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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022033048
(22)【出願日】2022-03-04
(65)【公開番号】P2023128606
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】中村 諒太
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-082867(JP,A)
【文献】特開2008-081977(JP,A)
【文献】特開2010-163836(JP,A)
【文献】特開2000-145170(JP,A)
【文献】特開2014-205979(JP,A)
【文献】特許第7228621(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
E04H 1/04
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部屋と、
前記第一の部屋に隣接する第二の部屋と、
前記第一の部屋と前記第二の部屋の境に据え付けられ、前記第一の部屋と前記第二の部屋を仕切るバックボードレスのシェルフと、
前記第一の部屋の空間を置いて前記シェルフに向かい合う窓と、を備え、
前記第一の部屋が前記窓を介して屋外に面することを特徴とする建物。
【請求項2】
第一の部屋と、
前記第一の部屋に隣接する第二の部屋と、
前記第一の部屋と前記第二の部屋の境に設けられ、前記第一の部屋と前記第二の部屋を仕切るバックボードレスのシェルフと、
前記第一の部屋の空間を置いて前記シェルフに向かい合う窓と、を備え、
前記第一の部屋が前記窓を介して屋外に面し、前記第一の部屋の床面が前記第二の部屋の床面よりも低く設けられていることを特徴とする建物。
【請求項3】
請求項2に記載の建物において、
前記シェルフが前記第一又は第二の部屋の床面の上に設けられている
ことを特徴とする建物。
【請求項4】
請求項2に記載の建物において、
前記シェルフが前記第一の部屋の前記床面から前記第一の部屋の天井まで及ぶ
ことを特徴とする建物。
【請求項5】
第一の部屋と、
前記第一の部屋に隣接する第二の部屋と、
前記第一の部屋と前記第二の部屋の境に設けられ、前記第一の部屋と前記第二の部屋を仕切るバックボードレスのシェルフと、
前記第一の部屋の空間を置いて前記シェルフに向かい合う窓と、
前記第二の部屋の空間を置いて前記シェルフに向かい合う第二の窓と、を備え、
前記第一の部屋が前記窓を介して屋外に面し、前記第二の部屋が前記第二の窓を介して前記屋外に面することを特徴とする建物。
【請求項6】
請求項に記載の建物において、
前記第二の窓の外に設けられたテラスを更に備え、
前記第二の窓が開閉可能な掃出し窓であり、
前記テラスの床面の高さが前記第二の部屋の床面の高さに等しいことを特徴とする建物
【請求項7】
請求項に記載の建物において、
前記第二の部屋から前記第一の部屋への第一方向に対して垂直な第二方向に前記第一の部屋に隣接する第三の部屋と、
前記第三の部屋の開閉可能な第三の窓と、を更に備え、
前記第三の部屋が前記第二の窓よりも前記第一方向に張り出し、その張り出した部分が外壁を介して前記テラスに隣接し、前記第三の窓が前記外壁に設けられ、前記第三の窓が掃出し窓であることを特徴とする建物。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の建物において、
前記シェルフは、前記シェルフの片方の側部に向かいの壁から離れて設けられ、
前記片方の側部と前記壁との間には、前記第一の部屋及び前記第二の部屋に通じる開口が形成されていることを特徴とする建物。
【請求項9】
請求項に記載の建物において、
前記開口を塞ぐ位置と、前記シェルフの棚板の上の空洞を塞ぐ位置との間を前記シェルフの幅方向にスライド可能な引き戸を備えることを特徴とする建物。
【請求項10】
請求項に記載の建物において、
前記引き戸が鎧戸であることを特徴とする建物。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一項に記載の建物において、
前記シェルフは、前記シェルフのもう片方の側部に向かいの第二の壁に寄って設けられていることを特徴とする建物。
【請求項12】
請求項8から10のいずれか一項に記載の建物において、
前記シェルフは、前記シェルフのもう片方の側部に向かいの第二の壁から離れて設けられ、
前記もう片方の側部と前記第二の壁との間には、前記第一の部屋及び前記第二の部屋に通じる第二の開口が形成されていることを特徴とする建物。
【請求項13】
請求項12に記載の建物において、
前記第二の開口を塞ぐ位置と、前記シェルフの棚板の上の空洞を塞ぐ位置との間を前記シェルフの幅方向にスライド可能な第二の引き戸を備えることを特徴とする建物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の建物において、
前記シェルフの棚板の上の空洞を塞ぐルーバーを更に備えることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、集合住宅の間取りが開示されている。この間取りはいわゆる“田”の字型の3LDKの間取りであり、住戸の三つの居室とリビング・ダイニング・キッチンとが“田”の字のように配置されている。リビング・ダイニング・キッチンは、玄関から入って廊下の先に配置されている。第一及び第二の居室は、その廊下の途中の左横及び右横にそれぞれ配置されている。第一の居室はリビング・ダイニング・キッチンから玄関に向かう方にリビング・ダイニング・キッチンの隣りに配置されており、第一の居室とリビング・ダイニング・キッチンは、内壁及びクローゼットによって仕切られている。第三の居室はリビング・ダイニング・キッチンの右横に配置されおり、第三の居室とリビング・ダイニング・キッチンは引き戸式の間仕切り戸によって仕切られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3226516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リビングは、居住者が家族団らん及び寛ぎための部屋として利用される。そのため、リビングはできる限り広いことが要望される。ところが、予算・敷地面積等の都合上、リビングを広く設置することができない。特に、特許文献1に開示の技術では、リビング・ダイニング・キッチンと第一の居室が内壁及びクローゼットによって仕切られ、リビング・ダイニング・キッチンと第三の居室が間仕切り戸によって仕切られているため、リビングにいる居住者はリビングの広がり感と開放感を得られない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、リビング等の部屋にいる居住者がその部屋の広がり感と開放感を得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば、図1図3図6図10に示すように、
