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特許7569881自動車、自動車の方法、および自動車のための通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】自動車、自動車の方法、および自動車のための通信システム
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/00 20060101AFI20241010BHJP
   B60J 7/057 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B60J1/00 C
B60J7/057 Q
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023074733
(22)【出願日】2023-04-28
(65)【公開番号】P2023164404
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】10 2022 204 235.2
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベルント エッテ
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021387(JP,A)
【文献】特開2022-027637(JP,A)
【文献】特開2017-040083(JP,A)
【文献】特開2003-206673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0348432(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0226865(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0210615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
B60J 7/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)であって、該自動車(10)は、
前記自動車(10)の窓ガラス(26)および/またはサンルーフを自動的に調整するためのアクチュエータと、
UWB送受信機を有しかつUWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1のアンテナ(12)、第2のアンテナ(14)および第3のアンテナ(16)を有するUWBシステム(12,14,16)と、
前記UWBシステム(12,14,16)および前記アクチュエータに接続された制御装置(18)と
を備え、
該制御装置(18)は、
前記第1のアンテナ(12)および前記第2のアンテナ(14)を使用して衝突領域(20,20’)内の対象物のチャネルインパルス応答測定に基づく検出方法を実施し、
前記第1のアンテナ(12)、前記第2のアンテナ(14)および前記第3のアンテナ(16)を使用してジェスチャー領域(22,22’)におけるユーザーのジェスチャーを捕捉する伝搬時間測定に基づく測位方法を実施し、
前記検出方法および前記測位方法の結果に基づく信号を、前記自動車(10)の窓ガラス(26)および/またはサンルーフの自動調整を中断させるために前記アクチュエータに送信する
ように構成されている、
自動車(10)。
【請求項2】
前記制御装置(18)は、前記検出方法を、前記アクチュエータによる前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフの閉成のための自動調整の前および/またはその最中に実施するように構成されている、請求項1記載の自動車(10)。
【請求項3】
前記ジェスチャー領域(22,22’)は、前記自動車(10)の外部空間(24)に設けられ、前記衝突領域(20,20’)は、前記自動車(10)の内部空間および外部空間(24)に設けられ、かつ/または前記ジェスチャー領域(22,22’)に関する情報および前記衝突領域(20,20’)に関する情報が車両のメモリユニットに格納されている、請求項1または2記載の自動車(10)。
【請求項4】
前記制御装置(18)は、前記チャネルインパルス応答測定に基づく検出方法において得られた前記自動車(10)の前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフに関するデータおよび/または前記伝搬時間測定に基づく測位方法において得られた前記自動車(10)の前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフに関するデータを用いて、前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフの開度を決定するように構成されている、請求項1または2記載の自動車(10)。
【請求項5】
自動車(10)の方法であって、該自動車(10)は、前記自動車(10)の窓ガラス(26)および/またはサンルーフを自動的に調整するためのアクチュエータと、UWB送受信機を有しかつUWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1のアンテナ(12)、第2のアンテナ(14)および第3のアンテナ(16)を有するUWBシステム(12,14,16)と、前記UWBシステム(12,14,16)および前記アクチュエータに接続された制御装置(18)とを備え、前記方法は、
