(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】散乱粒子を含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20241010BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/22
(21)【出願番号】P 2021516986
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2019076098
(87)【国際公開番号】W WO2020064957
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トンボラート, シルバン
(72)【発明者】
【氏名】メイシー, ノア
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-125560(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093181(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0224214(US,A1)
【文献】特開2008-074952(JP,A)
【文献】特開2008-038027(JP,A)
【文献】国際公開第2018/117131(WO,A1)
【文献】米国特許第05881201(US,A)
【文献】特開2015-212800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)透明材料M1と、
b)式AB
xC
1-xX
3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’
1-yA”
yCX
3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’
1-yA”
yB
xC
1-xX
3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、
100nmと750nmの間の重量平均粒径を有する前記無機粒子P1
を含む、組成物C1において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の10ppmと1000ppmの間を占めること、
透明材料M1が、少なくとも50重量%の(メタ)アクリルポリマー組成物MPCoを含む透明ポリマーP1組成物であること、
式中のA、A’及びA”が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、バリウム、ランタン又は鉛のカチオンから選択され、A’が、A”とは異なること、
Bが、マンガン
、タンタル、チタン、ジルコニウム又はイッテルビウムのカチオンから選択されること、
Cが、マンガン
、タンタル、チタン、ジルコニウム又はイッテルビウムのカチオンから選択されること、及び
Bが、Cとは異なること、
を特徴とする組成物C1。
【請求項2】
組成物C1が、成分a)及びb)について計算して、組成物C1中に100重量ppmと1000重量ppmの間の無機粒子P1を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物C1。
【請求項3】
無機粒子P1が、式AB
xC
1-xX
3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物C1。
【請求項4】
無機粒子P1が、式A’
1-yA”
yCX
3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物C1。
【請求項5】
無機粒子P1が、式A’
1-yA”
yB
xC
1-xX
3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物C1。
【請求項6】
全ての式中のXが酸素Oであることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項7】
Cが
、タンタル、チタン又はジルコニウムのカチオンから選択されることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項8】
Bが
、タンタル、チタン又はジルコニウムのカチオンから選択されることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項9】
無機化合物が、LiTaO
3
、BaTiO
3、KTaO
3、PbZrO
3、PbZr
xTi
1-xO
3、LaMnO
3、及びLaYbO
3から選択されることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項10】
無機化合物が、BaTiO
3又はBaZr
xTi
1-xO
3であることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項11】
A、A’又はA”が、少なくとも100pmのイオン半径を有することを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項12】
B及びCが、100pm未満のイオン半径を有することを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物C1。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の組成物C1を調製するための方法において、
a)無機粒子P1を提供する工程
b)無機粒子P1を透明材料M1に導入する工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
