(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法及び車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241010BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20241010BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/005
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2021161933
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 賢二
(72)【発明者】
【氏名】呉橋 崇弘
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-140367(JP,A)
【文献】特開2016-110218(JP,A)
【文献】特開2020-126530(JP,A)
【文献】国際公開第2008/146507(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0304027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で使用するための情報提供装置であって、
前記
車両の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得する取得手段と、
前記
車両の進行方向に位置する
人間である交通参加者を検出する検出手段と、
前記交通参加者の水平座標を推定する推定手段と、
前記交通参加者の水平座標に対して閾値範囲内にある水平座標を有する第1地点の位置情報を前記取得手段が取得できるかどうかを判定する判定手段と、
前記第1地点の位置情報を前記取得手段が取得できると判定された場合に、警戒対象の水平座標と前記第1地点の高度とに基づく警戒情報を
前記交通参加者が有する通知装置に提供する提供手段と、を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記情報提供装置は、前記
車両の進路上に位置する第
1移動体から、前記第
1移動体が位置する地点の位置情報を収集し、当該位置情報を記憶装置に記憶する収集手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記記憶装置に記憶されている前記位置情報を取得する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記警戒情報は、第1タイプの警戒情報であり、
前記閾値範囲は、第1閾値範囲であり、
前記判定手段は、前記交通参加者の前記水平座標に対して第2閾値範囲内にある水平座標を有し、前記
車両の進路上にない第2地点の位置情報を前記取得手段が取得できるかどうかをさらに判定し、
前記提供手段は、前記第2地点の位置情報を前記取得手段が取得できると判定された場合に、前記警戒対象の水平座標と、前記第2地点の高度とに基づく第2タイプの警戒情報を前記通知装置に提供する、請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記
車両の進路上に位置しない第
2移動体から前記第2地点の位置情報を取得する、請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記取得手段が前記第1地点及び前記第2地点のどちらの位置情報も取得できないと判定された場合に、前記警戒対象の水平座標に基づく第3タイプの警戒情報を前記通知装置に提供する、請求項3又は4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記警戒対象の水平座標は、前記交通参加者の水平座標である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記提供手段は、前記警戒情報をブロードキャストによって前記通知装置に提供する、請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記交通参加者は、歩行者を含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報提供装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の情報提供装置を備える車両。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の情報提供装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
車両で実施するための情報提供方法であって、
前記
車両の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得する取得工程と、
前記
車両の進行方向に位置する
人間である交通参加者を検出する検出工程と、
前記交通参加者の水平座標を推定する推定工程と、
前記交通参加者の水平座標に対して閾値範囲内にある水平座標を有する第1地点の位置情報を前記取得工程において取得できるかどうかを判定する判定工程と、
前記第1地点の位置情報を前記取得工程において取得できると判定された場合に、警戒対象の水平座標と前記第1地点の高度とに基づく警戒情報を
