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特許7569796二位置ロックアウト機構を有する外科用ステープリング器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】二位置ロックアウト機構を有する外科用ステープリング器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021549600
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 US2020019938
(87)【国際公開番号】W WO2020176649
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】62/811,457
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ トーマス エムビー
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス ティモシー エム
(72)【発明者】
【氏名】キンタナ クイントン エイ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0290584(US,A1)
【文献】特開2006-034977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープリング装置であって、
近位端、遠位端、及び前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向軸を有する細長いシャフトと、
近位端、遠位端、及び下縁を有し、少なくとも一部が前記細長いシャフト内で長手方向に摺動可能である発射梁であって、前記発射梁は、前記下縁から第1の高さだけ延びる第1のロックアウトノッチと、前記第1のロックアウトノッチに隣接する第2のロックアウトノッチとを含み、前記第2のロックアウトノッチは、前記下縁から第2の高さだけ延び、前記第2の高さは、前記第1の高さと異なる、前記発射梁と、
前記発射梁の前記遠位端における発射部材と、
前記細長いシャフトの前記遠位端におけるジョーアセンブリと、
を備え、前記ジョーアセンブリは、
アンビルを定める第1のジョーと、
リロードカートリッジから展開可能な複数のステープルを有する前記リロードカートリッジを収容するように構成されたリロード支持体を含む第2のジョーと、
前記第2のジョーに枢動可能に結合され、前記第1のロックアウトノッチ及び前記第2のロックアウトノッチの一方と係合するように構成されたロックアウトレバーと、
前記第1のロックアウトノッチと共に使用される前記ロックアウトレバーにより構成される空のジョーアセンブリロックアウト機構と、
前記第2のロックアウトノッチと共に使用される前記ロックアウトレバーにより構成される発射済みリロードロックアウト機構と、
を含み、
前記第1のジョーは、前記第2のジョーに枢動可能に結合され、
前記発射部材は、前記第1のジョーを前記第2のジョーに対して開放構成から閉鎖構成に枢動させる開閉ストロークと、前記リロードカートリッジからステープルを発射する、前記開閉ストロークの遠位の発射ストロークとで前記ジョーアセンブリを動かすように、前記ジョーアセンブリ内で長手方向に摺動可能であり、
前記空のジョーアセンブリロックアウト機構は、前記リロード支持体内にリロードカートリッジが存在しない場合に前記開閉ストロークでの前記発射部材の遠位移動を制限し、
前記発射済みリロードロックアウト機構は、前記リロード支持体内に発射済みのリロードカートリッジが存在する場合に前記開閉ストロークから前記発射ストロークへの前記発射部材の遠位移動を防ぐ、
ことを特徴とする外科用ステープリング装置。
【請求項2】
前記リロード支持体内に取り外し可能に配置可能なリロードカートリッジをさらに備え、該リロードカートリッジは、内部に複数のステープルを有し、前記リロードカートリッジは、第1のロックアウトアクチュエータ及び第2のロックアウトアクチュエータを含み、
前記空のジョーアセンブリロックアウト機構は、前記リロード支持体内にリロードカートリッジが存在しない場合に、ロック構成にあり、前記第1のロックアウトアクチュエータは、前記リロード支持体内に前記リロードカートリッジが位置する場合に、前記空のジョーアセンブリロックアウト機構に係合して該空のジョーアセンブリロックアウト機構を無効化し、
前記発射済みリロードロックアウト機構は、前記リロード支持体内に発射済み構成の前記リロードカートリッジが位置する場合に、ロック構成にあり、前記第2のロックアウトアクチュエータは、前記リロード支持体内に未発射構成の前記リロードカートリッジが位置する場合に、前記発射済みリロードロックアウト機構に係合して該発射済みリロードロックアウト機構を無効化する、
請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項3】
前記第1のロックアウトアクチュエータは、前記リロードカートリッジ上に形成された傾斜ボスを含む、
請求項2に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項4】
前記リロードカートリッジは、前記複数のステープルを展開するように前記リロードカートリッジ内で長手方向遠位に摺動可能なスライダを含み、前記第2のロックアウトアクチュエータは、前記スライダ上に形成された尾部を含む、
請求項2に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項5】
記ロックアウトレバーは、
前記第1のロックアウトノッチ及び前記第2のロックアウトノッチの一方と係合するように構成された近位端と、
前記近位端よりも遠位側にあり、前記ジョーアセンブリの前記第2のジョーに結合された枢動軸と、
リロードカートリッジと係合するように構成された遠位端と、を有する、
請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項6】
前記ロックアウトレバーは、該ロックアウトレバーの前記近位端が前記第1のロックアウトノッチに対応する前記第1の高さに存在する第1の位置と、前記ロックアウトレバーの前記近位端が前記第2のロックアウトノッチの位置に対応する前記第2の高さに存在する第2の位置と、前記ロックアウトレバーの前記近位端が前記第1のロックアウトノッチ及び前記第2のロックアウトノッチから離間した第3の高さに存在するロック解除位置との間で枢動可能である、
請求項5に記載の外科用ステープリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年2月27日に出願された「二位置ロックアウト機構を有する外科用ステープリング器具(Surgical Stapling Instrument Having a Two-Position Lockout Mechanism)」という名称の米国仮特許出願第62/811457号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、一般に外科用閉塞器具(surgical occlusion instruments)に関し、具体的には外科用ステープラに関する。
【背景技術】
【0003】
外科用ステープラは、組織に近づけ又は組織をクランプして、クランプされた組織を共にステープリングするために使用される。従って、外科用ステープラは、組織の正しい位置付け及び捕捉を確実にして組織にステープルを通すための機構を有する。この結果、例えばクランプされた組織を正しくステープリングするための複雑な機構に関連して複数のトリガー及びハンドルが生産されてきた。これらの複雑な機構により、外科用ステープラは、高い製造間接費と、装置の故障及びユーザの混乱を招く潜在的な根源とを有することができる。従って、複雑な機構を伴わずに、クランプされた組織を確実にステープリングできることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9,668,732号明細書
【文献】米国特許出願公開第15/485,620号明細書
【文献】米国特許出願公開第15/486,227号明細書
