(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20241010BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G02B5/28
G01J1/04 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022166659
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2019043094の分割
【原出願日】2019-03-08
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ジェイ オケンファス
(72)【発明者】
【氏名】スコット ローランズ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ビルガー
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー ジエバ
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161897(JP,A)
【文献】国際公開第2007/086155(WO,A1)
【文献】特表2017-526945(JP,A)
【文献】特開2010-072616(JP,A)
【文献】特開2002-116318(JP,A)
【文献】特開2012-137728(JP,A)
【文献】特開2006-165493(JP,A)
【文献】特開2008-249535(JP,A)
【文献】特開2002-316580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0014838(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106950633(CN,A)
【文献】特開2017-179816(JP,A)
【文献】特開2017-126742(JP,A)
【文献】国際公開第2011/001983(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/130934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/28
G01J 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルタにおいて、
複数の層であって、
前記複数の層は、第1屈折率を有する1組の高屈折率層のセットと、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する1組の低屈折率層のセットとを含み、
前記高屈折率層のセットの各層と、前記低屈折率層のセットの各層とが交互に配置され、前記高屈折率層のセットの第1層が、前記光学フィルタの光が入射する側の最上層であり、
前記複数の層は、光の複数の波長を指向させる複数チャンネルを形成し、
前記複数の層は、感知スペクトルレンジにおいて50%より大きい透過率を有し、可視スペクトルレンジにおいて50%より大きい不透過率を有する
ものである、該複数の層を備える、光学フィルタ。
【請求項2】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記複数の層は、可視スペクトルレンジにおいて90%より大きい不透過率を有する、光学フィルタ。
【請求項3】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記
複数チャンネルは少なくとも64個のチャンネルを含む、光学フィルタ。
【請求項4】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記感知スペクトルレンジは600ナノメートル~2500ナノメートルである、光学フィルタ。
【請求項5】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記感知スペクトルレンジは800ナノメートル~1600ナノメートルである、光学フィルタ。
【請求項6】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記複数の層は、前記可視スペクトルレンジの少なくとも一部分に対して80%より大きい反射率を有する、光学フィルタ。
【請求項7】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記複数の層は、
ゲルマニウム層、
シリコン-ゲルマニウム層、
水素化シリコン層、
水素化ゲルマニウム層、
水素化シリコン-ゲルマニウム層、
シリコン層、
二酸化ケイ素(SiO
2)層、
酸化アルミニウム(Al
2O
3)層、
二酸化チタン(TiO
2)層、
五酸化ニオブ(Nb
2O
5)層、
五酸化タンタル、(Ta
2O
5)層、又は
フッ化マグネシウム(MgF
2)層
のうちの少なくとも1つを含む、光学フィルタ。
【請求項8】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記第1屈折率は3.5より大きい、光学フィルタ。
【請求項9】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記第2屈折率は2.0未満である、光学フィルタ。
【請求項10】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、前記複数の層は、前記第1屈折率及び前記第2屈折率とは異なる第3屈折率を有する1組の第3屈折率層のセットを含む、
光学フィルタ。
【請求項11】
請求項1記載の光学フィルタにおいて、さらに、前記複数の層における1つ又はそれ以上の第1層と、前記複数の層における1つ又はそれ以上の第2層との間に配置された少なくとも1つの中間層を備える、光学フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ窓に関する。
【背景技術】
【0002】
センサ素子アレイのような光レシーバは、この光レシーバに向って指向する光を受光す
ることができる。例えば、物体検出システムにおいて、センサ素子アレイを使用して、光
の1つ又はそれ以上の波長に関する情報を捕捉することができる。センサ素子アレイは、
光の1つ又はそれ以上の波長に関する情報を捕捉する1組のセンサ素子(例えば、光セン
サ、スペクトルセンサ、及び/又は画像センサ)のセットを有することができる。光トラ
ンスミッタは物体に向って指向する光を発光することができる。例えば、物体検出システ
ムにおいて、光トランスミッタは物体に向けて近赤外光を伝送することができ、またこの
近赤外光は物体からセンサ素子アレイに向って反射することができる。この場合、センサ
素子アレイが捕捉する情報に基づいて、物体を検出することができる。例えば、車両の状
