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特許7569932電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステム
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  • 特許-電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステム 図1
  • 特許-電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステム 図2A
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  • 特許-電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステム 図3
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  • 特許-電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01J 1/304 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H01J1/304
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023520017
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2021058950
(87)【国際公開番号】W WO2022070104
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】63/085,418
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523115368
【氏名又は名称】エヌシーエックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チエン,チェン
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-340113(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109065439(CN,A)
【文献】特開2003-109505(JP,A)
【文献】特開2010-021177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 1/30 - 1/31
9/02
H01L 21/00 - 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界放出カソード装置をクリーニングする方法であって、前記電界放出カソード装置は、電界放出層が係合した基板を含み、前記方法は、
前記基板が前記電界放出層の上に配置されるように、前記電界放出カソード装置を振動装置と係合することと、
前記電界放出層から非埋め込み粒子を脱落させることによって前記電界放出カソード装置をクリーニングするために、前記振動装置を用いてX、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、前記電界放出カソード装置を振動させることと、
前記電界放出カソード装置を振動させることと連携して、前記電界放出層に隣接しかつ間隔をあけて配置された電極に少なくとも1kVの電圧を印加することと
を含み、
前記電極によって生成された電場が、前記電界放出層から前記非埋め込み粒子を引き付ける、
方法。
【請求項2】
前記電界放出カソード装置を振動させることと連携して、加圧気流を前記電界放出層に向けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電界放出カソード装置を振動させることは、X、Y、またはZ方向に、1Hz~1kHzの所定の振動数、および1mm~1cmの所定の振幅で、1分~10時間の所定の期間、前記電界放出カソード装置を振動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
電界放出カソード装置をクリーニングするためのシステムであって、前記電界放出カソード装置は、電界放出層が係合した基板を含み、前記システムは、
前記基板が前記電界放出層の上に配置されるように、前記電界放出カソード装置を受け取るよう構成された振動装置であって、前記振動装置は、前記電界放出層から非埋め込み粒子を脱落させることによって前記電界放出カソード装置をクリーニングするために、X、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、前記電界放出カソード装置を振動させるようさらに構成される、振動装置と、
前記振動装置に隣接し、前記電界放出層と間隔をあけて配置された電極と、
前記振動装置と連携して少なくとも1kVの電圧を前記電極に印加するように構成された電圧源と
を備え、
前記電極によって生成された電場が、前記電界放出層から前記非埋め込み粒子を引き付ける、
