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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】植物栽培システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20241010BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20241010BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A01G31/00 612
A01G7/02
A01G31/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021197163
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2023083060
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂 幸憲
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-173615(JP,A)
【文献】特開2020-103121(JP,A)
【文献】特開昭63-079533(JP,A)
【文献】実開昭49-049042(JP,U)
【文献】実開昭61-152254(JP,U)
【文献】特開2017-070230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01G 7/02
A01G 31/06
A01G 7/00
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間に設置されるとともに植物を収納する栽培容器が配置される栽培空間を有する栽培棚と、
前記栽培空間の温度及び湿度を調整するために前記栽培空間に向けて空気を噴出する噴出部を有する空調設備と、
前記栽培空間の上方に配置されるとともに前記植物に対して光を照射する照明装置と、を備え、
前記栽培棚は、
水平方向に延びるとともに前記栽培容器が載置される載置部と、
上下方向に延びるとともに前記栽培空間における前記照明装置よりも下方の空間であって、且つ少なくとも前記載置部に載置される前記栽培容器を側方から取り囲む区画部と、
前記区画部の上端部よりも上方で前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通する開口部と、を有し、
前記照明装置は、前記水平方向で前記開口部と重なる位置に配置され、
前記噴出部は、前記区画部によって取り囲まれた空間である囲繞空間に向けて空気を噴出し、
前記噴出部は、前記開口部に配置されており、
前記照明装置は、前記水平方向で前記開口部における前記噴出部よりも上方に位置する部分と重なる位置に配置されている植物栽培システム。
【請求項2】
室内空間に設置されるとともに植物を収納する栽培容器が配置される栽培空間を有する栽培棚と、
前記栽培空間の温度及び湿度を調整するために前記栽培空間に向けて空気を噴出する噴出部を有する空調設備と、
前記栽培空間の上方に配置されるとともに前記植物に対して光を照射する照明装置と、を備え、
前記栽培棚は、
水平方向に延びるとともに前記栽培容器が載置される載置部と、
上下方向に延びるとともに前記栽培空間における前記照明装置よりも下方の空間であって、且つ少なくとも前記載置部に載置される前記栽培容器を側方から取り囲む区画部と、
前記区画部の上端部よりも上方で前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通する開口部と、を有し、
前記照明装置は、前記水平方向で前記開口部と重なる位置に配置され、
前記噴出部は、前記区画部によって取り囲まれた空間である囲繞空間に向けて空気を噴出し、
前記噴出部は、前記区画部に形成されている植物栽培システム。
【請求項3】
前記区画部は、開閉又は着脱することで、前記栽培容器に収納されている前記植物を前記栽培空間に対して出し入れ可能である請求項1又は請求項2に記載の植物栽培システム。
【請求項4】
前記区画部における前記囲繞空間を画定する面は光を反射する請求項1~請求項のいずれか一項に記載の植物栽培システム。
【請求項5】
前記栽培棚は、前記栽培空間を各段に有する多段式であり、
前記上下方向で隣り合う栽培空間の間に位置する前記載置部は、前記隣り合う栽培空間同士を隔てており、
前記照明装置は、前記上下方向で隣り合う栽培空間の間に位置する載置部に対して離間した状態で配置されている請求項1~請求項のいずれか一項に記載の植物栽培システム。
【請求項6】
前記上下方向で隣り合う栽培空間同士を隔てる載置部において、前記栽培容器が載置される面とは反対側の面は光を反射する請求項に記載の植物栽培システム。
【請求項7】
前記室内空間には、前記栽培棚が複数設置されており、
前記空調設備は、前記各栽培棚にそれぞれ設けられており、
