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特許7569841自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/88 20060101AFI20241010BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20241010BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20241010BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B60T8/88
B60T17/18
B60T7/12 A
B60T8/17 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022509690
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2020066302
(87)【国際公開番号】W WO2021032338
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】102019212294.9
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ツェヒマイスター,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】エレノフスキー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュテール,ベルント
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0345947(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10064339(DE,A1)
【文献】特開平10-021106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/88
B60T 17/18
B60T 7/12
B60T 8/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置であって、前記装置は少なくとも
中央の制御ユニットおよび
特定用途向け集積回路を含み、
前記特定用途向け集積回路は前記制御ユニットと前記アクチュエータとの間のインターフェースとなる、装置において、
前記特定用途向け集積回路が、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分を有し、
機能的に変更可能な前記部分はプログラミング可能な制御機構と、機能ブロックを制御するためのコマンドを保存するためにプログラムメモリと、判定された測定値を保存するための、および/または予想される測定値を保存するためのデータメモリを含み、
機能的に変更可能な前記部分は指定されたエラー検査を実行するために構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
プログラムコードによって機能的に変更可能な前記部分は、プログラミング可能なステートマシンを含み、またはプロセッサコアを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
プログラムコードによって機能的に変更可能な前記部分はプログラムコードのエラーを判定するためのエラー探索モジュールを含み、前記エラー探索モジュールはプログラムのステップごとの処理が可能になるように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記特定用途向け集積回路は、前記プログラミング可能な制御機構が前記特定用途向け集積回路の機能的に変更不能な部分(10)へアクセス可能となるように構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置を作動させる方法であって、前記装置は少なくとも
中央の制御ユニットおよび
特定用途向け集積回路を含み、
前記特定用途向け集積回路は前記制御ユニットと前記アクチュエータとの間のインターフェースとなる、方法において、
前記特定用途向け集積回路は、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分とを有し、
機能的に変更可能な前記部分はプログラミング可能な制御機構と、機能ブロックを制御するためのコマンドを保存するためにプログラムメモリと、判定された測定値を保存するための、および/または予想される測定値を保存するためのデータメモリを含み、
機能的に変更可能な前記部分が指定されたエラー検査を実行することを特徴とする方法
【請求項6】
プログラミング可能な前記制御機構はプログラムコードをベースとしてエラー検査を実行することを特徴とする、請求項5に記載の方法
【請求項7】
プログラミング可能な前記制御機構は前記特定用途向け集積回路の機能的に変更不能な部分(10)にアクセスすることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
機能的に変更可能な前記部分によって前記自動駐車ブレーキの独立したエラー検査が行われることを特徴とする、請求項5から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
