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特許7569781デモデックスにより誘発される眼の異常および顔面の異常を治療するためのスピノシン配合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】デモデックスにより誘発される眼の異常および顔面の異常を治療するためのスピノシン配合
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20241010BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241010BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20241010BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61P33/00
A61P27/02
A61K45/00
A61P31/04
A61P29/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/06
A61K9/12
A61K9/107
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/06
A61K8/60
A61Q1/10
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021504471
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019043809
(87)【国際公開番号】W WO2020023943
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】62/711,309
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521032184
【氏名又は名称】アペルタ バイオサイエンシズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サントス,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユアン-ボル
(72)【発明者】
【氏名】モラン,ジョスエ
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09895388(US,B1)
【文献】特表平11-506117(JP,A)
【文献】特表2009-507901(JP,A)
【文献】米国特許第08007820(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0195961(US,A1)
【文献】Hosp Pharm,2011年,46(6),pp.436-440
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品を除く殺ダニ用の組成物であって、
ヒト被験体もしくは動物被験体の眼並びに該眼に隣接する皮膚および毛髪上の生きているデモデックス(demodex)ダニの数を減少させる又は、ヒト被験体もしくは動物被験体の眼並びに該眼に隣接する皮膚および毛髪から生きているデモデックスダニの存在を排除するための組成物であって、
1つ以上のスピノシン化合物を含み、前記眼の表面(結膜および/または角膜)に、または前記眼に隣接する領域に局所投与される、組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物であって、
前記組成物は、前記眼に隣接する領域に局所投与され、
前記領域は、眼瞼、眼瞼縁、睫毛、睫毛の毛包、眉毛、または眉毛の毛包のうちの1つ以上を含む
組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、
前記眼に隣接する領域に局所投与され、
前記領域は、前記眼瞼の皮脂腺開口部としてツァイス腺、モール腺、またはマイボーム腺のうちの1つ以上を含む
組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、
前記デモデックスダニは、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)、デモデックスブレビス(D. brevis)、またはその両方を含む
組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、
前記1つ以上のスピノシン化合物は、式(I)の化学構造またはその塩を有する
組成物。
【化1】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、H;F;Cl;Br;I;OH;CN;メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはtert-ブチルである(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、またはブテニルである(C2-4)アルケニル;アルキニル;アラルキル;アルカリル;ハロゲン化アルキル;ヘテロアルキル;アリール;ヘテロシクリル;シクロアルキル;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ヒドロキシアルキル;アミノアルキル;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アシルアミノ;ヒドロキシル;チオール;チオアルキル;アルコキシ;アルキルチオ;アルコキシアルキル;アリールオキシ;アリールアルコキシ;アシルオキシ;ニトロ;カルバモイル;トリフルオロメチル;フェノキシ;ベンジルオキシ;ホスホン酸;リン酸エステル;スルホン酸(-SOH);スルホン酸エステル;スルホンアミド;アルカリル;アリールアルキル;カルバメート;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アルキルチオ;ヘテロアルキル;アルキルトリフェニルホスホニウム;ヘテロシクリル;ケトン(=O);エーテル(-OR17);およびエステル(-COOR18および-OC(=O)R18)からなる群から独立して選択することができ;
およびRは、シクロペンタン環内の二重結合とすることができ;
11およびR13は、シクロヘキサン環内の二重結合とすることができ;
17は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはtert-ブチルである(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、またはブテニルである(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができ;
18は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはtert-ブチルである(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、またはブテニルである(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができる)
【請求項6】
請求項1に記載の組成物であって、
前記1つ以上のスピノシン化合物は、スピノシンA、スピノシンB、スピノシンC、スピノシンD、スピノシンE、スピノシンF,スピノシンG、スピノシンH、スピノシンI、スピノシンJ、スピノシンK、スピノシンL、スピノシンM、スピノシンN、スピノシンO、スピノシンP、スピノシンR、スピノシンS、スピノシンT、スピノシンU、スピノシンV、スピノシンW、スピノシンY、スピノソイドN-ジメチルD、スピノソイドN-ジメチルK、スピノソイドN,N-ジメチルK、スピノソイドN-ジメチルP、スピノソイド2'-H A、スピノソイド2'-H D、スピノソイド2'-O-エチルA、スピノソイド3'-H A、スピノソイド3'-O-エチルA、スピノソイド3'-O-n-プロピルA、スピノソイド3'-O-n-ブチルA、スピノソイド3'-O-アリルA、スピノソイド-O-CHCFA、スピノソイド4'-H A、スピノソイド4'-O-エチルA、またはスピノソイド2',3',4'-トリ-O-エチルAから選択される
組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物であって、
前記1つ以上のスピノシン化合物は、スピノシンAおよびスピノシンDの組み合わせを含む
組成物。
【請求項8】
請求項に記載の組成物であって、
前記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンDが約18:2~約16:4の比で前記組成物中に存在する
組成物。
【請求項9】
請求項に記載の組成物であって、
前記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンDが約17:3の比で前記組成物中に存在する
組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、
前記1つ以上のスピノシン化合物以外に活性剤を含まない
組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物であって、
前記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤を含まない
組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物であって、
前記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤をさらに含む
組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物であって、
前記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する前記追加の薬剤は、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(ペルメトリン、レスメトリン、もしくはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(テルピネン-4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(ペパーミント油もしくはサルビア)、アルカリ金属塩(リチウム塩)、ホスホロチオエート(不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(アミトラズ)から選択される1つ以上の薬剤である
組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物であって、
前記抗生物質を含む
組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物であって、
前記抗生物質は、レンサ球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、またはセレウス菌(Bacillus oleronius)のうちの1つ以上に対して抗菌活性を有する
組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物であって、
前記抗炎症剤を含む
組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物であって、
前記抗炎症剤は、グルココルチコイド、他のステロイド(プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、もしくはアルドステロン)、非ステロイド性抗炎症剤(サリチル酸、アリールアルカン酸、2-アリールアントラニル酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、もしくはスルホナニリド)、Cox-2特異的阻害薬(バルデコキシブ、セレコキシブ、もしくはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーロフィン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(インフリキシマブ、エタネルセプト、もしくはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン、抗ロイコトリエン、β作動薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、抗生物質、タクロリムス、またはレチノイドから選択される
組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物であって、
溶液、懸濁液、軟膏、スプレー、ローション、ゲル、ペースト、香膏、フォーム、ムース、スクラブ、クレンザー(シャンプーもしくは石けん)、クリーム、または軟膏剤である
組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物であって、
化粧品である
組成物。
【請求項20】
請求項19に記載の組成物であって、
前記化粧品は、マスカラ、アイシャドウ、またはアイライナーである
組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物であって、
ワセリン、ミネラルオイル、プロピルパラベン、メチルパラベン、ラノリン、クロロブタノール、水、ラノリンアルコール、チオ硫酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、酢酸フェニル水銀、マンニトール、塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、酢酸カリウム、ヒプロメロース、ゲンタムシシン硫酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、ラノリン油、カルボマーホモポリマータイプAもしくはB(アリルペンタエリスリトール架橋)、または塩化ベンザルコニウムから選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む
組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物であって、
エマルジョンであり、水、水酸化ナトリウム、ポリソルベート80、グリセリン、ヒマシ油、カルボマーコポリマータイプA、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸、エデト酸二ナトリウム、またはシリコーン油もしくはシリコーンポリマーゲル(ジメチコンかシクロメチコン)から選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む
組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物であって、
ゲル化剤(粘剤、寒天、カラギーナン、ワセリン、またはセルロースポリマー(ヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシメチルセルロース))をさらに含む
組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物であって、
溶剤、共溶剤、粘滑剤、皮膚軟化剤、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、または可溶化剤のうちの1つ以上をさらに含む
組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物であって、
0.1%~10%(w/v)の前記1つ以上のスピノシン化合物を含む
組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の組成物であって、
0.1~10%(w/v)のスピノサドと、54~90%(w/v)の蒸留水又は緩衝液と、15~97%(w/v)ミネラルオイルと、5~8%(w/v)のアセチル化ラノリンアルコールと、10~10.3%(w/v)のセチルエステルワックスと、5~15%(w/v)のステアリルアルコールと、7~8%(w/v)のセテアリルアルコールと、3~71%(w/v)のプロピレングリコールと、を含むクリームである組成物;
0.1~10%(w/v)のスピノサドと、35~90%(w/v)の蒸留水又は緩衝液と、15~71%(w/v)のプロピレングリコールと、14~97%(w/v)のミネラルオイルと、6~8%(w/v)のアセチル化ラノリンアルコールと、8~12%(w/v)のセチルアルコールと、11~15%(w/v)のステアリルアルコールと、7~8%(w/v)のセテアリルアルコールと、4~4.86%(w/v)のポリオキシル35ヒマシ油と、を含むクリームである組成物;
0.1~10%(w/v)のスピノサドと、70~90%(w/v)の蒸留水又は緩衝液と、3~15%(w/v)のミリスチン酸イソプロピルと、10~15%(w/v)のヒマシ油と、2~8.8%(w/v)のステアリン酸ポリオキシル40と、4~8%(w/v)のセテアリルアルコールと、10~10.3%(w/v)セチルエステルワックスとを含むローションである組成物;
0.1~10%(w/v)のスピノサドと、13~90%(w/v)の蒸留水又は緩衝液と、30~71%(w/v)のプロピレングリコールと、15~97%(w/v)のヒマシ油と、5~8%(w/v)のアセチル化ラノリンアルコールと、10~12%(w/v)のセチルアルコールと、10~15%(w/v)のステアリルアルコールと、5~8%(w/v)のセテアリルアルコールと、5~10.3%(w/v)のセチルエステルワックスと、1~2%(w/v)のポビドンK90と、5~22.5%(w/v)のステアリン酸と、を含む軟膏剤である組成物;及び
0.1~10%(w/v)スのピノサドと、32~71%(w/v)のプロピレングリコールと、44~97%(w/v)のミネラルオイルと、5~8%(w/v)のアセチル化ラノリンアルコールと、8~15%(w/v)のステアリルアルコールと、3~7.5%(w/v)のステアリン酸グリセリル/ステアリン酸PEG-100と、2~8.8%(w/v)のステアリン酸ポリオキシル40と、5~22.5%(w/v)のステアリン酸と、を含む軟膏剤である組成物;のうちの1つである
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための材料および方法、または上記眼に対するデモデックスフォリキュロラム(Demodex folliculorum)、デモデックスブレビス(Demodex brevis)、またはその両方等のデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2018年7月27日に出願された米国仮出願第62/711,309号の利益を主張するものであり、任意の図、表、核酸配列、アミノ酸配列、または図面を含む、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
デモデックス(Demodex)は外部寄生性ダニの属で、哺乳類の毛包内またはその近くに生息するクモ綱に属する。デモデックスダニはヒトと共生関係にあり、ヒトの毛包脂腺濾胞に寄生するが無症候性である。したがって、これらのダニは、ヒトにおける皮膚の皮脂性領域における通常の微生物叢の一部である(非特許文献1)。健康な皮膚では、通常、ダニの密度は低い。ダニの密度が低密度であることにより、皮膚疾患は引き起こされない。これらダニの密度が増加すると、顔面の皮膚の異常を誘発する。眼球にデモデックスが寄生した患者は、かゆみ、灼熱感、発赤、睫毛の根元の痂皮形成、霧視、およびドライアイを訴えることが多い。
【0004】
同定された100種を超えるデモデックスダニの中で、デモデックスフォリキュロラム(Demodex folliculorum)およびデモデックスブレビス(Demodex brevis)は、ヒトにおいて一般に発見される2つの主要な種である(非特許文献2)。ほとんどの個体は小児期のヒトにおいてコロニーを形成し、分泌される皮脂の量が増加する思春期の年齢のヒトにおいて毛包脂腺単位内およびその周囲で増殖し、加齢とともに有病率が増加する(非特許文献3)。これは、デモデックスによって産生されるリパーゼに起因する可能性がある(非特許文献4)。リパーゼにより、ダニは、皮脂を栄養源として利用することが可能になる。その他の栄養源には、毛包脂腺単位内およびその周囲に存在する細胞の破片および細菌等がある。
