(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ホットドリンクを調製する機械および方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20241010BHJP
A47J 31/057 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A47J31/06 120
A47J31/06 160
A47J31/057 106
(21)【出願番号】P 2022543595
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2020085781
(87)【国際公開番号】W WO2021144089
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】102020101086.9
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517010507
【氏名又は名称】メリッタ シングル ポーションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Single Portions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Marienstrasse 88, D-32425 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン パーンケ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー フェルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ケアスティン フェルナンデス デ カルヴァーリョ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501164(JP,A)
【文献】特開2017-094107(JP,A)
【文献】特開2014-200660(JP,A)
【文献】特開2016-209348(JP,A)
【文献】実開昭63-091227(JP,U)
【文献】実公昭58-051871(JP,Y2)
【文献】実開平02-022732(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0164267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットドリンクを調製する機械(1)であって、
熱湯を生成して圧送する装置と、
フィルタ保持体(10)を取外し可能に挿入することができる保持装置(4)と、
熱湯を上方から前記フィルタ保持体(10)に向かって、抽出材料の入った上向きに開いた収容部(13)に供給するために、前記フィルタ保持体(10)の上方に配置された流出部(9)を有する、熱湯用の供給部(7)と、
前記熱湯用の供給部(7)を前記フィルタ保持体(10)に対して動かすための駆動装置と、
を備える機械(1)において、
前記フィルタ保持体(10)は、開口(19,19’)を介して充填可能な水用の室(21)を有しており、前記供給部(7)は、前記フィルタ保持体(10)に対して、前記開口(19)の実質的に鉛直方向上側の位置と、前記抽出材料の入った前記収容部(13)の実質的に鉛直方向上側の別の位置との間で可動であることを特徴とする、機械(1)。
【請求項2】
前記フィルタ保持体(10)内の集水用の前記室(21)は、10ml~400m
lの容積を有している、請求項1記載の機械。
【請求項3】
前記フィルタ保持体(10)は、複数の部分から形成されており、第1の部分(16)は、前記抽出材料用の収容部を形成しており、かつ前記第1の部分(16)は、第2の部分(17)によって少なくとも部分的に取り囲まれており、前記第1の部分(16)と前記第2の部分(17)との間に、集水用の前記室(21)が形成されている、請求項1または2記載の機械。
【請求項4】
前記室(21)は、環状に形成されており、前記第1の部分(16)と前記第2の部分(17)との間には、シール部材(20)が配置されている、請求項3記載の機械。
【請求項5】
前記第2の部分(17)と前記第1の部分(16)とは、固定手段を介して位置固定されている、請求項3または4記載の機械。
【請求項6】
前記開口(19,19’)に、水平線に対して傾斜した衝突面(22)が設けられており、該衝突面(22)から、供給された熱湯が前記室(21)内へ流れ落ちる、請求項1から5までのいずれか1項記載の機械。
【請求項7】