前記各空調設備は、前記各栽培棚の前記栽培空間それぞれの温度及び湿度を個別に調整可能である請求項1~請求項のいずれか一項に記載の植物栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、野菜や果実、花木等の植物を室内空間で栽培する植物栽培システムが知られている。植物栽培システムは、室内空間に設置される栽培棚を備えている。栽培棚は、栽培空間を有している。栽培空間には、植物を収納する栽培容器が配置される。このような植物栽培システムにおいては、例えば特許文献1のように、室内空調装置によって、室内空間の温度及び湿度を調整している。これによれば、栽培空間が植物の生育に適した環境となる。また、特許文献1の栽培棚には、照明装置が取り付けられている。照明装置は、栽培空間の上方に配置されている。そして、照明装置は、植物に対して、植物の光合成に必要な所定波長の光を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4858239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、照明装置から生じる熱によって、栽培空間の温度が上昇する。栽培空間の暖かい空気は、栽培空間の上方へ移動し易い。このため、栽培空間の上方と下方とで温度差が生じてしまう。すると、栽培空間を植物の生育に適した環境とすることが困難となる虞がある。そこで、室内空調装置によって積極的に栽培空間に冷風を送り込み、栽培空間全体の温度を調整することで、栽培空間の上方と下方とで温度差が生じないようにすることが考えられる。室内空間全体を植物の生育に適した温度に維持しようとすると、室内空間で栽培空間以外の栽培棚間の通路部や栽培棚上部の天井空間、栽培棚の照明機器の周辺部など、直接植物の栽培に必要無い部分の空気の温度を積極的に冷やすこととなる。よって、室内空調装置の負荷が増大する。したがって、大掛かりな室内空調装置が必要となり、結果として、設備コストが増大してしまう。さらには、室内空間に複数並べて設置されている栽培棚が室内空間の空気の流れを阻害して、室内空調装置から送り出される空気が行き届かない空間が生じ、室内の四隅、周辺、中央部などで温度差が発生する。室内空間の温度差は、そこから空気を送り込む栽培空間の温度差となり、植物の生育に適した環境を維持できなくなる。そこで、室内空調装置から送り出される空気が室内空間全体に行き届くように例えば、室内空間に循環扇を別途設置することが考えられるが、設備コストが増大してしまう。したがって、設備コストを抑えつつも、栽培空間を植物の生育に適した環境とすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する植物栽培システムは、室内空間に設置されるとともに植物を収納する栽培容器が配置される栽培空間を有する栽培棚と、前記栽培空間の温度及び湿度を調整するために前記栽培空間に向けて空気を噴出する噴出部を有する空調設備と、前記栽培空間の上方に配置されるとともに前記植物に対して光を照射する照明装置と、を備え、前記栽培棚は、水平方向に延びるとともに前記栽培容器が載置される載置部と、上下方向に延びるとともに前記栽培空間における前記照明装置よりも下方の空間であって、且つ少なくとも前記載置部に載置される前記栽培容器を側方から取り囲む区画部と、前記区画部の上端部よりも上方で前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通する開口部と、を有し、前記照明装置は、前記水平方向で前記開口部と重なる位置に配置され、前記噴出部は、前記区画部によって取り囲まれた空間である囲繞空間に向けて空気を噴出する。
【0006】
上記植物栽培システムにおいて、前記区画部は、開閉又は着脱することで、前記栽培容器に収納されている前記植物を前記栽培空間に対して出し入れ可能であるとよい。
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記開口部に配置されており、前記照明装置は、前記水平方向で前記開口部における前記噴出部よりも上方に位置する部分と重なる位置に配置されているとよい。
【0007】
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記囲繞空間の内部であって、前記区画部に隣接する位置に配置されているとよい。
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記区画部における前記水平方向で対向する部位それぞれに隣接する位置に配置されているとよい。
【0008】
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記載置部上に配置されているとよい。
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記栽培容器上に配置されているとよい。
【0009】
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記栽培容器に形成されているとよい。
上記植物栽培システムにおいて、前記栽培容器は、養液が流れる養液流通通路と、空気が流れる空気流通通路と、を有し、前記噴出部は、前記空気流通通路を流れる空気を噴出するとよい。
【0010】
上記植物栽培システムにおいて、前記噴出部は、前記区画部に形成されているとよい。
上記植物栽培システムにおいて、前記区画部における前記囲繞空間を画定する面は光を反射するとよい。
【0011】
上記植物栽培システムにおいて、前記栽培棚は、前記栽培空間を各段に有する多段式であり、前記上下方向で隣り合う栽培空間の間に位置する前記載置部は、前記隣り合う栽培空間同士を隔てており、前記照明装置は、前記上下方向で隣り合う栽培空間の間に位置する載置部に対して離間した状態で配置されているとよい。
【0012】
上記植物栽培システムにおいて、前記上下方向で隣り合う栽培空間同士を隔てる載置部において、前記栽培容器が載置される面とは反対側の面は光を反射するとよい。