【0005】
デモデックスフォリキュロラムは、比較的長い胴体部を有し、睫毛の根元で増殖し(円筒状のフケ)、前眼瞼炎を引き起こす。具体的には、デモデックスフォリキュロラムは、毛包の上皮細胞を消費し、睫毛の膨満、低形成、および反応性角質増殖を引き起こすが、これは一般に睫毛乱生症および睫毛脱落症として観察される。デモデックスブレビスは、サイズが短く、脂腺およびマイボーム腺に穴を開け、後眼瞼炎を引き起こす。デモデックスブレビスは、マイボーム腺開口部を閉塞し、涙液脂質の分泌不足を引き起こし、ドライアイの炎症トリガとなり得る。
【0006】
また、デモデックスダニは、眼表面の炎症に寄与しうる独自の細菌貯留部を保有している。ダニ表面の細菌は、既知のブドウ球菌(Staphylococcus)種と競合し、ヒト宿主の免疫応答を引き起こし、これにより、眼瞼および眼窩周囲の表皮から表皮下にかけて炎症反応を引き起こすことが示されている。疾患が慢性かつ進行性の段階にある場合、炎症が結膜および角膜に広がり、浸潤性角結膜炎、結節性瘢痕沈着、および角膜血管新生につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Grice EAら、「The skin microbiome: potential for novel diagnostic and therapeutic approaches to cutaneous disease」、Semin Cutan Med Surg、2014, 33(2):98-103
【文献】Lacey Nら、「Under the lash: Demodex mites in human diseases」、Biochem (Lond)、2009 Aug 1,31(4):2-6
【文献】Elston DMら、「Demodex mites: facts and controversies」、Clin Dermatol、2010, 28(5):502-504
【文献】Jimenez-Acosta Fら、「Demodex mites contain immunoreactive lipase」、Arch Dermatol、1989, 125(10):1436-1437
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒトまたは動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための材料および方法、または上記眼に対するデモデックスフォリキュロラム(Demodex folliculorum)、デモデックスブレビス(Demodex brevis)、またはその両方等のデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための材料および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの側面は、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための方法、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための方法に関し、1つ以上のスピノシン化合物を含む組成物を、上記眼の表面(結膜および/または角膜)もしくは上記眼の他の解剖学的構造に、または上記眼に隣接する領域に局所投与することを含む。諸実施形態において、上記異常は、デモデックスにより誘発された眼瞼炎(デモデックス眼瞼炎とも呼ばれる)、デモデックスにより誘発された眼型酒さ、デモデックスにより誘発された顔面酒さ、ドライアイ、マイボーム腺機能不全、霰粒腫、麦粒腫、濾胞性炎症、非特異的顔面皮膚炎、浸潤性角結膜炎、結節性瘢痕沈着または角膜血管新生のうちの1つ以上である。
【0010】
上記治療により、上記被験体における掻痒感、灼熱感、異物感、眼瞼縁の痂皮形成および発赤、霧視、円筒状のフケ、睫毛の不整列、睫毛乱生症、睫毛脱落症、眼瞼縁の炎症、マイボーム腺機能不全、眼瞼結膜炎、ならびに眼瞼角膜炎から選択される、上記被験体における1つ以上の徴候または症状を軽減することができる。諸実施形態において、上記組成物は、上記眼に隣接する領域に局所投与され、上記領域は、眼瞼、眼瞼縁、睫毛、睫毛の毛包、眉毛、または眉毛の毛包のうちの1つ以上を含む。諸実施形態において、上記組成物は、上記眼に隣接する領域に局所投与され、上記領域は、上記眼瞼の皮脂腺開口部(例えば、ツァイス腺、モール腺、またはマイボーム腺のうちの1つ以上)を含む。
【0011】
本発明の別の側面は、0.1%~10%(w/v)の上記1つ以上のスピノシン化合物(本明細書において、本発明の「局所組成物」または「スピノシン組成物」、または「局所スピノシン組成物」とも呼ばれる)を含む局所組成物、および上記局所組成物を生成するための方法に関する。諸実施形態において、上記組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、スプレー、ローション、ゲル、ペースト、香膏、フォーム、ムース、スクラブまたはクレンザー(例えば、シャンプーまたは石けん)、クリーム、または軟膏剤である。石けんは、棒状等の固体、液体、または半固体であってもよい。
【0012】
本発明の別の側面は、上記局所組成物を含む製品、および上記局所組成物を内部に含む容器に関する。諸実施形態において、上記容器は、折り畳み可能または非折り畳み可能な管、バッグ、小箱、ブリスター、ストリップ、アンプル、バイアル、ボトル、缶、または瓶である。
【0013】
本発明の別の側面は、上記局所組成物で前処理された、または上記局所組成物を含む眼用アプリケータまたは顔用アプリケータに関する。諸実施形態において、上記アプリケータは、スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛である。
【0014】
本発明の別の側面は、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するために、または上記眼に対するデモデックスフォリキュロラム(Demodex folliculorum)、デモデックスブレビス(Demodex brevis)、またはその両方等のデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するために有用なキットに関する。上記キットは、上記局所組成物および眼用アプリケータまたは顔用アプリケータを含む。任意選択で、上記アプリケータは、上記局所組成物で前処理されてもよく、または上記局所組成物を含んでもよい。上記キットは、上記組成物を含む容器をさらに含んでもよい。上記キットは、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための説明書(例えば、印刷された説明書またはデジタル説明書)をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の組成物および方法において使用され得るスピノシン化合物の諸実施形態の化学構造(式(I))を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の1つの側面は、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するために、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するために有用な局所組成物であって、0.1%~10%(w/v)の上記1つ以上のスピノシン化合物を含む局所組成物に関する。
【0017】
米国特許第5,362,634号においてA83543として同定された発酵産物は、サッカロポリスポラスピノサ(Saccharopolyspora spinosa)によって産生される関連化合物のファミリーである。これらの化合物は、因子または成分A、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、Y等と呼ばれており(公開された国際特許出願WO93/09126およびWO94/20518も参照)、スピノシンA、B、C等と呼ぶ。スピノシンは、種々の害虫に対して殺虫(pesticidal)活性を有する大環状ラクトンのファミリーである。初期に同定されたスピノシンは、12員環大環状ラクトンに縮合した[5-6-5]三環系、中性糖(ラムノース)、およびアミノ糖(フォロサミン)を有していることが判明した(Kirst, H.A.ら、(1991)「A83543A-D, Unique Fermentation-Derived Tetracyclic Macrolides」 Tetrahedron Letters 32(37):4839-4842参照)。天然のスピノシンは、61604イリノイ州ペオリア、ノースユニバーシティストリート(North University Street)1815、米国農務省(United States Department of Agriculture)、農業調査サービス(Agricultural Research Service)、中西部領域北部地域研究センター(Midwest Area Northern Regional Research Center)のストックカルチャーコレクションのNRRL18719、18537、18538、18539、18743、18395、および18823として寄託された培養物から発酵により産生され得る。また、スピノシンは、米国特許第5,496,931号、5,670,364号、5,670,364号、5,591,606号、5,571,901号、5,202,242号、5,767,253号、5,840,861号、5,670,486号、および5,631,155号に開示されている。スピノシンは、クモ類、線虫類、および昆虫の防除に有用であることが見出されている。
【0018】
スピノシンおよびスピノソイド(半合成類似体)の例は、Kirst HAによる「The spinosyn family of insecticides: realizing the potential of natural products research」、The Journal of Antibiotics、2010, 63:101-111、Legocki Jらによる「Contemporary trends in development of active substances possessing the pesticidal properties: spinosyn insecticides」、Pestycydy/Pesticides、2010, 1-4:59-71、Sparks TCらによる「Natural products as insecticides: the biology, biochemistry and quantitative structure-activity relationships of spinosyns and spinosoids」、Pest Manag Sci、2001, 57:896-905、およびSalgado VLらによる「Studies on the Mode of Action of Spinosad: The Internal Effective Concentration and the Concentration Dependence of Neural Excitation」、Pesticide Biochemistry and Physiology、1998, 60:103-110(これらは、その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されている。
【0019】
本発明の種々の側面および実施形態において有用なスピノシン化合物は、デモデックス属のダニに対して殺ダニ活性(miticidal activity)を有するスピノシンおよびスピノソイドを指す。「殺虫(acaricidal)」および「殺ダニ(miticidal)」という用語は、本明細書において、任意のライフサイクルにあるデモデックス属のダニを殺す能力、またはデモデックスダニ集団の全体的な減少をもたらす任意の方法におけるデモデックスダニの成長を阻害する能力もしくはライフサイクルを阻害する能力を指すために互換的に使用される。諸実施形態において、デモデックス種は、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)、デモデックスブレビス(D. brevis)、またはその両方である。例えば、「殺ダニ」という用語は、害虫の生殖能力の阻害、および1つの形態からより成熟した形態への害虫の変態の阻害を含む。害虫の変態には、例えば、各種幼虫形態間の変態、幼虫から第一若虫への変態、第一若虫から各種若虫への変態、または若虫から成虫への変態がある。さらに、殺ダニという用語は、ダニのライフサイクルのすべての段階を含むことを意図している。したがって、例えば、この用語は、殺幼虫、殺卵、および殺成虫作用を含む(例えば、Rather P.A. ら、「Human Demodex Mite: The Versatile Mite of Dermatological Importance」、Indian J Dermatol、2014, Jan-Feb, 59(1):60-66を参照)。インビボ(in vitro)およびインビトロ(in vivo)のデモデックス殺傷活性を評価するための技術は当該分野で公知であり、利用することができる(例えば、米国特許第8,128,968号(Gaoら)、Gao Y-Yら、「In vitro and in vivo killing of ocular Demodex by tea tree oil」、Br J Ophthalmol、2005, 89:1468-1473、およびTighe Sら、「Terpinen-4-ol is the most active ingredient of tea tree oil to kill Demodex mites」、Trans Vis Sci Tech.、2013, 2(7):2を参照)。
【0020】
諸実施形態において、上記1つ以上のスピノシン化合物は、図1に示される式(I)の化学構造またはその薬学的に許容される塩を有する。式(I)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、なし;H;F;Cl;Br;I;OH;CN;メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;アルキニル;アラルキル;アルカリル;ハロゲン化アルキル;ヘテロアルキル;アリール;ヘテロシクリル;シクロアルキル;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ヒドロキシアルキル;アミノアルキル;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アシルアミノ;ヒドロキシル;チオール;チオアルキル;アルコキシ;アルキルチオ;アルコキシアルキル;アリールオキシ;アリールアルコキシ;アシルオキシ;ニトロ;カルバモイル;トリフルオロメチル;フェノキシ;ベンジルオキシ;ホスホン酸;リン酸エステル;スルホン酸(-SOH);スルホン酸エステル;スルホンアミド;アルカリル;アリールアルキル;カルバメート;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アルキルチオ;ヘテロアルキル;アルキルトリフェニルホスホニウム;ヘテロシクリル;ケトン(=O);エーテル(-OR17);およびエステル(-COOR18および-OC(=O)R18)からなる群から独立して選択することができる。
式中、RおよびRは、シクロペンタン環内の二重結合とすることができる。
式中、R11およびR13は、シクロヘキサン環内の二重結合とすることができる。
式中、R17は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができる。
式中、R18は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができる。
【0021】
諸実施形態において、上記組成物は、スピノシンA、スピノシンD、またはそれらの組み合わせを含む。これらおよび多くの他のスピノシン化合物の化学構造は、以前から知られている。スピノシンAは、式(I)の構造において、以下の置換原子または置換基を有する。R、R=(C1-4)アルキル、すなわち、メチル;R=ケトン(=O);R=なし;RおよびRは、シクロペンタン環内の二重結合;R、R、R10=-OR17、すなわち、-OCH;R11およびR13は、シクロヘキサン環内の二重結合;R12およびR14はH;R15=なし;R16=ケトン(=O)。スピノシンDは、式(I)の構造において、以下の置換原子または置換基を有する。R、R=(C1-4)アルキル、すなわち、メチル;R=ケトン(=O);R=なし;RおよびRは、シクロペンタン環内の二重結合;R、R、R10=-OR17、すなわち、-OCH;R11およびR13は、シクロヘキサン環内の二重結合;R12は、(C1-4)アルキル、すなわち、メチル:R14はH;R15=なし;R16=ケトン(=O)。
【0022】
諸実施形態において、上記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンDが約18:2~約16:4の比で上記組成物中に存在する。諸実施形態において、上記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンD(スピノサド)が約17:3の比で上記組成物中に存在する。
【0023】
上記組成物は、眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、および/または眼瞼、眼瞼縁、睫毛、睫毛の毛包、眉毛、もしくは眉毛の毛包、または上記眼瞼の皮脂腺開口部を包含する領域(例えば、ツァイス腺、モール腺、またはマイボーム腺のうちの1つ以上)等の上記眼に隣接する領域への局所投与に有用な任意の投薬形態で配合されてもよい。諸実施形態において、上記組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、スプレー、ローション、ゲル、ペースト、香膏、フォーム、ムース、スクラブまたはクレンザー(例えば、シャンプーまたは石けん)、クリーム、または軟膏剤である。石けんは、棒状等の固体、液体、または半固体であってもよい。
【0024】
皮膚科学的に許容される組成物および/または眼科的に許容される組成物を製造するための方法は、上記1つ以上のスピノシン化合物を上記組成物の1つ以上の追加の成分と混合するために使用してもよい。上記組成物の上記成分は、予備滅菌されてもよい。あるいは、上記組成物は、製造中または製造終了時に滅菌されてもよい。
【0025】
諸実施形態において、上記組成物は、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、またはアイライナー等の化粧品(例えば、メーキャップ)として製造されてもよい。また、上記組成物は、マスクまたはメイク落としの形態であってもよい。
【0026】
種々の実施形態において、本明細書に包含される組成物は、Remington: the Science and Practice of Pharmacy 866-885(Alfonso R. Gennaro ed. 19th ed. 1995; Ghosh, T. K.ら、Transdermal And Topical Drug Delivery Systems(その全体が参照により本明細書に援用される))に列挙されているもの等の薬学的に許容される賦形剤を含み、これには保護剤、吸着剤、粘滑剤、皮膚軟化剤、防腐剤、酸化防止剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚浸透剤、および界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
上記スピノシン組成物が皮膚科学的に許容される基材および/または眼科的に許容される基材を含むのが好ましい。本明細書で使用される場合、「皮膚科学的に許容される基材」とは、眼に隣接する皮膚に有効濃度で適用された場合に、皮膚に刺激、炎症、疼痛、または他の害を引き起こさない1つ以上の非界面活性剤賦形剤を指す。本明細書で使用される場合、「眼科的に許容される基材」とは、眼表面に有効濃度で局所投与された場合に、眼の表面を刺激しないか、または眼の表面を害しない1つ以上の非界面活性剤賦形剤をいう。
