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特許7569776勤怠状況管理システム、及び勤怠状況管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】勤怠状況管理システム、及び勤怠状況管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/109 20230101AFI20241010BHJP
【FI】
G06Q10/109
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021168736
(22)【出願日】2021-10-14
(65)【公開番号】P2023058932
(43)【公開日】2023-04-26
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大鹿 あかり
(72)【発明者】
【氏名】当田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭一
(72)【発明者】
【氏名】桑子 健一朗
(72)【発明者】
【氏名】松下 慎
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-146257(JP,A)
【文献】特開2021-123452(JP,A)
【文献】特開2019-169035(JP,A)
【文献】特開2014-191716(JP,A)
【文献】特開2016-200955(JP,A)
【文献】特開2019-061476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間外勤務の申請に関する項目と、ポイント数とを関連付けたポイント換算表を記憶する記憶部と、
利用者が利用する利用者端末から入力される前記時間外勤務の申請に関する情報に従い、前記ポイント数を積算して積算値を出力する演算部と、
前記積算値に従い、前記利用者に対する警告を示す警告情報を生成し、前記利用者端末、及び前記利用者を管理する管理職が利用する管理職端末に対し提示する警告情報生成部と
を備えた勤怠状況管理システム。
【請求項2】
前記利用者端末を自動的にシャットダウンする自動シャットダウンシステムを更に備え、
前記記憶部は、自動シャットダウンの発生と前記ポイント数とを関連付けて記憶し、
前記演算部は、前記時間外勤務の申請に関する情報に加え、前記自動シャットダウンの発生に応じ、前記ポイント数を積算する
ことを特徴とする、請求項1に記載の勤怠状況管理システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記利用者の属性に応じて、異なる種類のポイント換算表を記憶する、請求項1又は2に記載の勤怠状況管理システム。
【請求項4】
利用者が利用する利用者端末から、時間外勤務の申請に関する情報を受領し、
時間外勤務の申請に関する項目と、ポイント数とを関連付けたポイント換算表と、受領された前記時間外勤務の申請に関する情報とに従い、前記ポイント数を積算して積算値を出力し、
前記積算値に従い、前記利用者に対する警告を示す警告情報を生成し前記利用者端末、及び前記利用者を管理する管理職が利用する管理職端末に対し提示する
ことをコンピュータに実行させるよう構成された、勤怠状況管理プログラム。
【請求項5】
前記ポイント換算表は、前記利用者端末を自動的にシャットダウンする自動シャットダウンシステムによる自動シャットダウンの発生と前記ポイント数とを関連付けており、
前記時間外勤務の申請に関する情報に加え、前記自動シャットダウンの発生に応じ、前記ポイント数を積算する
ことを特徴とする、請求項4に記載の勤怠状況管理プログラム。
【請求項6】
前記利用者の属性に応じて、異なる種類のポイント換算表が記憶される、請求項4又は5に記載の勤怠状況管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勤怠状況管理システム、及び勤怠状況管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等の従業員の勤怠状況を管理する勤怠状況管理システムが知られている。従来の勤怠状況管理システムは、従業員の各々の出勤時間、退勤時間等を管理するものであるが、従業員の各々の業務管理等の制御・指導には有効に機能するものではなかった。
【0003】
