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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/65 20230101AFI20241011BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20241011BHJP
【FI】
H04N25/65
H04N25/76
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021566863
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040235
(87)【国際公開番号】W WO2021131300
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2019231609
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳壽子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127593(JP,A)
【文献】特開2016-197617(JP,A)
【文献】特開2018-191270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/65
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を信号電荷に変換する光電変換部と、
前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に接続されるゲートを有する増幅トランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に電気的に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続されるフィードバックトランジスタと、
前記増幅トランジスタと前記フィードバックトランジスタとの間の第1ノードに電流を供給する電流供給部と、
ソースおよびドレインの一方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される第1選択トランジスタと、
を含む画素と、
ソースおよびドレインの一方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される第2選択トランジスタと、
電流源および第1電圧供給回路を含み、前記第1選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に前記電流源および前記第1電圧供給回路のいずれか一方を選択的に接続させる電流源電圧源切り替え回路と、
前記第2選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される第2電圧供給回路と、
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記電流供給部は、前記電荷蓄積部をリセットする期間のうちの一部の期間のみ前記第1ノードに前記電流を供給する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2選択トランジスタは、前記画素に含まれる、
請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2選択トランジスタがオン状態となる第1期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部に蓄積された前記信号電荷の量に対応する信号を前記画素の外部に出力し、
前記第2選択トランジスタがオフ状態となる第2期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部の電位に対応する信号を前記電荷蓄積部に負帰還させる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記電流源電圧源切り替え回路は、前記第1期間において前記電流源を接続させ、前記第2期間において前記第1電圧供給回路を接続させる、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
光を信号電荷に変換する光電変換部と、
前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に接続されるゲートを有する増幅トランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に電気的に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続されるフィードバックトランジスタと、
前記増幅トランジスタと前記フィードバックトランジスタとの間の第1ノードに、前記電荷蓄積部をリセットする期間のうちの一部の期間のみ電流を供給する電流供給部と、
ソースおよびドレインの一方が前記第1ノードに接続される第1選択トランジスタと、
を含む画素と、
前記第1選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される電流源と、
前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、互いに異なる少なくとも2つの電圧を供給する第1電圧供給回路と、
を備える、撮像装置。
【請求項7】
前記電流供給部は、電流供給トランジスタを含む、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1選択トランジスタがオン状態となる第1期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部に蓄積された前記信号電荷の量に対応する信号を前記画素の外部に出力し、
前記第1選択トランジスタがオフ状態となる第2期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部の電位に対応する信号を前記電荷蓄積部に負帰還させる、
請求項6または請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1電圧供給回路は、前記第1期間と前記第2期間とで互いに異なる電圧を供給する、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1期間と前記第2期間との間で、前記増幅トランジスタの増幅率が互いに異なる、
請求項4、請求項5、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記画素は、
一端が前記電荷蓄積部に接続され、他端が前記フィードバックトランジスタのソースおよびドレインの一方に接続される第1容量素子と、
一端が前記フィードバックトランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される第2容量素子と、
を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第2容量素子の容量は、前記第1容量素子の容量よりも大きい、
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に接続され、前記電荷蓄積部の電位を初期化するためのリセットトランジスタをさらに備える、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記リセットトランジスタのソースおよびドレインの他方は、前記フィードバックトランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される、
請求項13に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の分野においては、ノイズ低減の要求がある。特に、リセット時に発生するkTCノイズ(「リセットノイズ」とも呼ばれる)を低減したいという要望がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、画素内フィードバックによりリセットノイズを低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-127593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リセットノイズを効果的に低減することができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る撮像装置は、光を信号電荷に変換する光電変換部と、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部に接続されるゲートを有する増幅トランジスタと、ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に電気的に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続されるフィードバックトランジスタと、前記増幅トランジスタと前記フィードバックトランジスタとの間の第1ノードに電流を供給する電流供給部と、ソースおよびドレインの一方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される第1選択トランジスタと、を含む画素と、ソースおよびドレインの一方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される第2選