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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】コンデンサおよびコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20241011BHJP
   H01G 4/228 20060101ALN20241011BHJP
   H01G 4/38 20060101ALN20241011BHJP
【FI】
H01G4/32 531
H01G4/32 540
H01G4/228 S
H01G4/38 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021546553
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2020031156
(87)【国際公開番号】W WO2021054024
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2019168288
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020002980
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】神村 善紀
(72)【発明者】
【氏名】今村 武志
(72)【発明者】
【氏名】森川 顕洋
(72)【発明者】
【氏名】田村 亘
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154124(JP,A)
【文献】特開2014-171342(JP,A)
【文献】特開2014-233193(JP,A)
【文献】特開2017-112168(JP,A)
【文献】特開2018-067990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/06
H01G 2/10
H01G 4/228
H01G 4/32
H01G 4/38
H01G 13/00
H01L 25/04
H01L 25/07
H01L 25/18
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサにおいて、
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーと、を備え、
前記バスバーは、
前記電極に接続される電極端子部と、端子形成部とを有するバスバー本体部材と、
前記バスバー本体部材と別体に形成され、前記端子形成部に重ね合わされて固定される端子形成部材と、を含み、
前記端子形成部には、その表面から張り出し外部端子に接続される複数の第1接続端子部が、前記端子形成部の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に第1開口部が形成され、
前記端子形成部材には、その表面から張り出し外部端子に接続される複数の第2接続端子部が、前記端子形成部材の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に第2開口部が形成され、
前記第1接続端子部が前記第2開口部に通される、または、前記第2接続端子部が前記第1開口部に通されることにより、前記第1接続端子部と前記第2接続端子部とが一方向に交互に並
前記端子形成部材には、前記第2開口部の周りを囲む枠部に、溶接により前記端子形成部と接合される接合点が所定の間隔で複数設けられ、
前記枠部には、隣り合う2つの前記接合点の間に、前記接合点が設けられた部分よりも幅の狭い幅狭部が設けられる、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーと、を備えるコンデンサの製造方法において、
前記バスバーを形成する工程では、
前記電極に接続される電極端子部と、端子形成部とを有し、当該端子形成部に、外部端子に接続される複数の第1接続端子部が、前記端子形成部の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成されたバスバー本体部材を作成するとともに、
外部端子に接続される複数の第2接続端子部が、端子形成部材の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成された、前記バスバー本体部材とは別体の前記端子形成部材を作成し、
前記第1接続端子部を、前記第2接続端子部の切り起しにより前記端子形成部材に開けられた第2開口部に通す、または、前記第2接続端子部を、前記第1接続端子部の切り起しにより前記端子形成部に開けられた第1開口部に通すことにより、前記第1接続端子部と前記第2接続端子部とが一方向に交互に並ぶように、前記バスバー本体部材の前記端子形成部と前記端子形成部材とを重ね合わせ、
重ね合わされた前記端子形成部と前記端子形成部材とを固定し、
前記端子形成部と前記端子形成部材は溶接により接合され、
前記端子形成部材には、前記第2開口部の周りを囲む枠部に溶接による接合点が所定の間隔で複数設けられ、
前記枠部には、隣り合う2つの前記接合点の間に、前記接合点が設けられた部分よりも幅の狭い幅狭部が設けられる、
ことを特徴とするコンデンサの製造方法
【請求項3】
コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーと、を備えるコンデンサの製造方法において、
前記バスバーを形成する工程では、
前記電極に接続される電極端子部と、端子形成部とを有し、当該端子形成部に、外部端子に接続される複数の第1接続端子部が、前記端子形成部の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成されたバスバー本体部材を作成するとともに、
外部端子に接続される複数の第2接続端子部が、端子形成部材の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成された、前記バスバー本体部材とは別体の前記端子形成部材を作成し、
前記第1接続端子部を、前記第2接続端子部の切り起しにより前記端子形成部材に開けられた第2開口部に通す、または、前記第2接続端子部を、前記第1接続端子部の切り起しにより前記端子形成部に開けられた第1開口部に通すことにより、前記第1接続端子部と前記第2接続端子部とが一方向に交互に並ぶように、前記バスバー本体部材の前記端子形成部と前記端子形成部材とを重ね合わせ、
重ね合わされた前記端子形成部と前記端子形成部材とを固定し、
前記端子形成部と前記端子形成部材には、それぞれ、複数の孔部が形成され、
前記端子形成部と前記端子形成部材は、互いの前記複数の孔部同士が整合するように重ね合わされ、
整合する2つの前記孔部に、治具に設けられた突起部が通されることにより、前記端子形成部と前記端子形成部材との間の位置決めがなされる、
ことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項4】
請求項に記載のコンデンサの製造方法において、
前記端子形成部と前記端子形成部材には、それぞれ、複数の孔部が形成され、
前記端子形成部と前記端子形成部材は、互いの前記複数の孔部同士が整合するように重ね合わされ、
整合する2つの前記孔部に、治具に設けられた突起部が通されることにより、前記端子形成部と前記端子形成部材との間の位置決めがなされる、
ことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項5】
請求項に記載のコンデンサにおいて、
前記バスバーには、溶接による前記端子形成部と前記端子形成部材との接合点が、前記第1開口部および前記第2開口部よりも前記電極端子部側に複数設けられ、
前記バスバー本体部材には、前記接合点の近傍であって前記接合点よりも前記電極端子部側に第3開口部が形成される、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項6】
請求項5に記載のコンデンサにおいて、
前記第3開口部は、前記接合点が並ぶ方向と直交する方向において前記接合点と重なるように形成される、
ことを特徴とするコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサおよびコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンデンサ素子にバスバーが接続された構成を有し、半導体装置等の外部機器に接続されるコンデンサにおいて、一方向に並ぶ複数の接続端子部がバスバーに設けられ、各接続端子部に外部機器の各端子が接続されるようにされたものが知られている。このようなコンデンサの一例が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1のフィルムコンデンサでは、コンデンサ素子に接続された前バスバーおよび後バスバーのそれぞれが、絶縁シートを挟んで互いに重なり合う第3プレート部を含む。各第3プレート部の上端部には、複数の接続端子部が左右方向に所定の間隔を有するように配置される。各接続端子部は、長方形状を有し、その下端部において第3プレート部に対してほぼ直角に折り曲げられており、その両平面が左右方向を向く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-112168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のフィルムコンデンサでは、各接続端子部の前後方向の幅、即ち、プレート部から張り出す方向の幅は、各接続端子部が第3プレート部と平行な状態から折り曲げられた(切り起された)構成であることから、隣接する接続端子部との間の間隔よりも小さくなる。
【0006】
フィルムコンデンサが接続される外部機器側の構造によっては、各接続端子部における上記張り出し方向の幅を、隣接する接続端子部との間の間隔よりも大きくする必要が生じ得る。このような場合、上記のような単純な切り起し構造を採ることができない。
