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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】リナロール含有飲食品用風味改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/20 20160101AFI20241010BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20241010BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A23L27/20 D
A23L27/00 Z
A23L2/00 T
A23L2/00 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023216585
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591011410
【氏名又は名称】小川香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】足立 謙次
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-079755(JP,A)
【文献】国際公開第2022/091998(WO,A1)
【文献】特開2018-027021(JP,A)
【文献】特開2022-189299(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016111(WO,A1)
【文献】特開2020-115869(JP,A)
【文献】国際公開第2020/195054(WO,A1)
【文献】特開2016-116493(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130486(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208527(WO,A1)
【文献】特表2010-514794(JP,A)
【文献】特開2006-166870(JP,A)
【文献】特開2016-144435(JP,A)
【文献】特開2021-094024(JP,A)
【文献】特開2006-296356(JP,A)
【文献】特開2011-045305(JP,A)
【文献】特開2018-057300(JP,A)
【文献】特開2016-082898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 27/20
JSTPlus(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピラントールとビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分とを有効成分とし、
スピラントール1質量部に対する、ビサボレンの質量部が0.1~100、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの質量部が0.001~1、シトラール ジエチル アセタールの質量部が0.1~100、トランス-2-ヘキセナールの質量部が0.1~100、または、1,4-シネオールの質量部が0.1~100である、酸味料およびリナロール含有飲食品用の後口のキレ減少改善剤
【請求項2】
スピラントールを有効成分とする、リナロール含有飲食品における炭酸感減少改善剤。
【請求項3】
リナロール含有飲食品へのスピラントールの添加量(a)が、リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して質量比(a/b)で0.0001~2000である、請求項1に記載の酸味料およびリナロール含有飲食品用の後口のキレ減少改善剤
【請求項4】
リナロール含有飲食品へのスピラントールの添加量(a)が、リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して質量比(a/b)で0.0001~2000である、請求項2に記載のリナロール含有飲食品における炭酸感減少改善剤。
【請求項5】
さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を含有することを特徴とする、請求項2又は4に記載のリナロール含有飲食品の炭酸感減少改善剤。
【請求項6】
スピラントールの含有量(a)に対して、以下の(ア)~(オ)の条件の少なくとも1つを満たす、請求項5に記載のリナロール含有飲食品の炭酸感減少改善剤。
(ア)ビサボレンの含有量(i)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(i/a)が0.0005~100000である;
(イ)トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの含有量(ii)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(ii/a)が0.000005~1000である;
(ウ)シトラール ジエチル アセタールの含有量(iii)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(iii/a)が0.0005~100000である;
(エ)トランス-2-ヘキセナールの含有量(iv)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(iv/a)が0.0005~100000である;
(オ)1,4-シネオールの含有量(v)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(v/a)が0.0005~100000である。
【請求項7】
請求項1に記載の酸味料およびリナロール含有飲食品用の後口のキレ減少改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品用香料組成物。