第一の部屋(寝室51)と、
前記第一の部屋(寝室51)に隣接する第二の部屋(リビング50)と、
前記第一の部屋(寝室51)と前記第二の部屋(リビング50)の境に据え付けられ、前記第一の部屋(寝室51)と前記第二の部屋(リビング50)を仕切るバックボードレスのシェルフ201と、
前記第一の部屋(寝室51)の空間を置いて前記シェルフ201に向かい合う窓(掃出し窓26a)と、を備え、
前記第一の部屋(寝室51)が前記窓(掃出し窓26a)を介して屋外に面することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、シェルフ201が窓(掃出し窓26a)との間に第一の部屋(寝室51)の空間を置いて窓(掃出し窓26a)に向かい合い、そのシェルフ201がバックボードレスであるため、第二の部屋(リビング50)にいる居住者は、シェルフ201越しに、明るい窓(掃出し窓26a)及びその外に視線を向けるようになる。よって、居住者は奥行き感及び開放感を得て、リビングが広く感じる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図3図6図10に示すように、
第一の部屋(寝室51)と、
前記第一の部屋(寝室51)に隣接する第二の部屋(リビング50)と、
前記第一の部屋(寝室51)と前記第二の部屋(リビング50)の境に設けられ、前記第一の部屋(寝室51)と前記第二の部屋(リビング50)を仕切るバックボードレスのシェルフ201と、
前記第一の部屋(寝室51)の空間を置いて前記シェルフ201に向かい合う窓(掃出し窓26a)と、を備え、
前記第一の部屋(寝室51)が前記窓(掃出し窓26a)を介して屋外に面し、前記第一の部屋(寝室51)の床面が前記第二の部屋(リビング50)の床面よりも低く設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の建物において、前記シェルフ201が前記第一又は第二の部屋(寝室51又はリビング50)の床面の上に設けられている。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の建物において、前記シェルフ201が前記第一の部屋(リビング50)の前記床面から前記第一の部屋(寝室51)の天井まで及ぶ。
請求項2、3又は4に記載の発明によれば、第一の部屋(寝室51)の床面が第二の部屋(リビング50)の床面よりも低く設けられていることから、第二の部屋(リビング50)に居る居住者が第一の部屋(寝室51)の方を見ると、第一の部屋(寝室51)の床面に設置された寝具等の家具が低く見える。特に、居住者が第二の部屋(リビング50)において座ると、家具が隠れたように見える。寝具が第二の部屋(リビング50)内の居住者の視野に入りにくいことから、居住者は、生活感から解放される上、第一の部屋(寝室51)の方への第二の部屋(リビング50)の広がり感を得られる。
【0010】
請求項に記載の発明は、例えば、図1図3図6図10に示すように、
第一の部屋(寝室51)と、
前記第一の部屋(寝室51)に隣接する第二の部屋(リビング50)と、
前記第一の部屋(寝室51)と前記第二の部屋(リビング50)の境に設けられ、前記第一の部屋(寝室51)と前記第二の部屋(リビング50)を仕切るバックボードレスのシェルフ201と、
前記第一の部屋(寝室51)の空間を置いて前記シェルフ201に向かい合う窓(掃出し窓26a)と、
前記第二の部屋(リビング50)の空間を置いて前記シェルフ201に向かい合う第二
の窓(掃出し窓50a)と、を備え、
前記第一の部屋(寝室51)が前記窓(掃出し窓26a)を介して屋外に面し、前記第二の部屋(リビング50)が前記第二の窓(掃出し窓50a)を介して前記屋外に面することを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、第二の部屋(リビング50)が第二の窓(掃出し窓50a)を介して屋外に面することから、第二の部屋(リビング50)にいる居住者が屋外への第二の部屋(リビング50)の広がり感を得られる。
【0012】
請求項に記載の発明は、例えば図3図7及び図9に示すように、請求項5に記載の建物1において、
前記第二の窓(掃出し窓50a)の外に設けられたテラス34を更に備え、
前記第二の窓(掃出し窓50a)が開閉可能な掃出し窓であり、
前記テラス34の床面の高さが前記第二の部屋(リビング50)の床面の高さに等しいことを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、第二の窓(掃出し窓50a)が掃出し窓であり、テラス34の床面の高さが第二の部屋(リビング50)の床面の高さに等しいことから、第二の部屋(リビング50)にいる居住者が屋外への第二の部屋(リビング50)の広がり感を得られる。また、居住者は第二の部屋(リビング50)から第二の窓(掃出し窓50a)を通って外に出ることができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項6に記載の建物1において、
前記第二の部屋(リビング50)から前記第一の部屋(寝室51)への第一方向に対して垂直な第二方向に前記第一の部屋(寝室51)に隣接する第三の部屋(ダイニングキッチン49)と、
前記第三の部屋(ダイニングキッチン49)の開閉可能な第三の窓(掃出し窓49c)と、を更に備え、
前記第三の部屋(ダイニングキッチン49)が前記第二の窓(掃出し窓50a)よりも前記第一方向に張り出し、その張り出した部分が外壁49dを介して前記テラス34に隣接し、前記第三の窓(掃出し窓49c)が前記外壁49dに設けられ、前記第三の窓(掃出し窓49c)が掃出し窓であることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、第三の窓(掃出し窓49c)が掃出し窓であることから、居住者は第三の窓(掃出し窓49c)を通じてテラス34と第三の部屋(ダイニングキッチン49)との間を行き来することができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、例えば図6図8及び図9に示すように、請求項1から7の何れか一項に記載の建物1において、
前記シェルフ201は、前記シェルフ201の片方の側部に向かいの壁51bから離れて設けられ、
前記片方の側部と前記壁51bとの間には、前記第一の部屋(寝室51)及び前記第二の部屋(リビング50)に通じる開口202が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明によれば、第一の部屋(寝室51)及び第二の部屋(リビング50)に通じる開口202がシェルフ201の片方の側部とそれに向かいの壁51bとの間に形成されているため、居住人が第一の部屋(寝室51)と第二の部屋(リビング50)の間を行き来することができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、例えば図9に示すように、請求項8に記載の建物1において、