【0007】
そこで、本発明は、バスバーが、その表面から張り出すように当該表面に沿って一方向に並べられた複数の接続端子部を有する場合に、各接続端子部の張り出し方向の幅を大きくでき得るコンデンサおよびコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、コンデンサに関する。本態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーと、を備える。ここで、前記バスバーは、前記電極に接続される電極端子部と、端子形成部とを有するバスバー本体部材と、前記バスバー本体部材と別体に形成され、前記端子形成部に重ね合わされて固定される端子形成部材と、を含む。前記端子形成部には、その表面から張り出し外部端子に接続される複数の第1接続端子部が、前記端子形成部の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に第1開口部が形成される。前記端子形成部材には、その表面から張り出し外部端子に接続される複数の第2接続端子部が、前記端子形成部材の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に第2開口部が形成される。前記第1接続端子部が前記第2開口部に通される、または、前記第2接続端子部が前記第1開口部に通されることにより、前記第1接続端子部と前記第2接続端子部とが一方向に交互に並ぶ。前記端子形成部材には、前記第2開口部の周りを囲む枠部に、溶接により前記端子形成部と接合される接合点が所定の間隔で複数設けられる。前記枠部には、隣り合う2つの前記接合点の間に、前記接合点が設けられた部分よりも幅の狭い幅狭部が設けられる。
【0009】
本発明の第2の態様は、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーと、を備えるコンデンサの製造方法に関する。本態様に係る製造方法において、前記バスバーを形成する工程では、前記電極に接続される電極端子部と、端子形成部とを有し、当該端子形成部に、外部端子に接続される複数の第1接続端子部が、前記端子形成部の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成されたバスバー本体部材を作成するとともに、外部端子に接続される複数の第2接続端子部が、端子形成部材の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成された、前記バスバー本体部材とは別体の前記端子形成部材を作成する。次に、前記第1接続端子部を、前記第2接続端子部の切り起しにより前記端子形成部材に開けられた第2開口部に通す、または、前記第2接続端子部を、前記第1接続端子部の切り起しにより前記端子形成部に開けられた第1開口部に通すことにより、前記第1接続端子部と前記第2接続端子部とが一方向に交互に並ぶように、前記バスバー本体部材の前記端子形成部と前記端子形成部材とを重ね合わせる。そして、重ね合わされた前記端子形成部と前記端子形成部材とを固定する。前記端子形成部と前記端子形成部材は溶接により接合される。前記端子形成部材には、前記第2開口部の周りを囲む枠部に、溶接による接合点が所定の間隔で複数設けられる。前記枠部には、隣り合う2つの前記接合点の間に、前記接合点が設けられた部分よりも幅の狭い幅狭部が設けられる。
【0011】
本発明の第の態様は、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーと、を備えるコンデンサの製造方法に関する。本態様に係る製造方法において、前記バスバーを形成する工程では、前記電極に接続される電極端子部と、端子形成部とを有し、当該端子形成部に、外部端子に接続される複数の第1接続端子部が、前記端子形成部の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成されたバスバー本体部材を作成するとともに、外部端子に接続される複数の第2接続端子部が、端子形成部材の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成された、前記バスバー本体部材とは別体の前記端子形成部材を作成する。次に、前記第1接続端子部を、前記第2接続端子部の切り起しにより前記端子形成部材に開けられた第2開口部に通す、または、前記第2接続端子部を、前記第1接続端子部の切り起しにより前記端子形成部に開けられた第1開口部に通すことにより、前記第1接続端子部と前記第2接続端子部とが一方向に交互に並ぶように、前記バスバー本体部材の前記端子形成部と前記端子形成部材とを重ね合わせる。そして、重ね合わされた前記端子形成部と前記端子形成部材とを固定する。前記端子形成部と前記端子形成部材には、それぞれ、複数の孔部が形成される。前記端子形成部と前記端子形成部材は、互いの前記複数の孔部同士が整合するように重ね合わされる。整合する2つの前記孔部に、治具に設けられた突起部が通されることにより、前記端子形成部と前記端子形成部材との間の位置決めがなされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バスバーが、その表面から張り出すように当該表面に沿って一方向に並べられた複数の接続端子部を有する場合に、各接続端子部の張り出し方向の幅を大きくすることが可能となる。さらには、溶接により端子形成部材と端子形成部との固定を行ったときにバスバーが反りにくくなる。
【0013】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は、実施形態1に係る、フィルムコンデンサの斜視図であり、図1(b)は、実施形態1に係る、コンデンサ素子ユニットがケースに収容される前の状態を示す、フィルムコンデンサの分解斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る、第1バスバー、第2バスバーおよび絶縁板が組み合わされる前の状態を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係る、第1バスバーの分解斜視図である。
図4図4は、実施形態1に係る、第2バスバーの分解斜視図である。
図5図5(a)および(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、バスバー本体部材と端子形成部材がセットされた治具を、右側の位置決め用のピンの位置および溶接棒の挿通孔の位置で切断した断面図である。
図6図6(a)および(b)は、それぞれ、実施形態1の変更例に係る、第1バスバーの端子形成部材および第2バスバーの端子形成部材の斜視図である。図6(c)および(d)は、それぞれ、実施形態1の更なる変更例に係る、第1バスバーの端子形成部材および第2バスバーの端子形成部材の斜視図である。
図7図7は、実施形態1のその他の変更例に係る、第1バスバーの分解斜視図である。
図8図8は、実施形態1のその他の変更例に係る、第2バスバーの分解斜視図である。
図9図9(a)は、実施形態2に係る、フィルムコンデンサの斜視図であり、図9(b)は、実施形態2に係る、コンデンサ素子ユニットがケースに収容される前の状態を示す、フィルムコンデンサの分解斜視図である。
図10図10は、実施形態2に係る、第1バスバー、第2バスバーおよび絶縁板が組み合わされる前の状態を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態2に係る、第1バスバーの分解斜視図である。
図12図12は、実施形態2に係る、第2バスバーの分解斜視図である。
図13図13(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、バスバー本体部材と端子形成部材がセットされた治具を、右側の位置決め用のピンの位置および溶接棒の挿通孔の位置で切断した断面図である。
図14図14(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2の変更例に係る、第1バスバーの端子形成部材および第2バスバーの端子形成部材の斜視図である。図14(c)および(d)は、それぞれ、実施形態2の更なる変更例に係る、第1バスバーの端子形成部材および第2バスバーの端子形成部材の斜視図である。
図15図15(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2のその他の変更例に係る、第1バスバーおよび第2バスバーの斜視図である。
図16図16は、実施形態2のその他の変更例に係る、第1バスバーの分解斜視図である。
図17図17は、実施形態2のその他の変更例に係る、第2バスバーの分解斜視図である。
【0015】
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のコンデンサの一実施形態であるフィルムコンデンサについて図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまでフィルムコンデンサの相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0017】
<実施形態1>
実施形態1において、フィルムコンデンサ1が、請求の範囲、請求項1ないし5に記載の「コンデンサ」に対応する。また、第1電極410および第2電極420が、請求項1ないし5に記載の「電極」に対応する。さらに、第1バスバー500および第2バスバー600が、請求項1ないし5に記載の「バスバー」に対応する。さらに、接続端子部541、641が、請求項1ないし5に記載の「第1接続端子部」に対応し、接続端子部521、621が、請求項1ないし5に記載の「第2接続端子部」に対応する。さらに、開口部542、642が、請求項1ないし5に記載の「第1開口部」に対応し、開口部522、622が、請求項1ないし5に記載の「第2開口部」に対応する。さらに、ピン811が、請求項1ないし5に記載の「突起部」に対応する。