択トランジスタと、電流源および第1電圧供給回路を含み、前記第1選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に前記電流源および前記第1電圧供給回路のいずれか一方を選択的に接続させる電流源電圧源切り替え回路と、前記第2選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される第2電圧供給回路と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、光を信号電荷に変換する光電変換部と、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部に接続されるゲートを有する増幅トランジスタと、ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に電気的に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続されるフィードバックトランジスタと、前記増幅トランジスタと前記フィードバックトランジスタとの間の第1ノードに、前記電荷蓄積部をリセットする期間のうちの一部の期間のみ電流を供給する電流供給部と、ソースおよびドレインの一方が前記第1ノードに接続される第1選択トランジスタと、を含む画素と、前記第1選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される電流源と、前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、互いに異なる少なくとも2つの電圧を供給する第1電圧供給回路と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
リセットノイズを効果的に低減することができる撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る撮像装置の構成を示す模式図である。
図2A図2Aは、実施の形態1に係る画素の例示的な構成を示す模式図である。
図2B図2Bは、実施の形態1に係る光検出器の構成例を示す模式図である。
図2C図2Cは、実施の形態1に係る光検出器の構成例を示す模式図である。
図3図3は、実施の形態1に係る信号読み出し回路の構成を示す模式図である。
図4図4は、実施の形態1に係る信号読み出し回路の動作を示すタイミングチャートである。
図5図5は、実施の形態2に係る画素の例示的な構成を示す模式図である。
図6図6は、実施の形態2に係る信号読み出し回路の構成を示す模式図である。
図7図7は、実施の形態2に係る信号読み出し回路の動作を示すタイミングチャートである。
図8図8は、実施の形態3に係る撮像装置の構成を示す分解斜視図である。
図9図9は、実施の形態4に係るカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一態様に係る撮像装置等の具体例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る撮像装置100の構成を示す模式図である。撮像装置100は、一例として積層型の撮像素子であり、半導体基板に積層された、入射光を光電変換する光電変換膜を有している。
【0012】
撮像装置100は、複数の画素110と、周辺回路とを備える。撮像装置100には、複数の画素110が2次元にアレイ状に配置されることにより、感光領域(画素領域)が形成されている。なお、複数の画素110は、1次元に列状に配列されてもよい。この場合、撮像装置100はラインセンサである。ここでは、複数の画素110は、行方向および列方向にアレイ上に配置されているとして説明する。列方向とは、画素がアレイ状に配列されてなる画素アレイにおける列が伸びる方向であり、行方向とは画素アレイにおける行が伸びる方向である。
【0013】
複数の画素110のそれぞれは、電源線120に接続される。複数の画素110のそれぞれには、電源線120を介して所定の電源電圧が供給される。
【0014】
また、複数の画素110のそれぞれは、蓄積制御線130が接続される。複数の画素110のそれぞれには、蓄積制御線130を介して、光電変換膜の全体に印加する同一の一定電圧が供給される。但し、変動を抑制するなどの制御を行う場合には、光電変換膜をいくつかの領域に分けて、それぞれの領域に対して異なる電圧が供給されるとしてもよい。光電変換膜の全体、または、いくつかの領域に対して、複数の電圧が供給されるとしてもよい。
【0015】
周辺回路は、垂直走査回路141と、カラム信号処理回路142と、水平信号読み出し回路143と、電流源144とを含む。垂直走査回路は行走査回路とも呼ばれ、水平信号読み出し回路は列走査回路とも呼ばれる。カラム信号処理回路142および電流源144は、画素アレイにおける列毎に配置され得る。カラム信号処理回路142および電流源144は、画素アレイにおける一列にn個、m列毎に1個配置してもよい。
【0016】
以下、周辺回路の構成の一例を説明する。
【0017】
垂直走査回路141は、選択制御信号線CON500および増幅制御信号線CON300、リセット制御信号線CON400に接続される。選択制御信号線はアドレス信号線とも呼ばれる。垂直走査回路141は、選択制御信号線CON500に所定の電圧を印加することにより、画素アレイの各行に配置された複数の画素110を行単位で選択する。これにより、選択された画素110の信号電圧の読み出しが実行される。
【0018】
カラム信号処理回路142は、画素アレイの各列に配置され、各列に配置された垂直信号線170を介して、各列に配置された画素110のそれぞれに電気的に接続される。垂直信号線は、信号読み出し信号線とも呼ばれる。カラム信号処理回路142は、画素110から読み出された信号に対して、相関二重サンプリングに代表される雑音抑止信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)等を行う。
【0019】
水平信号読み出し回路143は、複数のカラム信号処理回路142に接続され、複数のカラム信号処理回路142から信号を読み出し、水平共通信号線180に信号を出力する。
【0020】
画素110は、光を電気信号に変換する光電変換部と、光電変換部により変換された信号電荷を読み出す信号読み出し回路とで構成される。
【0021】
次に、図2A図2B図2Cを参照して、画素110の構造を説明する。
【0022】
図2Aは、画素110の例示的な回路構成を示す模式図である。
【0023】
図2Aに示すように、画素110は、光電変換部1と、増幅部2と、フィードバック制御部3と、電荷蓄積部FDと、電源選択部5Aとを備える。
【0024】
光電変換部1は、光を信号電荷に変換する。
【0025】
電荷蓄積部FDは、光電変換部1により変換された信号電荷を蓄積する。
【0026】
増幅部2と、フィードバック制御部3と、電荷蓄積部FDと、電源選択部5Aとによって、信号読み出し回路が形成される。
【0027】
図2Bは、図1に示される光電変換部1の一例である光検出器1Aの構成例を示す模式図であり、図2Cは、図1に示される光電変換部1の一例である光検出器1Eの構成例を示す模式図である。
【0028】
光電変換部1は、例えば、図2Bに示すように、光電変換膜、一例として有機光電変換膜1Bを用いた光検出器1Aにより実現することができる。
【0029】
光検出器1Aは、例えば、図2Bに示すように、上部電極1C、下部電極1D、およびこれらに挟まれた有機光電変換膜1Bから構成される。上部電極1Cに基準電圧Vpを印加し、電荷蓄積部FDを形成するノードの一端を下部電極1Dに接続することにより、電界がかかり、光検出器1Aが変換する信号電荷を電荷蓄積部FDに蓄積できる。基準電圧Vpは、図1に図示される蓄積制御線130を介して供給される。
【0030】
光電変換部1は、例えば、図2Bに示すように、フォトダイオードを用いた光検出器1Eにより実現することができる。フォトダイオードの一端に接地電位または基準電圧Vpを印加し、電荷蓄積部FDを形成するノードの一端をフォトダイオードの他端に接続することにより、光検出器1Eが変換する信号電荷を電荷蓄積部FDに蓄積できる。接地電位または基準電圧Vpは、図1に図示される蓄積制御線130を介して供給される。
【0031】
光電変換部1は、その他の光変換機能を有する素子により実現されてもよい。
【0032】
再び図2Aに戻って、画素110の構成についての説明を続ける。
【0033】
電荷蓄積部FDは、配線層によって光電変換部1に接続される。電荷蓄積部FDは、さらに、増幅部2の入力に接続される。
【0034】
増幅部2は、電荷蓄積部FDに蓄積された信号電荷に応じた信号を増幅し、フィードバック制御部3と出力選択部5(図3参照)とに出力する。
【0035】
増幅部2とフィードバック制御部3とは、電荷蓄積部FDを介して帰還回路30を形成する。帰還回路30によって、電荷蓄積部FDから読み出された信号は、増幅部2とフィードバック制御部3とを通って電荷蓄積部FDに帰還される。
【0036】
電源選択部5Aは、電源ライン70に接続される。電源ライン70は、図1に図示される電源線120に対応する。電源ライン70は電圧回路8に接続される。
【0037】
上記構成において、撮像装置100は、電源選択部5Aを所望の期間、例えば、帰還回路30が形成される期間切断、すなわちオフ状態とする。これにより、電源ライン70の負荷、すなわち時定数の影響が抑制され、ノイズ抑制を高速化することができる。
【0038】
以下、信号読み出し回路の詳細について説明する。
【0039】
図3は、信号読み出し回路50の構成を示す模式図である。図3において、既に図1図2A図2B図2Cで図示された構成要素と同様の構成要素については、同じ符号が振られて図示される。
【0040】
