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特許7569846トルクリミッタを有する融解炉電極押圧アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】トルクリミッタを有する融解炉電極押圧アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/03 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
C03B5/03
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022515513
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020049662
(87)【国際公開番号】W WO2021050410
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0111659
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チエン,チー ホン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ヒョン-テク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンス
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン-ヒョン
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0443466(KR,Y1)
【文献】特開平11-030545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 5/00-5/44,
C21C 5/52-5/54,
F27B 1/00-3/28,14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極をガラス溶融容器内へと押し込むためのアセンブリであって:
枠;
第1のシャフト;
前記枠に設置され、前記第1のシャフトを前記枠に対して並進移動させるよう構成された、第1のプッシャアクチュエータ;
前記第1のシャフトに取り付けられ、前記枠に対して並進移動するとともに、前記電極に接触して前記アセンブリが該電極を押圧するのを可能とするよう構成された、第1の接触機構;
マスターアクチュエータであって、前記マスターアクチュエータの動作が前記第1のプッシャアクチュエータの動作を引き起こすように前記第1のプッシャアクチュエータに動作可能に接続された、マスターアクチュエータ;及び
前記マスターアクチュエータと前記第1のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された、トルクリミッタであって、前記トルクリミッタは、前記マスターアクチュエータに対する回転力が所定量を超えたときに係合解除されるよう構成される、トルクリミッタ
を備える、アセンブリ。
【請求項2】
前記枠は、前記容器とは反対側に配置された後部プレートを備え;
前記第1のプッシャアクチュエータは前記後部プレートに設置される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のシャフトはねじで構成され、前記第1のプッシャアクチュエータはスクリュージャッキで構成される、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の接触機構は1つ以上のフランジを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記トルクリミッタは摩擦トルクリミッタで構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のプッシャアクチュエータは、前記第1のシャフト及び前記第1の接触機構が前記枠に対して並進移動するものの前記枠に対して回転しないように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記マスターアクチュエータと前記第1のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された少なくとも1つのギヤボックスを更に備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのギヤボックスは、前記マスターアクチュエータから前記第1のプッシャアクチュエータに伝達される前記回転力を増大させるよう構成される、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
第2のシャフト;
前記枠に設置され、前記第2のシャフトを前記枠に対して並進移動させるよう構成された、第2のプッシャアクチュエータ;及び
前記第2のシャフトに取り付けられ、前記枠に対して並進移動するとともに、前記電極に接触して前記アセンブリが該電極を押圧するのを可能とするよう構成された、第2の接触機構
を更に備え、
前記マスターアクチュエータは、前記マスターアクチュエータの動作が前記第2のプッシャアクチュエータの動作を引き起こすように、前記第2のプッシャアクチュエータに動作可能に接続され;
前記トルクリミッタは、更に前記マスターアクチュエータと前記第2のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続される、請求項1~8のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
少なくとも1つのギヤボックスを更に備え、前記少なくとも1つのギヤボックスは、前記第1のプッシャアクチュエータ及び前記第2のプッシャアクチュエータを、前記マスターアクチュエータと並列に動作可能に接続するよう構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記トルクリミッタは、前記少なくとも1つのギヤボックスと前記マスターアクチュエータとの間に動作可能に接続される、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
電極をガラス溶融容器に押し込む方法であって、前記方法は:
押圧アセンブリを電極の後面に近接して位置決めするステップであって、前記押圧アセンブリは:
枠;
シャフト;
前記枠に設置され、前記シャフトを前記枠に対して並進移動させるよう構成された、プッシャアクチュエータ;
前記シャフトに取り付けられ、前記枠に対して並進移動するよう構成された、接触機構;
マスターアクチュエータであって、前記マスターアクチュエータの動作が前記プッシャアクチュエータの動作を引き起こすように前記プッシャアクチュエータに動作可能に接続された、マスターアクチュエータ;及び