【0018】
ただし、上記記載は、あくまで、請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0019】
図1(a)は、フィルムコンデンサ1の斜視図であり、図1(b)は、コンデンサ素子ユニット100がケース200に収容される前の状態を示す、フィルムコンデンサ1の分解斜視図である。図2は、第1バスバー500、第2バスバー600および絶縁板700が組み合わされる前の状態を示す斜視図である。図3は、第1バスバー500の分解斜視図である。図4は、第2バスバー600の分解斜視図である。
【0020】
フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子ユニット100と、コンデンサ素子ユニット100が収容されるケース200と、ケース200内に充填される充填樹脂300と、を備える。
【0021】
充填樹脂300は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、コンデンサ素子ユニット100が収容されたケース200内に液相状態で注入され、その後、ケース200内が加熱されることにより硬化する。コンデンサ素子ユニット100の充填樹脂300に埋没した大部分が、湿気や衝撃から保護される。
【0022】
コンデンサ素子ユニット100は、コンデンサ素子400と、第1バスバー500と、第2バスバー600と、絶縁板700とを含む。
【0023】
図1(b)を参照し、コンデンサ素子400は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層し、扁平状に押圧することにより形成される。コンデンサ素子400には、一方の端面に、亜鉛等の金属の吹付けにより第1電極410が形成され、他方の端面に、同じく亜鉛等の金属の吹付けにより第2電極420が形成される。
【0024】
なお、本実施の形態のコンデンサ素子400は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されたが、これ以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子400は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。
【0025】
図2および図3を参照し、第1バスバー500は、バスバー本体部材510と、バスバー本体部材510と別体に形成された端子形成部材520とにより構成される。バスバー本体部材510および端子形成部材520は、所定形状の導電性材料である金属板、たとえば、銅板に、適宜切り起し、折り曲げ等の加工を施すことにより形成される。
【0026】
バスバー本体部材510は、その下端部が、電極端子部530として、ほぼ垂直に折り曲げられた、左右方向に長い方形の板状を有する。バスバー本体部材510には、端子形成部材520が重ね合わされて固定される端子形成部540(図3に破線で表示)が設けられる。端子形成部540には、当該端子形成部540の一部が切り起されることにより、方形状の2つの接続端子部541が左右方向(一方向)に並ぶように形成される。
【0027】
端子形成部540の各接続端子部541が切り起された部分には、接続端子部541よりも大きな方形状の開口部542が形成される。左側の開口部542では、その上下および左右の寸法が左側の接続端子部541の上下および前後の寸法より少し大きくされている。一方、右側の開口部542では、その上下の寸法が右側の接続端子部541の上下の寸法より少し大きくされ、その左右の寸法が右側の接続端子部541の前後の寸法より大幅に大きくされている。また、端子形成部540には、左側の開口部542の左隣りに、上下に長い方形状の開口部543が形成される。さらに、端子形成部540には、開口部542より下の左側と右側に、それぞれ、円形の孔部544と長円形の孔部545とが形成される。
【0028】
端子形成部材520は、左右方向に長い方形の板状を有する。端子形成部材520には、当該端子形成部材520の一部が切り起されることにより、方形状の3つの接続端子部521が左右方向(一方向)に並ぶように形成される。
【0029】
端子形成部材520の各接続端子部521が切り起された部分には、接続端子部521よりも大きな方形状の開口部522が形成される。各開口部522の上下および左右の寸法は、接続端子部521の上下および前後の寸法より少し大きくされている。また、端子形成部材520には、3つの開口部522を囲む方形の枠部523の上側の桟523aと下側の桟523bに、それぞれ、所定の間隔で3か所に幅狭部524が形成される。各幅狭部524は、図3のように、枠部523における幅狭部524の両側の部分よりの幅が狭い状態で波打った形状を有する。さらに、端子形成部材520には、開口部522より下の左側と右側に、それぞれ、円形の孔部525と長円形の孔部526とが形成される。
【0030】
図2に示すように、端子形成部材520は、バスバー本体部材510の端子形成部540の前面に重ねられる。端子形成部540の左側の接続端子部541が端子形成部材520の中央の開口部522を通され、端子形成部540の右側の接続端子部541が端子形成部材520の右端の開口部522を通される。3つの接続端子部521と2つの接続端子部541とが、左右方向(一方向)に交互に並ぶ。端子形成部540の開口部542、543と端子形成部材520の開口部522との重なりにより、各接続端子部521、541の右側に、外部端子(後述する)を通すための開口部501が形成される。
【0031】
端子形成部材520の枠部523において、上側の桟523aおよび下側の桟523bには、それぞれ、左端部の位置と、右端部の位置と、3つの幅狭部524の間の2つの位置に、接合点527が設けられる。これら接合点527での溶接(スポット溶接)により、端子形成部材520が端子形成部540に固定される。
【0032】
図2および図4を参照し、第2バスバー600は、バスバー本体部材610と、バスバー本体部材610と別体に形成された端子形成部材620とにより構成される。バスバー本体部材610および端子形成部材620は、所定の形状に加工された導電性材料である金属板、たとえば、銅板に、適宜切り起し、折り曲げ等の加工を施すことにより形成される。
【0033】
バスバー本体部材610は、その下端部が、電極端子部630として、ほぼ垂直に折り曲げられた、第1バスバー500のバスバー本体部材510よりも上下方向に長い方形の板状を有する。バスバー本体部材610には、上部に、端子形成部材620が重ね合わされて固定される端子形成部640(図4に破線で表示)が設けられる。端子形成部640には、当該端子形成部640の一部が切り起されることにより、方形状の2つの接続端子部641が左右方向(一方向)に並ぶように形成される。各接続端子部641の前後方向の寸法は、第1バスバー500のバスバー本体部材510の各接続端子部541の寸法よりも大きくされる。
【0034】
端子形成部640の各接続端子部641が切り起された部分には、接続端子部641よりも大きな方形状の開口部642が形成される。各開口部642の上下および左右の寸法は、各接続端子部641の上下および前後の寸法より少し大きくされている。また、端子形成部640には、左側の開口部642の左隣りに、上下に長い方形状の開口部643が形成される。さらに、端子形成部640には、開口部642より下の左側と右側に、それぞれ、円形の孔部644と長円形の孔部645とが形成される。
【0035】
さらに、バスバー本体部材610には、端子形成部640の下方に、第1バスバー500の5つの開口部501に対応する5つの方形状の開口部611が、左右方向に並ぶように形成される。
【0036】
端子形成部材620は、第1バスバー500の端子形成部材520と同様の構成を有し、3つの接続端子部621と3つの開口部622とを備える。各接続端子部621の前後方向の寸法は、第1バスバー500の端子形成部材520の各接続端子部521の寸法よりも大きくされる。また、端子形成部材620には、枠部623の上側の桟623aと下側の桟623bに、それぞれ3つの幅狭部624が形成される。さらに、端子形成部材620には、円形の孔部625および長円形の孔部626が形成される。
【0037】
図2に示すように、端子形成部材620は、バスバー本体部材610の端子形成部640の前面に重ねられる。端子形成部640の左側の接続端子部641が端子形成部材620の中央の開口部622を通され、端子形成部640の右側の接続端子部641が端子形成部材620の右端の開口部622を通される。3つの接続端子部621と2つの接続端子部641とが、左右方向(一方向)に交互に並ぶ。端子形成部640の開口部642、643と端子形成部材620の開口部622との重なりにより、各接続端子部621、641の右側に、外部端子(後述する)を通すための開口部601が形成される。
【0038】
端子形成部材620の枠部623において、上側の桟623aおよび下側の桟623bには、それぞれ、左端部の位置と、右端部の位置と、3つの幅狭部624の間の2つの位置に、接合点627が設けられる。これら接合点627での溶接(スポット溶接)により、端子形成部材620が端子形成部640に固定される。
【0039】
図2を参照し、絶縁板700は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂により形成され、左右方向に長い方形状を有する。絶縁板700には、第1バスバー500の5つの開口部501に対応する5つの方形状の開口部701が、左右方向に並ぶように形成される。
【0040】
コンデンサ素子ユニット100を組み立てる際には、まず、第1バスバー500が、3つの接続端子部521と2つの接続端子部541による端子列が3つの接続端子部621と2つの接続端子部641による端子列の下方に位置するように、前方から絶縁板700を挟んで第2バスバー600に重ねられる。第1バスバー500の5つの開口部501と、絶縁板700の5つの開口部701と、第2バスバー600の5つの開口部611とが前後方向に重なった状態となる。また、第1バスバー500の3つの接続端子部521および2つの接続端子部541の前端の位置と、第2バスバー600の3つの接続端子部621および2つの接続端子部641の前端の位置とが揃った状態となる。