前記交通参加者が有する通知装置に提供する提供工程と、を有する情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者等の交通参加者に対して車両の接近を通知することによって交通参加者の安全性を向上するための技術が提案されている。特許文献1では、交差点の付近の歩行者が携帯する携帯装置に向けて、この交差点に接近する車両の存在を通知するための交通情報を配信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通参加者が車両の進行方向に位置したとしても、この交通参加者に対して車両の接近を常に通知する必要があるとは限らない。例えば、車両の進行方向で交通参加者が歩道橋を渡っている場合に、交通参加者が車両に接触する可能性は低い。このような場合に交通参加者に車両の接近を通知すると、交通参加者が通知を煩わしく感じる恐れがある。本発明の一部の側面は、移動体の接近を通知すべき交通参加者を精度よく判定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、車両で使用するための情報提供装置であって、前記車両の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得する取得手段と、前記車両の進行方向に位置する人間である交通参加者を検出する検出手段と、前記交通参加者の水平座標を推定する推定手段と、前記交通参加者の水平座標に対して閾値範囲内にある水平座標を有する第1地点の位置情報を前記取得手段が取得できるかどうかを判定する判定手段と、前記第1地点の位置情報を前記取得手段が取得できると判定された場合に、警戒対象の水平座標と前記第1地点の高度とに基づく警戒情報を前記交通参加者が有する通知装置に提供する提供手段と、を備える情報提供装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、移動体の接近を通知すべき交通参加者を精度よく判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態の車両の構成例を説明する図。
【
図2】本発明の実施形態が実施されるユースケースを説明する図。
【
図3】本発明の実施形態の制御装置及び携帯装置の構成例を説明する図。
【
図4】本発明の実施形態の制御装置の制御方法の例を説明する図。
【
図5】本発明の実施形態の携帯装置の制御方法の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
以下に説明する実施形態は、移動体の制御、特に移動体が行動を開始すべきかどうかの判定に関する。以下の実施形態では、移動体の一例として車両を扱う。しかし、以下の実施形態は、車両以外の移動体、例えば船舶、航空機、ドローンなどにも適用可能である。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両1のブロック図である。
図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。車両1はこのような四輪車両であってもよいし、二輪車両や他のタイプの車両であってもよい。
【0011】
車両1は、車両1を制御する車両用制御装置2(以下、単に制御装置2と呼ぶ)を含む。制御装置2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20~29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等のメモリ、外部デバイスとのインタフェース等を含む。メモリにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、メモリおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。例えば、ECU20は、プロセッサ20aとメモリ20bとを備える。メモリ20bに格納されたプログラムが含む命令をプロセッサ20aが実行することによって、ECU20による処理が実行される。これに代えて、ECU20は、ECU20による処理を実行するためのASIC等の専用の集積回路を備えてもよい。他のECUについても同様である。
【0012】
以下、各ECU20~29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、統合したりすることが可能である。
【0013】
ECU20は、車両1の自動走行に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。ECU20による自動走行は、運転者による走行操作を必要としない自動走行(自動運転とも呼ばれうる)と、運転者による走行操作を支援するための自動走行(運転支援とも呼ばれうる)とを含んでもよい。
【0014】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、前輪を自動操舵したりするための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0015】
ECU22および23は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット41~43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0016】
検知ユニット42は、ライダ(Light Detection and Ranging)であり(以下、ライダ42と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、ライダ42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0017】