システム。
【請求項5】
前記電界放出カソード装置を振動させる前記振動装置と連携して、加圧気流を前記電界放出層に向けるように前記振動装置に隣接して構成された空気放出装置を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記振動装置は、X、Y、またはZ方向に、1Hz~1kHzの所定の振動数、および1mm~1cmの所定の振幅で、1分~10時間の所定の期間、前記電界放出カソード装置を振動させるように構成される、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電界放出カソード装置、より具体的には、電界放出カソード装置をクリーニングするための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電界放出カソード装置は、概して、カソード基板(通常、ステンレス鋼、タングステン、モリブデン、ドープシリコンなどの金属または他の導電性材料で構成される)、基板上に堆積した電界放出材料(例えば、ナノチューブ、ナノワイヤ、グラフェン、アモルファス炭素)の層、および必要に応じて、基板と電界放出材料との間に配置された接着材料の追加の層を含む(例えば、図1参照)。電界放出カソード装置のいくつかの典型的な用途としては、例えば、真空環境で動作可能な電子装置、電界放出ディスプレイ、およびX線管が挙げられる。いくつかのそのような用途では、電界放出カソード装置(単数もしくは複数)は、超清浄環境および/または高真空環境で効果的に使用されるために、清浄でなければならないか、または徹底的にクリーニングされなければならない。
【0003】
しかしながら、電界放出材料および接着材料がカソード基板の表面上に堆積した状態で、使用前または使用後に電界放出カソード装置をクリーニングすることは困難であり得る。表面堆積(電界放出)材料は、典型的には、ナノ材料(例えば、ナノチューブ、グラフェン、ナノワイヤなど)と接着材料(例えば、ガラス粒子、金属粒子など)との混合物を含む。標準的なクリーニングプロセス(例えば、乾燥空気で電界放出材料表面をブローすること、電界放出材料表面を粘着テープと接触させ、次いでそのテープを除去することなど)を使用して電界放出カソード装置をクリーニングした後でも、電界放出材料表面は、実際の動作を通して、または時間が経過しても、小さい非固着(loose)粒子(例えば、電界放出材料および/または接着層に固着して埋め込みまたは接着されていない粒子)を依然として放出し得る。そのような脱落した粒子は、例えば、真空環境内でのアーク放電および電極短絡を引き起こす、真空環境の汚染をもたらす。一般に、そのような電界放出カソード装置に関連する非固着粒子の供給源は、接着層または基板自体への表面堆積/電界放出材料の一部の接着不足を含み、非埋め込み粒子が装置の動作中に緩むことを引き起こし得る。また、カソード表面(例えば、電界放出材料層)は、一般に平坦ではなく、山、谷、および洞穴などのでこぼこした表面モルフォロジを含み(例えば、図1参照)、これは、標準的なクリーニング手順によって容易にまたは完全には除去されていない非埋め込み粒子を捕捉および保持し得る。
【0004】
したがって、カソード表面に固着して埋め込みまたは接着されていない粒子を所望通り除去するために、電界放出カソード装置を効果的にクリーニングするための方法およびシステムの必要性が存在し、そのような改善は、真空環境内でのアーク放電および/または電極短絡を最小化または排除することになる。
【発明の概要】
【0005】
上記および他の必要性は、以下の例示的実施形態を非限定的に含み、1つの特定の態様では、電界放出カソード装置をクリーニングする方法であって、電界放出カソード装置は、電界放出層が係合した基板を含む、方法を提供する、本開示の態様によって満たされる。そのような方法は、基板が電界放出層の上に配置されるように(例えば、カソード、すなわち、基板上に堆積した電界放出層が、「上下逆さま」であるように)、電界放出カソード装置を振動装置と係合することと、電界放出層から非埋め込み粒子を脱落させることによって電界放出カソード装置をクリーニングするために、振動装置を用いてX、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、電界放出カソード装置を振動させることとを含む。
【0006】
別の例示的態様は、電界放出カソード装置をクリーニングするためのシステムであって、電界放出カソード装置は、電界放出層が係合した基板を含む、システムを提供する。そのようなシステムは、基板が電界放出層の上に配置されるように(例えば、カソード、すなわち、基板上に堆積した電界放出層が、「上下逆さま」であるように)、電界放出カソード装置を受け取るよう構成された振動装置を備える。振動装置は、電界放出層から非埋め込み粒子を脱落させることによって電界放出カソード装置をクリーニングするために、X、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、電界放出カソード装置を振動させるようさらに構成される。
【0007】
本開示は、したがって、以下の例示的実施形態を非限定的に含む:
【0008】