前記フィルタ保持体(10)において、前記収容部(13)は、集水用の前記室(21)に接続された第1の前記開口(19)と第2の前記開口(19’)との間に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の機械。
【請求項8】
前記収容部(13)の下側に、流出開口を開閉する弁(14)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の機械。
【請求項9】
前記供給部(7)または前記保持装置(4)に、前記フィルタ保持体(10)が前記保持装置(4)に配置されているか否かを検出することができるセンサが設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の機械。
【請求項10】
前記供給部(7)に、下向きに発光する照明手段が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の機械。
【請求項11】
ホットドリンクを調製する方法であって、以下のステップ、すなわち:
水を加熱し、加熱した水を供給部(7)に圧送するステップと、
前記供給部(7)において第1の水量をフィルタ保持体(10)に設けられた開口(19,19’)内に供給し、これにより第1の水量を集水用の室(21)内へ導入するステップと、
前記供給部(7)を前記フィルタ保持体(10)に対して移動させ、これにより、前記供給部(7)を、前記開口(19,19’)の上方の位置から、抽出材料の入った上向きに開いた収容部(13)の上方の位置に動かすステップと、
第2の熱湯量を、前記フィルタ保持体(10)内の前記抽出材料に供給し、ホットドリンクを抽出するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
前記第1の
水量は、1ml~80m
lである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタ保持体(10)を定置に配置し、前記供給部(7)を、駆動装置を介して動かす、請求項11または12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットドリンクを調製する機械であって、熱湯を生成して圧送する装置と、フィルタ保持体を取外し可能に挿入することができる保持装置と、熱湯を上方からフィルタ保持体に向かって、抽出材料の入った上向きに開いた収容部に供給するために、フィルタ保持体の上方に配置された流出部を有する、熱湯用の供給部と、熱湯用の供給部をフィルタ保持体に対して動かすための駆動装置と、を備える機械、およびホットドリンクを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許発明第2700337号明細書に開示されたコーヒーマシンでは、水タンクから加熱装置とポンプとを介して水を供給部に圧送することができ、これにより熱湯が、コーヒー粉の入ったフィルタペーパーインサートを含むフィルタ保持体内に注入される。次いで、抽出されたコーヒーが、フィルタ保持体から容器に供給される。このようなコーヒーマシン自体は有利であることが判っているが、ただし、常に、加熱された水の全量が供給部を介して供給されてしまう。抽出過程の開始時に、まず、加熱装置の背後に位置する冷水が供給される。引き続いて加熱装置で加熱された水の量は、供給部の、まだ低温の導管にエネルギを供給するため、最初に大幅に冷却され、これにより、供給部が加熱された水によって相応に温まるまで、第1の、比較的低い温度を有する水の量が、供給部を介して供給されることになる。このことは少なくとも、少量のコーヒーを抽出する場合には不都合な影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、抽出材料の改良された抽出を可能にする、ホットドリンクを調製する装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1記載の特徴を備えた装置ならびに請求項11記載の特徴を備えた方法によって解決される。
【0005】
本発明による機械では、加熱された水の供給部が、流出部を備えたフィルタ保持体の上方に配置されており、流出部を介して、熱湯を抽出材料の入った上向きに開いた収容部に供給することができ、熱湯用の供給部をフィルタ保持体に対して動かすために駆動装置が設けられており、フィルタ保持体は、開口を介して充填可能な水用の室を有しており、供給部は、フィルタ保持体に対して、開口の実質的に鉛直方向上側の位置と、抽出材料の入った収容部の実質的に鉛直方向上側の別の位置との間で可動になっている。これにより、供給部を、第1のステップでは第1の水量を集水用の室内に注入するために開口の上に配置することができ、これにより、この第1の水量は、既に抽出材料と接触することなしに供給部の導管を温めるために利用される。