衝突領域(20,20’)内の対象物のチャネルインパルス応答測定に基づく検出方法を実施する前記第1のアンテナ(12)および前記第2のアンテナ(14)を駆動制御するステップと、
ジェスチャー領域(22,22’)におけるユーザーのジェスチャーを捕捉する伝搬時間測定に基づく測位方法を実施する前記第1のアンテナ(12)、前記第2のアンテナ(14)および前記第3のアンテナ(16)を駆動制御するステップと、
前記検出方法および前記測位方法の結果に基づく信号を、前記自動車(10)の窓ガラス(26)および/またはサンルーフの自動調整を中断させるために前記自動車(10)の前記アクチュエータに送信するステップと
を含んでいる、方法。
【請求項6】
前記検出方法を実施する前記UWBシステム(12,14,16)を駆動制御する前記ステップは、前記アクチュエータによる前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフの閉成のための自動調整の前および/またはその最中に行われる、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記チャネルインパルス応答測定に基づく検出方法において得られた前記自動車(10)の前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフに関するデータおよび/または前記伝搬時間測定に基づく測位方法において得られた前記自動車(10)の前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフに関するデータを用いて、前記自動車(10)の前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフの開度を決定する方法ステップをさらに含む、請求項または記載の方法。
【請求項8】
自動車(10)のための通信システムであって、該通信システムは、
UWB送受信機を有しかつUWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1のアンテナ(12)、第2のアンテナ(14)および第3のアンテナ(16)を有するUWBシステム(12,14,16)と、
前記UWBシステム(12,14,16)およびアクチュエータに接続された制御装置(18)と
を含み、
該制御装置(18)は、
前記第1のアンテナ(12)および前記第2のアンテナ(14)を使用して衝突領域(20,20’)内の対象物のチャネルインパルス応答測定に基づく検出方法を実施し、
前記第1のアンテナ(12)、前記第2のアンテナ(14)および前記第3のアンテナ(16)を使用してジェスチャー領域(22,22’)におけるユーザーのジェスチャーを捕捉する伝搬時間測定に基づく測位方法を実施し、
前記検出方法および前記測位方法の結果に基づく信号を、前記自動車(10)の窓ガラス(26)および/またはサンルーフの自動調整を中断させるために、前記自動車(10)の前記窓ガラス(26)および/または前記サンルーフを自動調整するアクチュエータに送信する
ように構成されている、
通信システム。
【請求項9】
前記UWBシステムのうちの1つは、携帯端末(28)または車両キー(30)に配置されている、請求項記載の通信システム。
【請求項10】
前記携帯端末(28)または前記車両キー(30)に配置された前記UWBシステムは、ユーザー認証用の無線信号を残りの前記UWBシステム(12,14,16)のうちの1つまたは全てに送信するように構成され、前記制御装置(18)は、測位方法の結果に基づく信号を、受信した前記ユーザー認証用の無線信号に基づいて送信するように構成されている、請求項記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネルインパルス応答(CIR)測定に基づく方法を実施し、CIR測定の結果に基づいて自動車のアクチュエータによる窓ガラスおよび/またはサンルーフの自動調整を中断させるように構成されている、自動車、特にUWBシステムを備えた自動車に関する。その上さらに、本発明は、自動車の方法ならびに自動車のための通信システムに関する。
【0002】
現代の自動車は、車両のユーザーを様々な車両機能において支援する立場にある多数の電子システムを備えている。一例として、電動パワーウインドウがある。機械的なクランクを用いて窓を上下に動かす手間が必要とされることに代わって、電動パワーウインドウの場合、ユーザーは、窓を上下させるために所属のトグルスイッチまたはボタンを操作するだけである。通例的に、トグルスイッチを短く1回操作するだけで、窓ガラスを自動的に全開または全閉できるいわゆるワンタッチ式自動機構を備えた電動パワーウインドウが組み込まれている。
【0003】
電動パワーウインドウは窓ガラスを通常、最大300ニュートンの(厚さ8mmの窓ガラスの場合、最大30kgの重さに相当する)閉鎖力で動かすため、挟み込み防止機能のない電動パワーウインドウは、特に子供にとって危険な存在になりかねない。例えば、電動パワーウインドウのトグルスイッチの不用意な操作に起因して子供が自分の手や頭を閉鎖しかけた窓ガラスと車両ドアとの間に挟み込んでしまうような状況が発生する可能性がある。それゆえ、最近では、挟み込みを識別して窓ガラスの閉鎖過程を中断もしくは反転させる挟み込み防止機能を備えた電動パワーウインドウが多くなっている。