ECU22は、一方のカメラ41と、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0018】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GNSS(global navigation satellite system)センサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GNSSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、メモリに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。ECU24、地図データベース24a、GNSSセンサ24bは、いわゆるナビゲーション装置を構成している。
【0019】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0020】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替えたりする。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0021】
ECU27は、方向指示器8(ウィンカ)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0022】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置91は運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせたりしてもよい。入力装置93は運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置も含まれてもよい。
【0023】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0024】
図2を参照して、本発明の一部の実施形態が実施されるユースケースについて説明する。このユースケースでは、車両1の制御装置2(以下、単に制御装置2という)と、交通参加者が有する携帯装置(例えば、スマートフォンなど。以下、単に携帯装置という)とが連携して、交通参加者に対して車両1の接近を通知する。具体的に、車両1の制御装置2は、車両1の接近を通知するかどうかの判定に使用可能な警戒情報を携帯装置に提供する。携帯装置は、警戒情報に基づいて交通参加者に車両1の接近を通知するかどうかを判定し、必要ならば車両1の接近を交通参加者に通知する。このような連携において、制御装置2は、警戒情報を提供するため、情報提供装置と呼ばれてもよく、携帯装置は、車両1の接近を通知するため、通知装置と呼ばれてもよい。以下では、交通参加者の例として歩行者を使用する。しかし、歩行者にかえて、自転車の運転者のような他の交通参加者に対しても以下の実施形態が適用可能である。
【0025】
車両1は、矢印204で示す進路で道路201を走行中であるとする。すなわち、矢印204は、車両1の進行方向を示す。道路201に隣接して歩道202が設置されている。また、道路201をまたがるように歩道橋203が設置されている。車両1の進行方向(矢印204)に歩行者206及び207が位置する。歩行者206は、歩道橋203の上を歩いている。歩行者207は、歩道202を歩いている。
【0026】
歩行者207が道路201に入り込んだ場合に、車両1が歩行者207に接触する可能性がある。そのため、歩行者207の携帯装置は、歩行者207に対して車両1の接近の通知を行う。一方、歩行者206は、歩道橋203を歩いているため、車両1に接触する可能性は低い。そこで、歩行者206の携帯装置は、歩行者206に対して接近通知を行わない。
【0027】
このように歩行者に対して適切に接近通知を行うための情報を制御装置2が携帯装置に提供するためには、制御装置2が、車両1の進行方向に位置する歩行者の高度(例えば、標高)を測定できればよい。しかし、車両1に搭載された検知ユニット41~43(例えば、カメラ)から得られる情報に基づいて制御装置2が歩行者の高度を精度よく推定することは困難な場合がある。また、携帯装置は測位センサを用いて自身の高度を測定可能であるが、制御装置2が携帯装置から高度を取得できるとは限らない。そこで、一部の実施形態では、制御装置2は、車両1の進路上にある1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得し、この位置情報に基づいて警戒情報を生成し、携帯装置に提供する。
【0028】
制御装置2は、車両1の進路上にある1つ以上の地点の位置情報を、車両1の進路上に位置する他の車両(例えば、車両205)から取得してもよい。例えば、歩行者206及び207の周囲で、車両205が道路201を走行中であるとする。車両205は、自身のセンサ(例えば、測位センサ)を利用して、自身の位置情報を取得可能であるとする。制御装置2は、車車間通信を使用して、車両205から車両205が現在位置する地点の位置情報を取得する。車両205が現在位置する地点は、車両1が将来に通過する可能性がある地点である。
【0029】
制御装置2は、車両1に搭載された検知ユニット41~43(例えば、カメラ)から得られる情報に基づいて、歩行者の水平座標(例えば、緯度・経度)を推定する。車両205から取得した位置情報に含まれる水平座標と、歩行者207の水平座標との間の距離が短い場合に、制御装置2は、歩行者207の水平座標と、車両205から取得した高度とを含む警戒情報を歩行者207の携帯装置に提供する。歩行者207の携帯装置は、この警戒情報に含まれる高度(すなわち、車両205の高度)と、自身の高度とを比較し、両者の差が小さい場合に、車両1が歩行者207と近い高度で歩行者207の付近を通る可能性があると判定する。
図2の例では、車両205の高度と歩行者207の高度との差が小さいため、歩行者207の携帯装置は、歩行者207に対して車両1の接近を通知する。
【0030】