例えば、ある社員は、必要な時間だけ予め残業申請、又は休日勤務申請(両者を含めて「時間外勤務申請」という)ができていて、自身の業務の制御を十分に行うことができている一方、別のある社員は、業務過多、突発的な業務の発生、自身の業務管理不足等により、急な残業申請や休日出勤申請が頻発している、というような状況が生じ得る。このような急な残業・休日出勤を減らすことが、労務管理上求められている。また、業務負荷の大きい従業員、業務管理が不十分な従業員を「見える化」する必要がある。「見える化」がされることができれば、業務負荷が多すぎる従業員や、業務管理が適切にできていない従業員を特定し、業務の再分配や従業員への指導をより適切に行うことができる。
【0004】
しかし、現状の勤怠状況管理システムは、そのような管理機能を十分に支援することができるものではない。従来の勤怠状況管理システムでは、各人の業務管理が十分であるのか否かを判断する指標が無いことから、その指導を十分且つ的確に行うことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-61476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従業員の業務負荷や業務管理の状況を把握し、従業員に対する業務の管理の指導を的確に実施することを可能にする勤怠状況管理システム及び勤怠状況管理プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る勤怠状況管理システムは、時間外勤務の申請に関する項目と、ポイント数とを関連付けたポイント換算表を記憶する記憶部と、利用者が利用する利用者端末から入力される前記時間外勤務の申請に関する情報に従い、前記ポイント数を積算して積算値を出力する演算部と、前記積算値に従い、前記利用者に対する警告を示す警告情報を生成し、前記利用者端末、及び前記利用者を管理する管理職が利用する管理職端末に対し提示する警告情報生成部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の勤怠状況管理システムによれば、従業員の業務負荷や業務管理の状況を把握し、従業員に対する業務の管理の指導を的確に実施することを可能にする勤怠状況管理システム及び勤怠状況管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る勤怠状況管理システムの全体構成を説明するブロック図である。
図2】指標ポイント換算表データベース430に記憶されている指標ポイント換算表の一例である。
図3】警告ポイント計算システム120における、一の従業員について計算される警告ポイントの積算値の計算手法を示している。
図4】第1の実施の形態に係る勤怠状況管理システムにおける警告ポイントの計算と警告情報の送付の手順を説明するフローチャートである。
図5】ある管理職端末300の操作者である一の管理職が指導監督している複数(例えば4名)の従業員(利用者A~D)についての当該月の累積の警告ポイントを棒グラフで表示した例である。
図6】一の利用者についての警告ポイントの積算値の月毎の推移を示す棒グラフの一例である。
図7】第2の実施の形態に係る勤怠状況管理システムを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、第1の実施の形態に係る勤怠状況管理システムの全体構成を説明する。この勤怠状況管理システムは、勤怠状況管理サーバ(以下単に管理サーバという)100と、利用者端末200と、管理職端末300と、データベース400とをネットワーク(LAN、WAN、インターネット等)を介して接続して構成される。利用者端末200は、本システムの利用者である企業等の従業員(利用者)により操作される端末であり、汎用のパーソナルコンピュータやタブレット等により構成され得る。
【0013】
管理職端末300は、従業員を管理する管理職により操作される端末である。管理職端末300は、利用者端末200から入力される各種申請に関する承認業務を行う機能を付与されている点で利用者端末200と異なるが、その他の点では利用者端末200と同様の機能・構成を有している。管理職端末300を操作する管理職が従業員である場合、管理職端末300自体が利用者端末200として機能することもある。
【0014】
なお、利用者端末200、及び管理職端末300は、図1では、それぞれ1つのみが図示されているが、利用者及び管理職の数に応じて、1つのシステム中に複数個の利用者端末200及び管理職端末300を設けることができる。
【0015】