導入工程が、無機粒子P1を透明材料M1と混合することによってなされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
導入工程が2つのサブ工程に分割され、無機粒子P1が、モノマーを含む透明材料M1の前駆体と混合され、続いて重合されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ライトニング用途における請求項1から12の何れか一項に記載の組成物C1の使用。
【請求項17】
ライトガイドにおける請求項1から12の何れか一項に記載の組成物C1の使用。
【請求項18】
ライトニング用途のための物品を製造するための方法であって、
a)請求項1から12の何れか一項に記載の組成物C1を提供する工程、
b)組成物C1を転換する工程
を含む、方法。
【請求項19】
請求項1から12の何れか一項に記載の組成物C1を含むか、又は請求項13から15の何れか一項に記載の方法によって製造された物品。
【請求項20】
物品がライトガイドであることを特徴とする、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
物品が、シート、ウェッジ、ロッド又はチューブの形態であることを特徴とする、請求項19に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散乱粒子を含む組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、ライトニング用途又はライトガイドのための散乱粒子を含む高分子組成物に関する。本発明はまたライトニング用途又はライトガイドのための散乱粒子を含むそのような高分子組成物を製造するための方法に関する。
【0003】
より具体的には、本発明は、ライトニング用途又はライトガイドのための無機散乱粒子を含む高分子(メタ)アクリル組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
透明材料がライトニング用途に広く使用されている。光をまた拡散させるために、これら透明材料は散乱粒子を含む。
【0005】
ライトガイド又はライトガイド本体は、例えばシート又はウェッジの形態である。それらはしばしば発光面に直交して光を入れる光源を有しているが、光は他の手段によっても入れることができる。
【0006】
光源は、光源の技術又は放出される光の波長の何れかから異なるため、良好な均一の散乱光を得るのは困難である。
【0007】
加えて、散乱光の強度と透過の均一性は、両方とも、散乱粒子の選択によって影響を受ける。
【0008】
本発明の目的は、特にライトガイド本体において、光を拡散させながら十分な透明性を有する散乱粒子を含み、また十分な光度を持たせるための組成物を得ることである。
【0009】
本発明の目的はまた、粒子を含み、均一な光透過性を有し、これは光透過性が、可視光の波長の関数として有意な形では変化しないことを意味する、組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、均一な光透過性を有し、これは光透過性が、可視光の波長の関数として有意な形では変化しないことを意味する、ライトガイド又はライトガイド本体を提供することである。
【0011】
更に追加の目的は、特にライトガイド本体において、光を拡散させながら十分な透明性を有する散乱粒子を含み、また十分な光度を持たせるための組成物を調製するための方法を提供することである。
【0012】
また更なる目的は、特にライトガイド本体において、光を拡散させながら十分な透明性を有する散乱粒子を含み、またライトニング用途又はライトガイドにおいて十分な光度を持たせるための組成物の使用である。
【0013】
[従来技術]
文献EP1864274は、少なくとも一の発光ダイオードと、発光ダイオードによって放出された光を散乱する粒子が分散されている透明なプラスチックで作製された少なくとも一のカバーを含む発光デバイスを開示している。散乱粒子の平均粒径は0.5μmと100μmの間である必要があり、散乱粒子はポリアミド粒子、PTFE粒子、架橋スチレン系粒子、メチルメタクリレート系架橋粒子又はシリコーン粒子、BaSO4、TiO2、ZnO、CaCO3、MgO又はAl2O3粒子又は中空ガラスミクロスフェアである。
【0014】
文献DE102012216081は、射出成形による光拡散成形部品の製造を開示している。射出成形のための組成物は、ポリメチルメタクリレートのマトリックスと1から24μmの粒径の球状プラスチック粒子を含む。
【0015】
文献WO2004/034136は、フラットパネルディスプレイのためのバルクディフューザーを開示している。バルク光ディフューザー材料は、ポリカーボネートと粒子状光拡散成分を含んでなるシート又はフィルムでありうる。PMMAとシリコーン粒子が実施例において使用されている。
【0016】
文献WO2011/0124412は、改善された光度と透明性を有するライトガイド本体を開示している。ライトガイド本体は、ポリメチルメタクリレートと150~500nmの平均粒径を持つ0.1から100wtppmの二酸化チタン粒子からなる。
【0017】
何れの従来技術文献も、特に本発明の無機粒子を含む請求項に記載の組成物又はその使用又はそれを含むライトガイドを開示していない。
【発明の概要】
【0018】
驚くべきことに、
a)透明材料M1と、
b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子
を含む、組成物C1において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする組成物C1が、均一な光透過性を有する組成物をもたらすことが見出された。
【0019】
驚くべきことに、
a)透明材料M1と、
b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子