前記マスターアクチュエータと前記プッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された、トルクリミッタであって、前記トルクリミッタは、前記マスターアクチュエータに対する回転力が所定量を超えたときに係合解除されるよう構成される、トルクリミッタ
を備える、ステップ;並びに
前記マスターアクチュエータを操作することによって、前記接触機構による押圧力を前記電極の前記後面に印加するステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記マスターアクチュエータを操作する前記ステップは:
前記回転力を前記マスターアクチュエータに印加するステップ;及び
前記回転力が前記所定量を超えたときに、前記トルクリミッタを係合解除することによって、前記マスターアクチュエータを前記プッシャアクチュエータから係合解除するステップ
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シャフトはねじで構成され、前記プッシャアクチュエータはスクリュージャッキで構成される、請求項12に記載の方法
【請求項15】
前記押圧アセンブリは、前記マスターアクチュエータと前記プッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された少なくとも1つのギヤボックスを更に備える、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2019年9月9日出願の韓国特許出願第10‐2019‐0111659号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は信頼できるものであり、参照によりその全体が本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、バッチ材料を溶融させるためのシステムの一部としての電極、例えばガラスバッチ材料の溶融に使用される電極バンクと連動する装置及び方法に関する。
【0003】
溶融炉を用いて、一例を挙げるとガラス及び金属バッチ材料等の多様なバッチ材料を溶融させることができる。バッチ材料を2つ以上の電極を有する容器内に入れ、上記電極を横断するように電圧を印加することによってバッチに電流を通してバッチを加熱する(又は他の源(例えば燃料の燃焼炎)によって生成された加熱エネルギを補う)ことによって、溶融させることができる。溶融炉のライフサイクルは例えば、上記容器を構成する耐火材料の摩耗に左右され得る。基準点として、電極の「高温面(hot face)」又は「前面(front face)」は、融解炉内のバッチ材料に最も近い又はこれと接している電極端面である。「低温面(cold face)」又は「後面(rear face)」は、高温面の反対側にあり、溶融バッチ材料から最も遠くにある電極端面である。電極の長さは、高温面と低温面との間の距離である。溶融プロセス中、電極の高温面は、溶融バッチ材料との接触により次第に摩耗して、電極の長さが減少する場合がある。ある時点で、電極は短くなりすぎる場合があり、炉の安全な及び/又は効率的な動作を損なう場合がある。
【0004】
いくつかの融解炉構成では、電極を容器内へと周期的に進入させて、摩耗した高温面を、容器壁、バッチ材料の体積、他の電極等に対して所望の位置に再位置決めする。例えばある長さの電極を、低温面が容器壁の外側に配置されるように、容器の側壁の通路又はスルーホールに挿入する。必要に応じて、押圧力を低温面に印加し、電極を容器チャンバに対して前進させる。
【0005】
電極が比較的小さなサイズ及び/又は質量を有する場合、溶融容器壁の外側での電極の支持を不要とすることができ、操作者が所望の押圧力を印加するために使用するデバイス又は機構を極めて簡素なものとすることができる。しかしながらいくつかの融解炉構成では、電極のアレイからなる電極バンクが用いられる。電極バンクは、比較的大きなサイズ及び質量を有することができる。更に、融解炉の使用寿命又は稼働期間を延長するために、製造業者は、長さが増大した電極又は電極バンクを用いるよう努力してきた。これらの電極又は電極バンクが長くなるに従って、スルーホール内で電極がずれるリスクが高くなる。ずれた電極に押圧力を印加することには、融解炉の様々な構成部品を損傷するリスクがあり、このリスクは、この操作が経験の少ない又は熟練していない操作者によって行われた場合に高まる。このような条件及びその他の条件下では、電極又は電極バンクへの押圧力の印加を促進するための既存のデバイスは、不十分であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、溶融容器壁の外側の位置で電極又は電極バンクと連動する又はこれを操作する、例えば電極又は電極バンクへの押圧力の印加を促進するための装置が本明細書中で開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中で開示される特徴により、電極の低温面に押圧力を印加することによって、電極を融解炉内へと周期的に進入させることができる。押圧アセンブリは、電極のずれによって引き起こされる機器損傷のリスクを最小限に抑えるためのトルクリミッタを含むことができる。
【0008】
押圧アセンブリは、枠、第1のシャフト、第1のプッシャアクチュエータ、及び第1の接触機構を含むことができる。上記第1のプッシャアクチュエータは上記枠に設置でき、また上記第1のシャフトを上記枠に対して並進移動させるよう構成できる。上記第1の接触機構は、上記第1のシャフトに取り付けることができ、上記枠に対して並進移動するよう構成できる。上記押圧アセンブリは、マスターアクチュエータ及びトルクリミッタも含むことができる。上記マスターアクチュエータは、上記マスターアクチュエータの動作が上記第1のプッシャアクチュエータの動作を引き起こすように、上記第1のプッシャアクチュエータに動作可能に接続できる。上記トルクリミッタは、上記マスターアクチュエータと上記第1のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続でき、上記マスターアクチュエータに対する回転力が所定量を超えたときに係合解除されるよう構成できる。
【0009】
いくつかの実施形態では、押圧アセンブリは更に、第2のシャフト、第2のプッシャアクチュエータ、及び第2の接触機構を含むことができる。上記第2のプッシャアクチュエータは上記枠に設置でき、また上記第2のシャフトを上記枠に対して並進移動させるよう構成できる。上記第2の接触機構は、上記第2のシャフトに取り付けることができ、上記枠に対して並進移動するよう構成できる。上記マスターアクチュエータは、上記マスターアクチュエータの動作が上記第2のプッシャアクチュエータの動作を引き起こすように、上記第2のプッシャアクチュエータに動作可能に接続できる。上記トルクリミッタは、上記マスターアクチュエータと上記第2のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続できる。
【0010】
