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特許7569814動的な乗り物車両の動きを有する乗り物システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】動的な乗り物車両の動きを有する乗り物システム
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/02 20060101AFI20241010BHJP
   A63G 31/16 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A63G31/02
A63G31/16
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021576708
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020038464
(87)【国際公開番号】W WO2020263679
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】62/865,766
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/456,234
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ブルームフィールド アンドリュー エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】プリム ケヴィン ビー
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512948(JP,A)
【文献】特表2011-519604(JP,A)
【文献】特開2006-158758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0017893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物システムであって、
複数の乗り物車両と、
コントローラと、
を備え、前記複数の乗り物車両の各乗り物車両は、
乗客を運ぶように構成された乗客支持体と、
前記乗客支持体及び前記乗り物車両のベースに結合されて前記乗客支持体を前記ベースに対して移動させるように構成された支持体アクチュエータと、
前記ベースと一体化されて前記乗り物車両を乗り物エリアに対して移動させるように構成された乗り物車両移動システムと、
を含み、前記コントローラは、
前記複数の乗り物車両の演出されたルーチンを実行するための、メモリに記憶された命令と、
前記複数の乗り物車両のうちの選択された乗り物車両から受け取られた入力と、
に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の乗り物車両の各乗り物車両の前記支持体アクチュエータと、前記複数の乗り物車両の各乗り物車両の前記乗り物車両移動システムとを個別に制御するように構成され、前記入力は、前記選択された乗り物車両の前記支持体アクチュエータ、前記選択された乗り物車両の前記乗り物車両移動システム、又はこれらの両方による前記選択された乗り物車両の動き又は位置の調整を示す
ことを特徴とする乗り物システム。
【請求項2】
前記演出されたルーチンは、前記複数の乗り物車両の各乗り物車両の各乗客支持体及び各乗り物車両移動システムのための演出された乗車支持移動命令を含む、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項3】
前記演出されたルーチンは、該演出されたルーチンの時系列に少なくとも部分的に基づく、前記複数の乗り物車両のうちの前記選択された乗り物車両の指定を含み、前記選択された乗り物車両は、前記時系列中の第1の期間には前記複数の乗り物車両のうちの第1の乗り物車両であり、前記選択された乗り物車両は、前記時系列中の第2の期間には前記複数の乗り物車両のうちの第2の乗り物車両である、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項4】
互いに結合された複数のリンケージを備え、該複数のリンケージのうちの第1のリンケージは前記支持体アクチュエータに結合され、前記複数のリンケージのうちの第2のリンケージは前記乗客支持体に結合される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項5】
前記複数のリンケージは、前記乗客支持体を前記ベースに対して垂直方向及び長手方向に移動させるために互いに対して及び前記ベースに対して動くように構成される、
請求項4に記載の乗り物システム。
【請求項6】
前記入力は、前記選択された乗り物車両の前記乗客支持体上に位置する前記乗客によって制御されるように構成された乗客コントローラから受け取られる、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項7】
前記入力は、体重の移動、前記乗客コントローラのハンドコントローラへの入力、又はこれらの両方を含む、
請求項6に記載の乗り物システム。
【請求項8】
前記複数の乗り物車両を収容するように構成された乗り物ステーションを備える、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項9】
前記コントローラは、パーティサイズを示す入力を受け取り、前記パーティサイズに少なくとも部分的に基づいて前記複数の乗り物車両のサブセットを前記乗り物ステーションから前記乗り物エリア内に派遣するように構成され、前記複数の乗り物車両の前記サブセットは、前記複数の乗り物車両の一部又は全部の乗り物車両を含む、
請求項8に記載の乗り物システム。
【請求項10】
1又は2以上の乗り物車両を備えた乗り物システムであって、前記1又は2以上の乗り物車両の各乗り物車両は、
乗客を運ぶように構成された乗客支持体と、
前記乗客支持体及び前記乗り物車両のベースに結合されて前記乗客支持体を前記ベースに対して移動させるように構成された支持体アクチュエータと、
前記ベースに結合されて前記乗り物車両を乗り物エリアを横切るように移動させるよう構成された乗り物車両移動システムと、
前記乗客支持体又は前記ベースを前記乗り物エリアに対して角度を付けて移動させるように構成されたロールシステムと、
各乗り物車両の前記乗客が見るための映画的提示を提供するように構成されたディスプレイシステムと、
コントローラと、
を備え、前記コントローラは、
前記ディスプレイシステムに前記映画的提示を提供するように命令し、
前記映画的提示に対応する前記1又は2以上の乗り物車両の演出されたルーチンと、前記1又は2以上の乗り物車両のうちの選択された乗り物車両から受け取られた入力とに基づいて、前記1又は2以上の乗り物車両の各乗り物車両の前記支持体アクチュエータ、前記乗り物車両移動システム及び前記ロールシステムを個別に制御する、
ように構成され、前記入力は、前記選択された乗り物車両の前記乗客支持体、前記乗り物車両、又はこれらの両方の動きに対する調整を示す、
乗り物システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記選択された乗り物車両から受け取られた前記入力に少なくとも部分的に基づいて前記映画的提示を制御するように構成され、前記映画的提示は複数の固有のストーリー展開を含み、該複数の固有のストーリー展開の各固有のストーリー展開は、前記1又は2以上の乗り物車両の固有の演出されたルーチンに対応する、
請求項10に記載の乗り物システム。
【請求項12】
前記1又は2以上の乗り物車両は複数の乗り物車両を含み、前記演出されたルーチンは、該演出されたルーチンの時系列に少なくとも部分的に基づく、前記複数の乗り物車両のうちの前記選択された乗り物車両の指定を含み、前記選択された乗り物車両は、前記時系列中の第1の期間には前記複数の乗り物車両のうちの第1の乗り物車両であり、前記選択された乗り物車両は、前記時系列中の第2の期間には前記複数の乗り物車両のうちの第2の乗り物車両である、
請求項10に記載の乗り物システム。
【請求項13】
前記1又は2以上の乗り物車両は複数の乗り物車両を含み、前記コントローラは、前記選択された乗り物車両から受け取られた前記入力に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の乗り物車両のうちの前記選択された乗り物車両とは異なる1又は2以上の他の乗り物車両の動きを制御するように構成される、
請求項10に記載の乗り物システム。
【請求項14】
前記1又は2以上の乗り物車両を収容するように構成された乗り物ステーションを備え、前記1又は2以上の乗り物車両は、前記乗り物ステーションから前記ディスプレイシステムのスクリーンに近接する位置に移行するように構成される、
請求項10に記載の乗り物システム。
【請求項15】
乗り物システムであって、
軌道と、
前記軌道に沿って移動するように構成された乗り物車両と、
コントローラと、
を備え、前記乗り物車両は、
各乗客支持体がそれぞれの乗客を運ぶように構成された複数の乗客支持体と、
各支持体アクチュエータが前記複数の乗客支持体のそれぞれの乗客支持体及び前記乗り物車両のベースに結合されて前記それぞれの乗客支持体を前記ベースに対して移動させるように構成された複数の支持体アクチュエータと、
前記ベースと一体化されて前記乗り物車両を前記軌道に沿って移動させるように構成された乗り物車両移動システムと、
前記ベース及び前記複数の乗客支持体を前記軌道に対して角度を付けて移動させるように構成されたロールシステムと、
を含み、前記コントローラは、
前記複数の乗客支持体の演出されたルーチンを実行するための、メモリに記憶された命令と、
前記複数の乗客支持体のうちの選択された乗客支持体から受け取られた入力と、
に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の支持体アクチュエータ、前記乗り物車両移動システム及び前記ロールシステムを制御するように構成され、前記入力は、前記選択された乗客支持体に結合された前記支持体アクチュエータによる前記選択された乗客支持体の動き又は位置の調整を示す
ことを特徴とする乗り物システム。
【請求項16】
前記演出されたルーチンは、前記複数の支持体アクチュエータの各支持体アクチュエータ、前記乗り物車両移動システム及び前記ロールシステムのための演出された移動命令を含む、
請求項15に記載の乗り物システム。
【請求項17】
複数のリンケージアセンブリを備え、前記複数の支持体アクチュエータの各支持体アクチュエータは、前記複数のリンケージアセンブリのそれぞれのリンケージアセンブリ及び前記乗り物車両の前記ベースに結合され、前記複数のリンケージアセンブリの各リンケージアセンブリは、前記複数の乗客支持体のそれぞれの乗客支持体に結合される、
請求項16に記載の乗り物システム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記選択された乗客支持体から受け取られた前記入力に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の乗客支持体のうちの前記選択された乗客支持体とは異なる1又は2以上の他の乗客支持体の動きを制御するように構成される、
請求項15に記載の乗り物システム。
【請求項19】
前記選択された乗客支持体は、該選択された乗客支持体に乗っている乗客から前記入力を受け取るように構成された乗客コントローラを含み、該乗客コントローラは、ジョイスティック、ハンドコントローラ、又はこれらの両方を含む、
請求項15に記載の乗り物システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年6月24日に出願された「動的な乗り物車両の動きを有する乗り物システム(RIDE SYSTEMS HAVING DYNAMIC RIDE VEHICLE MOVEMENT)」という名称の米国仮特許出願第62/865,766号に基づく優先権及びその利益を主張するものであり、この文献は引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に乗り物システムに関する。具体的には、本開示の実施形態は、協調的な乗り物経路の周囲を互いに対して複数の方向に移動できる乗り物車両を有する乗り物システムに関する。乗り物車両の動きは、乗り物車両の乗客によって提供される入力などの受け取られた入力に基づいて動的に調整することができる。
【背景技術】
【0003】
乗り物車両の中には、ユーザが輸送及び/又は娯楽目的で乗るものがある。例えば、いくつかの遊園地乗り物及びその他の構造化された乗り物システムは、固定経路に沿ったパターンで移動する乗り物車両を含む。動作中、乗り物車両の動きは、典型的には固定経路に制限される。今では、このような乗り物車両の動きが、乗り物車両に乗っている間のユーザの体験を損なう恐れがあると認識されている。