【請求項8】
請求項2に記載のリナロール含有飲食品における炭酸感減少改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品用香料組成物
【請求項9】
請求項5に記載のリナロール含有飲食品の炭酸感減少改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品用香料組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の酸味料およびリナロール含有飲食品用の後口のキレ減少改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品。
【請求項11】
請求項2に記載のリナロール含有飲食品における炭酸感減少改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品。
【請求項12】
請求項5に記載のリナロール含有飲食品の炭酸感減少改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品。
【請求項13】
酸味料およびリナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して、
スピラントール(a)を、リナロールとの質量比(a/b)が0.0001~2000となるように添加し、そして、
スピラントール1質量部に対して、ビサボレン0.1~100質量部、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール0.001~1質量部、シトラール ジエチル アセタール0.1~100質量部、トランス-2-ヘキセナール0.1~100質量部、または1,4-シネオール0.1~100質量部となるように添加することを特徴とする、後口のキレ減少が改善された、酸味料およびリナロール含有飲食品の製造方法。
【請求項14】
リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して、スピラントール(a)を、リナロールとの質量比(a/b)が0.0001~2000となるように添加することを特徴とする、炭酸感の減少が改善されたリナロール含有飲食品の製造方法。
【請求項15】
さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を添加することを特徴とする、請求項14に記載の炭酸感の減少が改善されたリナロール含有飲食品の製造方法。
【請求項16】
ビサボレン、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分の添加量が1ppb~90000ppb、又はトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの添加量が0.01ppb~900ppbであることを特徴とする、請求項15に記載の炭酸感の減
少が改善されたリナロール含有飲食品の製造方法。
【請求項17】
酸味料およびリナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して、スピラントール(a)を、リナロールとの質量比(a/b)が0.0001~2000となるように添加し、そして、
スピラントール1質量部に対して、ビサボレン0.1~100質量部、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール0.001~1質量部、シトラール ジエチル アセタール0.1~100質量部、トランス-2-ヘキセナール0.1~100質量部、または1,4-シネオール0.1~100質量部となるように添加することを特徴とする、酸味料およびリナロール含有飲食品の後口のキレ減少改善方法。
【請求項18】
リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して、スピラントール(a)を、リナロールとの質量比(a/b)が0.0001~2000となるように添加することを特徴とする、リナロール含有飲食品の炭酸感減少改善方法。
【請求項19】
さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を添加することを特徴とする、請求項18に記載のリナロール含有飲食品の炭酸感減少改善方法。
【請求項20】
ビサボレン、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分の添加量が1ppb~90000ppb、又はトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの添加量が0.01ppb~900ppbであることを特徴とする、請求項19に記載のリナロール含有飲食品の炭酸感減少改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピラントールを有効成分とする、リナロール含有飲食品の風味改善剤、さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分も含有するリナロール含有飲食品の風味改善剤、風味改善用の香料組成物、リナロール含有飲食品の製造方法、リナロール含有飲食品の風味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リナロールはローズウッド、ラベンダー、コリアンダー、オレンジなど様々な植物に含有される成分であり、飲食品にも使用される食品素材や食品香料を由来として多岐にわたり含有されており、その香気特徴であるフルーツ様、シトラス様やフローラル様の風味を付与している。また、以前よりも香料を使用する飲食品は増加傾向にあるため、リナロールを含有する飲食品も増加傾向にある。
しかしながら、リナロールの飲食品への添加は、その香気特徴を付与するだけではなく、飲食品に対して望ましくない風味、効果を付与することがある。これまでにも、リナロール含有飲食品へのリナロールの望ましくない風味、効果に対する改善が提案されている。
