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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20241010BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20241010BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L29/78 617T
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 H
H01L27/088 331E
H01L27/146 A
H01L29/78 371
H01L29/78 618B
H01L29/78 619A
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H10B12/00 801
H10B41/70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023061287
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2021092989の分割
【原出願日】2016-03-24
(65)【公開番号】P2023080163
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2015067235
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】下村 明久
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 将之
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 亮
(72)【発明者】
【氏名】松林 大介
(72)【発明者】
【氏名】山根 靖正
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-015458(JP,A)
【文献】特開2014-027263(JP,A)
【文献】特開2015-053478(JP,A)
【文献】特開2013-229588(JP,A)
【文献】特開2013-042121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 27/146
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
H10B 12/00
H10B 41/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上の第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上の第1の酸化物膜と、前記第1の酸化物膜上の第2の酸化物膜と、前記第2の酸化物膜上の第3の酸化物膜と、前記第3の酸化物膜上の第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上の絶縁膜と、を有し、
前記第の酸化物膜の厚さは、20nm以上であり、
チャネル長方向の断面視において、前記絶縁膜は前記第2のゲート電極の上面、前記第2のゲート電極の側面、前記第2のゲート絶縁膜の側面、前記第3の酸化物膜の側面、前記第2の酸化物膜の上面、前記第2の酸化物膜の側面および前記第1のゲート絶縁膜の上面と接する領域を有し、
前記第2の酸化物膜は、前記第2のゲート電極と重なる第1の領域と、前記第2のゲート電極と重ならない第2の領域と、を有し、
前記第1の領域における前記第2の酸化物膜が有する不純物濃度は、前記第2の領域における前記第2の酸化物膜が有する不純物濃度より小さい、半導体装置。
【請求項2】
第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上の第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上の第1の酸化物膜と、前記第1の酸化物膜上の第2の酸化物膜と、前記第2の酸化物膜上の第3の酸化物膜と、前記第3の酸化物膜上の第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上の絶縁膜と、を有し、
前記第の酸化物膜の厚さは、20nm以上であり、
チャネル長方向の断面視において、前記絶縁膜は前記第2のゲート電極の上面、前記第2のゲート電極の側面、前記第2のゲート絶縁膜の側面、前記第3の酸化物膜の側面、前記第2の酸化物膜の上面、前記第2の酸化物膜の側面および前記第1のゲート絶縁膜の上面と接する領域を有し、
前記第2の酸化物膜は、前記第2のゲート電極と重なる第1の領域と、前記第2のゲート電極と重ならない第2の領域と、を有し、
前記第1の領域における前記第2の酸化物膜の導電率は、前記第2の領域における前記第2の酸化物膜の導電率より低い、半導体装置。
【請求項3】
第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上の第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上の第1の酸化物膜と、前記第1の酸化物膜上の第2の酸化物膜と、前記第2の酸化物膜上の第3の酸化物膜と、前記第3の酸化物膜上の第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上の絶縁膜と、を有し、
前記第の酸化物膜の厚さは、20nm以上であり、
チャネル長方向の断面視において、前記第3の酸化物膜は、前記第2の酸化物膜の上面、前記第2の酸化物膜の側面および前記第1のゲート絶縁膜の上面と接する領域を有し、
チャネル長方向の断面視において、前記第2のゲート絶縁膜は、前記第3の酸化物膜の上面と接する領域を有し、
チャネル長方向の断面視において、前記絶縁膜は、前記第2のゲート電極の上面、前記第2のゲート電極の側面、前記第2のゲート絶縁膜の側面、前記第3の酸化物膜の上面および前記第3の酸化物膜の側面と接する領域を有し、
前記第2の酸化物膜は、前記第2のゲート電極と重なる第1の領域と、前記第2のゲート電極と重ならない第2の領域と、を有し、
前記第1の領域における前記第2の酸化物膜が有する不純物濃度は、前記第2の領域における前記第2の酸化物膜が有する不純物濃度より小さい、半導体装置。
【請求項4】
第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上の第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上の第1の酸化物膜と、前記第1の酸化物膜上の第2の酸化物膜と、前記第2の酸化物膜上の第3の酸化物膜と、前記第3の酸化物膜上の第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上の絶縁膜と、を有し、
前記第の酸化物膜の厚さは、20nm以上であり、
チャネル長方向の断面視において、前記第3の酸化物膜は、前記第2の酸化物膜の上面、前記第2の酸化物膜の側面および前記第1のゲート絶縁膜の上面と接する領域を有し、
チャネル長方向の断面視において、前記第2のゲート絶縁膜は、前記第3の酸化物膜の上面と接する領域を有し、
チャネル長方向の断面視において、前記絶縁膜は、前記第2のゲート電極の上面、前記第2のゲート電極の側面、前記第2のゲート絶縁膜の側面、前記第3の酸化物膜の上面および前記第3の酸化物膜の側面と接する領域を有し、
前記第2の酸化物膜は、前記第2のゲート電極と重なる第1の領域と、前記第2のゲート電極と重ならない第2の領域と、を有し、
前記第1の領域における前記第2の酸化物膜の導電率は、前記第2の領域における前記第2の酸化物膜の導電率より低い、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置およびその作製方法に関する。
【0002】
または、本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置、ならびにそれらの作製方法
に関する。または、本発明は、例えば、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶
装置、撮像装置、プロセッサ、電子機器に関する。または、表示装置、液晶表示装置、発
光装置、記憶装置、電子機器の作製方法に関する。または、半導体装置、表示装置、液晶
表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、作製方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。
【0004】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、撮像装置、電気光学装置、半導体回路およ
び電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0005】
絶縁表面を有する基板上の半導体を用いて、トランジスタを構成する技術が注目されてい
る。当該トランジスタは集積回路や表示装置のような半導体装置に広く応用されている。
トランジスタに適用可能な半導体としてシリコンが知られている。
【0006】
トランジスタの半導体に用いられるシリコンは、用途によって非晶質シリコンと多結晶シ
リコンとが使い分けられている。例えば、大型の表示装置を構成するトランジスタに適用
する場合、大面積基板への成膜技術が確立されている非晶質シリコンを用いると好適であ
る。一方、駆動回路と画素回路とを同一基板上に形成するような高機能の表示装置を構成
するトランジスタに適用する場合、高い電界効果移動度を有するトランジスタを作製可能
な多結晶シリコンを用いると好適である。多結晶シリコンは、非晶質シリコンに対し高温
での熱処理、またはレーザ光処理を行うことで形成する方法が知られる。
【0007】
近年では、酸化物半導体(代表的にはIn-Ga-Zn酸化物)を用いたトランジスタの
開発が活発化している。
【0008】
酸化物半導体の歴史は古く、1988年には、結晶In-Ga-Zn酸化物を半導体素子
へ利用することが開示された(特許文献1参照。)。また、1995年には、酸化物半導
体を用いたトランジスタが発明されており、その電気特性が開示された(特許文献2参照
。)。
【0009】
2010年には、非晶質In-Ga-Zn酸化物を用いたトランジスタと比べ、優れた電
気特性および信頼性を有する、結晶性In-Ga-Zn酸化物を用いたトランジスタが開
発された(特許文献3参照。)。該結晶性In-Ga-Zn酸化物は、c軸配向性を有す
ることから、CAAC-OS(C-Axis-Aligned Crystalline
Oxide Semiconductor)などとも呼ばれている。
【0010】
CAAC-OSを用いたトランジスタは、その発見以降、優れた電気特性を有することが
報告されてきた。CAAC-OSを用いたトランジスタは、例えば、以下のような点にお
いては、シリコンを用いたトランジスタよりも優れた特性を有している。
【0011】
CAAC-OSを用いたトランジスタは、短チャネルであってもフォノン散乱の影響が小
さいため、電界効果移動度の低下が起こりにくいことが報告されている(非特許文献1参
照。)。また、CAAC-OSを用い、surrounded channel(s-c
hannel)構造を有するトランジスタは、短チャネルにおいても良好なスイッチング
特性を有することが報告されている(非特許文献2参照。)。また、CAAC-OSを用
いたトランジスタは高い動作速度を有する。例えば、20GHzの遮断周波数が報告され
ている(非特許文献3参照。)。また、CAAC-OSを用いたトランジスタは、高い耐
圧特性を有することが報告されている(特許文献4参照。)。また、CAAC-OSを用
いたトランジスタは、温度による特性の変動が小さいことが報告されている(特許文献5
参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開昭63-239117号公報
【文献】特表平11-505377号公報
【文献】特開2011-86923号公報
【文献】特開2012-256838号公報
【文献】特開2013-250262号公報
【非特許文献】
【0013】
【文献】S. Matsuda et al.:Extended Abstracts International Conference on Solid State Devices and Materials, 2014, pp138-139
【文献】Y. Kobayashi et al.:IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, April 2015, Vol.36, No.4, pp309-311
【文献】Y. Yakubo et al.:Extended Abstracts International Conference on Solid State Devices and Materials, 2014, pp648-649
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
微細な構造を有するトランジスタを提供することを課題の一とする。または、電気特性の
良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、電気特性の安定したトラ
ンジスタを提供することを課題の一とする。または、高い周波数特性を有するトランジス
タを提供することを課題の一とする。または、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供
することを課題の一とする。または、該トランジスタを有する半導体装置を提供すること
を課題の一とする。または、該半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一
とする。または、該半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することを
課題の一とする。
【0015】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)
本発明の一態様は、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、半導体と、導電体と、を有し、半
導体は、第1の絶縁体上に配置され、第2の絶縁体は、半導体上に配置され、導電体は、
第2の絶縁体上に配置され、半導体は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を
有し、第1の領域は、半導体と、導電体と、が互いに重なる領域であり、第2の領域およ
び第3の領域は、半導体と、導電体と、が互いに重ならない領域であり、第2の領域およ
び第3の領域は、スピネル型の結晶構造を有する領域を有する半導体装置である。
【0017】
(2)
本発明の一態様は、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、保護膜、半導体と、導電体と、を
有し、半導体は、第1の絶縁体上に配置され、第2の絶縁体は、半導体上に配置され、導
電体は、第2の絶縁体上に配置され、保護膜は、導電体の側面と接する領域に配置され、
半導体は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、第1の領域は、半導体
と、導電体または保護膜の少なくとも一方と、が互いに重なる領域であり、第2の領域お
よび第3の領域は、半導体と、導電体と、が互いに重ならない領域であり、第2の領域お
よび第3の領域は、スピネル型の結晶構造を有する領域を有する半導体装置である。
【0018】
(3)
本発明の一態様は、(1)または(2)において、第2の領域および第3の領域は、第1
の領域よりも導電率の高い領域を有する半導体装置である。
【0019】
(4)
本発明の一態様は、(1)乃至(3)のいずれか一において、第2の領域および第3の領
域は、第1の領域よりも水素濃度の高い領域を有する半導体装置である。
【0020】
(5)
本発明の一態様は、(1)乃至(4)のいずれか一において、第2の領域および第3の領
域は、第1の領域よりもヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、フ
ッ素、リン、塩素、ヒ素、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、チタン、バ
ナジウム、クロム、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニ
ウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニ
ウム、タンタルまたはタングステンの濃度の高い領域を有する半導体装置である。
【0021】
(6)
本発明の一態様は、(1)乃至(5)のいずれか一において、スピネル型の結晶構造を有
する領域は、インジウム、元素M(アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)
および亜鉛を有する半導体装置である。
【0022】
(7)
本発明の一態様は、(1)乃至(6)のいずれか一において、第1の領域は、c軸配向性
を有する半導体装置である。
【0023】
(8)
本発明の一態様は、(1)乃至(7)のいずれか一において、さらに、第3の絶縁体と、
第4の絶縁体と、を有し、第3の絶縁体は、第1の絶縁体と、半導体と、の間に配置され
、第4の絶縁体は、半導体と、第2の絶縁体と、の間に配置され、第3の絶縁体および第
4の絶縁体は、インジウム、元素M(アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ
)および亜鉛を有する半導体装置である。
【0024】
(9)
本発明の一態様は、(8)において、第4の絶縁体は、半導体の側面と接する領域を有す
る半導体装置である。
【0025】
(10)
本発明の一態様は、(1)乃至(9)のいずれか一において、導電体と第2の絶縁体との
界面は、半導体の側面と面する領域を有する半導体装置である。
【発明の効果】
【0026】
微細な構造を有するトランジスタを提供することができる。または、電気特性の良好なト
ランジスタを提供することができる。または、電気特性の安定したトランジスタを提供す
ることができる。または、高い周波数特性を有するトランジスタを提供することができる
。または、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供することができる。または、該トラ
ンジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、該半導体装置を有するモ
ジュールを提供することができる。または、該半導体装置、または該モジュールを有する
電子機器を提供することができる。
【0027】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、
図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項な
どの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図3】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図4】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図8】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図9】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図10】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図11】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図12】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図13】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図14】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図15】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図16】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図17】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図18】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図19】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図20】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図21】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図22】本発明の一態様に係るトランジスタのチャネル形成領域近傍のバンド図。
図23】In-M-Zn酸化物の組成を説明する三角図。
図24】イオンの入射を説明する図。
図25】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図26】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図27】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図28】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図29】本発明の一態様に係る記憶装置を示す回路図。
図30】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図31】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図32】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図33】本発明の一態様に係る半導体装置を示す上面図。
図34】本発明の一態様に係る半導体装置を示すブロック図。
図35】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図36】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図37】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図38】本発明の一態様に係る半導体装置を示す斜視図および断面図。
図39】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図40】本発明の一態様に係る半導体装置を示すブロック図。
図41】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図42】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図、上面図および断面図。
図43】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図44】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図および断面図。
図45】本発明の一態様に係る電子機器を示す斜視図。
図46】本発明の一態様に係る電子機器を示す斜視図。
図47】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
図48】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
図49】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
図50】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
図51】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説
明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に
理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるもの
ではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異
なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じく
し、特に符号を付さない場合がある。なお、異なる符合の構成要素の記載を参照する場合
、参照された構成要素の厚さ、組成、構造または形状などについての記載を適宜用いるこ
とができる。
【0030】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されて
いる場合がある。
【0031】
なお、本明細書において、「膜」という表記と、「層」という表記と、を互いに入れ替え
ることが可能である。
【0032】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)
との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である
。一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさに
よって決定される。したがって、「接地電位」などと記載されている場合であっても、電
位が0Vであるとは限らない。例えば、回路で最も低い電位が、「接地電位」となる場合
もある。または、回路で中間くらいの電位が、「接地電位」となる場合もある。その場合
には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定される。
【0033】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層
順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」な
どと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞
と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0034】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度
が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導
体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、
水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素
などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形
成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純
物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15
族元素などがある。ただし、不純物以外にも、過剰に含まれた主成分の元素がDOSの原
因となる場合もある。その場合、微量(例えば0.001原子%以上3原子%未満)の添
加物によってDOSを低くできる場合がある。なお、該添加物としては、上述した不純物
となりうる元素を用いることもできる。
【0035】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重な
る領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電
極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つの
トランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0036】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領
域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0037】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に
形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示
される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の
方が大きくなる。
【0038】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0039】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに
重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上
のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channe
l Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した
場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合があ
る。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い
込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによ
って、値を決定することができる。
【0040】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0041】
なお、本明細書において、AがBより迫り出した形状を有すると記載する場合、上面図ま
たは断面図において、Aの少なくとも一端が、Bの少なくとも一端よりも外側にある形状
を有することを示す場合がある。したがって、AがBより迫り出した形状を有すると記載
されている場合、例えば上面図において、Aの一端が、Bの一端よりも外側にある形状を
有すると読み替えることができる。
【0042】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0043】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0044】
なお、明細書において、単に半導体と記載される場合、様々な半導体に置き換えることが
できる場合がある。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの第14族半導体、酸化物半導
体、炭化シリコン、ケイ化ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、セレン化亜
鉛、硫化カドミウムなどの化合物半導体、および有機半導体に置き換えることができる。
【0045】
<トランジスタ>
図1に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図1(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図1(B)に、図1(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図1(C)に、図1(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図1(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0046】
図1(B)および図1(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、を有する。また、絶縁体602上、半導体606
b上および導電体604上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上には、絶縁
体618が配置される。絶縁体618および絶縁体608は、半導体606bに達する開
口部が設けられ、該開口部を介して導電体616aおよび導電体616bが半導体606
bと接続される。
【0047】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。領域607aおよび領域607bについては
詳細を後述する。
【0048】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aまたは絶縁体606
cの少なくとも一方と接する領域が凸部となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
また、半導体606bは、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606cと接する領
域が凸部となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
【0049】
なお、半導体606bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また
、導電体604は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)
としての機能を有する。また、導電体613は、トランジスタの第2のゲート電極(バッ
クゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、領域607aおよび領域607
bは、トランジスタのソース領域およびドレイン領域としての機能を有する。
【0050】
図1(C)に示すように、導電体604または/および導電体613の電界によって、半
導体606bを電気的に取り囲むことができる(導電体から生じる電界によって、半導体