機能的に変更可能な前記部分によって前記特定用途向け集積回路の独立したエラー検査が行われることを特徴とする、請求項5から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
エラーが認識されると前記中央の制御ユニットへの前記特定用途向け集積回路のフィードバックが行われることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置に関し、この装置は少なくとも中央の制御ユニットおよび特定用途向け集積回路を含み、特定用途向け集積回路は制御ユニットとアクチュエータとの間のインターフェースとなる。この装置は本発明によると、特定用途向け集積回路が、機能的に変更不能な部分と、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分とを有し、機能的に変更可能な部分は指定されたエラー検査を実行するために構成されることを特徴とする。さらに本発明は、相応の装置を作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動駐車ブレーキ(オートマチックパーキングブレーキ、略してAPBとも呼ばれる)は、車両を確実に停車させるための機械式の駐車ブレーキを代替するために車両で利用される。APBは、通常、車両のリヤアクスルのホイールごとのそれぞれ1つの電気モータと、車内空間にある押しボタンと、APBを作動させる装置すなわち制御装置(ECU)とで構成される。このときモータは駐車ブレーキの開閉のための役目を果たし、通常は運転者が押しボタンを通じてこのプロセスを開始させる。いわゆる統合型APBでは、ESPシステムの制御装置が押しボタンの位置を評価し、引き続いてAPBのモータを作動化する。
【0003】
安全性の理由により、走行中のAPBモータの不慮の作動化が防止されなければならない。それは重大な事故につながり得るからである。そのために従来技術より、たとえば相応の解決策を記載した特許文献1が知られている。
【0004】
さらに、予想される状態からの逸脱を即座に検知し、場合によっては車両の安全性が脅かされないようにする適切な措置を開始するために、APB制御のハードウェア全体が常時監視されなければならない。ハードウェアの監視は、通常、ECUに存在する中央の制御ユニット、いわゆるマイクロコントローラを用いて行われ、そこで専用の監視ソフトウェアが測定値(たとえばAPBモータを通る電流)を読み取って評価し、または特別なテストを実行して、たとえばモータのケーブル配線に短絡や摩減が生じていないかどうか確認する。特定用向け高集積回路(APB-ASIC)によってAPB制御がECUで実行される場合、誤機能を早期に認識するためにこれも常時監視されなければならない。
【0005】
マイクロコントローラはすべてのテストと得られた結果を制御、監視し、エラー発生時には運転者に危険を報知する。このような方式の監視は2つの決定的な欠点を有する。それは通常、低速である。マイクロコントローラは、テストを実行するために、低速のインターフェース(たとえばSPI)を介してしかAPB-ASICにアクセスできないからである。そのうえ、通信がしばしばECUソフトウェアの通信モデルに拘束されており、すなわち、マイクロコントローラとAPB-ASICとの間の通信は特定の時点でしか行われない。第2にテストそのものは、通常、切換・測定プロセスの単純な連続であるにもかかわらず、このような通信の制約がECUの複雑なソフトウェアにつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】ドイツ特許出願公開第102014204287A1号明細書
【発明の概要】
【0007】
それに対して、本発明による方法および本発明による装置はいっそう迅速なテストの実行を可能にし、およびそれに伴って、たとえばテスト結果がポジティブであった場合にいっそう早期のリリースが行われることによって、システムのいっそう高い利用可能性を可能にするという利点がある。
【0008】
このことは本発明により、独立請求項に記載の構成要件によって可能となる。本発明のその他の実施形態は従属請求項の対象である。
【0009】
本発明は、自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置に関し、この装置は少なくとも中央の制御ユニットおよび特定用途向け集積回路を含み、特定用途向け集積回路は制御ユニットとアクチュエータとの間のインターフェースとなる。この装置は本発明によると、特定用途向け集積回路が、機能的に変更不能な部分と、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分とを有し、機能的に変更可能な部分は指定されたエラー検査を実行するために構成されることを特徴とする。
【0010】
このことは、完全な中央の制御ユニット(たとえばマイクロコントローラ)と、追加の特定用途向け集積回路とがいずれもAPB制御装置に存在することであると理解される。特定用途向け集積回路(英語:application-specific integrated circuit,ASIC,Custom Chipとも呼ばれる)は、基本的に、汎用集積回路の反対語である。ASICは、集積回路として具体化された電子回路である。このときASICの機能は通常、変更可能ではない。
【0011】
