(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241011BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2021537652
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2020027543
(87)【国際公開番号】W WO2021024726
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019145797
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 喜博
(72)【発明者】
【氏名】白水 博
(72)【発明者】
【氏名】稲積 慶人
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230527(JP,A)
【文献】特開2017-142659(JP,A)
【文献】特開2013-235563(JP,A)
【文献】特開2016-012257(JP,A)
【文献】特開2018-147337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検知領域のうち第1領域にて
前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させ、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて
前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定
し、
前記第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体及び前記他の移動体を管理する上位システムに向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる質問部を更に備え、
前記制御部は、前記質問部からの質問に対する前記上位システムからの応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する、
制御システム。
【請求項2】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させ、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定し、
前記第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体に向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる確認信号を送信する送信部を更に備え、
前記制御部は、前記確認信号に対する応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する、
制御システム。
【請求項3】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させ、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定し、
前記第2領域にて前記検知部が検知した前記物体が前記他の移動体ではない場合、前記移動体に前記物体を回避させ、
前記第2領域にて前記検知部が検知した前記物体が前記他の移動体である場合、前記移動体と前記他の移動体とのうち優先的に通行させる移動体を、あらかじめ規定されたルールに従って決定する、
制御システム。
【請求項4】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させ、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定し、
前記制御部は、前記第2領域にて前記検知部が前記物体を検知してから、前記移動体の行動を決定するまでの間、前記移動体を停止させる、
制御システム。
【請求項5】
前記移動体及び前記他の移動体を管理する上位システムから前記物体に関する事前情報を取得する取得部を更に備え、
前記制御部は、前記取得部で取得した前記事前情報に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する、
請求項3又は4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記検知領域のうち前記第2領域の外側であって前記移動体の進行方向にある第3領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を減速させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記第2領域は、前記移動体の移動する移動面において、少なくとも前記移動体の進行方向に設定される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記第2領域は、前記移動体の移動する移動面において前記移動体の全周を覆うように設定される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2領域にて検知された前記物体が前記他の移動体である場合、前記他の移動体が前記第2領域にて検知されなくなるまで、前記移動体を待機させる、
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2領域にて検知された前記物体が前記他の移動体である場合、前記他の移動体の進行方向に応じて、前記移動体の行動を決定する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項11】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知ステップと、
前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、
前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる停止ステップと、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する決定ステップと、
前記第2領域にて前記物体を検知すると、前記移動体及び前記他の移動体を管理する上位システムに向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる質問ステップと、
前記質問ステップでの質問に対する前記上位システムからの応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する判定ステップと、を含む、
制御方法。
【請求項12】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知ステップと、
前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、
前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる停止ステップと、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する決定ステップと、
前記第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体に向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる確認信号を送信する送信ステップと、
前記確認信号に対する応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する判定ステップと、を含む、
制御方法。
【請求項13】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知ステップと、
前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、
前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる停止ステップと、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する決定ステップと、を含み、
前記決定ステップは、