を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s
-channel)構造とよぶ。)。そのため、半導体606bの全体(上面、下面およ
び側面)にチャネルが形成される。s-channel構造では、トランジスタのソース
-ドレイン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることがで
きる。
【0051】
なお、トランジスタがs-channel構造を有する場合、半導体606bの側面にも
チャネルが形成される。したがって、半導体606bが厚いほどチャネル領域は大きくな
る。即ち、半導体606bが厚いほど、トランジスタのオン電流を大きくすることができ
る。また、半導体606bが厚いほど、キャリアの制御性の高い領域の割合が増えるため
、サブスレッショルドスイング値を小さくすることができる。例えば、20nm以上、好
ましくは40nm以上、さらに好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上
の厚さの領域を有する半導体606bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下
する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ま
しくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体606bとすればよい。
【0052】
高いオン電流が得られるため、s-channel構造は、微細化されたトランジスタに
適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体
装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、ト
ランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、
より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好まし
くは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域
を有する。
【0053】
基板600としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい
。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコ
ニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体
基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリ
コン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウ
ムなどの化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を
有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板な
どがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などが
ある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さら
には、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶
縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。
または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子と
しては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0054】
また、基板600として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上に装置を
設ける方法としては、非可とう性の基板上に装置を作製した後、装置を剥離し、可とう性
基板である基板600に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板と装置との
間に剥離層を設けるとよい。なお、基板600として、繊維を編みこんだシート、フィル
ムまたは箔などを用いてもよい。また、基板600が伸縮性を有してもよい。また、基板
600は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。また
は、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板600の厚さは、例えば、5μm以上
700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以
上300μm以下とする。基板600を薄くすると、半導体装置を軽量化することができ
る。また、基板600を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場
合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。その
ため、落下などによって基板600上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することがで
きる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0055】
可とう性基板である基板600としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、ま
たはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板600は、線膨張
率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板600とし
ては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×1
-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ
オレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、
アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板
600として好適である。
【0056】
絶縁体603としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体603としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0057】
導電体613としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミ
ニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イット
リウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよ
びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、
合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体
、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンお
よび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0058】
絶縁体602としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体602としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0059】
半導体606bが酸化物半導体である場合、絶縁体602は過剰酸素を有する絶縁体であ
ることが好ましい。なお、過剰酸素とは、絶縁体中などに存在し、かつ絶縁体などと結合
していない(遊離した)酸素、または絶縁体などとの結合エネルギーの低い酸素をいう。
【0060】
過剰酸素を有する絶縁体は、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、100℃以上
700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で1×1018atom
s/cm以上、1×1019atoms/cm以上または1×1020atoms/
cm以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
【0061】
TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
【0062】
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比
例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
【0063】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、および
測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す式
で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガス
の全てが酸素分子由来と仮定する。CHOHの質量電荷比は32であるが、存在する可
能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の
酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比
率が極微量であるため考慮しない。
【0064】
O2=NH2/SH2×SO2×α
【0065】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試
料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、N
H2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値で
ある。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細に
関しては、特開平6-275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科
学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD-WA1000S/Wを用い、標準試料として一
定量の水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する。
【0066】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原
子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分
子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量につ
いても見積もることができる。
【0067】
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子
の放出量の2倍となる。
【0068】
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある。
具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm
以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、電子スピン共鳴法(ES
R:Electron Spin Resonance)にて、g値が2.01近傍に非
対称の信号を有することもある。
【0069】
絶縁体612としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体612としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0070】
半導体606bが酸化物半導体である場合、絶縁体612は過剰酸素を有する絶縁体であ
ることが好ましい。
【0071】
導電体604としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミ
ニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イット
リウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよ
びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、
合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体
、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンお
よび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0072】
絶縁体608は、例えば、水素透過性の低い(水素をバリアする性質の)絶縁体である。
【0073】
水素は、原子半径などが小さいため絶縁体中を拡散しやすい(拡散係数が大きい)。例え
ば、密度の低い絶縁体は、水素透過性が高くなる。言い換えれば、密度の高い絶縁体は水
素透過性が低くなる。密度の低い絶縁体は、絶縁体全体の密度が低い必要はなく、部分的
に密度が低い場合も含む。これは、密度の低い領域が水素の経路となるためである。水素
を透過しうる密度は一意には定まらないが、代表的には2.6g/cm未満などが挙げ
られる。密度の低い絶縁体としては、例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンなど
の無機絶縁体、ならびにポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミ
ドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートおよびアクリルなどの有機絶縁体などがある。
密度の高い絶縁体としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ゲルマ
ニウム、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオ
ジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどがある。なお、密度の低い絶縁体および密
度の高い絶縁体は、上述の絶縁体に限定されない。例えば、これらの絶縁体に、ホウ素、
窒素、フッ素、ネオン、リン、塩素またはアルゴンから選ばれた一種以上の元素が含まれ
ていてもよい。
【0074】
また、結晶粒界を有する絶縁体は、水素透過性が高い場合がある。言い換えれば、結晶粒
界を有さない(または結晶粒界が少ない)絶縁体は水素を透過させにくい。例えば、非多
結晶絶縁体(非晶質絶縁体など)は、多結晶絶縁体と比べて水素透過性が低くなる。
【0075】
また、水素との結合エネルギーが高い絶縁体は、水素透過性が低い場合がある。例えば、
水素と結合して水素化合物を作る絶縁体が、装置の作製工程または装置の動作における温
度で水素を脱離しない程度の結合エネルギーを有すれば、水素透過性の低い絶縁体といえ
る。例えば、200℃以上1000℃以下、300℃以上1000℃以下、または400
℃以上1000℃以下で水素化合物を作る絶縁体は、水素透過性が低い場合がある。また
、例えば、水素の脱離温度が、200℃以上1000℃以下、300℃以上1000℃以
下、または400℃以上1000℃以下である水素化合物を作る絶縁体は、水素透過性が
低い場合がある。一方、水素の脱離温度が、20℃以上400℃以下、20℃以上300
℃以下、または20℃以上200℃以下である水素化合物を作る絶縁体は、水素透過性が
高い場合がある。また、容易に脱離する水素、および遊離した水素を過剰水素と呼ぶ場合
がある。
【0076】
また、絶縁体608は、例えば、酸素透過性の低い(酸素をバリアする性質の)絶縁体で
ある。
【0077】
また、絶縁体608は、例えば、水の透過性の低い(水をバリアする性質の)絶縁体であ
る。
【0078】
絶縁体618としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体618としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0079】
なお、絶縁体618は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体
618は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコンまたは樹
脂などを有することが好ましい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン
、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリ
ルなどがある。または、炭素を含む酸化シリコン、炭素を含む酸化窒化シリコン、炭素を
含む窒化酸化シリコンまたは炭素を含む窒化シリコンなどを有することが好ましい。
【0080】
導電体616aおよび導電体616bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、
シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウ
ム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で
用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅お
よびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素
を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0081】
なお、導電体616aおよび導電体616bを積層とする場合、絶縁体618および絶縁
体608の開口部を埋め、電極としての機能を有する導電体(プラグともいう。)と、絶
縁体618より上方にあり、配線としての機能を有する導電体と、を用いてもよい。また
、プラグ部に下地導電体があってもよい。下地導電体を有することで、半導体606bと
プラグとの密着性を高めることや、接触抵抗を低くすることができる。また、下地導電体
が不純物をバリアする機能を有すると、プラグまたは配線などに含まれる不純物がチャネ
ル形成領域に到達することを抑制できて好ましい場合がある。
【0082】
以下では、絶縁体606a、半導体606bおよび絶縁体606cについて説明する。
【0083】
半導体606bの上下に絶縁体606aおよび絶縁体606cを配置することで、トラン
ジスタの電気特性を向上させることができる場合がある。
【0084】
絶縁体606aはCAAC-OSを有することが好ましい。半導体606bはCAAC-
OSを有することが好ましい。絶縁体606cはCAAC-OSを有することが好ましい
【0085】
半導体606bは、例えば、インジウムを含む酸化物である。半導体606bは、例えば
、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体606
bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イッ
トリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、
シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン
、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし、元素
Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸
素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウム
よりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物のエネルギーギャップを大き
くする機能を有する元素である。また、半導体606bは、亜鉛を含むと好ましい。酸化
物は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0086】
ただし、半導体606bは、インジウムを含む酸化物に限定されない。半導体606bは
、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を含
む酸化物、ガリウムを含む酸化物、スズを含む酸化物などであっても構わない。
【0087】
半導体606bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体606
bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8
eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
【0088】
例えば、絶縁体606aおよび絶縁体606cは、半導体606bを構成する酸素以外の
元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物である。半導体606bを構成する
酸素以外の元素一種以上、または二種以上から絶縁体606aおよび絶縁体606cが構
成されるため、絶縁体606aと半導体606bとの界面、および半導体606bと絶縁
体606cとの界面において、欠陥準位が形成されにくい。
【0089】
絶縁体606a、半導体606bおよび絶縁体606cは、少なくともインジウムを含む
と好ましい。なお、絶縁体606aがIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を
100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50
atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75a
tomic%より高いとする。また、半導体606bがIn-M-Zn酸化物のとき、I
nおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic
%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%
より高く、Mが66atomic%未満とする。また、絶縁体606cがIn-M-Zn
酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが
50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが2
5atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。なお、絶縁体606cは
、絶縁体606aと同種の酸化物を用いても構わない。ただし、絶縁体606aまたは/
および絶縁体606cがインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、絶縁体
606aまたは/および絶縁体606cが酸化ガリウムであっても構わない。なお、絶縁
体606a、半導体606bおよび絶縁体606cに含まれる各元素の原子数が、簡単な
整数比にならなくても構わない。
【0090】
半導体606bは、絶縁体606aおよび絶縁体606cよりも電子親和力の大きい酸化
物を用いる。例えば、半導体606bとして、絶縁体606aおよび絶縁体606cより
も電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV
以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、
電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
【0091】
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する
。そのため、絶縁体606cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原
子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さら
に好ましくは90%以上とする。
【0092】
このとき、ゲート電圧を印加すると、絶縁体606a、半導体606b、絶縁体606c
のうち、電子親和力の大きい半導体606bにチャネルが形成される。
【0093】
ここで、絶縁体606aと半導体606bとの間には、絶縁体606aと半導体606b
との混合領域を有する場合がある。また、半導体606bと絶縁体606cとの間には、
半導体606bと絶縁体606cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、欠陥準
位密度が低くなる。そのため、絶縁体606a、半導体606bおよび絶縁体606cの
積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合とも
いう。)バンド図となる(図22参照。)。なお、絶縁体606a、半導体606bおよ
び絶縁体606cは、それぞれの界面を明確に判別できない場合がある。
【0094】
このとき、電子は、絶縁体606a中および絶縁体606c中ではなく、半導体606b
中を主として移動する。なお、絶縁体606aおよび絶縁体606cは、単独で存在した
場合には導体、半導体または絶縁体のいずれの性質も取りうるが、トランジスタの動作時
においてはチャネルを形成しない領域を有する。具体的には、絶縁体606aと半導体6
06bとの界面近傍、および絶縁体606cと半導体606bとの界面近傍のみにチャネ
ルが形成され、そのほかの領域にはチャネルが形成されない。したがって、トランジスタ
の動作上は絶縁体と呼ぶことができるため、本明細書中では半導体および導電体ではなく
絶縁体と表記する。ただし、絶縁体606aと、半導体606bと、絶縁体606cと、
は相対的な物性の違いによって半導体と絶縁体とを呼び分けられるだけであって、例えば
、絶縁体606aまたは絶縁体606cとして用いることのできる絶縁体を、半導体60
6bとして用いることができる場合がある。上述したように、絶縁体606aと半導体6
06bとの界面における欠陥準位密度、および半導体606bと絶縁体606cとの界面
における欠陥準位密度を低くすることによって、半導体606b中で電子の移動が阻害さ
れることが少なく、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
【0095】
また、トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くする
ことができる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動する
と推定される。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合に
も阻害される。
【0096】
トランジスタのオン電流を大きくするためには、例えば、半導体606bの上面または下
面(被形成面、ここでは絶縁体606aの上面)の、1μm×1μmの範囲における二乗
平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましく
は0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満と
すればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1n
m未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは
0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P-V
ともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、よ
り好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP-Vは、エスアイアイ
・ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA-500などを用い
て測定することができる。
【0097】
また、トランジスタのオン電流を大きくするためには、絶縁体606cの厚さは小さいほ
ど好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以
下の領域を有する絶縁体606cとすればよい。一方、絶縁体606cは、チャネルの形
成される半導体606bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコン
など)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、絶縁体606cは、あ
る程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上
、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する絶縁体606cとすればよい。また
、絶縁体606cは、絶縁体602などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために
、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
【0098】
また、信頼性を高くするためには、絶縁体606aは厚く、絶縁体606cは薄いことが
好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm
以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する絶縁体606aとすればよい。
絶縁体606aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と絶縁体606aとの界面か
らチャネルの形成される半導体606bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体
装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120n
m以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する絶縁体606aとすればよ
い。
【0099】
例えば、半導体606bと絶縁体606aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(S
IMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において
、1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、好ましく
は1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、さらに好
ましくは1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/cm以下のシ
リコン濃度となる領域を有する。また、半導体606bと絶縁体606cとの間に、SI
MSにおいて、1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm
下、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm
下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/c
以下のシリコン濃度となる領域を有する。
【0100】
また、半導体606bは、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm以上2×
1020atoms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×
1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm以上
1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm
以上5×1018atoms/cm以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導
体606bの水素濃度を低減するために、絶縁体606aおよび絶縁体606cの水素濃
度を低減すると好ましい。絶縁体606aおよび絶縁体606cは、SIMSにおいて、
1×1016atoms/cm以上2×1020atoms/cm以下、好ましくは
1×1016atoms/cm以上5×1019atoms/cm以下、より好まし
くは1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、さらに
好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下の
水素濃度となる領域を有する。また、半導体606bは、SIMSにおいて、1×10
atoms/cm以上5×1019atoms/cm以下、好ましくは1×10
atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1
15atoms/cm以上1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは
