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特許7569986搬送管理システム、情報処理システム、搬送実行システム、搬送装置、搬送管理方法及びプログラム
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  • 特許-搬送管理システム、情報処理システム、搬送実行システム、搬送装置、搬送管理方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】搬送管理システム、情報処理システム、搬送実行システム、搬送装置、搬送管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0834 20230101AFI20241011BHJP
【FI】
G06Q10/0834
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021532769
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025786
(87)【国際公開番号】W WO2021010162
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019133149
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 喜博
(72)【発明者】
【氏名】白水 博
(72)【発明者】
【氏名】亀村 雄太
(72)【発明者】
【氏名】稲積 慶人
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-025320(JP,A)
【文献】特開2001-195469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、出発地から目的地への搬送物の搬送を指示する依頼情報が入力される上位システムと、
それぞれが情報処理システムであって、前記上位システムから前記依頼情報に基づく募集情報を取得する複数の下位システムと、を備え、
前記上位システムは、
前記募集情報への応答として、前記複数の下位システムの各々から前記搬送物の搬送に関する見積情報を取得し、
前記複数の下位システムからそれぞれ取得した前記見積情報に基づいて、前記複数の下位システムの中から1以上の下位システムを採用システムとして選択し、
前記採用システムに前記搬送物の搬送を実行させ
前記募集情報は、前記出発地から前記目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含み、
前記下位システムは、前記複数の募集項目の各々への応答として、前記見積情報を前記上位システムに出力し、
前記上位システムは、前記出発地から前記目的地へ向かう前記複数の分割経路の順に、対応する前記募集項目に対する前記下位システムからの前記見積情報を取得し、
前記上位システムは、前記下位システムから取得した前記見積情報の内容を、前記複数の募集項目のうち前記見積情報と対応する募集項目の次の前記募集項目に反映させることによって、次の前記募集項目の内容を決定する、
搬送管理システム。
【請求項2】
前記依頼情報は、前記出発地及び前記目的地を含み、
前記上位システムは、1つの前記依頼情報に基づいて、前記出発地から前記目的地への搬送経路が互いに異なる複数の前記募集情報を生成する、
請求項1に記載の搬送管理システム。
【請求項3】
前記複数の下位システムの各々は、識別情報を保有しており、前記見積情報に前記識別情報を含めて応答する、
請求項1又は2に記載の搬送管理システム。
【請求項4】
前記複数の下位システムは、
前記上位システムを最上位ノードとして、
前記上位システムの隣接下位ノードとなる第1下位システムと、
前記第1下位システムの隣接下位ノードとなる少なくとも1つの第2下位システムと、を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送管理システム。
【請求項5】
前記第1下位システムは、
前記上位システムから取得した前記募集情報に基づくサブ募集情報を前記少なくとも1つの第2下位システムに出力し、
前記サブ募集情報への応答として、前記少なくとも1つの第2下位システムの各々から前記搬送物の搬送に関するサブ見積情報を取得し、
前記少なくとも1つの第2下位システムからそれぞれ取得した前記サブ見積情報を用いて、前記少なくとも1つの第2下位システムの中から1以上の第2下位システムをサブ採用システムとして選択し、
前記サブ採用システムに前記搬送物の搬送を実行させる、
請求項4に記載の搬送管理システム。
【請求項6】
前記募集情報は、前記搬送物の属性に関する属性情報を含んでおり、
前記複数の下位システムの各々は、前記属性情報に応じた前記見積情報を生成する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の搬送管理システム。
【請求項7】
前記複数の下位システムの各々は、前記募集情報に基づいて前記見積情報を生成する見積生成部を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の搬送管理システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の搬送管理システムに前記上位システムとして用いられる、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項7に記載の搬送管理システムに前記下位システムとして用いられる、
情報処理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理システムと、
前記搬送物の搬送を行う搬送装置と、を備える、
搬送実行システム。
【請求項11】
請求項9に記載の情報処理システムと、
前記情報処理システムが搭載され、前記搬送物の搬送を行う本体部と、を備える、
搬送装置。
【請求項12】
情報処理システムである上位システムと、それぞれが情報処理システムである複数の下位システムと、を備える搬送管理システムの搬送管理方法であって、
前記上位システムが、出発地から目的地への搬送物の搬送を指示する依頼情報の入力を受け付ける依頼処理と、
前記複数の下位システムが、前記上位システムから前記依頼情報に基づく募集情報を取得する募集処理と、
前記上位システムが、前記募集情報への応答として、前記複数の下位システムの各々から前記搬送物の搬送に関する見積情報を取得する見積処理と、
前記上位システムが、前記複数の下位システムからそれぞれ取得した前記見積情報に基づいて、前記複数の下位システムの中から1以上の下位システムを採用システムとして選択する選択処理と、
前記上位システムが、前記採用システムに前記搬送物の搬送を実行させる実行処理と、を有し、
前記募集情報は、前記出発地から前記目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含み、
前記下位システムは、前記複数の募集項目の各々への応答として、前記見積情報を前記上位システムに出力し、
前記上位システムは、前記出発地から前記目的地へ向かう前記複数の分割経路の順に、対応する前記募集項目に対する前記下位システムからの前記見積情報を取得し、
前記上位システムは、前記下位システムから取得した前記見積情報の内容を、前記複数の募集項目のうち前記見積情報と対応する募集項目の次の前記募集項目に反映させることによって、次の前記募集項目の内容を決定する、
搬送管理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の搬送管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に搬送管理システム、情報処理システム、搬送実行システム、搬送装置、搬送管理方法及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、出発地から目的地への搬送物の搬送を実現するための搬送管理システム、情報処理システム、搬送実行システム、搬送装置、搬送管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送装置(搬送車)を統括管理する搬送車コントローラと、上位コントローラと、を備えた搬送管理システム(搬送システム)が記載されている。上位コントローラは、搬送車コントローラに、優先順位を加味した搬送情報を送信する。ここで、上位コントローラは、優先順位を割り付け直すことなく、搬送車コントローラに送信する。搬送車コントローラは、予め定められた特定の優先順位までの搬送指令のみを作成し、搬送装置に送信する。搬送装置は、受信した搬送指令に従って、作業(搬送)を実行する。
【0003】
特許文献1に記載の搬送管理システムでは、搬送装置等の搬送手段は、上位コントローラから一方的に送信される搬送情報に従って動作する。そのため、この搬送管理システムでは、例えば、作業を実行中でない(つまり空である)搬送手段が存在する場合に、上位コントローラから搬送情報が新たに送信されない限り、この搬送手段を有効に活用できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-189520号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、搬送手段の有効な活用を図りやすい搬送管理システム、情報処理システム、搬送実行システム、搬送装置、搬送管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る搬送管理システムは、上位システムと、複数の下位システムと、を備える。前記上位システムは、情報処理システムであって、出発地から目的地への搬送物の搬送を指示する依頼情報が入力される。前記複数の下位システムは、それぞれが情報処理システムであって、前記上位システムから前記依頼情報に基づく募集情報を取得する。前記上位システムは、前記募集情報への応答として、前記複数の下位システムの各々から前記搬送物の搬送に関する見積情報を取得する。前記上位システムは、前記複数の下位システムからそれぞれ取得した前記見積情報に基づいて、前記複数の下位システムの中から1以上の下位システムを採用システムとして選択する。前記上位システムは、前記採用システムに前記搬送物の搬送を実行させる。前記募集情報は、前記出発地から前記目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含む。前記下位システムは、前記複数の募集項目の各々への応答として、前記見積情報を前記上位システムに出力する。前記上位システムは、前記出発地から前記目的地へ向かう前記複数の分割経路の順に、対応する前記募集項目に対する前記下位システムからの前記見積情報を取得する。前記上位システムは、前記下位システムから取得した前記見積情報の内容を、前記複数の募集項目のうち前記見積情報と対応する募集項目の次の前記募集項目に反映させることによって、次の前記募集項目の内容を決定する。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、前記搬送管理システムに前記上位システムとして用いられる。
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、前記搬送管理システムに前記下位システムとして用いられる。
【0009】
本開示の一態様に係る搬送実行システムは、前記情報処理システムと、前記搬送物の搬送を行う搬送装置と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る搬送装置は、前記情報処理システムと、前記情報処理システムが搭載され、前記搬送物の搬送を行う本体部と、を備える。
【0011】
本開示の一態様に係る搬送管理方法は、情報処理システムである上位システムと、それぞれが情報処理システムである複数の下位システムと、を備える搬送管理システムの搬送管理方法である。前記搬送管理方法は、依頼処理と、募集処理と、見積処理と、選択処理と、実行処理と、を有する。前記依頼処理は、前記上位システムが、出発地から目的地への搬送物の搬送を指示する依頼情報の入力を受け付ける処理である。前記募集処理は、前記複数の下位システムが、前記上位システムから前記依頼情報に基づく募集情報を取得する処理である。前記見積処理は、前記上位システムが、前記募集情報への応答として、前記複数の下位システムの各々から前記搬送物の搬送に関する見積情報を取得する処理である。前記選択処理は、前記上位システムが、前記複数の下位システムからそれぞれ取得した前記見積情報に基づいて、前記複数の下位システムの中から1以上の下位システムを採用システムとして選択する処理である。前記実行処理は、前記上位システムが、前記採用システムに前記搬送物の搬送を実行させる処理である。前記募集情報は、前記出発地から前記目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含む。前記下位システムは、前記複数の募集項目の各々への応答として、前記見積情報を前記上位システムに出力する。前記上位システムは、前記出発地から前記目的地へ向かう前記複数の分割経路の順に、対応する前記募集項目に対する前記下位システムからの前記見積情報を取得する。前記上位システムは、前記下位システムから取得した前記見積情報の内容を、前記複数の募集項目のうち前記見積情報と対応する募集項目の次の前記募集項目に反映させることによって、次の前記募集項目の内容を決定する。