前記第2領域にて検知した前記物体が前記他の移動体ではない場合、前記移動体に前記物体を回避させることを決定し、
前記第2領域にて検知した前記物体が前記他の移動体である場合、前記移動体と前記他の移動体とのうち優先的に通行させる移動体を、あらかじめ規定されたルールに従って決定する、
制御方法。
【請求項14】
移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される検知領域における物体の有無を検知する検知ステップと、
前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、
前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる停止ステップと、
前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する決定ステップと、
前記第2領域にて前記物体を検知してから、前記移動体の行動を決定するまでの間、前記移動体を停止させる待機ステップと、を含む、
制御方法。
【請求項15】
1以上のプロセッサに、
請求項11~14のいずれか1項に記載の制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、移動体を制御する制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自律移動装置が開示されている。この自律移動装置は、距離センサと、赤外センサと、判断手段と、を備える。距離センサは、走行方向前方の障害物を検出する。赤外センサは、人から放射される赤外線を検出可能である。判断手段は、距離センサで障害物を検出した場合に、赤外センサにより、その障害物が人であるか否かを判断する。
【0003】
この自律移動装置は、障害物が人である場合は停止して一定時間待機する。そして、この自律移動装置は、一定時間待機後になお障害物が存在する場合には回避動作に移り、障害物が存在しなくなった場合には走行を再開する。
【0004】
特許文献1に記載の自律移動装置(移動体)は、障害物が他の自律移動装置である場合に、互いに回避動作に移ろうとすることで、デッドロックに陥ってしまう可能性がある、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示は、他の移動体を検知した場合にデッドロックに陥りにくい制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様に係る制御システムは、検知部と、制御部と、を備える。前記検知部は、検知領域における物体の有無を検知する。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する。前記制御部は、前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる。前記制御部は、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する。前記制御システムは、前記第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体及び前記他の移動体を管理する上位システムに向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる質問部を更に備える。前記制御部は、前記質問部からの質問に対する前記上位システムからの応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する。
本開示の一態様に係る制御システムは、検知部と、制御部と、を備える。前記検知部は、検知領域における物体の有無を検知する。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する。前記制御部は、前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる。前記制御部は、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する。前記制御システムは、前記第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体に向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる確認信号を送信する送信部を更に備える。前記制御部は、前記確認信号に対する応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定する。
本開示の一態様に係る制御システムは、検知部と、制御部と、を備える。前記検知部は、検知領域における物体の有無を検知する。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する。前記制御部は、前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる。前記制御部は、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する。前記制御部は、前記第2領域にて前記検知部が検知した前記物体が前記他の移動体ではない場合、前記移動体に前記物体を回避させる。前記制御部は、前記第2領域にて前記検知部が検知した前記物体が前記他の移動体である場合、前記移動体と前記他の移動体とのうち優先的に通行させる移動体を、あらかじめ規定されたルールに従って決定する。
本開示の一態様に係る制御システムは、検知部と、制御部と、を備える。前記検知部は、検知領域における物体の有無を検知する。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記移動体を制御する。前記制御部は、前記検知領域のうち第1領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記移動体を停止させる。前記制御部は、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記検知部が前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定する。前記制御部は、前記第2領域にて前記検知部が前記物体を検知してから、前記移動体の行動を決定するまでの間、前記移動体を停止させる。
【0008】
本開示の一態様に係る制御方法は、検知ステップと、制御ステップと、を有する。前記検知ステップは、検知領域における物体の有無を検知するステップである。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御ステップは、前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御するステップである。前記制御ステップは、停止ステップと、決定ステップと、質問ステップと、判定ステップと、を含む。前記停止ステップは、前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させるステップである。前記決定ステップは、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定するステップである。前記質問ステップは、前記第2領域にて前記物体を検知すると、前記移動体及び前記他の移動体を管理する上位システムに向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせるステップである。前記判定ステップは、前記質問ステップでの質問に対する前記上位システムからの応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定するステップである。
本開示の一態様に係る制御方法は、検知ステップと、制御ステップと、を有する。前記検知ステップは、検知領域における物体の有無を検知するステップである。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御ステップは、前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御するステップである。前記制御ステップは、停止ステップと、決定ステップと、送信ステップと、判定ステップと、を含む。前記停止ステップは、前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させるステップである。前記決定ステップは、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定するステップである。前記送信ステップは、前記第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体に向けて前記物体が前記他の移動体であるか否かを問い合わせる確認信号を送信するステップである。前記判定ステップは、前記確認信号に対する応答に応じて、前記物体が前記他の移動体であるか否かを判定するステップである。