況において、或るデバイスは、この情報を使用して、物体の3次元表現を生成し、また物
体の近接度を認識することができ、これにより車両が物体を回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
他の例において、センサ素子アレイのような光レシーバが捕捉した情報を使用して、物
体の特性(例えば、物体までの距離、物体のサイズ、物体の形状、物体の分光学的特徴、
物体のタイプ、物体の速度、等々)、人の識別、人の特徴(例えば、身長、体重、移動速
度、健常性、等々)、及び/又はそれらに類するものを認識することができる。しかし、
ユーザー又は物体に向けての近赤外光の伝送中及び/又はユーザー又は物体から光レシー
バに向かう反射中に、周辺光が近赤外光に干渉することがあり得る。したがって、光レシ
ーバは、帯域通過フィルタのような光学フィルタと光学的に結合させて、周辺光をフィル
タ処理し、また近赤外光を光レシーバに向かう透過を可能にすることができる。さらに、
光の多重波長感知を実施するとき、光の多重波長における各波長がセンサ素子アレイにお
ける異なるセンサ素子に指向するのを確実にするフィルタを設けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかのあり得る実施形態によれば、センサ窓は、基板と、及び前記基板上に配置した
1組の層のセットとを備えることができる。前記層のセットは、第1屈折率の層の第1サ
ブセットと、第1屈折率とは異なる第2屈折率の層の第2サブセットとを含むことができ
る。前記層のセットは、感知スペクトルレンジにおける閾値透過率に関連付けることがで
きる。前記層のセットは、可視スペクトルレンジにおける特定色を呈するように構成され
、かつ前記可視スペクトルレンジにおける閾値不透明性に関連付けることができる。
【0005】
幾つかのあり得る実施形態によれば、光学フィルタは複数の層を備えることができる。
前記複数の層は、第1屈折率に関連付けられた1組の高屈折率層のセットと、及び前記第
1屈折率より小さい第2屈折率に関連付けられた1組の低屈折率層のセットとを含むこと
ができる。前記複数の層は、光の複数の波長を指向させる複数チャンネルを形成すること
ができる。前記複数の層は、感知スペクトルレンジにおける閾値透過率及び可視スペクト
ルレンジにおける閾値不透明性に関連付けることができる。
【0006】
幾つかのあり得る実施形態によれば、システムは、基板上又は基板内に配置された1組
の光センサのセットと、及び前記光センサのセットにおける光路に堆積されたセンサ窓と
を備えることができる。前記センサ窓は、第1スペクトルレンジで約0°~約45°の入
射角に対して80%より大きい不透明性を付与し、また前記第1スペクトルレンジとは異
なる第2スペクトルレンジで約0°~約45°の入射角に対して80%より大きい透過率
を付与するよう構成されている少なくとも1つの層を含むことができる。
【0007】
本発明又は本出願は色付きの少なくとも1つの図面を含む。本発明又は本出願公報の複
製は、請求及び必要料金支払いで特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本明細書記載のセンサ窓の例示的な実施形態の概略図である。
【
図1B】本明細書記載のセンサ窓の例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】本明細書記載のセンサ窓を有する光学系の例示的な実施形態の概略図である。
【
図3】本明細書記載のセンサ窓の例示的な実施形態の概略図である。
【
図4A】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図4B】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図4C】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図4D】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図4E】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図5A】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図5B】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図5C】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図5D】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図6A】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図6B】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図6C】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図6D】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図7A】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図7B】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図7C】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図8A】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図8B】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図8C】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図8D】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【
図8E】本明細書記載のセンサ窓における特性の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的実施形態における以下の詳細な説明は添付図面を参照する。異なる図面における
同一の参照符号は同一又は類似の素子を特定することができる。
【0010】
窓は、内部環境を外部環境から分離し、また外部環境から内部環境に、内部環境から外
部環境に光を透過する、及び/又はこれに類することを可能にするよう設けることができ
る。例えば、自動車のような車両の文脈においては、フロントガラス(風防)窓は、雨条
件、風条件、粉塵条件、デブリ条件、等々のような環境条件から車両運転者を保護するた
めに、設けることができる。フロントガラス窓は、耐久性があり、また光を透過させて運