上記植物栽培システムにおいて、前記室内空間には、前記栽培棚が複数設置されており、前記空調設備は、前記各栽培棚にそれぞれ設けられており、前記各空調設備は、前記各栽培棚の前記栽培空間それぞれの温度及び湿度を個別に調整可能であるとよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、設備コストを抑えつつも、栽培空間を植物の生育に適した環境とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における植物栽培システムの全体構成を示す模式図である。
図2】植物栽培システムを左右方向から見た模式図である。
図3】栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図4】栽培棚の斜視図である。
図5】空気ノズルの断面図である。
図6】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図7】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図8】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図9】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図10】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図11】栽培容器の模式図である。
図12】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
図13】栽培容器を拡大して示す模式図である。
図14】別の実施形態における栽培棚の栽培空間を拡大して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、植物栽培システムを具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
(植物栽培システム10の全体構成)
図1及び図2に示すように、植物栽培システム10は、複数の栽培棚11を備えている。各栽培棚11は、植物工場12の室内空間13に設置されている。したがって、室内空間13には、栽培棚11が複数設置されている。
【0016】
図1に示すように、植物工場12は、二酸化炭素ガス供給装置14を備えている。二酸化炭素ガス供給装置14は、二酸化炭素ガスボンベ14aを有している。二酸化炭素ガスボンベ14a内には、二酸化炭素ガスが貯留されている。そして、二酸化炭素ガスボンベ14a内の二酸化炭素ガスは、導入配管15を介して室内空間13に導入される。植物栽培システム10は、室内空調装置16を備えている。室内空調装置16は、室内空間13に設置されている。室内空調装置16は、室内空間13の温度及び湿度を調整する。
【0017】
(栽培棚11の構成)
図1及び図2に示すように、各栽培棚11は、栽培空間17を有する。栽培空間17には、植物18を収納する栽培容器19が配置される。各栽培棚11は、栽培空間17を各段に有する多段式である。各栽培棚11において、上下方向に対して直交する方向である第1方向を栽培棚11の左右方向とし、上下方向に対して直交し、且つ左右方向に対しても直交する方向である第2方向を栽培棚11の奥行方向とする。左右方向及び奥行方向は、水平方向である。各栽培棚11は、左右方向の長さが奥行方向の長さよりも長くなっている。各栽培空間17は、各栽培棚11の各段において、各栽培棚11の左右方向の一端から他端にかけて延びる空間である。複数の栽培棚11は、各栽培棚11の奥行方向がそれぞれ一致した状態で奥行方向に並設されている。
【0018】
(植物18及び栽培容器19について)
図3に示すように、栽培容器19は、例えば、保温性を有する長尺状の樋20と、樋20上に載置される栽培パレット21と、を有している。樋20の内部には、養液が流れている。したがって、栽培容器19は、養液が流れる養液流通通路19aを有している。なお、植物栽培システム10は、養液流通通路19aに養液を送るポンプを備えている。植物18は、栽培パレット21に対して固定されている。本実施形態の植物栽培システム10は、水耕栽培を採用している。
【0019】
各栽培容器19は、各栽培空間17にそれぞれ複数配置されている。各栽培容器19は、栽培容器19の樋20の長手方向が栽培棚11の左右方向に一致した状態で各栽培空間17にそれぞれ配置されている。各植物18は、各栽培容器19に収納された状態で、各栽培棚11の各栽培空間17に配置されている。したがって、各植物18は、栽培棚11の各段にそれぞれ配置されることにより、上下方向に所定の間隔をおいて配置されている。本実施形態において、植物18は、例えば、野菜、又は果実等である。
【0020】
(照明装置22の構成)
各栽培棚11は、照明装置22を備えている。照明装置22は、植物18に対して光を照射する。照明装置22は、栽培棚11の各段において、各栽培空間17の上方であって、且つ各栽培容器19に対して上下方向に重なる位置に配置されている。照明装置22は、例えば、発光ダイオード(LED)や蛍光灯、水銀灯等からなる。照明装置22は、植物18の光合成に必要な所定波長の光を植物18に向けて照射する。
【0021】
(載置部30について)
各栽培棚11は、載置部30を複数有している。各載置部30は、水平方向に延びる細長板状である。各載置部30は、載置部30の厚み方向が栽培棚11の上下方向に一致した状態で、各栽培棚11に設けられている。各載置部30の長手方向は、栽培棚11の左右方向に一致している。各載置部30の短手方向は、栽培棚11の奥行方向に一致している。各載置部30は、各栽培棚11の各段において、各栽培棚11の左右方向の一端から他端にかけて延びている。各載置部30には、栽培容器19がそれぞれ載置される。