1×1015atoms/cm以上5×1017atoms/cm以下の窒素濃度と
なる領域を有する。また、半導体606bの窒素濃度を低減するために、絶縁体606a
および絶縁体606cの窒素濃度を低減すると好ましい。絶縁体606aおよび絶縁体6
06cは、SIMSにおいて、1×1015atoms/cm以上5×1019ato
ms/cm以下、好ましくは1×1015atoms/cm以上5×1018ato
ms/cm以下、より好ましくは1×1015atoms/cm以上1×1018
toms/cm以下、さらに好ましくは1×1015atoms/cm以上5×10
17atoms/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
【0101】
上述の3層構造は一例である。例えば、絶縁体606aまたは絶縁体606cのない2層
構造としても構わない。または、絶縁体606aの上もしくは下、または絶縁体606c
上もしくは下に、絶縁体606a、半導体606bおよび絶縁体606cとして例示した
半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、絶縁体606aの上、
絶縁体606aの下、絶縁体606cの上、絶縁体606cの下のいずれか二箇所以上に
、絶縁体606a、半導体606bおよび絶縁体606cとして例示した半導体のいずれ
か一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
【0102】
<組成>
以下では、In-M-Zn酸化物の組成について説明する。なお、元素Mは、アルミニウ
ム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素
としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モ
リブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどが
ある。
【0103】
図23は、各頂点にIn、MまたはZnを配置した三角図である。また、図中の[In]
はInの原子濃度を示し、[M]は元素Mの原子濃度を示し、[Zn]はZnの原子濃度
を示す。
【0104】
In-M-Zn酸化物の結晶はホモロガス構造を有することが知られており、InMO
(ZnO)(mは自然数。)で示される。また、InとMとを置き換えることが可能で
あるため、In1+α1-α(ZnO)で示すこともできる。これは、[In]
:[M]:[Zn]=1+α:1-α:1、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1-
α:2、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1-α:3、[In]:[M]:[Zn
]=1+α:1-α:4、および[In]:[M]:[Zn]=1+α:1-α:5と表
記した破線で示される組成である。なお、破線上の太線は、例えば、原料となる酸化物を
混合し、1350℃で焼成した場合に固溶体となりうる組成である。
【0105】
よって、上述の固溶体となりうる組成に近づけることで、結晶性を高くすることができる
。なお、スパッタリング法によってIn-M-Zn酸化物を成膜する場合、ターゲットの
組成と膜の組成とが異なる場合がある。例えば、ターゲットとして原子数比が「1:1:
1」、「1:1:1.2」、「3:1:2」、「4:2:4.1」、「1:3:2」、「
1:3:4」、「1:4:5」のIn-M-Zn酸化物を用いた場合、膜の原子数比はそ
れぞれ「1:1:0.7(0.5から0.9程度)」、「1:1:0.9(0.8から1
.1程度)」、「3:1:1.5(1から1.8程度)」、「4:2:3(2.6から3
.6程度)」、「1:3:1.5(1から1.8程度)」、「1:3:3(2.5から3
.5程度)」、「1:4:4(3.4から4.4程度)」となる。したがって、所望の組
成の膜を得るためには、組成の変化を考慮してターゲットの組成を選択すればよい。
【0106】
<酸化物半導体の構造>
以下では、絶縁体606a、半導体606bおよび絶縁体606cなどに用いることので
きる酸化物半導体の構造について説明する。
【0107】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられ
る。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半
導体、nc-OS(nanocrystalline Oxide Semicondu
ctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous li
ke Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
【0108】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-O
S、多結晶酸化物半導体、nc-OSなどがある。
【0109】
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であっ
て不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離
秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
【0110】
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(complet
ely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない
(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物
半導体と呼ぶことはできない。ただし、a-like OSは、微小な領域において周期
構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、
物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
【0111】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0112】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一つである。
【0113】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分
解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方
、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーとも
いう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に起
因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0114】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。図47(A)に、
試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。高
分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration
Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、
特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日
本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行うこ
とができる。
【0115】
図47(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図47(B)に示す。
図47(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる
。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)ま
たは上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0116】
図47(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。図47(C)
は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図47(B)および図47(C)
より、ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあり、ペレット
とペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。し
たがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる
。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nanocry
stals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0117】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレッ
ト5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造と
なる(図47(D)参照。)。図47(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾
きが生じている箇所は、図47(D)に示す領域5161に相当する。
【0118】
また、図48(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のCs
補正高分解能TEM像を示す。図48(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)
を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図48(B)、図48(C)および図
48(D)に示す。図48(B)、図48(C)および図48(D)より、ペレットは、
金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかし
ながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0119】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したCA
AC-OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS
に対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、図49(A)に示すよう
に回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZ
nOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向性
を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0120】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31°
近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近
傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを
示している。例えば、2θが36°近傍のピークは、空間群Fd-3mに分類される結晶
構造(例えば、スピネル型の結晶構造)の(222)面に帰属される場合がある。なお、
In-M-Zn酸化物のようにインジウムが含まれる場合、2θが36°近傍のピークは
、Zn(Ga2-XIn)Oのスピネル型の結晶を示す場合がある。ただし、Xは有
理数であり、0<X<2とする。より好ましいCAAC-OSは、out-of-pla
ne法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピー
クを示さない。
【0121】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-plan
e法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、In
GaZnOの結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを56
°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(
φスキャン)を行っても、図49(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対
し、InGaZnOの単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφス
キャンした場合、図49(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピ
ークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、
a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0122】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nOの結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの
電子線を入射させると、図50(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折
パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、
CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略
垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ
径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図50(B)に示す。図50
(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、
CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。
なお、図50(B)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面およ
び(100)面などに起因すると考えられる。また、図50(B)における第2リングは
(110)面などに起因すると考えられる。
【0123】
上述したように、CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結
晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をする
とCAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0124】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0125】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合があ
る。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリ
ア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとな
る場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0126】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体であ
る。具体的には、8×1011個/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、
さらに好ましくは1×1010個/cm未満であり、1×10-9個/cm以上のキ
ャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性
または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く
、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0127】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0128】
nc-OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確
な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、
1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお
、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化
物半導体と呼ぶことがある。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を
明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと
起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼
ぶ場合がある。
【0129】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペレ
ット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。した
がって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体
と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径のX
線を用いた場合、out-of-plane法による解析では、結晶面を示すピークは検
出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50n
m以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観
測される。一方、nc-OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプロ
ーブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、n
c-OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い
領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される
場合がある。
【0130】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc-
OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有す
る酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals
)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0131】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる
。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため
、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0132】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半
導体である。
【0133】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高
分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認す
ることのできない領域と、を有する。
【0134】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-like
OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すため
、電子照射による構造の変化を示す。
【0135】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS(
試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれ
の試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0136】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0137】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、
InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を
6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これ
らの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度で
あり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の
間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と見
なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0138】
図51は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である
。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図51より、a-lik
e OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的
には、図51中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度
の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10/nm
においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-OS
およびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図
51中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよ
びCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度で
あることがわかる。
【0139】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合があ
る。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど
見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-O
Sと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0140】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べ
て密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶
の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAAC
-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶
の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0141】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱
面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よっ
て、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また
、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満となる。
【0142】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もる
ことができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせ
る割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない
種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0143】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。な
お、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、
CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0144】
<低抵抗な領域>
以下では、領域607aおよび領域607bについて、詳細に説明する。
【0145】
領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aおよび半導体606bに渡って設け
られる領域である。領域607aおよび領域607bは、ほかの領域よりも導電性の高い
領域である。より詳細には、領域607aおよび領域607bは、ほかの領域よりもキャ
リア密度の高い領域である。
【0146】
例えば、絶縁体606aおよび半導体606bがIn-M-Zn酸化物である場合、水素
はキャリア発生の要因となる。例えば、酸素欠損のサイトに水素が入ると、ドナー準位が
形成される。酸素欠損のサイトに入った水素は、隣接する金属元素と弱く結合することで
安定である。そのため、トランジスタの作製工程における加熱処理などで放出されにくい
。即ち、一度ドナー準位を形成すると、領域607aおよび領域607bの導電性を高く
保つことができる。また、チャネル形成領域などへ水素が入ることを抑制することもでき
る。一方、格子間に遊離した水素や酸素のダングリングボンドを終端している水素は、キ
ャリアを発生しない場合がある。これは、In-M-Zn酸化物において、キャリア密度
が水素濃度よりも低いことから理解できる。
【0147】
見方を変えると、In-M-Zn酸化物中には、キャリアの発生に寄与していない余剰水
素が多く存在するといえる。この余剰水素を、酸素欠損に移動させることで、In-M-
Zn酸化物の導電性を高くすることができる。そのためには、領域607aおよび領域6
07bの酸素欠損密度が高いことが好ましい。
【0148】
例えば、In-M-Zn酸化物がスピネル型の結晶構造を有する領域を有する場合、該領
域または/および該領域とその他の領域との界面は酸素欠損密度が高くなる場合がある。
例えば、該領域とその他の領域との界面には、結晶粒界が形成される。結晶粒界は、酸素
欠損などの欠陥準位密度が高いため、水素が入ることでドナー準位を形成する。また、結
晶粒界は面であるため、点状に分布する欠陥準位よりも効率よくIn-M-Zn酸化物の
導電性を高くすることができる。したがって、領域607aおよび領域607bは、スピ
ネル型の結晶構造を有する領域を有することが好ましい。
【0149】
<トランジスタ変形例>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの変形例について説明
する。なお、図1で説明した内容と重複する場合は、説明を省略する場合がある。例えば
、同じ符号を付した構成要素については、図1で説明した内容を参酌することができる。
【0150】
図2に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図2(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図2(B)に、図2(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図2(C)に、図2(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図2(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0151】
図2(B)および図2(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、を有する。また、絶縁体612上および導電体6
04上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上には、絶縁体618が配置され
る。絶縁体618、絶縁体608、絶縁体612および絶縁体606cは、半導体606
bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体616aおよび導電体616bが
半導体606bと接続される。
【0152】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0153】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aと接する領域が凸部
となり、接しない領域が凹部となる場合がある。また、絶縁体612は、凹凸を有する場
合がある。例えば、導電体604と接する領域が凸部となり、接しない領域が凹部となる
場合がある。
【0154】
図3に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図3(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図3(B)に、図3(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図3(C)に、図3(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図3(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0155】
図3(B)および図3(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、を有する。また、絶縁体606c上および導電体
604上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上には、絶縁体618が配置さ
れる。絶縁体618、絶縁体608および絶縁体606cは、半導体606bに達する開
口部が設けられ、該開口部を介して導電体616aおよび導電体616bが半導体606
bと接続される。
【0156】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0157】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aと接する領域が凸部
となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
【0158】
図4に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図4(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図4(B)に、図4(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図4(C)に、図4(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図4(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0159】
図4(B)および図4(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、を有する。また、絶縁体612上および導電体6
04上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上には、絶縁体618が配置され
る。絶縁体618、絶縁体608、絶縁体612および絶縁体606cは、半導体606
bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体616aおよび導電体616bが
半導体606bと接続される。
【0160】
絶縁体612は、絶縁体612aと、絶縁体612bと、が順に積層した構造を有する。
例えば、絶縁体612bには、金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物を用いる
ことで絶縁体612bに凹凸がほとんど形成されない場合がある。金属酸化物としては、
比誘電率の高い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、比誘電率が7以上、好まし
くは10以上、さらに好ましくは14以上の金属酸化物を用いることが好ましい。比誘電
率の高い金属酸化物を絶縁体612の一部に用いることで、物理膜厚を厚くしつつ、等価
酸化膜厚を薄くすることができる。そのため、トランジスタを微細化していくことで等価