前記開口202を塞ぐ位置と、前記シェルフ201の棚板の上の空洞を塞ぐ位置との間を前記シェルフ201の幅方向にスライド可能な引き戸302を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明によれば、引き戸302がスライドされてその位置が調整されることにより、夜間における第二の部屋(リビング50)から第一の部屋(寝室51)への光の射し込み方を変えることができ、第一の部屋(寝室51)の雰囲気も変えることができる。
引き戸302が開口202を塞ぐ位置にスライドされると、第二の部屋(リビング50)から第一の部屋(寝室51)の中央に光が射し込む。
引き戸302がシェルフ201の棚板の上の空洞を塞ぐ位置にスライドされると、居住者が第一の部屋(寝室51)で照明を点灯させて作業すると、第一の部屋(寝室51)から第二の部屋(リビング50)の端に照明光が射し込み、第一の部屋(寝室51)の中央が暗くなることから、他の居住者は第二の部屋(リビング50)の中央で十分な睡眠を取ることができる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、例えば図9に示すように、請求項9に記載の建物1において、
前記引き戸302が鎧戸であることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、引き戸302が鎧戸であることから、第一の部屋(寝室51)と第二の部屋(リビング50)の間の通気が確保される上、風、光及び人の目線の通り具合が鎧戸の羽根板の角度に応じたものなる。
【0022】
請求項11に記載の発明は、例えば図6に示すように、請求項8から10のいずれか一項に記載の建物1において、
前記シェルフ201は、前記シェルフ201のもう片方の側部に向かいの第二の壁51aに寄って設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明によれば、シェルフ201はその片方の側部に向かいの壁51bから離れ、そのもう片方の側部に向かいの第二の壁51aに寄っているため、シェルフ201の配置の非対称性が実現される。その非対称性はデザインの向上の要因になり得る。
【0024】
請求項12に記載の発明は、例えば図8に示すように、請求項8から10のいずれか一項に記載の建物1において、
前記シェルフ201は、前記シェルフ201のもう片方の側部に向かいの第二の壁51
aから離れて設けられ、
前記もう片方の側部と前記第二の壁51aとの間には、前記第一の部屋(寝室51)及び前記第二の部屋(リビング50)に通じる第二の開口203が形成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項12に記載の発明によれば、シェルフ201はその片方の側部に向かいの壁51bから離れ、そのもう片方の側部に向かいの第二の壁51aからも離れているため、シェルフ201の配置の対称性が実現される。その対称性はデザインの向上の要因になり得る。
【0026】
請求項13に記載の発明は、例えば図9に示すように、請求項12に記載の建物1において、
前記第二の開口203を塞ぐ位置と、前記シェルフ201の棚板の上の空洞を塞ぐ位置との間を前記シェルフ201の幅方向にスライド可能な第二の引き戸302を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載の発明によれば、第二の引き戸302がスライドされてその位置が調整されることにより、夜間における第二の部屋(リビング50)から第一の部屋(寝室51)への光の射し込み方を変えることができ、第一の部屋(寝室51)の雰囲気も変えることができる。
第二の引き戸302が第二の開口203を塞ぐ位置にスライドされると、第二の部屋(リビング50)から第一の部屋(寝室51)の中央に光が射し込む。
第二の引き戸302がシェルフ201の棚板の上の空洞を塞ぐ位置にスライドされると、居住者が第一の部屋(寝室51)で照明を点灯させて作業すると、第一の部屋(寝室51)から第二の部屋(リビング50)の端に照明光が射し込み、第一の部屋(寝室51)の中央が暗くなることから、他の居住者は第二の部屋(リビング50)の中央で十分な睡眠を取ることができる。
【0028】
請求項14に記載の発明は、例えば図6図8及び図9に示すように、請求項1から13のいずれか一項に記載の建物1において、
前記シェルフ201の棚板の上の空洞を塞ぐルーバーを更に備えることを特徴とする。
【0029】
請求項14に記載の発明によれば、風、光及び人の目線の通り具合がルーバーの羽根板の角度に応じたものなる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第二の部屋にいる居住者が、第一の部屋の方への第二の部屋の広がり感と開放感とそれらに起因した高級感とを得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】建物の南東から見て示したその建物の斜視図である。
図2】建物の北西から見て示したその建物の斜視図である。
図3】建物の1階の平面図である。
図4】建物の1.5階の平面図である。
図5】建物の2階の平面図である。
図6】第二の部屋たるリビングから第一の部屋たる寝室の方へ見て示した間仕切り構造の透視投影図である。
図7】リビング及び寝室の断面図である。
図8】リビングから寝室の方へ見て示した間仕切り構造の透視投影図である。
図9】リビングから寝室の方へ見て示した間仕切り構造の透視投影図である。
図10】リビング及び寝室の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0033】
図1及び図2は透視投影法によって描画されているので、これらの図にはパースペクティブが表現されている。図3図5の中の“N”は北の方角を表し、“S”は南の方角を表す。
【0034】
建物1の正面は南を向き、背面は北を向き、右側面は東を向き、左側面は西を向く。これらの方角は、建物1の詳細な説明の便宜上、建物1の構成要素の位置的な関係性の説明のために、絶対的な方向として設定されたものである。そのため、建物1の正面、背面、右側面及び左側面の向く方角はそれぞれ南、北、東及び西に限るものではなく、他の方角であってもよい。
【0035】
図1図5に示すように、建物1は戸建て住宅であり、特に二世帯型住宅である。建物1は、1階、1.5階及び2階のそれぞれに部屋を有する。1.5階は、1階から半階上がって、2階から半階下がった階である。建物1の1階の西部分は二世帯のうち一方の世帯の居住部分であり、建物の1.5階及び2階は他方の世帯の居住部分である。建物1の1階の東部分は両世帯の共用部分である。一方の世帯とは、例えば親世帯のことをいい、他方の世帯とは、例えば子世帯のことをいう。
【0036】
なお、以下の説明において、窓の参照符号と窓が取り付けられる開口の参照符号とを認識しやくするために、窓の参照符号は図3図5に示され、開口の参照符号は図1及び図2に示される。戸の参照符号と戸が取り付けられる開口の参照符号についても同様である。