転者が車両を運転できるようにすることを可能にする材料から製造することができる。
【0011】
光学系をフロントガラス窓の背後に配置して、光学系を外部環境から保護することがで
きる。例えば、車両の文脈においては、物体認識センサをフロントガラス、ヘッドライト
、等々の背後に配置して、物体認識センサを保護することができる。同様に、セキュリテ
ィの文脈においては、顔認識センサを窓背後に配置して、顔認識センサが権限のない人物
によって調整されないよう保護することができる。しかし、窓は、権限のない人物が光学
系を見ることを可能にし得る。例えば、権限のない人物は、窓背後の光学系を見ることが
でき、また窓を覆う、窓及び/又は光学系を損傷させる、光学系の見通しラインを回避す
る、及び/又はそれに類することを行って、光学系の有効性を減ずるようにすることがで
きる。同様に、車両オーナーは、光学系が他の人に見えて審美的にマイナスの印象を自動
車に与えることから、物体認識センサを自動車に設置するのを差し控え、したがって、物
体認識センサからのセキュリティの恩恵なしで済ませることがあり得る。
【0012】
幾つかの窓は着色して、窓背後に配置したセンサシステムの可視性を減ずることができ
る。例えば、車両の文脈においては、薄い色の付いたガラスを使用して、物体認識センサ
を外部の人に見えないように隠蔽することができる。同様に、セキュリティの文脈におい
ては、カラー顔料をガラスに塗布して、ガラス背後に配置した顔認識センサを隠蔽するこ
とができる。しかし、顔料着色ガラス又は薄い色の付いたガラスを使用することは、不透
明性を得るための閾値ガラス厚さよりも大きくすることを必要とし、このことは、設置サ
イズを過剰に大きくする結果となり、光学系に指向される又は光学系によって供給される
光量を減少させることがあり得る。さらに、カラー顔料ベースの着色ガラスは、可視光波
長における不透明性と、感知光波長(例えば、近赤外光波長、中間赤外光波長及び/又は
これらに類する波長)における透過率との間における鮮鋭な遷移がないことがあり得る。
鮮鋭遷移がないことは、可視光波長に比較的近い感知波長での感知能力を低下させ、これ
により光学系の有効性を減ずることがあり得る。
【0013】
本明細書記載の幾つかの実施形態は、光学系に対してカラーマッチングしたセンサ窓を
提供することができる。例えば、センサ窓は、例えば、交互配置した高屈折率層及び低屈
折率層を使用し、感知波長に対して透過性を示し、可視光に対して不透明性を示すよう構
成することができる。このようにして、センサ窓は、例えば、車両、固定ハウジング、及
び/又はこれらに類するものに、色選択可能にするよう構成することができる。さらに、
センサ窓は、閾値厚さ未満の厚さに対して、また感知波長に対する透過率と可視光波長で
の不透明性との間における比較的鮮鋭な遷移に対して、関連付けることができ、これによ
りセンサ窓に関連する光学系の性能を向上することができる。さらに、色設定可能である
ことに基づいて、センサ窓は外部環境に対してカラーマッチングさせることができ、これ
により色選択設定できないセンサ窓に光学系を(例えば、セキュリティ特徴等として車両
内に)設置する可能性を少なくすることができる。
【0014】
図1A及び1Bは、本明細書記載の例示的実施形態100/100′の概略図である。
図1Aに示すように、実施形態100は、車両110、センサ窓120、及びセンサ13
0を備える。
【0015】
本明細書記載の幾つかの実施形態は、車両配備における感知システムに関して説明する
が、他の配備における他のシステム、例えば、固定配備、ウェアラブル配備、及び/又は
これらに類する配備における、通信システム(例えば、Li-Fiシステム)、生体測定
システム、セキュリティシステム、健康監視システム、物体識別システム、分光学的識別
システム、ライダーシステム及び/又はこれらに類するシステムも可能である。
【0016】
さらに、
図1Aに示すように、車両100は物体140(例えば、停止標識)の閾値近
接度以内にあり得る。参照符号150及び160によって示すように、センサ130は、
物体140に向って光信号を伝送し、またこの光信号はセンサ130に向って反射するこ
とができる。例えば、センサ130は近赤外信号を送信し、近赤外信号を反射する物体1
40に基づいて反射した近赤外信号を受信することができる。この場合、センサ130は
、反射した近赤外信号に基づいて物体140の特性を決定することができる。例えば、セ
ンサ130は、物体140の近接度、物体140のサイズ、物体140の物体タイプ、等
々を反射した近赤外信号に基づいて決定することができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、センサ窓120は、特定の色に関連付けることができる。
例えば、層のタイプ、層の厚さ、層の順序、及び/又はこれらに類するものに基づいて、
センサ窓120は、近赤外光を通過させ、1組の可視光色における第1セットを吸収し、
また1組の可視光色における第2セットを反射するよう構成することができる。この場合
、色の第2セットをセンサ窓120に隣接する表面に整合するよう構成することに基づい
て(例えば、センサ窓120を車両110に整合する赤の色調を反映させることに基づい
て)、センサ窓120が見えなくなるよう隠蔽することができる。さらに、近赤外光を通
過するようにセンサ窓120を設定することに基づいて、センサ窓120は、センサ13
0が近赤外光を送信し、またセンサ窓120によって近赤外光がブロックされることなく
反射した近赤外信号を受信することができる。このようにして、センサ窓120は、セン
サ130を含むセンサシステムの機能発揮を可能にし、センサ130を環境劣化から保護
し、またセンサ130が見えなくなるよう隠蔽し、これによりセンサ130の機能発揮及
び車両110の美観の双方を向上する。
【0018】
図1B、及び対称的な例示的実施形態100′に示すように、センサ窓120は、二次
視覚的特徴を得るよう構成することができる。例えば、センサ窓120の色をセンサ窓1
20に隣接する表面に整合させるよう構成するのではなく、センサ窓120は、光の異な
る色を反射するよう構成することができる。図示のように、センサ窓120は、黒及び白
の垂直バーとして見えるよう構成し、これによりセンサ窓120が車両110のグリルに
似た外観にすることができる。他の実施形態において、センサ窓120は、車両製造業者
のロゴに似るよう1つ又はそれ以上の色を反射し、これによりセンサ窓120が見えなく
なるようカモフラージュすることができる。他の実施形態において、センサ窓120は、
例えば、森林環境内でセンサシステムをカバーするよう配備するとき(例えば、野生生物
モニタリング)のように、センサ窓120をカモフラージュ色にするよう構成することが
できる。他の実施形態において、センサ窓120は、通行人にとってセンサシステムが目
立たなくなるようにするのではなくセンサシステムに気付くようにする非カモフラージュ