通常、駐車ブレーキのハードウェアのエラー検査はマイクロコントローラによって行われる。エラー検査をマイクロコントローラからAPB-ASICに移管すれば、それだけで抜本的な代替となるはずである。APB-ASICを利用するとして、それがマイクロコントローラとAPBモータの作動化との間のインターフェースを形成するのであれば、APBハードウェアの監視をAPB-ASICによって実行できるはずである。しかしながらテストを実行するために、監視ソフトウェアが常にAPB-ASICを所望のモードへと切り換えなければならないことになる。
【0012】
それを回避するために、本発明は「プログラマブルASIC」の利用を意図する。すなわち、原理的にはその構造に基づいて機能的に変更不能なASICが、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分を与えられる。ある意味で、マイクロコントローラがASICに統合される。たとえば実行可能な機能は引き続きASICにおいて機能的に変更不能であるのに対し、可変的に再生されるプログラムコードによってそのつど望ましい機能の選択(マイクロコマンド)を、ならびにその実行、順序、反復を、そのつどの必要性に合わせて臨機応変に適合化することができる。
【0013】
本発明によると、このような機能的に変更可能な部分が、指定されたエラー検査を実行するために構成されることが意図される。したがって、機能的に変更可能な部分のことをアクティブ・テスト・コントローラ(ATC)と呼ぶことにする。すなわちASICは、さまざまに異なるエラー検査を実行するために構成される。このときエラー検査は、駐車ブレーキのハードウェアまたは特定用途向け集積回路または制御装置全体を対象とすることができる。そのつどのエラー検査の指定は、再生されるプログラムコードによって、ASICと結びついている変更不能な機能を考慮したうえで、かつこれとの組み合わせで行われる。それにより、特定用途向け集積回路が完全に独立してエラー検査を実行することができ、そして、これを種々の状況および/または必要性に合わせて適合化する。
【0014】
本発明は、たとえばAPB-ASICがハードウェアの必要な監視テストを独立して実行、評価できることを可能にする。APB-ASICは、テストが予期されるとおりに終了したか、それともエラーが発生したかをマイクロコントローラに通知するだけである。このような独立性はテストのいっそう迅速な実行につながり、すなわち、エラーのいっそう迅速な発見と、マイクロコントローラで必要なテストソフトウェアの明らかに低減された複雑性につながる。エラーが存在せず、エラーメッセージなしにテストが完了したケースでは、上位のハードウェアをマイクロコントローラによって、同じくいっそう早期に利用のためにリリースすることができる。このことが特に重要なのは、車両が発進していて、安全上の理由から、システムにエラーないことが確認されたときに初めてパーキングブレーキをリリースしてよい場合である。
【0015】
好ましい実施形態では、本装置は、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分がプログラミング可能な制御機構を含み、特に、プログラミング可能なステートマシンを含み、またはプロセッサコアを含むことを特徴とする。
【0016】
このことは、ASICがすでに説明したように2つの領域を含み、そのうち1つが機能的に変更可能として記述されることであると理解される。この領域に、たとえばプログラミング可能なステートマシン(英語:programmable Finite State Machine,略してpFSMと呼ばれる)が統合される。pFSMは、ASICの機能的に変更不能な部分へのアクセス権を有するのが好ましい。
【0017】
テストの独立した処理をたとえばAPB-ASICで実行できるようにするために、プログラミング可能な制御機構(プログラミング可能なステートマシン、pFSM)が利用される。ハードワイヤードFSMとは異なり、プログラミング可能なFSMはマイクロコマンドによってプログラミングすることができ、そのようにして臨機応変に利用可能であり、新たな必要性に合わせて任意に適合化することができる。このような種類のFSMを利用してマイクロコードを処理し、それによって計算ユニットを制御することができる。pFSMがどのようなコマンドを処理できるかはpFSMの開発の開始時に規定され、必要性に合わせてそのつど適合化される。たとえば電圧と電流が測定されて目標値と比較されるべき場合には、そのための適当なコマンドが提供されなければならない。
【0018】
前述したプログラミング可能なステートマシンの代替として、測定プログラムまたは監視プログラムを処理するために、CPUコア全体をASICにインプリメントすることもできる。
【0019】
考えられる1つの実施形態では、本装置は、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分が、機能ブロックを制御するためのコマンドを保存するためにプログラムメモリを含むことを特徴とする。
【0020】
このことは、ASICがすでに説明した2つの領域を含み、そのうち1つが機能的に変更可能として記述されることであると理解される。この領域に、たとえばプログラムメモリが統合される。プログラムメモリと中央の制御ユニットとの間の通信が、ASICの一般的なインターフェースによって可能になるという利点がある。プログラムメモリに保存されたコマンドを用いて、-たとえばpFSMにより-機能ブロックの制御が行われる。
【0021】