【0012】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記搬送管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係る搬送管理システムの概要を示すシステム構成図である。
図2図2は、同上の搬送管理システム及び搬送実行システムのシステム構成図である。
図3図3は、同上の搬送管理システムのブロック図である。
図4図4は、同上の搬送管理システムにて作業を実行させる搬送装置の一例を示す概略斜視図である。
図5図5Aは、同上の搬送管理システムを用いる搬送経路の一例を示す概念図である。図5Bは、同上の搬送管理システムを用いる搬送経路の一例を示す概念図である。
図6図6は、同上の搬送管理システムの動作を概念的に示す説明図である。
図7図7は、同上の搬送管理システムの動作を概念的に示す説明図である。
図8図8は、同上の搬送管理システムの動作を概念的に示す説明図である。
図9図9は、同上の搬送管理システムの動作を概念的に示す説明図である。
図10図10は、同上の搬送管理システムの動作を概念的に示す説明図である。
図11図11は、同上の搬送管理システムの動作を概略的に表したシーケンス図である。
図12図12は、実施形態2に係る搬送管理システムのシステム構成図である。
図13図13は、実施形態3に係る搬送管理システムのシステム構成図である。
図14図14は、実施形態3の変形例に係る搬送管理システムのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る搬送管理システム1、上位システム2、下位システム3、搬送実行システム10について、図1図11を参照して説明する。上位システム2、下位システム3の各々は、情報処理システムによって構成されている。
【0015】
(1)概要
本実施形態に係る搬送管理システム1は、出発地から目的地への搬送物92(図5A参照)の搬送を実現するためのシステムである。ここでは、搬送管理システム1は、1以上の搬送手段に搬送物92の搬送を実行させることで、搬送物92の搬送を実現する。
【0016】
本開示でいう「搬送手段」は、搬送物92を搬送する手段であって、例えば、搬送物92を載せて移動する車両(トラック)、船舶、電車又は飛行機等の、人が運転(操縦)する移動体を含む。また、搬送手段は、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、移動ロボット及びドローン等の、搬送物92の搬送作業を実行する搬送装置4(図2参照)も含む。ここでいう「移動ロボット」は、例えば、車輪型、クローラ型又は脚型の(歩行型を含む)のロボットである。
【0017】
搬送管理システム1は、例えば、指令システム100から与えられた依頼情報D1に従って、出発地から目的地への搬送物92の搬送を実現する。すなわち、依頼情報D1は、一例として、搬送物92を、出発地であるX社Px1(図5A参照)から目的地であるY社Py1(図5A参照)に搬送する、というように、出発地、目的地及び搬送物92を特定するための情報を含む。このような依頼情報D1に基づいて、搬送管理システム1は、何らかの搬送手段に対して、搬送物92を出発地から目的地に搬送する、という作業を割り当てる。この場合、搬送管理システム1は、作業を割り当てる搬送手段に対し、例えば、搬送物92をX社Px1からY社Py1に搬送する、という内容の指示を出力する。これにより、搬送手段は、搬送管理システム1から受けた指示に従って、搬送物92を出発地(X社Px1)から目的地(Y社Py1)に搬送する、という作業を実行する。
【0018】
ところで、本実施形態に係る搬送管理システム1は、図1に示すように、上位システム2と、複数の下位システム3と、を備えている。上位システム2は、依頼情報D1が入力されるシステムである。依頼情報D1は、出発地から目的地への搬送物92の搬送を指示する情報である。複数の下位システム3の各々は、上位システム2から依頼情報D1に基づく募集情報D2を取得する。上位システム2は、募集情報D2への応答として、複数の下位システム3の各々から見積情報D3を取得する。見積情報D3は、搬送物92の搬送に関する情報である。上位システム2は、複数の下位システム3からそれぞれ取得した見積情報D3に基づいて、複数の下位システム3の中から1以上の下位システム3を採用システムとして選択する。上位システム2は、採用システム(として選択した1以上の下位システム3)に、搬送物92の搬送を実行させる。
【0019】
この構成によれば、上位システム2においては、複数の下位システム3に募集情報D2を出力することで、複数の下位システム3からの見積情報D3を得ることができる。そして、見積情報D3に基づいて選択される1以上の下位システム3(採用システム)により、搬送物92の搬送を実現することができる。すなわち、ある搬送物92の搬送をいずれかの下位システム3が請け負うためには、募集情報D2への応答としての見積情報D3を、下位システム3が、自発的に、出力することになる。一方で、上位システム2は、下位システム3からの見積情報D3に基づいて採用システムとしての1以上の下位システム3を選択することで、搬送物92を搬送させる1以上の下位システム3を管理できる。したがって、例えば、作業を実行中でない搬送手段(搬送装置4等)が存在する場合、下位システム3が、この搬送手段に実行させる作業を獲得すべく見積情報D3を出力することで、この搬送手段を有効に活用しやすくなる。結果的に、搬送管理システム1によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0020】
(2)構成
以下、本実施形態に係る搬送管理システム1及び搬送実行システム10の構成について、図1図4を参照して、詳細に説明する。
【0021】
以下では、搬送物92の搬送を、複数の搬送手段にて実行する場合を想定して説明する。ここで、搬送手段は、特定エリアでの搬送の作業に特化した専用の搬送装置4を含む。本実施形態で例示する搬送装置4の構成について詳しくは、「(2.3)搬送装置」の欄で説明する。
【0022】
(2.1)全体構成
本実施形態に係る搬送管理システム1は、図1に示すように、少なくとも1つの上位システム2と、複数の下位システム3と、を備えている。要するに、上位システム2は、複数の下位システム3と共に、搬送管理システム1を構成する。
【0023】
本実施形態では、上位システム2及び下位システム3の各々は、メモリ及びプロセッサを含む情報処理システムにて構成されている。言い換えれば、本実施形態に係る上位システム2は、搬送管理システム1に上位システム2として用いられる情報処理システムである。同様に、本実施形態に係る下位システム3は、搬送管理システム1において、複数の下位システム3の各々として用いられる情報処理システムである。すなわち、情報処理システムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、上位システム2及び下位システム3の各々の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。ここで、上位システム2等の「上位」、及び下位システム3等の「下位」は、単に、両者を区別するためのラベルとして用いているのであって、各々の地位及び順位等を特定する意味ではない。
【0024】
上位システム2と下位システム3とは、互いに通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、上位システム2と下位システム3とは、互いに情報を授受することができる。
【0025】
上位システム2と下位システム3とは、互いに双方向に通信可能であって、上位システム2から下位システム3への情報の送信、及び下位システム3から上位システム2への情報の送信の両方が可能である。上位システム2及び下位システム3の各々の構成について詳しくは、「(2.2)各部の構成」の欄で説明する。
【0026】
ここにおいて、本開示では、複数の下位システム3の各々について、参照符号「3」の後に[1],[2],[3],…[N](Nは自然数)といった識別子を付加することで、複数の下位システム3を区別することがある。また、詳しくは後述するが、複数の下位システム3について階層構造を採用する場合、複数の下位システム3は、第1下位システム3と、第1下位システム3の隣接下位ノードとなる第2下位システム3と、を含む。この場合、第1下位システム3[N]の隣接下位ノードとなる第2下位システム3については、符号「3」の後に[N-1],[N-2],[N-3],…[N-m](mは自然数)といった識別子を付加することで、複数の下位システム3を区別することがある。つまり、第2下位システム3については、隣接上位ノードとなる第1下位システム3[N]との対応関係は符号「3」の後の識別子にて特定可能である。一例として、第1下位システム3[3]の隣接下位ノードは、第2下位システム3[3-1],3[3-2],3[3-3],…3[3-m]で表される。図面中における複数の下位システム3についても同様に、[1],[2],[3],…[N],[N-1],[N-2],[N-3],…[N-m]といった識別子を付加することで、個々を区別することがある。
【0027】
上位システム2は、上述したように、依頼情報D1に基づく募集情報D2を下位システム3に出力し、募集情報D2への応答として、下位システム3から見積情報D3を取得するシステムである。言い換えれば、下位システム3は、上位システム2から募集情報D2を取得した場合に、募集情報D2への応答として、見積情報D3を上位システム2に返信するシステムである。
【0028】
さらに、本実施形態では、複数の下位システム3の各々は、募集情報D2に基づいて見積情報D3を生成するように構成されている。また、上位システム2は、見積情報D3に基づいて選択した採用システムとしての1以上の下位システム3に対して、指示情報D4(図10参照)を出力するように構成されている。そのため、下位システム3は、上位システム2から出力された指示情報D4で規定される搬送作業を、搬送手段(搬送装置4等)に実行させることによって、搬送物92の搬送を実行する。
【0029】
したがって、搬送管理システム1では、搬送物92を搬送する作業が発生した場合に、募集情報D2を上位システム2が下位システム3に出力することをもって、下位システム3が、この搬送物92の搬送を請け負うための見積情報D3を出力可能となる。そして、下位システム3からの見積情報D3に基づいて、上位システム2が指示情報D4を与えることで、下位システム3は、搬送手段に、搬送物92の搬送を実行させることが可能となる。要するに、上位システム2が下位システム3に募集情報D2を出力し、下位システム3が上位システム2に見積情報D3を出力し、見積情報D3に基づいて上位システム2が採用システムを選択して指示情報D4を出力する、という一連の処理によって、搬送が実現される。
【0030】
言い換えれば、搬送管理システム1によれば、依頼情報D1にて指示される搬送物92の搬送作業について、上位システム2が複数の下位システム3から見積情報D3を受け付け、これら見積情報D3に基づいて、作業を実行させる下位システム3を選定する。よって、上位システム2が「元請け」に相当し、下位システム3が「下請け」に相当するとすれば、元請けに当たる上位システム2は、搬送作業という仕事を下請けに当たる下位システム3に委託することになる。そして、元請けに当たる上位システム2は、下請けに当たる複数の下位システム3から相見積もりをとることで、搬送作業という仕事を実際に発注する下位システム3を選定することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、下位システム3は、上位システム2に対して、搬送作業の受諾及び/又は完了を示す受諾通知を出力してもよい。受諾通知は、指示情報D4に対応する搬送作業を受諾したこと、搬送作業が完了したこと、又はその両方を示す通知である。具体的には、下位システム3は、上位システム2から取得した指示情報D4で規定される搬送作業が完了すると、作業が完了したことを上位システム2に通知する。これにより、上位システム2は、指示情報D4を与えた下位システム3における搬送作業の状況を管理することができる。
【0032】
ここにおいて、搬送管理システム1に含まれる複数の下位システム3は、図2に示すように、階層構造を採用している。すなわち、複数の下位システム3は、上位システム2を最上位ノードとして、第1下位システム3[1],3[2],3[3],…3[N]と、少なくとも1つの第2下位システム3[3-1],3[3-2],3[3-3],…3[N-m]と、を含んでいる。第1下位システム3は、上位システム2の隣接下位ノードとなる下位システム3である。第2下位システム3は、第1下位システム3の隣接下位ノードとなる1以上の下位システム3である。言い換えれば、階層化された複数の下位システム3のうちの最上位層(第1層)に位置する下位システム3は「第1下位システム」であって、第1下位システム3の下位層(第2層)に位置する下位システム3は「第2下位システム」である。