同様に、車両205から取得した位置情報に含まれる水平座標と、歩行者206の水平座標との間の距離が短い場合に、制御装置2は、歩行者206の水平座標と、車両205から取得した高度とを含む警戒情報を歩行者206の携帯装置に提供する。歩行者206の携帯装置は、この警戒情報に含まれる高度(すなわち、車両205の高度)と、自身の高度とを比較し、両者の差が小さい場合に、車両1が歩行者206と近い高度で歩行者206の付近を通る可能性があると判定する。
図2の例では、車両205の高度と歩行者206の高度との差が大きいため、歩行者207の携帯装置は、歩行者207に対して車両1の接近を通知しない。
【0031】
図2のユースケースでは、歩道202上に位置する歩行者207を接近通知の対象とし、歩道橋203上に位置する歩行者206を接近通知の対象外とした。本発明の実施形態は、他のユースケースでも適用可能である。例えば、車両1が走行中の道路が、車両1の進行方向において別の道路に立体交差しているとする。この場合に、制御装置2が進行方向に歩行者を検出したとしても、この歩行者が立体交差している道路に隣接した歩道上に位置しているのであれば、この歩行者に対して接近通知を行う必要はない。立体交差している道路は、車両1が走行中の道路の上に位置してもよいし下に位置してもよい。本発明の実施形態は、車両1が立体駐車場を走行中にも実施可能である。
【0032】
図3(a)を参照して、制御装置2の機能ブロックの例について説明する。制御装置2は、警戒情報を携帯装置に提供するための機能を有する。
図3(a)では、制御装置2の機能のうち警戒情報の提供に関する機能を記載する。制御装置2は、物標検出部301と、位置情報収集部302と、位置情報取得部303と、座標推定部304と、タイプ判定部305と、情報提供部306とを含む。これらの機能部は、制御装置2に含まれるECU20~29の1つ以上のECUのプロセッサ20aによって実現されてもよい。具体的に、これらの機能部の動作は、メモリ20bに格納されたプログラムをプロセッサ20aが実行することによって行われてもよい。これにかえて、これらの機能部の一部又は全部は、ASIC(特定用途向け集積回路)やFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)のような専用回路によって実現されてもよい。
【0033】
物標検出部301は、車両1の周囲に物標が存在するかどうかを判定し、存在する場合にその物標の種類を識別する。以下、物標の存在の判定及び物標の種類の識別をまとめて物標の検出と表す。検出対象の物標は、例えば歩行者などの交通参加者と、他の車両とを含んでもよい。物標検出部301は、例えばカメラ41によって撮影された画像を分析することによって、物標の検出を行ってもよい。これに加えて、物標検出部301は、ライダ42及びレーダ43によって得られたデータを分析することによって、物標の検出を行ってもよい。
【0034】
位置情報収集部302は、車両1の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を収集し、当該位置情報を記憶装置(例えば、メモリ20b)に記憶する。位置情報収集部302は、車両1の進路上に位置する他の移動体(例えば、車両)から、当該移動体が位置する地点の位置情報を収集してもよい。位置情報収集部302は、他の移動体から、無線通信を介して位置情報を受信してもよい。これにかえて又はこれに加えて、位置情報収集部302は、移動体以外の装置(例えば、道路や店舗に固定された通信装置)から、当該装置が位置する地点の位置情報を収集してもよい。位置情報収集部302は、他の装置(例えば車両)が車両1の進路上にあるかどうかを、カメラ41によって撮影された画像に基づいて判定してもよい。これにかえて又はこれに加えて、位置情報収集部302は、他の装置から取得した位置情報と、車両1のナビゲーション装置から取得した車両1の走行計画とに基づいて、他の装置が車両1の進路上にあるかどうかを判定してもよい。
【0035】
位置情報取得部303は、車両1の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得する。位置情報取得部303は、位置情報収集部302が収集して記憶装置に記憶されている位置情報を読み出すことによって、位置情報を取得してもよい。さらに、位置情報取得部303は、車両1の進路上にない1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得してもよい。例えば、位置情報取得部303は、他の車両から位置情報を受信したものの、当該車両が車両1の進行方向に存在しない場合(例えば、立体交差する道路を他の車両が走行中にこのような事象が発生しうる)に、当該他の車両が車両1の進路上にないと判定してもよい。
【0036】
座標推定部304は、物標検出部301によって検出された交通参加者(例えば歩行者)の水平座標を推定する。例えば、座標推定部304は、車両1の測位センサによって得られた車両1の水平座標と、検知ユニット41~43によって測定された車両1から交通参加者までの距離及び方向とに基づいて、交通参加者の水平座標を推定してもよい。
【0037】
タイプ判定部305は、携帯装置に提供する警戒情報のタイプを判定する。警戒情報のタイプの詳細については後述する。情報提供部306は、警戒情報を生成し、警戒情報を携帯装置に提供する。情報提供部306は、警戒情報をブロードキャストによって携帯装置に提供してもよい。生成される警戒情報の詳細については後述する。
【0038】
図3(b)を参照して、携帯装置310のハードウェア構成例について説明する。制御装置2は、制御装置2から提供された警戒情報に基づいて交通参加者に車両1の接近を通知するかどうかを判定し、必要な場合に接近を通知するための機能を有する。
図3(b)では、携帯装置310のうち接近通知に関する構成要素を記載する。制御装置2は、プロセッサ311と、メモリ312と、通信装置313と、測位装置314と、音響装置315と、振動装置316とを含む。
【0039】
