(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】レーザ光源ユニット及びレーザ光源モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/40 20060101AFI20241010BHJP
H01S 5/02212 20210101ALI20241010BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20241010BHJP
H01S 5/02255 20210101ALI20241010BHJP
H01S 5/02251 20210101ALI20241010BHJP
H01S 5/024 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01S5/40
H01S5/02212
H01S5/02253
H01S5/02255
H01S5/02251
H01S5/024
(21)【出願番号】P 2023023476
(22)【出願日】2023-02-17
【審査請求日】2024-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】小林 寛和
(72)【発明者】
【氏名】村山 一平
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 淳
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/030513(WO,A1)
【文献】特開2001-284700(JP,A)
【文献】中国実用新案第212230775(CN,U)
【文献】特開2022-112609(JP,A)
【文献】特開2002-335032(JP,A)
【文献】国際公開第2021/256421(WO,A1)
【文献】特開2020-194955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の板状に形成され、一端からその半分未満の幅で延出部が延出しているベース座部と、前記ベース座部に立設する固定壁部と、前記固定壁部に周囲を覆われると共に前記固定壁部に金属元素からなる第1の合金で固定されたTO-CAN型パッケージ又は面発光のレーザダイオードと、を有する複数の光源ベースと、
板状のベース部
と、前記光源ベースを載置可能な台座を
一定で同じ高さピッチの第1列と第2列との2列の階段状
であって前記2列を前記高さピッチの半分の高さの差となるよう第1の方向に並べた階段台座部
と、が一体とされたユニットベースと、を備え、
前記ベース座部に、前記レーザダイオードから放射したレーザビームを平行ビームに整形して放射するコリメート光学系
が固定され、前記延出部に、前記コリメート光学系から前記平行ビームで放射した前記レーザビームの進行方向を
反射により変えるミラーが固定され、
複数の前記光源ベースは、前記ベース座部の底面が前記ユニットベースの
前記第1列の前記台座と前記第2列の前記台座それぞれに、前記延出部が中央側となる向きで、前記ミラーで反射した前記レーザビームが高さ方向に一直線上に並んでラインレーザビームとして放射されるように、金属元素からなる第2の合金で固定されている、レーザ光源ユニット。
【請求項2】
前記ベース座部は、前記固定壁部に対して前記コリメート光学系が固定された位置とは反対方向にも延出している、請求項1記載のレーザ光源ユニット。
【請求項3】
前記第1の合金は、はんだである請求項1記載のレーザ光源ユニット。
【請求項4】
前記第2の合金は、はんだである請求項1記載のレーザ光源ユニット。
【請求項5】
前記第1の合金は、第1溶融温度で溶融し、前記第2の合金は、前記第1溶融温度よりも低い第2溶融温度で溶融する請求項1記載のレーザ光源ユニット。
【請求項6】
前記光源ベースは、前記第2溶融温度にして前記ユニットベースから取り外しても、前記レーザダイオードは前記光源ベースに取り付けられたままである請求項5記載のレーザ光源ユニット。
【請求項7】
前記第1の合金は、前記レーザダイオードを前記光源ベースに対し、前記レーザダイオードの前記光源ベースに対する接触対象面の全面にわたって接合し、
前記第2の合金は、前記光源ベースを前記ユニットベースに対し、前記光源ベースの前記ユニットベースに対する接触対象面の全面にわたって接合している請求項1記載のレーザ光源ユニット
。
【請求項8】
冷却板と、内部に冷却用の冷媒流路を有し前記冷却板が一体的に取り付けられたベース板と、前記冷却板に取り付けられた請求項1~
7のいずれか1項に記載されたレーザ光源ユニットの複数台と、複数台の前記レーザ光源ユニットそれぞれから放射する複数のラインレーザビームを整列配置させた後、カップリングしてファイバに入射させるカップリング光学系と、を備えたレーザ光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源ユニット及びレーザ光源ユニットを複数備えたレーザ光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、いわゆるTO-CAN(TRANSISTOR OUTLINE CAN)型パッケージ構造とされ、冷却のための熱電冷却素子を備えたレーザダイオードが記載されている。TO-CAN型パッケージのレーザダイオードは、発光端面が外気と遮断されるので信頼性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い信頼性を有する高出力のレーザを得るために、複数のTO-CAN型パッケージ又は面発光のレーザダイオードを用いてレーザ光源ユニットを構成し、そのレーザ光源ユニットをさらに複数台用いてレーザ光源モジュールを構成することが検討される。このようなレーザ光源モジュールは、多くのレーザダイオードを用いるために全体として動作時の発熱量が非常に多く、レーザダイオードの温度が定格温度を越えてしまう虞がある。これに対応すべく、レーザダイオードに、特許文献1に記載されたような熱電冷却素子を備えたものを用いてレーザダイオードの温度上昇を抑えることが検討される。しかしながら、熱電冷却素子を備えたレーザダイオードは比較的高コストであるため、これを多数備えたレーザ光源モジュールは大幅なコストアップになってしまう。