【0033】
すなわち、複数の下位システム3は、その全てが上位システム2に直接的に接続されるのではなく、一部の下位システム3は、他の下位システム3を介して上位システム2に接続されている。このような階層構造においては、複数の下位システム3の各々から見て、上位システム2側が「上位側」となり、上位システム2とは反対側が「下位側」となる。複数の下位システム3の各々から見て、自身と直接的に接続される上位ノード(上位システム2又は他の下位システム3)を「隣接上位ノード」という。同様に、複数の下位システム3の各々から見て、自身と直接的に接続される下位ノード(他の下位システム3)を「隣接下位ノード」という。
【0034】
第1下位システム3は、上位システム2から取得した募集情報D2に基づくサブ募集情報を少なくとも1つの第2下位システム3に出力する。第1下位システム3は、サブ募集情報への応答として、少なくとも1つの第2下位システム3の各々から搬送物92の搬送に関するサブ見積情報を取得する。第1下位システム3は、少なくとも1つの第2下位システム3からそれぞれ取得したサブ見積情報を用いて、少なくとも1つの第2下位システム3の中から1以上の第2下位システム3をサブ採用システムとして選択する。第1下位システム3は、サブ採用システムに搬送物92の搬送を実行させる。
【0035】
すなわち、「元請け」に当たる上位システム2から見れば、第1下位システム3は「下請け」に相当し、第2下位システム3は「孫請け」に相当する。よって、元請けに当たる上位システム2は、搬送作業という仕事を下請けに当たる第1下位システム3に委託し、さらに、第1下位システム3が、搬送作業という仕事を孫請けに当たる第2下位システム3に委託することになる。
【0036】
ところで、搬送管理システム1に用いられる少なくとも1つの下位システム3は、1台以上の搬送装置4と共に、搬送実行システム10を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る搬送実行システム10は、下位システム3としての情報処理システムと、搬送物92の搬送を行う搬送装置4と、を備えている。すなわち、搬送管理システム1は、搬送手段(搬送装置4を含む)に作業を実行させるためのシステムであるのに対して、搬送実行システム10は、搬送装置4にて実際に作業を実行するシステムである。
【0037】
本実施形態では一例として、搬送実行システム10を構成する下位システム3と搬送装置4とは一対一の関係にある。つまり、1台の搬送装置4に対して1つの下位システム3が搭載されることにより、1台の搬送装置4と1つの下位システム3とが紐付けられている。以下では、ある下位システム3に紐付けられた搬送装置4を、この下位システム3の配下の搬送装置4ともいう。下位システム3は、配下の搬送装置4を制御することによって、配下の搬送装置4に搬送作業を実行させることができる。
【0038】
本実施形態では、搬送管理システム1に含まれる複数の下位システム3のうち、一部の第2下位システム3[3-2],3[4-2],3[5-2]のみが、配下の搬送装置4と一対一に対応付けられている。つまり、一部の第2下位システム3[3-2],3[4-2],3[5-2]のみが、それぞれの配下の搬送装置4と共に、搬送実行システム10を構成する。
【0039】
本実施形態では、搬送実行システム10を構成する下位システム3と搬送装置4とは一体化されている。詳しくは「(2.3)搬送装置」の欄で説明するが、下位システム3は、その配下の搬送装置4に搭載されることで、搬送装置4と一体化されている。つまり、搬送装置4の1つの筐体には、搬送装置4としての機能を実現するための構成要素と、下位システム3の構成要素と、が収容されている。
【0040】
また、本実施形態では、下位システム3は、配下の搬送装置4から、搬送装置4の状態に関する状態情報を取得する。本開示でいう搬送装置4の「状態」は、例えば、搬送装置4の属性、異常(故障)の有無、作業中か否か、蓄電池を充電中か否か、蓄電池の残容量、現在位置、周辺状況及び累積稼働時間等を含む。搬送装置4の「属性」は、例えば、搬送装置4が実行可能な作業の種類、搬送装置4の能力(積載重量等)、搬送装置4の型番、識別子、サイズ及び重量等を含む。具体的には、搬送装置4は、定期的又は不定期に、状態情報を下位システム3に出力する。不定期に状態情報を出力する場合、搬送装置4は、一例として、下位システム3からのポーリングへの応答として状態情報を出力するか、搬送装置4の状態に変化が生じたときに状態情報を出力する。したがって、下位システム3は、配下の搬送装置4から状態情報を取得することで、配下の搬送装置4の状態を管理することができる。
【0041】
また、本実施形態では、搬送管理システム1は、図2に示すように、1つの上位システム2と、複数の下位システム3と、を備えている。すなわち、搬送管理システム1は、下位システム3を複数備えている。これら複数の下位システム3は、同一の上位システム2から募集情報D2を取得可能であって、かつ、同一の上位システム2に見積情報D3を出力可能である。つまり、上位システム2においては、ある搬送物92の搬送を指示する1つの依頼情報D1に対応して、複数の下位システム3に募集情報D2を出し、かつ、複数の下位システム3から複数の見積情報D3を受け付けることが可能である。
【0042】
また、本実施形態に係る上位システム2は、指令システム100と通信可能に構成されている。指令システム100と上位システム2とは、少なくとも単方向に通信可能であって、指令システム100から上位システム2への情報の送信が可能である。
【0043】
本実施形態では、指令システム100は、上位システム2及び下位システム3の各々と同様に、メモリ及びプロセッサを含む情報処理システムを主構成とする。すなわち、情報処理システムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、指令システム100の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0044】
指令システム100は、上位システム2に対して依頼情報D1(図1参照)を出力する。上位システム2は、指令システム100から依頼情報D1を受信すると、依頼情報D1に基づいて、募集情報D2を生成する。詳しくは後述するが、本実施形態では、上位システム2は、1つの依頼情報D1に基づいて、募集情報D2を複数生成する。
【0045】
(2.2)各部の構成
次に、本実施形態に係る上位システム2及び下位システム3の各々の構成について、図3を参照してより詳細に説明する。
【0046】
上位システム2は、上位インタフェース21と、上位通信部22と、作業生成部23と、上位記憶部24と、判定部25と、公開部26と、上位取得部27と、を有している。このうち、作業生成部23、上位記憶部24、判定部25、公開部26及び上位取得部27は、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする上位処理部20の一機能として実現される。
【0047】
上位インタフェース21は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、指令システム100と通信する。ここで、上位インタフェース21は、少なくとも指令システム100から送信される依頼情報D1(図1参照)を受信可能である。上位インタフェース21と指令システム100との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
【0048】
上位通信部22は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、下位システム3(下位通信部31)と通信する。ここで、上位通信部22は、少なくとも下位システム3から送信される見積情報D3を受信可能である。さらに、上位通信部22は、少なくとも下位システム3に対し、募集情報D2及び指示情報D4を送信可能である。本実施形態では、見積情報D3は、下位システム3から上位システム2に送信される上り信号に含まれるデータであって、指示情報D4は、上位システム2から下位システム3に送信される下り信号に含まれるデータである。上位通信部22と下位システム3(下位通信部31)との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
【0049】
上位処理部20を構成するコンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、作業生成部23、上位記憶部24、判定部25、公開部26及び上位取得部27の各々の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0050】
作業生成部23は、依頼情報D1に基づく募集情報D2を生成する。募集情報D2は、搬送作業の内容に関する情報(データ)であって、一例として、搬送物92を出発地から目的地に搬送する、という作業を規定する情報である。本実施形態では、募集情報D2は、少なくとも搬送物92を搬送するのに用いる経路(ルート)を示すルート情報を含んでいる。
【0051】
つまり、本実施形態では、上位システム2は、上述したように、指令システム100から入力される依頼情報D1に基づいて、搬送作業の内容に関する募集情報D2を生成する。ここで、上位システム2は、上述したように、1つの依頼情報D1に対して複数の募集情報D2を生成する。複数の募集情報D2は、一例として、空路(航空便)を優先的に利用する募集情報D2、海路(船便)を優先的に利用する募集情報D2、及び陸路(陸送)を優先的に利用する募集情報D2のように、互いに搬送の経路が異なる募集情報D2を含む。
【0052】
また、本実施形態では、募集情報D2は、出発地から目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含む。すなわち、出発地から目的地への経路は、一例として、出発地から中間地点までの経路、及び中間地点から目的地までの経路のように、複数の経路を含み得る。このように、出発地から目的地への全経路に複数の経路(分割経路)が含まれる場合に、上位システム2は、これら複数の経路(分割経路)に一対一で対応する複数の募集項目を、募集情報D2に含めて生成する。
【0053】
つまり、上位インタフェース21が指令システム100から1つの依頼情報D1を受信した場合に、作業生成部23は、互いに搬送経路が異なる複数の募集情報D2を生成する。そして、作業生成部23は、これら複数の募集情報D2の各々について、複数の募集項目を生成する。つまり、作業生成部23は、複数の募集情報D2を生成しつつ、さらに各募集情報D2に対応する搬送経路について複数の分割経路を設定することで、個々の募集情報D2に複数の募集項目を生成する。言い換えれば、作業生成部23では、それぞれ複数の募集項目を含む募集情報D2が、複数生成されることになる。
【0054】
また、作業生成部23は、環境情報に基づいて、募集情報D2を生成する。本開示でいう「環境情報」は、搬送装置4の動作に関連する情報(データ)であって、一例として、搬送物の現在位置、搬送装置4の周辺状況、特定エリアZ10の地図(構内図)、及び特定エリアZ10における障害物(人も含む)の状況等である。言い換えれば、上位システム2は、搬送装置4の動作に関連する環境情報に基づいて、募集情報D2を生成する。搬送装置4の周辺状況等については、上述したように下位システム3が搬送装置4から取得する状態情報にて代用可能である。例えば、搬送物92を出発地から目的地に搬送する、という作業について、作業生成部23は、搬送装置4を効率的に移動させるように、環境情報に基づいて、障害物を避けつつ最短距離で搬送装置4を移動させるためのルート情報を含む募集情報D2を生成する。
【0055】
ここで、作業生成部23は、優先度を含めて募集情報D2を生成する。本開示でいう「優先度」は、作業ごとに設定される値(数値に限らない)である。詳しくは「(3)動作」の欄で説明するが、優先度は作業を優先する度合いを表す値であって、重要な作業等、優先して実行すべき作業ほど、優先度は高く設定される。
【0056】
上位記憶部24は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。上位記憶部24は、少なくとも作業生成部23で生成された募集情報D2を記憶する。本実施形態では、上述したように1つの依頼情報D1に基づいて複数の募集情報D2が生成されるので、上位記憶部24は、複数の募集情報D2を記憶可能である。
【0057】
判定部25は、見積情報D3に基づいて、複数の下位システム3のいずれを採用システムとして選択するかを判定する。すなわち、上位通信部22が下位システム3から見積情報D3を表す上り信号を受信した場合に、判定部25は、この見積情報D3に基づいて、下位システム3を採用システムとして選択するか否かを判定する。ここで、判定部25は、採用システムとして選択する下位システム3に対しては、見積情報D3を表す上り信号への応答として指示情報D4を表す下り信号を返信する。具体的には、見積情報D3(上り信号)に含まれている固有の識別情報(下位システムID)を含む指示情報D4(下り信号)を上位通信部22が下位システム3に送信することによって、見積情報D3に対する指示情報D4が与えられることになる。一方、見積情報D3に対して指示情報D4を与えない場合には、判定部25は、見積情報D3を表す上り信号への応答として不許可を表す下り信号を返信するか、又は見積情報D3を表す上り信号への応答を行わない。