管理サーバ100は、利用者端末200と管理職端末300との間でデータの入出力を行い、利用者の勤務状況を管理し、その勤務状況を確認するための勤務情報確認画面を利用者端末200及び管理職端末300に提示する機能を有する。また、管理サーバ100は、利用者端末200の自動シャットダウンを制御する機能も付与されている。
【0016】
管理サーバ100は、一般的なサーバコンピュータであってよく、一例として、CPU101、ROM102、RAM103、ハードディスクドライブ104、入出力部105、ディスプレイ106等を備えて構成される。
【0017】
ハードディスクドライブ104等の記憶部には、管理サーバ100の機能を実行するための各種アプリケーションがWebコンテナ110として記憶されている。Webコンテナ110は、例えば、従業員の勤務状況を確認するための勤務情報確認画面を制御する勤務状況確認画面制御アプリケーション111、本システムが導入される企業での業務(出勤、退勤、各種申請、承認、その他)に係る各種データの入出力・転送・及びデータ処理を担当するワークフローシステムアプリケーション112、利用者端末200の自動シャットダウンを実行する自動シャットダウンアプリケーション113を含み得る。
【0018】
自動シャットダウンアプリケーション113は、所定の業務終了時刻、または残業申請した時間の終了時刻が近付いた場合に、シャットダウンのカウントダウンを開始し、終了時刻になった場合に利用者端末200を強制的にシャットダウンするアプリケーションである。
【0019】
加えて、管理サーバ100は、警告ポイント計算システム120(演算部)と、警告情報生成部130とを備えている。警告ポイント計算システム120は、後述する指標ポイント換算表と、利用者端末200からの申請、及び自動シャットダウンの状況に従って、従業員の各々の警告ポイントを計算するよう構成されている。警告情報生成部130は、警告ポイント計算システム120で計算されたある従業員の警告ポイントが閾値を超えた場合、警告情報を生成する機能を有する。生成された警告情報は、ワークフローシステムアプリケーション112により利用者端末200及び管理職端末300に提示される。警告ポイント計算システム120、及び警告情報生成部130は、Webコンテナ110中にアプリケーションとして搭載することもできる。
【0020】
管理サーバ100は、データベース400と接続されている。データベース400は、本システムが導入される企業等における業務の遂行に必要な各種データを格納する記憶装置であり、一例として、勤怠情報データベース410、シャットダウン情報データベース420、及び指標ポイント換算表データベース430、警告ポイントデータベース440を備える。勤怠情報データベース410は、利用者端末200やその他の端末から入力される、従業員の出勤時間、退勤時間等の情報や、残業申請、休日出勤申請に従い、従業員の勤怠情報を管理する。
【0021】
シャットダウン情報データベース420は、自動シャットダウンアプリケーション113から提供された自動シャットダウンの動作状況を従業員単位で管理する。指標ポイント換算表データベース430は、後述する指標ポイント換算表を管理するデータベースである。警告ポイントデータベース440は、従業員ごとに計算された警告ポイントの積算値を管理するデータベースである。警告ポイントの積算値は、警告情報生成部130で演算され、その演算の結果が警告ポイントデータベース440に転送され、格納される。
【0022】
利用者端末200は、前述の通り、従業員が業務遂行のために使用する端末(コンピュータ)であり、一例として、CPU201、ROM202、RAM203、ハードディスクドライブ204、入出力部205、ディスプレイ206等を備えて構成される。利用者端末200は、ネットワークを介して、ワークフローシステムアプリケーション112に対応するワークフローシステムアプリケーション212を提供されており、このワークフローシステムアプリケーション212を利用して、入出力部205から各種申請を入力することが可能とされている。
【0023】
管理職端末300は、前述の通り、従業員を管理する管理職が自身の業務遂行のために使用すると共に、従業員を管理するために使用する端末(コンピュータ)であり、一例として、CPU301、ROM302、RAM303、ハードディスクドライブ304、入出力部305、ディスプレイ306等を備えて構成される。管理職端末300も同様に、ネットワークを介して、ワークフローシステムアプリケーション112に対応するワークフローシステムアプリケーション312を提供されている。このワークフローシステムアプリケーション312を利用して、従業員からの各種申請の承認動作を実行することができる。