【0022】
上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30は、上下方向で隣り合う栽培空間17同士を隔てている。上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30において、栽培容器19が載置される面とは反対側の面は、光を反射する反射面になっている。したがって、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30において、栽培容器19が載置される面とは反対側の面は光を反射する。なお、載置部30の厚み方向の両側に位置する両面が、光を反射する反射面になっていてもよい。すなわち、載置部30が、光を反射する反射板であってもよい。
【0023】
上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30において、栽培空間17が載置される面とは反対側の面は、上下方向で隣り合う栽培空間17のうち、下方に位置する栽培空間17に配置されている照明装置22に対して離間している。したがって、照明装置22は、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30に対して離間した状態で配置されている。
【0024】
(区画部40について)
図3及び図4に示すように、各栽培棚11は、区画部40を複数有している。各区画部40は、栽培棚11の各段にそれぞれ設けられている。区画部40は、上下方向に延びるとともに栽培空間17における照明装置22よりも下方の空間であって、且つ少なくとも載置部30に載置される栽培容器19を側方から取り囲む。したがって、栽培空間17は、区画部40によって取り囲まれた空間である囲繞空間50を有している。
【0025】
区画部40は、第1区画部41、第2区画部42、第3区画部43、及び第4区画部44を有している。第1区画部41、第2区画部42、第3区画部43、及び第4区画部44は、例えば、保温性を有する反射シートである。したがって、区画部40における囲繞空間50を画定する面は光を反射する。
【0026】
第1区画部41及び第2区画部42は、栽培棚11の各段において栽培棚11の奥行方向で互いに対向している。したがって、第1区画部41及び第2区画部42は、区画部40における水平方向で対向する部位である。第1区画部41及び第2区画部42は、栽培棚11の各段において栽培空間17の下端から上方へ延びている。第1区画部41の高さは、第2区画部42の高さよりも低い。よって、第1区画部41の上端部は、第2区画部42の上端部よりも下方に位置している。第1区画部41及び第2区画部42は、栽培棚11の奥行方向に位置する両開口の一部をそれぞれ閉塞している。なお、第1区画部41及び第2区画部42は、栽培棚11の奥行方向に位置する両開口の一部それぞれを開閉可能に構成されている。第1区画部41又は第2区画部42が、栽培棚11の奥行方向に位置する両開口の一方の一部を開放させることにより、植物18を各栽培空間17に対して出し入れすることが可能となっている。
【0027】
第3区画部43及び第4区画部44は、栽培棚11の各段において栽培棚11の左右方向で互いに対向している。したがって、第3区画部43及び第4区画部44は、区画部40における水平方向で対向する部位である。第3区画部43及び第4区画部44は、栽培棚11の各段において栽培空間17の下端から上方へ延びている。第3区画部43の高さと第4区画部44の高さとは同じである。よって、第3区画部43の上端部と第4区画部44の上端部とは栽培棚11の上下方向で同じ位置にある。第3区画部43及び第4区画部44は、栽培棚11の左右方向に位置する両開口の一部をそれぞれ閉塞している。なお、第3区画部43及び第4区画部44は、栽培棚11の左右方向に位置する両開口の一部それぞれを開閉可能に構成されている。第3区画部43又は第4区画部44が、栽培棚11の左右方向に位置する両開口の一方の一部を開放させることにより、植物18を各栽培空間17に対して出し入れすることが可能となっている。
【0028】
なお、区画部40の固定手段として、例えば、マジックテープ(登録商標)や磁石を用いると、区画部40を栽培棚11に対して容易に着脱可能である。また、例えば、区画部40の固定手段として、例えば、蝶番などの金具を用いて、区画部40を手前に開くことで、栽培空間17に対して植物18を容易に出し入れが可能となる。このように、区画部40は、開閉又は着脱することで、栽培容器19に収納されている植物18を栽培空間17に対して出し入れ可能である。
【0029】
(開口部51について)
第1区画部41の上端部、第2区画部42の上端部、第3区画部43の上端部、及び第4区画部44の上端部は、区画部40の上端部40aを形成している。そして、栽培棚11は、区画部40の上端部40aよりも上方で栽培空間17と栽培棚11の外部とを連通する開口部51を有している。開口部51は、水平方向で照明装置22と重なっている。したがって、照明装置22は、水平方向で開口部51と重なる位置に配置されている。
【0030】
(空調設備60について)
図1及び図2に示すように、植物栽培システム10は、空調設備60を備えている。本実施形態では、空調設備60は、各栽培棚11にそれぞれ設けられている。空調設備60は、空調装置61と、送風機62と、複数の空気ノズル63と、を有している。空調装置61は、二酸化炭素ガス供給装置14によって付加された二酸化炭素が混合された空気を、各栽培棚11の栽培空間17に適した温度及び湿度に調整する。なお、本実施形態では、空調装置61は、複数の栽培棚11のうち、2つの栽培棚11に対して1つずつ設置されている。送風機62は、空調装置61からの空気を各空気ノズル63に送り出す。送風機62は、例えば、各栽培棚11の天井にそれぞれ設置されている。各空調設備60は、各栽培棚11の栽培空間17それぞれの温度及び湿度を個別に調整可能である。