酸化膜厚が薄くなった場合でもトランジスタのリーク電流を小さくすることができる。
【0161】
また、絶縁体612aには、エネルギーギャップの大きい絶縁体を用いることが好ましい
。例えば、エネルギーギャップが6eV以上、好ましくは7eV以上の絶縁体を用いれば
よい。エネルギーギャップの大きい絶縁体を絶縁体612の一部に用いることで、トラン
ジスタのリーク電流を小さくすることができる。なお、絶縁体612aと、絶縁体612
bと、を逆の順に積層してもよい。また、絶縁体612aまたは/および絶縁体612b
の上または下に、さらに絶縁体を配置してもよい。例えば、比誘電率の高い絶縁体を、エ
ネルギーギャップの大きい絶縁体で挟む構造であってもよいし、エネルギーギャップの大
きい絶縁体を、比誘電率の高い絶縁体で挟む構造であってもよい。
【0162】
なお、ここでは絶縁体612が積層構造を有する場合について説明したが、同様の積層構
造を絶縁体602に用いてもよい。絶縁体602を積層構造としても、トランジスタのリ
ーク電流を小さくできる場合がある。
【0163】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0164】
図5に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図5(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図5(B)に、図5(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図5(C)に、図5(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図5(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0165】
図5(B)および図5(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、絶縁体612上にあり、導電体604の側面と接
する領域を有する絶縁体610と、導電体604上にあり、導電体604の側面と接する
領域を有する絶縁体611と、を有する。また、絶縁体602上、半導体606b上、絶
縁体612上、絶縁体610上、絶縁体611上および導電体604上には、絶縁体60
8が配置される。絶縁体608上には、絶縁体618が配置される。絶縁体618および
絶縁体608は、半導体606bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体6
16aおよび導電体616bが半導体606bと接続される。なお、図示しないが、導電
体616aまたは導電体616bの少なくとも一方が、絶縁体610に接するように配置
されていてもよい。その場合、導電体616aと導電体616bとの距離を縮めることが
できるため、トランジスタのオン電流を大きくすることができる場合がある。なお、絶縁
体611は、導電体604の側面の傾斜角度によっては形成されない場合がある。また、
図示しないが、絶縁体606aおよび半導体606bの側面に接する領域を有する絶縁体
が形成される場合もある。
【0166】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0167】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aまたは絶縁体606
cの少なくとも一方と接する領域が凸部となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
また、半導体606bは、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606cと接する領
域が凸部となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
【0168】
図6に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図6(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図6(B)に、図6(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図6(C)に、図6(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図6(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0169】
図6(B)および図6(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、絶縁体612上にあり、導電体604の側面と接
する領域を有する絶縁体610と、導電体604上にあり、導電体604の側面と接する
領域を有する絶縁体611と、を有する。また、絶縁体612上、絶縁体610上、絶縁
体611上および導電体604上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上には
、絶縁体618が配置される。絶縁体618、絶縁体608、絶縁体612および絶縁体
606cは、半導体606bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体616
aおよび導電体616bが半導体606bと接続される。なお、図示しないが、導電体6
16aまたは導電体616bの少なくとも一方が、絶縁体610に接するように配置され
ていてもよい。その場合、導電体616aと導電体616bとの距離を縮めることができ
るため、トランジスタのオン電流を大きくすることができる場合がある。なお、絶縁体6
11は、導電体604の側面の傾斜角度によっては形成されない場合がある。また、図示
しないが、絶縁体606aおよび半導体606bの側面に接する領域を有する絶縁体が形
成される場合もある。
【0170】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0171】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aと接する領域が凸部
となり、接しない領域が凹部となる場合がある。また、絶縁体612は、凹凸を有する場
合がある。例えば、導電体604と接する領域が凸部となり、接しない領域が凹部となる
場合がある。
【0172】
図7に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図7(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図7(B)に、図7(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図7(C)に、図7(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図7(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0173】
図7(B)および図7(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、絶縁体612上にあり、導電体604の側面と接
する領域を有する絶縁体610と、導電体604上にあり、導電体604の側面と接する
領域を有する絶縁体611と、を有する。また、絶縁体606c上、絶縁体610上、絶
縁体611上および導電体604上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上に
は、絶縁体618が配置される。絶縁体618、絶縁体608および絶縁体606cは、
半導体606bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体616aおよび導電
体616bが半導体606bと接続される。なお、図示しないが、導電体616aまたは
導電体616bの少なくとも一方が、絶縁体610に接するように配置されていてもよい
。その場合、導電体616aと導電体616bとの距離を縮めることができるため、トラ
ンジスタのオン電流を大きくすることができる場合がある。なお、絶縁体611は、導電
体604の側面の傾斜角度によっては形成されない場合がある。また、図示しないが、絶
縁体606aおよび半導体606bの側面に接する領域を有する絶縁体が形成される場合
もある。
【0174】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0175】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aと接する領域が凸部
となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
【0176】
図8に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図8(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図8(B)に、図8(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図8(C)に、図8(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図8(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0177】
図8(B)および図8(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、絶縁体612上にあり、導電体604の側面と接
する領域を有する絶縁体610と、導電体604上にあり、導電体604の側面と接する
領域を有する絶縁体611と、を有する。また、絶縁体612上、絶縁体610上、絶縁
体611上および導電体604上には、絶縁体608が配置される。絶縁体608上には
、絶縁体618が配置される。絶縁体618、絶縁体608、絶縁体612および絶縁体
606cは、半導体606bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体616
aおよび導電体616bが半導体606bと接続される。なお、図示しないが、導電体6
16aまたは導電体616bの少なくとも一方が、絶縁体610に接するように配置され
ていてもよい。その場合、導電体616aと導電体616bとの距離を縮めることができ
るため、トランジスタのオン電流を大きくすることができる場合がある。なお、絶縁体6
11は、導電体604の側面の傾斜角度によっては形成されない場合がある。また、図示
しないが、絶縁体606aおよび半導体606bの側面に接する領域を有する絶縁体が形
成される場合もある。
【0178】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0179】
絶縁体612は、絶縁体612aと、絶縁体612bと、が順に積層した構造を有する。
例えば、絶縁体612bには、金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物を用いる
ことで絶縁体612bに凹凸がほとんど形成されない場合がある。金属酸化物としては、
比誘電率の高い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、比誘電率が7以上、好まし
くは10以上、さらに好ましくは14以上の金属酸化物を用いることが好ましい。比誘電
率の高い金属酸化物を絶縁体612の一部に用いることで、物理膜厚を厚くしつつ、等価
酸化膜厚を薄くすることができる。そのため、トランジスタを微細化していくことで等価
酸化膜厚を薄くなった場合でもトランジスタのリーク電流を小さくすることができる。
【0180】
また、絶縁体612aには、エネルギーギャップの大きい絶縁体を用いることが好ましい
。例えば、エネルギーギャップが6eV以上、好ましくは7eV以上の絶縁体を用いれば
よい。エネルギーギャップの大きい絶縁体を絶縁体612の一部に用いることで、トラン
ジスタのリーク電流を小さくすることができる。なお、絶縁体612aと、絶縁体612
bと、を逆の順に積層してもよい。また、絶縁体612aまたは/および絶縁体612b
の上または下に、さらに絶縁体を配置してもよい。例えば、比誘電率の高い絶縁体を、エ
ネルギーギャップの大きい絶縁体で挟む構造であってもよいし、エネルギーギャップの大
きい絶縁体を、比誘電率の高い絶縁体で挟む構造であってもよい。
【0181】
なお、ここでは絶縁体612が積層構造を有する場合について説明したが、同様の積層構
造を絶縁体602に用いてもよい。絶縁体602を積層構造としても、トランジスタのリ
ーク電流を小さくできる場合がある。
【0182】
図9に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図9(A
)に、トランジスタの上面図を示す。また、図9(B)に、図9(A)における一点鎖線
G1-G2に相当する断面図を示す。また、図9(C)に、図9(A)における一点鎖線
G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図9(A)では、理解を容易にするため絶縁
体などの構成要素の一部を省略している。
【0183】
図9(B)および図9(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上の絶
縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体602
と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体
606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体612
と、絶縁体612上の導電体604と、半導体606b上にあり、導電体604の側面と
接する領域を有する絶縁体610と、導電体604上にあり、導電体604の側面と接す
る領域を有する絶縁体611と、を有する。また、絶縁体602上、半導体606b上、
絶縁体612上、絶縁体610上、絶縁体611上および導電体604上には、絶縁体6
08が配置される。絶縁体608上には、絶縁体618が配置される。絶縁体618およ
び絶縁体608は、半導体606bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導電体
616aおよび導電体616bが半導体606bと接続される。なお、図示しないが、導
電体616aまたは導電体616bの少なくとも一方が、絶縁体610に接するように配
置されていてもよい。その場合、導電体616aと導電体616bとの距離を縮めること
ができるため、トランジスタのオン電流を大きくすることができる場合がある。なお、絶
縁体611は、導電体604の側面の傾斜角度によっては形成されない場合がある。また
、図示しないが、絶縁体606aおよび半導体606bの側面に接する領域を有する絶縁
体が形成される場合もある。
【0184】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0185】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aまたは絶縁体606
cの少なくとも一方と接する領域が凸部となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
また、絶縁体610と接する領域が、凸部と凹部の間の厚さになる場合がある。また、半
導体606bは、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606cと接する領域が凸部
となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
【0186】
図10に、本発明の一態様に係る半導体装置の有するトランジスタの構造を示す。図10
(A)に、トランジスタの上面図を示す。また、図10(B)に、図10(A)における
一点鎖線G1-G2に相当する断面図を示す。また、図10(C)に、図10(A)にお
ける一点鎖線G3-G4に相当する断面図を示す。なお、図10(A)では、理解を容易
にするため絶縁体などの構成要素の一部を省略している。
【0187】
図10(B)および図10(C)に示す断面図において、トランジスタは、基板600上
の絶縁体603および導電体613と、絶縁体603上および導電体613上の絶縁体6
02と、絶縁体602上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半
導体606b上および絶縁体602上の絶縁体606cと、絶縁体606c上の絶縁体6
12と、絶縁体612上の導電体604と、絶縁体606c上にあり、導電体604の側
面と接する領域を有する絶縁体610と、導電体604上にあり、導電体604の側面と
接する領域を有する絶縁体611と、を有する。また、絶縁体602上、半導体606b
上、絶縁体612上、絶縁体610上、絶縁体611上および導電体604上には、絶縁
体608が配置される。絶縁体608上には、絶縁体618が配置される。絶縁体618
および絶縁体608は、半導体606bに達する開口部が設けられ、該開口部を介して導
電体616aおよび導電体616bが半導体606bと接続される。なお、図示しないが
、導電体616aまたは導電体616bの少なくとも一方が、絶縁体610に接するよう
に配置されていてもよい。その場合、導電体616aと導電体616bとの距離を縮める
ことができるため、トランジスタのオン電流を大きくすることができる場合がある。なお
、絶縁体611は、導電体604の側面の傾斜角度によっては形成されない場合がある。
また、図示しないが、絶縁体606aおよび半導体606bの側面に接する領域を有する
絶縁体が形成される場合もある。
【0188】
絶縁体606aおよび半導体606bは、領域607aおよび領域607bを有する。領
域607aおよび領域607bは、そのほかの領域と比べて導電性の高い(抵抗の低い)
領域である。なお、領域607aおよび領域607bは、絶縁体606aのみ、または半
導体606bのみに設けられていてもよい。
【0189】
絶縁体602は、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606aまたは絶縁体606
cの少なくとも一方と接する領域が凸部となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
また、絶縁体610と接する領域が、凸部と凹部の間の厚さになる場合がある。また、半
導体606bは、凹凸を有する場合がある。例えば、絶縁体606cと接する領域が凸部
となり、接しない領域が凹部となる場合がある。
【0190】
上述したトランジスタの構造は一例である。また、上述したトランジスタの構造を部分的
に組み合わせて新たなトランジスタの構造としてもよい。
【0191】
<トランジスタの作製方法>
以下では、図1に示したトランジスタの作製方法について説明する。
【0192】
なお、導電体、絶縁体および半導体の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD
:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(M
BE:Molecular Beam Epitaxy)法またはパルスレーザ堆積(P
LD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:A
tomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
【0193】
CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enha
nced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法
、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料
ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOC
VD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0194】
PECVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、TCVD法は、プラズマを
用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である
。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)など
は、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積
した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある
。一方、プラズマを用いないTCVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じない
ため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、TCVD法では、成膜中の
プラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0195】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法で
ある。また、ALD法も、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が
得られる。
【0196】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは
異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって
、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に
、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の
高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速
度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが
好ましい場合もある。
【0197】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御するこ
とができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の
組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜し
ながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜す
ることができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用い
て成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くす
ることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0198】
ここで、導電体、絶縁体および半導体の加工方法について説明する。加工方法として、様
々な微細加工技術を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法等で形成したレ
ジストマスクに対してスリミング処理を施す方法を用いてもよい。また、フォトリソグラ
フィ法等でダミーパターンを形成し、当該ダミーパターンにサイドウォールを形成した後
にダミーパターンを除去し、残存したサイドウォールをレジストマスクとして用いて、導
電体、絶縁体および半導体をエッチングしてもよい。また導電体、絶縁体および半導体の
エッチングとして、高いアスペクト比を実現するために、異方性のドライエッチングを用
いることが好ましい。また、無機膜または金属膜からなるハードマスクを用いてもよい。
【0199】
レジストマスクの形成に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436
nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。
そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。ま
た、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光
(EUV:Extreme Ultra-violet)やX線を用いてもよい。また、
露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電
子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームな
どのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
【0200】
また、レジストマスクとなるレジスト膜を形成する前に、導電体、絶縁体および半導体と
レジスト膜との密着性を改善する機能を有する有機樹脂膜を形成してもよい。当該有機樹
脂膜は、例えばスピンコート法などにより、その下層の段差を被覆して表面を平坦化する
ように形成することができ、当該有機樹脂膜の上層に設けられるレジストマスクの厚さの
ばらつきを低減できる。また特に微細な加工を行う場合には、当該有機樹脂膜として、露
光に用いる光に対する反射防止膜として機能する材料を用いることが好ましい。このよう
な機能を有する有機樹脂膜としては、例えばBARC(Bottom Anti-Ref
lection Coating)膜などがある。当該有機樹脂膜は、レジストマスクの
除去と同時に除去するか、レジストマスクを除去した後に除去すればよい。
【0201】
まずは、基板600を準備する。なお、基板600上には素子(半導体素子、容量素子な
ど)や配線層が形成されていてもよい。また、基板600上、素子上および配線層上に絶
縁体が形成されていてもよい。
【0202】
次に、絶縁体603となる絶縁体を成膜する。
【0203】
次に、酸素イオンを添加することにより、絶縁体603となる絶縁体に過剰酸素を含ませ
てもよい。酸素イオンの添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上1
0kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上5×1016ions/
cm以下として行えばよい。
【0204】
次に、絶縁体603となる絶縁体を加工し、溝部を有する絶縁体603を形成する。
【0205】
次に、導電体613となる導電体を成膜する。
【0206】
次に、導電体613となる導電体を化学機械研磨(CMP:Chemical Mech
anical Polishing)法によって処理し、絶縁体603の溝部に導電体6
13を形成する(図11参照。)。なお、同様の形状が得られれば、CMP法を用いてな
くてもよい。
【0207】
そして、絶縁体602を成膜する。次に、絶縁体602上に絶縁体606aとなる絶縁体
を成膜する。
【0208】
次に、酸素イオンを添加することにより、絶縁体606aとなる絶縁体に過剰酸素を含ま
せてもよい。酸素イオンの添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上
10kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上5×1016ions
/cm以下として行えばよい。
【0209】
次に、半導体606bとなる半導体を成膜する。なお、絶縁体606aとなる絶縁体と、
半導体606bとなる半導体と、を大気に曝すことなく、連続で成膜することが好ましい
。こうすることで、絶縁体606aとなる絶縁体と、半導体606bとなる半導体と、の
間の領域の不純物濃度を低減することができる。
【0210】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、絶縁体606aとなる絶縁体、
および半導体606bとなる半導体の水素濃度を低減させることができる場合がある。ま
た、絶縁体606aとなる絶縁体、および半導体606bとなる半導体の酸素欠損を低減
させることができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは4
50℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよい。加
熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは1
0%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、
不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10pp
m以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理によ
って、絶縁体606aとなる絶縁体、および半導体606bとなる半導体の結晶性を高め
ることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
【0211】
次に、絶縁体606aとなる絶縁体、および半導体606bとなる半導体を加工し、島状
の絶縁体606a、および島状の半導体606bを形成する(図12参照。)。
【0212】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、絶縁体606aおよび半導体6
06bの水素濃度を低減させることができる場合がある。また、絶縁体606aおよび半
導体606bの酸素欠損を低減させることができる場合がある。加熱処理は、250℃以
上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上
570℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10p
pm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行って
もよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補
うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理
を行ってもよい。加熱処理によって、絶縁体606aおよび半導体606bの結晶性を高
めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
【0213】
次に、絶縁体636cを成膜する。
【0214】
次に、絶縁体622を成膜する。
【0215】
次に、導電体614を成膜する(図13参照。)。なお、絶縁体636cと、絶縁体62
2と、導電体614と、を大気に曝すことなく、連続で成膜することが好ましい。こうす
ることで、絶縁体636cと、絶縁体622と、導電体614と、の間の領域の不純物濃
度を低減することができる。
【0216】
次に、絶縁体636c、絶縁体622および導電体614を加工し、絶縁体606c、絶
縁体612および導電体604を形成する(図14参照。)。
【0217】
次に、ドーパントを添加することで、絶縁体606aおよび半導体606bに、領域60
7aおよび領域607bを形成する(図15参照。)。導電体604などが遮蔽物となる
ことで、導電体604の下の領域にはほとんどドーパントは添加されない。即ち、自己整
合的に領域607aおよび領域607bを形成することができる。
【0218】
ドーパントの添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン
注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法などを用
いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御
することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加する
ことができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオン注入法
またはイオンドーピング法を用いてもよい。なお、ドーパントを、イオン、ドナー、アク
セプター、不純物または元素と言い換えてもよい。
【0219】
ドーパントの添加工程は、加速電圧、ドーズ量などの注入条件を適宜設定して制御すれば
よい。ドーパントのドーズ量は、例えば、1×1012ions/cm以上1×10
ions/cm以下、好ましくは1×1013ions/cm以上1×1015
ons/cm以下とすればよい。ドーパント導入時の加速電圧は2kV以上50kV以
下、好ましくは5kV以上30kV以下とすればよい。
【0220】
また、加熱しながらドーパント添加してもよい。例えば、200℃以上700℃以下、好
ましくは300℃以上500℃以下、より好ましくは350℃以上450℃以下に加熱し
ながらドーパントを添加してもよい。
【0221】
ドーパントとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒
素、フッ素、リン、塩素、ヒ素、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、チタ
ン、バナジウム、クロム、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジ
ルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、ネオジム、
ハフニウム、タンタルまたはタングステンなどが挙げられる。これらの元素の中でも、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、フッ素、リン、塩素、ヒ素ま
たはホウ素は、イオン注入法およびイオンドーピング法などを用いて比較的容易に添加す