【0037】
<建物の外周部>
建物1は、その南向きの正面に正面外壁11、外構壁12、開口13及び空所14を備える。正面外壁11は、建物1の1階及び2階の正面の東西方向中央部を占める。外構壁12は、建物1の2階の正面の西部分を占める。正面外壁11と外構壁12は互いに面一且つ一体になるように設けられており、正面外壁11と外構壁12が一体となった壁は外壁を構成する。開口13は、建物1の1階の正面の西部分を占める。開口13は、正面外壁11の西且つ外構壁12の下方に位置し、さらに後述の左側面外壁28の南の端部の東に位置する。空所14は、建物1の1階及び2階の正面の東部分を占める。空所14は、正面外壁11の東に位置するとともに、後述の右側面外壁15の南の端部及び外構壁12の西に位置する。空所14の上は開放されており、その空所14の上方には屋根が存在しない。
【0038】
建物1は、その東向きの右側面に右側面外壁15、外構柱16、サイド開口17、採光開口18、通用開口19及び採光開口20を備える。右側面外壁15は、建物1の1階及び2階の右側面の南北方向中央部と北部分を占める。外構柱16は、右側面外壁15の1階部分からサイド開口17を置いて、建物1の南東角部に立てた状態に設けられている。外構柱16の上部は右側面外壁15の2階部分と一体に設けられている。サイド開口17は、建物1の1階の右側面の南部分に位置する。サイド開口17は屋外にある。採光開口18は、サイド開口17よりも北に位置する。採光開口18は、右側面外壁15の1階の
南北方向中央部に形成されている。採光開口18には、嵌め殺し型の掃出し窓18aが取り付けられている。通用開口19は、右側面外壁15の1階の北寄り部分に形成されている。通用開口19には、開き戸19aが取り付けられている。採光開口20は、右側面外壁15の2階高所の南北方向中央部に形成されている。採光開口20には、高窓20aが取り付けられている。
【0039】
建物1は、その北向きの背面に背面外壁21及び窓開口22~27を備える。背面外壁21は、建物1の背面の1階及び2階を占める。窓開口22は、背面外壁21の1階の東部分に形成されている。窓開口23は、窓開口22の上方に位置するとともに、背面外壁21の1.5階の東部分に形成されている。窓開口24は、窓開口22の西に位置するとともに、背面外壁21の1階の東西方向中央部に形成されている。窓開口25は、窓開口24の上方に位置するとともに、背面外壁21の2階の東西方向中央部に形成されている。これら窓開口22~25には、開閉可能な窓22a~25aがそれぞれ取り付けられている。窓開口26は、窓開口24の西に位置するとともに、背面外壁21の1階の西部分に形成されている。窓開口26には、開閉可能な掃出し窓26aが取り付けられている。窓開口27は、窓開口26の上方に位置するとともに、背面外壁21の2階の西部分に形成されている。窓開口27には、窓27aが取り付けられている。
【0040】
建物1は、その西向きの左側面に左側面外壁28、窓開口29,30及び開口31を備える。左側面外壁28は、建物1の左側面の1階及び2階を占める。窓開口29は、左側面外壁28の1階高所の南北方向中央部に形成されている。窓開口30は、窓開口29の上方に位置するとともに、左側面外壁28の2階高所の南北方向中央部に形成されている。これら窓開口29,30には、高窓29a,30aがそれぞれ取り付けられている。
【0041】
<建物の外構>
建物1の南の地面上には、タイル張りの外構床32,33が構築されている。外構床32は、外構床33の西に位置する。外構床33は、建物1の東の地面上にも及んでいる。外構床32と外構床33との間には段差があり、外構床32が外構床33よりも一段高く設けられている。建物1の北の地面上には、デッキ36が構築されている。デッキ36は、掃出し窓26aの北に位置する。
【0042】
建物1の1階の南西部分には、屋外空間となるテラス34が設けられている。テラス34は、建物1の正面の開口13内において正面外壁11及び外構壁12から奥まるように設けられている。テラス34の上方は、建物1の2階の南西部分とされている。テラス34の西側は、左側面外壁28の南部分を介して建物1の西の屋外に面する。左側面外壁28に形成された開口31は、テラス34に通じる。テラス34の床面は、外構床32と同一の高さに設けられている。テラス34の床面は、開口13を通じて外構床32に連続して設けられるとともに、外構床32と面一に設けられている。
【0043】
建物1の1階の南東部分には、屋外空間となる玄関ポーチ35が設けられている。玄関ポーチ35は、建物1の正面の空所14内において正面外壁11及び外構柱16から奥まるように設けられている。玄関ポーチ35の床面は、外構床32と同一の高さに設けられている。玄関ポーチ35の床面は、外構床32と面一に設けられている。玄関ポーチ35の床面は、空所14を通じて外構床32に連続して設けられているとともに、外構床32と面一に設けられている。玄関ポーチ35の床面は、通用開口19を通じて外構床32に連続して設けられている。
【0044】
<建物の1階>
図3に示すように、建物1の1階は、間仕切り壁及び建具等によって、玄関41、シューズインクローゼット42、廊下43、階段室44、多目的室45、脱衣所46、洗面脱
衣所47、バスルーム48、ダイニングキッチン49、リビング50、寝室51及びウォークインクローゼット52に区画されている。洗面脱衣所47、ダイニングキッチン49、リビング50及びウォークインクローゼット52は二世帯のうち一方の世帯の居住部分であり、玄関41、シューズインクローゼット42、廊下43、多目的室45、脱衣所46及びバスルーム48は両世帯の居住部分である。
【0045】
玄関41は、建物1の1階の東部分の南北方向中央部に設けられている。玄関41は、空所14の1階部分の奥に位置するとともに、玄関ポーチ35の北に隣接する。玄関41と玄関ポーチ35の境界には玄関扉41aが設けられ、玄関扉41aが玄関41と玄関ポーチ35を仕切る。玄関41は、採光開口18内の掃出し窓18aを介して建物1の東の屋外に面する。玄関41の土間部41bの床面は、玄関ポーチ35の床面と連続するとともに、玄関ポーチ35の床面と面一に設けられている。玄関41のホール部41cは、土間部41bの北西に位置する。ホール部41cの床面と土間部41bの床面との間には段差があり、ホール部41cの床面が土間部41bの床面よりも一段高く設けられている。ホール部41cの床面は、建物1の1階の床レベルに相当する高さに設定されている。
【0046】
シューズインクローゼット42は、建物1の1階の東部分の南北方向中央部に設けられている。シューズインクローゼット42は、玄関41の東西方向中央部且つ北部分に位置する。シューズインクローゼット42の土間部42bの床面は、玄関41の土間部41bの床面と連続するとともに、その土間部41bの床面と面一に設けられている。シューズインクローゼット42のホール部42cは、土間部42bの西に位置する。シューズインクローゼット42のホール部42cの床面は、土間部42bの床面よりも一段高く設けられているとともに、玄関41のホール部41cの床面と連続して面一に設けられている。