【0004】
この目的のために、既知の解決手段では、運動方向に対して発生する閉鎖しかけた窓の反力が捕捉され、この反力に基づいて、挟み込みが識別されることが想定される。挟み込みが識別された後は、窓ガラスを再び開放するためにアクチュエータの動作反転が開始される。
【0005】
発生した反力を、挟み込み事例を識別するための尺度として基礎におく解決手段は、今日では僅かなコストで実現可能である。例えば、車両に組み込まれる窓ガラスのますます凸形になっている形状に起因して、既知の解決手段では物理的な理由から部分的にその限界に達し、そのため、挟み込み防止機能によって捕捉されない挟み込み事例が発生する可能性がある。
【0006】
独国特許出願公開第102020124444号明細書は、自動車の内部空間および/または外部空間を監視するための方法に関している。この独国特許出願公開第102020124444号明細書は、車両内に組み込まれ、個々の課題を満たすように構想されかつ相互に分離されている多数のシステムの背景から、付加的なコンポーネントをまったく必要としないか、または極僅かしか必要としない、自動車の内部空間および/または外部空間を監視するための改善された解決手段を教示している。
【0007】
独国特許出願公開第102018206571号明細は、自動車の調整部品のセンサモジュールに関している。ここでは、障害物が、テールゲートの調整領域に存在する場合に生じる問題について言及される。調整部品の揺動運動による調整部品および/または障害物の損傷を防止するために、本開示によれば、光学式および容量式センサが公知である。このような背景から、公知の光学式および容量式センサと比較して、製造コストおよび/または取り付け時間が低減された、自動車の調整部品の特に適したセンサモジュールに関連する解決手段が提案される。
【0008】
本出願後に公開された米国特許出願公開第2022/0163655号明細書は、一般に、反射された予め定められたパターンのコレクションの和の大きさの平均値と予め定められた閾値とに反応する移動対象物の識別に関する。
【0009】
ここで、本発明が基礎とする課題は、挟み込み事例の発生をさらに低減する電動パワーウインドウのための挟み込み防止機能を備えた自動車を発展させることである。
【0010】
本発明による課題は、独立特許請求項に記載の自動車、自動車の方法、および自動車のための通信システムによって解決される。好適な発展形態は、それぞれ援用される従属請求項の対象である。
【0011】
本発明の一態様は、自動車、特に、内燃機関、電気モーター、またはハイブリッドモーターを備えた自家用車に関する。この自動車は、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフを自動調整するためのアクチュエータを備えている。好適には、このアクチュエータは、電気的に操作可能である。アクチュエータについての一例には、窓を昇降するように構成された電気モーターがある。
【0012】
この自動車は、同様に、UWB送受信機ならびにそれぞれUWBパルスを送受信するように構成された第1および第2のアンテナを有する超広帯域(英語:Ultra-wideband, UWB)システムも備える。同様に好適には、UWBシステムは、第2のUWB送受信機を有している。2つのUWB送受信機が使用される場合、好適には、2つのアンテナの各々は、固有の送受信機を備え、駆動制御することができる。好適には、これにより、UWBシステムを、複数の送受信機のうちの1つと複数のアンテナのうちの1つとをそれぞれ有する機能的なUWBサブシステムに分割することができる。
【0013】
このUWBシステム、特にUWB送受信機は、特に、非常に広い周波数領域、特に3.1~10.6GHzの周波数領域、好適には3.5~9GHzの周波数領域、特に好適には6GHz~8.5GHzの周波数領域で信号を送受信するように構成されている。この場合、UWBパルスの送信電力は僅かである。
【0014】
UWBシステムの帯域幅は、少なくとも500MHzであり、UWBシステム、特にUWB送受信機は、好適には、0.5mW/~41.3dBm/MHzの間の送信電力で信号を送信するように構成されている。さらに好適には、UWBシステム、特にUWB送受信機は、IEEE802.15.4規格(特にUWB PHY層に関する区分)に従って、および好適にはIEEE802.15.4z規格に従って構成されている。この種の広い周波数領域にわたる信号の散乱により、UWB信号は他の無線信号との干渉が最小限のみになる。さらに、UWB送受信機を用いることにより、狭い半値幅(FWHM)を有する時間的に高度に局所化された送信パルスを伝送することができる。これは、送信パルスの高周波幅に基づくものである(ΔE*Δt>const.)。したがって、UWB信号は、時間分解能での伝搬時間測定に特に適し、対象物の識別が非常に高い空間分解能で可能になる。
【0015】
自動車は、UWBシステムおよびアクチュエータに接続された制御装置をさらに備える。この制御装置は、第1のアンテナおよび第2のアンテナを使用して衝突領域(Kollisionsbereich)内の対象物のチャネルインパルス応答測定(CIR測定)に基づく検出方法を実施するように構成されている。衝突領域は、この場合好適には、開放された窓ガラス(サンルーフ)および/または閉鎖しかけた窓ガラス(サンルーフ)と、車両ドアもしくは車両フレームとの間に配置される。衝突領域に関する情報は、好適には、自動車またはUWBシステムのメモリユニットに格納されている。