プロセッサ311は、携帯装置310の全体的な動作を制御する。メモリ312は、携帯装置310の動作に関するプログラムやデータを記憶する。携帯装置310の動作は、メモリ312に記憶されたプログラムをプロセッサ311が実行することによって行われてもよい。これにかえて、これらの機能部の一部又は全部は、ASICやFPGAのような専用回路によって実現されてもよい。
【0040】
通信装置313は、携帯装置310が他の装置(例えば、制御装置2)と通信するための装置である。典型的に、通信装置313は、無線通信が可能である。通信装置313は、制御装置2から警戒情報を受信するために用いられてもよい。
【0041】
測位装置314は、携帯装置310の位置情報(上述のように、水平座標及び高度を含む)を測定するための装置であり、例えばGNSSセンサであってもよい。
【0042】
音響装置315は、携帯装置310のユーザ(例えば、歩行者)へ向けたオーディオ出力を行うための装置であり、スピーカとも呼ばれうる。振動装置316は、携帯装置310を振動させるための装置であり、バイブレータとも呼ばれうる。プロセッサ311は、音響装置315、振動装置316、又はこれらの両方を使用して、ユーザに対して車両1の接近を通知してもよい。
【0043】
図4を参照して、制御装置2、具体的はその機能部が行う制御方法(すわなち、情報提供方法)の一例について説明する。この方法は、車両1が走行を開始することに応じて開始されてもよい。制御装置2は、車両1の運転が終了するまで以下の処理を繰り返し実行してもよい。
【0044】
ステップS401で、制御装置2(具体的に、その位置情報収集部302)は、車両1の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を収集し、当該位置情報を記憶装置(例えば、メモリ20b)に記憶する。水平座標は、緯度及び経度によって表されてもよい。「車両1の進路」とは、車両1が将来に通過することが予定されている道路のことであってもよい。例えば、車両1が自動運転で走行している場合に、車両1の予定進路がこのステップで使用されてもよい。車両1が手動運転で走行している場合に、現在走行している道路の道なりの進路がこのステップで使用されてもよいし、ナビゲーション装置による経路案内中であればその経路上の進路がこのステップで使用されてもよい。
【0045】
制御装置2は、車両1の進路上に位置する他の移動体(例えば、車両)から、当該他の移動体が位置する地点の位置情報を収集してもよい。車両1の進路上に位置する他の車両を、以下では先行車両と呼ぶ。制御装置2は、先行車両が自身の測位装置(例えば、GNSSセンサ)を使用して測定した位置情報を車車間通信によって、先行車両から受信してもよい。
【0046】
制御装置2は、先行車両が車両1の進路上にあるかどうかを、車両1のカメラ41によって得られた画像に基づいて判定してもよいし、先行車両から受信した情報に基づいて判定してもよい。例えば、制御装置2は、先行車両が走行中の道路及びその道路上の位置を識別する情報を先行車両から取得し、この情報と、車両1が走行中の道路及びその道路上の位置とを比較することによって、先行車両が車両1の進路上にあるかどうか判定してもよい。これに代えて又はこれに加えて、車両1は、カメラ41によって得られた画像を分析することによって、先行車両が車両1の進路上にあることを判定してもよい。カメラ41によって撮影された画像内の車両と、車車間通信による通信相手の車両との間の関連付けは、ナンバープレートの画像を分析することによって得られた先行車両の登録番号と、先行車両から受信した先行車両の登録番号とを比較することによって行われてもよい。
【0047】
先行車両が車両1の進路上に複数存在する場合に、制御装置2は、複数の車両のそれぞれから位置情報を取得し、記憶装置に記憶してもよい。制御装置2は、記憶装置に記憶されている位置情報を、所定の条件に従って無効化(例えば、削除)してもよい。例えば、制御装置2は、記憶されてから所定の時間(例えば、5分間)が経過した位置情報を無効化してもよい。これに代えて又はこれに加えて、制御装置2は、記憶されている位置情報が表す位置を車両1が通過したことに応じて当該位置情報を無効化してもよい。
【0048】
ステップS402で、制御装置2(具体的に、その物標検出部301)は、カメラ41から、車両1の進行方向の画像を取得する。車両1の進行方向とは、車両1が前進中である場合に、車両1よりも前に向かう方向(例えば、車両1の真正面を中心としてある程度の広がりを有する範囲)であってもよい。
【0049】
ステップS403で、制御装置2(具体的に、その物標検出部301)は、車両1の進行方向に位置する歩行者が存在するかどうかを判定する。車両1の進行方向に位置する歩行者が存在する場合(ステップS403で「YES」)に、制御装置2は処理をステップS404に遷移し、それ以外の場合(ステップS403で「NO」)に、制御装置2は処理をステップS401に遷移する。制御装置2は、例えばカメラ41によって撮影された画像を分析することによって、車両1の進行方向に位置する歩行者を検出してもよい。歩行者が存在しない場合に、制御装置2は、ステップS401~S402を繰り返す。これによって、車両1の進路上の複数の地点における位置情報が記憶装置に蓄積される。ステップS403で複数の歩行者が検出された場合に、制御装置2は、各歩行者に対して以下のステップS404~S411を実行してもよい。
【0050】
ステップS404で、制御装置2(具体的に、その座標推定部304)は、ステップS403で検出された歩行者の水平座標を推定する。制御装置2は、検知ユニット41~43から得られたデータと、車両1の水平座標とに基づいて歩行者の水平座標を推定してもよい。例えば、制御装置2は、車両1の測位装置(例えば、GNSSセンサ)を使用して車両1の水平座標を測定する。さらに、制御装置2は、検知ユニット41~43から得られたデータを使用して、歩行者と車両1との間の距離と、車両1に対する歩行者の方向とを算出する。制御装置2は、車両1の水平座標に対して、車両1から歩行者へ向かうベクトルを加算することによって、歩行者の水平座標を推定できる。