【0047】
廊下43、階段室44及び多目的室45は、建物1の1階の東北部分に設けられている。廊下43は、玄関41のホール部41cの北に隣接するとともに、そのホール部41cから扉を介して通じている。階段室44は、廊下43から東へ続く。この階段室44は、1階から1.5階を経由して2階まで設けられている。階段室44には、1階、1.5階及び2階の間で上り下り可能な階段が設けられており、その階段の下は収納庫とされている。多目的室45は、廊下43及び階段室44の北に隣接する。多目的室45は、開き戸を介して廊下43に通じているとともに、階段の下の収納庫に通じている。多目的室45は、右側面外壁15及びそれに設けられた開き戸19aを介して建物1の東の屋外に面する。多目的室45は、背面外壁21及びそれに設けられた窓22aを介して建物1の北の屋外に面する。
【0048】
脱衣所46、洗面脱衣所47、バスルーム48及びウォークインクローゼット52は、建物1の1階の北部分の東西方向中央部に設けられている。脱衣所46は、廊下43の西に隣接するとともに、開き戸を介して廊下43に通じている。バスルーム48は、脱衣所46の北に隣接するとともに、開き戸を介して脱衣所46に通じている。バスルーム48は、背面外壁21及びそれに設けられた窓24aを介して建物1の北の屋外に面する。洗面脱衣所47は、脱衣所46の西に隣接するとともに、開き戸を介して脱衣所46に通じている。ウォークインクローゼット52は、洗面脱衣所47の北に隣接するとともに、開口を介して洗面脱衣所47に通じている。ウォークインクローゼット52は、バスルーム48の西に隣接する。ウォークインクローゼット52は、背面外壁21を介して建物1の北の屋外に面する。ウォークインクローゼット52と洗面脱衣所47との間の間仕切りには、ランドリーシュート52aが設けられている。居住者は、ウォークインクローゼット52で脱いだ衣類をランドリーシュート52aを通じて洗面脱衣所47に送ることができる。また、居住者は、洗面脱衣所47で洗濯・乾燥した衣類をランドリーシュート52aを通じてウォークインクローゼット52に送ることができる。
【0049】
ダイニングキッチン49は、建物1の1階の南部分の東西方向中央部に設けられている。ダイニングキッチン49は、玄関41の西に隣接するともに、引き戸式又は折り戸式の間仕切り戸49aを介して玄関41のホール部41cに通じている。居住者は、間仕切り戸49aを通じてダイニングキッチン49と玄関41の間を行き来することができる。ダイニングキッチン49は、玄関41よりも南へ張り出している。その張り出した部分は、外壁を介して玄関ポーチ35の西に隣接する。ダイニングキッチン49は、正面外壁11を介して建物1の南の屋外に面する。
【0050】
リビング50は、建物1の1階の西部分の南北方向中央部に設けられている。リビング50は、ダイニングキッチン49の西に隣接するともに、引き戸式又は折り戸式の間仕切り戸49bを介してダイニングキッチン49に通じている。居住者は、間仕切り戸49bを通じてダイニングキッチン49とリビング50の間を行き来することができる。リビング50がテラス34の北に隣接しており、リビング50とテラス34の境界には開閉可能な掃出し窓50aが設けられ、リビング50とテラス34が掃出し窓50aによって仕切られている。居住者は、掃出し窓50aを通じてリビング50とテラス34の間を行き来することができる。リビング50の床面は、テラス34の床面と同一の高さに設けられている。テラス34の床面は、掃出し窓50aの下端を介してテラス34の床面に連続して設けられている。リビング50は、左側面外壁28及びそれに設けられた高窓29aを介して建物1の西の屋外に面する。
【0051】
ダイニングキッチン49は、リビング50よりも南へ張り出している。その張り出した部分は、外壁49d及びそれに設けられた開閉可能な掃出し窓49cを介してテラス34の東に隣接する。そのため、居住者は、掃出し窓49cを通じてダイニングキッチン49とテラス34の間を行き来することができる。例えば、テラス34における食事に際して、居住者はリビング50を通ることなく、掃出し窓49cを通って配線及び後片付けを行える。
【0052】
寝室51は、建物1の1階の北西部分に設けられている。寝室51は、左側面外壁28を介して建物1の西の屋外に面する。寝室51は、背面外壁21及びそれに設けられた掃出し窓26aを介して建物1の北の屋外に面する。そのため、居住者は、掃出し窓26aを通じて寝室51とデッキ36の間を行き来することができる。
【0053】
寝室51は、洗面脱衣所47及びウォークインクローゼット52の西に隣接する。洗面脱衣所47が開口を介して寝室51に通じ、居住者がその開口を通じて寝室51と洗面脱衣所47の間を行き来することができる。ウォークインクローゼット52が開口を介して寝室51に通じ、居住者がその開口を通じて寝室51とウォークインクローゼット52の間を行き来することができる。
例えば、感染症に患った居住者がリビング50又はダイニングキッチン49に居る場合、寝室51に居る別の居住者は、リビング50及びダイニングキッチン49を通ることなく、寝室51からウォークインクローゼット52、洗面脱衣所47、脱衣所46及び廊下43を通って、シューズインクローゼット42及び玄関41を通って外出することができる。この際、居住者は、ウォークインクローゼット52及び洗面脱衣所47において外出の身支度を行える。
また、帰宅した居住者が、リビング50又はダイニングキッチン49に居る感染症の居住者に対面することなく、玄関41、ウォークインクローゼット52、廊下43、脱衣所46、洗面脱衣所47及びウォークインクローゼット52を通って寝室51に入ることができる。この際、居住者は、ウォークインクローゼット52及び洗面脱衣所47において着替えを行える。
【0054】
寝室51は、間仕切り構造200又は間仕切り構造300を介してリビング50の北に
隣接する。間仕切り構造200及び間仕切り構造300については後に詳述するが、間仕切り構造200及び間仕切り構造300は、居住者が寝室51とリビング50の間で行き来できるように設けられている。
【0055】
廊下43、多目的室45、脱衣所46、洗面脱衣所47、バスルーム48、ダイニングキッチン49、リビング50及びウォークインクローゼット52の床面は、いずれも同じ高さに設定されているとともに、建物1の1階の床レベルに相当する高さに設定されている。寝室51の床面は、廊下43、多目的室45、脱衣所46、洗面脱衣所47、バスルーム48、ダイニングキッチン49、リビング50及びウォークインクローゼット52の床面よりも低く設定されている。そのため、寝室51の床面とリビング50の床面との間には段差があり、寝室51の床面と脱衣所46の床面との間には段差があり、寝室51の床面とウォークインクローゼット52の床面との間には段差がある。リビング50の方の寝室51の床面の端には、寝室51の床面よりも高く且つリビング50の床面よりも低い踏込ステップが設けられていてもよい。
【0056】
<建物の1.5階>