次いで第2のステップでは、流出部を備えた供給部は抽出材料の入った収容部の上に位置決めされ、次いで抽出過程の開始時には、既に熱湯を抽出材料上に供給することができるようになっている。これにより、最初は全く加熱されていない水と、その後の供給部の導管へのエネルギ供給による冷却に基づきどちらかというと比較的冷たい水とが最初に供給されるという事態が回避される。開口または収容部の鉛直方向上側への供給部の配置は、可能ではあるが正確である必要はなく、例えば、冷水または熱湯の流出噴流は、水平方向の運動成分も有し得るため、鉛直線に対してやや傾いた噴流を補償する、水平方向にややずらされた供給部の配置はなお、収容部または開口の実質的に鉛直方向上側と見なされる。
【0006】
好適には、フィルタ保持体内の集水用の室は、10ml~400ml、特に20ml~80mlの容積を有している。これにより、本来の抽出過程の開始前に十分な水量を室内に導入することができ、次いで供給部の導管の加熱後に、加熱された水が、抽出材料の入った収容部に供給される。
【0007】
好適には、フィルタ保持体は複数の部分から形成されており、特にフィルタペーパーインサートが介在した状態で抽出材料を収容する第1の部分と、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分とを有している。この場合、第1の部分と第2の部分との間に集水用の室が形成されており、室は、フィルタ保持体を取り出して旋回させることにより、再び空にすることができる。1つの特に有利な構成では、フィルタ保持体に、第1の開口に加えてさらに少なくとも1つの別の開口が配置されており、別の開口は、収容部に対して反対の側に位置するように配置されているため、収容部は、第1の開口と第2の開口との間に配置されており、2つの開口は、集水用の室に接続されている。これにより、フィルタ保持体は、ただ1つの把持部しか備えていなくても、左利き・右利きの人によって同様に使用することができる。なぜなら、フィルタ保持体を、高さ方向軸線を中心として180°だけ回動させて保持部に挿入することができるからである。この場合、向きに応じて、一方または他方の開口が第1の水量を受け入れるために用いられる。加えて、追加的な開口は、捕集した水量の所定の注ぎ出しを簡単にする。なぜなら、一方の開口を介して注ぎ出す際に、その時々の他方の開口を介して後から空気が流れ込むからである。フィルタ保持体にさらに別の開口を取り付けることも考えられる。
【0008】
フィルタ保持体の第1の部分と第2の部分とは、実質的に鉢状に、互いに内外に差し嵌められている。この場合、第1の部分と第2の部分との間には環状の室が形成されていてよく、環状の室は、第1の部分と第2の部分との間の接続領域において、少なくとも1つのシール部材によってシールされている。フィルタ保持体は、第1の部分と第2の部分とを備えて好適にはユニットとして移動可能であり、この場合、第2の部分と第1の部分とは、固定手段を介して互いに位置固定されている。固定手段として、ねじ、緊締手段、係止手段、ねじ山またはバヨネットクロージャならびにその他の固定手段を使用することができる。さらに、接着または溶接等の別の結合技術も使用することができる。
【0009】
熱湯の飛散による汚染を回避するために、開口に、好適には水平線に対して傾斜した衝突面が設けられており、衝突面から、供給された熱湯が室内へ流れ落ちる。水平線に対する衝突面の傾斜は、例えば10°~60°、特に30°~55°の角度範囲内に位置していてよい。これにより、水は流出部を介して重力によって下向きに流出し、次いで実質的に全てが室内に導入される。この場合、衝突時の飛沫も十分に防がれ、このようにして、やけどのリスクが最小限に抑えられる。
【0010】
ホットドリンクの抽出時の簡単な取扱いのために、収容部の下側に、流出開口を開閉する弁が設けられていてよく、弁は選択的に、例えばフィルタ保持体の下方にポットを置くことにより、保持部内への挿入および作動幾何学形状との相互作用により、または弁を制御可能な制御装置により、機械的に開放されることができる。フィルタ保持体が、好適には機械に定置に配置されているのに対し、供給部は、駆動装置を介して動かされる。任意にはもちろん、フィルタ保持体と供給部との間に相対移動を生じさせるために、供給部とフィルタ保持体とが、またはフィルタ保持体のみが動かされてもよい。
【0011】
1つの別の構成では、供給部または保持装置にセンサが設けられており、センサにより、フィルタホルダが保持装置に配置されているか否かを検出することができる。フィルタ保持体が保持装置内に挿入されていないかまたは正しく挿入されていない場合には、センサにより、熱湯の供給を阻止する制御装置を作動させることができる。このようなセンサは接触センサとして、例えば電気センサまたは光学センサとして形成されていてよい。光学センサによりさらに、抽出材料がフィルタ保持体内に配置されているか否かを検出することができる。抽出過程の監視を改良するために、供給部に、下向きに発光する照明手段がさらに設けられていてもよい。
