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特許7569849インボリュート曲線形状のクラッディングアームを有するセグメントクラッディング本体を備える核分裂炉
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】インボリュート曲線形状のクラッディングアームを有するセグメントクラッディング本体を備える核分裂炉
(51)【国際特許分類】
   G21C 5/18 20060101AFI20241010BHJP
   G21C 5/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G21C5/18
G21C5/00 A
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022520139
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020053007
(87)【国際公開番号】W WO2021067157
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】62/907,753
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/032,007
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521440998
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティ・アドバンスト・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BWXT Advanced Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】インマン,ジェイムズ ビー
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン,ジョシュ ジェイ
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03274064(US,A)
【文献】特開平07-120575(JP,A)
【文献】特開2006-126147(JP,A)
【文献】特公昭38-016447(JP,B1)
【文献】特開昭56-133681(JP,A)
【文献】特開平01-172797(JP,A)
【文献】特開昭52-153096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/36,5/00-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を備える核分裂原子炉構造であって、
前記複数の層のそれぞれの層は、
内側セグメント本体の第1側面から内側セグメント本体の第2側面まで軸方向に延びる内側開口部を含む内側セグメント本体と、
前記内側セグメント本体の半径方向外側にある中間セグメント本体と、
前記中間セグメント本体の半径方向外側にある外側セグメント本体と、
前記内側セグメント本体と前記中間セグメント本体とを分離する第1内部接触面と、
前記中間セグメント本体と前記外側セグメント本体とを分離する第2内部接触面と、
を含み、
前記軸方向に延びる内側開口部に垂直な平面における平面断面図において、
前記内側セグメント本体は、前記内側開口部に隣接する第1半径方向内側端部から前記第1内部接触面の第1半径方向外側端部までらせん状に外側に放射する第1インボリュート曲線形状を有する複数の内側クラッディングアームを含み、
前記中間セグメント本体は、前記第1内部接触面に隣接する第2半径方向内側端部から前記第2内部接触面の第2半径方向外側端部までらせん状に外側に放射する第2インボリュート曲線形状を有する複数の中間クラッディングアームを含み、
前記外側セグメント本体は、前記第2内部接触面に隣接する第3半径方向内側端部から前記外側セグメント本体の半径方向外側表面の第3半径方向外側端部までらせん状に外側に放射する第3インボリュート曲線形状を有する複数の外側クラッディングアームを含み、
前記内側クラッディングアームは、前記内側セグメント本体の前記第1側面から前記内側セグメント本体の第2側面まで延びる対向する側面を有し、
少なくとも1つの突起が少なくとも1つの前記対向する側面から外側に突出し、
前記突起は、前記突起が突出する前記少なくとも1つの側面から遠位の頂面を有し、第1の内側クラッディングアームが第2の内側クラッディングアームにすぐ隣接する状態で、前記内側セグメント本体に組み立てられる場合、前記第1の内側クラッディングアームの前記突起の前記頂面は、前記第2の内側クラッディングアームの対向する側面に接触し、前記第1の内側クラッディングアームと前記第2の内側クラッディングアームとの間にチャネルを形成する、
核分裂原子炉構造。
【請求項2】
第1インボリュート曲線形状と、第2インボリュート曲線形状と、第3インボリュート曲線形状とは、前記内側開口部から前記外側セグメント本体の前記半径方向外側表面まで延びる連続したインボリュート曲線形状を形成する、
請求項1に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項3】
前記連続したインボリュート曲線形状の表面の突起は、前記第1内部接触面と前記第2内部接触面とを横切って延び、前記複数の内側クラッディングアームの1つの表面、前記複数の中間クラッディングアームの1つの表面、および前記複数の外側クラッディングアームの1つの表面のそれぞれと一致する、
請求項2に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項4】
前記第1インボリュート曲線形状、前記第2インボリュート曲線形状、および前記第3インボリュート曲線形状のそれぞれは、前記内側開口部から前記外側セグメント本体の半径方向外側表面まで延びる連続したインボリュート曲線形状の異なる部分に対応する、
請求項1に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項5】
前記第1インボリュート曲線形状、前記第2インボリュート曲線形状、および前記第3インボリュート曲線形状のそれぞれは、異なる曲率を有する、
請求項1に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項6】
前記複数の内側クラッディングアーム、前記複数の中間クラッディングアーム、および前記複数の外側クラッディングアームのそれぞれは、複数のチャンバを含む、
請求項1から5のいずれかに記載の核分裂原子炉構造。
【請求項7】
それぞれの前記クラッディングアームの前記チャンバは、ウェブにより互いに分離している、
請求項に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項8】
それぞれの前記内側クラッディングアームは、それぞれの前記外側クラッディングアームよりも多くのチャンバを有する、
請求項に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項9】
前記複数のチャンバは、10個以下である、
請求項に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項10】
それぞれの前記中間クラッディングアームは、それぞれの前記外側クラッディングアームと同数のチャンバを有する、
請求項に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項11】
前記チャンバは、核分裂性の燃料組成および減速材のうち1つを含む、
請求項に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項12】
前記クラッディングアームに沿って異なる位置にあるチャンバは、異なる核分裂性の燃料組成を含む、
請求項11に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項13】
前記クラッディングアームに沿って異なる位置にあるチャンバは、異なる減速材を含む、
請求項12に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項14】
前記核分裂性の燃料組成がチャンバ内に位置する場合、前記チャンバの1つの内面の少なくとも一部と、前記核分裂性の燃料組成を形成する本体の1つの外面の少なくとも一部との間に隙間が存在する、
請求項11に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項15】
それぞれの突起は、前記少なくとも1つの対向する側面に沿って、前記内側セグメント本体の前記第1側面に向かう第1端部から前記内側セグメント本体の前記第2側面に向かう第2端部まで連続して延びる、
請求項1に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項16】
それぞれの突起は、前記少なくとも1つの対向する側面に沿って、前記内側セグメント本体の前記第1側面に向かう第1端部から前記内側セグメント本体の前記第2側面に向かう第2端部まで不連続に延びる、
請求項1に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項17】
前記内側セグメント本体、前記中間セグメント本体、前記外側セグメント本体、前記第1内部接触面、および前記第2内部接触面は、層を画定する、
請求項1に記載の核分裂原子炉構造。
【請求項18】
第1端面、第2端面、および前記第1端面と前記第2端面とを接続する外側側面を有する核分裂原子炉構造に組み立てられた、請求項17に記載の複数の層と、
前記核分裂原子炉構造の前記外側側面の周りに配置された半径方向反射体と、
格納容器と、
前記格納容器の開口部を介して前記核分裂原子炉構造に流体連通する冷却材システムと、
を備える、
核分裂原子炉。
【請求項19】
前記核分裂原子炉構造は、円筒構造を有する、
請求項18に記載の核分裂原子炉。
【請求項20】
前記冷却材システムは、液体ベースまたは気体ベースである、
請求項18に記載の核分裂原子炉。
【請求項21】
前記複数の層のそれぞれにおける前記第1内部接触面と前記第2内部接触面とは、前記第1端から前記第2端まで活性炉心構造を横断する複数の二次冷却材チャネルを含む、
請求項18に記載の核分裂原子炉。
【請求項22】
請求項1に記載の前記核分裂原子炉構造を製造する方法であって、