本開示の一態様に係る制御方法は、検知ステップと、制御ステップと、を有する。前記検知ステップは、検知領域における物体の有無を検知するステップである。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御ステップは、前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御するステップである。前記制御ステップは、停止ステップと、決定ステップと、を含む。前記停止ステップは、前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させるステップである。前記決定ステップは、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定するステップである。前記決定ステップは、前記第2領域にて検知した前記物体が前記他の移動体ではない場合、前記移動体に前記物体を回避させることを決定する。前記決定ステップは、前記第2領域にて検知した前記物体が前記他の移動体である場合、前記移動体と前記他の移動体とのうち優先的に通行させる移動体を、あらかじめ規定されたルールに従って決定する。
本開示の一態様に係る制御方法は、検知ステップと、制御ステップと、を有する。前記検知ステップは、検知領域における物体の有無を検知するステップである。前記検知領域は、移動体の周辺に前記移動体の移動に従って動的に設定される。前記制御ステップは、前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記移動体を制御するステップである。前記制御ステップは、停止ステップと、決定ステップと、待機ステップと、を含む。前記停止ステップは、前記検知領域のうち第1領域にて前記物体を検知すると、前記移動体を停止させるステップである。前記決定ステップは、前記検知領域のうち前記第1領域の外側にある第2領域にて前記物体を検知すると、前記物体が他の移動体であるか否かに応じて、前記移動体の行動を決定するステップである。前記待機ステップは、前記第2領域にて前記物体を検知してから、前記移動体の行動を決定するまでの間、前記移動体を停止させるステップである。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る制御システムが対象とする移動体の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、同上の制御システムの概要を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の制御システムの第1動作例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、同上の制御システムの第1動作例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、第1比較例の制御システムにおいて、移動体及び他の移動体が一列に並ぶ場合の動作の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係る制御システムの第2動作例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、同上の制御システムの第2動作例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第2比較例の制御システムにおいて、移動体の進行方向と他の移動体の進行方向とが交差する場合の動作の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、同上の制御システムにおいて、移動体の進行方向と他の移動体の進行方向とが交差する場合の動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)概要
本実施形態に係る制御システム100は、所定エリアA1(
図1参照)内を移動する移動体10を制御するためのシステムである。特に、本実施形態では、制御システム100は、移動経路に沿って移動する移動体10の周辺に物体20(
図4参照)が存在する場合において、物体20に応じて移動体10を制御するためのシステムである。物体20は、一例として、複数の移動体10のうちの1つの移動体10を制御システム100が制御する場合における他の移動体10A(
図4参照)を含み得る。また、物体20は、移動経路上の人又は障害物等を含み得る。なお、以下の説明において、「他の移動体」には、移動体10と区別して説明するために「10A」の符号を付しているが、移動体10と同じ構成である。
【0012】
本開示でいう「移動体」は、物体(荷物等)を搬送する搬送装置、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、移動ロボット、自律航行船及びドローン等を含む。本開示でいう「移動ロボット」は、例えば、車輪型、クローラ型又は脚型(歩行型を含む)のロボットである。移動体10は、所定エリアA1内を移動するだけでなく、例えば、搬送、ピッキング、溶接、実装、陳列、接客、警備、組立及び検査等の様々な作業を実行する機能を有していてもよい。「所定エリア」は、1台以上の移動体10が移動する範囲であって、一例として、工場、倉庫、建設現場、店舗、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港又は駐車場等である。さらに、例えば、船舶、電車又は飛行機の内部等、乗り物の内部に移動体10が配備されている場合には、乗り物の内部が所定エリアA1になる。
【0013】
制御システム100は、
図2に示すように、検知部101と、制御部102と、を備えている。
【0014】
検知部101は、検知領域S1における物体20の有無を検知する。検知領域S1は、
図1に示すように、移動体10の周辺に移動体10の移動に従って動的に設定される。例えば、ある第1地点に移動体10が停止している場合、検知領域S1は、第1地点に停止している移動体10の周辺に設定されることになる。そして、移動体10が第1地点から第2地点まで移動した場合、検知領域S1は、移動体10の移動に伴って移動し、最終的に第2地点に停止している移動体10の周辺に設定されることになる。
【0015】
制御部102は、検知部101の検知結果に基づいて、移動体10を制御する。本実施形態では、検知領域S1は、少なくとも第1領域S11及び第2領域S12を含む複数の領域に区分けされている。そして、制御部102は、検知部101の検知結果、つまり物体20が検知領域S1における複数の領域のいずれに存在するかに基づいて、移動体10を制御する。
【0016】
具体的には、制御部102は、検知領域S1のうち第1領域S11にて物体20を検知すると、移動体10を停止させる。ここでいう「停止」は、一時的な停止の他に、完全停止、つまり人の手により移動体10を直接操作しない限り起動しない状態を含み得る。本実施形態では、機能安全を確保するという観点から、制御部102は、第1領域S11にて物体20を検知した場合に、移動体10を完全停止させる。
【0017】
また、制御部102は、検知領域S1のうち第1領域S11の外側にある第2領域S12にて物体20を検知すると、物体20が他の移動体10Aであるか否かに応じて、移動体10の行動を決定する。例えば、制御部102は、物体20が人又は障害物等、他の移動体10A以外である場合、物体20を回避するように移動体10の行動を決定する。また、例えば、制御部102は、物体20が他の移動体10Aである場合、他の移動体10Aが第2領域S12から離れるまで待機するように移動体10の行動を決定する。
【0018】
上述のように、本実施形態では、物体20として他の移動体10Aを検知した場合に、他の移動体10Aに適した移動体10の行動を決定することが可能である。このため、本実施形態では、移動体10及び他の移動体10Aの各々が互いに回避行動を行おうとしたり、互いに通過するまで待機しようとしたりする可能性が低くなるので、他の移動体10Aを検知した場合にデッドロックに陥りにくい、という利点がある。ここでいう「デッドロック」は、複数台の移動体10が相対し、互いに相手の移動体10を検知することで、互いに回避行動を行おうとしたり、互いに通過するまで待機したりしようとすることで停止し続ける状態をいう。