【0051】
ステップS405で、制御装置2(具体的に、そのタイプ判定部305)は、ステップS404で推定された歩行者の水平座標に対して第1閾値範囲内にある水平座標を有する第1地点の位置情報を位置情報取得部303が取得できるかどうかを判定する。このような第1地点の位置情報を取得できると判定された場合(ステップS405で「YES」)に、制御装置2は処理をステップS406に遷移し、それ以外の場合(ステップS405で「NO」)に、制御装置2は処理をステップS408に遷移する。第1閾値範囲は、例えば、歩行者の水平座標から所定の距離(例えば、10mや20m)の範囲であってもよい。このような第1地点の位置情報が記憶装置に記憶されている場合に、タイプ判定部305は、位置情報取得部303が第1地点の位置情報を取得できると判定してもよい。
【0052】
ステップS406で、制御装置2(具体的に、その位置情報取得部303)は、歩行者の水平座標に対して第1閾値範囲内にある水平座標を有する位置情報を記憶装置から読み出す。この条件を満たす位置情報が複数記憶されている場合に、制御装置2は、歩行者の水平座標に最も近い水平座標を有する位置情報を選択してもよい。
【0053】
ステップS407で、制御装置2(具体的に、その情報提供部306)は、警戒対象の水平座標と、ステップS406で読み出した位置情報の高度とに基づく第1タイプの警戒情報を携帯装置310に提供する。警戒対象の水平座標は、ステップS404で推定した歩行者の水平座標であってもよい。これに代えて、警戒対象の水平座標は、ステップS406で読み出した位置情報の水平座標であってもよい。さらに、これに代えて、警戒対象の水平座標は、ステップS404で推定した歩行者の水平座標と、ステップS406で読み出した位置情報の水平座標とを所定の関数に適用して得られる水平座標であってもよい。第1タイプの警戒情報は、警戒対象の水平座標をそのまま含んでもよいし、警戒対象の水平座標に基づいて得られる座標やその範囲を含んでもよい。第1タイプの警戒情報は、ステップS406で読み出した位置情報の高度をそのまま含んでもよいし、当該高度に基づいて得られる高度やその範囲を含んでもよい。第1タイプの警戒情報は、第1タイプの警戒情報であることを示すインジケータを含んでもよい。
【0054】
警戒情報の提供は、ブロードキャストによって行われてもよい。この場合に、第1タイプの警戒情報は、ステップS403で検出された歩行者の携帯装置だけでなく、車両1のブロードキャストの到達範囲内の各携帯装置に提供される。第1タイプの警戒情報を受信した携帯装置310の動作については後述する。
【0055】
ステップS408で、制御装置2(具体的に、そのタイプ判定部305)は、ステップS404で推定された歩行者の水平座標に対して第2閾値範囲内にある水平座標を有し、車両1の進路上にない第2地点の位置情報を位置情報取得部303が取得できるかどうかを判定する。このような第2地点の位置情報を取得できると判定された場合(ステップS408で「YES」)に、制御装置2は処理をステップS409に遷移し、それ以外の場合(ステップS408で「NO」)に、制御装置2は処理をステップS411に遷移する。第2閾値範囲は、例えば、歩行者の水平座標から所定の距離(例えば、10mや20m)の範囲であってもよい。第2閾値範囲は、上述の第1閾値範囲と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、制御装置2は、車車間通信によって車両1の周囲の1つ以上の車両から位置情報を受信し、これらの車両の水平座標が歩行者の水平座標に対して第2閾値範囲内にあるかどうかを判定してもよい。ステップS408で検出される車両は、ステップS405で検出されていないため、車両1の進路上にはない。
【0056】
ステップS409で、制御装置2(具体的に、その位置情報取得部303)は、歩行者の水平座標に対して第2閾値範囲内にある水平座標を有する位置情報を取得する。この条件を満たす位置情報を複数取得できる場合に、制御装置2は、歩行者の水平座標に最も近い水平座標を有する位置情報を選択して取得してもよい。
【0057】
ステップS410で、制御装置2(具体的に、その情報提供部306)は、警戒対象の水平座標と、ステップS409で取得した位置情報の高度とに基づく第2タイプの警戒情報を携帯装置310に提供する。警戒対象の水平座標は、ステップS404で推定した歩行者の水平座標であってもよい。これに代えて、警戒対象の水平座標は、ステップS409で取得した位置情報の水平座標であってもよい。さらに、これに代えて、警戒対象の水平座標は、ステップS404で推定した歩行者の水平座標と、ステップS409で取得した位置情報の水平座標とを所定の関数に適用して得られる水平座標であってもよい。第2タイプの警戒情報は、警戒対象の水平座標をそのまま含んでもよいし、警戒対象の水平座標に基づいて得られる座標やその範囲を含んでもよい。第2タイプの警戒情報は、ステップS409で取得した位置情報の高度をそのまま含んでもよいし、当該高度に基づいて得られる高度やその範囲を含んでもよい。第2タイプの警戒情報は、第2タイプの警戒情報であることを示すインジケータを含んでもよい。
【0058】
警戒情報の提供は、ブロードキャストによって行われてもよい。この場合に、第2タイプの警戒情報は、ステップS403で検出された歩行者の携帯装置だけでなく、車両1のブロードキャストの到達範囲内の各携帯装置に提供される。第2タイプの警戒情報を受信した携帯装置310の動作については後述する。
【0059】