【0005】
そこで、熱電冷却素子を備えていない複数のTO-CAN型パッケージ又は面発光のレーザダイオードを用いても、安価な構成で各レーザダイオードを良好に冷却できるレーザ光源ユニット及びレーザ光源モジュールが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、次の1)、2)の構成を有する。
1) 長方形の板状に形成され、一端からその半分未満の幅で延出部が延出しているベース座部と、前記ベース座部に立設する固定壁部と、前記固定壁部に周囲を覆われると共に前記固定壁部に金属元素からなる第1の合金で固定されたTO-CAN型パッケージ又は面発光のレーザダイオードと、を有する複数の光源ベースと、
板状のベース部と、前記光源ベースを載置可能な台座を一定で同じ高さピッチの第1列と第2列との2列の階段状であって前記2列を前記高さピッチの半分の高さの差となるよう第1の方向に並べた階段台座部と、が一体とされたユニットベースと、を備え、
前記ベース座部に、前記レーザダイオードから放射したレーザビームを平行ビームに整形して放射するコリメート光学系が固定され、前記延出部に、前記コリメート光学系から前記平行ビームで放射した前記レーザビームの進行方向を反射により変えるミラーが固定され、
複数の前記光源ベースは、前記ベース座部の底面が前記ユニットベースの前記第1列の前記台座と前記第2列の前記台座それぞれに、前記延出部が中央側となる向きで、前記ミラーで反射した前記レーザビームが高さ方向に一直線上に並んでラインレーザビームとして放射されるように、金属元素からなる第2の合金で固定されている、レーザ光源ユニットである。
2)冷却板と、内部に冷却用の冷媒流路を有し前記冷却板が一体的に取り付けられたベース板と、前記冷却板に取り付けられた1)に記載されたレーザ光源ユニットの複数台と、複数台の前記レーザ光源ユニットそれぞれから放射する複数のラインレーザビームを整列配置させた後、カップリングしてファイバに入射させるカップリング光学系と、を備えたレーザ光源モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、安価な構成でレーザダイオードを良好に冷却できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、レーザダイオード1を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、レーザダイオード1を取り付ける光源ベース2を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係るレーザ光源ユニットの実施例であるレーザ光源ユニットLUが備える光源ブロックTBを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、レーザ光源ユニットLUが備えるユニットベース6を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、レーザ光源ユニットLUを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、レーザ光源ユニットLUの正面図である。
【
図8】
図8は、光源ブロックTBから放射されるレーザビームLsを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、レーザ光源ユニットLUから出力されるラインレーザビームBmLを示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係るレーザ光源モジュールの実施例であるレーザ光源モジュール7を示す平面図である。
【
図12】
図12は、レーザ光源モジュール7から出力されるコンバインレーザビームBmSを示す図である。
【
図13】
図13は、レーザ光源モジュール7におけるレーザダイオード1の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
【
図14】
図14は、レーザ光源モジュール7におけるレーザダイオード1の温度上昇幅ΔTを説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例)
本発明の実施の形態に係るレーザ光源ユニットの実施例であるレーザ光源ユニットLUについて、
図1~
図9を参照して説明する。
図1は、レーザダイオード1を示す斜視図である。
図2は、レーザダイオード1を取り付ける光源ベース2を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態に係るレーザ光源ユニットの実施例であるレーザ光源ユニットLUが備える光源ブロックTBを示す斜視図である。
図4は、光源ブロックTBの平面図である。
図5は、レーザ光源ユニットLUが備えるユニットベース6を示す斜視図である。
図6は、レーザ光源ユニットLUを示す斜視図である。
図7は、レーザ光源ユニットLUの正面図である。
図8は、光源ブロックTBから放射されるレーザビームLsを示す斜視図である。
図9は、レーザ光源ユニットLUから出力されるラインレーザビームBmLを示す図である。
【0010】
まず、
図1~
図4を参照して光源ブロックTBについて説明する。
図1に示されるように、レーザダイオード1は、いわゆるTO-CAN型パッケージで構成され熱電冷却素子を備えていないものを用いる。レーザダイオード1は、外観上、一方の端面から一対の端子13,13が延出した円筒状の基部12と、基部12の一方の縁部において径方向の外方に張り出した円形鍔状のフランジ部11とを有する。基部12の軸線CL2及び一対の端子13,13を含む仮想平面SFbと、仮想平面SFbに直交する仮想平面SFaとを設定すると、仮想平面SFaがよぎる位置に1ヶ所形成された第1切り欠き部11aと、仮想平面SFb上がよぎる位置で180°離隔して形成された一対の第2切り欠き部11b,11bとを有する。