【0041】
次に、コンデンサ素子400に、第1バスバー500および第2バスバー600が接続される。即ち、第1バスバー500の電極端子部530が、コンデンサ素子400の第1電極410に半田付け等の接合方法で接合される。これにより、第1バスバー500が第1電極410に電気的に接続される。同様に、第2バスバー600の電極端子部630が、コンデンサ素子400の第2電極420に半田付け等の接合方法で接合される。これにより、第2バスバー600が第2電極420に電気的に接続される。
【0042】
こうして、図1(b)のように、コンデンサ素子ユニット100が完成する。
【0043】
図1(b)を参照し、ケース200は、樹脂製であり、たとえば、熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)により形成される。ケース200は、ほぼ直方体の箱状に形成され、上面に開口部201を有する。
【0044】
ケース200には、左右の外側面と外底面とに取付タブ210が設けられる。各取付タブ210には、前後方向に貫通する挿通孔211が形成される。挿通孔211には、孔の強度を上げるために金属製のカラー212が嵌め込まれる。フィルムコンデンサ1が外部装置等の設置部に設置される際、これら取付タブ210がネジ等によって設置部に固定される。
【0045】
コンデンサ素子ユニット100は、開口部201からケース200内に収容される。コンデンサ素子ユニット100が収容されたケース200内に、開口部201を通じて液相状態の充填樹脂300が注入される。充填樹脂300は、開口部201の近傍までケース200内に満たされ、充填樹脂300の注入が完了すると、ケース200が加熱される。これにより、ケース200内の充填樹脂300が硬化する。こうにして、図1(a)に示すようなフィルムコンデンサ1が完成する。
【0046】
フィルムコンデンサ1は、外部装置等に搭載される。外部装置等には、たとえばバスバーの形態をとる正極側の5つの外部端子2aと負極側の5つの外部端子2bとが備えられる。たとえば、第1バスバー500が正極側のバスバーであり、第2バスバー600が負極側のバスバーである場合、5つの外部端子2aが、前後に重なる3つの開口部611、701、501を通って、第1バスバー500の5つの接続端子部521、541に接触し、それら接続端子部521、541に半田付け等の接合方法により接続される。さらに、5つの外部端子2bが、開口部601を通って、第2バスバー600の5つの接続端子部621、641に接触し、それら接続端子部621、641に半田付け等の接合方法により接続される。
【0047】
次に、第1バスバー500と第2バスバー600の製造方法について説明する。第1バスバー500と第2バスバー600は、バスバー形成工程により形成される。
【0048】
バスバー形成工程では、まず、所定形状の金属板に、適宜切り起し、折り曲げ等の加工を施すことにより、電極端子部530と端子形成部540を有し、当該端子形成部540に2つの接続端子部541が、端子形成部540の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成された第1バスバー500のバスバー本体部材510を作成するとともに、3つの接続端子部521が、端子形成部材520の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成された端子形成部材520を作成する。さらに、上記と同様にして、第2バスバー600のバスバー本体部材610と端子形成部材620とを作成する。
【0049】
次に、専用の治具3を用いて、バスバー本体部材510に端子形成部材520を接合固定し、第1バスバー500を形成する。
【0050】
図5(a)および(b)は、それぞれ、バスバー本体部材510と端子形成部材520がセットされた治具3を、右側の位置決め用のピン811の位置および溶接棒841、842の挿通孔813、822の位置で切断した断面図である。
【0051】
治具3は、バスバー本体部材510と端子形成部材520がセット(載置)される載置台810と、載置台810にセットされたバスバー本体部材510と端子形成部材520を押さえる押さえ板820とを備える。載置台810には、設置面の左右2か所に、バスバー本体部材510の左右の孔部544、545と端子形成部材520の左右の孔部525、526に対応する位置決め用のピン811が設けられる。また、載置台810には、バスバー本体部材510の2つの接続端子部541と端子形成部材520の3つの接続端子部521を収容するための5つの凹部812が形成される。さらに、載置台810と載置台810を支える台座830には、端子形成部材520の8つの接合点527に対応する8つの位置に、下側の溶接棒841が通される挿通孔813が形成される。
【0052】
押さえ板820には、左右2か所に、載置台810のピン811の先端部が収まる孔部821が形成される。また、押さえ板820には、端子形成部材520の8つの接合点527に対応する8つの位置に、上側の溶接棒842が通される挿通孔822が形成される。
【0053】
バスバー本体部材510に端子形成部材520を接合固定する際には、まず、端子形成部材520が治具3の載置台810にセットされる。この際、端子形成部材520の左右の孔部525、526に、載置台810の左右のピン811が挿入される。次に、バスバー本体部材510が載置台810にセットされる。この際、バスバー本体部材510の端子形成部540の左右の孔部544、545に、載置台810の左右のピン811が挿入される。これにより、図5(a)のように、載置台810上において、端子形成部540と端子形成部材520とが重ね合される。端子形成部540の2つの接続端子部541が端子形成部材520の2つの開口部522を通されることにより2つの接続端子部541と3つの接続端子部521とが一方向に交互に並ぶ。また、端子形成部540と端子形成部材520は、互いの孔部544、525(545、526)が整合するように重ね合わされ、整合する2つの孔部544、525(545、526)に治具3のピン811が通されることにより、それらの間の位置決めがなされた状態となる。その後、載置台810にセットされたバスバー本体部材510と端子形成部材520が押さえ板820により押さえられる。
【0054】
次に、図5(b)のように、載置台810の8つの挿通孔813に8つの下側の溶接棒841が通されて、その先端が端子形成部材520に当てられる。また、押さえ板820の8つの挿通孔822に8つの上側の溶接棒842が通されて、その先端がバスバー本体部材510の端子形成部540に当てられる。8つの下側の溶接棒841と上側の溶接棒842による溶接が行われて、端子形成部材520が端子形成部540に8か所の接合点527で固定される。たとえば、溶接として、ファイバーレーザ溶接を行うことができる。
【0055】
ここで、図2に示すように、端子形成部材520の枠部523には、隣り合う2つの接合点527の間に、接合点527が設けられた部分よりも幅の狭い幅狭部524が設けられている。これにより、溶接の際に、幅狭部524で熱が遮断されやすくなり、接合点527付近からの熱引きが少なくなるため、接合点527に入力される熱量を少なくすることができる。よって、溶接の際に、接合点527の付近が高温になりにくくなるので、端子形成部材520に歪が生じにくくなり、延いては第1バスバー500に歪が生じにくくなる。
【0056】
第1バスバー500と同様にして、専用の治具3を用いて、バスバー本体部材610に端子形成部材620が接合固定され、第2バスバー600が形成される。
【0057】
<実施形態1の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0058】
フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子400と、コンデンサ素子400の第1電極410および第2電極420に接続される第1バスバー500および第2バスバー600と、を備える。ここで、第1バスバー500および第2バスバー600は、電極410、420に接続される電極端子部530、630と、端子形成部540、640とを有するバスバー本体部材510、610と、バスバー本体部材510、610と別体に形成され、端子形成部540、640に重ね合わされて固定される端子形成部材520、620と、を含む。端子形成部540、640には、その表面から張り出し外部端子2a、2bに接続される複数の接続端子部541、641が、端子形成部540、640の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に開口部542、642が形成される。端子形成部材520、620には、その表面から張り出し外部端子2a、2bに接続される複数の接続端子部521、621が、端子形成部材520、620の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に開口部522、622が形成される。そして、接続端子部541、641が開口部522、622に通されることにより、接続端子部541、641と接続端子部521、621とが一方向に交互に並ぶ。
【0059】
この構成によれば、第1バスバー500および第2バスバー600において、一方向に並べられた複数の接続端子部521、541、621、641を切り起しにより形成する場合に、それら接続端子部521、541、621、641のバスバー500、600の表面から張り出す方向(前後方向)の幅を、複数の接続端子部521、541、621、641が並ぶ間隔よりも大きくすることができる。これにより、複数の接続端子部521、541、621、641が並ぶ間隔に制約されることなく、外部装置等との接続関係に応じて、張り出す方向に十分な幅の接続端子部521、541、621、641を有する第1バスバー500および第2バスバー600を容易に準備できる。しかも、第1バスバー500および第2バスバー600は、端子形成部540、640の開口部542、642の周囲に端子形成部材520、620の枠部523、623が重なることで、複数の接続端子部521、541、621、641の周囲部分が補強されるので、複数の接続端子部521、541、621、641に破損や変形が生じにくくなる。