【0019】
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る制御システム100について
図1及び
図2を参照して説明する。本実施形態では、制御システム100は、移動体10に内蔵されており、上位システム2と互いに通信可能に構成されている。本開示における「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器3等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。本実施形態では、上位システム2と複数台の移動体10の各々とは、互いに双方向に通信可能であって、上位システム2から移動体10への情報の送信、及び移動体10から上位システム2への情報の送信の両方が可能である。
【0020】
上位システム2は、複数台の移動体10を統括的に制御するためのシステムであって、例えばサーバ装置で実現されている。言い換えれば、上位システム2は、移動体10及び他の移動体10A(つまり、複数台の移動体10)を管理する。上位システム2は、複数台の移動体10の各々に対して指示を出すことで、複数台の移動体10を間接的に制御する。
【0021】
本実施形態では、上位システム2は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、上位システム2の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0022】
(2.2)移動体
次に、本実施形態の移動体10の構成について、より詳細に説明する。移動体10は、
図1に示すように、所定エリアA1内で搬送対象物4(ここでは、パレット)を運搬するための無人搬送車であり、搬送対象物4を積載して目的地まで自律走行する。本実施形態では、上位システム2が、ネットワークNT1及び中継器3を介して移動体10と通信し、移動体10の移動を間接的に制御する。
【0023】
移動体10は、例えば、所定エリアA1の床面等からなる平坦な移動面A10を自律走行する。ここでは一例として、移動体10は、蓄電池を備え、蓄電池に蓄積された電気エネルギを用いて動作することとする。本実施形態では、移動体10は、搬送対象物4を積載した状態で移動面A10上を走行する。これにより、移動体10は、例えば、所定エリアA1における、ある場所に置かれている搬送対象物4を、所定エリアA1における別の場所に搬送することが可能である。
【0024】
移動体10は、本体部11を備えている。本体部11は、直方体状に形成されている。本実施形態では、本体部11の下部から、2本のフォーク12が後方に向かって突出しており、2本のフォーク12で搬送対象物4をすくい上げることで、フォーク12の上に搬送対象物4を積載する。また、移動体10は、2本のフォーク12の前側を持ち上げながら、前進することで、フォーク12から搬送対象物4を降ろすことができる。
【0025】
移動体10は、本体部11及び2本のフォーク12の下部に複数(例えば4つ)の車輪を有している。4つの車輪のうち、少なくとも本体部11の下部に設けられた2つの車輪は駆動輪であり、これら駆動輪が個別に駆動されることにより、移動体10が移動面A10に沿って所望の方向に移動可能となる。ここで、複数の車輪のうちの駆動輪は、例えば、オムニホイール等の全方向移動型車輪であってもよい。
【0026】
(2.3)制御システム
次に、本実施形態の制御システム100の構成について、より詳細に説明する。制御システム100は、
図2に示すように、検知部101と、制御部102と、通信部103と、記憶部104と、走行装置105と、を備えている。
【0027】
検知部101は、本体部11の挙動、及び本体部11の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、本体部11の挙動は、本体部11が走行中/停止中を表す本体部11の動作状態、本体部11の速度(及び速度変化)、本体部11に作用する加速度、及び本体部11の姿勢等を含む。具体的には、検知部101は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部11の挙動を検知する。また、検知部101は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部11の周辺状況を検知する。
【0028】
また、検知部101は、本体部11の位置、つまり移動体10の現在位置を特定する位置特定部を有している。位置特定部は、一例として、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含む。複数の発信器は、移動体10が移動する範囲内の複数箇所に配置されている。位置特定部は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、本体部11の位置を測定する。位置特定部は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて実現されてもよい。
【0029】
本実施形態では、検知部101は、検知領域S1における物体20の有無を検知する。検知領域S1は、既に述べたように、移動体10の周辺に移動体10の移動に従って動的に設定される。本実施形態では、検知領域S1は、
図1に示すように、第1領域S11と、第2領域S12と、第3領域S13と、に区分けされている。
【0030】
第1領域S11は、3つの領域S11~S13のうち、最も移動体10に近い領域である。第1領域S11は、移動体10の移動する移動面A10において、移動体10の全周を覆うように設定されている。一例として、第1領域S11は、平面視で(つまり、移動面A10と直交する方向から見て)、移動体10の外周縁から30cm離れた位置で移動体10を囲む領域である。
【0031】
第2領域S12は、第1領域S11と第3領域S13との間にある領域である。言い換えれば、第2領域S12は、検知領域S1のうち第1領域S11の外側にある領域である。本実施形態では、第2領域S12は、移動体10の移動する移動面A10において、少なくとも移動体10の進行方向D1に設定されている。一例として、第2領域S12は、平面視で、移動体10の進行方向D1に沿って移動体10の外周縁から1m離れた位置まで、第1領域S11から延びた領域である。つまり、ここでは、第2領域S12は、第1領域S11とは異なり、移動体10の前方のみに設定されており、移動体10の側方及び後方には設定されていない。
【0032】
第3領域S13は、3つの領域S11~S13のうち、最も移動体10から離れた領域である。言い換えれば、第3領域S13は、検知領域S1のうち第2領域S12の外側であって移動体10の進行方向D1にある領域である。一例として、第3領域S13は、平面視で、移動体10の進行方向D1に沿って移動体10の外周縁から5m離れた位置まで、第2領域S12から延びた領域である。つまり、ここでは、第3領域S13は、第1領域S11とは異なり、移動体10の前方のみに設定されており、移動体10の側方及び後方には設定されていない。
【0033】
なお、本実施形態においては、検知領域S1は、第1領域S11、第2領域S12、及び第3領域S13の順に移動体10から離れた位置に設定されていればよく、各領域S11~S13は、上記の数値により規定された範囲には限定されない。
【0034】
制御部102は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部102の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0035】
制御部102は、検知部101の検知結果に基づいて、移動体10を制御する。本実施形態では、制御部102は、第1領域S11で物体20が検知された場合と、第2領域S12で物体20が検知された場合と、第3領域S13で物体20が検知された場合とで、互いに異なる態様で移動体10を制御する。
【0036】