【0004】
本節は、以下で説明する本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、特許請求する実施形態の範囲を限定するものではなく、むしろ特許請求する実施形態の考えられる形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
ある実施形態では、乗り物システムが複数の乗り物車両を含む。複数の乗り物車両の各乗り物車両は、乗客を運ぶように構成された乗客支持体と、乗客支持体及び乗り物車両のベースに結合された支持体アクチュエータと、ベースと一体化されて乗り物車両を乗り物エリアに対して移動させるように構成された乗り物車両移動システムとを含み、支持体アクチュエータは、乗客支持体をベースに対して移動させるように構成される。乗り物システムは、複数の乗り物車両の演出されたルーチンを実行するための、メモリに記憶された命令と、複数の乗り物車両のうちの選択された乗り物車両から受け取られた入力とに少なくとも部分的に基づいて、複数の乗り物車両の各乗り物車両の支持体アクチュエータ及び乗り物車両移動システムを個別に制御するように構成されたコントローラも含む。入力は、複数の乗り物車両の各乗り物車両の支持体アクチュエータ、複数の乗り物車両の各乗り物車両の乗り物車両移動システム、又はこれらの両方に対する調整を示し、入力は、選択された乗り物車両の支持体アクチュエータ、選択された乗り物車両の乗り物車両移動システム、又はこれらの両方に対する相関的調整に基づく。
【0007】
ある実施形態では、乗り物システムが1又は2以上の乗り物車両を含む。1又は2以上の乗り物車両の各乗り物車両は、乗客を運ぶように構成された乗客支持体と、乗客支持体及び乗り物車両のベースに結合された支持体アクチュエータと、ベースに結合されて乗り物車両を乗り物エリアを横切るように移動させるよう構成された乗り物車両移動システムと、乗客支持体又はベースを乗り物エリアに対して角度を付けて移動させるように構成されたロールシステムとを含む。支持部アクチュエータは、乗客支持体をベースに対して移動させるように構成される。
【0008】
ある実施形態では、乗り物システムが、軌道と、軌道に沿って移動するように構成された乗り物車両とを含む。乗り物車両は複数の乗客支持体を含み、複数の乗客支持体の各乗客支持体は、それぞれの乗客を運ぶように構成される。乗り物車両は複数の支持体アクチュエータも含み、各支持体アクチュエータは、複数の乗客支持体のそれぞれの乗客支持体及び乗り物車両のベースに結合され、各支持体アクチュエータは、それぞれの乗客支持体をベースに対して移動させるように構成される。また、乗り物車両は、ベースと一体化されて乗り物車両を軌道に沿って移動させるように構成された乗り物車両移動システムと、ベース及び複数の乗客支持体を軌道に対して角度を付けて移動させるように構成されたロールシステムとを含む。さらに、乗り物システムは、複数の乗客支持体の演出されたルーチンを実行するための、メモリに記憶された命令と、複数の乗客支持体のうちの選択された乗客支持体から受け取られた入力とに少なくとも部分的に基づいて、複数の支持体アクチュエータ、乗り物車両移動システム及び乗り物車両のロールシステムを制御するように構成されたコントローラを含み、入力は、複数の支持体アクチュエータの各支持体アクチュエータに対する調整を示し、入力は、選択された乗客支持体に結合された支持体アクチュエータに対する相関的調整に基づく。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による、乗り物車両を含む乗り物システムの実施形態の後面斜視図である。
図2】本開示の態様による、図1の乗り物システムの実施形態のブロック図である。
図3】本開示の態様による、乗客支持体移動システムを含む図1の乗り物システムの実施形態のブロック図である。
図4】本開示の態様による、乗り物車両移動システムを含む図1の乗り物システムの実施形態の横から見たブロック図である。
図5】本開示の態様による、ロールシステムを含む図1の乗り物システムの実施形態の横から見たブロック図である。
図6】本開示の態様による、図1の乗り物車両の乗り物車両制御システムの実施形態のブロック図である。
図7】本開示の態様による、図1の乗り物車両を含む乗り物システムの実施形態の正面斜視図である。
図8】本開示の態様による、図1の乗り物車両を含む乗り物システムの実施形態の後面図である。
図9】本開示の態様による、乗客入力に基づいて図1の乗り物システムを制御するのに適した方法のフローチャートである。
図10】本開示の態様による、図1の乗り物車両と乗り物車両に近接して配置されたディスプレイシステムとを含む乗り物システムの実施形態の後面図である。
図11】本開示の態様による、乗り物ステーションと乗り物ステーション内に配置された乗り物車両とを含む乗り物システムの実施形態の斜視図である。
図12】本開示の態様による、図11の乗り物ステーションと乗り物ステーションに近接して配置された乗り物車両とを含む乗り物システムの実施形態の斜視図である。
図13】本開示の態様による、乗り物車両を含む乗り物システムの実施形態の後面斜視図である。
図14】本開示の態様による、図13の乗り物車両を含む乗り物システムの実施形態の後面斜視図である。
図15】本開示の態様による、図13の乗り物システムを制御するのに適した方法のフローチャートである。
図16】本開示の態様による、乗り物軌道と乗り物軌道上に配置された乗り物車両とを含む乗り物システムの実施形態の斜視図である。
図17】本開示の態様による、図16の乗り物システムを制御するのに適した方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明するわけではない。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようないずれかのこのような実施の開発では、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑でありかつ時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」及び「the」といった冠詞は、これらの要素が1つ又は2つ以上存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。また、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」についての言及は、記載する特徴も含むさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるように意図するものではないと理解されたい。
【0013】
いくつかの乗り物システムは、乗り物システムの乗り物エリア内で乗客(例えば、ユーザ)を運ぶことができる乗り物車両を含む。本開示の実施形態は、演出されたルーチンに基づいて乗り物システムの乗り物エリア内を移動できる乗り物車両に関する。例えば、乗り物システムは、乗り物エリア内で乗客を運んで乗客を楽しませ及び/又は輸送できる複数の乗り物車両を含むことができる。乗り物車両の動きは、乗り物経路に沿って、及び/又は互いに対して及び乗り物システムの他の部分に対して演出することができる。また、乗り物車両は、乗り物システムの乗り物エリアに対して特定の方向に移動することができ、及び/又は乗客を運んで乗り物システムの乗り物エリア及び/又は乗り物車両の他の部分に対して移動できる乗客支持体を含むことができる。例えば、乗り物車両は、乗り物エリアの表面に対して及び/又は乗り物車両のベースに対して垂直に移動でき、様々な方向に水平に移動でき(例えば、いずれかの平面方向への移動、回転及び旋回などができ)、ロールすることもできる(例えば、乗り物エリアの表面及び/又は乗り物車両のベースに対して傾いて及び/又は角度を付けて移動できる)機構及び部分(例えば、乗客支持体)を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、乗り物システム及び/又は乗り物車両が、乗り物エリア内の乗り物車両の動きを制御する制御システムを含むことができる。例えば、制御システムは、乗り物経路に対する乗り物車両の位置に基づいて(例えば、乗り物経路に沿った乗り物車両の意図される位置に対する乗り物車両の実際の位置に基づいて)、乗り物車両の軌道又は移動コースを調整することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両が乗り物エリア内を移動する際に、乗り物エリア内の障害物、乗り物車両上の乗客の重量、乗り物車両上又は乗り物車両の一部に配置された他のアイテムの重量、乗り物車両の後方、前方又は側方で引きずることができる乗り物車両に取り付けられた障害物、乗客入力(例えば、乗客が自身の体重を移動させること、乗客が操作ハンドルを回すこと、又は乗り物車両の軌道を全体的に調整すること、乗客が乗り物車両の速度を調整することなど)などのいくつかの要素が乗り物車両の軌道に影響を与えることができる。従って、制御システムは、乗り物車両の軌道又は移動コースを、概ね乗り物経路に従ってこのような要素を考慮するように調整することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、乗り物システムの乗り物車両が、他の乗り物車両をリードするように構成された選択された乗り物車両を含むことができる。選択された乗り物車両に乗っている乗客は、自身の体重を移動させること、ジョイスティック又はその他のハンドコントローラを制御すること、ボタンを押すこと、又はこれらの組み合わせなどの入力を提供することができる。選択された乗り物車両及び/又は乗り物システムのコントローラは、乗客入力に基づいて、選択された乗り物車両の軌道及び/又は選択された乗り物車両の乗客支持体の動きを調整することができる。例えば、選択された乗り物車両の乗客が、選択された乗り物車両の乗客支持体を上向きに引き上げて乗客支持体を左方向に傾けることを示す入力を提供した場合、コントローラは、選択された乗り物車両の動きを、予定される演出された乗り物軌道から乗客支持体を概ね上向きかつ左方向に動かすように調整することができる。また、乗り物システムコントローラは、乗り物システム内の他の乗り物車両及び/又は他の乗り物車両の乗客支持体の一部又は全部の動きを調整することもできる。他の乗り物車両の動きに対する調整は、選択された乗り物車両の動きに概ね対応することができ(例えば、選択された乗り物車両又はその一部の相関的調整/動きに基づくことができ)、選択された乗り物車両の動きを反映することができ、及び/又は選択された乗り物車両の動きに比べて変化する/異なる程度のものであることができる。いくつかの実施形態では、乗り物システムの乗り物車両のうちの選択された乗り物車両の指定が乗り物システムの動作中に変化することができる。例えば、乗り物システムの乗り物シーケンス(例えば、乗り物システムの動作の時系列)中の第1の期間には、選択された乗り物車両を第1の乗り物車両とすることができ、乗り物シーケンス中の第2の期間には、選択された乗り物車両を第2の異なる乗り物車両とすることができる。従って、乗り物システムは、乗り物シーケンス中であって乗客が乗り物車両に乗っている間に、乗り物システムの1又は複数の乗客が乗り物車両を少なくとも部分的に制御することを可能にする。乗り物システムは、乗客入力に基づいて乗り物車両の動きを動的に調整することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、乗り物システムが、乗り物車両の動きに概ね対応する視聴体験を提供するように構成されたディスプレイシステムを含むことができる。例えば、この視聴体験は、乗客が乗り物車両に乗っている間に見ることができる、乗客の体験を向上させることができる映画的提示とすることができる。映画的提示のグラフィックスは、一般に乗り物車両の演出された動きに対応するように移動/変化することができる。いくつかの実施形態では、選択された乗り物車両及び/又は他の乗り物車両に提供される入力が、映画的提示を調整することができる。例えば、映画的提示は、乗客が体験するストーリー展開の一部とすることができ、乗り物車両において提供される入力は、このストーリー展開を変更/調整することができる(例えば、複数の可能なストーリー展開から特定のストーリー展開を選択することができる)。いくつかの実施形態では、乗り物システムが、乗り物車両の演出された動きに概ね対応する、及び/又は乗り物車両において提供された入力に基づいて調整できる聴覚体験(例えば、音響効果、音楽など)を提供するように構成された聴覚システムを含むこともできる。
【0017】