【0024】
図2を参照して、指標ポイント換算表データベース430に記憶されている指標ポイント換算表の一例を説明する。指標ポイント換算表は、利用者端末200のシャットダウン、残業申請の有無及び申請のタイミング、休日出勤の発生などを指標として、指標と、その指標が示す事象が発生した場合に割り振られる警告ポイントとを対応付けた表である。各指標には項番も割り振られている。
【0025】
指標ポイント換算表は、指標と、その指標が示す事象が1回発生した毎に付与される警告ポイントとを関連付けたものである。各指標に与えられる警告ポイントは異なる数値とされており、指標が示す事象の発生が避けるべきものであればあるほど(例えば、業務負荷が大きいほど)、大きな警告ポイントが付与されている。
【0026】
例えば、シャットダウンの場合、利用者自身により手動で利用者端末200がシャットダウンされた場合(項番1)、警告ポイントは0である。手動によるシャットダウンがされる場合、利用者が自身の業務の管理を適切に行うことができていると推定し得るので、警告ポイントは0とされている。
【0027】
一方、利用者自身の操作によらず、自動シャットダウンアプリケーション113による自動シャットダウンが実行されて利用者端末200がシャットダウンされた場合(項番2)、警告ポイントは+30と、大きな数値となっている。これは、自動シャットダウンが実行された場合には、利用者の業務の管理が十分でないか、残業申請を忘れてしまうほどに、或いは残業申請はしたがその申請時間の終了時刻も忘れてしまうほどに業務が逼迫していると推定することができるからである。
【0028】
残業申請については、利用者端末200からの残業申請がされたか否かに加え、その残業申請のされたタイミングによって異なる警告ポイントが割り振られている。原則として、利用者の時間管理が十分でないと推定される指標には、大きな警告ポイントが付与される。
【0029】
例えば、残業申請がされなかった場合(項番3)には、警告ポイントは±0である。一方、利用者端末200から、利用者端末200の停止時刻(シャットダウン開始のカウントダウンが開始される時刻)よりも30分を超えて前の時刻において残業申請がなされた場合(項番4)には、同様に警告ポイントは0である。0とされているのは、停止時刻の30分以上前に残業申請がされる場合、利用者の時間管理及び業務量の把握は適切になされていると推定できるからである。
【0030】
一方、利用者端末200の停止時刻30分前以降、停止時刻までの間に残業申請がなされた場合(項番5)には、警告ポイントは+10とされている。これは、警告ポイントが10とされているのは、項番4に比べ、時間管理が十分になされていないと考えられるからである。また、停止時刻以降(カウントダウン開始後)において残業申請がなされた場合(項番6)には、警告ポイントは項番5よりも更に大きい+20とされている。
【0031】
1日に3回以上残業申請がなされた場合(項番7)にも、警告ポイントは+20と、項番5に比べ大きい数値とされている。これは、必要な残業時間が十分に把握できておらず、時間管理が十分になされていないと推定できるからである。このように、残業申請がされた場合、その申請のタイミングに応じて異なる警告ポイントが付与されている。休日出勤がされた場合には、残業申請がされた場合よりも更に大きい警告ポイント(ここでは+30)が与えられる。
【0032】
この図2の換算表は一例であり、企業のポリシ、状況の変化により、図示とは異なる、又は追加の指標が含まれても良いことはいうまでもない。例えば、休日出勤についても、その有無だけでなく、その申請のタイミングによって異なる警告ポイントを付与することもできる。
【0033】
図3は、警告ポイント計算システム120における、一の従業員について計算される警告ポイントの積算値の計算手法を模式的に示している。警告ポイント計算システム120は、従業員の各々からワークフローシステムアプリケーション212により入力された残業の申請や、利用者端末200のシャットダウン動作に関する情報に従い、指標ポイント換算表が示す指標の発生回数を判定し、その発生回数に応じて警告ポイントを演算する。図3中で演算された複数のポイントの積算値が、その従業員についての警告ポイントとなる。
【0034】