【0003】
例えば、酸味料とリナロールを含有するフレーバードウォーターのような無色透明な酸味料含有飲料において、飲料の後口のキレが低下するという問題があり、これに対して、ベンズアルデヒド、サリチル酸メチル及びβ―ダマセノンを加えると後口のキレが向上すること(特許文献1)、リナロールを含有するpHが4.0~7.0の無色透明飲料にリナロールを添加すると、飲用時に舌にざらつきを感じるという問題があり、これに対して、ゲラニオール、サリチル酸メチル、β―ダマセノン、ベンズアルデヒド、デカン酸、ラウリン酸、ブチル酸、オクタン酸及びパルミチン酸を加えると飲食時に感じられる舌のざらつきが軽減すること(特許文献2)などが報告されている。
【0004】
しかしながら、飲食品へのリナロールの添加による飲食品への望ましくない風味、効果の付与は、先行技術文献に記載のものだけに留まるものではなく、また先行技術文献に記載の化合物だけでは、望ましくない風味、効果への改善には十分ではないという問題があった。
一方、スピラントールは、キク科オランダセンニチ(Spilanthes acmella)、キバナオランダセンニチ(Spilanthes acmella var. oleracea)等に含まれる刺激成分であって、炭酸飲料の炭酸感を増強することが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/016111号明細書
【文献】国際公開第2019/050041号明細書
【文献】特開2006-166870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実際、本発明の発明者は、飲食品へのリナロールの添加による望ましくない風味、効果の付与として、炭酸飲料へのリナロールの添加により、炭酸感が弱く感じられることを新たに見出した。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、リナロールを含有する飲食品の望ましくない風味を改善できる風味改善剤、風味改善用の香料組成物、及び風味改善方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、リナロールを含有する飲食品にスピラントールを添加することで、そして、さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分も添加することで、飲食品へのリナロールの添加による望ましくない風味、効果である、炭酸感の低減及び後口のキレの減少を改善できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下に示すとおりである。
〔1〕スピラントールを有効成分とするリナロール含有飲食品用風味改善剤。
〔2〕リナロール含有飲食品へのスピラントールの添加量(a)が、リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して質量比(a/b)で0.0001~2000である、〔1〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤。
〔3〕さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を含有することを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤。
〔4〕スピラントールの含有量(a)に対して、以下の(ア)~(オ)の条件の少なくとも1つを満たす、〔3〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤。
(ア)ビサボレンの含有量(i)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(i/a)が0.0005~100000である;
(イ)トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの含有量(ii)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(ii/a)が0.000005~1000である;
(ウ)シトラール ジエチル アセタールの含有量(iii)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(iii/a)が0.0005~100000である;
(エ)トランス-2-ヘキセナールの含有量(iv)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(iv/a)が0.0005~100000である;
(オ)1,4-シネオールの含有量(v)がスピラントールの含有量(a)に対して、質量比(v/a)が0.0005~100000である。
〔5〕〔1〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品用香料組成物
〔6〕〔3〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品用香料組成物。
【0010】
〔7〕〔1〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品。
〔8〕〔3〕に記載のリナロール含有飲食品用風味改善剤を含有することを特徴とする、リナロール含有飲食品。
〔9〕リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して、スピラントール(a)を、リナロールとの質量比(a/b)が0.0001~2000となるように添加することを特徴とする、リナロール含有飲食品の製造方法。
〔10〕さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を添加することを特徴とする、〔9〕に記
載のリナロール含有飲食品の製造方法。