【0058】
ここで、判定部25は、見積情報D3に対して指示情報D4を与えるか否かの判定に際して、見積情報D3が所定の採用条件を満たすか否かを判断する。具体的には、判定部25は、見積情報D3ごとに評価値を算出し、評価値が高い側から数えて採用予定数分の見積情報D3について、採用条件を満たすと判断する。本開示でいう「採用予定数」は、1つの搬送作業に対して出される指示情報D4の予定数であって、基本的には「1」であるが、複数の搬送手段に実行させる搬送作業については「2」以上となる。すなわち、1つの搬送作業に対して複数の下位システム3から見積情報D3が出力された場合に、これら複数の見積情報D3のうち、評価値が高い側から数えて採用予定数分の見積情報D3には指示情報D4が与えられることになる。
【0059】
例えば、判定部25は、見積情報D3に含まれる、搬送物92の搬送に係るコスト(搬送時間及び搬送費用等を含む)、及び搬送手段の状態(搬送手段の能力、現在位置、周辺状況及び累積稼働時間等)を用いて、重み付け演算をすることによって評価値を算出する。一例として、搬送物92の搬送に係るコストとして、搬送時間が短いほど、又は搬送費用が安価であるほどに、評価値は大きくなる。
【0060】
判定部25は、採用条件を満たすと判定された見積情報D3についてのみ、指示情報D4を与え、採用条件を満たさない見積情報D3については、指示情報D4を与えない。また、評価値について最低値が設定されていてもよい。この場合、判定部25は、評価値が最低値を下回った見積情報D3については全て、他の見積情報D3との評価値の大小関係にかかわらず、採用条件を満たさないと判断する。
【0061】
公開部26は、募集情報D2を下位システム3に対して公開する。具体的には、公開部26は、作業生成部23で生成された募集情報D2を、上位通信部22から下位システム3に送信することで、この募集情報D2を下位システム3に公開する。すなわち、募集情報D2は、少なくとも作業生成部23で生成された直後は、下位システム3に対して未公開であって、募集情報D2を公開するタイミングは公開部26が決定する。
【0062】
本実施形態では、未公開の募集情報D2については、下位システム3から閲覧できない状態にあるため、未公開の募集情報D2(作業)に対して、下位システム3が見積情報D3を出力することはない。募集情報D2が公開されて初めて、この募集情報D2(作業)に対して、下位システム3が見積情報D3を出力可能となる。要するに、作業に関する受付状態は、作業に対する見積情報D3を受け付ける募集状態と、作業に対する見積情報D3を受け付けない非募集状態と、の2状態を含んでいる。言い換えれば、上位システム2は、作業に関する受付状態を募集状態と非募集状態とで切替可能に構成されている。ここで、未公開の募集情報D2で規定される作業に関する受付状態は非募集状態であって、公開中の募集情報D2で規定される作業に関する受付状態は募集状態である。
【0063】
上位取得部27は、下位システム3から見積情報D3等を取得する。さらに、上位取得部27は、作業生成部23にて募集情報D2の生成に用いられる環境情報についても取得する。上位取得部27は、環境情報については、例えば、特定エリアZ10の状況を監視する監視システム等、下位システム3以外のシステムからも取得可能である。具体的には、上位システム2は、上位通信部22にて下位システム3及び監視システム等と通信することにより、上位取得部27にて各種の情報を取得する。
【0064】
ところで、本実施形態では、上位システム2は、出発地から目的地へ向かう複数の分割経路の順に、対応する募集項目に対する下位システム3からの見積情報D3の応答を取得する。すなわち、上述したように、募集情報D2は、出発地から目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含んでいる。そこで、上位システム2は、これら複数の募集項目を、出発地から目的地へ向かう複数の分割経路の順に公開する。言い換えれば、募集情報D2に含まれる複数の募集項目は、一度に公開されるのではなく、出発地に近い側の分割経路に対応する募集項目から、1つずつ順次公開される。そして、上位システム2は、公開された募集項目への応答として、下位システム3から見積情報D3を順次取得する。
【0065】
さらに、上位システム2は、下位システム3から取得した見積情報D3に応じて、次の募集項目の内容を決定する。すなわち、上位システム2は、募集情報D2に含まれる複数の募集項目を、出発地に近い側の分割経路に対応する募集項目から1つずつ順次公開し、各募集項目への応答として見積情報D3を取得している。ここで、上位システム2は、ある募集項目への応答として見積情報D3を取得すると、この見積情報D3の内容に応じて、次に公開する募集項目の内容を決定する。言い換えれば、ある募集項目への応答としての見積情報D3が、次の募集項目に反映されることになる。
【0066】
下位システム3は、下位通信部31と、下位インタフェース32と、見積生成部33と、下位記憶部34と、判断部35と、下位取得部36と、を有している。このうち、見積生成部33、下位記憶部34、判断部35及び下位取得部36は、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする下位処理部30の一機能として実現される。
【0067】
下位通信部31は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、隣接上位ノード(上位システム2又は第1下位システム3)と通信する。ここで、下位通信部31は、少なくとも上位システム2から送信される募集情報D2及び指示情報D4を受信可能である。さらに、下位通信部31は、少なくとも上位システム2に対し、見積情報D3を送信可能である。下位通信部31と隣接上位ノード(上位システム2又は第1下位システム3)との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
【0068】
下位インタフェース32は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、隣接下位ノード(第2下位システム3又は搬送手段)と通信する。図3では、下位インタフェース32の通信相手となる隣接下位ノードの一例として、搬送手段の一つである、搬送装置4を示している。下位インタフェース32と隣接下位ノード(第2下位システム3又は搬送手段)との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
【0069】
下位処理部30を構成するコンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、見積生成部33、下位記憶部34、判断部35及び下位取得部36の各々の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0070】
見積生成部33は、見積情報D3を生成する。見積生成部33は、募集情報D2に基づいて見積情報D3を生成する。見積情報D3は、募集情報D2に対応付けて生成される。ここで、見積生成部33は、1つの募集情報D2に対して1つの見積情報D3を生成する。
【0071】
特に、募集情報D2は、搬送物92の属性に関する属性情報を含んでいる(図1参照)。複数の下位システム3の各々は、属性情報に応じた見積情報D3を生成する。本開示でいう「属性情報」は、搬送物92の属性に関する情報であって、例えば、搬送物92の重量、サイズ、種別、冷蔵若しくは冷凍の有無、搬送時の向き(姿勢)、搬送時の留意点等を含む。すなわち、見積生成部33は、募集情報D2に含まれる属性情報等に基づいて、見積情報D3を生成する。
【0072】
本実施形態では、下位システム3は、複数の募集項目の各々への応答として、見積情報D3を上位システム2に出力する。すなわち、本実施形態では、上述したように、上位システム2で生成される募集情報D2は、複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含んでいる。そこで、下位システム3においても、これら複数の募集項目の各々への応答として、見積情報D3を見積生成部33にて生成する。ここにおいて、下位システム3は、複数の募集項目の全てについて見積情報D3を返信する必要はなく、複数の募集項目の少なくとも1つの募集項目について見積情報D3を返信すればよい。
【0073】
複数の下位システム3の各々は、識別情報を保有している。下位システム3は、見積情報D3に識別情報を含めて応答する。すなわち、本実施形態では、複数の下位システム3には、それぞれ固有の識別情報が割り当てられている。そして、下位システム3は、上位システム2からの募集情報D2への応答時に、それぞれに割り当てられている識別情報を含む見積情報D3を、見積生成部33にて生成する。
【0074】
下位記憶部34は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。下位記憶部34は、少なくとも見積生成部33で生成された見積情報D3を記憶する。本実施形態では、上述したように募集情報D2に対応付けて見積情報D3が生成されるので、下位記憶部34は、募集情報D2に紐付けた状態で見積情報D3を記憶可能である。
【0075】
判断部35は、見積情報D3を出力するか否かを判断する。すなわち、下位通信部31が上位システム2から募集情報D2を受信した場合に、判断部35は、この募集情報D2に対応する見積情報D3を出力するか否かを判断する。ここで、判断部35は、募集情報D2に対応する見積情報D3を出力する場合には、募集情報D2への応答として見積情報D3を表す上り信号を返信する。具体的には、募集情報D2に含まれている固有の識別情報(作業ID)を含む見積情報D3(上り信号)を下位通信部31が上位システム2に送信することによって、作業(募集情報D2)に対応する見積情報D3が出力されることになる。一方、募集情報D2に対応する見積情報D3を出力しない場合には、判断部35は、募集情報D2への応答として要求しない旨を表す上り信号を返信するか、又は募集情報D2への応答を行わない。
【0076】
要するに、本実施形態においては、判断部35における見積情報D3を出力するか否かの判断は、下位システム3が上位システム2からの募集情報D2を受信して初めて可能になる。ここで、上位システム2から下位システム3への募集情報D2の送信は、公開部26が募集情報D2を公開することで実現される。そのため、下位システム3は、未公開の募集情報D2、つまり受付状態が非募集状態である作業については見積情報D3を出力することはなく、公開中の募集情報D2、つまり受付状態が募集状態である作業についてのみ見積情報D3を出力可能である。
【0077】
言い換えれば、下位システム3は、受付状態が募集状態にある作業に対応する要求を出力する。特に、本実施形態では、判断部35は、募集情報D2の公開をトリガにして、この募集情報D2で規定される作業に対応する見積情報D3を出力する。その結果、受付状態が非募集状態から募集状態に切り替わったタイミングで、つまり募集情報D2が公開部26にて公開されたタイミングで、下位システム3が見積情報D3を出力することになる。
【0078】
下位取得部36は、少なくとも隣接下位ノード(第2下位システム3又は搬送手段)から見積情報D3等を取得する。具体的には、下位システム3は、下位インタフェース32にて隣接下位ノード(第2下位システム3又は搬送手段)と通信することにより、下位取得部36にて各種の情報を取得する。
【0079】
本実施形態では一例として、上位インタフェース21、上位通信部22、下位通信部31及び下位インタフェース32は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。下位インタフェース32は、有線通信を採用してもよい。
【0080】
(2.3)搬送装置
次に、本実施形態で例示する搬送装置4の構成について、図4を参照して、より詳細に説明する。
【0081】
搬送装置4は、特定エリアZ10での搬送の作業に特化した専用の搬送手段である。本実施形態では一例として、無人搬送車(AGV)型の搬送装置4を例示する。
【0082】
本開示でいう「特定エリア」は、1台以上の搬送装置4にて搬送が実行される場所であって、一例として、工場、倉庫、建設現場、店舗、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港又は駐車場等である。さらに、例えば、船舶、電車又は飛行機等の乗り物の内部で搬送装置4による搬送が実行される場合、乗り物の内部が「特定エリア」になる。
【0083】
搬送装置4は、図4に示すように、例えば、特定エリアZ10の床面等からなる平坦な移動面91を自律走行する。ここでは一例として、搬送装置4は、蓄電池を備え、蓄電池に蓄積された電気エネルギを用いて動作することとする。本実施形態では、搬送装置4は、搬送物92を積載した状態で移動面91上を走行する。これにより、搬送装置4は、例えば、特定エリアZ10における、ある場所に置かれている搬送物92を、特定エリアZ10における別の場所に搬送することが可能である。本実施形態では、搬送物92は、一例として、荷物が載せられた、ロールボックスパレット等のパレットである。