様々な実施形態では、電極をガラス溶融容器に押し込む方法は、押圧アセンブリを電極の後面に近接して位置決めするステップを含むことができる。上記押圧アセンブリは、枠、シャフト、プッシャアクチュエータ、及び接触機構を含むことができる。上記プッシャアクチュエータは上記枠に設置でき、また上記シャフトを上記枠に対して並進移動させるよう構成できる。上記接触機構は、上記シャフトに取り付けることができ、上記枠に対して並進移動するよう構成できる。上記押圧アセンブリは、マスターアクチュエータ及びトルクリミッタも含むことができる。上記マスターアクチュエータは、上記マスターアクチュエータの動作が上記プッシャアクチュエータの動作を引き起こすように、上記プッシャアクチュエータに動作可能に接続できる。上記トルクリミッタは、上記マスターアクチュエータと上記プッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続でき、上記マスターアクチュエータに対する回転力が所定量を超えたときに係合解除されるよう構成できる。上記マスターアクチュエータを操作することによって、上記接触機構による押圧力を上記電極の上記後面に印加できる。
【0011】
本明細書中で開示される実施形態の更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」において記載され、またその一部は、「発明を実施するための形態」から当業者には容易に明らかになり、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲及び添付の図面を含む本明細書に記載されている本開示の実施形態を実施することによって認識される。
【0012】
上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも、実施形態を提示し、請求対象の実施形態の特性及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を図示し、本記載と併せて、本開示の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0013】
上述の「発明の概要」及び以下の例示的実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことができる。図面は、本明細書に記載される例示的実施形態のうちの一部を示す。図面に示されている相対的な寸法は、請求対象の特徴の原案をサポートするものとして示される。以下で更に説明されるように、特許請求の範囲はこれらの例示的実施形態に限定されるものではなく、従って、そうでないことが明示されていない限り、図面に示されたいかなる寸法にも限定されるものではない。明確にするために、及び読みやすくするために、図面は特定の特徴の図を省略する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電極インタフェースと共に利用される簡略化された例示的な押圧アセンブリの背面等角図
図2図1の簡略化された例示的な押圧アセンブリの側面立面図
図3図1の簡略化された例示的な押圧アセンブリの正面等角図
図4】調整可能な高さが下降した状態にある、図1の簡略化された例示的な押圧アセンブリの背面立面図
図5】調整可能な高さが上昇した状態にある、図1の簡略化された例示的な押圧アセンブリの背面立面図
図6】電極又は電極バンクの摩耗後の、図1の簡略化された例示的な押圧アセンブリの側面立面図
図7】電極又は電極バンクを前進させるための押圧アセンブリの動作後の図6の設備の側面立面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の特徴、方法、デバイス、及びシステムは、様々な形態で具現化してよいが、いくつかの例示的な(即ち例となる)実施形態が図面に示されており、以下で説明される。特許請求の範囲は例示的実施形態に限定されるものではなく、これらの均等物の最大範囲を包含することを意図したものである。
【0016】
本願は、読者に図面を見る際の状況を提供するために、方向を示す様々な用語(例えば前、後、上、下、左、右、長手方向、横断方向、垂直方向等)を使用する場合がある。特許請求の範囲は、図面に示されている配向に限定されない。いかなる絶対的な用語(例えば高い、低い等)も、対応する相対的な用語(例えば比較的高い、比較的低い等)を開示するものとして理解できる。図面を参照すると、X軸に沿った深さは「横方向(lateral)」、Y軸に沿った深さは「横断方向(transverse)」、そして(X‐Y平面に対して垂直な)Z軸に沿った深さは「垂直方向(vertical)」であり得る。いくつかの実施形態では、X、Y、及びZ軸は複数の図面を通して一貫している。
【0017】
本開示の押圧アセンブリは、多種多様な異なる電極構成と共に使用される。非限定的な例として、押圧アセンブリは、アレイ状の構成で互いに対して組み付けられた又は配設された複数の電極を含むことができるモノリシックな電極バンクと連動できる。他の実施形態では、本開示の押圧アセンブリは、単一の電極と連動できる。この点を考慮に入れて、特段の指定がない限り、「電極(electrode)」と「電極バンク(electrode bank)」とは、同じ意味で使用できる。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「動作可能に接続される(operatively connected)及び「動作可能に結合される(operatively coupled)」は、1つ以上の構成部品、システム、デバイス又は機構であって、各上記構成部品、システム、デバイス又は機構が相互運用性(interoperable)となるように直接接続/結合されているか、又は例えばリンケージ、1つ以上のカップリング、1つ以上の駆動シャフト、1つ以上のギヤ等の連結機構を介して接続/結合されている、構成部品、システム、デバイス又は機構を意味することが理解されるであろう。即ち、各構成部品、システムデバイス、又は機構は、相互作用するか又は協働して、一方の動作/機能が他方の動作/機能を引き起こすことができる、及び/又は一方の動作/機能が他方の動作/機能に影響を及ぼすことができる。
【0019】
図1を参照すると、押圧アセンブリ10は、ベースアセンブリ100、枠200、及び本体アセンブリ300を含むことができる。ベースアセンブリ100は、ベースプレート102を含むことができ、このベースプレート102には、押圧アセンブリ10を地面(床とも呼ばれる、図示せず)に対して移動させるための1つ以上のホイール104(キャスターとも呼ばれる)が設置される。
【0020】
ベースプレート102は、予期される力を受けた場合に(例えば押圧力が電極バンクに印加された場合に)その構造的完全性を維持するよう構成された材料で形成された、略平面状の本体(即ち真に平面状の本体の10パーセント以内)とすることができる。例えば、ベースプレート102はステンレス鋼であってよいが、他の材料も考えられる。ベースプレート102は、様々な形状及びサイズを有することができ、いくつかの実施形態では、以下で更に詳述されるように、押圧アセンブリ10の他の特徴に応じてサイズ設定される。ホイール104は、押圧アセンブリ10がゼロ半径での360°の旋回を実施するのを可能とするよう構成できる。ベースアセンブリ100は、押圧アセンブリ10を固定して地面に対する移動を防止するための、1つ以上のフロアーロック106を含むことができる。別の実施形態(図示せず)では、フロアーロック106は、ホイール104に直接設置されたキャスターロックを含むことができる。