【0016】
時間的に高度に局所化されたUWBパルスに基づき、送信されたUWBパルスに対する周辺環境の影響から生じるインパルス応答を伴う受信UWBパルスからは、UWBパルスの伝搬経路に関する情報を抽出することが可能である。周辺環境の影響とは、UWBパルスをその幾何学的に予め記述された経路から偏向させる例えば屈折、回折、反射、または減衰などの物理的現象に基づくものである。それゆえ、好適には、周辺環境をCIR測定を用いて空間分解能で走査することがたった2本のアンテナで可能になる。複数のアンテナのうちの1つを介してUWBパルスを多重に送信し、第2のアンテナによって受信したインパルス応答に基づくことにより、周辺環境の変化、例えば、走査すべき領域内にある新たな対象物を、タイムシフトされたインパルス応答の比較によって、空間分解能および時間分解能で可視化させることが可能になる。このようにして、衝突領域内に進入する対象物の検出が確実に可能となる。とりわけ、この場合、特に好適には、CIR測定を用いた周辺環境の恒常的な走査および/または反復的な走査は、衝突領域の対応する監視を可能にする。
【0017】
CIR測定は、例えば、(少なくとも)2つのUWBアンテナ間で予め定められた信号または信号パケット(いわゆる電文)の送信を含む。UWBアンテナ間の信号または信号パケットの直接的な伝搬経路の他にも、例えば車両の内部空間での反射を含んだ多数のさらなる伝搬経路が存在する。車両内での十分な数のUWBアンテナおよび/またはUWBアンテナの有利な配置に基づいて、これらの伝搬経路は、ほぼ全ての車両内部空間と、車両外部空間の一部とをカバーすることができる。様々な伝搬経路に沿った信号または信号パケットの伝搬時間が異なり、伝搬経路内もしくはその近傍における対象物の有無に依存して変化することは明らかである。信号または信号パケットのパルス形状(振幅、位相など)も、伝搬経路内もしくはその近傍における対象物の有無に依存して影響を受ける。したがって、これらの伝搬経路に沿って伝送される信号または信号パケットの測定に基づいて、好適には、伝搬路内もしくはその近傍、特に予め定められた衝突領域内における対象物の有無を推論することができる。
【0018】
衝突領域は、さらに好適には、窓ガラスおよび/またはサンルーフの唯一の、多数の、または全ての可能な伝搬経路を少なくとも含むように選択される。好適には、これにより、可能性のある挟み込み事例を識別するために、開放された窓ガラスまたは閉鎖しかけた窓ガラスと車両ドア(車両フレーム)との間にある例えば腕または頭などの対象物の確実な検出が可能になる。換言すれば、本発明によれば、衝突領域の適切な選択により、窓ガラスまたはサンルーフにおける可能な挟み込み事例を、それが実際に発生する前に非接触で識別することができる。
【0019】
制御装置も同様に、検出方法の結果に基づく信号を、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフの自動調整を中断させるためにアクチュエータに送信するように構成されている。換言すれば、本発明に従って識別された挟み込み事例に基づいて、窓ガラスおよび/またはサンルーフのさらなる調整が、制御装置からアクチュエータに送信される信号によって阻止され、好適には反転動作が開始される。その結果、挟み込み事例の発生が低減される。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、制御装置は、検出方法を、アクチュエータによる窓ガラスおよび/またはサンルーフの閉成のための自動調整の前および/またはその最中に実施するように構成されていることが想定される。これにより、本発明による検出方法が、必要でない状況において実施されることが防止される。例えば、窓ガラスまたはサンルーフが完全に閉成されているならば、挟み込み事例が生じる危険性はない。したがって、コストや不要な摩耗を低減することができる。
【0021】
好適には、制御装置は、アクチュエータによる窓ガラスおよび/またはサンルーフを閉成する自動調整のためのユーザーの入力コマンドを受信し、引き続き、検出方法を実施し、検出方法の結果に基づいて窓ガラスおよび/またはサンルーフを閉成するためのトリガー信号をアクチュエータに送信するように構成されている。これにより、好適には、アクチュエータは、衝突領域内に対象物がない前提条件のもとでのみ、窓ガラスおよび/またはサンルーフを閉成するように駆動制御されることが可能になる。その結果、可能な挟み込み事例の発生がさらに低減される。
【0022】
本発明のさらなる好適な実施形態では、UWBシステムは、UWBパルスを送受信するように構成された第3のアンテナをさらに有することが想定される。制御装置は、好適には、第1、第2、および第3のアンテナを使用して衝突領域内の対象物を検出するためのCIR測定に基づく方法を実施するように構成されている。特に好適には、UWBシステムは、第3の送受信機を有する。特に、第3のアンテナおよび第3の送受信機は、機能的UWBサブユニットを形成することが想定されてよい。さらなるアンテナまたはさらなる機能的なUWBサブユニットは、好適には、インパルス応答から抽出すべき情報内容を、例えば3つのアンテナ相互の相対位置情報に基づいて増加させる。したがって、衝突空間内の対象物の識別の信頼性を向上させることができ、挟み込み事例の発生をさらに低減させることができる。
【0023】