【0028】
保護剤および吸着剤の例としては、粉剤、ステアリン酸亜鉛、コロジオン、ジメチコン、シリコーン、炭酸亜鉛、アロエベラゲルおよび他のアロエ製品、ビタミンE油、アラントイン、グリセリン、ワセリン、ならびに酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。粘滑剤の例としては、ベンゾイン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。皮膚軟化剤の例としては、動物性および植物性の脂肪および油、ミリスチルアルコール、ミョウバン、ならびに酢酸アルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤の例としては、二酸化塩素、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化デクオリニウム、および塩化セチルピリジニウム等の第四級アンモニウム化合物;硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、およびチメロサール等の水銀剤;クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、およびベンジルアルコール等のアルコール剤;パラヒドロキシ安息香酸のエステル等の抗菌エステル;ならびにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、安息香酸、およびポリミキシン等の他の抗菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸およびそのエステル、重硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、ならびにEDTAおよびクエン酸等のキレート剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な保湿剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、およびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。適切な可溶化剤の例としては、第四級アンモニウム塩、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチン、およびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。適切な皮膚浸透剤の例としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N-デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、およびモノオレイン酸プロピレングリコール);およびN-メチルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
上記組成物は、1つ以上の賦形剤を含んでもよい。諸実施形態において、上記組成物は、ワセリン、ミネラルオイル、プロピルパラベン、メチルパラベン、ラノリン、クロロブタノール、水、ラノリンアルコール、チオ硫酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、酢酸フェニル水銀、マンニトール、塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、酢酸カリウム、ヒプロメロース、ゲンタムシシン硫酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、ラノリン油、カルボマーホモポリマータイプB(アリルペンタエリスリトール架橋)、または塩化ベンザルコニウムから選択される1つ以上の賦形剤を含む。諸実施形態では、上記組成物はパラベンを含まない。
【0030】
上記組成物は、ゲル化剤を含んでもよい。ゲル化剤の例としては、粘剤、寒天、カラギーナン、ワセリン、またはセルロースポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロース)が挙げられる。
【0031】
上記組成物は、溶剤、共溶剤、粘滑剤、皮膚軟化剤、防腐剤、抗菌剤、抗酸化剤、保湿剤、安定化剤、または可溶化剤のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
【0032】
諸実施形態において、上記組成物は、水、水酸化ナトリウム、ポリソルベート80、グリセリン、ヒマシ油、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸、エデト酸二ナトリウム、カルボマーコポリマータイプAまたはB(アリルペンタエリスリトール架橋)、またはシリコーン油もしくはシリコーンポリマーゲル(例えば、ジメチコンまたはシクロメチコン)から選択される1つ以上の賦形剤を含む。
【0033】
解剖学的標的部位への活性成分の局所送達をもたらす粘膜接着性ポリマーが含まれてもよく、ゲルにおいて特に有用である。このようなポリマーは、粘膜等の特定の生物学的組織に対する薬物キャリアの能力を指す、生体接着として知られる特性を有する。これらのポリマーは、活性剤と生物学的組織との接触時間を延長することができ、それによってバイオアベイラビリティを改善することができる。種々の粘膜接着性能特性を有する生体接着性ポリマーの例としては、カルボキシメチルセルロース、カルボポール、ポリカルボフィル、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。
【0034】
上記スピノシン組成物のpHは、皮膚科学的および/または眼科的に許容される範囲にあるべきである。正常な涙は約7.4のpHを有し、ある程度の緩衝能を有する。眼への組成物の投与は、涙の緩衝能内において、涙の流れ、および過剰な水素または水酸化イオンの迅速な中和を刺激する。活性剤を含有する液体組成物を眼に1滴または2滴だけ添加すれば、通常、涙の緩衝作用は、pHを上昇させ、著しい不快感を防止するのに十分である。
【0035】
眼科用組成物は涙液と同じpHおよび等張値を有することが望ましいが、これは通常可能ではない。緩衝系は、生理学的pH7.4に最も近く、上記組成物の殺ダニ効力を損なわないように選択されるべきである。混合物のpHの確認および緩衝剤または中和剤の溶液による調整、ならびに任意の添加剤の組み込みは、それらの化学的性質に従って、調製方法の工程のうちの1つの間に実施されてもよい。諸実施形態において、上記スピノシン組成物は、1つ以上の皮膚科学的および/または眼科学的に許容されるpH調整剤または緩衝剤を含む。これらpH調整剤または緩衝剤には、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および塩酸等の酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタン等の塩基;ならびにクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウム等の緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。このような酸、塩基、および緩衝剤は、皮膚科学的および/または眼科的に許容される範囲において、上記組成物のpHを維持するのに必要な量で含まれる。
【0036】
諸実施形態において、上記組成物は、デモデックスダニに対して活性を有する追加の薬剤を含まない。諸実施形態において、上記組成物は、上記1つ以上のスピノシン化合物以外に活性剤を含まない。
【0037】
諸実施形態において、可能な場合、上記組成物は、上記組成物中の化合物(例えば、スピノシン化合物、および存在する場合、他の化合物)の薬学的に許容される塩を含んでもよい。諸実施形態において、上記組成物は、上記化合物の酸付加塩を含む。諸実施形態において、上記組成物は、上記化合物の塩基付加塩を含む。本明細書中で使用される場合、薬学的に許容される塩または複合体という用語は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、そしてあったとしても、最小の望ましくない毒物学的効果を示す塩または複合体(例えば、溶媒和物、多形体)をいう。
【0038】
諸実施形態において、上記組成物は、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、レスメトリン、またはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(例えば、テルピネン--4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(例えば、ペパーミント油またはサルビア)、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩)、ホスホロチオエート(例えば、クマホス等の不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(例えば、アミトラズ)から選択される1つ以上の薬剤等の、デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤をさらに含む。
【0039】
諸実施形態において、上記組成物は、1つ以上の抗生物質剤をさらに含む。諸実施形態において、上記抗生物質剤は、デモデックスダニ上またはデモデックス内部に見出される1つ以上の細菌(例えば、レンサ球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、またはセレウス菌(Bacillus oleronius))に対して抗菌活性を有する。諸実施形態において、上記抗生物質剤は、殺ダニ活性も有し、例えば、メトロニダゾールである。
【0040】
諸実施形態において、上記組成物は、1つ以上の抗炎症剤をさらに含む。含まれ得る抗炎症剤の例としては、グルココルチコイドまたは他のステロイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、サリチル酸、アリールアルカン酸、2-アリールアントラニル酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホナニリド)、Cox-2特異的阻害薬(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーロフィン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン、抗ロイコトリエン、β作動薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、抗生物質、タクロリムス、レチノイドが挙げられる。
【0041】
諸実施形態において、上記抗炎症剤は、局所使用のために配合される。諸実施形態において、上記局所抗炎症剤は、局所ステロイドである。米国では、局所ステロイドは、毛細血管を収縮させ、皮膚の白化を引き起こす能力によって分類され(クラス/グループI~VII)、グループIが最も強くまたは最も効能があり、グループVIIが最も弱く、最も穏やかである。利用され得る局所的に配合されたステロイドの例として、クロベタゾール、ベタメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ハロベタゾール、アムシノニド、デスオキシメタゾン、ハルシノニド、フルチカゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、デノシド、およびプレドニカルバートが挙げられる。
【0042】
諸実施形態において、上記抗炎症剤は、眼科用に配合される。利用され得る眼科的に配合されたステロイドの例として、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、フルオロメタロン、ロテプレドノールエタボネート、およびリメキソロンが挙げられる。
【0043】
任意選択で、上記組成物は、上記眼に隣接する皮膚および毛髪の領域に投与するための研磨剤を含んでもよい。研磨剤の含有は、上記眼に隣接する組織の領域、眼瞼、睫毛、および毛包を機械的に刺激し、上記組成物中の1つ以上のスピノシン化合物をデモデックスにアクセスさせるのに役立ち得る。上記治療は、デモデックスの卵、幼虫、または成虫等の望ましくない物質を刺激または移動させ、それらを睫毛の毛包または眼もしくは眼瞼の他の部分から除去するように、あるいは、それらをスピノシン組成物にアクセス可能にするように作用することができる。上記研磨剤は、直接的な殺傷または損傷によって生物を排除することもできる。上記研磨剤は、任意の研磨粒子、粉末、または結晶を含んでもよい。これら研磨粒子、粉末、または結晶は、酸化アルミニウム(例えば、アルミナ、三酸化アルミニウム、コランダム粉末)、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、セラミック、ダイヤモンド、珪藻土、エメラルド、エチレン/アクリル酸コポリマー、繊維、ガーネット、ガラス、カオリン、ラウロイルリジン、溶岩、酸化マグネシウム、マイカ、改質澱粉、ナイロン、ポリアミド、他の金属、他のポリマー、他の二酸化ケイ素、またはケイ素含有材料、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、軽石、ルビー、砂、サファイア、海殻、セリサイト、シリカ、二酸化ケイ素、炭化珪素、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム結晶、澱粉、絹、タルク、トパーズ、ゼオライト、またはポリマー粒子のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0044】
研磨粒子は、任意の形状であってもよく、任意の数の側面を有していてもよい。研磨粒子は、全体的に、ダイヤモンド(三角形)形状、楕円形、マーキス形状、八角形、卵形、洋ナシ形状、長方形、円形、正方形であってもよく、またはこれらの形状の組み合わせまたは変形(例えば、丸みを帯びた正方形)であってもよい。研磨粒子は、1つの表面を有してもよく、または2つ以上の表面(例えば、側面または面)を有していてもよい。研磨粒子は、2、3、4、5、6~10、11~20、21~30、40まで、50まで、60まで、または60を超える側面を有していてもよい。研磨粒子の表面は、実質的に平滑であっても、規則的であっても、テクスチャード加工されていても、または不規則であってもよい。研磨粒子は、1つ以上の鋭利なエッジまたは鋭利な点を有していてもよい。研磨粒子は、約1~約600ミクロンの最長寸法とすることができる。
【0045】
一群の研磨粒子は、全て互いに同様の形状であってもよく、または互いに異なる形状であってもよい。一群の研磨粒子は、全て略同一サイズであってもよく、または種々のサイズであってもよい。一群の研磨粒子は、最小値よりも大きくてもよく、最大値よりも小さくてもよい。一群の研磨粒子は、直径約1~約15ミクロン、約15ミクロン~約25ミクロン、約25ミクロン~約100ミクロン、約100~約300ミクロン、または約300~約600ミクロンの粒子を含んでいてもよい。一例では、一群の研磨粒子は、直径約25ミクロンを超える粒子であって、直径約300ミクロン未満の粒子を含んでいてもよい。異なるサイズおよび異なる形状の粒子は、異なる理由毎に選択されてもよい。異なるサイズおよび異なる形状は、眼の領域の異なる状態、異なる皮膚のタイプもしくは感度、および/または異なる適用方法毎に選択されてもよい。粗い表面を有する粒子は、ワンドまたはタオレット等のアプリケータを使用して適用されてもよい。一方、実質的に丸い粒子は、圧力下で表面に向かって推進されてもよい。
【0046】
研磨剤は、一群の別個の粒子を含んでもよく、研磨表面を有する基材を含んでもよく、または任意の組み合わせもしくは変形であってもよい。基材は、研磨表面を提供するために、当該基材に結合された(付着された)複数の研磨粒子を有してもよく、または粗いテクスチャー表面を有する材料であってもよい。テクスチャー加工された粗い表面は、当該表面上に、直径約1~約15ミクロン、約15ミクロン~約25ミクロン、約25ミクロン~約100ミクロン、約100~約300ミクロン、または約300~約600ミクロンの細孔サイズを有していてもよい。
【0047】
軟膏剤
諸実施形態において、皮膚科学的および/または眼科的に許容される軟膏剤は、薬学的に許容される軟膏基材を含む。適切な軟膏基材の例としては、ワセリン(例えば、液体ワセリンまたは白色ワセリン)、プラスチベース、硬質パラフィン、白色軟パラフィン、黄色軟パラフィン、流動パラフィン、乳化ワックス、微結晶ワックス、白蜜蝋、黄蜜蝋、カルナウバロウ、羊毛ワックス(羊毛脂)、ミネラルオイル、オリーブ油、精製ラノリン、または無水ラノリン等の油性軟膏基材、およびポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール400またはポリエチレングリコール3350)、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン等の水溶性軟膏塩基、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
諸実施形態において、上記組成物は、軟膏剤であって、ワセリン、ミネラルオイル、プロピルパラベン、メチルパラベン、ラノリン、クロロブタノール、水、ラノリンアルコール、チオ硫酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、酢酸フェニル水銀、マンニトール、塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、酢酸カリウム、ヒプロメロース、ゲンタムシシン硫酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、ラノリン油、カルボマーホモポリマータイプB(アリルペンタエリスリトール架橋)、または塩化ベンザルコニウムから選択される1つ以上の賦形剤を含む。
【0049】
諸実施形態において、上記スピノシン組成物は、ワセリン基材を有する軟膏剤である。ワセリンは、皮膚および眼科用途に特定の利点をもたらす炭化水素の半固体混合物である。ワセリンは、固体挙動をもたらし、安定性を増加させ、相分離および懸濁粒子の沈降を防止する擬塑性物質である。ワセリンは、チキソトロピー性であり、展延性を保持しながら懸濁液中に薬物を保持するのに優れている。この性質により、眼科用途において、ワセリンは、眼の中で拡散することができ、剪断力が加えられると(瞬き時)、より流動的になり、流動性を保持し、眼を被覆するのに役立つ。ワセリンは非水性であるため、拡散して軟化するが、(水溶液とは異なり)涙で眼から洗い流されることはない。非水性で非吸湿性の賦形剤として、成分の加水分解および加水分解劣化による問題を回避することができる。不溶性賦形剤として、ワセリンは、系吸収があったとしてもほとんどなく、治療を局所送達に限定する。医薬品用ワセリンは、ワセリンUSPおよび白色ワセリンUSPに分類される。眼科用途では、典型的には、白色ワセリンが好ましい。ワセリンは、色および透明度、ならびにレオロジー特性(コンシステンシー、流動、および降伏応力)が異なる。ミネラルオイル、界面活性剤、および防腐剤等の追加の賦形剤は、配合濃度との関係で見掛け粘度および降伏応力を低下させることができる。
【0050】
エマルジョン
本発明の組成物は、エマルジョン、例えば、水中油型エマルジョンとして配合されてもよい。上記局所水中油型エマルジョン組成物は、液体、ペースト、または固体の形態、または軟膏剤、クリーム、ゲル、スプレー、フォーム、懸濁液、ローション、シャンプー、または洗浄基材の形態であってもよい。上記組成物は、ミクロスフェアもしくはナノスフェア、脂質小胞もしくはポリマー小胞、またはポリマーパッチの懸濁液、および制御放出用のヒドロゲルの形態であってもよい。局所適用のためのこれら組成物は、無水の形態、水性の形態、またはエマルジョンの形態であってもよい。
【0051】
本発明の諸実施形態において、上記組成物は、クリームもしくはローションタイプのエマルジョンの形態、ゲルの形態、または溶液の形態であり、より詳細には、クリームの形態である。
【0052】
諸実施形態において、上記エマルジョンは、水、水酸化ナトリウム、ポリソルベート80、グリセリン、ヒマシ油、カルボマーコポリマータイプA、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸、エデト酸二ナトリウム、またはシリコーン油もしくはシリコーンポリマーゲル(例えば、ジメチコンまたはシクロメチコン)から選択される1つ以上の賦形剤を含む。