制御部102は、検知領域S1のうち第1領域S11にて物体20を検知すると、移動体10を停止させるように走行装置105に制御命令を与える。すなわち、3つの領域S11~S13のうち、第1領域S11は移動体10に最も近い領域である。このため、第1領域S11にて物体20が検知された場合、移動体10の移動を継続すると物体20と接触する可能性があるので、制御部102は、移動体10を停止させる。ここでは、既に述べたように、制御部102は、第1領域S11にて物体20を検知した場合、移動体10を完全停止させる。したがって、移動体10が完全停止した以降において、移動体10を使用する場合は、例えば作業員等のユーザの手により移動体10を直接操作し、移動体10を再起動させればよい。
【0037】
制御部102は、検知領域S1のうち第2領域S12にて物体20を検知すると、物体20が他の移動体10Aであるか否かに応じて、移動体10の行動を決定する。本実施形態では、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知すると、まず移動体10を一時的に停止させるように走行装置105に制御命令を与える。言い換えれば、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知してから、移動体10の行動を決定するまでの間、移動体10を停止させる。
【0038】
次に、制御部102は、質問部(通信部103)を用いて上位システム2と通信することにより、検知した物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定する処理を実行する。質問部は、上位システム2に向けて物体20が他の移動体10Aであるか否かを問い合わせる。一例として、質問部は、第2領域S12にて検知された物体20の座標を含む質問信号を、中継器3及びネットワークNT1を介して、上位システム2へ送信する。
【0039】
上位システム2は、質問信号を受信すると、受信した質問信号に含まれる物体20の座標に、上位システム2が管理する移動体10が存在するか否かを確認する。そして、上位システム2は、確認結果を含む応答信号を、ネットワークNT1及び中継器3を介して、移動体10へ送信する。
【0040】
そして、制御部102は、通信部103で受信した応答信号に含まれる確認結果に基づいて、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定する。言い換えれば、制御部102は、質問部からの質問に対する上位システム2からの応答に応じて、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定する。つまり、物体20の座標に移動体10が存在するという確認結果であれば、制御部102は、物体20が他の移動体10Aである、と判定する。一方、物体20の座標に移動体10が存在しないという確認結果であれば、制御部102は、物体20が他の移動体10Aではない、と判定する。
【0041】
次に、制御部102は、物体20が他の移動体10Aであるか否かに応じて、移動体10の行動を決定する。まず、物体20が他の移動体10Aである場合の制御例について説明する。一例として、制御部102は、移動体10から離れた位置へと他の移動体10Aが移動するまでの間、移動体10の停止状態を継続させるように走行装置105に制御命令を与える。言い換えれば、制御部102は、第2領域S12にて検知された物体20が他の移動体10Aである場合、他の移動体10Aが第2領域S12にて検知されなくなるまで、移動体10を待機させる。
【0042】
また、一例として、制御部102は、あらかじめ規定されたルールに従って、移動体10又は他の移動体10Aを優先的に行動させるように走行装置105に制御命令を与える。本実施形態では、上記ルールは、例えば他の移動体10Aの進行方向D2(
図8参照)に基づいて定められる。具体的には、移動体10の右方から左方に向かって他の移動体10Aが移動している場合、制御部102は、他の移動体10Aが移動体10の前方を通過するまで、移動体10の停止状態を継続させるように走行装置105に制御命令を与える。一方、移動体10の左方から右方に向かって他の移動体10Aが移動している場合、制御部102は、移動体10の移動を再開させて前進させるように走行装置105に制御命令を与える。つまり、制御部102は、第2領域S12にて検知された物体20が他の移動体10Aである場合、他の移動体10Aの進行方向D2に応じて、移動体10の行動を決定する。
【0043】
次に、物体20が他の移動体10Aではない場合の制御例について説明する。一例として、制御部102は、例えば人又は障害物等、物体20が他の移動体10Aではない場合、移動体10が物体20を迂回する経路を辿るように走行装置105に制御命令を与える。つまり、物体20が他の移動体10Aではない場合、制御部102は、物体20を回避するように移動体10を移動させる。
【0044】
制御部102は、検知領域S1のうち第3領域S13にて物体20を検知すると、移動体10を減速させるように走行装置105に制御命令を与える。言い換えれば、制御部102は、第3領域S13にて物体20を検知すると、移動体10を減速させる。すなわち、3つの領域S11~S13のうち、第3領域S13は移動体10に最も遠い領域であるが、物体20が移動体10の近傍に存在するという点では、他の領域S11,S12と変わりはない。このため、第3領域S13にて物体20が検知された場合、制御部102は、移動体10を減速させることで、移動体10が物体20に接触する可能性を更に低減している。
【0045】
通信部103は、上位システム2と通信可能に構成されている。本実施形態では、通信部103は、所定エリアA1に配置される複数の中継器3のいずれかと、電波を媒体とする無線通信によって通信を行う。そのため、通信部103と上位システム2とは、少なくともネットワークNT1及び中継器3を介して、間接的に通信を行うことになる。なお、
図2では、複数の中継器3のうちの1つの中継器3のみを図示している。
【0046】
つまり、各中継器3は、通信部103と上位システム2との間の通信を中継する機器(アクセスポイント)である。中継器3は、ネットワークNT1を介して、上位システム2と通信する。本実施形態では一例として、中継器3と通信部103との間の通信には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。また、ネットワークNT1は、インターネットに限らず、例えば、所定エリアA1内又は所定エリアA1の運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよい。
【0047】
記憶部104は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。記憶部104は、例えば、所定エリアA1のマップに関する地図情報、及び上位システム2から与えられた指令情報等を記憶する。
【0048】
走行装置105は、制御部102からの制御命令を受けて、本体部11に備えられた複数の駆動輪を駆動することで、移動体10を所望の方向に走行させる。
【0049】
(3)動作
以下、本実施形態の制御システム100の動作の一例について
図3を参照して説明する。
図3に示す動作例では、制御部102は、物体20が他の移動体10Aである場合の移動体10の行動として、他の移動体10Aが第2領域S12にて検知されなくなるまで移動体10を待機させる行動を決定する、と仮定する。
【0050】
まず、制御システム100の検知部101は、検知領域S1に物体20が存在するか否かをリアルタイムに検知する。そして、検知領域S1のうち第3領域S13にて物体20が検知されると(S1:Yes)、制御部102は、移動体10を減速させる(S2)。その後、検知領域S1のうち第2領域S12にて物体20が検知されると(S3:Yes)、制御部102は、移動体10を一時的に停止させる(S4)。そして、制御部102は、質問部(通信部103)から上位システム2に向けて質問信号を送信することにより、物体20が他の移動体10Aであるか否かを上位システム2に問い合わせる(S5)。
【0051】
その後、通信部103にて上位システム2からの応答信号を受信すると、制御部102は、応答信号に含まれる確認結果に基づいて、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定する。物体20が他の移動体10Aではない場合(S6:No)、制御部102は、物体20を回避するように移動体10を移動させる(S7)。一方、物体20が他の移動体10Aである場合(S6:Yes)、制御部102は、他の移動体10Aが第2領域S12にて検知されなくなるまで、移動体10を待機させる(S8)。そして、他の移動体10Aが移動することで、他の移動体10Aが第2領域S12から離れると(S9:Yes)、第2領域S12にて他の移動体10Aが検知されなくなる。したがって、制御部102は、移動体10の移動を再開させる(S10)。