を含む、組成物C1において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする組成物C1が、均一な光透過性を有する組成物として、ライトニング用途で使用できることがまた見出された。
【0020】
驚くべきことに、
a)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子を提供する工程
b)粒子P1を透明材料M1に導入する工程
を含む組成物C1を製造するための方法が、均一な光透過性を有する組成物C1をもたらすことがまた見出された。
【0021】
驚くべきことに、組成物C1を含み、組成物C1が
a)透明材料M1と、
b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子
を含む、物品において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする物品が、均一な光透過性を有する物品をもたらすことがまた見出された。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第一の態様によれば、本発明は、
a)透明材料M1と、
b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子
を含む、組成物C1において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする組成物C1に関する。
【0023】
第二の態様によれば、本発明は、ライトニング用途における、
a)透明材料M1と、
b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子
を含む、組成物C1の使用であって、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする使用に関する。
【0024】
第三の態様では、本発明は、
a)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子を提供する工程
b)粒子P1を透明材料M1に導入する工程
を含む組成物C1を製造するための方法において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする方法に関する。
【0025】
第四の態様では、本発明は、ライトニング用途のための物品を製造するための方法であって、
a)前述の組成物C1を提供する工程、
b)組成物C1を転換する工程
を含む、方法に関する。
【0026】
第五の態様では、本発明は、組成物C1を含む物品であって、組成物C1が
a)透明材料M1と、
b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子
を含む、物品において、
粒子P1が、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1ppmと1000ppmの間を占めることを特徴とする物品に関する。
【0027】
使用される「粒子」という用語は、ナノメートル範囲の粒子又は無機粒子を含む程度の差はあれ球形のポリマーを意味する。好ましくは、粒子は、2nmと1000nmの間の重量平均粒径を有する。
【0028】
使用される「粒径」という用語は、球形(共に密度によって結び付けられる、同じ重量又は体積を有する等価球)と見なされる粒子の重量平均直径を意味する。
【0029】
使用される「コポリマー」という用語は、ポリマーが少なくとも二種の異なるモノマーからなることを意味する。
【0030】
使用される「(メタ)アクリルモノマー」という用語は、あらゆる種類のアクリル及びメタクリルモノマーを意味する。
【0031】
使用される「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、(メタ)アクリルポリマーが、(メタ)アクリルポリマーの50重量%以上を構成する(メタ)アクリルモノマーを含むポリマーを本質的に含むことを意味する。
【0032】
使用される「透明」という用語は、それぞれの材料が、少なくとも85%のASTM D-1003(3mm厚のシート)に従う光透過率を有していることを意味する。
【0033】
本発明においてxからyの範囲であると言うのは、この範囲の上限と下限が含まれることを意味し、少なくともxからyまでと同等である。
【0034】
本発明において範囲がxとyの間であると言うのは、この範囲の上限と下限が除外されることを意味し、xより大きくyより小さいと同等である。
【0035】
本発明の組成物C1に関し、これは、a)透明材料M1と、b)式ABxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の何れかの無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yCX3(上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1;又は式A’1-yA”yBxC1-xX3(上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである)の無機化合物を含む無機粒子P1であって、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する前記粒子を含む。
【0036】
好ましくは、式中の数x及びyは0から1の有理数である。
【0037】
無機粒子P1の相対的な重量による量は、成分a)及びb)を含む組成物C1の0.1重量ppmと1000重量ppmの間である。
【0038】
好ましくは、無機粒子P1の量は1ppmと1000ppmの間である。
【0039】
第一のより好ましい実施態様では、組成物C1は、成分a)及びb)について計算して、組成物C1中に0.1重量ppmと100重量ppmの間の無機粒子P1を含む。