【0053】
従来のエマルジョンは、典型的には、比較的不安定であり、2つの非混和性液体の実質的に均質な系であり、そのうちの1つは、微細な液滴(ミセル)の形態で他方に分散される。この分散液は、界面の構造および力の比を変更し、界面張力エネルギーを減少させることによって分散液の安定性を増加させる界面活性剤―乳化剤の作用によって安定化される。界面活性乳化剤は、油に対して親和性を有する疎水性成分と、水に対して親和性を有する親水性成分とを有する両親媒性化合物であり、2つの相の間にリンクを作り出す。したがって、イオン性または非イオン性乳化剤は界面に吸着し、液晶のラメラ層を形成することによって油/水エマルジョンを安定化する。
【0054】
本発明の組成物は、1つ以上の非イオン性界面活性乳化剤を含有してもよい。非イオン性界面活性剤の乳化力は、分子の極性に密接に関連している。この極性は、HLB(親水性/親油性バランス)によって定義される。従来のエマルジョンは、一般に、界面活性剤の混合物によって安定化され、そのHLBはかなり異なる可能性があるが、その混合物中の割合は乳化される脂肪相の必要とされるHLBに対応する。
【0055】
適切な非イオン性界面活性乳化剤は、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コカミドDEA、コカミドMEA、イソセテス-20、オレイルアルコール、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ステアリルアルコール、チロキサポール、ソフチゲン、ソルトールHS15、プルロニック(Pluronic登録商標)F-68LF(商標)またはルトロール(Lutrol)F68等のポロキサマー、プルロニック(Pluronic登録商標)L-62LF(商標)およびプルロニック(Pluronic登録商標)L62D(商標)(BASFワイアンドット社(Wyandotte Corp.)、米国ニュージャージー州パーシッパニー)、ポリソルベート20およびポリソルベート80等のポリソルベート、およびエマルフォー(Emulfor)(商標)(GAF社(GAF Corp.)、米国ニュージャージー州ウェイン)等のポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選択することができる。
【0056】
諸実施形態において、上記エマルジョンは、水中油型懸濁液を乳化することができ、非濁性/非粘着性配合を可能にするカルボマーホモポリマー(カーボポール(Carbopol))を含む。
【0057】
諸実施形態において、本発明の組成物は、(a)1つ以上のスピノシン化合物;(b)脂肪性物質および/または皮膚軟化剤を含む油相;(c)水;および、任意に、(d)界面活性乳化剤を含む水中油型エマルジョンである。
【0058】
脂肪性物質の例としては、植物油、鉱物油、動物油、もしくは合成油、シリコーン油、ゲルベアルコール、または他の物質、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
鉱物油の例としては、エッソ社(Esso)によって市販されているプリモール(Primol)352、マルコル(Marcol)82、またはマルコル(Marcol)152等の各種粘度のパラフィン油が挙げられる。植物油の例としては、スイートアーモンド油、菜種油、大豆油、ゴマ油、およびヒマワリ油が挙げられる。動物油の例としては、ラノリン油、スクアレン油、魚油、およびミンク油が挙げられる。合成油の例としては、特にコグニス・フランス社(Cognis France)によりエチオール(Cetiol)SNの名称で市販されているセテアリルイソノナネート等のエステル、ISF社によりセラフィル(Ceraphyl)230の名称で市販されている製品等のアジピン酸ジイソプロピル、クローダ社(Croda)によりクローダモール(Crodamol)IPPの名称で市販されている製品等のパルミチン酸イソプロピル、またはヒュルス・ランベールリヴィエール社(Huls/Lambert Riviere)により市販されているミグリオール(Miglyol)812等のカプリル酸カプリン酸トリグリセリドが挙げられる。シリコーン油の例としては、ダウコーニング(Dow Corning)社によりダウコーニング(Dow Corning)200液という名称で市販されている製品等のジメチコンや、ダウコーニング(Dow Corning)244液という名称で市販されている製品等のシクロメチコン、およびSACI-CFPA社によりミラシル(Mirasil)CM5という名称で市販されている製品が挙げられる。
【0060】
他の脂肪物質には、白色ワセリン、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール等の脂肪アルコール、またはそれらの誘導体、蜜蝋、カルナウバワックス、カンデリラワックス等のワックス、および粘剤、特にシリコーン粘剤が含まれてもよい。
【0061】
上記組成物中の1つ以上の脂肪物質は、上記組成物の約20重量%~約40重量%の量で存在してもよい。諸実施形態において、上記1つ以上の脂肪物質は、上記組成物の約20重量%~約35重量%の量で存在する。
【0062】
上記組成物の油相は、植物油、鉱物油、動物油、もしくは合成油、シリコーン油、パルミチン酸イソプロピル、1-デセンポリマー(水素化)、安息香酸C12-C15アルキル、安息香酸C12-C15アルキルエステル、ラノリンアルコール、およびミリスチン酸イソプロピル;ならびにそれらの混合物等の1つ以上の皮膚軟化剤を含むことができる。上記組成物中の皮膚軟化剤は、上記組成物の約10重量%~約20重量%の量で存在してもよい。
【0063】
諸実施形態において、上記組成物の油相は、脂肪物質および皮膚軟化剤の混合物を含み、諸実施形態において、少なくとも2つの皮膚軟化剤を含む。諸実施形態において、上記脂肪物質は、白色ワセリンおよび鉱物油であり、上記皮膚軟化剤は、ラノリンアルコールおよびミリスチン酸イソプロピルである。
【0064】
上記エマルジョンの油相は、上記組成物の総重量に対して15~45重量%、好ましくは、20~40重量%の含有量で存在してもよい。
【0065】
上記組成物は、15重量%までの適切な界面活性乳化剤を含んでもよい。諸実施形態において、上記界面活性乳化剤は、上記組成物の約5重量%~約15重量%の量で上記組成物中に存在する。
【0066】
上記組成物は、上記組成物の総重量に対して0.1重量%~10重量%の1つ以上のスピノシンを含んでもよい。諸実施形態において、上記組成物は、上記組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の1つ以上のスピノシンを含む。
【0067】
また、本発明の組成物は、水または緩衝液を50%~95%の範囲で含有してもよい。諸実施形態において、上記組成物は、上記組成物の総重量に対して55重量%~80重量%の水または緩衝液を含有する。本発明に係る組成物に使用される水は、精製水または蒸留水であることが好ましい。
【0068】
また、上記組成物は、不活性添加剤または添加剤の組み合わせ(例えば、風味増強剤;防腐剤;安定剤;湿度調節剤;pH調節剤;浸透圧調節剤;UV-AおよびUV-Bスクリーニング剤;ならびに抗酸化剤)を含んでもよい。諸実施形態では、スピノシンの上記水中油型エマルジョン組成物は、保存剤を含有しない。
【0069】
これらの添加剤は、上記組成物の総重量に対して0.001重量%~20重量%の濃度で上記組成物中に存在してもよい。
【0070】
諸実施形態において、上記組成物は、(a)約0.01重量%~約10重量%の量の1つ以上のスピノシン;(b)約20重量%~約40重量%の量の1つ以上の脂肪物質および約10重量%~約20重量%の量の1つ以上の皮膚軟化剤を含む油相;(c)約5重量%~約15重量%の量の1つ以上の界面活性乳化剤;ならびに(d)水を含む水中油型エマルジョンである。
【0071】
組成物の配合例
諸実施形態において、上記組成物はクリームであり、上記1つ以上のスピノシン化合物(例えば、スピノサド)に加えて、上記組成物は、以下の成分:水または緩衝液、ミネラルオイル、アセチル化ラノリンアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、およびプロピレングリコールのうちの1つ以上を含む。諸実施形態において、上記クリームは、上述の成分のそれぞれを含む。
【0072】
諸実施形態において、上記組成物はクリームであり、上記1つ以上のスピノシン化合物(例えば、スピノサド)に加えて、上記組成物は、以下の成分:水または緩衝液、プロピレングリコール、ミネラルオイル、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、およびポリオキシル35ヒマシ油のうちの1つ以上を含む。諸実施形態において、上記クリームは、上述の成分のそれぞれを含む。
【0073】
諸実施形態において、上記組成物はローションであり、上記1つ以上のスピノシン化合物(例えば、スピノサド)に加えて、上記組成物は、以下の成分:水または緩衝剤、ミリスチン酸イソプロピル、ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、セテアリルアルコール、およびセチルエステルワックスのうちの1つ以上を含む。諸実施形態において、上記ローションは、上述の成分のそれぞれを含む。
【0074】
諸実施形態において、上記組成物は軟膏剤であり、上記1つ以上のスピノシン化合物(例えば、スピノサド)に加えて、上記組成物は、以下の成分:水または緩衝液、プロピレングリコール、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、セチルエステルワックス、ポビドンK90、およびステアリン酸のうちの1つ以上を含む。諸実施形態において、上記軟膏剤は、上述の成分のそれぞれを含む。
【0075】
諸実施形態において、上記組成物は軟膏剤であり、上記1つ以上のスピノシン化合物(例えば、スピノサド)に加えて、上記組成物は、以下の成分:プロピレングリコール、ミネラルオイル、アセチル化ラノリンアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル/ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸ポリオキシル40、およびステアリン酸のうちの1つ以上を含む。諸実施形態において、上記軟膏剤は、上述の成分のそれぞれを含む。
【0076】
諸実施形態において、上記組成物は、表1~5のうちの1つに記載されたものである。諸実施形態において、所与の組成物について、表中に列挙された成分の各%濃度の合計は100%である。
【0077】
諸実施形態において、上記組成物は、表1~5のうちの1つに記載されたものであるが、列挙された賦形剤のうちの1つ以上が列挙された同じ機能を有する1つ以上の異なる賦形剤と置換されている。
【0078】
諸実施形態において、表1~5のそれぞれにおいて、0.1%スピノサドを基準点として、スピノサド濃度w:w%を低下させるにつれて、配合中の優勢である成分(すなわち、最小%を有する成分)の濃度w:w%を同じ分だけ増加させる。逆に、スピノサドの濃度w:w%を増加させるにつれて、配合中の優性である賦形剤の濃度w:w%を同じ分だけ減少させる。一例として、表1では、スピノサドの濃度が0.1%から0.1%ずつ増加するたびに、蒸留水または緩衝液の濃度が0.1%ずつ低下する。別の例として、表5では、スピノサド濃度が0.1%から1.0%増加するたびに、ミネラルオイルの濃度が1%ずつ減少することになる。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
治療方法
本発明の一側面は、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための方法、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための方法であって、1つ以上のスピノシン化合物を含む組成物を、上記眼の表面(結膜および/または角膜)もしくは上記眼の他の解剖学的構造に、または上記眼に隣接する領域に局所投与することを含む治療方法である。
【0085】
潜在的な作用機序に関する理論によって制限されることなく、従来のデモデックス寄生に対して、治療法としての治療の目的は、典型的には、眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域等の解剖学的部位におけるデモデックスダニの数を減少させることであり、これにより、デモデックスに関連した異常の任意の1つ以上の徴候が軽減または排除される。デモデックスダニは、通常の皮膚微生物叢の一部であり、デモデックスダニに対する感受性のレベルおよびダニに関連する免疫反応性因子は被験体間で異なる可能性があるため、治療の目的は、生きているデモデックスダニの数をその個体にとって正常または健康なレベル(寄生過剰個体数の閾値以下)にまで減少させるか、標的とする(複数の)解剖学的部位からすべてのデモデックスダニを根絶することであってもよい。
【0086】
また、上記組成物は、デモデックスの寄生を予防または遅延させるために、デモデックス寄生のない被検者に予防的に局所投与されてもよい。
【0087】
1回以上の投与により、スピノシンまたは他の殺虫剤が存在しない場合の解剖学的部位と比較して、当該解剖学的部位におけるデモデックスダニの数を減少させるのに十分な量のスピノシン化合物が送達される(殺ダニ有効量)。
【0088】
上記組成物は、上記眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域に局所的に投与されるべきであり、これは、被験体によって行われてもよく(すなわち、自己投与されてもよく)、または別の個人によって行われてもよい。
【0089】
諸実施形態において、眼表面への投与を意図した製剤について、その粘度に応じて、上記組成物を(例えば、点眼器を用いて)滴下してもよく、あるいは、眼の隅もしくは眼瞼に、または上瞼もしくは下瞼の内側に配置して投与してもよい。例えば、1滴以上(例えば、それぞれ約30マイクロリットル)を投与してもよい。被験体は、眼表面への上記組成物の分散を容易にするために瞬きしてもよい。諸実施形態において、上記組成物は、上記眼表面に局所投与される。
【0090】
諸実施形態において、上記組成物は、上記眼表面に局所投与され、または上記組成物は、睡眠の直前に、上記眼表面、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域に局所投与される。
【0091】
諸実施形態において、上記組成物は、上記眼に隣接する領域に局所投与され、上記領域は、上記眼瞼の皮脂腺開口部(例えば、ツァイス腺、モール腺、またはマイボーム腺のうちの1つ以上)を含む。
【0092】
諸実施形態において、上記組成物は、毛包脂腺単位(例えば、毛髪、毛包、皮脂腺)として知られる表皮陥入の1つ以上の構造に局所投与される。
【0093】
上記組成物は、本明細書に記載されているような眼用アプリケータまたは顔用アプリケータを使用して、あるいは指または指関節等の身体の一部を使用して(拭き取り、擦り、揉み込み等によって)、局所投与してもよい。
【0094】
上記アプリケータの例としては、スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛が挙げられる。諸実施形態において、上記アプリケータは、標的の解剖学的領域と接触する少なくとも一部分を含み、綿、ポリエステル、またはレーヨン等の織布材料または不織材料から構成されてもよい。アプリケータは、使い捨てであっても再使用可能であってもよい。
【0095】
上記スピノシン組成物は、被験体の眼の表面または上記眼の他の解剖学的構造等の被験体の1つ以上の解剖学的部位、眼瞼、眼瞼縁、睫毛、睫毛の毛包、眉毛、もしくは眉毛の毛包等の上記眼に隣接する領域、または眼瞼の皮脂腺開口部(例えば、ツァイス腺、モール腺、またはマイボーム腺のうちの1つ以上)に穏やかに適用することによって局所投与されてもよい。上記スピノシン組成物は、皮膚に揉み込んでもよい。諸実施形態において、上記スピノシン組成物は、次の治療まで当該領域上に残される。別の実施形態において、過剰のスピノシン組成物は、投与後に拭き取られるか、または洗い流される。
【0096】
必要に応じて、1つ以上の抗炎症剤を上記スピノシン組成物の投与の前、間、または後に被験体に投与してもよく、これは、諸実施形態の上記スピノシン組成物によって引き起こされ得る炎症、または治療の一部として適用されてもよい任意の機械的刺激によって引き起こされ得る炎症を抑制または低減するのに役立つ。抗炎症剤は、腐敗ダニに関連する潜在的な炎症を抑制または減少させることもできる。抗炎症剤は、処方に適切な経路で被験体に投与してもよい。例えば、抗炎症剤を局所投与してもよく、上記スピノシン組成物中に含まれてもよく、または別個の組成物中に含まれて局所投与されてもよい。別の実施形態において、抗炎症剤は、被験体に全身(例えば、経口)投与されてもよい。
【0097】
投与することができる抗炎症剤の例としては、グルココルチコイドまたは他のステロイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、サリチル酸、アリールアルカン酸、2-アリールアントラニル酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホナニリド)、Cox-2特異的阻害薬(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーロフィン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン、抗ロイコトリエン、β作動薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、抗生物質、タクロリムス、レチノイドが挙げられる。
【0098】
必要に応じて、上記解剖学的部位は、前処理または準備工程として、クレンジング物質等の薬剤を用いて、上記スピノシン組成物による治療の前に洗浄されてもよい。研磨剤は、皮膚、皮膚の層、皮膚の破片、微生物、睫毛、油、および/または他の関連物質または無関係の物質を除去するために、上記眼に隣接する領域に適用されてもよい。上記研磨剤は、上記眼に隣接する組織の領域、眼瞼、睫毛、および毛包を機械的に刺激して、上記スピノシン組成物をデモデックスにアクセスさせることができる。上記治療は、デモデックスの卵、幼虫、または成虫等の望ましくない物質を刺激または移動させ、それらを睫毛の毛包または眼もしくは眼瞼の他の部分から除去するように、あるいは、それらをスピノシン組成物にアクセス可能にするように作用することができる。また、上記皮膚擦傷は、直接的な殺傷または損傷によって生物を排除することもできる。上記研磨剤は、任意の研磨粒子、粉末、または結晶を含んでもよい。これら研磨粒子、粉末、または結晶は、酸化アルミニウム(例えば、アルミナ、三酸化アルミニウム、コランダム粉末)、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、セラミック、ダイヤモンド、珪藻土、エメラルド、エチレン/アクリル酸コポリマー、繊維、ガーネット、ガラス、カオリン、ラウロイルリジン、溶岩、酸化マグネシウム、マイカ、改質澱粉、ナイロン、ポリアミド、他の金属、他のポリマー、他の二酸化ケイ素、またはケイ素含有材料、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、軽石、ルビー、砂、サファイア、海殻、セリサイト、シリカ、二酸化ケイ素、炭化珪素、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム結晶、澱粉、絹、タルク、トパーズ、ゼオライト、またはポリマー粒子のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0099】