本発明のさらなる好適な実施形態では、制御装置は、伝搬時間測定に基づく測位方法を3つのアンテナを使用して実施するようにさらに構成されていることが想定される。制御装置は、好適には、3つのアンテナを介した伝搬時間測定を用いて、捕捉された対象物の方位(三角測量)および当該対象物と車両との相対位置を決定するように構成されている。そのような伝搬時間測定(time off light-ToF)では、実質的に、1つのUWBパルスが制御装置からアンテナを介して送信され、対象物におけるUWBパルスの反射が同じアンテナによって受信される。第1のUWBパルスの送信と反射したUWBパルスの受信との間の時間t-tと、UWBパルスの伝搬速度、すなわち光速とに基づけば、モジュールのアンテナと対象物との間の離間距離dは、次式、
d=((t-t)-ΔtVB/2c)
に従って求めることができる。高い時間分解能でのUWB信号の使用は、1mを大きく下回る空間分解能を可能にさせる。三角測量により、対象物を車両に対する3次元的位置で決定することができる。
【0024】
その他に、制御装置は、好適には、伝搬時間測定に基づく測位方法を用いて、ジェスチャー領域(Gestenbereich)におけるユーザーのジェスチャーを捕捉するように構成されている。ジェスチャー領域は、好適には、車両ドア前方の予め定められた離間距離のところに存在し、ジェスチャー領域に関する情報は、好適には、車両またはUWBシステムのメモリユニットに格納されている。制御装置は、特に好適には、伝搬時間測定に基づく測位方法を用いて捕捉されたジェスチャーを、メモリユニットに格納されているジェスチャーと比較し、それらのジェスチャーに所属する機能を実施するように構成されている。これらの所属する機能とは、例えば、自動車のロックまたはロック解除、ならびに自動車の1つの窓ガラス、複数の窓ガラス、サンルーフ、燃料フィラーフラップ、および/またはテールゲートの開閉である。換言すれば、UWBシステムおよび制御装置は、CIR測定に基づく検出方法も、伝搬時間測定に基づく測位方法も、同一のアンテナで実施するように構成されている。その結果、本発明による検出方法は、挟み込み事例の防止のための衝突領域の走査も、車両のジェスチャー制御を可能にするための伝搬時間測定に基づく測位方法を用いたジェスチャー領域の走査も可能にするものである。好適には、記述したこれらの2つの方法(検出と測位)に対して同一のUWBシステムもしくは同一のUWBサブシステムが使用されるので、必要となるUWBアンテナもしくはUWBサブシステムの数を僅かに抑えることができ、コストも節約することができる。基本的には、自動車内の既存のUWBアンテナも本発明のために使用することが可能である。
【0025】
ジェスチャー領域は、好適には、自動車の外部空間に定められており、衝突領域は、好適には、自動車の内部空間および外部空間に定められている。特に好適には、衝突領域は、窓ガラスまたはサンルーフを起点として自動車の内部空間および外部空間に、例えば窓ガラスまたはサンルーフの法線方向にそれぞれ10cm突出している。換言すれば、監視すべき衝突領域は、窓ガラスおよび/またはサンルーフの稼働方向と直交する方向に拡張される。これにより、好適には、窓ガラスまたはサンルーフの稼働方向の領域内に直接存在する対象物だけでなく、近い将来のある時点で窓ガラスまたはサンルーフの稼働方向の領域内に直接進入するかもしれない可能性のある対象物も同様に検出することが可能になる。これにより、より多くの挟み込み事例を識別することができ、挟み込み事例の発生をさらに低減することができる。
【0026】
本発明のさらなる好適な実施形態では、制御装置は、CIR測定に基づく検出方法において得られた自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフに関するデータおよび/または好適には上述した伝搬時間測定に基づく測位方法において得られた自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフに関するデータを用いて、窓ガラスおよび/またはサンルーフの開度を決定するように構成されていることが想定される。好適には、制御装置は、得られたデータから求められた窓ガラスおよび/またはサンルーフの位置間の差分から開度を計算するように構成されている。これは、窓ガラスおよび/またはサンルーフの開度の既知の算出に対する好適な代替を表す。
【0027】
繰り返しを避けるために、本発明による自動車の説明から類似的に生じる、以下で説明する方法および以下で説明する通信システムの利点および特徴の冗長的な説明は省かれる。
【0028】
本発明のさらなる態様は、自動車の方法であって、ここで、該自動車は、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフを自動的に調整するためのアクチュエータと、UWB送受信機を有しかつUWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1および第2のアンテナを有するUWBシステムと、UWBシステムおよびアクチュエータに接続された制御装置とを備える。好適には、自動車は、上述した特徴を有する自動車である。本方法は、以下のステップ、詳細には、衝突領域内の対象物のCIR測定に基づく検出方法を実施するUWBシステムを駆動制御するステップと、検出方法の結果に基づく信号を、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフの自動調整を中断させるために自動車のアクチュエータに送信するステップとを含んでいる。