【0052】
なお、図示していないが、移動体10が一時的に停止している間に、例えば物体20が第1領域S11に進入することで第1領域S11にて物体20が検知された場合、制御部102は、移動体10を完全停止させる。
【0053】
以下、本実施形態の制御システム100の具体的な動作例として、第1動作例及び第2動作例を
図4~
図10を参照して説明する。なお、第1動作例での移動体10の検知領域S1と、第2動作例での移動体10の検知領域S1とは互いに異なっているが、同じであってもよい。例えば、第1動作例において、移動体10の検知領域S1は、第2動作例における移動体10の検知領域S1と同じであってもよい。また、
図4~
図10では、移動体10及び他の移動体10Aの各々の検知領域S1の全てを図示しておらず、適宜省略している。例えば、
図4では、移動体10の検知領域S1のうち第3領域S13の図示を省略し、かつ、他の移動体10Aの検知領域S1の図示を省略している。
【0054】
(3.1)第1動作例
第1動作例では、
図4に示すように、物体20に相当する他の移動体10Aが停止しており、かつ、移動体10が他の移動体10Aと一列に並ぶ移動経路に沿って、他の移動体10Aに向かって移動している場合を想定している。また、第1動作例では、制御部102は、物体20が他の移動体10Aである場合の移動体10の行動として、他の移動体10Aが第2領域S12にて検知されなくなるまで移動体10を待機させる行動を決定する、と仮定する。
【0055】
移動体10が他の移動体10Aに接近すると、移動体10の検知領域S1のうち第2領域S12にて物体20(他の移動体10A)が検知される。すると、移動体10の制御部102は、移動体10を一時的に停止させ、物体20が他の移動体10Aであるか否かを上位システム2に問い合わせる。そして、移動体10の制御部102は、上位システム2からの応答信号に含まれる確認結果に基づいて、物体20が他の移動体10Aであると判定するので、他の移動体10Aが第2領域S12にて検知されなくなるまで、待機する。
【0056】
その後、
図5に示すように、他の移動体10Aが移動を再開し、進行方向D2に沿って移動する。すると、他の移動体10Aが、移動体10の第2領域S12にて検知されなくなるので、移動体10の制御部102は、移動体10の移動を再開させ、移動体10を進行方向D1に沿って移動させる。
【0057】
ここで、本実施形態の制御システム100の利点について、第1比較例の制御システムとの比較を交えて説明する。第1比較例の制御システムは、
図6に示すように、検知領域S100として第1領域S11に相当する領域のみが設定されている点で、本実施形態の制御システム100と相違する。
図6では、
図4と同様に、物体20に相当する他の移動体10Aが停止しており、かつ、移動体10が他の移動体10Aと一列に並ぶ移動経路に沿って、他の移動体10Aに向かって移動している場合を想定している。
【0058】
移動体10が他の移動体10Aに接近すると、移動体10の検知領域S100にて物体20(他の移動体10A)が検知される。すると、移動体10の制御部102は、第1領域S11に相当する検知領域S100にて他の移動体10Aが検知されているので、移動体10を完全停止させることになる。また、他の移動体10Aにおいても、検知領域S100にて移動体10が検知される。すると、他の移動体10Aの制御部102は、第1領域S11に相当する検知領域S100にて移動体10が検知されているので、他の移動体10Aを完全停止させることになる。このように、第1比較例の制御システムでは、移動体10及び他の移動体10Aがいずれも完全停止してしまい、デッドロックに陥ってしまう。
【0059】
これに対して、本実施形態の制御システム100では、物体20として他の移動体10Aを検知した場合に、他の移動体10Aに適した移動体10の行動を決定することが可能である。ここでは、移動体10の制御部102は、他の移動体10Aが移動を再開するまで移動体10を待機させるので、移動体10が完全停止することはない。また、
図4では図示を省略しているが、他の移動体10Aの第1領域S11にて移動体10が検知されることがないので、他の移動体10Aが完全停止することはない。このため、本実施形態では、他の移動体10Aを検知した場合にデッドロックに陥りにくい、という利点がある。
【0060】
(3.2)第2動作例
第2動作例では、
図7に示すように、移動体10の進行方向D1と、物体20に相当する他の移動体10Aの進行方向D2とが互いに交差する(ここでは、直交する)ように、移動体10及び他の移動体10Aがそれぞれ移動している場合を想定している。また、第2動作例では、制御部102は、物体20が他の移動体10Aである場合の移動体10の行動として、他の移動体10Aの進行方向D2に応じた行動を決定する、と仮定する。
【0061】
さらに、第2動作例では、検知領域S1は、第1動作例での検知領域S1とは異なる範囲に設定されている。具体的には、第2動作例では、検知領域S1のうち第2領域S12及び第3領域S13は、第1領域S11と同様に、移動体10の移動する移動面A10において、移動体10の全周を覆うように設定されている。
【0062】
移動体10及び他の移動体10Aが互いに接近すると、移動体10の検知領域S1のうち第2領域S12にて物体20(他の移動体10A)が検知される。すると、移動体10の制御部102は、移動体10を一時的に停止させ、物体20が他の移動体10Aであるか否かを上位システム2に問い合わせる。そして、移動体10の制御部102は、上位システム2からの応答信号に含まれる確認結果に基づいて、物体20が他の移動体10Aであると判定する。
【0063】
同様に、他の移動体10Aの検知領域S1のうち第2領域S12にて物体(移動体10)が検知されると、他の移動体10Aの制御部102は、他の移動体10Aを一時的に停止させ、上位システム2に問い合わせる。そして、他の移動体10Aの制御部102は、上位システム2からの応答信号に含まれる確認結果に基づいて、物体が移動体10であると判定する。
【0064】
次に、移動体10の制御部102は、他の移動体10Aの進行方向D2に応じて、移動体10の行動を決定する。ここでは、移動体10の右方から左方に向かって他の移動体10Aが移動しているので、制御部102は、他の移動体10Aが移動体10の前方を通過するまで、移動体10を待機させる。同様に、他の移動体10Aの制御部102は、移動体10の進行方向D1に応じて、他の移動体10Aの行動を決定する。ここでは、他の移動体10Aの左方から右方に向かって移動体10が移動しているので、制御部102は、他の移動体10Aの移動を再開させて前進させる。
【0065】
その後、
図8に示すように、他の移動体10Aが進行方向D2に沿って移動することで、他の移動体10Aが移動体10の第2領域S12にて検知されなくなる。したがって、移動体10の制御部102は、移動体10の移動を再開させ、移動体10を進行方向D1に沿って移動させる。
【0066】
ここで、第2動作例での制御システム100の利点について、第2比較例の制御システムとの比較を交えて説明する。第2比較例の制御システムは、
図9に示すように、検知領域S1が第1動作例での制御システム100の検知領域S1と同じである点で、第2動作例での制御システム100と相違する。つまり、第2比較例の制御システムでは、検知領域S1のうち第2領域S12は、移動体10の移動する移動面A10において、移動体10の全周を覆うように設定されていない。
【0067】
第2比較例の制御システムでは、
図9に示すように、移動体10及び他の移動体10Aが互いに接近しても、移動体10の第2領域S12にて他の移動体10Aが検知されず、かつ、他の移動体10Aの第2領域S12にて移動体10が検知されない。このため、移動体10及び他の移動体10Aは、それぞれ進行方向D10,D20に沿って更に前進しようとする。
【0068】
すると、
図10に示すように、移動体10及び他の移動体10Aが互いに更に接近することとなり、移動体10の第1領域S11にて他の移動体10Aが検知される。すると、移動体10の制御部102は、移動体10を完全停止させることになる。また、他の移動体10Aにおいても、第1領域S11にて移動体10が検知されるので、他の移動体10Aの制御部102は、他の移動体10Aを完全停止させることになる。このように、第2比較例の制御システムでは、移動体10及び他の移動体10Aがいずれも完全停止してしまい、デッドロックに陥ってしまう。