【文献】米国特許出願公開第15/486,008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外科用ステープラは、ステープリングされる組織を切断する切刃(cutting blade)をさらに含むことができる。これらのステープラは、装置内にステープルが存在しない場合に切刃の動きを制限する機構を有することができる。いくつかのステープラ構成におけるユーザの触覚的体験及び患者の安全性を高めるために、外科用ステープラの切刃の動きを制限する機構をさらに改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書のいくつかの実施形態では、外科用ステープリング装置を提供する。外科用ステープリング装置は、細長いシャフトと、発射梁(firing beam)と、ジョーアセンブリとを含む。細長いシャフトは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸を有する。発射梁は、近位端及び遠位端を有する。発射梁の少なくとも一部は、細長いシャフト内で長手方向に摺動可能である。発射梁の遠位端には発射部材が存在する。ジョーアセンブリは、細長いシャフトの遠位端に存在する。ジョーアセンブリは、第1のジョーと、第2のジョーと、空のジョーアセンブリロックアウト機構と、発射済みリロードロックアウト機構とを含む。第1のジョーはアンビルを定める。第2のジョーは、リロードカートリッジから展開可能な複数のステープルを有するリロードカートリッジを収容するように構成されたリロード支持体(reload support)を定める。第1のジョーは、第2のジョーに枢動可能に結合される。発射部材は、第1のジョーを第2のジョーに対して開放構成から閉鎖構成に枢動させる開閉ストロークと、リロードカートリッジからステープルを発射する、開閉ストロークの遠位の発射ストロークとでジョーアセンブリを動かすように、ジョーアセンブリ内で長手方向に摺動可能である。空のジョーアセンブリロックアウト機構は、リロード支持体内にリロードカートリッジが存在しない場合に、開閉ストロークでの発射部材の遠位移動を制限する。発射済みリロードロックアウト機構は、開閉ストロークから発射ストロークへの発射部材の遠位移動を防ぐ。
【0007】
本明細書のいくつかの実施形態では、外科用ステープラを提供する。外科用ステープラは、細長いシャフトと、発射梁と、発射部材と、ジョーアセンブリとを含む。細長いシャフトは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸を有する。発射梁は、近位端及び遠位端を有する。発射梁の少なくとも一部は、細長いシャフト内で長手方向に摺動可能である。発射梁は、内部に形成された第1のノッチ、及び内部に形成された第2のノッチを含む。発射部材は、発射梁の遠位端に存在する。ジョーアセンブリは、細長いシャフトの遠位端に存在する。ジョーアセンブリは、第1のジョーと、第2のジョーと、ロックアウトレバーとを含む。第1のジョーはアンビルを定める。第2のジョーは、リロードカートリッジから展開可能な複数のステープルを有するリロードカートリッジを収容するように構成されたリロード支持体を定める。ロックアウトレバーは、第2のジョーに枢動可能に結合される。ロックアウトレバーは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間の枢動軸を有する。ロックアウトレバーは、ロックアウトレバーの近位端が第1のノッチに対応する第1の高さに存在する第1の位置と、ロックアウトレバーの近位端が第2のノッチの位置に対応する第2の高さに存在する第2の位置と、ロックアウトレバーの近位端が第1のノッチ及び第2のノッチから離間した第3の高さに存在するロック解除位置との間で枢動可能である。
【0008】
本明細書のいくつかの実施形態では、外科用ステープラを提供する。外科用ステープラは、細長いシャフトと、発射梁と、発射部材と、ジョーアセンブリとを含む。細長いシャフトは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸を有する。発射梁は、近位端及び遠位端を有する。発射梁の少なくとも一部は、細長いシャフト内で長手方向に摺動可能である。発射梁は、内部に形成された第1のノッチ、及び内部に形成された第2のノッチを含む。発射部材は、発射梁の遠位端に存在する。ジョーアセンブリは、細長いシャフトの遠位端に存在する。ジョーアセンブリは、第1のジョーと、第2のジョーと、第1のロックアウトレバーと、第2のロックアウトレバーとを含む。第1のジョーはアンビルを定める。第2のジョーは、リロードカートリッジから展開可能な複数のステープルを有するリロードカートリッジを収容するように構成されたリロード支持体を定める。第1のロックアウトレバーは、第2のジョーに枢動可能に結合される。第1のロックアウトレバーは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間の枢動軸を有する。第2のロックアウトレバーは、第2のジョーに枢動可能に結合される。第2のロックアウトレバーは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間の枢動軸を有する。第1のロックアウトレバーは、第1のロックアウトレバーの近位端が第1のノッチから離間した第1の高さに存在する第1の位置と、第1のロックアウトレバーの近位端が第1のノッチの位置に対応する第2の高さに存在する第2の位置との間で枢動可能である。第2のロックアウトレバーは、第2のロックアウトレバーの近位端が第2のノッチから離間した第1の高さに存在する第1の位置と、第2のロックアウトレバーの近位端が第2のノッチの位置に対応する第2の高さに存在する第2の位置との間で枢動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ジョーが開放構成にある外科用ステープリング装置の実施形態の斜視図である。
図2】ジョーが閉鎖構成にある図1の外科用ステープリング装置のリロードシャフトの実施形態の斜視図である。
図3】外科用ステープリング装置のための関節運動機構を有するハンドルアセンブリの実施形態の斜視図である。
図4】電動ハンドルの実施形態を有する外科用ステープリングシステムの実施形態の斜視図である。
図5図1の外科用ステープリングシステムの電動ハンドルの側面図である。
図6】シャフトアセンブリのリロードロックアウト機構の斜視図である。
図7】シャフトアセンブリのリロードロックアウト機構の側面図である。
図8】ロック構成におけるシャフトアセンブリのリロードロックアウト機構の側面図である。
図9】ロック解除構成におけるシャフトアセンブリのリロードロックアウト機構の側面図である。
図10】外科用ステープリング装置のいくつかの実施形態で使用されるリロードカートリッジの斜視図である。
図11】外科用ステープリング装置の細長いシャフトアセンブリのいくつかの実施形態で使用される発射梁及び発射部材の斜視図である。
図12】外科用ステープリング装置の細長いシャフトアセンブリのいくつかの実施形態のジョーアセンブリの近位端の部分的分解斜視図である。
図13】外科用ステープリング装置の細長いシャフトアセンブリのいくつかの実施形態のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図14】未発射のリロードが部分的に挿入された図13のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図15】未発射のリロードが部分的に挿入された図13のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図16】未発射のリロードが部分的に挿入された図13のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図17】未発射のリロードが挿入された図13のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図18】少なくとも部分的に発射済みのリロードが挿入された図13のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図19】リロードが挿入されていない図13のジョーアセンブリの近位端の切欠側面図である。
図20】外科用ステープリング装置の細長いシャフトアセンブリのいくつかの実施形態で使用される発射梁及び発射部材の斜視図である。
図21】外科用ステープリング装置の細長いシャフトアセンブリのいくつかの実施形態で使用されるジョーアセンブリの近位端の部分的分解斜視図である。
図22】未発射のリロードカートリッジが挿入された図21のジョーアセンブリの近位端の第1の側から見た切欠側面図である。
図23】未発射のリロードカートリッジが挿入された図21のジョーアセンブリの近位端の第2の側から見た切欠側面図である。
図24】発射済みのリロードカートリッジが挿入された図21のジョーアセンブリの近位端の第2の側から見た切欠側面図である。
図25】リロードカートリッジが挿入されていない図21のジョーアセンブリの近位端の第1の側から見た切欠側面図である。
図26】リロードカートリッジが挿入されておらず発射梁が長手方向に前進していない図21のジョーアセンブリの近位端の第1の側から見た切欠側面図である。
図27】リロードカートリッジが挿入されていない図21のジョーアセンブリの近位端の第2の側から見た切欠側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図5に、外科用ステープリング装置の実施形態を示す。図1図3に示すステープリング装置の実施形態は機械的ハンドルアセンブリ40を含み、図4図5に示すステープリング装置の実施形態は電動ハンドルアセンブリ40’を含む。図示の外科用ステープラ10の実施形態は、細長いシャフト20と、ジョーアセンブリ30と、ハンドルアセンブリ40、40’とを含む。本明細書で説明する細長いシャフト20及びジョーアセンブリ30の様々な態様は、機械的ハンドルアセンブリ40又は電動ハンドルアセンブリ40’のいずれかと共に区別なく使用することができる。図1には、ジョーアセンブリ30が開放構成にある外科用ステープラ10を示す。図2には、ジョーアセンブリ30が閉鎖構成にある外科用ステープラ10の、細長いシャフト20及びジョーアセンブリ30を含む取り外し可能なリロードシャフトアセンブリを示す。