模様で構成することができる。例えば、セキュリティ配備において、センサ窓120は、
1つ又はそれ以上の明るい色(例えば、黄色及びオレンジ色の交互ストライプ)を反射す
るよう構成し、通行人にセンサシステムに気付かせ、これにより付加的な盗難又は不法侵
入抑止をもたらすことができる。
【0019】
上述したように、
図1A及び1Bは単なる実施例として提示するものである。他の実施
例も可能であり、また
図1A及び1Bにつき説明したのとは異なるものとすることができ
る。
【0020】
図2は、本明細書記載の例示的実施形態200の概略図である。
図2に示すように、例
示的実施形態200はセンサシステムを含む。このセンサシステムは、光学系の一部とす
ることができ、またセンサ決定に応答して電気出力を供給することができる。センサシス
テムは、基板220に配置したセンサ窓210と、光センサ230とを備える。幾つかの
実施形態において、センサ窓210は、色選択力を付与し、また多重波長チャンネルに関
連する光センサ230における複数のセンサ素子に光を指向させるよう、高屈折率材料層
及び低屈折率材料層を交互に備えることができる。
【0021】
本明細書記載の幾つかの実施形態はセンサシステムにおけるセンサ窓に関して説明する
が、本明細書記載の実施形態は他のタイプのシステムに使用する、センサシステムの外部
で使用する、及び/又はこれに類するような使用も可能である。
【0022】
図2に参照符号240でさらに示すように、入力光信号がセンサ窓210に向って指向
する。この入力光信号は、限定しないが、特定スペクトルレンジ(例えば、近赤外スペク
トルレンジ、中赤外スペクトルレンジ、可視スペクトルレンジ、及び/又はこれらに類す
るスペクトルレンジ)に関連する光を含むことができる。例えば、光センサ230が光の
測定を実施するよう、光トランスミッタは光を光センサ230に向って指向させることが
できる(例えば、光トランスミッタは光を物体に向けて指向させ、また光が光センサ23
0に向って反射できるようにする)。他の実施例において、光トランスミッタは、検査機
能性、感知機能性、通信機能性、及び/又はこれらに類するような他の機能性のために、
他のスペクトルレンジの光を指向させることができる。
【0023】
図2に、また参照符号250でさらに示すように、入力光信号における第1スペクトル
レンジを有する第1部分はセンサ窓210によって通過しない。例えば、センサ窓210
における高屈折率材料層及び低屈折率材料層を含むことができる誘電性薄膜層の誘電性フ
ィルタスタックは、入力光信号の第1部分を第1方向に反射させる、吸収する、及び/又
はこれらに類することを行うことができる。幾つかの実施形態において、入力光信号の第
1部分は、センサ窓210が見る人に対して特定色として見えさせるよう反射する第1光
と、吸収される第2光を含むことができる。幾つかの実施形態において、入力光信号の第
1部分は、センサ窓210に入射する光の、例えば、可視スペクトルレンジにおける95
%より多い部分、99%より多い部分、等々のようなセンサ窓210の帯域通過に含まれ
ない閾値部分であり得る。
【0024】
図2に、また参照符号250でさらに示すように、入力光信号における第2部分はセン
サ窓210によって通過する。例えば、センサ窓210は、入力光信号における第2スペ
クトルレンジを有する第2部分を第2方向に光センサ230に向けて通過させることがで
きる。この場合、センサ窓210に入射する光の、例えば、近赤外スペクトルレンジにお
ける入射光の50%より多い部分、光の90%より多い部分、光の95%より多い部分、
光の99%より多い部分、等々のようなセンサ窓210の帯域通過範囲内の閾値部分であ
り得る。幾つかの実施形態において、センサ窓210は、複数のスペクトルレンジに関連
する複数の成分フィルタに関連付けることができる。例えば、センサ窓210の厚さを変
化させることに基づいて、センサ窓210の異なる部分が光の異なる波長を光センサ23
0の異なるセンサ素子に通過させることができ、これにより多重スペクトル感知を可能に
する。
【0025】
図2に、また参照符号270でさらに示すように、光センサ230に通過している入力
光信号の第2部分に基づいて、光センサ230は、画像化、物体の存在検出、人物の識別
、測定実施、通信促進、及び/又はこれらに類することに使用するためのような、センサ
システムに出力電気信号を供給することができる。幾つかの実施形態において、センサ窓
210及び光センサ230の他の構成を利用することができる。例えば、入力光信号の第
2部分を入力光信号と共線的に通過させるのではなく、センサ窓210は、異なる場所に
配置した光センサ230に向かうよう入力光信号の第2部分を他の方向に指向させること
ができる。
【0026】
上述したように、
図2は単なる実施例として提示するものである。他の実施例も可能で
あり、また
図2につき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0027】
図3は例示的光学フィルタ300の概略図である。
図3は、本明細書記載のセンサ窓と
して利用することができる光学フィルタの例示的積層体を示す。さらに
図3に示すように
、光学フィルタ300は、光学フィルタコーティング部分310及び基板320を有する
。
【0028】
成分フィルタ310は1組の光学フィルタ層のセットを含む。例えば、光学フィルタコ
ーティング部分310は、層330-1~330-(N+1)(N≧1)の第1セット、及
び層340-1~340-Nの第2セットを含む。他の実施形態において、光学フィルタコ
ーティング部分310は、単一タイプの層(例えば、1つ又はそれ以上の層330)、3
つ又はそれ以上の層(例えば、1つ又はそれ以上の層330、1つ又はそれ以上の層34
0、及び他の1つ又はそれ以上のタイプにおける層のうち1つ又はそれ以上)、及び/又
はこれらに類する層であることができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタコー
ティング部分310は、基板320の単一側面に配置することができる。幾つかの実施形
態において、コーティング部分310は不連続的なものとすることができる。例えば、光
学フィルタコーティング部分310は、基板320の複数の側面に配置することができる
。この場合、光学フィルタコーティング部分310の層における第1セットは基板320
の頂部側面に配置し、光学フィルタコーティング部分310の層における第2セットは基
板320の底部側面に配置して、集合的に色選択機能性、通過帯域機能性、帯域外ブロッ
ク機能性、反射防止コーティング機能性、偏光制御機能性、及び/又はこれらに類する機
能性を得るようにすることができる。付加的又は代替的に、光学フィルタコーティング部
分310は、1つ又はそれ以上の中間層によって分離され、かつこれら中間層を挟持する
第1セットの層及び第2セットの層を有することができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、層330は、1組の高屈折率材料による層(H層)、例え