【0040】
第二のより好ましい実施態様では、組成物C1は、成分a)及びb)について計算して、組成物C1中に10重量ppmと1000重量ppmの間の無機粒子P1を含む。
【0041】
第三のより好ましい実施態様では、組成物C1は、成分a)及びb)について計算して、組成物C1中に100重量ppmと1000重量ppmの間の無機粒子P1を含む。
【0042】
第四のより好ましい実施態様では、組成物C1は、成分a)及びb)について計算して、組成物C1中に1重量ppmと5重量ppmの間の無機粒子P1を含む。
【0043】
組成物C1は、二種の化合物a)及びb)の間の重量比の計算には考慮されない他の化合物をまた含みうる。
【0044】
組成物C1は、例えば衝撃改質剤、着色剤を含みうる。
【0045】
透明材料M1に関し、これは、ガラス又は透明ポリマーから選択される。
【0046】
第一の好ましい実施態様では、透明材料M1は透明ポリマーP1である。ポリマーP1は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーでありうる。熱可塑性ポリマーの場合、例えば熱成形によって、このポリマーの一部が依然として形成され、形状を変化させることができる限り、熱可塑性ポリマーを架橋又は僅かに架橋させることができることもまた本発明の一部と見なされる。
【0047】
透明ポリマーP1は、(メタ)アクリルポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PCV)、環状オレフィンコポリマー、スチレンメチルメタクリレート(SMMA)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びそれらの混合物から選択することができる。
【0048】
第一の好ましい実施態様では、透明ポリマーP1は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の(メタ)アクリルポリマー組成物MPCoを含む組成物である。
【0049】
第二の好ましい実施態様では、透明ポリマーP1は、(メタ)アクリルポリマー組成物MPCoである。
【0050】
(メタ)アクリルポリマー組成物MPCoは、(メタ)アクリルブロックコポリマー又は(メタ)アクリルポリマーMP1又は架橋(メタ)アクリル組成物MCXから選択することができる。
【0051】
(メタ)アクリルポリマーMP1に関し、これは、アクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来する、少なくとも50重量%のモノマーを含む高分子ポリマー鎖である。(メタ)アクリルポリマーMP1はまた二以上の(メタ)アクリルポリマーAP1からAPxの混合物でありうる。
【0052】
アクリル及び/又はメタクリルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択される。
【0053】
好ましくは、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択され、アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状の何れかで、1から22個の炭素を有し;好ましくはアルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状の何れかで、1から12個の炭素を有する。
【0054】
有利には、(メタ)アクリルモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート及びそれらの混合物から選択される。
【0055】
他のコモノマーは、(メタ)アクリルポリマーAP1がそのポリマー鎖中にアクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来する、少なくとも50重量%のモノマーを含んでいる限り、アクリル及び/又はメタクリルモノマーと共重合することができる。他のコモノマーは、スチレン又はスチレン誘導体のようなスチレン系モノマー、アクリロニトリル、酢酸ビニルのようなビニルエステルから選択することができる。これらのコモノマーの量は、0重量%から50重量%、好ましくは0重量%から40重量%、より好ましくは0重量%から30重量%、有利には0重量%から20重量%である。
【0056】
第一のより好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマーMP1は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、有利には少なくとも70重量%、より有利には少なくとも80重量%のメチルメタクリレートを含む、メチルメタクリレート(MMA)の熱可塑性ホモ又はコポリマーである。
【0057】
メチルメタクリレート(MMA)のコポリマーは、50重量%から99.9重量%のメチルメタクリレートと、0.1から50重量%の、メチルメタクリレートと共重合することができる少なくとも一のエチレン性不飽和を有する少なくとも一種のモノマーを含む。
【0058】
これらのモノマーはよく知られており、特に、アクリル及びメタクリル酸並びにアルキル基が1から12個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例として、メチルアクリレート及びエチル、ブチルもしくは2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを挙げることができる。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1から4個の炭素原子を有するアルキルアクリレートである。
【0059】