〔11〕ビサボレン、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分の添加量が1ppb~90000ppb、又はトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの添加量が0.01ppb~900ppbであることを特徴とする、〔10〕に記載のリナロール含有飲食品の製造方法。
〔12〕リナロール含有飲食品中のリナロール含有量(b)に対して、スピラントール(a)を、リナロールとの質量比(a/b)が0.0001~2000となるように添加することを特徴とする、リナロール含有飲食品の風味改善方法。
〔13〕さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を添加することを特徴とする、〔12〕に記載のリナロール含有飲食品の風味改善方法。
〔14〕ビサボレン、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分の添加量が1ppb~90000ppb、又はトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの添加量が0.01ppb~900ppbであることを特徴とする、〔13〕に記載のリナロール含有飲食品の風味改善方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前記の風味改善剤を添加することにより、リナロール含有飲食品に対して、炭酸感の減少、後口のキレの減少を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の飲料及び関連する方法について、以下に説明する。
〔1〕リナロール
本発明の飲食品に含有されるリナロールの由来は限定されず、由来が合成品であっても、ローズウッド、ラベンダー、コリアンダー、オレンジなどからの天然物であってもよい。
【0013】
〔2〕スピラントール
本発明で用いるスピラントール(Spilanthol、IUPAC名(2E,6Z,8E)-N-Isobutyl-2,6,8-decatrienamide)は、分子式C1423NO、分子量221.34、融点23℃の化合物であり、以下の構造を有する脂肪酸アミドである。
【化1】
【0014】
本発明で使用するスピラントールは、化学的な手法で合成された合成品の他、植物から抽出されたものでもよい。
本発明ではいずれの方法により得られたスピラントールであっても使用でき、また、本発明の効果が得られる限り、純度が高いものである必要はない。
飲食品の香味に影響を与えない限り、スピラントールを含有する植物の抽出物や精油等を精製することなく使用してもよい。
【0015】
飲食品に使用する場合,安全性の観点からは食経験のある植物から得られる抽出物又は
精油を使用することが望ましく、また、供給、価格等の実用性の観点から、スピラントール含量の多いオランダセンニチ(Spilanthes acmella)又はキバナオランダセンニチ(Spilanthes acmella var. oleracea)の抽出物又は精油を使用するのが特に望ましい。
【0016】
スピラントールの抽出法を例示すると、オランダセンニチ又はキバナオランダセンニチの花頭を乾燥・粉砕した後、有機溶媒で抽出してスピラントールを含有する抽出液を得る方法が挙げられる。
抽出に使用する有機溶媒は特に制限はなく、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類を適宜単独で、又は混合して使用することができる。
中でも、アルコール類のような極性有機溶媒が望ましく、安全性の観点から特にエタノールが望ましい。得られた抽出液から溶媒を留去し、スピラントール含有抽出物が得られる。
【0017】
〔3〕香料成分
本発明で使用する香料成分であるビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールは、合成または天然の由来や純度等は関係なく、一般的に市場に流通しているものであればよい。
【0018】
〔4〕風味改善剤
本発明の風味改善剤は、リナロール含有飲食品におけるリナロールによる炭酸飲料の炭酸感の減少、リナロール含有酸味料含有飲料の後口のキレの低下を改善できる。
具体的には、本発明の風味改善剤を使用することによって、異味異臭を加えることなく、リナロールが引き起こす炭酸飲料の炭酸感の減少を補い、さらに炭酸感を増強させることができる、すなわち、炭酸飲料の飲み始めのトップの炭酸感を増強させることができる。また、本発明の風味改善剤を使用することによって、リナロールが引き起こす酸味料含有飲料の後口のキレの低下を補い、さらに後口のキレを一層強く感じさせることができる、すなわち、酸味料含有飲料の喉越しのスッキリとした後口のキレを強く感じさせることができる。
【0019】
本発明の風味改善剤はスピラントールを必須の成分とするものであって、さらにビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分を含有させることができる。
本発明の風味改善剤における、スピラントールと上記の香料成分との配合割合は以下のとおりである。
スピラントール1質量部に対して、ビサボレンを0.0005~100000質量部、望ましくはビサボレンを0.005~10000質量部、より望ましくはビサボレンを0.01~200質量部の割合である。
スピラントール1質量部に対して、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールを0.000005~1000質量部、望ましくはトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールを0.00005~100質量部、より望ましくはトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールを0.0001~2質量部の割合である