【0021】
ベースアセンブリ100は、ベースプレート102に設置された1つ以上の横断方向ガイドレール160も含むことができる。その結果、ベースアセンブリ100は、枠200がベースアセンブリ100に対して(それぞれ+Y方向及び-Y方向を意味する)横断方向前方又は後方に関節運動できるよう構成できる。横断方向ガイドレール160は、金属溶接によって、又はねじ、ボルト、リベット等によってベースプレート102に設置できる。
【0022】
枠200は、本体アセンブリ300を枠200に設置するための少なくとも1つの構造的枠組み210を含むことができる。枠組み210は、側面部材212a、212b、及び上部部材214を含むことができる。枠200は、前部プレート202、下部プレート204、枠プラットフォーム206、及び1つ以上のクロスバー208(図3に示す)も含むことができる。枠組み210は、予期される力を受けた場合にその構造的完全性を維持するよう選択された剛性材料(例えばステンレス鋼)で形成でき、枠組み210と、前部プレート202、下部プレート204、枠プラットフォーム206、又はクロスバー208といった他の枠構成部品との間に、接合部又は接続部(例えば金属溶接、又はねじ、ボルト、リベット等)を形成できる。枠200の寸法は、最終用途の予期されるパラメータに応じて選択できる。例えば枠組み210の側面部材212a、212bの間の横方向間隔は、押圧アセンブリ10と共に使用される電極バンクの予期される幅より大きくなるよう選択できる。
【0023】
枠組み210は、枠プラットフォーム206に直接固定(例えば溶接、締結等)できる。枠プラットフォーム206は、枠200をベースアセンブリ100に設置するために構成できる。枠プラットフォーム206は、1つ以上の横断方向移動機構262を含むことができる。横断方向移動機構262は、ベースアセンブリ100に対する枠200の選択的な横断方向の調整又は移動を促す様々な形態を取ることができ、いくつかの実施形態では、(一般的な呼称として)横断方向ロックデバイス264を含むことができる。横断方向移動機構262は、横断方向ガイドレール160と接触するよう配置され、横断方向ガイドレール160に沿って転がる、摺動する、又は移動するよう構成される。
【0024】
横断方向ロックデバイス264は、所望の横断方向位置又は場所で枠200をベースアセンブリ100に対してロックするために適切な、様々な形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、横断方向ロックデバイス264は、横断方向移動機構262それぞれに螺着されるボルトであり得る。枠200が所望の横断方向位置に来ると、ボルトを回転又は前進させて横断方向ガイドレール160と接触させることにより、更なる横断方向移動を防ぐことができる。ボルトを緩めると、横断方向移動機構262の移動、従って枠200のベースアセンブリ100に対するY軸方向の移動が可能となる。ねじ山付きボルトを含んでも含まなくてもよい他のロックデバイス構造も許容できる。
【0025】
更に図1を参照すると、本体アセンブリ300は、本体プレート310(後部プレートとも呼ばれる)、及び押圧力を電極の後面に印加するために適合された1つ以上の動作可能に接続された構成部品を含むことができる。例えば、本体アセンブリ300は、マスターアクチュエータ320、トルクリミッタ304(過負荷クラッチとも呼ばれる)、1つ以上のプッシャアクチュエータ306、1つ以上のシャフト308(図2に示す)、及び1つ以上の接触機構330(図2に示す)を含むことができる。本体アセンブリ300は、一次ギヤボックス312、及び1つ以上の二次ギヤボックス314も含むことができる。本体プレート310は、予期される力を受けた場合に(例えば押圧力が電極バンクに印加された場合に)その構造的完全性を維持するよう構成された材料で形成された、略平面状の本体(即ち真に平面状の本体の10パーセント以内)とすることができる。例えば、本体プレート310はステンレス鋼であってよいが、他の材料も考えられる。本体プレート310は、様々な形状及びサイズを有することができ、いくつかの実施形態では、本明細書中で更に詳述されるように、押圧アセンブリ10の他の特徴に応じてサイズ設定される。
【0026】
マスターアクチュエータ320は、押圧アセンブリ10に対して回転するよう構成できる。図面に示されているように、本実施形態のマスターアクチュエータ320は、垂直軸(即ちZ軸)の周りで回転するよう構成できる。しかしながら、横軸(即ちX軸)又は横断軸(即ちY軸)の周りで回転するマスターアクチュエータ320も許容できる。マスターアクチュエータ320は、ユーザによる回転力(即ちトルク)の印加を促す異なる形態を取ることができ、いくつかの実施形態では、ハンドホイール322又はクランクハンドルを含むことができる。マスターアクチュエータ320は、動力入力324に動作可能に接続された、動力(即ち電力、空気圧等)によって動作するモータから回転力を受け取るよう構成することもできる。任意に、ハンドホイール322は、ハンドホイール322をマスターアクチュエータ320に選択的に結合するための、及び動力によって動作するモータの使用中にハンドホイール322をマスターアクチュエータ320から係合解除するためのクラッチを含むことができる。
【0027】
マスターアクチュエータ320は、一次ギヤボックス312に動作可能に接続できるトルクリミッタ304に、動作可能に接続できる。トルクリミッタ304は、マスターアクチュエータ320から一次ギヤボックス312に直接又は間接的にトルクを伝達できる様々な形態を取ることができ、また、トルクが所定値を超えた場合にトルク伝達のための接続を解除することによって、マスターアクチュエータ320を一次ギヤボックス312とは独立して作動させることができるようにも構成できる。いくつかの実施形態では、トルクリミッタ304は、スリップ型トルクリミッタ、又はディスコネクト型トルクリミッタであり得る。マスターアクチュエータ320によって印加されたトルクが特定のレベルを超えて上昇した場合、トルクリミッタ304は、トルクマスターアクチュエータ320と一次ギヤボックス312との間の動作接続を解除することによって過剰なトルクを解放でき、これによりトルクを所定値に制限できる。いくつかの実施形態では、上記所定値は、1.4kgf・m(13.73N・m)未満、1.4kgf・m(13.73N・m)~5.5kgf・m(53.94N・m)、2.3kgf・m(22.56N・m)~3.3kgf・m(32.36N・m)、又は5.5kgf・m(53.94N・m)超とすることができる。
【0028】