警告情報生成部130は、この警告ポイントが定められた閾値を超えている場合に、当該従業員に対し警告するための警告情報を生成し、利用者端末200及び管理職端末300に提示する。なお、1日の間の複数の指標に相当する事象が生じた場合には、それら複数の指標に付与された警告ポイントが全て累積して加算(積算)され、積算値が演算される。例えば、ある利用者が、停止時刻の20分前に残業申請をしたが、その後自動シャットダウンも実行された場合には、項番2,5が重複して適用され、1日の間の合計の積算値は30+10=40ポイントとなる。また例えば、ある利用者が休日出勤し、その後業務を継続して自身の利用者端末200が自動シャットダウンされた場合、累積の警告ポイントは30+30=60ポイントとなる。
【0035】
次に、図4のフローチャートを参照して、本システムにおける警告ポイントの計算と警告情報の送付の手順を説明する。まず、管理サーバ100は、ワークフローシステムアプリケーション112を介して、利用者端末200から、残業の申請等に関する情報の入力を受領する(ステップS11)。残業の申請等に関する申請は、適宜ワークフローシステムアプリケーション112で管理サーバ100に受領される。受領された申請に関する情報は、警告ポイント計算システム120に適宜転送される。
【0036】
次いで、警告ポイント計算システム120は、受領された申請に関する情報の内容を判別し、対応する指標を特定し、その指標の発生回数を計数する。そして、所定のタイミングにおいて、従業員ごとに警告ポイントの積算値を計算する(ステップS12)。積算値の計算は、例えば利用者端末200がシャットダウンされている期間(夜間等)に行うことができる。その計算結果は、警告ポイントデータベース440に記憶される(ステップS13)。その後、計算された積算値としての警告ポイントが閾値を超えているか否かが判定される(ステップS14)。ここで、積算値は、所定期間、例えば1か月の間での警告ポイントの積算値とすることができる。累積の期間は特定の期間には限定されず、適宜変更が可能である。ステップS14での判定のサイクルも、適宜変更が可能であり、特定のサイクルには限定されない。
【0037】
ステップS14での判定が肯定的(Yes)である場合、ステップS15において警告情報が警告情報生成部130において生成され、利用者端末200と管理職端末300に通知される。警告情報は、勤務状況確認画面制御アプリケーション111において、勤務状況確認画面の一部として利用者端末200のディスプレイ206、及び管理職端末300のディスプレイ306に表示される。一方、ステップS14での判定が否定的(No)である場合には、ステップS15は省略され、対応する利用者端末200及び管理職端末300には警告情報は通知されない。
【0038】
例えば、図3に示すような警告ポイントの計算表を、積算値の計算結果として、該当する従業員の氏名等と共に表示することにより警告情報として生成し、これを勤務状況確認画面において表示させることができる。該当する従業員は、この計算表を見ることにより、警告を受けた事実、及び警告を受けた原因について知ることができる。同じ情報が管理職端末300に送信されることにより、管理職を担当している従業員は、自身が指導監督している従業員(部下)の勤務状況を知ることができる。警告ポイントの原因を画面内の計算表を分析して知ることができ、適宜当該従業員に対し指導を行ったり、役割分担の変更を行ったり、特定の業務の再分配を行ったりすることができる。
【0039】
警告情報生成部130は、従業員毎に警告情報を生成することも可能であるが、ある管理職端末300に関連する複数の利用者端末200の警告情報を一画面に纏めて表示することも可能である。図5は、ある管理職端末300の操作者である一の管理職が指導監督している複数(例えば4名)の従業員(利用者A~D)についての当該月の累積の警告ポイントを棒グラフで表示した例である。この例では、閾値が「100」に設定され、利用者A~Dのうち利用者Bのみが閾値を超え、警告の対象となっていることを示している。
【0040】
図6は、警告情報の別の表示形態を示しており、一の利用者Bの数か月の累積の警告ポイントの推移を棒グラフで示したものである。この図6の例では、利用者Bは、先々月、先月は閾値以内の積算値(警告ポイント)であったが、今月は積算値(警告ポイント)が閾値を超え、警告の対象となったことが一見して理解可能とされている。なお、図3、図
5、図6に示すような画面は、HTMLデータ等に変換されることにより、利用者端末200、及び管理職端末300において、例えばWEBブラウザなどを介して常に確認できるようにされていてもよいし、その他のデータ形式とされてもよい。
【0041】
