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▶ ヨゼフ フェゲーレ アーゲーの特許一覧

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  • 特許-噴霧器を備える道路建設機械 図1
  • 特許-噴霧器を備える道路建設機械 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】噴霧器を備える道路建設機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022155844
(22)【出願日】2022-09-29
(65)【公開番号】P2023051854
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】21200171
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト エルトマン
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0030673(US,A1)
【文献】特許第6793993(JP,B1)
【文献】特開2011-089257(JP,A)
【文献】特開2022-040493(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154152(JP,U)
【文献】特開2022-179443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を舗装するロードフィニッシャ(2)または舗装材料を前記ロードフィニッシャ(2)に補充するフィーダ車両(30)である道路建設機械(1)であって、前記道路建設機械(1)は、オペレータ用の踏面としての床面(12,12’)を有するオペレータスタンド(9,13)を備え、前記道路建設機械(1)は、冷却剤(16)からミストを生成する冷却系(K)をさらに備え、前記冷却系(K)は、前記冷却剤を受け入れるタンク(15)と、前記冷却剤をミストにして噴霧するスプレー装置(18)とを備え、前記冷却系(K)は、前記オペレータスタンド(9,13)の領域においてミストを生成し、前記スプレー装置(18)は前記踏面(12,12’)の上方において少なくとも1.7mの高さに配置され、前記冷却系(K)は、モジュール式に、前記道路建設機械(1)に着脱可能に設けられ
前記ミストの平均液滴サイズは調節可能であることを特徴とする、道路建設機械(1)。
【請求項2】
前記スプレー装置(18)は、前記踏面(12,12’)の上方において少なくとも1.9mの高さに配置されることを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【請求項3】
前記スプレー装置(18)は、前記踏面(12,12’)の上方において少なくとも2.1mの高さに配置されることを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【請求項4】
前記オペレータスタンド(9,13)は支持構造(11)により支持された屋根(10)を備え、前記スプレー装置(18)は前記屋根(10)または前記支持構造(11)に設けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の道路建設機械。
【請求項5】
前記冷却系(K)には、前記道路建設機械(1)の電源供給源から電気エネルギーが供給され得ることを特徴とする、請求項4に記載の道路建設機械。
【請求項6】
前記冷却剤(16)は水を含むことを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【請求項7】
前記オペレータスタンド(9)は、ロードフィニッシャ(2)として設計された前記道路建設機械(1)の舗装スクリード上の外部オペレータスタンド(13)であることを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【請求項8】
前記スプレー装置(18)を支持する構造(19)は、前記外部オペレータスタンドに配置されることを特徴とする、請求項7に記載の道路建設機械。
【請求項9】
前記スプレー装置(18)は、前記道路建設機械(1)の移動方向において、前記オペレータスタンド(9,13)の中間点よりも前方に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【請求項10】
前記スプレー装置(18)は、前記道路建設機械(1)の移動方向において、前記オペレータスタンド(9,13)よりも前方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【請求項11】