ることができるため、好適である。
【0222】
また、ドーパントの添加処理後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、例えば、250
℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下とし、窒素雰囲気下、減圧下
、大気(超乾燥エア)下で加熱処理を行ってもよい。
【0223】
ドーパントの添加された絶縁体606aおよび半導体606bの領域は、添加の衝撃によ
ってスピネル型の結晶構造を有する領域が形成される。
【0224】
イオン注入法またはイオンドーピング処理によるイオンの添加は、試料面に対して特定の
角度(例えば、垂直な角度)から行ってもよいが、図24に示す方法で行うと好ましい。
図24は、一つのイオンが、試料面に対し、角度(θ)および角度(φ)で入射する様子
を簡略的に示した図である。
【0225】
図中のx軸、y軸およびz軸は、あるイオンの入射点で交差する直線である。x軸は、試
料面上に任意に定めた直線である。y軸は、試料面上にあり、x軸と直交する直線である
。z軸は、入射点における試料面の法線である。角度(θ)は、断面図において、イオン
の入射方向とz軸との為す角度である。また、角度(φ)は、上面図において、イオンの
入射方向とx軸との為す角度である。
【0226】
ある物体をマスクとして試料面に対して特定の角度(θ,φ)からイオンを入射させた場
合、物体の下部にある試料の一部に対してもイオンを添加することができる。
【0227】
また、試料面に対して特定の角度(θ,φ)のみからイオンを入射させた場合、物体が高
さを有することにより、イオンが入射する側と反対側にイオンの添加されない領域が生じ
る場合がある。イオンの添加されない領域を物体の陰と呼ぶことができる。したがって、
イオンを複数の角度から入射させることにより、試料面に生じる陰の影響を低減すること
が好ましい。
【0228】
図24(A1)および図24(A2)に示すように、イオンを試料面に対し、第1の角度
(θ,φ)で入射させた後、第2の角度(θ,φ)で入射させればよい。ただし、第1の
角度(θ,φ)および第2の角度(θ,φ)はθ、φの少なくとも一方が異なる角度であ
る。
【0229】
第1の角度(θ,φ)における角度(θ)は、例えば、10°以上60°以下、好ましく
は15°以上45°以下、さらに好ましくは20°以上40°以下とする。第2の角度(
θ,φ)における角度(θ)は、例えば、10°以上60°以下、好ましくは15°以上
45°以下、さらに好ましくは20°以上40°以下とする。なお、第2の角度(θ,φ
)における角度θと、第1の角度(θ,φ)における角度θと、はz軸に対して対称であ
る。よって、第2の角度(θ,φ)における角度θを、負の値として表すこともできる。
具体的には、第2の角度(θ,φ)における角度(θ)を、例えば、-60°以上-10
°以下、好ましくは-45°以上-15°以下、さらに好ましくは-40°以上-20°
以下と表記することもできる。
【0230】
第2の角度(θ,φ)における角度(φ)は、例えば、第1の角度(θ,φ)における角
度(φ)よりも90°以上270°以下、好ましくは135°以上225°以下大きい角
度とし、代表的には180°とする。ただし、ここで示した第1の角度(θ,φ)および
第2の角度(θ,φ)は一例であり、これに限定されるものではない。
【0231】
なお、イオンを入射させる角度は、第1の角度(θ,φ)、第2の角度(θ,φ)の2種
類に限定されない。例えば、第1乃至第n(nは2以上の自然数)の角度(θ,φ)で入
射させてもよい。第1乃至第nの角度(θ,φ)は、それぞれθ、φの少なくとも一方が
異なる角度を含む。
【0232】
または、図24(B)に示すように、イオンを、試料面に対し第1の角度(θ,φ)で入
射させた後、角度(θ)が0°を経由して第2の角度(θ,φ)までθ方向にスキャン(
θスキャンともいう。)させてもよい。ただし、イオンを入射させる角度(φ)は、1種
類に限定されず、第1乃至第n(nは2以上の自然数)の角度(φ)で入射させてもよい
【0233】
第1の角度(θ,φ)における角度(θ)は、例えば、10°以上60°以下、好ましく
は15°以上45°以下、さらに好ましくは20°以上40°以下とする。第2の角度(
θ,φ)における角度(θ)は、例えば、10°以上60°以下、好ましくは15°以上
45°以下、さらに好ましくは20°以上40°以下とする。第1の角度(θ,φ)と第
2の角度(θ,φ)とは同じ角度(θ)であってもよい。
【0234】
なお、θスキャンは、連続的にスキャンしてもよいが、例えば、0.5°、1°、2°、
3°、4°、5°、6°、10°、12°、18°、20°、24°または30°ステッ
プで段階的にスキャンしてもよい。
【0235】
または、イオンは、図24(C)に示すように、試料面に対し、第1の角度(θ,φ)で
入射させた後、第2の角度(θ,φ)までφ方向にスキャン(φスキャンともいう。)さ
せればよい。ただし、イオンを入射させる角度(θ)は、1種類に限定されず、第1乃至
第n(nは2以上の自然数)の角度(θ)で入射させてもよい。
【0236】
第1の角度(θ,φ)および第2の角度(θ,φ)において、角度(θ)は、例えば、1
0°以上60°以下、好ましくは15°以上45°以下、さらに好ましくは20°以上4
0°以下とする。第1の角度(θ,φ)と第2の角度(θ,φ)とは同じ角度(φ)であ
ってもよい。
【0237】
なお、φスキャンは、連続的にスキャンしてもよいが、例えば、0.5°、1°、2°、
3°、4°、5°、6°、10°、12°、18°、20°、24°または30°ステッ
プで段階的にスキャンしてもよい。
【0238】
なお、図示しないが、θスキャンおよびφスキャンを組み合わせて行っても構わない。
【0239】
図24に示した方法を用いることで、領域607aおよび領域607bを、導電体604
と重ならない領域に加え、一部が導電体604と重なる領域にまで形成することができる
。したがって、領域607aおよび領域607bと、チャネル形成領域との間に、高抵抗
のオフセット領域が形成されないため、トランジスタのオン電流を高くすることができる
【0240】
以上のようにして、図1に示したトランジスタを作製することができる。
【0241】
次に、図5に示したトランジスタの作製方法について説明する。
【0242】
まずは、基板600を準備する。
【0243】
次に、絶縁体603となる絶縁体を成膜する。
【0244】
次に、酸素イオンを添加することにより、絶縁体603となる絶縁体に過剰酸素を含ませ
てもよい。酸素イオンの添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上1
0kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上5×1016ions/
cm以下として行えばよい。
【0245】
次に、絶縁体603となる絶縁体を加工し、溝部を有する絶縁体603を形成する。
【0246】
次に、導電体613となる導電体を成膜する。
【0247】
次に、導電体613となる導電体をCMP法によって処理し、絶縁体603の溝部に導電
体613を形成する(図16参照。)。なお、同様の形状が得られれば、CMP法を用い
てなくてもよい。
【0248】
そして、絶縁体602を成膜する。次に、絶縁体602上に絶縁体606aとなる絶縁体
を成膜する。
【0249】
次に、酸素イオンを添加することにより、絶縁体606aとなる絶縁体に過剰酸素を含ま
せてもよい。酸素イオンの添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上
10kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上5×1016ions
/cm以下として行えばよい。
【0250】
次に、半導体606bとなる半導体を成膜する。なお、絶縁体606aとなる絶縁体と、
半導体606bとなる半導体と、を大気に曝すことなく、連続で成膜することが好ましい
。こうすることで、絶縁体606aとなる絶縁体と、半導体606bとなる半導体と、の
間の領域の不純物濃度を低減することができる。
【0251】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、絶縁体606aとなる絶縁体、
および半導体606bとなる半導体の水素濃度を低減させることができる場合がある。ま
た、絶縁体606aとなる絶縁体、および半導体606bとなる半導体の酸素欠損を低減
させることができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは4
50℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよい。加
熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは1
0%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、
不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10pp
m以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理によ
って、絶縁体606aとなる絶縁体、および半導体606bとなる半導体の結晶性を高め
ることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
【0252】
次に、絶縁体606aとなる絶縁体、および半導体606bとなる半導体を加工し、島状
の絶縁体606a、および島状の半導体606bを形成する(図17参照。)。
【0253】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、絶縁体606aおよび半導体6
06bの水素濃度を低減させることができる場合がある。また、絶縁体606aおよび半
導体606bの酸素欠損を低減させることができる場合がある。加熱処理は、250℃以
上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上
570℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10p
pm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行って
もよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補
うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理
を行ってもよい。加熱処理によって、絶縁体606aおよび半導体606bの結晶性を高
めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
【0254】
次に、絶縁体636cを成膜する。
【0255】
次に、絶縁体622を成膜する。
【0256】
次に、導電体614を成膜する(図18参照。)。なお、絶縁体636cと、絶縁体62
2と、導電体614と、を大気に曝すことなく、連続で成膜することが好ましい。こうす
ることで、絶縁体636cと、絶縁体622と、導電体614と、の間の領域の不純物濃
度を低減することができる。
【0257】
次に、導電体614を加工し、導電体604を形成する(図19参照。)。
【0258】
次に、絶縁体610および絶縁体611となる絶縁体を成膜する。
【0259】
次に、絶縁体610および絶縁体611となる絶縁体を異方性エッチングすることで、導
電体604の側面に絶縁体を残存させ、絶縁体610および絶縁体611を形成すること
ができる(図20参照。)。なお、絶縁体610および絶縁体611の形成時に、絶縁体
622および絶縁体636cもエッチングされ、絶縁体612および絶縁体606cが形
成される。
【0260】
次に、ドーパントを添加することで、絶縁体606aおよび半導体606bに、領域60
7aおよび領域607bを形成する(図21参照。)。導電体604および絶縁体610
などが遮蔽物となることで、導電体604および絶縁体610の下の領域にはほとんどド
ーパントは添加されない。即ち、自己整合的に領域607aおよび領域607bを形成す
ることができる。
【0261】
ドーパントの添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン
注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法などを用
いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御
することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加する
ことができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオン注入法
またはイオンドーピング法を用いてもよい。なお、ドーパントを、イオン、ドナー、アク
セプター、不純物または元素と言い換えてもよい。
【0262】
ドーパントの添加工程は、加速電圧、ドーズ量などの注入条件を適宜設定して制御すれば
よい。ドーパントのドーズ量は、例えば、1×1012ions/cm以上1×10
ions/cm以下、好ましくは1×1013ions/cm以上1×1015
ons/cm以下とすればよい。ドーパント導入時の加速電圧は2kV以上50kV以
下、好ましくは5kV以上30kV以下とすればよい。
【0263】
また、加熱しながらドーパント添加してもよい。例えば、200℃以上700℃以下、好
ましくは300℃以上500℃以下、より好ましくは350℃以上450℃以下に加熱し
ながらドーパントを添加してもよい。
【0264】
ドーパントとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒
素、フッ素、リン、塩素、ヒ素、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、チタ
ン、バナジウム、クロム、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジ
ルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、ネオジム、
ハフニウム、タンタルまたはタングステンなどが挙げられる。これらの元素の中でも、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、フッ素、リン、塩素、ヒ素ま
たはホウ素は、イオン注入法およびイオンドーピング法などを用いて比較的容易に添加す
ることができるため、好適である。
【0265】
また、ドーパントの添加処理後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、例えば、250
℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下とし、窒素雰囲気下、減圧下
、大気(超乾燥エア)下で加熱処理を行ってもよい。
【0266】
ドーパントの添加された絶縁体606aおよび半導体606bの領域は、添加の衝撃によ
ってスピネル型の結晶構造を有する領域が形成される。
【0267】
イオン注入法またはイオンドーピング処理によるイオンの添加は、試料面に対して特定の
角度(例えば、垂直な角度)から行ってもよい。例えば、図24を用いて説明した方法で
行えばよい。
【0268】
以上のようにして、図5に示したトランジスタを作製することができる。
【0269】
<回路>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置の回路の一例について説明する。
【0270】
<CMOSインバータ>
図25(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のト
ランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMO
Sインバータの構成を示している。
【0271】
<半導体装置の構造1>
図26は、図25(A)に対応する半導体装置の断面図である。図26に示す半導体装置
は、トランジスタ2200と、トランジスタ2100と、を有する。また、トランジスタ
2100は、トランジスタ2200の上方に配置する。なお、トランジスタ2100とし
ては、上述したトランジスタなどを用いればよい。よって、トランジスタ2100につい
ては、適宜上述したトランジスタについての記載を参酌する。なお、図26(A)、図2
6(B)および図26(C)は、それぞれ異なる場所の断面図である。
【0272】
図26に示すトランジスタ2200は、半導体基板450を用いたトランジスタである。
トランジスタ2200は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中の
領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
【0273】
トランジスタ2200において、領域472aおよび領域472bは、ソース領域および
ドレイン領域としての機能を有する。また、絶縁体462は、ゲート絶縁体としての機能
を有する。また、導電体454は、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導電
体454に印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる。即
ち、導電体454に印加する電位によって、領域472aと領域472bとの間の導通・
非導通を制御することができる。
【0274】
半導体基板450としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、ま
たは炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛
、酸化ガリウムなどの化合物半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体基板4
50として単結晶シリコン基板を用いる。
【0275】
半導体基板450は、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。ただ
し、半導体基板450として、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用い
ても構わない。その場合、トランジスタ2200となる領域には、n型の導電型を付与す
る不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板450がi型であっても
構わない。
【0276】
半導体基板450の上面は、(110)面を有することが好ましい。こうすることで、ト
ランジスタ2200のオン特性を向上させることができる。
【0277】
領域472aおよび領域472bは、p型の導電型を付与する不純物を有する領域である
。このようにして、トランジスタ2200はpチャネル型トランジスタを構成する。
【0278】
なお、トランジスタ2200は、領域460などによって隣接するトランジスタと分離さ
れる。領域460は、絶縁性を有する領域である。
【0279】
図26に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、絶縁体
422と、導電体480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと
、導電体478bと、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体
474aと、導電体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496b
と、導電体496cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電
体498cと、絶縁体490と、絶縁体602と、絶縁体492と、絶縁体428と、絶
縁体409と、絶縁体494と、を有する。
【0280】
ここで、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409は、バリア性を有する絶縁体で
ある。即ち、図26に示す半導体装置は、トランジスタ2100がバリア性を有する絶縁
体に囲まれた構造を有する。ただし、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409の
いずれか一以上を有さなくてもよい。
【0281】
絶縁体464は、トランジスタ2200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体4
64上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体4
90は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ2100は、絶縁体490上に
配置する。また、絶縁体492は、トランジスタ2100上に配置する。また、絶縁体4
94は、絶縁体492上に配置する。
【0282】
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導電
体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、導
電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0283】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開口
部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体
478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0284】
また、絶縁体468および絶縁体422は、導電体478bに達する開口部と、導電体4
78cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは
導電体476bが埋め込まれている。
【0285】
また、絶縁体490は、トランジスタ2100のチャネル形成領域と重なる開口部と、導
電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、開
口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込まれ
ている。
【0286】
導電体474aは、トランジスタ2100のゲート電極としての機能を有しても構わない
。または、例えば、導電体474aに一定の電位を印加することで、トランジスタ210
0のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば、導電体474
aとトランジスタ2100のゲート電極としての機能を有する導電体604とを電気的に
接続しても構わない。こうすることで、トランジスタ2100のオン電流を大きくするこ
とができる。また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ210
0の飽和領域における電気特性を安定にすることができる。
【0287】
また、絶縁体409および絶縁体492は、トランジスタ2100のソースまたはドレイ
ンの一方である領域607bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ
2100のソースまたはドレインの他方である領域607aに達する開口部と、トランジ
スタ2100のゲート電極である導電体604に達する開口部と、導電体474cに達す
る開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体496a、導電体496b、
導電体496cまたは導電体496dが埋め込まれている。ただし、それぞれの開口部は
、さらにトランジスタ2100などの構成要素のいずれかが有する開口部を介する場合が
ある。
【0288】
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bおよび導電体
496dに達する開口部と、導電体496cに達する開口部と、を有する。また、開口部
には、それぞれ導電体498a、導電体498bまたは導電体498cが埋め込まれてい
る。
【0289】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体492および絶縁体
494としては、材料が同じであってもよいし、材料が異なっていてもよく、例えば、ホ
ウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素
、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジ
ム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層でそれぞれ用いれば
よい。例えば、絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体49
2および絶縁体494としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、
酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム
、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム
または酸化タンタルから選ばれた一をそれぞれ用いればよい。
【0290】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体492または絶縁体
494の一以上は、バリア性を有する絶縁体を有すると好ましい。
【0291】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ
素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、
アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム
、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0292】
導電体480a、導電体480b、導電体480c、導電体478a、導電体478b、
導電体478c、導電体476a、導電体476b、導電体474a、導電体474b、
導電体474c、導電体496a、導電体496b、導電体496c、導電体496d、
導電体498a、導電体498bおよび導電体498cとしては、例えば、ホウ素、窒素
、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト
、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウ
ム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを
含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム
、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。導
電体480a、導電体480b、導電体480c、導電体478a、導電体478b、導
電体478c、導電体476a、導電体476b、導電体474a、導電体474b、導
電体474c、導電体496a、導電体496b、導電体496c、導電体496d、導
電体498a、導電体498bおよび導電体498cの一以上は、バリア性を有する導電
体を有すると好ましい。
【0293】
なお、図27に示す半導体装置は、図26に示した半導体装置のトランジスタ2200の
構造が異なるのみである。よって、図27に示す半導体装置については、図26に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図27に示す半導体装置は、トランジスタ2
200がFin型である場合を示している。トランジスタ2200をFin型とすること
により、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ2200のオン特性を向
上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、ト
ランジスタ2200のオフ特性を向上させることができる。なお、図27(A)、図27
(B)および図27(C)は、それぞれ異なる場所の断面図である。
【0294】
また、図28に示す半導体装置は、図26に示した半導体装置のトランジスタ2200の
構造が異なるのみである。よって、図28に示す半導体装置については、図26に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図28に示す半導体装置は、トランジスタ2
200がSOI基板に設けられた場合を示している。図28には、絶縁体452によって
領域456が半導体基板450と分離されている構造を示す。SOI基板を用いることに
よって、パンチスルー現象などを抑制することができるためトランジスタ2200のオフ
特性を向上させることができる。なお、絶縁体452は、半導体基板450の一部を絶縁
体化させることによって形成することができる。例えば、絶縁体452としては、酸化シ
リコンを用いることができる。なお、図28(A)、図28(B)および図28(C)は
、それぞれ異なる場所の断面図である。
【0295】
図26乃至図28に示した半導体装置は、半導体基板を用いてpチャネル型トランジスタ
を作製し、その上方にnチャネル型トランジスタを作製するため、素子の占有面積を縮小
することができる。即ち、半導体装置の集積度を高くすることができる。また、nチャネ
ル型トランジスタと、pチャネル型トランジスタとを同一の半導体基板を用いて作製した
場合と比べて、工程を簡略化することができるため、半導体装置の生産性を高くすること
ができる。また、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、pチャネル型ト
ランジスタは、LDD(Lightly Doped Drain)領域、シャロートレ
ンチ構造、歪み設計などの複雑な工程を省略できる場合がある。そのため、nチャネル型
トランジスタを、半導体基板を用いて作製する場合と比べて、生産性および歩留まりを高
くすることができる場合がある。
【0296】
<CMOSアナログスイッチ>
また図25(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそれ
ぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、い
わゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
【0297】
<記憶装置1>
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の保
持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図29
に示す。
【0298】
図29(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2の
半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、ト
ランジスタ3300としては、上述したトランジスタを用いることができる。
【0299】
トランジスタ3300は、オフ電流の小さいトランジスタが好ましい。トランジスタ33
00は、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。トランジス
タ3300のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記
憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、または
リフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半導
体装置となる。
【0300】
図29(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的に
接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続される
。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気的
に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続されて
いる。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース、
ドレインの他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線30
05は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
【0301】
図29(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能とい
う特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
【0302】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および容
量素子3400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トラン
ジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる
二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)
のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジス
タ3300が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とするこ
とにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