図4に示すように、建物1の1.5階は、間仕切り壁及び建具等によって多目的室61、低天井収納室62、低天井収納室63、機械庫64及び機械庫65に区画されている。
【0057】
多目的室61は、1階の多目的室45の上に位置する。多目的室61は、階段の北に設けられているとともに、階段の1.5階の踊り場に通じている。多目的室61は、背面外壁21及びそれに設けられた窓23aを介して建物1の北の屋外に面する。多目的室61の上部には、ロフト61bが設けられている。このロフト61bは開口を介して3階の居室74に通じており、居住人はロフト61bと居室74の間を行き来することができる。
【0058】
低天井収納室62は、多目的室61の西に隣接するとともに、開口を介して多目的室61に通じている。低天井収納室62は、1階のバスルーム48の全体の上に位置するとともに、1階の廊下43及び脱衣所46の上に位置する。低天井収納室63は、低天井収納室62の西に隣接するとともに、開口を介して低天井収納室62に通じている。低天井収納室63は、1階のウォークインクローゼット52の上に位置する。機械庫64は、低天井収納室62の南に隣接する。機械庫64は、1階の脱衣所46の上に位置する。機械庫64には、空調空気を玄関41に吹き出す空調装置が設置されている。機械庫65は、低天井収納室63の南に隣接する。機械庫65は、1階の洗面脱衣所47の上に位置する。機械庫65には、空調空気をリビング50及び低天井収納室62にそれぞれ吹き出す空調装置が設置されている。
【0059】
<建物の2階>
図5に示すように、建物1の2階は、間仕切り壁及び建具等によってリビング71、バルコニー72、ダイニングキッチン73、居室74、居室75、収納庫76、廊下77、洗面所78、シャワールーム79、ウォークインクローゼット80、作業場81、作業場82、居室83、バルコニー84及び寝室85に区画されている。
【0060】
リビング71及びバルコニー72は、建物1の2階の東部分に設けられている。リビング71は、階段の南に設けられているとともに、階段に通じている。そのため、居住者が階段を上ってリビング71に入ることができる。リビング71は、1階の玄関41の上に位置する。
【0061】
バルコニー72は、リビング71の南に隣接する。リビング71とバルコニー72の境界には開閉可能な掃出し窓71aが設けられ、リビング71とバルコニー72が掃出し窓71aによって互いに仕切られ、居住者が掃出し窓71aを通じてリビング71とバルコ
ニー72の間を行き来することができる。バルコニー72は、建物1の正面の空所14内において正面外壁11及び外構柱16から奥まった位置に設けられている。バルコニー72は、玄関ポーチ35の上に位置する。バルコニー72の上は屋根、特にそのケラバによって覆われているため、雨天時にバルコニー72が作業所として利用される。
【0062】
ダイニングキッチン73、居室74、居室75及び収納庫76は、建物1の2階の東西方向中央部に設けられている。ダイニングキッチン73は、リビング71の西に隣接するとともに、開口を介してリビング71に通じている。ダイニングキッチン73の北部には、小上がり73aが設けられている。小上がり73aの上のスペースは子供の遊び場として利用され、親がダイニングキッチン73で家事をしながら、小上がり73a上の子供とコミュニケーションを取れる。小上がり73aは1.5階の機械庫64及び機械庫65の上に位置し、ダイニングキッチン73のうち小上がり73a以外の部分は1階のダイニングキッチン49の上に位置する。
【0063】
居室74,75は、ダイニングキッチン73の北に隣接するとともに、それぞれ開き戸を介して小上がり73aの上のスペースに通じている。居室74,75は東西に互いに隣接する。居室74,75は、背面外壁21及びそれに設けられた窓25aを介して北の屋外に面する。居室74,75は2階の低天井収納室62,63の上にそれぞれ位置する。居室74,75は子供部屋として利用される。
【0064】
収納庫76は、ダイニングキッチン73の南に隣接するとともに、開口を介してダイニングキッチン73に通じている。収納庫76は、正面外壁11を介して建物1の南の屋外に面する。収納庫76は、冷蔵庫置き場、食品庫及び作業場等として利用される。
【0065】
廊下77、洗面所78、シャワールーム79、ウォークインクローゼット80、作業場81、作業場82、居室83、バルコニー84及び寝室85は、建物1の2階の西部分に設けられている。廊下77は、ダイニングキッチン73の西に隣接するとともに、開口を介してダイニングキッチン73の北部分に通じている。廊下77は南北に延びており、廊下77の北が寝室85に通じており、廊下77の南が居室83に通じている。廊下77は、1階のリビング50の東部分の上に位置する。
【0066】
寝室85は、小上がり73aの上のスペース及び居室75の西に隣接する。寝室85は、背面外壁21及びそれに設けられた窓27aを介して建物1の北の屋外に面する。寝室85は、左側面外壁28を介して建物1の西の屋外に面する。寝室85は、1階の寝室51の上に位置する。
【0067】
居室83は、ダイニングキッチン73の南部分の西に隣接するとともに、開口を介してダイニングキッチン73の南部分に通じている。その開口には、出入り口付き又は出入り口無しのガラスパーティション73aが設けられてもよい。居室83は、左側面外壁28を介して建物1の西の屋外に面する。居室83は、1階のリビング50の南部分及びテラス34の北部分の上に位置する。
【0068】
バルコニー84は、居室83の南に隣接する。居室83とバルコニー84の境界には開閉可能な掃出し窓83aが設けられ、居室83とバルコニー84が掃出し窓83aによって互いに仕切られ、居住者が掃出し窓83aを通じて居室83とバルコニー84の間を行き来することができる。バルコニー84は、テラス34の上に位置する。バルコニー84は、外構壁12によって外構壁12の南の外から仕切られている。バルコニー84の北部分の上は屋根の軒先によって覆われ、バルコニー84の南部分の上は開放されている。その開放された部分には、バーゴラが設けられている。また、居室83の外であって掃出し窓83aの上の外壁面には、格納型のオーニングが設けられており、そのオーニングが広
げられると、バルコニー84の上がオーニングによって覆われて、バルコニー84に日陰が形成される。
【0069】
洗面所78は、廊下77の西且つ居室83の北に隣接する。洗面所78は、廊下77の南部から西に続く。
【0070】
シャワールーム79は、洗面所78の西且つ居室83の北に隣接するとともに、折り戸を介して洗面所78に通じている。
【0071】
ウォークインクローゼット80は、洗面所78及びシャワールーム79の北且つ寝室85の南に隣接する。ウォークインクローゼット80は、開口を介して寝室85に通じている。
【0072】