【0011】
基部12の内部には、半導体レーザ素子(不図示)が収容され、半導体レーザ素子で生成されたレーザビームLsは、基部12の他方の端面の中心位置に形成された放射口12aから軸線CL2を中心とした円錐状に広がる光束で外部に放射する。放射口12aから放射したレーザビームLsの光束は、仮想平面SFaに沿ったファスト軸AFと、仮想平面SFbに沿いファスト軸AFに直交するスロー軸ASとを有する。
【0012】
図2に示される光源ベース2は、銅又は銅合金などの熱伝導に優れた材料によって形成されている。光源ベース2は、長方形の板状部分であるベース座部21と、ベース座部21の一端からベース座部21の半分未満の幅で延出した延出部23と、ベース座部21の上面21aにおいて垂直に立設した固定壁部22とを有する。
上面21aにおける、ベース座部21と延出部23との接続部位近傍には、延出部23側が厚くなる段部213が形成されている。延出部23の中央には、厚さ方向に貫通しベース座部21の長手方向に延びる長孔25が形成されている。ベース座部21における延出部23とは反対側の部位には、
図3及び
図4に示されるように、厚さ方向に貫通する丸孔24が形成されている。固定壁部22は、ベース座部21の長手方向の端部に立設していてもよく、このように端部ではない中間の部位に立設していてもよい。換言するならば、光源ベース2は、側面視でT字状又はL字状に形成されている。
【0013】
固定壁部22の延出部23側の側面には、円形に抉られた収容凹部22aと、収容凹部22aの中央部分においてさらに抉られた端子逃げ部22bとが形成されている。端子逃げ部22bの底面には一対の貫通孔(不図示)が形成されており、一対の貫通孔それぞれには絶縁チューブ3が嵌め込まれている。固定壁部22の先端部位には、収容凹部22aの周壁を一部欠落させる切り欠き部22cが形成されている。
【0014】
図3及び
図4に示されるように、光源ベース2には、レーザダイオード1,第1光学台座512,及び第2光学台座522が取り付けられて光源ブロックTBが構成される。なお、第1光学台座512及び第1コリメートレンズ511の構成を第1光学ブロック51と称し、第2光学台座522及び第2コリメートレンズ521の構成を第2光学ブロック52と称することとする。
【0015】
レーザダイオード1は、端子13,13がそれぞれ絶縁チューブ3の端子孔3aに挿通され、収容凹部22aにフランジ部11が概ね没するように収められて固定壁部22に取り付けられている。すなわち、レーザダイオード1は、固定壁部22に覆われるように、その固定壁部22に合金で固定されている。レーザダイオード1の軸線CL2まわりの取付の向きは、フランジ部11の第1切り欠き部11aが収容凹部22aの切り欠き部22cに合致する向きとされる。
【0016】
レーザダイオード1におけるフランジ部11の側面11c及び底面11dと(
図1参照)、収容凹部22aの内側の側面及び収容底部22dとは、第1の合金としての第1はんだSd1によって固定されている。第1はんだSd1は、溶融温度である第1溶融温度T1が、例えば200℃を超え260℃未満である。レーザダイオード1の固定は、レーザダイオード1を、シート状の第1はんだSd1を間に挟んで収容凹部22aに収容し、第1はんだSd1を、第1溶融温度T1より高い温度に極短時間維持して溶融させた後、常温に戻して硬化させることで行う。
【0017】
第1光学ブロック51において、第1光学台座512は、レーザダイオード1の基部12の近傍のベース座部21の上面21aに固定され、第1コリメートレンズ511は第1光学台座512の上面に、レーザダイオード1の軸線CL2が中心、かつ軸線CL2と垂直となるように固定されている。第2光学ブロック52において、第2光学台座522は、延出部23のベース座部21側の延部に固定され、第2コリメートレンズ521は、第2光学台座522の上面に軸線CL2が中心、かつ軸線CL2と垂直となるように固定されている。第1光学台座512及び第2光学台座522の光源ベース2への固定は、はんだ付けの場合、第1光学台座512及び第2光学台座522の光源ベース2との接合面にシート状の第1はんだSd1を貼って溶接し、接着する場合、第1光学台座512及び第2光学台座522の光源ベース2との接合面に接着材を塗布して、接合する。第1光学台座512及び第2光学台座522は、熱伝導率の大きい銅又は銅合金や、熱膨張の少ないセラミックやFe-Ni合金などで形成される。
【0018】
第1コリメートレンズ511は、ファスト軸方向に広がる光束を平行光束にし、第2コリメートレンズ521は、スロー軸方向に広がる光束を平行光束にする。光源ブロックTBにおけるこのコリメート作用についての詳細は、
図8を参照して後述する。
【0019】
次に、
図5~
図9を参照して、レーザ光源ユニットLUについて説明する。
レーザ光源ユニットLUは、
図5に示されるユニットベース6と、ユニットベース6に搭載された15個の光源ブロックTBとを備えている。
図5~
図7には、説明の便宜のために規定する左右上下前後の各方向が矢印で示されている。
【0020】
図5に示されるように、ユニットベース6は、概ね平板状のベース部61と、ベース部61の上面側にベース部61に垂直となる後面を有する略直角三角柱状に形成された階段台座部612とが、一体かつ中実に塊として形成されている。ユニットベース6は、銅又は銅合金によって形成されている。ベース部61の左右の縁部には、左右それぞれの外方に延出した複数の取付座部611が形成されている。それぞれの取付座部611には、上下方向に貫通する取付孔611aが形成されている。
【0021】
階段台座部612の斜面は、左右で2列となる複数段の台座群62L,62Rを有し後方側が高くなる階段状に形成されている。この例において、左列の台座群62Lは、奇数番号の台座が配置されている。具体的には、上方側から第1台座621,第3台座623,第5台座625,第7台座627,第9台座629,第11台座6211,第13台座6213,及び第15台座6215の8段である。一方、右列の台座群62Rは、偶数番号の台座が配置されている。具体的には、上方側から第2台座622,第4台座624,第6台座626,第8台座628,第10台座6210,第12台座6212,及び第14台座6214の7段である。各台座を区別しない場合には台座621とする。