【0011】
引き続き図1及び図2を参照すると、図示の外科用ステープラ10の実施形態は、腹腔鏡外科手術で使用されるようなサイズ及び構成を有することができる。例えば、細長いシャフト20及びジョーアセンブリ30は、アクセスポート又はトロカールカニューレを通じて手術野内に導入されるようなサイズ及び構成を有することができる。いくつかの実施形態では、細長いシャフト20及びジョーアセンブリ30が、例えば8mm未満などの比較的小さなワーキングチャネル直径を有するトロカールカニューレを通じて挿入されるようなサイズ及び構成を有することができる。他の実施形態では、細長いシャフト20及びジョーアセンブリ30が、例えば10mm、11mm、12mm又は15mmなどのさらに大きなワーキングチャネル直径を有するトロカールカニューレを通じて挿入されるようなサイズ及び構成を有することができる。他の実施形態では、本明細書で説明する外科用ステープラのいくつかの態様を、開腹手術法で使用される外科用ステープリング装置に組み込むこともできると想定される。
【0012】
引き続き図1及び図2を参照すると、図示のように、細長いシャフト20は概ね管状の部材を含む。細長いシャフト20は、近位端から遠位端に延びる。細長いシャフト20は、近位端22と遠位端24との間に延びる外科用ステープラ10の中心長手方向軸Lを定める。
【0013】
引き続き図1及び図2を参照すると、図示の実施形態では、細長いシャフト20の遠位端24において細長いシャフト20にジョーアセンブリ30が結合される。ジョーアセンブリ30は、第2のジョー32に枢動可能に結合された第1のジョー34を含む。図1図2に示す実施形態では、ジョーアセンブリが、中心長手方向軸Lと長手方向に整列した向きで固定される。他の実施形態では、細長いシャフトが、ジョーアセンブリを中心長手方向軸Lに対して選択的に関節運動位置に位置付けることできるように、細長いシャフトに関節運動可能に結合されたジョーアセンブリを含むことができる。図3のハンドルアセンブリは、細長いシャフトアセンブリのジョーアセンブリの関節運動範囲を通じた連続的に選択可能な関節運動を可能にするように構成された関節運動ノブ190及び関節運動機構を含む。初期構成では、第2のジョー32が、その内部に配置された複数のステープル36を含む。
【0014】
引き続き図1及び図2を参照すると、図示の実施形態では、細長いシャフト内で長手方向に摺動可能な作動部材又は梁(beam)によって、ジョーアセンブリ30をステープリング構成に対して開放構成(図1)から閉鎖構成(図2)に作動させることができる。初期位置では、梁が細長いシャフト20の遠位端24に位置することができる。梁が初期位置にある状態では、第1のジョー34が第2のジョー32から離れて枢動することによってジョーアセンブリ30が開放構成になる。作動部材又は梁が長手方向軸Lに沿って遠位方向に並進すると、作動梁が第1のジョー34に係合する。作動梁が初期位置から遠位方向に第1の距離だけ並進すると、ジョーアセンブリが開放構成から閉鎖構成に作動することができる。ジョーアセンブリ30が閉鎖構成にある状態では、作動梁を近位方向に第1の距離だけ戻すと、ジョーアセンブリ30が開放構成に戻ることができる。作動梁の遠位端は、第2のジョー32からステープルを展開するように構成されたステープルスライダを前進させることができ、これによって作動梁が第1の距離を過ぎて遠位方向にさらに並進すると、第2のジョー32から複数のステープル36が展開されるようになる。
【0015】
図1図3を参照すると、図示の実施形態では、細長いシャフト20の近位端22においてハンドルアセンブリが細長いシャフト20に結合される。図示のように、ハンドルアセンブリ40は、固定ハンドル42と、固定ハンドル42に枢動可能に結合された可動ハンドル44又はトリガーとを定めるハウジングを含むピストルグリップ構成を有する。他の実施形態では、本明細書で説明する態様を含む外科用ステープラ装置が、例えばシザースグリップ構成又はインライン構成などの他の構成のハンドルアセンブリを有することもできると想定される。ハンドルアセンブリ40は、可動ハンドル44の動きに応答して細長いシャフト内の作動梁を開閉ストロークで第1の距離だけ作動させてジョーアセンブリを初期開放位置から閉じ、発射ストロークで第1の距離を上回る第2の距離だけ作動させてステープルを発射するように作動シャフトを選択的に前進させ、作動梁を第2の距離及び第1の距離だけ初期位置に戻すように構成された作動機構を収容する。いくつかの実施形態では、ハンドルアセンブリがジョーアセンブリを開閉ストロークで作動させるように動作するか、それとも発射ストロークで作動させるように動作するかをハンドルアセンブリ上の摺動セレクタ72によってユーザが選択することができる。ハンドルアセンブリ及び関連する作動機構の様々な実施形態は、「回転可能な長手方向シャフトを備えた作動機構を有する外科用ステープラハンドルアセンブリ(Surgical Stapler Handle Assembly Having Actuation Mechanism With Longitudinal Rotatable Shaft)」という名称の米国特許第9668732号、及び「作動機構を有する外科用ステープラ(Surgical Stapler Having Articulation Mechanism)」という名称の2017年4月12日に出願された米国特許出願第15/485620号明細書に開示されており、これらの両文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0016】
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、外科用ステープラ10が、使い捨てリロードカートリッジ50内に位置する複数のステープル36を含むことができる一方で、ハンドルアセンブリ40及び細長いシャフト20は、複数のステープルリロードカートリッジと共に再利用されるように構成される。本明細書で説明する把持及び発射ロックアウト機構には、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジが存在しない場合、或いはジョーアセンブリ内に部分的に又は完全に発射済みのリロードカートリッジが存在する場合にハンドルアセンブリの機能を制限してユーザに警告し、患者の安全性を高めることができるという利点がある。図1の例示的な実施形態では、細長いシャフト20及びジョーアセンブリ30が、ハンドルアセンブリ40に取り外し可能に結合できる再利用可能なシャフトアセンブリを定める。シャフトアセンブリ及びその1又は2以上の使い捨てカートリッジは、本明細書で説明するロックアウト機構の様々な態様を使用して、ジョーアセンブリからステープルが部分的に又は完全な発射された後にハンドルアセンブリの機能を制限することができる。
【0017】
図3を参照すると、ハンドルアセンブリ40は、その遠位端にカプラ46を含む。カプラ46は、外科用ステープラ10の細長いシャフト20に係合するように適合される。カプラ46は、ハンドルアセンブリ40を細長いシャフト20に取り外し可能に結合できる外側コネクタと、ハンドルアセンブリ42の作動シャフトを細長いシャフト20の作動部材に取り外し可能に結合できる内側コネクタとを有するバイオネット接続部を有することができる。従って、外科用ステープラ10は、外科手術中にハンドルアセンブリ40を複数のシャフトアセンブリ及びリロードカートリッジと共に再利用できるように構成することができる。他の実施形態では、ハンドルアセンブリ及び細長いシャフトのいくつかの部分を再利用できる一方で、細長いシャフトの残り部分及びジョーアセンブリが使い捨てカートリッジを定めるものと想定される。他のいくつか実施形態では、ハンドルアセンブリ及び細長いシャフトを再利用できる一方で、ジョーアセンブリが使い捨てカートリッジを定める。さらに他の実施形態では、複数のステープルを収容するジョーインサートが使い捨てカートリッジを定めることができる一方で、外科用ステープラの残り部分が再利用可能である。
【0018】
図4図5に、電動ハンドルアセンブリを含む外科用ステープリングシステムの実施形態を示す。図示の外科用ステープラ10’の実施形態は、細長いシャフト20と、ジョーアセンブリ30と、ハンドルアセンブリ40’とを含む。図4には、ジョーアセンブリ30が開放構成にある外科用ステープラ10’と、電動ステープル発射(powered staple firing)及び手動ジョーアセンブリ関節運動(manual jaw assembly articulation)を有する電動ハンドルの実施形態とを示す。図5には、細長いシャフトを除去した外科用ステープラシステム10’の電動ハンドル40’を示す。図示の実施形態では、ハンドル40’上の回転ノブの回転によって、シャフト20によって定められる長手方向軸を中心にシャフト20及びジョーアセンブリ30を自由に回転させることができる。他の実施形態では、ステープリングシステムを、長手方向軸を中心とした所定の範囲内でのジョーアセンブリの回転、又は回転可能に固定されたジョーアセンブリを可能にするように構成することができる。
【0019】