前記スプレー装置(18)は複数のスプレーノズル(18’)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の道路建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードフィニッシャまたはロードフィニッシャに補充するフィーダ車両とされる道路建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ロードフィニッシャまたはロードフィニッシャ用のフィーダ車両でアスファルトを敷く場合、最適な処理のために、アスファルトは典型的に例えば160℃~180℃の温度を有する。これは、このような道路建設機械のオペレータは、作業中にはかなりの高温に曝されてしまう可能性があることを意味する。さらに厄介なことに、道路は、夏期または外気温が既にかなり高い地域においても舗装される。道路建設機械におけるオペレータスタンドが閉鎖型キャビンの中に配置されていない限り空調は不可能である。
【0003】
欧州特許第3 276 081 B1号明細書には、冷却剤の噴霧装置を備えるロードフィニッシャが記載されている。しかしながら、噴霧装置は、オペレータスタンド周囲の温度に影響を意図的に与えるものではない。むしろ、噴霧装置により生成される冷却剤のミストは、地面から最大1.5m高さまでであるべきであり、地面直上でアスファルト蒸気中のエアロゾルを結合する目的を有する。これは、上昇してくるエアロゾルからオペレータを保護することを意図している。しかしながら、欧州特許第3 276 081 B1号明細書ではオペレータの視界が妨げられることを危惧しているために、地面から1.5mを超える高さでのミストの拡散は意図的に回避されるべきとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、道路建設機械のオペレータのため、作業をより快適なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に係る機構を有する道路建設機械により解決される。本発明の有利な実施形態が従属する請求項に明記されている。
【0006】
本発明によれば、冷却剤を受け入れるタンクおよび冷却剤をミストにして噴霧するスプレー装置を備える冷却系が提供されている。この冷却系は、オペレータスタンドの領域に、すなわち、道路仕上げ機器の操作中にオペレータが典型的に見出される空間にミストを生成するよう設定されている。従来においては可能な限り地面の近くでミストを生成していたため、これにより、本発明は最先端の技術とは差別化される。
【0007】
さらに、本発明において、スプレー装置は、踏面の上方において少なくとも1.7mの高さに配置されている。踏面は道路建設機械上にあり、従って、当然のように、地上レベルよりも高い、例えば、30cm~80cmの高さ、または、さらには、オペレータスタンドのタイプに応じて、1.5m~2.5mの高さ(主オペレータスタンド上)にあるため、スプレー装置は、下地レベルと比してさらに高くに位置されている。これは、ミストがオペレータスタンド上方で生成されると共に、比較的長時間にわたってオペレータスタンドの領域中に残留するという効果をもたらす。ミストにより、周囲が気化冷却(断熱冷却)によって確実に冷却される。「冷却系」という用語はこの冷却形態に関するものであり、原理上考慮され得る場合においても、冷却剤自体の積極的な冷却を必要としない。気化冷却による周囲の冷却よってオペレータによる作業に対する労力が軽減されると共に、オペレータの集中力が大きく高まり、従って、オペレータは、特に暑い日または暑い地域においても疲労の進行がそれほど速くない。さらに、本発明は、埃などの粒子に対するミストの結合に好ましい影響を及ぼす。欧州特許第3 276 081号明細書で示されている懸念とは対照的に、オペレータの視界が妨げられることはなく、実際には向上する。
【0008】
好ましくは、スプレー装置は、踏面の上方において少なくとも1.9mの高さ、または、踏面の上方において少なくとも2.1mの高さに配置される。これにより、ミストは、過度に希釈されることなく比較的広い領域に到達可能である。
【0009】
道路建設機械は、オペレータスタンドのために閉鎖型キャビンを有していないことが好ましい。閉鎖型キャビンの場合には、温度を下げるために空調が用いられることが多い。
【0010】
本発明によれば、しかしながら、オペレータスタンドは、支持構造により支持された屋根を備えていてもよく、ここで、スプレー装置は、屋根または支持構造に設けられる。これは、一方では、スプレー装置は常にオペレータの頭上に配置されており、オペレータの視界を妨げないという利点を有する。加えて、スプレー装置の配置は、屋根のために既に設けられている支持構造を活用することで簡素化される。
【0011】
本発明の実用上の変形例において、冷却系は、モジュールとして道路建設機械に着脱式であってもよく、または、道路建設機械に設置されていてもよい。これにより、例えば夏期の間といった必要な場合にのみ冷却系を用いることが可能となる。他の期間においては、冷却系が劣化することがなく、冷却系により占有される空間を他の目的のために使用することが可能である。
【0012】
冷却系は、道路建設機械の電源供給源、例えば道路建設機械のエンジンに連結されている発電機によって電気エネルギーが供給されるものとして考えられる。これは、冷却系がそれ自体のエネルギー供給源を必要としないために有利である。