第一のより好ましい実施態様によれば、メチルメタクリレート(MMA)のコポリマーは、60重量%から99.9重量%、有利には70重量%から99.9重量%、より有利には80重量%から99.9重量%のメチルメタクリレートと、0.1重量%から40重量%、有利には0.1重量%から30重量%、より有利には0.1重量%から20重量%の、メチルメタクリレートと共重合することができる少なくとも一のエチレン性不飽和を有する少なくとも一種のモノマーを含む。好ましくは、コモノマーは、メチルアクリレート又はエチルアクリレート又はそれらの混合物から選択される。
【0060】
(メタ)アクリルポリマーMP1は、場合によっては、0.1g/10分と20g/10分の間の、ISO1133(230℃/3.8kg)に準拠したメルトフローインデックス(MFI)を有しうる。好ましくは、メルトフローインデックスは、0.2g/10分と18g/10分の間、より好ましくは、0.3g/10分と16g/10分の間、有利には、0.4g/10分と13g/10分の間でありうる。
【0061】
(メタ)アクリルポリマーMP1は、1.46-と1.52の間、好ましくは1.47と1.52の間、より好ましくは1.48と1.52の間の屈折率を有する。
【0062】
(メタ)アクリルポリマーMP1は、少なくとも85%、好ましくは86%、より好ましくは87%の、ASTM D-1003(厚さ3mmのシート)による光透過率を有する。
【0063】
(メタ)アクリルポリマーMP1は、少なくとも90℃のVicat軟化温度を有する。Vicat軟化温度は、ISO306:2013(B50法)に従って測定される。
【0064】
本発明に係る組成物は、(メタ)アクリルポリマーMP1の他に、(メタ)アクリルポリマーMP2をまた含みうる。(メタ)アクリルポリマーMP1と(メタ)アクリルポリマーMP2は混合物又はブレンドを形成する。この混合物又はブレンドは、MMAの少なくとも一のホモポリマーと少なくとも一のコポリマー、あるいは異なる平均分子量を有するMMAの少なくとも二のホモポリマー又は二のコポリマーの混合物、あるいは異なるモノマー組成を持つMMAの少なくとも二のコポリマーの混合物からなる。
【0065】
第二のより好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマーMP1は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、有利には少なくとも70重量%、より有利には少なくとも80重量%のメチルメタクリレート(MMA)を含むメチルメタクリレート(MMA)の架橋ホモ又はコポリマーである。
【0066】
第二の好ましい実施態様の(メタ)アクリルポリマーMP1はまた架橋剤を含む。好ましくは、架橋剤は、少なくとも二の二重結合を有する共重合性化合物である。
【0067】
第三のより好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマー組成物MPCoは、少なくとも50%のメタクリル酸メチルを含む、メチルメタクリレート(MMA)の(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCである。
【0068】
(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、20℃未満、好ましくは10℃未満、より好ましくは0℃未満、有利には-5℃未満、より有利には-10℃未満のガラス転移温度を有する少なくとも一のブロックを含む。
【0069】
好ましくは、(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、(メタ)アクリルブロックである少なくとも一のブロックを含む。これは、このブロック内のモノマーの少なくとも50重量%が、重合された、アルキル(メタ)アクリレートモノマーであることを意味する。
【0070】
最も好ましくは、(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、(メタ)アクリルブロックコポリマーMBC内に、重合された、アルキル(メタ)アクリレートモノマーである少なくとも50重量%のモノマーを含む。
【0071】
(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、一般式(A)nBを有しており、式中、
・ nは1以上の整数であり、
・ Aは、50℃を超え、好ましくは80℃を超えるTgを有するアクリル又はメタクリルホモ又はコポリマー、又はポリスチレン、又はアクリル/スチレン又はメタクリル/スチレンコポリマーである。好ましくは、Aは、メチルメタクリレート(MMA)、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート又はイソボルニルメタクリレートから選択される。好ましくは、ブロックAは、アクリル又はメタクリルコモノマーで修飾されたPMMA又はPMMAである;
・ Bは、20℃未満のTgを有し、好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート(BuA)、エチルヘキシルアクリレート、スチレン(Sty)又はブチルメタクリレートから選択され、より好ましくはブチルアクリレートであるモノマーを含む、アクリル又はメタクリルホモ又はコポリマーであり、前記モノマーがBの少なくとも50重量%、好ましくは70重量%を構成する。
【0072】
有利には、(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCはアモルファスである。
【0073】
好ましくは、ブロックAにおいて、モノマーは、メチルメタクリレート(MMA)、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、スチレン(Sty)又はアルファ-メチルスチレン又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、ブロックAは、アクリル又はメタクリルコモノマーと共重合されたPMMA又はPMMAあるいはポリスチレン(PS)又はスチレンコモノマーで修飾されたPSである。