【0022】
台座群62Lにおける8段の台座の高さピッチPLと、台座群62Rにおける7段の台座の高さピッチPRとは一定で同じピッチ(PL=PR)であり、台座群62Rの各台座の高さ位置は、台座群62Lの各台座の高低差の半分の位置にある。すなわち、台座群62Lと台座群62Rとの隣接する台座の高さの差ΔPは、PL/2である。
【0023】
台座群62L,62Rの各台座には、位置決めピンP24と位置決めピンP25とが左右方向に離隔して上方に突出するよう埋め込まれている。位置決めピンP24は左縁部及び右縁部それぞれの近傍に設けられ、位置決めピンP25は、ユニットベース6の左右方向の中央位置において、上面視で前後方向に一直線上になるよう設けられている。
【0024】
各台座は、光源ブロックTBにおけるベース座部21の底面26に対応した形状の平坦面として形成され、光源ブロックTBが載置可能とされている。位置決めピンP24及び位置決めピンP25は、それぞれ光源ベース2の丸孔24及び長孔25にほぼ遊びなく係合する。これにより、ユニットベース6には、15個の光源ブロックTBを、その延出部23が中央側となる向きで左右二列の階段状に載置できる。
【0025】
ユニットベース6の15か所の台座への光源ブロックTBの固定には、溶融前にシート状の第2はんだSd2を用いる。第2の合金である第2はんだSd2の溶融温度である第2溶融温度T2が、第1はんだSd1の第1溶融温度T1よりも低い。第2溶融温度T2は、例えば200℃以下である。光源ブロックTBの固定は、光源ブロックTBを、シート状の第2はんだSd2を間に挟んでユニットベース6の台座に載せ、第2はんだSd2を第2溶融温度T2を超え第1溶融温度T1より低い温度に短時間維持して溶融させた後、常温に戻して硬化させることで行う。
【0026】
図6は、ユニットベース6の台座群62L,62Rの合計15個の台座に、光源ブロックTBを取り付けるなどして組み立てたレーザ光源ユニットLUを示している。具体的には、レーザ光源ユニットLUは、ユニットベース6に15個の光源ブロックTBが取り付けられ、それぞれのレーザダイオード1に電力を供給する配線部が設けられている。
【0027】
この配線部は、接続ワイヤ63L,接続ワイヤ63R,導通バー65,接続端子64L,及び接続端子64Rを含んで構成されている。接続ワイヤ63Lは、台座群62Lの8個のレーザダイオード1の端子13に直列に接続され、接続ワイヤ63Rは、台座群62Rの7個のレーザダイオード1の端子13に直列に接続されている。導通バー65は、接続ワイヤ63L,63Rの前端部を直列に繋いでいる。接続端子64Lは、接続ワイヤ63Lの後端側に接続され、接続端子64Rは、接続ワイヤ63Rの後端側に接続されている。接続端子64Lと接続端子64Rは、外部の電源装置と接続されて両端子間に所定の電圧がかけられる。これにより、15個のレーザダイオード1からレーザビームLsが出力される。
【0028】
それぞれの光源ブロックTBには、第3光学ブロック53が、光源ベース2におけるベース座部21の上面21aに、第1はんだSd1によって固定されている。第3光学ブロック53を上面21aに固定する際には、レーザビームLsのビーム路調整がなされる。第3光学ブロック53を取り付けた光源ブロックTBについて、
図8を参照して説明する。
【0029】
図8に示されるように、レーザダイオード1は、フランジ部11の第1切り欠き部11aが光源ベース2の切り欠き部22cから臨まれる姿勢で、収容凹部22aに第1はんだSd1によって固定されている。この姿勢で基部12から放射するレーザビームLsは、上下方向がファスト軸AFとなる。
【0030】
光源ブロックTBにおいて、レーザダイオード1から放射したレーザビームLsは、まず、第1光学ブロック51の第1コリメートレンズ511に入射する。第1コリメートレンズ511は、ファスト軸方向に広がるビームを平行ビームに整形するコリメートレンズである。そのため、レーザビームLsは、第1コリメートレンズ511によってファスト軸方向が平行なファスト偏向ビームLsaとなる。
【0031】
ファスト偏向ビームLsaは、次に、第2光学ブロック52の第2コリメートレンズ521に入射する。第2コリメートレンズ521は、スロー軸方向に広がるビームを平行ビームに整形するコリメートレンズである。そのため、ファスト偏向ビームLsaは、第2コリメートレンズ521によってスロー軸方向も平行なスロー偏向ビームLsbとなる。すなわち、第2コリメートレンズ521から放射したスロー偏向ビームLsbの光束は、ファスト軸方向及びスロー軸方向の両方が平行に整えられた横断面形状が概ね正方向となっている。第1光学ブロック51及び第2光学ブロック52をまとめてコリメート光学系54Kと称する(
図3及び
図4参照)。
【0032】
第3光学ブロック53は、全反射鏡のミラー531とミラー531を固定する第3光学台座532とを有する。第2コリメートレンズ521から放射したスロー偏向ビームLsbは、ミラー531で反射し90°向きが変えられて平行ビームLscとして放射する。
図6に示される、左列の台座群62Lに固定された奇数番号の第1,3,5,・・・,15光源ブロックTB1,TB3,TB5,…,TB15では、
図8に示されるように、ミラー531は、レーザビームLsを進行方向右方に90°偏向させる向きで配置される。一方、右列の台座群62Rに固定された偶数番号の第2,4,6,…,14の光源ブロックTB2,TB4,TB6,…,TB14は、レーザビームLsを進行方向左方に90°偏向させる向きで配置される。
【0033】
これにより、
図6に示されるように、第1~第15光源ブロックTB1~TB15それぞれのレーザダイオード1から放射したレーザビームLsは、すべて前方に向かうように90°偏向される。
図6及び
図7では、代表として第14光源ブロックTB14及び第15光源ブロックTB15のレーザビームLsについて一点鎖線で示されている(