例示的実施形態1:電界放出カソード装置をクリーニングする方法であって、電界放出カソード装置は、電界放出層が係合した基板を含み、前述の方法は、基板が電界放出層の上に配置されるように、電界放出カソード装置を振動装置と係合することと、電界放出層から非埋め込み粒子を脱落させることによって電界放出カソード装置をクリーニングするために、振動装置を用いてX、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、電界放出カソード装置を振動させることとを含む、方法。
【0009】
例示的実施形態2:電界放出カソード装置を振動させることと連携して、加圧気流を電界放出層に向けることを含む、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載の方法。
【0010】
例示的実施形態3:電界放出カソード装置を振動させることと連携して、電界放出層から、通常、電界放出層と係合した非埋め込み粒子を保持する、静電荷を除去することを含む、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載の方法。
【0011】
例示的実施形態4:電界放出カソード装置を振動させることと連携して、電界放出層に隣接しかつ間隔をあけて配置された電極に少なくとも約1kVの電圧を印加することを含み、電極によって生成された電場が、電界放出層から非埋め込み粒子を引き付ける、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載の方法。
【0012】
例示的実施形態5:電界放出カソード装置を振動させることは、X、Y、またはZ方向に、約1Hz~約1kHzの所定の振動数、および約1mm~約1cmの所定の振幅で、約1分~約10時間の所定の期間、電界放出カソード装置を振動させることを含む、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載の方法。
【0013】
例示的実施形態6:電界放出カソード装置をクリーニングするためのシステムであって、電界放出カソード装置は、電界放出層が係合した基板を含み、前述のシステムは、基板が電界放出層の上に配置されるように、電界放出カソード装置を受け取るよう構成された振動装置であって、振動装置は、電界放出層から非埋め込み粒子を脱落させることによって電界放出カソード装置をクリーニングするために、X、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、電界放出カソード装置を振動させるようさらに構成される、振動装置を備える、システム。
【0014】
例示的実施形態7:電界放出カソード装置を振動させる振動装置と連携して、加圧気流を電界放出層に向けるように振動装置に隣接して構成された空気放出装置を備える、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載のシステム。
【0015】
例示的実施形態8:振動装置に隣接して配置され、電界放出カソード装置を振動させる振動装置と連携して、電界放出層から、通常、電界放出層と係合した非埋め込み粒子を保持する、静電荷を除去するように構成された、イオン化装置または静電気除去装置を備える、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載のシステム。
【0016】
例示的実施形態9:振動装置に隣接し、電界放出層と間隔をあけて配置された電極、および電界放出カソード装置を振動させる振動装置と連携して少なくとも約1kVの電圧を電極に印加するように構成された電圧源を備え、電極によって生成された電場が、電界放出層から非埋め込み粒子を引き付ける、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載のシステム。
【0017】
例示的実施形態10:振動装置は、X、Y、またはZ方向に、約1Hz~約1kHzの所定の振動数、および約1mm~約1cmの所定の振幅で、約1分~約10時間の所定の期間、電界放出カソード装置を振動させるように構成される、いずれかの先行する例示的実施形態またはその組み合わせに記載のシステム。
【0018】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下で簡単に説明される添付の図面とともに以下の詳細な説明を読むことで明らかとなろう。本開示は、本開示に記載される2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の任意の組み合わせを、そのような特徴または要素が、本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるか、またはその他の方法で記載されるかに関係なく含む。本開示は、総合的に読まれることを意図され、その結果、本開示のいずれかの別個の特徴または要素は、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の文脈上明白に別段の指示がない限り、意図した通りに、すなわち組み合わせ可能であると見なされるべきである。
【0019】