いくつかの実施形態では、乗り物システムが、乗り物車両を係留/収容するように構成された乗り物ステーションを含むことができる。乗り物システムは、動作中に乗り物ステーションから乗り物車両の一部又は全部を派遣することができる。例えば、乗り物ステーションから派遣される乗り物車両の数は、一般に乗り物システムの乗り物車両に乗っている又は乗ろうとしているパーティサイズ(例えば、1人の乗客、2人の乗客、3人の乗客、4人の乗客、6人の乗客、10人の乗客など)に依存することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、乗り物システムが、複数の乗客が乗るように構成された1又は複数の乗客支持体を含む、固定軌道に沿って移動するように構成された乗り物車両を含むことができる。例えば、各乗客支持体は乗り物車両のベースに結合することができ、ベースは軌道に沿って移動することができる。各乗客支持体は、乗り物車両が軌道に沿って移動する際に、ベースに対して及び互いに対して動くことができる。各乗客支持体の動きは、軌道に沿った乗り物車両の位置に基づいて計画及び/又は演出することができる。また、乗り物車両は、乗客からの入力を受け取るように構成された選択された乗客支持体を含むこともでき、乗り物システムのコントローラは、乗客支持体の計画及び/又は演出された動きを調整することなどの入力に基づいて、乗り物車両の選択された乗客支持体及び/又は他の乗客支持体の動きを制御することができる。従って、本明細書で説明する乗り物システムの実施形態は、乗り物システムの乗客に娯楽的で相互作用的な体験を提供することができる。
【0019】
図面を参照すると、図1は、乗り物車両12を含む乗り物システム10の実施形態の後面斜視図である。説明を容易にするために、各乗り物車両12及び乗り物車両12の特定のコンポーネントについては、垂直軸又は方向14、長手方向軸又は方向16、及び横軸又は方向18を参照して説明することができる。図示のように、いくつかの実施形態では、各乗り物車両12が、ベース20と、リンケージアセンブリ24を介してベース20に結合された乗客支持体22(例えば、乗車アセンブリ)とを含む。ベース20は、乗り物システム10の乗り物経路及び/又は乗り物エリア28の表面26に沿って乗り物車両12を移動させることができ、乗客支持体22は、乗り物車両12の乗客(例えば、ユーザ)を運ぶことができる。例えば、乗客は、娯楽及び/又は輸送目的で乗り物車両12に乗ることができる。いくつかの実施形態では、乗客支持体22及び/又は乗り物車両12が、動物、架空のキャラクタ、自動車、装飾及び/又はその他のオブジェクトに類似する特徴などの、乗客の体験を向上させる装飾的特徴を含むことができる。図示の乗り物システム10の実施形態は3つの乗り物車両12を含んでいるが、乗り物システム10のいくつかの実施形態は、より多くの又は少ない乗り物車両12(例えば、1つの乗り物車両12、2つの乗り物車両12、4つの乗り物車両12、5つの乗り物車両12、8つの乗り物車両12など)を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、乗り物車両12が共通のベース20を共有することもできる。例えば、共通のベース20は、複数の乗客支持体22及び複数のリンケージアセンブリ24を収容できるように図1の例示的なベース20よりも大幅に広くすることができる。
【0020】
乗り物システム10の動作中、乗客は乗り物車両12の乗客支持体22上に座ることができ、乗り物車両12は、それぞれのベース20を介して乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26を横切ることができる。以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、各乗り物車両12が、乗り物システム10内の演出された乗り物経路に沿って(例えば、乗り物エリア28の表面26に沿って)移動することができ、及び/又は乗り物車両12及び/又は乗客支持体22が垂直に(例えば、概ね垂直軸14に沿って)移動し、水平に(例えば、概ね長手方向軸16及び/又は横軸18に沿って)移動し、乗り物経路に沿って移動しながらロール(例えば、概ね長手方向軸16及び/又は横軸18を中心に回転)することを可能にする機構を含むことができる。また、各乗客は、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の動きを少なくとも部分的に制御/変更することもできる。乗り物経路に沿って移動しながら様々な方向に動く演出された乗り物経路に沿った乗り物車両12の動き、並びに乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の動きを少なくとも部分的に制御する乗客の能力は、乗客に相互作用的で娯楽的な体験を提供することができる。
【0021】
図2は、乗り物車両12を含む図1の乗り物システム10の実施形態のブロック図である。乗り物システム10は、乗り物車両12の乗り物車両制御システム32と通信する乗り物制御システム30を含む。図示のように、乗り物制御システム30及び乗り物車両制御システム32は、無線接続34(例えば、Wi-Fi、Bluetoothなど)を介して通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30及び乗り物車両制御システム32が、有線接続(例えば、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)、CANbus、ISObusなど)を介して通信可能に結合することもできる。
【0022】
乗り物車両12は、乗り物車両制御システム32に通信可能に結合された乗客支持体移動システム40(例えば、乗車アセンブリ移動システム)、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44を含み、乗り物車両制御システム32は、乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44を制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30が乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及び/又はロールシステム44を制御できるように、乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及び/又はロールシステム44を直接乗り物制御システム30に通信可能に結合することができる。
【0023】
乗客支持体移動システム40は、乗客支持体22をベース20に対して、及び/又は垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿って移動させることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両移動システム42が、乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿って概ね長手方向軸16及び/又は横軸18に沿って乗り物車両12を移動させることができる。例えば、乗り物車両移動システム42は、乗り物車両12をいずれかの平面方向に(例えば、乗り物エリア28の表面26に平行な平面に沿って)移動させ、乗り物車両12を旋回させ、乗り物車両12を回転させることができる。ロールシステム44は、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22を乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に対して概ね長手方向軸16を中心にロールさせ又はこれらに角度を付ける(例えば、乗り物車両12に角度を付けて移動させ、及び/又は乗り物車両12を傾斜させる)ことができる。
【0024】
従って、乗り物車両制御システム32は、乗り物車両12が乗り物システム10内を移動して乗客支持体22に座っている乗客を移動させる際に、乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44を個別に(例えば、別々に、独立して及び/又は異なるように)制御することができる。乗り物車両12は、乗り物システム10内の乗り物経路に沿って移動する際に乗客を移動させることにより、動物、架空のキャラクタ、自動車及び/又はその他の娯楽システム又はキャラクタの動きをシミュレートする娯楽体験を乗客に提供することができる。乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44の各々は、乗り物車両12のベース20に結合及び/又は少なくとも部分的に統合することができる。
【0025】
図3は、乗り物車両12の乗客支持体移動システム40を含む図1の乗り物システム10の実施形態のブロック図である。上述したように、乗客支持体移動システム40は、乗客支持体22を概ね垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿って移動させることができる。また、乗客支持体移動システム40は、乗客支持体22を乗り物システム10のベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対して移動させることもできる。図示のように、乗客支持体移動システム40は、リンケージアセンブリ24と、支持体アクチュエータ50と、乗客支持体位置センサ52と、乗客コントローラ54とを含む。支持体アクチュエータ50は、乗客支持体22をベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対して移動させるようにリンケージアセンブリ24を作動させるよう構成される。例えば、支持体アクチュエータ50は、ピストン、油圧シリンダ、空気圧シリンダ又は別の好適なアクチュエータなどとすることができ、リンケージアセンブリ24に結合することができる。リンケージアセンブリ24のリンケージ56は、支持体アクチュエータ50による作動後に(例えば、リンケージ56が結合されている枢着部を介して)互いに対して回転して、乗客支持体22をベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対して移動させることができる。例えば、第1のリンケージ56は、支持体アクチュエータ50及び第2のリンケージ56に結合することができる。支持体アクチュエータ50は、第1のリンケージ56を動かすことによって、第2のリンケージ56及び乗客支持体22の動きを引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、リンケージアセンブリ24が、リンケージ56を接続するピン、両リンケージ56に結合された及び/又は両リンケージ56を動かすように構成されたさらなるアクチュエータ、及びその他の好適な機構などの、概ね垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った乗客支持体22の動きを可能にする/引き起こすさらなる機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、乗客支持体移動システム40によって引き起こされる垂直方向及び/又は長手方向の動きを、乗り物車両移動システム42によって引き起こされる動き及び/又はロールシステム44によって引き起こされるロール運動と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、乗客支持体移動システム40が、リンケージアセンブリ24及び/又は支持体アクチュエータ50に加えて又はこれらに代えて、乗客支持体22をベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対して移動させるように構成された移動機構を含むことができる。
【0026】
