aの検出信号に基づいて積載トレイ13上における原稿Shの有無を判定する。積載トレイ13上に原稿Shが存在する場合にはS1050に戻り、そうでない場合にはS1090に進む。即ち、積載トレイ13上に原稿Shが残っている場合には、S1050~S1080が繰り返し行われ、積載トレイ13上に原稿Shが残っていない場合にS1090に進むこととなる。
【0060】
S1090では、積載トレイ13上に原稿Shが残っていないものとして、動力源18bを原稿Shの給送とは逆方向に駆動してアーム部171を位置P2から位置P1へ回動させる。これに伴い、原稿ストッパ173は傾倒姿勢から起立姿勢となる。このようにして、原稿Shの取込みが停止され、S1010に戻る。
【0061】
本実施形態によれば、原稿ストッパ173は、原稿の取込みを抑制する起立姿勢と、取込みを許容する傾倒姿勢との間で回動可能となっており、起立姿勢においては、保持部174により保持されると共に付勢部20cにより傾倒姿勢になるように付勢されている。原稿Shの取込みの際には、給送ローラ151の駆動に先立って原稿ストッパ173が回動して起立姿勢から傾倒姿勢となり、取込み口部14が閉塞された状態から開放された状態となる。原稿Shの給紙開始前において原稿ストッパ173に倣って原稿束の先端を揃え、原稿Shの取込み時の動きを安定化させることができ、また、原稿Shの給紙開始後においては、原稿ストッパ173は原稿Shから退避する方向に付勢される。よって、原稿Shが原稿ストッパ173に押圧されることがない。これにより、原稿Shは、起立姿勢の原稿ストッパ173との干渉に起因する損傷(折れ、撓み等)をうけることなく適切に装置本体内に取り込まれることとなり、画像の読み取りが適切に行われうる。そればかりではなく、後述するように、起立姿勢と傾倒姿勢との間の中間姿勢にある原稿ストッパ173に対して原稿Shを当接させることで、原稿Shへの紙捌きの作用を及ぼすことで、原稿Shの取込み性能を向上させることができる。
【0062】
他の態様として、画像読取装置1の給送ローラカバー130におけるガイド部材131の回動を制御部23により駆動制御する、という構成が採用されてもよい。ガイド部材131の回動は、例えば動力源18bの動力に基づいて行われればよい。ガイド部材131は、原稿ストッパ173が起立姿勢の場合には載置面f1が給送ローラ151より上方に位置し、原稿ストッパ173が傾倒姿勢の場合には載置面f1が給送ローラ151より下方に位置するように回動する。これは、動力源18bの駆動方向によって制御されるように構成することができる。例えば、動力源18bを逆転駆動することで原稿ストッパ173が起立姿勢になると共に、ガイド部材131の載置面f1が給送ローラ151より上方に位置するように不図示のカム部材により押し上げ、動力源18bを正転駆動することで原稿ストッパ173が傾倒姿勢になると共に、ガイド部材131の載置面f1が給送ローラ151より下方に位置するように、不図示のカム部材によるガイド部材131への当接が解除され、付勢部20dによりガイド部材131を押し下げるように構成すれば良い。
【0063】
図8~10は、原稿ストッパ173が起立姿勢から傾倒姿勢になるまでの間におけるガイド部材131の回動態様を示す模式図である。ガイド部材131は、軸部Ax4を回動軸として回動するものとする。原稿ストッパ173が起立姿勢の間、ガイド部材131は動力源18bの動力が伝達された不図示のカム部材により載置面f1が給送ローラ151より上方に位置する状態を維持する(
図8参照)。アーム部171が位置P1から位置P2に向かって回動すると、原稿ストッパ173は、保持部174から離間して付勢部20cの付勢により傾倒し、その間、ガイド部材131は載置面f1が給送ローラ151より上方に位置する状態を維持する(
図9参照)。その後、ガイド部材131は、上記カム部材からの押圧が解除され、付勢部20dの付勢力によって載置面f1が給送ローラ151より下方に位置するまで回動する(