作業場81は、シャワールーム79の西且つ居室83の北に隣接する。作業場81は、開口を介して居室83に通じている。作業場82は、ウォークインクローゼット80の西且つ寝室85の南に隣接する。作業場82は、開口を介して寝室85に通じている。作業場81と作業場82は引き込み戸81aを介して南北に互いに隣接し、居住者が引き込み戸81aを通じて作業場81と作業場82の間を行き来することができる。作業場81,82は、左側面外壁28及びそれに設けられた高窓30aを介して建物1の西の屋外に面する。作業場81,82は、コンピューターの置き場として、またコンピューターを用いた作業の場として利用される。
【0073】
<第一例の間仕切り構造>
図6及び図7を参照して、寝室51とリビング50を仕切る間仕切り構造200について詳細に説明する。図6は、1階のリビング50から間仕切り構造200の方へ見て示した透視投影図である。図7は、リビング50及び寝室51の断面図である。図7の断面は、南北方向に沿って鉛直な面である。
【0074】
間仕切り構造200は、寝室51とリビング50を仕切るバックボードレスのシェルフ201を備える。ここで、“バックボードレス”とは“背板無し”ともいい、“シェフル”は“棚”ともいう。
【0075】
シェルフ201は、リビング50の方の寝室51の際(きわ)に寄って設けられているとともに、寝室51の床面51f上に据え付けられている。踏込ステップがリビング50の方の寝室51の床面51fの端に設けられている場合、シェルフ201の一部又は全体が踏込ステップに乗り上げて、その踏込ステップに据え付けられている。シェルフ201は、寝室51の床面51fから天井51cまで及ぶ。
【0076】
シェルフ201は、シェルフ201の下方の側部に向かいの壁から離れて設けられ、シェルフ201のもう片方の側部に向かいの壁に寄って設けられている。具体的には、リビング50から寝室51の方へ見て、シェルフ201及びその左の側板201bは寝室51の左の壁51bから離れて設けられ、シェルフ201は寝室51の右の壁51aに寄って設けられている。
【0077】
シェルフ201の左の側板201bが寝室51の左の壁51bから離れているため、左の側板201bと寝室51の左の壁51bとの間には、開口202が形成されている。居住者は、開口202を通じてリビング50と寝室51の間を行き来することができる。
【0078】
シェルフ201が寝室51の左の壁51bから離れ、寝室51の右の壁51aに寄っているため、シェルフ201の配置の非対称性が実現される。このような非対称性はデザイ
ンの向上の要因になり得る。
【0079】
寝室51の右の壁51aはシェルフ201の右の側板を兼ねており、シェルフ201の最も右の棚板201aが寝室51の右の壁51aに支持されている。ただし、別途、シェルフ201の右の側板が寝室51の右の壁51aに貼り付けられ、シェルフ201の元も右の棚板201aがその右の側板に支持されてもよい。なお、上述のように、寝室51の右の壁51aには、洗面脱衣所47及びウォークインクローゼット52にそれぞれ通じる2つの開口が形成されている。
【0080】
シェルフ201は側板201bに対して平行な複数の仕切り板201cを有し、棚板201aが仕切り板201cに支持されている。なお、仕切り板201cが設けられていなく、棚板201aの両端が寝室51の右の壁51a(又は右の側板)と左の側板201bにそれぞれ支持されてもよい。
【0081】
シェルフ201は、掃出し窓26aとの間に寝室51の空間を置いて、掃出し窓26aの向かいに設けられている。そのシェルフ201には、バックボードが設けられていない。そのため、昼間にリビング50にいる居住者は、シェルフ201越しに、明るい掃出し窓26a及びその外に視線を向けるようになる。よって、居住者は奥行き感を得て、リビング50が広く感じる。このような効果は、間仕切り戸49bが閉じられる時に特に有効的である。つまり、間仕切り戸49bが閉じられると、居住者はダイニングキッチン49の方へのリビング50の広がりが感じられないが、寝室51の方へのリビング50の広がりが感じられる。
【0082】
間仕切り戸49bが閉じられると、居住者がリビング50からダイニングキッチン49の中を見ることができない上、ダイニングキッチン49の臭いも感じない。そのため、居住者は、生活感から解放される上、寝室51の方へのリビング50の広がり感と開放感とそれらに起因した高級感とを得られる。
【0083】
寝室51の床面51fがリビング50の床面50fよりも低く設けられている。そのため、居住者がリビング50の方から寝室51を見ると、寝室51の床面51fに設置された寝具が低く見える。特に、居住者がリビング50において座ると、寝具が隠れたように見える。寝具がリビング50内の居住者の視野に入りにくいことから、居住者は、生活感から解放される上、寝室51の方へのリビング50の広がり感と開放感とそれらに起因した高級感とを得られる。
【0084】
リビング50の床面がテラス34の床面と同一の高さに設けられているため、リビング50の床面とテラス34の床面が互いに一体的に見える。そのため、リビング50に居る居住者は、テラス34の方へのリビング50の広がり感と開放感とそれらに起因した高級感とを得られる。
【0085】
なお、以上に説明した間仕切り構造200を以下のように変更してもよい。以下に説明する2つの変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0086】
<変更例1>
上述の説明では、シェルフ201が寝室51の右の壁51aに寄っているものとした。それに対して、図8に示すようにシェルフ201が、その右の側板201bに向かい壁51aから離れていてもよい。そのため、右の側板201bと寝室51の右の壁51aとの間には、第二の開口203が形成されている。居住者は、第二の開口203を通じてリビング50と寝室51の間を行き来することができる。
【0087】
シェルフ201が寝室51の右左の壁51a,51bから離れているため、シェルフ201の配置の対称性が実現される。このような対称性はデザインの向上の要因になり得る。
【0088】
<変更例2>
上述の説明では、シェルフ201がリビング50の方の寝室51の際(きわ)に寄って設けられている。それに対して、シェルフ201は、寝室51の方のリビング50の際(きわ)に寄って設けられ、リビング50の床面50f上に据え付けられてもよい。
【0089】
<第二例の間仕切り構造>
図9及び図10を参照して、間仕切り構造300について詳細に説明する。図9は、1階のリビング50から間仕切り構造300の方へ見て示した透視投影図である。図10は、リビング50及び寝室51の断面図である。図10の断面は、南北方向に沿って鉛直な面である。図中、間仕切り構造300と間仕切り構造200に共通した構成要素には、同一の参照符号が付される。
【0090】
間仕切り構造300は、図6に示すようなシェルフ201に加えて、第一引き戸302、第二引き戸303及びルーバー304を有する。間仕切り構造300のシェルフ201は、上述の間仕切り構造200のシェルフ201と同様に設けられている。
【0091】