乗客支持体位置センサ52は、ベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対する乗客支持体22の垂直方向及び/又は長手方向位置を示す信号を出力することができる。例えば、乗客支持体位置センサ52は、垂直軸14に沿った、長手方向軸16に沿った、ベース20に対する及び/又は乗り物エリア28の表面26に対する乗客支持体22の位置を感知することができ、乗客支持体22の垂直方向及び/又は長手方向位置を示す信号を出力することができる。乗り物車両制御システム32は、乗客支持体位置センサ52から乗客支持体22の垂直方向及び/又は長手方向位置を示す信号を受け取ることができる。乗り物車両制御システム32は、乗客支持体22の位置に基づいて、ベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対する乗客支持体22の垂直方向及び/又は長手方向位置を調整することができる。例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客支持体22を動かすようにリンケージアセンブリ24を作動させる信号を支持体アクチュエータ50に出力することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両制御システム32がリンケージアセンブリ24と直接通信してリンケージアセンブリ24に乗客支持体22を移動させることができるように、支持体アクチュエータ50を省略し又はリンケージアセンブリ24に一体化することができる。また、乗り物制御システム30は、リンケージアセンブリ24又はその一部と直接通信して乗客支持体22の動きを制御することもできる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30が、他の乗り物車両12の他の乗客支持体22のそれぞれの位置に基づいて、乗り物車両12の乗客支持体22の垂直方向及び/又は長手方向の動きを制御することができる。例えば、乗り物制御システム30は、別の分離した乗り物車両12の別の乗客支持体22が第1の位置に存在することに基づいて、乗り物車両12の乗客支持体22の動き/位置を制御することができる。従って、乗り物制御システム30は、各乗り物車両12の乗客支持体22の動き/位置を個別に(例えば、独立して、別々に及び/又は異なるように)制御することができる。
【0027】
図示のように、乗客コントローラ54は乗客支持体22に結合され、乗り物車両制御システム32に通信可能に結合される。乗客コントローラ54は、ジョイスティック、ゲームコントローラ又は別のタイプのハンドコントローラなどの、乗客支持体22の動き及び/又は位置の調整を示す入力を乗客から受け取るように構成されたいずれかの好適なコントローラとすることができる。いくつかの実施形態では、乗客コントローラ54を乗客支持体22のハンドルバーに含め(例えば、乗客は、ハンドルバーを動かし、ハンドルバー上の(単複の)ボタンを押し、又はハンドルバーの特定の機構を回すことによって入力を提供することができる)、乗客支持体22の本体に含め(例えば、乗客は、自身の体重を移動させて入力を提供することができる)、又は他の方法で乗客支持体22に組み込むなど、乗客支持体22と一体化することができる。例えば、一般に乗客コントローラ54又は乗り物車両12は、慣性センサ、加速度計、圧力センサ、及び/又は体重の移動及び/又は体重分布の移動を検出するように構成された他のセンサなどの、乗客が乗客支持体22上に位置している間に体重を移動させたことを検出するように構成されたセンサを含むことができる。従って、乗客コントローラ54は、乗客支持体22及び/又は乗り物車両12の動き/位置を乗客が少なくとも部分的に制御できるようにすることによって、乗客支持体22上に位置する乗客に相互作用的体験を提供することができる。
【0028】
図4は、乗り物車両12の乗り物車両移動システム42を含む図1の乗り物システム10の実施形態の横から見たブロック図である。上述したように、乗り物車両移動システム42は、乗り物車両12を概ね長手方向軸16及び/又は横軸18に沿っていずれかの平面方向に移動させることができる。乗り物車両移動システム42は、乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿って乗り物車両12を旋回及び/又は回転させることもできる。いくつかの実施形態では、乗り物車両移動システム42が、乗り物車両12を第2の方向に回転させながら第1の方向に旋回させることができる。例えば、乗り物車両移動システム42は、乗り物車両12を右方向に回転させながら(例えば、上から見た場合に乗り物車両12を時計回りに回転させながら)左方向に旋回させることができる。
【0029】
図示のように、乗り物車両移動システム42は、乗り物車両移動アクチュエータ60と、乗り物車両移動機構62と、乗り物車両位置センサ64とを含む。乗り物車両移動アクチュエータ60は、乗り物車両12を移動させるように乗り物車両移動機構62を作動させることができる。例えば、乗り物車両移動アクチュエータ60は、ピストン、油圧シリンダ、空気圧シリンダ及び別の好適なアクチュエータなどとすることができ、乗り物車両移動機構62に結合することができる。乗り物車両移動機構62は、乗り物車両移動アクチュエータ60による作動後に、回転、旋回又は他のいずれか好適な動きを実行して、乗り物車両12を乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿って移動させることができる。例えば、乗り物車両移動機構62は、車輪、球体(例えば、鋼球又はゴム球)、軌道システム、別の好適な移動機構、又はこれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両12が、乗り物エリア28の表面26に沿って乗り物車両12を移動させるように構成された、より多くの又は少ない乗り物車両移動機構62(例えば、2つの乗り物車両移動機構62、3つの乗り物車両移動機構62、5つの乗り物車両移動機構62など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両移動システム42によって引き起こされる動きを、乗客支持体移動システム40によって引き起こされる乗客支持体の動きと組み合わせることができる。例えば、乗り物車両移動システム42は、乗客支持体22がベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対して移動している間に、乗り物車両12を乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿って旋回させ、回転させ、又は別様に移動させることができる。
【0030】
乗り物車両位置センサ64は、乗り物システム10内の乗り物車両12の位置を示す信号を出力することができる。例えば、乗り物車両位置センサ64は、長手方向軸16に沿った乗り物車両12の位置、横軸16に沿った乗り物車両12の位置、別の乗り物車両12に対する乗り物車両12の位置、乗り物経路に対する乗り物車両12の位置、乗り物システム10の他の部分に対する乗り物車両12の位置、又は乗り物エリア28の表面26に沿った乗り物車両12の位置などの乗り物車両12の位置を感知して、乗り物車両12の位置を示す信号を出力することができる。乗り物車両制御システム32は、乗り物車両位置センサ64から乗り物車両12の位置を示す信号を受け取ることができる。乗り物車両制御システム32は、乗り物車両12の乗り物車両位置に基づいて、乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿った乗り物車両12の軌道(例えば、コース)を調整することができる。例えば、乗り物車両制御システム32は、乗り物車両移動機構62を作動させて乗り物車両12を乗り物エリア28の表面26に沿って移動させる信号を乗り物車両移動アクチュエータ60に出力することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両制御システム32が乗り物車両移動機構62と直接通信して乗り物車両移動機構62に乗り物車両12を移動させることができるように、乗り物車両移動アクチュエータ60を省略し又は乗り物車両移動機構62に一体化することができる。また、乗り物制御システム30は、乗り物車両移動システム42又はその一部と直接通信して、乗り物エリア28の表面26に沿った乗り物車両12の移動を制御することもできる。乗り物制御システム30は、各乗り物車両12の表面移動を制御するために各乗り物車両12の乗り物車両移動機構62を個別に(例えば、独立して、別々に及び/又は異なるように)制御することができる。
【0031】
図5は、乗り物車両12のロールシステム44を含む図1の乗り物システム10の実施形態の横から見たブロック図である。上述したように、ロールシステム44は、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22を乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に対して角度を付けて動かすことができる。図示のように、ロールシステム44は、ロールアクチュエータ70と、ロール機構72と、ロールセンサ74とを含む。ロールアクチュエータ70は、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22を乗り物エリア28の表面26に対して概ね角度を付けて移動させるようにロール機構72を作動させるよう構成される。例えば、ロールアクチュエータ70は、ピストン、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、別の好適なアクチュエータ、又はこれらの組み合わせとすることができ、ロール機構72に結合することができる。ロール機構72は、ロールアクチュエータ70による作動後に、回転、旋回又は他のいずれかの好適な動きを実行して、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22を乗り物エリア28の表面26に対して概ね角度を付けて移動させることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両12がさらなるロール機構72(例えば、2つのロール機構72、3つのロール機構72、5つのロール機構72など)を含むこともできる。乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の傾動は、乗り物車両12が乗り物エリア28の表面26を横切る際に乗り物車両移動システム42を介して乗客支持体22が傾いて旋回する様子をシミュレートすることができ、或いは乗り物車両12の動きに関連する他の動作をシミュレートすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、ベース20を、乗り物エリア28の表面26に接触したままの第1のコンポーネントと、第1のコンポーネント及び乗り物エリア28の表面26に対して動く第2のコンポーネントとを含む2つのコンポーネントに分割することができる。第2のコンポーネントは、リンケージアセンブリ24及び乗客支持体22に結合して、第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して傾く(例えば、ロールする)と乗客支持体22が乗り物エリア28の表面26に対して傾く(例えば、ロールする)ことができる。例えば、ロールアクチュエータ70及び/又はロール機構72は、ベース20の第1のコンポーネント及び/又は第2のコンポーネントに結合することができ、ロールアクチュエータ70が作動すると、ロール機構72が第2のコンポーネント及び乗客支持体22をベース20の第1のコンポーネント及び乗り物エリア28の表面26に対して傾けることができる。
【0033】
ロールセンサ74は、ベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対する乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の角度位置を示す信号を出力することができる。例えば、ロールセンサ74は、横軸16及び/又は長手方向軸18を中心とする乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の角度位置を感知することができ、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の角度位置を示す信号を出力することができる。乗り物車両制御システム32は、ロールセンサ74から乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の角度位置を示す信号を受け取ることができる。乗り物車両制御システム32は、乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の角度位置に基づいて、ベース20及び/又は乗り物車両12に対する乗客支持体22の角度位置を大まかに調整することができる。例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客支持体22を概ね角度を付けて移動させる(例えば、乗客支持体22を傾斜させる/傾ける)ようにロール機構72を作動させる信号をロールアクチュエータ70に出力することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両制御システム32がロール機構72と直接通信してロール機構72に乗り物車両12及び/又は乗客支持体22を移動させることができるように、ロールアクチュエータ70を省略し又はロール機構72に一体化することができる。また、乗り物制御システム30は、ロールシステム44又はその一部と直接通信して乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の角運動(例えば、傾動)を制御することもできる。