図10参照)。
【0064】
このような構成によれば、原稿Shの取込みの際、積載トレイ13上の原稿Shは、原稿ストッパ173が起立姿勢(取込み口部14が閉塞された状態)の場合には、給送ローラ151には当接しないため、積載トレイ13に積載する際に給送ローラ151表面に引っ掛かることなどがなく、積載操作性が向上する。また、原稿ストッパ173が積載トレイ13に積載される原稿Shが含まれる原稿束の先端揃えをし、原稿取り込み時の原稿の動きの安定化が可能となり、原稿ストッパ173は
図8におけるD3方向へ付勢されているため、原稿ストッパ173との干渉により原稿Shが不測の損傷を受けることがない。また、原稿ストッパ173が傾倒姿勢(取込み口部14が開放された状態)の場合には、積載トレイ13上の原稿Shは、給送ローラ151に当接し、取込み口部14から適切に装置本体内に取り込まれることとなる。よって、原稿Shの取込みが更に適切に実現可能となる。
【0065】
尚、本実施形態では、給送ローラ151の駆動は、原稿ストッパ173が傾倒姿勢(取込み口部14が開放された状態)となってから開始されるが、これに限られず、原稿ストッパ173と給送ローラ153との間に原稿Shが通れる隙間がない状態で原稿Shが駆動状態の給送ローラ151と当接して原稿Shが原稿ストッパ153に突き当たることが回避されればよい。そのため、この趣旨を逸脱しない範囲で駆動の開始のタイミングは調整可能である。
【0066】
また、ここでは、制御部23が動力源18bを駆動してガイド部材131を回動させるものとしたが、更に他の実施形態として、ガイド部材131はアーム部171の回動に連動するように機械的に構成されてもよい。例えば、ガイド部材131は、アーム部とリンク機構によりリンクされており、アーム部171が位置P1から位置P2へ回動する際、それに伴って回動してもよい。また、それぞれの駆動部に対し、別々の動力源を用いて駆動するように構成しても良い。また、動力源18aと18bを同一の動力源で構成しても良く、その場合には、カムなどを用いてメカ的に各部への駆動伝達のタイミングをずらしても良い。
【0067】
なお、本実施形態では、ガイド部材131を不図示のカム部材により給送ローラ151よりも上方に押し上げつつ、カム部材からの押圧が解除されると付勢部20dの付勢力でガイド部材131が給送ローラ151よりも下方に押し下げられる構成について説明したが、逆であっても良い。すなわち、付勢部20dの付勢力でガイド部材131が給送ローラ151よりも上方に押し上げられ、カム部材の係合によりガイド部材131が給送ローラ151よりも下方に押し下げられる構成としても良い。
【0068】
ところで、積載トレイ13に積載された複数の原稿Shが任意の順序で取込み口部14から装置本体内に取り込まれてしまうと、該積載された複数の原稿Shの姿勢が崩れてしまう可能性がある。このことは、原稿Shの取込み、搬送、画像読取および排出が適切に行われない原因となりうる。
【0069】
そこで、上記積載された複数の原稿Shを整った姿勢に維持するため、一般に、其れらは、積載方向の一方側から順に取込み口部14から装置本体内に取り込まれることが求められうる。換言すれば、取り込まれる原稿Shがきちんと1枚ずつに分離されて取り込まれることが好ましい。本実施形態の場合、複数の原稿Shは、最も給送ローラ151側に近いものから順に装置本体内に取り込まれるとよい。
【0070】
図17に例示されるように、本実施形態では、原稿Shの取込みを開始する際、起立姿勢と傾倒姿勢との間の姿勢である中間姿勢の原稿ストッパ173に、積載トレイ13上の複数の原稿Shの下流側端部を当接させる。これにより、積載トレイ13上の複数の原稿Shの下流側端部を中間姿勢の原稿ストッパ173により捌くことができ、該複数の原稿Shは、最も給送ローラ151側に近いものから順に装置本体内に適切に取込み可能となる。なお、原稿ストッパ173により原稿Shを捌くとは、概ね給送ローラ151側に位置する原稿Shの下流側端部がその上に積載された原稿Shの下流側端部よりも下流側に位置するようになることを言う。