前記内側セグメント本体と、前記中間セグメント本体のセグメントと、前記外側セグメント本体のセグメントと、を製造するステップであって、前記複数の内側クラッディングアーム、前記複数の中間クラッディングアーム、および前記複数の外側クラッディングアームのそれぞれは複数のチャンバを含む、ステップと、
前記内側セグメント本体と、前記中間セグメント本体のセグメントと、前記外側セグメント本体のセグメントと、を層に組み立てるステップであって、前記セグメント本体は、溶接および接着のうち1つにより組み立てられるステップと、
核分裂性の燃料組成および減速材のうち1つを前記複数のチャンバに配置して燃料装荷層を形成するステップと、
複数の前記燃料装荷層を前記核分裂原子炉構造に組み立てるステップと、
を含む、
方法。
【請求項23】
前記内側セグメント本体と、前記中間セグメント本体のセグメントと、前記外側セグメント本体のセグメントとは、積層造形プロセスを使用して製造される、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記核分裂原子炉構造を半径方向反射体の内部に位置するステップを含み、
前記核分裂原子炉構造は、円筒形状を有する、
請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の核分裂原子炉構造を製造する方法であって、
前記内側セグメント本体と、前記中間セグメント本体と、前記外側セグメント本体とを含む層を単一の構造として製造するステップであって、前記複数の内側クラッディングアーム、前記複数の中間クラッディングアーム、および前記複数の外側クラッディングアームのそれぞれは複数のチャンバを含む、ステップと、
核分裂性の燃料組成および減速材のうち1つを前記複数のチャンバに配置して燃料装荷層を形成するステップと、
複数の前記燃料装荷層を前記核分裂原子炉構造に組み立てるステップと、
を含む、
方法。
【請求項26】
前記内側セグメント本体、前記中間セグメント本体、および前記外側セグメント本体の前記単一の構造は、積層造形プロセスを使用して製造される、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記核分裂原子炉構造を半径方向反射体の内部に位置するステップを含み、
前記核分裂原子炉構造は、円筒形状を有する、
請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、核分裂炉(fission reactor)、および核分裂炉内の核分裂原子炉(nuclear fission reactor)空間に関する構造に関する。特に、核分裂性の核燃料組成を含む燃料要素などの熱生成構造は、クラッディング(cladding)などの格納構造により被覆されている。熱生成構造は、インボリュート曲線形状を有し、複数のそのような形状が組み立てられて、円筒型の原子炉層を形成する。インボリュート曲線形状は、円筒型の原子炉層の半径方向の位置に基づいて変化するが、インボリュート曲線形状の均一化により、所望の原子炉性能プロファイルを達成するためにそれぞれの熱生成構造に投入される燃料要素(または減速材および/または妨害物質(poisons)などの他の特徴)の固有の形状の数を最小化する。熱生成構造のインボリュート曲線形状により、燃料要素およびクラッディングの厚さを均一化することができる、および、個別の熱生成構造の間の冷却材空間を均一化することができる。本開示は、特に、熱生成構造の少なくともインボリュート曲線形状のクラッディング構造の、積層造形プロセスによる製造に適合している。開示されている核分裂炉は、小型船舶(宇宙船および人工衛星など)の動力源、核熱推進(NTP:nulcear thermal propulsion)、および同位体生成を含む様々な用途で使用するのに適している。
【背景技術】
【0002】
以下の議論において、特定の構造および/または方法について言及する。しかし、以下の参考文献は、これらの構造および/または方法が従来技術を構成することを認めるものとして解釈されるべきではない。出願人は、そのような構造および/または方法が、本発明に対する先行技術として的確でないことを証明する権利を明示的に留保する。
【0003】
核分裂炉用の新しい熱生成機能および構造を設計する際に、核分裂原子炉空間全体にわたるそれぞれの燃料要素の十分な冷却は、しばしば制限的な設計因子である。1つ前の原子炉の設計において、ウラン燃料は、例えば、冷間圧延プロセスにより圧延金属板内に封入されていた。図1の概略図を参照すると、2つのクラッド層(第1クラッド層4aおよび第2クラッド層4b)の間の燃料組成層2を含む層1の配置が、冷間圧延装置のローラ6のニップ(nip)に供給される。冷間圧延プロセスは、1つまたは複数の冷間圧延ステップにおいて、層1の配置の厚さを初期厚さから最終厚さまで減少させる。このプロセスにおいて、材料の様々な層(図示されている例では、燃料組成層2、および、2つのクラッド層4aおよび4b)が、クラッド層4aおよび4bが燃料組成層2の両側に封入層を提供する単一層構造8(図1において断面で示されている)に冶金学的に接合されて(metallurgically bonded)いる(図1において燃料組成層2と2つのクラッド層4aおよび4bとの間の界面に破線で示されている)。帯状または板状のいずれに形成されているかに関わらず、単位層構造8は、従来の金属成型技術を使用してさらに処理することができる。一実施例において、このような板状の単位層構造8をインボリュートの形状に湾曲させて、オークリッジ国立研究所(ORNL:Oak Ridge Natinoal Laboratory)にある核研究用原子炉である高中性子束同位体反応炉(HFIR:High Flux Isotope Reactor)10の炉心アセンブリ(図1に部分断面図を示す)に組み込んでいる。HFIR設計において、インボリュート形状12は、均一化された冷却材空間の間に配置された均一な厚さのウラン/クラッドプレートを提供する。
【0004】
HFIRにおける単一層構造およびインボリュート形状は、設計の柔軟性を低下させるいくつかの欠点を有する。例えば、中性子工学(neutronic)および熱管理要件に準拠するために、燃料組成層2の組成は、板または帯内の位置に対して空間的に不均一であるとともに、炉心アセンブリ内の位置に基づいて調整される。しかし、同時に、単一層構造の組成および層分布は、燃料組成層2と2つのクラッド層4aおよび4bとのプロセス、例えば冷間圧延の際に固定される。したがって、HFIRのそれぞれの位置の構造は、独自に構築された単一層構造を有していなければならず、独自に構築された単一層構造は、他の形式では互換性がない。
【発明の概要】
【0005】
上記を考慮すると、炉心アセンブリにおけるクラッド燃料要素の形状、位置、および組成をより柔軟に変化させることがより有利であろう。さらに、核分裂原子炉設計における中性子工学および熱管理要件を満たすことは、クラッド燃料要素の幾何学的および組成的な変化をより少なくしつつ、部品製造および核分裂原子炉の組み立ての複雑性も減少させることができるため有利であろう。さらに、モジュール化され反復性があり、十分な大きさの寸法の設計により、積層造形などの製造方法の適用が可能になる。
【0006】
核分裂原子炉の炉心設計における燃料要素の中性子工学および熱性能は、とりわけ、例えば、形状、大きさ、および相対位置などの燃料要素、燃料要素を囲むクラッディング、および冷却材チャネルの構造により、および燃料要素、クラッディング、および冷却材の熱輸送特性により、影響を受ける。上記のように、燃料要素の中性子工学および熱性能を満たしつつ、設計および製造の柔軟性および信頼性を向上させるために、代替設計が必要とされる。
【0007】
代替設計の一例(図2参照)では、一連の半径方向に同心の燃料リング32を含む層(層の60度部分30が図2に示されている)を円筒形の核分裂原子炉空間に組み立てる。それぞれの燃料リング32において、燃料リングのエッジ34aと内部ウェビング34bとは、クラッディングとして機能し、ボウタイ(bowtie)形状を有する燃料組成36を含む容積を画定する。エッジ34aとウェビング34bとはまた、図2において断面に円形の形状を有する冷却材チャネル38の形状を画定することができる。燃料組成36を含む容積は、燃料リング32のそれぞれにおいて同じ断面積を有する。同様に、それぞれの燃料リング32における冷却材チャネル38は、同じ断面積を有する。中性子工学および熱管理の目的のために、それぞれの燃料リング32は、異なる燃料組成(一定の燃料断面積の場合)または異なる燃料形状(一定の燃料組成の場合)を必要とする。例えば、リング32bに適合するサイズの燃料組成は、リング32fで使用することはできず、また、中性子工学および熱管理の観点からもうまく動作させることができない。したがって、さらなる例において、図2に示す10個のリング設計は、1つまたは複数の燃料組成および燃料形状が変化するいくつかの異なる燃料を必要とするであろう。
【0008】
代替設計の別の例(図3Aおよび図3Bに示す)は、部分50内に同心円状かつ放射状に分布した燃料要素54用のポケット52を含む層(層の15度部分50が図3Aおよび図3Bに示されている)を組み立てる。複数の部分50は、円筒形状の核分裂原子炉空間に組み立てることができる。図2の例と比較すると、図3Aおよび図3Bの例は、燃料要素54の形状をボウタイ形状からより三角形または矩形の形状に変更している。楕円形の冷却材孔56が、それぞれのポケット52の間のクラッドウェブ構造58に配置されている。図2の例と同様に、それぞれ異なる大きさおよび位置の燃料要素54は、異なる燃料組成または異なる燃料形状を必要とし、全体として、図3Aおよび図3Bの例においても、1つまたは複数の燃料組成および燃料形状が変化する十分大きい数の異なる燃料を必要とするであろう(ボウタイ形状からより三角形または矩形形状への変化により、このような要素の製造を単純化するだけでなく様々な燃料組成を有するこのような要素の製造を単純化するが)。しかし、図3Aおよび3Bに示す設計のための中性子工学および熱性能の分析は、燃料要素のための種々の異なる形状および位置のうち、適切に冷却することのできる唯一の燃料要素形状が、半径方向の最も外側の位置の薄い形状の燃料要素54a、すなわち、長さと幅の比率が最も大きい燃料要素であることを証明した。
【0009】
上記2つの例は、構造が中性子工学および熱性能基準を満たす核分裂炉のための熱生成機能および構造の設計における課題を示し、製造の複雑性と製造のばらつきとを低減する(そして、それによって製造上の欠陥の可能性を低減する)ために十分に共通の設計であり、および/または十分少ないばらつきを有している。
【0010】