【0034】
さらに、ロールシステム44によって引き起こされるロール運動は、乗客支持体移動システム40によって引き起こされる動き及び/又は乗り物車両移動システム42によって引き起こされる動きと組み合わせることもできる。例えば、乗客支持体22が左又は右に傾いている(例えば、ロールシステム44によって引き起こされるロール運動の)間に、乗客支持体移動システム40が乗客支持体22を概ねベース20及び/又は乗り物エリア28の表面26に対して移動させることができ、及び/又は乗り物車両移動システム42が乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿って乗り物車両12を旋回させ、回転させ、又は別様に移動させることもできる。乗り物制御システム30は、各乗り物車両12のロール運動を制御するために各乗り物車両12のロールシステム44を個別に(例えば、独立して、別々に及び/又は異なるように)制御することができる。
【0035】
図6は、図1の乗り物車両12の乗り物車両制御システム32のコンポーネント例の実施形態のブロック図である。例えば、いくつかの実施形態では、乗り物車両制御システム32が、通信コンポーネント80、プロセッサ82、メモリ84、ストレージ86、入力/出力(I/O)ポート88、及びディスプレイ90などを含むことができる。通信コンポーネント80は、乗り物車両制御システム32と、乗り物制御システム30、乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44との間の通信を容易にすることができる無線又は有線通信コンポーネントとすることができる。例えば、通信コンポーネント80は、図2図5の無線接続34及び/又は有線接続を可能にすることができる。
【0036】
プロセッサ82は、コンピュータ実行可能コードを実行できるいずれかの好適なタイプのコンピュータプロセッサ又はマイクロプロセッサとすることができる。また、プロセッサ82は、後述する動作を実行できる複数のプロセッサを含むこともできる。メモリ84及びストレージ86は、プロセッサ実行可能コード、命令又はデータなどを記憶する媒体として機能するいずれかの好適な製造の物品とすることができる。これらの製造の物品は、本開示の技術を実行するためにプロセッサ82によって使用されるプロセッサ実行可能コードを記憶できるコンピュータ可読媒体(例えば、いずれかの好適な形態のメモリ又はストレージ)を表すことができる。メモリ84及びストレージ86は、データ及び他の様々なソフトウェアアプリケーションを記憶するために使用することもできる。メモリ84及びストレージ86は、本明細書で説明する様々な技術を実行するためにプロセッサ82によって使用されるプロセッサ実行可能コード(例えば、命令)を記憶できる非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、いずれかの好適な形態のメモリ又はストレージ)を表すことができる。なお、非一時的とは、媒体が有形であって信号ではないことを示すものにすぎない。
【0037】
I/Oポート88は、入力装置(例えば、キーボード、マウス)、センサ、及び入力/出力(I/O)モジュールなどの他の周辺コンポーネントに結合できるインターフェイスとすることができる。ディスプレイ90は、プロセッサ82によって処理されているソフトウェア又は実行可能コードに関連する視覚化を描写するように動作することができる。1つの実施形態では、ディスプレイ90を、乗り物車両12の乗客から入力を受け取ることができるタッチディスプレイとすることができる。ディスプレイ90は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのいずれかの好適なタイプのディスプレイとすることができる。
【0038】
なお、乗り物車両制御システム32に関して上述したコンポーネントは例示的なコンポーネントであり、乗り物車両制御システム32は図示のようなさらなる又はより少ないコンポーネントを含むこともできる。また、乗り物制御システム30は、通信コンポーネント、プロセッサ、メモリ、ストレージ、入力/出力(I/O)ポート及び/又はディスプレイなどの、乗り物車両制御システム32について示したものと同様のコンポーネントを含むことができる。
【0039】
図7は、図1の乗り物車両12を含む乗り物システム10の実施形態の正面斜視図である。図示のように、各乗り物車両12の乗客支持体22は、垂直軸14及び長手方向軸16に沿って互いに対して異なるように配置されている。図7の実施形態は、乗り物システム10の乗り物シーケンス中における乗り物車両12と乗り物車両12の乗客支持体22との相対的位置を示す。例えば、乗り物車両12Aは、乗り物車両12Bの乗客支持体22B及び乗り物車両12Cの乗客支持体22Cに対して長手方向軸16に沿ってより前方に配置された乗客支持体22Aを含む。従って、図示の実施形態では、乗り物車両12Aの乗客支持体移動システム40が、乗客支持体22Aをベース20に対して概ね前方に動かすように作動している。
【0040】
乗客支持体22Aの相対的位置は、乗り物車両12の所定の/演出されたルーチン及び/又は乗客入力に基づくことができる。例えば、乗り物車両12Aは、乗り物システム10の乗り物車両12A、12B及び12Cのうちの選択された乗り物車両とすることができる。乗客支持体22A上に位置する乗客は、乗客支持体22Aに結合された及び/又は乗客支持体22Aの一部である乗客コントローラなどに、乗客支持体22Aの動き/位置の調整を示す入力を提供することができる。この調整は、演出されたルーチンに対して乗客支持体22Aが概ね前方に動くことを含むことができる。また、図示のように、乗り物車両12Bの乗客支持体22Bは、乗り物車両12Cの乗客支持体22Cに対して長手方向軸16に沿ってわずかに前方に位置する。この乗客支持体22Bの位置取りは、乗り物車両12Aにおいて提供された乗客入力及び/又は演出されたルーチンに基づくことができる。従って、選択された乗り物車両(例えば、乗り物車両12A)の乗客は、乗り物システム10内の乗り物車両群12の動き及び位置取りを動的に調整する入力(例えば、相関的調整)を提供することができる。いくつかの実施形態では、選択された乗り物車両を異なる乗り物車両12(例えば、乗り物車両12B又は12C)とすることができ、乗り物車両12A、12B及び12Cのうちの選択された乗り物車両の指定が、演出されたルーチン中及び乗り物システム10の乗り物シーケンス中に変化することができる。
【0041】
図8は、図1の乗り物車両12を含む乗り物システム10の実施形態の後面図である。図示のように、乗り物車両12の各乗客支持体22は、垂直軸14、長手方向軸16及び横軸18に沿って互いに対して異なる位置に配置されている。図8の実施形態は、乗り物システム10の乗り物シーケンス中における乗り物車両12と乗り物車両12の乗客支持体22との相対的位置を示す。例えば、乗り物車両12Aは、乗り物車両12Bの乗客支持体22B及び乗り物車両12Cの乗客支持体22Cに対して垂直軸14に沿って概ね高く配置された乗客支持体22Aを含む。乗客支持体22Aの相対的位置は、乗り物車両12の所定の/演出されたルーチン及び/又は乗客入力に基づくことができる。例えば、乗客支持体22Aの位置は、乗り物車両12Aの乗客が乗客支持体22Aを上向きに引き上げた結果とすることができる。
【0042】
図示のように、乗り物車両12の各ベース20は、互いに結合された上側ベースコンポーネント94及び下側ベースコンポーネント96を含む。各上側ベースコンポーネント94は、それぞれの乗り物車両12のリンケージアセンブリ24及び乗客支持体22に結合される。また、各上側ベースコンポーネント94は、各ベース20がそれぞれの乗り物車両のロール/傾斜の量を提供するようにそれぞれの下側ベースコンポーネント96に対して角度的にオフセットされる。例えば、各乗り物車両12のロールシステム44のロール機構72は、上側ベースコンポーネント94及び/又は下側ベースコンポーネント96を含むことができる。ロールアクチュエータ70は、上側ベースコンポーネント94及び/又は下側ベースコンポーネント96に結合され、上側ベースコンポーネント94及び乗客支持体22を下側ベースコンポーネント96及び乗り物エリア28の表面26に対してロール/傾斜するように作動させるよう構成することができる。図示の実施形態では、各乗り物車両12のロールアクチュエータ70が、それぞれの上側ベースコンポーネント94及び乗客支持体22を右方向に(例えば、垂直軸14に沿って概ね下向きかつ横軸18に沿って右方向に)傾けるように作動している。
【0043】
図9は、図1の乗り物システム10を演出されたルーチン及び/又は乗客入力に基づいて制御するのに適した方法100のフローチャートである。以下の方法100の説明は、乗り物制御システム30によって実行されるものとして詳述しているが、後述する方法100はいずれかの好適なコンピュータシステムによって実行することができる。さらに、以下では方法100を特定の順序で説明するが、方法100はあらゆる好適な順序で実行することができる。
【0044】
ブロック102において、乗り物制御システム30は、1又は2以上の乗り物車両12の演出されたルーチンを示す入力を受け取る。例えば、演出されたルーチンは、各乗り物車両12の乗り物経路(例えば、乗り物エリア28の表面26に沿った各乗り物車両12の演出された動き)と、それぞれの乗り物経路に沿った各乗り物車両12の演出された動き(例えば、垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った演出された乗客支持体の動き、及び長手方向軸16を中心とする演出されたロール運動)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物システム10が、乗り物車両12の複数の及び/又は異なる演出されたルーチンを含むことができる。例えば、第1の演出されたルーチンは、第1の乗り物経路の組と、乗り物経路に沿った乗り物車両12の演出された動きとを含むことができ、第2の演出されたルーチンは、第2の乗り物経路の組と、第1の演出されたルーチンとは部分的又は全体的に異なる乗り物経路に沿った乗り物車両12の演出された動きとを含むことができる。複数の/異なる演出されたルーチンは、乗り物システム10が乗り物車両12の乗客に様々な体験を提供して乗り物システム10に再乗車する可能性の魅力(re-ridability appeal)を高めることを可能にする。また、いくつかの演出されたルーチンは、乗り物システム10の全ての乗り物車両12を含まないこともある。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、乗り物システム10は、数ある要素の中でも特に、演出されたルーチンに基づいて乗り物車両12のサブセットのみを派遣するように構成することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、各乗り物車両12の各乗り物経路及び演出された動きが概ね類似することができ、概ね同様のパターンに従うことができる。例えば、乗り物車両12の演出された動きは、乗り物車両12が乗り物システム10に沿って移動している間に「V」字形フォーメーションを維持することを含むことができる。他の実施形態では、乗り物車両12の一部又は全部の乗り物経路及び/又は演出された動きが互いに異なることができる。
【0046】
ブロック104において、乗り物制御システム30は、乗り物システム10の演出されたルーチンに対応する各乗り物車両12の乗り物経路及び演出された動きを各乗り物車両12に送信する。各乗り物車両12のそれぞれの乗り物車両制御システム32は、乗り物経路及び演出された動きを受け取り、これらの乗り物経路及び演出された動きに基づいて乗り物車両12を制御することができる。例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44を、それぞれの乗り物経路及びそれぞれの演出された動きに従うように制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30を、各乗り物車両12の乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及び/又はロールシステム44に直接通信可能に結合して、これらをそれぞれの乗り物経路及びそれぞれの演出された動きに従うように制御するよう構成することができる。
【0047】