スピラントール1質量部に対して、シトラール ジエチル アセタールを0.0005~100000質量部、望ましくはシトラール ジエチル アセタールを0.005~10000質量部、より望ましくはシトラール ジエチル アセタールを0.01~200質量部の割合である。
スピラントール1質量部に対して、トランス-2-ヘキセナールを0.0005~10
0000質量部、望ましくはトランス-2-ヘキセナールを0.005~10000質量部、より望ましくはトランス-2-ヘキセナールを0.01~200質量部の割合である。
スピラントール1質量部に対して、1,4-シネオールを0.0005~100000質量部、望ましくは1,4-シネオールを0.005~10000質量部、より望ましくは1,4-シネオールを0.01~200質量部の割合である。
【0020】
本発明の風味改善剤は、上記有効成分を溶媒に溶解させて調製する。
その際のスピラントールの濃度は、0.1ppm~10重量%が好ましく、1ppm~1重量%がより好ましく、10ppm~1000ppmがさらに好ましい。
風味改善剤の調製に使用する溶媒は、特に限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールの他、トリアセチン、トリエチルシトレート、食用油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどを、単独又は混合して使用することができる。
【0021】
本発明の風味改善剤は、添加する対象の飲食品の形態に応じて適宜、剤形を変えて使用することができる。例えば、乳化剤を利用して乳化組成物として、又、賦形剤を利用して粉末として飲食品に添加することができる。
また、本発明の風味改善剤は、飲食品製造における各工程で常法に従い、適宜添加することができる。
【0022】
〔5〕風味改善用の香料組成物
本発明の風味改善剤と各種の飲食品用香料と組み合わせ、風味改善剤を含有する風味改善用の香料組成物として、飲食品に適用することができる。
組み合わせる香料として、例えば、「特許庁公報 周知慣用技術集(香料) 第II部 食品用香料」(平成12(2000)年1月14日発行、日本国特許庁)等に記載された香料原料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油、合成香料)、各種植物エキス、酸化防止剤等が例示される。
本発明の風味改善用の香料組成物は、添加する対象の飲食品の形態に応じて適宜、剤形を変えて使用することができる。例えば、乳化剤を利用して乳化組成物として、又、賦形剤を利用して粉末として飲食品に添加することができる。
風味改善用の香料組成物におけるスピラントールの含有量は、0.01ppm~10質量%、望ましくは0.1ppm~5質量%、より望ましくは1ppm~1質量%である。
【0023】
〔6〕飲食品
本発明でいう飲食品とは食品、飲料、香辛料、調味料、医薬品など飲食に供することのできるものをいう。
【0024】
本発明が対象とする、リナロール含有飲食品におけるリナロールの含有量は、1ppb~100ppm、望ましくは10ppb~50ppm、より望ましくは50ppb~10ppmである。
リナロールが1ppbより少ないと、望ましくない風味の付与が少なく、一方リナロールが100ppmより多いと、リナロール特有の特徴が強く、望ましくない風味の付与が分かりづらい。
【0025】
リナロール含有飲食品における本発明の風味改善剤由来のスピラントールの含有量は、1ppb~3000ppb、望ましくは5ppb~2000ppb、より望ましくは10ppb~1000ppbである。
スピラントールの含有量が1ppb未満では風味改善効果が発揮できず、一方、300
0ppbを超えると辛味、異味がわずかに感じられ、飲食品本来の香味特徴が損なわれる恐れがあるからである。
【0026】
本発明が対象とするリナロール含有飲食品において、リナロールと本発明の風味改善剤由来のスピラントールの含有割合は、リナロール1質量部に対して、スピラントールを0.0001~2000質量部、望ましくはスピラントールを0.001~500質量部、より望ましくはスピラントールを0.005~20質量部の割合である。
【0027】
本発明が対象とするリナロール含有飲食品における、本発明の風味改善剤由来のビサボレンの含有量は、1ppb~90000ppb、望ましくは5ppb~10000ppb、より望ましくは10ppb~1000ppbである。
同様に、リナロール含有飲食品におけるトランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールの含有量は、0.01ppb~900ppb、望ましくは0.05ppb~100ppb、より望ましくは0.1ppb~10ppbであり、
シトラール ジエチル アセタールの含有量は、1ppb~90000ppb、望ましくは5ppb~10000ppb、より望ましくは10ppb~1000ppbであり、
トランス-2-ヘキセナールの含有量は、1ppb~90000ppb、望ましくは5ppb~10000ppb、より望ましくは10ppb~1000ppbであり、
1,4-シネオールの含有量は、1ppb~90000ppb、望ましくは5ppb~10000ppb、より望ましくは10ppb~1000ppbである。
【0028】
本発明の風味改善剤は、リナロール含有飲食品に対して炭酸感の減少及び後口のキレの減少を改善できる効果がある。
【実施例
【0029】
〔製造例1〕(スピラントールの調製)
オランダセンニチの花頭乾燥品300gを95容量%エタノール3200gで1時間還流抽出した。抽出液を冷却し固液分離した後、珪藻土を加えろ過した。濾液を減圧濃縮によりエタノールを留去後、水300gを加え、ヘキサン300mlで3回抽出した。抽出したヘキサン層を合わせ減圧濃縮によりヘキサンを留去し粗抽出物8.4gを得た。収率2.8%(スピラントール含量9.5%)。
【0030】