一般に、本開示は、核分裂性の核燃料組成を含む燃料要素がインボリュート曲線の形状を有する封入クラッディング構造の軸に沿って配置された核分裂原子炉構造に関する。複数のそのようなインボリュート曲線形状のクラッディング構造がリングを形成するよう配置され、複数の同心リングが核分裂原子炉構造の層を形成するよう配置される。複数の層自体が組み立てられて、核分裂原子炉構造を形成する。例示的な実施の形態において、核分裂原子炉構造は、核分裂原子炉の活性炉心(active core)領域である。
【0011】
本明細書に開示される実施の形態はまた、複数の層を含む核分裂原子炉構造をも含む。複数の層のそれぞれの層は、内側セグメント本体の第1側面から内側セグメント本体の第2側面まで軸方向に延びる内側開口部を含む内側セグメント本体と、内側セグメント本体の半径方向外側にある中間セグメント本体と、中間セグメント本体の半径方向外側にある外側セグメント本体と、を含む。第1内部接触面(interior interface)は、内側セグメント本体と中間セグメント本体とを分離し、第2内部接触面は、中間セグメント本体と外側セグメント本体とを分離する。軸方向に延びる内側開口部に垂直な平面における断面平面図において、内側セグメント本体は、内側開口部に隣接する第1半径方向内側端部から第1内部接触面の第1半径方向外側端部までらせん状に外側に放射する(radiates)第1インボリュート曲線形状を有する複数の内側クラッディングアームを含む。中間セグメント本体は、第1内部接触面に隣接する第2半径方向内側端部から第2内部接触面の第2半径方向外側端部までらせん状に外側に放射する第2インボリュート曲線形状を有する複数の中間クラッディングアームを含む。外側セグメント本体は、第2内部接触面に隣接する第3半径方向内側端部から外側セグメント本体の半径方向外側表面の第3半径方向外側端部までらせん状に外側に放射する第3インボリュート曲線形状を有する複数の外側クラッディングアームを含む。
【0012】
本明細書に開示される実施の形態はまた、本明細書に開示される複数の層を備える核分裂原子炉を含む。複数の層は、第1端面と、第2端面と、第1端面を第2端面に接続する外側面と、を有する核分裂原子炉構造に組み立てられる。また、活性炉心構造の外側面の周囲に配置された半径方向反射体(radial reflector)と、圧力容器と、圧力容器の開口を介して活性炉心構造と流体連通する冷却材システムと、も含まれる。
【0013】
本明細書に開示される実施の形態はまた、本明細書に開示される核分裂原子炉構造を製造する方法をも含む。方法は、内側セグメント本体と、中間セグメント本体のセグメントと、外側セグメント本体のセグメントと、を製造することと、ここで、複数の内側クラッディングアーム、複数の中間クラッディングアーム、および複数の外側クラッディングアームのそれぞれは、複数のチャンバを含む、内側セグメント本体と、中間セグメント本体のセグメントと、外側セグメント本体のセグメントと、を層に組み立てることと、ここで、セグメント本体は、溶接および接合のうち1つにより組み立てられる、核分裂性の燃料組成および減速材の1つを複数のチャンバに配置して燃料装荷層(fuel-loaded layer)を形成することと、複数の燃料装荷層を核分裂原子炉構造に組み立てることと、を含む。
【0014】
本明細書に開示される核分裂原子炉構造を製造する方法の、代替的な実施の形態において、方法は、単一構造として、内側セグメント本体と、中間セグメント本体と、外側セグメント本体と、を含む層を製造することと、ここで、複数の内側クラッディングアーム、複数の中間クラッディングアーム、および複数の外側クラッディングアームのそれぞれは、複数のチャンバを含む、核分裂性の燃料組成および減速材の1つを複数のチャンバに配置して燃料装荷層を形成することと、複数の燃料装荷層を核分裂原子炉構造に組み立てることと、を含む。
【0015】
さらに、開示された原子炉および炉心は、複雑な機械的形状を有するが、元素金属または金属合金の3D印刷などの積層造形技術を使用して層ごとに一体的かつ反復的に製造することにより、本明細書に開示される構造および特徴をより容易に製造することができる。
【0016】
上述の概要、ならびに実施の形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとより良く理解することができる。図示された実施の形態は、正確な配置および手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】先行技術の高中性子束同位体反応炉(HFIR)におけるクラッド燃料構造の形成に関連する構造およびプロセスを概略的に示す図
図2】第1の実施の形態において、組み立てられた層が一連の半径方向に同心の燃料リングを含む設計の層の60度部分を概略的に示す図
図3A】第2の実施の形態において、同心円状かつ放射状に分布した燃料要素用のポケットを含む設計の層の15度部分を概略的に示す図
図3B】ポケットに部分的に挿入された燃料要素を有する同じ部分を概略的に示す図
図4】活性炉心領域が、それぞれ第1インボリュート曲線形状を有するクラッディングアームを含む一連の同心セグメント本体を有する第3の実施の形態の層から組み立てられた核分裂原子炉の簡略化した例を概略的に示す部分分解斜視図
図5】層に組み立てられた、それぞれがインボリュート曲線形状を有する一連の同心セグメント本体を概略的に示す上面図
図6A】内側セグメント本体の実施の形態を概略的に示す上面図
図6B図6Aに示す内側セグメント本体の部分拡大図
図6C】クラッディングアームの端部の表面特徴の例を示す図
図7A】中間セグメント本体の実施の形態を概略的に示す上面図
図7B図7Aに示す中間セグメント本体の部分拡大図
図8A】外側セグメント本体の実施の形態を概略的に示す上面図
図8B図8Aに示す外側セグメント本体の部分拡大図
図9】クラッディングアームのインボリュート形状の曲線の表面が内側セグメント本体、中間セグメント本体、および外側セグメント本体にわたって連続している例を示す図
図10】内側クラッディングアームのそれぞれが6つのチャンバを含むことができ、中間クラッディングアームおよび複数の外側クラッディングアームのそれぞれが2つのチャンバを含むことができる層の例を示す図
図11】クラッディングアームの例を概略的に示す図
図12】内側本体セグメント502と、中間セグメント本体504と、外側セグメント本体と、を含む層の実施の形態を示す図であり、それぞれが複数のチャンバとそれぞれのセグメント本体の上に位置する複数の燃料組成本体を含む図
図13A】本明細書に開示されるインボリュート曲線形状のクラッディングアーム設計における熱分析研究の結果を示す図
図13B図13Aに示す内側セグメントクラッディングアームの部分拡大図
図14A】セグメント本体の様々な部分から層を組み立てるステップを示す流れ図
図14B】セグメント本体の様々な部分から層を組み立てるステップを示す流れ図
図14C】層への燃料組成および/または減速材組成ならびに妨害物質の装荷のステップを示す流れ図
図14D】核分裂原子炉構造に複数の層を組み立てるステップを示す流れ図
図15】核分裂原子炉構造に組み立てられた複数の層を含む核分裂原子炉の実施の形態を概略的に示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
見やすくするために、いくつかの例では、図中の名前の付いた特徴の一部だけに参照符号が付されている。
【0019】
図4は、核分裂原子炉100の簡略化された例示的な実施の形態を概略的に示す部分分解図である。核分裂原子炉100は、第1端面106と、第2端面108と、活性炉心構造104の長手方向軸112に沿って配置された第1端面106と第2端面108とを接続する外側面110と、を有する核分裂原子炉炉心構造104に組み立てられた複数の層102を備える。層102は、本明細書でさらに説明されるように、内側セグメント本体と、中間セグメント本体と、外側セグメント本体と、第1内部接触面と、第2内部接触面と、により画定される。核分裂原子炉100はまた、活性炉心構造104の外側面110の周囲に配置された半径方向反射体114も備える。活性炉心構造104は円筒構造で示されているが、活性炉心構造が任意の中性子工学および熱管理特性を示す限り、任意の適切な幾何学的形状を利用することができる。例示的な実施の形態において、活性炉心構造104は、活性炉心構造の直径(DRX)に対する活性炉心領域の長さ(LRX)の比率が約1(すなわち、LRX/DRX=1±0.05)であるよう、十分な層102を有する。一般に、半径方向反射体114は、そうでなければ逃げてしまう中性子を炉心に散乱(または反射)させることにより、核分裂原子炉100の中性子漏洩を低減する。このため、設計上の実効増倍率(keff)を増加させ、臨界を維持するために必要な燃料の量を低減する。圧力容器および圧力容器の開口を介して活性炉心構造に流体連通する冷却材システム(圧力容器120および冷却材システム130として概略的に示されている)もまた提供される。
【0020】
任意の適切な半径方向反射体、圧力容器、および冷却材システムを核分裂原子炉100に組み込むことができる。例えば、冷却材システムは、液体ベースであっても気体ベースであってもよい。冷却材システムが気体ベースである場合、断面がアニュラス(annulus)形状を有する気密の解放円筒形状を提供するよう、外周面、すなわち隣接する層102の外側面に対応する接触面と、内周面とで、溶接接合を用いて隣接する層102に一緒に溶接することにより、複数の層102を活性炉心構造104に組み立てることができる。気体ベースの冷却材システムでは、活性炉心領域の全体を気体が巡回することが許容されるため、最外面のみが気密性を有していればよい。冷却材システムが液体ベースである場合、冷却材チャネルが互いに分離している一方で、それぞれが第1端部から第2端部まで活性炉心構造を横切る冷却材の連続経路を提供するよう、隣接する層102の対向する面は互いに接合される。
【0021】
1つの層102における冷却材チャネルなどの特徴(features)と、隣接する層102における特徴とを位置合わせすることを支援するために、位置合わせ補助器具(alignment aids)を使用することができる。隣接する層102の隣接する表面上にある受け入れ空間に、例えば、挿入することによりまたは受け入れられることにより、嵌合または挿入された1つの層102の表面の突出したレジストリ特徴(registry features)を使用するクロッキング技術を適用することができる。ピン、ノッチ、成形された突起などを含む他のレジストリ特徴を使用することもできる。さらに、位置合わせチャネルまたはスクライブマークなどの他の位置合わせ補助器具を使用することもできる。また、位置合わせ補助器具は、隣接する内面および連続的な外側面110を含む1つまたは複数の様々な適切な表面に配置することができる。
【0022】