【0303】
トランジスタ3300のオフ電流が小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって保
持される。
【0304】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線
3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ
3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電荷
が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200の
ゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_L
り低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200を
「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがっ
て、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることによ
り、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFG
にHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(>
th_H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードFG
にLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<V
th_L)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このため
、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み
出すことができる。
【0305】
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報
を読み出さなくてはならない。情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノードFGに
与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となるような電位、つま
り、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセルの情
報のみを読み出せる構成とすればよい。または、情報を読み出さないメモリセルにおいて
は、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「導通状態」となるよ
うな電位、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えることで所望の
メモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
【0306】
<半導体装置の構造2>
図30は、図29(A)に対応する半導体装置の断面図である。図30に示す半導体装置
は、トランジスタ3200と、トランジスタ3300と、容量素子3400と、を有する
。また、トランジスタ3300および容量素子3400は、トランジスタ3200の上方
に配置する。なお、トランジスタ3300としては、上述したトランジスタ2100につ
いての記載を参照する。また、トランジスタ3200としては、図26に示したトランジ
スタ2200についての記載を参照する。なお、図26では、トランジスタ2200がp
チャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジスタ3200がnチャ
ネル型トランジスタであっても構わない。なお、図30(A)、図30(B)および図3
0(C)は、それぞれ異なる場所の断面図である。
【0307】
図30に示すトランジスタ3200は、半導体基板450を用いたトランジスタである。
トランジスタ3200は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中の
領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
【0308】
図30に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、絶縁体
422と、導電体480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと
、導電体478bと、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体
474aと、導電体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496b
と、導電体496cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電
体498cと、導電体498dと、絶縁体490と、絶縁体602と、絶縁体492と、
絶縁体428と、絶縁体409と、絶縁体494と、を有する。
【0309】
ここで、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409は、バリア性を有する絶縁体で
ある。即ち、図30に示す半導体装置は、トランジスタ3300がバリア性を有する絶縁
体に囲まれた構造を有する。ただし、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409の
いずれか一以上を有さなくてもよい。
【0310】
絶縁体464は、トランジスタ3200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体4
64上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体4
90は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ3300は、絶縁体490上に
配置する。また、絶縁体492は、トランジスタ3300上に配置する。また、絶縁体4
94は、絶縁体492上に配置する。
【0311】
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導電
体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、導
電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0312】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開口
部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体
478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0313】
また、絶縁体468および絶縁体422は、導電体478bに達する開口部と、導電体4
78cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは
導電体476bが埋め込まれている。
【0314】
また、絶縁体490は、トランジスタ3300のチャネル形成領域と重なる開口部と、導
電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、開
口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込まれ
ている。
【0315】
導電体474aは、トランジスタ3300のボトムゲート電極としての機能を有しても構
わない。または、例えば、導電体474aに一定の電位を印加することで、トランジスタ
3300のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば、導電体
474aとトランジスタ3300のトップゲート電極である導電体604とを電気的に接
続しても構わない。こうすることで、トランジスタ3300のオン電流を大きくすること
ができる。また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ3300
の飽和領域における電気特性を安定にすることができる。
【0316】
また、絶縁体409および絶縁体492は、トランジスタ3300のソースまたはドレイ
ンの一方である領域607bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ
3300のソースまたはドレインの他方である領域607aと絶縁体612を介して重な
る導電体605に達する開口部と、トランジスタ3300のゲート電極である導電体60
4に達する開口部と、トランジスタ3300のソースまたはドレインの他方である領域6
07aを通って、導電体474cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それ
ぞれ導電体496a、導電体496b、導電体496cまたは導電体496dが埋め込ま
れている。ただし、それぞれの開口部は、さらにトランジスタ3300などの構成要素の
いずれかが有する開口部を介する場合がある。
【0317】
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bに達する開口
部と、導電体496cに達する開口部と、導電体496dに達する開口部と、を有する。
また、開口部には、それぞれ導電体498a、導電体498b、導電体498cまたは導
電体498dが埋め込まれている。
【0318】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体492または絶縁体
494の一以上は、バリア性を有する絶縁体を有すると好ましい。
【0319】
導電体498dとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アル
ミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イッ
トリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルお
よびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば
、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電
体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタン
および窒素を含む導電体などを用いてもよい。導電体498は、バリア性を有する導電体
を有すると好ましい。
【0320】
トランジスタ3200のソースまたはドレインは、導電体480bと、導電体478bと
、導電体476aと、導電体474bと、導電体496cと、を介してトランジスタ33
00のソースまたはドレインの一方である領域607bと電気的に接続する。また、トラ
ンジスタ3200のゲート電極である導電体454は、導電体480cと、導電体478
cと、導電体476bと、導電体474cと、導電体496dと、を介してトランジスタ
3300のソースまたはドレインの他方である領域607aと電気的に接続する。
【0321】
容量素子3400は、トランジスタ3300のソースまたはドレインの他方と電気的に接
続する電極と、導電体605と、絶縁体612と、を有する。なお、絶縁体612は、ト
ランジスタ3300のゲート絶縁体として機能する絶縁体と同一工程を経て形成できるた
め、生産性を高めることができて好ましい場合がある。また、導電体605として、トラ
ンジスタ3300のゲート電極として機能する導電体604と同一工程を経て形成した層
を用いると、生産性を高めることができて好ましい場合がある。ただし、それらを別々の
工程で形成しても構わない。
【0322】
そのほかの構造については、適宜図26などについての記載を参酌することができる。
【0323】
なお、図31に示す半導体装置は、図30に示した半導体装置のトランジスタ3200の
構造が異なるのみである。よって、図31に示す半導体装置については、図30に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図31に示す半導体装置は、トランジスタ3
200がFin型である場合を示している。Fin型であるトランジスタ3200につい
ては、図27に示したトランジスタ2200の記載を参照する。なお、図27では、トラ
ンジスタ2200がpチャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジ
スタ3200がnチャネル型トランジスタであっても構わない。なお、図31(A)、図
31(B)および図31(C)は、それぞれ異なる場所の断面図である。
【0324】
また、図32に示す半導体装置は、図30に示した半導体装置のトランジスタ3200の
構造が異なるのみである。よって、図32に示す半導体装置については、図30に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図32に示す半導体装置は、トランジスタ3
200がSOI基板である半導体基板450に設けられた場合を示している。SOI基板
である半導体基板450に設けられたトランジスタ3200については、図28に示した
トランジスタ2200の記載を参照する。なお、図28では、トランジスタ2200がp
チャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジスタ3200がnチャ
ネル型トランジスタであっても構わない。なお、図32(A)、図32(B)および図3
2(C)は、それぞれ異なる場所の断面図である。
【0325】
<記憶装置2>
図29(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で図29(A)に
示した半導体装置と異なる。この場合も図29(A)に示した半導体装置と同様の動作に
より情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
【0326】
図29(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジス
タ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400
とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結
果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量
素子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によって
、異なる値をとる。
【0327】
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3
の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の
電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×
VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素
子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると
、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V
1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=
(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0328】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこと
ができる。
【0329】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトラ
ンジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタを
駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
【0330】
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適用
することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシ
ュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能とな
るため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場
合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内
容を保持することが可能である。
【0331】
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こ
りにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注
入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といっ
た問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリで
問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装置
である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行わ
れるため、高速な動作が可能となる。
【0332】
<撮像装置>
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
【0333】
図33(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置2000の例を示す平面図である。撮像
装置2000は、画素部2010と、画素部2010を駆動するための周辺回路2060
と、周辺回路2070、周辺回路2080と、周辺回路2090と、を有する。画素部2
010は、p行q列(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画
素2011を有する。周辺回路2060、周辺回路2070、周辺回路2080および周
辺回路2090は、それぞれ複数の画素2011に接続し、複数の画素2011を駆動す
るための信号を供給する機能を有する。なお、本明細書等において、周辺回路2060、
周辺回路2070、周辺回路2080および周辺回路2090などの全てを指して「周辺
回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合がある。例えば、周辺回路2060は周辺回路の一
部といえる。
【0334】
また、撮像装置2000は、光源2091を有することが好ましい。光源2091は、検
出光P1を放射することができる。
【0335】
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換
回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部2010を形成する基板上に形成しても
よい。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。な
お、周辺回路は、周辺回路2060、周辺回路2070、周辺回路2080および周辺回
路2090のいずれか一以上を省略してもよい。
【0336】
また、図33(B)に示すように、撮像装置2000が有する画素部2010において、
画素2011を傾けて配置してもよい。画素2011を傾けて配置することにより、行方
向および列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置2
000における撮像の品質をより高めることができる。
【0337】
<画素の構成例1>
撮像装置2000が有する1つの画素2011を複数の副画素2012で構成し、それぞ
れの副画素2012に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み
合わせることで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
【0338】
図34(A)は、カラー画像を取得するための画素2011の一例を示す平面図である。
図34(A)に示す画素2011は、赤(R)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ
が設けられた副画素2012(以下、「副画素2012R」ともいう)、緑(G)の波長
帯域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2012(以下、「副画素201
2G」ともいう)および青(B)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設けられた
副画素2012(以下、「副画素2012B」ともいう)を有する。副画素2012は、
フォトセンサとして機能させることができる。
【0339】
副画素2012(副画素2012R、副画素2012G、および副画素2012B)は、
配線2031、配線2047、配線2048、配線2049、配線2050と電気的に接
続される。また、副画素2012R、副画素2012G、および副画素2012Bは、そ
れぞれが独立した配線2053に接続している。また、本明細書等において、例えばn行
目の画素2011に接続された配線2048および配線2049を、それぞれ配線204
8[n]および配線2049[n]と記載する。また、例えばm列目の画素2011に接
続された配線2053を、配線2053[m]と記載する。なお、図34(A)において
、m列目の画素2011が有する副画素2012Rに接続する配線2053を配線205
3[m]R、副画素2012Gに接続する配線2053を配線2053[m]G、および
副画素2012Bに接続する配線2053を配線2053[m]Bと記載している。副画
素2012は、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
【0340】
また、撮像装置2000は、隣接する画素2011の、同じ波長帯域の光を透過するカラ
ーフィルタが設けられた副画素2012同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を
有する。図34(B)に、n行(nは1以上p以下の整数)m列(mは1以上q以下の整
数)に配置された画素2011が有する副画素2012と、該画素2011に隣接するn
+1行m列に配置された画素2011が有する副画素2012の接続例を示す。図34
B)において、n行m列に配置された副画素2012Rと、n+1行m列に配置された副
画素2012Rがスイッチ2001を介して接続されている。また、n行m列に配置され
た副画素2012Gと、n+1行m列に配置された副画素2012Gがスイッチ2002
を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素2012Bと、n+1行m
列に配置された副画素2012Bがスイッチ2003を介して接続されている。
【0341】
なお、副画素2012に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定
されず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフ
ィルタを用いてもよい。1つの画素2011に3種類の異なる波長帯域の光を検出する副
画素2012を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
【0342】
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが設
けられた副画素2012に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた
副画素2012を有する画素2011を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、
黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素201
2に加えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2012を有す
る画素2011を用いてもよい。1つの画素2011に4種類の異なる波長帯域の光を検
出する副画素2012を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることが
できる。
【0343】
また、例えば、図34(A)において、赤の波長帯域の光を検出する副画素2012、緑
の波長帯域の光を検出する副画素2012、および青の波長帯域の光を検出する副画素2
012の画素数比(または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画
素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。ま
たは、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
【0344】
なお、画素2011に設ける副画素2012は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例
えば、同じ波長帯域の光を検出する副画素2012を2つ以上設けることで、冗長性を高
め、撮像装置2000の信頼性を高めることができる。
【0345】
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared)
フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置2000を実現することができる。
【0346】
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用い
ることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和すること
を防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装
置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0347】
また、前述したフィルタ以外に、画素2011にレンズを設けてもよい。ここで、図35
の断面図を用いて、画素2011、フィルタ2054、レンズ2055の配置例を説明す
る。レンズ2055を設けることで、光電変換素子が入射光を効率よく受光することがで
きる。具体的には、図35(A)に示すように、画素2011に形成したレンズ2055
、フィルタ2054(フィルタ2054R、フィルタ2054Gおよびフィルタ2054
B)、および画素回路2030等を通して光2056を光電変換素子2020に入射させ
る構造とすることができる。
【0348】
ただし、二点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光2056の一部が配線205
7の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図35(B)に示すように
光電変換素子2020側にレンズ2055およびフィルタ2054を配置して、光電変換
素子2020が光2056を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子2020
側から光2056を光電変換素子2020に入射させることで、検出感度の高い撮像装置
2000を提供することができる。
【0349】
図35に示す光電変換素子2020として、pn型接合またはpin型接合が形成された
光電変換素子を用いてもよい。
【0350】
また、光電変換素子2020を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を
用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、
セレン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合
金等がある。
【0351】
例えば、光電変換素子2020にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて
、X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子
2020を実現できる。
【0352】
ここで、撮像装置2000が有する1つの画素2011は、図34に示す副画素2012
に加えて、第1のフィルタを有する副画素2012を有してもよい。
【0353】
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、を
用いて画素を構成する一例について説明する。
【0354】
図36(A)、図36(B)は、撮像装置を構成する素子の断面図である。図36(A)
に示す撮像装置は、シリコン基板2300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ2
351、トランジスタ2351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジス
タ2352およびトランジスタ2353、ならびにシリコン基板2300に設けられたフ
ォトダイオード2360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード2360は、種
々のプラグ2370および配線2371と電気的な接続を有する。また、フォトダイオー
ド2360のカソード2362は、プラグを介して配線2371と電気的に接続を有する
。また、フォトダイオード2360のアノード2361は、低抵抗領域2363を介して
プラグ2370と電気的に接続を有する。
【0355】
また撮像装置は、シリコン基板2300に設けられたトランジスタ2351およびフォト
ダイオード2360を有する層2310と、層2310と接して設けられ、配線2371
を有する層2320と、層2320と接して設けられ、トランジスタ2352およびトラ
ンジスタ2353を有する層2330と、層2330と接して設けられ、配線2372お
よび配線2373を有する層2340を備えている。
【0356】
なお図36(A)の断面図の一例では、シリコン基板2300において、トランジスタ2
351が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード2360の受光面を有する構成と
する。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保す
ることができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイ
オード2360の受光面をトランジスタ2351が形成された面と同じとすることもでき
る。
【0357】
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層23
10を、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する層とすればよい。または層2310
を省略し、酸化物半導体を用いたトランジスタのみで画素を構成してもよい。
【0358】
なおシリコンを用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層2330を
省略すればよい。層2330を省略した断面図の一例を図36(B)に示す。層2330
を省略する場合、層2340の配線2372も省略することができる。
【0359】
なお、シリコン基板2300は、SOI基板であってもよい。また、シリコン基板230
0に替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化
アルミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウムまたは有機半導体を有する基板
を用いることもできる。
【0360】
ここで、トランジスタ2351およびフォトダイオード2360を有する層2310と、
トランジスタ2352およびトランジスタ2353を有する層2330と、の間には絶縁
体2422が設けられる。ただし、絶縁体2422の位置は限定されない。
【0361】
トランジスタ2351のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンの
ダングリングボンドを終端し、トランジスタ2351の信頼性を向上させる効果がある。
一方、トランジスタ2352およびトランジスタ2353などの近傍に設けられる絶縁体
中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トラン
ジスタ2352およびトランジスタ2353などの信頼性を低下させる要因となる場合が
ある。したがって、シリコンを用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトラン
ジスタを積層して設ける場合、これらの間にバリア性を有する絶縁体2422を設けるこ
とが好ましい。また、トランジスタ2352およびトランジスタ2353の四方を、バリ
ア性を有する絶縁体で囲むことが好ましい。また、トランジスタ2352およびトランジ
スタ2353の上方を、バリア性を有する絶縁体2408で覆うことが好ましい。絶縁体
2422より下層に水素を閉じ込めることで、トランジスタ2351の信頼性が向上させ
ることができる。さらに、絶縁体2422より下層から、絶縁体2422より上層に水素
が拡散することを抑制できるため、トランジスタ2352およびトランジスタ2353な