図6では光軸のみが示されている)。
【0034】
ユニットベース6における台座群62Lと台座群62Rとの間の隣接する台座の高さの差ΔPは、
図8に示される、光源ブロックTBから平行ビームLscとして放射するレーザビームLsの上下方向の幅とほぼ同じとされている。これにより、レーザ光源ユニットLUは、前方視で
図9に示されるような、第1光源ブロックTB1~第15光源ブロックTB15から放射される15本のレーザビームLsである第1レーザビームBm1~第15レーザビームBm1が上下方向に直線状に並んだラインレーザビームBmLを放射する。
【0035】
図10は、レーザ光源ユニットLUを複数備えたレーザ光源モジュール7を示す模式的平面図である。
【0036】
図10におけるS11-S11位置での断面図である
図11に示されるように、レーザ光源モジュール7は、冷却板71とベース板72とが一体的に固定された積層構造を有する。ベース板72は、内部に所定のパターン(つづら折り状、格子状、など)の冷却用の冷媒流路721が形成されている。冷媒流路721には、ホース791(
図10参照)が接続され外部から冷媒となる水などの流体が常温以下の温度で潤沢に流入される。冷媒流路721を流れる冷媒は、ベース板72と熱交換をして昇温し、ホース792(
図10参照)から外部に排出される。
【0037】
これにより、ベース板72は良好に冷却される。また、ベース板72は、ろう付けなどの結合方法を用いて冷却板71が密着して一体化されているので、冷却板71も良好に冷却される。
【0038】
図10に示されるように、冷却板71の上面には、複数台のレーザ光源ユニットLUが備えられている。各レーザ光源ユニットLUは、ベース部61の平坦な底面が
図11に示されるように熱伝導シート73を挟んで冷却板71の平坦の上面に載置され、取付孔611a(
図6参照)を利用して冷却板71にねじで固定されている。
【0039】
レーザ光源ユニットLUの複数台がまとめられて光源ユニット群が構成される。この例において、レーザ光源モジュール7は、3つの光源ユニット群として第1~第3光源ユニット群LUG1~LUG3を有する。
【0040】
図10において、第1~第3光源ユニット群LUG1~LUG3それぞれからラインレーザビームLmG1~LmG3が出力される。レーザ光源モジュール7には、集光レンズ772を有するカップリング光学系CKが備えられている。複数のラインレーザビームLmG1~LmG3は、カップリング光学系CKによって結合されてコンバインレーザビームBmSとされる。コンバインレーザビームBmSは、集光レンズ772で集光されてファイバ78の入光部773を介しファイバ78へ入光する。
【0041】
図12に示されるように、集光レンズ772に入射するコンバインレーザビームBmSは、ラインレーザビームLmG1~LmG3に基づく横断面が矩形形状の光束となる。例えば、コンバインレーザビームBmSが14本のラインレーザビームBmL1~BmL14からなる場合は、420個のレーザダイオード1の出力に対応したものとなる。
【0042】
一般的な青色レーザダイオードの特性は、例えば、電流4A、電圧5Vの入力に対し出力は5Wで、電気光変換効率は25%である。また、上限使用温度は60℃である。従って、レーザ光源モジュール7は、コンバインレーザビームBmSの出力が5W×420個の2100Wであり、単位時間あたりの発熱量は、2100W×(100―25)/25で、6300Wとなる。
【0043】
レーザ光源モジュール7は、上述のように高出力化が可能であり、熱源である複数のレーザダイオード1によって相応の発熱も生じる。しかしながら、レーザ光源モジュール7は、レーザダイオード1を光源ベース2の固定壁部22に対し熱伝導シートの役割を果たす第1はんだSd1によって接合し、光源ベース2を、レーザ光源モジュール7におけるユニットベース6の台座621に対し熱伝導シートの役割を果たす第2はんだSd2によって接合し、ユニットベース6を中実の階段状に形成し、最大面積となる底面を熱伝導シート73を介して冷却板71に面接触で密着させ、冷却板と実質的に熱抵抗が生じないよう一体化したベース板72を冷媒によって冷却することで、各レーザダイオード1の昇温を効果的に抑制できる。
【0044】
レーザ光源モジュール7の動作時のレーザダイオード1の温度上昇について、
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は、レーザ光源モジュール7におけるレーザダイオード1の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
図14は、レーザ光源モジュール7におけるレーザダイオード1の温度上昇幅ΔTを説明するためのグラフである。
【0045】
図13は、レーザ光源モジュール7の15個の光源ブロックTBのうち、代表として、光源ブロックTB1のレーザダイオード1と、光源ブロックTB15のレーザダイオード1と、光源ブロックTB9のレーザダイオード1との、エージング開始1分後からの温度Tcの推移を、それぞれLD1,LD15,LD9として示している。光源ブロックTB1のレーザダイオード1は、冷却板71に対し最も遠い位置(高い位置)にある。光源ブロックTB15のレーザダイオード1は、冷却板71に対し最も近い位置(低い位置)にある。光源ブロックTB9のレーザダイオード1は、これらの中間の高さ位置にある。ここで、エージング開始時点は、レーザダイオード1に付与する電流を0A(アンペア)から徐々に上昇させ、定格電流3.2Aに達してから1分経過した時点としている。周囲温度は常温の25℃である。また、25℃の水を冷媒流路721に潤沢に流入させてレーザ光源モジュール7を冷却した。
【0046】
その結果、
図13に示されるように、いずれのレーザダイオード1も、測定開始から温度Tcは上昇し、エージング時間で約20分経過後にほぼ一定の飽和温度になった。