開示される核分裂原子炉構造は、複数の層を備える。それぞれの層は、一連の同心に配置されたセグメント本体を含む。それぞれのセグメント本体は、インボリュート曲線形状を有するクラッディングアームを含む。図5は、一連の同心セグメント本体210、240、270を概略的に示す上面図である。これらのそれぞれは、層200に組み立てられた第1インボリュート曲線形状を有するクラッディングアームを含む。例示的な実施の形態において、核分裂原子炉構造は、内部セグメント本体210と、中間セグメント本体240と、外側セグメント本体270と、を備える。中間セグメント本体240は、内側セグメント本体210の半径方向外側にあり、外側セグメント本体270は中間セグメント本体240の半径方向外側にある。接触面は、半径方向に隣接する連続したセグメント本体から1つのセグメント本体を分離する。例えば、第1内部接触面212は、内側セグメント本体210と中間セグメント本体240とを分離し、第2内部接触面242は、中間セグメント本体240と外側セグメント本体270とを分離する。
【0023】
核分裂原子炉構造は、核分裂原子炉構造の第1軸方向端部から核分裂原子炉構造の第2軸方向端部まで軸方向に延びる内側開口部を含む(通常、核分裂原子炉構造の長手方向軸に対応する)。この内側開口部は、冷却材チャネルとして機能することができるが、(冷却材チャネルと組み合わせて、または冷却材チャネルとは別に)原子炉制御装置、制御棒、センサ、または放射性同位元素製造装置を収容するよう機能することもできる。それぞれの層は、複数の層が核分裂原子炉構造に組み立てられている場合に内側開口部の一部を画定する、対応する内側開口部を有する。
【0024】
図5は、層に対する上面図、および組み立てられた核分裂原子炉に対する断面の平面図における、軸方向に延びる内側開口部202の軸に垂直な平面のそれぞれにおける、層200の実施の形態を示す。層200は、層200の第1側面204から層200の第2側面206まで軸方向に延びる内側開口部202を含む内側セグメント本体210を含む。層200はまた、内側セグメント本体210の半径方向外側にある中間セグメント本体240と、中間セグメント本体240の半径方向外側にある外側セグメント本体270と、を含む。同心に配置されたセグメント本体210、240、270は、互いに接合されて、接触面で層200を形成している。セグメント本体を接合して、任意の適切な手段により接触面を形成することができる。いくつかの実施の形態において、セグメント本体を接合して、溶接により接触面を形成することができる。他の実施の形態において、セグメント本体を接合して、圧縮フィッティング(compression fitting)により接触面を形成することができる。いずれの場合も、第1内部接触面212は内側セグメント本体210と中間セグメント本体240とを分離し、第2内部接触面242は、中間セグメント本体240と外側セグメント本体270とを分離する。
【0025】
図6Aは、内側セグメント本体210に対する上面図、および組み立てられた核分裂原子炉構造に対する断面の平面図において、それぞれの場合、軸方向に延びる内部開口部202の軸に垂直な平面で、内側セグメント本体210の実施の形態を示す。図6Bは、図6Aに示す内側セグメント本体210の部分P1を示す拡大図である。内側セグメント本体210は、内部開口部202に隣接する第1半径方向内側端部216から、組み立てられた層200で第1内部接触面212の一部を形成するまたは一部である外側エッジ220の第1半径方向外側端部218まで、らせん状に外側に放射する第1インボリュート曲線形状を有する複数の内側クラッディングアーム214を含む。複数の内側クラッディングアーム214は、複数のチャンバ222を含む。複数のチャンバ222は、内側クラッディングアーム214の長さに沿って分布している。それぞれのクラッディングアーム214において、それぞれのチャンバ222がウェブ224により囲まれて、第1チャンバ222aがウェブ224の一部により隣接するチャンバ222bから分離するよう、それぞれのチャンバ222は、内側セグメント本体210を形成する材料のウェブ224の内部に含まれている。本明細書で説明するように、チャンバ214は、核分裂性の燃料組成(または、減速材および妨害物質などの他の組成)を含み、ウェブ224は、核分裂性の燃料組成または他の組成のクラッディングとして機能する。
【0026】
1つまたは複数の冷却材開口部230は、1つのクラッディングアーム214の複数のチャンバ222と隣接する内側クラッディングアーム214の複数のチャンバ222と(例えば、1つの内側クラッディングアーム214aのチャンバ222cと隣接するクラッディングアーム214bのチャンバ222dと(図6B参照))の間に配置される。冷却材開口部230は、内側クラッディングアーム214を通って、内側セグメント本体210の厚さ方向に、内側セグメント本体210の第1側面204’から内側セグメント本体210の第2側面206’まで延びる。
【0027】
冷却材開口部230は、様々な形態であり得る。例えば、内側セグメント本体210のウェブ224が単一の本体である場合、冷却材開口部230は、最初のウェブ製造中に、例えば、積層造形プロセスの層ごとの堆積プロセス中に、ウェブに形成することができる、または、ウェブ製造後に、ドリル(drilling)、フライス(milling)、プランジフライス(plunge milling)等の材料除去プロセスにより、または放電加工機(EDM:electrical discharge machining)プロセスを使用して、ウェブに形成することができる、1つまたは複数の通路、チャネル、または他の開口部である。別の例では、それぞれのクラッディングアーム214が単一の本体として形成され、複数のクラッディングアーム214が内側セグメント本体210を形成するよう接合されている場合、冷却材開口部230は、内側クラッディングアーム214のエッジ、すなわち、内側セグメント本体210の第1側面204’を形成する内側クラッディングアーム214の表面と、内側セグメント本体210の第2側面206’を形成する内側クラッディングアーム214の表面と、内側クラッディングアーム214の第1半径方向内側端部216の表面と、内側クラッディングアーム214の第1半径方向外側端部218の表面と、により境界を定められたエッジにある特徴により形成される、通路または他の開口部である。これに関して、クラッディングアーム214のエッジは、隣接するクラッディングアーム214のエッジにより接触する場合、1つまたは複数の通路、チャネル、または他の開口部を形成する、溝、リブ、突起、または他の表面特徴を含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施の形態において、表面特徴は、エッジの周辺に沿って位置する目立たない領域である。他の実施の形態において、表面特徴は、少なくとも1つの対向する側面に沿って、連続的にまたは不連続的に、内側セグメント本体の第1側面に向かう第1端部から内側セグメント本体の第2側面に向かう第2端部まで延びる。異なる表面特徴の組み合わせもまた実施することができる。さらに、表面特徴は、クラッディングアームの1つのエッジのみに存在してもよいし、クラッディングアームの両方のエッジに配置されていてもよい。一例として、表面特徴は突起である。突起の非限定的な例には、バンプ(bumps)、ノブ(knobs)、またはメサのような(mesa-like)特徴と共通点のある特徴が含まれ、規則的な形状または不規則な形状の両方が含まれる。
【0029】
表面特徴は、突起が突出している少なくとも1つの対向する側面から遠位にある上面を有する。すぐ隣のクラッディングアームを有するセグメント本体に組み立てられる場合、突起の上面はすぐ隣のクラッディングアームの対向する側面に接触し、突起の高さまたは突出距離は、2つのクラッディングアームの間のスタンドオフ(stand-off)分離を提供する。このスタンドオフ分離は、2つのクラッディングアームの間のチャネルを形成する。存在する場合、いくつかの実施の形態において、表面特徴の位置が第1チャンバ222aを隣接するチャンバ222bから分離するウェブ224の部分に一致しないよう、そのような表面特徴は、クラッディングアーム214の半径方向に延びる長さに沿ってオフセットされていてもよい。異なる冷却材開口部の組み合わせもまた実施することができる。一例として、図6Cは、クラッディングアーム(この場合、内側クラッディングアーム214の例)のエッジ上の表面特徴(この場合、リブ234)を示す。しかし、表面特徴は、同様に、エッジ面と1つまたは複数の内側クラッディングアーム214、中間クラッディングアーム244、および外側クラッディングアーム272のいずれかまたは両方に存在し得る。
【0030】
いくつかの実施の形態において、そうでなければ個々のクラッディングアーム214またはクラッディングアーム214のグループを接合することから存在するであろう開口部202の内径を形成する表面での溶接または他の構造を避けるよう、内側セグメント本体210が単一の本体として形成されることが好ましい。
【0031】
内側クラッディングアーム214のインボリュート曲線形状を見やすくするため、内側クラッディングアーム214の実施の形態が、図6Aに概略的に示されている。図示された実施の形態において、内側クラッディングアーム214のインボリュート曲線形状の2つの曲線辺(curving sides)232a、232bは、1つのクラッディングアーム214における複数のチャンバ222と隣接するクラッディングアーム214における複数のチャンバ222との間に位置するウェブ224の中間点に接続する線に位置する。インボリュート曲線形状自体は、第1半径方向内側端部216の中間点から第1半径方向外側端部218の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が一定(すなわち、幅が内側クラッディングアーム214のインボリュート曲線形状の2つの対向する曲線辺232a、232bの間の距離)であってもよい。あるいは、インボリュート曲線形状は、第1半径方向内側端部216の中間点から第1半径方向外側端部218の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が変化してもよい。例えば、インボリュート曲線形状は、第1半径方向内側端部216の中間点から第1半径方向外側端部218の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が増加し続けてもよい、または幅が減少し続けてもよい。
【0032】
図7Aは、中間セグメント本体240に対する上面図、および組み立てられた核分裂原子炉構造に対する断面の平面図において、それぞれの場合、軸方向に延びる内部開口部202の軸に垂直な平面で、中間セグメント本体240の実施の形態を示す。図7Bは、図7Aに示す中間セグメント本体240の部分P2を示す拡大図である。図7Aにおいて、中間セグメント本体240は、層200を形成する内側セグメント本体210および外側セグメント本体270の文脈で示されている。