【0071】
本実施形態では、原稿ストッパ173の回動軸Ax3は、原稿ストッパ173における給送ローラ151側とは反対側(装置上方)に設けられている。そのため、原稿ストッパ173は、中間姿勢においては、回動軸Ax3に近いほど上流側に位置し、且つ回動軸Ax3から離れるほど下流側に位置することとなる。それにより、複数の原稿Shは、給送ローラ151に近いものから順に下流側端部が下流側に位置するように中間姿勢の原稿ストッパ173に当接し、換言すると、搬送方向において給送ローラ151に近いものから順に上流側にシフトする。そのシフト量は、典型的には、原稿ストッパ173に対する当接の角度と、原稿Shの厚みとに従う。このようにして、複数の原稿Shは、最も給送ローラ151側に近いものから順に給送ローラ151に当接し、装置本体内に適切に取り込まれることとなる。
【0072】
本実施形態では、原稿ストッパ173の起立姿勢から傾倒姿勢への回動速度は、給送ローラ151による原稿Shの搬送速度よりも遅いものとする。具体的には、原稿ストッパ173は、その先端部の回動速度のうち、搬送方向に対する速度成分が給送ローラ151による原稿Shの搬送速度よりも遅くなるように回動するように、原稿ストッパ173を起立姿勢から傾倒姿勢に切り替えるために動力源18bから駆動伝達される駆動伝達部が有するギアやカムが調整されていればよい。これにより、積載トレイ13上の複数の原稿Shは適切に中間姿勢の原稿ストッパ173に当接可能となる。なお、動力源18aと18bとして単一の動力源で構成した場合でも同様にギアやカムを調整すればよい。
【0073】
中間姿勢の原稿ストッパ173に対する原稿Shの当接は、上記シフトが実現するように行われればよい。例えば、中間姿勢の原稿ストッパ173の当接面と載置面f1との角度(鋭角)が、10~80度の範囲内、好適には30~60度の範囲内、より好適には40~50度の範囲内、のときに上記当接が行われればよい。
【0074】
ここで、前述のとおり、原稿ストッパ173は付勢部20cにより傾倒姿勢になるように付勢されている。そのため、複数の原稿Shが原稿ストッパ173に当接する際には、複数の原稿Shには無理な反力が加わることもなく、また、それに起因する損傷(折れ、撓み等)を複数の原稿Shがうけることもない。よって、複数の原稿Shは順に給送ローラ151により適切に装置本体内に取り込まれうる。
【0075】
本実施形態では、原稿ストッパ173の回動速度および給送ローラ151による原稿Shの搬送速度は一定であるものとするが、可変であってもよい。例えば、動力源18bによる駆動力が一定である場合に、原稿ストッパ173がその傾倒姿勢に向けて回動している状態で、その上流側の端面(原稿Shが当接する面)が分離ローラ153のローラ表面よりも下流側に移動するまでは原稿ストッパ173の回動速度が上述した関係を満たすようにし、それ以後はより速い回動速度で原稿ストッパ173が回動するように構成してもよい。
【0076】
また、他の実施形態として、代替的/付随的に、原稿ストッパ173が起立姿勢から傾倒姿勢となる回動の途中において該回動が一時的に停止されて、該原稿ストッパ173に複数の原稿Shの下流側端部を当接させてもよい。更に他の実施形態として、代替的/付随的に、複数の原稿Shの下流側端部が中間姿勢の原稿ストッパ173に当接するように、原稿ストッパ173が回動を開始するタイミングと、給送ローラ151が駆動を開始するタイミングとが調整されてもよい。
【0077】
上述の実施形態には、その趣旨を逸脱しない範囲で幾つかの変形が加えられてもよい。例えば、原稿Shの搬送の前、または、或る原稿Shの搬送と次の原稿Shの搬送との間に、原稿ストッパ173の回動が1回または2回以上行われてもよい。その際の回動は、起立姿勢と傾倒姿勢との間の可動領域よりも小さくてもよく、それにより、原稿Shに発生しうる損傷を低減可能となる。このような動作は、互いに分離し難い原稿Shの場合に行われてもよく、例えばユーザ設定により原稿Shの読み取りモードとして特定のモードが選択された際に実行されてもよいし、このような原稿ストッパ173の回動動作を実行することが選択された際にのみ実行されてもよい。