【0012】
本発明による方法では、まず、供給部において第1の水量を、フィルタ保持体に設けられた開口内に供給し、これにより第1の水量を、フィルタ保持体に設けられた集水用の室内へ導入する。この場合、最初は場合によりシステム内のヒータの背後に位置していてよい冷水であり、その後、加熱装置内で加熱された水が、最初に供給部内を通って案内されることにより、すでにやや冷やされた状態になる。水が室内に導入された後で、供給部をフィルタ保持体に対して、開口の上方の位置から、抽出材料の入った上向きに開いた収容部の上方の位置に動かし、このとき選択的に、フィルタ保持体か、供給部か、またはフィルタ保持体と供給部とを動かす。次いで、第2の熱湯量を抽出材料に供給し、ホットドリンクを抽出する。この方式は、場合によって生じ得る死水の完全な除去および洗浄を可能にし、これは衛生観点に基づき有利である。供給導管の予熱は、特に少量の飲料の場合に抽出に有利な影響を及ぼす。
【0013】
好適には、室内に導入される第1の熱湯量は、1ml~80ml、特に5ml~30mlである。これにより、第1の量を介して供給部をある程度加熱しかつ洗浄することができる。この方法に関して、供給部が駆動装置を介して動かされる場合には、フィルタ保持体は定置に配置されていてよい。
【0014】
以下に、本発明を、1つの実施例に基づき添付の図面を参照してより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ホットドリンクを調製する本発明による機械を示す図である。
【
図2】
図1に示した機械のフィルタ保持体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ホットドリンクを調製する機械1はベースステーション2を有しており、ベースステーション2は、内部に加熱装置、ポンプおよび制御装置が配置されたケーシングを有している。ベースステーション2には、新鮮な水用の取外し可能なタンク3が設けられており、タンク3を介して水を、ポンプと加熱装置と供給部7とへ圧送することができる。供給部7は、ベースステーション2から上方に向かって突出する導管として形成されている。この場合、供給部7は、ベースステーション2のケーシングに定置に配置されているのではなく、駆動装置を介して可動になっている。このために、駆動装置により、ベースステーション2に設けられたケーシング開口25の下側のガイドに沿って直線移動可能なキャリッジ6が設けられている。さらに、キャリッジ6は別の駆動装置を介して回動されてもよく、これにより、供給部7は鉛直方向軸線を中心として回動可能になっている。供給部7を動かす別の駆動装置が使用されてもよい。
【0017】
供給部7は、鉛直方向部分と水平方向部分とを有しており、供給部7は、フィルタ保持体10の上方に配置された流出部9において開口している。供給部7には、流出部9の上側にさらにホルダ8が設けられており、ホルダ8には例えば、ベースステーション2内の制御装置を介して制御可能な照明手段、特にLED照明手段が設けられている。さらにホルダ8には、フィルタ保持体10が機械1の保持装置4に挿入されているか否かを検出する光学センサが設けられていてもよい。任意には、このようなセンサは、フィルタ保持体10内にフィルタペーパーインサートおよび/または抽出材料が配置されているか否かを検出することもできる。このために、例えば相応する色識別手段を備えた光学センサを使用することができる。
【0018】
機械は、ベースステーション2に固定された保持装置4を有しており、保持装置4には、フィルタ保持体10を取外し可能に挿入する鉢状の保持部5が設けられている。保持部5の下側には抽出飲料用、特にコーヒーまたはお茶用の流出部12が設けられている。
【0019】
図2には、フィルタ保持体10が断面図で示されている。
【0020】
フィルタ保持体10は、第1の部分16に、上向きに開いた収容部13を有している。収容部13内には、抽出材料の入ったフィルタペーパーインサートまたは別のフィルタインサートを挿入することができる。収容部13の下側の底部には弁14が設けられており、弁14により、部分16の下側の流出開口を開閉することができる。この場合、弁14は、予荷重を加えられて閉鎖位置にもたらされており、機械的な作動手段、例えばフィルタ保持体10の下側の容器、保持部5内への挿入および作動幾何学形状15との相互作用を介して、または制御装置によって、選択的に開かれるかまたは閉じられてよい。弁14が開かれると、抽出された飲料を流出部12を通して容器内に供給することができる。