【0033】
中間セグメント本体240は、組み立てられた層200において第1内部接触面212を形成するまたはその一部である内側開口部248に隣接する第2半径方向内側端部246から、組み立てられた層200において第2内部接触面242を形成するまたはその一部である外側エッジ256にある第2半径方向外側端部250までらせん状に外側に放射する第2インボリュート曲線形状を有する内側クラッディングアーム244を含む。複数の中間クラッディングアーム244は、少なくとも1つのチャンバ252を含む、あるいは、複数のチャンバ252a、252b(例えば、図9および図10も参照)を含む。図7Bにおいて、チャンバ252は、2つの中間クラッディングアーム244にのみ示されているが、追加の中間クラッディングアーム244、代替的にすべての中間クラッディングアーム244が1つまたは複数のチャンバ252を含むこともできる。チャンバ252は、中間クラッディングアーム244の長さに沿って延びる、または、複数のチャンバが含まれる場合、チャンバ252a、252bは、中間クラッディングアーム244の長さに沿って分布する。それぞれの中間クラッディングアーム244において個別のチャンバ252がウェブ254に封入されるよう、チャンバ252(または、複数のチャンバが含まれる場合、チャンバ252a、252b)は、中間セグメント本体240を形成する材料のウェブ254内に含まれる。さらに、複数のチャンバ252が含まれる場合、第1チャンバ252aは、ウェブ254の部分により隣接するチャンバ252bから分離される(図9および図10も参照)。本明細書で説明するように、チャンバ252は、核分裂性の燃料組成(または、減速材および妨害物質などの他の組成)を含むことができ、ウェブ254は、核分裂性の燃料組成または他の組成のためのクラッディングとして機能する。
【0034】
内側セグメント本体210と同様に、中間セグメント本体240は、1つの中間クラッディングアーム244にあるチャンバ252または複数のチャンバ252a、252bと隣接する中間クラッディングアーム244にある複数のチャンバ252または複数のチャンバ252a、252bとの間に位置することのできる1つまたは複数の冷却材開口部258を含むことができる。冷却材開口部258は、中間クラッディングアーム244を通って、中間セグメント本体240の厚さ方向に、中間セグメント本体240の第1側面204’’から中間セグメント本体240の第2側面206’’まで延びる。
【0035】
また、内側セグメント本体210と同様に、中間セグメント本体240に関連する冷却材開口部258は、様々な形態であり得る(中間セグメント本体240に関連する冷却材開口部258は内側セグメント本体210にある冷却材開口部230と同一であっても異なっていてもよいが)。例えば、中間セグメント本体240のウェブ254が単一の本体である場合、冷却材開口部は、最初のウェブ製造中に、例えば、積層造形プロセスの層ごとの堆積プロセス中に、ウェブに形成することができる、またはウェブ製造後に、ドリル、フライス、プランジフライス等の材料除去プロセスにより、または放電加工機(EDM)プロセスを使用して、ウェブに形成することができる、1つまたは複数の通路、チャネル、または他の開口部である。別の例では、それぞれの中間クラッディングアーム244が単一の本体として形成され、複数の中間クラッディングアーム244が中間セグメント本体240を形成するよう接合されている場合、冷却材開口部258は、中間クラッディングアーム244のエッジ、すなわち、中間セグメント本体240の第1側面204’’を形成する中間クラッディングアーム244の表面と、中間セグメント本体240の第2側面206’’を形成する中間クラッディングアーム244の表面と、中間クラッディングアーム244の第2半径方向内側端部246の表面と、中間クラッディングアーム244の第2半径方向外側端部250と、により境界を定められたエッジにある表面特徴により形成される、通路または他の開口部であり得る。これに関して、クラッディングアーム244のエッジは、隣接する中間クラッディングアーム244のエッジにより接触する場合、1つまたは複数の通路、チャネル、または他の開口部を形成する、溝、リブ、または他の表面特徴を含んでもよい。これに関して、中間クラッディングアーム244のエッジは、内側クラッディングアーム214および図6Cに関して本明細書に説明されたおよび/または示された表面特徴のいずれかを含むことができる。存在する場合、いくつかの実施の形態において、表面特徴の位置が第1チャンバ252aを隣接するチャンバ252bから分離するウェブ254の一部と一致しないよう、そのような表面特徴は、半径方向に延びる中間クラッディングアーム244の長さに沿ってオフセットされてもよい。異なる冷却材開口部の組み合わせもまた実施することができる。
【0036】
いくつかの実施の形態において、そうでなければ個々の中間クラッディングアーム244または中間クラッディングアーム244のグループを接合することから存在するであろう開口部248の内径を形成する表面260での溶接または他の構造を避けるよう、中間セグメント本体240が単一の本体として形成されることが好ましい。いくつかの実施の形態において、開口部248の内径を形成する表面260および中間セグメント本体240の外側エッジ256の一方または両方は、(表面260に見られるように)滑らかな表面であってもよく、または、(外側エッジ256の表面に見られるように)一連の山と谷とを有する畝(ridge)であってもよい。開口部248を形成する表面260および外側エッジ256の表面の形態は、組み立てられた層200の内部にあるそれらが隣接する表面に対して相補的であってもよい。しかし、完全に相補的でない場合、冷却材チャネルとして機能することができる隙間が存在してもよい、または、アダプタ構造を使用して、接触面で不適合な(non-conforming)表面を嵌合させることができる。例えば、第1内部接触面は、第1端部から第2端部まで活性炉心構造を横断する複数の二次冷却材チャネルを含むことができる。また、表面が相補的でない場合、アダプタ構造を使用して、接触面で不適合な表面を嵌合させることができる。さらなる代替案として、二次冷却材チャネルとアダプタ構造との組み合わせも実施することができる。
【0037】
中間クラッディングアームのインボリュート曲線形状を見やすくするために、中間クラッディングアーム244の実施の形態を図7Aに概略的に示す。図示された実施の形態において、中間クラッディングアーム244のインボリュート曲線形状の2つの曲線辺262a、262bが、1つの中間クラッディングアーム244におけるチャンバ252または複数のチャンバ252a、252bと隣接する中間クラッディングアーム244におけるチャンバ252または複数のチャンバ252a、252bとの間に位置するウェブ254の中間点に接続された線に位置する。インボリュート曲線形状自体は、第2半径方向内側端部246の中間点から第2半径方向外側端部250の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸方向に沿った位置の関数として、一定の幅(すなわち、幅が、中間クラッディングアーム244のインボリュート曲線形状の2つの対向する曲線辺262a、262bの間の距離である場合)であってもよい。あるいは、インボリュート曲線形状は、第2半径方向内側端部246の中間点から第2半径方向外側端部250の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が変化してもよい。例えば、インボリュート曲線形状は、第2半径方向内側端部246の中間点から第2半径方向外側端部250の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が増加し続けてもよい、または幅が減少し続けてもよい。
【0038】
図8Aは、外側セグメント本体270に対する上面図、および組み立てられた核分裂原子炉構造に対する断面の平面図において、それぞれの場合、軸方向に延びる内側開口部202の軸に垂直な平面で、外側セグメント本体270の実施の形態を示す。図8は、図8Aに示す外側セグメント本体270の部分P3を示す拡大図である。
【0039】
外側セグメント本体270は、組み立てられた層200において第2内部接触面242を形成するまたはその一部である内側開口部276に隣接する第3半径方向内側端部274から、組み立てられた層200において半径方向最外エッジを形成するまたはその一部である(または、追加のセグメント本体が図示された3つを超えて含まれる場合、組み立てられた層200においてさらなる接触面を形成するまたはその一部である)外側エッジ280にある第3半径方向外側端部278までらせん状に外側に放射する第3インボリュート曲線形状を有する外側クラッディングアーム272を含む。複数の外側クラッディングアーム272は、少なくとも1つのチャンバ282を含む、あるいは、複数のチャンバ282a、282b(例えば、図9および図10も参照)を含む。図8Bにおいて、チャンバ282は、2つの外側クラッディングアーム272にのみ示されているが、追加の外側クラッディングアーム272、代替的にすべての外側クラッディングアーム272が1つまたは複数のチャンバ282を含むこともできる。チャンバ282は、外側クラッディングアーム272の長さに沿って延びる、または、複数のチャンバが含まれる場合、チャンバ282a、282bは、外側クラッディングアーム272の長さに沿って分布する。それぞれの外側クラッディングアーム272において個別のチャンバ282がウェブ284に封入されるよう、チャンバ282(または、複数のチャンバが含まれる場合、チャンバ282a、282b)は、外側セグメント本体270を形成する材料のウェブ284内に含まれる。さらに複数のチャンバ282が含まれる場合、第1チャンバ282aは、ウェブ284の部分により隣接するチャンバ282bから分離される(図9および図10も参照)。本明細書で説明するように、チャンバ282は核分裂性の燃料組成(または、減速材および妨害物質などの他の組成)を含むことができ、ウェブ284は核分裂性の燃料組成または他の組成のためのクラッディングとして機能する。
【0040】
内側セグメント本体210および中間セグメント本体240と同様に、外側セグメント本体270は、1つの外側クラッディングアーム272にあるチャンバ282または複数のチャンバ282a、282bと隣接する外側クラッディングアーム272にあるチャンバ282または複数のチャンバ282a、282bとの間に位置することのできる1つまたは複数の冷却材開口部286を含むことができる。冷却材開口部286は、外側クラッディングアーム272を通って、外側セグメント本体270の厚さ方向に、外側セグメント本体270第1側面204’’’から外側セグメント本体270の第2側面206’’’まで延びる。