【0069】
これに対して、第2動作例での制御システム100では、第2領域S12が移動体10(又は他の移動体10A)の前方のみならず、側方及び後方にも設定されている。このため、第2動作例では、移動体10(又は他の移動体10A)が第1領域S11にて検知される前に第2領域S12にて検知される可能性を高くすることができる。したがって、第2動作例では、移動体10の進行方向D1と、他の移動体10Aの進行方向D2とが交差する場合においても、デッドロックに陥りにくい、という利点がある。
【0070】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る制御システム100と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0071】
一態様に係る制御方法は、検知ステップと、制御ステップと、を有する。検知ステップは、検知領域S1における物体20の有無を検知するステップである。検知領域S1は、移動体10の周辺に移動体10の移動に従って動的に設定される。制御ステップは、検知部ステップの検知結果に基づいて、移動体10を制御するステップである。制御ステップは、停止ステップと、決定ステップと、を含む。停止ステップは、検知領域S1のうち第1領域S11にて物体20を検知すると、移動体10を停止させるステップである。決定ステップは、検知領域S1のうち第1領域S11の外側にある第2領域S12にて物体20を検知すると、物体20が他の移動体10Aであるか否かに応じて、移動体10の行動を決定するステップである。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法を実行させる。
【0072】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0073】
(4.1)第1変形例
第1変形例の制御システム100では、通信部103が、質問部としての機能を有する代わりに、取得部としての機能を有する点で、上述の実施形態の制御システム100と相違する。取得部(通信部103)は、上位システム2から物体20に関する事前情報を取得する。
【0074】
一例として、取得部は、第2領域S12にて物体20を検知したか否かに依らず、リアルタイムに上位システム2と通信することにより、所定エリアA1内にある1以上の物体20に関する事前情報を取得する。1以上の物体20に関する事前情報は、少なくとも上位システム2にて管理している移動体10に関する情報を含む。取得部で取得された事前情報は、記憶部104に記憶され、取得部で事前情報を取得するごとに更新される。そして、第2領域S12にて物体20が検知されると、制御部102は、取得部で取得した事前情報に応じて、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定する。
【0075】
つまり、本変形例では、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知する前に、あらかじめ物体20に関する事前情報を取得している。このため、本変形例では、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知した時点で上位システム2に別途問い合わせることなく、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定することが可能である。
【0076】
(4.2)第2変形例
第2変形例の制御システム100では、通信部103が、質問部としての機能を有する代わりに、送信部としての機能を有する点で、上述の実施形態の制御システム100と相違する。送信部(通信部103)は、物体20に向けて物体20が他の移動体10Aであるか否かを問い合わせる確認信号を送信する。
【0077】
一例として、制御部102は、第2領域S12にて物体20が検知されると、送信部から確認信号がブロードキャストされる。確認信号の強度は、検知領域S1の外側にある物体20にて確認信号が受信されない程度であるのが好ましい。確認信号には、確認信号を受信した対象に応答を要求する指令が含まれている。
【0078】
物体20が他の移動体10Aでなければ、物体20から確認信号に対する応答信号が送信されることはない。このため、制御部102は、例えば確認信号を送信してから所定時間を経過しても応答信号を受信しなければ、物体20が他の移動体10Aではない、と判定する。一方、物体20が他の移動体10Aであれば、他の移動体10Aは、確認信号を受信すると、移動体10に向けて応答信号を送信することになる。このため、制御部102は、例えば上記所定時間内に応答信号を受信すれば、物体20が他の移動体10Aである、と判定する。
【0079】
つまり、本変形例では、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知すると、上位システム2に問い合わせることなく、物体20に対して直接、物体20が他の移動体10Aであるか否かを問い合わせる。このため、本変形例では、制御部102は、上位システム2に別途問い合わせることなく、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定することが可能である。
【0080】
(4.3)その他の変形例
本開示における制御システム100は、例えば、制御部102等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0081】
また、制御システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム100に必須の構成ではなく、制御システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、制御システム100の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知してから、移動体10の行動を決定するまでの間、移動体10を停止させているが、これに限らない。例えば、制御部102は、第2領域S12にて物体20を検知してから、移動体10の行動を決定するまでの間、移動体10を停止させなくてもよい。この態様は、例えば他の移動体10Aが第1領域S11に達するまでに物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定できる程度に制御部102の処理能力に余裕があれば、実現し得る。
【0083】
上述の実施形態では、検知部101の検知領域S1として、第1領域S11、第2領域S12、及び第3領域S13が設定されているが、これに限らない。例えば、検知領域S1としては、第1領域S11と、第2領域S12と、のみが設定されていてもよい。
【0084】
上述の実施形態において、例えば検知領域S1のうち第2領域S12のみが移動面A10において移動体10の全周を覆うように設定されていてもよい。また、例えば第1領域S11、第2領域S12、及び第3領域S13は、いずれも移動面A10において、移動体10の進行方向D1のみに設定されていてもよい。さらに、例えば第2領域S12は、移動面A10において、移動体10の進行方向D1に設定されていなくてもよい。
【0085】
上述の実施形態において、制御部102が上位システム2へ問い合わせるタイミングは、第2領域S12にて物体20が検知された時点に限らない。例えば、制御部102は、第3領域S13にて物体20が検知された時点で、上位システム2へ問い合わせてもよい。
【0086】
上述の実施形態において、検知領域S1の領域S11~S13の形状は、平面視で矩形状であるが、これに限らない。例えば、領域S11~S13の形状は、平面視で移動体10を中心とする同心円状であってもよい。この場合、領域S11~S13の形状が平面視で矩形状である場合と比較して、制御部102での処理負荷が小さくて済む、という利点がある。
【0087】
上述の実施形態において、制御部102は、物体20が他の移動体10Aであるか否かを判定するだけでなく、物体20が人であるか否かを更に判定してもよい。一例として、制御部102は、移動体10に搭載されているイメージセンサの撮像結果に基づいて、適宜の画像処理により、物体20が人であるか否かを判定してもよい。
【0088】
上述の実施形態では、移動体10は、ネットワークNT1及び各中継器3を介して上位システム2と通信しているが、これに限らない。例えば、移動体10は、中継器3を介さずに、ネットワークNT1を介して上位システム2と通信する態様であってもよい。この場合、所定エリアA1に中継器3を配置する必要はない。