トルクリミッタ304は、1つ以上の二次ギヤボックス314に動作可能に接続できる一次ギヤボックス312に、動作可能に接続できる。一次ギヤボックス312は、トルクリミッタ304から1つ以上の二次ギヤボックス314に直接又は間接的にトルクを伝達できる様々な形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、一次ギヤボックス312は、一次ギヤボックス312への入力の回転軸とは異なる回転軸、例えば垂直(即ち90°)回転軸の周りでトルクを出力するよう構成できる。図1では、例えば、トルクリミッタ304から一次ギヤボックス312に入力されるトルクは、Z軸の周りで印加されるが、一次ギヤボックス312から二次ギヤボックス314に出力されるトルクはX軸の周りで印加される。非限定的な例として、一次ギヤボックス312は、ベベルギヤボックス、ウォームギヤボックス、又はハイポイドギヤボックスとすることができる。
【0029】
一次ギヤボックス312は、トルクを2つ以上の方向に伝達するよう構成でき、いくつかの実施形態では、3方向ギヤボックスとすることができる。例えば図1では、一次ギヤボックス312は、本体プレート310の対向する側部に設置された二次ギヤボックス314それぞれにトルクを伝達するよう構成される。一次ギヤボックス312は、ギヤ比(速度比とも呼ばれる)が1:1超となるように構成できる。
【0030】
一次ギヤボックス312は、1つ以上の1つ以上のプッシャアクチュエータ306に動作可能に接続できる二次ギヤボックス314に、動作可能に接続できる。二次ギヤボックス314は、一次ギヤボックス312から1つ以上のプッシャアクチュエータ306に直接又は間接的にトルクを伝達できる様々な形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、二次ギヤボックス314は、二次ギヤボックス314への入力の回転軸とは異なる回転軸、例えば垂直(即ち90°)回転軸の周りでトルクを出力するよう構成できる。図1では、例えば、一次ギヤボックス312から二次ギヤボックス314に入力されるトルクは、X軸の周りで印加されるが、二次ギヤボックス314からプッシャアクチュエータ306に出力されるトルクはZ軸の周りで印加される。非限定的な例として、二次ギヤボックス314は、ベベルギヤボックス、ウォームギヤボックス、又はハイポイドギヤボックスとすることができる。
【0031】
二次ギヤボックス314は、トルクを2つ以上の方向に伝達するよう構成でき、いくつかの実施形態では、3方向ギヤボックスとすることができる。例えば図1では、二次ギヤボックス314は、本体プレート310の対向する側部に設置されたプッシャアクチュエータ306のうちの2つにトルクを伝達するよう構成される。二次ギヤボックス314は、ギヤ比が1:1超となるように構成できる。
【0032】
本体アセンブリ300は2つの二次ギヤボックス314を含むものとして示されているが、これより多い又は少ないいずれの他の個数も許容できる。例えば、二次ギヤボックス314の個数は、押圧アセンブリ10の必要なギヤ比、プッシャアクチュエータ306の個数、又は本体プレート310上に設置されたプッシャアクチュエータ306の空間的配置に応じて変更できる。
【0033】
各プッシャアクチュエータ306は、本体プレート310に直接固定(例えば溶接、締結等)することができ、シャフト308に螺合できる。いくつかの実施形態では、プッシャアクチュエータ306は、ボールねじアクチュエータ又はリードスクリューアクチュエータ(スクリュージャッキとも呼ばれる)等のリニアアクチュエータとすることができる。本体アセンブリ300は4つのプッシャアクチュエータ306を含むものとして図示されているが、以下に記載されるように、接触機構330の個数に応じて、これより多い又は少ないいずれの他の個数も許容できる。
【0034】
本体アセンブリ300は、マスターアクチュエータ320に動作可能に接続された計数デバイス316も含むことができる。計数デバイス316は、押圧アセンブリ10の動作中にマスターアクチュエータ320が完了した回転の回数を計算するよう構成できる。本体アセンブリ300は、本体プレート310に設置された1つ以上のハンドル318も含むことができる。代替実施形態では、ハンドル318は、枠組み210の側面部材212a、212bに設置することもできる。
【0035】
図2を参照すると、本体プレート310は、1つ以上のアパーチャ(図示せず)を含むことができ、このアパーチャを通ってシャフト308がY軸方向に延伸できる。シャフト308は、予期される力を受けてもその構造的完全性を維持するよう構成された材料で形成できる。例えば、本体プレート310はステンレス鋼であり得るが、他の材料も考えられる。シャフト308は、最終用途の予期されるパラメータに応じて選択された様々な寸法を有することができる。例えば、シャフト308の長さは、接触機構330が、押圧アセンブリ10と共に使用される電極バンクと、物理的に連動できるよう選択できる。いくつかの実施形態では、シャフト308の長さはおよそ6インチ(15.24センチメートル)とすることができる。他の実施形態では、シャフト308の長さは24インチ(60.96センチメートル)以上とすることができる。シャフト308は、Y軸方向の延伸が可能な様々な形態を取ることができ、いくつかの実施形態ではシャフト308は、リードスクリュー、又は雄ねじ表面を有する同様のデバイスとすることができる。
【0036】
本体アセンブリ300は、電極バンクの電極の後面との接続を確立するよう適合された1つ以上の構成部品を支持するよう適合できる。例えば各シャフト308は、シャフト308の遠位端(即ちプッシャアクチュエータ306の反対側)に取り付けられた、接触機構330を支持できる。接触機構330は接触ヘッド332で終端できる。接触ヘッド332は、多種多様な異なる構成(例えば材料、形状、サイズ等)を有することができる。いくつかの実施形態では、接触ヘッド332は、熱及び電流の両方に高い耐性を有する材料(例えばゴム)で構成できる。
【0037】
接触機構330は、電極又は電極バンクと物理的に連動するために適切な、様々な形態を取ることができ、いくつかの実施形態では、接触ヘッド332、遠位フランジ334、近位フランジ336、コイルばね338、2つ以上のスタッドボルト342(又はあらゆるねじ山付きロッド)、及びねじ山付きナット344を含むことができる。接触ヘッド332は、遠位フランジ334に直接固定(例えば溶接、締結等)できる。遠位フランジ334は一連のスタッドボルト342によって近位フランジ336に固定でき、これらのスタッドボルト342は、各ボルトの端部において少なくとも1つのねじ山付きナット344を用いて締結されて、遠位フランジ334と近位フランジ336とを留める(以下「スタッドボルト構成(stud bolt configuration)」という)。遠位フランジ336は、シャフト308に直接固定(例えば溶接、締結等)できる。いくつかの実施形態では、遠位フランジ334と近位フランジ336との間の各スタッドボルトの周りに(符号が付されていない)環状スペーサを配置でき、これにより図面に示されているように、遠位フランジ334と近位フランジ336とを空間的に離間させることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、スタッドボルト342は、ねじ山付きナット344を遠位フランジ334及び近位フランジ336から離間させる電気絶縁スリーブ及び電気絶縁ワッシャによって、遠位フランジ334及び近位フランジ336から電気的に絶縁できる。図面は、各接触機構330が4つのスタッドボルト342を含むものとして示しているが、これより多い又は少ないいずれの他の個数も許容できる。