粗抽出物8.4gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200g、Φ5cm)により分画(n-ヘキサン:酢酸エチル=8:2で溶出)し、スピラントール画分(Rf値=0.2~0.3:n-ヘキサン:酢酸エチル=7:3)を分取し、溶剤を減圧下留去することにより、2.76gの粗スピラントール画分1を得た。続いてその粗スピラントール画分1を減圧下(0.1mmHg)でクーゲルロー蒸留装置を用いて単蒸留精製(180℃)し、0.98gの粗スピラントール画分2を得た。収率0.33%(スピラントール含量41.9%)。
【0031】
さらにその粗スピラントール画分2 0.98gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200g、Φ5cm)により分画(n-ヘキサン:酢酸エチル=95:5~90:10で溶出)し、スピラントール画分(Rf値=0.2:n-ヘキサン:酢酸エチル=7:3)を分取し、溶剤を減圧下留去することにより、精製スピラントール0.52gを得た。収率0.17%。スピラントール含量98質量%。スピラントールの構造はプロトン及びカーボン13NMRを測定し既知の文献データと比較することにより確認した。
この精製スピラントール0.104gを50質量%のエタノール溶液2000gで希釈し、スピラントール濃度50ppm(w/w)の精製スピラントール溶液を調製した。
【0032】
〔実施例1〕(炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、市販品のリナロールを表1に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表1に示した。
<評価基準(炭酸感の増減)>
×:炭酸感が弱く感じられる
△:炭酸感が同等である
○:炭酸感もやや強く感じられる
◎:炭酸感が強く感じられる
【0033】
【表1】
【0034】
炭酸飲料にリナロールを添加すると、炭酸感が減少した。
【0035】
〔実施例2〕(スピラントール添加の炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールを表2に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表2に示した。
評価基準は、実施例1と同じである。
【0036】
【表2】
【0037】
リナロールを添加した炭酸飲料(実施例1が示すように、その炭酸感が減少している)にスピラントールを添加すると、減少した炭酸感を補い、さらにリナロール、スピラントール無添加のものよりも炭酸感を増強させることができた。
【0038】
〔実施例3〕(スピラントール及び香気成分(ビサボレン)添加の炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(ビサボレン)を表3に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表3に示した。(表3で、ケミカルは香料成分(ビサボレン)を意味する。)
評価基準は、実施例1と同じである。
【0039】
【表3】
【0040】
リナロール及びスピラントールを添加した炭酸飲料に、ビサボレンを添加すると、炭酸感が更に増強された。
【0041】
〔実施例4〕(スピラントール及び香気成分(トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール)添加の炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール)を表4に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表4に示した。(表4で、ケミカルは香料成分(トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール)を意味する。)
評価基準は、実施例1と同じである。
【0042】
【表4】
【0043】
リナロール及びスピラントールを添加した炭酸飲料に、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールを添加すると、炭酸感が更に増強された。
【0044】
〔実施例5〕(スピラントール及び香気成分(シトラール ジエチル アセタール)添加の炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(シトラール ジエチル アセタール)を表5に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表5に示した。(表5で、ケミカルは香料成分(シトラール ジエチル アセタール)を意味する。)
評価基準は、実施例1と同じである。
【0045】
【表5】
【0046】
リナロール及びスピラントールを添加した炭酸飲料に、シトラール ジエチル アセタールを添加すると、炭酸感が更に増強された。
【0047】
〔実施例6〕(スピラントール及び香気成分(トランス-2-ヘキセナール)添加の炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(トランス-2-ヘキセナール)を表6に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表6に示した。(表6で、ケミカルは香料成分(トランス-2-ヘキセナール)を意味する。)
評価基準は、実施例1と同じである。
【0048】
【表6】
【0049】
リナロール及びスピラントールを添加した炭酸飲料に、トランス-2-ヘキセナールを添加すると、炭酸感が更に増強された。
【0050】
〔実施例7〕(スピラントール及び香気成分(1,4-シネオール)添加の炭酸飲料)
炭酸飲料(市販の炭酸水800g、グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水174.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(1,4-シネオール)を表7に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表7に示した。(表7で、ケミカルは香料成分(1,4-シネオール)を意味する。)