ブロック106において、乗り物制御システム30は、選択された乗り物車両12の乗り物経路及び/又は演出された動きに対する調整を示す入力を受け取る。例えば、この入力は、選択された乗り物車両12の乗客コントローラ54から及び/又は乗り物車両12の乗り物車両制御システム32を介して受け取ることができる(例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客コントローラ54から入力を受け取って、この入力を乗り物制御システム30に提供することができる)。本明細書で説明するように、乗客コントローラ54への入力は、選択された乗り物車両12の乗客が選択された乗り物車両12の乗客支持体22上に位置している間に自身の体重を移動させること、及び/又は乗客によって制御されるように構成されたハンドコントローラ又は別の制御装置に乗客が提供する入力とすることができる。
【0048】
ブロック108において、乗り物制御システム30は、乗り物経路、演出された動き、並びに選択された乗り物車両12の乗り物経路及び/又は演出された動きに対する調整を示す入力に基づいて、選択された乗り物車両12を制御することができる。例えば、乗客コントローラ54から受け取られた入力は、垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った乗客支持体の動き、長手方向軸16を中心とする乗り物車両12及び/又は乗客支持体22のロール運動、及び/又は乗り物システム10の乗り物エリア28の表面26に沿った動きを乗り物制御システム30に動的に調整させることができる。動きに対する調整は、選択された乗り物車両12の演出された乗り物経路に対する調整を含むことができる。
【0049】
ブロック110において、乗り物制御システム30は、各乗り物車両12のそれぞれの乗り物経路、各乗り物車両12のそれぞれの演出された動き、及び選択された乗り物車両12の乗り物経路及び/又は演出された動きに対する調整を示す入力に基づいて、乗り物システム10の他の乗り物車両12(例えば、選択された乗り物車両12以外)を制御することができる。上述したように、それぞれの乗り物経路及びそれぞれの乗り物経路に沿った各乗り物車両12の演出された動きは概ね同様のパターンに従うことができ、或いはいくつかの乗り物車両12の乗り物経路及び/又は演出された動きが異なることもできる。乗り物制御システム30は、乗り物車両12が上述した「V」字形フォーメーションなどで乗り物エリア28の表面26に沿って移動している時に、乗客コントローラ54から入力を受け取って、選択された乗り物車両12及び乗り物システム10の他の乗り物車両12の両方の乗り物経路及び/又は演出された動きを調整することができる。他の乗り物車両12に対する調整は、選択された乗り物車両12に対する調整に比べて異なる程度のものとすることができる。例えば、乗客コントローラ54における入力が、乗り物制御システム30が選択された乗り物車両12を上向きに動かす(例えば、選択された乗り物車両12の乗客が選択された乗り物車両12を上向きに引き上げることをシミュレートする)ようにするものである場合、乗り物制御システム30は、他の乗り物車両12も上向きに及び/又は様々な量だけ動かすことができる。選択された乗り物車両12のすぐ隣の他の乗り物車両12は、乗り物システム10の他の乗り物車両12に比べて一層そのように上向きに動くことができる。従って、乗り物システム10は、乗り物制御システム30を介して、選択された乗り物車両12において提供された入力に基づいて他の乗り物車両12が動くことを、選択された乗り物車両12の乗客が乗り物システム10内の乗客のリーダーであるように見えるようにシミュレートすることができる。
【0050】
図10は、スクリーン120及びプロジェクタ122を含む乗り物システム10のディスプレイシステム118に近接して配置された図1の乗り物車両12を含む乗り物システム10の実施形態の後面図である。ディスプレイシステム118は、乗り物車両12上に位置する(例えば、乗り物車両12の乗客支持体22上に位置する)乗客が見るための映画的提示を提供するように構成される。例えば、ディスプレイシステム118のスクリーン120は、映画的提示を提供するように構成されたビデオボードとすることができ、及び/又はプロジェクタ122は、乗り物車両12上の乗客が見るための映画的提示をスクリーン120上に投影するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム118からプロジェクタ122を省略することもできる。
【0051】
乗り物制御システム30は、映画的提示に基づいて乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の動きを制御/調整することができる。例えば、乗り物制御システム30は、映画的提示に基づいて、各乗り物車両12の乗客支持体移動システム40、乗り物車両移動システム42及びロールシステム44を、映画的提示のシーン内における乗り物車両12の動きをシミュレートするように制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両12が、映画的提示中に乗り物エリア28の表面26上の概ね同じ位置に留まり、乗客支持体22が、映画的提示中に乗り物エリア28の表面26に対して垂直に、長手方向に、及び角度的に動くことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30が、選択された乗り物車両12において提供された入力に基づいて乗り物車両12及び/又は乗客支持体22の動きを制御/調整することができる。例えば、映画的提示は、乗客コントローラ54から受け取られた入力に基づいて選択できる複数のオプション的なストーリー展開を含むことができる。各オプション/ストーリー展開は、乗客支持体22の特定の及び/又は異なる演出されたルーチン、或いは演出されたルーチンの異なる部分に対応することができる。従って、乗り物システム10は、ディスプレイシステム118を介して乗り物車両12の乗客に、乗客が乗り物システム10のストーリー展開及び乗客支持体22の演出された動きを制御できるようにする相互作用的体験を提供することができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30が、ディスプレイシステム118に映画的提示を提供するように命令することができる(例えば、スクリーン120に映画的提示を提供するように命令し、及び/又はプロジェクタ122にスクリーン120上に映画的提示を投影するように命令することができる)。
【0053】
図11は、乗り物ステーション130と、乗り物ステーション130内に配置された乗り物車両12とを含む図1の乗り物システム10の実施形態の斜視図である。図示のように、乗り物ステーション130は、各乗り物車両12のためのベイ(bay)132を含む。例えば、各ベイ132は、乗り物車両12が乗り物システム10の乗り物エリア28内に存在していない間にそれぞれの乗り物車両12を受け入れ及び/又は収容するように構成することができる。また、乗り物車両12は、ベイ132内に配置されている間に乗客を受け入れるように構成することができる。例えば、乗客は、乗り物ステーション130のプラットフォーム136に沿って移動して乗り物車両12の乗客支持体22に乗り込むことができる。乗り物車両12は、ベイ132から退出し、乗り物エリア28内に移動して、演出されたルーチンを実行する(例えば、それぞれの演出された乗り物経路に沿って移動し、乗り物経路に沿って移動している間に演出された動きを実行する)ことができる。例えば、乗客が乗り物車両12に乗り込んだ後には、プラットフォーム136に結合されベイ132に近接して配置されたゲート138が開いて乗り物車両12がベイ132から退出できるようにすることができる。図示のように、ゲート138は、乗り物車両12がベイ132から退出できるような開位置にある。
【0054】
図12は、図11の乗り物ステーション130と、乗り物ステーション130に近接して乗り物エリア28内に配置された乗り物車両12とを含む乗り物システム10の実施形態の斜視図である。図示のように、乗り物車両12は、ベイ132内の位置(例えば、図11に示す位置)から乗り物エリア28内の位置に移動している。図12の実施形態は、乗り物システム10の演出されたルーチンの開始部分とすることができ、乗り物車両12は、ベイ132から退出して(例えば、乗り物車両移動システム42を介して)概ね乗り物ステーション130から離れた方向を向くように旋回している。
【0055】
図示のように、4つの全ての乗り物車両12が乗り物ステーション130から出発して乗り物エリア28内に移動している。いくつかの実施形態では、乗り物車両12のサブセット(例えば、図示の実施形態では、1つの乗り物車両12、2つの乗り物車両12、又は3つの乗り物車両)のみが乗り物ステーション130から出発することもできる。乗り物車両12の数量は、乗車しようとしている乗客のパーティサイズ又は乗り物車両12上に位置する乗客のパーティサイズ、乗り物車両12の演出されたルーチン(例えば、上述したように、演出されたルーチンによっては乗り物システム10の全ての乗り物車両12を含まないこともある)、及びその他の要因に依存することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両12が、図11のベイ132内の位置及び/又は図12の乗り物エリア28内の位置から図10のスクリーン120の正面の位置に移行することができる。従って、乗り物システム10は、乗り物車両12の一部又は全部を派遣して、乗り物車両12の乗客にカスタマイズされた/個人的な体験を提供することができる。
【0056】
図13は、乗り物車両162及びプラットフォーム164を含む乗り物システム160の実施形態の後面斜視図である。一般に、乗り物車両162及び/又は乗り物システム160は、垂直軸14、長手方向軸16及び/又は横軸18に沿って乗り物車両162を動かすように構成されたシステムを含むことができる。例えば、図14を参照して後述するように、乗り物車両162は、乗り物車両移動システムを介してプラットフォーム164のスロット166内を(例えば、後方部分168から前方部分170に向かって)移動するように構成することができる。また、各乗り物車両162は、乗り物車両162の乗客支持体172を概ね垂直軸14に沿って、長手方向軸16に沿って、及び/又はプラットフォーム164に対して動かすように構成された乗客支持体移動システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、各乗り物車両162が、乗客支持体172を長手方向軸16の周囲でプラットフォーム164に対してロール/傾斜させるように構成されたロールシステムを含むことができる。各乗客支持体172は乗客を運ぶように構成され、乗り物システム160は各乗客に娯楽体験を提供するように構成される。例えば、乗り物車両162がスロット166内で移動すると、乗客も乗客支持体172上に位置している間に移動することができる。図示のように、乗り物システム160は4つの乗り物車両162を含む。いくつかの実施形態では、乗り物システム160が、より多くの又はより少ない乗り物車両162(例えば、1つの乗り物車両162、2つの乗り物車両162、3つの乗り物車両162、5つの乗り物車両162、8つの乗り物車両162など)を含むこともできる。
【0057】
また、乗り物システム160は乗り物制御システム30を含むことができ、各乗り物車両162は、乗り物システム10に関して上述した乗り物車両制御システム32を含むことができる。乗り物制御システム30は、演出されたルーチンに基づいて(例えば、各乗り物車両162の乗り物車両制御システム32との通信を介して)乗り物車両162の動きを制御することができる。例えば、乗り物制御システム30は、各乗り物車両162の乗客支持体移動システム、乗り物車両移動システム及び/又はロールシステムを、各乗り物車両162を演出されたルーチンに従って動かすように制御することができる。以下でさらに詳細に説明するように、乗り物制御システム30は、乗り物車両162のうちの選択された乗り物車両162から受け取られた入力に基づいて乗り物車両162を制御することもできる。
【0058】
図14は、図13の乗り物車両162を含む乗り物システム160の実施形態の後面斜視図である。図示のように、乗り物車両162は、スロット166の前方部分170に配置されている。各乗り物車両162は、それぞれの乗客支持体172と、乗客支持体172に結合されたリンケージ180と、リンケージ180に結合されたベース182とを含む。乗り物車両162がスロット166の前方部分170に配置されている間、乗客支持体172及び各リンケージ180の一部はプラットフォーム164を超えて延びる。このプラットフォーム164を超えた延長部は、乗客支持体172上に位置する各乗客に乗客支持体172が飛んでいるような外観をもたらし、及び/又は娯楽的体験を提供することができる。
【0059】