【0021】
フィルタ保持体10の第1の部分16を取り囲んで、やはり鉢状に形成されておりかつ第1の部分16に対して間隔をあけて配置された第2の部分17が配置されている。これにより、第1の部分16と第2の部分17との間に、集水用の環状またはスリーブ状の室21が形成されている。第1の部分16と第2の部分17とは、下部領域において少なくとも1つのシール部材20を介して互いにシールされて配置されている。
【0022】
フィルタ保持体10は、機械1の環状または鉢状の保持部5内に取外し可能に挿入されており、張り出した把持部23を介して簡単に上方に取り出すことができる。
【0023】
フィルタ保持体10には、上向きの開口19が形成されており、開口19内には、第1の水量を注入することができる。開口19の下側には、フィルタ保持体10の水平方向の縁部18の下側の第2の部分と一体に配置された衝突面22が設けられている。衝突面22は水平線に対して、例えば10°~60°、特に30°~55°の角度に傾斜しており、これにより、衝突する水を室21内へ導くことができるようになっており、縁部18、別の構成部材、または最悪の場合にはユーザに熱湯が飛散することはない。
【0024】
第1の部分16と第2の部分17との間の環状の室21は、好適には10ml~400ml、特に20ml~80mlの容積を有している。
【0025】
コーヒーを抽出するためには、まず、フィルタ保持体10内に、抽出材料の入ったフィルタペーパーインサートを挿入する。この場合、フィルタペーパーインサートは選択的に、上向きに開かれて構成されていてもよいし、または閉じられていてもよく、閉じられている場合には、例えば独国特許出願公開第102018101333号明細書に開示されているように、熱湯を注ぐことによって初めて開口が生じる。次いで、フィルタ保持体10を、機械1の保持装置4内に挿入してよい。
【0026】
この場合、任意には、センサを介して、フィルタ保持体10に抽出材料またはポーションパッケージが充填されているか否かを検出することができる。このために、ホルダ8に設けられた照明手段がフィルタ保持体10を適宜に照明してよく、これにより、光学センサを用いて検出を行うことができ、検出結果は、ベースステーション2内の制御装置に送られる。
【0027】
今、機械1がタンク3から水を吸い込み、これをポンプと加熱装置とを介して、開口19の上方の、流出部9を備える第1の位置に配置された供給部7へ圧送する。これにより、第1の水量が、開口19ひいては集水用の室21内へ導入される。第1の水量は、例えば5ml~30mlであってよく、供給部7を予熱しかつ洗うためには十分である。
【0028】
第1の水量が室21内に導入された後に、供給部7を、フィルタ保持体10に対して動かす。本実施例では、フィルタ保持体10が定置に配置されており、供給部7が、1つまたは複数の駆動装置を介して動かされる。今、熱湯を供給部7から抽出材料に直接にまたはポーションパッケージに設けられた閉鎖装置に供給し、これにより抽出過程を開始する。任意には、熱湯を供給部7から、設定されたパターンに相応して抽出材料にわたり分配することもでき、これにより、均一な抽出が可能になる。つまり、供給部7は、第2の熱湯量の供給中も動かされてよい。今、抽出飲料、特にコーヒーが、流出部12において容器(図示せず)内に供給される。このとき容器は、受け皿11のカッププレート上に置かれている。この場合、カッププレートは複数の開口を備えており、これにより、容器の取出し後に抽出飲料の液滴を受け皿11内に集めることができるようになっている。次いで、抽出後に、フィルタ保持体10を保持部5から取り出すことができ、これにより、抽出済みの抽出材料を廃棄処理することも、室21から、集められた水を空にすることもできる。
【0029】
フィルタ保持体10には、収容部13に関して、第1の開口19とは反対の側に位置する第2の開口19’が配置されている。これにより、第2の開口19’を介して室21内に集水するように、フィルタ保持体10を、180°だけ回動させて使用することもできる。
【0030】
図示の実施例では、室21は、第1の部分16と第2の部分17との間に環状に配置されている。もちろん、室21をフィルタ保持体の一方の側にのみ設け、環状には構成しないことも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 機械
2 ベースステーション
3 タンク
4 保持装置
5 保持部
6 キャリッジ
7 供給部
8 ホルダ
9 流出部
10 フィルタ保持体
11 受け皿
12 流出部
13 収容部
14 弁
15 作動幾何学形状
16 第1の部分
17 第2の部分
18 縁部
19 開口
19’ 開口
20 シール部材
21 室
22 衝突面
23 把持部
25 ケーシング開口