ステップS411で、制御装置2(具体的に、その情報提供部306)は、警戒対象の水平座標に基づく第3タイプの警戒情報を携帯装置310に提供する。警戒対象の水平座標は、ステップS404で推定した歩行者の水平座標であってもよい。第3タイプの警戒情報は、警戒対象の水平座標をそのまま含んでもよいし、警戒対象の水平座標に基づいて得られる座標やその範囲を含んでもよい。第3タイプの警戒情報は、第3タイプの警戒情報であることを示すインジケータを含んでもよい。これに代えて、警戒情報が高度を含まないことが、第3タイプの警戒情報であることを示すインジケータとして機能してもよい。
【0060】
警戒情報の提供は、ブロードキャストによって行われてもよい。この場合に、第3タイプの警戒情報は、ステップS403で検出された歩行者の携帯装置だけでなく、車両1のブロードキャストの到達範囲内の各携帯装置に提供される。第3タイプの警戒情報を受信した携帯装置310の動作については後述する。上述の例では、制御装置2が第1タイプ~第3タイプの警戒情報のそれぞれを送信可能であるが、制御装置2は、これらの一部のタイプの警戒情報のみを送信可能であってもよい。
【0061】
図5を参照して、携帯装置310が行う制御方法(すわなち、接近通知方法)の一例について説明する。この方法は、携帯装置310(又は接近通知機能を有するアプリケーション)が起動することに応じて開始されてもよい。携帯装置310は、停止するまで以下の処理を繰り返し実行してもよい。
【0062】
ステップS501で、プロセッサ311は、通信装置313が警戒情報を受信したかどうかを判定する。プロセッサ311は、警戒情報を受信したと判定された場合(ステップS501で「YES」)に処理をステップS502に遷移し、それ以外の場合にステップS501を繰り返す。
【0063】
ステップS502で、プロセッサ311は、測位装置314を用いて、携帯装置310の現在の位置情報(水平座標及び高度を含む)を受信する。
【0064】
ステップS503で、プロセッサ311は、携帯装置310の現在の水平座標が、警戒情報に含まれる警戒対象の水平座標に対して第3閾値範囲に含まれるかどうかを判定する。プロセッサ311は、この条件を満たすと判定された場合(ステップS503で「YES」)に処理をステップS504に遷移し、それ以外の場合(ステップS503で「NO」)に処理を終了する。第1タイプ~第3タイプの何れの警戒情報も、警戒対象の水平座標を含む。第3閾値範囲は、例えば、警戒対象の水平座標から所定の距離(例えば、5mや10m)の範囲であってもよい。第3閾値範囲は、上述の第1閾値範囲及び第2閾値範囲と同じであってもよいし、異なっていてもよい。携帯装置310の現在の水平座標が、警戒情報に含まれる警戒対象の水平座標に対して第3閾値範囲に含まれない場合に、プロセッサ311は、携帯装置310のユーザに対して車両1の接近を通知する必要はない。
【0065】
ステップS504で、プロセッサ311は、受信した警戒情報が第1タイプの警戒情報かどうかを判定する。プロセッサ311は、第1タイプの警戒情報であると判定された場合(ステップS504で「YES」)に処理をステップS505に遷移し、それ以外の場合(ステップS503で「NO」)に処理をステップS507に遷移する。
【0066】
ステップS505で、プロセッサ311は、携帯装置310の現在の高度が、警戒情報に含まれる高度に対して第4閾値範囲内にあるかどうかを判定する。プロセッサ311は、この条件を満たすと判定された場合(ステップS505で「YES」)に処理をステップS506に遷移し、それ以外の場合(ステップS505で「NO」)に処理を終了する。第1タイプの警戒情報に含まれる高度は、車両1の進路上に位置する地点の高度である。そのため、第4閾値範囲は、車両1の進路上の地点と同じ又は近い高さに歩行者がいることを判定可能な値に設定される。歩道の段差や、水平座標の差異による誤差などを考慮して、第4閾値範囲は、例えば1m以内に設定されてもよい。携帯装置310の現在の高度が、第1タイプの警戒情報に含まれる高度に対して第4閾値範囲に含まれない場合に、プロセッサ311は、携帯装置310のユーザに対して車両1の接近を通知する必要はない。
【0067】
ステップS506で、プロセッサ311は、音響装置315、振動装置316、又はその両方を使用して、携帯装置310のユーザに、車両1の接近を通知する。
【0068】
ステップS507で、プロセッサ311は、受信した警戒情報が第2タイプの警戒情報かどうかを判定する。プロセッサ311は、第2タイプの警戒情報であると判定された場合(ステップS507で「YES」)に処理をステップS508に遷移し、それ以外の場合(ステップS507で「NO」)に処理をステップS506に遷移する。
【0069】
ステップS508で、プロセッサ311は、携帯装置310の現在の高度が、警戒情報に含まれる高度に対して第5閾値範囲内にあるかどうかを判定する。プロセッサ311は、この条件を満たすと判定された場合(ステップS508で「YES」)に処理を終了し、それ以外の場合(ステップS508で「NO」)に処理をステップS506に遷移する。第2タイプの警戒情報に含まれる高度は、車両1の進路上にない地点の高度である。そのため、第5閾値範囲は、車両1の進路上にない地点と同じ又は近い高さに歩行者がいることを判定可能な値に設定される。歩道の段差や、水平座標の差異による誤差などを考慮して、第5閾値範囲は、例えば1m以内に設定されてもよい。携帯装置310の現在の高度が、第2タイプの警戒情報に含まれる高度に対して第5閾値範囲に含まれる場合に、プロセッサ311は、携帯装置310のユーザに対して車両1の接近を通知する必要はない。
【0070】
ステップS507で「NO」の場合、警戒情報は第1のタイプでも第2のタイプでもないため、プロセッサ311は、第3のタイプの警戒情報を受信したことになる。第3のタイプの警戒情報は、制御装置2が歩行者を検出したが、歩行者が警戒すべき高度を判定できない場合に提供される。そこで、プロセッサ311は、携帯装置310の現在の高度によらず、ステップS506で、車両1の接近をユーザに通知する。
【0071】