【0039】
いくつかの実施形態では、遠位フランジ334と近位フランジ336とを空間的に離間させる上述のスタッドボルト構成は更に、ユーザに、電極の後面と接触機構330との間の間隔を選択的に変更する(従って印加される力を調整若しくは「微調整(fine tune)」する、又は印加された力を複数の接触機構330にわたって均等にする)能力を提供する。各接触機構330はまた、遠位フランジ334及び近位フランジ336にこれらを離間させる力を印加するよう構成されたコイルばね338も含むことができ、このコイルばね338は、ユーザによる遠位フランジ334と近位フランジ336との間の間隔の調整を更に容易にする。他の接触機構構成も許容でき、またこれはスタッドボルト構成を含んでも含まなくてもよい。更に他の実施形態では、接触ヘッド332は、シャフト308に直接設置されるよう適合できる。
【0040】
押圧アセンブリ10の使用中、プッシャアクチュエータ306は、ユーザによって引き起こされたマスターアクチュエータ320の回転によって動作でき、これは、シャフト308とプッシャアクチュエータ306との螺合によるシャフト308の横断方向の延伸を引き起こす。従って、マスターアクチュエータ320の動作は、接触機構330を本体プレート310及び枠200に向かって又は本体プレート310及び枠200から離れるように(即ちY軸の方向に)移動させることによって、電極の後面に対する押圧力を解放又は印加できる。いくつかの実施形態では、プッシャアクチュエータ306は、シャフト308及び接触機構330が使用中に押圧アセンブリ10(即ち少なくともY軸の周りで)に対して回転しないように、非回転リニアアクチュエータとすることができる。他の実施形態では、プッシャアクチュエータ306は、シャフト308及び接触機構330が使用中に押圧アセンブリ10に対して回転するよう構成できる。
【0041】
図3を参照すると、枠200は、枠組み210に接続された前部プレート202を含むことができる。前部プレート202は、1つ以上の適切にサイズ設定されたアパーチャ216を備えるように構成でき、このアパーチャ216を通ってシャフト308が延伸する。枠200は、1つ以上のクロスバー208も含むことができる。クロスバー208は、枠組み210の側面部材212a、212bの間に延在してこれらを相互接続でき、側面部材212a、212bを選択された横方向間隔(即ちX軸方向の寸法)に維持することを補助できる。図3は枠200を1つのクロスバー208を含むものとして示しているが、これより多い又は少ないいずれの他の個数も許容できる。
【0042】
一般に、接触機構330は、電極バンクの後面と連動するのに適切なフットプリントを確立するよう構成できる。接触機構330の個数及び構成は、最終用途の予期されるパラメータ、例えば押圧アセンブリ10と共に使用される電極又は電極バンクのサイズ及び構成に応じて選択できる。図3は、押圧アセンブリ10を4つの接触機構330を含むものとして示しているが、これより多い又は少ないいずれの他の個数も許容できる。
【0043】
図4を参照すると、枠200は、枠組み210に設置された1つ以上の垂直方向ガイドレール270も含むことができる。その結果、枠200は、本体アセンブリ300が枠200に対して垂直方向に上方又は下方(それぞれ+Z方向及び-Z方向を意味する)に関節運動できるよう構成できる。垂直方向ガイドレール270は、金属溶接によって、又はねじ、ボルト、リベット等によって、枠組み210に設置できる。図4に示されているように、押圧アセンブリ10は、本体アセンブリ300が枠200に対して下降した状態となるように構成できる。
【0044】
いくつかの実施形態では、枠組み210は、例えば枠組み210の上部部材214の適切にサイズ設定された孔によって、垂直方向トラック410を可動に受承するよう構成できる。本体アセンブリ300は、本体プレート310の正面(図4に図示せず)に、本体アセンブリと垂直方向トラック410との間の並進移動可能な接続(これによって本体アセンブリ300が垂直方向トラック410に沿って選択的に移動できる)を容易にする1つ以上の構成部品を支持するよう構成できる。例えば、ねじ山付きブッシュを、垂直方向トラック410と摺動可能に連動する本体プレート310の正面に設置できる。他の結合形態も許容できる。
【0045】
垂直方向トラック410は、本体アセンブリ300との関節運動による連動を促す様々な形態を取ることができ、いくつかの実施形態では、リードスクリュー又は雄ねじ表面を有する同様のデバイスとすることができる。これらの実施形態及び同様の実施形態では、(例えば、上述のような本体アセンブリ300に設けられた任意のねじ山付きブッシュにより)垂直方向トラック410と本体アセンブリ300との間にねじ式接続を確立できる。垂直方向トラック410は、上部部材214と枠200のクロスバー208(図3に示す)との間に延在するようサイズ設定できる。垂直方向トラック410がリードスクリューであるか、又は雄ねじ表面を有する同様のデバイスである、任意の実施形態では、垂直方向トラック410は、上部部材214及びクロスバー208に対する垂直方向トラック410の軸方向移動を伴わない回転を可能とする(即ち、垂直方向トラック410は上部部材214及びクロスバー208に対して回転できるが、少なくともZ軸の方向には空間的に移動しない)様式で、上部部材214及びクロスバー208に結合できる。このような実施形態では、ユーザは、例えば手動で印加される回転力により、所望の方向に垂直方向トラック410を回転させることができる。垂直方向トラック410の回転により、本体アセンブリ300を垂直方向に関節運動でき、最終結果は、図5に示されているような本体アセンブリ300の上昇した状態である。
【0046】
本体アセンブリ300の垂直方向トラック410に沿った垂直な並進移動又は関節運動(即ちZ軸の方向に)を促進するねじ式接続を組み込んだものとして、本体アセンブリ300及び垂直方向トラック410を説明したが、他の構成も許容できる。例えば、垂直方向トラック410は一連の歯を形成又は画定でき、本体アセンブリ300は、これらの歯のうちの隣接する歯の間の、1つの選択された増分位置へと、垂直方向トラック410に沿って垂直に上昇又は下降させられるよう構成される。
【0047】
図2で確認できるように、本体プレート310は、本体アセンブリ300を枠200に設置するために構成された1つ以上の垂直方向移動機構372を含むことができる。垂直方向移動機構372は、枠200に対する本体アセンブリ300の選択的な横断方向の調整又は移動を促す様々な形態を取ることができ、いくつかの実施形態では、(一般的な呼称として)垂直方向ロックデバイス374を含むことができる。垂直方向移動機構372は、垂直方向ガイドレール270と接触するよう配置され、垂直方向ガイドレール270に沿って転がる、摺動する、又は移動するよう構成される。
【0048】