図3に示すように、信号読み出し回路50は、電荷蓄積部FDと、増幅部2と、フィードバック制御部3と、電流供給部9と、出力選択部5と、電源選択部5Aと、電流源電圧源切り替え回路60と、電圧回路8とを含む。以下、電圧回路8を、第2電圧供給回路8とも称する。
【0041】
図3に示すように、画素110は、光電変換部1に加えて、信号読み出し回路50のうちの、電荷蓄積部FDと、増幅部2と、フィードバック制御部3と、電流供給部9と、出力選択部5と、電源選択部5Aとを含む。
【0042】
図3に示すように、増幅部2は、増幅トランジスタ200を含む。フィードバック制御部3は、フィードバックトランジスタ300と、ノイズ保持部RDと、リセットトランジスタ400と、第1容量素子320と、第2容量素子310とを含む。出力選択部5は、第1選択トランジスタ500を含む。電源選択部5Aは、第2選択トランジスタ501を含む。
【0043】
すなわち、画素110は、光電変換部1と、電荷蓄積部FDと、増幅トランジスタ200と、フィードバックトランジスタ300と、電流供給部9と、第1選択トランジスタ500と、第2選択トランジスタ501と、第1容量素子320と、第2容量素子310と、リセットトランジスタ400とを含む。
【0044】
増幅トランジスタ200のゲートは、電荷蓄積部FDに接続される。
【0045】
フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方は、第1容量素子320を介して電荷蓄積部FDに接続される。すなわち、第1容量素子320の一端は、電荷蓄積部FDに接続され、第1容量素子320の他端は、フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方に接続される。フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの他方は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方に接続される。ここで、フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方と、第1容量素子320との間のノードをノイズ保持部RDと呼ぶ。電荷蓄積部FDの信号は、増幅トランジスタ200、フィードバックトランジスタ300、および第1容量素子320を通って電荷蓄積部FDに負帰還される。
【0046】
リセットトランジスタ400のソースおよびドレインの一方は、電荷蓄積部FDに接続される。リセットトランジスタ400は、電荷蓄積部FDの電位を初期化する。リセットトランジスタ400のソースおよびドレインの他方は、ノイズ保持部RDに接続される。すなわち、リセットトランジスタ400は、第1容量素子320と並列に接続される。
【0047】
第2容量素子310の一端は、フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方に接続される。第2容量素子310の他端は、画素110内部もしくは画素110外部に配置される基準電位VC1に接続される。
【0048】
電流供給部9は、電流源600を含む。電流供給部9は、増幅トランジスタ200とフィードバックトランジスタ300との間の第1ノードMDに電流を供給する。
【0049】
第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの一方は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方に接続される。
【0050】
第2選択トランジスタ501のソースおよびドレインの一方は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方に接続される。
【0051】
電流源電圧源切り替え回路60は、電流源6および第1電圧供給回路64を含み、第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの他方に、電流源6および第1電圧供給回路64のいずれか一方を選択的に接続させる。ここで、第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの他方は、信号読み出しライン7を介して、電流源6および第1電圧供給回路64のいずれか一方と選択的に接続される。電流源6は、図1に図示される電流源144に対応する。信号読み出しライン7は、図1に図示される垂直信号線170に対応する。
【0052】
第2電圧供給回路8は、第2選択トランジスタ501のソースおよびドレインの他方に接続される。ここで、第2選択トランジスタ501のソースおよびドレインの他方は、電源ライン70を介して、第2電圧供給回路8と接続される。
【0053】
kTCノイズは、リセットトランジスタ400とフィードバックトランジスタ300をオフ状態とすることにより共に発生する。ここで、そのうちのフィードバックトランジスタ300のkTCノイズについて、電荷蓄積部FDの電圧に加わるkTCノイズの大きさは、画素110に第1容量素子320および第2容量素子310を設けずにフィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方を電荷蓄積部FDに直接接続した場合の
【数1】
倍である。ここで、Cfd、Cc、及びCsは、それぞれ、電荷蓄積部FDの容量、第1容量素子320の容量、及び第2容量素子310の容量を示す。
【0054】
このように、第2容量素子310の容量Csが大きい程、発生するノイズ自体は小さくなる。また、第1容量素子320の容量Ccが小さい程、減衰率は大きくなる。従って、第1容量素子320の容量Cc及び第2容量素子310の容量Csを適切に設定することにより、kTCノイズを十分に低減することができる。
【0055】
なお、リセットトランジスタ400及びフィードバックトランジスタ300がオフ状態のとき、第2容量素子310は、第1容量素子320を介して電荷蓄積部FDに接続されている。ここで、第1容量素子320を介さずに電荷蓄積部FDと第2容量素子310とを直接に接続した場合を想定する。このとき、電荷蓄積部FDの実質的な容量は、(Cfd+Cs)となる。よって、第2容量素子310の容量Csが比較的大きい場合、電荷蓄積部FDの実質的な容量も大きな値となるため、高いゲインが得られない。ここでいう高いゲインとは、高いSN比と言ってもよい。そこで、本実施の形態では、第1容量素子320を介して第2容量素子310を電荷蓄積部FDに接続している。そのため、電荷蓄積部FDの実質的な容量は、(Cfd+(CcCs)/(Cc+Cs))と表される。第1容量素子320の容量Ccが比較的小さく、第2容量素子310の容量Csが比較的大きい場合、電荷蓄積部FDの実質的な容量は、おおよそ(Cfd+Cc)となる。すなわち、電荷蓄積部FDの実質的な容量の増加は小さい。このように、比較的小さな容量を有する第1容量素子320を介して、第1容量素子320の容量よりも大きな容量の第2容量素子310を電荷蓄積部FDに接続することにより、変換ゲインの低下を抑制することができる。
【0056】
フィードバックトランジスタ300のゲートには、増幅制御信号線CON300が接続され、増幅制御信号線CON300の電位により、フィードバックトランジスタ300の状態が決定される。例えば、増幅制御信号線CON300がハイレベルとローレベルの間の中間電位にある場合、フィードバックトランジスタ300はオン状態となり電荷蓄積部FDの信号は帰還される。増幅制御信号線CON300がローレベルにある場合、フィードバックトランジスタ300はオフ状態となり、電荷蓄積部FDの信号は帰還されない。増幅制御信号線CON300がハイレベルにある場合、フィードバックトランジスタ300はオン状態となり、電荷蓄積部FDの信号は帰還され、ノイズ保持部RDと第1ノードMDとの電位は等しくなる。
【0057】
第1選択トランジスタ500のゲートには、選択制御信号線CON500が接続され、選択制御信号線CON500の電位により、第1選択トランジスタ500の状態が決定される。例えば、選択制御信号線CON500がハイレベルの場合、第1選択トランジスタ500はオン状態となり、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とが電気的に接続される。選択制御信号線CON500がローレベルの場合、第1選択トランジスタ500はオフ状態となり、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とが電気的に分離される。
【0058】
第2選択トランジスタ401のゲートには、電源選択信号線CON501が接続され、電源選択信号線CON501の電位により、第2選択トランジスタ401の状態が決定される。例えば、電源選択信号線CON501がハイレベルの場合、第2選択トランジスタ501はオン状態となり、増幅トランジスタ200と電源ライン70とが電気的に接続される。電源選択信号線CON501がローレベルの場合、第2選択トランジスタ501はオフ状態となり、増幅トランジスタ200と電源ライン70とが電気的に分離される。電源選択信号線CON501は、例えば、垂直走査回路141に接続されてもよい。すなわち、垂直走査回路141が電源選択信号線CON501に所定の電圧を供給してもよい。
【0059】
第1電圧供給回路64は、基準電位VA3を供給する電圧源65と、基準電位VA3より高い電位である基準電位VA4を供給する電圧源66とを有する。
【0060】