ば、シリコン層、水素化シリコン、シリコン-ゲルマニウム(SiGe)層、ゲルマニウ
ム層、水素化ゲルマニウム層、水素化シリコン-ゲルマニウム層、等々によるセットを含
むことができる。幾つかの実施形態において、層330は、3.0より大きい屈折率、約
3.5より大きい屈折率、約3.6より大きい屈折率、約3.8より大きい屈折率、約4.0
より大きい屈折率、及び/又はこれらに類する大きい屈折率に関連付けることができる。
幾つかの層はSiGeのような特定材料として説明することができるが、幾つかの層は、
(少量の)リン光体、ボロン、窒化物、水素、希ガス、等々を含むことができる。
【0030】
幾つかの実施形態において、層330は、1組の金属又は合金材料の層によるセットを
含むことができる。例えば、層330は銀層とすることができる。付加的又は代替的に、
層330は銀合金層とすることができる。例えば、約0.5重量%の金、約0.5重量%の
スズを含む銀合金を使用して、他の材料よりも向上した耐腐食性を得るようにすることが
できる。幾つかの実施形態において、層330はアルミニウム層とすることができる。幾
つかの実施形態において、層330は、金層、プラチナ層、パラジウム層、それらの合金
層、等々を含むことができる。幾つかの実施形態において、層330は異なる厚さを有す
ることができる。例えば、第1金属層は第1厚さを有し、また第2金属層は第2厚さを有
することができる。この場合、金属層の各々は、約5ナノメートル(nm)~約50nm
の範囲における、約10nm~約35nmの範囲における、及び/又はこれらに類する範
囲における物理的厚さを有することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、層340は、1組の低屈折率材料による層(L層)、例え
ば、二酸化ケイ素層、及び/又はこれらに類する層によるセットを含むことができる。付
加的又は代替的に、L層は、五酸化タンタル、(Ta2O5)層、フッ化マグネシウム(
MgF2)層、五酸化ニオブ(Nb2O5)層、二酸化チタン(TiO2)層、酸化アル
ミニウム(Al2O3)層、酸化ジルコニウム(ZrO2)層、酸化イットリウム(Y2
O3)層、窒化ケイ素(Si3N4)層、それらの組合せ、及び/又はこれらに類する層
を含むことができる。幾つかの実施形態において、層340は、約2.7より小さい屈折
率、約2.0より小さい屈折率、約1.5より小さい屈折率、及び/又はこれらに類する小
さい屈折率に関連付けることができる。幾つかの態様において、層330の第1屈折率と
層340の第2屈折率との間の差は、約1.5より大きい、約2.0より大きい、約2.5
より大きい、約3.0より大きい、約3.5より大きい、及び/又はこれらに類する値より
大きいものとすることができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティング
部分310は、第1材料の層330及び第2材料の層340を含むことができる。
【0032】
幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティング部分310は、複数材料の層3
30及び/又は複数材料の層340を含むことができる。光学フィルタコーティング部分
310は、第1屈折率を有する第1タイプの層330、第2屈折率を有する第2タイプの
層330、及び第3屈折率を有する層340を含むことができる。同様に、光学フィルタ
コーティング部分310は、第1屈折率を有する層330、第2屈折率を有する第1タイ
プの層340、及び第3屈折率を有する第2タイプの層340を含むことができる。同様
に、光学フィルタコーティング部分310は、複数屈折率を有する複数タイプの層330
、及び複数屈折率を有する複数タイプの層340を含むことができる。第3タイプの材料
、第4タイプの材料、等々を使用することに基づいて、色、通過帯域、フィルタ機能性、
等々を、層330に対して単一材料及び層340に対して単一材料を使用することよりも
高い度合いの設定可能性(例えば、粒状色設定可能性、通過帯域設定可能性、等々)に調
整することができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティング部分310は、特定層数、mに
関連付けることができる。例えば、センサ窓として使用するための光学フィルタは、2層
~200層にわたる範囲のような、交互の高屈折率層及び低屈折率層の層数を含むことが
できる。幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティング部分310はスパッタリ
ング手順を用いて作製することができる。例えば、光学フィルタコーティング部分310
は、本明細書記載のようにガラス基板又は他タイプ基板上に層330及び340を交互に
スパッタリングするようパルス状マグネトロンをベースとするスパッタリング手順を用い
て作製することができる。幾つかの実施形態において、スパッタリング手順のために多重
カソード、例えば、シリコン(ケイ素)をスパッタリングする第1カソード及びゲルマニ
ウム及びケイ素をスパッタリングする第2カソードを使用し、これによりシリコン-ゲル
マニウム層を形成することができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティ
ング部分310は、1つ又はそれ以上の他の機能性を得るために1つ又はそれ以上の他タ
イプの層を含み、例えば、疎水性層(例えば、雨のような水分を回避するようセンサ窓の
外側層に配置し、センサ窓をカバーする)、親水性層又は超親水性層(例えば、センサ窓
の内面に配置して、センサ窓の曇りを回避する、センサ窓に自浄機能性を付加する、等々
を行う)、撥油性層、保護層(例えば、光学フィルタコーティング部分310の頂面に配
置したコーティング)、反射防止層、発熱層(例えば、光学フィルタ300の加熱を可能
にする埋設電気接続部を有する材料層)、氷結防止層、帯域外ブロッカー層(特定スペク
トルレンジを遮蔽するための)、及び/又はこれらに類する層を有することができる。幾
つかの実施形態において、基板320は、基板320がカバーする1つ又はそれ以上のセ
ンサ素子に対する保護を行うため、化学的に強化されたガラスとすることができる。幾つ
かの実施形態において、光学フィルタ300及び/又はそれにおける1つ又はそれ以上の
層は積層させて(例えば、積層コーティングでカバーする、又は積層構造に形成する)、
光学フィルタ300に対して耐破砕性を付与し、これにより光学フィルタ300がカバー
する1つ又はそれ以上のセンサ素子の保護を行うことができるようにする。
【0034】
幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティング部分310は、1回又はそれ以
上のアニーリング(焼鈍)手順を用いて、例えば、約280℃又は約200℃~約400