【0060】
また、端子形成部材520、620には、開口部522、622の周りを囲む枠部523、623に、溶接により端子形成部540、640と接合される接合点527、627が所定の間隔で複数設けられ、枠部523、623には、隣り合う2つの接合点527、627の間に、接合点527、627が設けられた部分よりも幅の狭い幅狭部524、624が設けられる。
【0061】
この構成によれば、溶接の際に、接合点527、627の付近が高温になりにくくなるので、端子形成部材520、620に歪が生じにくくなり、延いては第1バスバー500および第2バスバー600に歪が生じにくくなる。
【0062】
さらに、端子形成部540(640)には、2つの孔部544、545(644、645)が形成され、端子形成部材520(620)には、2つの孔部525、526(625、626)が形成され、端子形成部540(640)と端子形成部材520(620)は、互いの孔部544、545(644、645)と孔部525、526(625、626)とが整合するように重ね合わされる。そして、整合する孔部544、545(644、645)と孔部525、526(625、626)に、治具3に設けられたピン811が通されることにより、端子形成部540(640)と端子形成部材520(620)との間の位置決めがなされる。
【0063】
この構成によれば、端子形成部材520、620を端子形成部540、640に精度良く固定することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態1について説明したが、本発明は、上記実施形態1に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態1の他に、種々の変更が可能である。
【0065】
<実施形態1の変更例>
上記実施形態1では、第1バスバー500の端子形成部材520の枠部523に設けられた幅狭部524が、枠部523における幅狭部524の両側の部分よりの幅が狭い状態で波打った形状を有する。しかしながら、幅狭部524の形状は、上記の形状に限られるものではなく、たとえば、図6(a)に示すように、直線形状であってもよい。同様に、第2バスバー600の端子形成部材620の枠部623に設けられた幅狭部624も、波打ち形状ではなく、図6(b)のように、直線形状であってもよい。ただし、幅狭部524、624を波打ち形状とした場合、直線形状とする場合に比べて、熱引き経路(幅狭の経路)を長くできるので、より熱が遮断されやすくなり、溶接点(接合点)付近の温度上昇が抑えられやすくなる。
【0066】
また、図6(c)に示すように、第1バスバー500の端子形成部材520の枠部523に幅狭部524が設けられなくてもよい。同様に、図6(d)に示すように、第2バスバー600の端子形成部材620の枠部623に幅狭部624が設けられなくてもよい。
【0067】
さらに、上記実施形態1において、端子形成部材520、620の枠部523、623の左側の桟と右側の桟にも、幅狭部524、624が設けられてもよい。
【0068】
さらに、上記実施形態1では、第1バスバー500および第2バスバー600は、バスバー本体部材510、610の端子形成部540、640の接続端子部541、641が、端子形成部材520、620の開口部522、622を通されることにより、端子形成部540、640の接続端子部541、641と端子形成部材520、620の接続端子部521、621とが交互に並ぶ構成とされた。しかしながら、これとは反対に、図7および図8に示すように、第1バスバー500および第2バスバー600は、端子形成部材520、620の接続端子部521、621が、端子形成部540、640の開口部542、642を通されることにより、端子形成部540、640の接続端子部541、641と端子形成部材520、620の接続端子部521、621とが交互に並ぶ構成とされてもよい。
【0069】
<実施形態2>
実施形態2において、フィルムコンデンサ1Aが、請求の範囲、請求項6ないし9に記載の「コンデンサ」に対応する。また、第1電極410および第2電極420が、請求項6ないし9に記載の「電極」に対応する。さらに、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aが、請求項6ないし9に記載の「バスバー」に対応する。さらに、接続端子部581、681が、請求項6ないし9に記載の「第1接続端子部」に対応し、接続端子部561、661が、請求項6ないし9に記載の「第2接続端子部」に対応する。さらに、開口部582、682が、請求項6ないし9に記載の「第1開口部」に対応し、開口部562、662が、請求項6ないし9に記載の「第2開口部」に対応する。さらに、開口部551、652が、請求項6ないし9に記載の「第3開口部」に対応する。
【0070】
ただし、上記記載は、あくまで、請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0071】
実施形態2のフィルムコンデンサ1Aにおいて、上記実施形態1のフィルムコンデンサ1と同じ構成については、同じ符号が付され、説明が省略される。
【0072】
図9(a)は、フィルムコンデンサ1Aの斜視図であり、図9(b)は、コンデンサ素子ユニット100Aがケース200に収容される前の状態を示す、フィルムコンデンサ1Aの分解斜視図である。図10は、第1バスバー500A、第2バスバー600Aおよび絶縁板700が組み合わされる前の状態を示す斜視図である。図11は、第1バスバー500Aの分解斜視図である。図12は、第2バスバー600Aの分解斜視図である。
【0073】
フィルムコンデンサ1Aは、コンデンサ素子ユニット100Aと、コンデンサ素子ユニット100Aが収容されるケース200と、ケース200内に充填される充填樹脂300と、を備える。
【0074】
コンデンサ素子ユニット100Aは、コンデンサ素子400と、第1バスバー500Aと、第2バスバー600Aと、絶縁板700とを含む。
【0075】
図10および図11を参照し、第1バスバー500Aは、バスバー本体部材550と、バスバー本体部材550と別体に形成された端子形成部材560とにより構成される。バスバー本体部材550および端子形成部材560は、所定形状の導電性材料である金属板、たとえば、銅板に、適宜切り起し、折り曲げ等の加工を施すことにより形成される。
【0076】
バスバー本体部材550は、その下端部が、電極端子部570として、ほぼ垂直に折り曲げられた、左右方向に長い方形の板状を有する。バスバー本体部材550には、端子形成部材560が重ね合わされて固定される端子形成部580(図11に破線で表示)が設けられる。端子形成部580には、当該端子形成部580の一部が切り起されることにより、方形状の2つの接続端子部581が左右方向(一方向)に並ぶように形成される。
【0077】
端子形成部580の各接続端子部581が切り起された部分には、接続端子部581よりも大きな方形状の開口部582が形成される。左側の開口部582では、その上下および左右の寸法が左側の接続端子部581の上下および前後の寸法より少し大きくされている。一方、右側の開口部582では、その上下の寸法が右側の接続端子部581の上下の寸法より少し大きくされ、その左右の寸法が右側の接続端子部581の前後の寸法より大幅に大きくされている。また、端子形成部580には、左側の開口部582の左隣りに、上下に長い方形状の開口部583が形成される。さらに、端子形成部580には、開口部582より下の左側と右側に、それぞれ、円形の孔部584と長円形の孔部585とが形成される。
【0078】
さらに、バスバー本体部材550には、端子形成部580の下に、接続端子部581が並ぶ方向(左右方向)に沿うように、4つの開口部551が形成される。各開口部551は、左右方向に長い方形状を有し、その上縁が端子形成部580の下縁に接している。よって、端子形成部材560が端子形成部580に固定されたとき、開口部551の上縁は、端子形成部材560の下縁に接することになる。
【0079】
端子形成部材560は、左右方向に長い方形の板状を有する。端子形成部材560には、当該端子形成部材560の一部が切り起されることにより、方形状の3つの接続端子部561が左右方向(一方向)に並ぶように形成される。
【0080】
端子形成部材560の各接続端子部561が切り起された部分には、接続端子部561よりも大きな方形状の開口部562が形成される。各開口部562の上下および左右の寸法は、接続端子部561の上下および前後の寸法より少し大きくされている。また、端子形成部材560には、3つの開口部562を囲む方形の枠部563において、開口部562より下の左側と右側に、それぞれ、円形の孔部564と長円形の孔部565とが形成される。
【0081】
図10に示すように、端子形成部材560は、バスバー本体部材550の端子形成部580の前面に重ねられる。端子形成部580の左側の接続端子部581が端子形成部材560の中央の開口部562を通され、端子形成部580の右側の接続端子部581が端子形成部材560の右端の開口部562を通される。3つの接続端子部561と2つの接続端子部581とが、左右方向(一方向)に交互に並ぶ。端子形成部580の開口部582、583と端子形成部材560の開口部562との重なりにより、各接続端子部561、581の右側に、外部端子(後述する)を通すための開口部502が形成される。
【0082】