信号読み出しライン7には、スイッチ素子61を介して電圧源65が接続され、スイッチ素子62を介して電圧源66が接続され、スイッチ素子63を介して電流源6が接続される。スイッチ素子61、62及び63のそれぞれに接続されるスイッチ素子制御信号線CON61、CON62及びCON63に印加される信号より、信号読み出しライン7を電圧源65、電圧源66及び電流源6の間で切り替える。スイッチ素子制御信号線CON61、CON62及びCON63は、例えば、垂直走査回路141に接続されてもよい。すなわち、垂直走査回路141からスイッチ素子制御信号線CON61、CON62、及びCON63に所定の電圧が印加されてもよい。
【0061】
第2電圧供給回路8は、電源ライン70に接続された制御電位VB2を供給する電圧源86を有する。
【0062】
増幅回路20Bは、第2電圧供給回路8、第2選択トランジスタ501、増幅トランジスタ200、電流源600、第1選択トランジスタ500、信号読み出しライン7、及び、電流源電圧源切り替え回路60を含む。本実施の形態では、増幅回路20Bは、電流源電圧源切り替え回路60内に第1ノードMDから流れ出す方向の電流源6と、画素110内に第1ノードMDに流れ込む方向の電流源600を含む。
【0063】
本実施の形態では、電流源6及び電流源600のどちらを使用するかを切り替え可能である。
【0064】
さらに、電流源6、電流源600、及び、電流源電圧源切り替え回路60のスイッチ素子の制御を連動させることが可能である。例えば、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVA3もしくはVA4であるときには、電流源600を選択し帰還回路30を動作させてもよい。増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVB2であるときには、電流源6を選択し増幅回路20Bを動作させてもよい。この動作により、増幅回路20Bは、増幅率の高いソース接地増幅回路として動作するモードと、増幅率がほぼ1であるソースフォロア回路として動作するモードとを切り替えることが可能となる。
【0065】
さらに、電流源6及び電流源600と電源選択信号線CON501との制御を連動させることが可能である。例えば、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVA3もしくはVA4であるときには、第2選択トランジスタ501をオフ状態として増幅トランジスタ200と電源ライン70とを切断してもよい。増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVB2であるときには、第2選択トランジスタ501をオン状態として増幅トランジスタ200と電源ライン70と接続してもよい。この動作により、増幅回路20Bがソース接地増幅回路として動作するモードの時には、第1ノードMDの変動を電源ライン70に伝えることがない。また、第1ノードMDが電源ライン70の負荷の影響を受けることがなくなる。
【0066】
リセットトランジスタ400のゲートには、リセット制御信号線CON400が接続され、リセット制御信号線CON400の電位により、リセットトランジスタ400の状態が決定される。例えば、リセット制御信号線CON400の電位がハイレベルの場合、リセットトランジスタ400はオン状態となり、ノイズ保持部RDと電荷蓄積部FDとが電気的に接続される。リセット制御信号線CON400の電位がローレベルの場合、リセットトランジスタ400はオフ状態となり、ノイズ保持部RDと電荷蓄積部FDとは第1容量素子320を介して接続される。
【0067】
実施の形態1において、信号読み出し回路50に含まれるトランジスタをNMOSトランジスタとして説明したが、この極性は反転してもよい。すなわち、信号読み出し回路50に含まれるトランジスタはPMOSトランジスタであってもよい。トランジスタの極性に合わせて制御信号のレベル、電圧源の電位を変えること等は明白であるため、ここではその詳細についての説明を省略する。
【0068】
上記構成の信号読み出し回路50は、電荷蓄積部FDをリセットするリセット期間においてリセット動作を行い、電荷蓄積部FDに蓄積された信号電荷を読み出す読み出し期間において読み出し動作を行う。リセット期間は、さらに、プリリセット期間とノイズ抑制期間とからなる。
【0069】
以下、図面を参照しながら、信号読み出し回路50の動作について説明する。
【0070】
図4は、信号読み出し回路50の動作を示すタイミングチャートである。
【0071】
<プリリセット期間の動作>
時刻t1において、信号読み出しライン7から電流源6を切断し、画素110内の電流源600から電流を供給する。この状態で、増幅制御信号線CON300及びリセット制御信号線CON400の電位をハイレベルにしてフィードバックトランジスタ300及びリセットトランジスタ400をオン状態にする。また、電源選択信号線CON501の電位をローレベルにして第2選択トランジスタ501をオフ状態にし、画素110と電源ライン70との接続を切断する。さらに、電流源電圧源切り替え回路60を制御して、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位をVA3に設定する。これにより、電荷蓄積部FDの電位をリセット電位VRSTとする。
【0072】
<ノイズ抑制期間の動作>
次に、時刻t2において、電源選択信号線CON501の電位をローレベルのまま保持し、第2選択トランジスタ501をオフ状態にし、画素110と第2電圧供給回路8との接続を切断する。さらに、画素110内の電流源600から電流を供給している状態で、リセット制御信号線CON400の電位をローレベルにする。このとき、電荷蓄積部FDにはkTCノイズが残存している。その後、時刻t3において、電流源電圧源切り替え回路60を制御して増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位を、VA3より高いVA4に設定する。
【0073】
その後、時刻t4から時刻t5の期間に、増幅制御信号線CON300の電位をハイレベルとローレベルとの中間の電位である制御電位VB2に設定する。時刻t4から時刻t5の期間において、増幅回路20Bはソース接地増幅モードで動作している。その増幅率を-Aとし、第1容量素子320の容量をCc、電荷蓄積部FDの容量をCfdとすると、電荷蓄積部FDの信号は、-A×Cc/(Cc+Cfd)倍増幅されて電荷蓄積部FDに帰還することとなる。
【0074】
時刻t4から時刻t5の期間の動作により、時刻t5において電荷蓄積部FDに残存するリセットトランジスタ400のkTCノイズは、帰還動作により、時刻t2において電荷蓄積部FDに残存するkTCノイズの、
【数2】
倍に抑制されることとなる。
【0075】
また、フィードバックトランジスタ300で発生するkTCノイズについては、帰還動作により
【数3】
倍に抑制され、電荷蓄積部FDには更にCc/(Cfd+Cc)倍されて伝達することとなる。従って、時刻t5において電荷蓄積部FDに残存するkTCノイズは、時刻t2において電荷蓄積部FDに残存するkTCノイズに対して、
【数4】
倍となる。
【0076】
信号読み出し回路50では、リセット期間、すなわちプリリセット期間とノイズ抑制期間とを合わせた期間において、画素110内の電流源600から電流を供給し、画素110と電源ライン70との接続を切断する。これにより、電源ライン70と周辺信号線間の寄生容量カップリングにより発生する課題を抑制できる。寄生容量カップリングにより発生する課題としては、例えば、ノイズ抑制のための帰還動作における電圧の変動や、供給電圧を変更することによる電圧の変動が周辺信号を変動させ、信号収束に時間がかかってしまう課題である。なお、ここでいう電圧の変動は、例えば、ソースフォロアでの読み出し時の電圧設定VB2から、プリリセット時のリセット電圧設定VA3、ノイズ抑制時の電圧設定VA4、また、ソースフォロアでの読み出し時の電圧設定VB2への変動である。また、ノイズ抑制時に、画素110に電源ライン70の負荷が付加されないため、帰還回路の収束が高速化するという効果が得られる。
【0077】
<読み出し期間の動作>
時刻t6において、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインが制御電位VB2になるよう、電流源電圧源切り替え回路60を制御する。その後、電源選択信号線CON501の電位をハイレベルにして第2選択トランジスタ501をオン状態にし、画素110と電源ライン70とを接続する。同時に、画素110内の電流源600からの画素110への電流の供給を停止し、電流源6による電流の供給を開始する。この状態においては、増幅トランジスタ200と電流源6とがソースフォロア回路を形成し、信号読み出しライン7は、電荷蓄積部FDの電位に応じた電位となる。ここで、ソースフォロア回路の増幅率は1倍程度である。
【0078】
時刻t6において、電荷蓄積部FDの電圧は、ほぼリセット電圧VRSTの電位であり、読み出し期間において、1倍程度の増幅率で信号読み出しライン7に出力される。
【0079】
ここで、ランダムノイズは、光電変換部1で変換される電荷信号が0の時の出力のゆらぎ、すなわち、リセットトランジスタ400のkTCノイズとフィードバックトランジスタ300のkTCノイズの二乗和であり、各々のノイズは、ノイズ抑制期間にて、リセットトランジスタ400のkTCノイズは、
【数5】
倍に抑制され、フィードバックトランジスタ300のkTCノイズは、
【数6】
倍に抑制された状態で、光電変換部1で変換された信号電荷が読み出されることとなる。
【0080】
なお、撮像装置100は、信号読み出しライン7の信号を検出するための後段回路が信号読み出しライン7に接続されるとしてもよい。後段回路の例としては、信号読み出しライン7の信号を列毎にAD変換するような構成の回路が挙げられるが、これに限定されない。また、撮像装置100は、後段回路のばらつきをキャンセルするためのCDSを行うことも可能である。具体的には、読み出し期間において信号電荷を読み出した後、再度リセット動作を行う。このリセット動作の完了後、光電変換部1での光電変換を行う前に、再度読み出し動作を行う。これにより、基準電圧を読み出すことができる。信号電圧と基準電圧との差分を取ることでCDSを行ってもよい。このように、撮像装置100は、CDSを行ってもよく、CDSを行わなくてもよい。