図5には、外科用ステープリングシステムの電動ハンドルの実施形態を示す。電動ハンドルは、シャフト構成、ジョーアセンブリ構成及びステープル構成を特定の手術に合わせて選択できるように、様々なシャフトリロード及びカートリッジと共に使用することができる。モータは、異なる使用段階中におけるハンドルの機能を決定する埋め込み制御システムによって制御される。ジョーアセンブリの関節運動は、オペレータが回転させる関節運動ノブ190’によって手動で制御することができる。図示の実施形態では、関節ノブ190’が電動ハンドルの近位端に位置し、ステープリングシステムの長手方向軸に概ね対応する軸の周囲で回転可能である。
【0020】
引き続き図5を参照すると、電動ハンドル40’は、固定ハンドル42’と、固定ハンドル42’に枢動可能に結合された可動ハンドル44’又はトリガーとを有するピストルグリップ構成を含む。固定ハンドルの下面には、電源130又はバッテリが位置することができる。電動ハンドル40’は、ユーザがステープリングシーケンスを選択的に制御して、ジョーアセンブリを開閉ストローク及び発射ストロークで動作させるようにハンドルアセンブリを選択的に作動できるようにする発射又は発射/反転ボタン150などのユーザコントロールをさらに含むことができる。電動ハンドル40’は、電動システムの故障時、制御システムの故障時、電源の故障時、「ロックジョー(lockjaw)」又はその他の機械的拘束(mechanical binding)時にユーザがステープリングシステムを手動で開放構成に戻せるようにする、冗長的な手動オーバーライド復帰システム170をさらに含むことができる。
【0021】
電動ハンドルアセンブリ及び関連する作動機構の様々な実施形態は、2017年4月12日に出願された「外科用ステープラのためのリロードシャフトアセンブリ(Reload Shaft Assembly for Surgical Stapler)」という名称の米国特許出願第15/486,227号明細書、及び2017年4月12日に出願された「電動ハンドルを有する外科用ステープラ(Surgical Stapler Having a Powered Handle)」という名称の米国特許出願第15/486,008号明細書に開示されており、これらの両文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0022】
図6図7図8及び図9を参照すると、いくつかの実施形態では、ジョーアセンブリが、二元リロードロックアウト機構(binary reload lockout mechanism)80を含むことができる。リロードロックアウト機構80は、ジョーアセンブリ内にリロードが位置していない場合、又はジョーアセンブリ内に空のリロードが位置している場合に発射部材の前進を防ぐことができる。リロードロックアウト機構80は、リロード支持体に枢動可能に結合されたロックアウトレバー82を含む。枢動によって定められる軸は、細長いシャフトの長手方向軸を概ね横切って延びる。発射部材240が完全に引っ込んでジョーアセンブリが開放構成になると、発射部材240から近位方向に延びる尾部(tail)247がロックアウトレバー82をロック解除位置に枢動させて維持する。図示の実施形態では、枢動軸に近接するロックアウトレバー82の表面に尾部247が作用できるように、枢動軸に近接するロックアウトレバー82の近位部分が内部に発射部材240を収容するようにフォーク状又は二股になっている。リロードが挿入されていない場合には、発射部材240を前進させようと試みると、発射部材の尾部247がロックアウトレバーに沿って遠位方向に前進するので、ロックアウトレバーが枢動点84を中心にしてロック解除位置からロック位置に枢動することができる(図8)。ロックアウトレバー82がロック位置にくると、ロックアウトレバーの近位ロック端部86が駆動部材26上のロック凹部60に干渉して、駆動部材のさらなる遠位方向の動きを防ぐ。
【0023】
引き続き図6図7図8及び図9を参照すると、リロード支持体に未発射のリロードが挿入された場合(図9)には、スライダ55から近位方向に延びる尾部54がロックアウトレバー82の遠位端に係合する。スライダ55は、リロードから複数のステープルを展開するようにリロード内で近位位置から遠位位置へと長手方向遠位に摺動可能である。図示のように、尾部54は、ロックアウトレバー82の枢動点から離れた遠位部分の下面に作用する。このスライダ尾部54とロックアウトレバー82の遠位端との係合は、たとえ発射部材240の尾部247がもはやロックアウトレバーの近位部分に作用しなくなったとしても、ロックアウトレバー82の近位端を駆動部材26から離れて枢動させる。従って、駆動部材26及び発射部材240が遠位方向に前進して、リロードからステープルを発射することができる。発射ストロークが完了すると、スライダ55はリロードの遠位端に残る。従って、ジョーアセンブリを開放構成に戻して発射部材を引き戻す場合には、発射済みのリロードを取り外し、新たな未発射のリロードを挿入してリロードロックアウトをロック解除すべきである。
【0024】
図6図9に関して説明した二元ロックアウトレバーリロードロックアウト機構は、リロードカートリッジが存在しない場合、或いは部分的に又は完全に発射済みのリロードが存在する場合にはジョーアセンブリの発射を有利に防ぐ一方で、いくつかの条件では、ユーザがハンドルアセンブリを操作して開閉動作及び発射ストロークの初期部分においてジョーアセンブリを作動させることによって、ジョーアセンブリを閉じてジョーアセンブリ内の発射前位置に発射部材240を前進させることを可能にすることができる。二元ロックアウト機構の安全性は、ロックアウト機構が係止状態にある状態で発射部材240の刃が引っ込むように、ジョーアセンブリの開閉ストローク内の発射部材240上の位置に対応する位置に駆動部材のロック凹部60を配置することによって、或いは発射部材の刃を保護する停止部材又は保護部材を含めることを通じて高めることができる。しかしながら、独立した空のジョーアセンブリロックアウト機構と発射済みリロードロックアウト機構とを使用してさらなる改善及び利点を達成することもできる。以下でさらに説明するように、いくつかの実施形態では、2つのロックアウト位置と1つのロック解除位置とを有する二位置ロックアウトレバー(図12図19)、又は2つの単独動作可能なロックアウトレバーを有するロックアウトレバーアセンブリ(図21図27)によってこれらの独立機構を連動させることができる。
【0025】
図10に、独立した空のジョーアセンブリと発射済みリロードロックアウト機構とを有する外科用ステープラ装置の細長いシャフトと共に使用されるリロードカートリッジ250を示す。以下でさらに説明するように、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジ250が存在せずに、ユーザが開閉ストロークでジョーアセンブリを把持しようと試みた場合、二位置ロックアウトレバーが第1のロック位置に移動する。図示のように、リロードカートリッジは、ジョーアセンブリのリロード支持体内にリロードが位置する場合に空のジョーアセンブリロックアウト機構を無効化(defeat)する第2の位置に二位置ロックアウトレバーを位置付けるようなサイズ及び配置の第1のロックアウトアクチュエータを含む。いくつかの実施形態では、第1のロックアウトアクチュエータが、カートリッジの本体の側壁から横方向内向きに延びる傾斜ボス(ramped boss)252を含むことができる。
【0026】
引き続き図10を参照すると、図示の実施形態では、リロードカートリッジ250が、ジョーアセンブリ内に未発射のリロードが位置する場合に発射済みリロードロックアウト機構を無効化するロック解除位置に二位置ロックアウトレバーを位置付けるようなサイズ及び構成の第2のロックアウトアクチュエータを含む。従って、二位置ロックアウトレバーは、2つのロックアウト位置に加えてロック解除位置にも枢動することができる。いくつかの実施形態では、第2のロックアウトアクチュエータが、リロードカートリッジ250のスライダ255から近位方向に延びる尾部254を含む。リロードカートリッジ250が未発射状態の場合、スライダ255は、スライダ尾部254が近位方向に延びてロックアウトレバーに係合するように近位位置に存在する。発射部材は、発射ストロークで遠位方向に進むと、リロードカートリッジ内のスライダに当接してスライダを遠位方向に前進させる。リロード内でスライダ255が近位位置から遠位位置へと長手方向遠位に前進すると、リロードから複数のステープルが展開される。従って、リロードカートリッジ250が部分的に発射した(又は完全に発射した)状態になると、近位方向に延びるスライダ尾部254は、発射済みリロードロックアウト機構を無効化する位置に存在しなくなる。
【0027】
図11に、独立した空のジョーアセンブリと発射済みリロードロックアウト機構とを有する外科用ステープラ装置の細長いシャフトアセンブリと共に使用される発射梁226を示す。発射梁226は、近位端から遠位端230に延びる。発射梁226の遠位端230には、概ねI形の梁構成を有する発射部材240が配置される。I形梁発射部材240の上側及び下側水平フランジ242、244がジョーアセンブリの第1及び第2のジョーのチャネルに乗ってジョーを接近させ、その後のステープル発射中にジョーの間隔を維持する。I形梁プロファイルの垂直部分には、ステープルの行間で組織を切断する切刃245が配置される。I形梁発射部材240は、連動嵌め(interlock fit)、溶接、別の接合法、又はこれらの何らかの組み合わせによって発射梁226の遠位端に取り付けることができる。I形梁発射部材240の近位縁は、開いたジョーアセンブリに対応する完全に後退した位置に発射梁226が存在する状態でロックアウトレバーの近位部分に載ることができる、近位方向に延びる突出部又は尾部247を有することができる。