本明細書の概要は、本開示の基本的な理解を提供するために、単にいくつかの例示的態様を要約する目的で提供されることが理解されるであろう。したがって、上記の例示的態様は、単なる例であり、本開示の範囲または趣旨を狭めるものと決して解釈されるべきではないことが理解されるであろう。本開示の範囲は多くの潜在的態様を包含し、その一部は、本明細書で要約されたものに加えて、以下にさらに記載されることが理解されるであろう。さらに、他の態様、および本明細書に開示されるそのような態様の利点は、記載される態様の原理を例として示す添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0020】
このように、本開示を一般的な用語で記載してきたが、ここで、必ずしも正確な縮尺率ではない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】電界放出カソード装置およびカソード基板と係合した電界放出材料堆積層の性質を概略的に示す。
図2A】本開示の一態様に係る、電界放出カソード装置を受け取り、クリーニングするための振動装置の側面図を概略的に示す。
図2B図2Aに示された本開示の態様に係る、電界放出カソード装置を受け取り、クリーニングするための振動装置の底面図を概略的に示す。
図3】本開示の一態様に係る、電界放出カソード装置を受け取り、クリーニングするためのシステムの側面図を概略的に示す。
図4】本開示の代替の態様に係る、電界放出カソード装置を受け取り、クリーニングするためのシステムの側面図を概略的に示す。
図5】本開示の別の代替の態様に係る、電界放出カソード装置を受け取り、クリーニングするためのシステムの側面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本開示が、添付の図面を参照しながら以下により完全に記載され、本開示の全てではないが一部の態様が示される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が、適用される法的要件を満たすように提供される。全体を通して、同様の符号は同様の要素を指す。
【0023】
図2A図2B、および図3~5は、電界放出カソード装置(例えば、図1参照)をクリーニングするための方法およびシステムの様々な態様を示し、そのような電界放出カソード装置は、概して、基板(通常、ステンレス鋼、タングステン、モリブデン、ドープシリコンなどの金属または他の導電性材料で構成される)、基板上に堆積した電界放出材料の層、および必要に応じて、基板と電界放出材料との間に配置された接着材料の追加の層(図示せず)を備える、カソードを含む。
【0024】
1つの例示的態様では、図2Aおよび図2Bに示すように、電界放出カソード装置50をクリーニングするためのシステム100は、その基板25が電界放出層75の上に配置されるように(例えば、カソード50、すなわち、基板25上に堆積した電界放出層75が、「上下逆さま」であるように)、電界放出カソード装置50を受け取るよう構成された振動装置200(例えば、振動台)を備える。カソード装置50は、基板25が電界放出層75の上に配置されるために(例えば、カソード50が「上下逆さま」であると見なされるように)水平面に配置され得るが、そうである必要はない。例えば、カソード50は、基板25の少なくとも一部が電界放出層75の少なくとも一部の上に配置されるように(例えば、カソード装置50が「上下逆さま」であると見なされるように)、振動台200と電界放出層75との間に基板25が配置された状態で、水平面に対して傾斜しているかまたは傾いていてもよい。他の例では、例えば、基板25が円筒形であり、電界放出層75が基板25の円筒面上に堆積し、カソード装置50が振動台200によって水平配向で受け取られる場合、基板25の少なくとも一部は、電界放出層75の少なくとも一部の上に配置されることになる(例えば、その結果、カソード装置50は「上下逆さま」であると見なされる)。
【0025】
カソード装置50が振動装置200によって受け取られ、支持されると、振動装置200は、電界放出層75から非埋め込み粒子を脱落させることによって電界放出カソード装置50をクリーニングするために、X、Y、またはZ方向に所定の振動数および所定の振幅で所定の期間、電界放出カソード装置50を振動させるようさらに構成される。例えば、振動装置200は、X、Y、および/またはZ方向に、約数Hz(例えば1Hz)~約数百Hz(例えば1kHz)の所定の振動数、ならびに約1mm~約1cmの所定の振動/変位振幅で、約数分(例えば1分)~約数時間(例えば10時間)の所定の期間、電界放出カソード装置50を振動させるように構成される。電界放出カソード装置50の振動は、本明細書に記載された方向、振動数、振幅、および期間のパラメータのいずれかもしくは全てのまたはそれらに関連する、多くの異なる条件および条件の組み合わせの下で行われ得ることを当業者なら理解するであろう。さらに、振動装置200(例えば、振動台)は、振動パラメータのいずれかまたは全てを選択するために、それと通信する好適なプログラム可能コントローラ300を有し得る。
【0026】
前述のように、本明細書に開示されるクリーニング方法の1つの目的/機能は、非埋め込みまたは非固着粒子を、電界放出カソード装置50から、より具体的には、その電界放出層75および/または接着層から除去することである。したがって、いくつかの態様では、振動装置200(例えば、振動台)を使用するカソード装置50の振動に、他のクリーニング装置を使用する他のクリーニングステップが付随して(またはその前もしくは後に)起こり得る。