【0031】
送風機62と各空気ノズル63とは、配管64によって接続されている。配管64は、送風機62から送り出された空調装置61からの空気を各空気ノズル63に分配する。配管64は、図示しない保温部材によって覆われている。したがって、配管64内を通過する空気と配管64外の空気との配管64を介した熱交換が行われ難くなっている。よって、配管64内を通過する空気が配管64外の空気によって温められてしまうことが抑制されている。
【0032】
(空気ノズル63の構成)
各空気ノズル63は、栽培棚11の各段にそれぞれ設けられている。各空気ノズル63は、栽培棚11の各段において、空気ノズル63の長手方向が栽培棚11の左右方向に一致した状態で配置されている。各空気ノズル63は、栽培棚11の各段において、栽培空間17に対応してそれぞれ配置されている。各空気ノズル63は、各栽培棚11の各段において、各栽培棚11の左右方向の一端から他端にかけて延びている。
【0033】
図5に示すように、空気ノズル63は、ノズル本体65を有している。ノズル本体65は、円筒状である。ノズル本体65は、樹脂製である。ノズル本体65は、噴出部66を有している。詳細には、ノズル本体65は、ノズル本体65の周方向に所定の間隔をおいて、噴出部66を複数有している。各噴出部66は、ノズル本体65を貫通する貫通孔である。噴出部66は、栽培空間17の温度及び湿度を調整するために栽培空間17に向けて空気を噴出する。したがって、空調設備60は、栽培空間17の温度及び湿度を調整するために栽培空間17に向けて空気を噴出する噴出部66を有している。
【0034】
空気ノズル63は、濾材67を有している。濾材67は、円筒状である。濾材67は、ノズル本体65の内周面に密着している。濾材67の一部は、各噴出部66を介してノズル本体65の外部に臨んでいる。濾材67は、例えば、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンからなる帯状の不織布を用いて形成されている。濾材67は、空気に含まれる異物を捕捉する。濾材67の目の大きさは、空気に含まれる埃、塵、又はカビの胞子等の異物が通過できない大きさであるとともに、空気が通過できる大きさになっている。
【0035】
各空気ノズル63に供給された空気は、円筒状の濾材67を通って、噴出部66から噴出する。濾材67を通過した空気は流速を制御され、植物18にストレスの無い風速になって噴出部66から噴出する。
【0036】
図3に示すように、空気ノズル63は、詳細には、第1区画部41の上端部の上方に設けられている。したがって、噴出部66は、開口部51に配置されている。空気ノズル63は、第1区画部41の上端部に沿って延びている。空気ノズル63は、囲繞空間50に対して斜め上方に配置されている。そして、噴出部66は、囲繞空間50に向けて空気を噴出する。空気ノズル63は、噴出部66が水平方向で照明装置22よりも下方に位置する部分と重なる位置に配置されるように、栽培棚11に対して設けられている。したがって、照明装置22は、水平方向で開口部51における噴出部66よりも上方に位置する部分と重なる位置に配置されている。
【0037】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
空調装置61からの空気が送風機62によって配管64を介して各栽培棚11の各段にそれぞれ設けられた各空気ノズル63に分配される。そして、各空気ノズル63の噴出部66から囲繞空間50に向けて空気が噴出される。このとき、空気が濾材67を通過する際に、空気に含まれる埃、塵、又はカビの胞子等の異物が濾材67により捕捉され、除去される。各空気ノズル63の噴出部66は、囲繞空間50に向けて局所的に集中して空気を噴出する。これにより、栽培空間17において、少なくとも栽培容器19が存在する囲繞空間50のみに集中して温度及び湿度が調整される。
【0038】
また、開口部51は、区画部40の上端部40aよりも上方で栽培空間17と栽培棚11の外部とを連通しており、照明装置22は、水平方向で開口部51と重なる位置に配置されている。したがって、噴出部66から囲繞空間50に向けて噴出された空気は、囲繞空間50の温度及び湿度を調整した後、栽培空間17において照明装置22に向けて上方へ移動する。そして、照明装置22の周辺を通過した後、開口部51を介して栽培棚11の外部へ排出される。このとき、照明装置22から生じる熱が、照明装置22の周辺の空気の温度を上昇させるが、栽培空間17は空気ノズル63から噴出された空気で満たされ、上部に溢れている。よって、照明装置22から生じる熱によって暖められた空気は栽培空間17には入らず、植物18の生育に適した環境となる。また、栽培空間17から上部に溢れた空気は、照明装置22の周辺を通過して開口部51より栽培棚11外に出ることになり、照明装置22の周辺の暖まった空気を冷却する。
【0039】
また、照明装置22は、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30に対して離間した状態で配置されている。このため、照明装置22から生じる熱が、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30に伝わってしまうことが抑制されている。したがって、載置部30に載置されている栽培容器19が照明装置22から生じる熱によって温められてしまうことが抑制されている。載置部30は厚みのある板形状で、例えば、発泡スチロールや発泡ウレタン、グラスウール等で形成され、熱を遮断する。