冷却板71に対し最も遠い位置にある第1光源ブロックTB1のレーザダイオード1の飽和温度が約33.9℃で最も低く、次が、最も近い位置にある第15光源ブロックTB15のレーザダイオード1の飽和温度で約36.0℃である。また、中間の高さ位置にある第9光源ブロックTB9のレーザダイオード1の飽和温度が最も高く約38.5℃となった。この第9光源ブロックTB9のレーザダイオード1の飽和温度は、15個のレーザダイオード1の飽和温度の中で最も高い温度となった。
【0047】
図14は、第1,3,5,7,9,11,13,15光源ブロックTB1,TB3,TB5,TB7,TB9,TB11,TB13,TB15のレーザダイオード1の飽和温度の、常温からの温度上昇分である温度上昇幅ΔTを示したグラフである。
【0048】
図14に示されるように、冷却板71から遠い側と近い側のレーザダイオード1の温度上昇幅ΔTよりも、中間高さのレーザダイオード1の温度上昇幅ΔTが大きいことが明らかである。それでも、温度上昇幅ΔTは14℃未満に抑えられている。従って、使用環境温度が常温の場合はもとより使用環境温度が仮に40℃の高温であってもレーザダイオード1の飽和温度は定格使用上限温度60℃未満となる。このように、レーザ光源モジュール7は、レーザダイオード1の冷却が極めて良好である。
【0049】
発明者らは、光源ベース2の形状による温度上昇の影響を評価した。具体的には、光源ベース2が固定壁部22のみで形成された側面視がI字状の場合と、ベース座部21を有し、固定壁部22がベース座部21に立設した側面視がT字状の場合とについて、動作条件及び環境条件を同じにして飽和温度を測定し比較した。測定場所は2箇所であって、固定壁部22に接合されたTO-CAN型パッケージのレーザダイオード1におけるフランジ部11、及びレーザビームの放射口近傍(LD端)である。
【0050】
その結果、フランジ部11及びLD端の両方とも、T字状の方がI字状よりも飽和温度が約0.9℃低くなる結果を得た。これにより、光源ベース2は、ベース座部21を有して側面視がT字状となる形状とするのがより好ましいことが明らかとなった。
【0051】
以上詳述のように、本発明の一態様であるレーザ光源ユニットLUの光源ブロックTBは、光源ベース2の底面26(
図3参照)と、各台座の上面とが熱伝導シートの役割を果たす第2はんだSd2によって固定されている。第2はんだは、溶融温度が、熱伝導シートの役割を果たす第1はんだの第1溶融温度T1よりも低い第2溶融温度T2である。そのため、いずれかの光源ブロックTBに不具合が生じた場合に、その光源ブロックTBの温度を、第2溶融温度T2を超え第1溶融温度T1未満の温度にすることで、第1はんだSd1で固定されている光源ブロックTBのレーザダイオード1及び第1~第3光学ブロック51~53はそのままで、対象の光源ブロックTBをユニットベース6から取り外すことができる。これにより、レーザ光源ユニットLU及びレーザ光源モジュール7は、光源ブロックTB単位での修理及び交換が可能であり、メンテナンスの作業効率が向上する。
【0052】
光源ブロックTBは、それ自体で光学特性の評価をすることができる。そのため、レーザ光源ユニットLU及びレーザ光源モジュール7のメンテナンス作業の効率が向上する。また、光学特性の揃った光源ブロックTBを選別してレーザ光源ユニットLUを構成することができるので、高性能の光源ブロックTBを安定して製造することができる。
【0053】
このように、本発明の一態様であるレーザ光源ユニットLUは、光源ブロックTBを台座621(階段台座部612)から個別に取り外すことができるので、高いメンテナンス性を有する。
一方で、レーザ光源ユニットLUは、熱源であるレーザダイオード1と光源ベース2との間を密着させている第1はんだSd1が、熱伝導シートの役割を果たすようになっている。さらに、光源ブロックTBと台座621とを分離し、光源ブロックTBの光源ベース2と台座621との間を密着させている第2はんだSd2も熱伝導シートの役割を果たすようになっている。詳しくは、第1はんだSd1は、レーザダイオード1を光源ベース2に対し、レーザダイオード1の光源ベース2に対する接触対象面の全面にわたって接合し、第2はんだSd2は、光源ベース2をユニットベース6に対し、光源ベース2のユニットベース6に対する接触対象面の全面にわたって接合している。ここで、接触対象面は、第1はんだSd1及び第2はんだSd2が介在しなかった場合に相手部品に近接対向又は接触して第1はんだSd1又は第2はんだSd2が介在した場合に接合され得る面のことである。例えば、レーザダイオード1については、フランジ部11の側面11c及び底面11dにおける、第1はんだSd1が介在しない場合に固定壁部22の収容凹部22aの内側の側面及び収容底部22dと近接対向又は接触して第1はんだSd1によって接合され得る面である(
図1参照)。また、光源ベース2については、第1はんだSd1が介在しない場合にベース座部21の底面26における台座621と近接対向又は接触して第2はんだSd2によって接合され得る面である(
図3参照)。例えば、光源ベース2の底面26が平坦な平面であれば底面26の全面が接触対象面となる。これにより、レーザ光源ユニットLUは、従来のような光源ブロックTBと台座621とが一体の構成でなくても、レーザダイオード1で発生する熱が、光源ブロックTBを介して台座621側に十分に伝わるので、レーザダイオード1及び光源ブロックTBは良好に冷却される。言い換えれば、光源ブロックTBを台座621から個別に取り外せる構成にした場合に生じる虞のある、光源ブロックTBの光源ベース2及び台座621それぞれの接触面間に介在する微小な空気層に基づく冷却効率の低下という副次的な課題を、本発明の一態様のレーザ光源ユニットLUの構成は解決できる。
【0054】
また、レーザ光源ユニット及びレーザ光源モジュールは、レーザの高出力化のために搭載する複数のレーザダイオードを高密度に配置すること,複数のレーザダイオードを高密度に配置しても各レーザダイオードを十分に冷却できること,及びメンテナンス性を有しつつレーザダイオードを高密度に配置しても各レーザダイオードの冷却性能が損なわれないこと、が求められる。本発明の一態様のレーザ光源ユニットLU及びレーザ光源モジュール7は、上述のように、これらの求めをすべて実現する構成を有する。
【0055】