好ましい実施形態では、本装置は、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分が、判定された測定値を保存するための、および/または予想される測定値を保存するための、データメモリを含むことを特徴とする。
【0022】
このことは、機能的に変更可能として記述されるASICの部分に、データメモリが統合されることであると理解される。このデータメモリに、たとえば判定された測定値や定義された目標値を保存することができる。データメモリのことを測定値メモリとも呼ぶ。すなわち測定値メモリには測定の結果だけでなく、予想される値も保存することができる。ここには、たとえば測定されるべき電圧についての閾値を保存することができる。測定時にこの電圧を超過すると、そのテストでエラーが出たものと分類され、マイクロコントローラに報知される。それに対して、測定された値が保存されている閾値を下回っていれば、システムにエラーがないとみなされる。
【0023】
代替的な発展例では、本装置は、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分が、プログラムコードのエラーを判定するためのエラー探索モジュールを含むことを特徴とし、エラー探索モジュールは、プログラムのステップごとの処理が可能になるように構成される。
【0024】
このことは、機能的に変更可能として記述されるASICの部分にエラー探索モジュール(デバッグモジュール、あるいは略してデバッグとも呼ばれる)が統合されることであると理解される。このときエラー探索は、特にプログラムコードを対象とし、特に開発中のプログラムの作成を簡易化するために、デバッグモードが提供される。このモジュールにおいて、マイクロコントローラの管理のもとでpFSMのプログラムがステップごとに処理され、そのようにして、プログラムが予想とは異なる振る舞いをしたときにエラー探索を可能にする。
【0025】
好ましい実施形態では、本装置は、特定用途向け集積回路の内部機能に対する、プログラミング可能な制御機構のアクセスが可能となるように特定用途向け集積回路が構成されることを特徴とする。
【0026】
このことは、ASICの機能的に変更可能な部分と機能的に変更不能な部分との間にリンクが存在することであると理解される。たとえば機能的に変更可能な部分に保存されているプログラムコードは、コマンドの形式と順序を定義する。このようなコマンドがpFSMによりアドレシングされて作動化される。コマンドの具体化-たとえば所望の信号値の測定-は、ASICの変更不能な部分に不変にとどめられている機能によって行われる。このようにして、たとえばシステムのフレキシビリティと迅速性とをいずれも最適化することができる。
【0027】
さらに本発明は、自動車のためのアクチュエータを有する自動駐車ブレーキを作動させる装置を作動させる方法に関し、この装置は少なくとも中央の制御ユニットおよび特定用途向け集積回路を含み、特定用途向け集積回路は制御ユニットとアクチュエータとの間のインターフェースとなる。この方法は本発明によると、特定用途向け集積回路が、機能的に変更不能な部分と、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分とを有し、機能的に変更可能な部分が指定されたエラー検査を実行することを特徴とする。
【0028】
このことは、個別にプログラミングされるASICにより、たとえば定義された監視テストなどの指定されたアクションの実行が行われることであると理解される。ただしこれと同一の装置によって、たとえば別様に定義された監視テストなど、別様に指定されたアクションを実行することもでき、それは、別のプログラムコードがASICにロードされることによる。この点については、記載されている本発明の装置に関してすでに行った説明を基本的に援用する。したがって指定されたエラー検査とは、それがプログラムコードによって指定されており、ないしは、機能的に変更不能な部分に保存されている特定用途向け集積回路の主機能との組み合わせでプログラムコードにより指定されることであると理解されるのが好ましい。
【0029】
好ましい実施形態では、本方法は、プログラムコードによって機能的に変更可能な部分がプログラミング可能な制御機構を含み、特にプログラミング可能なステートマシンを含み、またはプロセッサコアを含み、プログラミング可能な制御機構はプログラムコードをベースとしてエラー検査を実行することを特徴とする。
【0030】
このことは、たとえばpFSMが、プログラムコードで定義されているようにエラー検査を具体化することであると理解される。特に、プログラムコードに記述されているコマンドをpFSMが処理することが意図される。そのために、コマンドがプログラムメモリからpFSMへ伝達される。pFSMが引き続き相応の機能をアドレシングして、コマンドを具体化する。機能は、特にASICの機能的に変更不能な部分で規定される。
【0031】
1つの考えられる実施形態では、本方法は、プログラミング可能な制御機構が特定用途向け集積回路の内部機能にアクセスすることを特徴とする。
【0032】
このことは、ASICの機能的に変更可能な領域と、機能的に変更不能な領域との間にリンクが存在することであると理解される。プログラミング可能な制御機構はこのようなリンクを利用して、規定された機能にアクセスする。実行されるべきコマンドが、相応にこの機能によって実行される。
【0033】
好ましい実施形態では、本方法は、機能的に変更可能な部分によって自動駐車ブレーキの独立したエラー検査が行われることを特徴とする。
【0034】