リビング50からシェルフ201の方に見て、ルーバー304はシェルフ201の正面に設けられている。つまり、ルーバー304は、シェルフ201のリビング50に向かう側に設けられている。ルーバー304は、シェルフ201の全幅のうち、シェルフ201の幅方向中央部に重なっている。ルーバー304の幅はシェルフ201の隣り合う仕切り板201cの幅に等しく、隣り合う仕切り板201cの間の空洞はそのリビング50の方をルーバー304によって塞がれている。ルーバー304は、縦方向に隙間を置いて平行に並べられた複数の細長い羽根板を有する。これら羽根板の傾斜角は調整可能である。羽根板の傾斜角が調整されると、風、光及び人の目線の通り具合が調整される。例えば、一の居住者がリビング50の照明を点灯させ、他の居住者が寝室51で寝る時は、羽根板の傾斜角が急角度に調整されると、リビング50の光が寝室51に届かないため、他の居住者が十分な睡眠を取ることができる。
【0092】
リビング50からシェルフ201の方に見て、第一引き戸302は、ルーバー304の左方に設けられている。第一引き戸302は鎧戸である。つまり、第一引き戸302は、縦方向に隙間を置いて平行に並べられた複数の細長い羽根板を有する。これら羽根板の傾斜角は調整可能である。羽根板の傾斜角が調整されると、風、光及び人の目線の通り具合が調整される。
【0093】
第一引き戸302は、シェルフ201のリビング50に向かう側において、シェルフ201の幅方向にスライド可能に設けられている。第一引き戸302のスライド可能な範囲は、第一引き戸302がシェルフ201の左側の開口202を塞ぐ第一閉塞位置から、第一引き戸がシェルフ201の一部重なるとともにシェルフ201の棚板201a間の空洞を塞ぐ第二閉塞位置までである。
第一引き戸302が第一閉塞位置にスライドされると、第一引き戸302がルーバー304から離れて、リビング50の左の壁に当たる。その状態では、左の側板201bとその隣りの仕切り板201cの間の空洞はそのリビング50の方を開放され、開口202はそのリビング50の方を第一引き戸302によって塞がれる。
第一引き戸302が第二閉塞位置にスライドされると、第一引き戸302がルーバー304に当たって、第一引き戸302とルーバー304が互いに近接してシェルフ201の幅方向に並ぶ。その状態では、左の側板201bとその隣りの仕切り板201cの間の空
洞はそのリビング50の方を第一引き戸302によって塞がれ、開口202はそのリビング50の方を開放される。そのため、居住者は、開口202を通じてリビング50と寝室51の間を行き来することができる。
【0094】
リビング50からシェルフ201の方に見て、第二引き戸303は、ルーバー304の右方に設けられている。第二引き戸303は鎧戸である。つまり、第二引き戸303は、縦方向に隙間を置いて平行に並べられた複数の細長い羽根板を有する。これら羽根板の傾斜角は調整可能である。羽根板の傾斜角が調整されると、風、光及び人の目線の通り具合が調整される。
【0095】
第二引き戸303は、シェルフ201のリビング50に向かう側において、シェルフ201の幅方向にスライド可能に設けられている。第三引き戸303のスライド可能な範囲は、第二引き戸303が最も右の棚板201a間の空洞を塞ぐ第三閉塞位置から、右から2番目の棚板201a間の空洞を塞ぐ第4閉塞位置までである。
第二引き戸303が第三閉塞位置にスライドされると、第二引き戸303がルーバー304から離れて、リビング50の右の壁51aに当たる。その状態では、右から2番目の棚板201a間の空洞はそのリビング50の方を開放され、最も右の棚板201a間の空洞はそのリビング50の方を第二引き戸303によって塞がれる。
第二引き戸303が第4閉塞位置にスライドされると、第二引き戸303がルーバー304に当たって、第二引き戸303とルーバー304が互いに近接してシェルフ201の幅方向に並ぶ。その状態では、右から2番目の棚板201a間の空洞はそのリビング50の方を第二引き戸303によって塞がれ、最も右の棚板201a間の空洞はそのリビング50の方を開放される。
【0096】
図9に示す例では、引き戸302,303がそれぞれ第一閉塞位置及び第三閉塞位置にスライドされた状態にある。引き戸302,303が図9の状態からそれぞれ第二閉塞位置及び第三閉塞位置にスライドされると、第一引き戸302、ルーバー304及び第二引き戸303が隣接して並ぶ。そのため、リビング50の光がシェルフ201の向かいの場所に当たらない。例えば、寝室51内の寝具がシェルフ201の向かいに設置されている場合、その寝具に寝る居住者は睡眠がリビング50の光によって阻害されることはない。
【0097】
寝室51内の寝具の配置に応じて引き戸302,303の位置を調整すれば、リビング50から寝具への入射光量を調整することができる。また、引き戸302,303の位置の調整により、リビング50から寝室51への光の射し込み方を変えることができ、寝室51の雰囲気も変えることができる。
【0098】
なお、以上に説明した間仕切り構造300を以下のように変更してもよい。以下に説明する2以上の変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0099】
<変更例1>
図8を参照して説明したように、シェルフ201の右の側板201bが右の壁51aから離れていてもよい。この場合、第二引き戸303が第三閉塞位置にスライドされると、右の側板201bとリビング50の右の壁51aとの間の第二の開口203が第二引き戸303によって塞がれる。
【0100】
<変更例2>
以上の説明では、引き戸302,303及びルーバー304は、シェルフ201のリビング50に向かう側に設けられている。それに対して、引き戸302,303及びルーバー304は、シェルフ201の寝室51に向かう側に設けられている。
【0101】
<変更例3>
上述の説明では、ルーバー304が固定されている。それに対して、ルーバー304が引き戸としてシェルフ201の幅方向にスライド可能であってもよい。この場合、第一引き戸302、ルーバー304及び第二引き戸303が3枚引違い戸を構成してもよい。
【0102】
<変更例4>
上述の説明における引き戸302,引き戸303のスライド範囲は一例であり、これら引き戸302,303とルーバー304が前後方向(南北方向)にずれていれば、引き戸302,303のスライド範囲が更に広くてもよい。例えば、第一引き戸302のスライド範囲が、図9に示す第一引き戸302の位置から、図9に示す第二引き戸303の位置まであってもよい。例えば、第二引き戸303のスライド範囲が、図9に示す第二引き戸303の位置から、図9に示す第一引き戸302の位置まであってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 建物
26a 掃出し窓(窓)
34 テラス
49 ダイニングキッチン(第三の部屋)
49c 掃出し窓(第三の窓)
49d 外壁
50 リビング(第二の部屋)
50a 掃出し窓(第二の窓)
51 寝室(第一の部屋)
51a 壁(第二の壁)
51b 壁
201 シェルフ
202 (開口)
203 (第二の開口)
302 (引き戸)
303 (第三の引き戸)
304 ルーバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10