【0084】
搬送装置4は、本体部41を備えている。本体部41は、平面視において長方形状となる直方体状に形成されている。本実施形態では、本体部41が搬送物92の下方に潜り込んで搬送物92を持ち上げるようにして、搬送物92が本体部41に積載される。そのため、本体部41が搬送物92の下方に生じる隙間に収まるように、本体部41の上下方向の寸法は、平面視における本体部41の短手方向の寸法に比べても小さく設定されている。本実施形態では、本体部41は金属製である。ただし、本体部41は、金属製に限らず、例えば、樹脂製であってもよい。
【0085】
本体部41は、車体部42と、昇降板43と、を有している。車体部42は、複数(ここでは、4つ)の車輪421、及び検知部422を含んでいる。
【0086】
複数の車輪421は、平面視において車体部42の四隅に配置されている。本実施形態では、複数の車輪421の全てが駆動輪である。これら複数の車輪421が個別に駆動されることにより、本体部41は、移動面91に沿って全方位に移動可能となる。つまり、本体部41は、複数の車輪421の各々の回転により、移動面91の上を、前、後、左及び右の全方位に移動可能である。複数の車輪421の各々は、例えば、オムニホイール等の全方向移動型車輪であってもよい。
【0087】
検知部422は、本体部41の挙動、及び本体部41の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、本体部41の挙動は、本体部41が走行中/停止中を表す本体部41の動作状態、本体部41の速度(及び速度変化)、本体部41に作用する加速度、及び本体部41の姿勢等を含む。具体的には、検知部422は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部41の挙動を検知する。また、検知部422は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部41の周辺状況を検知する。
【0088】
また、検知部422は、本体部41の位置、つまり搬送装置4の現在位置を特定する位置特定部を有している。位置特定部は、一例として、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含む。複数の発信器は、搬送装置4が移動する範囲内の複数箇所に配置されている。位置特定部は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、本体部41の位置を測定する。位置特定部は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて実現されてもよい。
【0089】
本体部41は、検知部422の検知結果に基づいて、複数の車輪421を個別に駆動することにより、移動面91上を自律的に移動する。本体部41は、少なくとも、本体部41の現在位置に基づいて、目的地までの本体部41の移動経路を決定し(経路計画)、この移動経路に沿って本体部41が移動するように車体部42を動作させる。これにより、本体部41の自律走行が実現される。
【0090】
昇降板43は、車体部42の上面の少なくとも一部を覆うように、車体部42の上方に配置されている。本実施形態では、昇降板43は、車体部42の上面の四隅をそれぞれ覆うように設けられている。搬送装置4にて搬送物92を搬送する際には、昇降板43の上面に搬送物92が積載される。
【0091】
ここで、昇降板43は、車体部42に対して昇降可能である。このため、本体部41が搬送物92の下方に潜り込んだ状態で、昇降板43が上昇することにより、昇降板43にて搬送物92が持ち上げられる。反対に、昇降板43にて搬送物92を持ち上げた状態で、昇降板43が下降することにより、昇降板43から搬送物92が降ろされる。
【0092】
また、搬送装置4は、上記以外の構成、例えば、蓄電池の充電回路、及びユーザインタフェース等を適宜備えている。
【0093】
ところで、本実施形態では、上述したように、一部の第2下位システム3[3-2],3[4-2],3[5-2]は、搬送物92の搬送を行う本体部41に搭載されることで、搬送装置4と一体化されている。つまり、搬送装置4は、下位システム3としての情報処理システムと、本体部41と、を備えている。本実施形態では、下位システム3が搬送装置4の作業(動作)の邪魔にならないように、下位システム3は、本体部41に内蔵されている。つまり、本体部41の外郭を構成する筐体には、搬送装置4としての機能を実現するための構成要素と、下位システム3の構成要素と、が収容されている。
【0094】
ここにおいて、搬送装置4の検知部422は、下位システム3で使用される情報(例えば、搬送装置4の状態に関する状態情報)の検知、及び上位システム2で使用される情報(例えば、搬送装置4の動作に関連する環境情報)の検知等にも利用される。つまり、検知部422は、搬送装置4と下位システム3と上位システム2とで共用される。
【0095】
また、搬送装置4の動力源(電源)となる蓄電池は、下位システム3の動力源に兼用されてもよい。つまり、蓄電池は、搬送装置4と下位システム3とで共用可能である。同様に、下位システム3の通信機能(下位通信部31)は、搬送装置4における外部システム(上位システム2等)との通信に兼用されてもよい。つまり、下位通信部31は、下位システム3と搬送装置4とで共用可能である。さらに、下位システム3の制御機能(下位処理部30)は、搬送装置4における車体部42及び昇降板43の制御と兼用されてもよい。つまり、下位処理部30は、下位システム3と搬送装置4とで共用可能である。
【0096】
(3)動作
次に、本実施形態に係る搬送管理システム1の動作について、図1、及び図5A図11を参照してより詳細に説明する。
【0097】
(3.1)前提条件
以下では、上位システム2で生成される募集情報D2及び指示情報D4、並びに下位システム3で生成される見積情報D3を、図1等に示すように、「チケット」に例えて、概念的に説明することがある。ここで、募集情報D2の生成は「チケット」の「発行」に相当し、募集情報D2の公開(つまり、非募集状態から募集状態への切替え)は「チケット」の「公開」に相当する。
【0098】
また、ここでは、搬送管理システム1を用いて、図5Aに示すように、出発地としてのX社Px1から、目的地としてのY社Py1に搬送物92を搬送する場合を想定する。出発地であるX社Px1はA国にあり、目的地であるY社Py1はB国内にあることとする。
【0099】
X社Px1からY社Py1に至る経路としては、第1経路、第2経路及第3経路の3通りの経路が存在する。第1経路は、A国第1空港Pr1及びB国第1空港Pr2を経由する経路であって、A国第1空港Pr1からB国第1空港Pr2までは、「航空1」(飛行機)を利用する経路である。第2経路は、A国第2空港Pr3及びB国第1空港Pr2を経由する経路であって、A国第2空港Pr3からB国第1空港Pr2までは、「航空2」(飛行機)を利用する経路である。第3経路は、A国第1港Pr4及びB国第1港Pr5を経由する経路であって、A国第1港Pr4及びB国第1港Pr5までは、「海路1」(船舶)を利用する経路である。
【0100】
また、第1経路は、複数の分割経路として、X社Px1からA国第1空港Pr1までの「Path1A」、A国第1空港Pr1からB国第1空港Pr2までの「Path2A」、及びB国第1空港Pr2からY社Py1までの「Path3A」を含む。第2経路は、複数の分割経路として、X社Px1からA国第2空港Pr3までの「Path1B」、A国第2空港Pr3からB国第1空港Pr2までの「Path2B」、及びB国第1空港Pr2からY社Py1までの「Path3A」を含む。第3経路は、複数の分割経路として、X社Px1からA国第1港Pr4までの「Path1C」、A国第1港Pr4からB国第1港Pr5までの「Path2C」、及びB国第1港Pr5からY社Py1までの「Path3C」を含む。
【0101】
さらに、第2経路に含まれる、A国第2空港Pr3からB国第1空港Pr2までの分割経路である「Path2B」は、図5Bに示すように、C国第1空港Pr6を経由する経路と、B国第2空港Pr7を経由する経路と、の2通りの経路を含んでいる。C国第1空港Pr6を経由する経路は、複数の分割経路として、A国第2空港Pr3からC国第1空港Pr6までの「Path4C」、及びC国第1空港Pr6からB国第1空港Pr2までの「Path5C」を含む。B国第2空港Pr7を経由する経路は、複数の分割経路として、A国第2空港Pr3からB国第2空港Pr7までの「Path4A」、及びB国第2空港Pr7からB国第1空港Pr2までの「Path5A」を含む。
【0102】
そして、C国第1空港Pr6内、又はB国第2空港Pr7内においては、搬送物92を搬送する作業を、搬送管理システム1が搬送装置4に実行させることと仮定する。上述した前提のもと、1以上の搬送手段に、搬送物92の搬送作業を実行させる場合の、本実施形態に係る搬送管理システム1の動作について説明する。
【0103】
(3.2)動作例
まず、上位システム2は、X社Px1からY社Py1に搬送物92を搬送する、という依頼情報D1を指令システム100から受信すると、依頼情報D1に基づいて、募集情報D2を生成する。依頼情報D1は、例えば、下記表1に示すように、出発地(初期出発地)、目的地(最終目的地)、運送開始日時、希望情報及び荷情報を含んでいる。ここで、「希望情報」は、希望到着日時又は希望搬送経路(例えば、空路、海路又は陸路)等、搬送物92の搬送に際しての要望事項に関する情報である。「荷情報」は、搬送物92の属性に関する情報(属性情報)であって、例えば、搬送物92の重量又はサイズ等を含む情報である。
【0104】
【表1】
【0105】
このとき、上位システム2は、図6に示すように、1つの依頼情報D1に基づいて、例えば、下記表2~4に示すような、3つの募集情報D2を生成する。すなわち、上位システム2は、1つの依頼情報D1から、第1経路、第2経路及第3経路の3通りの経路を通る場合の複数(ここでは3つ)の募集情報D2を生成する。表2は、第1経路に対応する募集情報D2であって、募集情報D2を識別するためのチケットIDとして、「A 航空1」が付されている。表3は、第2経路に対応する募集情報D2であって、募集情報D2を識別するためのチケットIDとして、「B 航空2」が付されている。表4は、第3経路に対応する募集情報D2であって、募集情報D2を識別するためのチケットIDとして、「C 海路1」が付されている。
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
ここでは、一例として、各募集情報D2は、図6に示すように、複数の分割経路に対応する複数の募集項目を含んでいる。つまり、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2であれば、「Path1A」、「Path2A」及び「Path3A」の3つの分割経路に対応する3つの募集項目を含んでいる。チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2であれば、「Path1B」、「Path2B」及び「Path3A」の3つの分割経路に対応する3つの募集項目を含んでいる。チケットIDが「C 海路1」である募集情報D2であれば、「Path1C」、「Path2C」及び「Path3C」の3つの分割経路に対応する3つの募集項目を含んでいる。
【0110】
ここで、各募集項目は、対応する分割経路に関する情報として、各分割経路の始点及び終点の情報を含んでいる。上記表2~4において、「From」欄が分割経路の始点、「to」欄が分割経路の終点をそれぞれ入力するための欄である。また、上記表2~4において、「Time1」欄は分割経路の始点への搬送物92の到着予想日時、「Time2」欄は分割経路の終点への搬送物92の到着予想日時をそれぞれ入力するための欄である。また、上記表2~4において、「ID」欄は下位システム3の識別情報(下位システムID)、「費用」欄は搬送物92の搬送に係る費用をそれぞれ入力するための欄である。
【0111】
上位システム2が生成する募集情報D2においては、各募集項目のうち「From」欄及び「to」欄のみが埋まっており、その他の欄は、基本的には空欄(未入力)の状態となる。ただし、複数の分割経路のうち、出発地(X社Px1)を含む分割経路に対応する募集項目(「Path1A」、「Path1B」及び「Path1C」)にあっては、「Time1」欄に運送開始日時が入力されている。
【0112】
要するに、上位システム2は、まず表2~4に示すような3つの募集情報D2に相当するチケットを発行する。ただし、この段階では、チケットは、未だ発行されただけであって、公開はされていない。
【0113】
次に、上位システム2は、チケット(募集情報D2)の公開を行う。ただし、本実施形態では、上位システム2は、発行済みのチケット(募集情報D2)が複数ある場合に、これら複数のチケット(募集情報D2)を一度に公開するのではなく、1つずつ順次公開する。すなわち、上位システム2は、1つずつ順に、下位システム3からの見積情報D3を募るように、チケット(募集情報D2)を順次公開する。ここでは、上位システム2は、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2、チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2、チケットIDが「C 海路1」である募集情報D2の順に、チケットを公開する。