図示のように、各乗り物車両162は、乗客支持体移動システム190及び乗り物車両移動システム192を含む。各乗り物車両162の乗客支持体移動システム190は、乗客支持体172をプラットフォーム164に対して、垂直軸14に沿って、及び長手方向軸16に沿って(例えば、概ね横軸18を中心に)動かすように構成される。乗客支持体移動システム190は、リンケージ180、ベース182又はこれらの一部を含むことができる。例えば、乗客支持体移動システム190は、リンケージ180及び/又はベース182に結合されてリンケージ180をベース182及びプラットフォーム164に対して動くように作動させるよう構成された支持体アクチュエータを含むことができる。
【0060】
乗り物車両移動システム192は、プラットフォーム164の下方に配置されて概ね長手方向軸16に沿って延びる軌道194を含む。軌道194は、軌道194内でベース182が長手方向軸16に沿って移動できるようにベース182に結合される。例えば、乗り物車両移動システム192は、ベース182を軌道194内でプラットフォーム164に対して移動するように作動させるよう構成されたベース移動アクチュエータを含むことができる。ベース182が軌道194に沿って移動すると、リンケージ180もスロット166内で移動する。
【0061】
いくつかの実施形態では、乗り物システム160及び/又は各乗り物車両162が、乗客支持体172をベース182に対して長手方向軸16の周囲で角度を付けて動かすように構成されたロールシステムを含むことができる。例えば、ロールシステムは、乗客支持体172をベース182及びプラットフォーム164に対して移動するように作動させるよう構成されたロールアクチュエータを含むことができる。
【0062】
乗客支持体移動システム190、乗り物車両移動システム192及びロールシステムの各々は、各乗り物車両162の乗り物制御システム30及び/又は乗り物車両制御システム32によって演出されたルーチンに基づいて制御することができる。例えば、演出されたルーチンは、各乗り物車両162のそれぞれの乗客支持体移動システム190、乗り物車両移動システム192及びロールシステムによって実行される垂直軸14、長手方向軸16及び横軸18に沿った各乗客支持体172の特定の動きを含むことができる。各乗客支持体172の演出された動きは異なることができ、或いは乗客支持体172の一部又は全部の演出された動きが概ね同じであることもできる。図示の実施形態では、各乗客支持体172が垂直軸14に沿って異なる位置に配置されている。例えば、図14の実施形態は、乗り物システム160の乗り物シーケンス中の、垂直軸14に沿った異なる位置に各乗客支持体を含む乗り物車両162を示す。いくつかの実施形態では、以下でさらに詳細に説明するように、乗り物制御システム30が、演出されたルーチンの演出された動きに加えて又はこれに代えて、選択された乗り物車両162の乗客コントローラに提供された入力に基づいて乗り物車両162を制御することもできる。
【0063】
乗り物システム160は、ディスプレイシステム118を含む。ディスプレイシステム118は、乗り物車両162上に位置する(例えば、乗り物車両162の乗客支持体172上に位置する)乗客が見るための映画的提示を提供するように構成される。乗り物制御システム30は、映画的提示に基づいて乗り物車両162及び/又は乗客支持体172の動きを制御/調整することができる。例えば、乗り物制御システム30は、映画的提示に基づいて、各乗り物車両162の乗客支持体移動システム190、乗り物車両移動システム192及びロールシステムを、映画的提示のシーン内における乗り物車両162の動きをシミュレートするように制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30が、ディスプレイシステム118に映画的提示を提供するように命令することができる。
【0064】
図15は、演出されたルーチン及び/又は乗客入力に基づいて図13の乗り物システム160を制御するのに適した方法200のフローチャートである。以下の方法200の説明は乗り物制御システム30によって実行されるものとして詳述しているが、後述する方法200はいずれかの好適なコンピュータシステムによって実行することができる。さらに、以下では方法200を特定の順序で説明するが、方法200はいずれかの好適な順序で実行することができる。
【0065】
ブロック202において、乗り物制御システム30は、1又は2以上の乗り物車両162の演出されたルーチンを示す入力を受け取る。例えば、演出されたルーチンは、垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った各乗客支持体172の演出された乗客支持体の動きと、長手方向軸16を中心とする演出されたロール運動とを含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物システム160が、乗り物車両162の複数の及び/又は異なる演出されたルーチンを含むことができる。例えば、第1の演出されたルーチンは、乗り物車両162の第1の演出された動きの組を含むことができ、第2の演出されたルーチンは、第1の演出されたルーチンとは部分的又は全体的に異なる乗り物車両162の第2の演出された動きの組を含むことができる。複数の/異なる演出されたルーチンは、乗り物システム160が乗り物車両162の乗客に様々な体験を提供して乗り物システム160に再乗車する可能性の魅力を高めることを可能にする。また、いくつかの演出されたルーチンは、乗り物システム160の全ての乗り物車両162を含まないこともできる。例えば、乗り物システム160は、(例えば、パーティサイズなどの)数ある要素の中でもとりわけ、演出されたルーチンに基づいて乗り物車両162のサブセットのみを派遣するように構成することができる。
【0066】
ブロック204において、乗り物制御システム30は、乗り物システム160の演出されたルーチンに対応する各乗り物車両162の演出された動きを各乗り物車両162に送信する。各乗り物車両162のそれぞれの乗り物車両制御システム32は演出された動きを受け取り、この演出された動きに基づいて乗り物車両162を制御することができる。例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客支持体移動システム190、乗り物車両移動システム192及びロールシステムをそれぞれの演出された動きに従うように制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30を、乗客支持体移動システム190、乗り物車両移動システム192及び/又は各乗り物車両162のロールシステムに直接通信可能に結合して、これらをそれぞれの演出された動きに従うように制御するように構成することができる。
【0067】
ブロック206において、乗り物制御システム30は、選択された乗り物車両162の乗り物経路及び/又は演出された動きに対する調整を示す入力を受け取る。例えば、乗り物車両162の一部又は全部は乗客コントローラ54を含むことができ、乗り物システム160の乗り物シーケンス中の所定の期間に1つの乗り物車両162を選択された乗り物車両162として指定することができる。入力は、選択された乗り物車両162の乗客コントローラ54から及び/又は乗り物車両162の乗り物車両制御システム32を介して受け取ることができる(例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客コントローラ54から入力を受け取って、この入力を乗り物制御システム30に提供することができる)。本明細書で説明するように、乗客コントローラ54への入力は、選択された乗り物車両162の乗客が選択された乗り物車両162の乗客支持体172上に位置している間に自身の体重を移動させること、及び/又はハンドコントローラ又は別の制御装置に乗客が提供する入力とすることができる。
【0068】
ブロック208において、乗り物制御システム30は、演出された動きと、選択された乗り物車両162の演出された動きに対する調整を示す入力とに基づいて、選択された乗り物車両162を制御することができる。例えば、乗客コントローラ54から受け取られた入力は、垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った乗客支持体の動き、長手方向軸16を中心とする乗り物車両162及び/又は乗客支持体172のロール運動、及び/又は乗り物システム160の軌道194に沿った動きを乗り物制御システム30に動的に調整させることができる。
【0069】
ブロック210において、乗り物制御システム30は、各乗り物車両162のそれぞれの演出された動きと、選択された乗り物車両162の演出された動きに対する調整を示す入力とに基づいて、乗り物システム160の他の乗り物車両162(例えば、選択された乗り物車両162以外)を制御することができる。上述したように、各乗り物車両162のそれぞれの演出された動きは概ね同様のパターンに従うことができ、或いはいくつかの乗り物車両162の演出された動きが異なることもできる。乗り物制御システム30は、乗り物車両162が「V」字形フォーメーションなどで軌道194内を移動している時に、乗客コントローラ54から入力を受け取って、選択された乗り物車両162及び乗り物システム160の他の乗り物車両162の両方の演出された動きを調整することができる。他の乗り物車両162に対する調整は、選択された乗り物車両162に対する調整に比べて異なる程度のものとすることができる。例えば、乗客コントローラ54における入力が、乗り物制御システム30が選択された乗り物車両162を上向きに動かす(例えば、選択された乗り物車両162の乗客が選択された乗り物車両162を上向きに引き上げることをシミュレートする)ようにするものである場合、乗り物制御システム30は、他の乗り物車両162も上向きに及び/又は様々な量だけ動かすことができる。選択された乗り物車両162のすぐ隣の他の乗り物車両162は、乗り物システム160の他の乗り物車両162に比べて一層そのように上向きに動くことができる。従って、乗り物システム160は、乗り物制御システム30を介して、選択された乗り物車両162において提供された入力に基づいて他の乗り物車両162が動くことを、選択された乗り物車両162の乗客が乗り物システム160内の乗客のリーダーであるように見えるようにシミュレートすることができる。
【0070】
図16は、乗り物軌道222と、乗り物軌道222上に配置された乗り物車両224とを含む乗り物システム220の実施形態の斜視図である。図示のように、乗り物車両224は、乗り物軌道222に結合されたベース226と、それぞれのリンケージアセンブリ230を介してベース226に結合された乗客支持体228とを含む。乗り物車両224は、乗り物車両224の乗客支持体228に乗っている乗客の娯楽のために、乗り物車両224を乗り物軌道222に沿って移動させるとともに乗客支持体228をベース226に対して動かすように構成されたシステムを含む。例えば、乗り物車両224は、乗り物軌道222に沿ってベース226を移動させるように構成された乗り物車両移動システム232を含む。乗り物車両移動システム232は、ベース226を乗り物軌道222に沿って移動させるように構成されたベース移動アクチュエータ、車輪、歯車及びその他の好適な機構を含むことができる。乗り物軌道222に沿った(例えば、ベース226を介した)乗り物車両224の移動及び/又は速度は、乗り物システム220の演出されたルーチンに基づくことができる。
【0071】
また、乗り物車両224は、各乗客支持体228を互いに対して、乗り物軌道222に対して及び/又はベース226に対して動かすように構成された乗客支持体移動システム240も含む。各乗客支持体移動システム240は、それぞれの乗客支持体228、それぞれのリンケージアセンブリ230、及び/又は支持体アクチュエータを含むことができる。支持体アクチュエータは、乗客支持体228をベース226及び/又は乗り物軌道222に対して移動させるようにリンケージアセンブリ230を作動させるよう構成することができる。リンケージアセンブリ230のリンケージ242は、支持体アクチュエータによる作動後に、乗客支持体228をベース226及び/又は乗り物軌道222に対して動かすように(例えば、リンケージ242が結合されている枢着部を介して)互いに対して回転することができる。例えば、第1のリンケージ242は、支持体アクチュエータ及び第2のリンケージ242に結合することができる。支持体アクチュエータは、第1のリンケージ242を動かすことによって第2のリンケージ242及び乗客支持体228の動きを引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、リンケージアセンブリ230が、リンケージ242を接続するピン、両リンケージ242に結合された及び/又はこれらを動かすように構成されたさらなるアクチュエータ、及びその他の好適な機構などの、概ね垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った乗客支持体228の動きを可能にする/引き起こすさらなる機構を含むことができる。
【0072】