【0013】
冷却剤は、一方では高い熱容量を有すると共に、他方ではオペレータに対して如何なる環境リスクももたらさないために、水であることが好ましい。
【0014】
さらなる進化において、スプレー装置によって達成可能な噴霧の程度、または、スプレー装置によって生成されるミストの平均液滴サイズは調節可能である。このように、オペレータは、冷却性能に影響を及ぼすことが可能である。
【0015】
一変形例において、オペレータスタンドは、ロードフィニッシャとして設計された道路建設機械の舗装スクリード上の外部オペレータスタンドであることが想定される。ここでは、外部オペレータスタンドに居るオペレータは高温のアスファルトの極めて近くで作業しなければならないために、本発明は特に有利である。
【0016】
この場合、スプレー装置を支持するために、例えば垂直なバーまたはフレームといった特別な構造が外部オペレータスタンドに配置されてもよい。
【0017】
道路建設機械の移動方向においてオペレータスタンドの中心点よりも前方にスプレー装置を配置することが現実的であり得る。これにより、作業中における道路建設機械の移動を考慮した場合においても、オペレータスタンドに居るオペレータの領域におけるミストの濃度が最大限とされる。
【0018】
本発明の一変形例においては、ミストに覆われる空間を拡大するために、スプレー装置は、1つだけではなく、複数のスプレーノズルを有していてもよい。
【0019】
以下において、図面を参照して、本発明の有利な実施形態をより詳細に説明する。以下に詳細を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ロードフィニッシャである本発明に係る道路建設機械の側面図である。
図2図2は、フィーダ車両である本発明の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を通して、同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0022】
図1は、道路を舗装するためのロードフィニッシャ2である道路仕上げ機器1を示す。典型的には、ロードフィニッシャ2は、例えば高温のアスファルトといった舗装材料を受ける材料ホッパー3、特にシャシー5作動用のエンジン4(例えば内燃機関)、エンジン4により駆動される発電機6、および、舗装スクリード8を牽引する牽引車両7を有する。主オペレータスタンド9は、オペレータがその上に立つ踏面12を有する。
【0023】
さらなるオペレータスタンド、すなわち、外部オペレータスタンド13が、舗装スクリード8上に位置している。これは、オペレータ構成部品14と、オペレータがその上に立つ独自の踏面12’を有する。
【0024】
本発明によれば、ロードフィニッシャ2はまた、冷却系Kを有する。この冷却系は、例えば水であり得る冷却剤16を受け入れるためのタンク15を備える。冷却系Kは、発電機6から電気エネルギーが供給されて、ポンプおよび/または冷却装置が作動され得る。冷却系Kは、ロードフィニッシャ2に常設的に設けられていても、または、モジュールとして道路建設機械1に脱着可能に設けられていてもよい。
【0025】
冷却系Kは、タンク15に隣接して、冷却剤をタンクから1つ以上のスプレーノズル18に案内するための配管17を有する。スプレー装置18は、冷却剤16を微細なミストにして噴霧するためのものである。このために、スプレー装置18は、冷却剤16を液滴にして噴霧するノズルを1つ以上有し得る。冷却系Kはまた、冷却剤をタンク15からスプレー装置18に送出するポンプ(図示せず)を有していてもよい。
【0026】
例示の実施形態において、第1のスプレー装置18は道路建設機械1の屋根10に設けられており;主オペレータスタンド9の床または踏面12から1.9m超、さらには2.1m超の高さに位置されている。踏面12自体は既に、道路建設機械が載っている下地Uから1.5m~2.3mの高さに位置されている。道路建設機械1の典型的な移動方向Fにおいて、スプレー装置18は、Mで示されているオペレータスタンド9の中間点よりも前方に配置されている。配管17は、支持構造11および屋根10に適切な留具で留められていてもよい。
【0027】
外部オペレータスタンド13にはスプレー装置18を支持するための個別の構造19が設けられており、ここで、構造19は、舗装スクリード8に留められていてもよい。外部オペレータスタンド13の床または踏面12’は既に、下地Uの上方において例えば30cm~50cmの高さにある。
【0028】
図2は、ロードフィニッシャ2にアスファルトを供給し得るフィーダ車両30である道路建設機械の第2の実施形態の斜視図を示す。フィーダ車両30は、図1に示されているロードフィニッシャのオペレータスタンド9と同様の主オペレータスタンド9を有する。図2において、冷却系Kのタンク15と、屋根10に留められているスプレー装置18としてのスプレーノズル18’は、オペレータスタンド9の踏面12と同様に、概略的に示されている。他の点において、フィーダ車両における冷却系2の機構は、図1を参照して説明した冷却系Kに係るものと関連し得る。
図1
図2