【0078】
また、給送ローラ151の回動のための動力を発生する動力源と、原稿ストッパ173の回動のための動力を発生する動力源とは別体で設置可能であり、その場合、其れらは互いに独立して駆動されればよい。その場合、前述のとおり、原稿ストッパ173が中間姿勢になってから給送ローラ151の駆動を開始することが容易となり、原稿ストッパ173の回動の一時的な停止を省略可能となる。原稿ストッパ173が回動を開始するタイミングと、給送ローラ151が駆動を開始するタイミングとを調整する場合においても同様のことがいえる。
【0079】
(第2実施形態)
第2実施形態は、画像読取装置1の積載トレイ13が起立姿勢の原稿ストッパ173を係止可能に構成されている、という点で前述の第1実施形態と異なる。
【0080】
図11は、本実施形態に係る原稿取込み機構17の斜視図である。
図12~16は、原稿取込み機構17の動作態様を示す側面模式図である。本実施形態においては、アーム部171は、給送ローラ151に近接する方向に付勢部20b’により付勢されている。また、本実施形態においては、画像読取装置1は、アーム支持部31、回動部材32、回動部材支持部33、並びに、付勢部20e及び20fを更に備える。
【0081】
アーム支持部31は、軸部Ax5を回転軸として筐体10に回動可能に設置される。アーム支持部31は、付勢部20eにより方向D4に付勢されている。また、動力源18bの動力を受けて方向D4’に回動され、それによりアーム部171を位置P1に維持可能な状態に保持される。ここで、アーム部171が位置P1の際には原稿ストッパ173は起立姿勢であり、アーム部171が位置P2の際には原稿ストッパ173は傾倒姿勢となる。
【0082】
回動部材32は、軸部Ax6を回転軸として回動可能に給送ローラカバー130(
図2参照)に対して取り付けられる。回動部材32は延出部321を含み、また、給送ローラカバー130のガイド部材131には、この延出部321に当接する当接部1311が設けられる。
【0083】
回動部材支持部33は、回動部材32を下方から支持し、軸部Ax7を回転軸として筐体10に対して回動可能に設置される。回動部材支持部33は、付勢部20fにより方向D5’に付勢されている。回動部材支持部33は、動力源18bの動力を受けると方向D5に回動され、それにより、延出部321が当接部1311に当接するように回動部材32を支持する。本実施形態においては、ガイド部材131は不図示の付勢部により載置面f1が搬送路中央側から離れる方向に付勢されており、延出部321が当接部1311に当接することによって、
図12に示す位置にガイド部材131が保持されている。なお、ガイド部材131や原稿の自重によって、載置面f1が搬送路中央側から離れる方向に移動するように構成されていても良い。
【0084】
このような構成により、回動部材32は、ガイド部材131との間に、起立姿勢の原稿ストッパ173が嵌合可能なギャップG1を形成する。即ち、アーム部171が位置P1にある間、原稿ストッパ173はギャップG1を形成する縁部に嵌合して保持される(
図12参照)。この観点で、ギャップG1は、起立姿勢の原稿ストッパ173を係止する第2の係止部として機能すると云える。このような構成によれば、積載トレイ13上の原稿Shの荷重に起因する原稿ストッパ173の撓みが防止可能となり、原稿ストッパ173が不測の損傷を受けること及び原稿の先端が分離ローラ153に当接し、先端揃えされていない状態で給紙が開始されることを防止可能となる。
【0085】