【0074】
好ましくは、ブロックBは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート(BuA)、エチルヘキシルアクリレート又はブチルメタクリレート及びそれらの混合物、より好ましくはブチルアクリレートから選択されるモノマーを含み、前記モノマーは、ブロックBの少なくとも50重量%、好ましくは70重量%を構成する。
【0075】
更に、ブロックA及び/又はBは、当業者に知られている様々な化学官能基、例えば、酸、アミド、アミン、ヒドロキシル、エポキシ又はアルコキシ官能基を有する他のアクリル又はメタクリルコモノマーを含みうる。ブロックAは、その温度安定性を高めるために、アクリル酸又はメタクリル酸(MAA)などの基を含みうる。
【0076】
ブロックAの屈折率を不一致にするために、ブロックBにスチレンのようなコモノマーを含めることもできる。
【0077】
好ましくは、前記熱可塑性アクリルブロックコポリマーは、ABA、AB、A3B及びA4Bから選択される構造を有する。
【0078】
(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、例えば、以下のトリブロックコポリマーの一つでありうる:pMMA-pBuA-pMMA、p(MMAcoMAA)-pBuA-p(MMAcoMAA)、p(MMAcoMAA)-p(BuAcoSty)-p(MMAcoMAA)及びp(MMAcoAA)-pBuA-p(MMAcoAA)。第一の好ましい実施態様では、(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、p(MMAcoMAA)-p(BuAcoSty)-p(MMAcoMAA)である。
【0079】
PMMAタイプのポリマーには、その温度安定性を改善するために、少量のアクリレートコモノマーを含めることができることが当業者に知られている。少量とは、ポリマーの9重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは6重量%未満を意味する。
【0080】
ブロックBは、ブロックコポリマーMBCの全重量の10%から85%、好ましくは15%から80%を占める。
【0081】
ブロックBは、10000g/モルと500000g/モルの間、好ましくは20000g/モルから300000g/モルの重量平均モル質量を有する。重量平均モル質量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定できる。
【0082】
(メタ)アクリルブロックコポリマーは、制御ラジカル重合(CRP)又はアニオン重合によって得ることができる;製造されるコポリマーの種類に応じて最も適した方法が選択される。
【0083】
好ましくは、これは、(A)nBタイプの(メタ)アクリルブロックコポリマーのための、特にニトロキシドの存在下でのCRP、及びトリブロックコポリマーMAMなどのABAタイプの構造のためのアニオン又はニトロキシドラジカル重合であろう。制御ラジカル重合は、ブロックコポリマーを得るための文献、すなわちWO03/062293に記載されている。
【0084】
(メタ)アクリルブロックコポリマーMBCは、押出成形又は射出成形によって物体の形に変形させることができる。
【0085】
第四のより好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマー組成物MPCoは、0℃を超えるガラス転移温度Tgを有する脆性マトリックス(I)と、0℃未満のガラス転移温度を持つ可撓性を有する高分子配列(II)からなる100nm未満の特徴的寸法を有するエラストマードメインとからなる架橋(メタ)アクリル組成物MCXであり、可撓性を有する高分子配列(II)は150000g/モルから800000g/モルの間の重量平均分子量Mwを有していることを特徴とする。
【0086】
マトリックス(I)に関し、それは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定して、0℃を超える総Tgを示し、メチルメタクリレートホモポリマー又はコポリマーと相溶性がある。好ましくは、ガラス転移温度Tgは、10℃より大きく、より好ましくは20℃より大きく、なおより好ましくは40℃より大きく、更により好ましくは40℃より大きく、有利には50℃より大きく、より有利には60℃より大きい。
【0087】
マトリックス(I)は、メチルメタクリレートと、場合によっては以下から選択される一又は複数のモノマーMo1から調製される:
・式CH2=CH-C(=O)-O-R1(式中、R1は、水素原子あるいはハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、アミノもしくはエポキシ基で場合によっては置換された直鎖、環状又は分岐C1-C40アルキル基を示す)のアクリルモノマー、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル;
・式CH2=C(CH3)-C(=O)-O-R2(式中、R2は、水素原子あるいはハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、アミノもしくはエポキシ基で場合によっては置換された直鎖、環状又は分岐C1-C40アルキル基を示す)のメタクリルモノマー、例えば、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート又はメタクリロニトリル;
・ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン又は置換スチレン、例えばα-メチルスチレン、モノクロロスチレン又はtert-ブチルスチレン。