【0040】
照明装置22から照射された光は、区画部40における囲繞空間50を画定する面によって反射される。したがって、照明装置22から照射された光が、栽培空間17から区画部40を介して栽培棚11の外部へ洩れてしまうことが抑制されている。よって、照明装置22から照射された光が植物18に効率良く照射される。さらには、照明装置22から照射された光は、上下方向で隣り合う栽培空間17同士を隔てる載置部30において、栽培容器19が載置される面とは反対側の面によって反射される。したがって、照明装置22から照射された光が、栽培空間17から載置部30を介して上方へ洩れてしまうことが抑制されている。よって、照明装置22から照射された光が植物18に効率良く照射される。
【0041】
(効果)
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)噴出部66は、囲繞空間50に向けて局所的に集中して空気を噴出する。したがって、栽培空間17において、少なくとも栽培容器19が存在する囲繞空間50のみに集中して温度及び湿度を調整することができる。よって、栽培空間17のうち、囲繞空間50のみに向けて空気を噴出するだけでよいため、設備コストを抑えることができる。また、開口部51は、区画部40の上端部40aよりも上方で栽培空間17と栽培棚11の外部とを連通しており、照明装置22は、水平方向で開口部51と重なる位置に配置されている。したがって、噴出部66から囲繞空間50に向けて噴出された空気は、囲繞空間50の温度及び湿度を調整した後、栽培空間17において照明装置22に向けて上方へ移動する。噴出部66から噴出された空気で満たされ上部に溢れ出るため、照明装置22により周辺の空気の温度が上昇するが、囲繞空間50に入り込むことは無く、噴出部66から噴出された温度に管理された空気で常に満たされている。その結果、栽培空間17の上方と下方とで温度差が生じ難くなり、栽培空間17を植物18の生育に適した環境とすることができる。そして、囲繞空間50から上部に溢れた空気は照明装置22の周辺を通過した後、開口部51を介して栽培棚11の外部へ排出される。このとき、照明装置22から生じる熱が、照明装置22の周辺を通過する空気に放熱される。したがって、照明装置22から生じる熱によって、栽培空間17の上方の温度が上昇してしまうことを抑制することができる。そして、室内空間13で栽培空間17以外の栽培棚11の通路部や栽培棚11上部の天井空間、栽培棚11の照明機器の周辺部など、直接植物18の栽培に必要無い部分の空気の温度を制御する必要が無く、大掛かりな室内空調装置16が必要無い。さらには、室内空間13の空気を栽培空間17に取り込まないので、室内空間13に循環扇を別途設置する必要も無い。したがって、設備コストが増大してしまうことを抑えることができる。以上により、設備コストを抑えつつも、栽培空間17を植物18の生育に適した環境とすることができる。
【0042】
(2)区画部40は、開閉又は着脱することで、栽培容器19に収納されている植物18を栽培空間17に対して出し入れ可能である。これによれば、栽培空間17に収納されている植物18を栽培空間17に対して容易に出し入れすることができるため、作業性が向上する。
【0043】
(3)噴出部66は、開口部51に配置されている。そして、照明装置22は、水平方向で開口部51における噴出部66よりも上方に位置する部分と重なる位置に配置されている。これによれば、噴出部66から噴出された空気が、照明装置22から生じる熱によって温められてしまうこと無く、囲繞空間50に送られる。よって、栽培容器19が存在する囲繞空間50の温度及び湿度を調整し易くすることができる。
【0044】
(4)区画部40における囲繞空間50を画定する面は光を反射する。これによれば、照明装置22から照射された光が、区画部40における囲繞空間50を画定する面によって反射される。したがって、照明装置22から照射された光が、栽培空間17から区画部40を介して栽培棚11の外部へ洩れてしまうことが抑制される。よって、照明装置22から照射された光を植物18に効率良く照射することができる。
【0045】
(5)上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30は、隣り合う栽培空間17同士を隔てている。そして、照明装置22は、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30に対して離間した状態で配置されている。これによれば、照明装置22から生じる熱が、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30に伝わってしまうことが抑制される。したがって、載置部30に載置されている栽培容器19が照明装置22から生じる熱によって温められてしまうことを抑制することができる。
【0046】
(6)上下方向で隣り合う栽培空間17同士を隔てる載置部30において、栽培容器19が載置される面とは反対側の面は光を反射する。これによれば、照明装置22から照射された光が、上下方向で隣り合う栽培空間17同士を隔てる載置部30において、栽培容器19が載置される面とは反対側の面によって反射される。したがって、照明装置22から照射された光が、栽培空間17から載置部30を介して上方へ洩れてしまうことが抑制される。よって、照明装置22から照射された光を植物18に効率良く照射することができる。