このことは、定義されたテストがASICにより独立して実行されることであると理解される。そのためにASICは、中央の制御ユニットによってアクティベートされて監視される必要がない。むしろ、ASICによって監視テストの独立した実行が行われる。同様に、監視テストの独立した評価がASICによって行われる。独立したエラー検査の実行は、たとえばプログラムメモリに由来するプログラムコードがpFSMにより実行されることによって可能となる。
【0035】
別案の発展例では、本方法は、機能的に変更可能な部分によって特定用途向け集積回路の独立したエラー検査が行われることを特徴とする。
【0036】
好ましい実施形態では、本方法は、エラーが認識されると中央の制御ユニットへの特定用途向け集積回路のフィードバックが行われることを特徴とする。
【0037】
この方法は、たとえばソフトウェアもしくはハードウェアで、またはソフトウェアとハードウェアの混合形態で、たとえば制御装置にインプリメントされていてよい。半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学メモリなどの機械可読の媒体または記憶媒体に格納されていてよく、特にプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置で実行されたときに、上で説明した各実施形態のうちの1つに基づいて本方法の各ステップを実行し、具体化し、および/または作動化するために利用される、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも好ましい。
【0038】
付言しておくと、発明の詳細な説明に個別に記載されている構成要件は、技術的に有意義な任意の仕方で互いに組み合わせることができ、本発明の新たな実施形態を適示する。本発明のその他の構成要件や利点は、添付の図面を参照する実施例の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本装置を示す模式図である。
図2】本装置の機能的に変更可能な部分の構造を示す図である。
図3】プログラムメモリのマイクロコマンドを示す模式図である。
図4】マイクロコマンドのコマンドシーケンスである。
図5】プログラミング可能な制御機構とプログラムメモリの連携を示す図である。
図6】プログラミング可能な制御機構によるマイクロコマンドの処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の実施形態に基づく、自動駐車ブレーキ2を作動させる装置1の模式図を示している。この装置は、たとえばマイクロコントローラとして製作される中央の制御ユニット3を含んでいる。さらにこの装置は、特定用途向け集積回路4(略称:ASIC、またはアプリケーションスペシフィック回路とも呼ばれる)を含んでいる。回路4は、機能的に変更不能な部分10(アプリケーションスペシフィック領域とも呼ぶ)を含んでいる。ここでたとえば電流測定11a、電圧測定11b、その他の測定11cなどの主機能が規定される。さらに回路4は、機能的に変更可能な部分5を含んでいる。機能的に変更可能な部分5は、その機能に基づいてアクティブテストコントローラとも呼ばれる。それぞれのロードされたプログラムコードに従って、ここでエラー検査が行われるからである。機能的に変更可能な部分5は、プログラミング可能な制御機構6を含んでいる。この制御機構は、たとえばステートマシンとして構成される(英語:Finite State Machine,略してFSM)。可変にプログラミング可能であるという能力に基づき、ステートマシンを相応にpFSM(programmable Finite State Machine)と呼ぶこともできる。さらに機能的に変更可能な部分5は、以後の図面でさらに詳細に述べるプログラムメモリ7を含んでいる。さらに機能的に変更可能な部分5は、測定された測定値または予想される測定値を保存するためデータメモリ7を含んでいる(したがって測定値メモリとも呼ばれる)。同じくエラー探索モジュール9が設けられている(デバッグとも呼ばれる)。
【0041】
図1は、特定用途向け集積回路4(ASIC)に統合された、プログラミング可能なステートマシン6(pFSM)の構造の実施例を示している。pFSM6は、事前に不変に定義されたコマンドのセットを処理することができるように設計されている(たとえばAPBモータ2aの電圧を測定するためのMEASURE_MOT_VOLTAGE)。そのためにコマンドがASIC4の揮発性または不揮発性のメモリ8に保存され、pFSM6により読み出されて処理される。たとえばRAMセルなどの揮発性メモリの場合、ECUの新規スタートのたびごとに、中央の制御ユニット3からASIC4にプログラムがロードされなければならない。ECUの電圧供給が切断されるまで、プログラムがそこにとどまる。たとえばフラッシュセルやEEPROMセルなどの不揮発性メモリが利用される場合には、プログラムが1度だけセルにプログラミングされればよく、製品の寿命が終わるまでそこにとどまることができる。プログラムメモリ7のプログラミングは、ASIC4と中央の制御ユニット3との間の通信のために利用される、ASIC4の標準インターフェースを介して行うことができる。
【0042】