端子形成部材560は、溶接(スポット溶接)により端子形成部580に固定される。第1バスバー500Aにおいて、端子形成部材560と端子形成部580との溶接による接合点P1は、端子形成部材560の枠部563の上側の桟563aおよび下側の桟563bにおける、左端部の位置と、右端部の位置と、中間の2つの位置との合計8カ所に設けられる。下側の桟563bの4つの接合点P1は、開口部562、582よりも電極端子部570側において左右方向に並ぶ。
【0083】
バスバー本体部材550において、4つの開口部551は下側の4つの接合点P1に対応し、各開口部551が各接合点P1の近傍であって接合点P1よりも電極端子部570側に位置する。また、各開口部551は、4つの接合点P1が並ぶ方向(左右方向)と直交する方向(上下方向)において、各接合点P1と重なる。即ち、上下方向において、各開口部551の左右の幅の範囲内に各接合点P1が位置する。
【0084】
図10および図12を参照し、第2バスバー600Aは、バスバー本体部材650と、バスバー本体部材650と別体に形成された端子形成部材660とにより構成される。バスバー本体部材650および端子形成部材660は、所定の形状に加工された導電性材料である金属板、たとえば、銅板に、適宜切り起し、折り曲げ等の加工を施すことにより形成される。
【0085】
バスバー本体部材650は、その下端部が、電極端子部670として、ほぼ垂直に折り曲げられた、第1バスバー500Aのバスバー本体部材550よりも上下方向に長い方形の板状を有する。バスバー本体部材650には、上部に、端子形成部材660が重ね合わされて固定される端子形成部680(図12に破線で表示)が設けられる。端子形成部680には、当該端子形成部680の一部が切り起されることにより、方形状の2つの接続端子部681が左右方向(一方向)に並ぶように形成される。各接続端子部681の前後方向の寸法は、第1バスバー500Aのバスバー本体部材550の各接続端子部581の寸法よりも大きくされる。
【0086】
端子形成部680の各接続端子部681が切り起された部分には、接続端子部681よりも大きな方形状の開口部682が形成される。各開口部682の上下および左右の寸法は、各接続端子部681の上下および前後の寸法より少し大きくされている。また、端子形成部680には、左側の開口部682の左隣りに、上下に長い方形状の開口部683が形成される。さらに、端子形成部680には、開口部682より下の左側と右側に、それぞれ、円形の孔部684と長円形の孔部685とが形成される。
【0087】
さらに、バスバー本体部材650には、端子形成部680の下方に、第1バスバー500Aの5つの開口部502に対応する5つの方形状の開口部651が、左右方向に並ぶように形成される。また、バスバー本体部材650には、端子形成部680の下であって5つの開口部651よりも上に、即ち、端子形成部680と5つの開口部651との間に、4つの開口部652が形成される。4つの開口部652は、接続端子部681が並ぶ方向(左右方向)に沿う。各開口部652は、左右方向に長い方形状を有し、その上縁が端子形成部680の下縁に接している。よって、端子形成部材660が端子形成部680に固定されたとき、開口部652の上縁は、端子形成部材660の下縁に接することになる。
【0088】
端子形成部材660は、第1バスバー500Aの端子形成部材560と同様の構成を有し、3つの接続端子部661と3つの開口部662とを備える。各接続端子部661の前後方向の寸法は、第1バスバー500Aの端子形成部材560の各接続端子部561の寸法よりも大きくされる。また、端子形成部材660には、枠部663に、円形の孔部664および長円形の孔部665が形成される。
【0089】
図10に示すように、端子形成部材660は、バスバー本体部材650の端子形成部680の前面に重ねられる。端子形成部680の左側の接続端子部681が端子形成部材660の中央の開口部662を通され、端子形成部680の右側の接続端子部681が端子形成部材660の右端の開口部662を通される。3つの接続端子部661と2つの接続端子部681とが、左右方向(一方向)に交互に並ぶ。端子形成部680の開口部682、683と端子形成部材660の開口部662との重なりにより、各接続端子部661、681の右側に、外部端子(後述する)を通すための開口部602が形成される。
【0090】
端子形成部材660は、溶接(スポット溶接)により端子形成部680に固定される。第2バスバー600Aにおいて、端子形成部材660と端子形成部680との溶接による接合点P2は、端子形成部材660の枠部663の上側の桟663aおよび下側の桟663bにおける、左端部の位置と、右端部の位置と、中間の2つの位置との合計8カ所に設けられる。下側の桟663bの4つの接合点P2は、開口部662、682よりも電極端子部670側において左右方向に並ぶ。
【0091】
バスバー本体部材650において、4つの開口部652は下側の4つの接合点P2に対応し、各開口部652が各接合点P2の近傍であって接合点P2よりも電極端子部670側に位置する。また、各開口部652は、4つの接合点P2が並ぶ方向(左右方向)と直交する方向(上下方向)において、各接合点P2と重なる。即ち、上下方向において、各開口部652の左右の幅の範囲内に各接合点P2が位置する。
【0092】
コンデンサ素子ユニット100Aを組み立てる際には、まず、第1バスバー500Aが、3つの接続端子部561と2つの接続端子部581による端子列が3つの接続端子部661と2つの接続端子部681による端子列の下方に位置するように、前方から絶縁板700を挟んで第2バスバー600Aに重ねられる。第1バスバー500Aの5つの開口部502と、絶縁板700の5つの開口部701と、第2バスバー600Aの5つの開口部651とが前後方向に重なった状態となる。また、第1バスバー500Aの3つの接続端子部561および2つの接続端子部581の前端の位置と、第2バスバー600Aの3つの接続端子部661および2つの接続端子部681の前端の位置とが揃った状態となる。
【0093】
次に、コンデンサ素子400に、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aが接続される。即ち、第1バスバー500Aの電極端子部570が、コンデンサ素子400の第1電極410に半田付け等の接合方法で接合される。これにより、第1バスバー500Aが第1電極410に電気的に接続される。同様に、第2バスバー600Aの電極端子部670が、コンデンサ素子400の第2電極420に半田付け等の接合方法で接合される。これにより、第2バスバー600Aが第2電極420に電気的に接続される。なお、電極端子部570、670にピン状の端子が形成され、この端子が電極410、420に半田付け等により接合されるようにしてもよい。
【0094】
こうして、図9(b)のように、コンデンサ素子ユニット100Aが完成する。
【0095】
コンデンサ素子ユニット100Aは、開口部201からケース200内に収容される。コンデンサ素子ユニット100Aが収容されたケース200内に、開口部201を通じて液相状態の充填樹脂300が注入される。充填樹脂300は、開口部201の近傍までケース200内に満たされ、充填樹脂300の注入が完了すると、ケース200が加熱される。これにより、ケース200内の充填樹脂300が硬化する。こうにして、図9(a)に示すようなフィルムコンデンサ1Aが完成する。
【0096】
フィルムコンデンサ1Aは、外部装置等に搭載される。外部装置等には、たとえばバスバーの形態をとる正極側の5つの外部端子2aと負極側の5つの外部端子2bとが備えられる。たとえば、第1バスバー500Aが正極側のバスバーであり、第2バスバー600Aが負極側のバスバーである場合、5つの外部端子2aが、前後に重なる3つの開口部651、701、502を通って、第1バスバー500Aの5つの接続端子部561、581に接触し、それら接続端子部561、581に半田付け等の接合方法により接続される。さらに、5つの外部端子2bが、開口部602を通って、第2バスバー600Aの5つの接続端子部661、681に接触し、それら接続端子部661、681に半田付け等の接合方法により接続される。
【0097】
次に、第1バスバー500Aと第2バスバー600Aの製造方法について説明する。第1バスバー500Aと第2バスバー600Aは、バスバー形成工程により形成される。
【0098】
バスバー形成工程では、まず、所定形状の金属板に、適宜切り起し、折り曲げ等の加工を施すことにより、電極端子部570と端子形成部580を有する第1バスバー500Aのバスバー本体部材550を作成するとともに、端子形成部材560を作成する。バスバー本体部材550において、端子形成部580に2つの接続端子部581が、端子形成部580の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成される。また、バスバー本体部材550には、後の溶接による端子形成部580と端子形成部材560との接合点の近傍であって接合点よりも電極端子部570側に位置するように、4つの開口部551が形成される。さらに、端子形成部材560において、3つの接続端子部561が、端子形成部材560の一部を切り起すことにより一方向に並ぶように形成される。さらに、上記と同様にして、第2バスバー600Aのバスバー本体部材650と端子形成部材660とを作成する。
【0099】
次に、専用の治具3を用いて、バスバー本体部材550に端子形成部材560を接合固定し、第1バスバー500Aを形成する。
【0100】
図13(a)および(b)は、それぞれ、バスバー本体部材550と端子形成部材560がセットされた治具3を、右側の位置決め用のピン811の位置および溶接棒841、842の挿通孔813、822の位置で切断した断面図である。
【0101】