【0047】
(7)空調設備60は、各栽培棚11にそれぞれ設けられている。そして、各空調設備60は、各栽培棚11の栽培空間17それぞれの温度及び湿度を個別に調整可能である。これによれば、例えば、栽培環境が異なる品種の植物18を、同一の室内空間13で同時に栽培することが容易となる。
【0048】
例えば、一方の栽培棚11では、植物18として、レタスを栽培し、他方の栽培棚11では、植物18として、ワサビを栽培することが考えられる。この場合、例えば、一方の栽培棚11の空調装置61からの空気の温度をレタス栽培に合わせて25℃に設定し、他方の栽培棚11の空調装置61からの空気の温度をワサビ栽培に合わせて18℃に設定する。このようにすることで、同一の室内空間13で同時にレタス栽培とワサビ栽培とを行うことが可能となる。
【0049】
また、例えば、一方の栽培棚11で、ホウレンソウを栽培することを考える。ホウレンソウの栽培を行う場合、アミノ酸含有量やビタミンCの量を上昇させるために、寒締め栽培を行う場合が考えられる。このような場合であっても、一方の栽培棚11の空調装置61からの空気の温度を寒締め栽培に適した温度に設定することができる。したがって、同一の室内空間13で、例えば、レタス栽培やワサビ栽培と同時に、寒締め栽培を行うことが可能となる。
【0050】
(8)作業者は、栽培棚11の外から開口部51を介して栽培空間17で生育している植物18を覗き見ることができる。よって、作業者の巡回やカメラを活用したモニタリングにより、植物18の生育状況や生育異常などの各種情報が区画部40を取り外すことなく入手できる。
【0051】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
図6に示すように、空気ノズル63が、囲繞空間50の内部であって、区画部40に隣接する位置に配置されていてもよい。要は、噴出部66が、囲繞空間50の内部であって、区画部40に隣接する位置に配置されていてもよい。これによれば、噴出部66から噴出された空気が、照明装置22から生じる熱によって温められてしまうこと無く、植物18の周辺に効率良く送られる。よって、植物18の周辺の温度及び湿度を効率良く調整することができる。
【0053】
図7に示すように、例えば、空気ノズル63が、第1区画部41及び第2区画部42それぞれに隣接する位置に配置されていてもよい。また、例えば、空気ノズル63が、第3区画部43及び第4区画部44それぞれに隣接する位置に配置されていてもよい。要は、噴出部66が、区画部40における水平方向で対向する部位それぞれに隣接する位置に配置されていてもよい。これによれば、各噴出部66から噴出された空気が、照明装置22から生じる熱によって温められてしまうこと無く、植物18の周辺に効率良く送られる。よって、植物18の周辺の温度及び湿度をさらに効率良く調整することができる。
【0054】
また、例えば、空気ノズル63が、第1区画部41及び第2区画部42それぞれに隣接する位置であって、且つ栽培パレット21に隣接する位置に配置されていてもよい。詳細には、空気ノズル63が、第1区画部41及び第2区画部42それぞれに隣接する位置であって、且つ植物18の根元に隣接する位置に配置されていてもよい。空気ノズル63の噴出部66から噴出する空気は、濾材67を通過することで植物18のストレスの無い風速で、隙間が多い植物18の根元に空気が流れ、植物18の葉の裏を空気が流れることで蒸散作用が活発化して、植物18の生育が促進する。
【0055】
図8に示すように、空気ノズル63が、載置部30上に配置されていてもよい。要は、噴出部66が、載置部30上に配置されていてもよい。この場合、空気ノズル63は、噴出部66が上方に向くように載置部30上に配置されている。これによれば、空気ノズル63を植物18の極力近くに配置することができるため、噴出部66から噴出された空気が、植物18の周辺に効率良く送られる。よって、植物18の周辺の温度及び湿度をさらに効率良調整することができる。
【0056】
図9に示すように、空気ノズル63が、栽培パレット21上に配置されていてもよい。要は、噴出部66が、栽培容器19上に配置されていてもよい。この場合、空気ノズル63は、噴出部66が植物18に向くように栽培パレット21上に配置されている。これによれば、噴出部66から噴出された空気を植物18に効率良く送ることができる。よって、植物18を効率良く生育することができる。
【0057】
図10及び図11に示すように、空調設備60が空気ノズル63を有しておらず、噴出部66Aが、栽培容器19に形成されていてもよい。例えば、栽培パレット21には、噴出部66Aが複数形成されている。各噴出部66は、栽培パレット21を貫通する貫通孔である。また、この場合、空調装置61からの空気が樋20の内部である養液流通通路19aに供給されるように構成されている。具体的には、送風機62と養液流通通路19aとが配管64Aによって接続されている。配管64Aは、送風機62から送り出された空調装置61からの空気を養液流通通路19aに供給する。そして、各噴出部66Aからは、養液流通通路19aを流れる空気が噴出される。これによれば、各噴出部66Aから噴出された空気を植物18に効率良く送ることができる。よって、植物18を効率良く生育することができる。
【0058】
また、養液流通通路19aには、配管68が接続されている。そして、養液流通通路19aに養液を送るポンプの駆動を制御して、配管68を介して養液流通通路19aに送られる養液の量を調整することで、養液流通通路19aの内部の養液の水位を制御する。これにより、養液流通通路19aを通過する空気量が制御されるため、各噴出部66Aから噴出される空気の温度及び湿度を個別に調整することも可能となる。