【0081】
また、撮像装置100は、電荷蓄積部FDの信号をソースフォロア回路で読み出す構成であるため、増幅率は1倍程度であるとして説明した。しかし、これに限定される必要はなく、システムに必要なS/N、回路レンジ等に応じて、増幅率を1倍以外の値としてもよい。
【0082】
以上説明したように、撮像装置100では、ノイズキャンセルのための帰還回路にソース接地増幅回路を含む。これにより、レイアウトやデバイス起因の寄生容量の影響を受けることなく、ランダムノイズを抑制することが可能である。
【0083】
なお、撮像装置100では、プリリセット期間における電荷蓄積部FDのリセット電圧を、増幅トランジスタ200からノイズ保持部RDで供給する構成にしている。しかし、これに限らず、例えば、増幅トランジスタ200から第1ノードMDで供給するようにしてもよい。また、あらかじめ所望の電圧に設定した基準電位VR1から供給するようにしてもよい。それにより、電荷蓄積部FD及びノイズ保持部RDをトランジスタのばらつきによらない一定の電位にリセットすることができる。そのため、よりデバイスばらつきによらずに良好な画像データを提供することが可能となる。
【0084】
また、電源選択部5Aは画素110内に設けると説明したが、画素110外に配置してもよく、その場合は、画素面積の縮小が図れ、かつ、電圧源86の負荷が見えない分の高速化が図れる。
【0085】
[考察]
上記構成の撮像装置100によると、リセット期間において信号読み出しライン7に流れる電流の向きと、読み出し期間において信号読み出しライン7に流れる電流の向きとが一致する。このため、撮像装置100は、リセット期間において信号読み出しライン7に流れる電流の向きと、読み出し期間において信号読み出しライン7に流れる電流の向きとが逆向きになる撮像装置に比べて、信号読み出しライン7に流れる電流の向きが逆転することに起因する電源の電圧変動を抑制することができる。従って、リセットノイズを効果的に低減することができる。
【0086】
さらに、信号読み出し回路50では、リセット期間、すなわちプリリセット期間とノイズ抑制期間とを合わせた期間において、画素110内の電流源600から電流を供給し、画素110と電源ライン70との接続を切断する。これにより、電源ライン70と周辺信号線間の寄生容量カップリングにより発生するノイズ課題を抑制できる。
【0087】
本2つの構成を用いることにより、周辺信号線間の寄生容量抑制、ノイズキャンセルの高速化に効果をもたらすことが可能となる。ただし、求められる特性により、2つ共の構成を設けても、どちらか1つの構成を設けてもよい。
【0088】
(実施の形態2)
以下、実施の形態1に係る撮像装置100の一部の構成が変更されて構成される実施の形態2に係る撮像装置について説明する。以下、実施の形態2に係る撮像装置の構成要素のうち、実施の形態1に係る撮像装置100の構成要素と同様の構成要素については、既に説明済であるとして同じ符号を振って、その詳細な説明を省略する。
【0089】
実施の形態2に係る撮像装置は、実施の形態1に係る撮像装置100から、画素110が実施の形態2に係る画素に変更される。
【0090】
図5は、実施の形態2に係る画素110Aの例示的な回路構成を示す模式図である。
【0091】
図5に示すように、画素110Aは、光電変換部1と、増幅部2と、フィードバック制御部3と、電荷蓄積部FDと、出力選択部5とを備える。
【0092】
増幅部2と、フィードバック制御部3と、電荷蓄積部FDと、出力選択部5とによって、信号読み出し回路が形成される。
【0093】
出力選択部5は、少なくとも2つの画素110Aで共有される信号読み出しライン7に接続される。増幅部2によって増幅された信号は、出力選択部5を介して信号読み出しライン7に出力される。信号読み出しライン7は、図1に図示される垂直信号線170に対応する。信号読み出しライン7は、電流源回路60Aに接続される。
【0094】
上記構成により、実施の形態2に係る撮像装置は、出力選択部5を所望の期間、例えば、帰還回路30が形成される期間切断、すなわちオフ状態とする。これにより、信号読み出しライン7の変動の影響を、寄生容量によりカップリングした周辺信号に及ぼさない構成を実現する。また、上記構成により、実施の形態2に係る撮像装置は、出力選択部5を所望の期間、例えば、帰還回路30が形成される期間切断する。これにより、信号読み出しライン7の負荷(例えば、時定数)の影響を抑制しノイズ抑制の高速化を実現する。
【0095】
以下、信号読み出し回路の詳細について説明する。
【0096】
図6は、実施の形態2に係る信号読み出し回路50Aの構成を示す模式図である。図6において、既に図1図2A図2B図2C図3図5で図示された構成要素と同様の構成要素については、同じ符号が振られて図示される。
【0097】
図6に示すように、信号読み出し回路50Aは、電荷蓄積部FDと、増幅部2と、フィードバック制御部3と、電流供給部9Aと、出力選択部5と、電流源回路60Aと、電圧回路8Aとを含む。以下、電圧回路8Aを、第1電圧供給回路8とも称する。
【0098】
図6に示すように、画素110Aは、光電変換部1に加えて、信号読み出し回路50Aのうちの、電荷蓄積部FDと、増幅部2と、フィードバック制御部3と、電流供給部9Aと、出力選択部5とを含む。
【0099】
図6に示すように、増幅部2は、増幅トランジスタ200を含む。フィードバック制御部3は、フィードバックトランジスタ300と、ノイズ保持部RDと、リセットトランジスタ400と、第1容量素子320と、第2容量素子310とを含む。出力選択部5は、第1選択トランジスタ500を含む。
【0100】
すなわち、画素110Aは、光電変換部1と、電荷蓄積部FDと、増幅トランジスタ200と、フィードバックトランジスタ300と、電流供給部9と、第1選択トランジスタ500と、第1容量素子320と、第2容量素子310と、リセットトランジスタ400とを含む。
【0101】
増幅トランジスタ200のゲートは、電荷蓄積部FDに接続される。
【0102】
フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方は、第1容量素子320を介して電荷蓄積部FDに接続される。すなわち、第1容量素子320の一端は、電荷蓄積部FDに接続され、第1容量素子320の他端は、フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方に接続される。フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの他方は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方に接続される。
【0103】
リセットトランジスタ400のソースおよびドレインの一方は、電荷蓄積部FDに接続される。リセットトランジスタ400のソースおよびドレインの他方は、ノイズ保持部RDに接続される。すなわち、リセットトランジスタ400は、第1容量素子320と並列に接続される。
【0104】
第2容量素子310の一端は、フィードバックトランジスタ300のソースおよびドレインの一方に接続される。第2容量素子310の他端は、画素110内部もしくは画素110外部に配置される基準電位VC1に接続される。
【0105】
電流供給部9Aは、電流供給トランジスタ900を含み、増幅トランジスタ200とフィードバックトランジスタ300との間の第1ノードMDに、電荷蓄積部FDをリセットする期間のうちの一部の期間のみ電流を供給する。電流供給部9Aが第1ノードMDに電流を供給する期間の詳細については後述する。
【0106】
第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの一方は、第1ノードMDに接続される。すなわち、第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの一方は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方に接続される。
【0107】
電流源回路60Aは、電流源6を含む。電流源6は、第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの他方に接続される。ここで、電流源6は、信号読み出しライン7を介して第1選択トランジスタ500のソースおよびドレインの他方に接続される。電流源6は、第1ノードMDから流れ出す方向に電流を流す。電流源6は、図1に図示される電流源144に対応する。信号読み出しライン7は、図1に図示される垂直信号線170に対応する。
【0108】
第1電圧供給回路8Aは、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方に接続される。第1電圧供給回路8Aは、互いに異なる少なくとも2つの電圧を供給する。ここで、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、電源ライン70を介して第1電圧供給回路8Aに接続される。電源ライン70は、図1に図示される電源線120に対応する。
【0109】
第1電圧供給回路8Aは、基準電位VA1を供給する電圧源83と、基準電位VA1より高い電位であるVA2を供給する電圧源84と、制御電位VB1を供給する電圧源85とを含む。
【0110】