【0088】
コモノマーは、ガラス転移温度Tgの下限が満たされる性質と量で選択される。
【0089】
好ましくは、メチルメタクリレートが、マトリックス(I)のポリマーにおける主要なモノマーである。よって、マトリックス(I)は、51重量%から100重量%、好ましくは75重量%から100重量%、有利には90重量%から100重量%の割合のメチルメタクリレートを含む。
【0090】
可撓性を有する高分子配列(II)に関し、該高分子配列(II)は、本発明においてブロックBとも呼ばれる。可撓性を有するこれらの高分子配列(II)は、0℃未満のガラス転移温度(Tgと示され、DSCで測定される)を示す。好ましくは、Tgは、-5℃未満、より好ましくは-10℃未満、更により好ましくは-15℃未満である。
【0091】
更に、0℃未満のガラス転移温度を持つ可撓性を有する高分子配列(II)の重量平均分子量は、150000g/モルと800000g/モルの間である。
【0092】
好ましくは、0℃未満のガラス転移温度を持つ可撓性を有する高分子配列(II)の重量平均分子量は、175000g/モルと700000g/モルの間、より好ましくは200000g/モルと650000g/モルの間、有利には225000g/モルと600000g/モルの間である。
【0093】
可撓性を有する高分子配列(II)又はブロックBの分子量Mw/Mnの多分散性指数は、2より大きく、好ましくは2.5より大きく、より好ましくは3より大きい。
【0094】
分子量Mw/Mnの多分散性指数は、2.5と10.0の間、好ましくは3.0と10.0の間、より好ましくは3.0と6.0の間、更により好ましくは3.0と5.0の間である。
【0095】
本発明に係る無機粒子P1に関し、それは、1nmと1μmの間の重量平均粒径を有する。
【0096】
好ましくは、無機粒子P1の重量平均粒径は、5nmを超え、より好ましくは10nmを超え、なおより好ましくは20nmを超え、更により好ましくは30nmを超え、有利には40nmを超え、更により有利には50nmを超え、有利には100nmを超える。
【0097】
好ましくは、無機粒子P1の重量平均粒径は、950nm未満、より好ましくは925nm未満、なおより好ましくは900nm未満、更により好ましくは875nm未満、有利には850nm未満、更により有利には800nm未満、有利には750nm未満である。
【0098】
好ましくは、無機粒子P1の重量平均粒径は、5nmと950nmの間、より好ましくは10nmと950nmの間、なおより好ましくは20nmと900nmの間、更により好ましくは30nmと900nmの間、有利には40nmと850nmの間、更により有利には50nmと800nmの間、有利には100nmと750nmの間である。
【0099】
無機粒子P1は、式(1a)の何れかの無機化合物を含む。
ABxC1-xX3 (1a)
【0100】
上式中、xは0から1であり、A、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである;
【0101】
あるいは無機粒子P1は、式(1b)の無機化合物を含む。
A’1-yA”yCX3 (1b)
【0102】
上式中、yは0から1であり、A’、A”、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである。
【0103】
あるいは無機粒子P1は、式(1c)の無機化合物を含む。
A’1-yA”yBxC1-xX3 (1c)
【0104】
上式中、xは0から1であり、yは0から1であり、A’、A”、B、及びCはカチオンであり、Xはアニオンである。
【0105】
一実施態様では、式(1a)及び(1c)において、xは0又は1である。他の実施態様では、式(1b)及び(1c)において、yは1又は0である。x=0かつy=0の場合、式(1a)、(1b)及び(1c)は式ACX3に単純化される。
【0106】
式(1a)、(1b)及び(1c)の無機化合物は、無機粒子P1の50重量%から100重量%を占める。好ましくは、式(1a)、(1b)及び(1c)の無機化合物は、無機粒子P1の60重量%から100重量%、より好ましくは70重量%から100重量%、更により好ましくは75重量%から100重量%、有利には80重量%から100重量%、有利には90重量%から100重量%を占める。
【0107】
第一の好ましい実施態様では、全ての式(1a)、(1b)及び(1c)においてXは酸素Oである。
【0108】
式(1a)、(1b)、及び(1c)においてカチオンA、A’、又はA”は金属カチオンから選択され、A’はA”とは異なる。好ましくは、A、A’又はA”は、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり、より好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン又は鉛のカチオンから選択される。更により好ましくは、A、A’又はA”は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのカチオンから選択される。有利には、A、A’又はA”は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのカチオンから選択され、更により有利には、A、A’又はA”は、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのカチオンから選択される。
【0109】
カチオンCは、元素周期表のUIPAC族3から7の元素の金属カチオン、又は化学元素のランタニド系列から選択される。好ましくは、カチオンCは、マンガン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム又はイッテルビウムのアニオンから選択される。より好ましくは、カチオンCは、ニオブ、タンタル、チタン又はジルコニウムのカチオンから選択される。