どの信頼性を向上させることができる。
【0362】
即ち、図36(A)に示す半導体装置は、トランジスタ2352およびトランジスタ23
53がバリア性を有する絶縁体に囲まれた構造を有する。ただし、トランジスタ2352
およびトランジスタ2353がバリア性を有する絶縁体に囲まれていなくてもよい。
【0363】
また、図36(A)の断面図において、層2310に設けるフォトダイオード2360と
、層2330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると
、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができ
る。
【0364】
なお、図37(A)および図37(B)に示すように、画素の上部または下部にフィルタ
2354または/およびレンズ2355を配置してもよい。フィルタ2354は、フィル
タ2054についての記載を参照する。レンズ2355は、レンズ2055についての記
載を参照する。
【0365】
また、図38(A1)および図38(B1)に示すように、撮像装置の一部または全部を
湾曲させてもよい。図38(A1)は、撮像装置を同図中の一点鎖線X1-X2の方向に
湾曲させた状態を示している。図38(A2)は、図38(A1)中の一点鎖線X1-X
2で示した部位の断面図である。図38(A3)は、図38(A1)中の一点鎖線Y1-
Y2で示した部位の断面図である。
【0366】
図38(B1)は、撮像装置を同図中の一点鎖線X3-X4の方向に湾曲させ、かつ、同
図中の一点鎖線Y3-Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図38(B2)は、図
38(B1)中の一点鎖線X3-X4で示した部位の断面図である。図38(B3)は、
図38(B1)中の一点鎖線Y3-Y4で示した部位の断面図である。
【0367】
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮
像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、
収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた電子機器などの小型化
や軽量化を実現することができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる
【0368】
<FPGA>
また本発明の一態様は、FPGA(Field Programmable Gate
Array)などのLSIにも適用可能である。
【0369】
図39(A)には、FPGAのブロック図の一例を示す。FPGAは、ルーティングスイ
ッチエレメント1521と、ロジックエレメント1522とによって構成される。また、
ロジックエレメント1522は、コンフィギュレーションメモリに記憶したコンフィギュ
レーションデータに応じて、組み合わせ回路の機能、または順序回路の機能といった論理
回路の機能を切り替えることができる。
【0370】
図39(B)は、ルーティングスイッチエレメント1521の役割を説明するための模式
図である。ルーティングスイッチエレメント1521は、コンフィギュレーションメモリ
1523に記憶したコンフィギュレーションデータに応じて、ロジックエレメント152
2間の接続を切り替えることができる。なお図39(B)では、スイッチを一つ示し、端
子INと端子OUTの間の接続を切り替える様子を示しているが、実際には複数あるロジ
ックエレメント1522間にスイッチが設けられる。
【0371】
図39(C)には、コンフィギュレーションメモリ1523として機能する回路構成の一
例を示す。コンフィギュレーションメモリ1523は、酸化物半導体を用いたトランジス
タで構成されるトランジスタM11と、シリコンを用いたトランジスタで構成されるトラ
ンジスタM12と、によって構成される。ノードFNSWには、トランジスタM11を介
してコンフィギュレーションデータDSWが与えられる。このコンフィギュレーションデ
ータDSWの電位は、トランジスタM11を非導通状態とすることで、保持することがで
きる。保持したコンフィギュレーションデータDSWの電位によって、トランジスタM1
2の導通状態が切り替えられ、端子INと端子OUTの間の接続を切り替えることができ
る。
【0372】
図39(D)は、ロジックエレメント1522の役割を説明するための模式図である。ロ
ジックエレメント1522は、コンフィギュレーションメモリ1527に記憶したコンフ
ィギュレーションデータに応じて、端子OUTmemの電位を切り替えることができる。
ルックアップテーブル1524は、端子OUTmemの電位に応じて、端子INの信号を
処理する組み合わせ回路の機能を切り替えることができる。またロジックエレメント15
22は、順序回路であるレジスタ1525と、端子OUTの信号を切り替えるためのセレ
クタ1526を有する。セレクタ1526は、コンフィギュレーションメモリ1527か
ら出力される端子OUTmemの電位に応じて、ルックアップテーブル1524の信号の
出力か、レジスタ1525の信号の出力か、を選択することができる。
【0373】
図39(E)には、コンフィギュレーションメモリ1527として機能する回路構成の一
例を示す。コンフィギュレーションメモリ1527は、酸化物半導体を用いたトランジス
タで構成されるトランジスタM13、トランジスタM14と、シリコンを用いたトランジ
スタで構成されるトランジスタM15、トランジスタM16と、によって構成される。ノ
ードFNLEには、トランジスタM13を介してコンフィギュレーションデータDLE
与えられる。ノードBFNLEには、トランジスタM14を介してコンフィギュレーショ
ンデータBDLEが与えられる。コンフィギュレーションデータBDLEは、コンフィギ
ュレーションデータDLEの論理が反転した電位に相当する。このコンフィギュレーショ
ンデータDLE、コンフィギュレーションデータBDLEの電位は、トランジスタM13
、トランジスタM14を非導通状態とすることで、保持することができる。保持したコン
フィギュレーションデータDLE、コンフィギュレーションデータBDLEの電位によっ
て、トランジスタM15またはトランジスタM16の一方の導通状態が切り替えられ、端
子OUTmemには電位VDDまたは電位VSSを与えることができる。
【0374】
図39の構成に対して、上述したトランジスタ、論理回路および記憶装置などを適用する
ことができる。例えばトランジスタM12、トランジスタM15、トランジスタM16を
、シリコンを用いたトランジスタで構成し、トランジスタM11、トランジスタM13、
トランジスタM14を、酸化物半導体を用いたトランジスタで構成する。この場合、シリ
コン基板上にシリコンを用いたトランジスタを作製し、その後、シリコンを用いたトラン
ジスタの上方に酸化物半導体を用いたトランジスタを作製することで、FPGAのチップ
サイズを縮小することができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタの低いオフ電
流を有する特性と、シリコンを用いたトランジスタの高いオン電流を有する特性と、を組
み合わせることによって、消費電力が小さく、動作速度の高いFPGAとすることができ
る。
【0375】
<CPU>
以下では、上述したトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUにつ
いて説明する。
【0376】
図40は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図で
ある。
【0377】
図40に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmet
ic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラク
ションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ
1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1
198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有し
ている。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1
199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、
図40に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその
用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図40に示すCPUまたは演算回路
を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するよ
うな構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、
例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0378】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
【0379】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御する
ための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアド
レスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
【0380】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、および
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成す
る内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0381】
図40に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ
1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることができ
る。
【0382】
図40に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの
指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ1196
が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子
によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択
されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容
量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行
われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
【0383】
図41は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子1200の回路図の一例
である。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮
断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と
、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有す
る。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ12
10と、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、
インダクタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
【0384】
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子1200
への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートにはG
ND(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とする
。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする
【0385】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用い
て構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)の
トランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端
子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2
の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203は
トランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の
端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213の導通状態または非導通状
態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとド
レインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソース
とドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力さ
れる制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、
トランジスタ1214の導通状態または非導通状態)が選択される。
【0386】
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のう
ちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部
分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位
を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ
1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接
続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの
他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一
方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソ
ースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続さ
れる。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方
)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方
)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、
は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対
の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電
源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる
。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配
線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他
方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等
)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子120
8の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND
線)と電気的に接続される。
【0387】
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を
積極的に利用することによって省略することも可能である。
【0388】
トランジスタ1209のゲートには、制御信号WEが入力される。スイッチ1203およ
びスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2
の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2
の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態
となる。
【0389】
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータ
に対応する信号が入力される。図41では、回路1201から出力された信号が、トラン
ジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の
第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、
論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介し
て回路1201に入力される。
【0390】
なお、図41では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとド
レインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して回
路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子
(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反
転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、
入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合
に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)
から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0391】
また、図41において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジス
タ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる膜または基板119
0にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン膜または
シリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子
1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトラン
ジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外に
も、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトラ
ンジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成され
るトランジスタとすることもできる。
【0392】
図41における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。
また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いる
ことができる。
【0393】
本発明の一態様に係る半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間は
、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208
によって保持することができる。
【0394】
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例
えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有する
シリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため
、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子120
0に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり保
たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ
)を保持することが可能である。
【0395】
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動
作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が
元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0396】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ
1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開
された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(
導通状態、または非導通状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。そ
れ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信
号を正確に読み出すことが可能である。
【0397】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの
記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐこ
とができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰
することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、また
は複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を
抑えることができる。
【0398】
記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP(
Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Pr
ogrammable Logic Device)等のLSI、RF(Radio F
requency)デバイスにも応用可能である。
【0399】
<表示装置>
以下では、本発明の一態様に係る表示装置について、図42および図44を用いて説明す
る。
【0400】
表示装置に用いられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素子
(発光表示素子ともいう。)などを用いることができる。発光素子は、電流または電圧に
よって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Elect
roluminescence)、有機ELなどを含む。以下では、表示装置の一例とし
てEL素子を用いた表示装置(EL表示装置)および液晶素子を用いた表示装置(液晶表
示装置)について説明する。
【0401】
なお、以下に示す表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコ
ントローラを含むICなどを実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0402】
また、以下に示す表示装置は画像表示デバイス、または光源(照明装置含む)を指す。ま
た、コネクター、例えばFPC、TCPが取り付けられたモジュール、TCPの先にプリ
ント配線板を有するモジュールまたは表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直
接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0403】
図42は、本発明の一態様に係るEL表示装置の一例である。図42(A)に、EL表示
装置の画素の回路図を示す。図42(B)は、EL表示装置全体を示す上面図である。ま
た、図42(C)は、図42(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するM-N断面である
【0404】
図42(A)は、EL表示装置に用いられる画素の回路図の一例である。
【0405】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(
容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなく
ても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続
先を特定しなくても、発明の一態様が明確であるといえる。そして、接続先が特定された
内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細
書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先として複
数の箇所が想定される場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。
したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素
子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発
明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0406】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業
者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少な
くとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つ
まり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であるといえる。そして、機能が特定され
た発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。し
たがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態
様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または
、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として
開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0407】
図42(A)に示すEL表示装置は、スイッチ素子743と、トランジスタ741と、容
量素子742と、発光素子719と、を有する。
【0408】
なお、図42(A)などは、回路構成の一例であるため、さらに、トランジスタを追加す
ることが可能である。逆に、図42(A)の各ノードにおいて、トランジスタ、スイッチ
、受動素子などを追加しないようにすることも可能である。
【0409】
トランジスタ741のゲートはスイッチ素子743の一端および容量素子742の一方の
電極と電気的に接続される。トランジスタ741のソースは容量素子742の他方の電極
と電気的に接続され、発光素子719の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ
741のソースは電源電位VDDが与えられる。スイッチ素子743の他端は信号線74
4と電気的に接続される。発光素子719の他方の電極は定電位が与えられる。なお、定
電位は接地電位GNDまたはそれより小さい電位とする。
【0410】
スイッチ素子743としては、トランジスタを用いると好ましい。トランジスタを用いる
ことで、画素の面積を小さくでき、解像度の高いEL表示装置とすることができる。また
、スイッチ素子743として、トランジスタ741と同一工程を経て作製されたトランジ
スタを用いると、EL表示装置の生産性を高めることができる。なお、トランジスタ74
1または/およびスイッチ素子743としては、例えば、上述したトランジスタを適用す
ることができる。
【0411】
図42(B)は、EL表示装置の上面図である。EL表示装置は、基板700と、基板7
50と、絶縁体422と、絶縁体428と、絶縁体409と、シール材734と、駆動回
路735と、駆動回路736と、画素737と、FPC732と、を有する。シール材7
34は、画素737、駆動回路735および駆動回路736を囲むように基板700と基
板750との間に配置される。なお、駆動回路735または/および駆動回路736をシ
ール材734の外側に配置しても構わない。
【0412】
図42(C)は、図42(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するEL表示装置の断面図
である。
【0413】
図42(C)には、トランジスタ741として、基板700上の導電体713aと、導電
体713a上の絶縁体702と、絶縁体702上にあり導電体713aと重なる絶縁体7
06aおよび半導体706bと、半導体706b上の絶縁体706cと、絶縁体706c
上の絶縁体712と、絶縁体712上にあり半導体706bと重なる導電体704と、導
電体704の側面と接する領域を有する絶縁体710と、を有する構造を示す。絶縁体7
06aおよび半導体706bは、領域707aおよび領域707bを有する。なお、トラ
ンジスタ741の構造は一例であり、図42(C)に示す構造と異なる構造であっても構
わない。
【0414】
したがって、図42(C)に示すトランジスタ741において、導電体713aはゲート
電極としての機能を有し、絶縁体702はゲート絶縁体としての機能を有し、領域707
aはソースとしての機能を有し、領域707bはドレインとしての機能を有し、絶縁体7
12はゲート絶縁体としての機能を有し、導電体704はゲート電極としての機能を有す
る。なお、半導体706bは、光が当たることで電気特性が変動する場合がある。したが
って、導電体713a、領域707a、領域707b、導電体704のいずれか一以上が
遮光性を有すると好ましい。
【0415】
図42(C)には、容量素子742として、基板700上の導電体713bと、導電体7
13b上の絶縁体702と、絶縁体702上の電極707cと、を有する構造を示す。
【0416】
容量素子742において、導電体713bは一方の電極として機能し、電極707cは他
方の電極として機能する。
【0417】
電極707cは、トランジスタの絶縁体706aおよび半導体706bと同じ表面にある
層に形成される。したがって、容量素子742は、トランジスタ741と共通する膜を用
いて作製することができる。また、導電体713aおよび導電体713bを同種の導電体
とすると好ましい。その場合、導電体713aおよび導電体713bは、同一工程を経て
形成することができる。
【0418】
トランジスタ741および容量素子742上には、絶縁体718が配置される。ここで、
絶縁体718は、トランジスタ741のソースとして機能する領域707bに達する開口
部を有してもよい。絶縁体718上には、導電体781が配置される。導電体781は、
絶縁体718の開口部を介してトランジスタ741と電気的に接続してもよい。
【0419】
導電体781上には、導電体781に達する開口部を有する隔壁784が配置される。隔
壁784上には、隔壁784の開口部で導電体781と接する発光層782が配置される
。発光層782上には、導電体783が配置される。導電体781、発光層782および
導電体783の重なる領域が、発光素子719となる。
【0420】
ここで、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409は、バリア性を有する絶縁体で
ある。即ち、図42に示す表示装置は、トランジスタ741がバリア性を有する絶縁体に
囲まれた構造を有する。ただし、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409のいず
れか一以上を有さなくてもよい。
【0421】
なお、EL表示装置を高精細化するために、トランジスタ、容量素子または/および配線
層などを積層させてもよい。
【0422】
図43は、半導体基板上に作製したEL表示装置の画素を示す断面図の一例である。
【0423】
図43に示すEL表示装置は、半導体基板801と、基板802と、絶縁体803と、絶
縁体804と、絶縁体805と、接着層806と、フィルタ807と、フィルタ808と
、フィルタ809と、絶縁体811と、絶縁体812と、絶縁体813と、絶縁体814
と、絶縁体815と、絶縁体816と、絶縁体817と、絶縁体818と、絶縁体819
と、絶縁体820と、絶縁体821と、導電体831と、導電体832と、導電体833