図2には、本装置の機能的に変更可能な部分の構造が示されており、すなわち、アクティブテストコントローラ5のアーキテクチャが示されている。これは、処理されるべきマイクロコマンドをプログラムメモリ7から受け取る。各々のコマンドは、命令7a(CMD)と、コマンド信号7b(信号)のリストとで構成される。ここでは例示として、2つの命令7a_1および7a_2ならびに2つの信号7b_1および7b_2が示されている。簡易かつ低コストなインプリメントを可能にするために、各々のコマンドが固定された長さを有するのがよい。図面では8つの長さが選択されていて、命令7aについて3ビット、およびコマンド信号7bについて5ビットである。原則として、これ以外の長さの選択も考えられる。さらに、アクティブテストコントローラ5はいわゆるコンスタントレジスタバンク12から情報を受け取り、図2には、第1のコンスタントレジスタバンク12a(コンスタントレジスタ12a_1から12a_4を例示として有する)と第2のコンスタントレジスタバンク12b(コンスタントレジスタ12b_1から12b_4を例示として有する)とが示されている。さらにアクティブテストコントローラ5は、ユーザーレジスタバンク13(ユーザーレジスタ13_1から13_4を例示として有する)ならびにテストレジスタバンク14との間でやり取りをする。これに加えてアクティブテストコントローラ5は、信号受信器/信号発生器16との間で信号15を送信(および受信)する。
【0043】
図3は、プログラムメモリのマイクロコマンドの模式図を示している。図2に関して説明したとおり、たとえば命令7aについて3ビットの長さが意図されていてよい。命令7aについて3ビットの長さの場合、それぞれ異なる8つの可能な命令が得られ、これらをマイクロコマンドで実行することができる。各々の命令の信号7bは、ASIC4の機能ブロックを制御する役目を果たす。ここでは信号7bは測定を開始させることができ、計算を実行させることができ、またはその他の機能を切り替えることができる。実行された測定を、引き続いてたとえば比較マイクロコマンド(Compare)により予想値と比較することができ、そのようにして、エラーが生じているか否かを判断する。図3には例示としてのインスタンスが示されている。
7a_1は、信号7b_1“ON_HS1_A”を含む命令“Drive”に相当する。
7a_2は、信号7b_2“All 4 motor voltages”を含む命令“Measure”に相当する。
7a_3は、信号7b_3“DSHS1_A”を含む命令“Expect”に相当する。
7a_4は、信号7b_4“CReg<>SReg”を含む命令“Compare”に相当する。
7a_5は、信号7b_5“1ms,2ms”を含む命令“Wait”に相当する。
7a_6は、信号7b_6“Formular 1”を含む命令“Cal”に相当する。
7a_7は、信号7b_7“Stopp Programm”を含む命令“Stopp”に相当する。
7a_8は、信号7b_8“Select Register Bank”を含む命令“Select”に相当する。
【0044】
図4は、マイクロコマンド7aの例示としてのコマンドシーケンスを示している:WAIT_1,DRIVE on_V_REF_x,DRIVE ENA_HS1_A,DRIVE ENA_HS2_A,DRIVE ON_HSy_A,DRIVE OFF_HSy_A,EXPECT CLEAR,DRIVE OFF_LS1_A,DRIVE OFF_LS2_A,DRIVE OFF_LS1_A,DRIVE OFF_LS2_A,DRIVE DIS_HSy_A,STOPP C_VOFF。第1のコマンドは、たとえば電気信号が安定して印加されることを保証するために、pFSM6を1マイクロ秒だけ待機させる。DRIVE命令は、ASIC4で電気信号を切り換える。EXPECT命令は、その時点でエラービットがセットされているか否かをチェックし、このことがプログラムの終了後にマイクロコントローラ3へ通知されることを保証する。最後のコマンドはプログラムの実行をpFSM6に停止させて、テスト電圧を再びオフにする。
【0045】
図5は、プログラミング可能な制御機構6とプログラムメモリ7との連携を示している。次のコマンドシーケンスの開始アドレス17がレジスタで保存され、プログラムの開始時にアドレス発生器18にロード19される。各々の新たなマイクロコマンドのたびに、アドレス発生器18がカウンタ20を用いて、出力されるアドレスを増やしていき、そのようにしてプログラムメモリ7で次のコマンドを選択する。このコマンドがプログラミング可能な制御機構6により読み取られ、デコードされて実行される。ここでP_1は、命令7a_1および信号7b_1を有する記憶域0×0に相当する。ここでP_2は、命令7a_2および信号7b_2を有する記憶域0×1に相当する。p_3からp_6ならびに命令7a_3から7a_6および信号7b_3から7b_6についても、これに準ずる。
【0046】
図6は、プログラミング可能な制御機構によるマイクロコマンドの処理の図を示している。そのために図6は、例示としてのpFSM6を示している。ここには次のマイクロコマンドが図示されている。Iは“Idle”に相当し、Lは“Load”に相当し、Dは“Dispatch”に相当し、Nxは“Next”に相当し、Nx_Setは“Next Set cnt=1”に相当する。7a_1から7a_8についてはすでに説明した。所望のコマンドに依存して、相応のpFSM6が構成される。
【符号の説明】
【0047】
1 装置
2 自動駐車ブレーキ
3 中央の制御ユニット
4 特定用途向け集積回路
5 機能的に変更可能な部分
6 プログラミング可能な制御機構
7 プログラムメモリ
8 データメモリ
9 エラー探索モジュール
10 機能的に変更不能な部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6