上述した実施形態によれば、車両1の進路上にある地点の位置情報や、車両1の進路上にない地点の位置情報を利用して交通参加者の携帯装置に警戒情報を提供するため、移動体の接近を通知すべき交通参加者を精度よく判定できる。
【0072】
上述の実施形態では、情報提供装置として機能する制御装置2を車両1が有する場合について説明した。これに代えて、制御装置2は、車両以外の移動体(例えば、UAV(Unmanned Aerial Vehicle))に搭載されてもよい。さらに、上述の車両以外の移動体(例えば、UAV)が上述の先行車両の代わりに使用されてもよい。
【0073】
<実施形態のまとめ>
<項目1>
第1移動体(1)で使用するための情報提供装置(2)であって、
前記第1移動体の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得する取得手段(303)と、
前記第1移動体の進行方向に位置する交通参加者(206、207)を検出する検出手段(301)と、
前記交通参加者の水平座標を推定する推定手段(304)と、
前記交通参加者の水平座標に対して閾値範囲内にある水平座標を有する第1地点の位置情報を前記取得手段が取得できるかどうかを判定する判定手段(305)と、
前記第1地点の位置情報を前記取得手段が取得できると判定された場合に、警戒対象の水平座標と前記第1地点の高度とに基づく警戒情報を通知装置に提供する提供手段(306)と、を備える情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者を精度よく判定できる。
<項目2>
前記情報提供装置は、前記第1移動体の進路上に位置する第2移動体(205)から、前記第2移動体が位置する地点の位置情報を収集し、当該位置情報を記憶装置(20b)に記憶する収集手段(302)をさらに備え、
前記取得手段は、前記記憶装置に記憶されている前記位置情報を取得する、項目1に記載の情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
<項目3>
前記警戒情報は、第1タイプの警戒情報であり、
前記閾値範囲は、第1閾値範囲であり、
前記判定手段は、前記交通参加者の前記水平座標に対して第2閾値範囲内にある水平座標を有し、前記第1移動体の進路上にない第2地点の位置情報を前記取得手段が取得できるかどうかをさらに判定し、
前記提供手段は、前記第2地点の位置情報を前記取得手段が取得できると判定された場合に、前記警戒対象の水平座標と、前記第2地点の高度とに基づく第2タイプの警戒情報を前記通知装置に提供する、項目1又は2に記載の情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
<項目4>
前記取得手段は、前記第1移動体の進路上に位置しない第3移動体から前記第2地点の位置情報を取得する、項目3に記載の情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
<項目5>
前記提供手段は、前記取得手段が前記第1地点及び前記第2地点のどちらの位置情報も取得できないと判定された場合に、前記警戒対象の水平座標に基づく第3タイプの警戒情報を前記通知装置に提供する、項目3又は4に記載の情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
<項目6>
前記警戒対象の水平座標は、前記交通参加者の水平座標である、項目1乃至5の何れか1項に記載の情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
<項目7>
前記提供手段は、前記警戒情報をブロードキャストによって前記通知装置に提供する、項目1乃至6の何れか1項に記載の情報提供装置。
この項目によれば、コネクションを有しない通知装置に対して警戒情報を提供できる。
<項目8>
前記交通参加者は、歩行者(206、207)を含む、項目1乃至7の何れか1項に記載の情報提供装置。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき歩行者を精度よく判定できる。
<項目9>
前記第1移動体は、車両(1)である、項目1乃至8の何れか1項に記載の情報提供装置。
この項目によれば、車両の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
<項目10>
項目1乃至9のいずれか1項に記載の情報提供装置(2)を備える車両(1)。
この項目によれば、車両の形態で上記の効果が得られる。
<項目11>
コンピュータを、項目1乃至9のいずれか1項に記載の情報提供装置(2)の各手段として機能させるためのプログラム。
この項目によれば、車両の形態で上記の効果が得られる。
<項目12>
第1移動体(1)で実施するための情報提供方法であって、
前記第1移動体の進路上に位置する1つ以上の地点について、水平座標及び高度を含む位置情報を取得する取得工程(S406)と、
前記第1移動体の進行方向に位置する交通参加者(206、207)を検出する検出工程(S403)と、
前記交通参加者の水平座標を推定する推定工程(S404)と、
前記交通参加者の水平座標に対して閾値範囲内にある水平座標を有する第1地点の位置情報を前記取得工程において取得できるかどうかを判定する判定工程(S405)と、
前記第1地点の位置情報を前記取得工程において取得できると判定された場合に、警戒対象の水平座標と前記第1地点の高度とに基づく警戒情報を通知装置に提供する提供工程(S407)と、を有する情報提供方法。
この項目によれば、移動体の接近を通知すべき交通参加者をさらに精度よく判定できる。
【0074】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 車両、2 制御装置、203 歩道橋、205 車両、206 歩行者、207 歩行者