【0059】
また、養液を送るポンプの吐出側に冷却装置を直列に接続することで、養液を植物18の栽培に適した水温に制御することが可能となる。養液タンクに単独で冷却装置を設置して、養液を冷却することも可能である。植物18は蒸散作用で養液を根から吸収して、体内を流し葉から放出し、栽培空間17に養液が放出される。栽培空間17の中の栽培容器19を流れる養液の温度を冷却装置で冷却することで、栽培空間17の温度を制御することが可能となる。
【0060】
図12及び図13に示すように、樋20に、養液が流れる養液流通通路19aと、空気が流れる空気流通通路19bと、が形成されていてもよい。要は、栽培容器19が、養液が流れる養液流通通路19aと、空気が流れる空気流通通路19bと、を有していてもよい。そして、樋20に、空気流通通路19bを流れる空気を噴出する噴出部66Bが形成されていてもよい。噴出部66Bは、空気流通通路19bを流れる空気を噴出する。樋20は、養液流通通路19aと空気流通通路19bとを隔てる隔壁20aを有している。これによれば、栽培容器19において、養液が流れる空間とは別に空気が流れる空間を設けることができ、養液と空気とを効率良く栽培容器19に供給することができる。したがって、噴出部66Bから空気が効率良く噴出されるため、噴出部66Bから噴出された空気を植物18に効率良く送ることができる。よって、植物18を効率良く生育することができる。
【0061】
図14に示すように、噴出部66が、区画部40に形成されていてもよい。噴出部66は、栽培空間17に向けて空気を噴出する。これによれば、区画部40と噴出部66とが一体化されるため、設置スペースを少なくすることができる。また、区画部40が栽培棚11に蝶番45で固定されており、図14において二点鎖線で示すように、区画部40が手前に開放可能な構成としてもよい。このように、区画部40は、開閉することで、栽培容器19に収納されている植物18を栽培空間17に対して出し入れ可能であるとよい。これによれば、区画部40及び噴出部66が無くなり、栽培空間17を一度の操作で開放することができる。
【0062】
・実施形態において、区画部40における囲繞空間50を画定する面が光を反射しない構成であってもよい。
・実施形態において、照明装置22が、上下方向で隣り合う栽培空間17の間に位置する載置部30に対して接触した状態で配置されていてもよい。
【0063】
・実施形態において、載置部30における栽培容器19が載置される面とは反対側の面が光を反射しない構成であってもよい。
・実施形態において、空調装置61が、各栽培棚11に対して1つずつ設置されていてもよい。
【0064】
・実施形態において、送風機62の設置位置は、各栽培棚11の天井に限らず、適宜変更してもよい。
・実施形態において、空調設備60が、各栽培棚11にそれぞれ設けられていなくてもよい。そして、植物栽培システム10は、各栽培棚11の栽培空間17それぞれに対して一括して空気を送る空調設備を備えていてもよい。
【0065】
・実施形態において、第1区画部41及び第2区画部42は、栽培棚11の奥行方向に位置する両開口の一部それぞれを開閉不能であってもよい。
・実施形態において、第3区画部43及び第4区画部44は、栽培棚11の左右方向に位置する両開口の一部それぞれを開閉不能であってもよい。
【0066】
・実施形態において、区画部40における囲繞空間50を画定する面の一部、または全部が光を反射する一方で内部が見えるマジックミラーの構造であってもよい。
・実施形態において、栽培空間17と栽培棚11の外部とを連通する開口部51に、照明装置22の光を外部に洩れることを遮断しつつ、空気の流れを遮断しないルーバー形態の機構を設けてもよい。
【0067】
・実施形態において、空気ノズル63が濾材67を有していない構成であってもよい。
・実施形態において、水平方向に長い栽培棚11の各栽培空間17に配置する空気ノズル63は、各栽培棚11の各段において、各栽培棚11の左右方向の一端から他端にかけて延びる1本で無く、短い空気ノズルを各栽培空間17に複数、個別に配置してもよい。
【0068】
・実施形態において、栽培棚11は、栽培空間17が左右方向に複数並設されている構成であってもよい。そして、左右方向で隣り合う栽培空間17同士が区画壁によって隔てられている構成であってもよい。
【0069】
・実施形態において、栽培棚11の天井に複数台の送風機62を配置し、栽培棚11の各段の栽培空間17に異なる環境設定の空気を送ったり、送る空気流量を変えたりして、各栽培空間17の栽培環境を変えてもよい。
【0070】
・実施形態において、栽培棚11は、多段式でなくてもよい。
・実施形態の植物栽培システム10では、水耕栽培を採用したが、栽培方式は特に限定されるものではない。
【0071】
・実施形態において、例えば、栽培棚11の複数の段のうちの1つの段の栽培空間17で、例えば、キノコを栽培してもよい。キノコを栽培空間17に配置する場合、キノコを栽培する栽培空間17に対しては、照明装置22は無くてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…植物栽培システム、11…栽培棚、13…室内空間、17…栽培空間、18…植物、19…栽培容器、19a…養液流通通路、19b…空気流通通路、22…照明装置、30…載置部、40…区画部、40a…上端部、50…囲繞空間、51…開口部、60…空調設備、66,66A,66B…噴出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14