必要に応じて、上記スピノシン組成物の投与の前、間、または後に、デモデックスに対する活性を有する別の薬剤を投与してもよい。諸実施形態において、上記薬剤は、デモデックスに対する活性を有し、例えば、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、レスメトリン、またはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(例えば、テルピネン-4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(例えば、ペパーミント油またはサルビア)、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩)、ホスホロチオエート(例えば、O,O-ジエチルO-3-クロロ-4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イルホスホロチオエートとしても同定されるクマホス等の不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(例えば、N,N'-[(メチルイミノ)ジメチルリジン]ジ-2,4キシリジンとしても同定されるアミトラズ)である。上記追加の薬剤は、上記スピノシン組成物の成分として投与されてもよく、または別の組成物に含まれて、局所的に、または別の経路によって投与されてもよい。
【0100】
緩和が求められる状態を治療、予防、または改善するための投薬レジメンは、種々の因子に従って改変され得る。これらの要因には、被験体が罹患する疾病、ならびに被験体の年齢、体重、性別、食事、および医学的状態が含まれる。したがって、実際に使用される投薬レジメンは、広範に変化し得るものであり、従って、本明細書中に記載される投薬レジメンから逸脱し得る。
【0101】
デモデックスの検出
本発明の方法は、上記スピノシン組成物を上記被験体に投与する前に、上記被験体上のデモデックスダニの存在を確認することをさらに含んでもよい。いくつかの臨床徴候により、睫毛にデモデックスが存在することを知らせることができる。これらの手がかりを評価することにより、ダニの存在を確認する2つの単純な検査技術のうちの1つを実施することができる。
【0102】
1.円筒状のフケ(CD)。これは最も明白な臨床徴候であり、ダニ寄生の優れた指標である。円筒状のフケは細隙灯で見ることができ、従来の前眼瞼炎で見られるうろこ状の擦り傷様の破片とは異なる。
【0103】
2.睫毛の毛包周囲の皮膚の変化。毛包の開口部付近の皮膚が膨張し、隆起し、毛包の周囲の皮膚が脂ぎった外観を有することがある。
【0104】
3.睫毛の外観の変化。長期にわたる寄生では、睫毛が薄く脆くなったり、色が失われ始めたりすることがある。睫毛が生える方向の異常や睫毛の損失も起こり得る。
【0105】
4.眼瞼充血/毛細血管拡張。ダニの存在はインターロイキンおよび異なる種類の炎症誘発性サイトカインの増加と関連しているため、眼瞼炎症のレベルの増加が顕著になり、これが眼瞼縁に沿った血管新生の増加につながる可能性がある。
【0106】
5.患者の病歴/他の疾患との関連。デモデックスの有病率は加齢とともに増加し、酒さ性ざ瘡、脂漏性皮膚炎、およびそう痒等のアレルギー症状を含む他の形態の炎症性皮膚状態を有する患者において強い関連が観察されている。
【0107】
これらの臨床徴候は、過剰なデモデックス集団の存在を示している可能性がある。しかしながら、これらの項目の各々は、円筒状のフケを除いて、それ自体は診断に役立つものではない。ダニの存在の確認、ならびにダニの寄生の程度を分類する方法は2つの単純な工程:睫毛脱毛(例えば、眼瞼から2本~4本の異なる睫毛を付随する破片/円筒状のフケと共に抜き、光学顕微鏡下でこれらを観察する)および睫毛ローテーション(毛包からスライドに破片を移し、光学顕微鏡下で検査、または細隙灯(25~40x)で高倍率で可視化する)のうちの1つによって行うことができる。
【0108】
したがって、デモデックスダニの存在は、ダニの直接同定およびダニ密度の測定(例えば、睫毛の根元における円筒状のフケの存在、睫毛の毛包を取り囲む皮膚の変化、睫毛の変化、および睫毛のサンプリング(光学顕微鏡による睫毛脱毛または細隙灯による睫毛ローテーション))等の1つ以上の技術によって確認され得る。エクスビボ(ex vivo)脱毛および顕微鏡検査に加えて、インビボ(in vivo)共焦点顕微鏡検査を実施してもよい(Randon Mら、「In vivo confocal microscopy as a novel and reliable tool for the diagnosis of Demodex eyelid infestation」、Br J Ophthalmol、2015, 99(3):336-341、その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0109】
分子診断技術を使用して、ダニが見出され得る領域(例えば、睫毛、皮膚表面生検)から被験体から採取された生体サンプル中の遺伝子レベルおよび/またはタンパク質レベルで、デモデックス関連分子を検出してもよい。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはイムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))を使用して、被験体の皮膚サンプルおよび/または毛髪サンプルの標的デモデックス核酸またはタンパク質分子(例えば、バチルスオレロニウス(Bacillus oleronius)の外骨格キチン、キチンシンターゼ、62-kDaおよび83-kDa抗原)を検出および定量してもよい(例えば、Zhao Ya-eら、「Cloning and sequence analysis of chitin synthase gene fragments of Demodex mites」、J Zheijang Univ Sci B、2012, 13(10):763-768;Zhao Ya-eら、「Discrimination between Demodex folliculorum (Acari: Demodicidae) isolates from China and Spain based on mitochondrial cox1 sequences」、J Zheijang Univ Sci B、2013, 14(9):829-836;Hu Lら、「Molecular identification of four phenotypes of human Demodex in China」、Exp Parisitol、2014, 142:38-42;Li Jら、「Correlation between ocular Demodex infestation and serum immunoreactivity to Bacillus proteins in patients with facial rosacea」、Ophthalmology、2010, 117(5):870-877;Szkaradkiewicz Aら、「Bacillus oleronius and Demodex mite infestation in patients with chronic blepharitis」、Clinical Microbiology and Infection、2012, 18(10):1020-1025;Kasetsuwan Nら、「Prevalence of ocular demodicosis among patients at Tertiary Care Center, Bangkok, Thailand」、Int J Ophthalmol、2017, 10(1):122-127;Liu Dら、「Demodex (Hair Follicle Mite)」、Chapter 72 in Molecular Detection of Human Parasitic Pathogens, CRC Press、2012, pages 741-750参照、これらは、その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0110】
したがって、本発明の諸実施形態に係る方法において、デモデックスダニの存在の確認は、デモデックスダニをインビボ(in vivo)または生体サンプル(例えば、毛髪サンプルまたは皮膚サンプル)中からエクスビボ(ex vivo)で同定すること、またはデモデックスダニに関連する分子(例えば、キチン、キチンシンターゼ、リパーゼ、デモデックス関連細菌抗原(例えば、バチルスオレロニウス(B. oleronius)抗原等のバチルス(Bacillus)抗原)、デモデックス16SrDNA、デモデックス18SrDNA)を検出することを含む。例えば、デモデックスダニは、当該ダニの検出のための標的として使用され得る免疫反応性リパーゼを産生することが示されている(Jimenez-Acosta F.ら、「Demodex mites contain immuno reactive lipase」、Arch Dermatol.、1989, 125:1436-7)。標的DNAおよびRNAは、抽出され、増幅され、識別用ならびに種間分化および種内分化のための分子バーコードとして定性的に使用されてもよく、寄生の程度を評価するために定量的に使用されてもよい。また、遺伝子またはタンパク質マイクロアレイに基づく分析を利用してもよい。皮膚表面、毛髪、涙、および末梢血等の被験体から取得した生体サンプルを、デモデックス寄生と一致する炎症マーカーの存在およびレベルについて分析してもよい。
【0111】
治療の進行を監視し、またはその有効性を確認するために、上記治療の後、被験体上にデモデックスダニが存在するか、または閾値量のデモデックスダニが存在するかを被験体由来サンプル上で一定期間検査して、デモデックスが正常レベルに減少したか、または上記治療によって根絶されたかを判定してもよい。
【0112】
上記検出工程は、デモデックス(例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis))の検出が望ましい任意の目的に使用することができ、これには、実験室および臨床環境における用途等の診断用途および予後用途が挙げられる。適切なサンプルは、医学的被験体(ヒト)または獣医学的被験体(非ヒト動物)から得られた臨床サンプル等の、デモデックスが見出され得る任意の生体サンプルを含む。
【0113】
サンプル内のデモデックスダニに関連する標的分子がタンパク質または炭水化物(例えば、キチン、キチンシンターゼ、リパーゼ、デモデックス関連細菌抗原(例えば、バチルスオレロニウス(B. oleronius)抗原等のバチルス(Bacillus)抗原)等の抗体によって標的化され得るものである場合、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれか)を使用する免疫化学的技術、またはこのような抗体の抗原結合フラグメントを使用してもよい。これらの免疫化学的技術は、ラジオイムノアッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のような他の十分に確立されたアッセイ技術のいずれかを含むことができる。また、標的分子は、ガスクロマトグラフィー等の標準的な非免疫化学的技術によって測定されてもよい。
【0114】
遺伝子ベースの分子診断技術を用いてサンプル中の標的核酸(例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸、またはデモデックス関連細菌の核酸、または被験体の免疫分子)を検出することは、典型的には、上記サンプルを、非常に高いストリンジェンシーの条件下で、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸等の標的核酸にハイブリダイズすることができる少なくとも1つのプローブと接触させること、ならびに上記標的核酸と上記プローブとの間のハイブリダイゼーションを検出することを含む。上記プローブと上記標的核酸との間のハイブリダイゼーションの検出は、上記サンプル中の上記標的核酸(および生物、例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis))の存在を示す。
【0115】
サンプル中に存在するデモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸は、検出用のハイブリダイゼーションプローブを使用する前に増幅される。例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸の一部を増幅し、次いで増幅されたデモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸の存在を検出することが有利であり得る。
【0116】
増幅産物を検出することは、典型的には、十分に相補的であり、増幅された標的核酸配列にハイブリダイズする標識プローブを使用することを含む。したがって、増幅産物の存在、量、および/または同一性は、増幅産物に相補的な、蛍光標識されたプローブ等の標識プローブをハイブリダイズさせることによって検出することができる。1つの実施形態において、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸等の目的とする標的核酸配列を検出することは、産物がリアルタイムPCRを使用して測定されるように、PCR増幅および標識プローブを組み合わせて使用することを含む。別の実施形態において、目的とする増幅された標的核酸配列を検出することは、ブロット(例えば、ノーザンブロット)等の、増幅された標的核酸を固体支持体に転写すること、および増幅された標的核酸配列に相補的であるプローブ(例えば、標識プローブ)で転写産物をプローブすることを含む。さらに別の実施形態において、目的とする増幅された標的核酸配列を検出することは、本明細書に開示されるプローブに対し、標識された増幅標的核酸をハイブリダイゼーションすることを含む。当該プローブは、位置特定可能な所定のアレイに配列され、増幅された標的核酸に相補的である。
【0117】
任意の核酸増幅法を用いて、サンプル中のデモデックスの存在を検出することができる。1つの特定の非限定的な例において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標的核酸配列を増幅するために使用される。別の特定の非限定的な例では、標的核酸を増幅するために、リアルタイムPCR、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rtRT-PCR)、リガーゼ連鎖反応、または転写媒介増幅(TMA)が使用される。具体例において、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸は、リアルタイムTAQMAN(登録商標)PCR等のリアルタイムPCRによって増幅される。核酸増幅のための技術は、当業者に周知である。
【0118】
典型的には、少なくとも2つのプライマーが増幅反応において利用される。デモデックス核酸を増幅することは、デモデックス核酸にハイブリダイズし、その増幅を指示することができる1つ以上のプライマー(例えば、非常に高いストリンジェンシー条件下でデモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)にハイブリダイズすることができるプライマー)にデモデックス核酸を接触させることを含む。
【0119】
増幅されたデモデックス核酸は、生体サンプル中のデモデックス特異的核酸(例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis))の存在および/または量を判定するために、例えばリアルタイムPCRによってリアルタイムに検出することができる。このようにして、増幅されたデモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸配列等の増幅された核酸配列は、目的とするデモデックス配列から増幅された産物に特異的なプローブを使用して検出することができる。
【0120】
蛍光体は、規定された波長の光等の特定の刺激への暴露によって励起されると、例えば、異なる波長(例えば、より長い光の波長)で光を放出する(蛍光を発する)化合物である。蛍光体は、より大きなクラスの発光化合物の一部である。発光化合物は、発光するために特定の波長の光を必要とせず、むしろ化学エネルギー源を使用する化学発光分子を含む。したがって、化学発光分子(エクオリン等)を使用することにより、レーザ等の外部電磁放射源の必要性がなくなる。
【0121】
プローブは、標的核酸(デモデックス核酸等、例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)のリボソーム核酸分子)にハイブリダイズし得る単離された核酸を含む。検出可能な標識またはレポーター分子をプローブに付着させることができる。典型的な標識としては、放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光剤または蛍光剤、ハプテン、および酵素が挙げられる。
【0122】
種々の目的に適した標識の選択におけるラベリングおよびガイダンスのための方法は、例えば、Sambrookらによる「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)およびAusubelらによる「Current Protocols in Molecular Biology」、Greene Publishing Associates and Wiley-Intersciences (1987)において検討されている。
【0123】
当業者は、サンプルからRNAおよび/またはDNA等の核酸を抽出するための適切な方法を理解するであろう。このような方法は、例えば、デモデックス核酸が見出されるサンプルの型に依存する。例えば、核酸は、Chomczynskiら(Anal. Biochem.、1997, 162:156-59)の酸性イソチオシアン酸グアニジニウム-フェノール-クロロホルム抽出による単一工程分離等により、イソチオシアン酸グアニジニウムを使用して抽出されてもよい。サンプルを直接用いることもでき、あるいは溶媒、防腐剤、緩衝液、または他の化合物もしくは物質の添加等の処理を加えてもよい。核酸は、標準的な方法を用いて抽出することができる。例えば、核酸は、市販のキット(キアゲン(QIAGEN)(登録商標)DNAミニキット(DNA Mini kit)(QIAGEN(登録商標))、ロシュ・MagNAピュアコンパクト核酸アイソレーションキットI(Roche MagNA Pure Compact Nucleic Acid Isolation Kit I)、もしくはアールエヌイージー(RNEASY)(登録商標)ミニキット(Mini Kit)(QIAGEN(登録商標));ニュークリセンス(NUCLISENS)(登録商標)NASBAダイアグノスティクス(NASBA Diagnostics)(ビオメリュー(bioMerieux));またはマスターピュア(MASTERPURE)(商標)コンプリートDNA・RAN精製キット(Complete DNA and RNA Purification Kit)(エピセンター(EPICENTRE))を用いて迅速に調整することができる。
【0124】
アレイは、サンプル中のデモデックス核酸を迅速に検出するために使用されてもよい。アレイは基板上の位置特定可能な配列であり、各アドレスは、プローブ(例えば、デモデックスプローブ)等の核酸を含む。諸実施形態において、各アドレスは、単一のプローブ等の単一のタイプまたはクラスの核酸に対応するが、特定の核酸が複数のアドレスに重複して含まれてもよい。「マイクロアレイ」はハイブリダイゼーションの検出のために顕微鏡検査を必要とする小型化されたアレイである。より大きな「マクロアレイ」は、ヒトが裸眼で各アドレスを認識することを可能にする。諸実施形態において、ハイブリダイゼーションシグナルは、倍率を上げることなく検出可能である。アドレスは、標識されるか、別個のガイドにリンクされるか、または位置によって識別されてもよい。
【0125】
「アレイ」という用語の使用は、DNAマイクロチップ技術において見出されるアレイを含む。1つの非限定的な例として、プローブは、アフィメトリクス社(Affymetrix, Inc.)(米国カリフォルニア州サンタクララ)から市販されているジーンチップ(GENECHIP)(登録商標)製品および関連製品に類似するDNAマイクロチップ上に含まれ得る。簡単には、DNAマイクロチップは、ガラスウエハ基板上のプローブの小型化された高密度アレイである。特定のプローブが選択され、フォトリソグラフィマスクは、半導体産業で使用されるものと同様の固相化学合成およびフォトリソグラフィ製造技術に基づくプロセスで使用するために設計される。マスクは、チップ曝露部位を単離するために用いられる。プローブはこれらの部位で化学合成され、各プローブはアレイ内の同定された位置にある。製造後、アレイは、ハイブリダイゼーションの準備が整っている。サンプル内のプローブまたは核酸は、蛍光標識等で標識されてもよく、ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイゼーションシグナルが検出され、分析されてもよい。