℃の温度での第1アニーリング手順、約320℃又は約250℃~約350℃の温度での
第2アニーリング手順、等々を行って、アニーリングすることができる。
【0035】
幾つかの実施形態において、光学フィルタコーティング部分310の各層は、特定の厚
さに関連付けることができる。例えば、層330及び340各々は、1nm~1500n
mの厚さ、10nm~500nmの厚さ、等々に関連付けることができる。付加的又は代
替的に、光学フィルタ300は、50μm~10ミリメートル(mm)、1mm~5mm
、等々の厚さに関連付けることができる。幾つかの実施形態において、層330及び34
0のうち少なくとも一方は、それぞれ1000nm未満、100nm未満、又は5nm未
満の厚さ、等々の厚さに関連付けることができる。付加的又は代替的に、光学フィルタコ
ーティング部分310は100μm未満、50μm未満、10μm未満、5μm未満、等
々の厚さに関連付けることができる。幾つかの実施形態において、層は複数の異なる厚さ
に関連付けることができる。例えば、1組のチャンネルのセットを形成するため、特定の
層(例えば、リフレクタのセット間に配置したスペーサ層)の厚さを変化させ、異なるチ
ャンネル経由で光の異なる波長を異なるセンサ素子に指向させることができる。このよう
にして、センサ窓は、光の多重波長に関する情報を決定するため多重スペクトルセンサを
使用することができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタ300は、少なくとも
1個のチャンネル、少なくとも2個のチャンネル、少なくとも32個のチャンネル、少な
くとも64個のチャンネル、少なくとも128個のチャンネル、等々のチャンネルを形成
して、閾値個数の波長を感知できるようにすることができる。幾つかの実施形態において
、多重チャンネルは、多重チャンネルに整列する少なくとも1個のセンサ素子によって感
知するための共通波長に関連付けることができる。
【0036】
幾つかの実施形態において、光学フィルタ300は、特定のスペクトルレンジ、例えば
、近赤外スペクトルレンジ、中赤外スペクトルレンジ、等々のレンジに関連付けることが
できる。例えば、光学フィルタ300は、約600nm~約2500nm、約700nm
~約2000nm、約800nm~約1600nm、等々のスペクトルレンジに関連付け
ることができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタ300は、約940nmの中
心波長、約1064nmの中心波長、約1550nmの中心波長、及び/又はこれらに類
する中心波長のような、特定中心波長に関連付けることができる。幾つかの実施形態にお
いて、光学フィルタ300は、約50nm未満のチャンネル離間隔、約20nm未満のチ
ャンネル離間隔、約10nm未満のチャンネル離間隔、約5nm未満のチャンネル離間隔
、約1nm未満のチャンネル離間隔、及び/又はこれらに類する離間隔のような、特定チ
ャンネル離間隔に関連付けることができる。
【0037】
幾つかの実施形態において、光学フィルタ300は、特定の色シフト(色ずれ)に関連
付けることができる。例えば、光学フィルタ300は、1ΔE以内、5ΔE以内、10Δ
E以内、20ΔE以内、30ΔE以内、40ΔE以内、100ΔE以内、150ΔE以内
、等々の、第1入射角(例えば、0°)における第1色から第2入射角(例えば、15°
、30°、45°、60°、等々)における第2色への色シフトに関連付けることができ
る。幾つかの実施形態において、光学フィルタ300は、約50%透過率より大きい、約
80%透過率より大きい、約90%透過率より大きい、約95%透過率より大きい、約9
9%透過率より大きい、及び/又は特定スペクトルレンジ(例えば、感知スペクトルレン
ジ)のような閾値透過率に関連付けることができる。幾つかの実施形態において、光学フ
ィルタ300は、閾値不透過率(例えば、反射、吸収、等々に基づいて)に関連付けるこ
とができる。例えば、光学フィルタ300は、約50%不透過率より大きい、約80%不
透過率より大きい、約90%不透過率より大きい、約95%不透過率より大きい、約99
%不透過率より大きい、及び/又は特定スペクトルレンジ(例えば、可視スペクトルレン
ジ)のような閾値不透過率に関連付けることができる。このようにして、光学フィルタ3
00は、センサ窓の色選択性を可能にし、またセンサ窓の光路に配置したセンサ素子によ
る感知を可能にする。
【0038】
幾つかの実施形態において、光学フィルタ300は、光学フィルタ300における複数
場所における複数特性に関連付けることができる。例えば、光学フィルタ300の第1部
分は、光学フィルタ300の第1断面領域における第1厚さ、層の第1構成、材料の第1
タイプ、等々に関連付けることができ、また光学フィルタ300の第2断面領域における
第2厚さ、層の第2構成、材料の第2タイプ、等々に関連付けることができる。このよう
にして、光学フィルタ300は、上述したように、例えば、特定パターンを形成する、特
定図像を形成するため、単一センサにお多色に対する色選択性を可能にすることができる
。
【0039】
上述したように、
図3は単なる実施例として提示するものである。他の実施例も可能で
あり、また
図3につき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0040】
図4A~4Eは、本明細書記載のセンサ窓に関する例示的特性を示すグラフである。
【0041】
図4Aに、またチャート400で示すように、透過率はセンサ窓及び特定スペクトルレ
ンジに対して決定することができる。この場合、センサ窓は、ホウケイ酸塩基板上に配置
され、大気環境に適合し、かつコリメート光に曝される黒着色反射防止センサ窓とするこ
とができる。さらに、センサ窓は、1550nmを中心とするスペクトルレンジ用に構成
される。図示のように、約0°~約45°の入射角において、透過率は、約400nm~
約780nmの間で5%未満であり、約1550nmで95%より大きい。この場合、セ
ンサ窓を含む光学フィルタに遮光体(ブロッカー)を付加し、例えば、約1000nm未
満における透過をブロックすることができる。さらに示すように、
図4Bに示す透過率及
び反射率の結果、センサ窓を有する表面は、可視スペクトルレンジで特定の色を呈し、ま
た感知を実施する所望NIRスペクトルレンジで反射防止を行うことができる。
【0042】
図4Bに、またチャート410で示すように、反射率はセンサ窓に対して決定すること
ができる。この場合、可視スペクトルレンジ(例えば、約390nm~約700nm)及
び約0°~約45°の入射角において、反射率は10%未満であり、この結果として、入
射角の閾値レンジ(例えば、約0°から少なくとも約45°)にわたりセンサ窓に対して
黒色となり得る。
【0043】
図4C及び4Dに、またチャート420及び430でそれぞれ示すように、約0°~約