【0028】
引き続き図11を参照すると、発射梁は、空のジョーアセンブリロックアウト機構と共に使用される第1のロックアウトノッチ222と、発射済みリロードロックアウト機構と共に使用される第2のロックアウトノッチ224とを含むことができる。図示の実施形態では、第1のロックアウトノッチ222が、発射梁226の隣接する下縁220から第1の高さだけ延びる。以下でさらに説明するように、第1の高さは、リロードカートリッジが存在しない状態でジョーアセンブリを接近させようとする試みによって空のジョーアセンブリロックアウトが作動した場合に、ロックアウトレバーの近位端の高さに対応するように選択される。
【0029】
引き続き図11を参照すると、図示の実施形態では、第2のロックアウトノッチ224が、第1のロックアウトノッチ222の近位の発射梁上に位置する。第2のロックアウトノッチ224は、発射梁226の隣接する下縁220から第2の高さだけ延びる。以下でさらに説明するように、第2の高さは、以前に発射済みの又は部分的に発射済みのリロードを発射しようとする試みによって発射済みリロードロックアウト機構が作動した場合に、ロックアウトレバーの近位端の高さに対応するように選択される。
【0030】
図示の発射梁226の実施形態は、実質的に連続する第1のロックアウトノッチ222及び第2のロックアウトノッチ224を有することにより、発射梁の隣接する下縁220が第1のロックアウトノッチ222及び第2のロックアウトノッチ224に対応する長手方向距離にわたって軽減される。他の実施形態では、発射梁の下縁の軽減されていないセグメントによって、第1のロックアウトノッチ及び第2のロックアウトノッチを互いに離間することもできると想定される。以下でさらに説明するように、第1のロックアウトノッチ及び第2のロックアウトノッチの高さ及び長手方向位置は、ステープラハンドルアセンブリの所望の動作特性を達成するように構成することができる。
【0031】
図12及び図13に、空のジョーアセンブリロックアウト機構及び発射済みリロードロックアウト機構を示す目的で様々なコンポーネントを隠したジョーアセンブリ270の一部を部分的分解図(図12)及び切欠側面図(図13)で示す。いくつかの実施形態では、ロックアウト機構が、二位置ロックアウトレバー280と、付勢ばね290と、第1のロックアウトノッチ222と、第2のロックアウトノッチ224とを含む。二位置ロックアウトレバー280は、リロードカートリッジ上の第1のロックアウトアクチュエータ及び第2のロックアウトアクチュエータに係合するように構成された遠位端282と、遠位端に隣接する枢動軸284と、第1のロックアウトノッチ又は第2のロックアウトノッチのいずれかに係合するように、或いはいずれにも係合しないように構成された近位端286とを有する。付勢ばね290は、枢動軸284の遠位側のロックアウトレバー280の端部を第2のジョー274のリロード支持体に向けて下向き方向に付勢する少なくとも1つの下側ばねアーム292を有する。図示の実施形態では、付勢ばねが2つの下側ばねアーム292を有し、これらの間には発射部材240及び発射梁226が通過できる間隙が存在する。付勢ばね290は、第1のジョー272を開放構成に向けて付勢する少なくとも1つの上側ばねアーム294を有することができる。付勢ばね290は、発射梁226にまたがるように構成できるとともに、少なくとも1つの下側ばねアーム292と少なくとも1つの上側ばねアーム294とが延び出る中央サドル部材を有することができる。
【0032】
図14図19に、2つのロックアウト機構の動作を示す。これらのジョーアセンブリのいくつかの実施形態の近位端の部分的切欠側面図には、ロックアウト機構の動作の視認性を高めるために、ジョーアセンブリの(付勢ばねなどの)いくつかの要素を示しておらず、(発射部材240などの)いくつかのコンポーネントを透明要素として示している。図14図17には、第2のジョー274のリロード支持体内に完全な未発射のステープルリロード250カートリッジが位置する場合のロックアウト機構の機能を示す。図18には、発射済みリロードロックアウト機構の動作を示す。図19には、空のジョーアセンブリロックアウト機構の動作を示す。
【0033】
図14には、ジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。ジョーアセンブリは、第1のジョー272が第2のジョー274に対して開放位置に付勢されるような開放構成にある。発射部材240及び発射梁226は、ロックアウトレバー280の近位面が発射部材240の近位方向に延びる尾部247に乗るような完全に近位方向に後退した位置にある。従って、ロックアウトレバー280の遠位端282がリロード支持体からわずかに離れて上昇することにより、リロード支持体とロックアウトレバー280との間にロックアウトアクチュエータが位置できるようになる。
【0034】
引き続き図14を参照すると、ロックアウトレバー280の遠位端282のわずかな上昇は、リロードカートリッジ本体上に形成された第1のロックアウトアクチュエータの傾斜した近位面又は傾斜ボス252を受け入れることができる。ロックアウトレバー280の遠位端282は、リロード支持体へのジョーアセンブリの挿入時にリロードカートリッジ250が近位方向に摺動したときに第1のロックアウトアクチュエータに係合するように配置された横方向延長部(lateral extension)283(図12)と、第2のロックアウトアクチュエータに係合するように配置された内側面281(図12)とを有する。
【0035】
図15に、リロード250カートリッジが部分的に挿入されたジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。図示のように、ロックアウトレバー280の遠位端282の横方向延長部283は、傾斜ボス252の傾斜した近位面283に係合している。リロード250カートリッジが近位方向にさらに摺動すると、横方向延長部283は、リロード支持体に対する第1の高さまで傾斜面を上昇し、ロックアウトレバー280を第2の位置に枢動させて空のジョーアセンブリロックアウト機構を無効化する。空のジョーアセンブリロックアウト機構の動作については、以下で図19を参照しながらさらに説明する。図示の実施形態では、ロックアウトレバー280の遠位端282が第1のロックアウトアクチュエータによってリロード支持体から第1の高さに上昇すると、未発射のリロード250カートリッジの第2のロックアウトアクチュエータ又はスライダ尾部254が、第1のロックアウトアクチュエータのすぐ遠位の、ロックアウトレバー280の遠位端282の内側面281に係合するように配置される高さに位置付けられる。従って、図15に示すような切欠側面図で見た場合、第1のロックアウトアクチュエータ及び第2のロックアウトアクチュエータは、リロード250カートリッジがリロード支持体に挿入されたときにロックアウトレバー280の遠位端282を2つの所定の位置に上昇させるように構成された漸進的傾斜プロファイル(progressive ramped profile)を定める。
【0036】
図16に、リロード250カートリッジがほぼ完全に挿入されたジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。図示のように、ロックアウトレバー280の遠位端282の内側面281は、第2のロックアウトアクチュエータ又はスライダ尾部254の傾斜した近位面に係合している。図示の実施形態では、リロード250のスライダの近位方向に延びる尾部254が、リロードカートリッジが未発射状態のときにロックアウトレバー280の遠位端282に係合する引き込み傾斜面(lead-in ramped surface)を有する。いくつかの実施形態では、ロックアウトレバー280及びスライダ尾部254を、滑らかで比較的低摩擦なリロードの挿入を実現して、カートリッジの挿入中にスライダが拘束される可能性又は意図せず前進する可能性を低減するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、リロード250カートリッジとリロード支持体との間のわずかな角度ずれの可能性にもかかわらずロックアウトレバー280がスライダ尾部との相互作用によって枢動するように、ロックアウトレバー280の遠位端282の内側面281が丸みを帯びた(radiused)遠位端を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、スライダ尾部254の傾斜した近位面が、リロード支持体に対する第1のロックアウトアクチュエータの高さよりも低い近位端においてリロード支持体に対する第1の高さから延びることができる。従って、リロード支持体内に未発射のリロード250カートリッジが位置する場合には、ロックアウトレバー280の遠位端282が、リロードカートリッジとリロード支持体との間の幅広い角度アラインメントで第1のロックアウトアクチュエータから第2のロックアウトアクチュエータにスムーズに移行することができる。