乗り物車両224は、乗り物車両224を乗り物軌道222に対して角度を付けて移動させる(例えば、乗り物車両224を長手方向軸16及び乗り物軌道222に対して回転させる)ように構成されたロールシステム250を含む。ロールシステム250は、ベース226と、ベース226を乗り物軌道222に対して角度を付けて移動させるように構成されたロールアクチュエータとを含むことができる。例えば、ロールアクチュエータは、乗り物軌道222に対して角度を付けて移動するようにベース226を作動させるよう構成することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両224が、各ロールシステム250がそれぞれの乗客支持体228をベース226に対して角度を付けて移動させる(例えば、長手方向軸16及びベース226に関して回転させる)ように構成された複数のロールシステム250を含むことができる。
【0073】
また、乗り物システム220は乗り物制御システム30を含むことができ、及び/又は各乗客支持体228は、乗り物システム10に関して上述した乗り物車両制御システム32を含むことができる。乗り物制御システム30は、演出されたルーチンに基づいて(例えば、各乗客支持体228の乗り物車両制御システム32との通信を介して)乗り物車両224の動きを制御することができる。例えば、乗り物制御システム30は、各乗客支持体228の乗り物車両224の乗客支持体移動システム240及びロールシステムを、乗り物車両224及び各乗客支持体228を演出されたルーチンに従って動かすように制御することができる。以下でさらに詳細に説明するように、乗り物制御システム30は、乗客支持体228のうちの選択された乗客支持体228から受け取られた入力に基づいて乗り物車両224及び乗客支持体228を制御することもできる。いくつかの実施形態では、乗り物車両224が、乗り物車両224を制御するように構成された、乗り物車両制御システム32と同様のコントローラなどの独立したコントローラを含むことができる。
【0074】
図17は、演出されたルーチン及び/又は乗客入力に基づいて図16の乗り物システム220を制御するのに適した方法260のフローチャートである。以下の方法260の説明は乗り物制御システム30によって実行されるものとして詳述しているが、後述する方法260はいずれかの好適なコンピュータシステムによって実行することができる。さらに、以下では方法260を特定の順序で説明するが、方法260はいずれかの好適な順序で実行することができる。
【0075】
ブロック262において、乗り物制御システム30は、乗り物車両224及び乗客支持体228の演出されたルーチンを示す入力を受け取る。例えば、演出されたルーチンは、乗り物軌道222に沿った乗り物車両224の演出された乗り物車両の動きと、長手方向軸16を中心とする乗り物車両224の演出されたロール運動と、垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った各乗客支持体228の演出された乗客支持体の動きとを含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物システム220が、乗客支持体228の複数の及び/又は異なる演出されたルーチンを含むことができる。例えば、第1の演出されたルーチンは、乗客支持体228の第1の演出された動きの組を含むことができ、第2の演出されたルーチンは、第1の演出されたルーチンとは部分的又は全体的に異なる乗客支持体228の第2の演出された動きの組を含むことができる。複数の/異なる演出されたルーチンは、乗り物システム220が乗客支持体228の乗客に様々な体験を提供して乗り物システム220に再乗車する可能性の魅力を高めることを可能にする。
【0076】
ブロック264において、乗り物制御システム30は、乗り物システム220の演出されたルーチンに対応する各乗客支持体228の演出された動きを各乗客支持体228に送信する。各乗客支持体228のそれぞれの乗り物車両制御システム32は演出された動きを受け取り、この演出された動きに基づいて乗客支持体228を制御することができる。例えば、各乗客支持体228の乗り物車両制御システム32は、それぞれの乗客支持体移動システム240を制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30を、乗客支持体移動システム240に直接通信可能に結合して、乗客支持体移動システム240をそれぞれの演出された動きに従うように制御するよう構成することができる。また、乗り物制御システム30は、演出されたルーチンに基づいて乗り物車両224の乗り物車両移動システム232及び/又はロールシステム250を制御することもできる。
【0077】
ブロック266において、乗り物制御システム30は、選択された乗客支持体228の演出された動きに対する調整を示す入力を受け取る。例えば、乗客支持体228の一部又は全部は乗客コントローラ54を含むことができ、乗り物システム220の乗り物シーケンス中の所定の期間に1つの乗客支持体228を選択された乗客支持体228として指定することができる。入力は、選択された乗客支持体228の乗客コントローラ54から及び/又は選択された乗客支持体228の乗り物車両制御システム32を介して受け取ることができる(例えば、乗り物車両制御システム32は、乗客コントローラ54から入力を受け取って、この入力を乗り物制御システム30に提供することができる)。本明細書で説明するように、乗客コントローラ54への入力は、選択された乗客支持体228の乗客が選択された乗客支持体228上に位置している間に自身の体重を移動させること、及び/又は乗客によって制御されるように構成されたハンドコントローラ又は別の制御装置に乗客が提供する入力とすることができる。
【0078】
ブロック268において、乗り物制御システム30は、演出された動きと、選択された乗客支持体228の演出された動きに対する調整を示す入力とに基づいて、選択された乗客支持体228を制御することができる。例えば、乗客コントローラ54から受け取られた入力は、乗り物制御システム30に垂直軸14及び/又は長手方向軸16に沿った乗客支持体の動きを動的に調整させることができる。いくつかの実施形態では、乗り物制御システム30が、演出されたルーチン及び演出された動きに対する調整を示す入力に基づいて(例えば、乗り物車両移動システム232及び/又はロールシステム250を介して)乗り物車両の動き及び/又は乗り物車両224のロール運動を制御することができる。例えば、選択された乗客支持体228の乗客によって提供される入力は、乗り物制御システム30に乗り物車両の動き及び/又は乗り物車両224のロール運動を調整させることができる。
【0079】
ブロック270において、乗り物制御システム30は、各乗客支持体228のそれぞれの演出された動きと、選択された乗客支持体228の演出された動きに対する調整を示す入力とに基づいて、乗り物システム220の他の乗客支持体228(例えば、選択された乗客支持体228以外)を制御することができる。上述したように、各乗客支持体228のそれぞれの演出された動きは概ね同様のパターンに従うことができ、或いはいくつかの乗客支持体228の演出された動きが異なることもできる。乗り物制御システム30は、乗客支持体228が「V」字形フォーメーションなどで(例えば、ベース226を介して)乗り物軌道222に沿って移動している時に、乗客コントローラ54から入力を受け取って、選択された乗客支持体228及び乗り物車両224の他の乗客支持体228の両方の演出された動きを調整することができる。他の乗客支持体228に対する調整は、選択された乗客支持体228に対する調整に比べて異なる程度のものとすることができる。例えば、乗客コントローラ54における入力が、乗り物制御システム30が選択された乗客支持体228を上向きに動かす(例えば、選択された乗客支持体228の乗客が選択された乗客支持体228を上向きに引き上げることをシミュレートする)ようにするものである場合、乗り物制御システム30は、他の乗客支持体228も上向きに及び/又は様々な量だけ動かすことができる。選択された乗客支持体228のすぐ隣の他の乗客支持体228は、乗り物車両224の他の乗客支持体228に比べて一層そのように上向きに動くことができる。従って、乗り物システム220は、乗り物制御システム30を介して、選択された乗客支持体228において提供された入力に基づいて他の乗客支持体228が動くことを、選択された乗客支持体228の乗客が乗り物システム220内の乗客のリーダーであるように見えるようにシミュレートすることができる。
【0080】
上述したように、本開示の乗り物システムの実施形態は、乗り物システム内の乗り物車両及び乗り物車両の乗客支持体に乗っている間の乗客の体験を向上させるのに有用な1又は2以上の技術的効果を提供することができる。例えば、いくつかの乗り物システムは、乗客を楽しませる及び/又は輸送するために乗り物エリア内で乗客を運ぶことができる複数の乗り物車両を含むことができる。乗り物車両の動きは、乗り物経路に沿って及び/又は互いに対して、並びに乗り物システムの他の部分に対して演出することができる。また、乗り物車両は、乗り物システムの乗り物エリアの表面に対して特定の方向に移動することができ、及び/又は乗客を運んで乗り物システムの乗り物エリアの表面及び/又は乗り物車両の他の部分に対して移動できる乗客支持体を含むことができる。例えば、乗り物車両は、乗り物エリアの表面及び乗り物車両のベースに対して垂直に移動でき、様々な方向に水平に移動でき(例えば、いずれかの平面方向への移動、回転及び旋回ができ)、ロールすることもできる(例えば、乗り物エリアの表面に対して傾き及び/又は角度を付けて移動できる)機構及び部分(例えば、乗客支持体)を含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物システム及び/又は乗り物車両が、乗り物エリア内の乗り物車両の動きを制御する制御システムを含むことができる。例えば、制御システムは、乗り物経路に対する乗り物車両の位置に基づいて(例えば、乗り物経路に沿った意図される乗り物車両の位置に対する乗り物車両の実際の位置に基づいて)乗り物車両の軌道又は移動コースを調整することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、乗り物システムの乗り物車両が、乗り物車両をリードするように構成された選択された乗り物車両を含むことができる。選択された車両に乗っている乗客は、自身の体重を移動させること、ジョイスティック又はその他のハンドコントローラを制御すること、ボタンを押すこと、又はこれらの組み合わせなどの入力を提供することができる。選択された乗り物車両及び/又は乗り物システムのコントローラは、乗客入力に基づいて、選択された乗り物車両の軌道及び/又は選択された乗り物車両の乗客支持体の動きを調整することができる。例えば、選択された乗り物車両の乗客が、選択された乗り物車両の乗客支持体を上向きに引き上げて乗客支持体を左方向に傾けることを示す入力を提供した場合、コントローラは、選択された乗り物車両の動きを、予定される演出された乗り物経路から乗客支持体を概ね上向きかつ左方向に動かすように調整することができる。また、乗り物システムコントローラは、乗り物システム内の他の乗り物車両及び/又は他の乗り物車両の乗客支持体の一部又は全部の動きを調整することもできる。他の乗り物車両の動きに対する調整は、選択された乗り物車両の動きに概ね対応することができ、選択された乗り物車両の動きを反映することができ、及び/又は選択された乗り物車両の動きに比べて変化する/異なる程度のものであることができる。従って、本明細書で説明した乗り物システムの実施形態は、乗客が少なくとも部分的に乗り物車両を制御することを可能にするとともに、乗客によって提供された入力に基づいて乗り物システムが乗り物車両の動きを動的に調整することを可能にすることができる。従って、乗り物システムは、乗客に娯楽的かつ相互作用的な体験を提供することができる。
【0082】
本明細書では、本開示のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨に従う全てのこのような修正及び変更を含むように意図されていると理解されたい。
【0083】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むいずれかの請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0084】
10 乗り物システム
12 乗り物車両
14 垂直軸
16 長手方向軸
18 横軸
20 ベース
22 乗客支持体
24 リンケージアセンブリ
26 乗り物エリアの表面
28 乗り物エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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