【0029】
本発明による方法の好適な実施形態では、検出方法を実施するUWBシステムを駆動制御するステップは、アクチュエータによる窓ガラスおよび/またはサンルーフの閉成のための自動調整の前および/またはその最中に行われることが想定される。
【0030】
本発明のさらなる好適な実施形態では、UWBシステムは、UWBパルスを送受信するように構成された第3のアンテナをさらに有し、本発明による方法は、伝搬時間測定に基づく測位方法を3つのアンテナを使用して実施するステップをさらに含むことが想定される。
【0031】
好適には、測位方法を用いて、ジェスチャー領域におけるユーザーのジェスチャーが捕捉される。
【0032】
本発明による方法のさらなる好適な実施形態では、付加的なステップ、詳細には、CIR測定に基づく検出方法において得られた自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフに関するデータおよび/または伝搬時間測定に基づく測位方法において得られた自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフに関するデータを用いて、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフの開度を決定するステップが想定される。
【0033】
本発明による方法の個々の方法ステップは、さらに好適には、1つまたは複数の電子計算機器内の1つまたは複数のプロセッサ上で実行され、1つまたは複数のコンピュータプログラムの実行の際に生成される、1つまたは複数のプロセスとして構成されている。計算機器は、この場合好適には、本明細書に記載された機能性を実現するために、他のコンポーネント、特にUWBシステムと協働するように構成されている。
【0034】
コンピュータプログラムの命令も同様に、好適には、例えばRAM素子などのメモリに格納されている。しかしながら、コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体に格納されてもよい。
【0035】
さらに当業者であるならば、本発明による方法から逸脱することなく本発明による方法のステップを実行するために、複数のコンピュータ(データ処理機器)の機能性を組み合わせたり、唯一つの機器に結合したりしてもよいこと、あるいは特定のデータ処理機器の機能性を複数の機器に分割して存在させてもよいことは明らかであろう。
【0036】
本発明のさらなる態様は、コンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムは、コンピュータによって、例えば、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフを自動的に調整するためのアクチュエータと、UWB送受信機を有しかつUWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1および第2のアンテナを有するUWBシステムとを備えた自動車の制御装置によって、プログラムが実行されるときに、これらに本発明による方法を、特に、UWBシステムを使用して衝突領域内の対象物のCIR測定に基づく検出方法を実施させ、該検出方法の結果に基づく信号を、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフの自動調整を中断させるために自動車のアクチュエータに出力させる、命令を含んだコンピュータプログラムに関する。
【0037】
本発明のさらなる態様は、自動車のための通信システムに関する。この通信システムは、UWB送受信機を有しかつUWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1、第2、および第3のアンテナを有するUWBシステムと、UWBシステムおよびアクチュエータに接続された制御装置とを含む。この制御装置は、第1のアンテナおよび第2のアンテナを使用して衝突領域内の対象物のCIR測定に基づく検出方法を実施し、該検出方法の結果に基づく信号を、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフの自動調整を中断させるために、自動車の窓ガラスおよび/またはサンルーフを自動調整するアクチュエータに送信するように構成されている。好適には、自動車は、上述した特徴を有する自動車である。
【0038】
本発明のさらなる好適な実施形態では、UWBシステムのうちの1つが、携帯端末または車両キーに配置されていることが想定される。例えば、UWBシステムの第1のアンテナおよび第2のアンテナは、自動車に配置され、第3のアンテナは、携帯端末または車両キーに配置されている。これにより、ユーザーの携帯端末または車両キーを介したユーザーとの好適な車両通信が可能になる。好適には、制御装置は、自動車に配置されている。特に好適には、制御装置は、UWBシステムを用いて位置に関する情報を、例えば自動車に対する携帯端末および/または車両キーの相対位置に関する情報を取得するように構成されている。例えば、位置情報データは、UWB無線信号を用いて携帯端末または車両キーから送信することができ、あるいは制御装置は、携帯端末または車両キーの位置を、CIR測定を用いて、かつ/またはUWBシステムを使用した伝搬時間測定に基づく測位方法を用いて求めることができる。好適には、携帯端末または車両キーのUWBシステムは、さらなるアンテナとして、もしくはさらなる機能的なUWBサブユニットとして、インパルス応答から抽出すべき情報内容を、例えば3つのアンテナ相互の相対位置情報に基づいて増加させることができる。したがって、自動車に組み込まれるUWBシステムもしくはUWBサブシステムの数を僅かに抑えつつ、衝突空間における対象物の識別の信頼性を向上させ、挟み込み事例の発生をさらに低減させることができる。