【0126】
併用治療
追加の薬剤を、上記スピノシン組成物と同時にまたは連続して被験体に投与することができる。追加の薬剤は、上記スピノシン組成物の局所投与の前、間、または後に投与することができる。上記追加の薬剤は、上記1つ以上のスピノシン化合物と同じ組成物で投与されてもよく、または別個の組成物で被験体に投与されてもよい。別個の組成物で投与される場合、上記追加の薬剤は、局所投与されてもよく、あるいは、当該追加の薬剤が被験体に対して所望の効果を有するのに適切な任意の局所または全身経路で投与されてもよい。諸実施形態において、上記追加の薬剤は、局所投与される。別の実施形態において、上記追加の薬剤は、経口投与される。
【0127】
諸実施形態において、上記追加の薬剤は、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、レスメトリン、またはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(例えば、テルピネン-4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(例えば、ペパーミント油またはサルビア)、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩)、ホスホロチオエート(例えば、クマホス等の不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(例えば、N,N'-[(メチルイミノ)ジメチルリジン]ジ-2,4-キシリジンとしても同定されるアミトラズ)から選択される1つ以上の薬剤等の、デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有するものである。
【0128】
ペルメトリンは、合成由来の殺虫剤であるピレスロイド類の一種である。ピレスロイドは、自然界に存在するピレトリン、ピレトリンI、およびピレトリンIIと構造的に関連している。合成ピレスロイドとしては、ペルメトリン(米国特許第4,113,968号;米国特許公開第20160361297号)、レスメトリン、およびスミトリン(米国特許第3,934,023号および第2,348,930号)が挙げられ、これらは、その全体が参照により本明細書に援用される。ピレスロイドの他の例としては、ビフェントリン、シフルトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、D-フェネトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フルメトリン、ガンマシハロトリン、イミプロトリン、ラムダシハロトリン、モンフルオロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリン、タウフルバリネート、テフルトリン、およびテトラメトリンが挙げられる。
【0129】
諸実施形態において、上記追加の薬剤は抗生物質である。諸実施形態において、上記抗生物質は、デモデックスダニ上またはデモデックス内部に見出される1つ以上の細菌(例えば、レンサ球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、またはセレウス菌(Bacillus oleronius))に対して抗菌活性を有する。諸実施形態において、上記抗生物質は、メトロニダゾール等の殺ダニ活性を有する。
【0130】
諸実施形態において、上記追加の薬剤は、1つ以上の抗炎症剤である。含まれ得る抗炎症剤の例としては、グルココルチコイドまたは他のステロイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、サリチル酸、アリールアルカン酸、2-アリールアントラニル酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホナニリド)、Cox-2特異的阻害薬(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーロフィン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン、抗ロイコトリエン、β作動薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、抗生物質、タクロリムス、レチノイドが挙げられる。
【0131】
諸実施形態において、上記抗炎症剤は、局所使用のために配合される。諸実施形態において、上記局所抗炎症剤は、局所ステロイドである。米国では、局所ステロイドは、毛細血管を収縮させ、皮膚の白化を引き起こす能力によって分類され(クラス/グループI~VII)、グループIが最も強くまたは最も効能があり、グループVIIが最も弱く、最も穏やかである。利用され得る局所的に配合されたステロイドの例として、クロベタゾール、ベタメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ハロベタゾール、アムシノニド、デスオキシメタゾン、ハルシノニド、フルチカゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、デノシド、およびプレドニカルバートが挙げられる。
【0132】
諸実施形態において、上記抗炎症剤は、眼科用に配合される。利用され得る眼科的に配合されたステロイドの例として、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、フルオロメタロン、ロテプレドノールエタボネート、およびリメキソロンが挙げられる。
【0133】
諸実施形態において、上記追加の薬剤は、殺ダニ剤として使用することができる1つ以上のアルカリ金属塩である。リチウム塩は、好ましいアルカリ金属塩である。塩化リチウムは、最も好ましいアルカリ金属塩である。
【0134】
アルカリ金属塩またはリチウム塩に言及するときはいつでも、そのようなアルカリ金属塩またはリチウム塩が好ましくはデモデックスダニに殺ダニ効果を発揮するのに適し、かつ発揮することができるアルカリ金属またはリチウムの任意の有機塩ならびに無機塩を含むことを理解されたい。リチウム等のアルカリ金属の有機塩としては、クエン酸塩、炭酸塩、乳酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、オロチン酸塩等の塩が挙げられる。アルカリ金属の無機酸塩には、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩等の塩が含まれる。本明細書の目的で、無機塩は、有機塩よりも好ましい場合がある。無機塩類の中で、ハロゲン化物は、他の無機塩よりも好ましい場合がある。ハロゲン化物の中で、塩化物塩が特に好ましい場合がある。使用される塩(有機塩対無機塩等)にかかわらず、水溶性塩が好ましい。水溶性塩は、ミツバチに供給され、この経路を介して間接的にバロアダニによって取り込まれる得るショ糖溶液等のミツバチ不消化性組成物の形態で提供することができるからである。特定の塩について言及するときはいつでも、特に断らない限り、当該特定の塩は常にその水和物または無水物を包含する。アルカリ金属類は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムを含む。アルカリ金属類の中では、リチウムが特に好ましい。
【0135】
アルカリ金属塩の中で、水和されていても無水であってもよいリチウムの有機または無機塩が、例えば酸カリウムの対応する塩よりも好ましい。LiCl等の無機リチウム塩は、有機リチウム塩と比較してコストが低いので有利である。したがって、リチウム塩類の中では、無機リチウム塩が有機リチウム塩よりも好ましい場合がある。好ましい無機リチウム塩としては、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、リン酸リチウム等が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、有機リチウム塩は、2つ以上のリチウムイオンを錯化することができ、無機リチウム塩と比較してより良くミツバチに取り込まれ得るため、有利な場合がある。好ましい有機リチウム塩としては、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、乳酸リチウム、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、マレイン酸リチウム、酒石酸リチウム、オロチン酸リチウム等が挙げられるが、これらに限定されない。無機リチウム塩類の中で、ハロゲン化物は、他の無機塩よりも好ましい場合がある。有機リチウム塩類の中で、乳酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、および炭酸塩は、他の有機塩よりも好ましい場合がある。以下に記載される全ての側面および実施形態を通して好ましい1つのアルカリ金属塩は、塩化リチウムの水和物又は無水物である。
【0136】
他の追加の薬剤と同様に、アルカリ金属塩は、種々の方法で投与することができる。上記アルカリ金属塩は、眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域に局所投与されるのが好ましい。上記アルカリ金属塩は、上記スピノシン組成物内に含まれてもよく、あるいは、上記スピノシン組成物の投与前、投与中、または投与後に別個の組成物として被験体に投与されてもよい。殺ダニに有効な量が投与されるのが好ましい。諸実施形態では、濃度が約0.5mM~約150mMのアルカリ金属塩(例えば、LiCl)の範囲内である。
【0137】
製品
本発明の他の側面は、容器と関連するスピノシン組成物;眼用または顔面用アプリケータ;およびキット等の本発明の方法を実施するために有用な製品を含む。
【0138】
本発明の1つの側面は、本明細書に開示されるスピノシン組成物を含む製品;および上記局所組成物を内部に含む容器である。したがって、上記スピノシン組成物は、被験体への投与のためにアクセスされ得る容器内に含まれてもよい。上記容器は、上記組成物を収容するための画定された内部を有していてもよい。上記組成物および容器内部は、無菌であるのが好ましい。容器の例としては、折り畳み可能または非折り畳み可能な管、バッグ、小箱、ブリスター、ストリップ、アンプル、バイアル、ボトル、缶、または瓶が挙げられる。上記容器は、アルミニウム、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリプロピレン、またはガラス等、その使用に適した1つ以上の材料から構成されてもよい。
【0139】
諸実施形態において、上記容器は、当該容器内の上記組成物にアクセスするように作動され得るキャップ等のクロージャを有する。充填プロセスの後に容器を覆う目的で使用されるクロージャは、内容物と外部環境との間の望ましくないインタラクションを引き起こさないように、可能な限り不活性であるべきであり、完全な密封をもたらすべきである。それらの保護機能に加えて、クロージャは、上記スピノシン組成物の容易かつ安全な投与を可能にすべきである。諸実施形態において、上記容器は、不正開封防止クロージャを有する。諸実施形態において、上記容器は、クロージャを有さず、上記スピノシン組成物は、上記容器の材料を引き裂く、分離する、または破壊することによってアクセスされる。
【0140】
上記容器は、(エラストマー材料から構成される)ゴムクロージャ、またはアルミニウム、もしくはポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックから構成されてもよいキャップおよび/またはオーバーシールを含む。
【0141】
上記容器は、不正開封防止クロージャのような不正開封防止機能を含んでもよい。例えば、眼の軟膏剤は、典型的には、不正開封防止アプリケータが取り付けられた、小さな、滅菌された、折りたたみ可能なチューブ(例えば、約5グラムまでの組成物を含む)内に供給される。管は、当該管内に残っているものを汚染することなく上記軟膏剤を投与することができるように成形されたノズルを含んでもよい。上記容器は、「プレスターン」または「スクイーズターン」タイプ等、再閉鎖可能なチャイルドレジスタントタイプのクロージャを含んでもよい。
【0142】
上記容器は、単回用量または複数容器であってもよい。諸実施形態において、上記容器は、単回用量容器(上記ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニ寄生を治療するための上記組成物、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連して引き起こされる上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための上記組成物の単回用量を含む)である。別の実施形態において、上記容器は、複数用量容器(ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニ寄生を治療するための組成物、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための組成物の複数用量を含む)である。
【0143】
任意選択で、本明細書に記載の組成物を含む容器は、遮光性であり、密封シールを有する。例えば、上記(複数の)容器は、本明細書に記載の皮膚科学的または眼科的に許容されるスピノシン組成物のうちの1つを含むことができる。諸実施形態において、上記容器は、特定の波長の光および長期の高温、および/または空気の進入から保護する。諸実施形態において、上記容器は、密封された耐光性容器である。
【0144】
ラベルは、上記容器上にあってもよいし、上記容器に関連付けてもよい。ラベルは、当該ラベルを形成する文字、数字、または他の文字が上記容器自体に取り付けられ、成形され、またはエッチングされるときに、容器上に存在することができる。ラベルは、例えば、パッケージ挿入物として、容器を保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在するときに、上記容器と関連付けることができる。ラベルは、内容物が特定の治療的用途のために使用されることを示すために使用され得る。また、ラベルは、本明細書に記載の方法のように、内容物の使用のための説明を示すこともできる。
【0145】
本発明の別の側面は、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための、眼用または顔面用アプリケータである。上記アプリケータは、本明細書中に開示されるスピノシン組成物で前処理されるか、または当該スピノシン組成物を含む。上記アプリケータは、1つ以上のスピノシン化合物を含む組成物を、眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域に局所投与するために、被験体によって、または別の個体によって使用され得る。諸実施形態において、上記アプリケータは、スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛である。
【0146】
本発明の別の側面は、ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するためのキットである。上記キットは、上記スピノシン組成物および眼用または顔面用アプリケータを含む。上記キットは、上記組成物を含有する本明細書に開示される容器をさらに含んでもよい。アプリケータの例としては、スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛が挙げられる。
【0147】
諸実施形態において、上記アプリケータは、上記組成物で前処理されるか、または上記組成物を含む。このようにして、上記アプリケータが上記組成物で前処理されるか、または上記組成物を含む場合、上記アプリケータは容器としても機能し得る。
【0148】
上記キットは、上記組成物をヒト被験体または動物被験体の眼の表面(結膜および/または角膜)もしくは上記眼の他の解剖学的構造または上記眼に隣接する領域に局所投与することにより、上記眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための一連の印刷されたまたはデジタルの説明書を含んでもよい。例えば、上記キットは、上記スピノシン組成物を罹患領域または他の標的領域に局所投与する工程、およびデモデックス寄生に関連する1つ以上の徴候または症状を軽減または排除するのに十分になるまで上記投与工程を繰り返して、生存デモデックス数を減少させ、所望の領域における生存デモデックスを排除し、デモデックス再寄生を減少させ、またはデモデックス寄生の開始を予防または遅延させる工程を含む使用説明書を含んでもよい。
【0149】
キットは、バイアル、管等の1つ以上の容器を受け入れるように区画化された包装材料を含むことができ、当該(複数の)容器の各々は、本明細書に記載の方法で使用される別個の要素のうちの1つを含む。医薬品を包装する際に使用するための包装材料としては、単なる例として、米国特許番号第5,323,907号、第5,052,558号、および第5,033,252号に記載のものが挙げられる。医薬包装材料の例としては、ブリスターパック、ボトル、管、ポンプ、バッグ、バイアル、遮光密閉容器、シリンジ、ボトル、および選択された製剤ならびに意図された投与および処置の形態に適切な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
キットは、1つ以上の追加の容器を含んでもよく、当該追加の容器の各々は、本明細書中に記載されるデモデックスを処置するための上記組成物の使用について商業的観点および使用者の観点から望ましい種々の材料の1つ以上を有する。このような材料の非限定的な例としては、内容物および/または使用説明書を列挙する緩衝液、希釈剤、キャリア、パッケージ、容器、バイアル、および/または管ラベル、ならびに使用説明書を伴う添付文書が含まれるが、これらに限定されない。
【0151】
ラベルは、上記容器上にあってもよいし、上記容器に関連付けてもよい。ラベルは、当該ラベルを形成する文字、数字、または他の文字が上記容器自体に取り付けられ、成形され、またはエッチングされるときに、容器上に存在することができる。ラベルは、例えば、パッケージ挿入物として、容器を保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在するときに、上記容器と関連付けることができる。ラベルは、内容物が特定の治療的用途のために使用されることを示すために使用され得る。また、ラベルは、本明細書に記載の方法のように、内容物の使用のための説明を示すこともできる。
【0152】
上記キットの諸実施形態では、上記スピノシン組成物は、本明細書に開示されるスピノシン組成物を含有する1つ以上の単位剤形を含有することができるパックまたはディスペンサーデバイス中に存在することができる。パックは、例えば、ブリスターパック等の金属またはプラスチック箔を含むことができる。パックまたはディスペンサデバイスには、投与のための説明書を添付することができる。上記パックまたはディスペンサには医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に関連する通知を添付することもでき、この通知は、ヒトまたは獣医学的投与のための医薬品の形態に対する機関による承認を反映する。このような通知は、例えば、米国食品医薬品局によって処方薬品について承認されたラベル、または承認された製品挿入物であり得る。また、互換性のある薬物キャリア中に配合された本明細書において提供されるスピノシン組成物を含有する組成物は、調製され、適切な容器中に配置され、表示された異常の治療のために標識され得る。
【0153】
定義