垂直方向ロックデバイス374は、所望の垂直方向位置又は場所で本体アセンブリ300を枠200に対してロックするために適切な様々な形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、垂直方向ロックデバイス374は、垂直方向移動機構372それぞれに螺着されるボルトであり得る。本体アセンブリ300が所望の垂直方向位置に来ると、ボルトを回転又は前進させて垂直方向ガイドレール270と接触させることにより、更なる垂直方向移動を防ぐことができる。ボルトを緩めると、垂直方向移動機構372の移動、従って本体アセンブリ300の枠200に対するZ軸方向の移動が可能となる。ねじ山付きボルトを含んでも含まなくてもよい他のロックデバイス構造も許容できる。
【0049】
図3で確認できるように、枠200の前部プレート202は、1つ以上のアパーチャ216が、枠200に対する本体アセンブリ300のあらゆる垂直方向の位置又は配向に対応するようなサイズとなるように、構成できる。
【0050】
図6を参照すると、本開示の実施形態は、バッチ材料を溶融させるための融解炉システムと共に使用するために、採用できる。融解炉は、容器34、及び少なくとも1つの電極又は電極バンク80を含むことができる。概括的に言うと、容器34は、様々な形態を取ることができ、また一般に、組み合わさってチャンバ44を画定する側壁40及び(符号が付されていない)床若しくは底部を含むか、又はこれらを画定する。容器34は、所望の用途に好適ないずれの形状又はサイズを有することができ、特定の実施形態では、例えば円形、長円形、正方形又は多角形の断面を有する。一例を挙げると長さ、高さ、幅、及び深さを含む容器34の寸法は、特定のプロセス又はシステムに応じて変更できる。
【0051】
1つ以上の電極80は、容器34の側壁40内に組み付けることができ、容器34の側壁40を通って側壁40の内側表面42とおおよそ同一平面となる位置まで延伸できる(従ってチャンバ44及びその中に内包される材料に対して露出できる)。電極80は、後面(又は「低温面」)84の反対側の前面(又は「高温面」)82を画定するものと見做すことができる。前面82は、チャンバ44に対してオープンな状態の電極端面である(例えば、前面82はチャンバ44内に配置されるか、又は側壁40の厚さ内にある)。後面84は、電極端面容器40からも最も遠くにあり、チャンバ44内にないか、又はチャンバ44に対してオープンな状態ではない。
【0052】
いくつかの実施形態では、電極80の容器34への(例えば側壁40への)組み付けは、電極80が側壁40に対して、従ってチャンバ44に対して前進できるようなものである。例えば、電極80の側壁40への設置は、電極80を側壁40に対して摺動させるか又は押圧することで、前面82をチャンバ44に対して再位置決めすることができるようなものである。動作中、電極80は、主に前面82において経時的に摩耗する。換言すると、前面82は、後面84に向かって物理的にすり減る。従って、電極80が側壁40に対して静止している又は固定されている場合、前面82の側壁40に対する物理的位置は、電極80が摩耗するにつれて変わる。このような状況下で、電極80が側壁40に摺動可能に設置される実施形態では、電極80を、押圧アセンブリ10によって、チャンバ44に向かって周期的に前進させる(即ち図6における右方向に移動させる)ことによって、摩耗中の前面82を内側表面42に対して所望の場所に再位置決めできる。
【0053】
電極80は、融解炉内での動作に好適ないずれの寸法及び/又は形状を有することができる。例えばいくつかの実施形態では、電極80はロッド又はブロックとしての形状を有することができる。電極80は、正方形、円形、又はいずれの他の規則的な若しくは不規則な形状といった、いずれの好適な断面形状を有することができる。更に、電極80の初期長さは、用途及び/又は容器34のサイズに応じて変更できる。いくつかの非限定的な例では、電極80は、36インチ(91.44センチメートル)のオーダーの初期長さと、少なくとも3000ポンド(1360.777キログラム)のオーダーの重量(又は質量)とを有することができる。本開示の押圧アセンブリ10は、長さが少なくとも36インチ(91.44センチメートル)、重さが少なくとも3000ポンド(1360.777キログラム)の電極又は電極バンクとロバストに連動するよう構成され、また同様に、より小さな及び/又はより軽い電極構成との連動にも適切である。
【0054】
溶融動作中、電極80の前面82は、図6に表されているように経時的にすり減る又は摩耗する可能性がある(一方で前面82は、溶融動作の過程におけるある早期の時点では内側表面42と同一平面であり得る)。このような状況及び他の状況下で、押圧アセンブリ10をユーザが操作して、電極80を側壁40に対して(即ちY軸の方向に)前進させることにより、摩耗中の前面82を所望の位置に再配置できる。マスターアクチュエータ320の動作は最終的に、例えば接触ヘッド332を介して、接触機構330を横断方向(即ちY軸の方向)に関節運動させ、後面84に対して押圧力を印加する。
【0055】
図7は、電極80に対する押圧力の印加後の図6の構成を表している。これらの図の比較によって明らかとなるように、接触機構330は、枠200に対して(即ちY軸の方向に)横断方向に前進して、後面84に対して押圧力を印加し、これはまた電極80を側壁40に対して前進させた。前面82は、側壁40に対して所望の位置に再配置される。いくつかの実施形態では、操作者は任意に、(例えば接触機構330がスタッドボルト構成又は同様の構造を含む場合に)接触機構330のうちの1つ以上を個別に作動させることにより、対応する接触ヘッド332の位置、従って接触機構330によって後面84に対して印加される力を、わずかに調整する、又は「微調整する」ことができる。
【0056】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0057】
実施形態1
電極をガラス溶融容器内へと押し込むためのアセンブリであって:
枠;
第1のシャフト;
上記枠に設置され、上記第1のシャフトを上記枠に対して並進移動させるよう構成された、第1のプッシャアクチュエータ;
上記第1のシャフトに取り付けられ、上記枠に対して並進移動するよう構成された、第1の接触機構;
マスターアクチュエータであって、上記マスターアクチュエータの動作が上記第1のプッシャアクチュエータの動作を引き起こすように上記第1のプッシャアクチュエータに動作可能に接続された、マスターアクチュエータ;及び
上記マスターアクチュエータと上記第1のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された、トルクリミッタであって、上記トルクリミッタは、上記マスターアクチュエータに対する回転力が所定量を超えたときに係合解除されるよう構成される、トルクリミッタ
を備える、アセンブリ。
【0058】
実施形態2
上記枠は、上記容器の反対側に配置された後部プレートを備え;
上記第1のプッシャアクチュエータは上記後部プレートに設置される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0059】