【0039】
好適には、携帯端末または車両キーに配置されたUWBシステムは、ユーザー認証用の無線信号を残りのUWBシステムのうちの1つまたは全てに送信するようにさらに構成されている。同様に好適には、制御装置は、測位方法の結果に基づく信号を、受信したユーザー認証用の無線信号に基づいて送信するように構成されている。ユーザー認証によれば、例えば未認証ユーザーについてのジェスチャー制御や自動車へのアクセスシステムのロック解除などの様々な車両機能を阻止することが可能になる。その限りでは、未認証ユーザーが車両へのアクセス権限を入手できるようになることが防止できる。
【0040】
本発明のさらなる好適な実施形態は、従属請求項で言及された残りの特徴から生じる。
【0041】
本出願で言及された本発明の様々な実施形態は、個々の事例において別の説明がない限り、相互に有利に組み合わせ可能である。
【0042】
以下では、本発明の実施例を所属の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明による自動車の一実施形態の概略図である。
図2】本発明による方法の一実施形態の概略図である。
【0044】
図1は、例示的な自動車10、特に内燃機関、電気モーター、またはハイブリッドモーターを備えた自動車の概略図を示す。この自動車10は、自動車10の少なくとも1つの窓ガラス26を自動的に調整するためのアクチュエータ(図示せず)を含む。簡略化の理由から、以下では、図1に示されている4つの窓ガラス26を操作するための1つのアクチュエータのみが説明される。もちろん、窓ガラス26ごとに1つのアクチュエータが設けられ、自動車10のサンルーフのために1つのアクチュエータが設けられてもよい。
【0045】
自動車10は、UWBパルスをそれぞれ送受信するように構成された第1、第2、および第3のアンテナ12,14,16を有しかつ3つのアンテナ12,14,16のうちのそれぞれ1つに対応付けられた3つの送受信機(図示せず)を有するUWBシステム12,14,14’,16,16’をさらに含んでいる。図1には、例示的に、UWBパルスを送受信するように構成されたさらに1つの第4および第5のアンテナ14’、16’も示されている。これらの第4および第5のアンテナ14’,16’の機能方式は、第2および第3のアンテナ14,16の機能方式に類似している。ここでは、本発明が自動車10の一方の車両側に限定されるものではないことが例示的に示されるだけである。それゆえ、第4および第5のアンテナ14’,16’に対する追加の説明は省かれる。
【0046】
第1のアンテナ12は、例示的にルーフライナに配置されている。第2および第3のアンテナ14,16は、それぞれ、自動車10の前部および後部左側の車両ドア内の可動窓ガラス26の下方に配置されている。3つのアンテナ12,14,16は、(少なくとも1つの)アクチュエータに接続された制御装置18に接続されている。例示的に、制御装置18は、第1のアンテナ12近傍の自動車10のルーフライナに配置される。3つのアンテナ12,14,16の相対位置は、制御装置18のメモリユニット(図示せず)に格納されている。このメモリユニットには、衝突領域20,20’およびジェスチャー領域22,22’に関する情報が付加的に格納されている。
【0047】
制御装置18の制御の下では、UWBシステム12,14,16は、第1、第2、および第3のアンテナ12,14,16を使用して衝突領域20,20’内の対象物のチャネルインパルス応答測定(CIR測定)に基づく検出方法を実施するように構成されている。この目的のために、UWBシステム12,14,16は、制御装置18の制御下で、例えば第1のアンテナ12を介して、時間的に強く局所化されたUWBパルスを送信する。UWBパルスは、周辺環境により、幾何学的に予め記述された経路から偏向する。UWBパルスに対する周辺環境のそれぞれの影響に依存して、第1のアンテナ12から送信されたUWBパルスの時間的に遅延した部分が第2および第3アンテナ14,16に到達する。そのように時間分解能で受信されたUWBパルスは、周辺環境に依存するインパルス応答として、制御装置18を用いて抽出することができるUWBパルスの伝搬経路に関する情報を含む。換言すれば、このようにして、CIR測定を用いることにより、周辺環境を走査し、周辺環境における変化を空間分解能で知覚することが可能になる。アンテナ12,14,16のうちの1つを介してUWBパルスを多重に送信し、それぞれ別のアンテナ12,14,16によって受信されたインパルス応答により、周辺環境の変化が、タイムシフトされたインパルス応答の比較によって、空間分解能および時間分解能で可視化される。本発明によれば、このことが衝突領域20,20’の走査のために利用される。
【0048】