【0037】
図17に、リロード250カートリッジが完全に挿入されたジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。図示のように、ロックアウトレバー280の遠位端282の内側面281は、第2のロックアウトアクチュエータの傾斜した近位面に沿って第2のロックアウトアクチュエータ又はスライダ尾部254上に前進している。このスライダ尾部254の傾斜面に沿った前進によってロックアウトレバー280が枢動軸284を中心に枢動し、ロックアウトレバー280の遠位端282がリロード支持体に対して第2の高さに来るようになる。ロックアウトレバー280の遠位端が第2の高さにある状態では、ロックアウトレバーが、空のジョーアセンブリロックアウト機構のロック解除状態及び発射済みリロードロックアウト機構のロック解除状態に対応するロック解除位置にある。
【0038】
引き続き図17を参照すると、ロックアウトレバー280がロック解除位置にある状態では、ロックアウトレバー280の近位端286が発射梁の下縁よりも低い高さに位置する。従って、発射部材240及び発射梁226は、動作可能に結合された機械的又は電動ハンドルアセンブリ(図1図5)からのユーザ入力に応答して、開閉ストローク及び発射ストロークを通じて遠位方向に前進することができる。従って、ジョーアセンブリのリロード支持体に未発射のリロードカートリッジが挿入されると、空のジョーアセンブリロックアウト機構及び発射済みリロードロックアウト機構の両方が無効化されて、ユーザがステープラハンドルアセンブリを操作してジョーアセンブリで組織を把持し、発射梁及び発射部材をジョーアセンブリ内で遠位側に並進させることによってジョーアセンブリからステープルを発射することが可能になる。
【0039】
図18を参照して分かるように、リロード250カートリッジが少なくとも部分的に発射されると、リロード250内のスライダが近位側の未発射位置から遠位方向に前進する。発射ストロークが完了すると、スライダがリロードカートリッジ内の遠位位置に残ったまま、復帰又は後退ストロークでのハンドルアセンブリの操作に応答して発射梁226及び発射部材240を近位方向に後退させることができる。従って、リロード250カートリッジが部分的に又は完全に発射されると、第2のロックアウトアクチュエータ又はスライダ尾部は、ロックアウトレバー280の遠位端282に係合する位置に存在しなくなる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のロックアウトアクチュエータ又は傾斜ボス252がカートリッジの本体に対して動かない。従って、部分的に又は完全に発射済みのリロード250がリロード支持体内に位置する場合、第1のロックアウトアクチュエータがロックアウトレバー280の遠位端282に係合して、ロックアウトレバー280の遠位端282をリロード支持体に対して第1の高さに位置付ける。ロックアウトレバー280の遠位端282がロックアウトレバーの第2の位置に対応する第1の高さに来ると、空のジョーアセンブリロックアウト機構は無効化されるが、発射済みリロードロックアウト機構はロックされる。
【0040】
引き続き図18を参照すると、ロックアウトレバー280が第2の位置にある状態では、ロックアウトレバー280の近位端286が発射梁226上の第2のロックアウトノッチ224に対応する高さに存在する。さらに、いくつかの実施形態では、付勢ばね290(図34)がロックアウトレバー280の遠位端282の上面に力を及ぼして、ロックアウトレバー280の近位端286を発射梁226上の第2のロックアウトノッチ224に対応する高さに維持する傾向にある。従って、発射済みのリロードカートリッジがジョーアセンブリ内に存在する状態でユーザがジョーアセンブリを作動させようと試みた場合、ロックアウトレバー280の近位端286が発射梁226の第2のロックアウトノッチ224内に収容されるまで発射梁226が遠位方向に前進して、発射済みリロードロックアウト機構の係合を示すとともに、発射梁及び発射部材のさらなる遠位方向の動きを防ぐことができる。
【0041】
引き続き図18を参照すると、いくつかの実施形態では、発射済みリロードロックアウト機構を、開閉ストロークの少なくとも一部においてステープリング装置のジョーアセンブリの動作を可能にするように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のロックアウトノッチ224の位置及びロックアウトレバー280の長さを、ジョーアセンブリの完全に閉じた構成又はほぼ完全に閉じた構成に対応する位置における発射済みリロード機構の係合時に発射梁226が停止する(arrested)ようなサイズ及び構成にすることができる。このような構成のジョーアセンブリでは、発射部材240が、第1のジョー及び第2のジョーを近づける遠位位置に前進してしまっても、刃先245を実質的に引っ込んだ位置に維持する。開閉ストロークを可能にするように構成された発射済みのリロードロックアウトでは、リロードカートリッジからステープルを発射した後に、ユーザが1又は2以上の開閉ストロークでジョーアセンブリを操作して、潜在的な第2のリロードを適用する様々な位置における組織の厚み及び一貫性を評価できるという利点がある。同様に、トロカールなどの外科的アクセスポートを通じたステープリング装置の挿入では、一般にジョーアセンブリが閉鎖構成であることを必要とし得るので、ユーザは、1又は2以上の外科的アクセスポートを通じてジョーアセンブリを引っ込めて再挿入し、手術部位の様々な位置における組織の厚み及び一貫性を評価することもできる。
【0042】
引き続き図18を参照すると、いくつかの実施形態では、発射済みリロードロックアウト機構を、発射ストロークでのステープリング装置の動作を防ぐようにさらに構成することができる。通常、図1図5に関して説明したものなどの本明細書で説明した細長いシャフト及びジョーアセンブリと共に使用されるように構成された機械的及び電動ステープラハンドルアセンブリは、ジョーアセンブリが閉鎖構成になった場合にのみユーザがジョーアセンブリの発射ストロークの動作を積極的に選択できるようにする発射モードセレクタ機構又は発射安全スイッチを含む。従って、いくつかの実施形態では、第2のロックアウトノッチ224の位置及びロックアウトレバー280の長さを、ジョーアセンブリの完全に閉じた構成の近位にある位置に対応する位置における発射済みリロードロックアウト機構の係合時に発射梁226が停止するようなサイズ及び構成にすることができる。従って、これらの実施形態では、発射済みリロードロックアウト機構が係合すると、ユーザがハンドルアセンブリ上で発射ストロークの動作を選択することはできるが、ハンドルアセンブリは発射ストロークで発射梁を係合させなくなる。ハンドルアセンブリ上での発射ストロークの作動を防ぐ発射済みリロードロックアウト機構の動作は、ロックアウトが係合したことをユーザに示す役割を果たすことが有利である。
【0043】
図19に、リロードカートリッジが挿入されておらず発射部材及び発射梁が長手方向にわずかに前進したジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。リロードが存在しない状態では、発射部材240の尾部247がロックアウトレバー280の近位端286から前進すると、付勢ばね290(図12)がロックアウトレバー280の遠位端282の上面にリロード支持体に向けて力を及ぼす。従って、ユーザがジョーアセンブリを開閉ストロークで前進させるようにハンドルアセンブリを作動させたことに応答して発射梁226が最初に前進すると、空のジョーアセンブリロックアウト機構のロック構成に対応する第1の位置にロックアウトレバー280が枢動する。発射梁226が遠位方向に前進すると、ロックアウトレバー280の近位端286が発射梁226上の第1のロックアウトノッチ222に嵌り込んで空のジョーアセンブリロックアウト機構に係合し、発射梁226及び発射部材240のさらなる遠位方向の並進を防ぐ。
【0044】
引き続き図19を参照すると、いくつかの実施形態では、空のジョーアセンブリロックアウト機構を、ジョーアセンブリの実質的に開いた構成に対応する位置において発射梁の動きを停止させるように構成することができる。例えば、発射梁226上の第1のロックアウトノッチ222の位置、ロックアウトレバー280の長さ、及び発射部材240の尾部247の長さは、ジョーアセンブリの開閉ストロークの初期に空のリロードロックアウト機構がロックされるようなサイズ及び構成にすることができる。空のジョーアセンブリロックアウト機構が開閉ストロークの初期部分の最中にロックするように構成されると、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジが存在しない場合にユーザがハンドルアセンブリを作動させて外科的アクセスポートを通じて挿入できるほど十分にジョーアセンブリを閉じることができないという利点がある。従って、空のジョーアセンブリロックアウト機構がこのように構成されると、ユーザは、うっかり空のジョーアセンブリを手術部位に導入する前に、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジが存在しない旨の触覚指示を得られる。さらに、このような空のジョーアセンブリロックアウトは、ジョーアセンブリ内にリロードが存在しないジョーアセンブリに対して、発射部材240の刃先245を実質的に後退した保護位置に維持することが望ましい。