【0110】
カチオンBは、元素周期表のUIPAC族3から7の元素の金属カチオン、又は化学元素のランタニド系列から選択され、Cとは異なる。好ましくは、Bは、マンガン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム又はイッテルビウムのカチオンから選択される。より好ましくは、カチオンBは、ニオブ、タンタル、チタン又はジルコニウムのカチオンから選択される。
【0111】
式(1a)、(1b)及び(1c)の化合物の例は、LiTaO3、LiNbO3、KNbO3、BaTiO3、KTaO3、PbZrO3、PbZrxTi1-xO3、BaySr1-yTiO3、SrTiO3、LaMnO3、LaMnO3、LayCa1-yTiO3、LaYbO3及びCaTiO3である。
【0112】
より好ましくは、式(1a)、(1b)及び(1c)の化合物は、ペロブスカイト(perovskit)構造を有する。
【0113】
より好ましくは、式(1)におけるカチオンA、A’又はA”は、少なくとも100pmのイオン半径を有する。有利には、式(1)におけるカチオンA、A’又はA”は、少なくとも105pm、より有利には少なくとも110pmのイオン半径を有する。
【0114】
より好ましくは、式(1)におけるカチオンB及びCは、100pm未満のイオン半径を有する。有利には、式(1)におけるカチオンB及びCは、95pm未満、より有利には90pm未満のイオン半径を有する。
【0115】
それぞれのイオンのイオン半径は百科事典に見出すことができる。特定の第一の好ましい実施態様では、式(1a)の無機化合物はBaTiO3である。
【0116】
特定の第二の好ましい実施態様では、式(1b)の化合物は、0<y<1であるBa1-ySryTiO3である。
【0117】
特定の第三の好ましい実施態様では、式(1a)の化合物は、0<x<1であるBaZrxTi1-xO3である。
【0118】
本発明に係る組成物C1を製造するための方法に関し、それは、
a)無機粒子P1を提供する工程
b)無機粒子P1を透明材料M1に導入する工程
を含む。
【0119】
有利には、本発明に係る組成物C1を製造するための方法は、
a1)無機粒子P1を提供する工程
a2)透明材料M1を提供する工程
b)無機粒子P1を透明材料M1に導入する工程
を含む。
【0120】
それぞれの無機粒子P1と透明材料M1並びにそれらのそれぞれの実施態様は、先に記載したものと同じである。
【0121】
導入工程は、無機粒子P1を透明材料M1と混合することによって行うことができ、又は導入工程は2つのサブ工程に分割され、無機粒子P1が、モノマーを含む透明材料M1の前駆体と混合され、続いて重合される。
【0122】
本発明に係る組成物C1は、ライトニング用途又はライトニング用途に適した物品に使用することができる。
【0123】
物品はライトガイドでありうる。
【0124】
組成物は、例えば、シート、ウェッジ、ロッド又はチューブの形態でライトニング用途又はライトニング用途に適した物品に使用されうる。
【0125】
シートは、0.5mmと300mmの間、好ましくは1mmと200mmの間の厚さを有している。
【0126】
ウェッジは、4mmと300mmの間、好ましくは5mmと200mmの間のその最大厚さを有している。
【0127】
ロッド又はチューブは、0.5mmと300mmの間の直径を有している。
【0128】
本発明に係る組成物から、又は本発明に係る組成物で製造されたシートは、ライトガイド本体又はライトガイドプレートとして、例えばエッジライトニングとして使用することができる。
【0129】
本発明に係るライトガイド本体又はプレートは、好ましくは、少なくとも0.5mmの厚さを有する。本発明に係るライトガイド本体又はプレートは、好ましくは最大で50mmの厚さを有する。厚さは、特に好ましくは1から30mmの範囲にあり、より特に好ましくは2から25mmである。
【0130】
ライトガイド本体又はプレートにはまた、更なる層、例えば、ミラー又は反射層を割り当ててもよい。
【0131】
[評価の方法]
[透過率とヘイズ]
光透過率(透過率)とヘイズは、標準ASTM D1003に従ってそれぞれのシートで測定される。
【0132】
[分子量]
ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定される。
【0133】
[粒径分析]
散乱粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定される。少なくとも50個の粒子がカウントされる。粒径の直径は、粒子の2D画像投影と同じ領域を満たす円のものである。重量平均粒径が計算される。
【実施例】
【0134】
PMMAとして、8g/10分のメルトフローインデックスを有する、射出成形グレードとしてのメチルメタクリレートのコポリマーを使用する。
【0135】
比較例1:使用したTiO2粒子は、約500nmの重量平均粒子径を有する。
【0136】
実施例1:使用したBaTiO3粒子は、約500nmの重量平均粒径を有する。
【0137】
それぞれの粒子が提供され、PMMAマトリックスに導入した。それぞれの粒子が20重量ppm及び100重量ppmのPMMAの射出成形による厚さ3mmのシートの調製が続く。
【0138】
光透過率(透過率)とヘイズを、標準ASTM D1003に従ってそれぞれのシートで測定する。BYK-Gardner製のヘイズガードプラス装置を使用する。
【0139】
【0140】
表1に示されるように、本発明に係る組成物の透過率はより高く、一方、ヘイズはより低い。
【0141】
透過率はまた両方の粒子添加濃度について、可視光の波長λの関数としても測定される。
【0142】
【0143】
【0144】
表2及び3は、本発明に係る組成物について波長にほとんど依存しない、より高い光透過率を示している。