60°の入射角における色シフト(色ずれ)が決定される。例えば、センサ窓は、約0°
~約60°の入射角で約20ΔE未満、約0°~約30°の入射角で約5ΔE未満、等々
の色シフトに関連付けられる。
【0044】
図4Eに、またチャート440で示すように、センサ窓に対する例示的積層を示す。例
えば、センサ窓の第1側面(例えば、センサ窓基板における第1側面に配置される)は、
大気界面に適合する交互の高屈折率層(H層)及び低屈折率層(L層)を有することがで
きる。センサ窓の第2側面(例えば、センサ窓基板における第2側面に配置される)は、
付加的なH層及びL層を有することができる。この場合、各層は、
図4A~4Dにつき説
明した光学的性能をもたらす設定厚さに関連付けることができる。
【0045】
この場合、
図4A~4Eに示すように、センサ窓は、入射角の閾値レンジに対して近赤
外波長での透過及び可視波長での色選択性を可能にし、これにより着色窓を製造する他の
技術よりも性能を向上することができる。さらに、減少した厚さ及びより鮮鋭的な遷移ゾ
ーン(例えば、第1閾値透過率未満かつ第1閾値反射率を超える波長から第2閾値透過率
を超えるかつ第2閾値反射率未満の波長にわたる波長レンジが閾値波長レンジ未満である
)に基づいて、着色窓及びこれに関連するセンサの光学的性能が改善される。
【0046】
上述したように、
図4A~4Eは単なる実施例として提示するものである。他の実施例
も可能であり、また
図4A~4Eにつき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0047】
図5A~5Dは、本明細書記載のセンサ窓に関する例示的特性を示すグラフである。
【0048】
図5Aに、またチャート500で示すように、透過率はセンサ窓及び特定スペクトルレ
ンジに対して決定することができる。この場合、センサ窓は、ホウケイ酸塩基板上に配置
され、大気環境に適合し、かつコリメート光に曝される黒着色反射防止センサ窓とするこ
とができる。さらに、センサ窓は、940nmを中心とするスペクトルレンジ用に構成さ
れる。図示のように、約0°~約45°の入射角において、透過率は、約400nm~約
850nmの間で50%未満であり、約940nmで95%より大きい。この場合、セン
サ窓を含む光学フィルタに遮光体(ブロッカー)を付加し、例えば、約1000nmを超
える波長における透過をブロックし、これにより約1000nmを超える波長における透
過を抑制することができる。
【0049】
図5Bに、またチャート510で示すように、反射率はセンサ窓に対して決定すること
ができる。この場合、可視スペクトルレンジ(例えば、約390nm~約650nm)及
び約0°~約45°の入射角において、反射率は10%未満であり、この結果として、入
射角の範囲にわたりセンサ窓に対して黒色となり得る。
【0050】
図5Cに、またチャート520で示すように、約0°~約60°の入射角における色シ
フトが決定される。例えば、センサ窓は、約0°~約60°の入射角で約30ΔE未満、
約0°~約30°の入射角で約5ΔE未満、等々の色シフトに関連付けられる。このよう
にして、
図5A~5Cに示すように、センサ窓は、入射角の閾値レンジに対して近赤外波
長での透過及び可視波長での色選択性を可能にし、これによりセンサ窓を製造する他の技
術よりも性能を向上することができる。
【0051】
図5Dに、またチャート530で示すように、センサ窓に対する例示的積層を示す。例
えば、センサ窓の第1側面(例えば、センサ窓基板における第1側面に配置される)は、
大気界面に適合する交互の高屈折率層(H層)及び低屈折率層(L層)を有することがで
きる。センサ窓の第2側面(例えば、センサ窓基板における第2側面に配置される)は、
付加的なH層及びL層を有することができる。この場合、各層は、
図5A~5Cにつき説
明した光学的性能をもたらす設定厚さに関連付けることができる。
【0052】
上述したように、
図5A~5Dは単なる実施例として提示するものである。他の実施例
も可能であり、また
図5A~5Dにつき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0053】
図6A~6Dは、本明細書記載のセンサ窓に関する例示的特性を示すグラフである。
【0054】
図6Aに、またチャート600で示すように、透過率はセンサ窓及び特定スペクトルレ
ンジに対して決定することができる。この場合、センサ窓は、ホウケイ酸塩基板上に配置
され、大気環境に適合し、かつコリメート光に曝される黒着色反射防止センサ窓とするこ
とができる。さらに、センサ窓は、940nmを中心とするスペクトルレンジ用に構成さ
れる。図示のように、約0°~約45°の入射角において、透過率は、約400nm~約
800nmの間で50%未満であり、約940nmで85%より大きい。
【0055】
図6Bに、またチャート610で示すように、反射率はセンサ窓に対して決定すること
ができる。この場合、可視スペクトルレンジの一部(例えば、約390nm~約590n
m)及び約0°~約45°の入射角において、反射率は12%未満である。これとは対照
的に、可視スペクトルレンジの他の部分(例えば、約590nm~約700nm)及び約
0°~約45°の入射角において、反射率は12%を超えることができ、この結果として
、センサ窓に対して赤色となり得る。
【0056】
図6Cに、またチャート620で示すように、約0°~約60°の入射角における色シ
フトが決定される。例えば、センサ窓は、約0°~約60°の入射角で約40ΔE未満、
約0°~約30°の入射角で約5ΔE未満、等々の色シフトに関連付けられる。このよう
にして、
図6A~6Cに示すように、センサ窓は、入射角の閾値レンジに対して近赤外波
長での透過及び可視波長での色選択性を可能にし、これによりセンサ窓を製造する他の技
術よりも性能を向上することができる。
【0057】
図6Dに、またチャート630で示すように、センサ窓に対する例示的積層を示す。例
えば、センサ窓の第1側面(例えば、センサ窓基板における第1側面に配置される)は、
大気界面に適合する交互の高屈折率層(H層)及び低屈折率層(L層)を有することがで
きる。センサ窓の第2側面(例えば、センサ窓基板における第2側面に配置される)は、
付加的なH層及びL層を有することができる。この場合、各層は、
図6A~6Cにつき説
明した光学的性能をもたらす設定厚さに関連付けることができる。
【0058】
上述したように、
図6A~6Dは単なる実施例として提示するものである。他の実施例
も可能であり、また
図6A~6Dにつき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0059】
図7A~7Cは、本明細書記載のセンサ窓に関する例示的特性を示すグラフである。
【0060】
図7Aに、またチャート700で示すように、反射率はセンサ窓及び特定スペクトルレ
ンジに対して決定することができる。この場合、センサ窓は、ホウケイ酸塩基板上に配置