【0114】
さらに、ここにおいて、上位システム2は、出発地から目的地へ向かう複数の分割経路の順に、対応する募集項目を順次公開する。つまり、本実施形態では、上位システム2は、募集情報D2に含まれる複数の募集項目を、一度に公開するのではなく、出発地(X社Px1)に近い側の分割経路に対応する募集項目から、1つずつ順次公開する。例えば、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2であれば、上位システム2は、「Path1A」、「Path2A」、「Path3A」の順に、チケットの募集項目を公開する。言い換えれば、募集情報D2に相当するチケットは、図1に示すように、複数の分割経路に対応する複数の小チケットの束を含んでいる。そこで、上位システム2は、これら複数の小チケットの束を一度に公開するのではなく、小チケットを1枚ずつ公開する。
【0115】
そのため、上位システム2は、図1に示すように、まずはチケットIDが「A 航空1」である募集情報D2のうちの「Path1A」の募集項目を公開する。ここでは、複数の下位システム3のうち、下位システム3[1],3[2]の2つが、判断部35にて見積情報D3を出力すると判断し、上位システム2に見積情報D3を返信する。このとき、各下位システム3[1],3[2]は、公開された募集項目「Path1A」における、「ID」欄、「Time2」欄及び「費用」欄に値を入力することで、見積情報D3を生成する。つまり、本実施形態では、公開された募集情報D2の空欄を埋めることで、見積情報D3が生成される。
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
これにより、上位システム2は、下位システム3[1],3[2]から、募集情報D2への応答として見積情報D3を取得することになる。上記表5は、上位システム2が下位システム3[1]から取得した見積情報D3を示し、上記表6は、上位システム2が下位システム3[2]から取得した見積情報D3を示す。
【0119】
ここで、上位システム2は、募集情報D2に対する複数の見積情報D3の中から、採用条件を満たす見積情報D3を選択する。ここでは、下位システム3[1],3[2]のうち、下位システム3[1]からの見積情報D3が、採用条件を満たすと仮定する。そのため、上位システム2は、下位システム3[1]を仮採用システムとして選択する。
【0120】
次に、上位システム2は、下記表7のように、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2のうちの「Path2A」の募集項目を公開する。このとき、上位システム2は、仮採用システムとして選択した下位システム3[1]からの見積情報D3中の「Time2」欄の値を、「Path2A」の募集項目中の「Time1」欄に入力する。これにより、募集項目「Path1A」への応答としての見積情報D3が、次の募集項目「Path2A」に反映されることになる。
【0121】
【表7】
【0122】
このようにして、上位システム2は、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2のうちの「Path2A」の募集項目を公開する。ここでは、複数の下位システム3のうち、下位システム3[3],3[4]の2つが、判断部35にて見積情報D3を出力すると判断し、上位システム2に見積情報D3を返信する。このとき、各下位システム3[3],3[4]は、公開された募集項目「Path2A」における、「ID」欄、「Time2」欄及び「費用」欄に値を入力することで、見積情報D3を生成する。
【0123】
これにより、上位システム2は、下位システム3[3],3[4]から、募集情報D2への応答として見積情報D3を取得することになる。ここで、下位システム3[3],3[4]のうち、下位システム3[4]からの見積情報D3が、採用条件を満たすと仮定する。そのため、上位システム2は、下位システム3[4]を仮採用システムとして選択する。
【0124】
その後、上位システム2は、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2のうちの「Path3A」の募集項目についても同様に、公開、及び見積情報D3の取得を行う。これにより、上位システム2は、図7に示すように、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2については、複数の募集項目「Path1A」、「Path2A」及び「Path3A」の全てについて、仮採用システムを決定する。図7等において、上位システム2が選択した項目には、チェックボックスにチェック(評価マーク)を付している。
【0125】
その後、上位システム2は、チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2、及びチケットIDが「C 海路1」である募集情報D2についても同様に、公開、及び見積情報D3の取得を行う。これにより、上位システム2は、図8に示すように、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2、チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2、及びチケットIDが「C 海路1」である募集情報D2の全てについて、見積情報D3を取得する。
【0126】
その上で、上位システム2は、各チケット(募集情報D2)への応答としての見積情報D3を評価し、最終的に採用システムとして選択する下位システム3を決定する。つまり、上位システム2は、チケットIDが「A 航空1」である募集情報D2、チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2、及びチケットIDが「C 海路1」である募集情報D2について、見積情報D3を比較し、いずれかの募集情報D2を選択する。ここでは、チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2への応答としての見積情報D3が、採用条件を満たすと仮定する。そのため、上位システム2は、チケットIDが「B 航空2」である募集情報D2について、仮採用システムとして選択した、下位システム3[1],3[4],3[6]を、採用システムとして選択する。
【0127】
ところで、本実施形態では、一部の下位システム3については、階層構造を採用しており、第1下位システム3と、第1下位システム3の隣接下位ノードとなる第2下位システム3と、を含んでいる。ここでは、募集項目「Path2B」について見積情報D3を返信する下位システム3[3],3[4],3[5]が、それぞれ第1下位システム3として、その隣接下位ノードとなる第2下位システム3と共に階層構造を実現する。
【0128】
そこで、これら第1下位システム3[3],3[4],3[5]は、図9に示すように、それぞれの配下となる第2下位システム3[3-1],3[3-2],…3[5-2],3[5-3]に対して、募集情報(サブ募集情報)D2としてのチケットを公開する。そして、第2下位システム3[3-1],3[3-2],…3[5-2],3[5-3]は、第1下位システム3からの募集情報(サブ募集情報)D2への応答として見積情報(サブ見積情報)D3を出力する。つまり、第1下位システム3と第2下位システム3との関係においては、第1下位システム3が上位システム2と同様に機能し、第2下位システム3が下位システム3と同様に機能する。
【0129】
図9の例では、第1下位システム3[3],3[4],3[5]は、それぞれチケットIDが「D」である募集情報D2、チケットIDが「E」である募集情報D2、チケットIDが「F」である募集情報D2を生成及び公開する。例えば、チケットIDが「D」である募集情報D2は、複数の募集項目「Path4A」、「Job1」及び「Path5A」を含む。ここで、募集項目「Path4A」及び「Path5A」は、それぞれ、A国第2空港Pr3からB国第2空港Pr7までの「Path4A」、及びB国第2空港Pr7からB国第1空港Pr2までの「Path5A」に対応する。また、募集項目「Job1」は、B国第2空港Pr7内での搬送物92の搬送作業に対応する。
【0130】
第1下位システム3は、第2下位システム3から取得した見積情報D3に基づいて、上位システム2に返信する見積情報D3を生成する。その結果、上位システム2では、第1下位システム3[3],3[4],3[5]のうち、第1下位システム3[4]が採用システムとして選択されている。
【0131】
採用システムが決定すると、上位システム2は、図10に示すように、採用システムとしての下位システム3に対して、指示情報D4を出力する。ここで、指示情報D4は、見積情報D3の種別を「確定」に変更することで得られる情報であって、チケットIDには「確定」が付されている。具体的には、上位システム2から下位システム3[1],3[4],3[6]には、表8のように、チケットIDが「B 航空2確定」である指示情報D4が出力される。また、第1下位システム3[4]から第2下位システム3[4-1],3[4-2],3[4-3]には、表9のように、チケットIDが「E 確定」である指示情報D4が出力される。
【0132】
【表8】
【0133】
【表9】
【0134】
さらに、図10では図示しないが、第2下位システム3[4-2]は、その配下の搬送装置4に対して、表10のように、チケットIDが「Job2 確定」である指示情報D4を出力している。表10の指示情報では、「ID」欄が空欄になっているが、この「ID」欄には、搬送装置4が搬送作業を実行する際に、搬送装置4の識別情報が入力される。
【0135】
【表10】
【0136】
指示情報D4を受けた下位システム3は、チケット(指示情報D4)にて規定される搬送作業を実行する。搬送物92が目的地であるY社Py1に到着すると、下位システム3は、上位システム2に対して完了通知を出力する。上位システム2が完了通知を受けることをもって、X社Px1からY社Py1に搬送物92を搬送する、という依頼情報D1が実現される。つまり、上位システム2で生成された募集情報D2で規定される作業が実行されることにより、依頼情報D1が遂行される。
【0137】
(3.3)シーケンス図
図11は、上述したような搬送管理システム1の動作を概略的に表したシーケンス図である。
【0138】
すなわち、まずは、指令システム100が上位システム2に依頼情報D1を送信する(S1)。上位システム2は、依頼情報D1に基づいて募集情報D2を生成する(S2)。そして、上位システム2は、生成した募集情報D2を公開する(S3)。募集情報D2が公開されることで、作業の受付状態は「非募集状態」から「募集状態」に切り替わる。公開された募集情報D2は、上位システム2から下位システム3に送信される(S4)。
【0139】
下位システム3は、上位システム2から募集情報D2を受信すると、応募条件を満たすか否かを判断する。応募条件を満たす場合、下位システム3は、見積情報D3を生成する(S5,S6)。そして、下位システム3は、見積情報D3を出力する要求処理(S7,S8)を実行する。要求処理(S7,S8)が実行されることで、下位システム3から上位システム2に見積情報D3が送信される(S7,S8)。
【0140】
上位システム2は、下位システム3から見積情報D3を受信すると、この見積情報D3について指示情報D4を与えるか否かを判定する判定処理(S9)を実行する。採用条件を満たす場合、上位システム2は、採用システムとしての下位システム3を選択する選択処理(S10)を実行する。選択処理(S10)が実行されることで、採用システムでない下位システム3[2]には、上位システム2から不許可を表す不許可通知D5が送信される(S11)。また、選択処理(S10)が実行されることで、採用システムとしての下位システム3[1]には、上位システム2から指示情報D4が送信される(S12)。
【0141】
下位システム3[1]は、上位システム2から指示情報D4を受信すると、見積情報D3に対応する搬送作業を搬送手段に実行させる搬送処理(S13)を実行する。搬送手段での搬送作業が完了した時点で、下位システム3[1]は、完了通知を上位システム2に出力する(S14)。完了通知を受信することで、上位システム2は完了処理を実行する(S15)。このとき、上位システム2は、指令システム100に対して完了通知D6を送信することが好ましい(S16)。これにより、指令システム100では、上位システム2に送信した依頼情報D1に対応する搬送作業が完了したことを把握可能となる。
【0142】
図11のシーケンス図は、搬送管理システム1の動作の一例に過ぎず、その処理の順序が適宜入れ替わっていてもよいし、いずれかの処理について適宜省略されてもよい。
【0143】
(3.4)その他の動作