評価基準は、実施例1と同じである。
【0051】
【表7】
【0052】
リナロール及びスピラントールを添加した炭酸飲料に、1,4-シネオールを添加すると、炭酸感が更に増強された。
【0053】
〔実施例8〕(酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、市販品のリナロールを表8に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表8に示した。
<評価基準(後口のキレの増減)>
×:後口のキレが悪い
△:後口のキレが同等である
○:後口のキレがやや強く感じられる
◎:後口のキレが強く感じられる
【0054】
【表8】
【0055】
酸味料含有飲料にリナロールを添加すると、後口のキレが減少した。
【0056】
〔実施例9〕(スピラントール添加の酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールを表9に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表9に示した。
評価基準は、実施例8と同じである。
【0057】
【表9】
【0058】
リナロールを添加した酸味料含有飲料(実施例8が示すように、後口のキレが減少している)にスピラントールを添加すると、後口のキレが復活し、さらにリナロール、スピラントール無添加のものよりも後口のキレを強くすることができた。
【0059】
〔実施例10〕(スピラントール及び香気成分(ビザボレン)添加の酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(ビサボレン)を表10に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表10に示した。(表10で、ケミカルは香料成分(ビザボレン)を意味する。)
評価基準は、実施例8と同じである。
【0060】
【表10】
【0061】
リナロール及びスピラントールを添加した酸味料含有飲料に、ビサボレンを添加すると、ビサボレン無添加と比べて後口のキレが更に増強された。
【0062】
〔実施例11〕(スピラントール及び香気成分(トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール)添加の酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール)を表11に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表11に示した。(表11で、ケミカルは香料成分(トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール)を意味する。)
評価基準は、実施例8と同じである。
【0063】
【表11】
【0064】
リナロール及びスピラントールを添加した酸味料含有飲料に、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アールを添加すると、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール無添加と比べて後口のキレが更に増強された。
【0065】
〔実施例12〕(スピラントール及び香気成分(シトラール ジエチル アセタール)添加の酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(シトラール
ジエチル アセタール)を表12に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表12に示した。(表12で、ケミカルは香料成分(シトラール ジエチル アセタール)を意味する。)
評価基準は、実施例8と同じである。
【0066】
【表12】
【0067】
リナロール及びスピラントールを添加した酸味料含有飲料に、シトラール ジエチル アセタールを添加すると、シトラール ジエチル アセタール無添加と比べて後口のキレが更に増強された。
【0068】
〔実施例13〕(スピラントール及び香気成分(トランス-2-ヘキセナール)添加の酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(トランス-2-ヘキセナール)を表13に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表13に示した。(表13で、ケミカルは香料成分(トランス-2-ヘキセナール)を意味する。)
評価基準は、実施例8と同じである。
【0069】
【表13】
【0070】
リナロール及びスピラントールを添加した酸味料含有飲料に、トランス-2-ヘキセナールを添加すると、トランス-2-ヘキセナール無添加と比べて後口のキレが更に増強された。
【0071】
〔実施例14〕(スピラントール及び香気成分(1,4-シネオール)添加の酸味料含有飲料)
酸味料含有飲料(グラニュー糖40g、クエン酸0.5g、イオン交換水974.5g)に、製造例1で製造したスピラントールと市販品のリナロールと香料成分(1,4-シネオール)を表14に記載された濃度で添加し、熟練したパネリストにて官能評価を行った。その結果を表14に示した。(表14で、ケミカルは香料成分(1,4-シネオール)を意味する。)
評価基準は、実施例8と同じである。
【0072】
【表14】
【0073】
リナロール及びスピラントールを添加した酸味料含有飲料に、1,4-シネオールを添加すると、1,4-シネオール無添加と比べて後口のキレが更に増強された。
【要約】
【課題】リナロールを含有する飲食品の望ましくない風味を改善できる風味改善剤を提供することである。
【解決手段】スピラントールを必須の成分とし、さらに、ビサボレン、トランス-2-トランス-4-ノナジエン-1-アール、シトラール ジエチル アセタール、トランス-2-ヘキセナール及び1,4-シネオールからなる群より選択される1種以上の香料成分も含むことを特徴とするリナロール含有飲食品用風味改善剤である。
【選択図】なし