され、大気環境に適合し、かつコリメート光に曝される黒着色反射防止センサ窓とするこ
とができる。さらに、センサ窓は、1064nmを中心とするスペクトルレンジ用に構成
される。この場合、可視スペクトルレンジ(例えば、約390nm~700nm)で約0
°~約45°の入射角において、反射率は8%未満であり、この結果として、センサ窓に
対して黒色となり得る。
【0061】
図7B及び7Cに、またチャート710及び720でそれぞれ示すように、約0°~約
60°の入射角における色シフトが決定される。例えば、センサ窓は、約0°~約60°
の入射角で、他のセンサ窓製造技術よりも減少した色シフトに関連付けられる。このよう
にして、
図7A~7Cに示すように、センサ窓は、入射角の閾値レンジに対して近赤外波
長での透過及び可視波長での色選択性を可能にし、これによりセンサ窓を製造する他の技
術よりも性能を向上することができる。
【0062】
上述したように、
図7A~7Cは単なる実施例として提示するものである。他の実施例
も可能であり、また
図7A~7Cにつき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0063】
図8A~8Eは、本明細書記載のセンサ窓に関する例示的特性を示すグラフである。
【0064】
図8Aに、またチャート800で示すように、透過率はセンサ窓及び特定スペクトルレ
ンジに対して決定することができる。この場合、センサ窓は、ホウケイ酸塩基板上に配置
され、大気環境に適合し、かつコリメート光に曝される青着色反射防止センサ窓とするこ
とができる。さらに、センサ窓は、940nmを中心とするスペクトルレンジ用に構成さ
れる。図示のように、約0°~約45°の入射角において、透過率は、約400nm~約
800nmの間で15%未満であり、約940nmで80%より大きい。
【0065】
図8Bに、またチャート810で示すように、反射率はセンサ窓に対して決定すること
ができる。この場合、可視スペクトルレンジの一部(例えば、約500nm~約700n
m)で反射率は10%未満となり得る。これとは対照的に、約500nm未満のスペクト
ルレンジで反射率は90%を超え、この結果として、入射角の閾値レンジにわたりセンサ
窓に対して青色となり得る。
【0066】
図8C及び8Dに、またチャート820及び830でそれぞれ示すように、約0°~約
60°の入射角における色シフト(色ずれ)が決定される。例えば、センサ窓は、約0°
~約60°の入射角で約105ΔE、約0°~約30°の入射角で約12ΔE未満、等々
の色シフトに関連付けられる。このようにして、
図8A~8Dに示すように、センサ窓は
、入射角の閾値レンジに対して近赤外波長での透過及び可視波長での色選択性を可能にし
、これによりセンサ窓を製造する他の技術よりも性能を向上することができる。
【0067】
図8Eに、またチャート840で示すように、センサ窓に対する例示的積層を示す。例
えば、センサ窓の第1側面(例えば、センサ窓基板における第1側面に配置される)は、
大気界面に適合する交互の高屈折率層(H層)及び低屈折率層(L層)を有することがで
きる。センサ窓の第2側面(例えば、センサ窓基板における第2側面に配置される)は、
付加的なH層及びL層を有することができる。この場合、各層は、
図8A~8Dにつき説
明した光学的性能をもたらす設定厚さに関連付けることができる。
【0068】
上述したように、
図8A~8Eは単なる実施例として提示するものである。他の実施例
も可能であり、また
図8A~8Eにつき説明したのとは異なるものとすることができる。
【0069】
このようにして、センサ窓は、約0°~約60°の入射角、又はそれ以上の入射角に対
して、顔料ベースのセンサ窓よりも、減少した厚さ、改善した透過率、及び/又はこれら
に類する特性を伴って、例えば、隣接表面(例えば、車両の車体色)に対して、1ΔE以
内、5ΔE以内、10ΔE以内、20ΔE以内、30ΔE以内、40ΔE以内、100Δ
E以内、150ΔE以内、及び/又はこれらに類する値以内でカラーマッチングすること
ができる。さらに、センサ窓は、感知スペクトルレンジでの透過率と可視スペクトルレン
ジでの色選択性との間の鮮鋭な遷移を可能にし、これによって顔料ベースのセンサ窓より
も、センサ素子による感知を改善することができる。
【0070】
上述の記載は解説及び説明を行うものであるが、排他的であることは意図せず、又は実
施形態を記載した詳細形式に限定することは意図しない。変更及び改変は、上述の記載を
踏まえて、又は実施形態の実践から知得することができる。
【0071】
幾つかの実施形態は、本明細書において閾値に関連して説明されている。本明細書で使
用するように、閾値を満足することは、閾値を超えている、閾値より多い、閾値より高い
、閾値以上、閾値未満、閾値より少ない、閾値より低い、閾値以下、閾値に等しい、等々
に言及することがあり得る。
【0072】
特徴の特別な組合せは特許請求の範囲に記述され及び/又は本明細書に記載されるが、
これら組合せは、あり得る実施形態の開示を制限することは意図しない。実際、これら特
徴の多くは、特別に特許請求の範囲に記述されていない及び/又は本明細書に記載されて
いないやり方で組み合わせることができる。特許請求の範囲に列挙する各従属項は1つの
請求項にのみ直接従属することができ、あり得る実施形態の開示は請求項におけるすべて
の他の請求項と組み合わせた各従属項を含む。
【0073】
本明細書で使用される要素、行為、指示のいずれも、そうであると明示しない限り、厳
格又は必須であるものと解すべきではない。本明細書で使用されるような、冠詞「a」及
び「an」は1つ又はそれ以上の事項を含むことを意図し、また「1つ又はそれ以上の」と
互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用されるような、用語「セット」
は1つ又はそれ以上の事項(例えば、関連事項、非関連事項、関連事項及び非関連事項の
組合せ、等)を含むことを意図し、また「1つ又はそれ以上の」と互換的に使用すること
ができる。単に1つの事項を意図する場合には、用語「1つ」又は類似の表現を用いる。
さらに、本明細書で使用されるような、用語「has」、「have」、「having」、等々は、
制約がない事項を意図する。さらにまた、語句「~に基づく(based on)」は、そうでな
いと明示しない限りにおいて、「少なくとも部分的に~に基づく(based, at least, on
)」を意味しようとするものである。
【符号の説明】
【0074】
110 車両
120 センサ窓
130 センサ
140 物体
210 センサ窓
220 基板
230 光センサ
240 入力光信号
250 入力光信号の第1部分
260 入力光信号の第2部分
270 出力電気信号
310 光学フィルタコーティング部分
320 基板
330-1~330-(N+1) 第1セットの層
340-1~340-N 第2セットの層