衝突領域20,20’は、これが、自動車10の可動窓ガラス26の周りに、それぞれの窓ガラス26からそれぞれの窓ガラス26の稼働方向に沿って交差し、それぞれの窓ガラス26から自動車の外部空間24および内部空間へそれぞれ10cm突出する3次元空間を形成するように選択される。自動車10の窓ガラス26のうちの1つの閉鎖過程があった場合、制御装置18は、UWBシステム12,14,16を使用して衝突領域20,20’の監視を、閉鎖過程が終了または中断されるまで実施する。このようにして、衝突領域における潜在的な挟み込み事例が識別される。挟み込み事例は、基本的に窓ガラス26が閉鎖されるときにしか発生し得ないので、CIR測定に基づく検出方法は、窓ガラス26の閉鎖過程の最中か閉鎖過程の前にのみ行われる。
【0049】
この種の挟み込み事例が制御装置18によって識別されると、制御装置18は、自動車10の閉鎖しかけた窓ガラス26の自動調整を中断させるための信号をアクチュエータに送信する。この目的のために制御装置18は構成され、アクチュエータと相応に接続されている。その結果、識別された挟み込み事例は、反力が生成される窓ガラス26と対象物との接触を起こすことなく防止することが可能になる。その限りでは、既に潜在的な挟み込み事例をその発生前に防止することができる。
【0050】
制御装置18およびUWBシステム12,14,16は、3つのアンテナ12,14,16を使用して伝搬時間測定に基づく測位方法を実施するようにさらに構成されている。これにより、ユーザーのジェスチャーが、ジェスチャー領域22,22’において実施される車両機能の制御のために制御装置18によって捕捉され得る。この目的のために、3つのアンテナ12,14,16を使用してUWPパルスが送信され、それぞれのアンテナ12,14,16と対象物との間の距離を決定するために、ジェスチャーを実施する対象物、例えばユーザーの手の反射が、それぞれ同じアンテナ12,14,16によって再び受信される。次いで、対象物の位置決定が、三角測量を用いて行われる。
【0051】
捕捉されたジェスチャーと、メモリユニット18に格納されたジェスチャーとの比較が一致した後、ジェスチャーに対応する車両機能が実行される。例えば、自動車10のユーザーは、1つのジェスチャーを介して自動車10のドアロック解除を生じさせ、別のジェスチャーを介して窓ガラス26の1つまたは全てを開閉させることができる。制御装置18は、好適には、衝突領域20,20’とジェスチャー領域22,22’との間を区別し、それによって、同じアンテナ12,14,16を使用して、自動車10についての2つの異なる機能、詳細には、挟み込み防止機能とジェスチャー制御とを担うように構成されている。
【0052】
その上さらに、本発明による自動車10は、さらなる機能を、詳細には、UWBシステム12,14,16を用いて制御装置18と携帯端末28または車両キー30の1つのUWBシステムとの制御下で行われるユーザー認証を有する。UWBパルスを用いることにより、認証データは、自動車10のUWBシステム12,14,16を介して制御装置18に送信され、メモリユニットに格納された認証データと比較される。比較が一致した後でのみ、制御装置18は、ジェスチャー捕捉または制御を解放する。したがって、アンテナ12,14,16は、第3の機能のために、詳細には、未認証ユーザーが車両へのアクセス権限を入手できるようになることへの防止に使用することも可能である。
【0053】
図2は、例示的な実施形態による本発明による自動車10の方法の概略図を示す。第1の方法ステップ100では、伝搬時間測定に基づく測位方法が3つのアンテナ12,14,16を使用して実施され、この測位方法を用いてジェスチャー領域22,22’におけるユーザーのジェスチャーが捕捉される。例示的に、ユーザーによって実行された窓ガラス26を閉成するためのジェスチャーは、メモリユニットに格納されたジェスチャーとの比較によって求められる。
【0054】
自動車10の方法の第2のステップ102では、携帯端末28または車両キー30の1つのUWBシステムからのユーザー認証のための無線信号が、UWBシステム12,14,16を介して自動車10によって受信され、ユーザー認証が、メモリユニットに格納された認証データにおける比較を用いて実施される。
【0055】
自動車10の方法の第3の方法ステップ104では、ユーザー認証に成功した後で、窓26を閉成するための信号が、窓26を自動調整するためのアクチュエータに送信される。
【0056】
第4のステップ106では、衝突領域20,20’内の対象物のCIR測定に基づく検出方法が、第1、第2、および第3のアンテナ12,14,16を使用して実施される。好適には、この衝突領域20,20’は、メモリユニットに格納されている。
【0057】
自動車10の方法の例示的に示されている本実施形態では、第5のステップ108において、検出方法の結果に基づいた窓ガラス26の自動調整を中断させるための信号が、窓ガラス26を自動調整するためのアクチュエータに送信される。特に、検出方法の結果は、アクチュエータへの信号の送信によって防止されるべき識別された挟み込み事例を含む。好適には、この中断信号は、アクチュエータの動きを反転させる信号を付加的に含む。
【符号の説明】
【0058】
10 自動車
12 第1のアンテナ
14 第2のアンテナ
14’ 第4のアンテナ
16 第3のアンテナ
16’ 第5のアンテナ
18 制御装置
20,20’ 衝突領域
22,22’ ジェスチャー領域
24 自動車の外部空間
26 窓ガラス
28 携帯端末
30 車両キー
100 第1の方法ステップ
102 第2の方法ステップ
104 第3の方法ステップ
106 第4の方法ステップ
108 第5の方法ステップ
図1
図2