電圧源83は、スイッチ素子80を介して電源ライン70に接続される。電圧源84は、スイッチ素子81を介して電源ライン70に接続される。電圧源85は、スイッチ素子82を介して電源ライン70に接続される。スイッチ素子80、81及び82は、スイッチ素子制御信号線CON80、CON81及びCON82が接続される。スイッチ素子制御信号線CON80、CON81及びCON82により、電源ライン70の電位を、VA1、VA2、VB1の間で切り替える。
【0111】
増幅回路20Aは、第1電圧供給回路8A、増幅トランジスタ200、電流供給トランジスタ900、第1選択トランジスタ500、信号読み出しライン7、及び、電流源回路60Aを含む。
【0112】
本構成では、増幅回路20Aは、画素110A内に、電流供給トランジスタ900を含む。電流供給トランジスタ900は、第1ノードMDに流れ込む方向に電流を供給する。
電流供給トランジスタ900のゲートには、ゲート電圧線CON900が接続され、ゲート電圧線CON900の電位により、電流供給トランジスタ900の状態が決定される。例えば、ゲート電圧線CON900を、電荷蓄積部FDをリセットする期間のうちの一部の期間のみ、ローレベル、または、ハイレベルとローレベルとの中間電圧とすることで、帰還回路30を動作させて、電荷蓄積部FD、ノイズ保持部RD、第1ノードMDに順次初期値電圧を設定することができる。
【0113】
さらに、電流源6及び電流供給トランジスタ900と第1電圧供給回路8Aのスイッチ素子の制御とを連動させることが可能である。例えば、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVA1もしくはVA2であるときには、電流供給トランジスタ900を選択し帰還回路30Aを動作させる。増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVB1であるときには、電流源6を選択し増幅回路20Aを動作させる。この動作により、増幅回路20Aは、増幅率の高いソース接地増幅回路として動作するモードと、増幅率がほぼ1であるソースフォロア回路として動作するモードとを切り替えることが可能となる。
【0114】
本構成では、電流源6及び電流供給トランジスタ900のどちらを使用するかを切り替え可能である。
【0115】
さらに、電流源6及び電流供給トランジスタ900と選択制御信号線CON500の制御とを連動させることが可能である。例えば、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVA1もしくはVA2であるときには、第1選択トランジスタ500をオフ状態として増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とを切断する。増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位がVB1であるときには、第1選択トランジスタ500をオン状態として増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とを接続する。この動作により、増幅回路20Aがソース接地増幅回路として動作するモードの時には、信号読み出しライン7に変動を伝えることなく、また、第1ノードMDが信号読み出しライン7の負荷の影響を受けることがなくなる。
【0116】
リセットトランジスタ400のゲートには、リセット制御信号線CON400が接続され、リセット制御信号線CON400の電位により、リセットトランジスタ400の状態が決定される。例えば、リセット制御信号線CON400の電位がハイレベルの場合、リセットトランジスタ400はオン状態となり、ノイズ保持部RDと電荷蓄積部FDとが電気的に接続される。リセット制御信号線CON400の電位がローレベルの場合、リセットトランジスタ400はオフ状態となり、ノイズ保持部RDと電荷蓄積部FDとは第1フィードバック容量320のみで接続される。
【0117】
実施の形態2において、信号読み出し回路50Aは、構成するトランジスタをNMOSトランジスタとして説明したが、この極性は反転してもよい。すなわち、信号読み出し回路50Aを構成するトランジスタはPMOSトランジスタであってもよい。構成するトランジスタに合わせて制御信号のレベル、電圧源の電位を変えること等は明白であるため、ここではその詳細についての説明を省略する。
【0118】
上記構成の信号読み出し回路50Aは、電荷蓄積部FDをリセットするリセット期間においてリセット動作を行い、電荷蓄積部FDに蓄積された信号電荷を読み出す読み出し期間において読み出し動作を行う。リセット期間は、さらに、プリリセット期間とノイズ抑制期間とからなる。
【0119】
以下、図面を参照しながら、信号読み出し回路50Aが行う動作について説明する。
【0120】
図7は、信号読み出し回路50Aの動作を示すタイミングチャートである。
【0121】
<プリリセット期間の動作>
時刻t11において、選択制御信号線CON500の電位をローレベルにすることで第1選択トランジスタ500をオフ状態にして信号読み出しライン7から電流源6を切断する。また、ゲート電圧線CON900の電位をハイレベルとローレベルとの中間電圧とすることで、電荷蓄積部FDの初期電圧を設定し、帰還回路30を動作させる。この状態で、増幅制御信号線CON300及びリセット制御信号線CON400の電位をハイレベルにして、フィードバックトランジスタ300及びリセットトランジスタ400をオン状態に設定する。また、第1電圧供給回路8Aを制御して、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位をVA1となるように設定することで、電荷蓄積部FDの電位をリセット電位VRSTとする。
【0122】
<ノイズ抑制期間の動作>
次に、時刻t12において、選択制御信号線CON500の電位をローレベルのまま保持し、画素110A内の電流供給トランジスタ900に微小な電流が流れる状態で、リセット制御信号線CON400の電位をローレベルにする。このとき、電荷蓄積部FDにはkTCノイズが残存することとなる。その後、時刻t13において、第2電圧供給回路8を制御して増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインの電位を、VA1より高いVA2になるように設定する。
【0123】
その後、時刻t14から時刻t16の期間に、増幅制御信号線CON300の電位をハイレベルとローレベルとの中間の電位である制御電位VB1に設定し、時刻t14から時刻t16の期間のうちの一部の期間である時刻t14から時刻t15の期間に、ゲート電圧線CON900の電位をハイレベルとすることで、電流供給トランジスタ900に瞬間的に多くの電流が流れるように設定する。時刻t14から時刻t16において、増幅回路20Aはソース接地増幅モードで動作しており、その増幅率を-Aとする。フィードバック容量の容量値をCc、電荷蓄積部FDの容量をCfdとすると、電荷蓄積部FDの信号は、-A×Cc/(Cc+Cfd)倍増幅されて電荷蓄積部FDに帰還することとなる。
【0124】
時刻t14から時刻t16の期間の動作により、時刻t16において電荷蓄積部FDに残存するリセットトランジスタ400のkTCノイズは、帰還動作により、時刻t12において電荷蓄積部FDに残存するkTCノイズの、
【数7】
倍に抑制されることとなる。
【0125】
また、フィードバックトランジスタ300で発生するkTCノイズは、帰還動作により
【数8】
倍に抑制され、電荷蓄積部FDには更にCc/(Cfd+Cc)倍されて伝達することとなる。従って、時刻t15において電荷蓄積部FDに残存するkTCノイズは、時刻t2において電荷蓄積部FDに残存するkTCノイズに対して、
【数9】
倍となる。
【0126】
信号読み出し回路50Aでは、リセット期間、すなわちプリリセット期間とノイズ抑制期間とを合わせた期間において、画素110A内の電流供給トランジスタ900に微小な電流又は瞬間的に多くの電流が流れるように設定し、画素110Aと信号読み出しライン7との接続を切断する。これにより、信号読み出しライン7と周辺信号線間の寄生容量カップリングにより発生する課題を抑制できる。寄生容量カップリングにより発生する課題とは、例えば、ノイズ抑制のための帰還動作における電圧の変動や、供給電圧を変更することによる電圧の変動が周辺信号を変動させ、信号収束に時間がかかってしまうという課題である。なお、ここでいう電圧の変動は、例えば、ソースフォロアでの読み出し時の電圧設定VB1から、プリリセット時のリセット電圧設定VA1、ノイズ抑制時の電圧設定VA2、また、ソースフォロアでの読み出し時の電圧設定VB1への変動である。また、ノイズ抑制時に、画素110に電源ライン70の負荷が付加されないため、帰還回路の収束が高速化するという効果が得られる。
【0127】
また、本構成ではゲート電圧線CON900を制御したが、電流供給トランジスタのソース電圧VD1を制御し、同様の効果を実現しても構わない。
【0128】
<読み出し期間の動作>
時刻t17において、増幅トランジスタ200のソースもしくはドレインが制御電位VB1になるよう、第1電圧供給回路8Aを制御する。その後、選択制御信号線CON500の電位をハイレベルにして第1選択トランジスタ500をオン状態にし、画素110と電流源6とを接続する。同時に、ゲート電圧線CON900の電位をハイレベルに設定して、画素110A内の電流供給トランジスタ900をオフ状態とする。この状態においては、増幅トランジスタ200と電流源6とがソースフォロア回路を形成し、信号読み出しライン7は、電荷蓄積部FDの電位に応じた電位となる。ここで、ソースフォロア回路の増幅率は1倍程度である。
【0129】
時刻t17において、電荷蓄積部FDの電圧は、ほぼリセット電圧VRSTの電位であり、読み出し期間において、1倍程度の増幅率で信号読み出しライン7に出力される。
【0130】