【0041】
また、内側セグメント本体210および中間セグメント本体240と同様に、外側セグメント本体270に関連する冷却材開口部286は、様々な形状であり得る(外側セグメント本体270に関連する冷却材開口部286は、中間セグメント本体240にある冷却材開口部258および内側セグメント本体210にある冷却材開口部230の1つまたは複数と同一であっても異なっていてもよいが)。例えば、外側セグメント本体270のウェブ284が単一の本体である場合、冷却材開口部は、最初のウェブ製造中に、例えば、積層造形プロセスの層ごとの堆積プロセス中に、ウェブに形成することができる、またはウェブ製造後に、ドリル、フライス、プランジフライス等の材料除去プロセスにより、または放電加工機(EDM)プロセスを使用して、ウェブに形成することができる、1つまたは複数の通路、チャネル、または他の開口部である。別の例では、それぞれの外側クラッディングアーム272が単一の本体として形成され、複数の外側クラッディングアーム272が外側セグメント本体270を形成するよう接合されている場合、冷却材開口部286は、外側クラッディングアーム272のエッジ、すなわち、外側セグメント本体270の第1側面204’’’を形成する外側クラッディングアーム272の表面と、外側セグメント本体270の第2側面206’’’を形成する外側クラッディングアーム272の表面と、外側クラッディングアーム272の第3半径方向内側端部274の表面と、外側クラッディングアーム272の第3半径方向外側端部278の表面と、により境界を定められたエッジにある表面特徴により形成される、通路または他の開口部であり得る。これに関して、外側クラッディングアーム272のエッジは、隣接する外側クラッディングアーム272のエッジにより接触する場合、1つまたは複数の通路、チャネル、または他の開口部を形成する、溝、リブ、または他の表面特徴を含んでもよい。これに関して、中間クラッディングアーム244のエッジは、内側クラッディングアーム214および図6Cに関して本明細書に説明されたおよび/または示された表面特徴のいずれかを含むことができる。存在する場合、いくつかの実施の形態において、表面特徴の位置が、第1チャンバ282aを隣接するチャンバ282bから分離するウェブ284の部分と一致しないよう、そのような表面特徴は、半径方向に延びる外側クラッディングアーム272の長さに沿ってオフセットされてもよい。異なる冷却材開口部の組み合わせもまた実施することができる。
【0042】
いくつかの実施の形態において、開口部276の内径を形成する表面288および外側セグメント本体270の外側エッジ280の一方または両方は、(表面288に見られるように)滑らかな表面であってもよく、または、(外側エッジ280の表面に見られるように)一連の山と谷とを有する畝であってもよい。開口部276の内径を形成する表面288の形態は、組み立てられた層200の内部にあるそれらが隣接する表面に対して相補的であってもよい。また、さらなるセグメント本体が外側セグメント本体270の半径方向外側にある場合、外側エッジ280の表面の形態は、組み立てられた層200の内部にあるそれが隣接する表面と相補的であってもよい。しかし、表面が完全に相補的でない場合、冷却材チャネルとして機能することができる隙間が存在してもよい。例えば、第2内側接触面は、第1端部から第2端部まで活性炉心構造を横断する複数の二次冷却材チャネルを含むことができる。また、これらの表面が完全に相補的でない場合、アダプタ構造を使用して接触面で不適合な表面を嵌合させることができる。さらなる代替案として、二次冷却材チャネルとアダプタ構造との組み合わせも実施することができる。
【0043】
外側クラッディングアームのインボリュート曲線形状を見やすくするために、外側クラッディングアーム244の実施の形態を図8Aに概略的に示す。図示された実施の形態において、外側クラッディングアーム272のインボリュート曲線形状の2つの曲線辺292a、292bが、1つの外側クラッディングアーム272におけるチャンバ282または複数のチャンバ282a、282bと隣接する中間クラッディングアーム272におけるチャンバ282または複数のチャンバ282a、282bとの間に位置するウェブ284の中間点に接続された線に位置する。インボリュート曲線形状自体は、第3半径方向内側端部274の中間点から第3半径方向外側端部278の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、一定の幅(すなわち、幅が、外側クラッディングアーム244のインボリュート曲線形状の2つの対向する曲線辺292a、292bの間の距離である場合)であってもよい。あるいは、インボリュート曲線形状は、第3半径方向内側端部274の中間点から第3半径方向外側端部278の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が変化してもよい。例えば、インボリュート曲線形状は、第3半径方向内側端部274の中間点から第3半径方向外側端部278の中間点まで延びるインボリュート曲線形状の軸に沿った位置の関数として、幅が増加し続けてもよい、または幅が減少し続けてもよい。
【0044】
いくつかの実施の形態において、集合的に考慮すると、第1インボリュート曲線形状、第2インボリュート曲線形状、および第3インボリュート曲線形状は、共通のインボリュート曲線形状を共有している。したがって、内側クラッディングアームの表面、中間クラッディングアームの表面、および外側クラッディングアームの表面は、内側開口部から外側セグメント本体の半径方向外側表面まで延びる連続したインボリュート曲線形状を形成する。例えば、図9に示すように、内側クラッディングアームの第1インボリュート曲線形状の曲線辺232a、232bの表面が第1内部接触面212を横切って突出している場合、突起は、中間クラッディングアームの第2インボリュート曲線形状の曲線辺262a、262bの表面と一致する。結果として、内側クラッディングアームの第1インボリュート曲線形状の曲線辺232a、232bの表面と、中間クラッディングアームの第2インボリュート曲線形状の曲線辺262a、262bの表面とを含む1つの連続したインボリュート曲線形状が存在する。さらなる例として、上述の連続したインボリュート曲線形状が、第2内部接触面242を横切ってさらに突出している場合、突起はまた、外側クラッディングアームの第3インボリュート曲線形状の曲線辺292a、292bの表面とも一致する。このさらなる突起の結果として、内側クラッディングアームの第1インボリュート曲線形状の曲線辺232a、232bの表面、中間クラッディングアームの第2インボリュート曲線形状の曲線辺262a、262bの表面、および外側クラッディングアームの第3インボリュート曲線形状の曲線辺292a、292bの表面を含む1つの連続したインボリュート曲線形状が存在する。また、図9に示すように、第1インボリュート曲線形状、第2インボリュート曲線形状、および第3インボリュート曲線形状のそれぞれは、内側開口部から外側セグメント本体の半径方向外側表面まで延びる連続したインボリュート曲線形状の異なる部分に対応する。
【0045】
他の実施の形態において、内側クラッディングアームの第1インボリュート曲線形状の曲線辺232a、232bの表面、中間クラッディングアームの第2インボリュート曲線形状の曲線辺262a、262bの表面、および外側クラッディングアームの第3インボリュート曲線形状の曲線辺292a、292bの表面は、連続したインボリュート曲線形状の曲率に対応するが、1つまたは複数のセグメント本体は、隣接するセグメント本体に対して回転している。表面の整列を維持する量子化された値よりも小さく回転すると、回転により、曲線辺の表面が、連続したインボリュート曲線形状の突起から回転方向にオフセットされることとなる。そのような配置において、関連する影響を受ける接触面のそれぞれの側のクラッディングアームのインボリュート曲線形状の曲線辺の表面は、ステップ変化により接続されているという点で不連続である。
【0046】
さらに他の実施の形態において、集合的に考慮すると、第1インボリュート曲線形状、第2インボリュート曲線形状、および第3インボリュート曲線形状は、異なる曲率を有している。したがって、内側クラッディングアームの表面、中間クラッディングアームの表面、および外側クラッディングアームの表面は、内側開口部から外側セグメント本体の半径方向外側表面まで延びる不連続なインボリュート曲線形状を形成する。このような実施の形態では、図5に例示された層200に示されている。
【0047】
いくつかの実施の形態において、内側クラッディングアームの表面、中間クラッディングアームの表面、および外側クラッディングアームの表面のいくつかまたはすべては、不連続なインボリュート曲線形状を形成するが、そのような表面は、依然として集合的に、同じ方向に、すなわち、右回り(時計回り)方向(図5に示す)、または左回り(反時計回り)方向のいずれかに、半径方向にらせん状になる。
【0048】
さらにさらなる実施の形態において、第1インボリュート曲線形状、第2インボリュート曲線形状、および第3インボリュート曲線形状の1つまたは複数(ただしすべてではない)は、共通のインボリュート曲線形状を共有する。したがって、内側クラッディングアームの表面、中間クラッディングアームの表面、および外側クラッディングアームの表面のいくつかは、それぞれの表面を横切って延びる連続したインボリュート曲線形状を形成する。一方、内側クラッディングアームの表面、中間クラッディングアームの表面、および外側クラッディングアームの表面の他の部分は、それぞれの表面を横切って延びる不連続なインボリュート曲線形状を形成する。
【0049】
図6A図6B図7A図7B、および図8A図8Bに示されて説明された実施の形態において、複数の内側クラッディングアーム、複数の中間クラッディングアーム、および複数の外側クラッディングアームのそれぞれは、個別に、1つまたは複数のチャンバを含んでもよい。いくつかの実施の形態において、内側クラッディングアームは、中間クラッディングアームまたは外側クラッディングアームのいずれよりも多くのチャンバを有する。例えば、図5に示すように、内側セグメント本体210の内側クラッディングアームはそれぞれ、6つのチャンバ222を含むことができ(図6Aのチャンバ222も参照)、中間クラッディングアームおよび複数の外側クラッディングアームのそれぞれは、1つのチャンバ(それぞれ252および282)を含む(図7Bのチャンバ252および図8Bのチャンバ282も参照)。別の例として図10に示すように、内側クラッディングアームはそれぞれ、6つのチャンバ222を含むことができ(図6Aのチャンバ222も参照)、中間クラッディングアームおよび複数の外側クラッディングアームは、2つのチャンバ(それぞれ252および282)を含む。例示的な実施の形態において、1つの内側クラッディングアーム、1つの中間クラッディングアーム、および1つの外側クラッディングアームにあるチャンバの総数は、10以下である。