【0045】
図20図27を参照すると、いくつかの実施形態では、外科用ステープリング装置において使用される細長いシャフトとジョーアセンブリが、独立して動作可能な空のジョーアセンブリロックアウト機構及び発射済みリロードロックアウト機構を有することができる。図示の実施形態では、ジョーアセンブリが、図10図19を参照しながら説明したような第1及び第2のロックアウトアクチュエータによって作動可能な表面を有する二位置ロックアウトレバーを含むのではなく、対応する第1及び第2のロックアウトアクチュエータによって独立して作動可能な第1のロックアウトレバー及び第2のロックアウトレバーを含むことができる。
【0046】
図20には、図21図27のロックアウト機構と共に使用される発射梁326の実施形態を示す。図示の実施形態では、発射梁326が、第1のロックアウトノッチ322及び第2のロックアウトノッチ324を含む。第1のロックアウトノッチ322は、発射梁326の下縁320に対する第1の高さを有し、第2のロックアウトノッチ324は、発射梁326の下縁320に対する第2の高さを有する。いくつかの実施形態では、第2の高さの方が第1の高さよりも大きい。第1のロックアウトノッチは、第1のロックアウトノッチを補強するタブ328によって第2のロックアウトノッチから離間することができる。発射部材340及び発射梁326の他の態様は、実質的に二位置ロックアウトレバーと共に使用される発射部材及び発射梁に関して上述した通りである。
【0047】
いくつかの実施形態では、図21に、空のジョーアセンブリロックアウト機構及び発射済みリロードロックアウト機構を説明するために様々なコンポーネントを隠した、ジョーアセンブリ370の第1のジョー372及び第2のジョー374の部分的分解図を示す。いくつかの実施形態では、ロックアウト機構が、第1の空のジョーアセンブリロックアウトレバー380と、第2の発射済みリロードロックアウトレバー480と、付勢ばね390と、第1のロックアウトノッチ322と、第2のロックアウトノッチ324とを含む。図示の実施形態では、第1のロックアウトレバー380及び第2のロックアウトレバー480がそれぞれジョーアセンブリの第2のジョー374に枢動可能に結合され、第1のロックアウトレバー380及び第2のロックアウトレバー480は独立して枢動可能である。図示の実施形態では、第1のロックアウトレバー380及び第2のロックアウトレバー480が発射部材340及び発射梁326の反対側に位置し、それぞれジョーアセンブリ370の長手方向軸を横切る枢動軸を中心に枢動する。いくつかの実施形態では、第1のロックアウトレバー380及び第2のロックアウトレバー480が同じ枢動軸を中心に枢動する。他の実施形態では、第1のロックアウトレバー380の枢動軸を第2のロックアウトレバー480の枢動軸から長手方向にオフセットすることもできる。
【0048】
引き続き図21を参照すると、図示の実施形態では、第1のロックアウトレバー380が、近位端386、遠位端382、及び近位端386と遠位端382との間に位置する枢動軸384を有する。付勢ばね390は、第1のロックアウトレバー380の遠位端382の上面上に位置する下側ばねアーム392を有する。付勢ばね390は、ロックアウトレバー380の遠位端382を第2のジョー374のリロード支持体に向けて下向きに付勢する。付勢ばねは、第1のジョー372を第2のジョー374から枢動可能に離して付勢してジョーアセンブリを開放構成で配置する少なくとも1つの上側ばねアーム394をさらに含むことができる。従って、付勢ばね390は、第1のロックアウトレバー380の遠位端382に対し、第1のロックアウトレバー380の近位端386をリロード支持体から離して上方に枢動させる傾向にあるばね力を及ぼす。図示のように、発射部材340及び発射梁326が開いたジョーアセンブリに対応する完全に引っ込んだ位置にくると、発射部材340上の近位方向に延びる尾部347が第1のロックアウトレバー380の近位端386に係合し、付勢ばね390によって与えられる力に打ち勝って第1のロックアウトレバー380の遠位端382をリロード支持体に対して上昇した位置に位置付けることにより、リロード支持体にリロードカートリッジを挿入できるようになる。
【0049】
引き続き図21を参照すると、図示の実施形態では、第2のロックアウトレバー480が、近位端486、遠位端482、及び近位端486と遠位端482との間に位置する枢動軸484を有する。いくつかの実施形態では、付勢部材490が、第2のロックアウトレバー480の遠位端482の下面上に位置する。付勢部材490は、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジが存在しない場合には第2のロックアウトレバー480の遠位端482を上昇位置に維持するように構成される。図示のように、いくつかの実施形態では、付勢部材490が、第2のロックアウトレバー480の遠位端482の下面上に位置して第2のロックアウトレバー480の遠位端482をリロード支持体に対して上昇した位置に維持する圧縮性パック(compressible puck)を含む。他の実施形態では、第2のロックアウトレバーの遠位端の下面上にコイルばねなどの他の付勢部材を配置することもできる。さらに他の実施形態では、付勢部材を第2のロックアウトレバーの遠位端の下方のリロード支持体上に配置することもできる。
【0050】
図22及び図23に、リロードカートリッジが挿入されて発射部材340及び発射梁がジョーアセンブリの閉鎖構成に向かってわずかに長手方向に前進したジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。図22には、第1のロックアウトレバー380を含むジョーアセンブリの近位端の第1の側を示す。図23には、第2のロックアウトレバー480を含むジョーアセンブリの近位端の第2の側を示す。ジョーアセンブリ内に未発射のリロードカートリッジ350が位置する状態では、空のジョーアセンブリロックアウト機構が無効化されてロック解除構成にあり、発射済みリロードロックアウト機構も無効化されてロック解除構成にある。
【0051】
図22を参照して分かるように、ジョーアセンブリの第2のジョー374のリロード支持体にリロードカートリッジ350が挿入されると、リロード350の近位端の第1のロックアウトアクチュエータ352がリロード支持体と第1のロックアウトレバー380の遠位端382との間を近位方向に前進する。図示の実施形態では、第1のロックアウトアクチュエータ352がリロードカートリッジ上に突出面を含む。例えば、いくつかの実施形態では、リロードカートリッジが、金属ジャケットで部分的に取り囲まれたカートリッジ本体を含むことができる。金属ジャケットは、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジ350が存在する場合に第1のロックアウトレバー380の遠位端382の下面に接触してリロード支持体に対する第1のロックアウトレバー380の遠位端382の高さを維持する折り畳み面又は隆起面を含むことができる。第1のロックアウトレバー380の遠位端382が第1のロックアウトアクチュエータ352の高さに維持された状態では、第1のロックアウトレバー380の近位端386が第1のロックアウトノッチ322及び第2のロックアウトノッチから離れて、発射梁326の下縁よりも低い高さに位置付けられる。従って、リロード支持体内にリロードカートリッジ350が存在する状態では、空のジョーアセンブリロックアウト機構が無効化される。いくつかの実施形態では、ロックアウト機構を、空のジョーロックアウト機構が無効化された状態で発射梁326及び発射部材340の並進を可能にして、リロードが発射されたかどうかにかかわらず、内部にリロードカートリッジが存在するジョーアセンブリの開閉ストロークの一部を可能にするように構成することができる。
【0052】
図23を参照して分かるように、リロードカートリッジ350が挿入されると、スライダ355上の近位方向に延びる尾部354が、リロード支持体と第2のロックアウトレバー480の遠位端482の下面との間に位置するようになる。付勢部材490又は圧縮性パックは、第2のロックアウトレバー480の遠位端482の高さを維持して、スライダ355の尾部354を第2のロックアウトレバー480の遠位端482の下方に収容する。いくつかの実施形態では、リロードカートリッジ350が、第2のロックアウトレバー480の遠位端482の上面をリロード支持体に向けて下向きに付勢するカートリッジ付勢ばね492をさらに含む。
【0053】
引き続き図23を参照すると、第2のロックアウトレバー480の遠位端482がスライダ355の尾部354の高さに維持された状態では、第2のロックアウトレバー480の近位端486が、第1のロックアウトノッチ及び第2のロックアウトノッチから離れて発射梁326の下縁よりも低い高さに位置する。従って、リロード支持体内にリロードカートリッジ350が存在する状態では、発射済みリロードロックアウト機構が無効化される。従って、ジョーアセンブリのリロード支持体内に未発射のリロード350が位置する場合には、空のジョーアセンブリロックアウト機構及び発射済みリロードロックアウト機構がいずれも無効化され、ユーザは、動作可能に結合されたハンドルアセンブリを操作して発射梁及び発射部材を発射ストロークで前進させてリロードカートリッジ350からステープルを展開することができる。