ここで、ランダムノイズは、光電変換部1で変換される電荷信号が0の時の出力のゆらぎ、すなわち、リセットトランジスタ400のkTCノイズとフィードバックトランジスタ300のkTCノイズの二乗和であり、各々のノイズは、ノイズ抑制期間にて、リセットトランジスタ400のkTCノイズは、
【数10】
倍に抑制され、フィードバックトランジスタ300のkTCノイズは、
【数11】
倍に抑制された状態で、光電変換部1で変換された信号電荷が読み出されることとなる。
【0131】
なお、実施の形態2に係る撮像装置は、信号読み出しライン7の信号を検出するための後段回路が信号読み出しライン7に接続されるとしてもよい。後段回路の例としては、信号読み出しライン7の信号を列毎にAD変換するような構成の回路が挙げられるが、これに限定されない。また、実施の形態2に係る撮像装置は、後段回路のばらつきをキャンセルするためのCDSを行うことも可能である。具体的には、読み出し期間において信号電荷を読み出した後、再度リセット動作を行う。このリセット動作の完了後、光電変換部1での光電変換を行う前に、再度読み出し動作を行う。これにより、基準電圧を読み出すことができる。信号電圧と基準電圧との差分を取ることでCDSを行ってもよい。このように、実施の形態2に係る撮像装置は、CDSを行ってもよく、CDSを行わなくてもよい。
【0132】
また、実施の形態2に係る撮像装置は、電荷蓄積部FDの信号をソースフォロア回路で読み出す構成であるため、増幅率は1倍程度であるとして説明した。しかし、これに限らず、例えば、システムに必要なS/N、回路レンジ等に応じて、増幅率を1倍以外の値としてもよい。
【0133】
以上説明したように、実施の形態2に係る撮像装置では、ノイズキャンセルのための帰還回路にソース接地増幅回路を含むことにより、レイアウトやデバイス起因の寄生容量の影響を受けることなく、ランダムノイズを抑制することが可能である。
【0134】
なお、実施の形態2に係る撮像装置では、プリリセット期間における電荷蓄積部FDのリセット電圧を、増幅トランジスタ200からノイズ保持部RDで供給する構成にしている。しかし、増幅トランジスタ200から第1ノードMDに供給するようにしてもよい。また、あらかじめ所望の電圧に設定した基準電位VR1から供給するようにしてもよい。それにより、電荷蓄積部FD及びノイズ保持部RDをトランジスタのばらつきによらない一定の電位にリセットすることができる。そのため、よりデバイスばらつきによらずに良好な画像データを提供することが可能となる。
【0135】
[考察]
上記構成の実施の形態2に係る撮像装置によると、電流供給トランジスタ900により構成される電流供給部9は、電荷蓄積部FDをリセットするリセット期間のうちの一部の期間のみ第1ノードMDに電流を供給する。
【0136】
このため、実施の形態2に係る撮像装置は、リセット期間全体において第1ノードMDに電流を供給する電流供給部を備える撮像装置よりも、フィードバックトランジスタ300に大電流を供給することができる。これにより、実施の形態2に係る撮像装置は、第2の比較例に係る撮像装置よりも、フィードバック期間を短縮することができる。
【0137】
従って、実施の形態2に係る撮像装置によると、従来の撮像装置よりも、リセットノイズを効果的に低減することができる。
【0138】
さらに、信号読み出し回路50Aでは、リセット期間、すなわちプリリセット期間とノイズ抑制期間とを合わせた期間において、画素110内の電流源900から電流を供給し、画素110と信号読み出しライン7との接続を切断する。これにより、信号読み出しライン7と周辺信号線間の寄生容量カップリングにより発生するノイズ課題を抑制できる。
【0139】
本2つの構成を用いることにより、周辺信号線間の寄生容量抑制、ノイズキャンセルの高速化に効果をもたらすことが可能となる。ただし、求められる特性により、2つ共の構成を設けても、どちらか1つの構成を設けてもよい。
【0140】
(実施の形態3)
以下、少なくとも2つの基板が積層された積層構造を有する、実施の形態3に係る撮像装置について説明する。以下、実施の形態3に係る撮像装置の構成要素のうち、実施の形態1に係る撮像装置100の構成要素と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振って、その詳細な説明を省略する。
【0141】
図8は、実施の形態3に係る撮像装置100Bの構成を示す分解斜視図である。
【0142】
図8に示すように、撮像装置100Bは、第1の基板2000と第2の基板2100とが互いに積層されて構成される。
【0143】
第1の基板2000には、画素110がアレイ状に配列されてなる画素アレイ111が配置される。
【0144】
第2の基板2100には、アナログ-デジタル変換回路2200と、メモリ2400と、演算処理回路2300とが配置される。アナログ-デジタル変換回路2200は、画素アレイ111を構成する各画素110からの出力信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。メモリ2400は、アナログ-デジタル変換回路2200によって変換されたデジタル信号を記憶する。演算処理回路2300は、アナログ-デジタル変換回路2200によって変換されたデジタル信号を演算処理する。
【0145】
第1の基板2000と第2の基板2100とは、接続部2500により電気的に接続される。
【0146】
上記構成の撮像装置100Bにおいて、出力選択部5と電源選択部5Aとは、第1の基板2000に配置される。第1の基板2000に出力選択部5と電源選択部5Aとを配置することで、接続部2500の負荷が配線の負荷に含まれなくなり、配線による容量カップリングを抑制することができる。また、構成上は、第2の基板2100の接続部に出力選択部5と電源選択部5Aとを配置しても構わない。
【0147】
なお、ここでは、図8を用いて、撮像装置100Bは、第1の基板2000および第2の基板2100の2つの基板が互いに積層された積層構造を有する構成であるとして説明した。しかしながら、撮像装置100Bは、少なくとも2つの基板が積層された積層構造を有する構成であれば、他の構成であっても構わない。例えば、撮像装置100Bは、3つ以上の基板が互いに積層された積層構造を有する構成であってもよく、1つの基板の上に、複数の子基板が並列に積層された積層構造を有する構成であってもよい。
【0148】
また、接続部2500は、画素アレイ111の列毎に配置される構成であってもよいし、領域ごとに配置される構成であってもよいし、画素110毎に配置される構成であってもよい。
【0149】
(実施の形態4)
実施の形態1に係る撮像装置100、実施の形態2に係る撮像装置、及び、実施の形態3に係る撮像装置100Bは、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラシステムにおける、撮像デバイスとして適用可能である。
【0150】
以下、実施の形態1に係る撮像装置100を撮像デバイスとして適用する実施の形態4に係るカメラシステムについて説明する。
【0151】
図9は、実施の形態4に係るカメラシステム1000の構成を示すブロック図である。以下、カメラシステム1000の構成要素のうち、実施の形態1に係る撮像装置100の構成要素と同様の構成要素については、既に説明済であるとして同じ符号を振って、その詳細な説明を省略する。
【0152】
図9に示すように、カメラシステム1000は、撮像装置100と、レンズ1001と、カメラ信号処理回路1002と、システムコントローラ1003とを備える。
【0153】
レンズ1001は、撮像装置100の画素アレイに外部の光を集光する。
【0154】
カメラ信号処理回路1002は、撮像装置100からの出力信号に対して信号処理を行い、画像又はデータを外部に出力する。
【0155】
システムコントローラ1003は、撮像装置100とカメラ信号処理回路1002とを制御する。
【0156】
上記構成のカメラシステム1000によると、撮像装置100を撮像デバイスとして適用することで、垂直信号線の変動を抑制、ひいては、ノイズ特性を向上させる。また、リセットノイズを効果的に低減することができる。ゆえに、カメラシステム1000は、正確な電荷読み出しが可能となり、結果、画像特性の良好なカメラシステムを実現することができる。
【0157】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から実施の形態4について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0158】
(1)実施の形態1において、撮像装置100は、画素110が、第1ノードMDに電流を供給する回路として電流供給部9を備える構成であるとして説明した。これに対して、他の構成例として、撮像装置100は、画素110が、電流供給部9の替わりに、第1ノードMDに、電荷蓄積部FDをリセットする期間のうちの一部の期間のみ電流を供給する実施の形態2に係る電流供給部9Aを備える構成例も考えられる。
【0159】
撮像装置100は、画素110が、電流供給部9の替わりに電流供給部9Aを備える構成とすることで、実施の形態2に係る撮像装置と同様に、リセット期間全体において第1ノードMDに電流を供給する電流供給部を備える第2の比較例に係る撮像装置よりも、第1ノードMDに大電流を供給することができる。これにより、電流供給部9の代わりに電流供給部9Aを備える撮像装置100は、第2の比較例に係る撮像装置よりも、フィードバック期間を短縮することができる。
【0160】
従って、電流供給部9の代わりに電流供給部9Aを備える撮像装置100によると、比較例2に係る撮像装置よりも、リセットノイズを効果的に低減することができる。
【0161】