【0050】
図10はまた、中間セグメント本体240および外側セグメント本体270の代替的な実施の形態も示す。代替的な実施の形態において、複数のクラッディングアームは、複数の中間クラッディングアームを含むユニット300および複数の外側クラッディングアームを含むユニット310などのユニット(unit)として製造される。ユニットとしてクラッディングアームを製造することにより、積層造形プロセスを使用する場合に有利になる。さらに、ユニットとして製造する場合、ユニットはウェブを形成するためにより少ない材料を使用することができ(少なくとも部分的には、隣接するクラッディングアームが、互いに隣接する位置にある分離したクラッディングアームと比較して、これらの隣接するクラッディングアームに含まれる任意のチャンバの間のウェブ材料をより少なくすることができるため)、完全なセグメント本体を組み立てるために必要な溶接接合の数を最小化することができる。
【0051】
前述のように、クラッディングアームの様々な例において、個別のチャンバはウェブにより囲まれている。通常、製造中に、ウェブは、チャンバの側面と底面とを形成し、上部などのチャンバの一方側は、最初は解放されており、核分裂性の燃料組成(または減速材および妨害物質などの他の組成)を装荷することができる。装荷の後、チャンバの一方の解放側は、ウェブに取り付けられるキャップにより閉じられる。
【0052】
図11は、クラッディングアーム400の例を概略的に示す図である。例示的なクラッディングアーム400において、本明細書で議論されるいくつかの特徴が示されている。例えば、例示的なクラッディングアーム400は、複数のチャンバ(図示された実施の形態において、3つのチャンバ402a、402b、402c)を有する。また、燃料組成404もまた示されている。燃料組成404は、装荷プロセスにおける異なる時点で示されている。一例において、燃料組成404は、チャンバへの挿入に適する寸法を有する、既に形成された本体406である。適する寸法には、本体406が燃料組成404の本体406の外表面とチャンバ402の内表面との間に熱伝達接触(thermal transfer contact)を有する大きさであることを含む。あるいは、本体406は、燃料組成404の本体406の外表面とチャンバ402の内表面との間のスタンドオフ距離が最小であり、動作温度で融解する塩または金属などの熱伝達物質もまた、チャンバ402に装荷される。また、核分裂ガスを収容する容積および核分裂反応による容積変化だけでなく、あらゆる熱膨張による容積変化など、核分裂反応および昇温での動作の副生成物を収容できるように、本体406の容積は、チャンバ402の容積よりも十分に小さい。チャンバ402bに関連して見られるように、燃料組成の本体406はチャンバに挿入され、チャンバ402cに関連して見られるように、キャップ408は、例えばチャンバの開口の周辺を形成するウェブの部分にキャップを溶接することにより、チャンバを閉鎖する。キャップ408により閉鎖されると、チャンバは環境から隔離され、燃料組成404は、クラッディングアーム400のウェブにより囲まれる(または、キャップがチャンバを閉鎖した後ウェブの一部ではないとみなされる場合、クラッディングアーム400のウェブとキャップとの組み合わせにより囲まれる)。
【0053】
クラッディングアーム400の実施の形態において示される別の例示的な特徴は、クラッディングアーム400の1つのエッジ422の表面特徴420である。前述のように、エッジ422、424のいずれか一方または両方は、セグメント本体の第1側面を形成する/形成するであろうクラッディングアーム400の表面426、セグメント本体の第2側面を形成する/形成するであろうクラッディングアーム400の表面428、クラッディングアーム400の半径方向内側端部の表面430、およびクラッディングアーム400の半径方向外側端部の表面432、により境界を定められる。図11に図示された例において、表面特徴420は、エッジ422の表面上に延びるリブである。図11から容易に理解できるように、エッジ422が隣接するクラッディングアームのエッジに接触すると、表面特徴420は、表面特徴420がエッジ422の表面上に延びる距離に対応する距離により、エッジ422の部分を隣接するクラッディングアームのエッジからオフセットさせる。それにより、セグメント本体の第1側面を形成する/形成するであろうクラッディングアーム400の表面426からセグメント本体の第2側面を形成する/形成するであろうクラッディングアーム400の表面428まで延びるチャネルを形成する。
【0054】
図12は、内側本体セグメント502と、中間セグメント本体504と、外側セグメント本体506と、を含む層500を示す図である。それぞれの本体セグメントは、複数のチャンバを有する。それぞれのセグメント本体の上には、形状(インボリュート曲線形状を含む)および燃料組成本体が装荷されるそれぞれのセグメント本体に存在するチャンバの数に対応する複数の燃料組成本体508が配置されている。例えば、燃料組成本体508aは、内側セグメント本体502の半径方向内側チャンバ510aに装荷され、燃料組成本体508gは、中間セグメント本体504の半径方向内側チャンバ510gに装荷され、燃料組成本体508jは、外側セグメント本体506の半径方向外側チャンバ510jに装荷される。さらに、いくつかの実施の形態において、それぞれの燃料組成本体内の燃料組成は変化し、クラッディングアームに沿って異なる位置に、異なる核分裂性の燃料組成を含むチャンバが存在することになる。
【0055】
燃料組成に関して図11および図12に図示し説明したが、燃料組成がチャンバに装荷される1つまたは複数の例では、減速材組成または妨害物質組成、または減速材組成または妨害物質組成の混合物により代替することができる。そのような代替は、原子炉の中性子工学設計および熱管理設計に従って実行することができる。
【0056】
図13Aおよび図13Bは、本明細書に開示されているインボリュート曲線形状のクラッディングアーム設計に関する熱解析研究の結果を示す。熱解析は、そのようなインボリュート曲線形状のクラッディングアーム設計を含む核分裂炉に基づいて実施された。図13Aのインボリュート曲線形状のクラッディングアーム設計は、6つの燃料組成本体602の第1セットを有するクラッディングアーム600(内側セグメント本体のクラッディングアームの実施の形態に対応する)と、4つの燃料組成本体606の第2セットを有するクラッディングアーム604(中間セグメント本体のクラッディングアームの実施の形態に対応する)と、4つの燃料組成本体610の第3セットを有するクラッディングアーム608(外側セグメント本体のクラッディングアームの実施の形態に対応する)と、を示す。全体として、熱解析により、それぞれのセグメント本体のクラッディングアームの両側で十分に冷却され、チャンバ内の燃料組成が溶融するのを防いでいることが示された。
【0057】
図13Aのクラッディングアームおよび燃料組成の中で、熱解析は、約1256.3K(凹面620および先端622でのクラッディングに対して)から最も高温の昇熱に対して最大2504.6Kまでの範囲の温度を示し、これは、半径方向外側端部(図13AのセクションP4に対応し、図13Bの拡大図で領域630aおよび530bとして示されている)に向かって配置された内側セグメント本体のクラッディングアームの領域で発生している。領域630aは、チャンバ602eの燃料組成本体に関連し、2227.2Kと2504.6Kとの間の温度で、内側セグメント本体のクラッディングアームの湾曲したエッジで発生する。この結果は、チャンバ602e内の燃料組成本体が動作中に膨張し、燃料組成本体の曲率の増加を引き起こした結果、燃料組成本体が領域630aのチャンバ602eの内表面で接触しなくなったと解釈された。燃料組成本体とチャンバ602eの内表面との間に形成されたこの隙間により、熱伝達が減少し、温度が上昇した。このテストは、塩または液体金属緩衝材などの熱伝達物質を含まないことに注意すべきである。熱伝達物質の存在により、隙間を埋めて熱伝達を改善し、領域620の温度を下げることが期待される。しかし、領域620に配置された(collocated)ウェブの部分622は、2356.3Kと1395Kとの間のはるかに低い温度を維持する。
【0058】
本明細書に開示される、インボリュート曲線形状のクラッディングアーム、セグメント本体、および層は、任意の適切なプロセスにより製造することができる。図14A図14Dは、セグメント本体(図14A図14B、燃料組成および/または減速材組成と妨害物質との層(図14C)への装荷)の様々な部分からの層の組み立てと、核分裂原子炉構造(図14D)への複数の層の組み立てにおける例示的なステップを示す流れ図である。
【0059】
第1製造プロセスにおいて、インボリュート曲線形状のクラッディングアーム700は複数のチャンバを含み、インボリュート曲線形状のクラッディングアームのウェブは、冶金プロセスにより製造されるクラッディング構造を画定する。これらの冶金プロセスは、一例において、積層造形プロセスを含む。内側セグメント本体702の構造は、開口部の内径面の接合を最小化するために、単一の構造(図14Aに示すように)として形成されることが好ましい。さらに、適切な積層造形プロセスを使用して、内側セグメント本体702、中間セグメント本体704、および内側セグメント本体702の外側セグメント706構造の特徴を含む、層720の全体構造を、単一の構造として形成することができる。
【0060】
他の態様において、中間セグメント本体704を形成するインボリュート曲線形状のクラッディングアームと、外側セグメント本体706を形成するインボリュート曲線形状のクラッディングアームとは、個別に製造されて層に接合されてもよく、または、図14Aに示すように、層720(図14B参照)に接合されたユニットを形成する単一の本体として形成されてもよい。
【0061】
チャンバおよび冷却材開口部などのインボリュート曲線形状のクラッディングアームの他の構造は、通常、プロセスのこの時点で製造される。それぞれのインボリュート曲線形状のクラッディングアームにおけるチャンバは、開口部がチャンバを画定したままであるポイント、すなわち、側壁と1つの閉鎖端部を有するキャビティに、(積層造形プロセスで、またはインボリュート曲線形状のクラッディングアームの材料を機械加工することにより)最初に製造される。