上述のように、レーザ光源モジュール7は、レーザダイオード1を備えた複数の光源ブロックTBを階段状に取り付けたユニットベース6と、ユニットベース6を密着固定した平板状の冷却板と、冷却板に対し積層された冷媒流路を有するベース板72と、を含む極めて簡単な構成でレーザダイオード1を良好に冷却できる。レーザ光源モジュール7は、レーザダイオード1が熱電冷却素子を備えていないTO-CANパッケージのレーザダイオードであっても、安価な構成で良好に冷却して安定して動作させることができる。
【0056】
また、光源ブロックTBは、光源ベース2の底面26(
図3参照)と、各台座の上面とが熱伝導シートの役割を果たす第2はんだSd2によって固定されている。第2はんだは、溶融温度が熱伝導シートの役割を果たす第1はんだの第1溶融温度T1よりも低い第2溶融温度T2である。そのため、いずれかの光源ブロックTBに不具合が生じた場合に、その光源ブロックTBの温度を、第2溶融温度T2を超え第1溶融温度T1未満の温度にして第1はんだSd1で固定されている光源ブロックTBのレーザダイオード1及び第1~第3光学ブロック51~53はそのままで、対象の光源ブロックTBをユニットベース6から取り外すことができる。これにより、レーザ光源ユニットLU及びレーザ光源モジュール7は、光源ブロックTB単位での修理及び交換が可能であり、メンテナンスの作業効率が向上する。
【0057】
光源ブロックTBは、それ自体で光学特性の評価をすることができる。そのため、レーザ光源ユニットLU及びレーザ光源モジュール7のメンテナンス作業の効率が向上する。また、光学特性の揃った光源ブロックTBを選別してレーザ光源ユニットLUを構成することができるので、高性能の光源ブロックTBを安定して製造することができる。
【0058】
すなわち、本発明のレーザ光源ユニットの一態様は、TO-CAN型パッケージのレーザダイオード1と、レーザダイオード1が第1溶融温度T1で溶融する第1はんだSd1で固定された光源ベース2と、レーザダイオード1から放射したレーザビームLsを平行ビームに整形して放射するコリメート光学系54Kと、整形されたレーザビームLsを反射して進行方向を変えるミラー531とを有する複数の光源ブロックTB1~TB15と、板状のベース部61と光源ブロックTBを載置可能な複数の台座621を所定の高さピッチである差ΔPで階段状に並べた台座群62L,62Rを有する階段台座部612とが一体とされたユニットベース6と、を備え、複数の光源ブロックTB1~TB15は、それぞれユニットベース6の台座群62L,62Rの複数の台座621に第1溶融温度T1よりも低い第2溶融温度T2で溶融する第2はんだSd2で固定されており、複数の光源ブロックTB1~TB15それぞれにおけるミラー531で反射したレーザビームLsは、高さ方向に一直線上に並んでラインレーザビームBmLとして放射するレーザ光源ユニットLUである。
【0059】
このレーザ光源ユニットは、ユニットベース6が階段状を呈して熱容量が大きく、ユニットベース6の底面は階段状の底面であることから大面積となる。そのため、ユニットベース6の底面を熱伝導シート73を介して冷却板71に密着させ冷却板71を水冷などの周知の安価な冷却方法で冷却することで各レーザダイオード1を良好に冷却できる。
【0060】
また、上記レーザ光源ユニットにおいて、光源ブロックTBは、第2溶融温度T2を超え第1溶融温度T1よりも低い温度にすることで台座群62L,62Rの台座621から取り外し可能である。
【0061】
これにより、レーザ光源ユニットLUは、光源ブロックTB単位での修理及び交換が可能であり、メンテナンスの作業効率が向上する。
【0062】
また、本発明のレーザ光源モジュールの一態様は、冷却板71と、内部に冷却用の冷媒流路721を有し冷却板71が一体的に取り付けられたベース板72と、冷却板71に熱伝導シート73を挟んで取り付けられた上記レーザ光源ユニットLUの複数台と、複数台のレーザ光源ユニットLUそれぞれから放射する複数のラインレーザビームBmLを整列配置させた後、カップリングしてファイバ78に入射させるカップリング光学系CKと、を備えたレーザ光源モジュール7である。
【0063】
これにより、冷媒流路721に水などの冷媒を流入させることでベース板72、並びに、レーザ光源ユニットLU及び冷却板71を良好に冷却でき、レーザダイオード1が熱電冷却素子を備えていないTO-CANパッケージのレーザダイオードであっても、安価な構成で良好に冷却して安定して動作させることができる。
また、上記レーザ光源モジュール7において、光源ブロックTBは、第2溶融温度T2を超え第1溶融温度T1よりも低い温度にすることで台座群62L,62Rの台座621から取り外し可能である。これにより、レーザ光源モジュール7は、光源ブロックTB単位での修理及び交換が可能であり、メンテナンスの作業効率が向上する。
【0064】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0065】
光源ブロックTBとして、レーザダイオード1,第1光学ブロック51,第2光学ブロック52,及び第3光学ブロック53を固定できるものを説明したが、これに限定されない。例えば、ベース座部21をレーザダイオード1のみを固定する形状にして、ユニットベース6の台座(第1台座621など)に第2はんだSd2で固定するようにしてもよい。この場合、第1~第3光学ブロック51~53も、第1台座621に対し、ビーム路調整をして第1はんだSd1によってそれぞれ独立に固定する。
【0066】
レーザダイオード1は、TO-CAN型パッケージのものに限定されず面発光のレーザダイオードであってもよい。レーザダイオード1とベース座部21の固定壁部22との接合は、金属元素からなる合金によるものであれば、はんだよるものに限定されない。また、光源ベース2とユニットベース6の階段台座部612との接合は、金属元素からなる合金によるものであれば、はんだよるものに限定されない。
【0067】