と、導電体834と、導電体835と、導電体836と、導電体837と、導電体838
と、導電体839と、導電体840と、導電体841と、導電体842と、導電体843
と、導電体844と、導電体845と、導電体846と、導電体847と、導電体848
と、導電体849と、導電体850と、導電体851、導電体852と、導電体853と
、導電体854と、導電体855と、導電体856と、導電体857と、導電体858と
、導電体859と、導電体860と、導電体861と、導電体862と、絶縁体871と
、導電体872と、絶縁体873と、絶縁体874と、領域875と、領域876と、絶
縁体877と、絶縁体878と、絶縁体881と、導電体882と、絶縁体883と、絶
縁体884と、領域885と、領域886と、層887と、層888と、発光層893と
、を有する。
【0424】
また、半導体基板801と、絶縁体871と、導電体872と、絶縁体873と、絶縁体
874と、領域875と、領域876と、によって、トランジスタ891が構成される。
半導体基板801は、チャネル形成領域としての機能を有する。絶縁体871は、ゲート
絶縁体としての機能を有する。導電体872は、ゲート電極としての機能を有する。絶縁
体873は、側壁絶縁体としての機能を有する。絶縁体874は、側壁絶縁体としての機
能を有する。領域875は、ソース領域または/およびドレイン領域としての機能を有す
る。領域876は、ソース領域または/およびドレイン領域としての機能を有する。
【0425】
導電体872は、絶縁体871を介して半導体基板801の一部と重なる領域を有する。
領域875および領域876は、半導体基板801に不純物が添加された領域である。ま
たは、半導体基板801がシリコン基板である場合、シリサイドの形成された領域であっ
てもよい。例えば、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイドま
たはニッケルシリサイドなどを有する領域であってもよい。領域875および領域876
は、導電体872、絶縁体873および絶縁体874などによって、自己整合的に形成す
ることができる。したがって、半導体基板801のチャネル形成領域を挟む位置に、それ
ぞれ領域875および領域876が配置される。
【0426】
トランジスタ891は、絶縁体873を有することにより、領域875とチャネル形成領
域との間を空けることができる。したがって、絶縁体873を有することにより、領域8
75から生じる電界に起因してトランジスタ891が破壊または劣化することを抑制する
ことができる。また、トランジスタ891は、絶縁体874を有することにより、領域8
76とチャネル形成領域との間を空けることができる。したがって、絶縁体874を有す
ることにより、領域876から生じる電界に起因してトランジスタ891が破壊または劣
化することを抑制することができる。なお、トランジスタ891は、領域875とチャネ
ル形成領域との間隔よりも、領域876とチャネル形成領域との間隔が広い構造を有する
。例えば、トランジスタ891の動作時において、領域875とチャネル形成領域との電
位差よりも、領域876とチャネル形成領域との電位差のほうが大きくなることが多い場
合、高いオン電流および高い信頼性を両立することができる構造である。
【0427】
また、半導体基板801と、絶縁体881と、導電体882と、絶縁体883と、絶縁体
884と、領域885と、領域886と、によって、トランジスタ892が構成される。
半導体基板801は、チャネル形成領域としての機能を有する。絶縁体881は、ゲート
絶縁体としての機能を有する。導電体882は、ゲート電極としての機能を有する。絶縁
体883は、側壁絶縁体としての機能を有する。絶縁体884は、側壁絶縁体としての機
能を有する。領域885は、ソース領域または/およびドレイン領域としての機能を有す
る。領域886は、ソース領域または/およびドレイン領域としての機能を有する。
【0428】
導電体882は、絶縁体881を介して半導体基板801の一部と重なる領域を有する。
領域885および領域886は、半導体基板801に不純物が添加された領域である。ま
たは、半導体基板801がシリコン基板である場合、シリサイドの形成された領域である
。領域885および領域886は、導電体882、絶縁体883および絶縁体884など
によって、自己整合的に形成することができる。したがって、半導体基板801のチャネ
ル形成領域を挟む位置に、それぞれ領域885および領域886が配置される。
【0429】
トランジスタ892は、絶縁体883を有することにより、領域885とチャネル形成領
域との間を空けることができる。したがって、絶縁体883を有することにより、領域8
85から生じる電界に起因してトランジスタ892が破壊または劣化することを抑制する
ことができる。また、トランジスタ892は、絶縁体884を有することにより、領域8
86とチャネル形成領域との間を空けることができる。したがって、絶縁体884を有す
ることにより、領域886から生じる電界に起因してトランジスタ892が破壊または劣
化することを抑制することができる。なお、トランジスタ892は、領域885とチャネ
ル形成領域との間隔よりも、領域886とチャネル形成領域との間隔が広い構造を有する
。例えば、トランジスタ892の動作時において、領域885とチャネル形成領域との電
位差よりも、領域886とチャネル形成領域との電位差のほうが大きくなることが多い場
合、高いオン電流および高い信頼性を両立することができる構造である。
【0430】
絶縁体877は、トランジスタ891およびトランジスタ892を覆うように配置される
。したがって、絶縁体877は、トランジスタ891およびトランジスタ892の保護膜
としての機能を有する。絶縁体803、絶縁体804および絶縁体805は、素子を分離
する機能を有する。例えば、トランジスタ891とトランジスタ892とは、絶縁体80
3および絶縁体804を間に有することによって素子分離される。
【0431】
導電体851、導電体852、導電体853、導電体854、導電体855、導電体85
6、導電体857、導電体858、導電体859、導電体860、導電体861および導
電体862は、素子と素子、素子と配線、配線と配線などを電気的に接続する機能を有す
る。よって、これらの導電体を配線またはプラグと言い換えることもできる。
【0432】
導電体831、導電体832、導電体833、導電体834、導電体835、導電体83
6、導電体837、導電体838、導電体839、導電体840、導電体841、導電体
842、導電体843、導電体844、導電体845、導電体846、導電体847、導
電体849、導電体850は、配線、電極または/および遮光層としての機能を有する。
【0433】
例えば、導電体836および導電体844は、絶縁体817を有する容量素子の電極とし
ての機能を有する。例えば、導電体838および導電体845は、絶縁体818を有する
容量素子の電極としての機能を有する。例えば、導電体840および導電体846は、絶
縁体819を有する容量素子の電極としての機能を有する。例えば、導電体842および
導電体847は、絶縁体820を有する容量素子の電極としての機能を有する。なお、導
電体836と導電体838とが電気的に接続していてもよい。また、導電体844と導電
体845とが電気的に接続していてもよい。また、導電体840と導電体842とが電気
的に接続していてもよい。また、導電体846と導電体847とが電気的に接続してもよ
い。
【0434】
絶縁体811、絶縁体812、絶縁体813、絶縁体814、絶縁体815および絶縁体
816は、層間絶縁体としての機能を有する。絶縁体811、絶縁体812、絶縁体81
3、絶縁体814、絶縁体815および絶縁体816は、表面が平坦化されていると好ま
しい。
【0435】
導電体831、導電体832、導電体833および導電体834は、絶縁体811上に配
置される。導電体851は、絶縁体811の開口部に配置される。導電体851は、導電
体831と領域875とを電気的に接続する。導電体852は、絶縁体811の開口部に
配置される。導電体852は、導電体833と領域885とを電気的に接続する。導電体
853は、絶縁体811の開口部に配置される。導電体853は、導電体834と領域8
86とを電気的に接続する。
【0436】
導電体835、導電体836、導電体837および導電体838は、絶縁体812上に配
置される。導電体836上には絶縁体817が配置される。絶縁体817上には導電体8
44が配置される。導電体838上には絶縁体818が配置される。絶縁体818上には
導電体845が配置される。導電体854は、絶縁体812の開口部に配置される。導電
体854は、導電体835と導電体831とを電気的に接続する。導電体855は、絶縁
体812の開口部に配置される。導電体855は、導電体837と導電体833とを電気
的に接続する。
【0437】
導電体839、導電体840、導電体841および導電体842は、絶縁体813上に配
置される。導電体840上には絶縁体819が配置される。絶縁体819上には導電体8
46が配置される。導電体842上には絶縁体820が配置される。絶縁体820上には
導電体847が配置される。導電体856は、絶縁体813の開口部に配置される。導電
体856は、導電体839と導電体835とを電気的に接続する。導電体857は、絶縁
体813の開口部に配置される。導電体857は、導電体840と導電体844とを電気
的に接続する。導電体858は、絶縁体813の開口部に配置される。導電体858は、
導電体841と導電体837とを電気的に接続する。導電体859は、絶縁体813の開
口部に配置される。導電体859は、導電体842と導電体845とを電気的に接続する
【0438】
導電体843は、絶縁体814上に配置される。導電体860は、絶縁体814の開口部
に配置される。導電体860は、導電体843と導電体846とを電気的に接続する。導
電体861は、導電体843と導電体847とを電気的に接続する。
【0439】
導電体848は、絶縁体815上に配置される。導電体848は、電気的に浮いていても
よい。なお、導電体848は、遮光層としての機能を有すれば、導電体に限定されない。
例えば、遮光性を有する絶縁体または半導体であってもよい。
【0440】
導電体849は、絶縁体816上に配置される。絶縁体821は、絶縁体816上および
導電体849上に配置される。絶縁体821は、導電体849を露出する開口部を有する
。発光層893は、導電体849上および絶縁体821上に配置される。導電体850は
、発光層893上に配置される。
【0441】
したがって、導電体849と導電体850とに電位差を与えることで、発光層893から
発光が生じる。そのため、導電体849と、導電体850と、発光層893と、は発光素
子としての機能を有する。なお、絶縁体821は、隔壁としての機能を有する。
【0442】
絶縁体878は、導電体850上に配置される。絶縁体878は、発光素子を覆うため、
保護絶縁体としての機能を有する。例えば、絶縁体878がバリア性を有する絶縁体であ
ってもよい。また、バリア性を有する絶縁体で、発光素子を囲む構造としてもよい。
【0443】
基板802は、透光性を有する基板を用いればよい。例えば、基板750についての記載
を参照する。基板802には、層887および層888が設けられる。層887および層
888は、遮光層としての機能を有する。遮光層としては、例えば、樹脂や金属などを用
いればよい。層887および層888を有することによって、EL表示装置のコントラス
トを向上させることや色のにじみを低減させることなどができる。
【0444】
フィルタ807、フィルタ808およびフィルタ809は、カラーフィルタとしての機能
を有する。例えば、フィルタ2054についての記載を参照する。フィルタ808は、層
888、基板802および層887にまたがって配置される。フィルタ807は、層88
8においてフィルタ808と重なる領域を有する。フィルタ809は、層887において
フィルタ808と重なる領域を有する。フィルタ807、フィルタ808およびフィルタ
809は、それぞれ厚さが異なっていてもよい。フィルタの厚さが異なることによって、
発光素子からの光取り出し効率が高くなる場合がある。
【0445】
フィルタ807、フィルタ808およびフィルタ809と、絶縁体878と、の間には、
接着層806が配置される。
【0446】
図43に示したEL表示装置は、トランジスタ、容量素子または/および配線層などが積
層した構造を有するため、画素を縮小することができる。そのため、高精細なEL表示装
置を実現することができる。
【0447】
ここまでは、EL表示装置の例について説明した。次に、液晶表示装置の例について説明
する。
【0448】
図44(A)は、液晶表示装置の画素の構成例を示す回路図である。図44に示す画素は
、トランジスタ751と、容量素子752と、一対の電極間に液晶の充填された素子(液
晶素子)753とを有する。
【0449】
トランジスタ751では、ソース、ドレインの一方が信号線755に電気的に接続され、
ゲートが走査線754に電気的に接続されている。
【0450】
容量素子752では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電気
的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
【0451】
液晶素子753では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電気
的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。なお、
上述した容量素子752の他方の電極が電気的に接続する配線に与えられる共通電位と、
液晶素子753の他方の電極に与えられる共通電位とが異なる電位であってもよい。
【0452】
なお、液晶表示装置も、上面図はEL表示装置と同様として説明する。図42(B)の一
点鎖線M-Nに対応する液晶表示装置の断面図を図44(B)に示す。図44(B)にお
いて、FPC732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線73
3aは、トランジスタ751を構成する導電体または半導体のいずれかと同種の導電体ま
たは半導体を用いてもよい。
【0453】
トランジスタ751は、トランジスタ741についての記載を参照する。また、容量素子
752は、容量素子742についての記載を参照する。なお、図44(B)には、図42
(C)の容量素子742に対応した容量素子752の構造を示したが、これに限定されな
い。
【0454】
なお、トランジスタ751の半導体に酸化物半導体を用いた場合、極めてオフ電流の小さ
いトランジスタとすることができる。したがって、容量素子752に保持された電荷がリ
ークしにくく、長期間に渡って液晶素子753に印加される電圧を維持することができる
。そのため、動きの少ない動画や静止画の表示の際に、トランジスタ751をオフ状態と
することで、トランジスタ751の動作のための電力が不要となり、消費電力の小さい液
晶表示装置とすることができる。また、容量素子752の占有面積を小さくできるため、
開口率の高い液晶表示装置、または高精細化した液晶表示装置を提供することができる。
【0455】
トランジスタ751および容量素子752上には、絶縁体718が配置される。ここで、
絶縁体718は、トランジスタ751に達する開口部を有する。絶縁体718上には、導
電体791が配置される。導電体791は、絶縁体718の開口部を介してトランジスタ
751と電気的に接続する。
【0456】
ここで、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409は、バリア性を有する絶縁体で
ある。即ち、図44に示す表示装置は、トランジスタ751がバリア性を有する絶縁体に
囲まれた構造を有する。ただし、絶縁体422、絶縁体428および絶縁体409のいず
れか一以上を有さなくてもよい。
【0457】
導電体791上には、配向膜として機能する絶縁体792が配置される。絶縁体792上
には、液晶層793が配置される。液晶層793上には、配向膜として機能する絶縁体7
94が配置される。絶縁体794上には、スペーサ795が配置される。スペーサ795
および絶縁体794上には、導電体796が配置される。導電体796上には、基板79
7が配置される。
【0458】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または様
々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置は、例え
ば、EL素子、白色、赤色、緑色または青色などの発光ダイオード(LED:Light
Emitting Diode)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ
)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、プラズマディスプレイ(PD
P)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子(例
えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DM
D)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMOD(インターフェアレンス・
モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表
示素子、圧電セラミックディスプレイなど)、エレクトロウェッティング素子、カーボン
ナノチューブを用いた表示素子、量子ドットなどの少なくとも一つを有している。これら
の他にも、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが
変化する表示媒体を有していてもよい。
【0459】
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子
を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)また
はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction E
lectron-emitter Display)などがある。各画素に量子ドットを
有する表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。なお、量子ドット
は、表示素子の一部、バックライトの一部、またはバックライトと表示素子との間に配置
すればよい。量子ドットを用いることにより、色純度の高い表示装置を作製することがで
きる。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディス
プレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ
、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、または電気泳動素子を用いた表示
装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射
型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極と
しての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部または全部が、アルミニ
ウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRA
Mなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減する
ことができる。
【0460】
なお、LEDチップを用いる場合、LEDチップの電極や窒化物半導体の下に、グラフェ
ンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、
多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その
上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体などを容易に成膜すること
ができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体などを設けて、LEDチッ
プを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型Ga
N半導体との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDチップが有するGaN半導体
は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDチッ
プが有するGaN半導体は、スパッタリング法で成膜することも可能である。
【0461】
また、MEMSを用いた表示装置は、表示素子が封止されている空間(例えば、表示素子
が配置されている素子基板と、素子基板に対向して配置されている対向基板との間)に、
乾燥剤を配置してもよい。乾燥剤によって水分を除去できるため、MEMSなどが動きに
くくなることや劣化することを防止することができる。
【0462】
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備
えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc
等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いること
ができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器と
して、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ
、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプ
レイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオ
プレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ
払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図45に示
す。
【0463】
図45(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908
等を有する。なお、図45(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示
部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない
【0464】
図45(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部9
13、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部913
は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられてい
る。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されており
、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能である
。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体9
12との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部913
および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表
示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッ
チパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、
フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加する
ことができる。
【0465】
図45(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キ
ーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
【0466】
図45(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉93
3等を有する。
【0467】
図45(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
【0468】
図45(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト
954等を有する。
【0469】
<表示領域または発光領域に曲面を有する電子機器>
以下では、本発明の一態様に係る電子機器の一例である表示領域または発光領域に曲面を
有する電子機器について、図46を参照しながら説明する。なお、ここでは、電子機器の
一例として、情報機器、特に携帯性を有する情報機器(携帯機器)について説明する。携
帯性を有する情報機器としては、例えば、携帯電話機(ファブレット、スマートフォン(
スマホ))、タブレット端末(スレートPC)なども含まれる。
【0470】
図46(A-1)は、携帯機器1300Aの外形を説明する斜視図である。図46(A-
2)は、携帯機器1300Aの上面図である。図46(A-3)は、携帯機器1300A
の使用状態を説明する図である。
【0471】
図46(B-1)および図46(B-2)は、携帯機器1300Bの外形を説明する斜視
図である。
【0472】
図46(C-1)および図46(C-2)は、携帯機器1300Cの外形を説明する斜視
図である。
【0473】
<携帯機器>
携帯機器1300Aは、例えば電話、電子メール作成閲覧、手帳または情報閲覧などの機
能から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。
【0474】
携帯機器1300Aは、筐体の複数の面に沿って表示部が設けられている。例えば、可と
う性を有する表示装置を、筐体の内側に沿うように配置することで表示部を設ければよい
。これにより、文字情報や画像情報などを第1の領域1311または/および第2の領域
1312に表示することができる。
【0475】
例えば、3つの操作の用に供する画像を第1の領域1311に表示することができる(図
46(A-1)参照。)。また、図中に破線の矩形で示すように文字情報などを第2の領
域1312に表示することができる(図46(A-2)参照。)。
【0476】
携帯機器1300Aの上部に第2の領域1312を配置した場合、携帯機器1300Aを
洋服の胸ポケットに収納したままの状態で、携帯機器1300Aの第2の領域1312に
表示された文字や画像情報を、使用者は容易に確認することができる(図46(A-3)
参照。)。例えば、着信した電話の発信者の電話番号または氏名などを、携帯機器130
0Aの上方から観察できる。
【0477】
なお、携帯機器1300Aは、表示装置と筐体との間、表示装置内または筐体上に入力装
置などを有してもよい。入力装置は、例えば、タッチセンサー、光センサー、超音波セン
サーなどを用いればよい。入力装置を表示装置と筐体との間または筐体上に配置する場合
、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、超音波表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導
方式、静電容量方式などのタッチパネルを用いればよい。また、入力装置を表示装置内に
配置する場合、インセルタイプのセンサー、またはオンセルタイプのセンサーなどを用い
ればよい。
【0478】
なお、携帯機器1300Aは、振動センサーなどと、当該振動センサーなどに検知された
振動に基づいて、着信を拒否するモードに移行するプログラムを記憶した記憶装置を備え
ることができる。これにより、使用者は携帯機器1300Aを洋服の上から軽く叩いて振
動を与えることにより着信を拒否するモードに移行させることができる。
【0479】
携帯機器1300Bは、第1の領域1311および第2の領域1312を有する表示部と
、表示部を支持する筐体1310を有する。
【0480】
筐体1310は複数の屈曲部を備え、筐体1310が備える最も長い屈曲部が、第1の領
域1311と第2の領域1312に挟まれる。
【0481】
携帯機器1300Bは、最も長い屈曲部に沿って設けられた第2の領域1312を側面に
向けて使用することができる。
【0482】
携帯機器1300Cは、第1の領域1311および第2の領域1312を有する表示部と
、表示部を支持する筐体1310を有する。
【0483】
筐体1310は複数の屈曲部を備え、筐体1310が備える二番目に長い屈曲部が、第1
の領域1311と第2の領域1312に挟まれる。
【0484】
携帯機器1300Cは、第2の領域1312を上部に向けて使用することができる。
【符号の説明】
【0485】
409 絶縁体
422 絶縁体
428 絶縁体
450 半導体基板
452 絶縁体
454 導電体
456 領域
460 領域
462 絶縁体
464 絶縁体
466 絶縁体
468 絶縁体
472a 領域
472b 領域
474a 導電体
474b 導電体
474c 導電体
476a 導電体
476b 導電体
478a 導電体
478b 導電体
478c 導電体
480a 導電体
480b 導電体
480c 導電体
490 絶縁体
492 絶縁体
494 絶縁体
496a 導電体
496b 導電体
496c 導電体
496d 導電体
498 導電体
498a 導電体
498b 導電体
498c 導電体
498d 導電体
600 基板
602 絶縁体
603 絶縁体
604 導電体
605 導電体
606a 絶縁体
606b 半導体
606c 絶縁体
607a 領域
607b 領域
608 絶縁体
610 絶縁体
611 絶縁体
612 絶縁体
612a 絶縁体
612b 絶縁体
613 導電体
614 導電体
616a 導電体
616b 導電体
618 絶縁体
622 絶縁体
636c 絶縁体
700 基板
702 絶縁体
704 導電体
706a 絶縁体
706b 半導体
706c 絶縁体
707a 領域
707b 領域
707c 電極
710 絶縁体
712 絶縁体
713a 導電体
713b 導電体
718 絶縁体
719 発光素子
731 端子
732 FPC
733a 配線
734 シール材
735 駆動回路
736 駆動回路
737 画素
741 トランジスタ
742 容量素子
743 スイッチ素子
744 信号線
750 基板
751 トランジスタ
752 容量素子
753 液晶素子
754 走査線
755 信号線
781 導電体
782 発光層
783 導電体
784 隔壁
791 導電体
792 絶縁体
793 液晶層
794 絶縁体
795 スペーサ
796 導電体
797 基板
801 半導体基板
802 基板
803 絶縁体
804 絶縁体
805 絶縁体
806 接着層
807 フィルタ
808 フィルタ
809 フィルタ
811 絶縁体
812 絶縁体
813 絶縁体
814 絶縁体
815 絶縁体
816 絶縁体
817 絶縁体
818 絶縁体
819 絶縁体
820 絶縁体
821 絶縁体
831 導電体
832 導電体
833 導電体
834 導電体
835 導電体
836 導電体
837 導電体
838 導電体
839 導電体
840 導電体
841 導電体
842 導電体
843 導電体
844 導電体
845 導電体
846 導電体
847 導電体
848 導電体
849 導電体
850 導電体
851 導電体
852 導電体
853 導電体
854 導電体
855 導電体
856 導電体
857 導電体
858 導電体
859 導電体
860 導電体
861 導電体
862 導電体
871 絶縁体
872 導電体
873 絶縁体
874 絶縁体
875 領域
876 領域
877 絶縁体
878 絶縁体
881 絶縁体
882 導電体
883 絶縁体
884 絶縁体
885 領域
886 領域
887 層
888 層
891 トランジスタ
892 トランジスタ
893 発光層
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
1300A 携帯機器
1300B 携帯機器
1300C 携帯機器
1310 筐体
1311 領域
1312 領域
1521 ルーティングスイッチエレメント
1522 ロジックエレメント
1523 コンフィギュレーションメモリ
1524 ルックアップテーブル
1525 レジスタ
1526 セレクタ
1527 コンフィギュレーションメモリ
2000 撮像装置
2001 スイッチ
2002 スイッチ
2003 スイッチ
2010 画素部
2011 画素
2012 副画素
2012B 副画素
2012G 副画素
2012R 副画素
2020 光電変換素子
2030 画素回路
2031 配線
2047 配線
2048 配線
2049 配線
2050 配線
2053 配線
2054 フィルタ
2054B フィルタ
2054G フィルタ
2054R フィルタ
2055 レンズ
2056 光
2057 配線
2060 周辺回路
2070 周辺回路
2080 周辺回路
2090 周辺回路
2091 光源
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
2300 シリコン基板
2310 層
2320 層
2330 層
2340 層
2351 トランジスタ
2352 トランジスタ
2353 トランジスタ
2354 フィルタ
2355 レンズ
2360 フォトダイオード
2361 アノード
2363 低抵抗領域
2370 プラグ
2371 配線
2372 配線
2373 配線
2409 絶縁体
2418 絶縁体
2422 絶縁体
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
5100 ペレット
5120 基板
5161 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51