本明細書で使用する「増幅」という用語は、標的核酸分子のコピー数を増加させることを意味する。得られる増幅産物は「アンプリコン」と呼ばれる。核酸分子(例えば、DNA分子またはRNA分子)の増幅は、サンプル中の核酸分子のコピー数、例えば、デモデックス(例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)またはデモデックスブレビス(D. brevis))核酸のコピー数を増加させる技術の使用をいう。増幅の例はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、サンプルは、当該サンプル中の核酸鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触される。上記プライマーを、適切な条件下で伸長させ、鋳型から解離させ、再アニールさせ、伸長させ、解離させて、核酸のコピー数を増幅する。このサイクルを繰り返すことができる。増幅の産物は、電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションもしくはライゲーション、および/または核酸シーケンシング等の技術により特徴付けることができる。
【0154】
プライマー対は、例えば、PCR、リアルタイムPCR、または当該分野で公知の他の核酸増幅方法による標的核酸配列の増幅のために使用され得る。「上流」または「フォワード」プライマーは、核酸配列上の参照点に対して5'側のプライマーである。「下流」または「リバース」プライマーは、核酸配列上の参照点に対して3'側のプライマーである。一般に、少なくとも1つのフォワードプライマーおよび1つのリバースプライマーが増幅反応に含まれる。PCRプライマー対は、例えば、プライマー(Primer)(Version 0.5, (著作権) 1991, ホワイトヘッド研究所(Whitehead Institute for Biomedical Research)、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)またはプライマーエクスプレスソフトウェア(PRIMER EXPRESS(登録商標) Software)(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)、AB、米国カリフォルニア州フォスターシティ)等のその目的を意図したコンピュータプログラムを使用することによって、既知の配列(例えば、デモデックス配列)由来のものとすることができる。
【0155】
プライマーの調製および使用方法は、例えば、Sambrookら(1989)によるMolecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y.;Ausubelら(1987) によるCurrent Protocols in Molecular Biology, Greene Publ. Assoc. & Wiley-Intersciencesに記載されている。一例では、プライマーはラベルを含む。
【0156】
インビトロ(in vitro)増幅技術の他の例としては、特に、定量的リアルタイムPCR;逆転写酵素PCR(RT-PCR);リアルタイムPCR;リアルタイム逆転写酵素PCR(rtRT-PCR);ネステッドPCR;鎖置換増幅(米国特許第5,744,311号参照);無転写等温増幅(米国特許第6,033,881号、修復鎖反応増幅(国際公開第90/01069号参照);リガーゼ連鎖反応増幅(欧州特許公開第EP-A-320 308号参照);ギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅(米国特許第5,427,930号参照);結合リガーゼ検出およびPCR(米国特許第6,027,889号参照);およびNASBA(商標)RNA無転写増幅(米国特許第6,025,134号参照)が挙げられる。
【0157】
本明細書中で使用される場合、「検出」という用語は、作用物質(例えば、シグナル、特定のヌクレオチド、アミノ酸、核酸分子、および/または生物)の有無、例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)等のデモデックスダニの有無の判定をいう。いくつかの例では、これは定量化をさらに含むことができる。例えば、プローブの使用は、蛍光体の検出、例えば、蛍光体からのシグナルの検出を可能にし、これは、デモデックス(デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis))の核酸に対応する核酸が存在するかどうかを判定するために使用され得る。デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の核酸分子の検出は、サンプル中のデモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の存在、例えば、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)および/またはデモデックスブレビス(D. brevis)の寄生を示す。
【0158】
「殺虫(acaricidal)」および「殺ダニ(miticidal)」という用語は、本明細書では、任意の生命段階にあるデモデックス属のダニを殺す能力、またはデモデックスダニ集団の全体的な減少をもたらす任意の方法におけるデモデックスダニの成長を阻害する能力もしくはライフサイクルを阻害する能力を指すために互換的に使用される。諸実施形態において、デモデックス種は、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)、デモデックスブレビス(D. brevis)、またはその両方である。例えば、「殺ダニ」という用語は、害虫の生殖能力の阻害、および1つの形態からより成熟した形態への害虫の変態の阻害を含む。害虫の変態には、例えば、各種幼虫形態間の変態、幼虫から第一若虫への変態、第一若虫から各種若虫への変態、または若虫から成虫への変態がある。さらに、殺ダニという用語は、ダニのライフサイクルのすべての段階を含むことを意図している。したがって、例えば、この用語は、殺幼虫、殺卵、および殺成虫作用を含む。
【0159】
本明細書中で使用される場合、「殺ダニに有効」という用語は、スピノシンまたは他の殺ダニ剤の量または濃度が存在しない場合の解剖学的位置と比較して、当該解剖学的位置におけるデモデックスダニの数を減少させるのに十分であるスピノシンまたは他の殺ダニ剤の量または濃度を示すことが意図される。
【0160】
本明細書中で使用される場合、「治療」、「治療する」という用語およびその文法的バリエーションは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の少なくとも1つの兆候もしくは症状の改善、予防、または好転をいう。諸実施形態において、「治療」または「治療する」という用語は、治療される疾患もしくは障害に関連する少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善、予防、または好転をいい、被験体においてまたは被験体によって必ずしも認められるものではない。さらに別の実施形態において、「治療」または「治療する」という用語は、疾患もしくは障害の進行を、物理的に、例えば、認められる兆候もしくは症状の安定化、もしくは生理学的に、例えば、物理的パラメーターの安定化、または物理的及び生理学的に阻害または遅延させることをいう。さらに別の実施形態において、「治療」または「治療する」という用語は、疾患または障害の発症を遅延させることをいう。
【0161】
例示的な実施形態
1.ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための方法、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための方法であって、
1つ以上のスピノシン化合物を含む組成物を、上記眼の表面(結膜および/または角膜)もしくは上記眼の他の解剖学的構造に、または上記眼に隣接する領域に局所投与する
治療方法。
2.上記実施形態1に記載の治療方法であって、
上記被験体は上記異常を有し、上記異常は、デモデックスにより誘発された眼瞼炎(デモデックス眼瞼炎とも呼ばれる)、デモデックスにより誘発された眼型酒さ、デモデックスにより誘発された顔面酒さ、ドライアイ、マイボーム腺機能不全、霰粒腫、麦粒腫、濾胞性炎症、非特異的顔面皮膚炎、浸潤性角結膜炎、結節性瘢痕沈着、または角膜血管新生のうちの1つ以上である。
治療方法。
3.上記実施形態1または2に記載の治療方法であって、
上記治療は、上記被験体における掻痒感、灼熱感、異物感、眼瞼縁の痂皮形成および発赤、霧視、円筒状のフケ、睫毛の不整列、睫毛乱生症、睫毛脱落症、眼瞼縁の炎症、マイボーム腺機能不全、眼瞼結膜炎、ならびに眼瞼角膜炎から選択される、上記被験体における1つ以上の徴候または症状を軽減する
治療方法。
4.上記実施形態1から3のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、上記眼に隣接する領域に局所投与され、
上記領域は、眼瞼、眼瞼縁、睫毛、睫毛の毛包、眉毛、または眉毛の毛包のうちの1つ以上を含む
治療方法。
5.上記実施形態1から3のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、上記眼に隣接する領域に局所投与され、
上記領域は、上記眼瞼の皮脂腺開口部(例えば、ツァイス腺、モール腺、またはマイボーム腺のうちの1つ以上)を含む
治療方法。
6.上記実施形態1から5のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記デモデックスダニは、デモデックスフォリキュロラム(D. folliculorum)、デモデックスブレビス(D. brevis)、またはその両方を含む
治療方法。
7.上記実施形態1から6のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記被験体は、上記投与の時点で症候性である
治療方法。
8.上記実施形態1から6のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記被験体は、上記投与の時点で無症候性である
治療方法。
9.上記実施形態1から8のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記投与の前にデモデックスダニの存在を確認することをさらに含む
治療方法。
10.上記実施形態9に記載の治療方法であって、
上記確認することは、インビボ(in vivo)または生体サンプル(例えば、毛髪または皮膚サンプル)中のデモデックスダニをエクスビボ(ex vivo)で同定すること、またはデモデックスダニの存在に関連する分子(例えば、キチン、キチンシンターゼ、リパーゼ、バチルス抗原)を検出することを含む
治療方法。
11.上記実施形態1から8のいずれか1つに記載の治療方法であって、
有効量の上記組成物を局所投与して、上記眼および隣接する皮膚および毛髪上の生きているデモデックスダニの数を減少させる
治療方法。
12.上記実施形態1から11のいずれか1つに記載の治療方法であって、
有効量の上記組成物を局所投与して、上記眼および隣接する皮膚および毛髪から生きているデモデックスダニの存在を排除する
治療方法。
13.上記実施形態1から12のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物は、式(I)の化学構造またはその薬学的に許容される塩を有する
治療方法。
【化1】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、なし;H;F;Cl;Br;I;OH;CN;メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;アルキニル;アラルキル;アルカリル;ハロゲン化アルキル;ヘテロアルキル;アリール;ヘテロシクリル;シクロアルキル;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ヒドロキシアルキル;アミノアルキル;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アシルアミノ;ヒドロキシル;チオール;チオアルキル;アルコキシ;アルキルチオ;アルコキシアルキル;アリールオキシ;アリールアルコキシ;アシルオキシ;ニトロ;カルバモイル;トリフルオロメチル;フェノキシ;ベンジルオキシ;ホスホン酸;リン酸エステル;スルホン酸(-SOH);スルホン酸エステル;スルホンアミド;アルカリル;アリールアルキル;カルバメート;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アルキルチオ;ヘテロアルキル;アルキルトリフェニルホスホニウム;ヘテロシクリル;ケトン(=O);エーテル(-OR17);およびエステル(-COOR18および-OC(=O)R18)からなる群から独立して選択することができ;
およびRは、シクロペンタン環内の二重結合とすることができ;
11およびR13は、シクロヘキサン環内の二重結合とすることができ;
17は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができ;
18は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができる)
14.上記実施形態1から13のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物は、スピノシンA、スピノシンB、スピノシンC、スピノシンD、スピノシンE、スピノシンF,スピノシンG、スピノシンH、スピノシンI、スピノシンJ、スピノシンK、スピノシンL、スピノシンM、スピノシンN、スピノシンO、スピノシンP、スピノシンR、スピノシンS、スピノシンT、スピノシンU、スピノシンV、スピノシンW、スピノシンY、スピノソイドN-ジメチルD、スピノソイドN-ジメチルK、スピノソイドN,N-ジメチルK、スピノソイドN-ジメチルP、スピノソイド2'-H A、スピノソイド2'-H D、スピノソイド2'-O-エチルA、スピノソイド3'-H A、スピノソイド3'-O-エチルA、スピノソイド3'-O-n-プロピルA、スピノソイド3'-O-n-ブチルA、スピノソイド3'-O-アリルA、スピノソイド-O-CHCFA、スピノソイド4'-H A、スピノソイド4'-O-エチルA、またはスピノソイド2',3',4'-トリ-O-エチルAから選択される
治療方法。
15.上記実施形態1から14のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物は、スピノシンAおよびスピノシンDの組み合わせを含む
治療方法。
16.上記実施形態15に記載の治療方法であって、
上記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンDが約18:2~約16:4の比で上記組成物中に存在する
治療方法。
17.上記実施形態15に記載の治療方法であって、
上記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンD(スピノサド)が約17:3の比で上記組成物中に存在する
治療方法。
18.上記実施形態1から17のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、上記1つ以上のスピノシン化合物以外に活性剤を含まない
治療方法。
19.上記実施形態1から18のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤を含まない
治療方法。
20.上記実施形態1から17のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域に上記1つ以上のスピノシン化合物以外の任意の活性剤を局所投与することを含まない
治療方法。
21.上記実施形態1から17のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物に加えて、上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する薬剤を上記眼の表面(結膜および/または角膜)、上記眼の他の解剖学的構造、または上記眼に隣接する領域に局所投与することを含まない
治療方法。
22.上記実施形態1から17のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤をさらに含む
治療方法。
23.上記実施形態22に記載の治療方法であって、
上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する上記追加の薬剤は、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、レスメトリン、またはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(例えば、テルピネン-4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(例えば、ペパーミント油またはサルビア)、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩)、ホスホロチオエート(例えば、クマホス等の不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(例えば、アミトラズ)から選択される1つ以上の薬剤である
治療方法。
24.上記実施形態1から17のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物を有する上記組成物の局所投与の前、間、または後に上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤を投与することをさらに含み、
上記追加の薬剤は、別個の組成物で投与される
治療方法。
25.上記実施形態24に記載の治療方法であって、
上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する上記追加の薬剤は、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、レスメトリン、またはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(例えば、テルピネン-4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(例えば、ペパーミント油またはサルビア)、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩)、ホスホロチオエート(例えば、クマホス等の不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(例えば、アミトラズ)から選択される1つ以上の薬剤である
治療方法。
26.上記実施形態1から25のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記被験体に抗生物質を投与することをさらに含み、
上記抗生物質は、上記1つ以上のスピノシン化合物を有する上記組成物中または別個の組成物中に存在する
治療方法。
27.上記実施形態26に記載の治療方法であって、
上記抗生物質は、レンサ球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、またはセレウス菌(Bacillus oleronius)のうちの1つ以上に対して抗菌活性を有する
治療方法。
28.上記実施形態1から27のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記被験体に抗炎症剤を投与することをさらに含み、
上記抗炎症剤は、上記1つ以上のスピノシン化合物を有する上記組成物中または別個の組成物中に存在する
治療方法。
29.上記実施形態28に記載の治療方法であって、
上記抗炎症剤は、グルココルチコイドまたは他のステロイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、サリチル酸、アリールアルカン酸、2-アリールアントラニル酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホナニリド)、Cox-2特異的阻害薬(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーロフィン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン、抗ロイコトリエン、β作動薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、抗生物質、タクロリムス、レチノイドから選択される
治療方法。