【0054】
図24に、部分的に又は完全に発射済みのリロードカートリッジが挿入され、ジョーアセンブリの閉鎖構成に対応して発射部材及び発射梁がわずかに長手方向に前進したジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。ジョーアセンブリ内に部分的に又は完全に発射済みのカートリッジが存在する状態では、空のジョーアセンブリロックアウト機構が無効化されてロック解除構成にあり、発射済みリロードロックアウト機構がロック構成にある。
【0055】
発射済みリロードカートリッジが挿入された状態では、ジョーアセンブリの第1の側の第1のロックアウトレバーの位置が、未発射のリロードカートリッジに関して上述した位置と同じである(図22)。従って、リロードカートリッジが少なくとも部分的に発射されると、又は以前に使用されたリロードカートリッジがジョーアセンブリのリロード支持体に再挿入された場合、空のジョーアセンブリロックアウト機構は無効化される。
【0056】
図24を参照すると、発射済みリロードカートリッジ350が挿入された状態では、カートリッジ付勢ばねが第2のロックアウトレバー480の遠位端482に対してリロード支持体に向かう下向きの力を及ぼす。カートリッジ付勢ばね492は、リロード支持体と第2のロックアウトレバー480との間の付勢部材490の付勢力に打ち勝つのに十分な力を及ぼすように構成される。いくつかの実施形態では、カートリッジ付勢ばね492が、その近位端においてリロードカートリッジ350に結合される。図示の実施形態では、スライダ尾部が近位位置に位置しておらず、カートリッジ付勢ばね492が第2のロックアウトレバー480の遠位端482の下面に圧縮性パックを押し付けるのに十分な力を及ぼすことにより、第2のロックアウトレバー480の遠位端482がリロード支持体に対して比較的低い高さに枢動するようになる。第2のロックアウトレバー480の遠位端482がこの比較的低い高さにある状態では、第2のロックアウトレバー480の近位端486が発射梁326の第2のロックアウトノッチ324に対応する高さに位置することにより、発射済みリロードロックアウト機構はロック構成になる。図示のように、ユーザがジョーアセンブリを開閉ストロークで作動させようと試みることによって発射梁が前進すると、第2のロックアウトレバー480の近位端486が発射梁326の第2のロックアウトノッチ324内に嵌り込んで発射梁326のさらなる長手方向遠位への動きを停止させるので、発射済みリロードロックアウト機構が係合する。
【0057】
引き続き図24を参照すると、図示の実施形態では、発射済みリロードロックアウト機構が、ハンドルアセンブリにおけるユーザ入力に応答して、開閉ストロークでのジョーアセンブリの一定範囲の動作を可能にするように構成される。例えば、第2のロックアウトレバーの近位端及び第2のロックアウトノッチの位置は、ジョーアセンブリの閉じた又はほとんど閉じた構成に対応する発射梁の位置において発射済みリロードロックアウト機構の係合をもたらすように選択することができる。従って、ユーザは、リロードカートリッジからステープルを発射した後に、ステープリング装置を手術部位から動かすことなくジョーアセンブリで組織を把持して組織の厚み及び一貫性を評価できるという利点を有する。さらに、発射済みリロードロックアウト機構は、ジョーアセンブリの開閉ストロークの完了前に係合することによって、ユーザがステープリング装置のハンドルアセンブリにおいて発射動作を選択するのを防ぐように構成することができる。従って、発射梁の切刃が組織に到達する恐れがあるジョーアセンブリの発射ストロークに対応する位置にユーザが不用意に発射部材及び発射梁を前進させるのを防ぐことができる。
【0058】
図25図26及び図27に、ジョーアセンブリの開放構成に対応する、リロードカートリッジが挿入されておらず発射部材及び発射梁が長手方向に完全に引っ込んだ(図25図27)、又は実質的に完全に引っ込んだ(図26)ジョーアセンブリの近位端の切欠図を示す。図25には、第1のロックアウトレバー380を含むジョーアセンブリの近位端の第1の側を示す。図26には、空のジョーアセンブリロックアウト機構の動作を示す、発射部材がわずかに前進したジョーアセンブリの近位端の第1の側を示す。図27には、第2のロックアウトレバー480を含むジョーアセンブリの近位端の第2の側を示す。図示の実施形態では、ジョーアセンブリ内にリロードカートリッジが位置しておらず、空のジョーアセンブリロックアウト機構がロック構成にあり、発射済みリロードロックアウト機構がロック解除構成にある。
【0059】
図25を参照すると、リロードカートリッジが挿入されずにジョーアセンブリが開放構成にある状態では、当初、第1のロックアウトレバー380の位置は、第1のロックアウトレバー380の遠位端382がリロードカートリッジを収容するためにリロード支持体から持ち上がった状態に維持される。ジョーアセンブリが開放構成にある状態では、発射梁326が完全に引っ込んだ位置に存在し、発射部材340上の尾部347が第1のロックアウトレバー380の近位端386上に存在して、第1のロックアウトレバー380の遠位端382をリロードカートリッジを収容するように位置付ける。しかしながら、ユーザがジョーアセンブリを開閉ストロークで作動させようと試みた場合(図26)、発射部材340上の尾部347は、第1のロックアウトレバー380の近位端386から離れて長手方向に前進するようになる。付勢ばね390は、第1のロックアウトレバー380の遠位端382の上面に力を加えて第1のロックアウトレバー380を枢動させることができ、これによって第1のロックアウト部材の近位端386が、発射梁326上の第1のロックアウトノッチ322の高さに対応するリロード支持体からの高さに位置するようになる。図26を参照すると、ユーザがジョーアセンブリを開閉ストロークで作動させようと試み続けた場合、発射梁の初期遠位移動時に第1のロックアウトレバー380の近位端386が発射梁326上の第1のロックアウトノッチ322内に嵌り込むようになる。従って、空のジョーアセンブリロックアウト機構はロック構成になる。
【0060】
引き続き図25図26を参照すると、空のジョーアセンブリロックアウト機構は、ジョーアセンブリの開閉ストロークの初期部分中に発射梁のさらなる遠位移動を制限するように構成することができる。例えば、発射部材340上の尾部347のサイズ、第1のロックアウトレバー380の近位端386の位置、及び第1のロックアウトノッチ322を、発射梁326の初期遠位移動時に発射梁326を停止させるように構成することができる。従って、空のジョーアセンブリロックアウト機構は、部分的に又は実質的に開いた構成でジョーアセンブリに係合する。この空のジョーアセンブリロックアウト機構の係合は、ジョーアセンブリが手術部位に導入される前にジョーアセンブリが空であることをユーザに示すことが望ましい。
【0061】
図27を参照すると、ジョーアセンブリにリロードカートリッジが挿入されていない状態では、付勢部材490又は圧縮性パックが、第2のロックアウトレバー480の遠位端482をリロード支持体に対して上昇位置に維持する。第2のロックアウトレバー480の遠位端482がこの上昇した高さに存在する状態では、第2のロックアウトレバー480の近位端486が、リロード支持体に隣接して比較的低い高さに存在して発射梁326の第1のロックアウトノッチ及び第2のロックアウトノッチから離間するようにリロード支持体に隣接して位置する。従って、発射済みリロードロックアウト機構はロック解除構成になる。図示のように、ユーザがジョーアセンブリを開閉ストロークで作動させようと試みることによって発射梁が前進すると、発射済みリロードロックアウト機構はロック解除構成に留まり、第2のロックアウトレバーの近位端はリロード支持体に隣接したままである。
【0062】
本出願では、いくつかの好ましい実施形態及び実施例を開示したが、当業者であれば、本発明は、具体的に開示した実施形態を超えて他の代替実施形態及び/又は発明の使用及び自明な修正及びその同等物にまで拡大すると理解するであろう。さらに、これら発明の様々な特徴は、単独で使用することも、又は上記で明確に説明した以外のこれらの発明の他の特徴と組み合わせて使用することもできる。従って、本明細書に開示した本発明の範囲は、上述した特定の開示した実施形態によって限定されるべきものではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきものである。
【符号の説明】
【0063】
222 第1のロックアウトノッチ
224 第2のロックアウトノッチ
226 発射梁
240 発射部材
270 ジョーアセンブリ
272 第1のジョー
274 第2のジョー
280 ロックアウトレバー
281 内側面
282 遠位端
283 横方向延長部
284 枢動軸
286 近位端
290 付勢ばね
292 下側ばねアーム
294 上側ばねアーム
図1
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