以上詳述したように、本発明の一態様のレーザ光源ユニットLUは、ベース座部21と、ベース座部21に立設する固定壁部22と、固定壁部22に周囲を覆われると共に固定壁部22に金属元素からなる第1の合金Sd1で固定されたTO-CAN型パッケージ又は面発光のレーザダイオード1と、を有する複数の光源ベース2と、板状のベース部61及び光源ベース2を載置可能な台座を所定の高さの間隔で階段状に並べた階段台座部612が一体とされたユニットベース6と、を備え、複数の光源ベース2は、ユニットベース6のそれぞれの台座に金属元素からなる第2の合金Sd2で固定されている。
【0068】
これにより、レーザダイオード1の温度上昇が抑制される。
【0069】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、前記レーザダイオード1から放射したレーザビームを平行ビームに整形して放射するコリメート光学系54Kがベース座部21に固定されていてもよい。
【0070】
これにより、複数のレーザ光源ユニットLUから放射されるレーザの光軸の精度が向上する。
【0071】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、ベース座部21は固定壁部22に対してコリメート光学系54Kが固定された位置とは反対方向にも延出している、
【0072】
これにより、ベース座部21の放熱効果がより向上する。
【0073】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、第1の合金Sd1又は第2の合金Sd2がはんだであってもよい。
【0074】
これにより、第1及び第2の合金Sd1,Sd2を入手しやすく取り扱い易いのでコストアップが抑制される。
【0075】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、第1の合金Sd1は、第1溶融温度T1で溶融し、第2の合金Sd2は、第1溶融温度T1よりも低い第2溶融温度T2で溶融するものであってもよい。
【0076】
これにより、レーザ光源ユニットLUを、第1溶融温度T1と第2溶融温度T2の中間の温度にすることで、レーザダイオード1を固定壁部22に固定させたまま光源ベース2を階段台座部612から取り外すことができる。
【0077】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、前記光源ベース2は、第2溶融温度T2にしてユニットベース6から取り外しても、レーザダイオード1は光源ベース2に取り付けられたままであるものであってよい。
【0078】
これにより、メンテナンス性が向上する。
【0079】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、第1の合金Sd1は、レーザダイオード1を光源ベース2に対し、レーザダイオード1の光源ベース2に対する接触対象面の全面にわたって接合し、第2の合金Sd2は、光源ベース2をユニットベース6に対し、光源ベース2のユニットベース6に対する接触対象面の全面にわたって接合しているものであってよい。
【0080】
これにより、レーザダイオード1の温度上昇が良好に抑制される。
【0081】
この一態様のレーザ光源ユニットLUは、光源ベース2と、コリメート光学系54Kから放射したレーザビームを反射して進行方向を変えるミラー531とを含んで光源ブロックTBが構成され、複数の光源ブロックTBそれぞれにおけるミラー531で反射したレーザビームは、高さ方向に一直線上に並んでラインレーザビームBmLとして放射するようにしてもよい。
【0082】
これにより、精度のよいラインレーザビームBmLを容易に構成できる。
【0083】
本発明の第2の一態様であるレーザ光源モジュール7は、冷却板71と、内部に冷却用の冷媒流路721を有し冷却板71が一体的に取り付けられたベース板72と、冷却板71に取り付けられた上記一態様のレーザ光源ユニットLUの複数台と、複数台のレーザ光源ユニットLUそれぞれから放射する複数のラインレーザビームBmLを整列配置させた後、カップリングしてファイバに入射させるカップリング光学系CKと、を備えていている。
【0084】
これにより、レーザダイオード1の温度上昇を良好に抑制するレーザ光源モジュール7が得られる。
【符号の説明】
【0085】
1 レーザダイオード
11 フランジ部
11a 第1切り欠き部
11b 第2切り欠き部
11c 側面
11d 底面
12 基部
12a 放射口
13 端子
2 光源ベース
21 ベース座部
21a 上面
213 段部
22 固定壁部
22a 収容凹部
22b 端子逃げ部
22c 切り欠き部
22d 収容底部
23 延出部
24 丸孔
25 長孔
26 底面
3 絶縁チューブ
3a 端子孔
51 第1光学ブロック
511 第1コリメートレンズ
512 第1光学台座
52 第2光学ブロック
521 第2コリメートレンズ
522 第2光学台座
53 第3光学ブロック
531 ミラー
532 第3光学台座
54K コリメート光学系
6 ユニットベース
61 ベース部
611 取付座部
611a 取付孔
612 階段台座部
62L,62R 台座群
621~6215 第1~第15台座
63L,63R 接続ワイヤ
64L,64R 接続端子
65 導通バー
7 レーザ光源モジュール
71 冷却板
72 ベース板
721 冷媒流路
73 熱伝導シート
772 集光レンズ
773 入光部
78 ファイバ
791,792 ホース
AF ファスト軸、 AS スロー軸
A1~A3 第1領域~第3領域
BC ビーム結合器
Bm1~Bm15 第1レーザビーム~第15レーザビーム
BmL ラインレーザビーム
BmL1~BmL14 第1~第14ラインレーザビーム
BmS コンバインレーザビーム
CK カップリング光学系
CL2 軸線
LU レーザ光源ユニット
LUG1~LUG3 第1~第3光源ユニット群
Ls レーザビーム
Lsa ファスト偏向ビーム
Lsb スロー偏向ビーム
Lsc 平行ビーム
PL,PR 高さピッチ
P24,P25 位置決めピン
Sd1 第1はんだ
Sd2 第2はんだ
SFa,SFb 仮想平面
TB 光源ブロック
TB1~TB15 第1光源ブロック~第15光源ブロック
Tc 温度
T1 第1溶融温度
T2 第2溶融温度
ΔP 差
ΔT 温度上昇幅