【0027】
例えば、一態様(例えば、図3参照)では、空気放出装置400が、振動装置200に隣接し、加圧気流450を電界放出層75に向けるように構成され、その結果、気流450は電界放出層75および/または接着層が堆積している表面に衝突する。開示されたように、気流450(または任意の好適なガス流)は、電界放出カソード装置50を振動させる振動装置200と連携してカソード装置50に適用され、前述の気流450の関連性は、振動台200による振動と同時または連続的(前もしくは後のいずれか)に起こるものであり得る。
【0028】
別の態様では、イオン化装置または静電気除去装置500(例えば、図4参照)が、振動装置200に隣接して配置され、電界放出層75から静電荷550を除去するように構成される。通常、そのような静電荷550は、電界放出層75および/または接着層と係合した非埋め込み/非固着粒子を保持する傾向がある。開示されたように、静電荷550の除去は、電界放出カソード装置50を振動させる振動装置200と連携してカソード装置50に行われ、前述の静電荷除去の関連性は、振動台200による振動と同時または連続的(前もしくは後のいずれか)に起こるものであり得る。
【0029】
さらに別の態様では、電極600(例えば、図5参照)が、振動装置200に隣接し、電界放出層75と間隔をあけて配置され、電圧源650が、少なくとも約数千ボルト(例えば少なくとも1kV)の電圧を電極600に印加するように構成される。高電圧を印加された電極600によって生成された電場は、したがって、電界放出層75および/または接着層から非埋め込み/非固着粒子を引き付ける。開示されたように、非埋め込み/非固着粒子を引き付けてカソード装置50から離す電場を印加することは、電界放出カソード装置50を振動させる振動装置200と連携して行われ、前述の電場粒子除去処置の関連性は、振動台200による振動と同時または連続的(前もしくは後のいずれか)に起こるものであり得る。
【0030】
これらの追加のクリーニング処置のいずれかまたは全ては、別個にまたは併用して、振動台200による振動と組み合わされて、カソード装置50のクリーニングを達成し得ることを当業者ならさらに理解するであろう。本開示のそのような態様は、したがって、カソード表面に固着して埋め込みまたは接着されていない粒子を効果的に除去するために、電界放出カソード装置を効果的にクリーニングするための方法およびシステムを提供し、そのような改善されたクリーニング方法およびシステムは、例示的電界放出カソード装置が動作する真空環境内でのアーク放電および/または電極短絡を最小化または排除するのに寄与する。
【0031】
本明細書に記載された本発明の多くの修正および他の実施形態が、前述の説明および関連する図面に提示された技術の利益を得る、これらの開示された実施形態が関係する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、本発明の実施形態は開示された特定の実施形態に限定されず、修正および他の実施形態が本発明の範囲内に含まれるよう意図されることを理解すべきである。さらに、前述の説明および関連する図面は、要素および/または機能の特定の例示的組み合わせに関連する例示的実施形態を記載しているが、要素および/または機能の異なる組み合わせが、本開示の範囲を逸脱することなく代替の実施形態によって提供され得ることを理解すべきである。この点で、例えば、上に明示的に記載されたものと異なる要素および/または機能の組み合わせも、本開示の範囲内であるように企図される。特定の用語が本明細書で採用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味のみで使用され、限定を目的とするものではない。
【0032】
第1、第2などの用語が、様々なステップまたは計算を記載するために本明細書で使用され得るが、これらのステップまたは計算は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解すべきである。これらの用語は、ある操作または計算を別のものと区別するためにのみ使用される。例えば、第1の計算は第2の計算と呼ばれ得、同様に、本開示の範囲を逸脱することなく、第2のステップは第1のステップと呼ばれ得る。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語および「/」記号は、関連して記載された項目の1つ以上のいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明白に別段の指示がない限り、複数形も含むよう意図される。「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。したがって、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載するためのものであり、限定することを意図するものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5