30.上記実施形態1から29のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、スプレー、ローション、ゲル、ペースト、香膏、フォーム、ムース、スクラブまたはクレンザー(例えば、シャンプーまたは石けん)、クリーム、または軟膏剤である
治療方法。
31.上記実施形態1から30のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、アプリケータ(例えば、スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛)を使用して局所投与される
治療方法。
32.上記実施形態1から31のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、化粧品である
治療方法。
33.上記実施形態32に記載の治療方法であって、
上記化粧品は、マスカラ、アイシャドウ、またはアイライナーである
治療方法。
34.上記実施形態1から33のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、ワセリン、ミネラルオイル、プロピルパラベン、メチルパラベン、ラノリン、クロロブタノール、水、ラノリンアルコール、チオ硫酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、酢酸フェニル水銀、マンニトール、塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、酢酸カリウム、ヒプロメロース、ゲンタムシシン硫酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、ラノリン油、カルボマーホモポリマータイプAまたはB(アリルペンタエリスリトール架橋)、または塩化ベンザルコニウムから選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む
治療方法。
35.上記実施形態1から34のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、エマルジョンであり、水、水酸化ナトリウム、ポリソルベート80、グリセリン、ヒマシ油、カルボマーコポリマータイプA、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸、エデト酸二ナトリウム、またはシリコーン油もしくはシリコーンポリマーゲル(例えば、ジメチコンまたはシクロメチコン)から選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む
治療方法。
36.上記実施形態1から35のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、ゲル化剤(例えば、粘剤、寒天、カラギーナン、ワセリン、またはセルロースポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロース))をさらに含む
治療方法。
37.上記実施形態1から36のいずれか1つに記載の治療方法であって、
溶剤、共溶剤、粘滑剤、皮膚軟化剤、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、または可溶化剤のうちの1つ以上をさらに含む
治療方法。
38.上記実施形態1から37のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、0.1%~10%(w/v)の上記1つ以上のスピノシン化合物を含む
治療方法。
39.上記実施形態1から38のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、投与前に、クロージャー(例えば、キャップ)の有無にかかわらず、容器からアクセスされ、分配される
治療方法。
40.上記実施形態39に記載の治療方法であって、
上記容器は、折り畳み可能または非折り畳み可能な管、バッグ、小箱、ブリスター、ストリップ、アンプル、バイアル、ボトル、缶、または瓶である
治療方法。
41.上記実施形態39または40に記載の治療方法であって、
上記容器は、アルミニウム、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリプロピレン、またはガラスから選択される1つ以上の材料を含む
治療方法。
42.上記実施形態39から41のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記容器は、単回用量容器(上記ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニ寄生を治療するための上記組成物、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連して引き起こされる上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための上記組成物の単回用量を含む)である
治療方法。
43.上記実施形態39から41のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記容器は、複数用量容器(上記ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニ寄生を治療するための上記組成物、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連して引き起こされる上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための上記組成物の複数用量を含む)である
治療方法。
44.上記実施形態39から43のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記容器は、上記組成物を収容する内部を有し、上記容器内部および上記組成物が無菌である
治療方法。
45.上記実施形態1から44のいずれか1つに記載の治療方法であって、
上記組成物は、表1、表2、表3、表4、または表5に記載された組成物のうちの1つの組成物である
治療方法。
46.0.1%~10%(w/v)の上記1つ以上のスピノシン化合物を含む局所組成物。
47.上記実施形態46に記載の局所組成物であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物は、式(I)の化学構造またはその薬学的に許容される塩を有する
局所組成物。
【化2】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、なし;H;F;Cl;Br;I;OH;CN;メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;アルキニル;アラルキル;アルカリル;ハロゲン化アルキル;ヘテロアルキル;アリール;ヘテロシクリル;シクロアルキル;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ヒドロキシアルキル;アミノアルキル;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アシルアミノ;ヒドロキシル;チオール;チオアルキル;アルコキシ;アルキルチオ;アルコキシアルキル;アリールオキシ;アリールアルコキシ;アシルオキシ;ニトロ;カルバモイル;トリフルオロメチル;フェノキシ;ベンジルオキシ;ホスホン酸;リン酸エステル;スルホン酸(-SOH);スルホン酸エステル;スルホンアミド;アルカリル;アリールアルキル;カルバメート;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;ジアルキルアミノ;アルキルアリールアミノ;ジアリールアミノ;アルキルチオ;ヘテロアルキル;アルキルトリフェニルホスホニウム;ヘテロシクリル;ケトン(=O);エーテル(-OR17);およびエステル(-COOR18および-OC(=O)R18)からなる群から独立して選択することができ;
およびRは、シクロペンタン環内の二重結合とすることができ;
11およびR13は、シクロヘキサン環内の二重結合とすることができ;
17は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができ;
18は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の(C1-4)アルキル;アルケニル炭素鎖の任意の位置に二重結合があってもよく、任意のアルケニル立体配座異性体を含むエテニル、プロペニル、ブテニル等の(C2-4)アルケニル;およびアルキニルからなる群から独立して選択することができる)
48.上記実施形態46または47に記載の局所組成物であって、
上記1つ以上のスピノシン化合物は、スピノシンAおよびスピノシンDの組み合わせを含む
局所組成物。
49.上記実施形態48に記載の局所組成物であって、
上記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンDが約18:2~約16:4の比で上記組成物中に存在する
局所組成物。
50.上記実施形態48に記載の局所組成物であって、
上記スピノシンAおよびスピノシンDは、スピノシンA対スピノシンD(スピノサド)が約17:3の比で上記組成物中に存在する
局所組成物。
51.上記実施形態46から50のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、上記1つ以上のスピノシン化合物以外に活性剤を含まない
局所組成物。
52.上記実施形態46から50のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤を含まない
局所組成物。
53.上記実施形態46から50のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する追加の薬剤をさらに含む
局所組成物。
54.上記実施形態53に記載の局所組成物であって、
上記デモデックスダニに対する殺ダニ活性を有する上記追加の薬剤は、イベルメクチン、ピレスリン、ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、レスメトリン、またはD-フェノトリン)、茶樹油(TTO)、TTO成分(例えば、テルピネン-4-オール(T4O))、メトロニダゾール、次亜塩素酸(HOCl)、精油(例えば、ペパーミント油またはサルビア)、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩)、ホスホロチオエート(例えば、クマホス等の不揮発性で脂溶性のホスホロチオエート)、またはホルムアミジン(例えば、アミトラズ)から選択される1つ以上の薬剤である
局所組成物。
55.上記実施形態46から54のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
抗生物質剤をさらに含む
局所組成物。
56.上記実施形態55に記載の局所組成物であって、
上記抗生物質は、レンサ球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、またはセレウス菌(Bacillus oleronius)のうちの1つ以上に対して抗菌活性を有する
局所組成物。
57.上記実施形態46から56のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
抗炎症剤をさらに含む
局所組成物。
58.上記実施形態57に記載の局所組成物であって、
上記抗炎症剤は、グルココルチコイドまたは他のステロイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、サリチル酸、アリールアルカン酸、2-アリールアントラニル酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホナニリド)、Cox-2特異的阻害薬(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーロフィン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン、抗ロイコトリエン、β作動薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、抗生物質、タクロリムス、レチノイドから選択される
局所組成物。
59.上記実施形態46から58のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、スプレー、ローション、ゲル、ペースト、香膏、フォーム、ムース、スクラブまたはクレンザー(例えば、シャンプーまたは石けん)、クリーム、または軟膏剤である
局所組成物。
60.上記実施形態46から59のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、化粧品である
局所組成物。
61.上記実施形態60に記載の局所組成物であって、
上記組成物は、マスカラ、アイシャドウ、またはアイライナーである
局所組成物。
62.上記実施形態46から61のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、軟膏剤であり、ワセリン、ミネラルオイル、プロピルパラベン、メチルパラベン、ラノリン、クロロブタノール、水、ラノリンアルコール、チオ硫酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、酢酸フェニル水銀、マンニトール、塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、酢酸カリウム、ヒプロメロース、ゲンタムシシン硫酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、ラノリン油、カルボマーホモポリマータイプB(アリルペンタエリスリトール架橋)、または塩化ベンザルコニウムから選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む
局所組成物。
63.上記実施形態46から61のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、エマルジョンであり、水、水酸化ナトリウム、ポリソルベート80、グリセリン、ヒマシ油、カルボマーコポリマータイプA、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸、エデト酸二ナトリウム、カルボマーコポリマータイプA(アリルペンタエリスリトール架橋)、またはシリコーン油もしくはシリコーンポリマーゲル(例えば、ジメチコンまたはシクロメチコン)から選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む
局所組成物。
64.上記実施形態46から63のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、ゲル化剤(例えば、粘剤、寒天、カラギーナン、ワセリン、またはセルロースポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロース))をさらに含む
局所組成物。
65.上記実施形態46から64のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
溶剤、共溶剤、粘滑剤、皮膚軟化剤、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、または可溶化剤のうちの1つ以上をさらに含む
局所組成物。
66.上記実施形態46から64のいずれか1つに記載の局所組成物であって、
上記組成物は、表1、表2、表3、表4、または表5に記載された組成物のうちの1つの組成物である
局所組成物。
67.上記実施形態46から66のいずれか1つに記載の局所組成物と、
上記局所組成物を内部に含む容器と
を含む製品。
68.上記実施形態67に記載の製品であって、
上記容器は、当該容器内の上記組成物にアクセスするように作動され得るクロージャ(例えば、キャップ)を有する
製品。
69.上記実施形態67または68に記載の製品であって、
上記容器は、折り畳み可能または非折り畳み可能な管、バッグ、小箱、ブリスター、ストリップ、アンプル、バイアル、ボトル、缶、または瓶である
製品。
70.上記実施形態67から69のいずれか1つに記載の製品であって、
上記容器は、アルミニウム、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリプロピレン、またはガラスから選択される1つ以上の材料を含む
製品。
71.上記実施形態67から70のいずれか1つに記載の製品であって、
上記容器は、単回用量容器(上記ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニ寄生を治療するための上記組成物、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連して引き起こされる上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための上記組成物の単回用量を含む)である
製品。
72.上記実施形態67から70のいずれか1つに記載の製品であって、
上記容器は、複数用量容器(上記ヒト被験体または動物被験体の眼に対するデモデックスダニ寄生を治療するための上記組成物、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連して引き起こされる上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための上記組成物の複数用量を含む)である
製品。
73.上記実施形態67から72のいずれか1つに記載の製品であって、
上記容器は、上記組成物を収容する内部を有し、上記容器内部および上記組成物が無菌である
製品。
74.上記実施形態46から66のいずれか1つに記載の局所組成物で前処理された、または上記局所組成物を含む眼用アプリケータまたは顔用アプリケータ。
75.上記実施形態74に記載の眼用アプリケータまたは顔用アプリケータであって、
スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛である
アプリケータ。
76.上記実施形態46から66のいずれか1つに記載の局所組成物と、
上記実施形態76に記載の眼用アプリケータまたは顔用アプリケータと
を含むキット。
77.上記実施形態76に記載のキットであって、
上記組成物を収容する容器をさらに含む
キット。
78.上記実施形態76に記載のキットであって、
上記アプリケータは、上記組成物で前処理されるか、または上記組成物を含む
キット。
79.上記実施形態76から78のいずれか1つに記載のキットであって、
上記アプリケータは、スワブ、化粧パッド、ワイプ、ワイプスティック、タオレット、スポンジ、ガーゼ、パフ、ワンド、ブラシ、または櫛である
キット。
80.上記実施形態76から79のいずれか1つに記載のキットであって、
上記組成物をヒト被験体または動物被験体の眼の表面(結膜および/または角膜)もしくは上記眼の他の解剖学的構造または上記眼に隣接する領域に局所投与することにより、上記眼に対するデモデックスダニの寄生を治療するための、または上記眼に対するデモデックスダニの寄生に関連する上記眼の異常または皮膚の異常を治療するための一連の印刷されたまたはデジタルの説明書をさらに含む
キット。
【0162】
本明細書において言及または引用したすべての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、それらが本明細書の明白な教示と矛盾しない限り、その図面および表を含む全体が参照により本明細書に援用される。
【0163】
本明細書に記載の実施例および実施形態は説明の目的に限られ、それに照らした様々な改変または変更が、当業者に提案され、かつ、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の請求の範囲の範囲内に含まれると理解すべきである。さらに、本明細書に開示された任意の発明またはその実施形態の任意の要素または制限は、本明細書に開示された任意のおよび/またはすべての他の要素または制限(個別にまたは任意の組み合わせで)または任意の他の発明またはその実施形態と組み合わせることができ、すべてのそのような組み合わせは、それに限定されることなく本発明の範囲で考慮される。
図1