実施形態3
上記第1のシャフトはねじで構成され、上記第1のプッシャアクチュエータはスクリュージャッキで構成される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0060】
実施形態4
上記マスターアクチュエータは手動で操作される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0061】
実施形態5
上記マスターアクチュエータは動力によって動作する、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0062】
実施形態6
上記マスターアクチュエータは手動でも操作され、かつ動力によっても動作するよう構成される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0063】
実施形態7
上記第1の接触機構は1つ以上のフランジを備える、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0064】
実施形態8
上記トルクリミッタは摩擦トルクリミッタで構成される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0065】
実施形態9
上記第1のプッシャアクチュエータは、上記第1のシャフト及び上記第1の接触機構が上記枠に対して並進移動するものの上記枠に対して回転しないように構成される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0066】
実施形態10
上記マスターアクチュエータと上記第1のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された少なくとも1つのギヤボックスを更に備える、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0067】
実施形態11
上記少なくとも1つのギヤボックスは、上記マスターアクチュエータから上記第1のプッシャアクチュエータに伝達される上記回転力を増大させるよう構成される、実施形態10に記載のアセンブリ。
【0068】
実施形態12
上記トルクリミッタの周りの安全カバーを更に備える、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0069】
実施形態13
第2のシャフト;
上記枠に設置され、上記第2のシャフトを上記枠に対して並進移動させるよう構成された、第2のプッシャアクチュエータ;及び
上記第2のシャフトに取り付けられ、上記枠に対して並進移動するよう構成された、第2の接触機構
を更に備え、
上記マスターアクチュエータは、上記マスターアクチュエータの動作が上記第2のプッシャアクチュエータの動作を引き起こすように、上記第2のプッシャアクチュエータに動作可能に接続され;
上記トルクリミッタは、上記マスターアクチュエータと上記第2のプッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続される、実施形態1に記載のアセンブリ。
【0070】
実施形態14
少なくとも1つのギヤボックスを更に備え、上記少なくとも1つのギヤボックスは、上記第1のプッシャアクチュエータ及び上記第2のプッシャアクチュエータを、上記マスターアクチュエータと並列に動作可能に接続するよう構成される、実施形態13に記載のアセンブリ。
【0071】
実施形態15
上記トルクリミッタは、上記少なくとも1つのギヤボックスと上記マスターアクチュエータとの間に動作可能に接続される、実施形態14に記載のアセンブリ。
【0072】
実施形態16
電極をガラス溶融容器に押し込む方法であって、上記方法は:
押圧アセンブリを電極の後面に近接して位置決めするステップであって、上記押圧アセンブリは:
枠;
シャフト;
上記枠に設置され、上記シャフトを上記枠に対して並進移動させるよう構成された、プッシャアクチュエータ;
上記シャフトに取り付けられ、上記枠に対して並進移動するよう構成された、接触機構;
マスターアクチュエータであって、上記マスターアクチュエータの動作が上記プッシャアクチュエータの動作を引き起こすように上記プッシャアクチュエータに動作可能に接続された、マスターアクチュエータ;及び
上記マスターアクチュエータと上記プッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された、トルクリミッタであって、上記トルクリミッタは、上記マスターアクチュエータに対する回転力が所定量を超えたときに係合解除されるよう構成される、トルクリミッタ
を備える、ステップ;並びに
上記マスターアクチュエータを操作することによって、上記接触機構による押圧力を上記電極の上記後面に印加するステップ
を含む、方法。
【0073】
実施形態17
上記マスターアクチュエータを操作する上記ステップは:
上記回転力を上記マスターアクチュエータに印加するステップ;及び
上記回転力が上記所定量を超えたときに、上記トルクリミッタを係合解除することによって、上記マスターアクチュエータを上記プッシャアクチュエータから係合解除するステップ
を含む、実施形態16に記載の方法。
【0074】
実施形態18
上記シャフトはねじで構成され、上記プッシャアクチュエータはスクリュージャッキで構成される、実施形態16に記載のアセンブリ。
【0075】
実施形態19
上記マスターアクチュエータは手動でも操作され、かつ動力によっても動作するよう構成される、実施形態16に記載の方法。
【0076】
実施形態20
上記押圧アセンブリは、上記マスターアクチュエータと上記プッシャアクチュエータとの間に動作可能に接続された少なくとも1つのギヤボックスを更に備える、実施形態16に記載の方法。
【符号の説明】
【0077】
10 押圧アセンブリ
34 容器
40 側壁
42 内側表面
44 チャンバ
80 電極、電極バンク
82 前面
84 後面
100 ベースアセンブリ
102 ベースプレート
104 ホイール
106 フロアーロック
160 横断方向ガイドレール
200 枠
202 前部プレート
204 下部プレート
206 枠プラットフォーム
208 クロスバー
210 枠組み
212a、212b 側面部材
214 上部部材
216 アパーチャ
262 横断方向移動機構
264 横断方向ロックデバイス
270 垂直方向ガイドレール
300 本体アセンブリ
304 トルクリミッタ
306 プッシャアクチュエータ
308 シャフト
310 本体プレート、後部プレート
312 一次ギヤボックス
314 二次ギヤボックス
316 計数デバイス
318 ハンドル
320 マスターアクチュエータ
322 ハンドホイール
324 動力入力
330 接触機構
332 接触ヘッド
334 遠位フランジ
336 近位フランジ
338 コイルばね
342 スタッドボルト
344 ねじ山付きナット
372 垂直方向移動機構
374 垂直方向ロックデバイス
410 垂直方向トラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7