バスバー本体部材550に端子形成部材560を接合固定する際には、まず、端子形成部材560が治具3の載置台810にセットされる。この際、端子形成部材560の左右の孔部564、565に、載置台810の左右のピン811が挿入される。次に、バスバー本体部材550が載置台810にセットされる。この際、バスバー本体部材550の端子形成部580の左右の孔部584、585に、載置台810の左右のピン811が挿入される。これにより、図13(a)のように、載置台810上において、端子形成部580と端子形成部材560とが重ね合される。端子形成部580の2つの接続端子部581が端子形成部材560の2つの開口部562を通されることにより2つの接続端子部581と3つの接続端子部561とが一方向に交互に並ぶ。また、端子形成部580と端子形成部材560は、互いの孔部584、564(585、565)が整合するように重ね合わされ、整合する2つの孔部584、564(585、565)に治具3のピン811が通されることにより、それらの間の位置決めがなされた状態となる。その後、載置台810にセットされたバスバー本体部材550と端子形成部材560が押さえ板820により押さえられる。
【0102】
次に、図13(b)のように、載置台810の8つの挿通孔813に8つの下側の溶接棒841が通されて、その先端が端子形成部材560に当てられる。また、押さえ板820の8つの挿通孔822に8つの上側の溶接棒842が通されて、その先端がバスバー本体部材550の端子形成部580に当てられる。8つの下側の溶接棒841と上側の溶接棒842による溶接が行われて、端子形成部材560が端子形成部580に8か所の接合点P1で固定される。たとえば、溶接として、ファイバーレーザ溶接を行うことができる。
【0103】
溶接の際、第1バスバー500Aは、上下の溶接棒841、842から接合点P1に入力される熱により、各接合点P1の付近が高温になり、その熱が広がって端子形成部材560と端子形成部580が高温となる。これにより、端子形成部材560と端子形成部580に熱による伸びが生じ得る。ここで、バスバー本体部材550では、端子形成部580の下側の4つの接合点P1で発生した熱が、端子形成部580から電極端子部570側の領域へと移動しようとする。電極端子部570側の領域へ熱が移動すると、端子形成部580の温度が端子形成部材560の温度に比べて上昇しにくくなるため、端子形成部材560が端子形成部580よりも高温になりやすくなって伸びやすくなる。こうなると、端子形成部材560が端子形成部580より伸びた状態で溶接が行われることになるため、溶接後に第1バスバー500Aが冷却した際、端子形成部材560に伸縮方向の応力が生じやすくなり、第1バスバー500Aが端子形成部材560側に反りやすくなる。
【0104】
しかしながら、本実施の形態では、バスバー本体部材550の4つの接合点P1の近傍であって接合点P1よりも電極端子部570側に、4つの開口部551が形成されており、電極端子部570側に移動しようとする熱が開口部551により遮断される。これにより、端子形成部580から熱が逃げにくくなるため、端子形成部580と端子形成部材560との間に温度差が生じにくくなる。よって、端子形成部580と端子形成部材560とに伸び量の差が出にくくなるため、溶接後に第1バスバー500Aが冷却した際、端子形成部材560に伸縮方向の応力が生じにくくなり、第1バスバー500Aが端子形成部材560側に反りにくくなる。
【0105】
特に、各接合点P1に対応して、その真下に各開口部551が設けられているので、接合点P1の付近で発生して電極端子部570側へ真っすぐに移動しようとする熱を開口部551により遮断できる。よって、端子形成部580から熱が一層逃げにくくなるので、第1バスバー500Aが一層反りにくくなる。
【0106】
第1バスバー500Aと同様にして、専用の治具3を用いて、バスバー本体部材650に端子形成部材660が接合固定され、第2バスバー600Aが形成される。第2バスバー600Aにおいても、第1バスバー500Aと同様に、バスバー本体部材650に設けられた4つの開口部652により、端子形成部材660側への反りが抑制される。
【0107】
なお、バスバー本体部材650には、端子形成部680よりも電極端子部670側に5つの開口部651が形成されている。しかしながら、これら開口部651は、端子形成部680の下側の4つの接合点P2から大きく離れている。このため、4つの開口部652がなくされた場合には、第2バスバー600Aの反りを許容範囲内に抑制することが難しい。
【0108】
<実施形態2の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0109】
第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aは、電極410、420に接続される電極端子部570、670と、端子形成部580、680とを有するバスバー本体部材550、650と、端子形成部580、680に重ね合わされて溶接により固定される端子形成部材560、660と、を含む。端子形成部580、680には、その表面から張り出し外部端子2a、2bに接続される複数の接続端子部581、681が、端子形成部580、680の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に開口部582、682が形成される。端子形成部材560、660には、その表面から張り出し外部端子2a、2bに接続される複数の接続端子部561、661が、端子形成部材560、660の一部が切り起されることにより、一方向に並ぶように形成されるとともに、切り起された部分に開口部562、662が形成される。そして、接続端子部581、681が開口部562、662に通されることにより、接続端子部581、681と接続端子部561、661とが一方向に交互に並ぶ。
【0110】
この構成によれば、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aにおいて、一方向に並べられた複数の接続端子部561、581、661、681を切り起しにより形成する場合に、それら接続端子部561、581、661、681のバスバー500A、600Aの表面から張り出す方向(前後方向)の幅を、複数の接続端子部561、581、661、681が並ぶ間隔よりも大きくすることができる。これにより、複数の接続端子部561、581、661、681が並ぶ間隔に制約されることなく、外部装置等との接続関係に応じて、張り出す方向に十分な幅の接続端子部561、581、661、681を有する第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aを容易に準備できる。
【0111】
さらに、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aには、溶接による端子形成部580、680と端子形成部材560、660との接合点P1、P2が、開口部582、682および開口部562、662よりも電極端子部570、670側に複数設けられ、バスバー本体部材550、650には、接合点P1、P2の近傍であって接合点P1、P2よりも電極端子部570、670側に開口部551、652が形成される。
【0112】
この構成によれば、溶接の際、端子形成部580、680の接合点P1、P2で発生した熱が、開口部551、652で遮断されることにより端子形成部580、680から逃げにくくなるため、端子形成部580、680と端子形成部材560、660との間に、温度差が生じにくくなり、伸び量の差が出にくくなる。これにより、溶接後に第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aが冷却した際、端子形成部材560、660に伸縮方向の応力が生じにくくなり、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aが端子形成部材560、660側に反りにくくなる。
【0113】
さらに、開口部551、652は、接合点P1、P2が並ぶ方向(左右方向)と直交する方向(上下方向)において接合点P1、P2と重なるように形成される。
【0114】
この構成によれば、接合点P1、P2の付近で発生して電極端子部570、670側へ真っすぐに移動しようとする熱を開口部551、652により遮断できる。よって、端子形成部580、680から熱が一層逃げにくくなるので、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aが一層反りにくくなる。
【0115】
以上、本発明の実施形態2について説明したが、本発明は、上記実施形態2に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態2の他に、種々の変更が可能である。
【0116】
<実施形態2の変更例>
図14(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2の変更例に係る、第1バスバー500Aの端子形成部材560Aおよび第2バスバー600Aの端子形成部材660Aの斜視図である。
【0117】
上記実施形態2の端子形成部材560、660に代えて、本変更例の端子形成部材560A、660Aを用いることができる。
【0118】
図14(a)に示すように、端子形成部材560Aには、枠部563の上側の桟563aと下側の桟563bに、それぞれ、所定の間隔で3か所に幅狭部566が形成される。各幅狭部566は、枠部563における幅狭部566の両側の部分よりの幅が狭い状態で波打った形状を有する。同様に、図14(b)に示すように、端子形成部材660Aにも枠部663の上側の桟663aと下側の桟663bに、それぞれ、所定の間隔で3か所に幅狭部666が形成される。各幅狭部566、666は、隣り合う2つの接合点P1、P2の間に位置することになる。
【0119】
本変更例の構成とされた場合、溶接の際に、幅狭部566、666で熱が遮断されやすくなり、接合点P1、P2付近からの熱引きが少なくなるため、接合点P1、P2に入力される熱量を少なくすることができる。これにより、溶接の際に、接合点P1、P2の付近が高温になりにくくなるので、端子形成部材560A、660Aが高温になりにくくなる。よって、端子形成部580、680と端子形成部材560A、660Aとの間に温度差が一層生じにくくなり、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aが一層反りにくくなる。