ところで、本実施形態に係る搬送管理システム1は、搬送手段が作業を実行した場合には、実行した作業に対する対価としての報酬を発生する。報酬は、一例として、金銭(クレジット及び仮想通貨等を含む)、ポイント(点数)、物品、又は搬送手段のメンテナンス等のサービスを含む特典等で実現される。一例として、報酬の給付(支払い)は、指令システム100又は上位システム2の所有者等が行い、報酬の受領は、下位システム3又は搬送手段の所有者等が行う。これにより、下位システム3又は搬送手段においては、作業を実行するモチベーション(動機付け)が与えられることになる。報酬の精算(給付及び受領)は、搬送手段による作業が完了する度に行われてもよいし、所定の算定期間(例えば、1ヵ月)ごとに行われてもよい。報酬が発生する場合には、下位システム3は、見積情報D3に対して指示情報D4が与えられ、配下の搬送手段に作業を実行させたときに、この作業によって得られる報酬に関する情報、又は作業の実績である「作業点数」を保持する機能を有していてもよい。
【0144】
さらに、報酬が発生する場合において、報酬の大きさは、作業ごとに決定されることが好ましい。本開示でいう「報酬の大きさ」は、報酬として給付される対価の大きさを意味し、例えば、報酬が金銭であれば、報酬の大きさが大きくなるほどに、金銭の額(金額)が高くなる。すなわち、全ての作業について一律の報酬が発生するのではなく、作業によって、報酬の大きさを異ならせることが可能である。
【0145】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る搬送管理システム1と同様の機能は、搬送管理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る搬送管理方法は、依頼処理と、募集処理と、見積処理と、選択処理と、実行処理と、を有する。依頼処理は、出発地から目的地への搬送物92の搬送を指示する依頼情報が上位システム2に入力される処理である。募集処理は、上位システム2から複数の下位システム3に依頼情報D1に基づく募集情報D2を出力する処理である。見積処理は、募集情報D2への応答として、複数の下位システム3の各々から上位システム2に、搬送物92の搬送に関する見積情報D3を出力する処理である。選択処理は、複数の下位システム3からそれぞれ取得した見積情報D3に基づいて、複数の下位システム3の中から1以上の下位システム3を採用システムとして選択する処理である。実行処理は、採用システムに搬送物92の搬送を実行させる処理である。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、上記の搬送管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0146】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0147】
本開示における搬送管理システム1は、例えば、上位システム2及び下位システム3等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における搬送管理システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0148】
また、上位システム2又は下位システム3における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは搬送管理システム1に必須の構成ではなく、上位システム2又は下位システム3の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。下位システム3は搬送装置4と別体であってもよい。さらに、搬送管理システム1の少なくとも一部の機能、例えば、上位システム2又は下位システム3の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0149】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている搬送管理システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、上位システム2と下位システム3とに分散されている搬送管理システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0150】
また、上位システム2が募集情報D2を生成することは、搬送管理システム1に必須の構成ではなく、募集情報D2は、例えば、下位システム3又は指令システム100等で生成されてもよいし、下位システム3のメモリに予め記憶されていてもよい。これらの場合、下位システム3は、上位システム2による募集情報D2の公開を待たずに、見積情報D3を出すことができる。
【0151】
さらに、上位システム2が募集情報D2を生成する場合であっても、上位システム2が下位システム3に対して募集情報D2を送信することは、搬送管理システム1に必須の構成ではない。例えば、上位システム2が募集情報D2を下位システム3にて閲覧可能な状態とすれば、下位システム3は、上位システム2にアクセスすることで、上位システム2から募集情報D2を受信する場合と同様に、募集情報D2を確認することができる。これにより、下位システム3は、募集情報D2にて規定される作業に対応する見積情報D3を出すことができる。
【0152】
また、上位システム2において、作業に関する受付状態を募集状態と非募集状態とで切り替えるための具体的手段は、公開部26による募集情報D2の公開に限らない。例えば、募集情報D2が受付状態フラグを含む場合に、受付状態フラグの値によって、この募集情報D2にて規定される作業に関する受付状態が、募集状態と非募集状態とで切り替わってもよい。この場合、公開部26により募集情報D2が公開されているか否かによらず、作業に関する受付状態を募集状態と非募集状態とで切り替えることができる。
【0153】
また、搬送管理システム1の一部の機能、例えば、判定部25での採用条件についての判断、及び判断部35での応募条件についての判断等について、機械学習等の技術が利用されてもよい。特に、搬送装置4を効率的に稼働させる、という観点において、機械学習等の技術が利用されることが好ましい。
【0154】
また、作業には有効期限が設定されてもよい。この場合、有効期限内に出力された見積情報D3に対してのみ指示情報D4が与えられることが好ましい。つまり、有効期限内に見積情報D3が出力された場合には、見積情報D3に対して指示情報D4が与えられ得るが、有効期限外に見積情報D3が出力された場合には、見積情報D3に対して指示情報D4が与えられることはない。本開示でいう有効期限は、作業に対する見積情報D3及び指示情報D4が有効となる期間であって、例えば、上位システム2による募集情報D2の公開から一定時間(一例として数秒)の期間である。有効期限は、例えば、募集情報D2に含まれている。具体的には、例えば、下位システム3が、有効期限内にある作業に対してのみ見積情報D3を出力する。又は、上位システム2が、有効期限が経過した時点で受付状態を募集状態から非募集状態に切り替えてもよい。言い換えれば、上位システム2は、作業に関する受付状態を募集状態とする期間を無期限とするのではなく、有効期限という形で、下位システム3からの見積情報D3を有効とする期間に制限を設ける。これにより、上位システム2においては、下位システム3からの見積情報D3を待つ時間を短く抑えやすくなる。
【0155】
さらに、有効期限が設定されている場合において、有効期限内に、この作業について採用条件を満たす見積情報D3が得られなければ、上位システム2は、例えば、優先度を上げる等、募集情報D2の変更を行ってもよい。要するに、有効期限内に、作業を実行させる搬送装置4が決まらなかった場合には、上位システム2は、募集情報D2を変更した上で、この作業を実行する搬送装置4を再募集する。このとき、募集情報D2の変更内容は、何かしら、この作業について応募条件又は採用条件を満たしやすくなる変更であればよく、優先度を上げる他、例えば、搬送経路の変更等であってもよい。
【0156】
また、募集情報D2の公開先となる下位システム3は制限されていてもよい。この場合、下位システム3が判断部35にて見積情報D3を出力するか否かを判断しなくても、募集情報D2の公開先である下位システム3は、全て、見積情報D3を出力してもよい。
【0157】
また、上位システム2にて、1つの依頼情報D1に対して生成される複数の募集情報D2は、互いに搬送の経路が異なる募集情報D2に限らず、例えば、互いに出荷日時及び/又は着荷日時が異なる募集情報D2等を含んでいてもよい。
【0158】
(実施形態2)
本実施形態に係る搬送管理システム1Aは、図12に示すように、上位システム2を複数備える点で、実施形態1に係る搬送管理システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0159】
本実施形態では、図12に示すように、搬送管理システム1Aは、2つの上位システム2を備えている。この搬送管理システム1Aにおいて、複数の上位システム2は、同一の下位システム3からの見積情報D3を取得可能である。具体的には、複数の下位システム3の各々は、いずれも2つの上位システム2と通信可能に構成されている。そのため、各下位システム3は、一方の上位システム2が公開した募集情報D2と、他方の上位システム2が公開した募集情報D2と、の両方に対して、見積情報D3を出力することが可能である。そのため、各上位システム2においては、同一の下位システム3からの見積情報D3を取得することができる。
【0160】
本実施形態に係る搬送管理システム1Aによれば、下位システム3は、複数の上位システム2のいずれかから、見積情報D3について指示情報D4を与えられることで、搬送手段に実行させる作業を獲得できる。例えば、1つの上位システム2から募集情報D2が公開されていない期間でも、募集情報D2を公開している他の上位システム2に対して見積情報D3を出力することで、下位システム3は、搬送手段に実行させる作業を獲得できる機会が増える。したがって、下位システム3は、配下の搬送手段をより有効に活用しやすくなる。
【0161】
また、搬送管理システム1Aは、複数の上位システム2を備えていればよく、上位システム2を3つ以上備えていてもよい。
【0162】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0163】
(実施形態3)
本実施形態に係る搬送管理システム1Bは、図13に示すように、少なくとも1つの下位システム3について、下位システム3と搬送装置4とが一対多の関係にある点で、実施形態1に係る搬送管理システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0164】
すなわち、本実施形態では、複数の下位システム3のうちの少なくとも1つの下位システム3については、1つの下位システム3に対して複数台の搬送装置4が紐付けられている。言い換えれば、1つの下位システム3の配下に複数の搬送手段が存在する。この下位システム3は、配下の複数台の搬送装置4の各々に対して指示情報D4を出力することによって、配下の複数台の搬送装置4の各々に作業を実行させることができる。
【0165】
本実施形態に係る搬送管理システム1Bは、図13に示すように、複数台の搬送装置4を制御する群制御システム5を更に備えている。下位システム3は、群制御システム5に作業指示を出力することで、複数台の搬送装置4のうちの少なくとも1台の搬送装置4に作業を実行させる。図13の例では、搬送管理システム1Bは、複数の下位システム3を備えている。群制御システム5は、複数の下位システム3の各々と、複数台の搬送装置4との間に介在する。
【0166】
群制御システム5は、複数台の搬送装置4を制御するシステムであって、群制御システム5と搬送装置4とは一対多の関係にある。つまり、群制御システム5は、複数台の搬送装置4との間で通信可能に構成されることにより、1つの群制御システム5と複数台の搬送装置4とが紐付けられている。以下では、ある群制御システム5に紐付けられた複数台の搬送装置4の各々を、この群制御システム5の配下の搬送装置4ともいう。1つの群制御システム5の配下の複数台の搬送装置4は、同一種類の作業を実行する装置であってもよいし、互いに異なる種類の作業を実行する装置であってもよい。
【0167】
また、群制御システム5は、下位システム3との間で通信可能に構成される。これにより、群制御システム5は、下位システム3から送信された作業指示を取得可能になる。ここで、群制御システム5は、下位システム3からの作業指示を受信すると、作業指示に基づいて指示情報D4(図10参照)を生成し、指示情報D4を配下の搬送装置4に出力する。群制御システム5からの指示情報D4を受信した搬送装置4は、指示情報D4に従って作業を実行する。すなわち、本実施形態では、下位システム3は、搬送装置4に直接的に指示情報D4を出力して搬送装置4に作業を実行させるのではなく、群制御システム5に作業指示を出力することで、間接的に、搬送装置4に作業を実行させる。
【0168】
ここで、群制御システム5は、作業指示の内容に基づいて、複数台の搬送装置4のうちのいずれの搬送装置4に作業を実行させるか、及び何台の搬送装置4に作業を実行させるかを、決定してもよい。この場合、群制御システム5は、配下の複数台の搬送装置4のうち、作業を実行させる搬送装置4にのみ、指示情報D4を出力する。
【0169】
本実施形態に係る搬送管理システム1Bによれば、群制御システム5が複数台の搬送装置4を束ねる役割を担うので、下位システム3の処理負荷の増加を抑えながらも、複数台の搬送装置4を有効に活用しやすくなる。