(2)実施の形態1において、撮像装置100は、第2選択トランジスタ501を画素110内に備える構成であるとして説明した。しかしながら、撮像装置100は、必ずしも、第2選択トランジスタ501を画素110内に備える構成に限定される必要はなく、撮像装置100は、第2選択トランジスタ501を画素110外に備える構成であってもよい。
【0162】
撮像装置100は、第2選択トランジスタ501を画素110外に備える構成とすることで、画素110のサイズを小さくすることができる。
【0163】
また、撮像装置100は、1つの画素110毎に1つの第2選択トランジスタ501を備える構成であってもよいし、複数の画素110毎に1つの第2選択トランジスタ501を備える構成であってもよい。
【0164】
撮像装置100は、複数の画素110毎に1つの第2選択トランジスタ501を備える構成とすることで、1つの画素110毎に1つの第2選択トランジスタ501を備える構成よりも、画素アレイのサイズを小さくすることができる。
【0165】
(3)実施の形態1において、撮像装置100は、電流供給部9Aが、電流供給トランジスタ900により構成されるとして説明した。しかしながら、電流供給部9Aは、第1ノードMDに、電荷蓄積部FDをリセットする期間のうちの一部の期間のみ電流を供給することができれば、必ずしも、上記構成に限定される必要はない。電流供給部9Aは、例えば、複数のトランジスタを含んで構成されてもよいし、トランジスタを含まずに、トランジスタ以外の構成要素を含んで構成されてもよい。
【0166】
(4)実施の形態2において、実施の形態2に係る撮像装置は、第1電圧供給回路8Aが、VA1を供給する電圧源83と、VA2を供給する電圧源84と、VB1を供給する電圧源85とを備え、選択する電圧源を切り替えることで、互いに異なる少なくとも2つの電圧を供給する構成であるとして説明した。しかしながら、第1電圧供給回路8Aは、互いに異なる少なくとも2つの電圧を供給することができれば、必ずしも、上記構成に限定される必要はない。例えば、第1電圧供給回路8Aは、互いに異なる少なくとも2つの電圧を切り替えて出力する1つの電圧源を備える構成であっても構わない。
【0167】
(5)本開示の一態様に係る撮像装置は、光を信号電荷に変換する光電変換部と、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部に接続されるゲートを有する増幅トランジスタと、ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に電気的に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続されるフィードバックトランジスタと、前記増幅トランジスタと前記フィードバックトランジスタとの間の第1ノードに電流を供給する電流供給部と、ソースおよびドレインの一方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される第1選択トランジスタと、を含む画素と、ソースおよびドレインの一方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される第2選択トランジスタと、電流源および第1電圧供給回路を含み、前記第1選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に前記電流源および前記第1電圧供給回路のいずれか一方を選択的に接続させる電流源電圧源切り替え回路と、前記第2選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される第2電圧供給回路と、を備える。
【0168】
上記構成の撮像装置によると、リセットノイズを効果的に低減することができる。
【0169】
また、前記電流供給部は、前記電荷蓄積部をリセットする期間のうちの一部の期間のみ前記第1ノードに前記電流を供給するとしてもよい。
【0170】
また、前記第2選択トランジスタは、前記画素に含まれるとしてもよい。
【0171】
また、前記第2選択トランジスタがオン状態となる第1期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部に蓄積された前記信号電荷の量に対応する信号を前記画素の外部に出力し、前記第2選択トランジスタがオフ状態となる第2期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部の電位に対応する信号を前記電荷蓄積部に負帰還させるとしてもよい。
【0172】
また、前記電流源電圧源切り替え回路は、前記第1期間において前記電流源を接続させ、前記第2期間において前記第1電圧供給回路を接続させるとしてもよい。
【0173】
本開示の一態様に係る撮像装置は、光を信号電荷に変換する光電変換部と、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部に接続されるゲートを有する増幅トランジスタと、ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に電気的に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続されるフィードバックトランジスタと、前記増幅トランジスタと前記フィードバックトランジスタとの間の第1ノードに、前記電荷蓄積部をリセットする期間のうちの一部の期間のみ電流を供給する電流供給部と、ソースおよびドレインの一方が前記第1ノードに接続される第1選択トランジスタと、を含む画素と、前記第1選択トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続される電流源と、前記増幅トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、互いに異なる少なくとも2つの電圧を供給する第1電圧供給回路と、を備える。
【0174】
上記構成の撮像装置によると、リセットノイズを効果的に低減することができる。
【0175】
また、前記電流供給部は、電流供給トランジスタを含むとしてもよい。
【0176】
また、前記第1選択トランジスタがオン状態となる第1期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部に蓄積された前記信号電荷の量に対応する信号を前記画素の外部に出力し、前記第1選択トランジスタがオフ状態となる第2期間において、前記増幅トランジスタは、前記電荷蓄積部の電位に対応する信号を前記電荷蓄積部に負帰還させるとしてもよい。
【0177】
また、前記第1電圧供給回路は、前記第1期間と前記第2期間とで互いに異なる電圧を供給するとしてもよい。
【0178】
また、前記第1期間と前記第2期間との間で、前記増幅トランジスタの増幅率が互いに異なるとしてもよい。
【0179】
また、前記画素は、一端が前記電荷蓄積部に接続され、他端が前記フィードバックトランジスタのソースおよびドレインの一方に接続される第1容量素子と、一端が前記フィードバックトランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される第2容量素子と、を含むとしてもよい。
【0180】
また、前記第2容量素子の容量は、前記第1容量素子の容量よりも大きいとしてもよい。
【0181】
また、ソースおよびドレインの一方が前記電荷蓄積部に接続され、前記電荷蓄積部の電位を初期化するためのリセットトランジスタをさらに備えるとしてもよい。
【0182】
また、前記リセットトランジスタのソースおよびドレインの他方は、前記フィードバックトランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続されるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本開示は、画像を撮像する撮像装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0184】
1 光電変換部
1A、1E 光検出器
1B 有機光電変換膜
1C 上部電極
1D 下部電極
2 増幅部
3 フィードバック制御部
5 出力選択部
5A 電源選択部
6 電流源
7 信号読み出しライン
8 第2電圧供給回路(電圧回路)
8A 第1電圧供給回路(電圧回路)
9、9A 電流供給部
30 帰還回路
50、50A 信号読み出し回路
60 電流源電圧源切り替え回路
60A 電流源回路
61、62、63、80、81、82 スイッチ素子
64 第1電圧供給回路
65、66、83、84、85、86 電圧源
70 電源ライン
100、100B 撮像装置
110、110A 画素
120 電源線
130 蓄積制御線
141 垂直走査回路
142 カラム信号処理回路
143 水平信号読み出し回路
144 電流源
170 垂直信号線
180 水平共通信号線
200 増幅トランジスタ
300 フィードバックトランジスタ
310 第2容量素子
320 第1容量素子
400 リセットトランジスタ
500 第1選択トランジスタ
501 第2選択トランジスタ
600 電流源
900 電流供給トランジスタ
1000 カメラシステム
1001 レンズ
1002 カメラ信号処理回路
1003 システムコントローラ
2000 第1の基板
2100 第2の基板
2200 アナログ-デジタル変換回路
2300 演算処理回路
2400 メモリ
2500 接続部
FD 電荷蓄積部
RD ノイズ保持部
MD 第1ノード
CON61、CON62、CON63、CON80、CON81、CON82 スイッチ素子制御信号線
CON300 増幅制御信号線
CON400 リセット制御信号線
CON500 選択制御信号線
CON501 電源選択信号線
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9