【0120】
なお、幅狭部566、666の形状は、上記の形状に限られるものではなく、たとえば、図14(c)および(d)に示すように、直線形状であってもよい。ただし、幅狭部566、666を波打ち形状とした場合、直線形状とする場合に比べて、熱引き経路(幅狭の経路)を長くできるので、より熱が遮断されやすくなり、溶接点(接合点)付近の温度上昇が抑えられやすくなる。
【0121】
さらに、上記変更例において、端子形成部材560A、660Aの枠部563、663の左側の桟と右側の桟にも、幅狭部566、666が設けられてもよい。
【0122】
さらに、上記実施形態2において、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aには、上下に4か所ずつ接合点P1、P2が設けられた。しかしながら、接合点P1、P2の個数は、上記の個数に限られず、適宜、変更可能である。
【0123】
また、上記実施形態2では、バスバー本体部材550、650に、1つの接合点P1、P2に対応して1つの開口部551、652が形成された。しかしながら、1つの接合点P1、P2に対応して1つの開口部551、652が形成されなくてもよい。たとえば、2つあるいはそれ以上の接合点P1、P2に対応して、これら接合点P1、P2に上下方向に重なる左右の幅の大きな開口部551、652が形成されてもよい。この場合、開口部551、652の大きさは、接続端子部561、581、661、681と電極端子部570、670との間で良好な導電性が確保されるように考慮される必要がある。
【0124】
さらに、上記実施形態2では、開口部551、652が、接合点P1、P2が並ぶ方向(左右方向)と直交する方向(上下方向)において接合点P1、P2と重なるように形成された。しかしながら、開口部551、652が、上記直交方向(上下方向)において接合点P1、P2と重ならないように形成されてもよい。
【0125】
さらに、上記実施形態2では、バスバー本体部材550、650において、開口部551、652は、その上縁が端子形成部580、680の下縁に接するような位置に形成された。しかしながら、開口部551、652は、接合点P1、P2の近傍に位置していて、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aの反りが許容範囲となるように抑制できれば、その上縁が端子形成部580、680の下縁から離れる位置に形成されてもよい。この場合、接合点P1、P2から開口部551、652の上縁までの距離は、少なくとも10mm以内、望ましくは5mm以内とされるとよい。
【0126】
さらに、上記実施形態2では、開口部551、652が長方形状に形成された。しかしながら、開口部551、652の形状は、如何なるものであってもよく、たとえば、正方形状や長円形状とされてもよい。
【0127】
さらに、上記実施形態2では、開口部551、652のみが、接合点P1、P2の近傍であって接合点P1、P2よりも電極端子部570、670側(下方向)に形成された。しかしながら、開口部551、652に加えて、さらに、左端の上下の接合点P1、P2の近傍であって接合点P1、P2の左方向にも開口部が形成されてもよい。
【0128】
さらに、上記実施形態2では、端子形成部580、680の右側と上側にバスバー本体部材550、650の領域が存在しない。しかしながら、端子形成部580、680の上側にバスバー本体部材550、650の領域が存在する場合は、上側の接合点P1、P2の近傍であって接合点P1、P2の上方向に開口部が形成されてもよく、端子形成部580、680の右側にバスバー本体部材550、650の領域が存在する場合は、右端の上下の接合点P1、P2の近傍であって接合点P1、P2の右方向にも開口部が形成されてもよい。
【0129】
さらに、図15(a)および(b)に一点鎖線で示すように、バスバー本体部材550、650に、開口部551、652に加えて、さらに接合点P1、P2の近傍であって接合点P1、P2の左右方向に開口部552、653が形成されてもいい。さらに、左右方向の開口部552、653が開口部551、652と繋がって、接合点P1、P2を三方から囲む1つの開口部が形成されてもよい。
【0130】
さらに、上記実施形態2では、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aにおいて、端子形成部材560、660が、バスバー本体部材550、650と別体に形成された。しかしながら、端子形成部材560、660と端子形成部580、680の上端同士あるいは右端同士が繋がるように、端子形成部材560、660がバスバー本体部材550、650と一体に形成されてもよい。この場合、バスバー形成工程では、端子形成部材560、660が折り曲げられて端子形成部580、680に重ねられ、溶接により固定される。
【0131】
さらに、上記実施形態2では、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aは、バスバー本体部材550、650の端子形成部580、680の接続端子部581、681が、端子形成部材560、660の開口部562、662を通されることにより、端子形成部580、680の接続端子部581、681と端子形成部材560、660の接続端子部561、661とが交互に並ぶ構成とされた。しかしながら、これとは反対に、図16および図17に示すように、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aは、端子形成部材560、660の接続端子部561、661が、端子形成部580、680の開口部582、682を通されることにより、端子形成部580、680の接続端子部581、681と端子形成部材560、660の接続端子部561、661とが交互に並ぶ構成とされてもよい。
【0132】
<その他の変更例>
上記実施形態1では、第1バスバー500および第2バスバー600に、3つの接続端子部521、621と2つの接続端子部541、641とからなる5つの接続端子部が設けられた。しかしながら、第1バスバー500および第2バスバー600に設けられる接続端子部の個数は、5つに限られず、複数個であれば、幾つであってもよい。同様に、第1バスバー500Aおよび第2バスバー600Aに設けられる接続端子部の個数も、5つに限られず、複数個であれば、幾つであってもよい。
【0133】
さらに、上記実施形態1、2では、フィルムコンデンサ1に1個のコンデンサ素子400が備えられた。しかしながら、コンデンサ素子400の個数は、2個以上であってもよく、適宜、変更されてよい。
【0134】
さらに、上記実施形態1、2では、コンデンサ素子400は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層することで形成されたものであるが、これ以外にも、誘電体フィルムの両面にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムと絶縁フィルムとを重ね、これを巻回または積層することにより、これらコンデンサ素子400が形成されてもよい。
【0135】
さらに、上記実施形態1、2では、本発明のコンデンサの一例として、フィルムコンデンサ1が挙げられた。しかしながら、本発明は、フィルムコンデンサ1以外のコンデンサに適用することもできる。
【0136】
この他、本発明の実施の形態は、請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0137】
なお、上記実施の形態の説明において「上方」「下方」等の方向を示す用語は、構成部材の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示すものであり、鉛直方向、水平方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、各種電子機器、電気機器、産業機器、車両の電装等に使用されるコンデンサに有用である。
【符号の説明】
【0139】
1 フィルムコンデンサ(コンデンサ)
3 治具
400 コンデンサ素子
410 第1電極(電極)
420 第2電極(電極)
500 第1バスバー(バスバー)
510 バスバー本体部材
520 端子形成部材
521 接続端子部(第2接続端子部)
522 開口部(第2開口部)
523 枠部
524 幅狭部
525 孔部
526 孔部
527 接合点
530 電極端子部
540 端子形成部
541 接続端子部(第1接続端子部)
542 開口部(第1開口部)
544 孔部
545 孔部
600 第2バスバー(バスバー)
610 バスバー本体部材
620 端子形成部材
621 接続端子部(第2接続端子部)
622 開口部(第2開口部)
623 枠部
624 幅狭部
625 孔部
626 孔部
627 接合点
630 電極端子部
640 端子形成部
641 接続端子部(第1接続端子部)
642 開口部(第1開口部)
644 孔部
645 孔部
811 ピン(突起部)
1A フィルムコンデンサ(コンデンサ)
500A 第1バスバー(バスバー)
550 バスバー本体部材
551 開口部(第3開口部)
560 端子形成部材
560A 端子形成部材
561 接続端子部(第2接続端子部)
562 開口部(第2開口部)
563 枠部
566 幅狭部
570 電極端子部
580 端子形成部
581 接続端子部(第1接続端子部)
582 開口部(第1開口部)
600A 第2バスバー(バスバー)
650 バスバー本体部材
652 開口部(第3開口部)
660 端子形成部材
660A 端子形成部材
661 接続端子部(第2接続端子部)
662 開口部(第2開口部)
663 枠部
666 幅狭部
670 電極端子部
680 端子形成部
681 接続端子部(第1接続端子部)
682 開口部(第1開口部)
P1 接合点
P2 接合点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17