【0170】
また、搬送管理システム1Bは、1つの下位システム3に対して複数の群制御システム5を備えていてもよい。
【0171】
ところで、実施形態3に係る搬送管理システム1Bにおいて、群制御システム5は必須の構成でない。例えば、実施形態3の変形例として、図14に示すように、下位システム3に、群制御システム5を介さずに、配下の複数台の搬送装置4が接続されていてもよい。この場合、下位システム3は、配下の搬送装置4に直接的に指示情報D4を出力して搬送装置4に作業を実行させる。さらに、実施形態3に係る搬送管理システム1Bでは、少なくとも1つの下位システム3について、下位システム3と搬送装置4とが一対多の関係にあればよく、下位システム3ごとに配下の搬送装置4の台数が異なっていてもよい。図14に示す例では、ある下位システム3の配下の搬送装置4は1台であって、別の下位システム3の配下の搬送装置4は2台であって、更に別の下位システム3の配下の搬送装置4は3台以上である。
【0172】
実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0173】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)は、上位システム(2)と、複数の下位システム(3)と、を備える。上位システム(2)は、出発地から目的地への搬送物(92)の搬送を指示する依頼情報(D1)が入力される。複数の下位システム(3)は、上位システム(2)から依頼情報(D1)に基づく募集情報(D2)を取得する。上位システム(2)は、募集情報(D2)への応答として、複数の下位システム(3)の各々から搬送物(92)の搬送に関する見積情報(D3)を取得する。上位システム(2)は、複数の下位システム(3)からそれぞれ取得した見積情報(D3)に基づいて、複数の下位システム(3)の中から1以上の下位システム(3)を採用システムとして選択する。上位システム(2)は、採用システムに搬送物(92)の搬送を実行させる。
【0174】
この態様によれば、上位システム(2)において、複数の下位システム(3)に募集情報(D2)を出力することで、複数の下位システム(3)からの見積情報(D3)を得ることができる。そして、見積情報(D3)に基づいて選択される1以上の下位システム(3)により、搬送物(92)の搬送を実現することができる。すなわち、ある搬送物(92)の搬送をいずれかの下位システム(3)が請け負うためには、募集情報(D2)への応答としての見積情報(D3)を、下位システム(3)が、自発的に、出力することになる。一方で、上位システム(2)は、下位システム(3)からの見積情報(D3)に基づいて採用システムとしての1以上の下位システム(3)を選択することで、搬送物(92)を搬送させる1以上の下位システム(3)を管理できる。したがって、例えば、作業を実行中でない搬送手段が存在する場合、下位システム(3)が、この搬送手段に実行させる作業を獲得すべく見積情報(D3)を出力することで、この搬送手段を有効に活用しやすくなる。結果的に、搬送管理システム(1,1A,1B)によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0175】
第2の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第1の態様において、複数の下位システム(3)の各々は、募集情報(D2)に基づいて見積情報(D3)を生成する見積生成部(33)を有する。
【0176】
この態様によれば、複数の下位システム(3)の各々で見積情報(D3)が生成されるので、募集情報(D2)に対応して見積情報(D3)を生成することが可能である。
【0177】
第3の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第1又は2の態様において、上位システム(2)は、1つの依頼情報(D1)に対して募集情報(D2)を複数生成する。
【0178】
この態様によれば、例えば、互いに経路が異なる複数の募集情報(D2)が生成されるので、依頼情報(D1)を遂行するための募集情報(D2)のバリエーションが増え、より適切な搬送手段の活用を図りやすい。
【0179】
第4の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第1~3のいずれかの態様において、募集情報(D2)は、出発地から目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目を含む。下位システム(3)は、複数の募集項目の各々への応答として、見積情報(D3)を上位システム(2)に出力する。
【0180】
この態様によれば、出発地から目的地への経路に含まれる複数の分割経路にそれぞれ対応する複数の募集項目ごとに、見積情報(D3)を取得することが可能となる。
【0181】
第5の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第4の態様において、上位システム(2)は、出発地から目的地へ向かう複数の分割経路の順に、対応する募集項目に対する下位システム(3)からの見積情報(D3)を取得する。
【0182】
この態様によれば、出発地から目的地へ向かう複数の分割経路の順に見積情報(D3)が取得されるので、搬送物(92)の搬送を実行させる順に採用システムを選択することが可能である。
【0183】
第6の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第5の態様において、上位システム(2)は、下位システム(3)から取得した見積情報(D3)に応じて、次の募集項目の内容を決定する。
【0184】
この態様によれば、見積情報(D3)の内容を次の募集項目の内容に反映させることができる。
【0185】
第7の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第1~6のいずれかの態様において、複数の下位システム(3)の各々は、識別情報を保有しており、見積情報(D3)に識別情報を含めて応答する。
【0186】
この態様によれば、見積情報(D3)に含まれる識別情報にて、複数の下位システム(3)の各々を識別することが可能である。
【0187】
第8の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第1~7のいずれかの態様において、複数の下位システム(3)は、上位システム(2)を最上位ノードとして、第1下位システム(3)と、少なくとも1つの第2下位システム(3)と、を含む。第1下位システム(3)は、上位システム(2)の隣接下位ノードとなる。少なくとも1つの第2下位システム(3)は、第1下位システム(3)の隣接下位ノードとなる。
【0188】
この態様によれば、複数の下位システム(3)にて階層構造を実現することが可能である。
【0189】
第9の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第8の態様において、第1下位システム(3)は、上位システム(2)から取得した募集情報(D2)に基づくサブ募集情報(D2)を少なくとも1つの第2下位システム(3)に出力する。第1下位システム(3)は、サブ募集情報(D2)への応答として、少なくとも1つの第2下位システム(3)の各々から搬送物(92)の搬送に関するサブ見積情報(D3)を取得する。第1下位システム(3)は、少なくとも1つの第2下位システム(3)からそれぞれ取得したサブ見積情報(D3)を用いて、少なくとも1つの第2下位システム(3)の中から1以上の第2下位システム(3)をサブ採用システムとして選択する。第1下位システム(3)は、サブ採用システムに搬送物(92)の搬送を実行させる。
【0190】
この態様によれば、元請けに当たる上位システム(2)は、搬送作業という仕事を下請けに当たる第1下位システム(3)に委託し、さらに、第1下位システム(3)が、搬送作業という仕事を孫請けに当たる第2下位システム(3)に委託することができる。
【0191】
第10の態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)では、第1~9のいずれかの態様において、募集情報(D2)は、搬送物(92)の属性に関する属性情報を含んでいる。複数の下位システム(3)の各々は、属性情報に応じた見積情報(D3)を生成する。
【0192】
この態様によれば、搬送物(92)の属性に応じた見積情報(D3)が生成されるので、より適切な搬送手段の活用を図りやすい。
【0193】
第11の態様に係る情報処理システム(2)は、第1~10のいずれかの態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)に上位システム(2)として用いられる。
【0194】
この態様によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0195】
第12の態様に係る情報処理システム(3)は、第1~10のいずれかの態様に係る搬送管理システム(1,1A,1B)に下位システム(3)として用いられる。
【0196】
この態様によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0197】
第13の態様に係る搬送管理システム搬送実行システム(10,10B)は、第12の態様に係る情報処理システム(3)と、搬送物(92)の搬送を行う搬送装置(4)と、を備える。
【0198】
この態様によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0199】
第14の態様に係る搬送装置(4)は、第12の態様に係る情報処理システム(3)と、情報処理システム(3)が搭載され、搬送物(92)の搬送を行う本体部(41)と、を備える。
【0200】
この態様によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0201】
第15の態様に係る搬送管理方法は、依頼処理と、募集処理と、見積処理と、選択処理と、実行処理と、を有する。依頼処理は、出発地から目的地への搬送物(92)の搬送を指示する依頼情報(D1)が上位システム(2)に入力される処理である。募集処理は、上位システム(2)から複数の下位システム(3)に依頼情報(D1)に基づく募集情報(D2)を出力する処理である。見積処理は、募集情報(D2)への応答として、複数の下位システム(3)の各々から上位システム(2)に、搬送物(92)の搬送に関する見積情報(D3)を出力する処理である。選択処理は、複数の下位システム(3)からそれぞれ取得した見積情報(D3)に基づいて、複数の下位システム(3)の中から1以上の下位システム(3)を採用システムとして選択する処理である。実行処理は、採用システムに搬送物(92)の搬送を実行させる処理である。
【0202】
この態様によれば、上位システム(2)において、複数の下位システム(3)に募集情報(D2)を出力することで、複数の下位システム(3)からの見積情報(D3)を得ることができる。そして、見積情報(D3)に基づいて選択される1以上の下位システム(3)により、搬送物(92)の搬送を実現することができる。すなわち、ある搬送物(92)の搬送をいずれかの下位システム(3)が請け負うためには、募集情報(D2)への応答としての見積情報(D3)を、下位システム(3)が、自発的に、出力することになる。一方で、上位システム(2)は、下位システム(3)からの見積情報(D3)に基づいて採用システムとしての1以上の下位システム(3)を選択することで、搬送物(92)を搬送させる1以上の下位システム(3)を管理できる。したがって、例えば、作業を実行中でない搬送手段が存在する場合、下位システム(3)が、この搬送手段に実行させる作業を獲得すべく見積情報(D3)を出力することで、この搬送手段を有効に活用しやすくなる。結果的に、搬送管理方法によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0203】
第16の態様に係るプログラムは、第15の態様に係る搬送管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0204】
この態様によれば、搬送手段の有効な活用を図りやすい、という利点がある。
【0205】
上記態様に限らず、実施形態1、実施形態2及び実施形態3に係る搬送管理システム(1,1A,1B)の種々の構成(変形例を含む)は、搬送管理方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0206】
第2~10の態様に係る構成については、搬送管理システム(1,1A,1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0207】
1,1A,1B 搬送管理システム
2 上位システム(情報処理システム)
3 下位システム(情報処理システム)
4 搬送装置
10,10B 搬送実行システム
33 見積生成部
41 本体部
D1 依頼情報
D2 募集情報(サブ募集情報)
D3 見積情報(サブ見積情報)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14