一方、アーム支持部31に伝達される動力源18bの動力が切れると、アーム支持部31が方向D4に回動してアーム部171が付勢部20b’の付勢により位置P1から位置P2に回動する場合には、それと略同時に或いはそれに先立って、載置面f1が給送ローラ151より下方に位置するまでガイド部材131が回動する。このガイド部材131の回動は、回動部材支持部33が方向D5’に回動して回動部材32が不図示の付勢部により延出部321が当接部1311から退避する方向に回動した結果、生じる(
図13参照)。これにより、原稿ストッパ173は、ギャップG1での保持が解除され、付勢部20cの付勢により傾倒可能となる。
【0086】
その後、アーム支持部31が方向D4に更に回動してアーム部171が回動する(
図14参照)。それに伴い、原稿ストッパ173は、係止部1731が保持部174から離間し、保持部174による保持が解除されて起立姿勢から傾倒姿勢となり、そして、押圧部172は原稿Shを押圧する(
図15参照)。その後、この状態のまま、原稿Shの取込みが行われる(
図16参照)。
【0087】
本実施形態によれば、第1実施形態同様の効果が得られる他、原稿ストッパ173に発生しうる不測の損傷を防止可能となると共に、原稿を積載トレイ13にセットする際に、原稿の先端が給送ローラ151および分離ローラ153に当接することを防ぐことができる。また、本実施形態においても、原稿Shの取込みを開始する際、積載トレイ13上の複数の原稿Shの下流側端部を中間姿勢の原稿ストッパ173に当接させるとよい。これにより、該複数の原稿Shは、最も給送ローラ151側に近いものから順に装置本体内に適切に取込み可能となる。
【0088】
(第3実施形態)
図18に例示されるように、原稿ストッパ173は、ストッパ本体部1730および回動式先端部1732を含んで構成されてもよい。回動式先端部1732は、給送ローラ151側の先端部において、軸部Ax9を回転軸として回動可能となるように設けられ、そのサイズは、1枚の原稿Shの取込みを許容するように決められうる。
【0089】
回動式先端部1732は、ストッパ本体部1730の回動に先立って又は該回動と略同時に下流側に回動する。これにより、積載トレイ13上の複数の原稿Shが中間姿勢の原稿ストッパ173に当接するのに先立って又は該当接と略同時に、其れら複数の原稿Shのうち最も給送ローラ151側に近い1枚のみが装置本体内に取り込まれることとなる。
【0090】
このような構成によれば、積載トレイ13上の複数の原稿Shと中間姿勢の原稿ストッパ173との当接により複数の原稿Shを給送ローラ151に近いものから順に下流側端部が下流側に位置するようにすると共に、1枚の原稿Shの取込みを実現可能となる。即ち、上記当接により積載トレイ13上の複数の原稿Shの姿勢を整えると共に、1枚の原稿Shの取込みを開始することが可能となる。よって、このような構成によれば、原稿Shの取込み効率の向上にも有利となる。
【0091】
上述の各実施形態においては、動力源18aと動力源18bとを別の動力源として説明したが、同一の動力源として構成しても良い。その場合、動力源から各ローラなどへの駆動伝達経路中に、駆動力の伝達を遮断するクラッチや駆動伝達を遅延させて駆動タイミングずらすための遅延機構などを設ければ良い。
【0092】
(その他)
実施形態においては、個々の要素をその主機能に基づく表現で命名したが、実施形態で述べられた機能は副機能であってもよく、その表現に厳密に限定されるものではない。また、その表現は同様の表現に置換え可能とする。同様の趣旨で、「部(unit、pоrtiоn)」という表現は、「部品(cоmpоnent)」、「部材(member)」、「構造体(structure)」、「組立体(assembly)」等に置換されてもよいし、或いは省略されてもよい。
【0093】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1:画像読取装置(原稿取込み装置)、14:取込み口部、173:原稿ストッパ、174:保持部、20a~20d:付勢部。