【0089】
上述の実施形態において、移動体10は、搬送機能を有していなくてもよい。また、上述の実施形態において、複数台の移動体10が存在する場合、複数台の移動体10が全て同じ機能を有している必要はなく、互いに異なる機能を有していてもよい。
【0090】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る制御システム(100)は、検知部(101)と、制御部(102)と、を備える。検知部(101)は、検知領域(S1)における物体(20)の有無を検知する。検知領域(S1)は、移動体(10)の周辺に移動体(10)の移動に従って動的に設定される。制御部(102)は、検知部(101)の検知結果に基づいて、移動体(10)を制御する。制御部(102)は、検知領域(S1)のうち第1領域(S11)にて物体(20)を検知すると、移動体(10)を停止させる。制御部(102)は、検知領域(S1)のうち第1領域(S11)の外側にある第2領域(S12)にて物体(20)を検知すると、物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かに応じて、移動体(10)の行動を決定する。
【0091】
この態様によれば、他の移動体(10A)を検知した場合にデッドロックに陥りにくい、という利点がある。
【0092】
第2の態様に係る制御システム(100)は、第1の態様において、質問部(通信部(103))を更に備える。質問部は、移動体(10)及び他の移動体(10A)を管理する上位システム(2)に向けて物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを問い合わせる。制御部(102)は、質問部からの質問に対する上位システム(2)からの応答に応じて、物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを判定する。
【0093】
この態様によれば、他の移動体(10A)を管理している上位システム(2)からの情報を参照できるので、検知した物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを判定しやすい、という利点がある。
【0094】
第3の態様に係る制御システム(100)は、第1の態様において、取得部(通信部(103))を更に備える。取得部は、移動体(10)及び他の移動体(10A)を管理する上位システム(2)から物体(20)に関する事前情報を取得する。制御部(102)は、取得部で取得した事前情報に応じて、物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを判定する。
【0095】
この態様によれば、他の移動体(10A)を管理している上位システム(2)からの情報を参照できるので、検知した物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを判定しやすい、という利点がある。
【0096】
第4の態様に係る制御システム(100)は、第1の態様において、送信部(通信部(103))を更に備える。送信部は、物体(20)に向けて物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを問い合わせる確認信号を送信する。制御部(102)は、確認信号に対する応答に応じて、物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを判定する。
【0097】
この態様によれば、上位システム(2)を介することなく、物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かを判定することができる、という利点がある。
【0098】
第5の態様に係る制御システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、制御部(102)は、第2領域(S12)にて物体(20)を検知してから、移動体(10)の行動を決定するまでの間、移動体(10)を停止させる。
【0099】
この態様によれば、移動体(10)の行動を決定するまでに物体(20)が第1領域(S11)に進入して移動体(10)が停止してしまう状況を回避しやすい、という利点がある。
【0100】
第6の態様に係る制御システム(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、制御部(102)は、第3領域(S13)にて物体(20)を検知すると、移動体(10)を減速させる。第3領域(S13)は、検知領域(S1)のうち第2領域(S12)の外側であって移動体(10)の進行方向(D1)にある領域である。
【0101】
この態様によれば、移動体(10)が物体(20)に接触する可能性を低減することができる、という利点がある。
【0102】
第7の態様に係る制御システム(100)では、第1~第6のいずれかの態様において、第2領域(S12)は、移動体(10)の移動する移動面(A10)において、少なくとも移動体(10)の進行方向(D1)に設定される。
【0103】
この態様によれば、移動体(10)が物体(20)に接触する可能性を低減することができる、という利点がある。
【0104】
第8の態様に係る制御システム(100)では、第1~第7のいずれかの態様において、第2領域(S12)は、移動体(10)の移動する移動面(A10)において移動体(10)の全周を覆うように設定される。
【0105】
この態様によれば、移動体(10)の進行方向(D1)と、他の移動体(10A)の進行方向(D2)とが交差する場合においても、デッドロックに陥りにくい、という利点がある。
【0106】
第9の態様に係る制御システム(100)では、第1~第8のいずれかの態様において、制御部(102)は、第2領域(S12)にて検知された物体(20)が他の移動体(10A)である場合、他の移動体(10A)が第2領域(S12)にて検知されなくなるまで、移動体(10)を待機させる。
【0107】
この態様によれば、移動体(10)が他の移動体(10A)に接近してデッドロックに陥る可能性を低減することができる、という利点がある。
【0108】
第10の態様に係る制御システム(100)では、第1~第9のいずれかの態様において、制御部(102)は、第2領域(S12)にて検知された物体(20)が他の移動体(10A)である場合、他の移動体(10A)の進行方向(D2)に応じて、移動体(10)の行動を決定する。
【0109】
この態様によれば、移動体(10)が他の移動体(10A)に接近してデッドロックに陥る可能性を低減することができる、という利点がある。
【0110】
第11の態様に係る制御方法は、検知ステップと、制御ステップと、を有する。検知ステップは、検知領域(S1)における物体(20)の有無を検知するステップである。検知領域(S1)は、移動体(10)の周辺に移動体(10)の移動に従って動的に設定される。制御ステップは、検知部(101)の検知結果に基づいて、移動体(10)を制御するステップである。制御ステップは、停止ステップと、決定ステップと、を含む。停止ステップは、検知領域(S1)のうち第1領域(S11)にて物体(20)を検知すると、移動体(10)を停止させるステップである。決定ステップは、検知領域(S1)のうち第1領域(S11)の外側にある第2領域(S12)にて物体(20)を検知すると、物体(20)が他の移動体(10A)であるか否かに応じて、移動体(10)の行動を決定するステップである。
【0111】
この態様によれば、他の移動体(10A)を検知した場合にデッドロックに陥りにくい、という利点がある。
【0112】
第12の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第11の態様に係る制御方法を実行させる。
【0113】
この態様によれば、他の移動体(10A)を検知した場合にデッドロックに陥りにくい、という利点がある。
【0114】
第2~第10の態様に係る構成については、制御システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0115】
100 制御システム
101 検知部
102 制御部
103 通信部(質問部、取得部、送信部)
2 上位システム
20 物体
10 移動体
10A 他の移動体
A10 移動面
D1 進行方向
S1 検知領域
S11 第1領域
S12 第2領域
S13 第3領域