以上説明したように、第1の実施の形態の勤怠状況管理システムによれば、指標ポイント換算表と、発生した残業申請の内容や自動シャットダウンの実行状況などに基づき、警告ポイントを累積演算して、その積算値に従って警告情報を生成し、利用者及び管理職に対し提示することができる。警告ポイントの積算値が可視化されることで、利用者自身は自身の業務管理が容易になると共に、残業を抑制しようとの意識の向上を図ることができる。また、その利用者が指導監督する管理職も、指導監督する利用者(従業員)の業務負荷の程度、各人の業務管理、スケジュール管理の適否などを判断することができ、業務の再分配や、役割の分担に役立てることができる。結果として、部署全体の残業時間や休日出勤を減らすことができる。
【0042】
なお、図1のシステムにおいて、自動シャットダウンアプリケーション113での自動シャットダウンの実行の有無は、警告ポイントの計算において考慮の対象外としてもよい(指標ポイント換算表から、自動シャットダウンに関する項目は除外してもよい)。すなわち、指標ポイント換算表に含まれる指標の種類は、特定のものには限定されず、全体として利用者の業務管理の程度が判断可能となるような指標が選択され、適切な警告ポイントが分配されていればよい。従って、自動シャットダウンシステム自体が含まれないシステムも採用可能である。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る勤怠状況管理システムを、図7を参照して説明する。この第2の実施の形態のシステムの全体構成は、第1の実施の形態(図1)と略同一であるので、重複する説明は省略する。第1の実施の形態では、指標ポイント換算表データベース430が1つの指標ポイント換算表を有しているものとして説明を行った。一方、この第2の実施の形態では、従業員の属性に応じて、複数通りの指標ポイント換算表が用意されており、この点で第1の実施の形態と異なっている。
【0044】
例えば、図7の上段に示すように、利用者(従業員)の役職や業務内容によって、異なる指標ポイント換算表を用意することができる。一般社員や派遣社員である利用者に対しては、第1の指標ポイント換算表を適用する一方、主任以上の役職の利用者に対しては、これとは異なる第2の指標ポイント換算表を用意することがきる。
【0045】
更に、特定の業務内容を与えられた特定部署(例えばシステム管理部門等)に所属する利用者には、更に別の第3の指標ポイント換算表を用意することができる。複数の指標ポイント換算表の中から適合するものが選択されたら、以後の動作は第1の実施の形態と同様である。それぞれ、その役職や業務内容に適した指標ポイント換算表を用意することで、より適切に利用者(従業員)の勤務状況を管理することが可能になる。どの指標ポイント換算表が適用されるかは、利用者端末200のIPアドレスや、利用者端末200の利用者の社員番号等に基づいて決定することができる。
【0046】
役職や業務内容によっては、突発的な業務の発生や、トラブル、事故等が発生することがあり、これに対処することが求められることがあり、残業の発生が遅れることがやむをえない場合がある。この第2の実施の形態では、このような状況に鑑み、異なる種類の指標ポイント換算表を用意することで、役職や業務内容による差異を考慮した勤怠管理を実行することが可能になる。
【0047】
或いは、図7の下段に示すように、勤務場所(東京の本社か、それ以外か等)により、異なる指標ポイント換算表を適用してもよい。勤務場所によって、緊急業務の発生の度合等が異なるので、そのような差異に対応した勤怠管理を実行することが可能となる。
【0048】
上記の2つの例(図7の上段、図7の下段)を組み合わせてもよい。さらに、これらに加え、同じ役職、業務内容、勤務場所であっても、時期(煩忙期、閑散期等)によって異なる指標ポイント換算表を適用することも可能である。
【0049】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
100…管理サーバ、 110…Webコンテナ、 111…勤務状況確認画面制御アプリケーション、 112…ワークフローシステムアプリケーション、 113…自動シャットダウンアプリケーション、 120…警告ポイント計算システム、 200…利用者端末、 300…管理職端末、 400…データベース、 410…勤怠情報データベース、 420…シャットダウン情報データベース、 430…指標ポイント換算表データベース、 440…警告ポイントデータベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7