【0062】
インボリュート曲線形状のクラッディングアームを接合して層720(図14B)を形成することは、溶接および接合を含む任意の適切な手段により行うことができる。
【0063】
層720を形成した後、チャンバに核分裂性の燃料組成742(または減速材または妨害物質などの他の材料)が装荷される(図14C参照、装荷プロセスが矢印で示されている)。必要に応じて、熱伝達物質もまた、チャンバ内に配置される。チャンバに装荷されると、キャップが開口部に配置され、例えば、溶接または熱間等静圧圧縮成形(HIP:hot isostatic pressing)プロセスにより密閉されて、組み立てられたインボリュート曲線形状のクラッディングアームが形成される。
【0064】
次に、図14Dに示すように、複数の組み立てられた層740は、さらに、核分裂原子炉構造780に組み立てられる。層は、冷却材開口部などの対応する内部構造に、一層ずつ重ねて配置される。前述のように、突出したレジストリ特徴を使用するクロッキング技術を位置合わせの目的で使用することができる。例示的な構築物において、最大10の層740が組み立てられて、核分裂原子炉構造780を形成する。層740の組み立ては、溶接または接着など、任意の適切な手段により行われる。さらに、プレート782を、核分裂原子炉構造780のいずれかの端部に配置することができる。プレートは、例えば、冷却材開口部に対応する、内側開口部に対応する、および/または軽装用開口部に対応するための適切な開口部を有することができる。組み立てられた核分裂原子炉構造780は、半径方向反射体784内に配置される。半径方向反射体は、燃料材料および炉心設計に基づく任意のものである。
【0065】
いくつかの製造方法または製造方法のステップにおいて、インボリュート曲線形状のクラッディングアームの部分、セグメント本体、および/または層は、例えば積層造形プロセスを使用して一体的な単一の構造として製造される。本明細書で使用されるように、積層造形プロセスには、層ごとに材料を積層することにより3Dオブジェクトを構築する任意の技術が含まれる。適切な積層造形プロセスの例では、モリブデン含有金属合金、ジルカロイ-4、またはハステロイXなどの金属合金の3D印刷を利用して、前述の構造的特徴を形成する。他の実施の形態において、原料内に複数の金属を有する適切なマルチマテリアル積層造形プロセスが採用される場合、核分裂性の核燃料組成および/または熱伝達物質および/または減速材および/または妨害物質が、一体的な単一の構造内に含まれ得る。溶融金属が積層造形プロセスに含まれていない場合、積層造形プロセスは一時停止し、溶融金属の容積を燃料キャビティに配置し(液体または固体形状のいずれか)、積層造形プロセスを継続して閉鎖されたチャンバの構造を完成させることができる。原料内に複数の金属を有する適切なマルチマテリアル積層造形プロセスが採用される場合、使用することのできる他の合金として、合金鋼、ジルコニウム合金、およびモリブデンタングステン合金(炉心シェル用)、ベリリウム合金(反射体用)、およびステンレス鋼(格納容器用)、を含む。積層造形プロセスにより製造されない場合でも、本明細書に開示された様々な構造の製造において、上述の材料を使用することができる。
【0066】
一体的な単一の構造の製造のための積層造形技術は、(a)予測分析および原因分析、(b)構造体の層ごとの製造中にマシンビジョンおよび加速プロセスと組み合わせたin-situ監視、(c)機械学習コンポーネントと組み合わせた自動分析、および(d)完成した構造のデジタル表現の仮想検査、の追加のステップを含むことができる。さらに、積層造形技術は、複雑な形状を形成することができる。in-situセンサ、マシンビジョン画像、および人工知能と組み合わせると、積層造形技術は、構成要素が層ごとに積層造形されるため(多くの場合、これらの層は、50ミクロンのスケールである)、製造品質の調整が可能であり、そのような原子炉および構造の製造に予測品質保証を提供する。
【0067】
本明細書で使用されるように、クラッディングは特徴を含む燃料の外装であり、冷却材と核燃料との間に位置する。クラッディングは、放射性核分裂片が冷却材に漏れ出して混入することを防ぐ安全バリアとして機能する。クラッディングのいくつかの設計上の制約には、中性子吸収、放射線耐性、および温度挙動などがある。クラッディングは、通常、熱中性子に対する吸収断面積の小さい耐食性材料により形成される。例示的な材料としてジルカロイまたは鋼が含まれるが、原子炉の条件に適している場合、金属系およびセラミック系(Be、C、Mg、Zr、O、およびSi)など、他の材料を使用することもできる。いくつかの実施の形態において、クラッディング材料は、高い中性子吸収断面積を有する同位体の還元を通じて反応性を高めるために同位体濃縮することができる。例えば、モリブデン濃縮Mo-92は、元素モリブデンよりも寄生的中性子吸収断面積が小さい。
【0068】
開示された核分裂炉に適用可能であり、熱生成源に含まれる適切な核分裂の核燃料組成は、濃縮度が20%未満の酸化ウラン、10wt%モリブデンを含むウラン(U-10Mo)、窒化ウラン(UN)、および他の安定した核分裂性の燃料組成を含む。可燃性の妨害物質もまた、含まれていてもよい。通常、核分裂性の核燃料組成は、セラミック材料の形態である。
【0069】
開示された核分裂炉に含まれ、燃料キャビティに含まれるのに適切な溶融金属は、
ナトリウム(Na)、ナトリウムカリウム(NaK)、カリウム(k)、および鉄(Fe)である。
【0070】
様々な支持装置および補助装置を開示された核分裂炉に組み込むことができることが企図されている。例えば、減速材(水素化ジルコニウム(ZrH)、酸化ベリリウム(BeO)、水、およびグラファイトなど)、制御棒(イリジウム制御棒など)、および科学機器(温度センサまたは放射線検出器など)のうち少なくとも1つ、および同位体生成装置を、核分裂炉に組み込むことができる。さらに、制御棒もまた、中性子を吸収する中性子毒(neutron poison)を包含することができ、原子炉の臨界を調整するために使用することができる。中性子毒は、核分裂炉を停止するのに十分な中性子を吸収することができる(例えば、制御棒が完全に原子炉空間に挿入されている場合)、または核分裂炉の臨界を維持するために軸方向に配置することができる(例えば、制御棒が、核分裂連鎖反応を継続することのできる距離だけ炉心から引き出されている場合)。任意の適切な数の制御棒および減速材を使用することができ、所望の磁束プロファイル、出力分布および運転プロファイルの1つまたは複数を得るため、原子炉空間全体に適切に分散させることができる。例示的な実施の形態において、制御棒は、ねじ式であり、軸方向の空間を節約するのに貢献し、制御棒の直径を最大化し、信頼性の高いSCRAM動作のためにローラーナット(roller nut)に直接接触することを可能にする。制御棒のすべてまたは一部を、個別のモータにより個別に制御して、個別に反応性制御を提供することができる、および/またはパワーシェーピング(power shaping)を行うことができる。
【0071】
図15は、核分裂原子炉構造804に組み立てられた複数の層802を含み、核分裂原子炉構造804の長手方向軸806に沿って配置された核分裂原子炉800の実施の形態を概略的に示す側面断面図である。以前に開示され、本明細書の実施の形態で説明されたように、層802は、内側セグメント本体、中間セグメント本体、外側セグメント本体、第1内部接触面、および、第2内部接触面により画定される。核分裂原子炉800はまた、核分裂原子炉構造804の外側面の周りに配置された半径方向反射体810も含む。核分裂原子炉構造804は、適切な中性子工学および熱管理特性を示す限り、任意の適切な幾何学形状であってもよい。本明細書に記載されるように、活性炉心構造の直径(DRX)に対する活性炉心領域の長さ(LRX)の比率が約1(すなわち、LRX/DRX=1±0.05)となるよう、例示的な実施の形態は十分な層802を有する。一般に、半径方向反射体810は、そうでなければ逃げてしまう中性子を炉心に散乱(または反射)させることにより、核分裂原子炉800からの中性子漏洩を低減する。このため、設計上の実効増倍率(keff)を増加させ、臨界を維持するために必要な燃料の量を低減する。圧力容器820は、とりわけ、核分裂原子炉構造804を取り囲み、活性炉心構造が冷却材システム(図示省略)と流体連通(冷却材の流れは矢印824により示される)することのできる開口部822を有する。核分裂原子炉に関連する様々な補助装置のいくつかも、図15に示されており、制御棒アセンブリ830と、核分裂原子炉構造804の内側開口部内で軸方向に移動可能なポイズンロッド(poison rod)832などの停止装置と、を含む。以前に開示され、本明細書の実施の形態で説明されたように、任意の適切な半径方向反射体、圧力容器、および冷却材システムを、核分裂原子炉800に組み込むことができる。
【0072】
開示された配置は、燃料要素または核分裂性の核燃料組成それ自体のいずれであっても、核分裂性の核燃料組成を含む熱生成源が、クラッディングにより囲まれている任意の構成に関連する。加圧水型原子炉(PWRリアクタ)および一次冷却材としての水に関連して本明細書に一般的に記載されているが、本明細書に開示された構造および方法は、他の原子炉システムにも適用することができる。これは、沸騰水型原子炉(BWRリアクタ)、CANDU炉などの重水素酸化物(重水)減速材原子炉、軽水炉(LWRリアクタ)、ペブルベッド炉(PBRリアクタ)、核熱推進炉(NTPリアクタ)、商業炉および研究炉の両方を含み、ヘリウム、水素、メタン、溶融園、液体金属などの他の一次冷却材を利用する。本明細書に開示された溶融金属燃料バッファ技術を利用する場合、これらの様々な原子炉における任意の燃料クラッド構成は、より優れた炉心安全性および性能特性を生み出すことができる。
【0073】
本明細書に開示された核分裂炉は、地上の電源、遠隔電力またはオフグリッド用途、宇宙電力、宇宙推進、同位体生成、指向性エネルギー用途、商業電力用途、および脱塩を含むがこれらに限定されない適切な用途で使用することができる。
【0074】
特定の実施の形態について参照したが、他の実施の形態および変形例が、その精神および範囲から逸脱することなく、他の当業者により考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような実施の形態および同等の変形例を含むよう解釈されることを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A-6B】
図6C
図7A-7B】
図8A-8B】
図9
図10
図11
図12
図13A-13B】
図14A-14D】
図15